(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のLCフィルタの各々の前記リアクトルに流れる電流のうち最大の振幅に基づく値が、第2振幅閾値よりも大きい場合に、検出開始信号を出力する検出開始判定部を備え、
前記欠相判定部は、前記検出開始信号と前記位相差異常信号と前記振幅差異常信号とを入力した場合に、欠相信号を出力すること、
を特徴とする請求項3に記載の電力変換装置の欠相検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような、インバータの交流出力側にLCフィルタが接続された電力変換装置における欠相検出について検討する。
【0006】
図3は、欠相が生じていない正常時に、リアクトル(L)に流れる電流I
INVとコンデンサ(C)に流れる電流I
Cについて説明するための図である。実線31は、電力変換装置が低出力で運転している場合における電流I
INVを表す波形である。実線32は、電力変換装置が実線31よりも高出力(例えば、定格出力)で運転している場合における電流I
INVを表す波形である。破線33は、電流I
Cを表す波形である。電流I
Cの位相は電流I
INVの位相より90°進んでいる。
【0007】
実線32で示すように電力変換装置が高出力で運転している時は、リアクトル(L)に流れる電流はコンデンサ(C)に流れる電流に比して非常に大きい(|I
INV|≫|I
C|)。一方、欠相時は電力系統側へ電流が流れず、リアクトル(L)およびコンデンサ(C)に流れる電流の振幅は等しくなる。この点に着目して、リアクトル(L)に流れる電流の振幅|I
INV|とコンデンサ(C)に流れる電流の振幅|I
C|との振幅差がほぼ零であることを検出して欠相と判断することが考えられる。
【0008】
しかしながら、電流の振幅のみを用いた欠相検出では、電力変換装置(PCS)が低出力である場合(
図3の実線31)に欠相が誤検出されるおそれがある。これはセンサの検出誤差や上位系統のパーセントインピーダンス(%Z)などによっては|I
INV|=|I
C|を満たす運転点が存在するためである。例えば、悪天候により太陽電池の発電電力が小さく、PCSを低出力で運転させる状態が継続する場合がありうる。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、欠相の誤検出を低減できる電力変換装置の欠相検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1の実施形態では、電力変換装置の欠相検出装置は、第1電流検出部、第2電流検出部、位相差異常検出部、振幅差異常検出部、欠相判定部を備える。電力変換装置は、インバータの交流出力端子に接続された、リアクトル及びコンデンサで構成されたLCフィルタを有する。第1電流検出部は、前記リアクトルに流れる電流を検出する。第2電流検出部は、前記コンデンサに流れる電流を検出する。位相差異常検出部は、前記リアクトルに流れる電流と前記コンデンサに流れる電流との位相差の絶対値が、位相閾値以下である場合に、位相差異常信号を出力する。振幅差異常検出部は、前記リアクトルに流れる電流と前記コンデンサに流れる電流との振幅差に基づく値の絶対値が、振幅閾値以下である場合に、振幅差異常信号を出力する。欠相判定部は、前記位相差異常信号および前記振幅差異常信号の両方を入力した場合に、欠相信号を出力する。
【0011】
他の実施形態では、電力変換装置の欠相検出装置は、第1電流検出部、第2電流検出部、位相差異常検出部、振幅差異常検出部、欠相判定部を備える。電力変換装置は、複数の交流出力端子を有するインバータと、前記複数の交流出力端子にそれぞれ接続する、リアクトル及びコンデンサで構成された複数のLCフィルタとを有する。第1電流検出部は、前記複数のLCフィルタの各々の前記リアクトルに流れる電流を検出する。第2電流検出部は、前記複数のLCフィルタの各々の前記コンデンサに流れる電流を検出する。位相差異常検出部は、前記複数の交流出力端子のうち1の交流出力端子に接続する前記リアクトルに流れる電流と、前記1の交流出力端子に接続する前記コンデンサに流れる電流との位相差の絶対値が、位相閾値以下である場合に、位相差異常信号を出力する。振幅差異常検出部は、前記1の交流出力端子に接続する前記リアクトルに流れる電流と、前記1の交流出力端子に接続する前記コンデンサに流れる電流との振幅差に基づく値の絶対値が、振幅閾値以下である場合に、振幅差異常信号を出力する。欠相判定部は、前記位相差異常信号および前記振幅差異常信号の両方を入力した場合に、欠相信号を出力する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、電流の振幅および位相の両方を欠相検出の判定条件に用いることで欠相の検出精度を高めることができる。その結果、欠相の誤検出を低減でき、シビアな検出精度が要求される認証試験への適用が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0015】
実施の形態1.
(電力変換装置)
図1は、この発明の実施の形態1における電力変換装置を説明するための図である。
【0016】
電力変換装置1は、直流電源2および電力系統3に接続する。直流電源2は、例えば、太陽光パネルを備える太陽光発電装置、蓄電池などである。
【0017】
電力変換装置1は、直流電源2から供給される直流電力を交流電力に変換し、電力系統3へ供給する。
【0018】
電力変換装置1は、平滑コンデンサ4、インバータ5、フィルタ6、コントローラ20を備える。
【0019】
平滑コンデンサ4は、直流電源2の正極側と負極側との間に接続され、端子間電圧の変動を平滑化するためのコンデンサである。
【0020】
インバータ5は、直流電源2からの直流電力を交流電力に変換して電力系統3へ出力する。インバータ5は、単相であっても多相であってもよい。一例として、以下の説明では、インバータ5は三相電圧形インバータであるとして説明する。
【0021】
三相電圧形インバータは、3つのレグ(U相レグ、V相レグ、W相レグ)を並列に接続した回路を有する。各レグは、スイッチング素子と還流ダイオードとを逆並列に接続したアームを2つ直列に接続して構成される。各レグは、直流電源2の正極側と負極側との間に並列に接続する。
【0022】
インバータ5は、3つの交流出力端子7(U相交流出力端子7u、V相交流出力端子7v、W相交流出力端子7w)を備える。U相交流出力端子7uは、U相レグの中間点に接続する。V相交流出力端子7vは、V相レグの中間点に接続する。W相交流出力端子7wは、W相レグの中間点に接続する。
【0023】
フィルタ6は、インバータ5と電力系統3との間に設けられる。フィルタ6は、3つのLCフィルタ(6u、6v、6w)を組み合わせて構成されている。3つのLCフィルタ(6u、6v、6w)は、3つの交流出力端子(7u、7v、7w)にそれぞれ接続する。
【0024】
各LCフィルタ(6u、6v、6w)は、リアクトル8及びコンデンサ9で構成される。リアクトル8u及びコンデンサ9uは、U相交流出力端子7uと電力系統3との間に設けられる。リアクトル8v及びコンデンサ9vは、V相交流出力端子7vと電力系統3との間に設けられる。リアクトル8w及びコンデンサ9wは、W相交流出力端子7wと電力系統3との間に設けられる。
【0025】
各LCフィルタ(6u、6v、6w)は、ローパスフィルタである。各LCフィルタ(6u、6v、6w)は、リアクトルとコンデンサとによるフィルタ効果によって、インバータ5の各スイッチング素子のスイッチングによって生じるリップルを低減する。
【0026】
(欠相検出装置)
欠相検出装置は、第1電流検出部10と第2電流検出部11とコントローラ20で構成される。
【0027】
第1電流検出部10は、U相第1電流検出器10u、V相第1電流検出器10v、W相第1電流検出器10wを備える。第1電流検出部10は、3つのLCフィルタ(6u、6v、6w)の各々のリアクトル(8u、8v、8w)に流れる電流(I
INV_U、I
INV_V、I
INV_W)を検出する。
【0028】
第2電流検出部11は、U相第2電流検出器11u、V相第2電流検出器11v、W相第2電流検出器11wを備える。第2電流検出部11は、3つのLCフィルタ(6u、6v、6w)の各々のコンデンサ(9u、9v、9w)に流れる電流(I
C_U、I
C_V、I
C_W)を検出する。
【0029】
コントローラ20は、電力変換装置1の外部から入力される電力系統3への出力供給に応じた電力指令、インバータ5の出力電流などを含む入力信号を受信する。コントローラ20は、入力信号に基づいて、インバータ5の各スイッチング素子を駆動するゲート信号を生成する。ゲート信号によりインバータ5の出力電力がPWM(Pulse Width Modulation)制御される。
【0030】
さらに、コントローラ20は欠相検出部21を備える。
図2の回路構成図を参照して、欠相検出部21について説明する。
【0031】
欠相検出部21は、第1電流検出部10により検出されたリアクトル(8u、8v、8w)に流れる電流(I
INV_U、I
INV_V、I
INV_W)を受信する。欠相検出部21は、第2電流検出部11により検出されたコンデンサ(9u、9v、9w)に流れる電流(I
C_U、I
C_V、I
C_W)を受信する。
【0032】
欠相検出部21は、位相差異常検出部22と、振幅差異常検出部23と、検出開始判定部24と、欠相判定部25を備える。
【0033】
位相差異常検出部22は、リアクトル(8u、8v、8w)にそれぞれ流れる電流の位相(∠
INV_U、∠
INV_V、∠
INV_W)と、コンデンサ(9u、9v、9w)にそれぞれ流れる電流の位相(∠
C_U、∠
C_V、∠
C_W)とを入力して、位相差信号(位相差正常信号または位相差異常信号)を出力する。
【0034】
具体的に説明する。位相差異常検出部22は、OR回路221と、3つの比較器(222u、222v、222w)、3つの絶対値回路(223u、223v、223w)、3つの減算器(224u、224v、224w)を含む。
【0035】
OR回路221は、3つの比較器(222u、222v、222w)に接続する。比較器222uは、絶対値回路223uに接続する。絶対値回路223uは減算器224uに接続する。比較器222vは、絶対値回路223vに接続する。絶対値回路223vは減算器224vに接続する。比較器222wは、絶対値回路223wに接続する。絶対値回路223wは減算器224wに接続する。
【0036】
次に、位相差異常検出部22による各相の異常検出処理について説明する。
【0037】
まず、U相について説明する。減算器224uは、位相∠
INV_Uと位相∠
C_Uとの位相差を出力する。絶対値回路223uは、当該位相差の絶対値を出力する。比較器222uは、当該位相差の絶対値と位相閾値Tpとの比較結果に基づいて位相差信号を出力する。具体的には、比較器222uは、当該位相差の絶対値が位相閾値Tpより大きい場合に、位相差正常信号を出力する。比較器222uは、当該位相差の絶対値が位相閾値Tp以下である場合に、位相差異常信号を出力する。好ましくは、位相閾値Tpは、0°以上10°以下である。
【0038】
図3と
図4を参照して一例を説明する。
図4は、欠相状態におけるリアクトル(L)に流れる電流I
INVとコンデンサ(C)に流れる電流I
Cについて説明するための図である。実線41は、欠相状態においてリアクトル(L)に流れる電流I
INVを表す波形である。破線42は、欠相状態においてコンデンサ(C)に流れる電流I
Cを表す波形である。欠相状態では電力系統3側へ電流が流れない。そのため、リアクトル(L)およびコンデンサ(C)に流れる電流の波形は、同振幅、同位相になる。位相差異常検出部22は、リアクトル(L)およびコンデンサ(C)に流れる電流の波形が同位相である場合に、位相差異常信号を出力する。
【0039】
例えば、位相閾値Tpを10°とする。欠相が生じていない正常時は、リアクトルに流れる電流の位相とコンデンサに流れる電流の位相との位相差は90°である(
図3の実線32と破線33)。このとき位相差の絶対値は位相閾値Tpよりも大きく、比較器222uは0(位相差正常信号)を出力する。一方、欠相時は、上述したようにリアクトルに流れる電流の位相とコンデンサに流れる電流の位相との位相差はほぼ零になる(
図4)。このとき位相差の絶対値は位相閾値Tp以下であり、比較器222uは1(位相差異常信号)を出力する。
【0040】
次に、V相について説明する。減算器224vは、位相∠
INV_Vと位相∠
C_Vとの位相差を出力する。絶対値回路223vは、当該位相差の絶対値を出力する。比較器222vは、当該位相差の絶対値と位相閾値Tpとの比較結果に基づいて位相差信号を出力する。具体的には、比較器222vは、当該位相差の絶対値が位相閾値Tpより大きい場合に、位相差正常信号を出力する。比較器222vは、当該位相差の絶対値が位相閾値Tp以下である場合に、位相差異常信号を出力する。
【0041】
次に、W相について説明する。減算器224wは、位相∠
INV_Wと位相∠
C_Wとの位相差を出力する。絶対値回路223wは、当該位相差の絶対値を出力する。比較器222wは、当該位相差の絶対値と位相閾値Tpとの比較結果に基づいて位相差信号を出力する。具体的には、比較器222wは、当該位相差の絶対値が位相閾値Tpより大きい場合に、位相差正常信号を出力する。比較器222wは、当該位相差の絶対値が位相閾値Tp以下である場合に、位相差異常信号を出力する。
【0042】
OR回路221は、すべての比較器(222u、222v、222w)から位相差正常信号を入力する場合に、位相差正常信号を出力する。一方、少なくとも1つの比較器(222u、222v、222w)から位相差異常信号を入力する場合に、位相差異常信号を出力する。すなわち、OR回路221は、U相、V相、W相の少なくとも1つに関して、リアクトルに流れる電流とコンデンサに流れる電流との位相差の絶対値が、位相閾値Tp以下である場合に、位相差異常信号を出力する。
【0043】
振幅差異常検出部23は、リアクトル(8u、8v、8w)にそれぞれ流れる電流の実効値(|I
INV_U|/√2、|I
INV_V|/√2、|I
INV_W|/√2)と、コンデンサ(9u、9v、9w)にそれぞれ流れる電流の実効値(|I
C_U|/√2、|I
C_V|/√2、|I
C_W|/√2)とを入力して、振幅差信号(振幅差正常信号または振幅差異常信号)を出力する。なお、電流の実効値は、前1周期分の電流波形における電流の絶対値の平均値である。
【0044】
具体的に説明する。振幅差異常検出部23は、OR回路231、3つの比較器(232u、232v、232w)、3つの絶対値回路(233u、233v、233w)、3つの減算器(234u、234v、234w)を含む。
【0045】
OR回路231は、3つの比較器(232u、232v、232w)に接続する。比較器232uは、絶対値回路233uに接続する。絶対値回路233uは減算器234uに接続する。比較器232vは、絶対値回路233vに接続する。絶対値回路233vは減算器234vに接続する。比較器232wは、絶対値回路233wに接続する。絶対値回路233wは減算器234wに接続する。
【0046】
次に、振幅差異常検出部23による各相の異常検出処理について説明する。
【0047】
まず、U相について説明する。減算器234uは、電流実効値|I
INV_U|/√2と電流実効値|I
C_U|/√2との電流実効値差(振幅差に基づく値)を出力する。絶対値回路233uは、当該電流実効値差の絶対値を出力する。比較器232uは、当該電流実効値差の絶対値と振幅閾値Taとの比較結果に基づいて振幅差信号を出力する。具体的には、比較器232uは、当該電流実効値差の絶対値が振幅閾値Taより大きい場合に、振幅差正常信号を出力する。比較器232uは、当該電流実効値差の絶対値が振幅閾値Ta以下である場合に、振幅差異常信号を出力する。好ましくは、振幅閾値Taは、定格電流の振幅の10%以下である。
【0048】
図3と
図4を参照して一例を説明する。欠相状態では電力系統3側へ電流が流れない。そのため、リアクトル(L)およびコンデンサ(C)に流れる電流の波形は、同振幅、同位相になる(
図4の実線41と破線42)。振幅差異常検出部23は、リアクトル(L)およびコンデンサ(C)に流れる電流の波形が同振幅である場合に、振幅差異常信号を出力する。
【0049】
例えば、振幅閾値Taを50アンペアとする。欠相が生じていない正常時はリアクトルに流れる電流の実効値とコンデンサに流れる電流の実効値との電流実効値差は数百アンペアである(
図3の実線32と破線33)。このとき電流実効値差の絶対値は振幅閾値Taよりも大きく、比較器232uは0(振幅差正常信号)を出力する。一方、欠相時は上述したようにリアクトルに流れる電流の実効値とコンデンサに流れる電流の実効値との電流実効値差はほぼ零になる(
図4)。このとき電流実効値差の絶対値は振幅閾値Ta以下であり、比較器232uは1(振幅差異常信号)を出力する。
【0050】
次に、V相について説明する。減算器234vは、電流実効値|I
INV_V|/√2と電流実効値|I
C_V|/√2との電流実効値差(振幅差に基づく値)を出力する。絶対値回路233vは、当該電流実効値差の絶対値を出力する。比較器232vは、当該電流実効値差の絶対値と振幅閾値Taとの比較結果に基づいて振幅差信号を出力する。具体的には、比較器232vは、当該電流実効値差の絶対値が振幅閾値Taより大きい場合に、振幅差正常信号を出力する。比較器232vは、当該電流実効値差の絶対値が振幅閾値Ta以下である場合に、振幅差異常信号を出力する。
【0051】
次に、W相について説明する。減算器234wは、電流実効値|I
INV_W|/√2と電流実効値|I
C_W|/√2との電流実効値差(振幅差に基づく値)を出力する。絶対値回路233wは、当該電流実効値差の絶対値を出力する。比較器232wは、当該電流実効値差の絶対値と振幅閾値Taとの比較結果に基づいて振幅差信号を出力する。具体的には、比較器232wは、当該電流実効値差の絶対値が振幅閾値Taより大きい場合に、振幅差正常信号を出力する。比較器232wは、当該電流実効値差の絶対値が振幅閾値Ta以下である場合に、振幅差異常信号を出力する。
【0052】
OR回路231は、すべての比較器(232u、232v、232w)から振幅差正常信号を入力する場合に、振幅差正常信号を出力する。一方、少なくとも1つの比較器(232u、232v、232w)から振幅差異常信号を入力する場合に、振幅差異常信号を出力する。すなわち、OR回路231は、U相、V相、W相の少なくとも1つに関して、リアクトルに流れる電流とコンデンサに流れる電流との振幅差に基づく値の絶対値が、振幅閾値Ta以下である場合に、振幅差異常信号を出力する。
【0053】
検出開始判定部24は、リアクトル(8u、8v、8w)にそれぞれ流れる電流の実効値(|I
INV_U|/√2、|I
INV_V|/√2、|I
INV_W|/√2)(振幅に基づく値)を入力して、検出開始信号を出力する。
【0054】
具体的に説明する。検出開始判定部24は、比較器242、最大値検出器243を含む。比較器242は、最大値検出器243に接続する。
【0055】
次に、検出開始判定部24による異常検出開始処理について説明する。最大値検出器243は、リアクトル(8u、8v、8w)それぞれに流れる電流の実効値のうち最大値を検出する。
【0056】
比較器242は、当該最大値が第2振幅閾値Tsよりも大きい場合、すなわち規定の出力がある場合に、検出開始信号を出力する。好ましくは、第2振幅閾値Tsは、振幅閾値Taよりも大きい。
【0057】
すなわち、検出開始判定部24は、複数のLCフィルタ(6u、6v、6w)の各々のリアクトル(8u、8v、8w)に流れる電流のうち最大の振幅に基づく値が、第2振幅閾値Tsよりも大きい場合に、検出開始信号を出力する。
【0058】
検出開始判定部24によれば、電力変換装置1の立ち上がり時など、インバータ電流の振幅がコンデンサ電流の振幅と同程度である期間が経過し運転が安定してから、位相差異常検出部22および振幅差異常検出部23における異常検出処理を開始することができる。
【0059】
欠相判定部25は、検出開始判定部24から出力された検出開始信号と、位相差異常検出部22から出力された位相差異常信号と、振幅差異常検出部23から出力された振幅差異常信号とが入力された場合に、欠相信号を出力する。すなわち、検出開始信号が出力される状態、かつ、
図4に示すように、リアクトル(L)およびコンデンサ(C)に流れる電流の波形が、同振幅、同位相となった場合に、欠相信号を出力する。
【0060】
コントローラ20の警報発信部(図示省略)は欠相信号を入力する。欠相信号を入力した場合、警報発信部は、欠相が発生したことをオペレータに伝えるため、画面ダイアログ、音声、ランプなどを用いて警報を発信する。
【0061】
以上説明した電力変換装置の欠相検出装置によれば、LCフィルタのリアクトルおよびコンデンサに流れる電流について、電流の振幅および位相の両方を欠相検出の判定条件に用いることで欠相の検出精度を高めることができる。その結果、欠相の誤検出を低減でき、シビアな検出精度が要求される認証試験への適用が可能となる。
【0062】
(変形例)
ところで、上述した実施の形態1の欠相検出装置は、検出開始判定部24を備えているが、検出開始判定部24を有しない構成としてもよい。この場合、欠相判定部25は、位相差異常信号および振幅差異常信号の両方を出力した場合に、欠相信号を出力する。
【0063】
また、上述した実施の形態1の欠相検出装置は、振幅差異常検出部23において「電流実効値」を用いているが、これに替えて「電流の振幅」を用いても良い。この場合、「振幅差に基づく値」は、リアクトルに流れる電流の振幅とコンデンサに流れる電流の振幅との差である。
【0064】
また、上述した実施の形態1の欠相検出装置は、検出開始判定部24において「電流実効値」を用いているが、これに替えて「電流の振幅」を用いても良い。この場合、「振幅に基づく値」は、リアクトルに流れる電流の振幅である。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。