(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアミノ酸配列からなるタガトース−ビスリン酸アルドラーゼを1つ以上含むものである、請求項1に記載のタガトース生産用組成物。
前記タガトース−ビスリン酸アルドラーゼが、Thermanaerothrix sp.由来の酵素またはその変異体、Anaerolinea sp.由来の酵素またはその変異体、Kosmotoga sp.由来の酵素またはその変異体、Rhodothermus sp.由来の酵素またはその変異体、Limnochorda sp.由来の酵素またはその変異体、Caldithrix sp.またはCaldicellulosiruptor sp.由来の酵素またはその変異体である、請求項1に記載のタガトース生産用組成物。
果糖を、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ、これを発現する微生物または前記微生物の培養物と接触させて、前記果糖をタガトースに転換させる段階を含む、タガトースの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願の目的は、タガトースの製造に有用な組成物を提供することにあって、前記組成物はタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ、前記酵素を発現する微生物または前記微生物の培養物を含む。
【0010】
本出願の他の目的は、本出願の果糖−4−エピマー化酵素、前記酵素を発現する微生物または前記微生物の培養物を果糖と接触させて果糖をタガトースに転換させる段階を含むタガトースの製造方法を提供することにある。
【0011】
本出願の他の目的及び利点は、添付した請求範囲及び図面と共に下記の詳細な説明によってより明確になる。本明細書に記載されない内容は、本出願の技術分野または類似の分野で熟練された者であれば、十分に認識かつ類推できるため、その説明を省略する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本出願の内容について具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示した一実施様態の説明及び実施形態は、共通事項について別の様態の説明及び実施形態にも適用されうる。また、本出願で開示された様々な要素のすべての組み合わせが本出願のカテゴリに属する。加えて、下記記述された具体的な叙述によって、本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。
【0013】
本出願の目的を達成するために、本出願は一様態として、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ、これを発現する微生物または前記微生物の培養物を含むタガトース生産用組成物を提供する。
【0014】
前記タガトース−ビスリン酸アルドラーゼは、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ(tagatose−bisphosphate aldolase:EC 4.1.2.40)であって、例えば、果糖を基質としてタガトースを生産できれば、限定なく含まれてもよい。具体的には、前記タガトース−ビスリン酸アルドラーゼは、基質である果糖からタガトースへの転換率(転換率=タガトース重量/初期果糖重量×100)が0.01%以上、具体的には、0.1%以上、より具体的には、0.3%以上のものであってもよい。より具体的には、転換率は、0.01%〜40%の範囲、0.1%〜30%の範囲、0.3%〜25%の範囲、または0.3%〜20%の範囲であってもよい。
【0015】
具体的には、前記タガトース−ビスリン酸アルドラーゼは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよく、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアミノ酸配列と少なくとも80%、90%、95%、97%または99%の相同性を有するポリペプチドを含んでもよい。また、前記相同性を有し、前記配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアミノ酸配列からなるタンパク質と相応する効能(すなわち、果糖の4番炭素位置をエピマー化してタガトースに転換させる果糖−4−エピマー化活性)を示すアミノ酸配列を有するポリペプチドであれば、一部の配列が欠失、変形、置換、または付加されたアミノ酸配列を有しても、本出願の範囲内に含まれるのは自明である。また、公知の遺伝子配列から調製されうるプローブ、例えば、前記ポリペプチドを暗号化する塩基配列の全体または一部に対する相補配列と厳格な条件下でハイブリッド化されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとして、果糖−4−エピマー化活性を有するポリペプチドも制限なく含まれてもよい。また、前記組成物は
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアミノ酸配列からなるタガトース−ビスリン酸アルドラーゼの1つ以上を含んでもよい。
【0016】
本願に至って「タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ」が果糖の4番炭素位置をエピマー化して果糖をタガトースに転換させる果糖−4−エピマー化活性を示すことを明らかにし、したがって、本願では「果糖−4−エピマー化酵素」と互換的に用いられてもよい。
【0017】
本出願において、用語、「厳格な条件」とは、ポリヌクレオチド間の特異的混成化を可能にする条件を意味する。これらの条件は、ポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は該当技術分野によく知られて、文献(例えば、非特許文献1)に具体的に記載されている。例えば、相同性が高い遺伝子同士、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上または99%以上の相同性を有する遺伝子同士ハイブリッド化し、それより相同性が低い遺伝子同士ハイブリッド化しない条件、または通常のサザンハイブリッド化の洗浄条件である、60℃、1×SSC、0.1%SDS、具体的には、60℃、0.1×SSC、0.1%SDS、より具体的には、68℃、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度及び温度で、1回、具体的には、2回〜3回洗浄する条件が挙げられる。前記ハイブリッド化に用いられるプローブは、塩基配列の相補配列の一部であってもよい。これらのプローブは、公知配列に基づいて作成されたオリゴヌクレオチドをプライマーとし、これらの塩基配列を含む遺伝子断片を鋳型とするPCRによって作製されてもよい。また、当業者は温度及び洗浄溶液の塩濃度をプローブの長さのような要因によって、必要に応じて調節してもよい。
【0018】
本出願において、用語、「相同性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの一部分(Moiety)間の同一性のパーセントをいう。1つの一部分から、もう1つの一部分までの配列間相同性は公知の当該技術によって決定してもよい。例えば、相同性は、配列情報を整列して容易に入手可能なコンピュータプログラムを用いて2つのポリヌクレオチド分子または2つのポリペプチド分子間の配列情報、例えば、スコア(score)、同一性(identity)及び類似度(similarity)などのパラメータ(parameter)を直接整列して決定してもよい(例えば、BLAST2.0)。また、ポリヌクレオチド間の相同性は、相同領域間の安定した二本鎖を形成する条件下でポリヌクレオチドを混成化した後、一本鎖特異的ヌクレアーゼで分解して、分解された断片の大きさを決定することにより決定してもよい。
【0019】
一具現例として、本出願の果糖−4−エピマー化酵素は、耐熱性微生物由来の酵素であってもよく、例えば、Thermanaerothrix sp.由来の酵素またはその変異体、Kosmotoga sp.由来の酵素またはその変異体、Rhodothermus sp.由来の酵素またはその変異体、Limnochorda sp.由来の酵素またはその変異体、Caldithrix sp.、 Caldilinea sp.、Thermoanaerobacter sp.、Acidobacteriales sp.またはCaldicellulosiruptor sp.由来の酵素またはその変異体であってもよい。具体的には、Thermanaerothrix daxensis、Kosmotoga olearia、Rhodothermus profundi、Rhodothermus marinus、Limnochorda pilosa、Caldithrix abyssi、Caldilinea aerophila、Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus、Acidobacteriales bacteriumまたはCaldicellulosiruptor kronotskyensis由来の酵素またはその変異体であってもよい。より具体的には、Rhodothermus profundi DSM 22212またはRhodothermus marinus ATCC 43812由来の酵素またはその変異体であってもよい。
【0020】
本願の果糖−4−エピマー化酵素またはその変異体は、D−フルクトース(果糖)の4番炭素位置をエピマー化してD−タガトースに転換させる特徴がある。前記果糖−4−エピマー化酵素は、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ(tagatose−bisphosphate aldolase)活性を有し、D−タガトース1,6−ビスリン酸(D−tagatose 1,6−bisphosphate)を基質としてグリセロンホスフェート(glycerone phosphate)とD−グリセルアルデヒド3−リン酸(D−glyceraldehyde 3−phosphate)を生産し、ガラクトース代謝に関与することが知られていた。本出願に至って、前記タガトース−ビスリン酸アルドラーゼが果糖−4−エピマー化酵素活性を有することを新たに明らかにした。そこで、本出願の一具現例は、果糖からタガトースを製造するに当たり、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼを果糖−4−エピマー化酵素として用いることを含む、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの新規用途に関する。また、本出願の一具現例は、タガトース−ビスリン酸アルドラーゼを果糖−4−エピマー化酵素として用いて、果糖からタガトースを製造する方法に関する。
【0021】
一具現例として、本出願の果糖−4−エピマー化酵素は、耐熱性の高い酵素であってもよい。具体的には、本出願の果糖−4−エピマー化酵素は、50℃〜70℃で最大活性の50%〜100%、60%〜100%、70%〜100%または75%〜100%の活性を示しうる。より具体的には、本出願の果糖−4−エピマー化酵素は、55℃〜60℃、60℃〜70℃、55℃、60℃、または70℃で最大活性の80%〜100%または85%〜100%の活性を示しうる。
【0022】
さらに、これに制限されるものではないが、前記配列番号1からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号2のヌクレオチド配列によって;配列番号3からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号4のヌクレオチド配列によって;配列番号5からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号6のヌクレオチド配列によって;配列番号7からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号8のヌクレオチド配列によって;配列番号9からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号10のヌクレオチド配列によって;配列番号11からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号12のヌクレオチド配列によって;配列番号13からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号14のヌクレオチド配列によって;配列番号15からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号16のヌクレオチド配列によって;配列番号17からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号18のヌクレオチド配列によって;配列番号19からなる果糖−4−エピマー化酵素は、配列番号20のヌクレオチド配列によって、それぞれ暗号化されたものであってもよい。
【0023】
本出願の果糖−4−エピマー化酵素またはその変異体は、本出願の前記酵素またはその変異体を発現するDNA、例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18または20でE. coliなどの菌株に形質転換させた後、これを培養して培養物を収得し、前記培養物を破砕して、カラムなどを介して精製して得られたものであってもよい。前記形質転換用菌株は、Escherichia coliの他、Corynebacterum glutamicum、Aspergillus oryzaeまたはBacillus subtilisなどがある。
【0024】
具体例では、これらの形質転換された菌株としてE. coli BL21(DE3)/CJ_TD_F4E、E.coli BL21(DE3)/CJ_KO_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_RP_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_RM_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_LP_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_Cab_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_Ckr_またはE. coli BL21(DE3)/CJ_CAE_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_TATH_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_AB_F4Eがあり、これらはそれぞれ順にブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms)に寄託番号KCCM11995P(寄託日:2017年3月20日)、寄託番号KCCM11999P(寄託日:2017年3月24日)、KCCM12097P(寄託日:2017年8月11日)、KCCM12096P(寄託日:2017年8月11日)、KCCM12095P(寄託日:2017年8月11日)、KCCM12107P(寄託日:2017年9月13日)とKCCM12108P(寄託日:2017年9月13日)、KCCM12233P(寄託日:2018年3月23日)、KCCM12234P(寄託日:2018年3月23日)及びKCCM12237P(寄託日:2018年3月23日)に寄託した。
【0025】
本出願で用いられる果糖−4−エピマー化酵素は、これを暗号化する核酸を用いて提供されてもよい。
【0026】
本出願において、用語、「核酸」は、DNAまたはRNA分子を包括的に含む意味を有し、核酸で基本的な構成単位であるヌクレオチドは、天然ヌクレオチドだけでなく、糖または塩基部位が変形された類似体も含んでもよい(非特許文献2及び3参照)。
【0027】
前記核酸は、本出願の配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアミノ酸配列からなるポリペプチドを暗号化する核酸または本出願の果糖−4−エピマー化酵素と少なくとも80%、90%、95%、97%または99%の相同性を有しながら果糖−4−エピマー化酵素活性を有するポリペプチドを暗号化する核酸であってもよい。具体的には、例えば、前記配列番号1のアミノ酸配列からなる果糖−4−エピマー化酵素を暗号化する核酸は、配列番号2の塩基配列と少なくとも80%、90%、95%、97%、99%または100%相同性を有する核酸であってもよい。また、例えば、前記配列番号3のアミノ酸配列からなる果糖−4−エピマー化酵素を暗号化する核酸は、配列番号4の塩基配列と少なくとも80%、90%、95%、97%、99%または100%相同性を有する核酸であってもよく、これは本願に記述された他のアミノ酸配列の酵素を暗号化する核酸にも適用されてもよい。また、本出願の核酸はコドン縮退性(codon degeneracy)によって本出願の果糖−4−エピマー化酵素に翻訳されうる核酸を含んでもよく、前記配列番号2、4、6、8、10 、12、14、16、18または20の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸と厳しい条件下で混成化し、本出願の果糖−4−エピマー化酵素活性を有するポリペプチドを暗号化する核酸も含まれることは自明である。
【0028】
本出願で用いられる果糖−4−エピマー化酵素を発現する微生物は、前記核酸を含む組換えベクターを含む微生物であってもよい。前記ベクターは、本出願の核酸が作動可能に連結された形態であってもよい。本出願において、用語、「作動可能に連結された」とは、一般的に機能を実行するように塩基発現調節配列と目的とするタンパク質をコードする塩基配列が作動可能に連結されてコードする塩基配列の発現に影響を与えてもよい。ベクターとの作動可能な連結は当業界の公知の遺伝子組換え技術を用いて製造してもよく、部位特異的DNAの切断及び連結は、当業界の切断及び連結酵素などを用いて製作してもよい。本出願において、用語、「ベクター」は、有機体、例えば、宿主細胞に塩基のクローニング及び/または転移のための任意の媒介物をいう。ベクターは、他のDNA断片が結合して、結合された断片の複製をもたらすことができる複製単位(replicon)であってもよい。ここで、「複製単位」とは、生体内でDNA複製の自己ユニットとして機能する、つまり、自らの調節によって複製可能な任意の遺伝的単位(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)をいう。本出願の用語、「ベクター」は、試験管内、生体外または生体内で有機体、例えば、宿主細胞に塩基を導入するためのウイルス及び非ウイルス媒介物を含んでもよく、ミニ球形DNA、スリーピングビューティー(Sleeping Beauty)のようなトランスポゾン(非特許文献4)、または人工染色体を含んでもよい。通常用いられるベクターの例としては、天然状態であるか、組換えされた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージが挙げられる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとして、pWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、及びCharon21Aなどを用いてもよく、プラスミドベクターとして、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系及びpET系などを用いてもよい。本出願で用いられてもよいベクターは、特に制限されるものではなく、公知の組換えベクターを用いてもよい。また、前記ベクターは、様々な抗生剤抵抗性遺伝子をさらに含むことを特徴とする組換えベクターであってもよい。本出願において、用語、「抗生剤抵抗性遺伝子」とは、抗生剤に対して抵抗性を有する遺伝子であって、これを有する細胞は当該抗生剤を処理した環境でも生存するため、大腸菌で大量にプラスミドを得る過程で選別マーカーとして有用に用いられる。本出願で抗生剤抵抗性遺伝子は、本出願の核心技術であるベクターの最適の組み合わせによる発現効率に大きく影響を与える要素ではないため、選別マーカーとして一般的に用いられる抗生剤抵抗性遺伝子を制限なく用いてもよい。具体的な例としては、、アンピシリン(ampicilin)、テトラサイクリン(tetracyclin)、カナマイシン(kanamycin)、クロラムフェニコール(chloroamphenicol)、ストレプトマイシン(streptomycin)、またはネオマイシン(neomycin)に対する抵抗遺伝子などを用いてもよい。
【0029】
本出願で用いられてもよい果糖−4−エピマー化酵素を発現する微生物は、前記酵素を暗号化する核酸を含むベクターを宿主細胞内に導入する方法を用いてもよく、前記ベクターを形質転換させる方法は核酸を細胞内に導入するあらゆる方法も含まれてもよく、当該分野で公知されたように、適切な標準技術を選択して行ってもよい。エレクトロポレーション(electroporation)、リン酸カルシウム共沈 (calcium phosphate co−precipitation)、レトロウイルス感染(retroviral infection)、微細注入法(microinjection)、DEAEデキストラン(DEAE−dextran)、陽イオンリポソーム(cationic liposome)法及び熱ショック法などが含まれてもよいが、これに制限されない。
【0030】
形質転換された遺伝子は、宿主細胞内に発現することさえできれば、宿主細胞の染色体内に挿入された形態及び染色体外に位置している形態すべてを含んでもよい。また、前記遺伝子はポリペプチドを暗号化しうるポリヌクレオチドとしてDNA及びRNAを含み、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、制限なく用いられてもよい。例えば、前記遺伝子は、それ自体で発現されるのに必要なすべての要素を含むポリヌクレオチド構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入されてもよい。前記発現カセットは、通常、前記遺伝子に作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結シグナル、リボソーム結合部位及び翻訳終結シグナルを含んでもよい。前記発現カセットは、それ自体の複製が可能な組換えベクターの形態であってもよい。また、前記遺伝子は、それ自体またはポリヌクレオチド構造体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されたものであってもよい。
【0031】
本出願の微生物は、本出願の核酸または本出願の組換えベクターを含み、本出願の果糖−4−エピマー化酵素を生産しうる微生物であれば、原核微生物及び真核微生物いずれも含まれてもよい。例えば、Escherichia属、Erwinia属、Serratia属、Providencia属、Corynebacterium属、及びBrevibacterium属に属する微生物菌株が含まれてもよく、具体的には、 E. coliまたはcorynebacterium glutamicumであってもよいが、これに制限されない。このような微生物の例としては、E. coli BL21(DE3)/CJ_TD_F4E、E.coli BL21(DE3)/CJ_KO_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_RP_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_RM_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_LP_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_Cab_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_Ckr_F4EまたはE. coli BL21(DE3)/CJ_CAE_F4E、E. coli BL21(DE3)/CJ_TATH_F4E、またはE. coli BL21(DE3)/CJ_AB_F4Eがある。
【0032】
本出願の微生物は、前記核酸またはベクター導入の他にも、様々な公知の方法により本出願の果糖−4−エピマー化酵素を発現しうる微生物をすべて含んでもよい。
【0033】
本出願の微生物の培養物は、本出願のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼを発現する微生物を培地で培養して製造したものであってもよい。
【0034】
本出願において、用語、「培養」は、前記微生物を適当に調節された環境条件で生育させることを意味する。本願の培養過程は当業界に公知の適当な培地と培養条件に応じて行われてもよい。このような培養過程は選択される菌株に応じて当業者が容易に調整して用いてもよい。前記微生物を培養する段階は、特にこれに制限されないが、公知の回分式培養方法、連続式培養方法、流加式培養方法などにより行われてもよい。この時、培養条件は特に制限されないが、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア)または酸性化合物(例えば、リン酸または硫酸)を用いて、適正pH(例えば、pH5〜9、具体的には、pH7〜9)を調節してもよい。また、培養中には、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を用いて気泡生成を抑制してもよく、また、培養物の好気状態を維持するために、培養物内に酸素または酸素含有気体を注入したり、嫌気及び微好気の状態を維持するために気体を注入せず、あるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入してもよい。培養温度は、25〜40℃、具体的には、30〜37℃を維持してもよいが、これに制限されない。培養期間は、所望の有用物質の生産量が収得できるまで続けてもよく、具体的には、約0.5時間〜60時間培養してもよいが、これに制限されない。また、用いられる培養用培地は炭素供給源としては、糖及び炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、糖蜜、でん粉及びセルロース)、油脂及び脂肪(例えば、大豆油、ヒマワリの種油、ピーナッツ油及びココナッツ油)、脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸及びリノール酸)、アルコール(例えば、グリセロール及びエタノール)及び有機酸(例えば、酢酸)などを個別に用いたりまたは混合して用いてもよいが、これに制限されない。窒素供給源としては、窒素含有有機化合物(例えば、ペプトン、酵母抽出液、肉汁、麦芽抽出液、トウモロコシ浸漬液、大豆泊分及びウレア)、または無機化合物(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウム)などを個別に用いたりまたは混合して用いてもよいが、これに制限されない。リン供給源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、これに相応するナトリウム含有塩などを個別に用いたりまたは混合して用いてもよいが、これに制限されない。また、培地には他の金属塩(例えば、硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄)、アミノ酸及びビタミンのような必須成長促進物質を含んでもよい。
【0035】
本出願のタガトース生産用組成物は、さらに果糖を含んでもよい。
【0036】
本出願のタガトース生産用組成物は、果糖を直接タガトースに転換させる果糖−4−エピマー化活性を有するタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ、これを発現する微生物または前記微生物の培養物を含むものであって、基質である果糖以外の他の酵素を含まないことを特徴としてもよい。
【0037】
例えば、α−グルカンホスホリラーゼ(α−glucan phosphorylase)、デンプンホスホリラーゼ(starch phosphorylase)、マルトデキストリンホスホリラーゼ(maltodextrin phosphorylase)またはスクロースホスホリラーゼ(sucrose phosphorylase)、これを発現する微生物または前記微生物の培養物;
グルコキナーゼ(glucokinase)、これを発現する微生物または前記微生物の培養物;
タガトース−6−リン酸脱リン酸化酵素、これを発現する微生物または前記微生物の培養物;及び/または
α−アミラーゼ(α−amylase)、プルラナーゼ(pullulanase)、グルコアミラーゼ(glucoamylase)、スクラーゼ(sucrase)またはイソアミラーゼ(isoamylase);前記アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼを発現する微生物;または前記アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼを発現する微生物の培養物を含まないことを特徴としてもよい。
【0038】
本出願のタガトース生産用組成物は、当該タガトース生産用組成物に通常用いられる任意の適切な賦形剤をさらに含んでもよい。このような賦形剤としては、例えば、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤または等張化剤などであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0039】
本出願のタガトース生産用組成物は、金属をさらに含んでもよい。一具現例では、本出願の金属は2価陽イオンを含む金属であってもよい。具体的には、本出願の金属はニッケル、マグネシウム(Mg)またはマンガン(Mn)であってもよい。より具体的には、本出願の金属は金属イオンまたは金属塩であってもよく、より具体的には、前記金属塩は、MgSO
4、NiSO
4、NiCl
2、MgCl
2、MnCl
2またはMnSO
4であってもよい。
【0040】
本出願は別の様態として、果糖(D−fructose)を本出願の果糖−4−エピマー化酵素、前記酵素を発現する微生物または前記微生物の培養物と接触させて前記果糖をタガトースに転換する段階を含むタガトースの製造方法を提供する。
【0041】
一具現例として、本出願の接触はpH5.0〜pH9.0の条件で、30℃〜80℃の温度条件で、及び/または0.5時間〜48時間行ってもよい。
【0042】
具体的には、本出願の接触はpH6.0〜pH9.0の条件またはpH7.0〜pH9.0の条件で行ってもよい。また、本出願の接触は35℃〜80℃、40℃〜80℃、45℃〜80℃、50℃〜80℃、55℃〜80℃、60℃〜80℃、30℃〜70℃、35℃〜70℃、40℃〜70℃、45℃〜70℃、50℃〜70℃、55℃〜70℃、60℃〜70℃、30℃〜65℃、35℃〜65℃、40℃〜65℃、45℃〜65℃、50℃〜65℃、55℃〜65℃、30℃〜60℃、35℃〜60℃、40℃〜60℃、45℃〜60℃、50℃〜60℃または55℃〜60℃の温度条件で行ってもよい。また、本出願の接触は0.5時間〜36時間、0.5時間〜24時間、0.5時間〜12時間、0.5時間〜6時間、1時間〜48時間、1時間〜36時間、1時間〜24時間、1時間〜12時間、1時間〜6時間、3時間〜48時間、3時間〜36時間、3時間〜24時間、3時間〜12時間、3時間〜6時間、6時間〜48時間、6時間〜36時間、6時間〜24時間、6時間〜12時間、12時間〜48時間、12時間〜36時間、12時間〜24時間、18時間〜48時間、18時間〜36時間、または18時間〜30時間行ってもよい。
【0043】
一具現例として、本出願の接触は金属の存在下で行ってもよい。用いられてもよい金属は、前述した様態のとおりである。
【0044】
本出願の製造方法は、製造されたタガトースを分離及び/または精製する段階をさらに含んでもよい。前記分離及び/または精製は、本出願の技術分野で通常用いられる方法を用いてもよく、非限定的な例として、透析、沈殿、吸着、電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー及び分別結晶などを用いてもよい。前記精製は一つの方法だけ行ってもよく、2つ以上の方法を一緒に行ってもよい。
【0045】
また、本出願の製造方法は、前記分離及び/または精製する段階の前後に脱色及び/または脱塩を行う段階をさらに含んでもよい。前記脱色及び/または脱塩を行うことにより、より品質に優れたタガトースを得ることができる。
【0046】
他の具現例として、本出願の製造方法は、本出願のタガトースに転換する段階、分離及び/または精製する段階、または脱色及び/または脱塩する段階の後にタガトースを結晶化する段階をさらに含んでもよい。前記結晶化は通常用いる結晶化方法を用いて行ってもよい。例えば、冷却結晶化方法を用いて結晶化を行ってもよい。
【0047】
別の具現例として、本出願の製造方法は、前記結晶化する段階の前にタガトースを濃縮する段階をさらに含んでもよい。前記濃縮は結晶化の効率を高めうる。
【0048】
別の具現例として、本出願の製造方法は、本出願の分離及び/または精製する段階の後、未反応の果糖を本出願の酵素、前記酵素を発現する微生物または前記微生物の培養物と接触させる段階、本出願の結晶化する段階の後に結晶が分離された母液を前記分離及び/または精製段階に再利用する段階、またはその組み合わせをさらに含んでもよい。前記追加段階を介してタガトースをさらに高収率で得ることができ、捨てられる果糖の量を削減することができて経済的利点がある。
【発明の効果】
【0049】
本出願の果糖−4−エピマー化酵素であるタガトース−ビスリン酸アルドラーゼは、耐熱性に優れて産業的にタガトース生産が可能であり、普遍化された糖である果糖をタガトースに転換する経済性が高い効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本出願にかかる実施例を介して本発明をより詳細に説明する。ただし、本出願の下記実施例は、本出願の一例示に過ぎない。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのもので、添付された請求項に記載された本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかである。
【0052】
実施例1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0053】
実施例1−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換え発現ベクター及び形質転換体の製造
新規耐熱性の果糖−4−エピマー化酵素を提供するために、Thermanaerothrix daxensis、Kosmotoga oleariaに由来したタガトース−ビスリン酸アルドラーゼの遺伝子情報を確保して、大腸菌発現可能ベクター及び形質転換微生物(形質転換体)を製造した。
【0054】
具体的には、前記遺伝子3種のうちKEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)に登録されたThermanaerothrix daxensis、Anaerolinea thermophila、Kosmotoga oleariaの遺伝子配列を対象にタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子配列を選抜し、Thermanaerothrix daxensisのアミノ酸配列(配列番号1)と塩基配列(配列番号2)、Kosmotoga oleariaのアミノ酸配列(配列番号5)と塩基配列(配列番号6)に基づいて大腸菌発現可能ベクターであるpBT7−C−Hisに挿入して製作された組換え発現ベクターをバイオニアに合成依頼した。
【0055】
タンパク質の発現を誘導するために大腸菌発現用菌株であるBL21(DE3)に形質転換し、それぞれE.coli BL21(DE3)/CJ_TD_F4E、E.coli BL21(DE3)/CJ_KO_F4Eと命名した。ブダペスト条約下で、前記E.coli BL21(DE3)/CJ_TD_F4Eは2017年3月20日に韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms)に寄託番号KCCM11995Pとして寄託され、前記E.coli BL21(DE3)/CJ_KO_F4Eは2017年3月24日に寄託番号KCCM11999Pとして寄託された。
【0056】
実施例1−2:組換え酵素の製造及び精製
組換え酵素を製造するために、前記実施例1−1で製造した形質転換体であるE.coli BL21(DE3)/CJ_TD_F4E、E.coli BL21(DE3)/CJ_KO_F4Eをアンピシリン(ampicillin)が含まれたLB液体培地5mlを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。本種菌培養された培養液をLBとタンパク質発現調節因子であるラクトースが含有された液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記培養過程中の撹拌速度は180rpmであり、培養温度は37℃が維持されるようした。培養液は8,000rpmで、4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。回収された菌体は、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mM イミダゾール(imidazole)及び300mM NaClが含まれた50mM NaH2PO4(pH8.0)緩衝溶液に再懸濁した。前記懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、細胞破砕物は13,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液はHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製し、20mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH2PO4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。最終250mM イミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH2PO4(pH8.0)緩衝液を流して溶出精製し、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析した後、酵素特性解析のための酵素を確保した。
【0057】
実施例1−3:果糖からタガトースへの転換活性の評価
前記実施例1−2から得られた酵素の活性を測定するために、30重量%果糖を用い、ここに50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM CoSO
4、前記実施例
1−2で分離された20mg/mlの精製酵素を添加して、温度60℃で2時間反応した。果糖−4−エピマー化酵素3種、CJ_TD_F4E、及びCJ_KO_F4Eによって転換されたタガトースの濃度及び果糖からタガトースに転換された転換率を確認した結果、CJ_TD_F4Eの場合、4.6%であり、CJ_KO_F4Eの場合、16.0%であった。前記換算率は次の式で計算された:転換率=タガトース重量/初期果糖重量×100
【0058】
また、反応後に残存する果糖と生成物であるタガトースの場合、HPLCを用いて定量した。用いたカラムはShodex Sugar SP0810であり、カラム温度を80℃にし、移動相である水の流速は1ml/分で流した。
図1にHPLCクロマトグラフィーを用いて果糖を基質とする前記酵素の反応を示すピークを検出し定量した。
【0059】
実施例1−4:果糖−4−エピマー化活性に対する温度の影響
本出願の酵素のエピマー化活性に対する温度の影響性を調査するために、果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に、前記実施例1−2で製造した1mg/mlの精製酵素をそれぞれ添加して、50℃〜80℃で3時間反応し、反応終了液はHPLCを用いてタガトースを定量分析した。その結果、本出願の酵素2種はすべて70℃で最大活性を示した(
図2)。
【0060】
実施例2:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0061】
実施例2−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換え発現ベクター及び形質転換体の製造
本出願に係る新規な耐熱性の果糖−4−エピマー化酵素を発掘するために、Rhodothermus profundi DSM 22212、Rhodothermus marinus ATCC 43812由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子情報を確保して、大腸菌発現可能ベクター及び形質転換微生物を製造した。
【0062】
具体的には、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)及びNCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されたRhodothermus profundi
DSM 22212、Rhodothermus marinus ATCC 43812の遺伝子配列からタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子配列を選抜して、前記2種の微生物のアミノ酸配列(配列番号7及び9)と塩基配列(配列番号8及び10)の情報を基に、前記酵素の塩基配列を含む大腸菌発現可能な組換えベクターpBT7−C−His−CJ_RP_F4E、pBT7−C−His−CJ_RM_F4Eを製造した((株)バイオニア、韓国)。
【0063】
前記それぞれの各組換えベクターは、熱ショック(heat shock transformation、Sambrook and Russell:Molecular cloning、2001)によって大腸菌BL21(DE3)に形質転換した後、50%グリセロールに冷凍保管して使用した。前記形質転換菌株をそれぞれE. coli BL21(DE3)/CJ_RP_F4E及びE. coli BL21(DE3)/CJ_RM_F4Eと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、KCCM)に2017年08月11日付けで寄託し、それぞれKCCM12097P、KCCM12096Pを与えられた。
【0064】
実施例2−2:組換え酵素の製造及び精製
前記実施例2−1で製造した形質転換菌株 E. coli BL21(DE3)/CJ_RP_F4E及びE. coli BL21(DE3)/CJ_RM_F4Eから組換え酵素を製造するために、それぞれの形質転換微生物をアンピシリン(ampicillin)抗生剤が含まれたLB液体培地5mLを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。前記種菌培養の結果、得られた培養液をLBとタンパク質発現調節因子である乳糖が含まれた液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記種菌培養及び本培養は、攪拌速度180rpmと37℃の条件で行った。次に、前記培養液を8,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。前記回収された菌体を50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mMイミダゾール(imidazole)と300mM NaClが含まれた50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液に再懸濁した。前記再懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、13,000 rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液をHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製し、20mMイミダゾール、及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して、非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。続いて、250mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を追加で流して溶出精製した後、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析し、酵素特性解析のために精製酵素CJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eをそれぞれ確保した。
【0065】
実施例2−3:果糖からタガトースへの転換及び活性の確認
前記実施例2−2で確保した本出願組換え酵素CJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を測定するために、30重量%果糖に50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM NiSO
4及び各20mg/ml CJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eを添加して、60℃で10時間反応させた。
【0066】
反応後に残存する果糖及び生成物であるタガトースの定量はHPLCを用いて分析した。HPLC分析は、Shodex Sugar SP0810カラムを用い、カラム温度は80℃にして、移動相である水の流速は1mL/minで流した(
図3)。
【0067】
実験の結果、本出願CJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4E酵素反応による果糖からタガトースへの転換率は、それぞれ5.7%及び11.1%と確認された。
【0068】
実施例2−4:温度による組換え酵素の活性の確認
前記実施例2−2で製造した酵素CJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eの果糖−4−エピマー化活性に対する温度の影響力を調査するために、10重量%果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に、各1mg/mlのCJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eを添加して、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃及び70℃の様々な温度で3時間反応させた。前記反応の完了後、反応物内のタガトースはHPLCを用いて定量分析した。
【0069】
実験の結果、CJ_RP_F4Eは65℃で最大活性を示し、60℃〜70℃で最大活性の70%以上、すべての温度範囲で最大活性の50%以上を維持した(
図4a)。そして、CJ_RM_F4Eは70℃で最大活性を示し、55℃〜70℃で最大活性の70%以上、すべての温度範囲で最大活性の40%以上を維持した(
図4b)。
【0070】
実施例2−5:金属イオンの添加による本発明組換え酵素の活性の確認
前記実施例2−2で製造した酵素CJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eの果糖−4−エピマー化活性の金属イオン別の影響力を確認するために、10重量%果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に、各1mg/mlのCJ_RP_F4E及びCJ_RM_F4Eと各1mMの様々な金属イオン(ZnSO
4、MgCl
2、MnCl
2、NH
4Cl、CaCl
2、Na
2SO
4、CuSO
4、MgSO
4、MnSO
4、(NH
4)
2SO
4、またはNiSO
4)を添加して、60℃で5時間反応させた。反応完了後、反応物のタガトースをHPLCを用いて定量分析した。
【0071】
実験の結果、CJ_RP_F4EはNiSO
4それぞれの添加によって活性が増加することが示され、ニッケルイオンが活性を増加させることができ(
図5a)、CJ_RM_F4EはMnSO
4及びNiSO
4の添加によって活性が増加することが示され、マンガンまたはニッケルイオンが本出願組換え酵素の活性を増加させうることを確認した(
図5b)。
【0072】
実施例3:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0073】
実施例3−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換え発現ベクター及び形質転換体の製造
本発明者らはLimnochorda pilosa DSM 28787由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子情報を確保して、大腸菌発現可能な組換えベクター及び形質転換微生物を製造した。
【0074】
より具体的には、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)とENA(European Nucleotide Archive)に登録されたLimnochorda pilosaの遺伝子配列を対象にタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子配列を選抜して、Limnochorda pilosa由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼCJ_LP_F4Eのアミノ酸配列(配列番号11)及び塩基配列(配列番号12)に基づいて、前記酵素の塩基配列を含む大腸菌発現可能な組換え発現ベクターpBT7−C−His−CJ_LP_F4Eを製造した((株)バイオニア、韓国)。
【0075】
前記組換えベクターは、熱ショック(heat shock transformation、Sambrook and Russell:Molecular cloning、2001)によって大腸菌BL21(DE3)に形質転換した後、50%グリセロールに冷凍保管して使用した。前記形質転換菌株をE.coli BL21(DE3)/CJ_LP_F4Eと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、KCCM)に2017年08月11日付けで寄託し、寄託番号KCCM12095Pを付与された。
【0076】
実施例3−2:組換え酵素の製造及び精製
前記実施例3−1に従って製造した形質転換菌株E.coli BL21(DE3)/CJ_LP_F4E由来のCJ_LP_F4Eから本出願組換え酵素を収得するために、前記それぞれの形質転換微生物をアンピシリン(ampicillin)抗生剤が含まれたLB液体培地5mLを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。本種菌培養された培養液をLBとタンパク質発現調節因子である乳糖が含まれた液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記種菌培養及び本培養は、攪拌速度180rpm及び37℃の条件で行った。続いて、前記培養液を8,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。回収された菌体を50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mMイミダゾール(imidazole)と300mM NaClが含まれた50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液に再懸濁した。前記再懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、細胞破砕物を13,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液をHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製した後、20mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して、非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。その後、250mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を追加で流して溶出精製し、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析して、酵素特性解析のための精製酵素CJ_LP_F4Eを確保した。
【0077】
実施例3−3:組換え酵素の果糖からタガトースへの転換活性の評価
前記実施例3−2で確保した本出願組換え酵素CJ_LP_F4Eの活性を測定するために、30重量%果糖の50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM NiSO
4、及び各20mg/mlのCJ_LP_F4Eを添加して、60℃で10時間反応させた。
【0078】
反応後に残存する果糖及び生成物であるタガトースはHPLCを用いて定量した。HPLC分析は、Shodex Sugar SP0810カラムを用い、カラム温度は80℃、移動相である水の流速は1mL/minで流した(
図6)。
【0079】
実験の結果、本出願の各酵素によって果糖からタガトースに転換された転換率はCJ_LP_F4Eを用いた場合、9.5%であることを確認した。
【0080】
実施例3−4:温度による組換え酵素活性の確認
前記実施例3−2で得られた本出願組換え酵素CJ_LP_F4Eの果糖−4−エピマー化活性に対する温度の影響力を調査するために10重量%果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に1mg/ml CJ_LP_F4Eを添加して45℃、50℃、55℃、60℃及び70℃の様々な温度で3時間反応させた。反応が完了した後、反応液内のタガトースはHPLCを用いて定量分析した。
【0081】
実験の結果、本出願のCJ_LP_F4E酵素は60℃で最大活性を示し、CJ_LP_F4Eは45℃〜70℃で最大活性の50%以上を維持することが確認できた(
図7a)。
【0082】
実施例3−5:金属イオンの添加による組換え酵素活性の確認
従来公知の異性化酵素、例えば、グルコース異性化酵素及びアラビノース異性化酵素及びエピマー酵素、例えば、プシコース3−エピマー化酵素は、金属イオンを必要とすることが知られている。したがって、前記実施例3−2で得られた本出願の組換え酵素CJ_LP_F4Eの場合も金属イオンが果糖−4−エピマー化活性に影響を与えるかどうかを確認した。
【0083】
より具体的には、10重量%果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に、2mg/mlのCJ_LP_F4Eを添加し、様々な金属イオンNiSO
4、CaCl
2、ZnSO
4、MgSO
4、MnSO
4、FeSO
4、CuSO
4、または(NH
4)
2SO
4を各1mMずつ添加して酵素活性を測定した。金属イオンを処理しない場合を対照群として設定した。前記反応が完了した後、反応液内のタガトースはHPLCを用いて定量分析した。
【0084】
実験の結果、本出願CJ_LP_F4E酵素は、各MnSO
4、NiSO
4の添加によって活性が増加することが示され、マンガンイオンやニッケルイオンなどの金属イオンの要求性があることが分かった。特に、NiSO
4を添加した場合、最大活性を示すことが確認された(
図7b)。
【0085】
実施例4:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0086】
実施例4−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換えベクター及び組換え微生物の製造
新規耐熱性の果糖−4−エピマー化酵素を発掘するために、Caldithrix abyssi DSM 13497及びCaldicellulosiruptor kronotskyensis DSM 18902由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子情報を確保し、大腸菌発現可能ベクター及び形質転換微生物を製造した。
【0087】
具体的には、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)及びNCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されたCaldithrix abyssi DSM 13497及びCaldicellulosiruptor kronotskyensis
DSM 18902の遺伝子配列からタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子配列を選抜し、前記微生物それぞれのアミノ酸配列(配列番号13及び15)と塩基配列(配列番号14及び16)の情報を基に、前記酵素の塩基配列を含む大腸菌発現可能な組換えベクターpBT7−C−His −CJ_Cab_F4E及びpBT7−C−His−CJ_Ckr_F4Eを合成した((株)バイオニア、韓国)。
【0088】
前記各組換えベクターは、熱ショック(heat shock transformation、Sambrook and Russell:Molecular cloning、2001)によって大腸菌BL21(DE3)に形質転換して組換え微生物を製造した後、50%グリセロールに冷凍保管して使用した。前記組換え微生物をそれぞれE. coli BL21(DE3)/CJ_Cab_F4EとE. coli BL21(DE3)/CJ_Ckr_F4Eと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、KCCM)に2017年9月13日付で寄託して、それぞれ寄託番号KCCM12107P及びKCCM12108Pを与えられた。
【0089】
実施例4−2:組換え酵素の製造及び精製
前記実施例4−1で製造した各遺伝子組換え微生物E. coli BL21(DE3)/CJ_Cab_F4E及びE. coli BL21(DE3)/CJ_Ckr_F4Eから組換え酵素CJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eを製造するために、それぞれの組換え微生物をアンピシリン(ampicillin)抗生剤が含まれたLB液体培地5mLを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。本種菌培養された培養液をLBとタンパク質発現調節因子である乳糖が含まれた液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記種菌培養及び本培養は攪拌速度180rpm及び37℃の条件で行った。その後、前記培養液は8,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。回収された菌体を50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mMイミダゾール(imidazole)と300mM NaClが含まれた50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液に懸濁した。前記懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、細胞破砕物を13,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液をHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製し、20mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して、非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。その後、250mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を追加で流して溶出精製し、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析して酵素特性解析のための精製酵素CJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eを確保した。
【0090】
実施例4−3:組換え酵素の果糖からタガトースへの転換活性の評価
前記実施例4−2で確保した組換え酵素CJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を測定するために、10重量%果糖の50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM MnSO
4及び各5mg/mlのCJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eを添加して、60℃で24時間反応させた。
【0091】
反応後に残存する果糖及び生成物であるタガトースの定量はHPLCを用いて分析した。HPLC分析はShodex Sugar SP0810カラムを用い、カラム温度は80℃にして、移動相である水の流速は1mL/minで流した。
【0092】
その結果、遺伝子組換え酵素CJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eによる果糖からタガトースへの転換率は、それぞれ3.8%と4.0%であることを確認した(
図8a及び
図8b)。
【0093】
実施例4−4:温度による組換え酵素活性の確認
前記実施例4−2で得られた組換え酵素CJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eの果糖−4−エピマー化活性に対する温度の影響力を調査するために、5重量%果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に各5mg/mlのCJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eを添加し、各37℃、40℃、50℃、55℃、60℃及び70℃で5時間反応させた。反応完了液内のタガトースはHPLCを用いて定量分析した。その結果、CJ_Cab_F4Eは55℃で、CJ_Ckr_F4Eは60℃で最大活性を示し、両方の酵素すべて50℃〜70℃で最大活性の75%以上の活性を示すことを確認した(表1、
図9a及び9b) 。
【0095】
実施例4−5:金属添加による本出願組換え酵素活性の確認
前記実施例4−2で得られた組換え酵素CJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eの金属が果糖−4−エピマー化活性に影響を与えるかどうかを確認した。
【0096】
具体的には、5重量%果糖を含む50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液に各5mg/mlのCJ_Cab_F4E及びCJ_Ckr_F4Eと1mMの金属イオン(MgSO
4またはMnSO
4)を添加して60℃で5時間反応させた。金属イオンを処理しない場合を対照群(w/o)と設定した。前記反応が完了した後、反応完了液のタガトースはHPLCを用いて定量分析した。
【0097】
その結果、CJ_Cab_F4EはMnSO
4の添加によって約2倍、MgSO
4の添加によって10倍以上の活性が増加し、マンガンやマグネシウムイオン(または、その塩)がCJ_Cab_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を増加させうることを確認した(
図10a)。また、CJ_Ckr_F4Eは MgSO
4添加時対照群と同様の活性を示したが、MnSO
4の添加によって活性が約2倍に増加して、マンガンイオン(または、その塩)がCJ_Ckr_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を増加させうることを確認した(
図10b)。
【0098】
実施例5:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0099】
実施例5−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換えベクター及び組換え微生物の製造
新規耐熱性の果糖−4−エピマー化酵素を発掘するためにCaldilinea aerophila由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子情報を確保し、大腸菌発現可能ベクター及び形質転換微生物を製造した。
【0100】
具体的には、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)及びNCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されたCaldilinea aerophila遺伝子配列からタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子配列を選抜して、前記微生物それぞれのアミノ酸配列(配列番号17)と塩基配列(配列番号18)の情報を基に、前記酵素の塩基配列を含む大腸菌発現可能な組換えベクターpET21a−CJ_CAE_F4Eをクローニングした。
【0101】
組換え発現ベクターを用いるために、Caldilinea aerophilaのGenomic DNAを用いて、プライマー1:
ATATACATATGTCAACACTTCGCCACATCATTTTGCGAとプライマー2:
TGGTGCTCGAGTCCAAGCAATGTAGCGGCGTCGTAを用い、PCR条件は、94℃で2分間変性後、94℃30秒の変性、65℃ 30秒のアニーリング、72℃で2分の伸長を35回繰り返した後、72℃で5分間伸長反応を行った。
【0102】
前記組換えベクターは、熱ショック(heat shock transformation、Sambrook and Russell:Molecular cloning、2001)によって大腸菌BL21(DE3)に形質転換して、組換え微生物を製造した後、50%グリセロールに冷凍保管して使用した。前記組換え微生物
をE. coli BL21(DE3)/CJ_CAE_F4Eと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、KCCM)に2018年3月23日付で寄託し
、寄託番号KCCM12233Pを与えられた。
【0103】
実施例5−2:組換え酵素の製造及び精製
前記実施例5−1で製造した各遺伝子組換え微生物E. coli BL21(DE3)/CJ_CAE_F4Eから組換え酵素CJ_CAE_F4Eを製造するために、遺伝子組換え微生物をアンピシリン(ampicillin)抗生剤が含まれたLB液体培地5mLを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。本種菌培養された培養液をLBとタンパク質発現調節因子である乳糖が含まれた液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記種菌培養及び本培養は、攪拌速度180rpm及び37℃の条件で行った。その後、前記培養液は8,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。回収された菌体を50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mMイミダゾール(imidazole)と300mM NaClが含まれた50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液に懸濁した。前記懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、細胞破砕物を13,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液をHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製し、20mMイミダゾール、及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して、非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。その後、250mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を追加で流して溶出精製し、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析して酵素の特性解析のための精製酵素CJ_CAE_F4Eを確保した。
【0104】
実施例5−3:組換え酵素の果糖からタガトースへの転換活性の評価
前記実施例5−2で確保した組換え酵素CJ_CAE_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を測定するために、10重量%果糖の50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM MnSO
4及び各20mg/mlの
CJ_CAE_F4Eを添加して、60℃で24時間反応させた。
【0105】
反応後に残存する果糖及び生成物であるタガトースの定量はHPLCを用いて分析した。HPLC分析は、Shodex Sugar SP0810カラムを用い、カラム温度は80℃とし、移動相である水の流速は1mL/minで流した。
【0106】
その結果、遺伝子組換え酵素CJ_CAE_F4Eによる果糖からタガトースへの転換率は1.8%であることを確認した(
図11)。
【0107】
実施例6:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0108】
実施例6−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換えベクター及び組換え微生物の製造
新規耐熱性の果糖−4−エピマー化酵素を発掘するために、Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子情報を取得して、大腸菌発現可能ベクター及び形質転換微生物を製造した。
【0109】
具体的には、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)及びNCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されたThermoanaerobacter thermohydrosulfuricusの遺伝子配列からタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子配列を選抜して、前記微生物アミノ酸配列(配列番号19)と塩基配列(配列番号20)の情報を基に、前記酵素の塩基配列を含む大腸菌発現可能な組換えベクターpBT7−C−His−CJ_TATH_F4Eを合成した((株)バイオニア、韓国)。
【0110】
前記組換えベクターは、熱ショック(heat shock transformation、Sambrook and Russell:Molecular cloning、2001)によって大腸菌BL21(DE3)に形質転換して、組換え微生物を製造した後、50%グリセロールに冷凍保管して使用した。前記組換え微生物をそれぞれE. coli BL21(DE3)/CJ_TATH_F4Eと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、KCCM)に2018年3月23日付で寄託し寄託番号KCCM12234Pを付与された。
【0111】
実施例6−2:組換え酵素の製造及び精製
前記実施例6−1で製造した組換え微生物E. coli BL21(DE3)/CJ_TATH_F4Eから組換え酵素CJ_TATH_F4Eを製造するために、遺伝子組換え微生物をアンピシリン(ampicillin)抗生剤が含まれたLB液体培地5mLを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。本種菌培養された培養液をLBとタンパク質発現調節因子である乳糖が含まれた液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記種菌培養及び本培養は攪拌速度180rpm及び37℃の条件で行った。その後、前記培養液は8,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。回収された菌体を50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mMイミダゾール(imidazole)と300mM NaClが含まれている50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液に懸濁した。前記懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、細胞破砕物を13,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液をHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製し、20mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して、非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。その後、250mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を追加で流して溶出精製し、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析して酵素特性解析のための精製酵素CJ_TATH_F4Eを確保した。
【0112】
実施例6−3:組換え酵素の果糖からタガトースへの転換活性の評価
前記実施例6−2で確保した組換え酵素CJ_TATH_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を測定するために、30重量%果糖の50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM MnSO
4及び各5mg/mlのCJ_TATH_F4Eを添加して、60℃で24時間反応させた。
【0113】
反応後に残存する果糖及び生成物であるタガトースの定量はHPLCを用いて分析した。HPLC分析は、Shodex Sugar SP0810カラムを用い、カラム温度は80℃として、移動相である水の流速は1mL/minで流した。
【0114】
その結果、遺伝子組換え酵素CJ_TATH_F4Eによる果糖からタガトースへの転換率は2.9%であることを確認した(
図12)。
【0115】
実施例7:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼの製造及びその活性の評価
【0116】
実施例7−1:タガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子を含む組換えベクター及び組換え微生物の製造
新規耐熱性の果糖−4−エピマー化酵素を発掘するために、Acidobacteriales bacterium由来のタガトース−ビスリン酸アルドラーゼ遺伝子情報を確保し、大腸菌発現可能ベクター及び形質転換微生物を製造した。
【0117】
具体的には、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)及びNCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されたAcidobacteriales bacteriumの遺伝子配列からタガトース−ビスリン酸アルドラーゼの遺伝子配列を選抜して、前記微生物アミノ酸配列(配列番号3)と塩基配列(配列番号4)の情報を基に、前記酵素の塩基配列を含む大腸菌発現可能な組換えベクターpBT7−C−His−CJ_AB_F4Eを合成した((株)バイオニア、韓国)。
【0118】
前記組換えベクターは熱ショック(heat shock transformation、Sambrook and Russell:Molecular cloning、2001)によって大腸菌BL21(DE3)に形質転換して、組換え微生物を製造した後、50%グリセロールに冷凍保管して使用した。前記組換え微生物
をE. coli BL21(DE3)/CJ_AB_F4Eと命名し、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、KCCM)に2018年3月23日付で寄託し、寄託番号KCCM12237Pを付与された。
【0119】
実施例7−2:組換え酵素の製造及び精製
前記実施例7−1で製造した組換え微生物E. coli BL21(DE3)/CJ_AB_F4Eから組換え酵素CJ_AB_F4Eを製造するために、遺伝子組換え微生物をアンピシリン(ampicillin)抗生剤が含まれたLB液体培地5mLを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃振とう培養器で種菌培養を行った。本種菌培養された培養液をLBとタンパク質発現調節因子である乳糖が含まれた液体培地を含む培養フラスコに接種して、本培養を行った。前記種菌培養及び本培養は攪拌速度180rpm及び37℃の条件で行った。その後、前記培養液は8,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、菌体を回収した。回収された菌体を50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、10mMイミダゾール(imidazole)と300mM NaClが含まれた50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液に懸濁した。前記懸濁された菌体を細胞破砕機(sonicator)を用いて破砕し、細胞破砕物を13,000rpmで4℃で20分間遠心分離した後、上澄み液のみを取った。前記上澄み液をHis−taq親和クロマトグラフィーを用いて精製し、20mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を充填剤の10倍の液量で流して、非特異的結合が可能なタンパク質を除去した。その後、250mMイミダゾール及び300mM NaClを含有する50mM NaH
2PO
4(pH8.0)緩衝溶液を追加で流して溶出精製し、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝溶液で透析して酵素の特性解析のための精製酵素CJ_AB_F4Eを確保した。
【0120】
実施例7−3:組換え酵素の果糖からタガトースへの転換活性の評価
前記実施例7−2で確保した組換え酵素CJ_AB_F4Eの果糖−4−エピマー化活性を測定するために、1重量%果糖の50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM MnSO
4と各10mg/mlのCJ_AB_F4Eを添加して55℃で24時間反応させた。
【0121】
反応後に残存する果糖及び生成物であるタガトースの定量はHPLCを用いて分析した。HPLC分析は、Shodex Sugar SP0810カラムを用い、カラム温度は80℃にして、移動相である水の流速は1mL/minで流した。
【0122】
その結果、遺伝子組換え酵素CJ_AB_F4Eによる果糖からタガトースへの転換率は
、8%であることを確認した(
図13)。
【0123】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者は、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施されうることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものと理解しなければならない。本出願の範囲は、前記詳細な説明より、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。