特許第6927175号(P6927175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927175
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】作物引抜機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/04 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
   A01D27/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-163596(P2018-163596)
(22)【出願日】2018年8月31日
(65)【公開番号】特開2020-31613(P2020-31613A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−227056(JP,A)
【文献】 特開2000−316344(JP,A)
【文献】 特開平09−252621(JP,A)
【文献】 特開平08−056445(JP,A)
【文献】 特開平11−346523(JP,A)
【文献】 特開平07−008055(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第107820830(CN,A)
【文献】 特開平09−163842(JP,A)
【文献】 特開2015−008644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D13/00−33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
根菜類の茎葉を挟持して引き抜く引抜搬送装置(4)と、該引抜搬送装置(4)の下方で引き抜く根菜類の肩位置を揃える肩揃え装置(40)と、該肩揃え装置(40)の後部で茎葉先端を切り落とす茎葉切断装置(5)を設けた作物引抜機において、
圃場面に広がる収穫物の下葉をまとめて前記引抜搬送装置(4)に渡す、左右の相込み装置(8,8)及びその前側の左右の引起装置(9,9)を設け、前記引抜搬送装置(4)の前部に、前記左右の相込み装置(8,8)と、その前側の左右の引起装置(9,9)の下方に位置する肩部挟み込み装置(4Z)を設け、根菜類の茎葉部より下方を挟持して引き抜く構成とし、
前記肩部挟み込み装置(4Z)の前端部は、前記左右の相込み装置(8,8)より前側に配置し、前記引抜搬送装置(4)に、茎葉部を挟持して作物を引き抜き搬送する左右の第一搬送部材(4a,4a)を設け、前記肩部挟み込み装置(4Z)に、茎葉部より下方を挟持して引き抜き搬送する左右の第二搬送部材(4Za,4Za)を設け、前記左右の第一搬送部材(4a,4a)より前記左右の第二搬送部材(4Za,4Za)は軟質であることを特徴とする作物引抜機。
【請求項2】
前記肩部挟み込み装置(4Z)は、前記引抜搬送装置(4)前端部の駆動プーリ(4k)から動力を伝達され、前記肩部挟み込み装置(4Z)の搬送方向下手側に向かって、挟持幅が狭くなることを特徴とする請求項1に記載の作物引抜機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する根菜類を少し引き抜いて茎葉の先端を切り落とす作業を行う歩行型の作物引抜機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型の作物引抜機は、下記特許文献1に記載されている。
【0003】
この歩行型の作物引抜機は、作物の茎葉部を引抜装置で挟持して機体の走行に伴って持ち上げて根部を圃場から引き抜き、肩揃え装置で根菜類の肩(へた)高さを揃えて茎葉部切断装置で茎葉の先端を切り落として根部を圃場に残す作業を行い、後作業で作業者が根菜類の茎葉部を持って抜き易くなった根部を軽い力で引き抜き、収穫出来るようにする。
【0004】
前記肩揃え装置は、左右に設けるベルト支持フレームのそれぞれ前後に軸支した前後プーリに左右一対の挟みベルトを引抜装置が挟持した茎葉の通過間隔を持たせて張設し、左右挟みベルトの内側を受けるガイドプーリを挟持茎葉の量に合わせて移動して、通過間隔が狭過ぎて引抜装置での茎葉部持ち上げが出来なかったり、広過ぎて根部の持ち上げ過ぎで根菜類の肩が損傷したりするのを防ぐために、適正な通過間隔に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−214199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の通過間隔を調整するガイドプーリは、軸支する調整フレームのベルト支持フレームへの取付に長穴を設けボルトで左右位置を変更可能に固定する構成が考えられるが、あまり長い長穴は調整フレームの強度を低下させ、調整フレームの前後に設ける複数取付長穴の固定位置を左右均等にして左右ガイドプーリの位置を調整することは難しく、調整作業に手間取る。通過間隔調整が適切でないと、根菜類の肩が挟みベルトやガイドプーリに当たり損傷して、根菜類の商品価値を低下することがある。
【0007】
本発明は、引抜装置で茎葉を挟持して肩揃え装置で根菜類の肩位置を揃えて茎葉部切断装置で茎葉の先端部を切除する歩行型の作物引抜機において、肩揃え装置を改良して根菜類の肩を傷つけず適正な茎葉を残した状態で根菜類を圃場に抜き置き出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0009】
請求項1の発明は、根菜類の茎葉を挟持して引き抜く引抜搬送装置(4)と、該引抜搬送装置(4)の下方で引き抜く根菜類の肩位置を揃える肩揃え装置(40)と、該肩揃え装置(40)の後部で茎葉先端を切り落とす茎葉切断装置(5)を設けた作物引抜機において、
圃場面に広がる収穫物の下葉をまとめて前記引抜搬送装置(4)に渡す、左右の相込み装置(8,8)及びその前側の左右の引起装置(9,9)を設け、前記引抜搬送装置(4)の前部に、前記左右の相込み装置(8,8)と、その前側の左右の引起装置(9,9)の下方に位置する肩部挟み込み装置(4Z)を設け、根菜類の茎葉部より下方を挟持して引き抜く構成とし、前記肩部挟み込み装置(4Z)の前端部は、前記左右の相込み装置(8,8)より前側に配置し、前記引抜搬送装置(4)に、茎葉部を挟持して作物を引き抜き搬送する左右の第一搬送部材(4a,4a)を設け、前記肩部挟み込み装置(4Z)に、茎葉部より下方を挟持して引き抜き搬送する左右の第二搬送部材(4Za,4Za)を設け、前記左右の第一搬送部材(4a,4a)より前記左右の第二搬送部材(4Za,4Za)は軟質であることを特徴とする作物引抜機とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記肩部挟み込み装置(4Z)は、前記引抜搬送装置(4)前端部の駆動プーリ(4k)から動力を伝達され、前記肩部挟み込み装置(4Z)の搬送方向下手側に向かって、挟持幅が狭くなることを特徴とする請求項1に記載の作物引抜機とする。
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【発明の効果】
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
請求項の発明で、右の相込み装置8,8及びその前側の左右の引起装置9,9の下方に位置する肩部挟み込み装置4Zを設け、根菜類の茎葉部より下方を挟持して引き抜き搬送することで、引き抜き中に茎葉が切れることを防ぐことができる。
【0016】
また、品種や形状が異なる根菜類の引き抜き搬送を容易に行えることができる。
【0017】
また、茎葉部を挟持して作物を引き抜き搬送する左右の第一搬送部材4a,4aと肩部挟み込み装置4Zに、茎葉部より下方を挟持して引き抜き搬送する左右の第二搬送部材4Za,4Zaを設け、左右の第一搬送部材4a,4aより左右の第二搬送部材4Za,4Zaは軟質であることで、茎葉部より下方の根菜部分を傷つけを防止することができる。
【0018】
請求項の発明で、請求項1の効果に加えて肩部挟み込み装置(4Z)の搬送方向下手側に向かって、挟持幅が狭くなることで、引き抜き力が強くなるため、安定した姿勢で引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例の歩行型の作物引抜機の右側面図である。
図2】同歩行型の作物引抜機の平面図である。
図3】同歩行型の作物引抜機の正面図である。
図4】同歩行型の作物引抜機の肩揃え装置の平面図である。
図5】同歩行型の作物引抜機の調整ブラケットの一部拡大平面図である。
図6】同歩行型の作物引抜機のベルト支持フレームの取付穴拡大平面図である。
図7】同歩行型の作物引抜機の前プーリの側面図である。
図8】本発明の別実施例の歩行型の作物引抜機の前プーリの側面図である。
図9】本発明の一実施例の歩行型の作物引抜機のソイラ取付部の拡大側面図である。
図10】同歩行型の作物引抜機のソイラ取付部の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。なお、実施例の説明においては、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後というが、本発明の構成を限定するものでは無い。
【0021】
本発明に掛る実施形態のダイコン等の根菜類収穫用の歩行型作物引抜機1は、駆動走行輪2a,2aとゲージ輪35とによって機体フレーム22を圃場走行可能に構成する。
【0022】
機体には、エンジン3aを一体に装着してエンジン動力を変速出力する動力伝動装置3、及び作業機器として圃場から大根等の作物の根部を半ばまで引抜く引抜搬送装置4と、この引抜搬送装置4の下方の肩揃え装置40と茎葉切断装置5と、切断先端茎葉を機体の右側方へ案内排出する排葉ガイド6等を装着し、引抜搬送装置4の前端部には、上下回動支持部7を介して左右の相込み装置8,8及びその前側の左右の引起装置9,9を上下回動可能に支持することにより、圃場面に広がる下葉をまとめて引抜搬送装置4に渡し、肩揃え装置40で作物の肩を一定高さに維持しながら引き抜いた作物の茎葉部の先端を茎葉切断装置5で切り落として圃場に根部を起立状態に放置する。後作業で、作業者が起立した根菜類の茎葉部を持って収穫する。
【0023】
動力伝動装置3は、走行伝動ケース3bを介して車高調節可能に駆動走行輪2a,2aに伝動し、また、動力伝動装置3から引抜搬送装置4と茎葉切断装置5に伝動するとともに、引抜搬送装置4の左側方に中継伝動ケース10と入力軸11を設けてその前方の掻込装置8を介して左右の掻込装置8,8および左右の引起装置9,9を一括駆動することにより、伝動系の簡潔化を図っている。左側駆動走行輪2aは、トレッド変更ハンドル42の回動で伸縮する走行伝動軸43に設ける左側走行伝動ケース3bに支持され、畝溝の幅に合わせて左右に移動する。
【0024】
ゲージ輪35は、機体フレーム22の右前部に後傾斜して設ける支持筒36に設け、機体フレーム22後部の高さ調整ハンドル38に連動した調整軸37の回転でゲージ輪35が上下して機体フレーム22の前部を昇降する。
【0025】
(引抜搬送装置)
引抜搬送装置4は、左右の対向周回ベルト4a,4aを左右の周回支持フレーム4b,4bに軸支する複数のプーリに周回支持し、周回ベルト4a,4aの対向間に茎葉部を挟持して作物を所定高さまで引上げる挟持搬送機構を後ろ上がりに構成し、後端部に切断茎葉を機体の右側方に案内排出する排葉ガイド6を備え、その下方に肩揃え装置40、回転刃5bとタッピング部5cからなる茎葉切断装置5を設ける。
【0026】
引抜搬送装置4の終端部における切断茎葉の排出のために、エンジン3aの前側で動力伝動装置3の上方を排葉空間として確保し、また、茎葉切断装置5における滞留を防止するために、動力伝動装置3の直下にタッピング部5cの後端部を臨ませて構成する。
【0027】
(肩揃え装置)
肩揃え装置40は、図4に示す如く、引抜搬送装置4の下側で左右にベルト支持フレーム15,15を機体フレーム22に取り付け、このベルト支持フレーム15,15のそれぞれ前後上側に挟みベルト18を巻き掛ける前後プーリ16,17を軸支し、挟みベルト18の周回内側を外側のテンションプーリ22と内側の二個のガイドプーリ20a,20bで張圧している。
【0028】
二個のガイドプーリ20a,20bは、内外に調整可能な調整ブラケット19に軸支して、左右の挟みベルト18の外周面で通過間隔を形成している。図5に示すように、調整ブラケット19は前後二か所を調整ブラケット19を貫通するボルト25でベルト支持フレーム15側の三個の取付穴23a,23b,23cのどれかに通して固定する。三個の取付穴23a,23b,23cは並び方向を左右方向に対して前後に傾けているので、ガイドプーリ20a,20bが横に押されてもボルト25が穴の円弧部に掛って移動しない。また、三個の取付穴23a,23b,23cは、図6に示すように、一部が重なって開けられ、ボルト25を外すことなく調整ブラケット19を内外横方向に移動可能である。
【0029】
また、図7の如く、挟みベルト18を巻き掛けた前プーリ17の下プーリ片17aの下面に外径が前プーリ17の外径より大きなゴムやスポンジ材の軟質円盤27を張り付け、根菜類の肩が直接下プーリ片17aに当たって損傷するのを防いでいる。なお、下プーリ片17aの外周縁に丸みを持たせたり丸い膨らみを持たせたり、図8の如く前プーリ16の下プーリ片16aの外周縁16asを先に向かって傾斜させることで根菜類の肩から遠ざけても良い。
【0030】
(上下回動支持部)
上下回動支持部7は、図1に示すように、引抜搬送装置4の左右の周回支持フレーム4b,4bにその搬送域を跨いで連結補強部材7cを取付け、左右の掻込装置8,8の背面に取付けた左右の上下回動アーム8c,8cの後端を連結補強部材7cの左右の基部に軸支する。左右の上下回動アーム8c,8cは、引抜搬送装置4の全幅内で上下回動可能に構成すると共に、これら左右の上下回動アーム8c,8cを一体に連結する連結部材8dを茎葉部の搬送域を跨いで構成する。
【0031】
また、連結補強部材7cの上部でハンドル7bの操作その他によって前後動作可能な、またはコンパクトな伸縮式構成の上下調節アクチュエータ7aを回動可能に支持し、この上下調節アクチュエータ7aを連結部材8dと連結して左右の掻込装置8,8の保持高さを調節可能に、引抜搬送装置4の搬送域の左側方に構成する。
【0032】
上記構成の上下回動支持部7は、茎葉搬送域を跨ぐ連結部材8dによって左右の上下回動アーム8c,8cを一体連結することにより、茎葉搬送域を確保しつつ、引抜搬送装置4や掻込装置8,8の剛性確保によって耐久性の向上を図ることができる。また、上下調節アクチュエータ7aを引抜搬送装置4の搬送域の左側方に配置することにより、茎葉部の搬送域が確保されるので、茎葉部の挟み込みによる上下調節アクチュエータ7aの破損を防止することができる。
【0033】
(スライド支持部)
上下調節アクチュエータ7aは、スライド支持部材7dによって前後移動可能に支持するとともに、左右の掻込装置8,8の下降限度を定める移動規制部材7eを連結補強部材7cに設ける。
【0034】
このように上下調節アクチュエータ7aをスライド支持することにより、左右の引起装置9,9または左右の掻込装置8,8が圃場の凸部等によって押上げられると、スライド支持部材7dによって前後移動することから、押上げによる負荷が上下調節アクチュエータ7aに作用することが防止される。
【0035】
また、スライド支持部材7dの移動規制部材7eにより、左右の掻込装置8,8の保持高さが下降限度内に規制されることから、圃場の凸部の通過後において、引起装置9,9や掻込装置8,8の過大な下降による破損を防止することができる。
【0036】
(引起装置と掻込装置)
機体前端部の左右の引起装置9,9は、機体前方に突出して作物の茎葉部を引起す引起部材である複数のラグ9a,…を周回支持部9bによってそれぞれ周回可能に支持し、また、左右の引起装置9,9の後に続く左右の掻込装置8,8は、機体側方に突出して作物の茎葉部を掻込む掻込部材である複数のラグ8a,…を周回支持部8bによってそれぞれ周回可能に支持する。
【0037】
左右の引起装置9,9と左右の掻込装置8,8は、異なる長さのラグを備え、引起装置9には、分草性の向上と掻込装置8に近接して引継ぎのために、短くて腰の強いタイプで前後長を短く形成し、掻込装置8には、作物に触れても傷を付けないように長く腰の弱いラグを用いる。左右の引起装置9,9それぞれの周回支持部9bの内面壁は、途切れることなく延ばして左右それぞれ掻込装置8,8と連結する。
【0038】
左右の引起装置9,9および左右の掻込装置8,8の伝動は、左右それぞれの側について前後伝動ケース12を設けて前後に伝動連結し、また、左右の引起装置9,9の上部を互いに伝動連結する引起連結ケース13を設けて左右一体に連結構成して左右の掻込装置8,8と左右の引起装置9,9とを一体に構成する。
【0039】
また、左右の掻込装置8,8の一方の背面側に、引抜搬送装置4の片側方の中継伝動ケース10から上下位置可変に伝動する入力軸11を介して伝動し、この入力軸11を介して左右の掻込装置8,8および左右の引起装置9,9に一括伝動する。
【0040】
上記構成の伝動系により、左右一側の掻込装置8及び引起装置9から機体前端部の引起連結ケース13を経由して左右他側の掻込装置8及び引起装置9に至る簡潔な伝動構成によって茎葉部の引起しと掻込みができるので、部品点数の削減による軽量化およびメンテナンス性が向上する。
【0041】
また、引抜搬送装置4の片側方の中継伝動ケース10から入力軸11が機体側方に突出することなく同側配置の掻込装置8の背面側に上下位置可変に伝動することができるので、機体の左右幅のコンパクト化が可能となる。また、右側の掻込装置8の後面部にゲージ輪35を隠すように配置することにより、機体幅を低減することができる。
【0042】
左右の引起装置9,9は、上部間を引起連結ケース13によって互いに伝動連結することにより、左右の引起装置9,9が茎葉部を引起しつつ、その高さの範囲内で茎葉通過域が確保され、掻込装置8が茎葉部を左右から掻込んで引抜搬送装置4に至ることから、確実な引抜きによって効率よく引抜き走行することができる。
【0043】
中継伝動ケース10および上下調節アクチュエータ7aは、排葉ガイド6の排出方向の逆側に配置することにより、排出された茎葉部が風等によって飛び散っても引っ掛かりにくくなるので、茎葉部の除去作業が低減されて作業能率を向上することができる。また、中継伝動ケース10は、チェーンケースのスプロケット交換によって引起しの速度変更が可能となり、また、外側に動力の出力軸を設けることにより、PTOとして使用することができ、外装カバーは切欠きを形成することにより、着脱性を確保することができる。
【0044】
また、左右の掻込装置8,8と左右の引起装置9,9を左右それぞれの側で伝動連結する左右の前後伝動ケース12,12は、左右の掻込部材8a,8aの外側端間W1の範囲内に構成するとともに、左右の掻込装置8,8の機体左右方向の突出量を抑えることによって機体幅を抑えることができるので、収穫中の作物条に隣接する作物との接触を防止することができるので、接触の傷による作物の商品価値の低下を防止することができる。
【0045】
また、左右の前後伝動ケース12,12に内設の伝動軸は、左右の引起装置9,9の伝動軸に差込式に構成することにより、メンテナンス性を確保することができる。
【0046】
左右の掻込装置8,8は、左右の引起装置9,9の内側端間W2を避けて左右の掻込部材8a,8aの周回支持部8b,8bを配置することにより、作物が掻込装置8,8に接触することがないので、接触の傷による作物の商品価値の低下を防止することができる。
【0047】
また、左右の掻込部材8a,8aを左右に離間することにより、左右の掻込部材8a,8aによる作物の挟み込みを防止できるので、挟み込みの傷による作物の商品価値の低下を防止することができる。
【0048】
(ソイラ)
引抜搬送装置4の先端右側には、機体フレーム22から圃場面に突き刺して走行に伴って根菜類の根近くを解して引き抜き易くするソイラ30を設けている。
【0049】
図9図10に示すように、ソイラ取付ブラケット31は直刃状のソイラ30を下から差し込むソイラ取付部31aを有し、機体フレーム22の水平下面22aにボルト41で取り付け、さらに機体フレーム22の垂直側面22bにボルト42に取り付けて、ソイラ30に加わる圃場からの反力を機体フレーム22の水平下面22aと垂直側面22bで受けるようにしている。ソイラ取付部31aは上下に複数の取付穴34a,34b,34cとバネ33で差し込み付勢するロックピン32を設け、ソイラ30の土中差し込み深さを変更出来、ソイラ30を使用しない場合には後方からソイラ取付部31aに差し込んで水平に保持できるようにしている。また、ソイラ取付ブラケット31の側面は後方に傾斜して、側面視でソイラ30の一部が見えて収納されていることを確認出来るようにしている。
【0050】
図1図3に示す肩部挟み込み装置4Zついて説明する。
【0051】
根菜類の茎葉部より下方の肩部を掴む肩部挟み込み装置4Zを引抜搬送装置4の搬送方向上手側の下方に固定されている。また、肩部挟み込み装置4Zは、引抜搬送装置4の前部に、左右の相込み装置8,8及びその前側の左右の引起装置9,9の下方で且つ、左右の相込み装置8,8より前側に配置している。
【0052】
肩部挟み込み装置4Zには、肩部を掴む左右のベルト4Za,4Zaが設けられている。この左右のベルトの表面は、軟質のスポンジゴムとし、根菜類の肩部をしっかりと把持することができる。
【0053】
また、肩部挟み込み装置4Zの動力の入力は、引抜搬送装置4のプーリ4kから入力されている。肩部挟み込み装置4Zと引抜搬送装置4の速度は同じ速度とした。また、肩部挟み込み装置4Zとプーリ4kはユニバーサルジョイントで連結している。尚、肩部挟み込み装置4Zの引き抜き角度は引抜搬送装置4より垂直方向に角度をつけている。よって垂直方向の引き抜き力が上がる。
【0054】
また、肩部を掴む左右のベルト4Za,4Zaの隙間は根菜類の径よりも小さい(約20mm〜30mm)とする。
【0055】
肩部挟み込み装置4Zは搬送方向上手から下手に掛けて隙間が狭くなり下手側に行くにしたがって引き抜き力が強くすることができる。また、肩部挟み込み装置4Z根菜類の肩部を把持しながら茎葉を引抜搬送装置4で掴むため、収穫物を安定した姿勢で搬送することができる。
【0056】
また、肩部を挟む左右のベルト4Za,4Zaの太さはヘタを切る高さ以下とする。
【0057】
また、引抜搬送装置4の前部が左右の相込み装置8,8及びその前側の左右の引起装置9,9の下方に位置する構成としても良い。
【0058】
上述した構成により、根菜類の茎葉を挟持すると共に、茎葉部より下方の肩部も支持して引き抜き搬送することで、安定した姿勢で根菜類を引き抜くことが出来るため、引き抜き中に茎葉が切れたり収穫物が折れて商品にならないことを防止する。
【符号の説明】
【0059】
4 引抜搬送装置
4a,4a 左右の第一搬送部材
4Z 肩部挟み込み装置
4Za,4Za 左右の第二搬送部材
4k 前端部の駆動プーリ
5 茎葉切断装置
8,8 左右の相込み装置
9,9 左右の引起装置
40 肩揃え装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10