特許第6927638号(P6927638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6927638拡散はんだ付けのためのはんだプリフォーム、その製造方法およびその組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927638
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】拡散はんだ付けのためのはんだプリフォーム、その製造方法およびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/14 20060101AFI20210823BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20210823BHJP
   B23K 35/40 20060101ALI20210823BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20210823BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20210823BHJP
【FI】
   B23K35/14 D
   B23K1/00 J
   B23K35/14 E
   B23K35/40 340J
   !B23K35/26 310A
   !C22C13/00
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-558363(P2019-558363)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(65)【公表番号】特表2020-518456(P2020-518456A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2018059971
(87)【国際公開番号】WO2018197314
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】102017206930.9
(32)【優先日】2017年4月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】シェレンベルク,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュトロギース,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルケ,クラウス
【審査官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−013933(JP,A)
【文献】 特開平03−184694(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/134974(WO,A1)
【文献】 特表2015−504477(JP,A)
【文献】 特表2012−513682(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010013610(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/14
B23K 35/20
B23K 35/363
B23K 1/00
B32B 15/01
H01L 21/52
C22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料の第1の層(12)と第2の材料の第2の層(13)から成るサンドイッチ構造を有し、前記第1の層(12)と前記第2の層(13)とがサンドイッチ構造内で交互に配置されている拡散はんだ付け用のはんだプリフォームにおいて、
前記第1の材料が前記第1の層(12)を構成する金属の薄膜(14)として形成され、
前記第2の材料がバインダ(16)と共にペーストを形成する金属の粒子(15)から成り、
前記第2の層が前記ペーストから成る、ことを特徴とする拡散はんだ付け用のはんだプリフォーム。
【請求項2】
前記第1の材料ははんだ付け材料であり、
前記第2の材料は前記第1の材料よりも高い融点を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだプリフォーム。
【請求項3】
前記第2の材料ははんだ付け材料であり、
前記第1の材料は前記第2の材料よりも高い融点を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだプリフォーム
【請求項4】
第1の材料の第1の層(12)と第2の材料の第2の層(13)とがサンドイッチ構造に被層され、前記第1の層(12)と前記第2の層(13)とがサンドイッチ構造内で交互に配置されている、はんだプリフォーム(11)を製造する方法であって、
前記第1の材料が金属の薄膜(14)として形成され、前記薄膜(14)から前記第1の層が形成され、
前記第2の材料が金属の粒子(15)から成り、前記粒子(15)がバインダ(16)と共にペーストに加工され、
前記第2の層(13)が前記ペーストから形成される、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記薄膜(14)が前記ペーストで被層され、前記被層された薄膜(14)がサンドイッチ構造に積層される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記はんだプリフォーム(11)よりも大きい面積のサンドイッチ構造が形成され、
この構造から前記はんだプリフォーム(11)が分離されることにより、多数の前記はんだプリフォーム(11)が同時に形成される、ことを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
第1の接合パートナー(24)と第2の接合パートナー(25)との間にはんだプリフォーム(11)を配置し、前記はんだプリフォーム(11)を溶融して拡散はんだ付け接合部(23)を形成する拡散はんだ付け接合部(23)の接合方法であって、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のはんだプリフォーム(11)が用いられる、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
はんだ付け材料の収縮(Δz)を考慮した過大寸法のはんだプリフォーム(11)を使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記拡散はんだ付け接合部の誤差を考慮した過大寸法(t)のはんだプリフォーム(11)を使用する、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の材料の第1の層と第2の材料の第2の層とを含み、第1の層と第2の層とがサンドイッチ内で交互に配置されているサンドイッチ構造(以下、サンドイッチと呼ぶ)を含む、拡散はんだ付けのためのはんだプリフォームに関する。さらに、本発明は、第1の材料の第1の層および第2の材料の第2の層がサンドイッチ状に積層され、第1の層および第2の層がサンドイッチ状に交互に配置されているはんだプリフォームを形成する方法に関する。最後に、本発明は、拡散はんだ付け接合部を接合する方法にも関し、この方法では、はんだプリフォームが第1の接合パートナーと第2の接合パートナーとの間に配置され、はんだプリフォームが溶融されて拡散はんだ付け接合部を形成する。
【0002】
2つの接合パートナーを取り付けるために拡散はんだ付け接合部を使用することは、例えば、特許文献1から知られている。接合パートナー間に拡散はんだ付け接合部を形成する場合、拡散プロセスによりはんだ付け接合部が生じるが、これははんだ合金から成る残りの部分よりも融点が高い金属間化合物相を有する。これにより、接合パートナー間の接合を熱的かつ機械的に安定させることができる。
【0003】
接合パートナーは、例えば、銅製の接触材料を使用することができる。拡散はんだは、スズ含有はんだ材料であってもよい。はんだ付け接合部の形成中のはんだ材料への銅の拡散により銅とスズとの間の金属間化合物によって拡散ゾーンが形成される。この拡散ゾーンは、約420°の融点を有し、したがって、スズベースのはんだ材料の溶融温度を明らかに上回る。必要な拡散プロセスのために、拡散ゾーンは、はんだ材料内に任意に深く延在することができない。したがって、形成されるはんだ付け接合部は、一定の厚さに制限される。したがって、特許文献1によれば、接合パートナー間の接合ギャップの領域に空洞が生じるように、接合パートナーの少なくとも1つを設計することが提案されている。この空洞は、例えば、接合パートナーの1つの取付け面に凹部を設けることによって形成することができる。この場合、空洞は、接合の際に過剰なはんだ材料が逃げることができる緩衝空間として働き、その結果、量誤差が生じた場合でも接合パートナー間のギャップ幅を保証することができ、それによって接合ギャップの幅全体にわたって拡散ゾーンの信頼性のある形成が保証される。
【0004】
さらに非特許文献1によれば、拡散はんだ付け接合部の形成において、例えば銅ネットを接合ギャップに挿入して接合パートナー間の比較的大きな接合ギャップも橋絡できるようにすることが知られている。この上に、はんだ箔を配置することができ、これによりはんだ材料は、液化したときに可撓性プリフォーム間の空間を充填する。プリフォームは、はんだ材料内に拡散することができる材料を提供する。拡散材料が接合パートナーの界面を介してだけでなく、はんだ付け接合部の内部にも提供されるので、接合パートナー間に連続した拡散ゾーンを接合ギャップが大きい場合にも形成することができる。
【0005】
また、非特許文献1は、可撓性プリフォームの代わりに金属粉末、例えば銅粉末が使用される、拡散はんだ付け接合部を形成する別の方法も記載している。この粉末材料は、はんだ材料に添加され、はんだ材料内に分散して分布し、拡散ゾーンを形成する間にはんだ付け接合部内に拡散することができる材料を提供する。これにより、2つの接合パートナー間のギャップを橋絡する拡散ゾーンをはんだ付け接合部に形成することも可能になる。
【0006】
特許文献2によれば、2つの接合パートナー間の拡散はんだ付け接合部は、はんだ付け中に液相から固相への成分の拡散によって形成され得ることが知られている。この場合、接合パートナーの間には、2つの成分を含むはんだ材料が用いられる。はんだ付け接合部を形成することができるようにするために、はんだプリフォームが、第1の構成要素および第2の構成要素の層のサンドイッチからなる接合パートナーの間に配置される。これにより、拡散要素のための拡散経路をできるだけ短く維持することが可能になり、その結果、接合パートナー間に機械的に安定した接合部が生じる。
【0007】
はんだプリフォームの使用は、信頼性のある接触を形成するためには両接合パートナーに接触しなければならず、はんだ付け接合部の形成における拡散経路が大きすぎてはならないので、はんだ付け接合部の形成において高度の精度を必要とする。この精度は、ある程度の製造労力(例えば接合される表面の高度の平行度など)およびその結果として生じるコストに関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013219642号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/004500号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D.Feil:“Fuegekonzepte fuer Leistungsmodule an Kuehlkoerpern“, Elektronische Baugruppen und Leiterplatten, p.60−64, Berlin Offenbach, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、拡散はんだ付け用のはんだプリフォーム、その形成方法、および2つの接合パートナー間のその組み立て方法を提供することにあり、その場合このはんだプリフォームを用いて、はんだ付け接合部を安価に、かつ改善されたプロセス能力で形成することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は冒頭に述べたプリフォームにおいて本発明によれば、第1の材料が金属の薄膜として形成され、この薄膜から第1の層が形成されることによって解決される。第2の材料は金属の粒子から成り、バインダと共にペーストを形成し、第2の層はこのペーストから形成される。したがって、第1の材料および第2の材料から、はんだ付け中に形成されるはんだ付け接合部に、好ましくは金属間化合物からなる拡散ゾーンが形成される。有利には、ペーストは、はんだ付け前に変形可能であり、したがって、はんだプリフォームは、全体として接合方向に圧縮することができるので、誤差補償として機能することができる。このペーストは、2つの隣接する薄膜の間のギャップから部分的に押し出される。さらに、ペーストは、はんだ付けプロセス中にバインダがはんだ付け接合部から逃げるので、はんだ付けプロセス中に若干の体積収縮を受ける。しかし、この体積収縮はある程度可変的に無くなることがあるので、製造誤差と組立誤差の調整を助成する。
【0012】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の材料がはんだ材料であり、第2の材料が第1の材料よりも高い融点を有するようにされる。第1の材料は、例えば、スズベースのはんだ材料(特に、合金組成SN96、5Ag3Cu0.5を有するSAC305などのスズ−銀−銅はんだ、または、例えば、合金組成Sn99、3Cu0.7を有するスズ−銅はんだ)であってもよく、一方、第2の材料は、スズ材料に溶解しこの中に拡散する金属、好ましくは、銅である。銅材料は、バインダによって、例えばステンシル印刷プロセスによって、第1の材料から成る薄膜の間に固定されるが、粒子材料の拡散経路は、はんだ材料の薄膜の厚さによって規定される。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、第2の材料がはんだ材料であり、第1の材料が第2の材料よりも高い融点を有するようにすることもできる。この場合、第1の材料から成る薄膜は、極めて薄く作ることができ、第2の材料は、薄膜上にはんだ材料の形態で施されることが有利である。特に、それ自体知られているステンシル印刷方法を使用することができる。
【0014】
上記の課題は、第1の材料が、第1の層が形成される金属の薄膜として形成され、第2の材料がバインダと共にペーストに加工される金属の粒子から成り、第2の層がこのペーストから形成されるようにした、はんだプリフォームの形成方法によっても達成される。この方法を実行することの利点は、すでに上述されている。有利には、ペーストからなる第2の材料は、金属の薄膜の形態で第1の材料に軽く配置されるが、これには例えば、ステンシル印刷プロセスを使用することができる。このように被層された薄膜は、次に、有利には積層して、サンドイッチ構造にすることができる。積層薄膜の数は、サンドイッチ構造の厚さを決定し、この厚さは、形成されるはんだ付け接合部のギャップ寸法を考慮して決定することができる。ここで、既に説明したように、はんだ付け接合部を形成する際には、ブリッジすべきギャップに応じてサンドイッチ構造の高さをどの程度増大しなければならないか、収縮の程度を考慮する必要がある。
【0015】
はんだプリフォームの面積よりも大きい面積のサンドイッチ構造を作り、はんだプリフォームをこのサンドイッチ構造から分離することによって多数のはんだプリフォームを同時に作るようにすれば、特に有利である。換言すれば、特にステンシル印刷法を用いて、特に簡単な方法で製造することができる、大面積の半製品が製造される。次に、これを個々のはんだプリフォームに分離する。これは、例えば、打ち抜きまたはレーザ切断によって行うことができる。はんだプリフォームは、大量生産することができ、例えば、回路基板上に装着するための電子部品の組み立てベルト上に提供することができる。
【0016】
この点に関して、本発明によれば既に説明したタイプのはんだプリフォームを使用することによって、拡散はんだ付け接合部を接合するための方法に関する上述の課題は解決される。はんだ材料の収縮を考慮に入れた過大寸法のはんだプリフォームを使用すれば、特に有利である。さらに、拡散はんだ付け接合部の誤差を考慮した過大寸法を使用し、これを特にはんだ材料の収縮を考慮した過大寸法に重畳することができる。これにより、高い信頼性の交差を備えた拡散はんだ付け接合部を有利に形成することができ、その目的のために費用効果が良好で組立工程において大量に保持できるはんだプリフォームを使用できるので有利である。特に、拡散はんだ付け接合部は電子部品の組み立てに一般に適用される誤差要求の範囲内で形成されるので、拡散はんだ付け接合部の形成は通常の電子部品組み立てプロセスに組み込むことができる。その結果、特に経済的な技術的解決が図れるので有利である。
【0017】
本発明のさらなる詳細は、図面を参照して以下に記載される。同一または対応する図面上の要素には、それぞれ同じ参照符号が付されており、個々の図面間で相違がある限り、繰り返して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明によるはんだプリフォームの実施形態を概略的に示す横断面図である。
図2図2は、本発明によるはんだプリフォームの実施形態を概略的に示す横断面図である。
図3図3は、はんだプリフォームを形成するための本発明の方法の実施例形態の選択された工程の断面図を示す。
図4図4は、はんだプリフォームを形成するための本発明の方法の実施例形態の選択された工程の断面図を示す。
図5図5は、はんだプリフォームを形成するための本発明の方法の実施例形態の選択された工程の断面図を示す。
図6図6は、拡散はんだ付け接合部を接合するための本発明による方法の実施例の選択された工程を示す断面図もしくは側面図である。
図7図7は、拡散はんだ付け接合部を接合するための本発明による方法の実施例の選択された工程を示す断面図もしくは側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1によるはんだプリフォーム11は、交互に配置された(破断線17の左側に示されている)第1の層12と第2の層13とから成る。第1の層12は、図1に示すようにはんだ付け材料、例えば錫−銀−銅合金(または別の錫ベース合金)から形成される金属の薄膜14から成る。第2の層13は、粒子15がバインダ16内に分散されているペーストから成る。粒子15は銅から成る。また、ニッケルで形成してもよい。
【0020】
図1の破断線17の右側は、はんだプリフォーム11がはんだ付けされた後の拡散はんだ付け接合部を示す。上側の接合面18および下側の接合面19に接している接合パートナーは、図には示されていない。しかしこの図から、第2の層13が金属銅によって形成され、バインダ16がもはや存在しないので、破断線17の左側の第2の層13と比較して、より薄い厚さを有することが分かる。全体として、これにより収縮Δzが生じ、これが形成された拡散はんだ付け接合部の高さを決定する。この収縮Δzは、はんだプリフォーム11の必要な厚さを決定する際に考慮されなければならない。
【0021】
しかし、第2の層13の厚さの減少はさらに別の理由がある。すなわち銅の一部が第1の層12内に拡散され、その結果、ここでは拡散ゾーンが生じる。これらのゾーンは、少なくとも部分的に金属間化合物相から成り、一方ではんだ付け材料他方では粒子の材料を含み、はんだ接合部を機械的および熱的に安定化させる。図1では、第1の層12は、全体が金属間化合物で形成されている。
【0022】
図2によれば、はんだプリフォーム11のサンドイッチ構造の別の実施例が示されている。ここで、第1の層12は、銅からなる薄膜14から形成され、第2の層13は、スズ含有はんだ材料の粒子15とバインダ16とからなるペーストから形成される。図1および図2では、上側接合面18および下側接合面19をそれぞれ形成する最上層および最下層ははんだ材料からなり、隣接する接合パートナーへの接合続が可能である(図参照)。
【0023】
図3図5は、図1によるはんだプリフォーム11を形成するための選択された方法ステップを示す。しかし、同じ方法で、図2によるはんだプリフォームを形成することもできる。
【0024】
図3は、はんだプリフォーム11(図5も参照)の形成をより簡略化するために、薄膜14が、粒子15とバインダ16とから成るペーストを用いてステンシル印刷技術でマスク20とドクターブレード21とで被覆されることを示している。このようにして、半完成品28が形成され、これは、図4による次の工程において、半完成品28に必要な厚さdに達するまで(図5参照)、層状にすることができる。最後に、図1による第1の層12および第2の層13の構成を確実にするために、ペーストのないフィルム14を最上部の半完成品28上に置かなければならない。
【0025】
図4によるサンドイッチ構造から図5に示すように、多数のはんだ半製品11を、例えば、鋸、打ち抜き工具またはナイフ22によって分離することによって、図4によるサンドイッチ構造から形成することができる。ナイフ22(または打ち抜き工具または鋸)は、図4のサンドイッチ構造を、図示の一点鎖線に沿って、必要なサイズのはんだ半完成品11に切断する。
【0026】
図6は、拡散はんだ接合部23が、はんだプリフォームからどのように形成され、第1の接合パートナー24を第2の接合パートナー25および第3の接合パートナー26と接続することができるかを示す。図6による第1の接合パートナー24は、拡散はんだ付け接合部23を介してプリント配線板の第2の接合パートナー25に固定されたパワー半導体デバイスである。さらに、反対側の上側の第1の接合パートナー24も、第3の接合パートナー26に電気的に接続されている、キャップの形態のセラミック部品である拡散はんだ付け接合部23を有する。加えて、図6は、誤差tのために、第1の接合パートナーの高さが変化し得ることを示している。したがって、図6によれば、拡散はんだ付け接合部23は、厚さが異なっており、それぞれの場合において、第2の層(図6には示されていない)による誤差補償を行うことができ、この第2層は、接合パートナーを接合する際に誤差に応じて、より厚くまたはより薄く圧縮することができる。
【0027】
図7は、デバイスの形態の第1の接合パートナー24が、拡散はんだ接合部を介して、プリント回路基板の形態の第2の接合パートナー25にどのように接続されることができるかを、より詳細に示している。第1の接合パートナー24と第2の接合パートナー25の双方は、これにはんだプリフォーム11が接している銅製の金属化面27を有する。はんだ付け中、金属化面27の材料が形成された拡散はんだ接合部内に拡散し、そこで拡散ゾーン(図示せず)内の金属間化合物相の形成に関与する。
【0028】
はんだ付け工程中、はんだプリフォーム11は溶融し、それによって収縮Δzが生じる。この場合、第1の接合パートナー24は、Δzだけ減少する。しかし、図7には詳細に示されていない第2の層は、最大の減少Smaxを可能にし、その結果、拡散はんだ接合の製造における製造および組立誤差による誤差範囲tをさらに補償することができる。なお、誤差tにより第1接合パートナー24の減少はΔzよりも小さい値だけが可能であり、この場合にも、十分な品質を有する拡散はんだ接合部が生じる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7