(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検査体である半導体デバイスに対するテストパターン信号の入力に応じて出力される結果信号に基づいて当該半導体デバイスを検査する半導体デバイス検査装置であって、
前記半導体デバイスに対向して配置され、超音波を発生する超音波振動子と、
前記半導体デバイスと前記超音波振動子との相対位置を移動させるステージと、
前記半導体デバイスに与えられる前記超音波による刺激の条件を制御する刺激条件制御部と、
前記テストパターン信号が入力された前記半導体デバイスから出力されたテスト信号に基づいて生成されたPass/Fail情報を示す前記結果信号、及び、前記半導体デバイスと前記超音波振動子との相対位置に基づく前記超音波の照射位置、に基づいて、前記照射位置に対応させて前記結果信号がマッピングされた測定画像を生成する解析部と、を含み、
前記刺激条件制御部は、前記ステージの移動を制御するステージ制御部を含み、
前記ステージ制御部は、1ピクセルにおける前記ステージの停止時間を制御することにより、前記半導体デバイスに与えられる前記超音波の刺激を制御する、半導体デバイス検査装置。
前記信号生成部は、前記駆動信号を制御することによって、前記超音波の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度のうち少なくとも一つを制御する、請求項2に記載の半導体デバイス検査装置。
前記半導体デバイスで反射された前記超音波の反射波を検出して検出信号を生成し、当該検出信号に基づいて反射画像を生成する反射画像生成ステップを更に有する、請求項8〜11のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の検査装置では、半導体デバイスに対して一様に一定の超音波を照射することによって、半導体デバイスの電流像或いは欠陥像を生成するに過ぎず、半導体デバイスに対する多様な解析をすることができなかった。
【0005】
本発明は、半導体デバイスに対する多様な解析をすることができる半導体デバイス検査装置及び半導体デバイス検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面の半導体デバイス検査装置は、被検査体である半導体デバイスに対するテストパターン信号の入力に応じて出力される結果信号に基づいて当該半導体デバイスを検査する半導体デバイス検査装置であって、半導体デバイスに対向して配置され、超音波を発生する超音波振動子と、半導体デバイスと超音波振動子との相対位置を移動させるステージと、半導体デバイスに与えられる超音波による刺激の条件を制御する刺激条件制御部と、半導体デバイスから出力される結果信号に基づいて測定画像を生成する解析部と、を含む。
【0007】
このような半導体デバイス検査装置では、超音波振動子によって半導体デバイスに超音波が照射されることによって、半導体デバイスに状態変化が生じ得る。半導体デバイスに状態変化が生じた場合には、当該状態変化が結果信号として出力される。この結果信号に基づいて、解析部によって測定画像が生成されることによって、半導体デバイスの解析を行うことができる。そして、刺激条件制御部によって、半導体デバイスに与えられる超音波による刺激の条件が制御されることで、半導体デバイスに対して多様な刺激を与えることができる。そのため、同じ半導体デバイスであっても与えられる刺激に応じて出力される結果信号が変化し得るため、半導体デバイスに対する多様な解析をすることができる。
【0008】
また、一側面においては、刺激条件制御部は、超音波振動子を駆動させる駆動信号を当該超音波振動子に出力する信号生成部を含んでもよい。この場合、信号生成部は、駆動信号を制御することによって、超音波の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度のうち少なくとも一つを制御してもよい。この構成によれば、信号生成部によって、超音波振動子を駆動させる駆動信号が制御されることで、超音波の制御を行うことができる。特に、超音波の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度を制御することによって、超音波の侵入長や半導体デバイスに与えられる刺激の大きさを制御することができる。
【0009】
また、一側面においては、刺激条件制御部は、ステージの移動を制御するステージ制御部を含んでもよい。この場合、ステージ制御部は、ステージの移動速度、移動間隔及び移動距離のうち少なくとも一つを制御してもよい。この構成によれば、ステージ制御部によって、ステージの移動が制御されることで、半導体デバイスに対する超音波の照射態様を制御することができる。特に、ステージの移動速度、移動間隔及び移動距離を制御することによって、例えば超音波の照射時間を制御することができる。
【0010】
また、一側面においては、半導体デバイスで反射された超音波の反射波を検出する反射波検出部を更に備え、解析部は、反射波検出部からの検出信号に基づいて反射画像を生成してもよい。この構成によれば、半導体デバイスのチップ形状や回路パターンを示す反射画像を取得できる。
【0011】
また、一側面においては、解析部は、測定画像と反射画像とを重畳した重畳画像を生成してもよい。この構成によれば、測定画像と半導体デバイスのチップ形状や回路パターンを示す反射画像とが重畳されるので、故障位置などの特定が容易なものとなる。
【0012】
また、一側面においては、超音波振動子はアレイ振動子を含んでもよい。この構成によれば、半導体デバイスに対する超音波振動子の相対位置を移動させることなく、アレイ振動子に沿った方向の走査を行うことができる。
【0013】
また、一側面の半導体デバイス検査方法は、被検査体である半導体デバイスの検査を行う半導体デバイス検査方法であって、半導体デバイスに対してテストパターン信号を入力する入力ステップと、半導体デバイスに与えられる超音波による刺激の条件を制御する刺激条件制御ステップと、当該条件に基づいて超音波を発生して、半導体デバイスに超音波を走査する超音波走査ステップと、テストパターン信号の入力に応じて半導体デバイスから出力される結果信号に基づいて測定画像を生成する測定画像生成ステップと、を含む。
【0014】
このような半導体デバイス検査方法では、半導体デバイスに超音波が照射されることによって、半導体デバイスに状態変化が生じ得る。半導体デバイスに状態変化が生じた場合には、当該状態変化が結果信号として出力される。この結果信号に基づいて測定画像を生成することによって、半導体デバイスの解析を行うことができる。そして、半導体デバイスに与えられる超音波による刺激の条件を制御することによって、半導体デバイスに対して多様な刺激を与えることができる。そのため、同じ半導体デバイスであっても与えられる刺激に応じて出力される結果信号が変化し得るため、半導体デバイスに対する多様な解析をすることができる。
【0015】
また、一側面においては、刺激条件制御ステップは、超音波を発生する超音波振動子を駆動制御するための駆動信号を生成する信号生成ステップを含んでもよい。特に、信号生成ステップでは、駆動信号を制御することによって、超音波の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度のうち少なくとも一つを制御してもよい。この構成によれば、信号生成ステップによって、超音波振動子を駆動させる駆動信号が制御されることで、超音波の制御を行うことができる。特に、超音波の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度を制御することによって、超音波の侵入長や半導体デバイスに与えられる刺激の大きさを制御することができる。
【0016】
また、一側面においては、刺激条件制御ステップでは、半導体デバイスに対する超音波の照射位置の移動を制御する移動制御ステップを含んでもよい。特に、移動制御ステップは、半導体デバイスに対する超音波の照射位置の移動速度、移動間隔及び移動距離のうち少なくとも一つを制御してもよい。この構成によれば、移動制御ステップによって、半導体デバイスに対する超音波の照射位置の移動が制御されることで、半導体デバイスに対する超音波の照射態様を制御することができる。特に、半導体デバイスに対する超音波の相対的な照射位置の移動の移動速度、移動間隔及び移動距離を制御することによって、例えば超音波の照射時間を制御することができる。
【0017】
また、一側面においては、半導体デバイスで反射された超音波を検出して検出信号を生成し、当該検出信号に基づいて反射画像を生成する反射画像生成ステップを更に有してもよい。この構成によれば、半導体デバイスのチップ形状や回路パターンを示す反射画像を取得できる。
【0018】
また、一側面においては、測定画像と反射画像とを重畳した重畳画像を生成する重畳画像生成ステップを更に有してもよい。この構成によれば、測定画像と半導体デバイスのチップ形状や回路パターンを示す反射画像とが重畳されるので、故障位置などの特定が容易なものとなる。
【発明の効果】
【0019】
一側面の半導体デバイス検査装置及び半導体デバイス検査方法によれば、半導体デバイスに対する多様な解析をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態に係る半導体デバイス検査装置1は、被検査体である半導体デバイスDに対するテストパターン信号の入力に応じて出力される結果信号を取得する装置である。半導体デバイス検査装置1では、パッケージ付きの状態の半導体デバイスDに超音波を走査しながら結果信号を取得することによって、故障の有無及び故障位置の特定などを行うことができる。半導体デバイスDの一面側は、超音波Wが照射される検査面Dtとなっている。半導体デバイスDは、当該検査面Dtを下方に向けた状態で保持板などによって保持される。半導体デバイスDの検査面Dtでは、研磨や切削等によって半導体デバイスD内のチップが露出してもよい。また、半導体デバイスDの検査面Dtは、パッケージ化された状態であってもよい。
【0023】
半導体デバイスDとしては、ダイオードやパワートランジスタ等を含む個別半導体素子(ディスクリート)、オプトエレクトロニクス素子、センサ/アクチュエータ、あるいは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造やバイポーラ構造のトランジスタで構成されるロジックLSI(Large Scale Integration)、メモリ素子、リニアIC(IntegratedCircuit)等と、それらの混成デバイス等がある。また、半導体デバイスDは、半導体デバイスを含むパッケージ、複合基板等であってもよい。
【0024】
半導体デバイスDには、LSIテスタ2が電気的に接続されている。LSIテスタ2は、半導体デバイスDにテストパターン信号を入力する。テストパターン信号は、あるパターンの信号が一定の周期でループしている解析用の信号である。テストパターン信号は、例えばユーザによって設定される。また、LSIテスタ2は、テストパターン信号が入力された半導体デバイスDから出力されたテスト信号に基づいて、Pass/Fail情報を示す結果信号を生成する。例えば、LSIテスタ2は、半導体デバイスDから出力されたテスト信号と、テストパターン信号に対する設計上の正しいテスト信号とを比較し、比較結果に基づくPass/Fail情報の変化を結果信号として出力する。
【0025】
さらに、LSIテスタ2は、生成した結果信号や、テストパターン信号に応じた各種信号を出力する。本実施形態では、LSIテスタ2は、例えばテストパターン信号に同期したループトリガ信号、テスタトリガ信号等を出力する。また、LSIテスタ2は、電源装置を兼ねており、予め設定された電流を半導体デバイスDへ入力する。半導体デバイスDに入力される電流は、結果信号におけるPass/Fail情報が変化しやすい駆動電圧・駆動周波数となるように、予め設定されている。また、電源装置(不図示)はLSIテスタ2とは別体で、予め設定された電流を半導体デバイスDへ入力するように構成されていてもよい。なお、半導体デバイスD内にLSIテスタの機能が含まれる場合には、外部のLSIテスタを用意する必要はない。
【0026】
本実施形態の半導体デバイス検査装置1は、超音波発生部3と、ステージ5と、刺激条件制御部7と、タイミング制御部11と、コンピュータ(解析部)13と、を含んでいる。
【0027】
超音波発生部3は、半導体デバイスDに向けて超音波Wを照射する。超音波発生部3は、超音波振動子31と、パルサー33とを含んでいる。超音波振動子31は、半導体デバイスDに対向して配置され、半導体デバイスDに超音波Wを放射する。超音波振動子31は、例えば円筒状をなしている。超音波振動子31の先端面は、超音波Wを発生する部分であり、半導体デバイスDの検査面Dtと対向するように上方向きに配置されている。超音波振動子31の先端には、媒質保持部31aが設けられている。媒質保持部31aは、超音波振動子31と半導体デバイスDとの間で媒質Mを保持する部分である。媒質Mは、その表面張力によって、超音波振動子31の先端面から半導体デバイスDの検査面Dtに至る超音波Wの経路に充填される。図示のように、媒質Mは、その表面張力によって、媒質保持部31aの先端の位置よりも上側に盛り上がっている。本実施形態では、媒質保持部31aは、例えばシリコーン樹脂など、可撓性及び媒質Mに対する濡れ性を十分に有する材料によって形成された筒状をなしている。媒質保持部31aは、例えば超音波振動子31の先端に着脱自在に嵌合する。媒質Mは、本実施形態では水である。媒質Mは、半導体デバイスDのパッケージとインピーダンスが整合するものであれば特に制限はなく、グリセリン等の他の液体、或いはゲル状、ゼリー状の物質などを用いてもよい。
【0028】
超音波振動子31から照射される超音波Wは、媒質M及び半導体デバイスD中を伝播し、集束した位置を刺激する。すなわち、超音波振動子31は、先端面から一定の距離だけ離れた位置に超音波Wの焦点を有する。超音波振動子31から照射される超音波Wは、例えば20kHz〜10GHz程度の周波数を有する弾性振動波である。
【0029】
パルサー33は、駆動信号に基づいて超音波振動子31を駆動する部分である。本実施形態では、パルサー33は、半導体デバイスDの検査面Dtで反射した超音波Wの反射波を検出するレシーバ(反射波検出部)35としての機能も有している。レシーバ35は、超音波Wの反射波を検出し、検出結果を示す検出信号をコンピュータ13に出力する。
【0030】
ステージ5は、半導体デバイスDと超音波振動子31との相対位置を移動させる装置である。本実施形態では、ステージ5は、XY軸ステージ51と、Z軸ステージ53とを含んでいる。
【0031】
XY軸ステージ51には、超音波振動子31、パルサー33及びレシーバ35が固定されており、超音波振動子31、パルサー33及びレシーバ35を半導体デバイスDの検査面Dtの面内方向(XY軸方向)に移動させる。これにより、半導体デバイスDの検査面Dtにおける超音波Wの照射位置が走査される。また、Z軸ステージ53には、半導体デバイスDが固定されている。例えば半導体デバイスDは、保持板などに保持された状態でZ軸ステージ53に固定され得る。Z軸ステージ53は、半導体デバイスDを半導体デバイスDの厚さ方向(Z軸方向)に移動させる。これにより、超音波Wの焦点位置が半導体デバイスDの厚さ方向に対して一定の精度をもって調整される。なお、ステージ5は、超音波振動子31及び半導体デバイスDのいずれか一方のみを移動させることによって、半導体デバイスDと超音波振動子31との相対位置を移動させるように構成されていてもよい。例えば、XY軸ステージ51がZ軸方向に移動させる機構を有していたり、Z軸ステージ53がXY軸方向に移動させる機構を有していたりしてもよい。
【0032】
タイミング制御部11は、LSIテスタ2から入力されるループトリガ信号に応じてピクセルクロックを生成する。ピクセルクロックは、半導体デバイスDにおける走査範囲の1ピクセル単位に相当するタイミング信号であり、パルスジェネレータ71及びステージ制御部73に出力される。また、タイミング制御部11は、LSIテスタ2から入力される結果信号をコンピュータ13に出力する。
【0033】
刺激条件制御部7は、半導体デバイスDに与えられる超音波Wによる刺激の条件を制御する。本実施形態では、刺激条件制御部7は、パルスジェネレータ(信号生成部)71及びステージ制御部73を含む。
【0034】
ステージ制御部73は、ピクセルクロックに応じて、ステージ5の移動速度、移動間隔及び移動距離のうち少なくとも一つを制御する。本実施形態では、ステージ制御部73は、XY軸ステージ及びZ軸ステージの移動を制御することによって、半導体デバイスDと超音波振動子31との相対位置を移動させる際の移動速度、移動間隔及び移動距離を制御したり、後述する反射画像の分解能を制御したりする。また、ステージ制御部73は、走査制御時のステージ5の位置情報をコンピュータ13に順次出力する。ステージ5の位置情報のうちXY軸ステージ51によって決定される位置情報は、超音波振動子31から照射される超音波Wの走査位置に対応する。ステージ制御部73は、超音波Wの走査制御時において、超音波Wの照射位置が連続的に移動するようにステージ5を制御してもよい。また、ステージ制御部73は、超音波の走査制御時において、超音波の照射位置が一ピクセルずつ移動するように、即ちステージ5が移動と停止とを繰り返すように制御してもよい。さらに、ステージ制御部73は、超音波の走査制御時において、半導体デバイスDと超音波振動子31との相対位置をZ軸方向に移動させてもよい。
【0035】
パルスジェネレータ71は、超音波振動子31を駆動させる駆動信号をパルサー33に出力する。例えば、駆動信号の周波数は、超音波振動子31で発生させる超音波Wの周波数と等しい周波数に設定される。パルスジェネレータ71は、超音波Wの周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度のうち少なくとも一つを制御するように駆動信号を制御する。本実施形態では、超音波Wとしてバースト波を用いてもよい。バースト波では、超音波の連続波が所定の間隔を空けて複数繰り返される。この場合、パルスジェネレータ71によって制御される超音波の周波数とは、連続波を構成する超音波の周波数である。また、パルス数とは単位時間あたりに繰り返される連続波の数である。また、パルス間隔とは連続波同士の間隔である。また、パルス強度とは、パルスの振幅である。パルスジェネレータ71が駆動信号を連続的に出力することによって、超音波発生部3から連続的に超音波が発生されてもよい。また、パルスジェネレータ71は、ステージ5の制御に応じて、例えばステージ5の移動中には駆動信号を出力せず超音波Wが照射されないようにしてもよい。
【0036】
コンピュータ13は、例えばCPU、記録媒体であるRAM及びROMを含んで構成され、モニタ14等の表示部とマウスやキーボード等の入力部とを有している。コンピュータ13は、LSIテスタ2から入力される結果信号をステージ制御部73から入力される位置情報に基づいてマッピングすることによって測定画像を生成する。また、コンピュータ13は、半導体デバイスDの検査中にレシーバ35から出力される検出信号をステージ制御部73から出力された位置情報に基づいてマッピングし、反射画像を生成する。反射画像の生成にあたっては、レシーバ35からの検出信号のうち、半導体デバイスD内のチップ表面からの反射波に対応する時間の成分のみを抽出してもよい。この場合、半導体デバイスD内のチップの形状や回路パターンを表す反射画像を得ることができる。
【0037】
また、コンピュータ13は、測定画像と反射画像とを重畳した重畳画像を生成する。コンピュータ13は、生成した重畳画像をモニタ14に出力する。重畳画像では、反射画像が示す半導体デバイスD内のチップの形状や回路パターンに、解析画像が示す半導体デバイスDの反応が重ね合され、チップの故障位置の特定が容易なものとなる。反射画像では、回路の剥離といった物理的な異常が確認できる場合がある。したがって、重畳画像において、解析画像から確認できる異常位置と反射画像から確認できる異常位置とが重なった場合、当該異常位置を強調表示するようにしてもよい。
【0038】
以下、
図2〜
図4を参照しながら、本実施形態における半導体デバイス検査方法について説明する。
図2は、半導体デバイス検査装置1の動作の一例を示すフローチャートである。同図に示すように、半導体デバイス検査装置1を用いて半導体デバイスDの検査を実施する場合、まず、半導体デバイスDが不図示の保持板などに配置される(ステップS1)。次に、媒質保持部31aによって媒質Mが保持される(ステップS2)。ステップS2では、上述したように、表面張力による媒質Mの盛り上がり部分が形成される。そして、媒質保持部31aの上端が半導体デバイスDの検査面Dtに接触せず、媒質Mの盛り上がり部分のみが半導体デバイスDの検査面Dtに接触するようにZ軸ステージ53がZ軸方向に駆動される。
【0039】
媒質Mが保持された後、超音波Wの焦点位置が調整される(ステップS3)。ここでは、まず、ステージ5をX軸方向及びY軸方向に動かしながら、超音波振動子31を半導体デバイスD内のチップと対向する位置に移動させる。そして、レシーバ35から出力される超音波Wの反射波の波形パターンに基づいて、超音波Wの焦点位置が半導体デバイスD内のチップ表面に一致するようにZ軸ステージ53がZ軸方向に駆動される。なお、超音波Wの焦点位置の調整は、ステージ制御部73が自動で実行してもよく、また半導体デバイス検査装置1のユーザが手動でZ軸ステージ53の位置を移動させることによって実行してもよい。
【0040】
超音波Wの焦点位置の調整後、半導体デバイスDの調整が実行される(ステップS4)。ここでは、半導体デバイスDの傾きが調整されてもよい。このステップS4では、例えばステージ5をX軸方向及びY軸方向に一軸ずつ駆動させたときの反射波の波形パターンが互いに一致するように、保持板又はステージ5によって半導体デバイスDの姿勢が調整される。また、半導体デバイスDから反射される超音波の反射波を検出して、半導体デバイスDの位置が測定したい位置となっているかを確認しつつ、XY軸を調整する。当該ステップについても、ステージ制御部73が自動で実行してもよく、半導体デバイス検査装置1のユーザが手動で行ってもよい。
【0041】
続いて、反射画像が生成される(ステップS5:反射画像生成ステップ)。半導体デバイスDの面内方向に沿って超音波発生部3を移動させ、超音波Wの照射位置を走査させる。そして、半導体デバイスDで反射される反射波をレシーバ35で検出して、検出信号を出力する。コンピュータ13は、その検出信号と超音波の照射位置とに基づいて半導体デバイスDの反射画像を生成する。ステップS5によって生成された反射画像は、コンピュータ13によって、モニタ14に表示させることができる。
【0042】
続いて、半導体デバイスDが駆動される(ステップS6)。本実施形態では、半導体デバイスDのPass/Fail状態が変化する境界付近の駆動電圧及び駆動周波数を有する電流がLSIテスタ2によって半導体デバイスDに印加される。例えばレーザ光によって半導体デバイスの加熱が行われるSDL(Soft Defect Localization)計測のように、ヒータ等によって半導体デバイスDを全体的に加熱したときのシュムプロット(shmoo plot)を用いて、Pass/Fail状態が変化する境界付近となる駆動電圧及び駆動周波数の条件を予め求めておいてもよい。
【0043】
続いて、LSIテスタ2から半導体デバイスDにテストパターン信号が入力されるとともに(ステップS7:入力ステップ)、超音波Wによる走査及び刺激条件の制御が実行される(ステップS8:刺激条件制御ステップ、超音波走査ステップ、信号生成ステップ、移動制御ステップ)。半導体デバイスDに入力されるテストパターン信号の条件や、半導体デバイスDで測定を実行する走査領域等はユーザによって設定される。走査領域は例えばステップS5で生成された反射画像を基づいて設定してもよい。本実施形態では、LSIテスタ2から半導体デバイスDにテストパターン信号を入力しながら、半導体デバイスDの面内方向に沿って超音波発生部3を移動させ、超音波Wの照射位置を走査させる。そして、半導体デバイスDからのテスト信号をLSIテスタ2で検出し、結果信号を出力する。出力された結果信号は、タイミング制御部11を介してコンピュータ13に入力される。テストパターン信号の1ループ分の長さは、1ピクセル分の走査時間に対応させてもよい。このとき、パルスジェネレータ71から超音波発生部3に入力される駆動信号の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度のうちの少なくとも一つが調整されることで、1ピクセルにおける超音波Wによる刺激を調整することができる。例えば、まず、走査領域の全ピクセルを所定の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度の超音波で刺激しながら計測し、再び同じ走査領域を周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度の少なくとも一つを変更した超音波で刺激しながら計測してもよい。また、最初に超音波の刺激によりPass/Fail情報に変化が生じた領域のみを再び計測してもよい。
【0044】
続いて、測定画像が生成される(ステップS9:測定画像生成ステップ)。すなわち、コンピュータ13は、入力された結果情報に応じた画像データを超音波Wの照射位置に対応させてマッピングすることによって、位置情報とPass/Fail情報とが関連づけられた測定画像を生成する。ステップS9によって生成された測定画像は、コンピュータ13によって、モニタ14に表示させることができる。また、解析画像と反射画像とを重畳した重畳画像がコンピュータ13によって生成され、モニタ14に重畳画像が表示される(ステップS10:重畳画像生成ステップ)。
【0045】
図3は、半導体デバイス検査方法における各信号等の一例を示すタイミングチャートである。
図3の(a)では、ステージ制御部73によるステージ5の移動制御の状態と、タイミング制御部11から出力されるピクセルクロックと、パルスジェネレータ71から出力される駆動信号と、LSIテスタ2から出力される結果信号と、結果信号に基づいて生成される画像データとが示されている。図示例は、ピクセルクロックに応じてステージ5が連続的に移動する場合を示している。すなわち、ステージ制御部73は、ピクセルクロックの1周期に対応して超音波Wの走査位置が1ピクセル分移動するように、XY軸ステージ51を一定の速度で移動させる。駆動信号は、バースト波として示されており、一定のパルス間隔で連続して出力されている。結果信号は、Pass/Failの各判定において状態変化が生じていたときに出力される。また、画像データは、各ピクセルに対応するマッピング用のデータであり、状態変化(PassからFail、又はFailからPassに変化)があったことを示すHighと、状態変化がなかったことを示すLowとのいずれかのデータがピクセル毎に対応付けられている。この場合、測定画像は、Highを示す階調と、Lowを示す階調との2値によって構成され得る。
【0046】
また、
図3の(b)及び
図3の(c)は、画像データの生成に関する他の例を示す。
図3の(b)では、LSIテスタ2から出力されるテスタトリガが示されている。テスタトリガは、結果信号を取得するタイミングを示す信号であり、例えばテストパターン信号に応じて一定の周期で出力される。なお、本例では、テストトリガの出力のタイミングで確実に結果信号を取得できるように、
図3の(a)よりも長い時間にわたって結果信号が出力されている。図に示すように、結果信号はピクセル間を跨がっていてもよい。
図3の(b)の例では、テスタトリガ信号が出力されたときに結果信号の検出が確認されると、画像データにHighが対応付けられ、結果信号が検出されないとLowが対応付けられる。
図3の(c)では、Pass/Failの状態変化に応じて1ピクセルの走査中に複数の結果信号が出力される例を示している。この場合、1ピクセルにおいて出力された結果信号の数を示す情報が、出力される画像データに対応付けられている。例えば図示例では、結果信号の数が「2」の場合に画像データに「2」を示すデータが対応付けられ、結果信号の数が「1」の場合に画像データに「1」を示すデータが対応付けられ、結果信号の数が「3」の場合に画像データに「3」を示すデータが対応付けられている。なお、
図3の(a)〜(c)に示した以外の例で画像データの生成を行ってもよい。例えば、1ピクセルにおける結果信号が出力された時間を含む情報に基づいて、画像データの生成を行ってもよい。
【0047】
図4は、半導体デバイス検査方法によって生成された測定画像の一例を模式的に示す図である。
図4に示される測定画像は、Pass/Failの状態変化の有無に基づいて生成された画像データが走査位置に対応づけてマッピングされた画像である。
図4の(a)は、所定の周波数、パルス幅及びパルス間隔の超音波が通常の50%のパルス強度で出力された場合の測定画像G1の例を示している。また、
図4の(b)は、
図4の(a)の例と同じ所定の周波数、パルス幅及びパルス間隔の超音波が100%のパルス強度で出力された場合の測定画像G2の例を示している。測定画像G1,G2では、Pass信号が検出されるはずのピクセルにおいてFail信号が検出された場合に、状態変化があったとして結果信号が検出された場合を示す。この場合、Pass信号が検出されたピクセルPは例えばLowを示す白色で示され、Fail信号が検出されたピクセルFはHighを示す色付きで示されてもよい。
図4の例では、例えば、50%のパルス強度で走査領域を計測した後に、100%のパルス強度で同じ走査領域を計測した場合を示している。この例では、パルス強度を大きくしたときの計測において、結果信号の出力があったピクセル数が増加している。
【0048】
以上説明した半導体デバイス検査装置1では、超音波振動子31によって半導体デバイスDに超音波Wが照射されることによって、半導体デバイスDに状態変化が生じ得る。半導体デバイスDに状態変化が生じた場合には、当該状態変化を示す結果信号が出力される。この結果信号に基づいて、コンピュータ13によって測定画像が生成されることで、半導体デバイスDの解析を行うことができる。そして、刺激条件制御部7によって、半導体デバイスDに与えられる超音波Wによる刺激の条件が制御されることで、半導体デバイスDに対して多様な刺激を与えることができる。そのため、同じ半導体デバイスであっても与えられる刺激に応じて出力される結果信号が変化し得るため、半導体デバイスに対する多様な解析をすることができる。
【0049】
また、一側面においては、刺激条件制御部7は、駆動信号を出力するパルスジェネレータ71を含んでいる。この場合、パルスジェネレータ71は、駆動信号を制御することによって、超音波の周波数、パルス数、パルス間隔及びパルス強度のうち少なくとも一つを制御することができる。このように、超音波振動子31を駆動させる駆動信号が制御されることで、超音波Wを制御することができる。例えば、超音波の周波数が制御された場合には、半導体デバイスに対する超音波の侵入長(侵入深さ)を制御することができる。また、超音波のパルス数、パルス間隔及びパルス強度の少なくとも一つを制御することによって、半導体デバイスに与えられる刺激の大きさを制御することができる。
【0050】
また、一側面においては、刺激条件制御部7は、ステージ5の移動を制御するステージ制御部73を含んでいる。この場合、ステージ制御部73は、ステージ5の移動速度、移動間隔及び移動距離のうち少なくとも一つを制御することができる。この構成によれば、ステージ制御部73によって、ステージ5の移動が制御されることで、半導体デバイスDに対する超音波Wの照射態様を制御することができる。特に、ステージの移動速度、移動間隔及び移動距離を制御することによって、例えば1ピクセルに対する超音波Wの照射時間を制御することができる。この場合、1ピクセルに対して与えられる超音波による刺激を変化させることができる。
【0051】
また、一側面においては、コンピュータ13はレシーバ35からの検出信号に基づいて反射画像を生成し得る。この構成によれば、反射画像に基づいて半導体デバイスD内部のチップ形状や回路パターンを取得できる。
【0052】
また、一側面においては、コンピュータ13は、測定画像と反射画像とを重畳した重畳画像を生成し得る。この構成によれば、測定画像と半導体デバイスD内部のチップ形状や回路パターンとが重畳されるので、故障位置などの特定が容易なものとなる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られない。
【0054】
例えば、
図3では、ピクセルクロックに応じてステージ5が連続的に移動する例を示したが、これに限定されない。
図5は、変形例に係るステージ5の移動制御と各信号とを示すタイミングチャートである。
図5では、ステージ制御部73によるステージ5の移動制御の状態と、タイミング制御部11から出力されるピクセルクロックと、パルスジェネレータ71から出力される駆動信号と、が示されている。この例では、結果信号、画像データ等については、
図3の例と同様であるため省略している。図示例は、ピクセルクロックに応じてステージ5が断続的に移動する場合を示している。すなわち、ステージ5は、移動と停止とを一定の周期で繰り返しており、例えばステージ5の移動の際に、XY軸ステージ51を移動させるステージ制御信号が出力されている。ピクセルクロックは、ステージ制御信号に対して反転した状態で同期しており、ステージ制御信号がOFF状態のときにON状態となっている。すなわち、本例では、ステージ5が停止しているときに1ピクセルがカウントされる。そして、駆動信号はピクセルクロックに同期しており、ピクセルクロックがON状態のときに出力される。これにより、ステージ5が移動している状態では超音波Wの照射はなく、ステージ5が停止している状態で超音波Wが照射されることになる。この場合、ステージ制御部73によって1ピクセルでの停止時間を制御することで、1ピクセルにおける超音波Wの刺激を制御することができる。
【0055】
また、超音波振動子31に変えてアレイ振動子を用いて超音波Wを発生してもよい。
図6にアレイ振動子の一例を示す。なお、
図6では、図面の分かりやすさのために、Z軸方向を下向きとして描いている。アレイ振動子131は、1次元アレイ状に複数の振動子131aが配列されている。そのため、各振動子131aの振動を制御することによって、1次元方向に超音波の発生位置を変化させることができる。そのため、ステージ5を移動させることなく、1次元方向に超音波の発生位置を走査することができる。アレイ振動子131のアレイ方向をX軸方向に沿って配置した場合、アレイ振動子131による半導体デバイスDからの反射波を検出しながら、アレイ振動子131の制御位置を調整する。この際、X軸方向において半導体デバイスDの測定したい位置となっているかが確認され得る。また、アレイ振動子131で制御しないY軸方向に関しては、同様に超音波Wの反射波を検出しながら、ステージ5を移動制御する。この際、Y軸方向において半導体デバイスDの測定したい位置となっているかが確認され得る。このようなアレイ振動子131によって半導体デバイスDを走査する場合、アレイ方向にアレイ振動子131の各振動子131aの信号を制御して、X軸方向の走査を行う。そして、LSIテスタ2から半導体デバイスDにテストパターン信号を入力し、半導体デバイスDからのテスト信号をLSIテスタ2で検出し、結果信号を出力する。テストパターン信号の長さは1ピクセルに相当する走査時間や、1ピクセルで停止している時間と対応させることができる。このときパルスジェネレータ71からアレイ振動子131に入力する駆動信号を制御することで、1ピクセルに与えられる超音波の刺激を制御することができる。また、アレイ振動子131の制御位置、ステージ制御部による走査速度、1ピクセルでの停止時間等を制御することで、1ピクセルにおける超音波の刺激を調整することができる。このように、半導体デバイスDに対するアレイ振動子131の相対位置を移動させることなく、アレイ振動子131のアレイ方向に沿った方向の走査を行うことができる。
【0056】
また、例えば試験装置であるLSIテスタからの信号の代わりに、半導体デバイス本体からの信号を使用してもよい。この場合、超音波の刺激によって変化する信号を検出することにより異常点を表示させる。このような方法では、例えば、いわゆる評価ボードを使用することができる。この場合、パッケージに格納された半導体デバイスを評価ボードに装着されたソケットに挿入して動作させる。評価ボードには電源電圧が供給される。また、パルスジェネレータ等で外部から駆動信号を入力してもよく、評価ボードに駆動信号を発生させる回路を組み込んでもよい。また、コンピュータ等から評価ボードへの信号供給を制御してもよい。この場合、供給された信号によって半導体デバイスが動作し、当該動作を評価した結果を示す信号が出力される。このような信号としては、ソケットの特定ピンにおける電圧又は電流、若しくは、ハイ/ローの論理波形又はアナログ波形などがある。例えば、特定箇所への超音波の刺激によって、このような信号が正常値から変化した場合、これらのいずれかの信号の出力を、Pass/Fail信号と同様に変化点を表示するための信号として使用してもよい。このとき、所定の比較回路を設置することによって、超音波の刺激による各種の出力異常を信号として取り込むことができる。このような比較回路は、例えば、論理波形をTTL信号に変換して、当該TTL信号が正常なTTL信号と異なるかを比較する回路であってよい。また、計測した出力波形の周波数をデジタル出力して正常値と比較する回路であってもよい。また、評価ボードに接続されたコンピュータが評価ボードでの評価結果を取り込む方式を採っている場合には、コンピュータから解析装置へ信号を送信することで、出力異常部を表示することもできる。このような表示は、0/1判定したデジタル値での表示であってもよい。また、正常値からのズレを計算できる機能を備えることによって、当該ズレ量に基づいて信号表示の強度や符号を変化させてもよい。この場合、より明確に異常箇所を表示させることができる。