特許第6927449号(P6927449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6927449
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】環境検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/24 20060101AFI20210823BHJP
   F24F 11/88 20180101ALI20210823BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20210823BHJP
   F24F 110/30 20180101ALN20210823BHJP
【FI】
   G01K11/24
   F24F11/88
   F24F110:10
   F24F110:30
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2021-75707(P2021-75707)
(22)【出願日】2021年4月28日
【審査請求日】2021年4月28日
(31)【優先権主張番号】特願2020-80079(P2020-80079)
(32)【優先日】2020年4月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋江井 武彦
(72)【発明者】
【氏名】奥本 衛
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−54999(JP,A)
【文献】 特開平1−314931(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2020/0072680(US,A1)
【文献】 特開2019−190694(JP,A)
【文献】 米国特許第6439468(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
F24F 11/00−11/89
F24F 110/10
F24F 110/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を空調する環境制御装置(40)が設置された対象空間(S)に検出用音波を発信する音波発信部(10)と、
前記音波発信部(10)が発信した検出用音波を受信する音波受信部(20)とを備え、
前記検出用音波を前記音波発信部(10)が発信してから前記音波受信部(20)が受信するまでの音波伝搬経路長および音波伝搬時間を含む音波測定データに基づいて、前記対象空間(S)の温度分布および風速分布の少なくとも一方を求める環境検出システムであって、
前記環境制御装置(40)から取得した所定の取得情報に基づいて、該環境制御装置(40)近傍の第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方を決定する決定部(32)を備え、
前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方と、前記音波測定データとに基づいて、前記対象空間(S)における前記第1領域Ap以外の第2領域Aqの温度分布および風速分布の少なくとも一方を求めることを特徴とする環境検出システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)から空気を吸い込む吸込口(66)と、前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(67)とを有する空調機(40)であり、
前記取得情報は、前記空調機(40)が吸込口(66)から吸い込んだ空気の温度である吸込み温度であり、
前記決定部(32)は、前記吸込み温度が前記第1領域Apの温度であると決定し、
前記第2領域Aqの温度分布を、前記決定部が決定した前記第1領域Apの温度と、前記音波測定データとに基づいて求める
ことを特徴とする環境検出システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)から空気を吸い込む吸込口(66)と、
該吸込口(66)から吸い込まれた空気の温度を調節する熱交換器(44)と、
該熱交換器(44)を通過した空気を前記対象空間(S)に吹き出す吹出口(67)と、
前記吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送るファン(52)と、
該吹出口(67)から吹き出される空気の向きを調節するためのフラップ(72)とを有する空調機(40)であって、
前記取得情報は、前記熱交換器(44)の温度、前記吸込口(66)から吸い込まれる空気の温度、前記ファン(52)の回転速度、および前記フラップ(72)の姿勢であり、
前記決定部(32)は、前記取得情報に基づいて、前記空調機(40)の前記吹出口(67)から吹き出される空気の温度である吹出し温度を算出し、前記吹出し温度が前記第1領域Apの温度であると決定し、
前記第2領域Aqの温度分布を、前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの温度と、前記音波測定データとに基づいて求める
ことを特徴とする環境検出システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)の空気を吸い込む吸込口(66)と、
前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(67)と、
前記吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送るファン(52)とを有する空調機(
40)であって、
前記取得情報は、前記ファン(52)の回転速度、および前記吸込口(66)の開口面積であり、
前記決定部(32)は、前記取得情報に基づいて、前記空調機(40)の前記吸込口(66)に吸い込まれる空気の風速である吸込み風速を算出し、前記吸込み風速が前記第1領域Apの風速であると決定し、
前記第2領域Aqの風速分布を、前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの風速と、前記音波測定データとに基づいて求める
ことを特徴とする環境検出システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)の空気を吸い込む吸込口(66)と、
前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(67)と、
前記吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送るファン(52)と、
該吹出口(67)から吹き出される空気の向きを調節するためのフラップ(72)とを有する空調機(40)であって、
前記取得情報は、前記ファン(52)の回転速度、前記吹出口(67)の開口面積、および前記フラップ(72)の姿勢であり、
前記決定部(32)は、前記取得情報に基づいて、前記空調機(40)の前記吹出口(67)から吹き出される風速である吹出し風速を算出し、前記吹出し風速が前記第1領域Apの風速であると決定し、
前記第2領域Aqの風速分布を、前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの風速と、前記音波測定データとに基づいて求める
ことを特徴とする環境検出システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
前記第2領域Aqは、複数の領域にさらに区分され、
前記決定部(32)は、複数の前記領域のうち、対象空間(S)の壁面、床面、および天井面に接する前記領域の風速をゼロとして、前記第2領域Aqの風速分布を求めることを特徴とする環境検出システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
前記第2領域Aqの風速分布に基づいて、前記対象空間(S)の空気齢分布を求める演算部(35)をさらに備えることを特徴とする環境検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、音波により空間の温度分布を測定する方法が知られている。特許文献1では、空間内に音波を発信するスピーカと、該スピーカが発信する音波を受信するマイクとを備える環境状態測定装置が開示されている。この測定装置は、音波をスピーカが発信してからマイクが受信するまでの、音波の伝搬時間と伝搬距離とに基づいて室内の温度分布を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−173925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音波のみを利用して空間の温度分布を測定した場合では、実際の温度分布との誤差が比較的大きくなる。そこで、特許文献1の環境状態測定装置は、空間内の所定の位置の温度を実際に測定し、この測定した温度の実測値をもって、音波による温度の測定値を補正する。
【0005】
しかし、この測定装置では、空間内に設置する温度センサを別途必要とするため、部品点数が多くなる。
【0006】
本開示の目的は、音波による空間の温度分布および風速分布の測定精度を向上させることにある
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、
空間を空調する環境制御装置(40)が設置された対象空間(S)に検出用音波を発信する音波発信部(10)と、
前記音波発信部(10)が発信した検出用音波を受信する音波受信部(20)とを備え、前記検出用音波を前記音波発信部(10)が発信してから前記音波受信部(20)が受信するまでの音波伝搬経路長および音波伝搬時間を含む音波測定データに基づいて、前記対象空間(S)の温度分布および風速分布の少なくとも一方を求める環境検出システムであって、
前記環境制御装置(40)から取得した所定の取得情報に基づいて、該環境制御装置(40)近傍の第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方を決定する決定部(32)を備え、
前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方と、前記音波測定データとに基づいて、前記対象空間(S)における前記第1領域Ap以外の第2領域Aqの温度分布および風速分布の少なくとも一方を求める。
【0008】
第1の態様では、対象空間(S)が環境制御装置(40)近傍の第1領域と、第1領域以外の第2領域に区分される。第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方が、取得情報に基いて決定部(32)により決定される。第2領域Aqについては、決定部(32)が決定した第1領域Apの温度および風速と、第2領域Aqを伝搬する検出用音波の音波測定データとに基づいて、温度分布および風速分布を算出する。その結果、第2領域Aqの温度分布および風速分布について、音波測定データのみから算出する場合よりも、対象空間(S)の温度分布および風速分布の測定精度を向上させることができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)から空気を吸い込む吸込口(66)と、前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(67)とを有する空調機(40)であり、
前記取得情報は、前記空調機(40)が吸込口(66)から吸い込んだ空気の温度である吸込み温度であり、
前記決定部(32)は、前記吸込み温度が前記第1領域Apの温度であると決定し、
前記第2領域Aqの温度分布を、前記決定部が決定した前記第1領域の温度と、前記音波測定データとに基づいて求める。
【0010】
第2の態様では、空調機(40)の吸込み温度を第1領域Apの温度として、該第1領域Apの温度と第2領域Aqの音波測定データとに基づいて第2領域Aqの温度分布を求める。このことにより、対象空間(S)の温度分布の測定精度を向上させることができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)から空気を吸い込む吸込口(66)と、
該吸込口(66)から吸い込まれた空気の温度を調節する熱交換器(44)と、
該熱交換器(44)を通過した空気を前記対象空間(S)に吹き出す吹出口(67)と、
前記吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送るファン(52)と、
該吹出口(67)から吹き出される空気の向きを調節するためのフラップ(72)とを有する空調機(40)であって、
前記取得情報は、前記熱交換器(44)の温度、前記吸込口(66)から吸い込まれる空気の温度、前記ファン(52)の回転速度、および前記フラップ(72)の姿勢であり、
前記決定部(32)は、前記取得情報に基づいて、前記空調機(40)の前記吹出口(67)から吹き出される空気の温度である吹出し温度を算出し、前記吹出し温度が前記第1領域Apの温度であると決定し、
前記第2領域Aqの温度分布を、前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの温度と、前記音波測定データとに基づいて求める。
【0012】
第3の態様では、決定部(32)は、空調機(40)の吹出し温度を第1領域Apの温度として決定する。この第1領域Apの温度と、第2領域Aqの音波測定データとに基づいて第2領域Aqの温度分布を求める。このことにより、対象空間(S)の温度分布の測定精度を向上させることができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第1の態様において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)の空気を吸い込む吸込口(66)と、
前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(67)と、
前記吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送るファン(52)とを有する空調機(40)であって、
前記取得情報は、前記ファン(52)の回転速度、および前記吸込口(66)の開口面積であり、
前記決定部(32)は、前記取得情報に基づいて、前記空調機(40)の前記吸込口(66)に吸い込まれる空気の風速である吸込み風速を算出し、前記吸込み風速が前記第1領域Apの風速であると決定し、
前記第2領域Aqの風速分布を、前記決定部(32)が決定した前記第1領域Apの風速と、前記音波測定データとに基づいて求める。
【0014】
第4の態様では、決定部(32)は、空調機(40)の吸込み風速を第1領域Apの風速として決定する。この第1領域Apの風速と、第2領域Aqの音波測定データとに基づいて第2領域Aqの風速分布を求める。このことにより、対象空間(S)の風速分布の測定精度を向上させることができる。
【0015】
第5の態様は、第1の態様において、
前記環境制御装置(40)は、
前記対象空間(S)の空気を吸い込む吸込口(66)と、
前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(67)と、
前記吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送るファン(52)と、
該吹出口(67)から吹き出される空気の向きを調節するためのフラップ(72)とを有する空調機(40)であって、
前記取得情報は、前記ファン(52)の回転速度、前記吹出口(67)の開口面積、および前記フラップ(72)の姿勢であり、
前記決定部(32)は、前記取得情報に基づいて、前記空調機(40)の前記吹出口(67)から吹き出される風速である吹出し風速を算出し、前記吹出し風速が前記第1領域Apの風速であると決定し、
前記第2領域Aqの風速分布を、前記決定部(32)が決定した前記第1領域の風速と、前記音波測定データとに基づいて求める。
【0016】
第5の態様では、決定部(32)は、空調機(40)の吹出し風速を第1領域Apの風速として決定する。この第1領域Apの風速と、第2領域Aqの音波測定データとに基づいて第2領域Aqの温度分布を求める。このことにより、対象空間(S)の温度分布の測定精度を向上させることができる。
【0017】
本開示の第6の態様は、第1〜5の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2領域Aqは、複数の領域に区分され、
前記決定部(32)は、複数の前記領域のうち、対象空間(S)の壁面、床面、および天井面に接する前記領域の風速を0として、前記第2領域の風速分布を求める。
【0018】
第6の態様では、壁面、床面、および天井面近傍の風速は0に等しいので、該領域の風速を0として第2領域の風速分布を求めることができる。
【0019】
本開示の第7の態様は、第1〜6の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2領域Aqの風速分布に基づいて、該対象空間(S)の空気齢分布を求める演算部(35)をさらに備える。
【0020】
第7の態様では、対象空間(S)の空気齢分布を求めることにより、対象空間(S)全体の空気が十分に換気できているか評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態の環境検出システムが設けられた対象空間を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態の空調機の冷媒回路を示す配管系統図である。
図3図3は、実施形態に係る室内ユニットの内部構造を示す縦断面図である。
図4図4は、実施形態に係る室内ユニットの吹出口の近傍を拡大した図であり、フラップが閉位置にある状態を示している。
図5図5は、実施形態に係る室内ユニットの吹出口の近傍を拡大した図であり、フラップが開位置にある状態を示している。
図6図6は、制御装置、及び制御装置と通信線を介して接続する機器を示すブロック図である。
図7図7は、本実施形態の環境検出システムの構成を示すブロック図である。
図8図8は、対象空間の温度分布、および音波の伝搬経路を示す模式図である。
図9図9は、対象空間の温度分布と風速分布の測定方法について説明する図である。
図10図10は、環境検出システムの対象空間の温度分布および風速分布の測定処理を示すフローチャートである。
図11図11は、第2領域の温度および風速の測定処理を示すフローチャートである。
図12図12は、変形例にかかる室内ユニットの内部構造を示す縦断面図である。
図13図13は、変形例にかかる環境検出システムの図11相当図である。
図14図14は、実施形態2にかかる環境検出システムの図7に相当する図である。
図15図15は、室内空間の風速分布の例を示す模式図である。
図16図16は、室内空間の空気齢分布の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0023】
《実施形態》
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」および「右」は、特に断りのない限り、図中に記載された方向を意味する。
【0024】
《実施形態》
図1に示すように、本実施形態の環境検出システム(1)は、空調機(40)が設置された室内空間(S)の温度分布および風速分布を、音波を用いて測定するシステムである。室内空間(S)は、本開示の対象空間(S)に対応する。室内空間(S)は、天井面、壁面および床面によって形成される空間である。室内空間(S)の天井付近には、室内空間(S)に検出用音波を発信するスピーカ(10)と、該検出用音波を受信するマイク(20)とが同じ位置に配置される。
【0025】
−空調機−
空調機(40)は、本開示の環境制御装置(40)である。図2に示すように、空調機(40)は、室内ユニット(48)と室外ユニット(47)とを備える。空調機(40)の室内ユニット(48)は、室内空間(S)の天井の中央寄りに設置される。この室内ユニット(48)は、室内空間(S)の空気を吸い込み、空調された空気を室内空間(S)に吹き出す(図1の太線矢印を参照)。
【0026】
空調機(40)は、冷房運転、および暖房運転を行う。空調機(40)は、冷媒回路(41)を備えている。冷媒回路(41)は、室外ユニット(47)と室内ユニット(48)を、液連絡管(49)とガス連絡管(50)とで接続することによって形成される。冷媒回路(41)は、圧縮機(42)と室外熱交換器(43)と、膨張弁(46)と、室内熱交換器(44)と、四方切換弁(45)とを備える。空調機(40)は、冷媒が循環して室内空間(S)の空気を冷却および加熱する冷凍サイクル運転を行う。
【0027】
〈室外ユニット〉
室外ユニット(47)は、室外に設置される。図2に示すように、室外ユニット(47)は、圧縮機(42)、室外熱交換器(22)、膨張弁(46)、四方切換弁(45)、および室外ファン(51)を有する。
【0028】
圧縮機(42)は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮する。圧縮機(42)は、圧縮した冷媒を吐出する。
【0029】
室外熱交換器(22)は、室外ファン(51)が搬送する室外空気と、冷媒とを熱交換させる。
【0030】
室外ファン(51)は、室外熱交換器(22)を通過する室外空気を搬送する。
【0031】
膨張弁(46)は、冷媒を減圧する。膨張弁(46)は、開度が調節可能な電動膨張弁である。膨張弁(46)は、冷媒回路(41)の液連絡管(49)に接続されていればよく、室内ユニット(48)に設けられてもよい。
【0032】
四方切換弁(45)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)と第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とを有する。第1ポート(P1)は圧縮機(42)の吐出側に連通する。第2ポート(P2)は圧縮機(42)の吸入側に連通する。第3ポート(P3)は室外熱交換器(22)のガス端部に繋がる。第4ポート(P4)はガス連絡管(50)に繋がる。
【0033】
四方切換弁(45)は、第1状態(図2の実線で示す状態)と、第2状態(図2の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態では、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し、且つ、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する。第2状態では、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し、且つ、第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する。
【0034】
四方切換弁(45)が第1状態のとき、冷媒回路(41)は、第1冷凍サイクルを行う。第1冷凍サイクルは、室内熱交換器(53)を蒸発器とする冷凍サイクルである。第1冷凍サイクルでは、空調機(40)は冷房運転を行う。
【0035】
四方切換弁(45)が第2状態のとき、冷媒回路(41)は、第2冷凍サイクルを行う。第2冷凍サイクルは、室内熱交換器(53)を放熱器とする冷凍サイクルである。第2冷凍サイクルでは、空調機(40)は、暖房運転を行う。
【0036】
〈室内ユニット〉
図3に示すように、室内ユニット(48)は、天井埋込式である。室内ユニット(48)は、ケーシング(61)と、フィルタ(70)と、ベルマウス(71)と、室内ファン(52)と、室内熱交換器(53)と、風向調節部(73)とを有する。
【0037】
ケーシング(61)は、ケーシング本体(62)と、パネル(63)とを有する。ケーシング本体(62)は、下側に開口面が形成される矩形箱状に形成される。パネル(63)は、ケーシング本体(62)の開口面に着脱可能に設けられる。パネル(63)は、平面視において矩形枠状のパネル本体(64)と、パネル本体(64)の中央に設けられる吸込グリル(65)とを有する。
【0038】
パネル本体(64)の中央には、1つの吸込口(66)が形成される。吸込口(66)は、室内空間(S)から空気を吸い込み、ケーシング内に導入するための開口である。吸込グリル(65)は、吸込口(66)に取り付けられる。
【0039】
パネル本体(64)の4つの側縁部には、それぞれ吹出口(67)が1つずつ形成される。各吹出口(67)は、4つの側縁に沿うように延びている。ケーシング(61)の内部では、吸込口(66)から吹出口(67)までの間の空気通路(68)が形成される。吹出口(67)は、室内熱交換器(44)を通過した空気を室内空間(S)に吹き出すための開口である。パネル(63)の4つの角部のそれぞれには、各吹出口(67)と連続するように補助吹出口が形成される。
【0040】
フィルタ(70)は、吸込グリル(65)の上方に配置される。フィルタ(70)は、空気通路(68)における室内熱交換器(53)の上流側に配置される。フィルタ(70)は、吸込口(66)から吸い込まれる空気である吸込空気中の塵埃を捕集する。
【0041】
ベルマウス(71)は、フィルタ(70)の上方に配置される。ベルマウス(71)は吸込空気を整流する。
【0042】
室内ファン(52)は、本開示のファンである。室内ファン(52)は、空気通路(68)における室内熱交換器(53)の上流側に配置される。室内ファン(52)は、遠心式である。室内ファン(52)は、吸込口(66)から前記吹出口(67)へ空気を送る。室内ファン(52)は、ベルマウス(71)側から吸い込んだ空気を室内熱交換器(53)へ搬送する。室内ファン(52)は、その風量が複数段階に切り替え可能に構成される。
【0043】
室内熱交換器(53)は、本開示の熱交換器(44)である。室内熱交換器(53)は、空気通路(68)に配置される。室内熱交換器(53)は、ケーシング本体(62)の4つの側面に沿うように折り曲げられている。室内熱交換器(44)は、吸込口(66)から吸い込まれた空気の温度を調節する。具体的に、室内熱交換器(53)では、室内ファン(52)が搬送する空気と、冷媒とが熱交換する。
【0044】
風向調節部(73)は、吹出口(67)から吹き出される空気の向きを調節する。風向調節部(73)は、モータと、モータに連結する軸(74)と、軸(74)の回転に伴い回動するフラップ(72)とを有する。フラップ(72)は、パネル本体(64)の側縁、あるいは吹出口(67)の長手方向に沿って延びる長板状に形成される。フラップ(72)の縦断面の形状は略円弧状である。
【0045】
本例のフラップ(72)が調節される位置は、6つの位置を含む。これらの6つ位置は、図4に示す閉位置と、5つの開位置とを含む。5つの開位置により、吹出口(67)から吹き出される空気の風向きは5段階に設定される。
【0046】
〈センサ〉
図2及び図3に示すように、室内ユニット(48)は、第1温度センサ(54)を有する。第1温度センサ(54)は、吸込口(66)付近に設置される。第1温度センサ(54)は、室内ユニット(48)の吸込口(66)から吸い込んだ空気の温度である吸い込み温度を検出する。
【0047】
〈制御装置〉
制御装置(100)は、冷媒回路(41)を制御する。制御装置(100)は、室内ユニット(48)及び室外ユニット(47)を制御する。
【0048】
図6に示すように、制御装置(100)は、圧縮機(42)、膨張弁(46)、四方切換弁(45)、室外ファン(51)、室内ファン(52)、風向調節部(73)、および第1温度センサ(54)と有線または無線で接続される。また、制御装置(100)は、後述する環境検出システムのコントローラ(C)と有線または無線で接続される。
【0049】
制御装置(100)は、出力部(101)、入力部(102)および通信部(103)を有する。出力部(101)は、少なくとも圧縮機(42)、膨張弁(46)、四方切換弁(45)、室外ファン(51)、室内ファン(52)、およびフラップ(72)に制御信号を出力する。入力部(102)には、第1温度センサ(54)および第2温度センサ(55)の検出値が入力される。通信部(103)は、取得情報を後述する環境検出システム(1)のコントローラ(30)に送信する。取得情報とは、第1温度センサ(54)の検出値、室内ファン(52)の回転速度、および吸込口(66)の開口面積を含む。
【0050】
〈環境検出システム〉
図7に示すように、環境検出システム(1)は、スピーカ(10)、マイク(20)、およびコントローラ(30)を備える。環境検出システム(1)は、検出用音波を、スピーカ(10)が発信してからマイクが受信するまでの該音波の伝搬時間および伝搬距離に基づいて、室内空間(S)の温度分布および風速分布を測定する。
【0051】
スピーカ(10)は、音波発信部である。スピーカ(10)は、検出用音波を発信する。スピーカ(10)は、検出用音波を室内空間(S)の様々な方向に発信する。スピーカ(10)から発信された複数の検出用音波は、それぞれ室内空間を伝搬する。これらの検出用音波のうち一部は、床面や壁面などを反射する。
【0052】
マイク(20)は、音波受信部である。マイク(20)は、スピーカ(10)が発信した検出用音波を受信し、受信した検出用音波に対応した電気信号を生成して出力する。マイク(20)は、スピーカ(10)からの検出用音波を直接受信したり、床面や壁面に反射した検出用音波を受信したりする。図1では、スピーカ(10)から発信され、床面および壁面に反射した検出用音波をマイク(20)が受信していることを示す。
【0053】
図7に示すように、コントローラ(30)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0054】
コントローラ(30)は、作業者が入力する入力信号、およびマイク(20)の検出信号に基づいてスピーカ(10)を制御する。コントローラ(30)は、スピーカ(10)、マイク(20)、および空調機(40)の制御装置(100)と通信線で接続されている。
【0055】
コントローラ(30)は、設定部(34)、記憶部(33)、受信部(31)、および決定部(32)を有する。
【0056】
設定部(34)は、室内空間(S)を複数の領域A(n=1,2,…n)に区分する。設定部(34)は、区分された複数の領域Aを、第1領域Apと第2領域Aqとにグループ化する。詳細は後述するが、第1領域Apは、空調機(40)近傍の領域である。第2領域Aqは、室内空間(S)のうち、第1領域Ap以外の領域Aである。
【0057】
記憶部(33)には、経路情報が記録される。経路情報は、検出用音波をスピーカ(10)が発信してからマイク(20)が受信するまでの、音波伝搬経路の長さを含む。経路情報は、予め記憶部(33)に記録されている。音波伝搬経路の長さは、スピーカ(10)からそれぞれ異なる角度で発信される複数の検出用音波のそれぞれの伝搬経路の長さを指す。詳細は後述するが、検出用音波は各領域Aを通過する。距離情報は、各領域A内を伝搬する検出用音波のそれぞれの距離である。
【0058】
受信部(31)は、取得情報を受信する。取得情報は、空調機(40)が備える制御装置(100)の通信部(103)から送信される。
【0059】
決定部(32)は、取得情報のうち、第1温度センサ(54)の検出値である吸込み温度が第1領域Apの温度であると決定する。決定部(32)は、取得情報のうち、室内ファン(52)の回転速度および吸込口(66)の開口面積に基づいて、吸込口(66)に吸い込まれる空気の風速である吸込み風速を算出する。決定部(32)は、算出された吸込み風速が第1領域Apの風速であると決定する。
【0060】
〈温度分布および風速分布の測定〉
室内空間(S)が空調機(40)により空調される間、室内空間(S)の温度および速度は均一とはならない。図8は、空調機が暖房運転している状態での室内空間(S)の温度分布を示す。空調機(40)吹出口から吹き出される空気の温度が最も高く、空調機(40)から遠ざかるにつれて徐々に温度が低下していく。
【0061】
室内空間(S)の各領域A(n=1,2,…n)には、スピーカ(10)から発信された1以上の検出用音波が通過する。この各領域Aを通過する検出用音波の伝搬距離および伝搬時間に基づいて、各領域Aの温度および風速を求めることにより、室内空間(S)全体の温度分布および風速分布を求めることができる。
【0062】
図8では、空調機の室内ユニットに隣接した複数の領域(破線で囲まれた領域)が第1領域となり、残りの領域が第2領域となる。言い換えると、図8では、室内ユニットの直下に位置する複数の領域が第1領域となる。本実施形態の第1領域は、室内ユニットの吸込口と吹出口の少なくとも一方に隣接する一つまたは複数の領域Aによって構成される。
【0063】
以下では、室内空間(S)の温度分布および風速分布の測定方法について説明する。説明を平易にするために図9を参照する。
【0064】
図9は、室内空間(S)の横断面を示す。室内空間(S)は、上下方向に4つ、左右方向に3つの12の領域A(n=1〜12)に区分される。
【0065】
スピーカ(10)およびマイク(20)は、室内空間(S)の領域Aの左壁面に設置される。室内ユニット(48)は、領域Aに天井面に設置される。領域Aは、第1領域Apである。領域A以外は、第2領域Aq(A,A,A,…A12)である。
【0066】
スピーカ(10)から発信された複数の検出用音波は右壁面に向かって伝搬する。ここで、領域Aの右壁面に到達した検出用音波の伝搬経路を第1伝搬経路Lとする。マイク(20)は、第1伝搬経路Lを往復した検出用音波を受信する。
【0067】
領域A、領域A、および領域A12のそれぞれの右壁面に到達する検出用音波についても同様に、領域A、領域A、および領域A12のそれぞれに対応する伝搬経路をそれぞれ第2〜第4伝搬経路(L〜L)とする。マイク(20)は、第2〜第4伝搬経路(L〜L)を往復する検出用音波を受信する。
【0068】
ここで、各伝搬経路L(m=1〜4)の距離D(m=1〜4)は、各伝搬経路Lを伝搬する検出用音波が領域A(n=1〜12)内を通過する距離dm,nの和となる。具体的に、第1伝搬経路Lの第1距離Dは、D=d1,1+d1,2+d1,3となる。第2伝搬経路Lの第2距離Dは、D=d2,1+d2,2+d2,6となる。第3伝搬経路Lの第3距離D3は、d3,1+d3,5+d3,9となる。第4伝搬経路Lの第4距離D4は、d4,1+d4,4+d4,5+d4,8+d4,9+d4,12となる。
【0069】
室内空間(S)の温度分布を、以下のように求める。各領域Aを伝搬する検出用音波の伝搬速度をv(m/s)(n=1〜12)、各領域Aの温度をt(degC)(n=1〜12)とすると、以下の関係式[数1]が成り立つ。
【0070】
【数1】
【0071】
[数1]の331.5(m/s)は音速、およびαは所定の定数とする。ここで、第1温度センサ(54)が検出した空気の温度を第1領域Ap(A)の空気の温度とみなすことができる。なぜなら、第1温度センサ(54)は、室内ユニット(48)が第1領域Apから吸い込んだ空気の温度を検出するからである。そのため、室内ユニット(48)の吸込口(66)の空気の吸込み温度は、第1領域Apの空気の温度であるとみなす。[数1]のt2に第1温度センサ(54)が検出した空気の温度(吸込み温度)の値を入力することにより、第1領域Ap(A)における伝搬速度vを算出する。
【0072】
各伝搬経路L(n=1〜4)を伝搬する検出用音波の往復時間を伝搬時間T(m=1〜4)とすると、検出用音波の伝搬時間T、伝搬距離dm,n、および伝搬速度vは、以下の関係式[数2]が成り立つ。
【0073】
【数2】
【0074】
上記[数1]により算出された第1領域Ap(A)における伝搬速度vが、[数2]の連立方程式に入力される。この既知の値vが入力された[数2]の連立方程式を最小二乗法により算出することで、第2領域Aq(A,A,A,…A12)の各伝搬速度vを求めることができる。伝搬速度vと[数1]とにより、第2領域Aq(A,A,A,…A12)の各温度tを求めることができる。
【0075】
次に、室内空間(S)の風速分布を、以下のように求める。各領域Aの気流速度をu(m/s)(n=1〜4)とする。各伝搬経路Lでは往路と復路によって、気流は伝搬する音波の追い風となったり向かい風となったりする。気流が追い風となる場合では、検出用音波の伝搬速度は、気流速度u分だけ高くなる。一方、気流が向かい風となる場合では、検出用伝搬速度は、気流速度u分だけ低くなる。そこで、音波の往路の伝搬速度vna(気流が追い風となる場合)と、音波の復路の伝搬速度vnb(気流が向かい風となる場合)とにおいて、それぞれ関係式[3]および関係式[4]が成り立つ。
【0076】
【数3】
【0077】
【数4】
【0078】
ここで、室内ユニット(48)の吸込口(66)に吸い込まれる空気の風速(吸込み風速)を第1領域Ap(A)の風速とみなすことができる。なぜなら、第1領域Apの空気は室内ユニット(48)の吸込口(66)に向かって流れるからである。吸込み風速は、室内ファン(52)の回転速度と、吸込口(66)の開口面積とに基づいて算出される。具体的に、室内ファン(52)の回転速度から単位時間あたりの吸込み風量を求めることができる。この室内ファン(52)の回転速度を開口面積で割ることにより、吸込口(66)の風速を求めることができる。このため、[数3]および[数4]のu2に吸込み風速の値を入力し、tに上述した吸込み温度の値を入力することによって、第1領域Ap(A)における往路の伝搬速度v2aおよび復路の伝搬速度v2bを算出する。
【0079】
領域A、A、A、およびA12は、壁面に接する領域であるため、これらの領域の風速は実質的にゼロと仮定できる。壁面の近くでは、気流と壁面との間に摩擦が生じるので、風速が非常に低くなるからである。このため、[数3]および[数4]のu、u、u、およびu12にゼロを入力し、t、t、t、およびt12に[数2]により得られた各温度値を入力することによって、領域A、A、A、およびA12の往路の伝搬速度v3a、v6a、v9a、および復路の伝搬速度v12a、v3b、v6b、v9bを算出する。
【0080】
各伝搬経路L(n=1〜4)を伝搬する検出用音波の往復時間を伝搬時間T(n=1〜4)とすると、検出用音波の伝搬時間T、伝搬距離dmn、および伝搬速度vは、以下の関係式[数5]が成り立つ。
【0081】
【数5】
【0082】
上記[数3]および[数4]により算出された第1領域Ap(A)における往路の伝搬速度v2aおよび復路の伝搬速度v2bが、[数5]の連立方程式に入力される。
【0083】
上記[数3]および[数4]により算出された領域A、A、A、およびA12の往路の伝搬速度v3a、v6a、v9a、および復路の伝搬速度v12a、v3b、v6b、v9bが、[数5]の連立方程式に入力される。
【0084】
[数5]のうち、図9にない伝搬距離(例えばd1,12など)にはゼロが入力される。
【0085】
これらの既知の値が入力された[数5]の連立方程式を最小二乗法により算出することで、第2領域Aq(A,A,A,…A12)の各伝搬速度vを求めることができる。より具体的には、スピーカ(10)およびマイク(20)を追加するなどして、[数5]右辺の左項(往)と右項(復)を別々に測定して、[数5]の連立方程式からVna、Vnbを算出する。伝搬速度vと[数3]および[数4]と、第2領域Aqの各領域A(n=1,3,4,…12)の温度tとにより、第2領域Aqの各領域A(n=1,3,4,…12)の風速を求めることができる。なお、領域A、A、A、およびA12の風速はゼロである。
【0086】
〈温度分布および速度分布の測定処理〉
次に、環境検出システム(1)が室内空間(S)の温度分布および速度分布を測定する処理について図10を用いて説明する。
【0087】
以下ステップST1およびステップST2では、コントローラ(30)は音波測定データを取得する。音波測定データは、検出用音波の伝搬距離および伝搬時間である。
【0088】
ステップST1では、コントローラ(30)は、記憶部(33)に格納されている経路情報から、室内空間(S)を伝搬する複数の検出用音波の距離情報を各領域Aごとに取得する。
【0089】
ステップST2では、コントローラ(30)は、スピーカ(10)が検出用音波を発信した時点から、マイク(20)が該検出用音波を受信した時点までの経過時間を計り、この経過時間を検出用音波の伝搬時間とする。
【0090】
ステップST3では、コントローラ(30)は、第1領域Apの温度および風速ステップST1およびステップST2から得られた音波測定データ(各領域Aを通過する検出用音波の伝搬距離、および各検出用音波の伝搬時間)と、第1領域Apの温度および風速とに基づいて、第2領域Aqの各領域Aの温度および風速を算出する。コントローラ(30)は、算出した第2領域Aqの各領域Aの温度および風速を、記憶部(33)に記録する。
【0091】
ステップST4では、コントローラ(30)は、ステップST7で算出された各領域Anの温度および風速に基づいて、室内空間(S)の温度分布および風速分布を測定する。
【0092】
〈第2領域の温度および風速の算出〉
ステップST3においてコントローラ(30)が第2領域の温度および風速を計測する処理について図11を参照して説明する。
【0093】
ステップST11では、コントローラ(30)は、通信部(103)から取得した取得情報のうち、第1温度センサ(54)が検出値した空気の温度(吸込み温度)が、第1領域Apの空気の温度であると決定する。
【0094】
ステップST12では、コントローラ(30)は、通信部(103)から取得した取得情報のうち、ファン(52)の回転速度、および吸込口(66)の開口面積に基づいて、風速(吸込み風速)を算出する。
【0095】
ステップST13では、コントローラ(30)は、吸込み風速が、第1領域Apの風速であると決定する。
【0096】
ステップST14では、コントローラ(30)は、ステップST11において、決定された第1領域Apの温度に基づいて、第1領域Apの伝搬速度を求める。コントローラ(30)は、この第1領域Apの伝搬速度と、音波測定データとに基づいて、第2領域Aqの各領域Anの温度を算出する。具体的に、上述した[数2]の例で説明すると、[数2]の連立方程式において、第1領域Apの温度tに、第1センサの検出値(吸込温度)を代入する。そして、この連立方程式を解くことによって、第2領域Aqの各領域Anの温度を算出する。
【0097】
コントローラ(30)は、ステップST13において、決定された第1領域Apの風速に基づいて、第1領域Apの伝搬速度を求める。コントローラ(30)は、この第1領域Apの伝搬速度と、音波測定データとに基づいて、第2領域Aqの各領域Anの風速を算出する。具体的に、上述した[数5]の例で説明すると、[数5]の連立方程式において、第1領域Apの風速uに、ステップST12で算出した吸込み風速を代入する。そして、この連立方程式を解くことによって、第2領域Aqの各領域Anの風速を算出する。
【0098】
〈実施形態の特徴(1)〉
実施形態の環境検出システム(1)は、空調機(40)が設置された室内空間(S)(対象空間)に検出用音波を発信するスピーカ(10)(音波発信部)と、スピーカ(10)が発信した検出用音波を受信するマイク(20)(音波受信部)と、スピーカ(10)を制御するコントローラ(30)(制御部)とを備え、空調機(40)から取得した所定の取得情報に基づいて、第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方を決定する決定部(32)を備え、決定部(32)が決定した第1領域Apの温度および風速と、前記音波測定データとに基づいて、室内空間(S)における第1領域Ap以外の第2領域Aqの温度分布および風速分布を求める。
【0099】
ここで、音波を利用した空間の温度分布および風速分布を測定するシステムでは、音波の伝搬時間と伝搬距離に基づいて空間の温度と風速とを算出する。空間の温度および風速の実測値を直接測定していないので、音波で測定すると、実測値との誤差が比較的大きくなる場合がある。特に、比較的広い空間では音波の伝搬距離が長くなるので減衰量が大きくなる。また比較的狭い空間でも、壁面や床面などへの反射回数やその反射係数などにより、減衰量が大きくなることがある。このような場合、空間の温度分布および風速分布を、音波を用いて測定すると、その測定精度が安定しないことがある。
【0100】
そこで、空間内の所定の位置の温度および風速を実際に測定し、この測定した温度の実測値を基に、音波による温度の測定値を補正することが考えられる。しかし、これでは、温度センサや風速センサを別途設ける必要があり部品点数が増える。また、空間内にこのような温度センサや風速センサを取り付ける位置を予め確保しなければいけない。
【0101】
これに対して、実施形態の特徴(1)によれば、空調機(40)近傍の第1領域Apの温度および風速は、空調機(40)から取得される取得情報によって決定される。第1領域Apの温度および風速と、音波測定データとに基づいて、第2領域Aqの温度分布および風速分布を算出する。このことにより、室内空間(S)全体の温度分布および風速分布を測定する際、第1領域Apについては取得情報に基いて得られた温度および風速を用いることができる。その結果、音波測定データのみから算出する場合よりも、第2領域Aqの各領域Anの温度および風速の測定精度を向上できると共に、室内空間(S)の温度分布および風速分布の測定結果の信頼性を向上できる。
【0102】
〈実施形態の特徴(2)〉
実施形態の環境検出システム(1)では、取得情報は、空調機(40)が吸込口(66)から吸い込んだ空気の温度である吸込み温度である。決定部(32)は、吸込み温度が前記第1領域Apの温度であると決定する。第2領域Aqの温度分布を、決定部(32)が決定した第1領域の温度と、音波測定データとに基づいて求められる。
【0103】
実施形態の特徴(2)によると、空調機(40)の吸込み温度を第1領域Apの温度とするため、第1領域Apに別途温度センサを設ける必要がない。そのため、環境検出システム(1)を構成する部品点数の増大を抑えることができる。
【0104】
加えて、第1領域Apの空気の温度は、空調機(40)の吸込み温度と実質的に同じである。該吸込み温度は、第1温度センサ(54)によって正確に検出できる。そのため、第1温度センサ(54)の検出値を、第1領域Apの温度とすることにより、第2領域Aqの各領域Aの温度の測定精度が向上する。
【0105】
〈実施形態の特徴(3)〉
実施形態の環境検出システム(1)では、取得情報は、室内ファン(52)(ファン)の回転速度、および吸込口(66)の開口面積であり、決定部(32)は、取得情報に基づいて、空調機(40)の吸込口(66)に吸い込まれる空気の風速である吸込み風速を算出し、吸込み風速が第1領域Apの風速であると決定し、第2領域Aqの風速分布を、決定部(32)が決定した第1領域Apの風速と、音波測定データとに基づいて求める。
【0106】
実施形態の特徴(3)によると、空調機(40)の吸込み風速を第1領域Apの風速とするため、第1領域Apに別途風速センサを設ける必要がない。そのため、環境検出システム(1)を構成する部品点数の増大を抑えることができる。
【0107】
加えて、室内ファン(52)の回転速度と、吸込口(66)の開口面積に基づいて、吸込み風速を比較的正確に算出できる。そのため、取得情報から算出された風速値を、第1領域Apの風速値とすることにより、第2領域Aqの各領域Aの風速の測定精度が向上する。
【0108】
〈実施形態の特徴(4)〉
実施形態の環境検出システム(1)では、第2領域Aqは、複数の領域Anに区分され、複数の領域Anのうち、室内空間(S)の壁面、床面、および天井面に接する領域Anの風速をゼロとして、第2領域Aqの風速分布を求める。
【0109】
実施形態の特徴(4)によると、例えば[数5]の風速unのうち、壁面に接する領域A、A、A、およびA12に対応する風速をゼロとして入力できる。このことにより、第1領域Apの風速に加え、[数5]に入力される既知の入力数が増える結果、第2領域Aqの風速分布の精度を確実に向上できる。
【0110】
《変形例》
変形例の環境検出システム(1)では、第1領域Apの空気の温度および風速をそれぞれ、空調機(40)の吹出口(67)の吹出し空気の温度および風速とする。以下では、実施形態の環境検出システム(1)と異なる点を説明する。
【0111】
〈室内ユニット〉
図12に示すように室内ユニット(48)は、第2温度センサ(55)を備える。第2温度センサ(55)は、室内熱交換器(44)の温度を検出する。具体的に、第2温度センサ(55)の電極(温度を検出する部分)は、室内熱交換器(44)の表面に接する。
【0112】
第2温度センサ(55)は、制御装置(100)と有線または無線により接続される。第2温度センサ(55)が検出した温度情報は、制御装置(100)の入力部(102)に入力される。通信部(103)が空調機(40)のコントローラ(30)に送信する取得情報には、第2温度センサ(55)が検出した温度情報が含まれる。
【0113】
〈環境検出システム〉
コントローラ(30)が受信する取得情報には、熱交換器(44)の温度、吸込口(66)から吸い込まれる空気の温度、室内ファン(52)の回転速度、フラップ(72)の姿勢、および吹出口(67)の開口面積が含まれる。熱交換器(44)の温度は、第2温度センサ(55)が検出した温度である。吸込口(66)から吸い込まれる空気の温度は、第1温度センサ(54)が検出した温度である。フラップ(72)の姿勢は、フラップ(72)の5つの開位置である。
【0114】
〈温度分布および風速分布の測定〉
室内ユニット(48)の吹出口(67)から吹き出される空気の温度(吹出し温度)を第1領域Apの空気の温度とみなすことができる。なぜなら、第1領域Apの空気の温度は、室内ユニット(48)の吹出口(67)から第1領域Apに吹き出される空気の温度と実質的に同じであるからである。
【0115】
吹出し温度は、室内熱交換器(44)の温度、吸込口(66)に吸い込まれる空気の温度、室内ファン(52)の回転速度、およびフラップ(72)の姿勢に基づいて、算出される。
【0116】
具体的に、吹出し温度は、吸込口(66)の吸込み空気の温度と室内熱交換器(44)の温度との温度差ΔTと、室内熱交換器(44)が吸込み空気と熱交換した熱量Jと、室内熱交換器(44)を通過する風量Vとにより算出される。温度差ΔTは、第1温度センサ(54)と第2温度センサ(55)とが検出した温度の差により算出される。熱量Jは、温度差ΔTと、既知である室内熱交換器(44)の特性とに基づいて算出される。風量Vは、室内ファン(52)の回転速度とフラップ(72)の開位置に基づいて算出される。風量Vと熱量Jとに基づいて、室内熱交換器(44)を通過した空気の温度を吹出し温度として算出できる。
【0117】
室内ユニット(48)の吹出口(67)から吹き出される空気の風速(吹出し風速)を第1領域Apの風速とみなすことができる。なぜなら、第1領域Apの空気は室内ユニット(48)の吹出口(67)から吹き出される空気の流速と実質的に同じになるからである。
【0118】
吹出し風速は、室内ファン(52)の回転速度、吹出口(67)の開口面積、およびフラップ(72)の姿勢に基づいて算出される。
【0119】
具体的に、室内ファン(52)の回転速度から単位時間あたりの吹出し風量を求めることができる。フラップ(72)の開位置によって、吹出口(67)の実質的な開口面積を求めることができる。この室内ファン(52)の回転速度を吹出口(67)の実質的な開口面積で割ることにより、吹出口(67)の風速を求めることができる。
【0120】
〈第2領域の温度および風速の測定処理〉
図13に示すように変形例の第2領域の温度および風速は、以下の処理により算出される。
【0121】
ステップST21では、コントローラ(30)は、通信部(103)から取得した取得情報のうち、熱交換器(44)の温度、吸込口(66)から吸い込まれる空気の温度、室内ファン(52)の回転速度、およびフラップ(72)が開状態である情報に基づいて、室内ユニット(48)の吹出口(67)から吹き出される空気の温度である吹出し温度を算出する。
【0122】
ステップST22では、コントローラ(30)の決定部(32)は、ステップST21で算出された吹出し温度が、第1領域Apの空気の温度であると決定する。
【0123】
ステップST23では、コントローラ(30)は、通信部(103)から取得した取得情報のうち、ファン(52)の回転速度、および吹出口(67)の開口面積、およびフラップ(72)の開位置に基づいて、室内ユニット(48)の吹出口から吹き出される風速(吹き出し風速)を算出する。
【0124】
ステップST24では、コントローラ(30)は、ステップST23で算出された吹出し風速が、第1領域Apの風速であると決定する。
【0125】
ステップST25では、コントローラ(30)は、ステップST22において決定された第1領域Apの温度に基づいて、第1領域Apの伝搬速度を求める。コントローラ(30)は、この第1領域Apの伝搬速度と、音波測定データとに基づいて、第2領域Aqの各領域Anの温度を算出する。具体的に、上述した[数2]の例で説明すると、[数2]の連立方程式において、第1領域Apの温度tにステップST21で算出した吹出し温度を代入する。そして、この連立方程式を解くことによって、第2領域Aqの各領域Anの温度を算出する。
【0126】
コントローラ(30)は、ステップST24において決定された第1領域Apの風速に基づいて、第1領域Apの伝搬速度を求める。コントローラ(30)は、この第1領域Apの伝搬速度と、音波測定データとに基づいて、第2領域Aqの各領域Anの風速を算出する。具体的に、上述した[数5]の例で説明すると、[数5]の連立方程式において、第1領域Apの風速uに、ステップST23で算出した吹出し風速を代入する。そして、この連立方程式を解くことによって、第2領域Aqの各領域Anの風速を算出する。
【0127】
この変形例においても、室内ユニット(48)の吹出し温度および吹出し風速を、それぞれ第1領域Apの温度および風速とするため、第1領域Apに別途温度センサおよび風速センサを設ける必要がない。決定部(32)が決定した第1領域Apの温度および風速と、音波測定データとに基づいて第2領域の各領域Anの温度および風速を測定する。そのため、音波測定データのみを利用した場合よりも室内空間(S)の温度分布および風速分布の測定精度を向上できる。
【0128】
《実施形態2》
実施形態2の環境検出システム(1)は、室内空間(S)の風速分布に基づいて、該室内空間(S)の換気の有効性を評価する。具体的に、図14に示すように、本例の環境検出システム(1)のコントローラ(30)は、演算部(35)と評価部(36)とを有する。
【0129】
演算部(35)は、室内空間(S)内の風速分布に基づいて、室内空間(S)の空気齢分布を求める。具体的に、演算部(35)は、算出された第2領域Aqの各領域Anの風速に基づいて、室内空間(S)の空気齢分布を求める。より具体的に、演算部(35)は、所定の演算式を用いることによって、第2領域Aqの風速分布に基づいて空気齢分布を求める。空気齢は、室内空間(S)に流入した空気が、室内空間(S)のある場所に到達するまでにかかる時間である。空気齢が低い場所ほど空気が新鮮であることを示し、一方、空気齢が高い場所ほど空気が淀んでいることを示す。このように、空気齢により、室内空間(S)の淀みの状態を把握できる。所定の演算式には、例えばパッシブスカラー方程式を用いることができる。
【0130】
評価部(36)は、室内空間(S)の空気齢分布から空気のよどみを評価する。具体的に、評価部(36)は、演算部(35)により算出された各領域Anの空気齢を評価する。評価部(36)は、空気齢が比較高い領域Anは、空気が比較淀んでいると評価する。一方、評価部(36)は、空気齢が比較的低い領域Anは、空気が比較新鮮であると評価する。このように、評価部(36)の評価により、室内空間(S)において空気齢のむらを把握できる。以下、室内空間(S)の空気のよどみの評価の一例を説明する。
【0131】
図15に示すように、室内空間(S)には、換気装置(80)が設けられる。換気装置(80)は、空気の給気口(81)および排気口(82)を有する。排気口(82)は、室内空間(S)を上からみて、対角線上に配置される。給気口(81)から吹き出された空気は、室内空間(S)内を通って、排気口(82)から外部に排出される。室内空間(S)内では、給気口(81)からの空気の吹き出しと、排気口(82)への空気の排気によって気流が生じる。
【0132】
図15において、室内空間(S)内の風速分布を矢印で示す。矢印の太さは、風速の大きさを示す。矢印が太いほど、風速が大きい。矢印の向きは、空気の流れる方向を示す。図16に示すように、室内空間(S)では、縦線で示す領域Mで風速Vが大きく、横線で示す領域Nで風速Vが小さくなり、ドットで示す領域Oで風速Vがさらに小さくなる(V>V>V)。
【0133】
演算部(35)により求められた各領域の空気齢について、領域Mの空気齢が1秒、領域Nの空気齢が10秒、領域Oの空気齢が20秒であったとする。評価部(36)は、このような室内空間(S)における空気齢の分布に基づいて、領域Mの空気が最も新鮮と評価し、領域Oの空気が最も淀んでいると評価する。また、評価部(36)は、領域Nの空気は、領域Oの空気よりも新鮮、かつ、領域Mの空気よりも淀んでいると評価する。評価部(36)は、演算部(35)により演算された空気齢に基づいて、各領域の空気の淀みの程度を示す指数を表してもよい。
【0134】
本例によると、室内空間(S)の換気の有効性を評価できる。換気量が十分であったとしても、室内空間(S)の空気齢のむらを評価することで、室内空間(S)全体が十分に換気できているか把握することができる。このことより、例えば上記換気装置(80)では、給気口(81)および排気口(82)の位置や、開口の向きを調節することで、室内空間(S)全体の換気効率を向上できる。
【0135】
加えて、空気齢に所定の閾値を設け、該閾値を超えたと判定されたとき、吹き出し風速と吸い込み風速とを上げることにより、該閾値を超えた領域Anの空気齢を下げることができる。このように効率良く換気することで、空気中に浮遊する室内空間(S)の病原菌などによる感染リスクの増大をも抑制できる。
【0136】
《その他の実施形態》
本開示の環境検出システム(1)は、温度分布および風速分布のいずれかを検出するシステムであってもよい。
【0137】
本開示の環境検出システム(1)において、スピーカ(10)およびマイク(20)は、別体としてそれぞれ室内空間(S)の異なる位置に設置されてもよい。
【0138】
本開示の環境検出システム(1)は、第1領域Apの温度を吹出し温度とし、第1領域Apの風速を吸込み風速としてもよいし、第1領域Apの温度を吸込み温度とし、第1領域Apの風速を吹出し風速としてもよい。
【0139】
本開示の環境検出システム(1)では、決定部(32)は、フラップ(72)の開位置により、第1領域Apの空気の温度を吸込み温度とするかまたは吹出し温度とするか選択してもよい。また、決定部(32)は、フラップ(72)の開位置により、第1領域Apの風速を吸込み風速とするかまたは吹出し風速とするか選択してもよい。例えば、フラップ(72)の開位置が最も上向き(水平吹出位置)にあるときは、吹出口(67)の実質的な開口面積は最小となる。この場合、吹出口(67)からの気流は、第1領域Apのわずかな部分しか通らない。そのため、第1領域Apの風速は気流の影響をほとんど受けない。そこで、フラップ(72)が水平吹出位置のときは、決定部(32)は、吸込み温度が第1領域Apの温度とし、吸込み風速が第1領域Apの風速と決定する。一方、フラップ(72)が最も下向きのときは、第1領域Apの大部分を吹出口(67)からの気流が流れる。そのため、第1領域Apの風速は吹出口(67)からの気流の流速と実質的に同じとみなすことができる。そこで、フラップ(72)が最も下向きの位置にあるときは、決定部(32)は、吹出し温度が第1領域Apの温度とし、吹出し風速が第1領域Apの風速であると決定する。
【0140】
本開示の環境検出システム(1)において、第1領域Apは、室内ユニット(48)に隣接した領域に限られない。第1領域Apは、取得情報から得られる温度および風速が第1領域Apの空気の温度および風速であるとみなせる領域であればよい。例えば、第1領域Apは、第1温度センサ(54)が検出した温度が第1領域Apの空気の温度とみなせる領域であればよい。
【0141】
本開示の環境検出システム(1)において、室内空間(S)に設けられるスピーカ(10)およびマイク(20)の数は各1つずつに限られず、それぞれ複数設けられてもよい。
【0142】
本開示の環境検出システム(1)において、スピーカ(10)およびマイク(20)が設置される位置が室内空間(S)の天井に限られない。スピーカ(10)およびマイク(20)は、室内空間(S)の壁面や床面に設置されてもよい。また、スピーカ(10)およびマイク(20)は、室内ユニット(48)内に設置されていてもよい。
【0143】
この明細書において、「空調」は、「温度や湿度の調節」だけでなく「清浄度や気流の調節」等も含む。従って、本開示の環境制御装置(40)は、室内空間の冷暖房を行う空調機に限定されず、例えば換気装置や空気清浄機であってもよい。
【0144】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上説明したように、本開示は、環境検出システムについて有用である。
【符号の説明】
【0146】
S 室内空間(対象空間)
1 環境検出システム
10 スピーカ(音波発信部)
20 マイク(音波受信部)
32 決定部
40 空調機(環境制御装置)
44 室内熱交換器(熱交換器)
52 室内ファン(ファン)
66 吸込口
67 吹出口
72 フラップ
【要約】
【課題】音波による空間の温度分布および風速分布の測定精度を向上させる。
【解決手段】環境検出システム(1)は、対象空間(S)に設置された環境制御装置(40)から取得した所定の取得情報に基づいて、該環境制御装置(40)近傍の第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方を決定する決定部(32)を備え、決定部(32)が決定した第1領域Apの温度および風速の少なくとも一方と、音波測定データとに基づいて、対象空間(S)における第1領域Ap以外の第2領域Aqの温度分布および風速分布の少なくとも一方を求める。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16