(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、前記蓄電素子同士を接続するバスバーと、配線と、複数のガイド部を有する配線配置部材と、コネクタ保持部材とを備え、前記複数のガイド部のうちの一部のガイド部は、前記コネクタ保持部材を位置決めし、前記複数のガイド部のうちの他の一部のガイド部は、前記配線の経路を形成する。
【0010】
これによれば、蓄電装置は、複数のガイド部を有する配線配置部材とコネクタ保持部材とを備えており、一部のガイド部はコネクタ保持部材を位置決めし、他の一部のガイド部は配線の経路を形成する。つまり、ガイド部は、配線の経路を形成する機能と、コネクタ保持部材を位置決めする機能とを兼ね備えている。このため、ガイド部を形成することで、配線の経路を形成する部位と、コネクタ保持部材を位置決めする部位との2種類の部位を形成する必要がないため、配線を配置する際の構成を簡素化することができる。
【0011】
また、前記複数のガイド部は、第一ガイド部と第二ガイド部とを有し、前記配線配置部材は、前記第一ガイド部を有する第一配線配置部材と、前記第二ガイド部を有する第二配線配置部材とを有し、前記第一配線配置部材と前記第二配線配置部材との境界を挟んで対向する前記第一ガイド部と前記第二ガイド部とによって前記配線の経路が形成されることにしてもよい。
【0012】
これによれば、第一配線配置部材の第一ガイド部と、第二配線配置部材の第二ガイド部とによって、配線の経路が形成される。つまり、2つの配線配置部材のガイド部を用いることで、別部材を用いることなく、2つの配線配置部材の間に容易に配線を通すことができる。
【0013】
また、前記複数のガイド部のそれぞれは、上方へ突出する複数の突出部を有することにしてもよい。
【0014】
これによれば、ガイド部は、複数の突出部によって、コネクタ保持部材を位置決めし、また、配線の経路を形成することができる。
【0015】
また、前記コネクタ保持部材は、コネクタが取り付けられた第一コネクタ保持部材と、前記第一コネクタ保持部材と同一形状であって、コネクタを取り付け可能な開口がカバー部材で閉塞された第二コネクタ保持部材とを有することにしてもよい。
【0016】
これによれば、蓄電装置は、コネクタが取り付けられた第一コネクタ保持部材と、第一コネクタ保持部材と同一形状の、コネクタ取付口が閉塞された第二コネクタ保持部材とを有している。つまり、コネクタを配置しない側にも同一形状のコネクタ保持部材を使用することで、蓄電装置の構成を簡素化することができる。
【0017】
また、前記第一コネクタ保持部材は、前記配線配置部材の一端部に設けられたガイド部に位置決めされ、前記第二コネクタ保持部材は、前記配線配置部材の他端部に設けられたガイド部に位置決めされることにしてもよい。
【0018】
これによれば、第一コネクタ保持部材は、配線配置部材の一端部に設けられたガイド部に位置決めされ、第二コネクタ保持部材は、配線配置部材の他端部に設けられたガイド部に位置決めされる。つまり、一方のガイド部に第一コネクタ保持部材を位置決めする機能、他方のガイド部に第二コネクタ保持部材を位置決めする機能を兼ねさせることで、蓄電装置の構成を簡素化することができる。
【0019】
また、さらに、前記配線配置部材上に配置される蓋体を備え、前記複数のガイド部のうちの少なくとも1つのガイド部の先端と前記蓋体とは、接触している、又は、近接して対向していることにしてもよい。
【0020】
これによれば、ガイド部の先端と蓋体とが接触又は近接して対向しているため、ガイド部に配置される配線が、ガイド部を飛び越えてガイド部から外れることを抑制することができる。
【0021】
また、前記配線配置部材は、前記蓄電素子上に配置され、前記蓄電素子を下方に向けて押さえ込む押さえ部材であることにしてもよい。
【0022】
これによれば、蓄電素子の押さえ部材を配線配置部材として活用することで、蓄電装置の構成を簡素化することができる。
【0023】
また、前記コネクタ保持部材には、前記複数のガイド部のうちの少なくとも1つのガイド部が挿入される貫通孔が形成されていることにしてもよい。
【0024】
これによれば、コネクタ保持部材には、ガイド部が挿入される貫通孔が形成されているため、容易に、コネクタ保持部材にガイド部を取り付けることができる。
【0025】
また、前記コネクタ保持部材は、外面が前記蓄電装置の外装体の外面と同一平面上に配置されることにしてもよい。
【0026】
これによれば、コネクタ保持部材と外装体とは外面が同一平面上に配置されるため、コネクタ保持部材と外装体との外面を覆うカバーを取り付けやすい。
【0027】
また、前記複数のガイド部は、回転対称の位置に配置されることにしてもよい。
【0028】
これによれば、複数のガイド部が、回転対称の位置に配置されているため、ガイド部が設けられた部材を取り付ける際に、取付方向を間違うのを抑制することができる。
【0029】
また、さらに、前記コネクタに接続された配線が接続される第一基板と、前記蓄電素子に接続された配線が接続される第二基板とを備え、前記第一基板と前記第二基板とは、離隔して配置されることにしてもよい。
【0030】
これによれば、蓄電素子に接続された配線が接続される第一基板と、コネクタに接続された配線が接続される第二基板とが、離隔して配置されている。ここで、蓄電素子に接続される配線は、電圧測定用配線などの高電圧の配線であり、コネクタに接続される配線は、通信用配線(制御用配線)などの低電圧の配線である。このため、低電圧の配線が接続されている第二基板を、高電圧の配線が接続されている第一基板から離隔して配置することで、低電圧の配線を高電圧の配線から容易に絶縁することができ、配線を配置する際の構成を簡素化することができる。
【0031】
また、前記第一基板と前記第二基板とは、前記配線配置部材が有する異なる部材に配置されることにしてもよい。
【0032】
これによれば、第二基板を第一基板と異なる部材に配置することで、低電圧の配線を高電圧の配線からさらに容易に絶縁することができる。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0034】
(実施の形態)
まず、蓄電装置1の構成について、説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0036】
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
【0037】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、自動車用電源や、電子機器用電源、電力貯蔵用電源などに使用される電池モジュールである。
【0038】
これらの図に示すように、蓄電装置1は、2つの単位モジュール11及び12を有するモジュール群10、下側連結部材20及び上側連結部材30を備えている。なお、蓄電装置1は、1つの単位モジュールしか備えていない構成や、3つ以上の単位モジュールを備えている構成でもかまわない。
【0039】
モジュール群10は、Y軸方向に並ぶ2つの単位モジュール11及び12を備えている。また、単位モジュール11には、正極外部端子11aと負極外部端子11bとが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子11aと負極外部端子11bとを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
【0040】
単位モジュール11及び12は、1以上の蓄電素子をモジュールケース14に収容した矩形状のモジュールであり、それぞれ同様の構成を有している。また、単位モジュール11及び12内の蓄電素子の正極端子と負極端子とが電気的に接続されることで、単位モジュール11及び12内の全ての蓄電素子が直列に接続されている。なお、モジュール群10の詳細な構成についての説明は、後述する。
【0041】
なお、単位モジュール11及び12には、蓄電素子のガス排出弁から放出されたガスを排出する排出部13がそれぞれ形成されている。排出部13は、単位モジュール11及び12のX軸方向(蓄電素子の配列方向)の端部に設けられた矩形状の開口である。同図では、排出部13は、蓄電装置1の長手方向と交差する方向(具体的には、長手方向と直交する短手方向)の端部に設けられている。つまり、排出部13は、正極外部端子11a及び負極外部端子11bが配置されない側に配置されており、これらの外部端子側へ影響を及ぼさない構成となっている。
【0042】
下側連結部材20及び上側連結部材30は、2つの単位モジュール11及び12を連結する部材であり、下側連結部材20は、下側の連結部材、上側連結部材30は、上側の連結部材である。つまり、下側連結部材20と上側連結部材30とで単位モジュール11及び12を挟み込むように固定することで、単位モジュール11及び12を連結する。
【0043】
具体的には、下側連結部材20及び上側連結部材30は、例えば金属などの平板状の部材によって構成されている。これにより、単位モジュール11及び12を強固に安定して固定することができる。また、下側連結部材20には、2つの単位モジュール11及び12のそれぞれが有するモジュールケース14が載置される。
【0044】
次に、モジュール群10の詳細な構成について、説明する。
【0045】
図3は、本発明の実施の形態に係るモジュール群10の内部の各構成要素を示す斜視図である。具体的には、同図は、モジュール群10から蓋体800を分離して内部構成を示した図である。また、
図4は、本発明の実施の形態に係るモジュール群10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0046】
これらの図に示すように、モジュール群10が備える単位モジュール11及び12のそれぞれは、ケース本体100と蓋体800とからなるモジュールケース14(
図2参照)、及び、モジュールケース14に収容される複数の蓄電素子200(本実施の形態では6つの蓄電素子200)と配線配置部材300とを備えている。また、モジュールケース14の内方または単位モジュール11及び12の間を跨ぐように、バスバー400が配置されている。
【0047】
また、単位モジュール11の配線配置部材300(第一配線配置部材301)上には、第一基板510及びコネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601)が配置されている。また、単位モジュール12の配線配置部材300(第二配線配置部材302)上には、第二基板520、コネクタ保持部材600(第二コネクタ保持部材602)及び閉止部材700が配置されている。なお、配線配置部材300上には、第一基板510と第二基板520とコネクタ保持部材600と蓄電素子200の電極端子との間を繋ぐ配線が配置されているが、省略して図示している。
【0048】
ケース本体100と蓋体800とからなるモジュールケース14は、単位モジュール11、12の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器である。モジュールケース14は、複数の蓄電素子200や基板(第一基板510、第二基板520)などを所定の位置に配置し、複数の蓄電素子200や基板などを衝撃などから保護する。また、モジュールケース14は、例えばポリカーボネート等の樹脂などの絶縁性の材料により構成されており、蓄電素子200や基板などが外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0049】
ここで、ケース本体100は、モジュールケース14の本体を構成する有底矩形筒状の部材である。蓋体800は、モジュールケース14の蓋を構成する部材であり、ケース本体100の上部の開口を塞ぐ扁平な矩形状の部材である。具体的には、ケース本体100内方に、複数の蓄電素子200、配線配置部材300、バスバー400等の順に配置され、配線配置部材300上に蓋体800が配置されて、ケース本体100の開口部が蓋体800で閉止される。
【0050】
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。なお、蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。本実施の形態では、6個の蓄電素子200がX軸方向に並べられて、モジュールケース14内に収容されている。なお、モジュールケース14内に収容される蓄電素子200は、6個以外でもよく、例えば1個の蓄電素子200しか収容されていない構成でもかまわない。また、単位モジュール11、12に異なる数の蓄電素子200が配置されていてもよい。
【0051】
具体的には、蓄電素子200は、容器210、正極端子220及び負極端子230を備えている。また、容器210内方には、電極体(蓄電要素または発電要素とも呼ぶ)、正極集電体及び負極集電体、電解液などが収容されているが、図示は省略する。
【0052】
容器210は、金属からなる矩形筒状で底を備える筐体本体と、当該筐体本体の開口を閉塞する金属製の容器蓋部とで構成されている。なお、容器210の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼など溶接可能な金属であるのが好ましい。また、正極端子220は、正極集電体を介して、電極体の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子230は、負極集電体を介して、電極体の負極に電気的に接続された電極端子である。
【0053】
バスバー400は、配線配置部材300の上方に配置される金属など導電性の部材であり、複数の蓄電素子200同士を電気的に接続する。具体的には、バスバー400は、隣接する蓄電素子200において、1の蓄電素子200の正極端子220または負極端子230と、他の蓄電素子200の負極端子230または正極端子220とを接続する。
【0054】
具体的には、正極外部端子11a側に配置された蓄電素子200の正極端子220が当該正極外部端子11aと接続され、当該蓄電素子200の負極端子230は、バスバー400を介して、隣接する蓄電素子200の正極端子220と接続される。また同様に、負極外部端子11b側に配置された蓄電素子200の負極端子230が当該負極外部端子11bと接続され、当該蓄電素子200の正極端子220は、バスバー400を介して、隣接する蓄電素子200の負極端子230と接続される。また、その他の蓄電素子200の正極端子220または負極端子230は、バスバー400を介して、隣接する蓄電素子200の負極端子230または正極端子220と接続される。
【0055】
配線配置部材300は、複数の蓄電素子200の上方に配置される扁平な矩形状の部材であり、当該複数の蓄電素子200に接続された配線が配置される。配線配置部材300は、例えば樹脂などの絶縁性の材料により構成されている。また、配線配置部材300は、ケース本体100内での複数の蓄電素子200の位置を規制し、複数の蓄電素子200をケース本体100に固定する部材でもある。つまり、配線配置部材300は、ケース本体100の内方に嵌め込まれ、複数の蓄電素子200を上方から下方に向けて押さえ込む押さえ部材(内蓋)としての機能も有する。
【0056】
ここで、配線配置部材300は、同一形状の第一配線配置部材301と第二配線配置部材302とを有している。第一配線配置部材301は、単位モジュール11に備えられる配線配置部材であり、第一配線配置部材301には、第一基板510が載置されるとともに、第一コネクタ保持部材601が取り付けられる。また、第二配線配置部材302は、単位モジュール12に備えられる配線配置部材であり、第二配線配置部材302には、第二基板520が載置されるとともに、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700が取り付けられる。
【0057】
このように、配線配置部材300は、基板(第一基板510、第二基板520)を載置する載置台、及び、コネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601、第二コネクタ保持部材602)及び閉止部材700を取り付ける取付台としても機能する。配線配置部材300の詳細な構成についての説明は、後述する。
【0058】
第一基板510は、外部機器との通信を行うための回路が搭載された矩形状の基板(通信基板)である。具体的には、第一基板510は、第一コネクタ保持部材601に保持されたコネクタ910と配線(通信用配線)で接続されており、コネクタ910が外部機器と接続されることで、外部機器との通信を行う。
【0059】
ここで、第一基板510は、単位モジュール11及び12のうちの、コネクタを保持しているコネクタ保持部材(第一コネクタ保持部材601)が備えられる単位モジュールである単位モジュール11に配置されている。具体的には、第一基板510は、単位モジュール11の第一配線配置部材301上に配置され、かつ、単位モジュール11の蓋体800に覆われるように配置されている。さらに具体的には、第一基板510は、第一配線配置部材301上の、単位モジュール11が備える複数の蓄電素子200それぞれの正極端子220と負極端子230との間のスペースに配置されている。このように、第一基板510は、単位モジュール11の第一配線配置部材301と蓋体800とで挟まれることで、第一配線配置部材301と蓋体800とに保護されるように配置されている。
【0060】
第二基板520は、モジュール群10が備える複数の蓄電素子200の充電状態や放電状態(電圧、温度などの電池状態)などを取得し、監視するための回路が搭載された矩形状の基板(監視基板)である。具体的には、第二基板520は、当該複数の蓄電素子200の電極端子に配線(電圧測定用配線や温度測定用配線)で接続されることで、蓄電素子200の電圧や温度等を取得し、監視する。
【0061】
ここで、第二基板520は、単位モジュール11及び12のうちの、コネクタを保持していないコネクタ保持部材(第二コネクタ保持部材602)が備えられる単位モジュールである単位モジュール12に配置されている。具体的には、第二基板520は、単位モジュール12の第二配線配置部材302上に配置され、かつ、単位モジュール12の蓋体800に覆われるように配置されている。さらに具体的には、第二基板520は、第二配線配置部材302上の、単位モジュール12が備える複数の蓄電素子200それぞれの正極端子220と負極端子230との間のスペースに配置されている。このように、第二基板520は、単位モジュール12の第二配線配置部材302と蓋体800とで挟まれることで、第二配線配置部材302と蓋体800とに保護されるように配置されている。
【0062】
また、第二基板520は、配線で第一基板510とも接続されており、取得した蓄電素子200の電圧や温度等の情報を第一基板510へ送る。なお、第一基板510と第二基板520とを接続する配線は高電圧の配線であるが、第一基板510上に、当該配線と、第一基板510に接続される通信用配線とを絶縁するフォトカプラ等の部品が実装されている。
【0063】
以上のように、第一基板510と第二基板520とは、配線配置部材300が有する異なる部材である第一配線配置部材301と第二配線配置部材302とにそれぞれ配置されている。つまり、第一基板510と第二基板520とは、離隔して配置されている。なお、本実施の形態では、第一基板510は、第二基板520よりも小さく形成されているが、第一基板510及び第二基板520の大きさは特に限定されない。また、第一基板510及び第二基板520の形状も特に限定されず、矩形状以外の形状でもかまわない。
【0064】
コネクタ保持部材600は、コネクタを保持する部材(コネクタマウント)であり、配線配置部材300の端部に取り付けられる。ここで、コネクタ保持部材600は、第一コネクタ保持部材601と第二コネクタ保持部材602とを有している。第一コネクタ保持部材601は、コネクタ910を保持しているコネクタ保持部材であり、第一配線配置部材301のY軸方向マイナス側の端部に取り付けられている。第二コネクタ保持部材602は、コネクタが取り付けられていないコネクタ保持部材であり、第二配線配置部材302のY軸方向プラス側の端部に取り付けられている。コネクタ保持部材600は、例えば樹脂などの絶縁性の材料により形成されている。
【0065】
ここで、コネクタ保持部材600は、外面(主面)が、蓄電装置1の外装体であるモジュールケース14の外面(側面)と同一平面上に(面一に)配置される。つまり、第一コネクタ保持部材601のY軸方向マイナス側の外面(
図8のコネクタ取付部620の外面)と、単位モジュール11のモジュールケース14(ケース本体100及び蓋体800)のY軸方向マイナス側の外面とが、同一平面上に配置されている。また、第二コネクタ保持部材602のY軸方向プラス側の外面(
図9のコネクタ取付部620の外面)と、単位モジュール12のモジュールケース14(ケース本体100及び蓋体800)のY軸方向プラス側の外面とが、同一平面上に配置されている。なお、第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602の詳細な構成についての説明は、後述する。
【0066】
閉止部材700は、配線配置部材300の端部に着脱可能に取り付けられ、当該端部に形成された開口を閉塞する矩形状かつ平板状の部材である。閉止部材700は、例えば樹脂などの絶縁性の材料により形成されている。なお、本実施の形態では、第一コネクタ保持部材601、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700は、配線配置部材300と同じ材質で形成されているが、いずれかの部材が異なる材質で形成されていてもかまわない。
【0067】
次に、配線配置部材300の構成(つまり、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302の構成)について、詳細に説明する。
【0068】
図5は、本発明の実施の形態に係る第一配線配置部材301(または第二配線配置部材302)の外観を示す斜視図である。また、
図6は、本発明の実施の形態に係る第一配線配置部材301(または第二配線配置部材302)の構成を示す平面図である。具体的には、
図6は、
図5に示された第一配線配置部材301(または第二配線配置部材302)を上方(Z軸方向プラス側)から見た場合の平面図である。
【0069】
これらの図に示すように、第一配線配置部材301は、対向する両端部(Y軸方向の両端部)に、それぞれ、第一ガイド部311が一体に設けられた矩形状の部材である。本実施の形態では、第一配線配置部材301のY軸方向プラス側の端部の中央部分に、X軸方向に並ぶ3つの第一ガイド部311が形成されている。また、第一配線配置部材301のY軸方向マイナス側の端部の中央部分にも、X軸方向に並ぶ3つの第一ガイド部311が形成されている。なお、第一ガイド部311の個数及び配置位置は、上記以外であってもかまわない。
【0070】
第一ガイド部311は、上方へ突出する複数の突出部から構成される部位であり、当該突出部の間に配線が配置可能な構成となっている。つまり、第一ガイド部311は、蓄電素子200に接続される配線の経路を形成する機能を有している。なお、本実施の形態では、第一ガイド部311は、一対の矩形状かつ平板状の突出部から構成されており、当該一対の突出部の間に配線が配置可能な構成となっているが、突出部の個数及び形状は上記には限定されない。
【0071】
ここで、
図5の点線枠内に、第一配線配置部材301に蓋体800を配置した場合の、第一ガイド部311の位置における断面図を示している。この図に示すように、第一ガイド部311は、一対の突出部が、蓋体800に当接する高さにまで上方に延設されて形成されている。なお、第一ガイド部311の当該突出部は、蓋体800に当接しない程度の高さに形成されてもよいが、蓋体800との間の隙間が1cm程度、好ましくは5mm程度など、ほぼ当接する程度の高さに形成されているのが好ましい。なお、全ての第一ガイド部311が上記構成になっていなくてもよく、一部の第一ガイド部311が上記構成になっていればよい。つまり、複数の第一ガイド部311のうちの少なくとも1つの第一ガイド部311の先端と蓋体800とは、接触している、又は、近接して対向している。
【0072】
この構成により、第一ガイド部311の一対の突出部の間に配置される配線が、第一ガイド部311から外れることを抑制することができる。つまり、当該配線は、必ずしもやわらかくないため第一ガイド部311を飛び越える可能性があるが、第一ガイド部311の突出部の高さが蓋体800の近くまであるために、当該配線が第一ガイド部311を飛び越えることを抑制することができる。
【0073】
また、第一ガイド部311の高さは、例えば、配線の線径の5倍以上の高さを有している。これによっても、当該配線が第一ガイド部311を飛び越えて外れることを抑制することができる。
【0074】
また、第一配線配置部材301の対向する両端部(Y軸方向の両端部)には、それぞれ、1つの開口部321と、当該開口部321を挟む位置に配置された2つの開口部331とが形成されている。開口部321は、3つの第一ガイド部311を覆うように形成された大きな矩形状の開口であり、コネクタ保持部材600またはバスバー400が配置可能な構成となっている。開口部331は、当該3つの第一ガイド部311の両側(X軸方向の両側)に形成された小さな矩形状の開口であり、正極外部端子11a、負極外部端子11b、バスバー400または閉止部材700が配置可能な構成となっている。
【0075】
また、第一配線配置部材301の中央部分には、基板を載置し固定するための複数の突起341が形成されている。本実施の形態では、6つの突起341が形成されているが、第一配線配置部材301には比較的大きさが小さい第一基板510が載置されるため、4つの突起341が使用される。つまり、第一基板510の四隅の貫通孔に4つの突起341が挿入されて、第一基板510が第一配線配置部材301の中央部分に固定される。
【0076】
また、第一配線配置部材301には、蓄電素子200の電極端子に接続された配線を当該電極端子から導く仕切壁351及び352が設けられている。仕切壁351及び352は、蓄電素子200の各電極端子に対応して、当該電極端子が配置される位置と基板が配置される位置との間に配置される開口を形成する壁である。ここで、仕切壁352は、第一配線配置部材301の対向する角部に位置する電極端子に対応して配置されており、仕切壁351は、その角部の電極端子以外の電極端子に対応して配置されている。
【0077】
仕切壁351は、第一配線配置部材301の端部から中央部に向かう方向(Y軸方向)に貫通した開口を形成する壁である。また、仕切壁352は、第一配線配置部材301の角部から中央部に向かう方向(例えばY軸方向から30°傾斜した方向)に貫通した開口を形成する壁である。このような構成により、複数の仕切壁351及び352は、第一配線配置部材301の中心まわりに回転させたときに回転対称(中心に対して点対称)の位置に配置されている。なお、第一ガイド部311(または第二ガイド部312)についても同様に、当該回転対称の位置に配置されている。つまり、第一配線配置部材301は、中心まわりに回転させたときに回転対称(中心に対して点対称)となる構成を有している。
【0078】
また、第一配線配置部材301には、上述した排出部13が設けられている。排出部13は、第一配線配置部材301の第一ガイド部311が配置されていない側の端部に設けられている。この排出部13によって、蓄電素子200のガス排出弁から放出されたガスを蓄電装置1の外方へ排出することができる。
【0079】
また、第二配線配置部材302についても、第一配線配置部材301と同様の構成を有している。つまり、第二配線配置部材302は、第一ガイド部311と同様の構成を有する第二ガイド部312を備えている。また、第二配線配置部材302には、開口部321、331と同様の構成を有する開口部322、332が形成されている。また、第二配線配置部材302には、突起341と同様の構成を有する突起342が形成されている。なお、第二配線配置部材302には第二基板520が載置されるため、第二基板520の6つの貫通孔に6つの突起342が挿入されて、第二基板520が第二配線配置部材302の中央部分に固定される。また、第二配線配置部材302は、仕切壁351及び352と同様の構成を有する仕切壁353及び354を備えている。
【0080】
また、第一ガイド部311は、第一コネクタ保持部材601を第一配線配置部材301に取り付ける際に、第一コネクタ保持部材601を第一配線配置部材301上で位置決めする機能も有している。同様に、第二ガイド部312は、第二コネクタ保持部材602を第二配線配置部材302に取り付ける際に、第二コネクタ保持部材602を第二配線配置部材302上で位置決めする機能も有している。つまり、これら複数のガイド部のうちの一部のガイド部は、コネクタ保持部材を位置決めし、当該複数のガイド部のうちの他の一部のガイド部は、配線の経路を形成する。これについて、以下に詳細に説明する。
【0081】
図7は、本発明の実施の形態に係る配線配置部材300(第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302)に、第一コネクタ保持部材601、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700が取り付けられる構成を示す斜視図である。
【0082】
同図に示すように、コネクタ保持部材600は、配線配置部材300のガイド部に位置決めされて、配線配置部材300に着脱可能に取り付けられる。具体的には、配線配置部材300は、当該ガイド部として第一ガイド部311を有する第一配線配置部材301と、当該ガイド部として第二ガイド部312を有する第二配線配置部材302とを有している。そして、第一コネクタ保持部材601は、第一配線配置部材301の開口部321に挿入され、第一ガイド部311に位置決めされて、第一配線配置部材301に着脱可能に取り付けられる。また、第二コネクタ保持部材602は、第二配線配置部材302の開口部322に挿入され、第二ガイド部312に位置決めされて、第二配線配置部材302に着脱可能に取り付けられる。
【0083】
ここで、第一コネクタ保持部材601は、第一配線配置部材301のY軸方向マイナス側の端部(配線配置部材300のY軸方向マイナス側の端部)の第一ガイド部311に位置決めされる。また、第二コネクタ保持部材602は、第二配線配置部材302のY軸方向プラス側の端部(配線配置部材300のY軸方向プラス側の端部)の第二ガイド部312に位置決めされる。つまり、配線配置部材300は、対向する両端部(Y軸方向の両端部)にガイド部(第一ガイド部311及び第二ガイド部312)が一体に設けられた矩形状の部材であると言える。そして、第一コネクタ保持部材601は、配線配置部材300の一端部(Y軸方向マイナス側の端部)に設けられたガイド部(第一ガイド部311)に位置決めされる。また、第二コネクタ保持部材602は、配線配置部材300の他端部(Y軸方向プラス側の端部)に設けられたガイド部(第二ガイド部312)に位置決めされる。
【0084】
また、第一配線配置部材301のY軸方向プラス側の端部の第一ガイド部311と、第二配線配置部材302のY軸方向マイナス側の端部の第二ガイド部312とは、隣り合う位置に配置される。そして、この隣り合った第一ガイド部311と第二ガイド部312とで、直線状の配線の経路が形成される。このように、第一配線配置部材301と第二配線配置部材302との境界を挟んで対向する第一ガイド部311と第二ガイド部312とによって配線の経路が形成される。
【0085】
また、第一配線配置部材301のY軸方向プラス側の開口部321及び331と、第二配線配置部材302のY軸方向マイナス側の開口部322及び332とは、隣り合う位置に配置される。そして、この隣り合った開口部321及び331と開口部322及び332とに跨って、バスバー400が配置される。
【0086】
また、第二配線配置部材302のY軸方向プラス側の2つの開口部332には、閉止部材700がそれぞれ着脱可能に挿入されて配置される。なお、第一配線配置部材301のY軸方向マイナス側の2つの開口部331には、正極外部端子11aと負極外部端子11bとがそれぞれ挿入されて配置される。つまり、閉止部材700は、正極外部端子11a、負極外部端子11b及びバスバー400が挿入されない開口部331または332を閉止するための部材である。
【0087】
次に、コネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602)の構成について、詳細に説明する。
【0088】
図8は、本発明の実施の形態に係る第一コネクタ保持部材601の構成を示す斜視図である。また、
図9は、本発明の実施の形態に係る第二コネクタ保持部材602の構成を示す斜視図である。
【0089】
まず、
図8に示すように、第一コネクタ保持部材601は、底壁部610と、コネクタ取付部620と、側壁部630とを有している。
【0090】
底壁部610は、第一コネクタ保持部材601の底部に配置される平板状の部位であり、配線配置部材300のガイド部が挿入される矩形状の貫通孔であるガイド部挿入口611が形成されている。つまり、底壁部610のガイド部挿入口611に、第一配線配置部材301の第一ガイド部311が挿入されることで、第一コネクタ保持部材601が第一配線配置部材301に着脱可能に取り付けられる。本実施の形態では、X軸方向に並ぶ3つの第一ガイド部311が有する6つの突出部に対応して、X軸方向に並ぶ6つのガイド部挿入口611が形成されている。なお、本実施の形態では、ガイド部挿入口611には、配線配置部材300の複数のガイド部が挿入されるが、1つのガイド部しか挿入されない構成でもよい。
【0091】
また、コネクタ取付部620は、第一コネクタ保持部材601の前面に配置される矩形状かつ平板状の部位であり、コネクタ910を取り付け可能な矩形状の貫通孔であるコネクタ取付口621が形成されている。つまり、コネクタ取付部620のコネクタ取付口621にコネクタ910が取り付けられることで、第一コネクタ保持部材601にコネクタ910が着脱可能に取り付けられる。本実施の形態では、2つのコネクタ910に対応して、X軸方向に並ぶ2つのコネクタ取付口621が形成されている。
【0092】
また、側壁部630は、コネクタ910に接続された配線を案内する曲面形状の壁部である。つまり、コネクタ910から延びる配線が第一基板510に接続される際に、曲面形状の側壁部630に沿って配線される。
【0093】
なお、コネクタ910には、蓄電装置1の外部の配線が接続されることで、蓄電装置1の内部と外部とが接続される。例えば、コネクタ910は、蓄電装置1の外部の配線からの電気信号を内部の配線へ伝える入力用のコネクタと、蓄電装置1の内部の配線からの電気信号を外部の配線へ伝える出力用のコネクタとを有している。この場合、2つのコネクタ910は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。なお、第一コネクタ保持部材601に1つのコネクタ910しか取り付けられない場合には、コネクタ910が取り付けられないコネクタ取付口621には後述のカバー部材920が取り付けられることにしてもよい。
【0094】
また、
図9に示すように、第二コネクタ保持部材602は、第一コネクタ保持部材601と同様の構成を有している。つまり、第二コネクタ保持部材602は、第一コネクタ保持部材601と同様に、底壁部610と、コネクタ取付部620と、側壁部630とを有している。
【0095】
また、底壁部610には、ガイド部挿入口611が形成されており、ガイド部挿入口611に、第二配線配置部材302の第二ガイド部312が挿入されることで、第二コネクタ保持部材602が第二配線配置部材302に着脱可能に取り付けられる。また、コネクタ取付部620には、コネクタ取付口621が形成されている。なお、本実施の形態では、コネクタ取付口621にはコネクタ910が取り付けられないため、2つのコネクタ取付口621には、2つのカバー部材920がそれぞれ取り付けられる。このように、第二コネクタ保持部材602は、第一コネクタ保持部材601と同一形状であって、コネクタが取り付けられる開口がカバー部材920で閉塞された部材である。
【0096】
次に、配線配置部材300(第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302)上に配置される配線の経路について、詳細に説明する。
【0097】
図10は、本発明の実施の形態に係る配線配置部材300(第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302)上に配置される配線の経路を示す平面図である。具体的には、同図は、
図3に示したモジュール群10から蓋体800を分離した状態を上方(Z軸方向プラス側)から見た場合の平面図である。
【0098】
同図に示すように、2つのコネクタ910に配線911、912が接続され、この配線911、912は、第一コネクタ保持部材601を通って、第一基板510に接続される。この際、配線911、912は、第一ガイド部311の突出部の間、及び、仕切壁351の壁の間を通る。つまり、この場合、第一ガイド部311及び仕切壁351は、配線経路の一部として機能している。ここで、例えば、配線911は入力用の通信用配線、配線912は出力用の通信用配線である。
【0099】
また、単位モジュール11内に配置された蓄電素子200の正極端子220に、接続部材410を介して配線411が接続される。なお、同図では、1つの正極端子220に配線411が接続される構成を示しているが、本実施の形態では、全て(6個)の正極端子220に接続部材410が接続され、それぞれの接続部材410を介して配線411が接続されているものとする。なお、全ての正極端子220に配線411が接続されていることには限定されず、少なくとも1つの正極端子220に配線411が接続されていればよい。ここで、例えば、配線411は電圧測定用配線である。
【0100】
また、負極外部端子11b側の負極端子230に、接続部材420を介して配線421が接続される。つまり、蓄電装置1の電圧を測定するために、正極外部端子11a側の正極端子220のみならず、負極外部端子11b側の負極端子230にも電圧測定用の配線を接続する。つまり、配線421は電圧測定用配線である。
【0101】
そして、単位モジュール11内の全ての配線411と配線421とが束ねられて配線群430を構成する。この配線群430は、X軸方向マイナス側の第一ガイド部311及び第二ガイド部312で形成された配線経路を通って、第二基板520に向かう。また、この際、配線群430は、仕切壁351の壁の間及び仕切壁353の壁の間を通る。つまり、仕切壁351及び353も、配線経路の一部として機能している。
【0102】
また、単位モジュール12内に配置された蓄電素子200の正極端子220にも配線(例えば同図の配線441)が接続されて、配線群430と合流し、束ねられて配線群440を構成する。そして、配線群440は、第二基板520に接続される。
【0103】
また、第二基板520には配線450が接続され、配線450は、X軸方向プラス側の第一ガイド部311及び第二ガイド部312で形成された配線経路を通って、第一基板510と接続される。また、この際、配線群450は、仕切壁351の壁の間及び仕切壁353の壁の間を通る。つまり、この場合も、仕切壁351及び353は、配線経路の一部として機能している。
【0104】
このように、第一ガイド部311及び第二ガイド部312の内側の配線経路には配線430、450が配置されるが、第一ガイド部311及び第二ガイド部312の外側には、バスバー400が配置される。このような構成により、バスバー400(主回路の高電圧部分)と、通信用や計測用の配線(低電圧部分)とを離隔することができる。
【0105】
ここで、仕切壁351及び353は、上面視で略L字形状を有しており、L字の角の部分がR形状の曲面となっている。これにより、仕切壁351及び353が配線経路となる場合に、配線がL字の角に当たって配線が損傷するのを抑制することができる。なお、仕切壁351及び353は、配線経路を形成する部材であることには限定されない。例えば、仕切壁351及び353は、以下の機能も有している。
【0106】
つまり、接続部材410は、先端部が仕切壁351の一対の壁で形成された開口に挿入され、接続部材420は、先端部が仕切壁352の一対の壁で形成された開口に挿入される。この場合、仕切壁351及び352は、接続部材410、420を蓄電素子200の電極端子に取り付ける際に接続部材410、420が回転するのを抑制する機能を有している。ここで、接続部材410及び420は、先端部がL字形状を有している。このため、仕切壁351が形成する開口はY軸方向に貫通しているが、仕切壁352が形成する開口はY軸方向から傾斜した方向に貫通している。仕切壁352が形成する開口がY軸方向に貫通している場合には、配線421が先端部に接続された接続部材420を当該開口に挿入するのが困難だからである。
【0107】
また、第一コネクタ保持部材601は、ガイド部挿入口611に第一ガイド部311が挿入されて位置決めされるが、第一コネクタ保持部材601の先端部(Y軸方向プラス側の端部)が、2つの仕切壁351の間に配置されることによっても位置決めされる。第二コネクタ保持部材602についても同様である。
【0108】
なお、本実施の形態では、単位モジュール11、12は、モジュールケース14への蓄電素子200の収納単位となっている。つまり、単位モジュール11、12には、蓄電素子200が長側面同士を対向させて(正負の電極端子を結ぶ直線に直交する方向に)一列に配列して収納されている。また、単位モジュール11、12は、蓄電素子200の長側面に沿う方向(正負の電極端子を結ぶ直線に沿う方向)に並べて連結される。ここで、単位モジュール同士の電気的な接続は、次の通りである。
図4及び
図10に示すように、まず、単位モジュール11の端の蓄電素子200と単位モジュール12の端の蓄電素子200とが直列接続される。次に、単位モジュール12内の隣り合う蓄電素子200同士が直列接続される。次に、単位モジュール12の当該蓄電素子200と単位モジュール11の蓄電素子200とが直列接続される。次に、単位モジュール11内の隣り合う蓄電素子200同士が直列接続される。これを繰り返して、単位モジュール11及び単位モジュール12の全ての蓄電素子200が直列接続されている。
【0109】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、配線の経路を形成するガイド部(第一ガイド部311及び第二ガイド部312)及び仕切壁351〜354を有する配線配置部材300と、コネクタ保持部材600とを備えており、コネクタ保持部材600は、ガイド部に位置決めされて、配線配置部材300に着脱可能に取り付けられる。言い換えれば、複数のガイド部のうちの一部のガイド部はコネクタ保持部材600を位置決めし、他の一部のガイド部は配線経路を形成する。つまり、ガイド部は、配線の経路を形成する機能と、コネクタ保持部材600を位置決めする機能とを兼ね備えている。このため、ガイド部を形成することで、配線の経路を形成する部位と、コネクタ保持部材600を位置決めする部位との2種類の部位を形成する必要がないため、配線を配置する際の構成を簡素化することができる。
【0110】
また、第一配線配置部材301の第一ガイド部311と、第二配線配置部材302の第二ガイド部312とは、隣り合う位置に配置される。つまり、第一配線配置部材301の第一ガイド部311と、第二配線配置部材302の第二ガイド部312とによって、配線の経路が形成される。このように、2つの配線配置部材のガイド部を隣り合う位置に配置して配線経路を形成することで、別部材を用いることなく、2つの配線配置部材の間に容易に配線を通すことができる。
【0111】
また、第一ガイド部311及び第二ガイド部312は、複数の突出部によって、コネクタ保持部材600を位置決めし、また、配線経路を形成することができる。
【0112】
また、蓄電装置1は、コネクタ910が取り付けられた第一コネクタ保持部材601と、第一コネクタ保持部材601と同一形状の、コネクタ取付口621が閉塞された第二コネクタ保持部材602とを有している。つまり、コネクタを配置しない側にも同一形状のコネクタ保持部材を使用することで、蓄電装置1の構成を簡素化することができる。
【0113】
また、第一コネクタ保持部材601は、配線配置部材300の一端部に設けられたガイド部(第一ガイド部311)に位置決めされ、第二コネクタ保持部材602は、配線配置部材300の他端部に設けられたガイド部(第二ガイド部312)に位置決めされる。つまり、一方のガイド部に第一コネクタ保持部材601を位置決めする機能、他方のガイド部に第二コネクタ保持部材602を位置決めする機能を兼ねさせることで、蓄電装置1の構成を簡素化することができる。
【0114】
また、第一ガイド部311及び第二ガイド部312の先端と蓋体800とが接触又は近接して対向配置されているため、第一ガイド部311及び第二ガイド部312に配置される配線が、第一ガイド部311及び第二ガイド部312を飛び越えて外れることを抑制することができる。
【0115】
また、蓄電素子200の押さえ部材を配線配置部材300として活用することで、蓄電装置1の構成を簡素化することができる。
【0116】
また、コネクタ保持部材600には、ガイド部が挿入される貫通孔であるガイド部挿入口611が形成されているため、容易に、コネクタ保持部材600にガイド部を取り付けることができる。
【0117】
また、コネクタ保持部材600と外装体であるモジュールケース14とは外面が同一平面上に配置されるため、コネクタ保持部材600と当該外装体との外面を覆うカバーを取り付けやすい。
【0118】
また、複数の第一ガイド部311及び仕切壁351、352(または、第二ガイド部312及び仕切壁353、354)が、回転対称の位置に配置されているため、当該ガイド部及び仕切壁が設けられた部材(配線配置部材300)を取り付ける際に、取付方向を間違うのを抑制することができる。
【0119】
また、蓄電素子200に接続された配線が接続される第一基板510と、コネクタ910に接続された配線が接続される第二基板520とが、離隔して配置されている。ここで、蓄電素子200に接続される配線は、電圧測定用配線などの高電圧の配線であり、コネクタ910に接続される配線は、通信用配線(制御用配線)などの低電圧の配線である。このため、低電圧の配線が接続されている第二基板520を、高電圧の配線が接続されている第一基板510から離隔して配置することで、低電圧の配線を高電圧の配線から容易に絶縁することができ、配線を配置する際の構成を簡素化することができる。
【0120】
また、第二基板520を第一基板510と異なる部材に配置することで、低電圧の配線を高電圧の配線からさらに容易に絶縁することができる。
【0121】
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0122】
例えば、上記実施の形態では、配線配置部材300は、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302の2つの部材で構成されていることとしたが、配線配置部材300は、1つの部材で構成されていてもよいし、3つ以上の部材で構成されていてもよい。このような構成においても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。具体的な構成について、以下に説明する。
【0123】
図11は、本発明の実施の形態の変形例1に係る配線配置部材300に、第一コネクタ保持部材601、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700が取り付けられる構成を示す斜視図である。また、
図12は、本発明の実施の形態の変形例2に係る配線配置部材300に、第一コネクタ保持部材601、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700が取り付けられる構成を示す斜視図である。
【0124】
まず、
図11に示すように、配線配置部材300は、第一配線配置部材301の1つの部材を備えており、第一配線配置部材301の両端部に、第一コネクタ保持部材601、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700が取り付けられている。つまり、この場合、蓄電装置1は、1つの単位モジュールしか備えていない。具体的には、第一配線配置部材301の一端部の第一ガイド部311に第一コネクタ保持部材601が位置決めされて着脱可能に取り付けられており、第一配線配置部材301の他端部の第一ガイド部311に第二コネクタ保持部材602が位置決めされて着脱可能に取り付けられる。
【0125】
また、
図12に示すように、配線配置部材300は、第一配線配置部材301、第二配線配置部材302及び第三配線配置部材303の3つの部材を備えており、第一配線配置部材301の端部に、第一コネクタ保持部材601が取り付けられ、第三配線配置部材303の端部に、第二コネクタ保持部材602及び閉止部材700が取り付けられている。つまり、この場合、蓄電装置1は、3つの単位モジュールを備えている。
【0126】
具体的には、第一配線配置部材301のY軸方向マイナス側の端部の第一ガイド部311に、第一コネクタ保持部材601が位置決めされて着脱可能に取り付けられる。また、第三配線配置部材303のY軸方向プラス側の端部の第三ガイド部313に、第二コネクタ保持部材602が位置決めされて着脱可能に取り付けられる。また、第三配線配置部材303のY軸方向プラス側の端部の開口部323、333に、閉止部材700が取り付けられる。
【0127】
また、第二配線配置部材302のY軸方向プラス側の端部の第二ガイド部312と、第三配線配置部材303のY軸方向マイナス側の端部の第三ガイド部313とは、隣り合う位置に配置される。そして、この隣り合った第二ガイド部312と第三ガイド部313とで、直線状の配線の経路が形成される。このように、第三ガイド部313は、上記実施の形態における第一ガイド部311及び第二ガイド部312と同様の機能を有する。
【0128】
また、第二配線配置部材302のY軸方向プラス側の開口部322及び332と、第三配線配置部材303のY軸方向マイナス側の開口部323及び333とは、隣り合う位置に配置される。そして、この隣り合った開口部322及び332と開口部323及び333とに跨って、バスバー400が配置される。
【0129】
以上のように、配線配置部材300は、1つの部材で構成されていてもよいし、3つの部材で構成されていてもよいし、さらに、4つ以上の部材で構成されていてもよい。
【0130】
なお、配線配置部材300が複数の部材で構成される場合、当該複数の部材は、
図12に示すような直線状に配置されることには限定されない。例えば、ガイド部の配置位置を変更したり、バスバーの代わりに配線で接続するなどにより、L字形状、U字形状、O字形状など、配線配置部材300の複数の部材を様々な形に構成することができる。つまり、配線配置部材300が備える各部材は、4方向で他の部材と接続可能とする構成にしてもよい。
【0131】
また、上記実施の形態では、第一配線配置部材301には第一ガイド部311が一体に設けられ、第二配線配置部材302には第二ガイド部312が一体に設けられていることとした。しかし、ガイド部は、第一配線配置部材301または第二配線配置部材302に別体で設けられていることにしてもよい。また、ガイド部は、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302のいずれか一方にしか設けられていない構成でもかまわない。この場合、第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602のうち、当該ガイド部に対応するコネクタ保持部材が当該ガイド部に位置決めされる。
【0132】
また、上記実施の形態では、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302は、別部材であることとした。しかし、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302は、一体化された1つの部材であることにしてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態では、第一ガイド部311と第二ガイド部312とは、隣り合う位置に配置されることとした。しかし、第一ガイド部311と第二ガイド部312とは、隣り合う位置から少しずれた位置に配置されることにしてもよい。
【0134】
また、上記実施の形態では、第一コネクタ保持部材601と第二コネクタ保持部材602とは、同一形状であることとした。しかし、第一コネクタ保持部材601と第二コネクタ保持部材602とは、異なる形状であってもかまわない。
【0135】
また、上記実施の形態では、第二コネクタ保持部材602は、コネクタ取付口621がカバー部材920で閉塞されることとした。しかし、第二コネクタ保持部材602のコネクタ取付口621にはカバー部材920は配置されず、コネクタ取付口621が開口した状態となっていてもかまわない。
【0136】
また、上記実施の形態では、配線配置部材300(第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302)は、蓄電素子200を押さえ込む押さえ部材も兼ねることとした。しかし、配線配置部材300とは別体で、押さえ部材が設けられていてもかまわない。
【0137】
また、上記実施の形態では、コネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602)には、ガイド部(第一ガイド部311及び第二ガイド部312)が挿入される貫通孔であるガイド部挿入口611が形成されていることとした。しかし、コネクタ保持部材600には、ガイド部挿入口611として、切り欠きや凹部が形成されていてもよい。また、ガイド部は、ガイド部挿入口611と係合し、または嵌合することによって、コネクタ保持部材600の位置決めを行うことにしてもよい。
【0138】
また、上記実施の形態では、コネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602)には、貫通孔であるコネクタ取付口621が形成されていることとした。しかし、コネクタ保持部材600には、コネクタ取付口621として、貫通孔でなく切り欠きが形成されていてもよい。
【0139】
また、上記実施の形態では、コネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602)は、外面がモジュールケース14の外面と同一平面上に配置されることとした。しかし、コネクタ保持部材600の外面とモジュールケース14の外面とは、異なる平面上に配置されることにしてもよい。
【0140】
また、例えば、
図7、
図11及び
図12において、配線配置部材300には、第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602が取り付けられることとしたが、第二コネクタ保持部材602が取り付けられない構成でもかまわない。
【0141】
また、上記実施の形態では、配線配置部材300(第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302)は、回転対称の位置に、異なる形状の仕切壁351及び仕切壁352(または仕切壁353及び仕切壁354。以下同様)を有していることとした。しかし、仕切壁351及び仕切壁352は、回転対称の位置に配置されていなくともよい。または、仕切壁351及び仕切壁352は、同じ形状を有していてもよい。この場合、配線配置部材300は、前後左右対称となる形状を有することにしてもよい。または、配線配置部材300は、仕切壁351及び仕切壁352を有していない構成でもかまわない。
【0142】
また、上記実施の形態では、蓄電装置1は、第一基板510と第二基板520とを備えていることとしたが、いずれかの基板を備えていない構成でもかまわない。また、蓄電装置1は、第一基板510と第二基板520とが一体化された1つの基板を備えていてもよい。
【0143】
また、上記実施の形態では、第一基板510及び第二基板520は、異なる部材である第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302にそれぞれ配置されていることとした。しかし、第一基板510及び第二基板520は、ともに、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302のいずれか一方の配線配置部材に配置されていることにしてもよい。また、第一基板510は、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302の双方、または第二配線配置部材302のみに配置されていてもよいし、第二基板520は、第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302の双方、または第一配線配置部材301のみに配置されていてもよい。
【0144】
また、上記実施の形態では、コネクタ保持部材600(第一コネクタ保持部材601及び第二コネクタ保持部材602)は、配線配置部材300(第一配線配置部材301及び第二配線配置部材302)のY軸方向の両端部に配置されることとした。しかし、コネクタ保持部材600は、配線配置部材300のX軸方向の両端部に配置されていてもよいし、端部ではなく中央部に配置されていてもよい。