特許第6927223号(P6927223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927223
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20210812BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20210812BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20210812BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20210812BHJP
   H02K 11/225 20160101ALI20210812BHJP
【FI】
   F04C2/10 321B
   F04C2/10 341G
   F04C15/00 H
   H02K9/19 Z
   H02K7/14 B
   H02K11/225
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-533454(P2018-533454)
(86)(22)【出願日】2017年8月7日
(86)【国際出願番号】JP2017028600
(87)【国際公開番号】WO2018030345
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2020年7月27日
(31)【優先権主張番号】62/372411
(32)【優先日】2016年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/402027
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/439201
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】特願2017-71397(P2017-71397)
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 康夫
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
【審査官】 大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/033015(WO,A1)
【文献】 特開2011−033148(JP,A)
【文献】 実開昭62−029487(JP,U)
【文献】 特開2004−218521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10、15/00
H02K 7/14、9/19、11/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる中心軸に沿って配置されるモータシャフトおよび前記モータシャフトに固定されるロータコアを有するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを収容するとともにオイルを貯留可能な収容部を有するハウジングと、
前記モータシャフトを介して駆動されるポンプ部と、
を備え、
前記ポンプ部は、
前記モータシャフトの軸方向一方側の端部に固定される外歯歯車と、
前記外歯歯車の径方向外側を囲み、前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、
前記内歯歯車および前記外歯歯車を収容するポンプ室と、
前記ポンプ室内にオイルを吸入可能な吸入口と、
前記ポンプ室内からオイルを吐出可能な吐出口と、
を有し、
前記ハウジングは、
前記ポンプ室が設けられ、前記モータシャフトの軸方向一方側を覆う外蓋部と、
前記外蓋部に設けられ、前記吐出口と繋がる第1油路と、
を有し、
前記モータシャフトは、
前記モータシャフトの内部に設けられ、前記第1油路と繋がる第2油路と、
前記第2油路と前記モータシャフトの外周面とを繋ぐ第1貫通孔と、
を有し、
前記第1油路は、前記ポンプ室の軸方向一方側に配置され、
前記第2油路は、前記モータシャフトの軸方向一方側の端部において前記第1油路に開口
前記モータシャフトは、
前記ロータコアが固定されるモータシャフト本体と、
前記モータシャフト本体の軸方向一方側に固定され、前記外歯歯車が固定される取付部材と、
を有し、
前記モータシャフト本体は、前記モータシャフト本体の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に延びる穴部を有し、
前記取付部材は、前記穴部に嵌め合わされて固定され、軸方向両側に開口する筒状であり、
前記第2油路は、前記取付部材の内部と前記穴部とが軸方向に繋がって構成され、前記取付部材の内部を介して前記第1油路と繋がる、駆動装置。
【請求項2】
前記外蓋部は、
径方向に拡がる外蓋本体部と、
前記外蓋本体部に固定される栓体部と、
を有し、
前記外蓋本体部は、
前記外蓋本体部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第1凹部と、
前記第1凹部の底面から前記ハウジングの内部まで貫通し、前記取付部材が通される第2貫通孔と、
を有し、
前記栓体部は、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を閉塞し、
前記ポンプ室は、前記栓体部の軸方向他方側の面と前記第1凹部の底面との軸方向の間に設けられる、請求項に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1油路は、前記栓体部に設けられる、請求項に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記取付部材は、
前記穴部に嵌め合わされる嵌合部と、
前記嵌合部の軸方向一方側に位置する固定部と、
を有し、
前記固定部の外径は、前記嵌合部の外径よりも大きく、
前記外歯歯車は、前記固定部の径方向外側面に固定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記嵌合部の少なくとも一部は、前記第2貫通孔に挿入される、請求項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ロータの回転を検出する回転検出部をさらに備え、
前記回転検出部は、
前記モータシャフトに嵌め合わされて固定される環状の被検出部と、
前記被検出部の回転を検出するセンサ部と、
を有し、
前記被検出部は、前記取付部材と径方向に重なる、請求項からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、
前記モータシャフトを回転可能に支持するベアリングを保持し、前記ステータの軸方向一方側を覆う内蓋部と、
前記収容部の鉛直方向下側領域と前記吸入口とを繋ぐ第3油路と、
を有し、
前記外蓋部は、前記内蓋部の軸方向一方側に取り付けられ、
前記第3油路の少なくとも一部は、前記内蓋部と前記外蓋部との軸方向の間に配置される、請求項からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ロータの回転を検出する回転検出部をさらに備え、
前記回転検出部は、
前記モータシャフトに嵌め合わされて固定される環状の被検出部と、
前記被検出部の回転を検出するセンサ部と、
を有し、
前記内蓋部は、前記内蓋部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第2凹部を有し、
前記センサ部は、前記第2凹部内に配置され、
前記被検出部は、前記取付部材と径方向に重なる、請求項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ポンプ部は、前記ポンプ室の鉛直方向下側領域の軸方向一方側において前記ポンプ室と繋がる貯留部を有し、
前記吸入口は、前記貯留部の鉛直方向下側の端部よりも鉛直方向上側、かつ、前記外歯歯車の鉛直方向下側の端部よりも鉛直方向上側に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータおよびロータ等の潤滑および冷却のための潤滑用流体を貯留するケースを備える回転電機が知られる。例えば、特許文献1では、車両に搭載される回転電機が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−055728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような回転電機には、ケースに貯留されるオイルを吸い上げるポンプ部が設けられる場合がある。ポンプ部によってオイルを吸い上げて、例えばロータおよびステータにオイルを供給することで、ロータおよびステータを冷却することができる。この場合において、回転電機のシャフト内に油路を設けて、ポンプ部によってオイルをシャフト内の油路に送り、シャフト内の油路からオイルをステータ等に供給することが考えられる。しかし、この場合、シャフト内の油路までオイルを送るための油路の全長が長くなる場合があり、シャフト内の油路へとオイルを十分に送れない場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータシャフトの内部に設けられる第2油路へとオイルを送りやすい構造を有する駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、一方向に延びる中心軸に沿って配置されるモータシャフトおよび前記モータシャフトに固定されるロータコアを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、前記ロータおよび前記ステータを収容するとともにオイルを貯留可能な収容部を有するハウジングと、前記モータシャフトを介して駆動されるポンプ部と、を備え、前記ポンプ部は、前記モータシャフトの軸方向一方側の端部に固定される外歯歯車と、前記外歯歯車の径方向外側を囲み、前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、前記内歯歯車および前記外歯歯車を収容するポンプ室と、前記ポンプ室内にオイルを吸入可能な吸入口と、前記ポンプ室内からオイルを吐出可能な吐出口と、を有し、前記ハウジングは、前記ポンプ室が設けられ、前記モータシャフトの軸方向一方側を覆う外蓋部と、前記外蓋部に設けられ、前記吐出口と繋がる第1油路と、を有し、前記モータシャフトは、前記モータシャフトの内部に設けられ、前記第1油路と繋がる第2油路と、前記第2油路と前記モータシャフトの外周面とを繋ぐ第1貫通孔と、を有し、前記第1油路は、前記ポンプ室の軸方向一方側に配置され、前記第2油路は、前記モータシャフトの軸方向一方側の端部において前記第1油路に開口前記モータシャフトは、前記ロータコアが固定されるモータシャフト本体と、前記モータシャフト本体の軸方向一方側に固定され、前記外歯歯車が固定される取付部材と、を有し、前記モータシャフト本体は、前記モータシャフト本体の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に延びる穴部を有し、前記取付部材は、前記穴部に嵌め合わされて固定され、軸方向両側に開口する筒状であり、前記第2油路は、前記取付部材の内部と前記穴部とが軸方向に繋がって構成され、前記取付部材の内部を介して前記第1油路と繋がる
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、モータシャフトの内部に設けられる第2油路へとオイルを送りやすい構造を有する駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のポンプ部を軸方向他方側から視た図である。
図3図3は、本実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図に示すZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする鉛直方向Zである。本実施形態では、鉛直方向Zは、各図の上下方向である。以下の説明においては、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の駆動装置1は、ハウジング10と、一方向に延びる中心軸J1に沿って配置されるモータシャフト20aを有するロータ20と、回転検出部80と、ステータ30と、ポンプ部40と、ベアリング70,71と、を備える。
【0011】
中心軸J1は、図1の左右方向に延びる。すなわち、本実施形態においては、図1の左右方向が一方向に相当する。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、軸方向のうち図1の左側を、「軸方向一方側」と呼び、軸方向のうち図1の右側を、「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0012】
ハウジング10は、本体部11と、内蓋部12と、外蓋部13と、を有する。本実施形態において本体部11と内蓋部12と外蓋部13とは、互いに別部材である。本体部11は、軸方向一方側に開口する有底の筒状である。本体部11は、底部11aと、本体筒部11bと、ベアリング保持部11cと、を有する。底部11aは、径方向に拡がる円環板状である。本体筒部11bは、底部11aの径方向外縁部から軸方向一方側に延びる円筒状である。ベアリング保持部11cは、底部11aの内縁部から軸方向一方側に突出する円筒状である。ベアリング保持部11cは、内周面にベアリング71を保持する。
【0013】
内蓋部12は、本体部11の軸方向一方側に取り付けられる。内蓋部12は、円環板部12aと、外筒部12bと、内筒部12cと、内筒底部12dと、ベアリング保持部12eと、を有する。円環板部12aは、径方向に拡がる円環板状である。円環板部12aは、ステータ30の軸方向一方側を覆う。すなわち、内蓋部12は、ステータ30の軸方向一方側を覆う。円環板部12aの下側の端部には、円環板部12aを軸方向に貫通する開口部12fが設けられる。開口部12fは、後述する収容部14に露出する。
【0014】
外筒部12bは、円環板部12aの径方向外縁部から軸方向他方側に延びる円筒状である。外筒部12bの軸方向他方側の端部は、本体筒部11bの軸方向一方側の端部と接触して固定される。内筒部12cは、円環板部12aの径方向内縁部から軸方向他方側に延びる円筒状である。内筒底部12dは、内筒部12cの軸方向他方側の端部から径方向内側に拡がる円環状である。内筒部12cと内筒底部12dとによって、内蓋部12には、内蓋部12の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第2凹部12gが設けられる。すなわち、内蓋部12は、第2凹部12gを有する。内蓋部12の軸方向一方側の面とは、本実施形態では円環板部12aの軸方向一方側の面である。第2凹部12gの内側面は、内筒部12cの径方向内側面と内筒底部12dの軸方向一方側の面とを含む。
【0015】
ベアリング保持部12eは、内筒底部12dの軸方向他方側の面から軸方向他方側に突出する円筒状である。ベアリング保持部12eは、内周面にベアリング70を保持する。すなわち、内蓋部12は、ベアリング70を保持する。
【0016】

本体部11と内蓋部12とが互いに固定されることで、本体部11と内蓋部12とによって囲まれた収容部14が構成される。すなわち、ハウジング10は、収容部14を有する。収容部14は、ロータ20およびステータ30を収容するとともにオイルOを貯留可能である。オイルOは、収容部14の鉛直方向下側領域に貯留される。本明細書において「収容部の鉛直方向下側領域」とは、収容部の鉛直方向Zの中心よりも下側に位置する部分を含む。
【0017】
本実施形態において収容部14に貯留されるオイルOの液面OSは、開口部12fよりも上側に位置する。これにより、開口部12fは、収容部14に貯留されるオイルOに露出する。オイルOの液面OSは、ポンプ部40によってオイルOが吸い上げられることで変動するが、少なくともロータ20の回転時において、ロータ20よりも下側に配置される。これにより、ロータ20が回転する際に、オイルOがロータ20の回転抵抗となることを抑制できる。
【0018】
外蓋部13は、内蓋部12の軸方向一方側に取り付けられる。外蓋部13は、外蓋本体部13aと、栓体部13bと、を有する。外蓋本体部13aは、径方向に拡がる。外蓋本体部13aは、蓋板部13cと、突出部13dと、を有する。蓋板部13cは、径方向に拡がる円板状である。蓋板部13cの径方向外縁部は、円環板部12aの径方向外縁部に固定される。蓋板部13cの軸方向他方側の面は、円環板部12aの軸方向一方側の面と接触する。突出部13dは、蓋板部13cの中央部から軸方向他方側に突出する。突出部13dは、内筒部12cに軸方向一方側から挿入される。突出部13dは、内筒底部12dの軸方向一方側に間隔を空けて配置される。
【0019】
外蓋本体部13aは、第1凹部13eと、第2貫通孔13fと、を有する。第1凹部13eは、外蓋本体部13aの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む。第1凹部13eは、外蓋本体部13aの中央部に設けられ、蓋板部13cと突出部13dとに跨って設けられる。第2貫通孔13fは、第1凹部13eの底面から突出部13dの軸方向他方側の面まで貫通する。すなわち、第2貫通孔13fは、第1凹部13eの底面からハウジング10の内部まで貫通する。第2貫通孔13fは、第2凹部12gの内部に開口する。これにより、第2貫通孔13fは、第1凹部13eの内部と第2凹部12gの内部とを繋ぐ。第2貫通孔13fには、中心軸J1が通る。
【0020】
栓体部13bは、第1凹部13eに嵌め込まれて外蓋本体部13aに固定される。栓体部13bは、第1凹部13eの軸方向一方側の開口を閉塞する。栓体部13bは、モータシャフト20aの軸方向一方側を覆う。すなわち、外蓋部13は、モータシャフト20aの軸方向一方側を覆う。栓体部13bは、軸方向一方側の端部に径方向外側に突出する鍔部13gを有する。鍔部13gは、蓋板部13cの軸方向一方側の面に接触する。これにより、栓体部13bを軸方向に位置決めできる。
【0021】
外蓋部13には、ポンプ室46が設けられる。ポンプ室46は、栓体部13bの軸方向他方側の面と第1凹部13eの底面との軸方向の間に設けられる。本実施形態においてポンプ室46の軸方向他方側の面は、第1凹部13eの底面である。ポンプ室46の軸方向一方側の面は、栓体部13bの軸方向他方側の面である。ポンプ室46は、第1凹部13eの内部のうちの軸方向他方側の端部である。ポンプ室46は、内筒部12cの径方向内側、すなわち第2凹部12gの内部に配置される。ポンプ室46には、中心軸J1が通る。図2に示すように、軸方向視において、ポンプ室46の外形は、円形状である。ポンプ室46は、後述する内歯歯車43および外歯歯車42を収容する。
【0022】
図1に示すように、ハウジング10は、第1油路61と、第3油路63と、を有する。第1油路61は、外蓋部13に設けられる。より詳細には、第1油路61は、栓体部13bに設けられる。そのため、栓体部13bを交換することで、容易に第1油路61の構成を変えることができる。第1油路61は、ポンプ室46の軸方向一方側に配置される。第1油路61は、ポンプ室46の軸方向一方側において、ポンプ室46の上端部とポンプ室46の中央部とを繋ぐ。第1油路61におけるポンプ室46と繋がる部分は、栓体部13bの軸方向他方側の面に開口する。
【0023】

ポンプ室46における第1油路61と繋がる上端部は、吐出口45である。すなわち、第1油路61は、吐出口45と繋がる。ポンプ室46における第1油路61と繋がる中央部は、接続口61aである。図2に示すように、吐出口45と接続口61aとは、例えば、円形状である。吐出口45は、接続口61aよりも上側に配置される。接続口61aには、中心軸J1が通る。
【0024】
図1に示すように、第3油路63は、開口部12fから上側に延びる。第3油路63は、開口部12fを介して、収容部14の鉛直方向下側領域と繋がる。第3油路63の上端部は、ポンプ室46の軸方向他方側において、ポンプ室46と繋がる。ポンプ室46における第3油路63が繋がる部分は、吸入口44である。すなわち、第3油路63は、収容部14の鉛直方向下側領域と吸入口44とを繋ぐ。図2に示すように、吸入口44は、例えば、円形状である。吸入口44は、吐出口45および接続口61aよりも下側に配置される。吸入口44は、中心軸J1よりも下側に配置される。
【0025】
図1に示すように、第3油路63は、第1部分63aと、第2部分63bと、第3部分63cと、を有する。第1部分63aは、開口部12fから上側に延びる。第1部分63aの上端部は、内筒部12cの下端部の内周面よりも上側に位置する。第1部分63aは、例えば、蓋板部13cの軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪み鉛直方向Zに延びる溝が、円環板部12aの軸方向一方側の面によって閉塞されて構成される。これにより、第1部分63aは、内蓋部12と外蓋部13との軸方向の間に配置される。
【0026】
第2部分63bは、第1部分63aの上端部から軸方向他方側に延びる。第2部分63bは、突出部13dの下側の面から上側に窪み軸方向他方側に延びる溝が、内筒部12cの内周面によって閉塞されて構成される。これにより、第2部分63bは、内蓋部12と外蓋部13との径方向の間に配置される。
【0027】
第3部分63cは、第2部分63bの軸方向他方側の端部から上側に延びる。第3部分63cは、突出部13dに設けられる。第3部分63cは、内筒部12cの径方向内側に配置される。第3部分63cは、吸入口44と繋がる。本実施形態によれば、第3油路63の少なくとも一部は、内蓋部12と外蓋部13との軸方向の間に配置される。そのため、互いに固定される内蓋部12と外蓋部13とによって第3油路63の少なくとも一部を構成することができ、第3油路63を容易に作製できる。
【0028】
ロータ20は、モータシャフト20aと、ロータコア22と、マグネット23と、第1エンドプレート24と、第2エンドプレート25と、を有する。モータシャフト20aは、モータシャフト本体21と、取付部材50と、を有する。モータシャフト本体21は、軸方向に延びる円柱状である。モータシャフト本体21は、大径部21aと、第1中径部21bと、第2中径部21cと、小径部21dと、出力部21eと、を有する。
【0029】
大径部21aは、ロータコア22が取り付けられる部分である。大径部21aの軸方向一方側の端部における外周面には、雄ネジ部が設けられる。大径部21aの雄ネジ部には、ナット90が締め込まれる。第1中径部21bは、大径部21aの軸方向一方側において大径部21aに繋がる。第1中径部21bの外径は、大径部21aの外径よりも小さい。第1中径部21bの軸方向他方側の端部は、ベアリング70に回転可能に支持される。
【0030】
第2中径部21cは、大径部21aの軸方向他方側において大径部21aに繋がる。第2中径部21cの外径は、大径部21aの外径よりも小さい。第2中径部21cの軸方向一方側の端部は、ベアリング71に回転可能に支持される。ベアリング70,71は、モータシャフト20aを回転可能に支持する。ベアリング70,71は、例えば、ボールベアリングである。
【0031】
小径部21dは、第1中径部21bの軸方向一方側において第1中径部21bに繋がる。小径部21dの軸方向一方側の端部は、モータシャフト本体21の軸方向一方側の端部である。小径部21dの軸方向一方側の端部は、内筒部12cの径方向内側に配置される。小径部21dの外径は、第1中径部21bの外径よりも小さい。すなわち、小径部21dは、軸方向一方側に向かって外径が小さくなる部分である。
【0032】
出力部21eは、第2中径部21cの軸方向他方側において第2中径部21cに繋がる。出力部21eは、モータシャフト本体21の軸方向他方側の端部である。出力部21eの外径は、小径部21dの外径よりも小さい。出力部21eは、底部11aを軸方向に貫通してハウジング10の外部に突出する。
【0033】
モータシャフト本体21は、フランジ部21fを有する。フランジ部21fは、大径部21aの外周面から径方向外側に突出する。フランジ部21fは、大径部21aの外周面の一周に亘って設けられる円環板状である。フランジ部21fは、大径部21aの軸方向他方側の端部に設けられる。モータシャフト本体21は、モータシャフト本体21の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に延びる穴部21gを有する。穴部21gは、軸方向一方側に開口する有底の穴である。すなわち、穴部21gの軸方向他方側の端部は、閉塞される。
【0034】
取付部材50は、モータシャフト本体21の軸方向一方側に固定される。取付部材50は、穴部21gに嵌め合わされて固定される。取付部材50は、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態において取付部材50は、中心軸J1と中心とする円筒状である。取付部材50は、モータシャフト本体21よりも軸方向一方側に延びて、第2貫通孔13fに通される。
【0035】
取付部材50は、嵌合部51と、固定部52と、を有する。嵌合部51は、穴部21gに嵌め合わされる部分である。嵌合部51は、穴部21gの軸方向一方側の端部の内周面に固定され、穴部21g内からモータシャフト本体21よりも軸方向一方側まで延びる。嵌合部51の軸方向一方側の端部は、第2貫通孔13fに挿入される。すなわち、嵌合部51の少なくとも一部は、第2貫通孔13fに挿入される。そのため、取付部材50の外周面と第2貫通孔13fの内周面との径方向の隙間を大きくできる。これにより、振動等によって取付部材50の位置が径方向にずれた場合であっても、取付部材50が第2貫通孔13fの内周面と接触することを抑制できる。
【0036】
固定部52は、嵌合部51の軸方向一方側に位置する。固定部52は、嵌合部51の軸方向一方側の端部に繋がる。固定部52の外径は、嵌合部51の外径よりも大きく、第2貫通孔13fの内径よりも小さい。固定部52は、ポンプ室46内に挿入される。嵌合部51の内径と固定部52の内径とは、例えば、同じである。
【0037】
取付部材50には、後述する外歯歯車42が固定される。本実施形態では、外歯歯車42は、固定部52の径方向外側面に固定される。より詳細には、外歯歯車42を軸方向に貫通する固定孔部42bに、固定部52が嵌め合わされて固定される。このように、本実施形態によれば、固定部52より外径が小さい嵌合部51を穴部21gに嵌め合わせ、嵌合部51よりも外径が大きい固定部52に外歯歯車42を固定する。そのため、穴部21gの内径を外歯歯車42の固定孔部42bの内径よりも小さくできる。これにより、穴部21gの内径を比較的小さくしやすく、モータシャフト本体21の剛性が低下することを抑制できる。
【0038】
モータシャフト20aは、モータシャフト20aの内部に設けられる第2油路62を有する。第2油路62は、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪んで延びる有底の穴部である。第2油路62は、軸方向一方側に開口する。第2油路62は、取付部材50の軸方向一方側の端部から第2中径部21cの軸方向他方側の端部まで延びて、取付部材50とモータシャフト本体21とに跨って設けられる。第2油路62は、取付部材50の内部と穴部21gとが軸方向に繋がって構成される。すなわち、取付部材50の径方向内側面は、第2油路62の径方向内側面の一部を構成する。
【0039】
本実施形態において軸方向と直交する断面において第2油路62の内縁は、中心軸J1を中心とする円形状である。第2油路62における取付部材50に設けられる部分の内径は、第2油路62におけるモータシャフト本体21に設けられる部分の内径よりも小さい。すなわち、取付部材50の内径は、穴部21gの内径よりも小さい。取付部材50の軸方向一方側の開口が接続口61aと繋がることで、第2油路62は、取付部材50の内部を介して第1油路61と繋がる。すなわち、第2油路62は、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部において第1油路61に開口する。
【0040】
モータシャフト20aは、第2油路62とモータシャフト20aの外周面とを繋ぐ第1貫通孔26a〜26dを有する。第1貫通孔26a〜26dは、径方向に延びる。第1貫通孔26a,26bは、大径部21aに設けられる。第1貫通孔26a,26bは、軸方向において、ナット90とフランジ部21fとの間に配置される。図3に示すように、第1貫通孔26aの径方向外側の端部は、第1エンドプレート24とロータコア22との軸方向の隙間27aに開口する。第1貫通孔26bの径方向外側の端部は、第2エンドプレート25とロータコア22との軸方向の隙間27bに開口する。
【0041】
第1貫通孔26cは、第1中径部21bに設けられる。第1貫通孔26cの径方向外側の端部は、ベアリング70の軸方向一方側においてベアリング保持部12eの径方向内側に開口する。第1貫通孔26dは、第2中径部21cに設けられる。第1貫通孔26dの径方向外側の端部は、ベアリング71の軸方向他方側においてベアリング保持部11cの径方向内側に開口する。第1貫通孔26a〜26dは、例えば、それぞれ周方向に沿って複数設けられる。
【0042】
図1に示すように、ロータコア22は、モータシャフト本体21に固定される円環状である。本実施形態においてロータコア22は、大径部21aに嵌め合わされる。ロータコア22は、ロータコア22を軸方向に貫通するマグネット挿入孔22bを有する。マグネット挿入孔22bは、周方向に沿って複数設けられる。マグネット23は、マグネット挿入孔22bに挿入される。
【0043】
第1エンドプレート24および第2エンドプレート25は、径方向に拡がる円環板状である。第1エンドプレート24および第2エンドプレート25には、大径部21aが通される。第1エンドプレート24と第2エンドプレート25とは、ロータコア22と接触した状態で、ロータコア22を軸方向に挟む。
【0044】
図3に示すように、第1エンドプレート24は、ロータコア22の軸方向一方側に配置される。第1エンドプレート24の径方向外縁部は、軸方向他方側に突出し、ロータコア22の軸方向一方側の面のうち径方向外縁部と接触する。第1エンドプレート24の径方向外縁部は、マグネット挿入孔22bの軸方向一方側の開口部と軸方向に重なり、マグネット挿入孔22bに挿入されたマグネット23を軸方向一方側から押さえる。第1エンドプレート24の径方向外縁部よりも径方向内側の部分は、ロータコア22の軸方向一方側の面と軸方向に隙間27aを介して対向する。
【0045】
第1エンドプレート24は、第1エンドプレート24の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む噴出溝24aを有する。噴出溝24aは、径方向に延びる。噴出溝24aの径方向内側の端部は、第1エンドプレート24を軸方向に貫通して隙間27aと繋がる。噴出溝24aの径方向外側の端部は、第1エンドプレート24の径方向外側に開口し、後述するコイル32と径方向に隙間を介して対向する。噴出溝24aの径方向内側の部分における軸方向一方側の開口は、ナット90と第1エンドプレート24との軸方向の間に挟まれて固定されるワッシャ91によって閉塞される。ワッシャ91は、径方向に拡がる円環板状である。
【0046】

第2エンドプレート25は、ロータコア22の軸方向他方側に配置される。第2エンドプレート25の径方向外縁部は、軸方向一方側に突出し、ロータコア22の軸方向他方側の面のうち径方向外縁部と接触する。第2エンドプレート25の径方向外縁部は、マグネット挿入孔22bの軸方向他方側の開口部と軸方向に重なり、マグネット挿入孔22bに挿入されたマグネット23を軸方向他方側から押さえる。これにより、マグネット挿入孔22bに挿入されたマグネット23は、軸方向の両側を第1エンドプレート24と第2エンドプレート25とによって押さえられる。したがって、マグネット23がマグネット挿入孔22bから抜け出ることを抑制できる。
【0047】
第2エンドプレート25の径方向外縁部よりも径方向内側の部分は、ロータコア22の軸方向他方側の面と軸方向に隙間27bを介して対向する。第2エンドプレート25は、第2エンドプレート25の軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪む噴出溝25aを有する。噴出溝25aは、径方向に延びる。噴出溝25aの径方向内側の端部は、第2エンドプレート25を軸方向に貫通して隙間27bと繋がる。噴出溝25aの径方向外側の端部は、第2エンドプレート25の径方向外側に開口し、後述するコイル32と径方向に隙間を介して対向する。噴出溝25aの径方向内側の部分における軸方向他方側の開口は、フランジ部21fによって閉塞される。
【0048】
第1エンドプレート24とロータコア22と第2エンドプレート25とは、ナット90およびワッシャ91とフランジ部21fとによって軸方向に挟持される。ナット90が大径部21aの雄ネジ部に締め込まれることで、ナット90がワッシャ91を介して、第1エンドプレート24とロータコア22と第2エンドプレート25とをフランジ部21fに押し付ける。これにより、第1エンドプレート24とロータコア22と第2エンドプレート25とは、モータシャフト20aに固定される。
【0049】
図1に示す回転検出部80は、ロータ20の回転を検出する。本実施形態において回転検出部80は、例えば、VR(Variable Reluctance)型レゾルバである。回転検出部80は、内筒部12cの径方向内側に配置される。回転検出部80は、被検出部81と、センサ部82と、を有する。
【0050】
被検出部81は、周方向に延びる環状である。被検出部81は、モータシャフト20aに嵌め合わされて固定される。より詳細には、被検出部81は、小径部21dに嵌め合わされて固定される。被検出部81の径方向内縁部における軸方向他方側の面は、第1中径部21bと小径部21dとの間の段差に接触する。被検出部81は、取付部材50と径方向に重なる。そのため、被検出部81と取付部材50とが径方向に重ならずに軸方向に離れて配置される場合に比べて、モータシャフト20aを軸方向に小型化しやすい。被検出部81は、磁性体製である。
【0051】
なお、本明細書において「ある対象同士が、ある方向に重なる」とは、ある方向に沿って視た場合に、ある対象同士が重なることを含む。すなわち、被検出部81と取付部材50とが径方向に重なるとは、径方向に沿って視た場合に、被検出部81と取付部材50とが重なることを含む。
【0052】
センサ部82は、内蓋部12と外蓋部13との軸方向の間に配置される。より詳細には、センサ部82は、内筒部12cの径方向内側において、内筒底部12dの軸方向一方側の面に固定される。すなわち、センサ部82は、内蓋部12に取り付けられる。そのため、センサ部82を取り付けやすい。センサ部82は、第2凹部12g内に配置される。そのため、内蓋部12を本体部11に取り付けた後に、第2凹部12gの軸方向一方側の開口から第2凹部12g内にセンサ部82を挿入して配置することができる。したがって、センサ部82を配置することが容易である。
【0053】
センサ部82は、被検出部81の径方向外側を囲む環状である。センサ部82は、周方向に沿って複数のコイルを有する。モータシャフト20aとともに被検出部81が回転することによって、センサ部82のコイルには、被検出部81の周方向位置に応じた誘起電圧が生じる。センサ部82は、誘起電圧を検出することで、被検出部81の回転を検出する。これにより、回転検出部80は、モータシャフト20aの回転を検出して、ロータ20の回転を検出する。
【0054】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31に装着される複数のコイル32と、を有する。ステータコア31は、中心軸J1を中心とした円環状である。ステータコア31の外周面は、本体筒部11bの内周面に固定される。ステータコア31は、ロータコア22の径方向外側に隙間を介して対向する。
【0055】
ポンプ部40は、外蓋部13の中央部に設けられる。ポンプ部40は、モータシャフト20aの軸方向一方側に配置される。ポンプ部40は、外歯歯車42と、内歯歯車43と、上述したポンプ室46と、吸入口44と、吐出口45と、貯留部48と、を有する。外歯歯車42は、中心軸J1周りに回転可能な歯車である。外歯歯車42は、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部に固定される。より詳細には、外歯歯車42は、固定部52の外周面に固定される。そのため、取付部材50を介して外歯歯車42をモータシャフト本体21に固定できる。これにより、取付部材50の寸法を調整することで、モータシャフト本体21の寸法および外歯歯車42の寸法を変えずに、外歯歯車42をモータシャフト本体21に固定できる。
【0056】
外歯歯車42は、ポンプ室46内に収容される。図2に示すように、外歯歯車42は、外周面に複数の歯部42aを有する。外歯歯車42の歯部42aの歯形は、トロコイド歯形である。
【0057】
内歯歯車43は、中心軸J1に対して偏心する回転軸J2周りに回転可能な円環状の歯車である。内歯歯車43は、ポンプ室46内に収容される。内歯歯車43は、外歯歯車42の径方向外側を囲み、外歯歯車42と噛み合う。内歯歯車43は、内周面に複数の歯部43aを有する。内歯歯車43の歯部43aの歯形は、トロコイド歯形である。このように、外歯歯車42の歯部42aの歯形および内歯歯車43の歯部43aの歯形がトロコイド歯形であるため、トロコイドポンプを構成することができる。したがって、ポンプ部40から生じる騒音を低減でき、ポンプ部40から吐出されるオイルOの圧力および量を安定させやすい。
【0058】
本実施形態では、第1凹部13eの軸方向一方側の開口から内歯歯車43および外歯歯車42を挿入した後に、栓体部13bによって第1凹部13eの軸方向一方側の開口を閉塞することで、ポンプ室46を構成することができるとともに、内歯歯車43および外歯歯車42をポンプ室46に収容できる。そのため、ポンプ部40の組み立てを容易にできる。
【0059】
上述したように吸入口44は、第3油路63と繋がる。図1に示すように、吸入口44は、ポンプ室46の軸方向他方側に開口する。吸入口44は、外歯歯車42と内歯歯車43との隙間と繋がる。吸入口44は、開口部12fおよび第3油路63を介して、収容部14に貯留されるオイルOを、ポンプ室46内、より詳細には外歯歯車42と内歯歯車43との隙間内に吸入可能である。図2に示すように、吸入口44は、貯留部48の下側の端部よりも上側、かつ、外歯歯車42の下側の端部よりも上側に配置される。
【0060】
上述したように吐出口45は、第1油路61と繋がる。図1に示すように、吐出口45は、ポンプ室46の軸方向一方側に開口する。吐出口45は、外歯歯車42と内歯歯車43との隙間と繋がる。吐出口45は、ポンプ室46内、より詳細には外歯歯車42と内歯歯車43との隙間内からオイルOを吐出可能である。
【0061】
貯留部48は、ポンプ室46の鉛直方向下側領域の軸方向一方側においてポンプ室46と繋がる。図2に示すように、軸方向視において貯留部48の形状は、下側に凸となる弓形状である。貯留部48には、吸入口44からポンプ室46内に吸入されたオイルOの一部が流入する。
【0062】
吸入口44は、貯留部48の下側の端部よりも上側に配置されるため、ポンプ部40が停止しても、貯留部48に流入したオイルOの少なくとも一部は、吸入口44から収容部14内に戻らずに、貯留部48内に貯留される。これにより、ポンプ部40が停止している際に、ポンプ室46内の外歯歯車42の下側の部分および内歯歯車43の下側の部分を貯留部48内のオイルOと接触した状態にすることができる。したがって、ポンプ部40を再度駆動した際に、外歯歯車42の歯部42aと内歯歯車43の歯部43aとの間、およびポンプ室46の内周面と内歯歯車43の外周面との間にオイルOを介在させることができ、焼き付きが生じることを抑制できる。
【0063】
ロータ20が回転してモータシャフト20aが回転すると、モータシャフト20aに固定された外歯歯車42が回転する。これにより、外歯歯車42と噛み合う内歯歯車43が回転して、吸入口44からポンプ室46内に吸入されるオイルOが、外歯歯車42と内歯歯車43との間を介して、吐出口45へと送られる。このようにして、ポンプ部40は、モータシャフト20aを介して駆動される。吐出口45から吐出されたオイルOは、第1油路61に流入し、接続口61aから第2油路62へと流入する。図3に矢印で示すように、第2油路62に流入したオイルOは、回転するモータシャフト20aの遠心力によって、径方向外側に力を受け、第1貫通孔26a〜26dを通ってモータシャフト20aの外部へと流出する。
【0064】
本実施形態では、第1貫通孔26aは第1エンドプレート24とロータコア22との軸方向の隙間27aに開口するため、第1貫通孔26aから流出したオイルOは隙間27aに流入する。そして、隙間27aに流入したオイルOは、噴出溝24aから径方向外側に向けて噴出される。本実施形態では、噴出溝24aの径方向内側の部分における軸方向一方側の開口がワッシャ91によって閉塞されるため、噴出溝24a内に流入したオイルOをワッシャ91によって径方向外側に向けて案内しやすい。
【0065】
第1貫通孔26bは第2エンドプレート25とロータコア22との軸方向の隙間27bに開口するため、第1貫通孔26bから流出したオイルOは隙間27bに流入する。そして、隙間27bに流入したオイルOは、噴出溝25aから径方向外側に向けて噴出される。本実施形態では、噴出溝25aの径方向内側の部分における軸方向他方側の開口がフランジ部21fによって閉塞されるため、噴出溝25a内に流入したオイルOをフランジ部21fによって径方向外側に向けて案内しやすい。
【0066】
噴出溝24a,25aから径方向外側に噴出されたオイルOは、コイル32に吹き付けられる。これにより、オイルOによってコイル32を冷却することができる。本実施形態では、第2油路62は、モータシャフト20aの内部に設けられるため、噴出溝24a,25aから噴出されるまでのオイルOによって、ロータ20を冷却することもできる。このように、本実施形態において吐出口45から吐出されるオイルOは、ロータ20とステータ30とに導かれる。
【0067】
第1貫通孔26cはベアリング保持部12eの径方向内側に開口するため、第1貫通孔26cから流出したオイルOは、ベアリング70に供給される。第1貫通孔26dはベアリング保持部11cの径方向内側に開口するため、第1貫通孔26dから流出したオイルOは、ベアリング71に供給される。これにより、オイルOをベアリング70,71の潤滑剤として利用できる。
【0068】
なお、図3では、噴出溝24a,25aからオイルOが上側に噴出される例を示すが、これに限られない。ロータ20は回転するため、噴出溝24a,25aの周方向位置は、ロータ20の回転に伴って変化する。これにより、噴出溝24a,25aから噴出されるオイルOの向きは、周方向に変化し、周方向に沿って配置される複数のコイル32をオイルOによって冷却することができる。
【0069】
以上のようにして、モータシャフト20aの回転によってポンプ部40を駆動することができ、ポンプ部40によってハウジング10に貯留されるオイルOを吸い上げてロータ20、ステータ30およびベアリング70,71に供給することができる。これにより、ハウジング10に貯留されるオイルOを利用して、ロータ20およびステータ30を冷却することができるとともに、ベアリング70,71とモータシャフト本体21との間の潤滑性を向上できる。ステータ30およびベアリング70,71に供給されたオイルOは、収容部14内を落下して、再び収容部14の下側の領域に貯留される。これにより、収容部14内のオイルOを循環させることができる。
【0070】
本実施形態によれば、第1油路61および第2油路62が設けられることで、吐出口45から吐出されたオイルOをモータシャフト20aの内部に送ることができる。また、第1貫通孔26a〜26dが設けられるため、第2油路62内に流入したオイルOをステータ30およびベアリング70,71に供給することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、モータシャフト20a内に設けられた第2油路62は、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部において、吐出口45と繋がる第1油路61に開口する。モータシャフト20aの軸方向一方側の端部には、外歯歯車42が固定されるため、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部は、吐出口45と比較的近い位置に配置される。したがって、吐出口45と第2油路62とを繋ぐ第1油路61の長さを短くできる。そのため、本実施形態によれば、開口部12fから第2油路62までの油路の全長を短くしやすい。これにより、モータシャフト20aの内部に設けられる第2油路62へとオイルOを送りやすい。また、駆動装置1の構造を簡単化しやすく、駆動装置1の製造を容易にできる。
【0072】
また、本実施形態によれば、取付部材50の径方向内側面が第2油路62の径方向内側面の一部を構成する。そのため、取付部材50に外歯歯車42を固定しつつ、取付部材50から第2油路62内にオイルOを流入させることができる。これにより、上述したように、モータシャフト本体21の寸法および外歯歯車42の寸法を変えずに、取付部材50を介してモータシャフト本体21と外歯歯車42とを固定できるとともに、第2油路62を第1油路61に開口させやすい。
【0073】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。外歯歯車42は、取付部材50を介さずにモータシャフト本体21に直接的に固定されてもよい。この場合、第2油路62は、例えば、モータシャフト本体21の内部にのみ設けられてもよい。また、取付部材50は、モータシャフト本体21の外周面に固定されてもよい。
【0074】
また、取付部材50は、軸方向の全体に亘って外径が均一な部材であってもよい。すなわち、嵌合部51の外径と固定部52の外径とは、互いに同じであってもよい。この場合、例えば固定部52の外径を図1に示す嵌合部51の外径と同じにして小さくすると、固定部52の固定される外歯歯車42の外径を小さくすることが可能である。これにより、内歯歯車43の外径を小さくすることができ、ポンプ室46の内径を小さくできる。したがって、ポンプ室46が設けられた突出部13dの外径を小さくでき、突出部13dの径方向外側面と第2凹部12gの内周面との径方向の間を大きくできる。そのため、突出部13dの径方向外側面と第2凹部12gの内周面との径方向の間に、例えば、センサ部82のうち軸方向一方側に突出する部分を配置することが可能となり、よりセンサ部82を外蓋部13に近づけることができる。これにより、駆動装置1全体を軸方向に小型化しやすい。なお、センサ部82のうち軸方向一方側に突出する部分とは、例えば、センサ部82が有するコイルである。
【0075】
また、取付部材50は、2つ以上の部材によって構成されてもよい。この場合、取付部材50は、穴部21g内に嵌め合わされる第1筒状部材と、第1筒状部材に嵌め合わされてモータシャフト本体21よりも軸方向一方側に延びる第2筒状部材と、を有してもよい。この場合、第2筒状部材の軸方向一方側の端部に外歯歯車42が固定される。
【0076】
また、上述した実施形態では、取付部材50のうち第2貫通孔13fに通される部分は、固定部52よりも外径が小さい嵌合部51である。そのため、第2貫通孔13fの内径を固定部52の外径よりも小さくして、取付部材50の外周面と第2貫通孔13fの内周面との径方向の隙間を比較的小さくする構成を採用することもできる。これにより、ポンプ室46内のオイルOが第2貫通孔13fを介して漏れることを抑制できる。なお、この構成を採用する場合、組立者は、外蓋部13を内蓋部12に取り付けた後に、第1凹部13eの左側の開口から嵌合部51を第2貫通孔13fに挿し込み、モータシャフト本体21の穴部21gに嵌め合わせることで、取付部材50をモータシャフト本体21に固定する。
【0077】
また、第2貫通孔13fを小さくできれば、ポンプ室46の軸方向他方側の開口を閉塞する閉塞部の径方向内端部をより径方向内側に配置できる。本実施形態においてポンプ室46の軸方向他方側の開口を閉塞する閉塞部とは、突出部13dのうち第2貫通孔13fの径方向外側の部分である。閉塞部の径方向内端部をより径方向内側に配置できることで、外歯歯車42の外径および内歯歯車43の外径をより小さくしても、閉塞部によってポンプ室46の軸方向他方側の開口を好適に閉塞できる。そのため、ポンプ室46の内径を小さくできる。したがって、上述したのと同様に、突出部13dの径方向外側面と第2凹部12gの内周面との径方向の間にセンサ部82の一部を配置することが可能となり、結果として駆動装置1を軸方向に小型化しやすい。
【0078】
ロータコア22は、モータシャフト本体21の外周面に圧入等により固定されてもよい。この場合、第1エンドプレート24および第2エンドプレート25は設けられなくてもよい。また、この場合、第1貫通孔26a,26bから流出したオイルOが直接的にコイル32に供給されてもよいし、第1貫通孔26aと繋がる孔がロータコア22に設けられ、ロータコア22の孔を介してオイルOがコイル32に供給されてもよい。また、オイルOは、ステータコア31に供給されてもよい。
【0079】
また、吐出口45から吐出されるオイルOが供給される箇所は、特に限定されず、例えば、ロータ20、ステータ30およびベアリング70,71のいずれか1つあるいは2つのみに供給されてもよいし、いずれにも供給されなくてもよい。吐出口45から吐出されるオイルOは、例えば、収容部14の鉛直方向上側領域の内側面に供給されてもよい。この場合、ハウジング10が冷却されることで、間接的にステータ30を冷却することができる。また、第1貫通孔26a〜26dのうちのいずれか1つ以上が設けられなくてもよい。外歯歯車42の歯部42aの歯形および内歯歯車43の歯部43aの歯形は、サイクロイド歯形であってもよいし、インボリュート歯形であってもよい。
【0080】
なお、上述した実施形態の駆動装置の用途は、特に限定されない。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0081】

1…駆動装置、10…ハウジング、11…本体部、12…内蓋部、12g…第2凹部、13…外蓋部、13a…外蓋本体部、13b…栓体部、13e…第1凹部、13f…第2貫通孔、14…収容部、20…ロータ、20a…モータシャフト、21…モータシャフト本体、21g…穴部、22…ロータコア、26a,26b,26c,26d…第1貫通孔、30…ステータ、40…ポンプ部、42…外歯歯車、43…内歯歯車、44…吸入口、45…吐出口、46…ポンプ室、48…貯留部、50…取付部材、51…嵌合部、52…固定部、61…第1油路、62…第2油路、63…第3油路、70,71…ベアリング、80…回転検出部、81…被検出部、82…センサ部、J1…中心軸、O…オイル、Z…鉛直方向
図1
図2
図3