(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め部は、前記一対の腕部が前記嵌合部の拡径を規制していない待機状態においても、前記後方部に前記コネクタ幅方向で対向し、前記後方部の前記コネクタ幅方向への移動を抑制する、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
前記ロック部材は、前記規制状態の位置と、前記一対の腕部が前記嵌合部の拡径を規制しない待機状態の位置とを相互に移動可能となるように前記第1コネクタに装着されており、
前記一対の腕部の先端は、前記待機状態の位置では、前記ロック部材の移動方向において、前記嵌合部の中心を超えない、請求項1〜3のいずれか一項記載の電気コネクタ。
前記ロック部材は、前記規制状態の位置と、前記一対の腕部が前記嵌合部の拡径を規制しない待機状態の位置とを相互に移動可能となるように前記第1コネクタに装着されており、
前記第1コネクタは、前記ロック部材の移動方向に延びて前記ロック部材の移動を補助するレール部を有し、
前記位置決め部における前記後方部に対向する面は、前記レール部における前記コネクタ幅方向の外方の面よりも、前記コネクタ幅方向において内方に位置している、請求項1〜4のいずれか一項記載の電気コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
[電気コネクタの概要]
図1を参照して、電気コネクタの概要について説明する。
図1に示されるように、電気コネクタ1は、プラグコネクタ10(第1コネクタ)と、ロック部材30とを備える。電気コネクタ1は、ケーブル状の信号伝送媒体を基板の電気回路に電気的に接続するコネクタであり、例えばRF(Radio Frequency)コネクタである。信号伝送媒体とは、携帯電話等の種々の電子機器の信号を伝送する媒体であり、例えば同軸ケーブルSCである。基板とは、例えば印刷配線基板200である。すなわち、本実施形態の電気コネクタ1は、同軸ケーブルSCを印刷配線基板200の電気回路に電気的に接続する同軸型電気コネクタである。電気コネクタ1では、同軸ケーブルSCの端末部分に取り付けられたプラグコネクタ10が、印刷配線基板200に実装された相手コネクタであるリセプタクルコネクタ100(第2コネクタ)と嵌合することにより、同軸ケーブルSCと印刷配線基板200の電気回路とを電気的に接続する。
【0019】
なお、以下の説明においては、同軸ケーブルSCの軸方向を「X方向」、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ100が嵌合する際における、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ100の嵌合方向を「Z方向」、X方向及びZ方向に直交する方向を「Y方向」として説明する場合がある。また、X方向に関して、同軸ケーブルSCにおけるプラグコネクタ10が取り付けられた端部を「先端」、反対の端部を「後端」(基端)として説明する場合がある。よって、同軸ケーブルSCの先端から基端に向かう方向を「後方」として説明する場合がある。また、Z方向に関して、例えば
図1に示した状態のプラグコネクタ10側を「上」、リセプタクルコネクタ100側を「下」として説明する場合がある。
【0020】
[プラグコネクタ]
次に、
図2(a)〜
図2(d)を参照して、プラグコネクタ10の詳細について説明する。プラグコネクタ10は、同軸ケーブルSCの先端部分(一端)に取り付けられたコネクタである。
図2(a)〜
図2(d)に示されるように、プラグコネクタ10は、導電性の外部導体シェル11(第1コンタクト)と、絶縁性の絶縁ハウジング12と、内部導体コンタクト13とを備える。以下、プラグコネクタ10が取り付けられる同軸ケーブルSC、並びに、プラグコネクタ10を構成する外部導体シェル11、絶縁ハウジング12、及び内部導体コンタクト13について、詳細に説明する。
【0021】
(同軸ケーブル)
同軸ケーブルSCは、携帯電話等の小型端末に内蔵される各種の信号処理要素(例えば、アンテナ、アンテナを制御する制御チップ、基板等)間で高周波信号を伝送するために、当該小型端末内において用いられる配線である。同軸ケーブルSCは、内部導体SC1(
図2(c)参照)と、内部導体SC1の周囲に設けられた絶縁体と、絶縁体の周囲に設けられた外部導体と、外部導体の周囲に設けられた保護被膜とを備える。同軸ケーブルSCは、プラグコネクタ10が取り付けられる先端に向かうにつれて、外部導体、絶縁体及び内部導体SC1がこの順に段状に露出される。
【0022】
本実施形態では、内部導体SC1が、内部導体コンタクト13を介して、印刷配線基板200の信号端子201に接続されたリセプタクルコネクタ100の信号コンタクト部材102(
図1参照)に電気的に接続されることにより、信号伝送回路が構成されている。また、同軸ケーブルSCの外部導体が、外部導体シェル11を介して、印刷配線基板200のグランド端子202に接続されたリセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103(
図1参照)に電気的に接続されことにより、グランド回路が構成されている。
【0023】
(外部導体シェル)
外部導体シェル11は、同軸ケーブルSCの外部導体に電気的に接続される導電性のグランドコンタクト部材である。外部導体シェル11は、
図2(d)に示されるように、絶縁ハウジング12の周囲を覆うように設けられる。外部導体シェル11は、相手方のコネクタであるリセプタクルコネクタ100(第2コネクタ)のグランドコンタクト部材103(コンタクト,
図1参照)に電気的に接続されて、グランド回路を構成する。外部導体シェル11は、例えば、薄板状の金属部材から形成されている。外部導体シェル11は、嵌合部11aと、蓋部11bと、レール部11eと、第1固定部11p(後方部)と、第2固定部11qと、を有している。
【0024】
嵌合部11aは、Z方向を軸方向とする円筒形状(筒状)に形成されており、その筒孔内に絶縁ハウジング12を同軸状に収容する。嵌合部11aの内周面は、絶縁ハウジング12の外周面と近接している。嵌合部11aの下端寄りには、その全周に亘って径方向の内方(嵌合部11aの円筒形状の中心に向けた方向)に突出した突出部11cを有する(
図2(c)参照)。嵌合部11aは、突出部11cがリセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103の外周に形成された凹部103a(
図1参照)と係合することにより、リセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103(
図1参照)に嵌合される。嵌合部11aは、リセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103に対する挿抜時に外径が拡径される構成である。嵌合部11aの拡径していない状態での外径は、例えば2.5mm程度であり、拡径している状態での外径は、例えば2.7mm程度である。嵌合部11aは、拡径してはじめて、グランドコンタクト部材103に対して挿抜可能とされるものであり、拡径していない状態においては、グランドコンタクト部材103に対して挿抜不可とされている。
【0025】
蓋部11bは、
図2(a)に示されるように、嵌合部11aの上方の開口部分を閉じるように覆っている部分である。蓋部11bは、嵌合部11aに一体的に設けられている。蓋部11bには、X方向に延びるレール部11eが設けられている。レール部11eは、蓋部11bと一体的に設けられており、X方向に沿って延びている。レール部11eは、蓋部11bのX方向略全長に設けられている。レール部11eは、蓋部11bのY方向の両端に設けられている。レール部11eは、
図2(a)に示されるように、蓋部11bとの連結部分である連結部11jと、連結部11jに連続すると共にZ方向(嵌合方向)に延びる壁部11kとを有する。壁部11kは、ロック部材30のガイド部33(後述)がスライドする際に、そのロック部材30に当接しロック部材30の移動を補助する部分である(
図6(b)参照)。
【0026】
第1固定部11pは、
図2(a)に示されるように、蓋部11bに連続するように蓋部11bの後方(すなわち嵌合部11aの後方)に位置しており、同軸ケーブルSCに対してプラグコネクタ10を取り付ける金属製の固定部である。第1固定部11pは、同軸ケーブルSCに沿って設けられている。第1固定部11pは、折り曲げ可能に構成されており、折り曲げられる前の状態において、U字状に形成された板状部材である。第1固定部11pにおけるY方向外方の面である外壁面11yは、
図2(d)に示されるように、Y方向において、レール部11eにおけるY方向外方の面である外壁面11xよりも内方に位置している。当該外壁面11xと外壁面11yとは、
図2(a)に示されるように、連結部11zを介して連続している。
【0027】
第2固定部11qは、
図2(a)に示されるように、第1固定部11pに連続するように第1固定部11pの後方に位置しており、同軸ケーブルSCに対してプラグコネクタ10を取り付ける金属製の固定部である。第2固定部11qは、同軸ケーブルSCに沿って設けられている。第2固定部11qは、折り曲げ可能に構成されており、折り曲げられる前の状態において、U字状に形成された板状部材である。第2固定部11qは、同軸ケーブルSCの外部導体と保護被膜の外周を覆うように折り曲げられることにより、同軸ケーブルSCに固定され、同軸ケーブルSCに対してプラグコネクタ10を取り付ける。
【0028】
(絶縁ハウジング)
絶縁ハウジング12は、円筒形状に形成されており、内部導体コンタクト13を内部に保持すると共に外部導体シェル11と内部導体コンタクト13との間を絶縁するための絶縁体である(
図2(c)参照)。絶縁ハウジング12の外周面は嵌合部11aの内周面と近接している。
【0029】
(内部導体コンタクト)
内部導体コンタクト13は、絶縁ハウジング12の内部に、圧入等により取り付けられている。内部導体コンタクト13は、同軸ケーブルSCの内部導体SC1を接続する接続部と、該接続部からZ方向(嵌合方向)に延びる、内部導体SC1と電気的に接続された一対の接触部とを有する(
図2(c)参照)。内部導体コンタクト13は、Z方向に弾性的に変位可能に構成されており、リセプタクルコネクタ100の信号コンタクト部材102(
図1参照)と接触する。
【0030】
[ロック部材]
次に、
図3(a)〜
図3(d)を参照して、ロック部材30の詳細について説明する。ロック部材30は、プラグコネクタ10に装着される。ロック部材30は、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100との嵌合後に、プラグコネクタ10の嵌合部11aにおける外径の拡径を規制することにより、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100との嵌合状態を強固に維持するものである。ロック部材30は、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制する規制状態の位置(以下、規制位置)と、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制しない待機状態の位置(以下、待機位置)とを相互に移動可能となるようにプラグコネクタ10に装着される。ロック部材30は、本体部31と、規制部32と、ガイド部33と、位置決め部40とを有する。ロック部材30は、例えば、薄板状の金属部材から形成されている。
【0031】
(本体部)
本体部31は、蓋部11bを部分的に覆い蓋部11bに沿って移動可能な部分である。本体部31は、平板部34と、連結部35とを有する。平板部34は、外部導体シェル11の蓋部11bを覆うように設けられる、略矩形状の平板である。平板部34は、Z方向において一対の腕部37,38と対向すると共に、ガイド部33及び位置決め部40を保持する。平板部34には、Z方向に貫通する開口34aが形成されている。開口34aは、蓋部11bを視認可能な位置に形成されており、開口34aを通した蓋部11bの見え方によって、ロック部材30の状態(規制状態と待機状態のいずれの状態にあるのか)を確認できる。そのため、開口34aは、平板部34におけるX方向の中央部分よりも先端寄りに形成されている。平板部34における開口34aのX方向後方には、平板部34の他の部分よりも上方に突出した又は下方に凹んだ操作部34bが設けられている。操作部34bが設けられていることにより、ロック部材30をスライドさせる際の操作性が向上する。連結部35は、平板部34におけるX方向先端と一対の腕部37,38のX方向先端とを連結するようにZ方向に延びる部分である。
【0032】
(規制部)
規制部32は、嵌合部11aの拡径を規制可能に構成された部分である。より詳細には、規制部32は、リセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103(
図1参照)に嵌合された嵌合部11aの抜去時において、グランドコンタクト部材103の凹部103aと嵌合部11aの突出部11cとの係合状態を維持するために、嵌合部11aの拡径を規制可能に構成されている。規制部32は、Z方向において平板部34と対向し、平板部34と平行にX方向に延びる。規制部32は、
図3(d)に示されるように、連結部35に連続する先端部36と、先端部36に連続する一対の腕部37,38とを有する。規制部32は、先端部36及び一対の腕部37,38により区画される領域(囲まれる領域)に嵌合部11aが位置する状態(
図7(b)参照)において、嵌合部11aの拡径を規制する。
【0033】
先端部36は、嵌合部11aのX方向における先端部分に当接し、嵌合部11aの拡径が規制される際の嵌合部11aの位置決めを行う部分である(ロック部材30がプラグコネクタ10に対して、後述する規制位置に位置決めされる部分である)。先端部36は、円筒形状である嵌合部11aと広範囲で当接すべく、円筒形状に応じた形状とされている。
【0034】
一対の腕部37,38は、先端部36を介して本体部31に連結されると共に、嵌合部11aの抜去時において、嵌合部11aを径方向(Y方向)の外方から挟み込むことにより嵌合部11aの拡径を規制する。一対の腕部37,38はY方向において互いに対向している。腕部37は、先端部36のY方向の一端に連続するように、X方向に延びている。腕部38は、先端部36のY方向の他端に連続するようにX方向に延びている。一対の腕部37,38同士の間隔は、拡径している状態の嵌合部11aの外径よりも狭く、例えば拡径していない状態の嵌合部11aの外径と同程度とされる。なお、本実施形態における「嵌合部11aの外径」とは、プラグコネクタ10にロック部材30が装着された状態において、一対の腕部37,38と同高さ(Z方向における同じ位置)の嵌合部11aの外径をいう。
【0035】
一対の腕部37,38のX方向の長さは、互いに同程度とされている。一対の腕部37,38の先端は、例えば
図7(a)に示されるように、後述する待機位置では、X方向において嵌合部11aの中心の手前に位置している。先端は、中心を超えない。当該一対の腕部37,38の長さは一例であり、一対の腕部37,38のX方向の長さは、嵌合部11aの拡径を規制可能な長さであればどのような長さであってもよい。
【0036】
一対の腕部37,38の少なくともいずれか一方には、対向する他方の腕部37,38に向かって突出する突起部39が設けられている。本実施形態では、
図3(d)に示されるように、一対の腕部37,38の両方に突起部39が設けられている。
図7(b)及び
図8(d)に示されるように、突起部39が設けられた位置における一対の腕部37,38間の距離は、嵌合部11aの外径よりも短い。
【0037】
このことにより、ロック部材30が待機位置から規制位置に移動する際において、一対の腕部37,38における突起部39が設けられた部分は、一対の腕部37,38間の距離よりも外径が大きい嵌合部11aを乗り越える必要がある。突起部39が嵌合部11aを乗り越えることによって、ロック部材30を操作する操作者にとっては、乗り越える感覚(振動)や乗り越える際の音、所謂クリック感が得られることとなる。なお、本実施形態では、一対の腕部37,38が弾性を有しており、これによって、突起部39が嵌合部11aを乗り越えることを確実に実施することができる。
【0038】
突起部39は、ロック部材30が嵌合部11aに対して後方に移動することにより待機位置から規制位置への移動が完了した状態(
図7(b)及び
図8(d)に示される状態)において、嵌合部11aの中心よりも後方に位置している。
【0039】
(ガイド部)
ガイド部33は、嵌合部11aに対する規制部32の移動をガイドする部分である。移動をガイドするとは、ある領域への移動を案内することだけでなく、ある領域から外れることを防ぐことも含んでいる。ガイド部33は、嵌合部11aの嵌合方向(Z方向)と交差する方向である、同軸ケーブルSCの軸方向(X方向)への規制部32の移動をガイドする。ガイド部33は、嵌合部11aの拡径の規制を行う規制位置(
図7(b)参照)と、規制を行わない待機位置(
図7(a)参照))とを相互に移動可能となるように、規制部32をガイドする。このように、規制位置及び待機位置とは、嵌合部11aに対する規制部32の相対的な位置である。
【0040】
ガイド部33は、
図3(a)に示されるように、平板部34と一体的に設けられている。ガイド部33は、平板部34のY方向の両端に設けられており、平板部34における略中央部分から先端に向かって、X方向に沿って延びている。ガイド部33は、平板部34のY方向の両端において、平板部34から一対の腕部37,38に向かってZ方向に延びている。ガイド部33は、Y方向における内壁面である当接面33a(
図3(a)及び
図6(b)参照)がレール部11eに当接した状態で、レール部11eに沿ってスライドすることにより、X方向への規制部32の移動をガイドする。一対のガイド部33,33は、平板部34と共に区画する領域に、外部導体シェル11の一対のレール部11e,11eと蓋部11bとを収容した状態で、レール部11eに沿ってスライドする。
【0041】
(位置決め部)
位置決め部40は、
図7(b)に示されるように、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制している規制状態において、一対の腕部37,38が互いに対向する方向であるコネクタ幅方向(Y方向)へのプラグコネクタ10の移動を抑制する。位置決め部40は、
図3(a)に示されるように、平板部34と一体的に設けられている。位置決め部40は、平板部34のY方向の両端に設けられており、ガイド部33よりもX方向の後方寄りの位置においてX方向に沿って延びる板状片である。位置決め部40は、平板部34のY方向の両端において、平板部34から下方に向かって延びている。位置決め部40の内壁面40aは、
図7(a)に示されるように、Y方向において、レール部11eにおけるY方向外方の面である外壁面11xよりも内方に位置している。
【0042】
位置決め部40は、
図7(b)に示されるように、規制状態において、嵌合部11aよりも後方(外方)に位置するプラグコネクタ10の第1固定部11pとY方向で対向し、プラグコネクタ10(詳細には第1固定部11p)のY方向への移動を抑制する。すなわち、位置決め部40は、プラグコネクタ10がY方向に移動した場合には内壁面40a(位置決め部40における第1固定部11pに対向する面)が第1固定部11pに接触するように設けられており、このことでプラグコネクタ10(詳細には第1固定部11p)のY方向への移動を抑止している。また、位置決め部40は、
図7(a)に示されるように、待機状態においても、第1固定部11pとY方向で対向し、プラグコネクタ10(詳細には第1固定部11p)のY方向への移動を抑制してもよい。
【0043】
また、位置決め部40は、ロック部材30の移動方向であるX方向に移動した際にプラグコネクタ10の一部に当接して、ロック部材30が当該X方向へ更に移動することを抑制する。具体的には、
図7(a)に示されるように、例えばロック部材30をプラグコネクタ10の先端(X方向先端)方向に十分に移動させると、位置決め部40がプラグコネクタ10の連結部11z(レール部11eの外壁面11xと第1固定部11pの外壁面11yとを連結する部分)に当接して、ロック部材30がそれ以上、先端方向に移動することができないようになる。これにより、規制状態と待機状態との切り替えにおいてロック部材30を移動させる際に、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱することを抑制することができる。
【0044】
位置決め部40は、ロック部材30がプラグコネクタ10に装着された状態においては、
図4(b)に示されるように、平板部34のY方向の両端からZ方向(下方向)に延びており、平板部34と略垂直に設けられているが、ロック部材30をプラグコネクタ10に装着する際においては、
図4(a)に示されるように、平板部34と略平行(詳細には、少し下方向に折り曲げられた状態)に設けられている。すなわち、ロック部材30をプラグコネクタ10に装着する場合には、
図4(a)に示されるように、位置決め部40が折り曲げられる前のロック部材30をプラグコネクタ10に装着し、装着後において、
図4(b)に示されるように位置決め部40を折り曲げてもよい。
【0045】
[電気コネクタの詳細]
次に、ロック部材30が装着されたプラグコネクタ10を備える、電気コネクタ1の詳細について、
図5〜
図7を参照して説明する。
図6(b)に示されるように、プラグコネクタ10にロック部材30が装着された状態においては、本体部31の平板部34が、外部導体シェル11の蓋部11bを覆うように蓋部11bに当接している。また、ガイド部33の当接面33aがレール部11eに当接した状態で、レール部11eに沿ってスライド可能な状態となっている。そして、ロック部材30の位置決め部40が、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、規制状態及び待機状態のいずれにおいても第1固定部11pとY方向で対向している。
【0046】
図7(a)に示される待機状態では、嵌合部11aが拡径可能とされている。電気コネクタ1は、当該待機状態で、嵌合部11aを拡径させてリセプタクルコネクタ100との嵌合を行う(詳細は後述)。一方で、
図7(b)に示される規制状態では、嵌合部11aが、一対の腕部37,38間に配置され、嵌合部11aが一対の腕部37,38により拡径不可とされている。電気コネクタ1は、ロック部材30が、上述した待機位置の状態でリセプタクルコネクタ100との嵌合を行った後、規制位置の状態とされることにより、嵌合部11aの外径が拡径しないため、リセプタクルコネクタ100との嵌合状態を強固に維持する(詳細は後述)。
【0047】
続いて、ロック部材30の状態(待機状態又は規制状態)の切り替わり(変化)を作業者に感知させるための構成について詳細に説明する。
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、突起部39が設けられた位置における一対の腕部37,38間の距離は、嵌合部11aの外径よりも短い。このため、
図7(a)に示される待機状態から
図7(b)に示される規制状態に遷移する場合には、一対の腕部37,38における突起部39が設けられた部分は、一対の腕部37,38間の距離よりも外径が大きい嵌合部11aを乗り越える必要がある。突起部39が嵌合部11aを乗り越えることによって、ロック部材30を操作する操作者にとっては、乗り越える感覚(振動)や乗り越える際の音、所謂クリック感が得られることとなる。このようなクリック感によって、ロック部材30の状態(待機状態又は規制状態)の切り替わり(変化)を作業者に感知させることができる。
【0048】
続いて、電気コネクタ1の抜け止め構成について詳細に説明する。電気コネクタ1では、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱しないように、抜け止め構成として位置決め部40が設けられている。
図5(a),(b)及び
図7(a),(b)に示されるように、位置決め部40は、規制状態及び待機状態のいずれにおいても第1固定部11pとY方向で対向しており、プラグコネクタ10がY方向に移動した場合には内壁面40a(位置決め部40における第1固定部11pに対向する面)が第1固定部11pに接触するように設けられている。このような構成により、プラグコネクタ10(詳細には第1固定部11p)のY方向への移動を抑制し、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱することを抑制している。更に、電気コネクタ1では、
図7(a)に示されるように、例えばロック部材30をプラグコネクタ10の先端(X方向の先端)の方向に十分に移動させると、位置決め部40がプラグコネクタ10の連結部11z(レール部11eの外壁面11xと第1固定部11pの外壁面11yとを連結する部分)に当接して、ロック部材30がそれ以上、先端の方向に移動することができないように構成されている。これにより、規制状態と待機状態との切り替えにおいてロック部材30を移動させる際に、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱することを抑制することができる。
【0049】
[電気コネクタの嵌合及びロック]
次に、
図1及び
図8を参照して、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100との嵌合、及び嵌合後のロックについて詳細に説明する。
【0050】
なお、リセプタクルコネクタ100は、
図1に示されるように、信号コンタクト部材102と、グランドコンタクト部材103とを有している。リセプタクルコネクタ100は、印刷配線基板200に、例えば半田付け等により実装されている。リセプタクルコネクタ100は、同軸ケーブルSCに取り付けられたプラグコネクタ10に嵌合される。信号コンタクト部材102は、例えば薄板状の金属部材から形成された信号伝送用の導体である。信号コンタクト部材102は、ハウジングに収容された状態において少なくとも一部がハウジングの開口から外部に突出している。信号コンタクト部材102は、
図8(c)に示されるように、プラグコネクタ10の内部導体コンタクト13と接触することにより内部導体SC1と電気的に接続される。グランドコンタクト部材103は、例えば薄板状の金属部材から形成された印刷配線基板200のグランド端子202に接続され、グランド回路の一部を構成する部材である。グランドコンタクト部材103は、信号コンタクト部材102及びハウジングの外方を環状に取り囲むように配置されている。グランドコンタクト部材103の外周面には、その全周に亘って、径方向の内方に凹んだ凹部103a(
図1及び
図8(c)参照)が形成されている。当該凹部103aは、プラグコネクタ10の嵌合部11aに形成された突出部11c(
図8(c)参照)との係合箇所とされる。
【0051】
プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100とが嵌合される際には、ロック部材30は待機状態(
図7(a)参照)とされる。この場合、嵌合部11aは拡径可能である。この状態で、嵌合部11aを拡径させながら、プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ100に嵌合される。具体的には、
図8(c)に示されるように、拡径した嵌合部11aと絶縁ハウジング12との間にリセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103が挿入される。
【0052】
当該挿入された状態において、嵌合部11aの突出部11cとグランドコンタクト部材103の凹部103aとが係合されて、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100とが嵌合される。嵌合状態においては、プラグコネクタ10の内部導体コンタクト13が、リセプタクルコネクタ100の信号コンタクト部材102と接触している。なお、嵌合部11aは、拡径してはじめて、グランドコンタクト部材103に対して挿抜可能とされるものであり、拡径していない状態においては、グランドコンタクト部材103に対して挿抜不可とされている。
【0053】
嵌合後において嵌合状態を強固に維持する(ロックする)際には、ロック部材30のガイド部33をレール部11eに沿ってスライドさせ、
図8(d)に示されるように規制状態とされる。この場合、嵌合部11aは、一対の腕部37,38間に配置されて拡径不可とされる。上述したように、嵌合部11aは、拡径していない状態においてはグランドコンタクト部材103に対して挿抜不可とされている。このため、嵌合後に嵌合部11aを拡径不可とすることによって、嵌合部11aが挿抜不可となり、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100との嵌合状態を強固に維持することができる。
【0054】
[電気コネクタの製造方法]
次に、電気コネクタ1の製造方法(プラグコネクタ10へのロック部材30の装着方法)について説明する。電気コネクタ1の製造方法は、プラグコネクタ10にロック部材30を装着する第1工程と、第1工程後において、位置決め部40が第1固定部11pとY方向で対向するように位置決め部40を折り曲げる第2工程と、を含んでいる。より詳細には、第1工程では、
図4(a)に示されるように、位置決め部40を平板部34と略平行(詳細には、少し下方向に折り曲げられた状態)とした折り曲げ前の状態で、プラグコネクタ10にロック部材30を装着し、第2工程では、
図4(b)に示されるように位置決め部40を折り曲げている。
【0055】
[作用効果]
次に、上述した電気コネクタ1の作用効果について説明する。
【0056】
本実施形態に係る電気コネクタ1は、同軸ケーブルSCの先端に取り付けられたプラグコネクタ10と、プラグコネクタ10に装着されるロック部材30と、を備え、プラグコネクタ10は、リセプタクルコネクタ100のグランドコンタクト部材103に電気的に接続される導電性の外部導体シェル11を備える。外部導体シェル11は、グランドコンタクト部材103に嵌合される筒状の嵌合部11aを有し、嵌合部11aの外径は、グランドコンタクト部材103に対する挿抜時に拡径可能に構成されており、ロック部材30は、グランドコンタクト部材103に嵌合された嵌合部11aの抜去時において嵌合部11aを径方向の外方から挟み込むことにより嵌合部11aの拡径を規制する一対の腕部37,38と、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制している規制状態において、一対の腕部37,38が互いに対向する方向であるY方向へのプラグコネクタ10の移動を抑制する位置決め部40と、を有し、位置決め部40は、規制状態において、嵌合部11aよりも、ケーブルの先端からケーブルの基端に向かう方向である後方に位置する第1固定部11pにY方向で対向し、第1固定部11pのY方向への移動を抑制する。
【0057】
このような電気コネクタ1では、ロック部材30の一対の腕部37,38が嵌合部11aにおける外径の拡径を規制可能に構成されている。これにより、リセプタクルコネクタ100との嵌合後の嵌合部11aが拡径することが抑制され、プラグコネクタ10とリセプタクルコネクタ100との嵌合状態を強固に維持することができる。また、電気コネクタ1では、嵌合部11aの拡径が規制された規制状態において、ロック部材30の位置決め部40が、Y方向において第1固定部11pと対向して該第1固定部11pのY方向への移動を抑制する。第1固定部11pの移動が抑制されることによって、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱することを抑制することができる。そして、従来は、一対の腕部37,38を延長する(拡径を規制する部分に加えて延長部を有する)ことによって、プラグコネクタ10のY方向への移動を抑制していたのに対して、本電気コネクタ1では、このような延長部を設けずに、一対の腕部37,38とは別構成として、第1固定部11pに対向する位置決め部40が設けられている。従来必要となっていた一対の腕部37,38の延長部分を設けないことによって、一対の腕部37,38周辺の構成を簡易化して、ロック部材30を小型化することができる。また、上述したような片持ち状の延長部を設けた構成においては、ロック部材の操作において、該延長部が破損されるおそれがあるが、本実施形態に係る電気コネクタ1のように上述した延長部を設けずに位置決め部40を設けることによって、強度が向上し破損を抑制することができる。
【0058】
また、位置決め部40と対向する後方部が、プラグコネクタ10を同軸ケーブルSCに固定する金属製の固定部(第1固定部11p)とされることにより、例えば金属等により構成されているロック部材30の位置決め部40と、金属製の第1固定部11pとが互いに対向することとなり、位置決め部40が第1固定部11pに接触して第1固定部11pの位置を補正する(プラグコネクタ10のY方向への移動を抑制する)際において、接触強度を確保することができる。
【0059】
ロック部材30は、規制状態の位置と、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制しない待機状態の位置とを相互に移動可能となるようにプラグコネクタ10に装着されており、位置決め部40は、ロック部材30が移動方向に移動した際にプラグコネクタ10の一部(詳細には連結部11z)に当接して、ロック部材30が移動方向へ更に移動することを抑制してもよい。これにより、規制状態と待機状態との切り替えにおいてロック部材30を移動させる際に、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱することを抑制することができる。
【0060】
位置決め部40は、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制していない待機状態においても、第1固定部11pにY方向で対向し、第1固定部11pのY方向への移動を抑制してもよい。このような構成によれば、規制状態及び待機状態のいずれにおいても、プラグコネクタ10からロック部材30が離脱することを抑制することができる。
【0061】
ロック部材30は、規制状態の位置と、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制しない待機状態の位置とを相互に移動可能となるようにプラグコネクタ10に装着されており、一対の腕部37,38の先端は、待機状態の位置では、ロック部材30の移動方向において、嵌合部11aの中心を超えなくてもよい。このような構成によれば、従来のように一対の腕部を後方に延長していた構成(延長部を有していた構成)と比較して、一対の腕部37,38を短くし、ロック部材30を小型化することができる。
【0062】
ロック部材30は、規制状態の位置と、一対の腕部37,38が嵌合部11aの拡径を規制しない待機状態の位置とを相互に移動可能となるようにプラグコネクタ10に装着されており、プラグコネクタ10は、ロック部材30の移動方向に延びてロック部材30の移動を補助するレール部11eを有し、位置決め部40における第1固定部11pに対向する面である内壁面40aは、レール部11eにおけるY方向の外方の面である外壁面11xよりも、Y方向において内方に位置している。このような構成によれば、Y方向において位置決め部40を第1固定部11p寄りに(第1固定部11pに近接して)設けることができ、より効果的に、第1固定部11pのY方向への移動を抑制することができる。
【0063】
本実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法は、プラグコネクタ10にロック部材30を装着する第1工程と、第1工程後において、位置決め部40が第1固定部11pにY方向で対向するように位置決め部40を折り曲げる第2工程と、を含んでいる。例えば、最初から位置決め部が折り曲げられているロック部材をプラグコネクタに装着する場合においては、装着可能とするために位置決め部(又はその周辺)に、例えば外方への変位を可能とする十分なばね性を持たせる必要がある。しかしながら、高いばね性を持ったロック部材は、例えば強い外力が加わったような場合においてプラグコネクタから外れてしまうことが考えられる。これに対して、本製造方法のように、プラグコネクタ10にロック部材30を装着した後において位置決め部40を折り曲げてロック部材30が外れない構成を作る場合においては、上述したような高いばね性を持ったロック部材を用いなくてよいため、外力等が加わった場合においてもロック部材30がプラグコネクタ10から外れてしまうことを抑制できる。