【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の電子部品は、
樹脂材料および金属粉のコンポジット材料からなるコンポジット体と、
前記コンポジット体の外面上に配置された金属膜と
を備え、
前記金属膜が、前記コンポジット体の前記樹脂材料および前記金属粉に接触しており、
前記樹脂材料と接する前記金属膜の結晶における平均粒径は、前記金属粉と接する前記金属膜の結晶における平均粒径に対し、60%以上120%以下である。
【0009】
本発明の電子部品によれば、金属膜が、コンポジット体の樹脂材料および金属粉に接触し、樹脂材料と接する金属膜の結晶における平均粒径は、金属粉と接する金属膜の結晶における平均粒径に対し、60%以上120%以下である。このように、金属粉上と樹脂材料上との間で金属膜の結晶の平均粒径の差が小さい状態は、樹脂材料上に比較的粒径の小さい金属膜を形成できている状態に相当する。よって、金属膜と樹脂材料との間におけるアンカー効果を得やすく、樹脂材料と金属膜との密着性を向上できる。よって、樹脂材料上の密着性も確保することで、金属膜全体の密着性を向上できる。
【0010】
また、電子部品の一実施形態では、前記コンポジット体の外面が一部に凹部を有し、前記金属膜が前記凹部内に充填されている。
【0011】
前記実施形態によれば、金属膜が凹部内に充填されているので、金属膜とコンポジット体との密着性をさらに向上できる。
【0012】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属粉上の前記金属膜の膜厚の一部は、前記樹脂材料上の前記金属膜の膜厚以下となる。
【0013】
前記実施形態によれば、金属粉上の金属膜の膜厚の一部は、樹脂材料上の金属膜の膜厚以下となるので、電子部品における凹凸を低減させることができる。特に、金属膜が外部電極であるとき、実装安定性と信頼性が向上し、金属膜が内部電極であるとき、積層時の安定性が向上する。
【0014】
また、電子部品の一実施形態では、
前記コンポジット体に埋め込まれた内部電極を備え、
前記金属膜が、前記内部電極と接触している。
【0015】
前記実施形態によれば、金属膜が、内部電極と接触しているので、金属膜と内部電極とが立体配置されることにより、金属膜の配置領域の影響を受けることなく、内部部材を配置することができる。
【0016】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属膜と前記内部電極とが同一材料からなる。
【0017】
前記実施形態によれば、金属膜と内部電極とが同一材料からなるので、金属膜と内部電極の密着性が向上する。
【0018】
また、電子部品の一実施形態では、
前記コンポジット体の外面は、主面を有し、
前記主面において、前記樹脂材料から前記金属粉が露出するとともに、前記金属膜が配置されている。
【0019】
前記実施形態によれば、コンポジット体の主面において、樹脂材料から金属粉が露出するとともに、金属膜が配置されているので、コンポジット体の主面に金属膜を形成する際に、露出する金属粉を用いることができ、製造効率が向上する。
【0020】
また、電子部品の一実施形態では、前記樹脂材料から露出する前記金属粉の形状は、楕円体の一部を切断した形状を含む。
【0021】
前記実施形態によれば、樹脂材料から露出する金属粉の形状は、楕円体の一部を切断した形状を含むので、このような金属粉上に形成された金属膜のコンポジット体との密着性を向上できる。
【0022】
また、電子部品の一実施形態では、
前記金属膜が配置されていない前記主面上に配置された樹脂膜を有し、
前記樹脂膜は、前記樹脂材料から露出する前記金属粉を覆う。
【0023】
前記実施形態によれば、樹脂膜は、金属膜が配置されていない主面上に配置されており、樹脂膜は、樹脂材料から露出する金属粉を覆うので、金属粉の外部への露出を防止することができる。
【0024】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属膜の一部は、前記樹脂膜上に配置されている。
【0025】
前記実施形態によれば、金属膜の一部は、樹脂膜上に配置されているので、樹脂膜を金属膜のパターン形成時のマスク代わりとすることができ、金属膜の形成における製造効率が向上する。
【0026】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属粉は、Feを含む金属又は合金からなり、前記金属膜は、Cuを含む金属又は合金からなる。
【0027】
前記実施形態によれば、金属粉は、Feを含む金属又は合金からなり、金属膜は、Cuを含む金属又は合金からなるので、触媒を用いずに、金属膜を無電解めっきにより形成することができる。また、金属粉は、Feを含む金属又は合金からなるので、透磁率を向上でき、金属膜は、Cuを含む金属又は合金からなるので、導電性を向上できる。
【0028】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属粉上の前記金属膜の膜厚が、前記樹脂材料上の前記金属膜の膜厚の60%以上160%以下である。
【0029】
前記実施形態によれば、金属粉上の金属膜の膜厚が、樹脂材料上の金属膜の膜厚の60%以上160%以下であるので、金属膜の膜厚は、均一となる。これにより、電子部品における凹凸を低減できる。特に、金属膜が外部電極であるとき、実装安定性と信頼性が向上し、金属膜が内部電極であるとき、積層時の安定性が向上する。
【0030】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属粉と前記金属膜との界面及び前記樹脂材料と前記金属膜との界面のいずれにおいても、Pdが存在しない。
【0031】
前記実施形態によれば、金属粉と金属膜との界面及び樹脂材料と金属膜との界面のいずれにおいても、Pdが存在しない。触媒付与せずに金属膜が形成されており、金属膜の形成における製造効率が向上する。
【0032】
また、電子部品の一実施形態では、
前記樹脂材料と前記金属膜との界面においては、Pdが存在しないが、
前記金属粉と前記金属膜との界面においては、Pdが存在する。
【0033】
前記実施形態によれば、樹脂材料と金属膜との界面においては、Pdが存在しないが、金属粉と金属膜との界面においては、Pdが存在するので、触媒Pdを用いて、金属膜を無電解めっきにより形成することができる。つまり、金属粉よりも金属膜の方が卑である場合であっても、置換Pd触媒処理を行うことにより、金属膜を形成することができる。したがって、金属粉と金属膜の材料選択の自由度が向上する。
【0034】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属膜の一部は、前記金属粉の外面に沿って前記コンポジット体の内部側に回り込んでいる。
【0035】
前記実施形態によれば、金属膜の一部は、金属粉の外面に沿ってコンポジット体の内部側に回り込んでいるので、金属粉と接触する面積が増えることにより金属粉との接合力が向上するとともに、樹脂材料と金属粉との間の隙間の形状に沿ってコンポジット体と接触することによりコンポジット体とのアンカー効果が向上する。
【0036】
また、電子部品の一実施形態では、前記金属膜の結晶粒径は、前記コンポジット体と接触する側からその反対側にかけて、大きくなっている。
【0037】
前記実施形態によれば、金属膜の結晶粒径は、コンポジット体と接触する側からその反対側にかけて、大きくなっているので、金属膜は、コンポジット体と接触する側で相対的に結晶粒径が小さくなっており、樹脂材料との間でアンカー効果を得やすく、金属膜とコンポジット体との密着性を向上できる。
【0038】
また、電子部品の製造方法の一実施形態では、
樹脂材料および金属粉のコンポジット材料からなるコンポジット体の一部を研削して、前記コンポジット体の研削面から金属粉を露出させる研削工程と、
前記コンポジット体の研削面に無電解めっきを用いて金属膜を形成する金属膜形成工程と
を備える。
【0039】
前記実施形態によれば、コンポジット体の一部を研削して、コンポジット体の研削面から金属粉を露出させ、コンポジット体の研削面に無電解めっきを用いて金属膜を形成する。これにより、金属膜とコンポジット体との密着性、金属膜自身の膜強度及び導電性を向上することができる。また、これにより、所望の厚みをばらつきが少なく得ることができるとともに、簡便な方法かつ高い製造効率で金属膜を形成することができる。
【0040】
また、電子部品の製造方法の一実施形態では、前記金属膜形成工程において、無電解めっきを用いて前記金属膜を前記樹脂材料上および前記金属粉上に形成する。
【0041】
前記実施形態によれば、金属膜形成工程において、無電解めっきを用いて金属膜を樹脂材料上および金属粉上に形成するので、金属膜と金属粉との接合力が向上するとともに、樹脂材料上の凹凸がわずかな場合であっても当該凹凸に沿って金属膜を形成でき、金属膜と樹脂材料との密着性を確保できる。
【0042】
また、電子部品の製造方法の一実施形態では、前記金属膜形成工程では、置換析出反応を用いて前記研削面から露出させた前記金属粉上に前記金属膜を析出させ、無電解めっきを用いて前記析出させた前記金属膜を成長させることにより、前記金属膜を形成する。
【0043】
前記実施形態によれば、金属膜形成工程では、置換析出反応を用いて研削面から露出させた金属粉上に金属膜を析出させ、無電解めっきを用いて析出させた金属膜を成長させることにより、金属膜を形成するので、簡便なプロセスで金属膜を形成できる。
【0044】
また、電子部品の製造方法の一実施形態では、前記金属膜形成工程では、触媒付与を行わないで無電解めっきを行う。
【0045】
前記実施形態によれば、金属膜形成工程では、触媒付与を行わないで無電解めっきを行うので、簡便なプロセスで金属膜を形成できる。
【0046】
また、電子部品の製造方法の一実施形態では、
前記金属粉は、Feを含む金属又は合金からなり、
前記金属膜は、Cuを含む金属又は合金からなる。
【0047】
前記実施形態によれば、金属粉は、Feを含む金属又は合金からなり、金属膜は、Cuを含む金属又は合金からなるので、触媒を用いずに、金属膜を無電解めっきにより形成することができる。また、金属粉は、Feを含む金属又は合金からなるので、透磁率を向上でき、金属膜は、Cuを含む金属又は合金からなるので、導電性を向上できる。
【0048】
また、電子部品の製造方法の一実施形態では、
前記研削工程後、前記コンポジット体の研削面の一部の領域上に樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程を有し、
前記金属膜形成工程では、前記樹脂膜をマスクとして、金属膜を形成する。
【0049】
前記実施形態によれば、研削工程後、コンポジット体の研削面の一部の領域上に樹脂膜を形成し、樹脂膜をマスクとして、金属膜を形成するので、金属膜をエッチングしないでパターン形成でき、製造効率が向上する。