(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示が解決しようとする課題]
上記のような光モジュールについては、低温から高温といった広い温度範囲の環境下で用いられる場合がある。広い温度範囲の環境下においても高精度な光の出力を実現するためには、光モジュールの温度の調整を図る必要がある。
【0010】
光モジュールの作動時における消費電力はできるだけ少ないことが望ましい。さらに、光モジュールの温度を調整するシステム全体の小型化の要求もある。
【0011】
そこで、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減が可能な光モジュールの制御方法を提供することを目的の1つとする。
【0012】
また、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減が可能な光モジュールユニットを提供することを目的の1つとする。
【0013】
また、システムサイズの小型化および消費電力の低減をより適切に実現可能な光モジュールを提供することを目的の1つとする。
【0014】
[本開示の効果]
上記光モジュールの制御方法によれば、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0015】
上記光モジュールユニットによれば、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0016】
上記光モジュールによれば、システムサイズの小型化および消費電力の低減をより適切に実現可能とすることができる。
【0017】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願発明に係る光モジュールの制御方法は、半導体発光素子と、半導体発光素子の温度を調整する電子冷却モジュールとを含む光モジュールの制御方法である。光モジュールの制御方法は、半導体発光素子を含む発光ユニットの温度を検出し、半導体発光素子の温度情報を出力するステップと、発光ユニットが配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するステップと、半導体発光素子の温度情報および環境温度の温度情報に基づいて、電子冷却モジュールの出力を制御し、発光ユニットの温度を調整するステップとを備える。発光ユニットの温度を調整するステップでは、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整する。
【0018】
このように、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整することにより、電子冷却モジュールによる温度調整の対象となる発光ユニットと環境温度との温度差を小さくすることができる。そうすると、電子冷却モジュールによる温度調整の際の消費電力の低減を図ることができる。すなわち、環境温度が比較的高い場合には、半導体発光素子の温度範囲を比較的高い温度範囲と設定して発光ユニットの温度調整を行い、温度調整時における環境温度と発光ユニットとの温度差を小さくすることとしている。その結果、電子冷却モジュールによる温度調整の際の消費電力の低減を図ることができる。ここで、半導体発光素子の温度範囲を高くした場合、同一の光出力を得るために必要な半導体発光素子への投入電力は大きくなる。しかし、半導体発光素子への投入電力の増加分と比較して、環境温度と発光ユニットとの温度差を小さくしたことに伴って電子冷却モジュールにより低減される消費電力の方が大きい。したがって、全体として消費電力の低減を図ることができる。
【0019】
電子冷却モジュールの作動時においては電子冷却モジュール自体も発熱する。電子冷却モジュールの効率的な作動を確保しながら、発熱した電子冷却モジュールの放熱を促進して発光ユニットの温度調整を図るために、ヒートシンクやヒートシンクに風を送るファン、ヒートシンクに蓄積された熱を効率的に取り除くヒートパイプを含む放熱システムが光モジュールに設けられる。このヒートシンクについては、基本的にその大きさに応じて、冷却能力が左右されるものである。具体的には、ヒートシンクの大きさが大きいほど、基本的に冷却対象物に対する冷却能力が高いものとなる。そして、上記したように、本願発明に係る光モジュールの制御方法によれば、電子冷却モジュールによる消費電力の低減を図ることができる。そうすると、放熱システムに備えられるヒートシンク自体の大きさを小さくして、光モジュールを含む放熱システム全体を小型化することができる。また、ヒートシンクを冷却させるために設けられているファンについても、ファンの作動時間を低減させて、消費電力の低減を図ることができる。さらに、使用される光モジュールの動作温度範囲によっては、ファンによる冷却が不要となり、ファン自体を省略できる可能性もある。そうすると、さらなる小型化を実現することもできる。また、電子冷却モジュールによる消費電力の低減を図ることができるため、放熱システムとしてヒートシンクに設けられるヒートパイプを省略し、さらに小型化を実現できる可能性がある。
【0020】
上記光モジュールの制御方法において制御される半導体発光素子は、半導体レーザであってもよい。このように構成することにより、光モジュールとして半導体レーザのレーザ光を利用する際に、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0021】
上記半導体レーザは、赤色の光を出射するレーザまたは赤外光を出射するレーザであるようにしてもよい。赤色の光を出射するレーザまたは赤外光を出射するレーザは、光出力に対する温度依存性が高い。そのため、半導体レーザが赤色の光を出射するレーザまたは赤外光を出射するレーザである光モジュールの制御に、本願の光モジュールの制御方法は好適である。なお、赤色の光としては、波長が620nm(ナノメートル)〜750nm程度の光である。
【0022】
発光ユニットの温度を調整するステップにおいて調整される半導体発光素子の温度範囲に対応して、半導体発光素子に供給する電流を制御することにより、半導体発光素子の出力を調整するようにしてもよい。このように構成することにより、電流の制御によって半導体発光素子の光出力を一定にすることができる。
【0023】
また、第1半導体発光素子温度範囲および第2半導体発光素子温度範囲は、中心値に対して±3℃以内の温度範囲であるようにしてもよい。このように構成することにより、半導体発光素子の光出力への温度変化の影響を低減することができる。
【0024】
本願発明に係る光モジュールユニットは、ベース部材と、ベース部材上に搭載される半導体発光素子とを含み、光を形成する発光ユニットおよび半導体発光素子の温度を調整する電子冷却モジュールを含む光モジュールと、半導体発光素子を含む発光ユニットの温度を検出して、半導体発光素子の温度情報を出力するよう処理する第1処理部と、発光ユニットが配置された環境の温度である環境温度を検出して、環境温度の温度情報を出力するよう処理する第2処理部と、第1処理部により出力するよう処理された半導体発光素子の温度情報および第2処理部により出力するよう処理された環境温度の温度情報に基づいて、電子冷却モジュールの出力を制御し、発光ユニットの温度を調整する第3処理部とを備える。第3処理部は、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整する。
【0025】
このような光モジュールユニットによると、第1処理部は、半導体発光素子の温度情報を出力するよう処理する。また、第2処理部は、発光ユニットが配置された環境温度の温度情報が出力するよう処理する。第3処理部は、第1処理部により出力するよう処理された半導体発光素子の温度情報および第2処理部により出力するよう処理された環境温度の温度情報に基づいて、電子冷却モジュールの出力を制御し、発光ユニットの温度を調整する。ここで、第3処理部は、電子冷却モジュールの出力を制御し、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整する。そうすると、温度調整時における環境温度と発光ユニットとの温度差を小さくして、電子冷却モジュールによる温度調整の際の消費電力の低減を図ることができる。なお、半導体発光素子の温度範囲を高くした場合、同一の光出力を得るために必要な半導体発光素子への投入電力は大きくなる。しかし、半導体発光素子への投入電力の増加分と比較して、環境温度と発光ユニットとの温度差を小さくしたことに伴って電子冷却モジュールにより低減される消費電力の方が大きい。したがって、全体として消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
上記光モジュールユニットにおいて、光モジュールは、発光ユニットを取り囲む保護部材と、保護部材の外周面に取り付けられ、発光ユニットが配置された環境の温度である環境温度を検出する環境温度検出部とをさらに含む構成としてもよい。このような構成の光モジュールユニットは、保護部材の外周面に取り付けられた環境温度検出部を利用して第2処理部により環境温度の温度情報を出力するよう処理する際に、発光ユニットが配置された環境温度をより正確に検出することができるため、より適切に消費電力の低減を図ることができる。
【0027】
本願発明に係る光モジュールは、ベース部材およびベース部材上に搭載される半導体発光素子を含み、光を形成する発光ユニットと、発光ユニットからの光を透過する出射窓を有し、発光ユニットを取り囲む保護部材と、半導体発光素子の温度を調整する電子冷却モジュールと、発光ユニットの温度を検出する発光ユニット温度検出部と、発光ユニットが配置された環境の温度を検出する環境温度検出部とを備える。
【0028】
このような光モジュールによると、電子冷却モジュールにより、半導体発光素子の温度を調整することができる。また、発光ユニット温度検出部により、発光ユニットの温度を検出することができる。また、環境温度検出部により、発光ユニットが配置された環境の温度を検出することができる。そして、検出された発光ユニットの温度および発光ユニットが配置された環境の温度を利用して、システムサイズの小型化および消費電力の低減をより適切に実現可能とすることができる。具体的には、例えば、発光ユニット温度検出部により検出された発光ユニットの温度から半導体発光素子の温度情報を出力し、環境温度検出部により検出された発光ユニットが配置された環境温度から温度情報を出力し、出力された半導体発光素子の温度情報および環境温度の温度情報に基づいて、電子冷却モジュールの出力を制御する。ここで、電子冷却モジュールの出力の制御に際し、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整する。このようにすることにより、システムサイズの小型化および消費電力の低減をより適切に実現可能とすることができる。
【0029】
上記光モジュールは、環境温度検出部は、保護部材の外周面に取り付けられていてもよい。このような構成の光モジュールは、発光ユニットが配置された環境温度をより正確に検出することができ、より適切に消費電力の低減を図ることができる。
【0030】
[本願発明の実施の形態の詳細]
次に、本願発明に係る光モジュールの制御方法の実施の形態を、
図1〜
図11を参照しつつ説明する。
図2は、
図1のキャップ40を取り外した状態に対応する図である。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0031】
まず、本実施の形態における光モジュール1の制御方法において制御される光モジュール1の構成について説明する。
図1および
図2を参照して、本実施の形態における光モジュールの制御方法において制御される光モジュール1は、平板状の形状を有するステム10と、ステム10の一方の主面10A上に配置され、光を形成する発光ユニットとしての光形成部20と、光形成部20を覆うようにステム10の一方の主面10A上に接触して配置されるキャップ40と、ステム10の他方の主面10B側から一方の主面10A側まで貫通し、一方の主面10A側および他方の主面10B側の両側に突出する複数のリードピン51とを備えている。ステム10とキャップ40とは、たとえば溶接されることにより気密状態とされている。すなわち、光形成部20は、ステム10とキャップ40とによりハーメチックシールされている。ステム10とキャップ40とにより取り囲まれる空間には、たとえば乾燥空気などの水分が低減(除去)された気体が封入されている。キャップ40には、光形成部20からの光を透過する出射窓41が形成されている。出射窓41は主面が互いに平行な平板状の形状を有していてもよいし、光形成部20からの光を集光または拡散させるレンズ形状を有していてもよい。ステム10およびキャップ40は、保護部材を構成する。なお、平面的に見て(Z軸方向から見た場合に)、ステム10は、四隅の角が丸められた長方形形状である。キャップ40についても、平面的に見て四隅の角が丸められた長方形形状である。そして、ステム10の面積の方がキャップ40の面積よりも大きく構成されており、キャップ40をステム10上に接触して配置させた際に、出射窓41が設けられた側を除いて、ステム10の外周がキャップ40の外周から鍔状に突出している。なお、ステム10の短辺の長さ(Y軸方向の長さ)としては、たとえば10mm(ミリメートル)が選択される。
【0032】
キャップ40には、キャップ40の温度を検出するための熱電対42が樹脂モールドされて設けられている。熱電対42は、キャップ40のうち、出射窓41が設けられた面に取り付けられている。すなわち、熱電対42は、キャップ40の外周面40Aに取り付けられている。この熱電対42により、光形成部20が配置された雰囲気の温度を環境温度として検出し、環境温度の温度情報として出力することができる。光形成部20が配置された雰囲気の温度は、光モジュール1が配置された雰囲気の温度でもある。本実施形態においては、熱電対42は、光形成部20が配置された環境の温度を検出する環境温度検出部である。
【0033】
図2および
図3を参照して、光形成部20は、板状の形状を有するベース部材としてのベース板60を含む。ベース板60は、平面的に見て長方形形状を有する一方の主面60Aを有している。ベース板60は、ベース領域61と、チップ搭載領域62と、サーミスタ搭載領域44とを含んでいる。チップ搭載領域62は、一方の主面60Aの一の短辺と、当該短辺に接続された一の長辺を含む領域に形成されている。チップ搭載領域62の厚みは、ベース領域61に比べて大きくなっている。その結果、ベース領域61に比べて、チップ搭載領域62の高さが高くなっている。チップ搭載領域62において上記一の短辺の上記一の長辺に接続される側とは反対側の領域に、隣接する領域に比べて厚みの大きい(高さが高い)領域である第1チップ搭載領域63が形成されている。チップ搭載領域62において上記一の長辺の上記一の短辺に接続される側とは反対側の領域に、隣接する領域に比べて厚みの大きい(高さが高い)領域である第2チップ搭載領域64が形成されている。
【0034】
第1チップ搭載領域63上には、平板状の第1サブマウント71が配置されている。そして、第1サブマウント71上に、第1半導体発光素子としての半導体レーザである赤色の光を出射する赤色レーザダイオード81が配置されている。一方、第2チップ搭載領域64上には、平板状の第2サブマウント72および第3サブマウント73が配置されている。第2サブマウント72から見て、上記一の長辺と上記一の短辺との接続部とは反対側に、第3サブマウント73が配置されている。そして、第2サブマウント72上には、第2半導体発光素子としての半導体レーザである緑色の光を出射する緑色レーザダイオード82が配置されている。また、第3サブマウント73上には、第3半導体発光素子としての半導体レーザである青色の光を出射する青色レーザダイオード83が配置されている。赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光軸の高さ(ベース板60の一方の主面60Aを基準面とした場合の基準面と光軸との距離;Z軸方向における基準面との距離)は、第1サブマウント71、第2サブマウント72および第3サブマウント73により調整されて一致している。なお、赤色の光としては、波長が620nm(ナノメートル)〜750nm程度の光であり、緑色の光としては、波長が495nm〜570nm程度の光であり、青色の光としては、波長が420nm〜495nm程度の光である。
【0035】
サーミスタ搭載領域44は、出射窓41に近いベース板60の一方の主面60Aの他の短辺と当該短辺に接続された長辺との交差部を含む領域に形成されている。サーミスタ搭載領域44の厚みは、ベース領域61の厚みに比べて小さくなっている。その結果、ベース領域61に比べて、サーミスタ搭載領域44の高さが低くなっている。サーミスタ搭載領域44上には、サーミスタ43が配置されている。サーミスタ43は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含む光形成部20の温度を検出し、光形成部20の温度情報を出力する。本実施形態においては、サーミスタ43は、光形成部20の温度を検出する発光ユニット温度検出部である。
【0036】
ベース板60のベース領域61上には、第4サブマウント74、第5サブマウント75および第6サブマウント76が配置されている。そして、第4サブマウント74、第5サブマウント75および第6サブマウント76上には、それぞれ第1受光素子としての第1フォトダイオード94、第2受光素子としての第2フォトダイオード95および第3受光素子としての第3フォトダイオード96が配置されている。第4サブマウント74、第5サブマウント75および第6サブマウント76により、それぞれ第1フォトダイオード94、第2フォトダイオード95および第3フォトダイオード96の高さ(赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光軸までの距離;Z軸方向における距離)が調整される。第1フォトダイオード94、第2フォトダイオード95および第3フォトダイオード96は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオードからの光を直接受光する位置に配置される。このように構成することにより、光の強度を精度よく把握して、光の強度を高い精度で調整することができる。本実施の形態においては、全ての半導体発光素子のそれぞれに対応して受光素子が配置される。第1フォトダイオード94、第2フォトダイオード95および第3フォトダイオード96は、それぞれ赤色、緑色および青色の光を受光可能なフォトダイオードである。第1フォトダイオード94は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向において、赤色レーザダイオード81と第1レンズ91との間に配置される。第2フォトダイオード95は、緑色レーザダイオード82の光の出射方向において、緑色レーザダイオード82と第2レンズ92との間に配置される。第3フォトダイオード96は、青色レーザダイオード83の光の出射方向において、青色レーザダイオード83と第3レンズ93との間に配置される。
【0037】
ベース板60のベース領域61上には、それぞれ凸部である第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79が形成されている。そして、第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79上には、それぞれ第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93が配置されている。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれ表面がレンズ面となっているレンズ部91A、92A、93Aを有している。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれレンズ部91A、92A、93Aとレンズ部91A、92A、93A以外の領域とが一体成型されている。第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79により、第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93のレンズ部91A、92A、93Aの中心軸、すなわちレンズ部91A、92A、93Aの光軸は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光軸に一致するように調整されている。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光のスポットサイズを変換する。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93により、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光のスポットサイズが一致するようにスポットサイズが変換される。
【0038】
ベース板60のベース領域61上には、第1フィルタ97と第2フィルタ98とが配置される。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、例えば波長選択性フィルタである。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、誘電体多層膜フィルタである。より具体的には、第1フィルタ97は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第2フィルタ98は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。このように、第1フィルタ97および第2フィルタ98は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。その結果、第1フィルタ97および第2フィルタ98は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射された光を合波する。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、それぞれベース領域61上に形成された凸部である第1突出領域88および第2突出領域89上に配置される。
【0039】
図3を参照して、赤色レーザダイオード81、第1フォトダイオード94の受光部94A、第1レンズ91のレンズ部91A、第1フィルタ97および第2フィルタ98は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(X軸方向に並んで)配置されている。緑色レーザダイオード82、第2フォトダイオード95の受光部95A、第2レンズ92のレンズ部92Aおよび第1フィルタ97は、緑色レーザダイオード82の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(Y軸方向に並んで)配置されている。青色レーザダイオード83、第3フォトダイオード96の受光部96A、第3レンズ93のレンズ部93Aおよび第2フィルタ98は、青色レーザダイオード83の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(Y軸方向に並んで)配置されている。すなわち、赤色レーザダイオード81の光の出射方向と、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光の出射方向とは交差する。より具体的には、赤色レーザダイオード81の光の出射方向と、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光の出射方向とは直交する。緑色レーザダイオード82の光の出射方向は、青色レーザダイオード83の光の出射方向に沿った方向である。より具体的には、緑色レーザダイオード82の光の出射方向と青色レーザダイオード83の光の出射方向とは平行である。第1フィルタ97および第2フィルタ98の主面は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ97および第2フィルタ98の主面は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向(X軸方向)に対して45°傾斜している。
【0040】
次に、本実施の形態における光モジュール1の制御方法によって制御される光モジュール1の動作について説明する。
図3を参照して、赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光は、光路L
1に沿って進行する。このとき、第1フォトダイオード94の受光部94Aに赤色の光の一部が直接入射する。これにより赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて赤色の光の強度が調整される。第1フォトダイオード94上を通過した赤色の光は、第1レンズ91のレンズ部91Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光がコリメート光に変換される。第1レンズ91においてスポットサイズが変換された赤色の光は、光路L
1に沿って進行し、第1フィルタ97に入射する。第1フィルタ97は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード81から出射された光は光路L
2に沿ってさらに進行し、第2フィルタ98に入射する。そして、第2フィルタ98は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード81から出射された光は光路L
3に沿ってさらに進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0041】
緑色レーザダイオード82から出射された緑色の光は、光路L
4に沿って進行する。このとき、第2フォトダイオード95の受光部95Aに緑色の光の一部が直接入射する。これにより緑色レーザダイオード82から出射された緑色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて緑色の光の強度が調整される。第2フォトダイオード95上を通過した緑色の光は、第2レンズ92のレンズ部92Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば緑色レーザダイオード82から出射された緑色の光がコリメート光に変換される。第2レンズ92においてスポットサイズが変換された緑色の光は、光路L
4に沿って進行し、第1フィルタ97に入射する。第1フィルタ97は緑色の光を反射するため、緑色レーザダイオード82から出射された光は光路L
2に合流する。その結果、緑色の光は赤色の光と合波され、光路L
2に沿って進行し、第2フィルタ98に入射する。そして、第2フィルタ98は緑色の光を透過するため、緑色レーザダイオード82から出射された光は光路L
3に沿ってさらに進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0042】
青色レーザダイオード83から出射された青色の光は、光路L
5に沿って進行する。このとき、第3フォトダイオード96の受光部96Aに青色の光の一部が直接入射する。これにより青色レーザダイオード83から出射された青色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて青色の光の強度が調整される。第3フォトダイオード96上を通過した青色の光は、第3レンズ93のレンズ部93Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば青色レーザダイオード83から出射された青色の光がコリメート光に変換される。第3レンズ93においてスポットサイズが変換された青色の光は、光路L
5に沿って進行し、第2フィルタ98に入射する。第2フィルタ98は青色の光を反射するため、青色レーザダイオード83から出射された光は光路L
3に合流する。その結果、青色の光は赤色の光および緑色の光と合波され、光路L
3に沿って進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0043】
光モジュール1は、電子冷却モジュール(以下、TEC(Thermo−Electric Cooler)と称する場合もある。)30を含む。具体的には、光モジュール1は、光形成部20に含まれるベース板60とステム10との間に配置されるTEC30を含む。TEC30は、いわゆる熱電クーラーであり、吸熱板31と、放熱板32と、電極を挟んで吸熱板31と放熱板32との間にそれぞれ間隔を開けて並べて配置される複数の柱状の半導体柱33とを含む。吸熱板31および放熱板32は、たとえばアルミナからなっている。吸熱板31は、ベース板60の他方の主面60Bに接触して配置される。放熱板32は、ステム10の一方の主面10Aに接触して配置される。TEC30はペルチェモジュール(ペルチェ素子)である。そして、TEC30に電流を供給して電流を流すことにより、吸熱板31に接触するベース板60の熱がステム10へと移動し、ベース板60が冷却される。その結果、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度上昇を抑えることができる。なお、TEC30については、たとえば、光モジュール1がたとえば−(マイナス)40℃(摂氏)といった極低温の環境に配置された場合等、光モジュール1を加熱した方が赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の出力効率の観点から良い場合には、TEC30に逆方向の電流を流すことにより、温度の移動を逆転させてベース板60を加熱することもできる。また、TEC30の作動時においてTEC30自体も発熱する。TEC30の安定した作動を確保するために、TEC30の作動時に発生したTEC30の熱を取り除く必要がある。
【0044】
次に、光モジュール1が取り付けられる放熱システム101の構成について説明する。
図4を併せて参照して、放熱システム101は、TEC30の作動時にTEC30に発生した熱を放熱により取り除くために設けられる。放熱システム101は、ヒートシンク102と、押さえ板103と、ファン104と、コネクタ105とを含む。ヒートシンク102の材質としては、たとえばアルミニウム、鉄、銅などの伝熱特性の良い金属材料が選択される。なお、
図4中において、破線の矢印で光モジュール1の光の出射方向を示している。
【0045】
ヒートシンク102は、ベース部材106と、複数のフィン107とから構成されている。ベース部材106は、板状であって板厚方向(Z軸方向)から見た場合に矩形状である。より具体的には、ベース部材106は、平面的に見て正方形形状である。本実施の形態においては、ベース部材106の一辺は、約50mm(ミリメートル)である。
【0046】
ベース部材106の一方の主面106A側には、光モジュール1が配置される。ベース部材106の中央領域において、光モジュール1がベース部材106の一方の主面106A上に配置された際に複数のリードピン51に対応する位置には、板厚方向に貫通する貫通孔(図示せず)が複数のリードピン51の数だけ設けられている。したがって、ベース部材106の一方の主面106A上に光モジュール1を配置した際に、複数のリードピン51は、複数の貫通孔内に挿通するようにして配置されることとなる。なお、貫通孔の開孔の大きさについては、リードピン51を貫通孔に挿通させた際に、リードピン51とベース部材106とが接触しない大きさである。ベース部材106の一方の主面106Aの中央領域において、リードピン51を挿通させる複数の貫通孔のさらに外方側の領域には、押さえ板103を取り付けるために用いられる4つのねじ穴(図示せず)が設けられている。また、ベース部材106の四隅の角の領域には、板厚方向に貫通し、ファン104を取り付けるための4つのねじ穴108A、108B、108C、108Dが設けられている。
【0047】
ベース部材106の他方の主面106B側には、複数のフィン107が配置されている。各々のフィン107は薄板状であって、各々間隔を開けてベース部材106の他方の主面106B側に設けられている。各々のフィン107は、ベース部材106の他方の主面106B側から矢印D
1と逆の向きで示すZ軸方向の下側に向って延出するように設けられている。各々のフィン107の高さ、すなわち、ベース部材106の他方の主面106BからのZ軸方向の長さは、各々同じとなるように構成されている。ベース部材106および複数のフィン107を含めたヒートシンク102の厚みは、約10mmである。これら複数のフィン107を設けることにより、ヒートシンク102全体の表面積を大きくして、ヒートシンク102の放熱の性能を高めることとしている。なお、上記したTEC30は、ペルチェ素子によって構成されており、電流を流すことによりベース板60を冷却する機構であるのに対し、放熱システム101は、伝熱特性の良好な材料から構成されるヒートシンク102により、ヒートシンク102に当接するTEC30に発生した熱をヒートシンク102に伝熱させた後に放熱するものである。したがって、熱を取り除くシステムとして、TEC30と放熱システム101とは相違する。なお、放熱システム101については、ヒートシンク102におけるベース部材106および複数のフィン107の表面積が大きいほど、放熱の効率は高くなる。
【0048】
なお、ヒートシンク102については、ヒートシンク102自体の温度を検出するための熱電対が取り付けられている構成としてもよい。こうすることにより、取り付けられた熱電対によりヒートシンク102の温度を光形成部20が配置された環境温度として検出し、環境温度の温度情報として出力することができる。すなわち、出力されたヒートシンク102の温度情報を後に詳述する環境温度として、光形成部20の温度調整の際に利用することができる。取り付け箇所の一例としては、ベース部材106の主面106A上側の所定の位置が挙げられる。
【0049】
光モジュール1は、ヒートシンク102に含まれるベース部材106の一方の主面106Aの中央領域に位置するように、ベース部材106に取り付けられている。光モジュール1をベース部材106上に配置させた際に、一方の主面106A側に突出する複数のリードピン51に対応するベース部材106の位置には、上記した複数の貫通孔が設けられている。光モジュール1をベース部材106上に取り付けた際、複数のリードピン51のそれぞれとベース部材106とが接触しないよう取り付けられる。
【0050】
光モジュール1は、押さえ板103によってベース部材106に取り付けられる。押さえ板103の構成について説明すると、押さえ板103は、第1ガイド部103Aと、第2ガイド部103Bと、第3ガイド部103Cとを含む。第1ガイド部103A、第2ガイド部103Bおよび第3ガイド部103Cはそれぞれ、細く延びる薄板状である。押さえ板103は、それぞれに対して直交する方向に延びるように設けられた第1ガイド部103Aと第2ガイド部103Bとのそれぞれの端部同士、およびそれぞれに対して直交する方向に延びるように設けられた第2ガイド部103Bと第3ガイド部103Cとのそれぞれの端部同士が連なった形状である。押さえ板103のうち、第1ガイド部103A、第2ガイド部103Bおよび第3ガイド部103Cのそれぞれの端部の相当する位置に、板厚方向に貫通する4つの貫通孔(図示せず)が設けられている。押さえ板103は、この4つの貫通孔に合計4つのねじ109A、109B、109C、109Dを挿通させて、ベース部材106の一方の主面106A側に設けられた上記の4つのねじ穴に取り付けることによって、ヒートシンク102に取り付けられている。
【0051】
光モジュール1は、ステム10のうち、鍔状に突出した領域を押さえ板103とベース部材106とによって挟み込むようにして、ヒートシンク102に取り付けられている。第1ガイド部103Aは、キャップ40のうち、光の出射方向に直交する方向に位置する一方の側面(Y軸方向における一方の側面)側に配置される。第2ガイド部103Bは、キャップ40のうち、出射窓41が位置する側と反対側に位置する側面に側に配置される。第3ガイド部103Cは、キャップ40のうち、光の出射方向に直交する方向に位置する他方の側面(Y軸方向における他方の側面)側に配置される。すなわち、光モジュール1は、ベース部材106の一方の主面106A上において、押さえ板103によって、その位置決めがなされている。なお、光モジュール1の板厚方向の厚みは、押さえ板103の板厚方向の厚みよりも大きいため、光モジュール1は、押さえ板103よりもZ軸方向に突出した構成となる。また、光モジュール1は、ステム10の他方の主面10B側とベース部材106の一方の主面106Aとの間に放熱グリス(図示せず)を塗布して取り付けられる。こうすることにより、ステム10の他方の主面10Bとベース部材106の一方の主面106Aとの接触状態を良好にして、TEC30により発生した熱を効率的にヒートシンク102側に伝熱させることができる。
【0052】
ファン104は、ベース部材106の他方の主面106B側に配置されている。より具体的には、ファン104は、複数のフィン107のうちのベース部材106の他方の主面106B側の端部と反対の端部側に取り付けられている。ファン104に電流を供給して回転させることにより、フィン107側、具体的には、矢印D
1で示すZ軸方向の上側に向かって風を送ることができる。ファン104を作動させることにより、風をヒートシンク102側に送ってヒートシンク102を冷却させることができる。このファン104への電流の供給については、制御に基づいて行われる。もちろんファン104の作動時においても、電力を消費する。
【0053】
ヒートシンク102には、光モジュール1と外部との電気的な接続を確保するためのコネクタ105が設けられている。コネクタ105は、ヒートシンク102のうち、光モジュール1の光の出射方向と反対側に設けられている。図示はしないが、コネクタ105と光モジュール1に設けられている複数のリードピン51とは、電気的に接続されている。このコネクタ105を利用して、光モジュール1と外部との電気的な接続を確保し、光モジュール1側に外部から電流を供給したり、検出された光形成部20の温度情報等を取得することができる。
【0054】
次に、半導体発光素子である赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83に供給される電流とそれぞれの光出力との関係について説明する。
図5は、赤色レーザダイオード81に供給される電流と赤色レーザダイオード81の光出力との関係を赤色レーザダイオード81が配置される雰囲気の温度毎に示すグラフである。
図5中、縦軸は、赤色レーザダイオード81の光出力(mW(ミリワット))を示し、横軸は、赤色レーザダイオード81に供給される電流(mA(ミリアンペア))を示す。
図5において、線11Aは、雰囲気の温度が−40℃の場合を示し、線11Bは、雰囲気の温度が−20℃の場合を示し、線11Cは、雰囲気の温度が0℃の場合を示し、線11Dは、雰囲気の温度が10℃の場合を示し、線11Eは、雰囲気の温度が20℃の場合を示し、線11Fは、雰囲気の温度が30℃の場合を示し、線11Gは、雰囲気の温度が40℃の場合を示し、線11Hは、雰囲気の温度が50℃の場合を示し、線11Jは、雰囲気の温度が60℃の場合を示し、線11Kは、雰囲気の温度が70℃の場合を示す。
【0055】
図6は、緑色レーザダイオード82に供給される電流と緑色レーザダイオード82の光出力との関係を緑色レーザダイオード82が配置される雰囲気の温度毎に示すグラフである。
図6中、縦軸は、緑色レーザダイオード82の光出力(mW)を示し、横軸は、緑色レーザダイオード82に供給される電流(mA)を示す。
図6において、線12Aは、雰囲気の温度が−40℃の場合を示し、線12Bは、雰囲気の温度が−20℃の場合を示し、線12Cは、雰囲気の温度が0℃の場合を示し、線12Dは、雰囲気の温度が10℃の場合を示し、線12Eは、雰囲気の温度が20℃の場合を示し、線12Fは、雰囲気の温度が30℃の場合を示し、線12Gは、雰囲気の温度が40℃の場合を示し、線12Hは、雰囲気の温度が50℃の場合を示し、線12Jは、雰囲気の温度が60℃の場合を示し、線12Kは、雰囲気の温度が70℃の場合を示す。
【0056】
図7は、青色レーザダイオード83に供給される電流と青色レーザダイオード83の光出力との関係を青色レーザダイオード83が配置される雰囲気の温度毎に示すグラフである。
図7中、縦軸は、青色レーザダイオード83の光出力(mW)を示し、横軸は、青色レーザダイオード83に供給される電流(mA)を示す。
図7において、線13Aは、雰囲気の温度が−40℃の場合を示し、線13Bは、雰囲気の温度が70℃の場合を示す。
図7中のグラフにおいても、
図5および
図6と同様に雰囲気の温度が−20℃の場合、雰囲気の温度が0℃の場合、雰囲気の温度が10℃の場合、雰囲気の温度が20℃の場合、雰囲気の温度が30℃の場合、雰囲気の温度が40℃の場合、雰囲気の温度が50℃の場合、雰囲気の温度が60℃の場合のそれぞれを線で表している。しかし、各線が重なっているため、理解の容易の観点からそれらに付する符号を省略する。なお、重なっている線については、雰囲気の温度が−20℃の場合が最も線13Aに近く、雰囲気の温度が0℃の場合、雰囲気の温度が10℃の場合、雰囲気の温度が20℃の場合、雰囲気の温度が30℃の場合、雰囲気の温度が40℃の場合、雰囲気の温度が50℃の場合、雰囲気の温度が60℃の場合の順に線13Bに近づいている。
【0057】
図5〜
図7を参照して、各色において程度の差はあるものの同じ光出力を得るために必要な電流は、各色とも温度が高くなるにつれて大きくなる。たとえば
図5において、90mWの光出力を得たい場合、雰囲気の温度が10℃の場合は、供給される電流は140mAであるのに対し、雰囲気の温度が40℃の場合は、供給される電流は180mAとなる。そうすると、レーザダイオードの発熱量についても、温度が高くなるにつれて大きくなる。この傾向は、特に赤色レーザダイオード81の場合において顕著である。ここで、たとえば上記した光モジュール1が自動車に搭載される場合には、−40℃から105℃程度の広範な動作温度範囲において、安定して高精度な色彩の再現を図る必要がある。したがって、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含む光形成部20に対して、上記したTEC30による温度の制御が必要となる。
【0058】
次に、光形成部20が配置された環境の温度である環境温度とTEC30の消費電力との関係について説明する。
図8は、環境温度とTEC30の消費電力との関係を光形成部20の温度毎に示すグラフである。光形成部20の温度は、上記したサーミスタ43によって検出され、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報として出力されるものである。なお、サーミスタ43によって検出される光形成部20の温度は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度がその温度となるように設定された温度である。すなわち、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度がサーミスタ43によって検出される温度となるようにTEC30を作動させ、その時にTEC30によって消費される電力を
図8においてプロットしている。ただし、光形成部20上の温度には分布があり、厳密にはサーミスタ43によって検出される温度と、実際の赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の各々の温度は一致しない。
図8中、縦軸はTEC30の消費電力(W)を示し、横軸は環境温度(℃)を示す。環境温度については、上記の熱電対42により検出された光形成部20が配置された環境の温度であり、環境温度の温度情報として出力されたものである。線14Aは、光形成部20の温度が10℃の場合を示し、線14Bは、光形成部20の温度が35℃の場合を示し、線14Cは、光形成部20の温度が50℃の場合を示し、線14Dは、光形成部20の温度が60℃の場合を示す。
【0059】
図8を参照して、たとえば光形成部20の温度が35℃であって環境温度が70℃の場合、TEC30の消費電力は、5Wを超える程となり非常に大きくなる。すなわち、光形成部20の温度と環境温度との温度差が大きくなれば、TEC30の消費電力が大きくなる。そうすると、TEC30の消費電力の増大に伴い、TEC30の発熱量も大きくなる。この傾向は、光形成部20の温度が50℃の場合および60℃の場合も同様である。TEC30の発熱量が大きくなると、上記したファン104を頻繁に作動させる必要が生じる場合もあり、さらなる消費電力の増大となってしまう。また、ヒートシンク102のサイズの小型化を図ることが困難となる。したがって、TEC30の消費電力を小さくしてTEC30からの発熱量を小さくするためには、環境温度と光形成部20との温度差を小さくする必要がある。
【0060】
次に、本実施の形態に係る光モジュール1の制御方法について説明する。光モジュール1の制御方法は、半導体発光素子を含む発光ユニットとしての光形成部20の温度をサーミスタ43によって検出し、半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力するステップと、光形成部20が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するステップと、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報および環境温度の温度情報に基づいて、TEC30の出力を制御し、光形成部20の温度を調整するステップとを備える。
【0061】
図9は、本発明の実施の形態に係る光モジュール1の制御方法における代表的なステップを示すフローチャートである。
図9を参照して、まず、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含む発光ユニットである光形成部20の温度を検出する(
図9において、ステップS11、以下、「ステップ」を省略する)。この場合、上記したサーミスタ43によって光形成部20の温度を検出する。次に、検出された温度から赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力する(S12)。この温度情報については、サーミスタ43によって検出された温度と同じ温度とする。スタートからこのステップまでが、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力するステップである。
【0062】
その後、光形成部20が配置された環境の温度である環境温度を検出する(S13)。ここでは、上記した熱電対42によって検出される。次に、熱電対42によって検出された環境温度から環境温度の温度情報を出力する(S14)。この温度情報については、熱電対42によって検出された温度と同じ温度とする。赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力するステップが終わってからこのステップまでが、環境温度の温度情報を出力するステップである。
【0063】
その後、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報および環境温度の温度情報に基づいて、TEC30の出力を制御し、光形成部20の温度を調整するステップへ進む。このステップを温度調整ステップとする。
【0064】
図10は、環境温度とTEC30の消費電力との関係を光形成部20の温度毎に示すグラフである。
図10中、縦軸はTEC30の消費電力(W)を示し、横軸は環境温度(℃)を示す。線15Aは、光形成部20の温度が10℃の場合を示し、線15Bは、光形成部20の温度が35℃の場合を示し、線15Cは、光形成部20の温度が50℃の場合を示し、線15Dは、光形成部20の温度が60℃の場合を示す。
図10に示すグラフのデータを取得した光モジュール1の駆動条件については、以下の通りである。すなわち、電流としては、CW(Continuous Wave)(無変調連続波)を供給し、赤色レーザダイオード81の光出力を90mW、緑色レーザダイオード82の光出力を60mW、青色レーザダイオード83の光出力を50mWとしている。環境温度は、キャップ40に取り付けられた熱電対42により検出された温度である。
【0065】
併せて
図10を参照して、温度調整ステップは、まず、環境温度が
図10に示す第1環境温度範囲16Aである−40℃以上−20℃未満にある場合には(S15において、YES)、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整する(S16)。この場合の第1半導体発光素子温度範囲としては、10℃が設定される。すなわち、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を10℃とするように光形成部20の温度を調整する。
【0066】
温度調整ステップは、環境温度が第1環境温度範囲16Aにない場合(S15において、NO)であって、環境温度が第1環境温度範囲16Aよりも高い第2環境温度範囲16Bである−20℃以上70℃未満にある場合(S17において、YES)には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整する(S18)。この場合の第2半導体発光素子温度範囲としては、35℃が設定される。すなわち、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を35℃とするように光形成部20の温度を調整する。
【0067】
なお、この実施の形態においては、温度調整ステップは、さらに多段階で光形成部20の温度を調整している。具体的には、温度調整ステップは、以下に示すように合計4段階で光形成部20の温度を調整している。
【0068】
温度調整ステップは、環境温度が第2環境温度範囲16Bにない場合(S17において、NO)であって、環境温度が第2環境温度範囲16Bよりも高い第3環境温度範囲16Cである70℃以上90℃未満にある場合(S19において、YES)には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第2半導体発光素子温度範囲よりも高い第3半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整する(S20)。この場合の第3半導体発光素子温度範囲としては、50℃が設定される。すなわち、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を50℃とするように光形成部20の温度を調整する。
【0069】
さらに温度調整ステップは、環境温度が第3環境温度範囲16Cにない場合(S19において、NO)であって、環境温度が第3環境温度範囲16Cよりも高い第4環境温度範囲16Dである90℃以上105℃以下にある場合(S21において、YES)には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第3半導体発光素子温度範囲よりも高い第4半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整する(S22)。この場合の第4半導体発光素子温度範囲としては、60℃が設定される。すなわち、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を60℃とするように光形成部20の温度を調整する。
【0070】
温度調整ステップは、このようにして光形成部20の温度を調整するよう制御する。この場合、第1環境温度範囲16A〜第4環境温度範囲16Dの広い温度範囲に亘って、TEC30における消費電力を5W未満とすることができる。
【0071】
その後、光形成部20の温度を調整するステップにおいて調整される赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲に対応して、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83に供給する電流を制御することにより、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の出力を調整する(S23)。具体的には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83における光出力は、APC(Automatic Power Control(自動電力制御回路))(図示せず)を駆動させ、電流を変えて一定にするようにする。
【0072】
ここで、出力が調整された赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の消費電力と温度との関係について説明する。
図11は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の消費電力と温度との関係を示すグラフである。縦軸は各レーザダイオードの消費電力(W)を示し、横軸はサーミスタ43により検出される温度(℃)を示す。サーミスタ43により検出される温度は、光形成部20の温度であり、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度である。
図11を参照して、線17Aで示す赤色レーザダイオード81の場合、光形成部20の温度が上昇するにつれて、赤色レーザダイオード81の消費電力もやや上昇する。しかし、その上昇分は、上記した光モジュール1の制御方法によって低減されたTEC30の消費電力と比較して、非常に小さいものである。線17Bで示す緑色レーザダイオード82の場合については、光形成部20の温度が上昇するにつれて、緑色レーザダイオード82の消費電力も若干上昇するが、赤色レーザダイオード81よりもその上昇の度合いは小さいものとなる。線17Cで示す青色レーザダイオード83の場合については、光形成部20の温度が上昇しても、ほとんど青色レーザダイオード83の消費電力は変わらない。そして、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の総消費電力についても、2W未満とすることができる。
【0073】
したがって、半導体発光素子温度範囲を上昇させたとしても、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の総消費電力は若干上昇するものの、TEC30の消費電力を大きく低減することができ、全体として消費電力の低減を図ることができる。具体的には、総消費電力を10W未満に抑えることができ、ヒートシンク102の小型化を図ることができる。
【0074】
なお、上記した
図9におけるS21において、環境温度が第4環境温度範囲16Dにない場合(S21において、NO)には、環境温度が−40℃から105℃までの範囲にないこととなる。この場合、たとえば、エラー処理を行う(S24)。
【0075】
このように、本願発明の上記した実施の形態に係る光モジュール1の制御方法によれば、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0076】
また、上記した光モジュール1は、以下の構成を備える。すなわち、上記した光モジュール1は、ベース部材としてのベース板60およびベース板60上に搭載される半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含み、光を形成する発光ユニットとしての光形成部20と、光形成部20からの光を透過する出射窓41を有し、光形成部20を取り囲む保護部材としてのキャップ40およびステム10と、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度を調整するTEC30と、光形成部20の温度を検出する発光ユニット温度検出部としてのサーミスタ43と、光形成部20が配置された環境の温度を検出する環境温度検出部としての熱電対42とを備える。
【0077】
このような光モジュール1によると、TEC30により、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度を調整することができる。ここで、サーミスタ43により、光形成部20の温度を検出することができる。また、熱電対42により、光形成部20が配置された環境の温度を検出することができる。そして、検出された光形成部20の温度および光形成部20が配置された環境の温度を利用して、検出された発光ユニットの温度および発光ユニットが配置された環境の温度を利用して、システムサイズの小型化および消費電力の低減をより適切に実現可能とすることができる。
【0078】
具体的には、サーミスタ43により検出された光形成部20の温度から赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力し、熱電対42により検出された光形成部20が配置された環境温度から温度情報を出力し、出力された赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報および環境温度の温度情報に基づいて、TEC30の出力を制御する。ここで、TEC30の出力の制御に際し、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整する。このようにすることにより、TEC30による温度調整の際の消費電力の低減を図ることができる。なお、もちろんこの場合も、環境温度範囲を4つに分割して制御することとしてもよい。
【0079】
また、このような光モジュール1は、キャップ40の外周面に熱電対42が取り付けられているため、光形成部20が配置された環境温度をより正確に検出することができ、より適切に消費電力の低減を図ることができる。
【0080】
なお、上記の実施の形態においては、環境温度範囲を4つに分割して制御することとしたが、これに限らず、環境温度範囲を3つに分割して制御することにしてもよいし、環境温度範囲を2つに分割して制御することにしてもよい。環境温度範囲を2つに分割する場合には、たとえば、第1環境温度範囲として、上記した第1環境温度範囲16Aおよび第2環境温度範囲16Bを足し合わせた範囲、具体的には−40℃以上70℃未満とし、第2環境温度範囲を上記した第3環境温度範囲16Cおよび第4環境温度範囲16Dを足し合わせた範囲、具体的には70℃以上105℃以下とすることもできる。また、環境温度範囲を5つ以上に分割して制御することにしてもよい。こうすることにより、より緻密な温度制御を行うことができ、消費電力の効率的な低減を図ることができる。
【0081】
また、上記の実施の形態においては、第1半導体発光素子温度範囲1等を10℃といった範囲とすることとしたが、これに限らず、たとえば、5℃〜15℃といった温度の幅を持たせて制御することとしてもよい。
【0082】
なお、上記の実施の形態において、第1半導体発光素子温度範囲および第2半導体発光素子温度範囲は、中心値に対して±3℃以内の温度範囲であるようにしてもよい。すなわち、たとえば、上記した第2半導体発光素子温度範囲の場合、中心値35℃に対して32℃以上38℃以下とする。こうすることにより、より適切な制御を行うことができる。
【0083】
また、上記の実施の形態において、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含む光形成部20の温度を検出し、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力するステップと、光形成部20が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するステップとの順序については、特に限られず、逆の順序であってもよいし、同時に行ってもよい。より高精度な制御を行うためには、両ステップをできるだけ近い時間で行うことが好ましい。
【0084】
なお、上記の実施の形態において、赤色レーザダイオード81のみを備える光モジュール1において上記した制御を行うこととしてもよいし、緑色レーザダイオード82のみを備える光モジュール1や、青色レーザダイオード83のみを備える光モジュール1において上記した制御を行ってもよい。さらには、赤外レーザダイオードを備える光モジュール1についても適用することができる。
【0085】
また、上記の実施形態において、熱電対42によって検出される温度を環境温度としたが、ヒートシンク102の温度を環境温度としてもよいし、光モジュール1及び放熱システム101が設置された雰囲気温度を環境温度としてもよい。また、熱電対42が取り付けられる位置については、出射窓41が設けられている外周面40Aに限らず、例えば、キャップ40のうちの出射窓41が設けられている外周面40Aと垂直な方向に交差する面に取り付けられていてもよい。
【0086】
なお、上記の実施の形態においては、半導体発光素子は、半導体レーザであることとしたが、これに限らず、半導体発光素子は、たとえば発光ダイオードであってもよい。
【0087】
なお、上記した実施の形態に係る光モジュール1の制御方法を実現する光モジュールユニットについては、たとえば以下のような構成が挙げられる。
図12は、光モジュール1の制御方法を実現する光モジュールユニットの一例を示すブロック図である。
図12を参照して、光モジュールユニット110は、処理部としてのコントローラ111と、上記した光モジュール1と、上記した放熱システム101とを備える。コントローラ111は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、一時的にデータを記憶する記憶部としての主記憶メモリ(図示せず)等を含む。コントローラ111は、光モジュールユニット110全体の制御を行う。コントローラ111は、放熱システム101の制御、たとえば、ファン104の作動の制御を行う。コントローラ111は、放熱システム101に備えられるコネクタ105を通じて光モジュール1と電気的に接続されている。コントローラ111は、上記した光モジュール1の制御方法における処理を実現する。具体的には、コントローラ111は、半導体発光素子を含む発光ユニットの温度を検出し、半導体発光素子の温度情報を出力するよう処理する第1処理部111Aと、発光ユニットが配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するよう処理する第2処理部111Bと、第1処理部111Aにより出力するよう処理された半導体発光素子の温度情報および第2処理部111Bにより出力するよう処理された環境温度の温度情報に基づいて、電子冷却モジュールの出力を制御し、発光ユニットの温度を調整する第3処理部111Cとを備える。そして、発光ユニットの温度を調整する第3処理部111Cでは、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、半導体発光素子の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように発光ユニットの温度を調整する。なお、この場合、第1処理部111Aは、所定のタイミングにおいて光モジュール1に含まれるサーミスタ43を利用して、半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含む発光ユニットとしての光形成部20の温度を検出し、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力するよう処理する。また、第2処理部111Bは、所定のタイミングにおいて光モジュール1に含まれる熱電対42を利用して、発光ユニットとしての光形成部20が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するよう処理する。このような構成としてもよい。
【0088】
また、光モジュールユニットは、上記した放熱システム101等を省略した以下のような構成であってもよい。
図13は、この発明の他の実施形態に係る光モジュールユニット3の構成を示す概略斜視図である。
図14は、
図13に示す光モジュールユニット3に含まれるコントローラの構成を示すブロック図である。
【0089】
図13および
図14を参照して、この発明の他の実施形態に係る光モジュールユニット3は、上記した構成の光モジュール1、すなわち、ベース部材としてのベース板60と、ベース板60上に搭載される半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含み、光を形成する発光ユニットとしての光形成部20および赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度を調整するTEC30を含む光モジュール1と、光モジュール1を制御するコントローラ4とを含む。なお、
図13中において、コントローラ4を一点鎖線で示している。コントローラ4は、光形成部20の温度を検出し、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報を出力するよう処理する第1処理部4Aと、光形成部20が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力する第2処理部4Bと、第1処理部4Aにより出力された赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度情報および第2処理部4Bにより出力された環境温度の温度情報に基づいて、TEC30の出力を制御し、光形成部20の温度を調整する第3処理部4Cとを備える。第3処理部4Cは、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように光形成部20の温度を調整する。このような構成の光モジュールユニット3によっても、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0090】
また、この発明のさらに他の実施形態に係る光モジュールユニットは、以下の構成としてもよい。すなわち、
図15を参照して、光モジュールユニット5に含まれる光モジュール1は、上記した熱電対42を備えない構成であり、その他の構成については、上記した
図1に示す場合と同様である。この場合、第2処理部4Bは、光形成部20が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するに際し、光モジュール1が設置された箇所の雰囲気の温度を環境温度として検出し、環境温度の温度情報を出力するようにする。このように構成することによっても、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0091】
また、上記した光モジュールの構成については、以下に示す構成のものについても適用される。
図16、
図17および
図18は、この発明の他の実施形態に係る光モジュールの制御方法において制御される光モジュールの構成を示す図である。
図17は、
図16のキャップ140を取り外した状態に対応する図である。
図18は、
図17の線分XVIII−XVIIIに沿う断面図である。
【0092】
図16〜
図18を参照して、本実施の形態における光モジュール102は、円盤の形状を有するステム112と、ステム112の一方の主面112A上に配置され、光を形成する発光ユニットとしての光形成部120と、光形成部120を覆うようにステム112の一方の主面112A上に接触して配置され、一方の主面112A側および他方の主面112B側の両側に突出する複数のリードピン151とを備えている。ステム112とキャップ140とは、たとえばYAG(Yittrium Aluminium Garnet)レーザ溶接、抵抗溶接などの手法により溶接され、気密状態とされている。すなわち、光形成部120は、ステム112とキャップ140とによりハーメチックシールされている。
【0093】
ステム112とキャップ140とにより取り囲まれる空間には、たとえば乾燥空気、乾燥窒素などの水分が低減(除去)された気体が封入されている。キャップ140には、光形成部120からの光を透過する貫通孔である出射窓141が形成されている。出射窓141には、主面が互いに平行な平板状の形状(円盤状の形状)を有し、光形成部120において形成された光を透過する透過板142が配置されている。透過板142は、たとえばガラスからなっている。ステム112およびキャップ140は、保護部材を構成する。
【0094】
キャップ140には、キャップ140の温度を検出するための熱電対146が樹脂モールドされて設けられている。熱電対146は、キャップ40のうち、出射窓141が設けられた面に取り付けられている。すなわち、熱電対146は、キャップ140の外周面140Aに取り付けられている。この熱電対146により、光形成部120が配置された雰囲気の温度を環境温度として検出し、環境温度の温度情報として出力することができる。光形成部120が配置された雰囲気の温度は、光モジュール102が配置された雰囲気の温度でもある。
【0095】
図17を参照して、光形成部120は、矩形の板状のベース部材であるベース板160と、半円柱状の形状を有する、同じくベース部材であるベースブロック161とを含む。ベース板160とベースブロック161との間には、上記した
図2等に示すTEC30と同様の構成の電子冷却モジュールであるTEC130が配置されている。ベースブロック161は、半円形状を有する底面において、ステム112の一方の主面112Aに固定されている。ベース板160は、TEC130を介在させてベースブロック161に取り付けられている。すなわち、ベース板160とベースブロック161との間にTEC130が配置される構成である。ベース板160およびTEC130のそれぞれとステム112の一方の主面112Aとの間には、微小の隙間が設けられており、ベース板160およびTEC130のそれぞれとステム112の一方の主面112Aとが接触しないよう構成されている。搭載面160Aは、ステム112の一方の主面112Aに対して交差するように、より具体的には垂直に配置される。ステム112の一方の主面112Aおよび他方の主面112Bは、X−Y平面に沿う。搭載面160Aは、X−Z平面に沿う。
【0096】
搭載面160A上には、平板状の第1サブマウント171が配置されている。そして、第1サブマウント171上に、赤色レーザダイオード181が配置されている。赤色レーザダイオード181は、赤色の光を出射する。第1サブマウント171および赤色レーザダイオード181は、赤色レーザダイオード181からの光が搭載面160Aの一の辺に沿って出射されるように配置される。
【0097】
搭載面160A上には、平板状の第2サブマウント172が配置されている。そして、第2サブマウント172上に、緑色レーザダイオード182が配置されている。緑色レーザダイオード182は、緑色の光を出射する。第2サブマウント172および緑色レーザダイオード182は、緑色レーザダイオード182からの光が搭載面160Aの上記一の辺に交差する他の辺に沿って出射されるように配置される。第2サブマウント172および緑色レーザダイオード182は、緑色レーザダイオード182からの光が、赤色レーザダイオード181からの光と交差する方向(直交する方向)に出射されるように配置される。
【0098】
搭載面160A上には、平板状の第3サブマウント173が配置されている。そして、第3サブマウント173上に、青色レーザダイオード183が配置されている。青色レーザダイオード183は、青色の光を出射する。第3サブマウント173および青色レーザダイオード183は、青色レーザダイオード183からの光が搭載面160Aの上記他の辺に沿って出射されるように配置される。第3サブマウント173および青色レーザダイオード183は、青色レーザダイオード183からの光が、赤色レーザダイオード181からの光と交差する方向(直交する方向)に出射されるように配置される。第3サブマウント173および青色レーザダイオード183は、青色レーザダイオード183からの光が、緑色レーザダイオード182からの光に沿った方向(緑色レーザダイオード182からの光に平行な方向)に出射されるように配置される。
【0099】
赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の光軸の高さ(搭載面160Aを基準面とした場合の基準面と光軸との距離;Y軸方向における基準面との距離)は、第1サブマウント171、第2サブマウント172および第3サブマウント173により調整されて一致している。赤色レーザダイオード181は、Z方向に光を出射する。緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183は、X方向に光を出射する。赤色レーザダイオード181の光の出射方向と緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の光の出射方向とは交差する。より具体的には、赤色レーザダイオード181の光の出射方向と緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の光の出射方向とは直交する。青色レーザダイオード183の設置面である第3サブマウント173の主面、緑色レーザダイオード182の設置面である第2サブマウント172の主面および赤色レーザダイオード181の設置面である第1サブマウント171の主面は、互いに平行である。
【0100】
搭載面160A上には、サーミスタ143が配置されている。サーミスタ143は、搭載面160Aのうち、ステム112の一方の主面120Aに近い側であって、第1サブマウント171、第2サブマウント172および第3サブマウント、後述する第1フィルタ191および第2フィルタ192が設けられた位置を避けた位置に配置されている。サーミスタ143は、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183を含む光形成部120の温度を検出し、光形成部120の温度情報を出力する。
【0101】
赤色レーザダイオード181を出射した光と緑色レーザダイオード182を出射した光とが交差する位置に対応する搭載面160A上の領域に、第1フィルタ191が配置される。赤色レーザダイオード181を出射した光と青色レーザダイオード183を出射した光とが交差する位置に対応する搭載面160A上の領域に、第2フィルタ192が配置される。第1フィルタ191および第2フィルタ192は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。第1フィルタ191および第2フィルタ192は、たとえば波長選択性フィルタである。第1フィルタ191および第2フィルタ192は、誘電体多層膜フィルタである。
【0102】
第1フィルタ191は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第2フィルタ192は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。このように、第1フィルタ191および第2フィルタ192は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。その結果、第1フィルタ191および第2フィルタ192は、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183から出射された光を合波する。
【0103】
第1フィルタ191および第2フィルタ192の主面は、Z方向およびX方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ191および第2フィルタ192の主面は、Z方向(赤色レーザダイオード181の出射方向)およびX方向(緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の出射方向)に対して45°傾斜している。
【0104】
赤色レーザダイオード181から出射される光は、レンズを通過することなく第1フィルタ191および第2フィルタ192に到達する。緑色レーザダイオード182から出射される光は、レンズを通過することなく第1フィルタ191および第2フィルタ192に到達する。青色レーザダイオード183から出射される光は、レンズを通過することなく第2フィルタ192に到達する。すなわち、赤色レーザダイオード181と第1フィルタ191との間には、レンズは配置されない。また、緑色レーザダイオード182と第1フィルタ191との間には、レンズは配置されない。さらに、青色レーザダイオード183と第2フィルタ192との間には、レンズは配置されない。赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183からの光は、レンズを通過することなく出射窓141に到達する。
【0105】
次に、本実施の形態における光モジュール102の動作について説明する。
図18を参照して、赤色レーザダイオード181から出射された赤色の光は、光路L
11に沿って進行し、第1フィルタ191に入射する。第1フィルタ191は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード181から出射された光は光路L
12に沿ってさらに進行し、第2フィルタ192に入射する。そして、第2フィルタ192は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード181から出射された光は光路L
13に沿ってさらに進行し、キャップ140の出射窓141に配置された透過板142を通って光モジュール102の外部へと出射する。
【0106】
緑色レーザダイオード182から出射された緑色の光は、光路L
14に沿って進行し、第1フィルタ191に入射する。第1フィルタ191は緑色の光を反射するため、緑色レーザダイオード182から出射された光は光路L
12に合流する。その結果、緑色の光は赤色の光と同軸に合波され、光路L
12に沿って進行し、第2フィルタ192に入射する。そして、第2フィルタ192は緑色の光を透過するため、緑色レーザダイオード182から出射された光は光路L
13に沿ってさらに進行し、キャップ140の出射窓141に配置された透過板142を通って光モジュール102の外部へと出射する。
【0107】
青色レーザダイオード183から出射された青色の光は、光路L
15に沿って進行し、第2フィルタ192に入射する。第2フィルタ192は青色の光を反射するため、青色レーザダイオード183から出射された光は光路L
13に合流する。その結果、青色の光は赤色の光および緑色の光と合波され、光路L
13に沿って進行し、キャップ140の出射窓141に配置された透過板142を通って光モジュール102の外部へと出射する。
【0108】
このようにして、キャップ140の出射窓141から、赤色、緑色および青色の光が合波されて形成された光が出射する。ここで、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183から出射される光は発散光である。そして、第1フィルタ191および第2フィルタ192は、レンズを通ることなく第1フィルタ191および第2フィルタ192に到達した光を同軸に合波する。すなわち、第1フィルタ191および第2フィルタ192は、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183からの発散光を直接受けて同軸に合波する。
【0109】
なお、第1フィルタ191および第2フィルタ192の位置および向きは、たとえばリファレンスレンズおよびCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いて赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183からの光が所定の基準点に一致するように、第1フィルタ191および第2フィルタ192が調整される。その後、キャップ140がステム112に取り付けられる。
【0110】
このような構成の光モジュール102の制御方法についても、上記した構成が採用される。すなわち、光モジュール102の制御方法は、半導体発光素子としての赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183を含む発光ユニットとしての光形成部120の温度を検出し、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度情報を出力するステップと、光形成部120が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力するステップと、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度情報および環境温度の温度情報に基づいて、TEC130の出力を制御し、光形成部120の温度を調整するステップとを備える。光形成部120の温度を調整するステップでは、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように光形成部120の温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように光形成部120の温度を調整する。このような光モジュールの制御方法によっても、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。なお、もちろんこの場合も、上記したように環境温度範囲を4つ等に分割して制御することとしてもよい。
【0111】
また、このような構成の光モジュール102を備える光モジュールユニットについては、以下の通りである。すなわち、
図19に示すように、光モジュールユニット5は、上記した構成の光モジュール102と、すなわち、ベース部材としてのベース板160およびベースブロック161と、ベース板160上に搭載される半導体発光素子としての赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183を含み、光を形成する発光ユニットとしての光形成部120および赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度を調整するTEC130を含む光モジュール102と、光モジュール102を制御するコントローラ4とを含む。コントローラ4は、光形成部120の温度を検出し、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度情報を出力するよう処理する第1処理部4Aと、光形成部120が配置された環境の温度である環境温度を検出し、環境温度の温度情報を出力する第2処理部4Bと、第1処理部4Aにより出力された赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度情報および第2処理部4Bにより出力された環境温度の温度情報に基づいて、TEC130の出力を制御し、光形成部120の温度を調整する第3処理部4Cとを備える。第3処理部4Cは、環境温度が第1環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲とするように光形成部120の温度を調整し、環境温度が第1環境温度範囲よりも高い第2環境温度範囲にある場合には、赤色レーザダイオード181、緑色レーザダイオード182および青色レーザダイオード183の温度範囲を第1半導体発光素子温度範囲よりも高い第2半導体発光素子温度範囲とするように光形成部120の温度を調整する。このような構成の光モジュールユニット5によっても、システムサイズの小型化を図りながら、消費電力の低減を図ることができる。
【0112】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。