(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
商用電源及びバックアップ電源からの電力供給で動作する発振器から出力された前記商用電源の規定周波数と同じ周波数を有する正弦波信号の位相と、前記商用電源の電源電圧の位相と、の間の位相差を定期的に算出し、
前記位相差が変動したとき、
前記商用電源からの電力供給で動作する電力量計の周波数時計の時刻を補正する、
時刻補正方法であって、
前記位相差の絶対値が第1の閾値以上となったとき、
前記電力量計の周波数時計の時刻を補正する、
時刻補正方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、
図1を参照して、スマートメータ100を説明する。
【0013】
スマートメータ100は、バックアップ電源101と、発振器102と、位相差算出部103と、時刻補正部104と、を含む。
【0014】
バックアップ電源101は、例えばスーパーキャパシタによって構成され、商用電源により充電される。
【0015】
発振器102は、商用電源及びバックアップ電源101からの電力供給で動作する。発振器102は、商用電源の規定周波数と同じ周波数を有する正弦波信号を出力する。
【0016】
位相差算出部103は、商用電源の電源電圧の位相と、正弦波信号の位相と、の間の位相差を定期的に算出する。
【0017】
時刻補正部104は、位相差が変動したとき、商用電源からの電力供給で動作する電力量計の周波数時計の時刻を補正する。電力量計の周波数時計は、商用電源の電源電圧から抽出された電源周波数を利用して時刻を刻む時計である。
【0018】
以上の構成によれば、電力量計の周波数時計の時刻が狂う要因が生じたことをいち早く検知し、周波数時計の時刻をいち早く補正することができる。
【0019】
(第2実施形態)
次に、
図2及び
図3を参照して、第2実施形態を説明する。
【0020】
図2に示すように、スマート検針システム50は、電力量計1とスマートメータ2、電力量集計サーバ3を含む。
【0021】
電力量計1は、一般住宅や一般商業施設に設置される。電力量計1は、周波数時計10と、電力量測定部11と、検針データ制御部12と、周波数時計制御部13と、を含む。
【0022】
周波数時計10は、商用電源の電源電圧から抽出された電源周波数に基づいて時刻を刻む時計である。
【0023】
電力量測定部11は、使用された商用電源の電力量を測定する。
【0024】
検針データ制御部12は、電力量測定部11の測定結果から検針データを生成する。検針データ制御部12は、一例として、例えば30分刻みで集計した電力量データの2時間分を1つにまとめて検針データとして記録する。各電力量データは、対応する時刻と関連付けて記録される。1つの検針データは、4つの電力量データを含む。この場合、検針データ制御部12は、検針データを2時間おきに生成する。検針データ制御部12は、スマートメータ2からの要求に応じて検針データをスマートメータ2に送信する。
【0025】
周波数時計制御部13は、周波数時計10を制御する。周波数時計制御部13は、スマートメータ2からの要求に応じて周波数時計10の時刻データをスマートメータ2に送信する。周波数時計制御部13は、スマートメータ2から受信した時刻補正指令に基づいて周波数時計10の時刻を補正する。
【0026】
スマートメータ2は、電力量計1と共に一般住宅や一般商業施設に設置される。スマートメータ2は、電力量計1の検針データを電力量集計サーバ3に転送する。スマートメータ2は、電力量計1に供給される商用電源と同一の商用電源で動作する。即ち、単一の商用電源から共通する送電路を介してスマートメータ2及び電力量計1に電力供給される。
【0027】
スマートメータ2は、バックアップ電源20と、RTC21(Real Time Clock)と、発振器22と、を含む。
【0028】
スマートメータ2は、中央演算処理器としてのCPU2a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM2b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM2c(Read Only Memory)を備えている。そして、CPU2aがROM2cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU2aなどのハードウェアを各種機能部として機能させる。
【0029】
各種機能部は、初期設定部23、位相差算出部24、電源異常通知部25、時刻データ取得部26、RTC時刻補正部27、電力量計時刻補正部28、検針データ制御部29を含む。
【0030】
スマートメータ2は、典型的には有線により電力量計1と双方向通信可能に構成されている。また、スマートメータ2は、有線又は無線によりWide Area Networkを介して電力量集計サーバ3と双方向通信可能に構成されている。
【0031】
バックアップ電源20は、例えば、商用電源によって充電可能なスーパーキャパシタを含む。バックアップ電源20は、商用電源の電力供給が一時的に途絶えたときもスマートメータ2が動作するように、スマートメータ2に電力を供給する。従って、スマートメータ2は、平時は商用電源からの電力供給によって動作し、商用電源の異常時にはバックアップ電源20からの電力供給によって動作する。換言すれば、スマートメータ2は、商用電源及びバックアップ電源20からの電力供給によって動作する。
【0032】
RTC21は、商用電源及びバックアップ電源20からの電力供給によって動作する。
【0033】
発振器22は、商用電源の規定周波数と同じ周波数を有する正弦波信号を出力する。商用電源の規定周波数とは、国毎及び地域毎に個別に規定された商用電源の電源電圧の周波数である。例えば、スマートメータ2が使用する商用電源の規定周波数が60Hzである場合、発振器102は、60Hzの正弦波信号を出力するように設定される。発振器22は、商用電源及びバックアップ電源20からの電力供給によって動作する。従って、発振器22は、商用電源の異常発生の有無にかかわらず、正弦波信号を安定的に出力する。即ち、発振器22が出力する正弦波信号は、時間軸上で切れ目なく連続する。発振器22が出力する正弦波信号の位相の変化が連続的である。換言すれば、発振器22が出力する正弦波信号の位相は微分可能である。
【0034】
初期設定部23は、スマートメータ2の起動時に発振器22が出力する正弦波信号の位相を商用電源の電源電圧の位相に一致させる。
【0035】
位相差算出部24は、商用電源の電源電圧の位相と、正弦波信号の位相と、の間の位相差を定期的に算出する。ここで、「定期的に」とは、例えば、1秒毎や10秒毎、1分毎、10分毎であって、任意に設定可能である。
【0036】
電源異常通知部25は、スマートメータ2に供給される商用電源の電源電圧に異常が発生したら、異常の発生時刻や異常発生回数の累積値、上記の位相差を電力量集計サーバ3に電源異常情報として通知する。
【0037】
時刻データ取得部26は、電力量計1から周波数時計10の時刻データを取得する。時刻データ取得部26は、電力量集計サーバ3から時刻データを取得する。
【0038】
RTC時刻補正部27は、RTC21の時刻を補正する。
【0039】
電力量計時刻補正部28は、電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する。
【0040】
検針データ制御部29は、電力量計1が保有する検針データを取得し、取得した検針データを電力量集計サーバ3に転送する。
【0041】
電力量集計サーバ3は、時刻データ送信部40、検針データ要求部41、検針データ受信部42、検針データ集計部43を含む。
【0042】
時刻データ送信部40は、電力量集計サーバ3が保有する時刻データであって、図示しない時刻サーバによって定期的に更新される時刻データをスマートメータ2に送信する。
【0043】
検針データ要求部41は、スマートメータ2に検針データを要求する検針データ要求を送信する。
【0044】
検針データ受信部42は、スマートメータ2から検針データを受信する。
【0045】
検針データ集計部43は、スマートメータ2から受信した検針データを集計する。
【0046】
次に、
図3を参照して、スマートメータ2の動作を説明する。
【0047】
S100:
まず、スマートメータ2を商用電源に接続すると、スマートメータ2が起動する。初期設定部23は、スマートメータ2の起動時に発振器22が出力する正弦波信号の位相を商用電源の電源電圧の位相に一致させる。
【0048】
S110:
次に、位相差算出部24は、商用電源の電源電圧の位相と、正弦波信号の位相と、の間の位相差を算出する。位相差算出部24は、
図3に示すループ処理により上記の位相差を定期的に算出する。
【0049】
S120:
次に、時刻データ取得部26は、位相差算出部24が算出した位相差の絶対値が第1の閾値よりも大きいか判定する。第1の閾値は、例えば、45度や90度であって任意に設定し得る。位相差の絶対値が第1の閾値よりも大きい場合(S120:YES)、時刻データ取得部26は、処理をS130に進める。一方、位相差の絶対値が第1の閾値よりも大きくない場合(S120:NO)、時刻データ取得部26は、処理をS210に進める。
【0050】
S130:
電源異常通知部25は、商用電源の電源電圧に異常が発生したとみなして、異常の発生時刻や異常発生回数の累積値、位相差を電力量集計サーバ3に電源異常情報として通知する。
【0051】
S140-S150:
次に、時刻データ取得部26は、電力量集計サーバ3に時刻データを要求し(S140)、電力量集計サーバ3から時刻データを受信する(S150)。
【0052】
S160:
次に、RTC時刻補正部27は、時刻データ取得部26が取得した時刻データを用いてRTC21の時刻を補正する。
【0053】
S170:
次に、時刻データ取得部26は、電力量計1の周波数時計制御部13を介して電力量計1の周波数時計10の時刻データを取得する。
【0054】
S180:
次に、電力量計時刻補正部28は、電力量計1の周波数時計10の時刻データと、RTC21の時刻データと、の差分である時刻ズレを算出する。
【0055】
S190:
次に、電力量計時刻補正部28は、時刻ズレの絶対値が第2の閾値以上であるか判定する。時刻ズレの絶対値が第2の閾値以上である場合(S190:YES)、電力量計時刻補正部28は、処理をS200に進める。時刻ズレの絶対値が第2の閾値以上でない場合(S190:NO)、電力量計時刻補正部28は、処理をS210に進める。
【0056】
S200:
次に、電力量計時刻補正部28は、電力量計1の周波数時計制御部13に時刻補正指令を送信する。時刻補正指令は、RTC21の時刻データを含む。従って、電力量計時刻補正部28は、周波数時計制御部13を介して電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する。
【0057】
S210:
次に、検針データ制御部29は、電力量集計サーバ3から検針データ要求を受信しているか判定する。電力量集計サーバ3から検針データ要求を受信している場合(S210:YES)、検針データ制御部29は、処理をS220に進める。一方、電力量集計サーバ3から検針データ要求を受信していない場合(S210:NO)、検針データ制御部29は、処理をS110に戻す。
【0058】
S220:
検針データ制御部29は、電力量計1に検針データを要求する。これにより、検針データ制御部29は、電力量計1から所定時間分の検針データを受信する。
【0059】
S230:
次に、検針データ制御部29は、電力量計1から受信した検針データを電力量集計サーバ3の検針データ受信部42に転送し、処理をS110に戻す。転送した検針データは、電力量集計サーバ3の検針データ集計部43によって例えば世帯毎に集計される。
【0060】
以上に第2実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0061】
スマートメータ2は、バックアップ電源20と、商用電源及びバックアップ電源20からの電力供給で動作し、商用電源の規定周波数と同じ周波数を有する正弦波信号を出力する発振器22と、を含む。スマートメータ2は、商用電源の電源電圧の位相と、正弦波信号の位相と、の間の位相差を定期的に算出する位相差算出部24を含む。スマートメータ2は、位相差が変動したとき、商用電源からの電力供給で動作する電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する電力量計時刻補正部28を含む。以上の構成によれば、電力量計の周波数時計の時刻が狂う要因が生じたことをいち早く検知し、周波数時計の時刻をいち早く補正することができる。
【0062】
従って、電力量計1の検針データ制御部12が信頼性の乏しい検針データを生成し続けることで電力量計1の記憶領域を無駄に消費してしまう問題を未然に防止できる。
【0063】
また、電力量計時刻補正部28は、位相差の絶対値が第1の閾値以上となったとき(S120:YES)、電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する。以上の構成によれば、電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する回数を抑制することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、スマートメータ2の起動時にスマートメータ2の発振器22が出力する正弦波信号の位相が商用電源の電源電圧の位相と一致するように初期設定されている。従って、平時では上記の位相差はゼロとなり、商用電源の異常発生時では上記の位相差の絶対値がゼロよりも大きくなる。
【0065】
しかし、上記の初期設定は省略することができる。即ち、スマートメータ2の起動時にスマートメータ2の発振器22が出力する正弦波信号の位相が商用電源の電源電圧の位相と一致するように初期設定されない場合、平時では上記の位相差は一定の値となる。そして、商用電源の異常発生時では上記の位相差が増加したり減少したりする。従って、位相差の絶対値を第1の閾値と比較することに代えて、位相差の変動自体を監視すれば商用電源の異常発生を検出することができる。
【0066】
また、スマートメータ2は、商用電源及びバックアップ電源からの電力供給で動作するRTC21(リアルタイムクロック)を更に備える。RTC時刻補正部27は、RTC21の時刻を用いて電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する。以上の構成によれば、スマートメータ2が電力量集計サーバ3と通信することなく、スマートメータ2が電力量計1の周波数時計10の時刻を補正できる。
【0067】
また、スマートメータ2は、電力量集計サーバ3(外部サーバ)から時刻データを取得する時刻データ取得部26を更に備える。電力量計時刻補正部28は、時刻データ取得部26が取得した時刻データを用いて電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する。以上の構成によれば、スマートメータ2のRTC21よりも高精度な電力量集計サーバ3の時刻データを用いて電力量計1の周波数時計10の時刻を補正できる。なお、この場合、スマートメータ2のRTC21は省略することができる。
【0068】
また、時刻補正方法は、発振器22から出力された商用電源の規定周波数と同じ周波数を有する正弦波信号の位相と、商用電源の電源電圧の位相と、の間の位相差を定期的に算出すること(S110)を含む。時刻補正方法は、位相差が変動したとき(S120:YES)、商用電源からの電力供給で動作する電力量計1の周波数時計10の時刻を補正する(S200)。以上の方法によれば、電力量計の周波数時計の時刻が狂う要因が生じたことをいち早く検知し、周波数時計の時刻をいち早く補正することができる。
【0069】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【解決手段】スマートメータ100は、バックアップ電源101と、発振器102と、位相差算出部103と、時刻補正部104と、を含む。発振器102は、商用電源及びバックアップ電源101からの電力供給で動作する。発振器102は、商用電源の規定周波数と同じ周波数を有する正弦波信号を出力する。位相差算出部103は、商用電源の電源電圧の位相と、正弦波信号の位相と、の間の位相差を定期的に算出する。時刻補正部104は、位相差が変動したとき、商用電源からの電力供給で動作する電力量計の周波数時計の時刻を補正する。