(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を
図1ないし
図3を参照して説明する。
【0010】
図1ないし
図3において、11は電気掃除機であり、この電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。そして、この電気掃除機11は、図示しない充電装置などとともに電気掃除装置を構成している。
【0011】
この電気掃除機11は、中空状の本体ケース20と、この本体ケース20を床面上で走行させる走行部21と、床面などの塵埃を掃除する掃除手段としての掃除部22と、充電装置を含む外部装置と通信する通信部23と、使用者の音声を入力および認識する音声認識部24と、使用者の指示動作を検出する動作検出手段(動作検出部)としての検出部25と、各種情報を表示する表示部26と、走行部21、掃除部22、通信部23、および表示部26などを制御する制御手段(制御部)27と、これら走行部21、掃除部22、通信部23、音声認識部24、検出部25、表示部26および制御手段27などに給電する二次電池28とを備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図1などに示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0012】
本体ケース20は、例えば合成樹脂などにより扁平な円柱状(円盤状)などに形成されており、床面に対向する下面に集塵口である吸込口31、および、排気口32がそれぞれ開口されている。
【0013】
走行部21は、複数(一対)の駆動部としての駆動輪34,34と、これら駆動輪34,34を駆動させる動作部としての駆動手段であるモータ35,35と、旋回用の旋回輪36と、各種センサを有するセンサ部37などを備えている。
【0014】
各駆動輪34は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものであり、吸込口31の両側に配置されている。
【0015】
各モータ35は、例えば駆動輪34のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪34を独立して駆動させることが可能となっている。
【0016】
旋回輪36は、本体ケース20の下面の幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面に沿って旋回可能な従動輪である。
【0017】
センサ部37は、例えば本体ケース20の前方の所定距離以内の壁や家具などの物理的な物体(障害物)の存否を検出する(第1の)障害物検出手段((第1の)障害物検出部)である超音波センサなどの非接触物体検出手段(非接触物体検出部)41、本体ケース20の例えば前部に設けられ物理的な物体(障害物)をこの物体との接触により検出する(第2の)障害物検出手段((第2の)障害物検出部)である接触センサなどの接触物体検出手段(接触物体検出部)42、本体ケース20の下部の床面の段差などを検出する例えば赤外線センサなどの段差検出手段(段差検出部)43、充電装置などの外部装置から出力される無線信号(赤外線信号)を検出することで、この無線信号によって外部装置の周囲や掃除領域内などに形成された物理的、あるいは仮想的な物体(障害物)を検出する物体検出手段(物体検出部)としての(第3の)障害物検出手段((第3の)障害物検出部)である例えば赤外線センサなどの検出手段44などを備えている。
【0018】
掃除部22は、例えば本体ケース20内に位置して塵埃を吸い込む電動送風機45と、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ46およびこの回転ブラシ46を回転駆動させるブラシモータ47と、本体ケース20の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段であるサイドブラシ48およびこのサイドブラシ48を駆動させるサイドブラシモータ49と、塵埃を溜める集塵部50となどを備えている。なお、電動送風機45と、回転ブラシ46およびブラシモータ47と、サイドブラシ48およびサイドブラシモータ49とは、少なくともいずれかを備えていればよい。
【0019】
通信部23は、充電装置などへと無線信号(赤外線信号)を送信する例えば赤外線発光素子などの走行体送信手段(走行体送信部)55、および、充電装置などの外部装置からの無線信号(赤外線信号)を受信する例えばフォトトランジスタなどの走行体受信手段(走行体受信部)56などを備えている。
【0020】
音声認識部24は、掃除モードの切り換えや掃除の開始、掃除の終了(充電台への帰還(帰巣))などを指示する使用者からの音声が入力される音声入力手段(音声入力部)としてのマイクロフォン61と、このマイクロフォン61に入力された音声を解析して、使用者により音声入力された指示を認識する音声認識手段(認識部)62とを備えている。
【0021】
マイクロフォン61は、例えば本体ケース20の上面に配置されている。また、このマイクロフォン61には、図示しないが、例えば入力された音声をデジタルデータに変換するA/D変換器が接続されている。そして、このA/D変換器により変換された音声データが、図示しない記憶手段(記憶部)に記憶される。
【0022】
音声認識手段62は、マイクロフォン61に入力されて記憶された音声データに含まれる単語や文章などを認識するものである。この音声認識の際には、予め例えば使用者の音声データをサンプリングして図示しないメモリなどの記憶手段(記憶部)に記憶しておき、そのデータとのパターンマッチングにより、マイクロフォン61に入力されて記憶された音声データの中に、所定の判定基準を満たす一致度の高い音声データがあるかどうかを判断する。なお、この音声認識手段62は、例えば制御手段27に一体的に組み込まれていてもよいし、制御手段27と別体でもよい。
【0023】
検出部25は、例えば画像により所定範囲内の対象物の特徴点を検出し、その特徴点の動作を検出することで対象物の動作を検出する画像センサ、あるいは所定範囲内の対象物の動作を直接検出するモーションセンサなどの周知のものが用いられる。この検出部25は、例えば本体ケース20の旋回中心となる軸の位置、本実施形態では本体ケース20の上面の略中央部に配置されている。特に、本実施形態では、検出部25は、対象物の上下方向、すなわち検出部25(本体ケース20)に対して接離する方向の動作と左右方向の動作との少なくともいずれかを検出し、前後方向の動作については、検出はしているもののその結果を無視するように制御される。
【0024】
表示部26は、時刻や掃除時間、二次電池28の充電状態、電気掃除機11の掃除モード、電気掃除機11が床面の障害物にスタックして走行不能になって停止した状態、リモコンなどの外部入力により停止した状態、あるいは後述する電気掃除機11の静音状態(仮停止状態)など、電気掃除機11に関する各種情報などを表示するものであり、例えば本体ケース20の上部に配置されている。なお、この表示部26は、例えば使用者が各種設定を直接入力可能である入力操作手段(入力操作部)の機能を兼ね備えるタッチパネルなどとしてもよい。
【0025】
制御手段27は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPU、このCPUによって読み出されるプログラムなどの固定的なデータを格納した格納部であるROM、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの各種メモリエリアを動的に形成するエリア格納部であるRAM、現在の日時などのカレンダ情報を計時するタイマなど(それぞれ図示せず)を備えたマイコンである。また、この制御手段27は、走行部21の各モータ35およびセンサ部37、掃除部22の電動送風機45、ブラシモータ47および各サイドブラシモータ49、通信部23の走行体送信手段55および走行体受信手段56、音声認識部24の音声認識手段62、検出部25および表示部26などと電気的に接続されている。そして、この制御手段27は、センサ部37による検出結果に基づいて自律走行しつつ掃除する掃除モードと、充電装置を介して二次電池28を充電する充電モードと、動作待機中の待機モードとを有している。掃除モードには、例えば障害物に接近または接触すると所定の角度範囲内でランダムに旋回して走行方向をランダムに変えつつ掃除する基本モードである自動掃除モードや、床面の所定の位置を渦巻状に周回しつつ掃除する他のモードであるスポット掃除モードなどの複数のモードが設定されている。さらに、この制御手段27は、図示しないリモコンなどを介して走行体受信手段56に外部入力された指示、あるいは音声認識部24を介して音声などにより外部入力された指示にしたがって、その指示に対応付けられた機能を実行するようにプログラムが設定されている。また、この制御手段27は、検出部25により検出した対象物の動作に対応付けられた機能を実行するようにプログラムが設定されている。
【0026】
また、二次電池28は、例えば本体ケース20の下面の後部の両側に露出する接続部としての充電端子67,67と電気的に接続されており、これら充電端子67,67が充電装置側と電気的および機械的に接続されることで、充電装置に内蔵された充電回路を介して充電されるようになっている。
【0027】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0028】
電気掃除機11は、通常、充電装置に接続されて待機モードとなっており、この待機モードから、予め設定された掃除開始時刻となった場合や、使用者によって掃除を開始する命令がリモコンにより入力された場合、あるいは「掃除開始」などの音声指示がマイクロフォン61に入力された場合に、制御手段27が掃除モードとなって掃除部22(電動送風機45、サイドブラシ48,48(サイドブラシモータ49,49)および回転ブラシ46(ブラシモータ47))および走行部21の駆動輪34,34(モータ35,35)などを駆動させ、例えば充電装置から離脱して、駆動輪34,34により床面上を自律走行しながら掃除を開始する。なお、掃除の開始位置は、電気掃除機11の走行開始位置、あるいは掃除領域の出入り口など、任意の場所に設定可能である。
【0029】
走行中、制御手段27は、通信部23の走行体受信手段56で信号を受信するとともに、走行体送信手段55から走行方向前方などに赤外線信号を送信しながら、センサ部37の非接触物体検出手段41、接触物体検出手段42、段差検出手段43および検出手段44を介して、例えば掃除領域の周囲を囲む壁部や掃除領域内の障害物、床面の段差などを検出することで電気掃除機11(本体ケース20)の走行状態を監視し、このセンサ部37からの検出に対応して駆動輪34,34(モータ35,35)を駆動させることで、障害物や段差などを回避しながら電気掃除機11を床面上で走行させる。通常、掃除の開始時には自動掃除モードで掃除を開始するが、他の任意の掃除モードで掃除を開始してもよい。
【0030】
そして、この電気掃除機11は、旋回駆動されたサイドブラシ48,48により塵埃を吸込口31へと掻き集め、電動送風機45の駆動によって発生した負圧が集塵部50を介して作用した吸込口31により、床面上の塵埃を空気とともに吸い込む。また、回転駆動された回転ブラシ46が床面の塵埃を集塵部50へと掻き取る。
【0031】
吸込口31から空気とともに吸い込まれた塵埃は、集塵部50に分離捕集され、塵埃が分離された空気は電動送風機45に吸い込まれ、この電動送風機45を冷却した後、排気風となって本体ケース20の排気口32から外部へと排気される。
【0032】
ここで、電気掃除機11の通常掃除動作中、マイクロフォン61への使用者からの音声の入力は、走行部21(各駆動輪34および各モータ35)の動作音すなわち走行音、および、掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、回転ブラシ46、各サイドブラシモータ49および各サイドブラシ48)の駆動音によりマスキングされる。そこで、使用者は、音声により電気掃除機11に対して指示を出す場合、まずジェスチャなどを行う(ジェスチャ入力)。具体的に、
図1に示すように、電気掃除機11(本体ケース20)の検出部25の上方に翳した手Hを電気掃除機11に対して接近または離反させる、あるいは左右に振るなどの所定の動作をすると、検出部25がこの所定の動作を検出したときに、制御手段27が走行部21(各駆動輪34および各モータ35)の動作を低下または停止させるとともに、掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、回転ブラシ46、各サイドブラシモータ49および各サイドブラシ48)の動作を低下または停止(仮停止)させることで、所定の動作の検出時(通常動作時)の動作状態よりも静音状態とする。
【0033】
この結果、マイクロフォン61への音声入力が上記の駆動音によって妨げられにくくなり、使用者は必要以上に大きな声を出すことなく、マイクロフォン61へと音声指示を入力できる状態となる。なお、この静音状態時には、表示部26に静音動作中(仮停止中)である旨を表示して使用者に報知することが好ましい。
【0034】
音声認識手段62では、マイクロフォン61に入力された音声(音声をデジタルデータに変換した音声データ)を解析し、使用者からの指示を認識する。
【0035】
そして、制御手段27は、音声認識手段62により認識した指示に対応付けられた動作を行う。例えば「掃除終了」、「モード切り換え」などの音声が音声認識部24(マイクロフォン61)に入力された場合、制御手段27は掃除を中断して充電装置へと帰還する所定の動作や、掃除モードを切り換えるなどの動作を行う。例えば、充電装置へと帰還する場合には、制御手段27は、走行体送信手段55から充電装置との通信用の赤外線信号などを送信し、例えば充電装置からのガイドビーコンなどに沿って充電装置に帰還し、各部を停止させて掃除作業を終了する。この後、任意のタイミングで二次電池28の充電を開始し、充電が終了すると制御手段27などが待機モードに切り換わる。
【0036】
また、静音動作中(仮停止中)となってから所定時間、音声認識手段62により認識可能な音声入力がない場合には、制御手段27は、静音状態(仮停止状態)とした各部の動作を、静音状態(仮停止状態)とする直前の状態に復帰させる。
【0037】
また、掃除領域の掃除が完了した、または、二次電池28の容量が所定量まで低下して掃除を完了させるのに不足しているなどの所定条件時には、上記の充電装置へと帰還する所定の動作を行う。
【0038】
以上説明した一実施形態によれば、音声認識手段62により認識した音声に応じてモータ35,35および掃除部22の動作を制御する制御手段27が、検出部25により対象物(例えば使用者の手H)の所定の動作を検出したときに、モータ35,35と掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、サイドブラシモータ49,49の少なくともいずれか)との少なくともいずれかの動作を所定の動作の検出時の動作状態に比べて静音状態にさせることで、マイクロフォン61を介して入力される音声指示がこれらモータ35,35、あるいは掃除部22の動作音によって阻害されにくくなる。このため、使用者は所定のジェスチャを検出部25に検出させるように入力することによって、モータ35,35あるいは掃除部22の動作開始後、すなわち掃除モード中でも音声により動作の指示を入力でき、使い勝手を向上できる。
【0039】
具体的に、制御手段27が、検出部25により対象物(例えば使用者の手H)の所定の動作を検出したときに、モータ35,35と掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、サイドブラシモータ49,49の少なくともいずれか)との少なくともいずれかの動作を停止させることで静音状態とする場合には、確実に静音状態とすることができ、マイクロフォン61に入力される音声指示の音声認識手段62による認識の精度をより向上できる。
【0040】
また、制御手段27が、検出部25により対象物(例えば使用者の手H)の所定の動作を検出したときに、モータ35,35と掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、サイドブラシモータ49,49の少なくともいずれか)との少なくともいずれかの動作を抑制させることで静音状態とする場合には、掃除などの動作を停止することなく続行しながら音声指示を入力できるので、音声入力に伴う掃除時間の増加などを招くことがなく、使い勝手をより向上できる。
【0041】
さらに、検出部25を本体ケース20の軸の位置に配置することで、本体ケース20(電気掃除機11)が旋回したときに検出部25に対する対象物の位置が旋回方向、すなわち左右方向などに相対的に変化しにくいため、検出部25が本体ケース20(電気掃除機11)自体の旋回動作をジェスチャ入力と誤認しにくい。同様に、検出部25が、本体ケース20の走行に伴う(走行方向に沿う)所定の検出範囲内の対象物の相対的な動作の検出を無視することで、本体ケース20(電気掃除機11)の走行により検出部25に対する対象物の位置が走行方向と反対方向に変化しても、検出部25が本体ケース20(電気掃除機11)自体の旋回動作をジェスチャ入力と誤認しない。したがって、検出部25による動作検出の精度をより向上できる。
【0042】
また、本体ケース20(電気掃除機11)は、床面上を平面的に移動するのみで、基本的に上下方向への移動をしないため、制御手段27が、検出部25に対して接離する方向である上下方向の成分を有する対象物の動作を検出したときに、モータ35,35と掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、サイドブラシモータ49,49の少なくともいずれか)との少なくともいずれかを静音状態とすることで、本体ケース20(電気掃除機11)の前後方向への走行や旋回などに伴う検出部25とこの検出部25の検出対象物との相対位置の変化を使用者によるジェスチャ入力と誤検出しにくく、検出部25によるジェスチャの検出精度をより向上できる。
【0043】
また、制御手段27が、モータ35,35と掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、サイドブラシモータ49,49の少なくともいずれか)との少なくともいずれかを静音状態とした状態で所定時間以内に音声認識手段62により音声を認識しない場合、この静音状態を解除するので、モータ35,35と掃除部22(電動送風機45、ブラシモータ47、サイドブラシモータ49,49の少なくともいずれか)との少なくともいずれかの動作が仮停止したままの状態や、これらの動作が抑制された状態で掃除を継続するなどの不具合が生じないとともに、仮に検出部25によって対象物の動作を使用者からのジェスチャの入力と誤検出した場合でもそのまま所定時間放置していれば自動的に動作が通常状態に戻るので、使い勝手が良好になる。
【0044】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。