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喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置とともに使用するように構成された物品であって、喫煙材と複数の素子との混合物を含む材料を備え、前記複数の素子のそれぞれの素子が、リング状であると共に、磁性導電材の閉回路を備え、前記複数の素子の前記素子が前記物品内で互いに磁気的に整列している、物品。
混合する前記ステップが、製造される材料全体に前記複数の素子を均等に又は実質的に均等に分散するように前記複数の素子を前記喫煙材と混合することを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための材料を提供し、本材料は、喫煙材と素子との混合物を含み、複数の素子のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の閉回路を備える。
【0004】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれはループ状である。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれはリング状である。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは球形である。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、複数の個別の加熱材の撚線から形成される。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がなく加熱材の閉回路を支える本体を備える。
【0005】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。
【0006】
例示的な実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0007】
例示的な実施形態では、加熱材は、金属又は金属合金を含む。
【0008】
例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0009】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれの幅は3ミリメートルより小さい。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれの幅は1ミリメートルと2ミリメートルとの間である。
【0010】
例示的な実施形態では、加熱材は喫煙材と接触している。
【0011】
例示的な実施形態では、喫煙材は、タバコ、及び/又は1つ以上の保湿剤を含む。
【0012】
本発明の第2の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための材料を提供し、本材料は、喫煙材と、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の開放セル構造体との混合物を含む。
【0013】
それぞれの例示的な実施形態では、本材料は、上記の本発明の第1の態様の材料の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を提供し、本物品は喫煙材と素子との混合物を備え、複数の素子のそれぞれは磁性導電材を備え、複数の素子は互いに磁気的に整列している。
【0015】
例示的な実施形態では、本物品は細長く、円形の断面を有する。
【0016】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、本物品の長手方向軸と実質的に揃えられた中心軸を有する。
【0017】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、リング状又は球形であり、あるいは、複数の個別の磁性導電材の撚線から形成され、あるいは、磁性導電材の閉回路を支える非導電性の本体を備える。
【0018】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは磁性導電材の閉回路を備える。
【0019】
例示的な実施形態では、本物品は混合物の周りにカバーを備える。
【0020】
例示的な実施形態では、カバーはラッパーを備える。例示的な実施形態では、カバーは紙のシートを備える。
【0021】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれの最大外形寸法は、カバーの内部寸法より小さい。
【0022】
例示的な実施形態では、物品は、材料と流体連通する通路を画定する吸い口を備える。
【0023】
例示的な実施形態では、物品は、物品の温度を検出するための温度検出器を備える。いくつかの実施形態では、物品は、使用時に装置の温度モニタと接続させるために、温度検出器に接続された1つ以上の端子を備える。
【0024】
本発明の第4の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を提供し、本物品は、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様の材料を備える。
【0025】
それぞれの例示的な実施形態では、本物品の材料は、上記の本発明の第1の態様の材料の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0026】
それぞれの例示的な実施形態では、本物品は、上記の本発明の第2の態様の物品の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0027】
本発明の第5の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための材料を製造する方法を提供し、本方法は、喫煙材を用意するステップと、素子を喫煙材と混合するステップとを含み、複数の素子のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の閉回路を備える。
【0028】
例示的な実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0029】
例示的な実施形態では、加熱材は、金属又は金属合金を含む。
【0030】
例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0031】
例示的な実施形態では、加熱材は磁性材料である。
【0032】
例示的な実施形態では、本方法は、複数の素子を互いに磁気的に整列させるステップを含む。
【0033】
例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれはリング状である。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは球形である。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、複数の個別の加熱材の撚線から形成される。例示的な実施形態では、複数の素子のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がなく加熱材の閉回路を支える本体を備える。
【0034】
例示的な実施形態では、喫煙材はタバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む。
【0035】
例示的な実施形態では、混合するステップは、製造される材料全体に複数の素子を均等に又は実質的に均等に分散するように複数の素子を喫煙材と混合することを含む。
【0036】
本発明の第6の態様はシステムを提供し、本システムは、
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
この装置とともに使用するための物品であって、喫煙材と複数の素子との混合物を含む材料を備え、複数の素子のそれぞれが、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の閉回路を備える、物品と
を備える。
【0037】
例示的な実施形態では、装置は、物品と協働するための境界面と、物品が境界面と協働するとき、複数の素子の加熱材に侵入するように変動磁場を発生させるための磁場発生器とを備える。
【0038】
それぞれの例示的な実施形態では、本システムの物品は、上記の本発明の第3の態様又は本発明の第4の態様の物品の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0039】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊の形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコール、を含んでいてもよい。
【0042】
本明細書では、用語「ヒーター材」及び「加熱材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0043】
本書では、用語「香料」及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを生成するために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤もしくは感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、あるいはこれらの混合物であってもよい。これらは、油、液体、ゲル、粉末など、任意の適切な形態をとることができる。
【0044】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0045】
サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0046】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石即ち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0047】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0048】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、喫煙材の残渣物などの物体上の材料の堆積はさほど問題にならず、設計自由度が広がり得、加熱プロファイルをよりよく制御でき、コストをより低くすることができる。
【0049】
図1を参照すると、本発明の実施形態による材料の例の概略図が示されている。材料20は、喫煙材21と複数の素子22との混合物を含み、素子22のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の閉回路を備える。素子22の閉回路は、使用時、喫煙材21を加熱するように加熱可能である。この実施形態では、素子22は材料20全体に分散されている。
【0050】
この実施形態では、加熱材はアルミニウムである。しかしながら、他の実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱材は、金属又は金属合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。他の実施形態では、他の(1つ以上の)加熱材を使用することができる。加熱材として磁性導電材を用いると、使用時、この磁性導電材と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができることもまた分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材21の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0051】
この実施形態では、素子22のそれぞれはループ状である。より詳細には、この実施形態では、素子22のそれぞれはリング状である。ループ状の素子は、閉回路を生成するように、始まりと終わりが同じ地点となる経路を画定する任意の形状のものとすることができるが、リング状の素子は必ず円形又は実質的に円形である。リング状の素子は、重量に対する表面積の比を大きくすることができ、そのことは、素子が重力による沈殿によって密集しようとすることを避ける助けとなり得る。リング状の素子は、直径に対する断面積の比を小さくすることができる。したがって、変動磁場を受けたとき、リング内の循環電流は、リングのほとんど又はすべてを通ることができ、サセプタが厚すぎる厚さを有する場合のように「表皮」だけに限定されるものではない。したがって、材料をより効率的に使用することになり、コストを削減する。この実施形態では、素子22のそれぞれは、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。しかしながら、他の実施形態では、1つ以上の素子22は、加熱材がなく加熱材の閉回路を支えるループ状又はリング状の本体を備えることができる。例えば、1つ以上の素子は、加熱材がないリング状の本体を備え、その本体に加熱材の閉回路を被覆することができる。
【0052】
この実施形態では、素子22のそれぞれの閉回路は喫煙材21と接触している。したがって、閉回路の加熱材が、変動磁場の侵入によって加熱されると、閉回路の加熱材から喫煙材21に熱を直接伝達することができる。いくつかの他の実施形態では、閉回路は喫煙材21と接触しないようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、素子22のそれぞれは、加熱材がなく内部に閉回路が埋め込まれた熱伝導遮蔽物を備えることができる。
【0053】
加熱材は、誘導電流、及び/又は誘導された磁気双極子の再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱材の厚さを比較的薄くすることによって、加熱材の他の寸法に比べて比較的長い奥行き又は厚さを有する加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材のより大きな割合を加熱可能にすることができる。
【0054】
図2を参照すると、本発明の実施形態による別の材料の例の概略図が示されている。
図2の材料20は、材料20内の素子の形態を除いて、
図1の材料20と同一である。
図1の材料20に対する上記の可能な変形例のいずれも、
図2の材料20に対して行って、個別の各実施形態を形成することができる。
【0055】
この実施形態では、材料20の素子24のそれぞれは球形であり、加熱材の閉回路を備える。この実施形態では、素子24のそれぞれは、加熱材がなく加熱材の閉回路を支える本体を備える。素子24の閉回路は、使用時、喫煙材21を加熱するように加熱可能である。
【0056】
この実施形態では、素子24のそれぞれの閉回路は喫煙材21と接触している。したがって、閉回路の加熱材が、変動磁場の侵入によって加熱されると、閉回路の加熱材から喫煙材21に熱を直接伝達することができる。いくつかの他の実施形態では、閉回路は喫煙材21と接触しないようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、素子24のそれぞれは、加熱材がなく内部に閉回路が埋め込まれた本体を備えることができる。
【0057】
この実施形態の変形例では、素子のそれぞれは、複数の個別の加熱材の撚線から形成することができる。即ち、撚線は互いに重なって、及び/又は接触して1つ以上の加熱材の閉回路を画定することができる。撚線はすべて同じ加熱材から作ることができる。撚線は直線状、又は、例えば、らせん状などの曲線状とすることができる。
【0058】
図3を参照すると、本発明の実施形態による別の材料の例の概略図が示されている。
図3の材料20は、材料20内の素子の形態を除いて、
図1の材料20と同一である。
図1の材料20に対する上記の可能な変形例のいずれも、
図3の材料20に対して行って、個別の各実施形態を形成することができる。
【0059】
この実施形態では、材料20の素子26のそれぞれは、加熱材がなく加熱材の閉回路28を支える本体27を備える。素子26の閉回路28は、使用時、喫煙材21を加熱するように加熱可能である。
【0060】
この実施形態では、素子26のそれぞれの閉回路28は喫煙材21と接触している。したがって、閉回路28の加熱材が、変動磁場の侵入によって加熱されると、閉回路28の加熱材から喫煙材21に熱を直接伝達することができる。いくつかの他の実施形態では、閉回路28は喫煙材21と接触しないようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、素子26のそれぞれは、加熱材がなく内部に閉回路28が埋め込まれた本体を備えることができる。
【0061】
図4及び
図5を参照すると、本発明の実施形態による物品の例の概略斜視図及び概略断面図が示されている。物品1は、
図2の材料20と、材料20の周りのカバー10とを備える。物品1は、喫煙材21を燃焼させることなく材料20の喫煙材21を加熱して喫煙材21の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのものである。このような装置の例を下記で説明する。この実施形態の変形例では、材料20の素子のそれぞれは、開放セル構造又は発泡粒子構造、板、あるいは微粒体とすることができる。開放セル構造又は発泡粒子構造によって、素子のそれぞれの重量に対する表面積の比は大きくなる。各開放セル構造又は発泡粒子の幅は、3ミリメートルより小さい、例えば、1ミリメートルと2ミリメートルとの間とすることができる。
【0062】
この実施形態では、カバー10は、物品1の外面を画定し、物品1の外面は、使用時に装置と接触することができる。この実施形態では、素子24のそれぞれの最大外形寸法は、カバー10の内部寸法より小さい。この実施形態では、素子24はカバー10と接触しないようにされる。これは、使用時、素子24が加熱されるときにカバー10が焦げるのを避ける助けとなり得る。しかしながら、他の実施形態では、1つ以上の素子24はカバー10と接触してもよい。
【0063】
この実施形態では、物品1は、実質的に円形の断面を有する細長い円筒状である。しかしながら、他の実施形態では、物品1は、円形以外の断面を有することができる、及び/又は、細長くない、及び/又は、円筒状でないものとすることができる。この実施形態では、物品1は、タバコの大きさに近い。
【0064】
この実施形態では、カバー10は、材料のシートを備えるラッパー12を備える。この実施形態では、材料のシートは紙のシートを含むが、他の実施形態では、材料のシートは、紙以外の電気絶縁性材料、又は導電性材料から作ることができる。この実施形態では、カバー10は喫煙材21を取り囲む。他の実施形態では、カバー10はまた、物品の長手方向の端部の一方又は両方を覆うことができる。この実施形態では、ラッパー12は、ラッパー12の自由端が互いに重なるように材料20の周りに巻かれる。したがって、ラッパー12は、物品1の周方向の外面のすべて又は大部分を形成する。
【0065】
この実施形態のカバー10はまた、ラッパー12の重ねられた自由端を互いにくっつけてそれらが離れるのを防ぐのに役立つ接着剤14を備える。他の実施形態では、接着剤14を省略することができる。このような接着剤14が存在しているとき、ラッパー12と接着剤14とが組み合わさったものは物品1の外面を画定して装置に接触することができる。ラッパー12に対する接着剤14の大きさは、明瞭にするために
図4では強調されていることに留意されたい。
【0066】
いくつかの実施形態では、カバー10は、断熱材の塊を備えることができる。断熱材は、エアロゲル、真空断熱材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。断熱材は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような断熱材は、装置の構成部品への熱損失を防ぐのに役立つことができ、カバー10内の喫煙材をより効率的に加熱することができる。いくつかの実施形態では、断熱材は、1ミリメートルまでの厚さ、例えば、0.5ミリメートルまでの厚さを有することができる。
【0067】
この実施形態の変形例では、素子24のそれぞれは磁性導電材を備え、素子24は互いに磁気的に整列している。即ち、素子24内の磁気双極子は互いに磁気的に整列している。素子24が互いに磁気的に整列していると、使用時、素子24と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができ、その結果、素子24のジュール加熱が増大し、又は改善され、したがって、喫煙材21の加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。素子24間の距離を縮めることによって同じ改善を得ることができる。
【0068】
図6を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略断面図が示されている。物品2は、喫煙材21と素子22との混合物を含む材料20と、材料20の周りにカバー10とを備える。
図6の物品2は、材料20内の素子の形態を除いて、
図4及び
図5の物品1と同一である。
【0069】
この実施形態では、素子22のそれぞれは磁性導電材を備え、素子22は互いに磁気的に整列している。即ち、素子22内の磁気双極子は互いに磁気的に整列している。上記のように、このような素子22が互いに磁気的に整列していると、使用時、素子22と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができ、その結果、素子22のジュール加熱が増大し、又は改善され、したがって、喫煙材21の加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。素子22間の距離を縮めることによって同じ改善を得ることができる。
【0070】
この実施形態では、素子22のそれぞれはリング状である。しかしながら、この実施形態の各々の変形例では、素子はループ状の開放セル構造とすることができるか、又は、磁性導電材の閉回路を支える非導電性の本体を備えることができる。この実施形態では、素子22のそれぞれは、物品2の長手方向軸と実質的に揃えられた中心軸を有する。他の実施形態では、素子22の中心軸は、物品2の長手方向軸に平行でないものとすることができる。いくつかの実施形態では、素子22の中心軸は、物品2の長手方向軸に垂直なものとすることができる。この実施形態では、素子22のそれぞれの最大外形寸法は、カバー10の内部寸法より小さい。
【0071】
いくつかの実施形態では、素子22のそれぞれは磁性導電材の閉回路を備える。上記のように、磁気サセプタが閉回路の形態のとき、使用時、サセプタと電磁石との間の磁気結合を強くすることができて、素子22のジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0072】
いくつかの実施形態では、加熱材は、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすくしないようにすることができる。そのような実施形態では、加熱材は非導電性の磁性材料の場合があり、したがって、上記の磁気ヒステリシスプロセスによって加熱可能とすることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、物品は、材料20と流体連通する通路を画定する吸い口を備える。
図7を参照すると、本発明の実施形態による物品7の例の概略部分断面図が示されている。符号71が付いた物品7の部分は、
図4〜
図6に示した構造物のいずれか、又はそれらの構造物の上記の変形例のいずれかを備えることができる。吸い口70及びその通路72は、この構造物に接続されるように示されており、通路72は、この構造物の材料20と流体連通するように位置合わせされている。吸い口70は、プラスチック材、ボール紙、又はゴムなどの任意の適切な材料から作ることができる。
【0074】
使用時、喫煙材21が、加熱された素子22、24によって加熱されると、喫煙材21の揮発成分は使用者によって容易に吸入することができる。物品が消耗品である実施形態では、物品内の喫煙材21の揮発成分(複数可)のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は吸い口を物品の残りの部分と一緒に処分することができる。これは、複数の物品で同じ吸い口を使用するよりも衛生的とすることができ、吸い口が確実に喫煙材と正しく位置合わせされるのに役立つことができ、使用者が別の物品を使用することを望むたびに清潔で新しい吸い口を使用者に提供する。
【0075】
吸い口70は、それがある場合には、香味料を備えることができる、又は含浸することができる。香味料は、使用時、蒸気が吸い口70の通路72を通過するときに高温の蒸気によって受け取られるように配置することができる。
【0076】
図8を参照すると、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための材料の製造の本発明の実施形態による方法の例のフロー図が示されている。本方法を使用して上記の
図1〜
図3の材料20をそれぞれ製造することができる。
【0077】
方法800は、喫煙材21を用意するステップ801と、次いで、素子22、24、26を喫煙材21と混合するステップ802とを含む。例えば、喫煙材21と素子22、24、26とをホッパーに供給してホッパー内で混合することができる。素子22、24、26が確実に喫煙材21全体に均等に又は実質的に均等に分散されるように、喫煙材21と素子22、24、26とが混合されることが好ましい。あるいは、素子22、24、26をホッパー内に入れて、次いで、喫煙材21の供給物内にホッパーから落とすことができる。このように落とすステップ、又は、これに続いてさらに混合するステップによって、素子22、24、26は確実にこれらの混合物全体に均等に又は実質的に均等に分散される。素子22、24、26のそれぞれは加熱材の閉回路を備える。素子22、24、26のそれぞれは、例えば、リング状又は球形であり、あるいは、複数の個別の加熱材の撚線から形成され、あるいは、加熱材がなく加熱材の閉回路を支える本体を備えることができる。
【0078】
この実施形態では、素子22、24、26の加熱材は磁性導電材であり、本方法は、素子22、24、26を互いに磁気的に整列させるステップ803を含む。このような磁気的に整列させるステップは、素子22、24、26に強い磁場を受けさせることによって行われてもよい。上記のように、素子22、24、26が互いに磁気的に整列していると、使用時、素子22、24、26と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができ、その結果、素子22、24、26のジュール加熱が増大し、又は改善され、したがって、材料20の喫煙材21の加熱が増大し、又は改善される。さらに、素子24間の距離を縮めることによって同じ利点を得ることができる。これらの素子22、24、26で軸が磁場と平行なものが最も激しく反応する。球形の素子22、24、26は、素子22、24、26の形状によって、球形でない素子22、24、26の場合よりも喫煙材21との混合物中での回転を妨げることが少ないので、より磁気的に整列しやすい。
【0079】
他の実施形態では、素子22、24、26をこのように互いに磁気的に整列させるステップ803を省略することができる。このような他の実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。加熱材は、金属又は金属合金を含むことができる。加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。
【0080】
図9を参照すると、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品の製造の本発明の実施形態による方法の例のフロー図が示されている。本方法を使用して上記の
図6の物品2を製造することができる。
【0081】
方法900は、
図8の方法800を実行するステップ901を含み、次いで、カバー10が物品2の外面を画定するようにカバー10を材料20の周りに設けるステップ902を含む。
【0082】
この方法900の変形例では、上記のように、素子22、24、26を互いに磁気的に整列させるステップ803を省略することができる。本方法のこのような変形例を使用して上記の
図4及び
図5の物品1を製造することができる。いくつかの実施形態では、物品の製造中、素子22、24、26を喫煙材内で磁気的に浮遊させることができ、それは、重力の影響下で素子22、24、26が沈殿によって密集することを避ける助けとなる。
【0083】
上記の物品1、2及びそれらの変形例のそれぞれは、喫煙材21を加熱して喫煙材21の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用することができる。この装置は、喫煙材21を燃焼させずに、喫煙材21を加熱して喫煙材21の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものとすることができる。物品1、2(複数可)のいずれか1つとこのような装置とは、システムとして一緒に提供することができる。システムは、物品1、2が本装置とは別個のものであるキットの形態をとることができる。これに代えて、システムは、物品1、2が本装置と組み合わされた組立体の形態をとることができる。
【0084】
本装置は、物品1、2の素子22、24の加熱材を加熱するための変動磁場を発生させるための磁場発生器を備えることができる。このような磁場発生器は、電源と、コイルと、コイルに交流電流などの変動電流を流すためのデバイスと、制御器と、制御器を使用者が操作するためのユーザインターフェースとを備えることができる。電源は、充電式電池、非充電式電池、商用電源への接続部などとすることができる。
【0085】
コイルは、銅などの導電性材料の螺旋コイルなどの任意の適切な形態をとることができる。磁場発生器は、コイルによって生成される磁束を集中させ、磁場をより強力にするためにコイルを巻いた透磁性コアを備えることができる。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、コイルの長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させることができる。
【0086】
コイルに変動電流を流すためのデバイスは、電源とコイルとの間で電気的に接続されてもよい。制御器は、電源に電気的に接続され、コイルに変動電流を流すためのデバイスを制御するためにこのデバイスに通信可能に接続することができ、その結果、電源からコイルへの電力の供給を制御することができる。いくつかの実施形態では、制御器は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備えることができる。他の実施形態では、制御器は異なる形態をとることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、コイルに変動電流を流すためのデバイス及び制御器を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。制御器は、ユーザインターフェースを使用者が操作して動作することができ、ユーザインターフェースは、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。使用者がユーザインターフェースを操作すると、制御器は、コイルに変動電流を流すためのデバイスに、コイルに交流電流を印加させてコイルに交流磁場を発生させることができる。
【0087】
本装置は、物品1、2を受け入れるための凹部又は他の境界面を有することができ、物品1、2が凹部内にあるとき、又は境界面と協働しているとき、使用時、コイルによる変動磁場又は交流磁場が、物品1、2の加熱材に対応する箇所の凹部又は境界面に侵入するように、コイルを凹部又は境界面に対して配置することができる。物品1、2の加熱材が導電性材料のとき、物品1、2の素子22、24の加熱材内に1つ以上の渦電流を発生させることができる。渦電流が物品1、2の素子22、24の加熱材の電気抵抗に抗して加熱材内を流れると、物品1、2の素子22、24の加熱材はジュール加熱によって加熱される。
図5に示した物品1の素子24の加熱材が磁性材料のとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、磁気ヒステリシス加熱で物品1、2の素子22、24の加熱材内に熱が生成される。
【0088】
本装置は、物品1、2を凹部に挿入したときに物品1、2を圧縮するための、又は境界面と協働するための機構を有することができる。物品1、2をこのように圧縮すると、喫煙材21を圧縮することができ、その結果、喫煙材21の熱伝導率を上げることができる。言い換えると、喫煙材21を圧縮すると、物品1、2内の熱伝達をより高くすることができる。
【0089】
本装置は、使用時、凹部、境界面、又は物品1、2の温度を検知するための温度センサを有することができる。温度センサは、制御器に通信可能に接続することができ、その結果、制御器は温度を監視することができる。いくつかの実施形態では、温度センサは、凹部、境界面、又は物品を光学的に温度測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、物品1、2は、物品1、2の温度を検出するために抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector)などの温度検出器を備えることができる。物品1、2は、温度検出器に電気接続などで接続された1つ以上の端子をさらに備えることができる。端子(複数可)は、物品1、2が凹部内にあるとき、又は境界面と協働しているとき、本装置の温度モニタと電気接続などで接続させるためのものとすることができる。制御器は温度モニタを備えることができる。したがって、装置の温度モニタは、装置とともに使用中の物品1、2の温度を測定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、物品1、2の加熱材が適切な抵抗を有していれば、温度変化に対する加熱材の反応は、物品1、2内の温度に関する情報を与えるには十分となり得るであろう。本装置の温度センサは加熱材を分析するためのプローブをさらに備えることができる。
【0091】
制御器は、温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ又は、温度検出器から受信された1つ以上の信号に基づいて、必要に応じてコイルに流す変動電流又は交流電流の特性をデバイスに調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数とすることができる。所定の温度範囲内では、使用時、凹部に挿入された、又は境界面と協働している物品1、2内の喫煙材21は、喫煙材21を燃焼させずに、喫煙材21の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分に加熱することができる。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃〜約250℃、例えば、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外のことがある。本装置は、喫煙材21の揮発成分(複数可)を使用者に送出するための送出デバイスを有することができる。
【0092】
本装置は、装置の外部と凹部又は境界面とを流体接続する空気入口を画定することができる。使用者は、本装置の吸い口の通路などの通路を通して揮発成分(複数可)を引き込むことによって喫煙材の揮発成分(複数可)を吸入することができ得る。揮発成分(複数可)が物品1、2から出ると、空気は、本装置の空気入口を経て凹部又は境界面内に引き込むことができる。
【0093】
本装置は、使用者に触覚フィードバックを与えることができる。このフィードバックは、サセプタの加熱が生じていることを示すことができる、又は、物品1、2の喫煙材21の揮発可能な成分(複数可)が、元の量の所定の割合より多く消費されたことを示すようにタイマによってフィードバックを生じさせることができる、などである。この触覚フィードバックは、サセプタとコイルとの相互作用(即ち、磁気的な応答)によって、導電性素子とコイルとの相互作用によって、不平衡モータの回転によって、圧電素子に繰り返し電流を印加及び除去することなどによって生じさせることができる。
【0094】
本装置はコイルを2つ以上備えることができる。複数のコイルは、物品1、2の喫煙材21を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成するように動作させることができる。例えば、1つのコイルは、加熱材の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材21の第1の領域で、喫煙材21の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。別のコイルは、加熱材の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材21の第2の領域で、喫煙材21の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成することができ、喫煙材10の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気を形成し続けることができる。最初のうちは加熱されていない喫煙材21の第2の領域は、喫煙材21の第1の領域が加熱されている間、生成された蒸気の温度を下げるように、又は生成された蒸気の刺激を弱くするようにフィルタとして働くことができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、加熱材は、その中に切れ目又は穴を備えることができる。このような切れ目又は穴は、使用時に喫煙材の異なる領域が加熱される度合いを制御するための熱断絶部として機能してもよい。加熱材のうち切れ目又は穴を有する領域は、切れ目又は穴のない領域よりも加熱される程度を低くすることができる。これは、喫煙材を漸進的に加熱し、したがって、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。
【0096】
上記の実施形態の各々において、喫煙材21はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々の変形例では、喫煙材21は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材21は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、湿潤剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0097】
本発明を具現化する物品は、例えば、カートリッジ又はカプセルとすることができる。
【0098】
上記の実施形態のそれぞれでは、物品1、2は消耗品である。物品1、2の喫煙材21の揮発可能な成分(複数可)のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は、本装置から物品1、2を取り外して、物品1、2を処分することができる。使用者は、引き続き、物品1、2の別なもので本装置を再使用することができる。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、物品1、2は消耗品でないものとすることができ、喫煙材21の揮発可能な成分(複数可)が消費されると、本装置と物品1、2とを一緒に処分することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、上記の装置は、本装置とともに使用可能な物品1、2とは別個に販売され、供給され、又は別の方法で提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置及び1つ以上の上記物品1、2を、キットや組立体などのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供してもよい。
【0100】
本発明は、本明細書で説明した物品のいずれか1つと、本明細書で説明した装置のいずれか1つとを備えるシステムとして実施することも可能である。ここで、磁場発生器によって生成される変動磁場の侵入による加熱のための加熱材(例えば、サセプタの形態のもの)は、装置自身がさらに有する。装置自身の加熱材で発生した熱を物品に伝達して、物品内の喫煙材をさらに加熱することができる。
【0101】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示している。これらの実施形態は、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、また、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための優れた材料と、このような装置とともに使用し、このような材料を備える優れた物品と、このような材料を製造する優れた方法と、このような物品を製造する優れた方法と、このような物品及びこのような装置を備える優れたシステムとを提供するものである。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、あるいは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲や趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、あるいは実質的にそれらのみから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。