(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シェルアンドプレート式熱交換器を凝縮器として用いる場合は、シェルの上部から導入された冷媒と、プレート積層体を流れる熱媒体とを熱交換させることにより、伝熱プレート上で冷媒を凝縮させ、シェルの下部に設けられた冷媒出口を通じて、凝縮した冷媒をシェルの外部へ排出する。
【0006】
しかしながら、従来のシェルアンドプレート式熱交換器においては、凝縮した冷媒が伝熱プレート上を流れる速度が遅いため、伝熱プレート上で冷媒の過冷却を行うための面積を十分に確保できないので、熱交換効率が低下する。
【0007】
また、従来のシェルアンドプレート式熱交換器においては、凝縮した冷媒が伝熱プレート上をそのまま垂直下方に流れる結果、伝熱プレートのほぼ全面が凝縮した冷媒によって濡れた状態となる。このため、高温冷媒と熱媒体との熱交換が阻害されるので、熱交換効率が低下する。
【0008】
本開示の目的は、シェルアンドプレート式熱交換器の熱交換効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様は、内部空間(15)を形成するシェル(10)と、重ね合わされて互いに接合された複数の伝熱プレート(21)を有して前記シェル(10)の前記内部空間(15)に収容されるプレート積層体(20)とを備え、前記シェル(10)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒を凝縮させるシェルアンドプレート式熱交換器である。前記複数の伝熱プレート(21)における隣接するプレート(21)同士の間に、前記シェル(10)の前記内部空間(15)に連通して前記冷媒が流れる冷媒流路(24)と、前記シェル(10)の前記内部空間(15)から遮断されて熱媒体が流れる熱媒体流路(25)とが交互に配置される。前記プレート積層体(20)の少なくとも下部には、前記複数の伝熱プレート(21)のそれぞれの表面上で凝縮した前記冷媒を蛇行させる蛇行部(28,29,31)が設けられる。
【0010】
第1の態様では、プレート積層体(20)の少なくとも下部に、凝縮した冷媒を蛇行させる蛇行部(28,29,31)が設けられる。このため、凝縮した冷媒の蛇行により当該冷媒の流れる速度が増大するので、伝熱プレート(21)上で冷媒の過冷却を行うための面積を十分に確保して、熱交換効率を向上させることができる。
【0011】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記複数の伝熱プレート(21)のそれぞれの下部には、前記熱媒体の導入口となる第1貫通穴(22)が設けられ、前記蛇行部(28,29,31)は、前記第1貫通穴(22)の水平方向の両側に設けられる。
【0012】
第2の態様では、熱媒体入口(第1貫通穴(22))の水平方向の両側は、元々熱交換への寄与が小さい領域であるので、凝縮した冷媒を蛇行させる蛇行部(28,29,31)を設けることに起因する熱交換効率の低下を抑制できる。
【0013】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記プレート積層体(20)における前記蛇行部(28,29,31)が設けられる領域の外周部と、前記シェル(10)の内壁との間には、前記冷媒の侵入を阻止する部材(30)が設けられる。
【0014】
第3の態様では、凝縮した冷媒が蛇行部(28,29,31)をバイパスして、プレート積層体(20)の外周部とシェル(10)の内壁との間を流れることを防止できる。
【0015】
本開示の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、前記蛇行部(28,29,31)は、前記複数の伝熱プレート(21)における前記冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の表面に設けられた凹凸(28,29)を含む。
【0016】
第4の態様では、凹凸(28,29)が形成されることにより、冷媒が凹部(28)に沿って蛇行することができる。例えば凹凸(28,29)をジグザグに設ければ、ジグザグの折り返し数を増やすことによって冷媒の流路長が長くなるので、冷媒の過冷却を安定的に行うことができる。
【0017】
本開示の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれか1つにおいて、前記蛇行部(28,29,31)は、前記複数の伝熱プレート(21)の積層方向に前記プレート積層体(20)内を延びる連通流路(31)を含む。
【0018】
第5の態様では、冷媒が連通流路(31)を通って伝熱プレート(21)の積層方向(つまりシェルアンドプレート式熱交換器の長手方向)に蛇行することができる。これにより、冷媒の流路長が長くなるので、冷媒の過冷却を安定的に行うことができる。
【0019】
本開示の第6の態様は、内部空間(15)を形成するシェル(10)と、重ね合わされて互いに接合された複数の伝熱プレート(21)を有して前記シェル(10)の前記内部空間(15)に収容されるプレート積層体(20)とを備え、前記シェル(10)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒を凝縮させるシェルアンドプレート式熱交換器である。前記複数の伝熱プレート(21)における隣接するプレート(21)同士の間に、前記シェル(10)の前記内部空間(15)に連通して前記冷媒が流れる冷媒流路(24)と、前記シェル(10)の前記内部空間(15)から遮断されて熱媒体が流れる熱媒体流路(25)とが交互に配置される。前記複数の伝熱プレート(21)における前記冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の表面には、水平方向に対して傾斜した方向に延びる凹部(26)が設けられ、当該凹部(26)は、当該冷媒の前記傾斜した方向への流れを促進する構造を有する。
【0020】
第6の態様では、冷媒流路(24)を挟む伝熱プレート(21)の表面に、水平方向に対して傾斜した方向に延びる凹部(26)が設けられ、凹部(26)は、冷媒の前記傾斜した方向への流れを促進する構造を有する。このため、凝縮した冷媒を凹部(26)に沿って傾斜した方向に流すことができる。従って、凝縮した冷媒が垂直下方へ流れて伝熱プレート(21)の全面を濡らすことを抑制できるので、高温冷媒と熱媒体との熱交換効率を向上させることができる。
【0021】
本開示の第7の態様は、第6の態様において、前記凹部(26)の断面形状は、非対称であり、前記凹部(26)の下側の第1壁面(26a)が水平方向となす第1角度は、前記凹部(26)の上側の第2壁面(26b)が水平方向となす第2角度よりも小さい。
【0022】
第7の態様では、凹部(26)の下側の第1壁面(26a)が水平方向となす第1角度を小さくすることにより、冷媒の垂直下方への流れを第1壁面(26a)によって阻害しやすくなる。
【0023】
本開示の第8の態様は、第7の態様において、前記第1角度は、45°以下である。
【0024】
第8の態様では、冷媒の垂直下方への流れをより一層阻害しやすくなる。
【0025】
本開示の第9の態様は、第6〜8の態様のいずれか1つにおいて、前記凹部(26)の下側の第1壁面(26a)は、くぼんだ曲面を有する。
【0026】
第9の態様では、凹部(26)の下側の第1壁面(26a)がくぼんだ曲面を有することにより、冷媒の垂直下方への流れを第1壁面(26a)によって阻害しやすくなる。
【0027】
本開示の第10の態様は、第6〜9の態様のいずれか1つにおいて、前記凹部(26)のパターンは、前記一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の表面において水平方向の中央部から両側に斜め下方に延びる山形パターンである。
【0028】
第10の態様では、凹部(26)のパターンが伝熱プレート(21)の一端から他端まで一方向に延びる場合と比べて、凝縮した冷媒が伝熱プレート(21)の端部まで凹部(26)に沿って流れる距離が短くなる。このため、凝縮した冷媒が凹部(26)からこぼれて垂直下方へ流れる前に、凝縮した冷媒を伝熱プレート(21)の端部まで流しやすくなる。従って、凝縮した冷媒によって濡れていない伝熱プレート(21)の範囲を拡大できるので、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0029】
本開示の第11の態様は、第10の態様において、前記山形パターンは、前記一対のプレート(21a,21b)の両方に設けられる。
【0030】
第11の態様では、熱交換効率をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(1)(以下では、「熱交換器」という)は、凝縮器である。本実施形態の熱交換器(1)は、冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路に設けられ、冷媒によって熱媒体を加熱する。尚、熱媒体としては、水やブラインが例示される。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の熱交換器(1)は、シェル(10)と、プレート積層体(20)とを備える。プレート積層体(20)は、シェル(10)の内部空間(15)に収容される。
【0034】
−シェル−
シェル(10)は、両端が閉塞された円筒状に形成される。シェル(10)は、その長手方向が水平方向となる姿勢で設置される。シェル(10)には、冷媒導入口(11)と、冷媒排出口(12)とが設けられる。冷媒導入口(11)は、シェル(10)の内部空間(15)に冷媒(2)を導入する。冷媒導入口(11)は、例えば、
図1におけるシェル(10)の幅方向中央付近の頂部に設けられる。冷媒導入口(11)は、配管を介して冷凍装置の圧縮機に接続される。冷媒排出口(12)は、凝縮した冷媒(2)をシェル(10)の内部空間(15)から排出する。冷媒排出口(12)は、例えば、
図1におけるシェル(10)の幅方向中央付近の底部に設けられる。冷媒排出口(12)は、配管を介して冷凍装置の蒸発器に接続される。
【0035】
シェル(10)には、熱媒体入口(13)と、熱媒体出口(14)とが設けられる。熱媒体入口(13)及び熱媒体出口(14)のそれぞれは、管状の部材である。熱媒体入口(13)は、例えば、
図1におけるシェル(10)の左端部の下部を貫通し、プレート積層体(20)の下部に接続される。熱媒体出口(14)は、例えば、
図1におけるシェル(10)の左端部の上部を貫通し、プレート積層体(20)の上部に接続される。熱媒体入口(13)は、プレート積層体(20)の熱媒体導入路に接続し、熱媒体(3)をプレート積層体(20)へ供給する。熱媒体出口(14)は、プレート積層体(20)の熱媒体導出路に接続し、プレート積層体(20)から熱媒体(3)を導出する。
【0036】
−プレート積層体−
図1に示すように、プレート積層体(20)は、積層された複数の伝熱プレート(21)によって構成される。プレート積層体(20)は、伝熱プレート(21)の積層方向が水平方向となる姿勢で、シェル(10)の内部空間(15)に収容される。プレート積層体(20)は、シェル(10)の内部空間(15)の底部寄りに配置される。
【0037】
図2に示すように、プレート積層体(20)を構成する伝熱プレート(21)は、例えば、概ね円形の板状の部材である。伝熱プレート(21)には、熱媒体の導入口となる第1貫通穴(22)と、熱媒体の導出口となる第2貫通穴(23)とが設けられる。第1貫通穴(22)及び第2貫通穴(23)はそれぞれ、伝熱プレート(21)を厚さ方向に貫通する。第1貫通穴(22)及び第2貫通穴(23)はそれぞれ、例えば、伝熱プレート(21)の下部及び上部に設けられる。第1貫通穴(22)及び第2貫通穴(23)はそれぞれ、例えば、直径が互いに実質的に等しい円形の孔である。第1貫通穴(22)及び第2貫通穴(23)のそれぞれの中心は、例えば、伝熱プレート(21)の垂直軸J
V上に位置する。ここで、伝熱プレート(21)の中心を通る鉛直方向軸を垂直軸J
Vとし、伝熱プレート(21)の中心を通る水平方向軸を水平軸J
Hとする。
【0038】
図示しないが、シェル(10)の内壁には、プレート積層体(20)を支持する突起状の支持部が設けられる。シェル(10)の内部空間(15)に収容された状態で、プレート積層体(20)はシェル(10)の内壁から離間しており、プレート積層体(20)を構成する伝熱プレート(21)の下縁部とシェル(10)の内壁との間には、凝縮した冷媒が貯留される空間が形成される。
【0039】
図3に示すように、プレート積層体(20)を構成する伝熱プレート(21)は、互いに形状が異なる第1プレート(21a)及び第2プレート(21b)を含む。第2プレート(21b)は、例えば、第1プレート(21a)の配置向きを、垂直軸J
Vや水平軸J
Hの周りに180°反転させたものであってもよい。プレート積層体(20)は、第1プレート(21a)及び第2プレート(21b)をそれぞれ複数ずつ備える。プレート積層体(20)では、第1プレート(21a)と第2プレート(21b)とが交互に積層される。以下の説明では、第1プレート(21a)及び第2プレート(21b)のそれぞれについて、
図3における右側の面を「第1の面」とし、
図3における左側の面を「第2の面」とする。
【0040】
〈冷媒流路、熱媒体流路〉
プレート積層体(20)では、伝熱プレート(21a,21b)を挟んで冷媒流路(24)と熱媒体流路(25)とが複数ずつ形成される。冷媒流路(24)と熱媒体流路(25)とは、伝熱プレート(21a,21b)によって互いに仕切られる。冷媒流路(24)は、第1プレート(21a)の第1の面と第2プレート(21b)の第2の面とに挟まれた流路である。冷媒流路(24)は、シェル(10)の内部空間(15)に連通する。熱媒体流路(25)は、第1プレート(21a)の第2の面と第2プレート(21b)の第1の面とに挟まれた流路である。熱媒体流路(25)は、シェル(10)の内部空間(15)から遮断される一方、シェル(10)に取り付けられた熱媒体入口(13)及び熱媒体出口(14)と連通する。熱媒体流路(25)と熱媒体入口(13)とは、伝熱プレート(21a,21b)の第1貫通穴(22)を通じて連通する。熱媒体流路(25)と熱媒体出口(14)とは、伝熱プレート(21a,21b)の第2貫通穴(23)を通じて連通する。すなわち、熱媒体入口(13)から導入された熱媒体(3)は、伝熱プレート(21a,21b)の第1貫通穴(22)を通じて熱媒体流路(25)に流入した後、伝熱プレート(21a,21b)の第2貫通穴(23)を通じて熱媒体流路(25)から流出し、その後、熱媒体出口(14)から導出される。
【0041】
〈冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン〉
図2及び
図3に示すように、第1プレート(21a)及び第2プレート(21b)には、冷媒(2)の凝縮を促進させるために、凹部(26)及び凸部(27)からなる凹凸パターン、例えばヘリンボーンパターンが形成される。凹部(26)及び凸部(27)からなる凹凸パターンは、第1プレート(21a)及び第2プレート(21b)のそれぞれにおける下部(後述する過冷却領域R
2)を除く凝縮領域R
1に設けられる。第1プレート(21a)において、凹部(26)は、第1プレート(21a)の第2の面側にへこみ、凸部(27)は、第1プレート(21a)の第1の面側に膨出する。第2プレート(21b)において、凹部(26)は、第2プレート(21b)の第1の面側にへこみ、凸部(27)は、第2プレート(21b)の第2の面側に膨出する。
図3に示す断面構成は、第1プレート(21a)の凸部(27)と、第2プレート(21b)の凸部(27)とが接触する箇所のプレート積層体(20)の断面構成である。
【0042】
尚、凹部(26)及び凸部(27)からなる凹凸パターンとして、ヘリンボーンパターンに代えて、例えば、細長い畝状の凹凸が繰り返し形成されたパターン、凹凸の稜線が水平方向に延びるパターン等を用いてもよい。或いは、凹凸パターンに代えて、ディンプルパターンを用いてもよい。
【0043】
〈熱媒体導入路、熱媒体導出路〉
プレート積層体(20)では、各第1プレート(21a)の第1貫通穴(22)が、その第1プレート(21a)の第1の面側と隣り合う第2プレート(21b)の第1貫通穴(22)と重なり合い、重なり合った第1貫通穴(22)同士の各縁部が溶接によって全周に亘って接合される。また、プレート積層体(20)では、各第1プレート(21a)の第2貫通穴(23)が、その第1プレート(21a)の第1の面側と隣り合う第2プレート(21b)の第2貫通穴(23)と重なり合い、重なり合った第2貫通穴(23)同士の各縁部が溶接によって全周に亘って接合される。さらに、第1プレート(21a)の第1の面側の周縁部と、その第1プレート(21a)の第1の面側と隣り合う第2プレート(21b)の第2の面側の周縁部とは、互いに離間し、開放されている。これにより、第1プレート(21a)の第1の面と、その第1プレート(21a)の第1の面と隣り合う第2プレート(21b)の第2の面との間に、後述する熱媒体導入路及び熱媒体導出路から遮断され、且つ、シェル(10)の内部空間(15)に連通して冷媒(2)が流れる冷媒流路(24)が形成される。
【0044】
一方、プレート積層体(20)において、各第1プレート(21a)の周縁部は、その第1プレート(21a)の第2の面側に隣接する第2プレート(21b)の周縁部と溶接によって全周に亘って接合される。また、プレート積層体(20)では、各第1プレート(21a)の第1貫通穴(22)と、各第2プレート(21b)の第1貫通穴(22)とによって、熱媒体導入路が形成される。熱媒体導入路は、プレート積層体(20)における伝熱プレート(21a,21b)の積層方向に延びる通路である。また、プレート積層体(20)では、各第1プレート(21a)の第2貫通穴(23)と、各第2プレート(21b)の第2貫通穴(23)とによって、熱媒体導出路が形成される。熱媒体導出路は、プレート積層体(20)における伝熱プレート(21a,21b)の積層方向に延びる通路である。以上のように、第1プレート(21a)の第2の面と、その第1プレート(21a)の第2の面と隣り合う第2プレート(21b)の第1の面との間に、シェル(10)の内部空間(15)から遮断され、且つ、前述の熱媒体導入路及び熱媒体導出路に連通して熱媒体(3)が流れる熱媒体流路(25)が形成される。
【0045】
尚、熱媒体導入路は、シェル(10)の内部空間(15)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(25)を熱媒体入口(13)に連通させる。また、熱媒体導出路は、シェル(10)の内部空間(15)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(25)を熱媒体出口(14)に連通させる。
【0046】
〈冷媒を蛇行させる凹凸パターン〉
図2及び
図3に示すように、複数の伝熱プレート(21)における冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の下部(過冷却領域R
2)の表面には、当該表面上で凝縮した冷媒(2)を蛇行させる蛇行部(28,29)、具体的には、凹部(28)及び凸部(29)からなる凹凸パターンが形成される。過冷却領域R
2は、例えば、第1貫通穴(22)の水平方向の両側、より具体的には、第1貫通穴(22)における上部を除く部分の水平方向の両側に設けてもよい。過冷却領域R
2には、冷媒(2)が凹部(28)に沿って蛇行できるように、例えば、水平方向に延びる複数の凸部(29)がジグザグ模様を構成するように配置される。第1プレート(21a)において、凹部(28)は第1プレート(21a)の第2の面側にへこみ、凸部(29)は第1プレート(21a)の第1の面側に膨出する。第2プレート(21b)において、凹部(28)は第2プレート(21b)の第1の面側にへこみ、凸部(29)は第2プレート(21b)の第2の面側に膨出する。
図3に示す断面構成の箇所では、第1プレート(21a)の凸部(29)と、第2プレート(21b)の凸部(29)とが接触する。
【0047】
尚、図示はしていないが、過冷却領域R
2の熱媒体流路(25)の強度を確保するために、第1プレート(21a)及び第2プレート(21b)のそれぞれの凹部(28)から、熱媒体流路(25)側に複数のディンプル突起を配置して互いに接触させてもよい。
【0048】
また、
図2に示すように、凝縮した冷媒が過冷却領域R
2の凹部(28)及び凸部(29)(蛇行部(28,29))をバイパスして、プレート積層体(20)の外周部とシェル(10)の内壁との間を流れることを防止するために、プレート積層体(20)における過冷却領域R
2の外周部と、シェル(10)の内壁との間に、冷媒(2)の侵入を阻止する部材(詰め物)(30)を設けてもよい。
【0049】
−熱交換器における冷媒と熱媒体の流れ−
本実施形態の熱交換器(1)における冷媒及び熱媒体の流れについて説明する。
【0050】
〈冷媒の流れ〉
熱交換器(1)へは、冷媒回路の圧縮機を通過した気相状態の高圧冷媒が供給される。熱交換器(1)へ供給される冷媒(2)は、冷媒導入口(11)から、プレート積層体(20)の冷媒流路(24)へ向けて供給される。冷媒流路(24)へ供給された冷媒(2)は、凝縮領域R
1の第1プレート(21a)の第1の面又は第2プレート(21b)の第2の面において、熱媒体流路(25)を流れる熱媒体に吸熱されて凝縮する。凝縮した冷媒(2)は、凝縮領域R
1の凹部(26)及び凸部(27)からなる凹凸パターンに沿って下方に流れる。凝縮した冷媒(2)は、過冷却領域R
2に達すると、過冷却領域R
2の凹部(28)及び凸部(29)からなる凹凸パターン(蛇行部(28,29))に沿って蛇行しながら流れ、伝熱プレート(21a,21b)の下縁部から流れ落ち、シェル(10)の内部空間(15)の底部に一旦貯留される。その後、凝縮した冷媒(2)は、冷媒排出口(12)を通じて、シェル(10)の内部空間(15)から排出される。シェル(10)の内部空間(15)から排出された冷媒(2)は、冷凍装置の蒸発器に導入される。
【0051】
〈熱媒体の流れ〉
熱交換器(1)へ供給される熱媒体は、熱媒体入口(13)を通ってプレート積層体(20)の熱媒体導入路へ流入し、各熱媒体流路(25)へ分配される。各熱媒体流路(25)へ流入した熱媒体は、伝熱プレート(21a,21b)の幅方向へ広がりつつ、概ね上方へ向かって流れる。熱媒体流路(25)を流れる過程で、熱媒体は、冷媒流路(24)を流れる冷媒から吸熱する。その結果、熱媒体の温度が上昇する。
【0052】
各熱媒体流路(25)を流れる間に加熱された熱媒体は、プレート積層体(20)の熱媒体導出路へ流入し、他の熱媒体流路(25)を通過した熱媒体と合流した後、熱媒体出口(14)を通って熱交換器(1)の外部へ流出し、空気調和などに利用される。
【0053】
−実施形態1の効果−
本実施形態の熱交換器(1)によると、複数の伝熱プレート(21)における冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の下部の表面に、当該表面上で凝縮した冷媒(2)を蛇行させる蛇行部(28,29)となる凹部(28)及び凸部(29)が設けられる。このため、凝縮した冷媒(2)の蛇行により当該冷媒(2)の流れる速度が増大するので、伝熱プレート(21)上で冷媒(2)の過冷却を行うための面積を十分に確保して、熱交換効率を向上させることができる。また、例えば凹凸(28,29)をジグザグに設ければ、ジグザグの折り返し数を増やすことによって冷媒(2)の流路長が長くなるので、冷媒(2)の過冷却を安定的に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の熱交換器(1)において、蛇行部(28,29)(凹部(28)及び凸部(29))が、一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の表面における第1貫通穴(22)(熱媒体(3)の導入口)の水平方向の両側に設けられると、次のような効果を得ることができる。すなわち、熱媒体(3)の導入口(第1貫通穴(22))の水平方向の両側は、元々熱交換への寄与が小さい領域であるので、凝縮した冷媒(2)を蛇行させる凹部(28)及び凸部(29)を設けることに起因する熱交換効率の低下を抑制できる。
【0055】
また、本実施形態の熱交換器(1)において、プレート積層体(20)における凹部(28)及び凸部(29)が設けられる過冷却領域R
2の外周部と、シェル(10)の内壁との間に、冷媒(2)の侵入を阻止する部材(詰め物)(30)が設けられると、次のような効果を得ることができる。すなわち、凝縮した冷媒が凹部(28)及び凸部(29)つまり蛇行部(28,29)をバイパスして、プレート積層体(20)の外周部とシェル(10)の内壁との間を流れることを防止できるので、前述の効果を確実に得ることができる。
【0056】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の熱交換器(1)は、実施形態1の熱交換器(1)において、凹部(26)及び凸部(27)(冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン)のパターン形状や断面構造を変更したものである。ここでは、本実施形態の熱交換器(1)について、実施形態1の熱交換器(1)と異なる点を説明する。
【0057】
〈冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン〉
図4及び
図5に示すように、複数の伝熱プレート(21)における冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の少なくとも一方の表面には、水平方向に対して傾斜した方向に延びる凹部(26)及び凸部(27)が設けられる。また、凹部(26)には、冷媒(2)の前記傾斜した方向への流れを促進する構造、例えば、凹部(26)の下側の第1壁面(26a)が水平方向となす第1角度が45°以下、より好ましくは、30°以下である構造を有する。尚、凹部(26)及び凸部(27)を金型を用いて形成することから、第1角度は、10°以上とすることが好ましく、15°以上とすることがより好ましい。
図5に示す凹部(26)では、凹部(26)の上側の第2壁面(26b)が水平方向となす第2角度は、前述の第1角度と等しい。言い換えると、凹部(26)の断面形状は、対称形である。
【0058】
冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)のうち、
図5に示すように、第1プレート(21a)に前述の構造が設けられる場合、第2プレート(21b)は、第1プレート(21a)の配置向きを垂直軸J
Vの周りに180°反転させたものであってもよい。
【0059】
尚、
図4では、実施形態1の熱交換器(1)の過冷却領域R
2を設けない構成を示した。しかし、本実施形態の熱交換器(1)でも、実施形態1又は後述の実施形態3と同様の過冷却領域R
2(冷媒を蛇行させる蛇行部(凹部(28)及び凸部(29)、又は連通流路(31)))や、冷媒(2)の侵入を阻止する部材(詰め物)(30)を設けてもよい。
【0060】
また、本実施形態の熱交換器(1)では、凹部(26)及び凸部(27)を、伝熱プレート(21)の一端から他端まで連続的に形成した。しかし、例えば、冷媒流路(24)や熱媒体流路(25)の補強用部材を配置するために、凹部(26)や凸部(27)が部分的に不連続に形成されていてもよい。
【0061】
−実施形態2の効果−
本実施形態の熱交換器(1)によると、冷媒流路(24)を挟む伝熱プレート(21)の表面に、水平方向に対して傾斜した方向に延びる凹部(26)が設けられ、凹部(26)は、冷媒(2)の前記傾斜した方向への流れを促進する構造を有する。このため、凝縮した冷媒(2)を凹部(26)に沿って傾斜した方向に流すことができる(
図5右側の破線矢印参照)。従って、凝縮した冷媒(2)が垂直下方へ流れて伝熱プレート(21)の全面を濡らすことを抑制できるので、熱交換効率を向上させることができる。
【0062】
−実施形態2の第1変形例―
本変形例の熱交換器(1)は、実施形態2の熱交換器(1)において、凹部(26)及び凸部(27)(冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン)のパターン形状は同じまま、凹部(26)及び凸部(27)の断面構造を変更したものである。ここでは、本変形例の熱交換器(1)について、実施形態2の熱交換器(1)と異なる点を説明する。
【0063】
図6に示す凹部(26)の断面形状は非対称形であり、凹部(26)の下側の第1壁面(26a)が水平方向となす第1角度は、凹部(26)の上側の第2壁面(26b)が水平方向となす第2角度よりも小さい。凹部(26)の第1壁面(26a)が水平方向となす第1角度は、例えば、10°以上45°以下であることが好ましく、15°以上30°以下であることがより好ましい。
【0064】
凹部(26)及び凸部(27)を金型を用いて形成することから、前述の第1角度及び第2角度のいずれも小さくすることは難しいが、本変形例のように、第1角度のみを小さくすることによって、金型製作上の困難さを回避しつつ、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0065】
−実施形態2の第2変形例−
本変形例の熱交換器(1)は、実施形態2の第1変形例の熱交換器(1)において、凹部(26)及び凸部(27)(冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン)のパターン形状は同じまま、凹部(26)及び凸部(27)の断面構造を変更したものである。ここでは、本変形例の熱交換器(1)について、実施形態2の第1変形例の熱交換器(1)と異なる点を説明する。
【0066】
図7に示す凹部(26)は、
図6に示す凹部(26)の下側の第1壁面(26a)をくぼんだ曲面としたものである。これにより、冷媒(2)の垂直下方への流れを第1壁面(26a)によって阻害しやすくなる。
【0067】
−実施形態2の第3変形例−
本変形例の熱交換器(1)は、実施形態2の第1変形例の熱交換器(1)において、凹部(26)及び凸部(27)(冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン)の断面構造は同じまま、凹部(26)及び凸部(27)のパターン形状を変更したものである。ここでは、本変形例の熱交換器(1)について、実施形態2の第1変形例の熱交換器(1)と異なる点を説明する。
【0068】
図8及び
図9に示すように、本変形例の凹部(26)及び凸部(27)のパターンは、冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の一方の表面において水平方向の中央部(つまり垂直軸J
V)から両側に斜め下方に延びる山形パターンである。
【0069】
冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)のうち、
図9に示すように、第1プレート(21a)に実施形態2の第1変形例の断面構造(
図6、
図7参照)が設けられる場合、第2プレート(21b)は、第1プレート(21a)の配置向きを水平軸J
Hの周りに180°反転させたものであってもよい。
【0070】
本変形例によると、凹部(26)のパターンが伝熱プレート(21)の一端から他端まで一方向に延びる場合と比べて、凝縮した冷媒(2)が伝熱プレート(21)の端部まで凹部(26)に沿って流れる距離が短くなる。このため、凝縮した冷媒(2)が凹部(26)からこぼれて垂直下方へ流れる前に、凝縮した冷媒(2)を伝熱プレート(21)の端部まで流しやすくなる。従って、凝縮した冷媒(2)によって濡れていない伝熱プレート(21)の範囲を拡大できるので、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0071】
−実施形態2の第4変形例−
本変形例の熱交換器(1)は、実施形態2の熱交換器(1)において、凹部(26)及び凸部(27)(冷媒の凝縮を促進させるための凹凸パターン)のパターン形状及び断面構造を変更したものである。ここでは、本変形例の熱交換器(1)について、実施形態2の熱交換器(1)と異なる点を説明する。
【0072】
図10〜
図12に示すように、本変形例の凹部(26)及び凸部(27)のパターンは、冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の両方の表面において水平方向の中央部(つまり垂直軸J
V)から両側に斜め下方に延びる山形パターンである。
【0073】
冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)は、熱媒体流路(25)を形成するための周縁部の接合領域を除いて、同じ断面形状を有している。
【0074】
図11及び
図12に示す凹部(26)の断面形状は対称形であり、凹部(26)の下側の第1壁面(26a)が水平方向となす第1角度と、凹部(26)の上側の第2壁面(26b)が水平方向となす第2角度とは等しく、例えば45°程度である。
【0075】
尚、本変形例において、凹部(26)の断面形状を非対称形にしてもよい。或いは、前述の第1角度を10°以上45°以下又は15°以上30°以下に設定してもよい。或いは、前述の第1角度及び第2角度のいずれも、45°よりも小さく設定してもよい。
【0076】
また、本変形例において、冷媒流路(24)や熱媒体流路(25)を補強するために、
図13に示すように、垂直軸J
Vから斜め下方に延びる凹部(26)の途中に凸領域P1を配置し、当該凸領域P1を、凸部(27)の対応する領域P2と接触させてもよい。
【0077】
以上に説明した本変形例によると、冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の両方の表面に、凹部(26)の山形パターンを設けることにより、第2の実施形態の第3変形例で説明した効果をより顕著に得ることができる。
【0078】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。
図14は、伝熱プレート(21)の積層方向に対して垂直な水平方向から本実施形態の熱交換器(1)を見た断面構成を示す。
図15は、伝熱プレート(21)の積層方向から本実施形態の熱交換器(1)を見た断面構成を示す。
図16は、本実施形態の熱交換器(1)のプレート積層体(20)の断面構成を、伝熱プレート(21)の斜視図と合わせて示す。尚、
図14〜
図16において、
図1〜
図3に示す実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付す。以下、本実施形態の熱交換器(1)について、主に実施形態1と異なる点を説明する。
【0079】
実施形態1では、
図1〜
図3に示すように、冷媒流路(24)を挟む一対のプレート(21a,21b)の下部(過冷却領域R
2)の表面に、当該表面上で凝縮した冷媒(2)を蛇行させる蛇行部として、凹部(28)及び凸部(29)からなる凹凸パターンを設けた。
【0080】
それに対して、本実施形態では、
図14〜
図16に示すように、伝熱プレート(21)の積層方向にプレート積層体(20)内を延びる連通流路(31)が蛇行部として設けられる。連通流路(31)は、複数設けてもよい。連通流路(31)は、各伝熱プレート(21a,21b)の下部(過冷却領域R
2)を貫通する。過冷却領域R
2は、例えば、第1貫通穴(22)の水平方向の両側、より具体的には、第1貫通穴(22)における上部を除く部分の水平方向の両側に設けてもよい。
【0081】
連通流路(31)は、例えば
図16に示すように構成してもよい。すなわち、過冷却領域R
2において冷媒流路(24)を挟んで隣り合う一対の伝熱プレート(21a,21b)のそれぞれに、開口(32)を頂部に有する例えば円錐台状の突起部(33)を互いに対向するように設け、各伝熱プレート(21a,21b)の開口(32)同士を接続する。これによって、プレート積層体(20)内を水平方向に延びる連通流路(31)が設けられる。
【0082】
尚、本実施形態において、連通流路(31)に加えて、実施形態1の凹部(28)及び凸部(29)からなる凹凸パターンを蛇行部として設けてもよい。
【0083】
以下、本実施形態の熱交換器(1)での冷媒の流れについて、
図14を参照しながら説明する。尚、
図14において、冷媒の流れを破線矢印で示す。
【0084】
実施形態1と同様に、凝縮領域R
1の伝熱プレート(21a,21b)上で凝縮した冷媒(2)は、凝縮領域R
1の凹部(26)及び凸部(27)からなる凹凸パターンに沿って下方に流れる。本実施形態では、過冷却領域R
2の外周部とシェル(10)の内壁との間で冷媒(2)の侵入を阻止する板状の部材(30)において、例えば伝熱プレート(21)の積層方向(熱交換器(1)の長手方向)の後側(熱媒体入口(13)及び熱媒体出口(14)が設けられていない側)に過冷却領域R
2に通じる開口が設けられる。これにより、部材(30)に達した冷媒(2)は、部材(30)上を熱交換器(1)の長手方向の後側へ流れ、当該後側から蛇行部となる連通流路(31)の一端に導かれる。連通流路(31)の一端に導かれた冷媒(2)は、熱交換器(1)の長手方向の前側へ流れ、連通流路(31)の他端から流れ落ち、シェル(10)の内部空間(15)の底部に一旦貯留される。その後、凝縮した冷媒(2)は、冷媒排出口(12)を通じて、シェル(10)の内部空間(15)から排出される。
【0085】
−実施形態3の効果−
本実施形態の熱交換器(1)によると、伝熱プレート(21)の積層方向にプレート積層体(20)内を延びる連通流路(31)が蛇行部として設けられる。このため、凝縮した冷媒(2)の蛇行により当該冷媒(2)の流れる速度が増大するので、伝熱プレート(21)上で冷媒(2)の過冷却を行うための面積を十分に確保して、熱交換効率を向上させることができる。また、冷媒(2)が連通流路(31)を通って伝熱プレート(21)の積層方向(つまり熱交換器(1)の長手方向)に蛇行することができる。これにより、冷媒(2)の流路長が長くなるので、冷媒(2)の過冷却を安定的に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態の熱交換器(1)において、蛇行部となる連通流路(31)が、各伝熱プレート(21)の第1貫通穴(22)(熱媒体(3)の導入口)の水平方向の両側に設けられると、次のような効果を得ることができる。すなわち、熱媒体(3)の導入口(第1貫通穴(22))の水平方向の両側は、元々熱交換への寄与が小さい領域であるので、凝縮した冷媒(2)を蛇行させる連通流路(31)を設けることに起因する熱交換効率の低下を抑制できる。
【0087】
また、本実施形態の熱交換器(1)において、プレート積層体(20)における連通流路(31)が設けられる過冷却領域R
2の外周部と、シェル(10)の内壁との間に、冷媒(2)の侵入を阻止する部材(詰め物)(30)が設けられると、次のような効果を得ることができる。すなわち、凝縮した冷媒が蛇行部となる連通流路(31)をバイパスして、プレート積層体(20)の外周部とシェル(10)の内壁との間を流れることを防止できるので、前述の効果を確実に得ることができる。
【0088】
《その他の実施形態》
実施形態1〜3(各変形例を含む)の熱交換器(1)において、プレート積層体(20)を構成する伝熱プレート(21)の形状を円形としたが、伝熱プレート(21)の形状は特に限定されない。例えば、伝熱プレート(21)は、楕円形状や半円形状等の他の形状に形成されてもよい。
【0089】
また、実施形態1〜3(各変形例を含む)の熱交換器(1)において、プレート積層体(20)を構成する複数の伝熱プレート(21)は、例えば、ロウ付けによって互いに接合されていてもよい。
【0090】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。