(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927781
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】両面焼きグリル
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20210823BHJP
F24C 3/02 20060101ALI20210823BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/02 F
F24C3/12 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-139787(P2017-139787)
(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公開番号】特開2019-17766(P2019-17766A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】岸 隆行
【審査官】
石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−010565(JP,A)
【文献】
特開2012−223361(JP,A)
【文献】
特開2017−040453(JP,A)
【文献】
特開2009−127879(JP,A)
【文献】
特開平4−122324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫の天井部に配置した上火バーナと、グリル庫の下部に配置した下火バーナとを備える両面焼きグリルであって、グリル庫の下火バーナより上方位置に収納されるグリルプレート上に載置した被調理物を加熱するプレート調理を実行可能とし、プレート調理の実行時、上火と下火の各バーナの火力を自動的に調節する温調制御を実行可能とすると共に、温調制御での火力調節モードの一つとして下火バーナを消火して上火バーナのみを燃焼させる単独燃焼モードを含むものにおいて、
庫内の温度を検出する温度センサを備え、
プレート調理開始時の上火と下火の各バーナの点火は、所定の第1火力で行うが、プレート調理開始後の温調制御中に、上火バーナと下火バーナとを共に燃焼させる同時燃焼モードと単独燃焼モードとの切換えを各モードの経過時間又は温度センサの検出温度に基づき行うようにし、同時燃焼モードと単独燃焼モードとの切換えを繰り返すと共に、単独燃焼モードから同時燃焼モードへの移行に伴う単独燃焼モードで消火した下火バーナの再点火は、第1火力よりも弱い所定の第2火力で行うことを特徴とする両面焼きグリル。
【請求項2】
請求項1記載の両面焼きグリルであって、上火と下火の両バーナの火力を調節する火力調節弁を備え、火力調節弁は、上火バーナに向けてガスが流れる上火領域と下火バーナに向けてガスが流れる下火領域とを有するガス通路板と、ガス通路板の片面に接した状態でモータにより回転駆動される円板状の弁板とを備え、ガス通路板の上火と下火の各領域に開設した複数の通路孔のうち弁板に開設した弁孔に重なって開放される孔が弁板の回転で切換えられて、上火と下火の各バーナの火力が切換えられるようにしたものにおいて、下火バーナのみを消火する弁板の回転位置を第1位置、上火バーナを消火せずに下火バーナの火力を前記第2火力とする弁板の回転位置を第2位置として、第1位置と第2位置とが隣り合い、単独燃焼モードから同時燃焼モードへの移行時は、弁板を第1位置から第2位置に回転させて、下火バーナの再点火を行うことを特徴とする両面焼きグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上火バーナと下火バーナとを備える両面焼きグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグリルとして、グリル庫の下火バーナより上方位置に収納されるグリルプレート上に載置した被調理物を加熱するプレート調理を実行可能とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、プレート調理の実行時、上火バーナを常時燃焼させると共に、下火バーナをグリルプレートの温度に応じて自動的に火力調節する温調制御を実行するようにしている。
【0003】
ここで、プレート調理を行う場合は、グリルプレートの熱容量が大きいことと、グリルプレートの下方に下火バーナの燃焼排ガスが滞留することとが相俟って、グリルプレートの温度が一旦上昇すると、下火バーナの火力を弱火にしてもグリルプレートの温度はなかなか低下しなくなる。そのため、被調理物の下面の焦げ付きを生じやすくなることが判明した。
【0004】
そこで、本願出願人は、先に特願2016−207034により、プレート調理時に、火力調節モードの一つとして下火バーナを消火して上火バーナのみを燃焼させる単独燃焼モードを含む温調制御を行うようにしたものを提案している。これによれば、グリルプレートの温度が一旦上昇しても、単独燃焼モードに切換えることで、グリルプレートの温度を比較的速く低下させて、被調理物の下面の焦げ付きを抑制できる。尚、上記先願では、温調制御での火力調節モードの一つとして下火バーナを消火して上火バーナのみを燃焼させる単独燃焼モードを含んでいるが、火力調節モードの一つとして上火バーナを消火して下火バーナのみを燃焼させる単独燃焼モードを含む温調制御を行うことも可能である。
【0005】
ところで、グリル使用開始時の上火と下火の各バーナの点火は、強火等の比較的強い所定の点火火力で行っている。そして、上記先願のものにおいては、単独燃焼モードから他のモードへの移行に伴う単独燃焼モードで消火した一方のバーナの再点火も点火火力で行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−16193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、調理開始時は、雰囲気温度及びバーナ自体の温度が低く、上火と下火の各バーナへの供給ガス量をある程度多くしないと、良好に点火しない。そのため、各バーナの点火は、上記点火火力で行っている。一方、火力調節モードとして単独燃焼モードを含む温調制御を実行する場合、単独燃焼モードから他のモードへの移行に伴う単独燃焼モードで消火した一方のバーナの再点火では、雰囲気温度及びバーナ自体の温度が高いため、一方のバーナへの供給ガス量をかなり少なくしても良好に点火する。そして、供給ガス量を少なくして点火する場合、一次空気の吸引が抑えられるため、バーナから噴出する混合気の燃料濃度が濃くなって、点火及びバーナ全体への火移りに要する時間が短くなり、生ガス放出量を抑えることができることが判明した。
【0008】
本発明は、以上の知見に基づき、単独燃焼モードで消火した一方のバーナの再点火時の生ガスの放出量を抑えて安全性を向上することができるようにした両面焼きグリルを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
グリル庫の天井部に配置した上火バーナと
、グリル庫の下部に配置した下火バーナとを備える両面焼きグリルであって、
グリル庫の下火バーナより上方位置に収納されるグリルプレート上に載置した被調理物を加熱するプレート調理を実行可能とし、プレート調理の実行時、上火と下火の各バーナの火力を自動的に調節する温調制御を実行可能とすると共に、温調制御での火力調節モードの一つとして
下火バーナを消火して
上火バーナのみを燃焼させる単独燃焼モードを含むものにおいて、
庫内の温度を検出する温度センサを備え、プレート調理開始時の上火と下火の各バーナの点火は、所定の第1火力で行うが、
プレート調理開始後の温調制御中
に、上火バーナと下火バーナとを共に燃焼させる同時燃焼モードと単独燃焼モードとの切換えを各モードの経過時間又は温度センサの検出温度に基づき行うようにし、同時燃焼モードと単独燃焼モードとの切換えを繰り返すと共に、単独燃焼モードから
同時燃焼モードへの移行に伴う単独燃焼モードで消火した
下火バーナの再点火は、第1火力よりも弱い所定の第2火力で行うことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、単独燃焼モードで消火した
下火バーナの再点火を第2火力、即ち、供給ガス量を少なくした状態で行うため、一次空気の吸引が抑えられて、
下火バーナから噴出する混合気の燃料濃度が濃くなり、点火及び
下火バーナ全体への火移りに要する時間が短くなる。その結果、生ガスの放出量を抑えて、安全性を向上させることができる。更に、再点火時の消費ガス量を削減して、省エネルギー化を図ることもできる。
【0011】
また、上火と下火の両バーナの火力を調節する火力調節弁を備え、火力調節弁は、上火バーナに向けてガスが流れる上火領域と下火バーナに向けてガスが流れる下火領域とを有するガス通路板と、ガス通路板の片面に接した状態でモータにより回転駆動される円板状の弁板とを備え、ガス通路板の上火と下火の各領域に開設した複数の通路孔のうち弁板に開設した弁孔に重なって開放される孔が弁板の回転で切換えられて、上火と下火の各バーナの火力が切換えられるようにした場合、
下火バーナのみを消火する弁板の回転位置を第1位置、
上火のバーナを消火せずに
下火バーナの火力を第2火力とする弁板の回転位置を第2位置として、第1位置と第2位置とが隣り合い、単独燃焼モードから
同時燃焼モードへの移行時は、弁板を第1位置から第2位置に回転させて、
下火バーナの再点火を行うことが望ましい。これによれば、単独燃焼モードから
同時燃焼モードへの移行時の
下火バーナの再点火に際し、弁板を、第1位置から第2位置に、
下火バーナの火力を第2火力よりも強い火力にする回転位置を経由せずに回転させことができる。従って、再点火時の生ガスの放出量を一層抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の両面焼きグリルの切断側面図。
【
図3】(a)グリル皿上にグリルプレートを支持した状態の斜視図、(b)グリル皿上に焼網を支持した状態の斜視図。
【
図4】実施形態の両面焼きグリルの上火と下火の両バーナの火力調節に用いる火力調節弁のガス通路板と弁板の関係を示す説明図。
【
図5】実施形態の両面焼きグリルにおけるプレート調理実行時の温度センサの検出温度とグリルプレートの温度の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、
図2を参照して、Aは、図示省略したガスコンロに組み込む本発明の実施形態の両面焼きグリルを示している。このグリルAは、コンロ本体(図示せず)内に設置されるグリル庫1と、グリル庫1の前面開口を開閉するグリル扉2とを備えている。グリル庫1内には、グリル皿3と共に、被調理物の載置具として
図3(a)に示す板状のグリルプレート4又は
図3(b)に示す焼網5が収納される。グリル皿3は、グリル扉2に連結される皿支持枠31に支持されており、この皿支持枠31の前後に、グリルプレート4及び焼網5を支持する支持枠32が立設されている。そして、グリル扉2を前方に開くことで、グリル皿3とグリルプレート4又は焼網5が一緒にグリル庫1の前方に引き出されるようにしている。
【0014】
グリル庫1の天井部には、上火バーナ6が設けられ、更に、上火バーナ6を上方から覆うようにして遮熱カバー11が設けられている。上火バーナ6は、多数の炎孔(図示省略)を形成したセラミックス製の燃焼板61を有する表面燃焼式バーナで構成され、燃焼板61を下向きにした姿勢でグリル庫1の天井部に上火バーナ6を装着している。尚、上火バーナ6には、図示省略した点火電極と熱電対とが付設されており、点火電極でのスパークにより上火バーナ6に点火される。
【0015】
グリル庫1の横方向両側部の下部(グリルプレート4及び焼網5よりも低い部分)には、横方向内方に向けて開口する炎口71を有する前後方向に長手の下火バーナ7が配置されている。炎口71は、前後方向にスリット状に連続しており、前後複数個所に炎口の上下寸法を大きくした主炎口部71aが設けられている。下火バーナ7の後部には、ターゲット部72aに対向する点火電極72が付設されており、点火電極72でのスパークにより下火バーナ7に点火される。また、下火バーナ7の失火検知のために、下火バーナ7の前部の主炎口部71aに臨ませて熱電対73を配置している。
【0016】
グリル庫1の横方向両側の各側壁12の内面には、下火バーナ7の上方位置で横方向内方に張出す二次空気案内板13と、下火バーナ7の下方位置で横方向内方に張出す、グリル皿3の加熱を抑制する遮熱板14とが設けられている。また、グリルAは、グリル庫1の後端上部から後方にのびる排気通路15と、グリルプレート4より下の庫内温度を検出する温度センサ8とを備えている。
【0017】
ここで、一般なグリルでは、使用時に、上火と下火の両バーナ6,7を共に燃焼させた状態で、上火と下火の各バーナ6,7の火力を自動的に調節する温調制御を行う。然し、グリルプレート4上に載置した被調理物を加熱するプレート調理時には、上述した通り、グリルプレート4の熱容量が大きいことと、グリルプレート4の下方に下火バーナ7の燃焼排ガスが滞留することとが相俟って、グリルプレート4の温度が一旦上昇すると、下火バーナ7の火力を弱火にしてもグリルプレート4の温度はなかなか低下しなくなり、被調理物の下面の焦げ付きを生じやすくなる。そこで、本実施形態では、プレート調理時は、火力調節モードの一つとして下火バーナ7を消火して上火バーナ6のみを燃焼させる単独燃焼モードを含む温調制御を実行するようにしている。以下、この点について詳述する。
【0018】
上火と下火の両バーナ6,7の両者の火力は単一の火力調節弁9により調節される。
図4を参照して、火力調節弁9は、ガス通路板9aと、ガス通路板9aの片面に接した状態で図外のモータにより回転駆動される円板状の弁板9bとを備えている。ガス通路板9aの
図4の右半部は、上火バーナ6に向けてガスが流れる上火領域になっており、ガス通路板9aの
図4の左半部は、下火バーナ7に向けてガスが流れる下火領域になっている。そして、ガス通路板9aの上火領域には、所定径の円周上に位置させて、上火バーナ6の火力を切換える上火バーナ用の大通路孔91aとその両側の小通路孔91bが形成され、ガス通路板9aの下火領域には、上記と同一径の円周上に位置させて、下火バーナ7の火力を切換える下火バーナ用の大通路孔92aとその両側の小通路孔92bが形成されている。また、弁板9bには、上記と同一径の円周上に位置させて、円弧状の長孔から成る第1弁孔93と、円形の第2弁孔94とが形成されている。
【0019】
弁板9bが消火位置に存するときは、第1と第2の両弁孔93,94が上火バーナ用と下火バーナ用の何れの通路孔91a〜92bにも重ならず、上火と下火の両バーナ6,7は消火される。弁板9bは、消火位置からの時計方向への回転で火力調節1〜6の各位置に順に到達する。火力調節1の位置では、下火バーナ7は消火されたままであるが、第1弁孔93が上火バーナ用の小通路孔91bに重なり、上火バーナ6の火力が最小火力たる弱火になる。火力調節2の位置では、下火バーナ7は消火されたままであるが、第1弁孔93が上火バーナ用の小通路孔91bと大通路孔91aに重なり、上火バーナ6の火力が強火になる。火力調節3の位置では、第1弁孔93が上火バーナ用の全ての通路孔91a,91bと下火バーナ用の小通路孔92bに重なり、上火バーナ6の火力が強火で、下火バーナ7の火力が弱火になる。火力調節4の位置では、第1弁孔93が上火バーナ用の大通路孔91aと小通路孔91b及び下火バーナ用の小通路孔92bと大通路孔92aに重なり、上火バーナ6の火力と下火バーナ7の火力が共に強火になる。火力調節5の位置では、第1弁孔93が上火バーナ用の小通路孔91bと下火バーナ用の全ての通路孔92a,92bに重なり、上火バーナ6の火力が弱火で、下火バーナ7の火力が強火になる。火力調節6の位置では、第1弁孔93が下火バーナ用の小通路孔92b、第2弁孔94が上火バーナ用の小通路孔91bに重なり、上火バーナ6の火力と下火バーナ7の火力が共に弱火になる。
【0020】
プレート調理時に、グリルプレート4の温度が一旦上昇しても、上火バーナ6と下火バーナ7とを共に燃焼させる同時燃焼モード(火力調節3〜6)から、下火バーナ7を消火して上火バーナ6のみを燃焼させる単独燃焼モード(火力調節1or2)に切換えることで、グリルプレート4の温度を比較的速く低下させて、被調理物の下面の焦げ付きを抑制できる。
【0021】
ここで、グリルプレート4の温度を検出するプレート温度センサを設けるのであれば、プレート温度センサの検出温度に応じて同時燃焼モードと単独燃焼モードとの切換えを行えばよい。然し、グリルプレート4はグリル庫1に出し入れ自在であるため、グリル庫1内にグリルプレート4を収納したときにプレート温度センサがグリルプレート4に接するように、プレート温度センサを可動とすることが必要になり、コストが高くなる。
【0022】
従って、コストダウンを図るには、グリルプレート4より下の庫内温度を検出する上記温度センサ8を用いることが望ましいが、この温度センサ8では、グリルプレート4の温度を直接検出することはできない。然し、以下の如く同時燃焼モードと単独燃焼モードとを切換えることで、グリルプレート4の温度をほぼ適温に維持することができる。
【0023】
図5を参照して、プレート調理の開始時は、先ず、上火と下火の各バーナ6,7に点火し、その後、上火と下火の各バーナ6,7の火力を共に強火とした同時燃焼モードでの温調制御を所定の予熱時間t0行う。この予熱時間t0中に温度センサ8の検出温度が
図5にa線で示す如く上昇し、グリルプレート4の温度が
図5にb線で示す如く上昇する。尚、この予熱時間t0は、プレート調理の各種調理モードに応じて可変設定される。
【0024】
予熱時間t0が経過すると、所定の第1設定時間t1(例えば、60秒)の単独燃焼モードでの温調制御と、第2設定時間t2(例えば、60秒)の同時燃焼モードでの温調制御とを順に行う。そして、第1設定時間t1の単独燃焼モードでの温調制御後の温度センサ8の検出温度を読み込んでこれを第1設定温度T1に設定すると共に、第2設定時間t2の同時燃焼モードでの温調制御後の温度センサ8の検出温度を読み込んでこれを第2設定温度T2に設定する。
【0025】
その後は、同時燃焼モードから単独燃焼モードへの切換時点から第1設定時間t1が経過するか又は温度センサ8の検出温度が第1設定温度T1に低下したときに単独燃焼モードから同時燃焼モードに切換えることと、単独燃焼モードから同時燃焼モードへの切換時点から第2設定時間t2が経過するか又は温度センサ8の検出温度が第2設定温度T2に上昇したときに同時燃焼モードから単独燃焼モードに切換えることを繰り返す。これにより、グリルプレート4の温度はほぼ適温に維持され、被調理物をその下面の焦げ付きを生ずることなく良好に加熱調理することができる。
【0026】
尚、予熱時間経過後の単独燃焼モードや同時燃焼モードでの火力はプレート調理の各種調理モードに応じて設定される。例えば、強めの魚焼きモードでは、単独燃焼モードと同時燃焼モードでの上火バーナ6の火力は強、同時燃焼モードでの下火バーナ7の火力は弱に設定され、弱めの魚焼きモードでは、単独燃焼モードと同時燃焼モードでの上火バーナ6の火力及び同時燃焼モードでの下火バーナ7の火力が弱に設定される。
【0027】
ところで、調理開始時は、雰囲気温度及び上火と下火の各バーナ6,7自体の温度が低く、上火と下火の各バーナ6,7への供給ガス量をある程度多くしないと、良好に点火しない。そのため、調理開始時の上火と下火の各バーナ6,7の点火は、所定の第1火力たる強火で行っている。一方、温調制御中に、単独燃焼モードから他のモードたる同時燃焼モードへの移行に伴い単独燃焼モードで消火した下火バーナ7を再点火する際は、雰囲気温度及び下火バーナ7の温度が高いため、下火バーナ7への供給ガス量をかなり少なくしても良好に点火する。
【0028】
そこで、本実施形態では、温調制御中の単独燃焼モードから同時燃焼モードへの移行に伴う下火バーナ7の再点火は、第1火力より弱い所定の第2火力たる弱火で行うようにしている。これによれば、下火バーナ7の再点火が供給ガス量を少なくした状態で行われることになる。そのため、一次空気の吸引が抑えられて、下火バーナ7から噴出する混合気の燃料濃度が濃くなり、点火及び下火バーナ7全体への火移りに要する時間が短くなる。その結果、生ガスの放出量を抑えて、安全性を向上させることができる。更に、再点火時の消費ガス量を削減して、省エネルギー化を図ることもできる。
【0029】
また、本実施形態では、下火バーナ7のみを消火する弁板9bの回転位置たる火力調節2の位置と、上火バーナ6を消火せずに下火バーナ7の火力を弱火とする弁板9bの回転位置たる火力調節3の位置とが隣り合っている。そして、上火バーナ6の火力を強火とする単独燃焼モードから同時燃焼モードへの移行時は、弁板9bを火力調節2の位置から火力調節3の位置に回転させて、下火バーナ7の弱火での再点火を行う。また、上火バーナ6の火力を弱火とする単独燃焼モードから同時燃焼モードへの移行時は、弁板9bを火力調節1の位置から火力調節2の位置に回転させた後、火力調節2の位置から火力調節3の位置に回転させて、下火バーナ7の弱火での再点火を行うようにしている。これによれば、単独燃焼モードから同時燃焼モードへの移行時の下火バーナ7の再点火に際し、弁板9bが下火バーナ7の火力を強火とする回転位置を経由せず、再点火時の生ガスの放出量を一層抑えることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では
、上火と下火の各バーナ6,7の火力を強弱2段に切換えるようにしているが、強中弱の3段或いはそれ以上に切換えるようにすることも可能である。この場合、調理開始時の上火と下火の各バーナ6,7の点火を中火又は強火で行い、単独燃焼モードから
同時燃焼モードへの移行に伴
う下火バーナ
7の再点火を弱火で行うようにし、或いは、調理開始時の上火と下火の各バーナ6,7の点火を強火で行い、単独燃焼モードから
同時燃焼モードへの移行に伴う
下火バーナ7の再点火を強火より弱い中火で行うようにしてもよい。更に、上記実施形態では、下火バーナ7がグリル庫1の横方向両側部の下部に配置されているが、これに限らず、例えばグリル庫の底部にグリルプレートの下方から加熱するように下火バーナを1個設けるようにしてもよい。また、上記実施形態は、ガスコンロに組み込む両面焼きグリルに本発明を適用したものであるが、ガスコンロに組み込まずに独立して設けられる両面焼きグリルにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0031】
A…両面焼きグリル、6…上火バーナ、7…下火バーナ、9…火力調節弁、9a…ガス通路板、91a,91b,92a,92b…通路孔、9b…弁板、93,94…弁孔。