特許第6927881号(P6927881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6927881眼の疾患を手当てするシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927881
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】眼の疾患を手当てするシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20210823BHJP
   A61F 9/008 20060101ALI20210823BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   A61F9/007 110
   A61F9/007 200C
   A61F9/008 120Z
   A61F9/007 180
   A61F7/08 332Z
【請求項の数】26
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2017-542808(P2017-542808)
(86)(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公表番号】特表2017-533074(P2017-533074A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】US2015058487
(87)【国際公開番号】WO2016070134
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年10月29日
(31)【優先権主張番号】14/529,102
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エス・ケルハー
(72)【発明者】
【氏名】カビル・ガンビル
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−516343(JP,A)
【文献】 実開平07−028523(JP,U)
【文献】 特表2008−540051(JP,A)
【文献】 特表2010−504804(JP,A)
【文献】 特表2010−501245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61F 7/03
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも瞼の一部分におけるマイボーム腺疾患を臨床医により治療するための装置であって、
単一のハウジングと、
マイボーム腺に隣接し、およびマイボーム腺を含む瞼組織を加熱するヒータと、
眼球と瞼の内側表面との間に位置するように、大きさを合わせ、および成形された背板と、
少なくとも一つの加圧要素および前記背板が前記瞼に圧力を加えるように、前記背板が、眼球と前記瞼の内側表面に位置する際に、前記瞼の外側表面に隣接して位置するように、大きさを合わせ、および成形された前記加圧要素と、
前記背板に前記加圧要素を動かすアクチュエータと、
接続構造が前記背板を前記加圧要素に接続するように、前記背板から前記加圧要素まで延びる前記接続構造と、を備え、
治療されている前記瞼の部分に沿った眼瞼縁は、前記背板が眼球と前記瞼の内側表面との間に位置し、前記加圧要素が前記瞼の外側表面に隣接して位置する際に、臨床医によって視認可能になっており、
前記背板には、温度をモニタするための1つ又は複数の温度センサと、前記瞼の上に加えられた力又は圧力の量をモニタするための力又は圧力センサと、が組み込まれており、
前記単一のハウジングは、前記ヒータと、前記背板と、前記加圧要素と、前記アクチュエータと、が取り付けられ、
前記単一のハウジングは、コントローラを含み、
前記単一のハウジングは、オペレータが握ることができる把手部を形成している
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記接続構造は、機械的に、前記背板を前記加圧要素に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記背板が眼球と前記瞼の内側表面にとの間に位置し、前記加圧要素が前記瞼の外側表面に隣接して位置する際、前記接続構造は、前記加圧要素を、治療されている前記瞼に向かって移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記接続構造は、前記背板から前記加圧要素まで延びた一またはそれ以上のアームを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記一またはそれ以上のアームは、眼の正面に位置する臨床医による前記眼瞼縁の視認を実質的に妨げないように、位置している、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
治療されている前記瞼の前記部分が左端および右端を備え、前記接続構造の前記一またはそれ以上のアームは、前記右端または前記左端のいずれかに隣接して位置する少なくとも一つのアームを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記接続構造は、前記右端に隣接して位置する第1のアームと、前記左端に隣接して位置する第2のアームとを備え、前記第1および第2のアームの両方は、前記加圧要素に接続されており、
開口は、前記第1および前記第2のアーム、前記第1および前記第2のアーム並びに前記背板の間の接続点、および二つの前記アームと前記加圧要素との間の接続点、の間に定義され、
前記眼瞼縁は、前記開口を通して視認可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
二つの前記アームの間の距離は、0.2インチと1.2インチとの間である、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
二つの前記アームと前記背板の間の接続点により定義される線と、二つの前記アームと前記加圧要素の間の接続点により定義される線との間の距離は、少なくとも、0.04インチである、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
治療される前記瞼の前記部分は、左端および右端を備え、
前記接続構造は、前記右端および前記左端に位置する少なくとも一つのアームを含み、
前記少なくとも一つのアームは、視覚装置による前記眼瞼縁の視認を実質的に妨げないように、大きさを合わせ、および成形されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記加圧要素は、前記背板に対して前記瞼を圧迫するように、前記瞼に向かって移動可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記加圧要素は、前記瞼の前記外側表面に圧力を加え、それによって、前記背板に対して前記瞼を圧迫する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記背板は、前記瞼の前記内側表面に対して圧力を加え、それによって、前記加圧要素に対して前記瞼を圧迫する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記眼瞼縁は、前記背板が眼球と前記瞼の内側表面の間に位置し、前記加圧要素が前記瞼の外側表面に隣接して位置する際、臨床医により直接視認可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記眼瞼縁は、隙間、窓、透明材、開口、穴、プリズム、鏡、光ファイバ導管、光パイプ、および画像センサの少なくとも一つを介して視認可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一つのマイボーム腺を治療する装置であって、
単一のハウジングと、
少なくとも一つの詰まったマイボーム腺に隣接し、およびこのマイボーム腺を含む瞼組織を、前記少なくとも一つのマイボーム腺を詰まらせるマイバムを溶かしまたは柔らかくするのに十分な温度まで加熱するヒータと、
前記瞼の外側表面に隣接して位置するように、大きさを合わせ、および成形され、前記少なくとも一つの詰まったマイボーム腺に隣接した瞼に、圧力を加える加圧要素と、
眼球と、前記少なくとも一つの詰まったマイボーム腺に隣接した前記瞼の内側表面との間に位置するように、大きさを合わせ、成形された背板と、
前記背板に前記加圧要素を動かすアクチュエータと、を備え、
治療されている前記瞼の部分に沿った瞼縁は、溶けたまたは柔らかくなった前記マイバムを外に出すために、前記加圧要素が前記瞼を圧迫した際に、臨床医によって視認可能になっており、
前記瞼は、前記溶けたまたは柔らかくなったマイバムを外に出すために、前記加圧要素と前記背板の間で圧迫され、
前記背板には、温度をモニタするための1つ又は複数の温度センサと、前記瞼の上に加えられた力又は圧力の量をモニタするための力又は圧力センサと、が組み込まれており、
前記単一のハウジングは、前記ヒータと、前記背板と、前記加圧要素と、前記アクチュエータと、が取り付けられ、
前記単一のハウジングは、コントローラを含み、
前記単一のハウジングは、オペレータが握ることができる把手部を形成している、
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
前記少なくとも一つの詰まったマイボーム腺に隣接する前記瞼縁を拡大視する視覚化装置をさらに備える、
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記視覚化装置の倍率は、2倍と9倍の間である、
ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記視覚化装置は、少なくとも3mmの焦点深度、および、請求項8または請求項9に記載の前記開口の少なくとも一部を含むのに十分な視野を有し、自動または手動フォーカス機能を有する、あるいは固定フォーカスのレンズ要素またはアレイを含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記視覚化装置は、レンズアレイ、開口、および撮像素子を備えるカメラシステムを含み、前記開口は、F/2.8およびF/11の間であり、前記撮像素子は、少なくとも320×240ピクセルの解像度を有するCCDまたはCMOS型である、
ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項21】
ディスプレイ装置をさらに備え、前記ディスプレイ装置は、少なくとも水平方向に320ピクセル、最小幅が25mmの解像度の前記カメラによりキャプチャされた画像を表示する、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記カメラシステムは、レンズベースのズーム機能を有する、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記カメラシステムは、1.5倍と10倍の間のディジタルズーム機能を有し、前記撮像素子の前記解像度は、少なくとも640×480である、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記ヒータは、前記瞼組織を加熱する可視光源または赤外線光源を、少なくとも部分的に備える、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記視野を照明する少なくとも一つの照明要素と、少なくとも一つの可視光源または赤外線光源と、さらに備える、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記カメラシステムは、マイボーム腺組織と非マイボーム腺組織の間のコントラストを強めるためのフィルタとアルゴリズムを適用する画像処理能力を含み、強められたコントラスト画像は、ディスプレイ上に表示され得る、
ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年10月30日に出願され、「眼の疾患を手当てするシステムおよび方法」を発明の名称とする米国特許出願第14/529102号の利益を主張するものであり、この米国特許出願を本明細書の一部として援用する。
【0002】
本発明は、医療機器およびそれを用いる方法に関する。特に、この開示は、マイボーム腺機能不全、および眼瞼炎のような、典型的には、瞼、マイボーム腺、中央導管、開口部、並びに周辺組織に関わりのある、眼の疾患を診断および手当するために用いられるシステム、方法、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイボーム腺機能不全(MGD)は、一般集団において20%から60%までの有病率を示す研究があり、涙液蒸発亢進型ドライアイの最も一般的な原因と考えられる。MGDは、十分な量の正常分泌(マイバムと呼ばれる)を作り出すマイボーム線の障害と関連している。マイバムは、健康な涙膜の脂質の多い必須成分である。涙膜に十分なマイバムが存在していない場合には、涙膜は容易に蒸発し、涙液蒸発亢進型ドライアイにつながる。患者によっては、マイバムの粘度と融解点が高くなり、マイボーム腺から容易には流れ出ない粘度の高いマイバムとなる。さらに、マイボーム腺内の排出導管(channel)または中央導管(duct)は、過角化(hyperkeratinized)するかもしれず、過度の細胞残屑につながり、および長い時間をかけてマイボーム腺の詰まりをもたらす。一旦、マイボーム腺が慢性的に詰まる(粘度が高くなる)と、それらが萎縮し、最早、マイバムを作り出したり、分泌したりすることができなくなるかもしれない。
【0004】
眼瞼炎は、瞼および眼瞼縁に関わる一般的な慢性の炎症疾患であり、しばしば、MGDと関係付けられる。研究は、有病率が12%から47%の一般集団においては、高齢者間の有病率がより高いという、眼瞼炎の有病率を示している。MGDに関連する一定の原因要素に加えて、眼瞼炎は、一部は、眼および瞼の中、並びに周りにおける多数のある細菌によって引き起こされ得る。細菌の副生成物は、眼を刺激すると考えられており、患者のさらなる炎症と不快感につながる。また、一般的なダニのいくつかの種類は、眼の中および周りにおけるマイボーム腺または皮脂腺の炎症を増す働きがあるかもしれない。これらの要因によって引き起こされる炎症は、マイボーム腺の中央導管のさらなる収縮につながり得るものであり、マイボーム腺からのマイバムの流出を制限し、疾患を悪化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイボーム腺機能不全の診断は、多くの方法によって行うことができる。典型的なアプローチは、涙膜層破壊時間の測定、いくつかの眼球表面の染色、並びに、マイボーム腺およびそれらの分泌の検査を含む。マイボーム腺自体を検査するために用いられる一つの一般的な技術は、瞼をめくり、めくった瞼の下(瞼の外側表面)に光源を置き、瞼を通した通過光により作られるマイボーム腺の透過光画像を検査することである。前記画像は、生物顕微鏡を通して、またはカメラを用いて、肉眼で観察される。健康なマイボーム腺は、長く、比較的真っ直ぐな形状に見えるが、機能不全のマイボーム腺は、曲がりくねり、腫れて見えるかもしれず、萎縮したマイボーム腺は、マイボーム腺の主要部と、中央導管または開口部との間の連続性に欠けているように見える。ある場合には、赤外線が、めくられた瞼の上に、またはめくられた瞼を通して、投射され、IR感受性カメラがマイボーム腺を見るために用いられる。これらの透過照明技術の不利な点は、瞼をめくる必要があり、それは殆どの患者にとって不快であり、臨床医にとっては、いくつかの瞼において、実行することが困難なこともある。
【0006】
MGDを診断する他の一般的な技術は、瞼に圧力を加え、マイボーム腺の中央導管または開口部を、眼瞼縁に沿って、通常、生物顕微鏡のような拡大手段を用いて観察することである。健康なマイボーム腺は、加えた圧力に応答して、澄んだ脂性分泌物を生成する。部分的に機能不全のあるマイボーム腺は、生成する脂が少ない、および/または、濁った脂を生成する。より重症の機能不全がある(粘度が高くなった)マイボーム腺は、ペースト状の分泌物を生成し、それは、より大きな圧力が瞼に加えられた時に絞り出され得るだけである。完全に萎縮した、または、開口部が塞がれたマイボーム腺は、高圧の下でさえ、いかなる脂も生成しない。
【0007】
MGDおよび眼瞼炎は、効果的な治療が限られた慢性的な疾患である。最も一般的に推奨される治療法の一つは、(圧迫子または指先を用いた)加熱圧迫子およびマッサージの適用である。加熱圧迫子治療の意図された目的は、粘度の高いマイバムが存する萎縮したマイボーム腺を温め、マイバムを柔軟にさせ、中央導管を通してより容易に外に出させることにある。この工程は、中央導管の詰まりを解消し、中央導管に正常な分泌を再開させ、より健康な涙膜を維持すると考えられている。患者は、一般的に、熱いタオルまたは他の加熱圧迫子を、一日に複数回、5分から10分、瞼に当てるように指導される。しかしながら、そのようなアプローチの有効性は限られているかもしれない。
【0008】
MGDの病院内で行う治療は、詰まったまたは粘度が高くなったマイボーム腺からマイバムを外に出すために、患部の瞼を搾ることにしばしば限定される。殆どの臨床医は、瞼表面の外側に圧力を加えるために、彼らの指先または綿棒を用いるが、時々、彼らはまた、綿球(swab)または平らな金属器具(時に、マストロータ・パドル(Mastrota paddle))を内側の瞼に用い、マイバムを搾り出すために、外側の瞼を押す。これらの技術の全ては、臨床医にとって扱いにくく、殆どの患者にとって苦痛である。
【0009】
他の病院内治療は、増強パルス光(IPL)を眼および瞼の周りに用いる。そのような治療は、複数回のセッションを通して、ドライアイの症状に改善がみられると言われているが、そのメカニズムは分かっておらず、装置は高価である。
【0010】
さらに他の病院内治療は、TearScience社のLipiFlow(登録商標)システムであり、このシステムでは、加熱要素は瞼の下に置かれ、自動化された外部のコントローラは、前記加熱要素を目標温度に維持し、空気注入式の空気袋を通して、外側の瞼に対して所定のパターンの圧力を加える。このシステムは、高価であり、臨床医は、眼瞼縁およびマイボーム腺を視覚的にモニタするように治療をコントロールすることができず、および治療中に、治療結果を最適化する方法で、加熱と圧力のレベルを変化させることができない。そのような治療中の臨床医によるコントロールは、重要なことになり得るものであり、TearScienceのシステムには存在していない。
【0011】
患者は、また、ドライアイに関連する不快感を軽減するために、生理食塩水滴または人工涙液を使用するかもしれない。しかしながら、このアプローチは、機能不全を起こしたマイボーム腺および内在する炎症を治療することはできない。加えて、またはその代わりに、瞼の中および周りの細菌量を削減するために、抗生物質が処方されるかもしれない。典型的な経口抗生物質は、利用可能であり、ある細菌を削減し、緩やかな消炎効果が得られる経口用のテトラサイクリン誘導体を含んでいる。しかしながら、抗生物質の投与は、副作用または逆アレルギー反応を引き起こすかもしれず、そのアプローチは、眼瞼炎およびMGDのかなりの長期間にわたる解決には十分ではない。コルチコステロイド剤は、炎症を軽減するために処方されるかもしれない。しかしながら、そのようなステロイドの長期にわたる使用は、有害な皮質レンズの交換、眼圧スパイク、および免疫抑制による感染の危険性、を増加させる。
【0012】
したがって、マイボーム腺機能不全および眼瞼炎の診断および治療を行う方法および装置を改善する必要がある。
【0013】
ここに記載された実施形態は、一またはそれ以上の上述した必要性に合致し、および一またはそれ以上の現在のMGDおよび眼瞼炎治療方法の短所を克服し得る。添付の特許請求の範囲の範囲内で、システム、方法、および装置の様々な実施は、それぞれいくつかの態様があり、ここに記載された望ましい特性を単独で担う唯一の態様を有するものではない。添付の特許請求の範囲に限定されることなく、いくつかの優れた特徴がここに説明される。
【0014】
本出願は、一般的に、瞼、マイボーム腺、中央導管、および周囲組織を治療するために用いられる治療システム、方法、および装置に関する。この明細書に記載された主題の一またはそれ以上の実施の詳細は、添付の図面および以下の記述により説明される。他の特徴、実施形態、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
【0015】
この開示の一つの態様は、哺乳類における眼疾患を治療する装置を提供する。様々な実施形態において、その装置は、強膜シールドおよびエネルギー変換器を含む。瞼が、エネルギー変換器と強膜シールドの間に位置した場合には、エネルギー変換器からの光エネルギーは、瞼を通過し、エネルギー吸収面を加熱する。次に、エネルギー吸収面に隣接する組織は、伝導加熱により温められる。
【0016】
この開示のさらなる態様は、例えば、人間または他の哺乳類における、眼疾患を治療する方法を提供する。この方法は、強膜シールドを瞼の内側表面に配置し、強膜シールドは、光エネルギーによって活性化されるエネルギー吸収材により作られ、あるいは覆われており、エネルギー変換器を哺乳類の瞼の外側に配置し、エネルギー変換器は一またはそれ以上の波長で光エネルギーを供給するように構成されることを含む。この方法は、また、エネルギー変換器からの光エネルギーを、エネルギー吸収材を加熱するように選択された第1の波長で強膜シールドに向け、光エネルギーでエネルギー吸収材を加熱し、目標の組織領域の内部にまたは目標の組織領域に隣接して位置するマイボーム腺内のマイバムを溶かすのに十分なように、目標の組織領域を加熱することを含む。
【0017】
ある実施形態においては、エネギー変換器は、さらに、瞼組織によって吸収されるように選択された第2の波長で、光エネルギーを提供し、それによって瞼組織を加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー変換器は、さらに、眼瞼炎を治療するために選択された第3の波長で光エネルギーを提供する。第1の波長は、約(限定なし)700−1000nmの範囲、第2の波長は、約(限定なし)400−700nmの範囲、および第3の波長は、約(限定なし)400−450nmの範囲を取り得る。
【0018】
装置のいくつかの実施形態は、さらに、エネルギー変換器にスライド自在に接続されたエネルギー伝送面を含み、瞼が、治療中に、強膜シールドとエネルギー伝送面との間に位置する時は、エネルギー伝送面が強膜シールドに向かって動き、瞼に接触し、圧迫し得る。
【0019】
装置のいくつかの実施形態は、さらに、治療中に、瞼を見るための可視化手段または可視化装置を含む。加えて、またはそれに代えて、装置のいくつかの実施形態は、さらに、可視化手段で瞼の内側表面を見るように構成された反射撮像素子を含む。いくつかの実施形態では、瞼の内側表面の視認には、瞼およびマイボーム腺の透過照明を含む。
【0020】
いくつか実施形態では、強膜シールドのエネルギー吸収材は、黒色プラスチックで形成された、あるいは黒色物質でコーティングされた、赤外線吸収性材料または表面であってもよく、それらのいずれかは、カーボンブラック(例えば、5%以上)または、赤外線を吸収し、および/または赤外線で温められる他の材料を含んでもよい。強膜シールドは、単一の材料、または、複数のレイヤー(例えば、ヒドロゲル、硬質プラスチック、軟質プラスチック、金属、またはガラス)を備える複合材料であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換器は、少なくとも一つのLED、レーザー、白熱灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、高輝度放電ランプ、および放電灯を含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、目標の温度範囲は、眼疾患を治療するために必要な最低温度と、眼または瞼に対する不快感または熱損傷を生じ得る最高温度との間である。いくつかのそのような実施形態では、目標の温度範囲は約40℃と約80℃との間である。
【0023】
装置のいくつかの実施形態は、さらに、グループから選択された一またはそれ以上の構成要素を含み、前記グループは、前記装置の状態を表示するディスプレイまたはダッシュボードと、内側および/または外側の表面温度のような、瞼の様々な温度を測定する温度測定装置と、データロガーと、ボイスレコーダと、前記装置の構成要素に電力を供給するバッテリーと、バッテリー充電手段と、コントローラと、プリント回路基板と、強膜シールドとエネルギー変換器との間のコミュニケーション回路とからなる。
【0024】
装置のいくつかの実施形態は、さらに、もし強膜シールドおよび関連する機構が、前記装置に適切に取り付けられておらず、および配置されていない場合には、エネルギー変換器からの光エネルギーを防ぎまたは妨げる、エネルギー変換器に電気的に接続された安全機能を含む。
【0025】
加えて、またそれに代えて、装置のいくつかの実施形態は、さらに、エネルギー変換器に動作可能に接続され、所定時間後にエネルギー変換器を遮断するタイマーを含む。いくつかの実施形態において、前記装置は、所定時間の待機後、および瞼の部分の温度について所定の閾値に達した時のいずれか早く到来した際に、エネルギー変換器を遮断する。
【0026】
いくつかの実施形態では、目標の組織領域を加熱することは、マイボーム腺のマイバムを軟化させることである。いくつかの実施形態では、前記方法は、眼瞼炎、ドライアイ、およびマイボーム腺機能不全のうちの少なくとも一つを治療する。
【0027】
この開示の他の態様は、温罨法により眼疾患を治療する装置を提供する。様々な実施形態において、前記装置は、エネルギー変換器、導波路、ハウジング、および第1の安全センサを含む。エネルギー変換器は、瞼の目標組織領域を加熱するために選択された波長特性を有する光エネルギーを放射する。導波路は、エネルギー変換器の周囲の一部に位置しており、目標組織領域にエネルギーを向ける。ハウジングは、瞼の表面に隣接して、または、瞼の表面に対向して設けられるように成形されたエネルギー伝送面を備える。エネルギー変換器は、ハウジング内に配置され、エネルギーが、エネルギー伝送面を通して、成形されたパターンで、瞼の表面に向けられるようにされている。第1の安全センサは、エネルギー変換器に動作可能に連結され、瞼の一部の温度を測定する。いくつかの実施形態では、前記装置は、目標組織領域の内部に、または隣接して位置するマイボーム腺内のマイバムを溶かすのに十分なように目標組織領域を加熱する。
【0028】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換器は、少なくとも一つのLED、レーザー、白熱灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、高輝度放電ランプ、および放電灯を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面は、所望の波長に対して実質的に透過的であり、不要な波長を実質的にブロックする。
【0029】
いくつかの実施形態では、導波路は、成形された反射面を含む。エネルギー変換器および導波路は、瞼を通して、強膜、角膜、虹彩、瞳、硝子体、網膜、および隣接する構造に向かうエネルギーの量を最小化しつつ、エネルギーを目標組織領域に向けるように構成され得る。
【0030】
前記装置のいくつかの実施形態は、さらに、不要な波長を選択的に取り除く光学フィルタを含み、そのような望まれない波長は、紫外線、赤外線、および可視光スペクトルの少なくとも一部内に存在していてもよい。
【0031】
そのようないくつかの実施形態では、第2の安全センサは、エネルギー伝送面および瞼の表面の間の付近をモニタする。他のそのような実施形態では、第2の安全センサは、瞼が開いているか閉じているかをモニタするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
他の特徴、態様、本技術の利点だけでなく、上述した態様は、添付の図面を参照して、様々な実施形態に関連して説明されるであろう。しかしながら、図示された実施形態は、単に例であり、限定することを意図したものではない。
図面を通して、同様の符号は、特に記述がない限り、一般的に、同様の構成要素を示す。以下の図面の相対的な寸法は、正確な寸法ではないかもしれないことに留意すべきである。
図1A図1Aは、哺乳類の眼システム10の断面図である。
図1B図1Bは、健康なマイボーム腺、詰まった、および萎縮したマイボーム腺を示す上および下瞼の下側の表面を示す図である。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による眼治療装置の一実施形態の概略ブロック図である。
図2B図2Bは、眼治療装置の他の実施形態の概略ブロック図である。
図2C図2Cは、強膜シールドを有する眼治療装置の他の実施形態の概略ブロック図である。
図2D図2Dは、撮像素子を有する強膜シールドを備えた眼科装置の他の実施形態を示す概略ブロック図である。
図2E図2Eは、図2Dの実施形態の一部を拡大して示す断面図である。
図2F図2Fは、図2Eに示す実施形態の正面図である。
図2G図2Gは、図2Dに類似した眼科装置の他の実施形態を示す概略ブロック図である。
図2H図2Hは、図2Cに類似した眼科装置の他の実施形態の概略ブロック図である。
図3図3は、眼診断および治療装置の一実施形態の概略ブロック図である。
図3A図3Aは、図3に示す強膜シールドの一実施形態の拡大図である。
図4A図4Aは、眼治療装置の一実施形態の概略側面図である。
図4B図4Bは、図4Aの実施形態の眼治療装置に含まれるエネルギー変換器および導波路モジュールを示す概略正面図である。
図4C図4Cは、使用中に示される図4Aの眼治療装置の実施形態における概略側面図である。
図4D図4Dは、眼治療装置の他の実施形態の側面図である。
図4E図4Eは、眼治療装置の他の実施形態における光学要素の斜視図である。
図4F図4Fは、図4Eからのプリズム要素を示す正面図である。
図4G図4Gは、図4Eからのプリズム要素を示す側面図である。
図4H図4Hは、図4Eからのプリズム要素を示す断面図である。
図4J図4Jは、図4Eの成形レンズの正面図である。
図4K図4Kは、図4Eの成形レンズの断面図である。
図4L図4Lは、図4Eの成形レンズの側面図である。
図4M図4Mは、図4Eの成形レンズの斜視図である。
図4N図4Nは、図4Eの光学要素により作られる照射パターンの理論的なグラフ表示である。
図4P図4Pは、図4Eの光学要素により作られる照射パターンの理論的なグラフ表示である。
図5A図5Aは、眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図5B図5Bは、図5Aにおける眼治療装置の実施形態の概略正面図である。
図5C図5Cは、他の装置の実施形態の側面図である。
図5D図5Dは、他の装置の実施形態の上面図である。
図5E図5Eは、他の装置の実施形態の正面図である。
図5F図5Fは、他の装置の実施形態の斜視図である。
図5G図5Gは、図5Fの光学要素により作られる照射パターンの理論的なグラフ表示である。
図5H図5Hは、図5Cから図5Fの光学要素により作られる照射パターンの理論的なグラフ表示である。
図6図6は、眼治療装置および強膜シールドを含む眼治療システムの実施形態の概略側面図である。
図7A図7Aは、強膜シールドの様々な実施形態の概略正面図である。
図7B図7Bは、強膜シールドの様々な実施形態の概略正面図である。
図7C図7Cは、強膜シールドの様々な実施形態の概略正面図である。
図7D図7Dは、強膜シールドの様々な実施形態の概略正面図である。
図7E図7Eは、強膜シールドの様々な実施形態の概略側面図である。
図7F図7Fは、強膜シールドの様々な実施形態の概略正面図である。
図7G図7Gは、強膜シールドの様々な実施形態の概略側面図である。
図7H図7Hは、強膜シールドの様々な実施形態の概略正面図である。
図8図8は、眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図9図9は、一またはそれ以上の冷却機構を含む眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図10図10は、一またはそれ以上の安全センサを含む眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図11A図11Aは、眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図11B図11Bは、眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図12図12は、振動手段を含む眼治療装置の他の実施形態の概略側面図である。
図13図13は、個人によって用いられる眼治療システムの一実施形態の模式図である。
図14A図14Aは、眼治療システムの実施形態の概略側面図である。
図14B図14Bは、図14Aの眼治療システムの一部分の概略正面図である。
図15A図15Aは、眼治療器具システムの実施形態の概略側面図である。
図15B図15Bは、図15Aに示す実施形態のA−A線に沿った正面断面図である。
図15C図15Cは、図15Aに示す実施形態の正面図である。
図15D図15Dは、図15Aの実施形態のB−B線に沿った側断面図である。
図16A図16Aは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16B図16Bは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16C図16Cは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16D図16Dは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16E図16Eは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16F図16Fは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16G図16Gは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16H図16Hは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16J図16Jは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16K図16Kは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16L図16Lは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16M図16Mは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16N図16Nは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16P図16Pは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図16Q図16Qは、治療されている瞼の部分に熱および圧力を適用中に、片方または両方の眼瞼縁の視認を可能とする開口を定義する、エネルギー伝送面、強膜シールド、およびシステムの支持アームのユニークな構成を示す図である。
図17A図17Aから図17Cは、エネルギー導波路モジュールおよびエネルギー伝送面と組み合わせたエネルギー変換器の実施形態を示す図である。
図17B図17Bは、エネルギー導波路モジュールおよびエネルギー伝送面と組み合わせたエネルギー変換器の実施形態を示す図である。
図17C図17Cは、エネルギー導波路モジュールおよびエネルギー伝送面と組み合わせたエネルギー変換器の実施形態を示す図である。
図17D図17Dは、図17Aから図17Cの実施形態について、瞼を通した赤外線の照度分布のグラフ表示を示す図である。
図17E図17Eは、一定のコーティングを施したエネルギー伝送面の要素を示す図である。
図17F図17Fは、一定のコーティングを施したエネルギー伝送面の要素を示す図である。
図17G図17Gは、エネルギー伝送面の一部に一定のコーティングを施した実施形態について、瞼を通した赤外線の照度分布のグラフ表示を示す図である。
図17H図17Hは、エネルギー伝送面の一部に一定のコーティングを施した実施形態について、瞼の外側表面におけるライム光の照度分布を示す図である。
図18図18は、眼撮像システムの実施形態の側面図である。
図19図19は、眼撮像システムの実施形態の側断面図である。
図20A図20Aは、眼治療装置に関連付けられる波形の図である。
図20B図20Bは、眼治療装置に関連付けられる波形の図である。
図21A図21Aは、眼治療装置の実施形態の部分を示す側面図である。
図21B図21Bは、眼治療装置の実施形態の部分を示す側面図である。
図21C図21Cは、眼治療装置の実施形態の部分を示す側面図である。
図21D図21Dは、眼治療装置の実施形態の部分を示す側面図である。
図22A図22Aは、眼治療装置の実施形態の側面図である。
図22B図22Bは、眼治療装置の実施形態の斜視図である。
図22C図22Cは、眼治療装置の実施形態の斜視図である。
図23図23は、図22Aから図22Cの眼治療装置の断面図である。
図24図24は、図22Aから図22Cの眼治療装置の断面図である。
図25図25は、図22Aから図22Cの眼治療装置の拡大図である。
図26A図26Aは、図22Aから図22Cの眼治療装置の態様の拡大側面図および断面図である。
図26B図26Bは、図22Aから図22Cの眼治療装置の態様の拡大側面図および断面図である。
図26C図26Cは、図22Aから図22Cの眼治療装置の態様の拡大側面図および断面図である。
図27図27は、図22Aから図22Cの眼治療装置の部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明において、符号は、本開示の一部を形成する添付図面に付されている。図面において、同様の符号は、特に記述がない限り、一般的に、同様の構成要素を示す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記述された例示の実施形態は、限定することを意味するものではない。ここに表された手段の精神または範囲から乖離することなく、他の実施形態も用いられ得るものであり、他の変更もなされ得る。本開示の態様は、ここに一般的に記述し、図面に示すように、多種多様な方法で、アレンジ、置き換え、組み合わせ、および設計することが可能であり、それらの全ては明白に企図されており、この開示の一部を形成することは、容易に理解されよう。
【0034】
ここに使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記述する目的で用いられており、開示を限定することを意図していない。特許請求の範囲における要素の特定の番号が意図された場合には、そのような意図は、明示的に特許請求の範囲に記載されており、そのような記載がない場合には、そのような意図は存在しないことは当業者によって容易に理解されよう。例えば、ここに用いられるように、単数形の「a」,「an」および 「the」は、特に示されていない限り、複数形を含むように意図されている。ここに用いるように、「および/または」という文言は、一またはそれ以上の関連して掲げる事項のいくつかのおよび全ての組み合わせを含む。「備える」、「有する」、「含む」という文言は、明細書で用いられる場合、言及された特徴、整数、工程、操作、要素、および/または構成要素を特定するが、一またはそれ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、および/またはこれらの集まりの存在または付加を排除するものでないことは、さらに理解され得るだろう。「少なくとも一つの」のような表現は、要素のリストに先行する場合は、要素のリストの全体を修飾するものであり、リストの個々の要素を修飾するものではない。
【0035】
ここに記述される装置および方法の説明を援助するため、いくつかの関係する文言および共起表現が用いられる。ここに用いられるような「接続された」および「結合された」、並びにそれらのバリエーションは、一またはそれ以上の要素が、接続された要素間に配置されている間接接続だけでなく、他の要素と近接して形成され、接着され、またはさもなければ他の要素に直接取り付けられ、他の要素上に取り付けられ、他の要素内に取り付けられるような直接接続を含む。「接続された」および「結合された」は、永続的または非永続的な(例えば、取り外しできる)接続に言及しているかもしれない。
【0036】
ここに用いられているような「固定される」およびそのバリエーションは、一またはそれ以上の要素が、固定された要素間に配置された二つの要素を一緒に固定する間接手段だけでなく、接着され、ねじ締めされ、またはさもなければ、他の要素に直接に、他の要素上に、他の要素内に等のように留められるような、ある要素が他の要素に直接接続される方法を含む。
【0037】
「近位の」および「遠位の」は、患者を治療する医学の専門家の視点からの位置を説明するためにここに用いられている相関的な文言である。例えば、「遠位の」に比べて、「近位の」という文言は、医学の専門家に、より近接した位置に言及しており、一方、遠位端は、治療中に患者に、より近接している。例えば、ここに開示されている装置の遠位端は、同装置の近位端に対向しており、装置の遠位端は、例えば、患者の瞼に対して置かれる端部をしばしば含む。
【0038】
「変換器」は、エネルギーの一形態を受け取り、およびそれを他に変換する要素を説明するためにここに用いられている文言である。例えば、光源は、電気的エネルギーを受け取り、光エネルギーを作り得る。同様に、超音波変換器は、電気的エネルギーを受け取り、超音波エネルギーを作り出し得る。
【0039】
ここに用いられた「光」は、可視光スペクトルにおけるエネルギーだけでなく、赤外線および電子エネルギースペクトルの紫外線部分におけるエネルギーについても言及している。
【0040】
ここに用いられている「導波路」は、光、超音波エネルギー、および無線周波数エネルギーのような、電磁エネルギーの、伝播、分布、または軌道を誘導するいかなる手段についても言及している。ここに定義されるように、回折器、屈折器、拡散器等は、導波路のこの広い定義に含まれる。
【0041】
「光路長」は、エネルギーが移動する経路(例えば、組織切片内)の長さを説明ためにここに用いられる。
【0042】
ここに開示される実施形態は、眼科用装置、システム、および方法について言及している。ここに開示されている装置、システム、および方法は、マイボーム腺、中央導管、開口部、および周囲組織を治療するために用いることができ、特に、MGD、眼瞼炎、並びに、涙液蒸発亢進型ドライアイのようなMGDおよび眼瞼炎と生理学的関係のある疾患の治療に向けられている。図1Aは、眼球20、および周囲の瞼組織を含む哺乳類の眼システム10の断面図である。この開示内に述べられているように、および、図1Aに示されているように、眼の中心眼球軸は、角膜22、虹彩24、瞳25、レンズ26、および眼球20のガラス体28の中心を通る中心軸である。眼システム10は、上瞼12、下瞼14、およびまつ毛16を含む。それぞれの瞼12,14内に、それぞれ中央導管または開口部19を有するマイボーム腺18がある。健康な眼システム10においては、マイボーム腺18は、中央導管19から、主として脂質およびタンパク質を備えるマイバムと呼ばれる物質を分泌する。マイバムは、眼球20の表面を覆う涙膜の一部を形成する。
【0043】
図1Bは、健康なマイボーム腺、詰まった、および萎縮したマイボーム腺を示す内側の瞼を示す図である。マイボーム腺の慢性的な閉塞は、MGDおよびいくつかの形態の眼瞼炎に関連しており、中央導管の閉栓、および/またはマイボーム腺の萎縮につながり得る。MGDまたは眼瞼炎に関連する炎症は、同様に、中央導管19のさらなる圧縮を起こし得るものであり、マイボーム腺分泌の低減、したがって、涙膜における脂質の量の減少につながる。脂質の減少した涙膜は、すぐに蒸発し得るものであり、涙液蒸発亢進型ドライアイにつながる。低減された涙膜は、眼の内部または周囲の細菌レベルの増加に関連し得る。そのような細菌は、それらによる、または、眼を刺激する一定の副生成物による炎症をさらに悪化させ得る。我々の慢性的な閉塞マイボーム腺を周期的にクリーニングすることにより、マイボーム腺は、永続的に萎縮することから免れることができる。
【0044】
眼瞼炎に寄与すると考えられる他の要因は、ニキビダニおよびコニキビダニの存在であり、それらは、一般的に殆ど人間において発見され、眼瞼炎に苦しんでいる個人において、より多いことが報告されている。これらのダニは、まつ毛、およびまゆ毛の毛包内、並びにマイボーム腺および皮脂線内に生息し得る。これらの存在は、それだけで一定の個人の炎症につながるが、それはまた、そのようなダニが、これらの生存中に瞼領域に放出され得る一定の細菌をかくまっているかもしれず、さらなる炎症につながる。
【0045】
図2Aは、様々な実施形態による眼治療装置100の概略ブロック図である。図2Aに示すように、図示の装置100は、電力源モジュール110、エネルギー変換モジュール120、エネルギー導波路モジュール130、およびエネルギー伝送面140(圧迫要素とも言う)を備える。いくつかの実施形態では、エネルギー導波路モジュール130は、オプションであってもよい。他の実施形態では、エネルギー変換モジュール120、およびエネルギー導波路モジュール130は、一つのユニット内に結合されていてもよい。
【0046】
様々な実施形態の電力源モジュール110は、エネルギー変換モジュール120にエネルギーを供給する。電力源モジュール110は、眼治療装置100の一またそれ以上の他の構成要素に電力を供給するように構成されたいずれかの構造を含み得る。いくつかの実施形態では、電力源モジュール110は、使い捨てバッテリー、充電可能バッテリー、太陽バッテリー、電源装置や電力変換器のような電力変換モジュール、あるいは、コード、コンセント、または交流電流や外部ソースからの直流電流を受けるプラグのような電力変換機構を含む。
【0047】
エネルギー変換モジュール120は、一またはそれ以上の形態あるいは種類のエネルギーを放射する一またはそれ以上のエネルギー変換器を含んでもよい。例えば、以下により詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、エネルギー変換器は、光量子エネルギー、無線周波数エネルギー、電気エネルギー、磁気エネルギー、電磁エネルギー、振動性エネルギー、赤外線エネルギー、または超音波エネルギーを放射する。いくつかの実施形態では、エネルギー変換モジュール120は、複数種類のエネルギーを、同時に、または、所定の順序で生成する。
【0048】
エネルギー導波路モジュール130は、エネルギー変換器からのエネルギー放射の方向を制御またはフォーカスさせる一またはそれ以上の構造を含む。例えば、導波路モジュール130は、所望の領域に光量子エネルギーをフォーカスさせる一またはそれ以上の、反射板、屈折器、回折器、または拡散器(以下により詳細に説明れさる)、あるいは超音波ホーンや光ファイバのような、エネルギー放射を行って方向付ける他の構造を含んでもよい。
【0049】
図2Aの眼治療装置100は、エネルギー変換モジュール120によって生成されたエネルギーを所望の領域に向けさせるエネルギー伝送面140を、さらに有利に含んでもよい。例えば、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120によって生成されたエネルギーをフォーカスさせる一またはそれ以上のレンズを含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、エネルギー導波路モジュール130およびエネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120によって生成されたエネルギーの、眼の特定の領域に対する放射を、防いでもよいし、また制限してもよい。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120によって生成されたエネルギーに対して、不透明または伝送可能ではない領域、およびエネルギー変換モジュール120によって生成されたエネルギーに対して、透明または伝送可能な領域を含む。眼治療装置100のモジュールは、この開示の他の実施形態に関して、以下にさらに詳細に説明され、他の構成要素を含んでいてもよい。
【0051】
図2Bは、様々な実施形態による眼治療装置100の概略ブロック図である。図2Bは、図2Aと同様であり、電力源モジュール110、エネルギー変換モジュール120、光エネルギー導波路モジュール130、およびエネルギー伝送面面140を含む。エネルギー伝送面140は、実質的に固体でもよく、また、エネルギー伝送面140または眼治療装置100の他の部分から離れた要素を含んでいてもよい。
例えば、エネルギー伝送面140は、エネルギー伝送面140の固体部分からある距離に位置する拡張要素を含んでもよい。例えば、図2Bにおいては、拡張要素143は、エネルギー伝送面140の主要部分(もしあるなら)から離れた網構造として描写されている。拡張要素143は、エネルギー変換モジュール120によって生成された所望のエネルギーに対して少なくとも部分的に透明な表面を備え、エネルギー伝送面140の主要部分(もしあれば)、またはエネルギー導波路(もしあれば)、もしくはエネルギー変換モジュールと、瞼の表面12,14との間の間隔を保持してもよい。拡張要素143により形成される間隔は、例えば、瞼の強制空気冷却のため経路を提供するには有利であろう。
また、瞼の表面に対して拡張要素143を押圧することは、瞼12,14を温めること、および/または瞼内の目標となる構成要素のための光路長を削減し得る。光路長を削減することは、放射スループット、散乱の減少、屈折率整合、およびフルエンスの増加の改善により、組織を温めるのに有利であろう。拡張要素143は、細いワイヤ、またはプラスチック製の網、もしくは穴の開いた薄い金属、またはプラスチックの表面のような低熱量材料で形成し得るものであり、瞼の表面に圧力を与えつつ、瞼の形にぴったりと合うように構造化され得る。一の実施形態では、拡張要素143は、上瞼および下瞼に対して押圧された時、瞼の外側の合わされた上下を通して、与えられた圧力を一様に、または非一様に分配することができるように、構造化され得る。例えば、一つの実施形態では、拡張要素143は、中心眼球軸30に対して少ない圧力を与え、その他の場所ではより多くの圧力を与え得るものであり、それは、円錐角膜のような合併症になる可能性を増加させると考え得る、圧力が中心眼球軸上に瞼に対して繰り返し与える場合には、望ましいものであろう。他の実施形態では、拡張要素143は、積極的に加熱され、または冷却され得る。
【0052】
図2Cは、電力源モジュール110、エネルギー変換器120、光エネルギー導波路モジュール130、エネルギー伝送面140、および強膜シールド300(背板とも称される)を備える眼治療装置100の他の実施形態の概略ブロック図である。この実施形態では、一またはそれ以上の瞼12,14は、エネルギー伝送面140と強膜シールド300の間に位置している。
【0053】
エネルギー変換モジュール120は、一またはそれ以上の形態の、または種類のエネルギーを放射する、一またはそれ以上のエネルギー変換器を含む。例えば、以下に詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では、エネルギー変換器は、光量子、音響、無線周波数、電気、磁気、電磁、振動、赤外線、または超音波のそれぞれのエネルギーを放射する。いくつかの実施形態では、エネルギー変換器120は、複数の種類のエネルギーを、同時に、または所定の順序で発生する。光エネルギー導波路モジュールは、上述したように、エネルギー変換器からエネルギー放射の向きを制御し、フォーカスさせるために含まれ得る。
【0054】
図2Cの眼治療装置100は、エネルギー変換モジュール120によって生成されたエネルギーを、所望の領域にさらに向けるエネルギー伝送面140をさらに有利に含んでもよい。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換器120によって生成されたエネギーをフォーカスさせる一またはそれ以上のレンズを含み得る。エネルギー伝送面140(および/または図2Bに示す拡張要素143)は、(焦点のような)あるエネルギー伝送特性に適合させるために、および/または、瞼12,14の表面に接触させるために、および/または瞼12,14に圧力を加えるために、移動経路145に沿って移動可能としてもよい。瞼12,14に圧力を加えることによって、眼治療装置100の他の部分に関連して、固定された空間的な関係において、強膜シールド300を保持しながら、瞼12,14は、圧迫され得るものであり、それによって、瞼12,14、および/または眼内の目標となる構成要素を温めるための光路長を削減する。光路長を削減することは、放射スループット、散乱の減少、屈折率整合、およびフルエンスの増加の改善により、組織を温めるのに有利である。瞼は、圧力手段に対して瞼を加圧または押圧する背板によって加圧される。もしくは、瞼は、背板に対して瞼を加圧または押圧する圧力要素によって加圧される。
【0055】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換器120は、光量子、音響、無線周波数、電気、磁気、電磁、振動、赤外線、または超音波のそれぞれのエネルギーのような、複数の種類のエネギーを同時に生成し得る。例えば、第1のエネルギーは、瞼の外側表面を温め得るものであり、第2エネルギーは、より深く瞼組織内に突き進み、および/または、以下にさらに詳細に説明するモードにおいて、強膜シールドと相互に作用し得る。
【0056】
図2Dは、図2Cと同様に、電力源モジュール110、エネルギー変換器120、光エネルギー導波路モジュール130、エネルギー伝送面140、および強膜シールド300を備える眼科装置100の他の実施形態の概略ブロック図である。いくつかの実施形態では、強膜シールド300は、強膜シールド300に統合される画像変換器155をさらに含んでもよい。図2Eは、画像変換器155に隣接する瞼14を有する、強膜シールド300に埋め込まれた画像変換器155の拡大断面図である。
図示の実施形態においては、画像変換器155は、反射する。照明エネルギー170は、例えば、可視光または赤外線光でもよく、瞼14および従ってマイボーム腺18を通過し、反射面180に反射されてエネルギー伝送材185を通り、光路175に沿って進み、ついには眼瞼縁14aの上の画像変換器155から抜ける。画像変換器155から現れる結果画像は、画像変換器155に隣接する瞼14の部分の影像または透過像になり、照明エネルギー170によって照らされたものであることが好ましいであろう。このように、画像変換器155は、直接の可視化の下、あるいは、可視化装置または可視化手段として集合的に示す拡大要素またはカメラを用いて、瞼をめくる必要なしに、瞼14の内側の透過画像190を見える状態にし得る。図2Fは、図2Eに示す実施形態と同様の実施形態の正面図であり、マイボーム腺の透過画像190を示す。
【0057】
画像変換器155は、一組の鏡面、または反射面を有するプリズムを備えていてもよい。また、画像変換器は、光導体、光ファイバ束、画像センサ、またはこれらのいくつかの組み合わせのような光屈曲要素を備えていてもよい。様々な望ましい光学的特性は、画像の投射、屈曲、または拡大として、画像変換器155に組み入れられ得ることが好ましいであろう。そのような特性は、例えば、反射面180を湾曲させることにより、伝達材185の表面を成形することにより、および/または、屈折率を変化させることにより、ファイバ束におけるファイバ要素の密度および分布を変化させることにより、またはこれらのいくつかの組み合わせにより、達成し得る。画像変換器155が画像センサを含む実施形態においては、そのようなセンサは、CCD型、CMOS型、(オーストリア、リンツのヨハネスケプラー大学で製造されていたような)ルミネンスコンセントレータ、あるいは、透過データを捕捉して、視覚的、光学的、または電気的情報に変えることのできるいずれかの種類のセンサを用い得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、瞼14の診断および治療中における眼瞼縁14aの可視化は、重要な利点を提供する。例えば、上述したように、瞼14を、エネルギー伝送面140と、画像変換器155を有する強膜シールド300との間に位置させることは、瞼とマイボーム腺の透過画像の視覚化を可能とする。図1Bに示すように、健康な、詰まった、および萎縮したマイボーム腺の形態は、マイボーム腺の透過画像を見ることによりそれぞれのマイボーム腺の状態を診断することを可能にするのに十分な程度に識別される。図2Dに戻り、マイボーム腺の状態は、また、エネルギー伝送面140を移動経路145に沿って移動させ、瞼14に対して押圧させながら、瞼縁14aを観察することにより、透過することなく評価し得る。瞼14が押圧されると、眼瞼縁14aは観察され、マイボーム腺の状態は、上述したように、中央導管19からの分泌の質と量により評価される。
【0059】
もし、治療が診断の後が望ましい場合には、装置100は、圧倒的多数の病気にかかったマイボーム腺がエネルギー伝送面140と強膜シールド300との間に位置されるように、瞼14に沿って再配置され得る。一度、理想的に配置されると、エネルギー伝送面140は、瞼12,14の表面に接触するように、および/または強膜シールド300に向かって移動し続けて、瞼12,14に圧力を加えるように、移動経路145に沿って移動され得る。
【0060】
図2Dを参照すると、オプションのカップリング媒体195は、瞼12,14とエネルギー伝送面140との間に位置し得る。カップリング媒体195は、流体、ジェル、クリーム等であってもよく、およびグリセリンのような物質を含んでもよく、それは、光の散乱を削減することにより、瞼および目標の組織への光透過の効率性を増加させることができ、瞼12,14とエネルギー伝送面140との間の屈折率の不一致を削減することにより光透過性を増加することができる。角質層のような、眼瞼皮質表面の水和部分による散乱を削減することを促進してもよい。
【0061】
図2Gは、電力源モジュール110、エネルギー変換器120、オプションのエネルギー導波路モジュール130、エネルギー伝送面140、および画像変換器155を備える眼治療装置100の他の実施形態の概略ブロック図である。画像変換器155は、エネルギー伝送面140からのエネルギーの少なくとも一部を、瞼14の内側に向け直させることができる。例えば、瞼14は、エネルギー伝送面140と、画像変換器155を含む強膜シールド300との間に位置してもよい。エネルギー伝送面140は、エネルギーを、瞼の外側の一つおよび画像変換器155の少なくとも一つに向けさせる。画像変換器155は、エネルギー伝送面140からのエネルギーを、瞼の内側に向け直すことができる。画像変換器155を介して、エネルギーを瞼の内側に向けさせることの利点は、エネルギーの効率的な放射モードを提供でき、それ故に瞼縁に隣接した内側の表面少なくとも一部分を温めることができることである。この(画像変換器155を介した)加熱モードと、エネルギーが瞼を通して向けられる加熱モードとを組み合わせることにより、瞼の内側表面の全体的な加熱効率が最適化され、そこは、重大な詰まりと閉塞が起こるかもしれない区域なので、瞼縁に隣接した内側表面の優先的な追加加熱が達成され得る。付加温度センサは、瞼縁に隣接した瞼の内側表面の組織に近いところに位置され得るものであり、そこは、(図3を参照して以下に説明し示されるように)優先的な追加加熱が起こり得る。
【0062】
最近の実験では、赤外線の一定の波長が、周囲の組織および水よりも、僅かに高いレベルで皮脂腺により吸収されることが明らかになっている(“Selective photothermolysis to target sebaceous glands: theoretical estimation of parameters and preliminary results using a free electron laser”, by Sakamoto et al, Lasers Surg Med. 2012 Feb;44(2):175-83)。特に、著者は、1210nmから1726nmの波長が、周囲の組織を過加熱することなく、皮脂腺を最も効率的に加熱することを発見した。このような実験の意図は、にきびの原因となり得る皮脂腺を選択的に切除する方法を発見しようとしたものであるが、マイボーム腺は皮脂腺のサブクラスであり、したがって、多くの同じ構成要素を共有しているので、前記発見は本発明にとって重要である。
【0063】
このデータは、開示されたシステムが、光ベースの熱源の波長を1210nmまたは1726nmに調整することにより、利益を得るであろうことを示唆しているが、あいにく、商用利用可能な特有のLED、または、適度な短い時間で瞼を治療するのに十分なフルエンスを発生できる小型のレーザーダイオードさえも存在していない。しかしながら、複数のLEDまたはレーザーダイオードを一緒に集合させ、これらの出力エネルギーを、レンズ、光ファィバ、光パイプ、および当業者に知られる他の手段のような光学要素を使用して組み合わせることにより、十分なフルエンスを発生させることは可能である。そのようなアプローチは、携帯用の装置ではより実際的ではないが、フォトニック技術は、これまでにない早いペースで進歩しており、より小型化されそうなので、大出力LEDまたは小型レーザーダイオードは、本発明の耐用寿命内に使用可能となるかもしれない。そうであるから、システムのある実施形態においては、約1100nmから約1300nm、および約1700nmから約1730nmの範囲の波長を有するLEDまたはレーザーダイオードは、少なくとも付属的な熱源として、取り入れられ得る。
【0064】
図2Hは、図2Cと同様に、電力源モジュール110、エネルギー変換器120、オプションのエネルギー導波路モジュール130、エネルギー伝送面140、および強膜シールド300を備える眼治療装置100の他の実施形態の概略ブロック図である。
いくつかの実施形態では、強膜シールド300は、さらに、瞼を介して通過する一定の種類のエネルギーにより活性化され得るエネルギー変換コーティング194を含んでもよい。
一つの実施形態では、エネルギー変換コーティング194は、元々、瞼を通過したのと同じ形態のエネルギーを用いて、エネルギーの方法を瞼の内側に戻すように転換させることができる。
他の実施形態では、エネルギー変換コーティング194は、エネルギーの種類を変更し、変更したエネルギーを好ましい方向に向け、または放射するようにしてもよい。
一つの実施形態では、コーティングは、燐光性である。
例として、瞼を通して伝達されたエネルギーは、殆ど吸収されない組織を通して容易に通過する波長の可視光または赤外線光であってもよく、一旦、エネルギーがエネルギー変換コーティング194に到達すると、燐光性材料は、コーティングに隣接する組織、好ましい実施形態においてはマイボーム腺を含む瞼の内側表面であろうが、その組織によってより容易に吸収される異なる波長の光エネルギーを放射する。
他の実施形態では、コーティングによって吸収されるエネルギーのある形態は、瞼の内側表面を加熱し得る発熱科学反応を引き起こす。
図2Aから図2Hのいくつかの実施形態は、一またはそれ以上の以下のものを含む。支持アームを備えた強膜シールド、強膜シールドに統合された反射撮像素子、様々な温度の表示、消耗部分、消耗部分を識別して再使用を防ぐために装置と消耗部分との間の通信を行うためのコネクタおよび回路、データロガー、音声レコーダおよび記録機能を有するカメラ、および/または、瞼を通過したある種類のエネルギーにより活性化される伝送能力。
一つの実施形態では、エネルギー変換コーティング194は、元々、瞼を通過したのと同じ形態のエネルギーを用いて、エネルギーの方法を瞼の内側に戻すように転換させることができる。
他の実施形態では、エネルギー変換コーティング194は、エネルギーの種類を変更し、変更したエネルギーを好ましい方向に向け、または放射するようにしてもよい。
一つの実施形態では、コーティングは、エネルギー伝送面140から瞼を通したエネルギー伝送により機能する燐光性材料である。
例として、瞼を通して伝送されたエネルギーは、殆ど吸収されない組織を通して容易に通過する波長の可視光または赤外線光であってもよく、一旦、エネルギーがエネルギー変換コーティング194に到達すると、燐光性材料は、コーティングに隣接する組織、好ましい実施形態においてはマイボーム腺を含む瞼の内側表面であろうが、その組織によってより容易に吸収される異なる波長の光エネルギーを放射する。
他の実施形態では、コーティングによって吸収されるエネルギーのある形態は、瞼の内側表面を加熱し得る発熱科学反応を引き起こす。
【0065】
図3は、眼治療装置200の一実施形態の概略側面図である。図3に示す眼治療装置200は、MGD、眼瞼炎、および他の医療疾患のために、瞼14の治療を行う眼球20に関連して配置されるように示されている。
いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、瞼を圧迫しながら、瞼の内側および/または外側の表面を加熱する。
眼治療装置200からの熱が眼システム10、特に、マイボーム腺のような治療される組織に伝達された時、その熱は、マイバムを柔軟化し、それによって、マッサージまたは眼の運動の間に、マイバムをより容易に取り出せることができる。
眼治療装置200は、眼治療装置200の操作に役立つ付加的な構成要素と共に、図2Aから図2Hに明示するモジュールの構成を含むことができる。
【0066】
眼治療装置200は、ハウジング202に接続され得る取り外し可能または消耗部分260と、ピン、位置合わせガイド、スライドロック等の噛合手段186とを備えたハウジング202を含むことができる。
ハウジング202は、電力源モジュール110、オプションのコントローラ212、エネルギー変換器120、およびエネルギー変換モジュール120と移動経路145に沿ってスライド自在な関係にあるエネルギー伝送面140を含み得る。
また、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120、およびオプション的に温度管理構造220と連動し、またはこれらの一部であってもよく、これらは全体で、ハウジング202または装置200の他の部分に対してスライド自在であってもよい。
エネルギー伝送面140および連動部分の移動は、例えば、アクチュエータ182を用いることで行われ得る。
図3に示すような、いくつかの実施形態のエネルギー変換モジュール120は、一またはそれ以上のLEDエミッタ207、LEDレンズ208、温度管理構造220、およびエネルギー変換ドライバ209により形成されるLED装置を含み得る。
ハウジング202は、さらに、診断および治療中に、眼瞼縁のモニタリングを強化するための可視化手段160、内側および/または外側表面の温度のような瞼の様々な温度を示すディスプレイまたはダッシュボード218、データロガー214、音声レコーダ213、並びに、消耗品の種類を識別し、消耗品が正しく配置されていることを確実にし、および/または消耗品の再使用を防ぐために、装置と消耗回路22bとの通信用の回路226aを含んでもよい。
消耗部260は、瞼12,14の間に位置可能な強膜シールド300、および(図1に示すように)眼システム10の感応組織を覆う眼球20を含んでもよい。
例えば、強膜シールドは、強膜21と角膜22の上に位置してもよく、並びに、虹彩24、瞳25、レンズ26、および他の眼システム10の光感応組織のような他の眼の内部組織を保護し得る。
強膜シールド300の使用は、安全性を向上させ、および、繊細な眼組織に届いて損傷させるエネルギー変換モジュール120からの害のある光放射の可能性を削減することができる。
強膜シールド300は、エネルギー吸収材から形成し得るものであり、および/またはエネルギー吸収前面302を備え得る。
いずれの場合も、強膜シールド300または前面302によって吸収され瞼を通して伝達されるエネルギーは、前記シールドまたは前面をそれぞれ加熱し、それによって、瞼の内側表面に暖気を提供し得る。
背面および強膜シールド300の端部は、好ましくは、損傷を起こし得なくする円滑さ、バリなしの仕上げを確実にし、あるいは、角膜あるいは他の繊細な眼構造を損傷させる可能性を削減する材質および工程から形成される。
一つの好適な実施形態では、背面と端部は、多孔質テフロン(登録商標)(ePTFE)材料で覆われている。
強膜シールド300は、また、瞼上の力または圧力の量をモニタする力またはモニタセンサ221だけでなく、温度をモニタするための一またはそれ以上の温度センサ310を組み込み得る。
ワイヤ420のような電気伝導体は、センサ310,221を、ハウジング202内の回路に接続し得る。
図3Aは、上述したように、瞼14の内側および瞼の後ろのマイボーム腺を可視化し得る画像変換器155をさらに含む強膜シールド300の一実施形態を示す。
いくつかの実施形態では、強膜シールド300は、さらに、以下に図7Aのようなデータ伝達手段320および埋め込み電力源330として説明する、データ伝送手段、および/または埋め込み電力源を含み得る。
さらなる説明として、強膜シールド300は、一またはそれ以上のワイヤ420のような様々な態様でハウジング202に結合され得るものであり、そのようなワイヤは、支持アーム262として十分な機械強度を備えた絶縁体を備えている。
加えて、いくつかの実施形態は、装置と消耗品との間の通信用に回路226a,226bを備え得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、LEDエミッタ207の上のLEDレンズのような、レンズ208が使用し得る。
いくつかの実施形態では、レンズ208は、LEDエミッタ207の、所望の治療組織および/または強膜シールド300に対する、方向および強度を制御するために用いられる特別な形状のレンズであってもよい。
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、レンズとして働き、または、レンズとの組み合わせで用いられ、エネルギー変換モジュール120またはLEDエミッタ207からのエネルギーを、所望の治療領域に対して、フォーカスさせ、および向けさせる。
【0068】
これらの構成要素のそれぞれは、ここに説明するいずれかの実施形態において、単独で、または他の構成要素との組み合わせで用いられる。
眼治療装置200は、眼治療装置200の様々な構成要素に電力を供給する電力源モジュール110を含むことができ、前記構成要素のいくつかまたは全てと電気的に接続される。
いくつかの実施形態では、電力源モジュール110は、標準の、または充電システムに接続され得る充電可能なバッテリーのいずれかを用いて操作されるバッテリーである。
他の実施形態では、電力源モジュール110は、電気コンセントまたは外部のバッテリー供給部のような、外部の電力源に接続され得る。
いくつかの実施形態では、電力源モジュール110は、コントローラ212と電気的に接続され得るものであり、コントローラ212から指示を受け、眼治療装置200の様々な構成要素に電気エネルギーを提供する。
【0069】
コントローラ212を有するある実施形態では、コントローラ212は、(例えば、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、音声コマンドを介して、スマートフォンのような他のモジュールまたは装置から)ユーザからの入力指示を受けることができ、LEDエミッタ207からの光を放射する。
ユーザの入力指示を受けた際には、コントローラ212は、電力源モジュール110に、エネルギー変換モジュールドライバ209に対してエネルギーを伝達するように、または、エネルギー変換モジュールドライバ209から
エネルギーを受け取るように、指示を行い、エネルギー変換モジュールドライバ209は、LEDエミッタ207が、電力源モジュール110からの電気的エネルギーを(光のような)電磁エネルギーの他の形態に変換することを可能とする。
このように、エネルギー変換モジュール209およびLEDエミッタ207は、電力源モジュール110から受けた電気的エネルギーの変換器として働く。
【0070】
エネルギー変換モジュールドライバ209は、実際のプリント回路基板、IC、またはディスクリート構成要素のいずれとして構成されようとなかろうと、LEDを動作させ制御する回路を備える。
いくつかの実施形態では、それは、LED仕様内で、LEDエミッタ207を通して、制御された電流、電圧、または電力レベルを提供し、そこから所望の照明強度を提供するLEDドライバの機能を果たす。
オプションとして、LEDプリント回路基板は、パルス幅変調機能、PID回路、または、瞼の目標領域の所望の加熱を達成する時間を超えた放射の効果的な強度を変調するための同様の機能を含むことができる。
【0071】
LEDエミッタ207は、所望の治療に必要な適切な波長の光を放射するように構成可能な一種のエネルギー変換モジュール120の一部である。
治療は、一またはそれ以上の以下の要素を含み得る。内側および/または外側表面、瞼縁、および/または瞼の後ろのマイボーム腺を照明することにより瞼12,14を診断すること、眼システム10(例えば、瞼の後ろのマイボーム腺)の目標組織領域を加熱すること、並びに、眼システム10内を殺菌するための抗菌治療。
ここにおける様々な装置(眼治療装置220を含む)の説明は、例であり、限定ではない。
したがって、例えば、この詳細な説明が、特定の構成要素および特定の機能を有する回路について述べているが、これは、これらの特定の実施形態の開示を制限するものではない。
例えば、LEDについて述べられているが、白熱灯、キセノン、ハロゲン、高輝度放電、冷陰極管、蛍光灯、レーザーのような他の光源またはエネルギー源が使用可能である。
同様に、コントローラ212およびエネルギー変換モジュールドライバ209について述べられているが、コントローラは、光源用回路に、または、ソリッドステートまたは他の電力供給部に統合されるかもしれず、また、他の構成が所望の結果を得るために用いられるかもしれない、ということが理解されよう。
さらに、コントローラ212によって取り扱われる、または制御されるように説明された、いくつかのまたは全ての機能は、ディスクリートロジックまたはアナログ回路、またはこれらの組み合わせにより実現し得る。
さらにまた、装置200のような様々な形態が概略的に図示されているが、これらは、オプションの把持面、操作およびコントロール構造等を有する、様々な種類の、携帯用、あるいは備え付け用の構成において作成されることができる。
また、ここに説明された装置は、家庭内使用、および眼科病院、ヘルスクリニック、または他のヘルスケア施設内の使用を含んで、複数のセッティングにおいて使用されるように設計可能である。
【0072】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換モジュール120は、その代わりとして、例えば、白熱灯、キセノンまたはハロゲンランプのような幅広いスペクトルのランプであってもよい。
そのような幅広いスペクトルのランプは、眼疾患の治療に不要な特定の波長を取り除くために、また、エネルギー変換モジュール120からのエネルギーの治療組織への適用中に、眼システム10の目標の領域(例えばマイボーム腺18)における治療組織に対して害となり得る特定の波長を取り除くために、一またはそれ以上のカラーフィルタと併せて使用可能である。
【0073】
いくつかの実施形態では、電力源モジュール110から放射されるエネルギーは、可視光に変換可能であり、LEDエミッタ207により放射可能である。
いくつかの実施形態について、以下のように選択された波長の光を用いることが望ましい。
a)瞼をマイボーム腺または瞼の目標組織に隣接する他の組織までの深さ(例えば、ある個人において典型的に約1−2mm)まで進入するように選択された波長の光、
b)瞼組織を過ぎて進入する光の量を最小限にするように選択された波長の光、
c)瞼の表面で発生する熱の量を最小限にするように選択された波長の光。
例えば、いくつかの実施形態では、LEDエミッタ207は、約400−700nmの範囲の波長を有する光を放射可能である。
いくつかの実施形態では、LEDエミッタ207は、眼システム10内のマイボーム腺18の最適な治療のために選択された実質的に単一色の光を放射可能である。
いくつかの実施形態では、LEDエミッタ207は、ある範囲の波長の光を放射可能であり、その波長は、患者の治療に必要な条件に基づいて、また、複数の段階の治療方法において、特定の段階の意図的な目的に基づいて選択可能な波長である。
【0074】
いくつかの実施形態では、500−600nmの範囲の波長を放射する照明源が選ばれる。500−600nmの範囲の波長を選択するに当たっては、複数の考慮がなされ得る。例えば、この範囲は、組織内の光線の最も高い吸収を達成するために選択され得る。哺乳類の肌に投射される光エネルギーが反射され、放射され、または吸収される。
反射は、肌の特性、波長、および投射角度の機能である。肌表面の平面に直交して到達する光線は、斜めの角度で肌に到達する交線よりも少なく反射される。
肌を通した光の伝達は、内部の散乱、波長、および吸収の機能である。内部の散乱は、肌および下部組織の化学手的なおよび物理的な機能である。瞼の厚さ、角化細胞の密度、コラーゲン、および脂肪は、ある役目を果たし得る。
吸収は、主として、ある波長の光を選択的に吸収する経口にある発色団と呼ばれるある分子の集中および分布の機能である。人間の肌においては、可視スペクトルにおける比較を吸収する主な発色団は、酸化ヘモグロビン、脱酸素ヘモグロビン、様々なメラニン、およびある程度までは水である。
水は、スペクトルの紅色および赤外線の部分までは、光の波長を著しくは吸収しない。
メラニンは、可視スペクトルの吸収をかなり高い程度に行う経口にあり、波長が増大するに従って徐々に先細りする。
酸化ヘモグロビンの二つの吸収ピークは、532nmと577nmの辺りに見られる。
脱酸素ヘモグロビンのピークは、550nmの辺りである。
【0075】
様々な実施形態において、技術上の成約も、波長の選択に影響を及ぼす。選択された波長は、特定の構成において容易に作成することができ、光エネルギーを瞼に伝える装置に適切なワット数および物理的パッケージを有する装置により放射され得るものである。非常に高出力のLEDの場合には、将来は改善されそうであるが、現在は選択が制限されている。例えば、LED Engin社(サンノゼ、カリフォルニア)は、523nm辺りの名目上の中心/ピーク波長を有するLZ4-00G108のような10W版の緑色LEDを製造する。
数量限定のものは、また、約527nmおよび532nmのピーク波長で使用可能である。
【0076】
様々な実施形態が、瞼(および続いて起こる瞼を越えた構造の不必要な加熱)を通して過度の伝達を行うことなく、および過度の表面の加熱を行うことなく、所望の組織の加熱効果を作り出すために、可視光スペクトルの500−700nmの部分内で波長を放射する。さらに、可視光スペクトルのこの部分内の波長の放射を行うことは、紫外線、赤外線、および青色を含む、強膜を組み込まない実施形態についての電磁スペクトルの望まれない部分を避ける。
【0077】
いくつかの実施形態では、光のより長い波長の光が、組織内により深く進入するように使用される。例えば、700−1000nmの間の波長の赤色および近赤外線(NIR)は、より容易に瞼を通過し、上述した範囲の波長よりも、より深く進入する。800−900nmの周辺には、人間の組織の「光学的窓」が存在し、そこにおいては、発色団の吸収が最低のレベルであるという事実により、組織および瞼を、エネルギーが最も効果的に通過する。
強膜を使用しない瞼に対する光学的治療の応用においては、NIRの使用は、瞼を通過して直接眼に至り、恐らく眼の繊細な組織に影響を与える過度の光エネルギーにより、多分行われないであろう。眼を保護する強膜を使用する場合は、しかしながら、NIRは、瞼を通過するために効果的に使用され得る。例えば、850nmのNIRは、瞼を通過し、強膜に吸収され、次に、瞼の内側表面上の隣接組織を温めることができる。
議論の完全性のため、短い波長および中間波長の赤外線(時々、IR−BおよびIR−Cと呼ばれる)のある波長は、上述した他の発色団の最も高い組み合わされた吸収よりも、より高い吸収のレベルを有している。特に、3,000nmの波長は、そのようなより高い吸収を有することが示されている。かくして、強膜と共に、あるいは強膜なしで、この波長または帯域内の他の波長を安全に使用する実施形態が存在し得る。これらのより高い波長での他の「光学的窓」も(800−900nmで述べられた窓に加えて)存在し、それはいくつの実施形態で利用されることに注意されたい。
【0078】
いくつかの実施形態では、400−450nmの範囲の青色光または紫色光を放射する照明源が、眼システム10における細菌を削減し、および/または取り除くために用いられ得る。可視光、より詳細には、青色光または紫色光の波長に対する露出は、ある細菌種の不活性化を起こすことが知られている。一般的な細菌は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、バチルス・オレロニウス菌、およびプロピオニバクテリウムアクネス菌を含む。
400−450の範囲で波長を選択することにおいては、複数の考慮がなされ得る。例えば、放射源(LED)は、約400nm以下の相当量のエネルギー、それはUVAスペクトル内であり、皮膚癌に関連付けられ得るものであるが、そのようなエネルギーを放射しないことは重要である。
【0079】
他の実施形態においては、光の一またはそれ以上の波長が選択され得るものであり、それは、殺傷、非活性化、または再生工程の中断のため、ニキビダニの外骨格、内部構造、または卵によって好適に吸収される。
【0080】
いくつかの実施形態では、照明源は、涙膜厚および安定性を特徴付けるために用いられ得る。例えば、エネルギー変換モジュールはコバルトブルー光源を有してもよいし、可視化手段160(例えば、ビューイングレンズ)は、黄色のラッテンフィルタを有してもよいし、患者は、フルオレセイン点眼を与えられてもよく、これにより、臨床医は、ラッテンフィルタを介して眼の表面を見ることにより、涙膜破壊時間を測定できる。
また、光量子エネルギーの様々な波長は、指標用の点眼と共に、または指標用の点眼なしで、眼の表面に照射され、あるいは、表面を横切って照射され、直接の視覚観察、または画像取り込みおよび処理のいずれかを通じて、安定性、および/または、涙膜および/または油層の厚さが判断され得る。
【0081】
照明源としてLEDを用いた他の実施形態では、LEDエミッタ207は、各LEDから異なるまたは同じ波長の光を放射する、一またはそれ以上のマルチスペクトルLED、または複数のLEDを含むことができる。
いくつかの実施形態では、LEDエミッタ207の各LEDは、異なる波長の光を放射するように構成される。LEDリミッタ207は、各異なる色のLEDから、連続的にまたは同時に光を放射することができる。例えば、いくつかの実施形態では、LEDリミッタ207は、赤、緑、青(RGB)のLEDシステムまたは他のマルチスペクトルLEDシステムを含むことができ、可視光スペクトルおよびIRスペクトル内の様々な波長の光を放射する。いくかの実施形態では、LEDエミッタ207のLEDは、白色光を放射するように同時に作用することができる。また、いくつかの実施形態では、使用者は、マルチスペクトルLEDから放射される光の波長を選択することができる。さらに、入力パワーに関連して、最も効率的な出力スペクトルを生成するために、特別な燐光コーティングがなされたLEDが製造され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、LEDエミッタ207は、高輝度LEDアレイを含むことができる。高輝度LEDアレイは、LEDエミッタ207の一部として、いくつかの実施形態では、約0.5−75Wの入力定格、好ましくは1−10Wの範囲で動作することができる。エネルギー変換モジュール120の温度を、機能的な限度内に抑えるために、(ヒートシンク、他の実質的なサーマルマスのような)温度管理構造220が、熱的にLEDエミッタ207に繋がれ得る。特定の実施形態では、高輝度LEDアレイは、約500−600nmの間の波長を有する光を放射し得る。
【0083】
エネルギー変換モジュール120は、いくつかの実施形態では、上述したNIR帯内のような、赤外線エネルギーの形態で治療組織に電磁エネルギーを供給する。例えば、LEDエミッタ207は、LZ4−00R408のような商用利用可能なLEDとすることができ、それは、850nmのNIRを放射し、LED Engin(サンノゼ)により製造される。また、エネルギー変換モジュール120は、LED光源の代わりに、治療組織の場所に赤外線エネルギーを放射する、赤外線白熱灯、キセノン、ハロゲン、高輝度放電、冷陰極管、ハロゲン広スペクトルランプのような他の赤外線光源であり得る。
【0084】
眼治療装置200は、(以下の他の実施形形態における反射板210のような)反射板を含み得るものであり、反射板は、エネルギー変換モジュール120から放射される電磁エネルギー(例えば、光)を向けさせる導波路として作用し得る。反射板は、例えば、LEDエミッタ207のような電力源から電磁エネルギーを均一に、エネルギー伝送面140を介して、患者の目標治療場所に向けさせることができる。
【0085】
エネルギー変換モジュール120は、所望の角度または所望のパターンで、所望の強度でエネルギーを瞼に向けさせ、LEDエミッタ207または他の電磁エネルギー源と併せて使用されることができるレンズ208を備えることができる。
【0086】
図3に、眼治療装置200の一部を形成するエネルギー伝送面140を示す。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120に関して、移動経路145に沿ってスライド自在な関係を有している。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120に対して末端の位置においてハウジング202内に位置することができ、およびエネルギー変換モジュール120と眼システム10の組織治療場所との間に位置することができる。
このような位置にすることで、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120から伝達される電磁エネルギーを通過させ、受け、および伝送することができる。いくつかの実施形態において、エネルギー伝送面は、(眼治療装置200に関して)凹形状とすることができるので、閉じた時にエネルギー伝送面140は、瞼12,14の形状に対応する。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120から発せられるどんな電磁エネルギーでもエネルギー伝送面140を通過しなければならないように形づくられ得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、瞼12,14に隣接して位置しており、瞼12,14に物理的に接触していないが、代わりに、光を放って熱を治療組織に伝送する。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120によって伝達される所望の電磁エネルギーに対して実質的に透過で、所望のエネルギーの種類または波長が治療組織に到達することを著しく妨げることなく、エネルギー変換モジュール120からのエネルギーの伝達を可能とする。
いくつかの実施形態においては、エネルギー伝送面140は、光プラスチック、サファイア、ガラス、フッ化カルシウム、または繊維ガラスから作られ得る。それは、外側の表面を綺麗にし、傷つき難くすることが容易である。
オプションとして、温度センサ310は、エネルギー伝送面140上に、またはその中に、あるいは隣接して位置し得るものであり、エネルギー伝送面140および/または瞼の外側の表面に熱をフィードバックさせる。
【0088】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120と併せて、動作するように構成でき、不必要な波長が治療組織または眼システム10の他の部分に到達しないようにフィルタを通すことで取り除く。例えば、いくつかの実施形態では、照明源は、IRと可視光スペクトルの両方における電磁エネルギーを伝達し得る。
エネルギー伝送面140は、例えば、可視光スペクトルからのエネルギーの通過を可能とするが、IRスペクトルからのエネルギーを、フィルタを通すことで除去する。同様に、もし一色からのエネルギーのみが治療組織に到達することが望ましい場合には、エネルギー伝送面140は、バンドパスフィルタとして用いることができ、また、所望の色以外の波長のエネルギーの通過を制限するフィルタと共に用いることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、瞼12,14と物理的に接触するように構成することができる。上述したように、いくつかの実施形態においては、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120と共に移動経路145に沿ってスライド自在な関係にし得る。これは、エネルギー変換モジュール120を瞼と固定的な関係にすることを可能とし、エネルギー伝送面140は瞼12,14に接触するように移動され得る。
瞼12,14の外側の表面とエネルギー伝送面140との間の空間を削減するための代わりのアプローチも可能である。例えば、エネルギー変換モジュール120およびエネルギー伝送面140は瞼に向かって一緒に移動し得るものであり、強膜シールド300は相対的に固定された位置に維持し、または、強膜シールド300は装置の他の部分に対して相対的に移動し得る。
どの場合でも、移動は、臨床医が触覚のフィードバックを判断することを可能とするために、好ましくは臨床医によって手動で行われる。ある実施形態では、眼治療装置200は、エネルギー伝送面140を移動させるために、レバー、ボタン、ホイール、スライダー、またはスイッチのようなアクチュエータ182を含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140の少なくとも一部は、図3に示すように、使い捨てのカバー要素として構成し得る。好ましくは、そのような使い捨てのカバー要素147は、装置の消耗部260に組み入れられ、使い捨てのカバー要素147は、消耗部がハウジング202に取り付けられる場合に、自動的にエネルギー伝送面140に整列されて、装填される。
【0091】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、熱を導電的に伝達するように加熱され得る。他の実施形態では、殆どの組織の加熱は、エネルギー変換モジュール120から組織および/または強膜シールド300への放射加熱の結果として起こり、実質的に、所望の電磁エネルギーの全ては、エネルギー伝送面140を殆ど加熱せずに、または全く加熱せずに、エネルギー伝送面140を通過する。
さらに他の実施形態では、組織の加熱は、エネルギー伝送面140のプリ加熱またはアクティブ加熱によって起こる導電的加熱と、組織および/または強膜の放射加熱との組み合わせの結果として行われ得る。
エネルギー伝送面140は、瞼の外側表面に接触するに先立って、例えば42℃まで、光エネルギーまたは他の手段によってプリ加熱し得るエネルギー吸収層またはパターンを組み込み得る。または、エネルギー伝送面は、熱伝導材料から作られ得るものであり、熱的にエネルギー伝送面140に接続されるヒータによって加熱され得る。
伝送面140が熱伝導材料により作られる場合には、その材料は、エネルギー伝達モジュール120からの(光のような)エネルギー源に対して伝送可能であってもよく、または伝導加熱以外のエネルギーの他の形態に対しては、固体で、不透明で、あるいは伝達可能ではなくてもよい。
伝送面140が不透明または伝達可能ではない場合には、それは、同またはアルミニウムのような導電金属で形成し得るものであり、その場合には、伝送面140は、(抵抗ヒータのような)サーマルマスを加熱する如何なる手段を備えるエネルギー変換モジュール120により加熱し得るものであり、瞼を伝導的に加熱するように、瞼に対して押圧される。
伝送面140が、熱伝導的なエネルギーに対してだけでなく、エネルギーの他の形態に対して伝導可能である場合には、サファイア、フッ化カルシウム、ダイヤモンド、グラフェン等のような材料から製造され得る。
一つの好適な実施形態では、以下のような加熱の3モードまでは同時に発生する。
i)瞼の内側表面は、エネルギー吸収を行う強膜シールド300に伝達される赤色または赤外線光を用いて温められる。
ii)瞼組織は、発色団により吸収される可視光(例えば、緑色)により放射により加熱される。
iii)瞼組織は、プリ加熱されたエネルギー伝送面140を瞼の外側表面に接触させることにより、伝導的に加熱される。
ここに説明した光に基づく加熱技術を用いる著しい利点、および具体的には、エネルギー吸収面の赤外線加熱は、単独で、または他の2つの加熱モード(発色団の可視光加熱および組織の伝導的加熱)と、目標組織の加熱との組み合わせで、瞼表面の外側または内側の伝導的加熱についての従来の方法による場合よりも著しく速く、達成し得る。
具体的には、これらの組み合わされたモードでは、マイボーム腺組織は、例えば、約40−42℃の温度に、1分よりも短い時間で、合わせられ得る。
具体的には、いくつかの場合、マイボーム腺組織は、10、15、25、30、または45秒内で、40−42℃に合わせられ得る。
【0092】
図3に示すように、可視化装置または手段160は、眼システム10を見るために用いられ得る。いくつかの実施形態では、可視手段160は、眼治療装置200の一部である得る。他の実施形態では、可視化手段は、分離された構成要素になり得る。可視化手段160は、例えば、拡大鏡、カメラ、顕微鏡、スリットランプ器具、または他の好適な可視化器具を含んでもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、強膜シールド300は、さらに、瞼およびマイボーム腺の部分の透過画像を見ることを可能にする画像変換器155を含み得る。上述したように、画像変換器は、例えば、一またはそれ以上の反射面、鏡、光パイプ、プリズム、光ファィバ束、画像センサ、または他の好適な画像変換手段を含み得る。図3に示すように、画像変換器155は、強膜シールド300に統合されるが、他の実施形態では、画像変換器115は、別の構成要素であってよい。
【0094】
他の実施形態では、付加的なシールド要素258は、(IRまたは青/紫のような)不必要なエネルギーが、透過要素から反射して臨床医まで戻ることを防ぐために使用され得る。例えば、シールド要素258は、加熱および青色/紫色光治療モード中に(図3に示すように)画像変換器155、およびことによるとエネルギー変換器120またはエネルギー伝送面140を越える位置に旋回し、はじかれ、またはスライドする薄く、(少なくとも可視光の青およびIR光エネルギーをブロックする)不透明なシールドまたはフィルタであり得るものであり、臨床医を保護する。
または、画像変換器155の一部、および/または可視下手段は、選択的な光学フィルタまたはフォトクロミック要素を含み得るものであり、マイボーム腺の透過画像を評価する目的で瞼を低レベルで照射中に、フォトクロミック要素は、実質的に全ての光を通過させ、赤外線エネルギーまたは高レベル可視光が用いられる加熱モード中に、そのエネルギーの全ては、減衰され得るものであり、それによって臨床医を害から遮断する。
【0095】
さらなる明確化のため、実施形態のいくつかのクラスを説明する。実施形態の一つのクラスにおいては、装置は、個人による、典型的には家庭使用の環境における自己投与の使用を目的としている。このクラスにおいて、強膜シールドの使用は実用的ではなく、したがって、(光または赤外線光のある波長のように)エネルギーの不必要な形態が、瞼に進入し、眼の繊細な組織に到達する高いリスクがある。したがって、実施形態のこのクラスは、好ましくは、450−700nmの範囲の可視光のようなエネルギーの安全な形態の使用に限定される。
実施形態の他のクラスは、装置が、コントロールされたオフィス環境での眼科医による使用を目的としており、この環境では、強膜シールドの構成要素を備えた治療システムが安全に使用される。このクラスでは、強膜シールドは、エネルギーが繊細な眼構造に対してダメージを与えるエネルギーが少なくまたは全くないことを確実にする形状および材料を備えて設計することができる。
【0096】
病院内装置−病院内装置の実施形態は、一またはそれ以上の、マイボーム腺の診断、マイボーム腺の治療、および眼システムの抗菌治療を含む。
好ましい実施形態の一つのセットは、マイボーム腺の診断は、2つの方法で実行される。第1に、可視下手段を用い、または用いずに、画像変換器を用いてマイボーム腺を見て評価するために、瞼の外側表面に向かって向けられる、エネルギー変換モジュールからの可視またはIR照明を用いる。第2に、瞼を若干圧迫することにより、瞼縁を観察しながら、マイボーム腺の中央導管からの脂の分泌の量と質を記録する。
治療については、実施形態の1つのセットにおいて、瞼は加熱され加圧される。800−900nmの辺りのエネルギー変換モジュールからの近赤外線(NIR)エネルギーは、瞼を通して強膜シールドに伝達され、次に、瞼の内側表面を加熱し、結果として温める。
加えて、約500−600nm(緑色光)の範囲のエネルギー変換モジュールからの可視光は、瞼の外側表面に向けられ、発色団吸収の手段により組織を加熱する。エネルギー伝送面は、次に、エネルギー伝送面と強膜シールドとの間に瞼を押圧するために、臨床医により、直接または間接の手動コントロールを介して、瞼に向かって移動される。
オプションとして、エネルギー伝送面は、外側の瞼に伝導加熱を与える治療中に、プリ加熱され、および/または積極的に温められ得る。内側および/または外側の瞼の表面の温度は、測定され、臨床医のために表示され得る。臨床医は、加熱エネルギーおよび加圧力を与え、詰まったマイボーム腺からマイバムの表出を最適化するために、瞼縁を視覚的にモニタリングする。最後に、エネルギー変換モジュールは、約400−450nmの範囲の青色/紫色光を発生し、眼システム10内の細菌を削減および/または取り除く。
【0097】
家庭内使用装置−家庭内使用の装置の実施形態は、エネルギー変換モジュールから、エネルギー伝送面発を通して伝達される可視光を使用し、色団吸収の手段により組織を加熱するために瞼の外側表面を目的とする
ある好ましい実施形態では、可視光は、あるフィルタを通過する高輝度広スペクトルLED光(例えば白色)であり得るものであり、または、緑色、緑黄色であってもよく、あるいは、フィルタのない緑白色LED(500−600nm)であってもよい。
ある実施形態では、エネルギー伝送面は、可視光に対して透明であり、熱的に伝導的であり、瞼に対して表面を圧迫するのに先だって、あるいはその間(図2A参照)、温められる(例えば、42℃まで)。
ある実施形態では、エネルギー伝送面は、光エネルギーの殆どがそれを通過可能とする(図2Bに示すおよび上述したような)拡張要素143を備えてもよく、エネルギー変換モジュールと瞼表面12,14の間の間隙(例えば、瞼の受動的または能動的冷却を可能とする)を保持する。
エネルギー伝送面は、瞼の形状に一致してもよく、および放射エネルギーの光路長を短くするために、瞼の表面に対して圧迫される。
いくつかの実施形態では、応急手当領域から光が逃げることを防ぐために、および瞼または眼周囲の領域から所定の距離に少なくとも装置の一部を維持するため、アイカップが用いられる。
【0098】
図4Aから図4Cは、眼治療装置の他の実施形態を示す。図4Aは、眼治療装置200の概略側面図である。図4Aに示す眼治療装置200は、MGD、眼瞼炎、および他の医療疾患について、眼の治療を行う眼球20に隣接して位置している。簡単のために、角膜、虹彩、瞳、レンズおよび周辺の要素のような繊細な眼構造は、図4A−4D、図5A−5B、図6図11A−11B、図12図13、および図15Aにおいて、前方眼構造27と呼ばれる単一の要素として描かれる。
眼治療装置200は、眼治療装置200の操作に役立つ付加的な構成要素と共に、図2,3に描かれるモジュールの構成を含むことができる。眼治療装置200は、電力源モジュール110、コントローラ212、エネルギー変換モジュール120、反射板210の形態のエネルギー導波路、およびエネルギー伝送面140を含むことができる。
いくつかの実施形態のエネルギー変換モジュール120は、一またはそれ以上のLEDエミッタ207、LEDレンズ208、およびエネルギー変換モジュールドライバ209から形成されるLEDドライバを含み得る。
これらの構成要素のそれぞれは、単独、または(ここに示され、または開示されていない)他の構成要素との組み合わせのいずれかで、図2A−2Hに関連して説明されるモジュールに対応することができ、あるいはその一部になることができる。眼治療装置200の構成要素は、ハウジング202に含めることができる。治療装置200の実施形態のいくつかは、図3および図6に示すような、消耗部260、および/または強膜シールド300もまた含み得る。
【0099】
エネルギー変換モジュールドライバ209は、実際のプリント回路基板、IC、またはディスクリート構成要素として構成されようとなかろうと、LEDを動作させ制御する回路を備えることができる。いくつかの実施形態では、それは、LED仕様内で、LEDエミッタ207を通して、制御された電流、電圧、または電力レベルを提供し、そこから所望の照明強度を提供するLEDドライバの機能を果たす。
オプションとして、プリント回路基板は、パルス幅変調機能、PID回路、または、瞼の目標領域の所望の加熱を達成する時間を超えた放射の効果的な強度を変調するための同様の機能を含むことができる。
【0100】
エネルギー伝送面140は、ハウジング202に関して、エネルギー変換モジュール120の末端に位置することができ、エネルギー変換モジュール120および眼システム10内の組織治療場所との間に位置することができる。このように位置させることにより、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120から伝達される電磁エネルギーを、通過させ、または受け取り、および伝達することができる。
エネルギー伝送面は、凹形状とすることができるので、閉じたおよび眼球20を覆う時に、エネルギー伝送面140は、瞼12,14の形状に対応する。エネルギー伝送面140は、ハウジング202の必須の部分であってもよく、実質的に、眼治療装置200の末端をシールし得る。
また、エネルギー伝送面140は、独立に、あるいは、エネルギー変換モジュール120と共に、ハウジング202に対して移動し得る。以下のガスケット、オーリング、または同様のシール手段のようなシール要素は、移動可能要素とハウジングとの間の接点の汚染を防ぐために用い得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、瞼12,14に隣接して位置しており、瞼12,14に物理的に接触していないが、代わりに、光を放って熱を治療組織に伝達する。エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120によって伝達される所望の電磁エネルギーに対して実質的に透明で、所望のエネルギーの種類または波長が治療組織に到達することを著しく妨げることなく、エネルギー変換モジュール120からのエネルギーの伝達を可能とする。
いくつかの実施形態においては、エネルギー伝送面140は、光プラスチック、サファイア、ガラス、フッ化カルシウム、または繊維ガラスから作られ得る。それは、外側の表面を綺麗にし、傷つき難くすることが容易である。
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120と併せて、動作するように構成でき、不必要な波長が治療組織または眼システム10の他の部分に到達しないようにフィルタを通すことで取り除く。例えば、いくつかの実施形態では、照明源は、IRと可視光スペクトルの両方における電磁エネルギーを伝達し得る。エネルギー伝送面140は、例えば、可視光スペクトルからのエネルギーの通過を可能とするが、IRスペクトルからのエネルギーを、フィルタを通すことで除去する。
同様に、もし一色からのエネルギーのみが治療組織に到達することが望ましい場合には、エネルギー伝送面140は、バンドパスフィルタとして用いることができ、また、所望の色以外の波長のエネルギーの通過を制限するフィルタと共に用いることができる。あるいは、上述したように、エネルギー伝送面140は、使い捨てのカバー要素147を含み得る。そのようなカバー要素147は、光または他の形態のエネルギーの全ての関連する波長に対して透明であり、あるいは、所望のフィルタ特性を備え、および付加的に温度または圧力センサを含んでもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、瞼12,14と物理的に接触するように構成することができ、および治療組織に熱を伝導的に伝達してもよい(または以下に説明するように、瞼の冷却を促進してもよい)。
他の実施形態では、圧倒的多数の組織加熱は、エネルギー変換モジュール120からの放射加熱の結果として起こり、実質的に全ての所望の電磁エネルギーは、エネルギー伝送面140を通過し、組織により吸収され、それによって、組織の加熱し、エネルギー伝送面140を僅かに加熱するか、または全く加熱しない。装置は、エネルギー伝送面140なしで構成してもよい。
しかしながら、エネルギー伝送面140は、瞼の外側表面を所望の温度範囲に保つことをアシストし、およびある安全センサを便利な位置に置けるという可能性だけでなく、主要な患者の接表面を容易に綺麗にするという利点がある。
使い捨てのカバー要素147が、エネルギー伝送モジュール140の一部または全てとして用いられる実施形態では、使い捨てのカバー要素147は、温度センサを含んでもよいが、カバー要素147に(ハウジングに関して)近い方に位置する、サーモパイル、または、焦電センサのように、非接触のセンサが用いられる。そのような実施形態では、カバー要素147は、好ましくは、非接触のセンサが検知を行うように設計された赤外線の波長に対して透過である。
【0103】
図4Bは、眼治療装置200のエネルギー変換モジュール120の概略平面図である。図4Bに示すように、LEDエミッタ207は、個々のLEDのアレイとして配置し得る。表示したように、LEDエミッタ207は、(LED Engin株式会社のL29の構成のように)LED3×3アレイに配置され、LEDエミッタ207は、この配置に限定されないが、行と列の様々なアレイに配置された複数のLEDのアレイを含むことができ、いくつかの実施形態は、単一のLED、あるいは他の種類の照明源を備えてもよい。
反射板210は、LEDエミッタ207を部分的または完全に囲んでもよく、所望の態様で、LEDエミッタ207からの光の放射を行うことができる。レンズ208は、LEDエミッタ207の上に位置することができ、反射板210の内径内に位置することができる。
【0104】
図4Cは、眼治療装置200の一実施形態の概略側面図であり、装置は、動作可能で、眼システム10および治療組織に光211を伝送する。図4Cにおいて、光ビーム211は、エネルギー変換モジュール120から放射される。光ビーム211のいくつかの部分は、修正することなく、エネルギー伝送面140を通過して治療組織に到達しないような角度で、当初は照射される。図示したように、反射板210は、エネルギー伝送面140に向かって、角度を有して放射された光を反射し、案内し、それによって、目標となる組織の加熱の効率性を改善する。光ビームの部分は、エネルギー変換モジュール120からエネルギー伝送面140に直接伝送されていてもよい。
【0105】
図4Dは、眼治療装置200の他の実施形態の概略側面図である。この実施形態では、もし、例えば、眼治療装置200の他の構成要素が、光ビーム211の方向と強度とを制御するのに用いられ得る場合には、光ビーム211の伝達は、反射板210の助けなしに管理されていてもよく、このような要素としては、特別に形づけられたレンズ208、付加的なレンズ要素、光パイプ、全内部反射(TIR)要素、反射要素、回折要素、鏡要素、拡散器等、またはこれらの組み合わせがある。
光エネルギーが、マイボーム腺のような、瞼12,14内の目標組織に対して、深く、しかし、著しくは越えずに進入するように、光エネルギーのフォーカスと強度とを制御するためには、このような態様が望ましいかもしれない。
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、レンズとして、またはレンズと共に作用して、光ビーム211を、中心眼球軸から離れ、眼球20の前方眼構造27および網膜のような眼の他の繊細な組織を避けるように、所望の治療組織に対してフォーカスおよび方向付けを行うために用いられてもよい。
上側瞼12および下側瞼14が合う領域は、一個人から他の個人まで変化することが好ましく、殆どの個人において、その領域は、一般には、中心眼球軸の下にある。しかしながら、ある実施形態が、どのように中心眼球軸で瞼に進入する極端な光線211のリスクを軽減するかを論証する目的で、中心眼球軸で瞼が受ける最悪の場合の状況が示される。
瞼に進入し、繊細な組織に到達する過度の光線に関連するリスクの少なくともいくつかは、治療される個人に、彼/彼女の眼球を軸から外れるように動かせることにより、削減され、瞼のみに進入する光線の殆どが、一般にはそれほど繊細ではない強膜に到達する。
【0106】
図4Eは、中心眼球軸を直接通過する光の量を最小化しつつ、瞼の表面を横切る光エネルギーの分散を改善するための付加的な光学要素を備える特定の実施形態を示す。エネルギー変換モジュール120は、LED Engin社のLZ29のようなLED、プリズム280、成形レンズ282、および面ガラス284(ここに開示した他の実施形態におけるエネルギー伝送面140としての機能と同様の機能を果たす)。瞼12,14および眼20は、また、光学的要素との関連で示されている。
この特定のデザインにおいて、プリズムは、6研磨面、およびLEDを収容する半径3.5mmの半球凹面を備えたガラス要素である。プリズム表面にはコーティングは行わない。入口および出口表面は、約5−6%効率を増加させる(オプションの)反射防止コーティングを備えることができる。
図4F−4Hは、プリズム280の形状と大きさを例示的に示す図である。材料は、BK7でよく、表面は好ましくは研磨される。図4Fは、正面図であり、図4Gは、側面図であり、図4Hは、A−A断面図である。図4J−4Mは、成形レンズ282の形状と大きさを例示的に示す図である。図4Jは、正面図であり、図4Kは、A−A断面図であり、図4Lは、側面図であり、図4Mは、斜視図である。図4N、4Pは、上記図4E−4Mにおいて説明したシステムの理論的な光学性能を示す図である。図4Nは、瞼の表面上において、1平方ミリメートル当たりのワット数で、照度として測定した光分布を示しており、光分布は、かなり均一であることが示されている(エネルギー変換モジュール120のLEDを直接に、または、平面ガラスのエネルギー伝送面を通して瞼に照射し、殆どの光が瞼の中央に投射され、非常に少ない光が縁に到達する場合と対称的である)。算出された合計の光束は、0.86ワット、最大の照度は1平方ミリメータ当たり2.2ミリワット、および均一性は、約80%と見積もられる。図4Pは、眼に到達する(つまり、瞼組織を通過する)照度の量を示している。算出された合計の光束は、0.019ワット、最大の照度は1平方ミリメータ当たり0.18ミリワットである。
【0107】
図5Aおよび図5Bは、眼治療装置200の一実施形態を表している。図5Aは、眼治療装置200の概略の側面図であり、図5Bは、眼治療装置200の概略の正面図である。眼治療装置200の実施形態は、図4A−4Cに示したものと同様の構成要素を含み得るものであり、電力源モジュール110、およびコントローラ212を含むが、そのような構成要素は、図5Aおよび図5Bには示されていない。
図5Aは、光ビーム211の方向のフォーカスおよび制御のためのエネルギー変換モジュール120についての異なる構成を示す。いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、複数のエネルギー変換モジュールを含むことができ、少なくとも1つのエネルギー変換モジュール120aが、上側瞼12内の目標組織に対して電磁エネルギー(例えば、光ビーム211)を提供するための眼治療装置200の上側領域に位置することができ、および、少なくとも1つのエネルギー変換モジュール120bが、下側瞼14内に存する目標組織に対して電磁エネルギー(例えば、光ビーム211)を提供するための眼治療装置200の下側領域に位置することができる。
眼治療装置200に別々に位置する別々のエネルギー変換モジュール120a,120bを備えることは、眼治療装置200に、上側瞼12および下側瞼14内の目標組織に直接光エネルギーを向けさせること、および、中心眼球軸30に沿って繊細な前方眼構造27に直接向けられ得る光の量を削減することを可能とする。
【0108】
図5Aに示すように、MGDおよび眼瞼炎のような眼疾患の治療のための眼治療装置200の使用は、患者の閉じた上側瞼12および下側瞼14に隣接して、または接触して、眼治療装置200のエネルギー伝送面140を位置させることを含むことができる。このように配置された眼治療装置200により、上側のエネルギー変換モジュール120aは、上側瞼12内のマイボーム腺18に対する光ビーム211の形態で電磁エネルギーを提供するために、中心眼球軸30の上に配置されることができ、下側のエネルギー変換モジュール120bは、下側瞼14内のマイボーム腺18に対する光ビーム211の形態で電磁エネルギーを提供するために、中心眼球軸30の下に配置されることができる。眼治療装置200は、また、治療組織に光を反射させて戻すために、上側および下側のエネルギー変換モジュール120の後ろに位置した反射板210を含むことができる。
【0109】
図5Aに描いたように、上側および下側のエネルギー変換モジュール120は、ある角度で傾けることができ、実質的にそれぞれの瞼の表面にある傾斜角で向けられた中心光学軸をそれぞれ有し、それぞれの瞼内を通過する光エネルギーの大部分は、眼球20の繊細な前方眼構造27に到達する前に吸収される。
いくつかの実施形態では、上側および下側のエネルギー変換モジュール120は、他の方向に向けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、上側および下側のエネルギー変換モジュール120は、照明源の各中心光学軸が実質的に水平になるように、位置させることができる。
かくして、このように構成されたエネルギー変換モジュール120から伝達された光ビーム211は、エネルギー変換モジュール120からエネルギー伝送面140に平行に伝達され、および次に、繊細な前方眼構造27に到達する光の比率を最小にしつつ、瞼の目標となる領域における進入、吸収、および加熱を最大とするように、屈折され、回折され、または治療組織に向かってある角度で反射され得る。
【0110】
図5Aおよび図5Bに示す実施形態の眼治療装置200は、眼治療装置200の上側および下側の領域のそれぞれに一以上のエネルギー変換モジュール120を含むことができる。例えば、図5Bに示すように、眼治療装置200は、上側領域に3つのエネルギー変換モジュール120a−cを、および下側領域に3つのエネルギー変換モジュール120d−fを含むことができる。
眼治療装置200の上側および下側領域に、例えば、2、4、5、6、7、8、9、10個等のエネルギー変換モジュール120ように、エネルギー変換モジュール120の他の個数も考えられる。
眼治療装置200の上側および下側領域に、横方向に複数のエネルギー変換モジュール120を配置することにより、目標組織(例えば、瞼12,14内のマイボーム腺)の幅一杯により良く到達するために、上側瞼12および下側瞼14の幅(横)を横切る電磁エネルギーの到達範囲と分布を改善することができる。
図5Bに示すように、上側および下側のエネルギー変換モジュール120a−c,120d−fは、眼球の上側および下側の輪郭に円弧状に配置することができる。
【0111】
図5Bには描かれないが、眼治療装置200の上側および下側の照明領域が、エネルギー変換モジュール120の一以上の列で満たされるようにすることができることもまた考えられる。例えば、図5Bにおいては、一またはそれ以上の付加的なエネルギー変換モジュール120を、エネルギー変換モジュール120a−cのそれぞれの上または下に配置することができる。
エネルギー変換モジュール120a−cの付加的な列を含むことは、目標の治療組織に向かう電磁エネルギーの付加的な垂直方向の到達範囲および分布を提供することができる。図示はされていないが、装置200は、2セットのエネルギー変換モジュール120、反射板210、およびエネルギー伝送面204を双眼鏡のように構成されたハウジング内に含み、患者の目の両方に隣接、または対向して同時に配置させることも、また考えられる。そのように実施形態の装置は、両方の眼が同時に治療されるので、治療時間を早め得る。
【0112】
図5C−5Fは、図5A−5Bに描いたものと同様に(6個の代わりに8個備えた)、8LED構成の側面、上面、正面、および斜視図である。8個のLED120は、LED Engin社のLZ1型であってもよく、球状湾曲面上に配置されて示されており、球状湾曲面は、眼20に隣接した瞼12,14の湾曲に適合した形を有する面ガラス284の後ろに位置する、回路基板またはエネルギー変換モジュールドライバ209でもよい。
図5Gは、合計光束が2.7ワットで、最大照射量が1平方ミリメータ当たり10.7ミリワットの、瞼12,14上の算出された照射量パターンを示す。図5Hは、合計光束が0.07ワットで、最大照射量が1平方ミリメータ当たり0.6ミリワットの、瞼を通過する算出された照射量を示す。図5Gおよび図5Hにおける照射量のパターンは、図4N,4Pに示すパターンよりは均一ではない。
2つのデザインのトレードオフは、装置の小型化対均一性である。図4E−4Lのデザインは、どちらかと言えば大きなプリズムを含む一方、図5C−5Fのデザインは、LED、レンズ、および面ガラス以外の光学的要素を含んでいない。当業者は、装置の大きさをできるだけ小型にしつつ、光分布の均一性を最適化するために、例えば、図5C−5Fのデザインに、一またはそれ以上のプリズム280、成形レンズ282、または拡散器、グレーティング等のような他の要素を加えることにより、2つのアプローチを組み合わせ得る。
【0113】
図6は、図5Aに描いた眼治療装置200のような、眼治療装置200の概略側面図である。図6には、強膜シールド300も示されており、眼治療装置200と併せて、安全性および効率性を高めた目標組織の治療システムを提供する。強膜シールド300は、瞼12,14の下であって、繊細な前方眼構造27を覆うために患者の眼球20に隣接して配置されることができる。例えば、強膜シールドは、強膜21および角膜22の上に配置し得る(図1参照のこと)ものであり、虹彩24、瞳25、レンズ25、および眼システム10の他の光感応組織のような、眼の他の内部組織に対する保護も提供し得る。
【0114】
図6に戻り、強膜シールド300は、コンタクトレンズのような円盤形状と同様の形状であり、または、全ての角膜、およびオプションとして、少なくともいくつかの強膜を覆うために(従来の角膜シールドの場合のように)、実質的により大きいものであり、あるいは、マストロータ・パドルの下側の蓋部分と同様に、部分的な円盤またはヘラ形状を有してもよい。
シールド300は、眼治療装置200による治療に先立って、眼の中に位置してもよく、または、装置200と一体でもよいので、治療中は眼の中あるいは瞼の下に置かれてもよい。基本的な安全性の利益を提供するのに加えて、強膜シールド300はまた、眼治療装置200の効率性を向上させることができる。
例えば、いくつかの実施形態では、エネルギー変換モジュール120から放射されるエネルギーの強度は、繊細な眼組織を損傷させないために、変調しなければならないが、眼組織が強膜シールド300の使用により保護されている場合には、エネルギー変換モジュール120から向けられる電磁エネルギーの強度は、増大させることができる。
図7E−7Gに示すように、強膜シールド300は、散乱した光量子エネルギーが、角膜、レンズ、虹彩、および瞳に到達することを防ぐシールドの上部湾曲部264を含み得る。
強膜シールド300は、図5Aおよび図5Bに関して説明した眼治療装置200の実施形態と併せて用いるように図6に示したが、強膜シールド300は、眼の障害の安全で効果的な治療のためのシステムを創造するために、ここに開示する眼治療装置200のどの実施形態とも併せて用いることができることは、当業者にとって好ましいであろう。
【0115】
強膜シールド300は、装置にもっと沢山の利点を提供する特徴を含み得る。例えば、いくつかの実施形態の強膜シールド300は、眼球から離れて、かつ、内側の瞼に向けてエネルギーを反射し、内側の瞼を加熱する。いくつかの実施形態では、強膜シールド300は、上述したような、画像変換器155もまた含み得る。反射撮像素子155は、瞼の後ろから、瞼14の内側およびマイボーム腺の徹照画像の視認を可能とする。
いくつかの実施形態では、強膜シールド300は、エネルギー吸収材料により形成され、あるいは、治療中に瞼の後ろからマイボーム腺を加熱するために正面302上にエネルギー伝送面を有し得る。エネルギー吸収材料は、可視光またはIR吸収材料であり、あるいは黒色プラスチックで形成され、または黒色物質でコーティングされた面を有し得るものであり、それらのいずれかは、カーボンブラック(例えば、5%以上)を含み、または、赤色光およびNIRのような光エネルギーを吸収する他の材料を含み得る。
【0116】
その上、図7A−7Hの強膜シールド300の概略正面図に示すように、シールド300は、シールド300の正面または背面に、一またはそれ以上の温度センサ310を組み込み得る。シールド300は、データ伝達手段320をも含み得るので、温度データは、治療セッションをモニタし、調整するために、治療装置200に送信され得るものであり、瞼の内側表面は、眼の繊細な組織が一の所定の閾値を超えないと共に、他の所定の閾値を越えることなく目標温度に到達し得る。
図7Aの実施形態のようないくつかの実施形態では、シールド300は、埋め込み電力源330、温度センサ310のアレイ、およびデータ送信手段320を備えており、データ送信手段320は、RFによるように、無線でデータを、(治療装置200に組み込まれ得る)外部の問い合わせ器400に送信する。いくつかの実施形態では、データ送信手段320は、シールド300に埋め込まれたアンテナを含み得る。
図7Bに示す実施形態のような他の実施形態では、シールド300は、受動的(電力源330なしで)であってもよく、およびRFを用いて、(治療装置200に組み込まれ得る)外部の問い合わせ器400によって問い合わせられるように構成し得る。例えば、図7Bに示す外部の問い合わせ器400は、温度を測定するのに十分なシールド300内の回路に電力を供給するように構成され得るものであり、問い合わせ器400は、問い合わせ器400に温度データを返送する送信器にも電力を供給する。
図7Cの実施形態のような、さらに他の実施形態では、シールド300は、完全に受動的で、共振点が温度センサ310内の(抵抗のような)変化によって変調される共振回路内の一またはそれ以上の温度センサ310を含み得るものであり、前記共振点は、例えば、図7Cに概略的に示す外部RF掃引器410を用いて、外部のRF場を掃引し、前記場のインピーダンスまたは他の特性をモニタリングすることにより検出することができるものであり、
図7Dに示すようなさらなる実施形態では、シールド300は、シールド300から外部装置に延びたワイヤまたはワイヤアレイを介して、問い合わせまたは治療装置200(例えば、図3の装置)のような外部装置に物理的に接続されており、そのような外部装置は、シールド300における能動的な要素に電力を供給し、シールド300へまたはシールド300から、データを送信しまたは受信し得る。ワイヤまたはワイヤアレイ420は、薄い絶縁壁を有する従来のより線または単線のワイヤ導線を備え、あるいは、より頑丈な構造の絶縁部に埋め込まれ得る。
【0117】
図7Eおよび7Fは、中央に温度センサ310を有し、シールドのそれぞれの側から出ている1つのワイヤ420を有するシールド300の概略の側面および正面を示す図である。シールド264の上部湾曲部は、患者の角膜、レンズ、虹彩、および瞳を光りまたはIRエネルギーから保護するように使用される。温度センサ310からの温度データは、治療セッションをモニタし、調整するために、ワイヤ420を介して、治療装置200に送信され得るものであり、眼の繊細な組織が一の所定の閾値を超えないと共に、瞼の内側表面は、他の所定の閾値を越えることなく目標温度に到達し得る。
【0118】
図7Gおよび7Hは、中央に温度センサ310を有し、シールドのそれぞれの側から出ている1つのワイヤ420を有するシールド300の概略の側面および正面を示す図である。これらの実施形態において、強膜シールド300は、一またはそれ以上の支持アーム262によって、アーム上またはアーム内に位置するワイヤによって、およびある実施形態では、ワイヤまたはワイヤアレイ420の導電部を取り囲む、またはさもなければ、導く(channeling)絶縁材料から形成された支持アーム262の構造部分により、ハウジング202に取り付けられる。
【0119】
図8は、眼治療装置200の他の実施形態の側面図である。いくつかの実施形態では、上述した実施形態のように、眼治療装置200は、眼の組織を損傷または不快感からさらに保護するために、一度に、一つの瞼にエネルギーを供給するように構成される。そのような構成では、ハウジング202を有するエネルギー変換モジュール120は、一つの瞼、例えば、図1の上側瞼のマイボーム腺および取り囲む組織を対象とする大きさであり、エネルギー伝送面140は、エネルギー変換モジュール120と、移動経路145に沿って、スライド自在になっている。そのような実施形態では、エネルギー伝送面は、また、一度に一つの瞼に沿って配置される大きさである。使用時には、そのような眼治療装置200を用いる患者は、眼を大きく開けるように指示され得るものであり、したがって、瞼は、繊細な前方眼構造および中心眼球軸から相対的に遠く離れることが確実になる。
【0120】
いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、眼治療装置200が安全におよび適正に瞼に対して配置されることを確実にするために、一またはそれ以上の特徴を含む。例えば、いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、瞳調整ガイド242を含む。瞳調整ガイド242は、例えば、円を有する鏡、X、的の中心、または他の目標マークであってもよい。使用時には、患者は、瞳調整ガイドを見ることにより、鏡内の自分の瞳の自分の目の映像を見ることにより、および自分の瞳と目標マークとを一直線にすることにより、自分の目を正しく位置させることができるだろう。
そのうえ、または、その代わりに、いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、ディスプレイ244を含み、ディスプレイ244は、スクリーン、ディジタルディスプレイ、または他の光学ディスプレイでもよい。ディスプレイは、例えば、使用中に患者がじっと見る映像、残り時間をカウントダウンするタイマー、および/または(以下に説明する)「見上げろ」のようなリマインダーメッセージを表示し得る。ディスプレイ244は、また、診断および治療中に眼瞼縁のモニタリングをより良く行うための可視化手段160を含み得る。
【0121】
図8の眼治療装置200は、ここに提示した他の実施形態との関係で説明したいくつかのまたは全ての特徴を含み得る。例えば、図示した実施形態では、エネルギー変換モジュール120は、赤外線LEDアレイである。
しかしながら、他の実施形態では、一度に一つの瞼にエネルギーを供給するように構成された他の実施形態を含み、エネルギー変換モジュール120は、可視光スペクトルのLED放射光、レーザー、白熱灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、高輝度放電灯、またはガス放電灯を含み得る。
眼治療装置200は、さらに、エネルギー吸収材料で形成された強膜シールド300を含み、あるいは、エネルギー吸収面、または治療中に熱を吸収または伝送し、瞼の内側表面を加熱するための正面302上のエネルギー伝送面を備え得る。強膜シールド300は、また、治療セッションをモニタするために、一またはそれ以上の温度センサ310を組み込み、瞼の内側表面が、所望の温度に到達し、および/または所定の閾値を越えないことを確実にする。強膜シールド300は、さらに、強膜に統合された画像変換器155を含み得るものであり、瞼の後ろのマイボーム腺の視認を可能にする。
図8の眼治療装置200は、好ましくは、また、ここに提示した様々な実施形態との関係で説明した他の構成要素だけでなく、電力供給モジュール110、オプションとしてコントローラ212を含む。それに加えて、図8の眼治療装置200は、反射板210を含む。図示した実施形態では、反射板210は、一緒にエネルギー変換モジュール120を全体で囲むが末端の方向にある筒および背板から形成される。
【0122】
様々な実施形態の眼治療装置200は、また、装置の少なくとも一部を冷却するように構成された一またはそれ以上の温度管理構造を含む。いくつかの実施形態では、温度管理構造は、エネルギー変換モジュール120の熱を管理し、装置200をオーバーヒートから守る。それに加えて、または代えて、いくつの実施形態では、温度管理構造は、不快感を制限するために瞼の表面を冷却し、治療中の瞼組織の損傷を避ける。
図8では、例えば、眼治療装置200は、(フィン状のヒートシンクとして示す)温度管理構造220、熱電性(ペルチェ)モジュール224、および一またはそれ以上の、受動的または能動的に冷却される熱伝導性表面を含む。いくつかの実施形態では、受動的ヒートシンクは、熱伝導性モジュール224を必要とせずに、エネルギー変換モジュール120からの熱を周囲の干渉に放散するための十分な熱管理構造220として提供され得る。
いくつかの実施形態は、熱電性モジュール224、または、熱を、エネルギー伝送面から指向的に遠くに伝送することにより、エネルギー変換モジュール120を冷却するように設計された(小型蒸気圧縮式クーラーのような)他の形式のクーラーを含む。
図8では、熱電モジュール224および温度管理構造220は、熱電モジュール224が、熱を、放散のために温度管理構造220に向かってエネルギー変換モジュール120から遠ざけて吸い上げるように、組み合わされる。
それに加えて、または代わりに、いくつかの実施形態は、一またはそれ以上の熱伝導性表面を含む。例えば、図8では、反射板210の筒および背板は、熱伝導性であり、エネルギー伝送面140と熱電性モジュール224との両方に取り付けられる。さらに、エネルギー伝送面140は、熱伝導性である。結果として、瞼の表面およびエネルギー伝送面140からの熱は、瞼に対して快適な温度を維持する事を促進するために、熱電モジュール224に向かって減衰することができる。
能動的にエネルギー伝送面140を冷却することは、熱治療の期間中だけでなく、瞼の冷却手段として、期間前、期間後、あるいは間欠的に、起こり得る。そのような特徴は、しばしばMGDおよび眼瞼炎と同時における焼けるおよび痒い感覚を救うだけでなく、瞼の炎症を削減し得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、例えば、一またはそれ以上の温度管理構造と併せて用いられる非接触温度センサ232を含む。非接触温度センサ232は、IR温度計または他の好適な温度センサを遠隔読み取りし得る。非接触温度センサ232は、特に重要な眼の領域にフォーカスさせることができる。例えば、図8では、非接触温度センサ232は、角膜の下端にフォーカスされ、および従って、角膜端の温度を読み取る。
非接触温度センサ232は、いくつかの実施形態では、コントローラ212が、非接触温度センサ232から読み取った高い温度を受け取ると、エネルギー変換モジュール120を調整または遮断し、あるいは一またはそれ以上の温度管理構造を稼働させるように、コントローラ212と、動作可能に結合され得る。
いくつかの実施形態では、熱が(例えば)下側の瞼に供給されている間、ディスプレイ244は、加熱された瞼の部分の直接後ろの位置で非接触温度センサ232に眼(強膜)の温度を測定させるために、患者に対して、「見上げろ」と指示を出し得る。このような方法で、装置200は、眼球がオーバーヒートしないことを周期的に確実にしながら、眼の加熱を継続できる。図8に示す装置構成は、例えば、ディスプレイ244および調整要素をそれらの直立した(読み取り可能な)方向に維持しつつ、エネルギー分配要素の方向を逆にすることにより、容易に、上側瞼の治療に適用し得る。
【0124】
図9は、一またはそれ以上の温度管理構造220を有する眼治療装置200の他の実施形態の側面図である。図8または図9を参照して説明するいずれかの温度管理構造220は、ここに説明したいずれかの眼治療装置200と共に、使用に好適であり、および使用が明白に考慮されている。温度管理構造220は、エネルギー変換モジュール120が、エネルギー変換モジュール120の効率性を維持する所望の温度範囲のままとするように、エネルギー変換モジュール120からの熱を取り除くように構成される、いずれかの好適な構造を含み得る。
いくつかの実施形態では、温度管理構造220は、電力源110および他の内部の構成要素と共に、装置200のハウジング202内に少なくとも部分的に配置される。いくつかの実施形態では、一またはそれ以上の以下の温度管理構造220は、ハウジング202内に設けられ、ヒートシンク(例えば、図8に示す温度管理構造220のフィン状のヒートシンク)、熱電性(ペルチェ)モジュール(例えば図8の熱電モジュール224)、小型蒸気圧縮式モジュール、およびファンを備える。いくつかの実施形態では、温度管理構造220は、ハウジング202を、触れられるように冷却を維持する方法で、熱を向けさせ、および分配する。
【0125】
それに加えて、いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、表面の下の目標組織を加熱しつつ、瞼表面が不快または損傷される点まで加熱されることを防ぐために設計された表面冷却システムを含む。表面冷却システムは、全ての実施形態には必要ではなく、例えば、いくつかの実施形態では、選択されたエネルギー変換モジュール120が、瞼内の目標組織領域に、あるいは、瞼の表面組織の最小限の加熱を伴う強膜のエネルギー吸収部分に吸収される波長での光エネルギーを放射するように、構成される。
表面冷却システムが存在する実施形態では、表面冷却システムは、目標組織領域に対するエネルギーの放出前、放出中、あるいは放出後に、患者の瞼の表面を、体温までまたは体温よりも下に、あるいは、目標組織温度、もしくは不快を感じる閾値より下に、冷却するように構成し得る。表面冷却システムは、瞼の表面を冷却し、および/またはエネルギー伝送面140を冷却するように構成されたいずれかの好適な構造を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、表面冷却システムは、ファンのような、能動的冷却要素を含む。
そのようないくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、エネルギー伝送面140と少なくとも瞼の一部との間に空隙が存在するように形成される。図2Bは、この目的で適切に構成された実施形態である。そのような実施形態では、空気は、瞼の表面を横切って、空隙内に流れ得る。他の実施形態では、エネルギー伝送面140は、一またはそれ以上の穴、あるいは、空気が流れ得るエネルギー伝送面140を介してまたは沿って延長されたチャンネルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、空気は、瞼の表面を横切って流れる前に冷却される。空気は、例えば、熱電クーラー、コンプレッサ、氷、または他の冷感要素を用いて冷却される。
【0126】
他の実施形態では、水またはアルコールのような蒸発性の手段が、エネルギー伝送面140に供給され、瞼の表面は、蒸発性の手段と接触するようになり得る。それに加えて、または代えて、蒸発性の手段は、瞼の表面に、眼治療装置200による治療の前、間、または直後に適用され得る。蒸発は、蒸発性の手段の結果として瞼の表面において起こり、冷却と和らげる感覚を患者が経験する。
さらに他の実施形態では、眼治療装置200は、エネルギー伝送面140と瞼の表面との間に配置された冷却袋を含み得る。袋は、冷却水またはジェルにより満たされており、袋が瞼の表面に接触する際に、患者に対して冷却されたおよび和らいだ感覚を提供する。
他の限定されない例として、表面冷却システムは、エネルギー伝送面140自体を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、エネルギー伝送面140は、例えば、ダイヤモンド、サファイア、フッ化カルシウム、またはグラフェンから形成し得るものであり、熱的に、より大きなサーマルマスにつなげられる。そのような大きなサーマルマスは、熱するのに長い時間を要し、したがって、治療期間中に著しく温度が上昇し得ない。大きなサーマルマスは、したがって、治療期間中に、エネルギー伝送面140から熱を沈め得る。また、大きなサーマルマスは、治療期間に先だって、またはその間に、冷却され得るものであり、かつ、同様な材料から、およびエネルギー伝送面140の一部として形成され、あるいは、銅、アルミニウム、または他のエネルギー吸収もしくは伝導性材料とは別の要素として形成し得る。
【0127】
上述した温度管理構造220および表面冷却システムに加えて、少なくともいくつかの眼治療装置200は、例えば、眼治療装置200のパラメータをモニタするために、もしくは患者の安全性を確実にするために、一またはそれ以上の安全センサ230を含む。
図10は、一またはそれ以上の安全センサ230を備える眼治療装置200の一例を示す。図10を参照して説明するいずれかの安全センサ230および関連するコントローラ212は、ここに説明した眼治療装置200のいずれかの実施形態の使用が明確に考慮されている。いずれかの特定の眼治療装置200も、一またはそれ以上の形式の安全センサ230を含み得る。
図10に示す安全センサ230の最初のセットは、温度を検知するように構成される。そのような安全センサ230は、非接触温度センサ232および熱電対またはサーミスタ234を含む。非接触温度センサ232は、(熱電対列または焦電性もしくはマイクロボロメーターのような)遠隔読み取り式のIR温度計、あるいは、他の好適な非接触温度センサでもよい。非接触温度センサ232は、一またはそれ以上の瞼の表面温度をモニタするために、治療期間中のように、照明の全フィールドから温度データを集めるように設計され、もしくは、特定の領域にフォーカスし、その領域の温度を読み取るように設計し得る。例えば、非接触温度センサ232は、角膜の部分、強膜、または眼の他の領域の温度を読み取るように、例えば図8に示すように配置され、かつ、構成され、そのような組織がオーバーヒートせず、かつ、損傷しないようことを確実にする。
【0128】
それに加えて、または代えて、いくつかの実施形態は、エネルギー変換モジュール120上のまたは近くの熱電対列またはサーミスタ234(またはRTD)を含む。そのような配置は、熱電対列またはサーミスタ234が、エネルギー変換モジュール120の温度がモニタされ得るようにエネルギー変換モジュール120の温度を検出することを可能にする。エネルギー変換モジュール120の温度が高くなり過ぎると、非効率的になり、および/または、損傷する。
それに加えて、またはそれに代えて、熱電対列、またはサーミスタ234は、エネルギー伝送面140の上、内部、またはエネルギー伝送面140に隣接して配置される。そのような配置は、熱電対列、またはサーミスタ234が、エネルギー伝送面140および/または瞼の表面の温度を検知することを可能にする。そのような表面の温度をモニタリングすることは、装置200の使用から患者が著しい不快感または傷害を経験しないことを確実にするのに役立ち得る。
ある実施形態では、様々な温度センサ232、234は、コントローラ212に動作可能に接続され、コントローラ212は、温度を所定の目標範囲内に移行させ、または保持するために、エネルギー変換モジュール120、あるいは、一またはそれ以上の温度管理構造、もしくは、表面冷却システムを調整するようにプログラムされ得る。
また、温度センサ232、234からの温度入力が、所定の範囲よりも上であった場合には、コントローラ212は、エネルギー変換モジュール120からの出力を遮断し得る。それに加えて、またはそれに代えて、温度センサ232、234は、強膜シールド300(この図には示していない)に接続され、瞼の内側表面および/または眼の表面の温度をモニタし得る。また、圧力センサ221は、瞼上に、ユーザによって与えられた圧力または力をモニタするために、強膜シールド300および/またはエネルギー伝送面140の上、内部、または強膜シールド300および/またはエネルギー伝送面140に隣接して配置され得る。
【0129】
図10に示す安全センサ230の第2のセットは、患者の瞼に関連して、眼治療装置200の位置を検知するように構成される。エネルギー伝送面140の中、上、または近くに存在している光センサ236は、光を検出するように構成される。装置200の様々の構成において、エネルギー伝送面140が適正に、構成によって一または二つの瞼に隣接して配置されている場合には、光センサ236に到達できる周囲の光の量を著しく削減すべきである。
いくつかの実施形態では、光が、エネルギー伝送面140の中、上、または近くで、閾値の範囲を超えて検知された場合には、エネルギー伝送面140は適正に配置されていない。同様に、接触センサ238は、エネルギー伝送面140の内または上に存在し得る。それぞれの接触センサ238は、例えば、接触センサ238が人間の皮膚の近くにある時に起こる静電容量の変化のような、静電容量の変化を検出するように構成し得る。また、接触センサ238は、小さなDCまたはACの微小電流を供給する電極を備えてもよく、皮膚との接触の結果としてのインピーダンスの変化を検知する。
または、接触センサ238は、マイクロスイッチ、あるいは、力または圧力センサを備えてもよく、これらの全ては、表面140が皮膚に対向する場合に、信号の特性の変化を生成する。このように、センサ238は、装置200の配置を決定することの助けになるように用いられることができる。
眼治療装置200が、閉じた目、上側の接触センサ238および下側の接触センサ238に対して適正に配置されている場合には、センサ238は、瞼の皮膚にそれぞれ接触するようにすべきであり、静電容量(またはインピーダンス、スイッチの状態、力、圧力等)の変化を検知する。
様々な実施形態において、光センサ236および/またはセンサ238は、動作可能にコントローラ212に接続される。いくつかのそのような実施形態では、コントローラ212は、コントローラ212が、センサ236,238からの信号を通して、眼治療装置200が適正に閉じた目に隣接して配置されていることを検知するまで、エネルギー変換モジュール120の起動を防ぐようにプログラムされる。
また、いくつかの実施形態では、コントローラ212は、センサ236,238からの受けた信号が、眼治療装置200が閉じた目に対してもはや閉じた目に対して適正に配置されていないを示す場合には、エネルギー変換モジュール120を停止させるようにプログラムされる。
それに加えて、またはそれに代えて、エネルギー伝送面の上の、中の、またはエネルギー伝送面に隣接した熱電対列またはサーミスタ234は、いつ装置が患者の目に隣接して適正に位置されたかを示すために用いられ得る。
例えば、熱電対列またはサーミスタ234は、眼に隣接した装置の配置に先立って、室内の温度を記録し、(直接接触が望まれる実施形態において)エネルギー伝送面140が瞼の皮膚に接触するようになると、熱電対列またはサーミスタ234は、体温に近い値を記録し、および従って、正しい配置を確認するであろう。
さらに、上側および下側の瞼の両方を治療する実施形態において、複数の熱電対列が用いられる場合には、熱電対列またはサーミスタ234からのデータは、眼が開いているか、または閉じていかを判断するために用いられ得る。反射または色センサ237は、眼が閉じていることを確認するために、装置内に組み込まれ得る。
そのようなセンサ237は、センサ237の前方の光場の領域の色を判断するか、あるいは、反射または色センサ237の前方の表面の反射の度合いを判断することができる。
いずれの場合も、センサ237は、瞼の皮膚のように見える(例えば、色のついた皮膚、および湿っていないまたは輝いていない)組織、または、(白、または、色のついた虹彩、ならびに、湿ったおよび輝いた)眼の組織があるかどうかを示すデータを提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、接触センサ238は、フレキシブルでシールされた表面の後ろに埋め込まれたマイクロスイッチを備える。他の実施形態では、接触センサ238は、瞼に対向する表面140により与えられた力または圧力の量の指示を行うセンサを備える。そのような指示は、瞼が、マイボーム腺の分泌の評価を可能とするために著しく圧迫されることを意図されている場合、治療中に過度の力を与えることを避けるために、または、初期の診断中、ある範囲内の力を与えるために、役立ち得る。臨床医によって与えられた瞼に対向する表面140の力は、調整されるようにすることも、また、調整されないようにすることもできる。
さらに、病院内装置では、力は、回転する、または角張った構成要素によって与えられ得るものであり、マイバムをマイボーム腺および中央導管から移動させることをアシストする。いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面および/または強膜は、湾曲した、または角のある形状の表面を有してもよく、あるいは、揺動要素を有してもよいので、エネルギー伝送面が強膜に対向して瞼を圧迫する際、圧迫が増大すると、上側の領域に徐々に移動するマイボーム腺の下側の領域において、より多くの圧迫があり、下側の領域から上側の領域まで、マイバムを動かし、かつ、マイボーム腺の中央導管からマイバムを動かす。
【0131】
図11Aおよび11Bは、電力源モジュール110からの電気エネルギーを超音波エネルギーに変換するように構成されたエネルギー変換器205を有する眼治療装置200の付加的な実施形態の側面図である。超音波エネルギー変換器205は、圧電性セラミック、ポリマー、または合成物のような、いずれかの好適な材料で形成し得る。上述した様々の実施形態では、超音波エネルギー変換器205は、光エネルギー変換モジュール120との組み合わせで用いられ得る。
【0132】
図11Aでは、眼治療装置200は、フォーカスされていない超音波を放射するように構成された、平坦な圧電式の超音波エネルギー変換器205を含む。音波の方向はフォーカスされていないが、超音波エネルギーの波長は、組織の特定の領域を目標とするように、操作することができる。超音波エネルギーにより、波長が長くなれば、進入はより深くなる。
また、いくつかの実施形態では、短く、20−100MHz、50−100MHz、あるいは、いずれかのサブレンジ、もしくはそれらの間の個々の値の高周波が放射される。そのような周波数の超音波は、瞼の組織に1−3mmまで進入する。好都合なことに、そのような深さの進入では、マイボーム腺および目標の組織を取り囲む他の部分は、眼の内部を著しく加熱することなく、加熱されることができる。他の実施形態では、100MHzよりも大きな波長は、超音波エネルギー変換器205から放射され得る。
【0133】
図11Bの眼治療装置200は、フォーカスした超音波を生成するように構成された、一またはそれ以上の湾曲した圧電式超音波エネルギー変換器205を含む。いくつかの実施形態では、超音波は、目標の組織領域内に、または組織領域に隣接したマイボーム腺内のマイバムを十分に溶かすために、目標の組織領域を選択的に加熱するように直接フォーカスされる。いくつかのそのような実施形態では、超音波は、焦点を有する成形されたまたは湾曲した変換器の使用を通じて、目標に向けられる。図11Bは、一つのそのような実施形態を示す。
他の実施形態では、超音波は、個々の超音波要素の成形されたアレイを用いて、目標に向けられる。それらは、一以上の超音波要素のアレイであってもよく、例えば、一つのアレイは下側の瞼に向けられ、他のアレイは、上側の瞼に向けられてもよい。好ましくは、目標の組織に効率良く超音波を伝達するために、エネルギー伝送面140は、好適な材料で形成されなければならない。低周波数の超音波については、シリコーン、または他のポリマー、およびエストラマーのような伝統的な材料を用い得る。
ある実施形態では、所定の閾値を越えることを防ぐために、超音波が与えられる際、瞼の表面を冷却することが望ましい。そのような場合は、エネルギー伝送面140は、超音波エネルギーを通過させるだけでなく、(上述した冷却技術が適用されるように)熱伝導性のある材料から形成し得る。十分な熱伝導性を有するだけでなく、高周波の超音波エネルギーを通過させることのできる材料の例は、ダイヤモンドまたはグラフェンを含む。
【0134】
組織を加熱する効果に加えて、超音波は、上述したニキビダニを妨害、粉砕、または殺すことが好ましい。かくして、MGD、眼瞼炎、および関連する疾患の最善の全面的治療を達成するために、光や超音波のようなエネルギーの様式を組み合わせることが有益となり得る。
【0135】
目標の組織領域を加熱することに加えて、ある実施形態の眼治療装置200は、目標の組織領域を含むエリアに、振動エネルギーを送るように構成され得る。図12は、振動エネルギーを生成するように構成された眼治療装置200の一例を示す。図12に関して示す振動機構250は、ここに説明した眼治療装置200の実施形態のいずれかを用いることが明確に考慮されている。図12の眼治療装置200は、ハウジング202の一部の中に振動機構250を含む。いずれかの好適な振動機構250が使用し得る。
様々な実施形態では、振動機構250は、特定の振動パターンを生成するように構成される。例えば、患者の瞼に押し当てられた場合には、振動機構250を備える眼治療装置200は、中心眼球軸30に平行な軸に沿って、前方および公報に振動し得る。
他の実施形態では、眼治療装置200は、中心眼球軸30に垂直な方向に、横または上下に振動し得る。さらに他の実施形態では、眼治療装置200は、円形パターン、例えば、中心眼球軸30に垂直な円形パターンで振動し得る。いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、複数の振動パターンが選択できるように、複数のセッティングを含み得る。振動パターンは、目標の組織領域への加熱の前、最中、または後に瞼に与えられてもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、振動の周波数は、約1Hzから約20KHzの間であるが、20MHzまでの超音波周波数範囲まで拡張してもよいし、かつ、いずれかのサブレンジ、またはそれらの間の個々の値を含んでもよい。周波数範囲内の振動は、マイバムを外に出させるのに役立つものであり、マイバムは、マイボーム腺内で、濁り、または閉塞している。
加えて、振動パターンは、ニキビダニを妨害し、または粉砕してもよく、それにより、ニキビダニの増殖が削減される。振動および/または超音波エネルギーの適用の組み合わせは、組織およびマイバムの加熱、マイバムの振動と表出、およびダニの粉砕を含む最も効率の良い全面的治療を行うに用い得る。
【0137】
図12にさらに示すように、いくつかの実施形態では、振動機構250は、ハウジング202の末端部分203に位置している。いくつかのそのような実施形態では、振動性の隔離要素252は、振動の力が近い方の部分201で減衰されるように、ハウジング202の末端部分203と、ハウジング202の近い方の部分201との間に位置している。
いくつかの実施形態では、装置200の把手または把持部は、近い方の領域201に位置しており、したがって、振動性の隔離要素252は、使用中にユーザの手の振動を制限するのに役立つ。
他の実施形態では、隔離要素252は存在していない。さらに他の実施形態では、振動機構250は、振動機構250と末端部分203の間の並進的な結合と共に、ハウジング202の近い方の部分201内に配置される。
【0138】
上述した特定の実施形態は例示であり、この開示は、それらの特定の実施形態を超える多くの変形を包含することが強調されるべきである。それらのいくつかは、以下に詳細に説明される。
【0139】
エネルギー変換モジュール120がLEDエミッタ207の場合には、いくつかの実施形態は、一またはそれ以上のLED、好ましくは、高輝度のものを使用することを含む。一またはそれ以上のLEDは、例えば、少なくとも10ワットの複合出力、好ましくは、少なくとも15ワット、あるいは20ワットまたはそれ以上の複合出力を有する。
それらのLEDの複合強度は、有利なことに、少なくとも、約20、30、40、50、75、100、150、200、250、300、400、500、1000、2000またはそれ以上のルーメンになり得る。瞼に向いている際は、与えられた照明エネルギーの連続的な強度は、好ましくは、一平方センチメートル当たり約0.02および2ワットの間になり得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、LEDは、緑色LEDにすることができる。緑色は、約0.5−2mmの深さに進入して加熱し、それを越えて著しく減衰する点が有利である。これは、光エネルギーが、眼に伝達される光を制限して、マイボーム腺における、またはマイボーム腺に隣接した組織を包含する治療エリアに進入することを可能とする。
いくつかの好ましい光の波長は、495−570nm、500−600nm、およびより好ましくは、約510−540nmまたは520−530nmとすることができる。いくつかの実施形態では、赤外線放射源は、700−1000nm、好ましくは、人間の組織の「光学窓」において、800−900nmの辺り、およびより好ましくは、約850nmとすることができる。
より長い波長は、また、波長が増加すると、組織内の水によってより多く吸収されるという潜在的な利点を有して機能するであろう。例えば、3000nmの赤外線は、眼球および繊細な構造の最小限の進入および加熱と共に、瞼組織の理想的な加熱を提供することができるであろう。他の実施形態では、LEDは、青色、黄色、赤色、白色または上述したもののいずれかの組み合わせとすることができる。
【0141】
エネルギー変換モジュール120は、また、白熱ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、冷陰極管、蛍光管等の広いまたは狭いスペクトルランプを備えることができる。照明源は、さらに、ランプのスペクトルから、ある不要な波長の強度を削減し、または実質的に取り除くために、スペクトル制限要素を備えてもよい。これらのスペクトル制限要素は、色付きのフィルタ、2色のフィルタ、IRカットオフフィルタ、バンドパスフィルタ、プリズムまたはグレーティング等のスペクトル分離要素を含むことができる。
赤外線ランプまたは加熱要素もまた使用し得る。瞼に到達可能な主要な波長は、LEDについて上述したように、選択可能であり、あるいは、赤外線放射に主に正制限させることができる。
【0142】
照明源によって放射され、患者に供給されるエネルギーは、低いデューティサイクル、(IPLのような)高輝度パルス光と対称的に、好ましくは、(望むのであれば、パルス幅または他の形態の変調を伴って)供給において連続的である。治療期間は、好ましくは、複数秒または複数分、例えば、5、7、10、12、15、18、20、25、30、40、45、50、60秒、あるいは、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または30分、あるいはそれ以上である。
【0143】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換モジュール120からの可視光の供給は、加熱様式として機能する代替的なエネルギー変換器により行うことができ、またはエネルギー変換器に置き換えられ得る。これらは、例えば、超音波変換器または無線周波数エミッタを含むことができる。超音波変換器が用いられる場合には、フォーカスするように、またはフォーカスしないようにすることができる。
加熱の深さを制限するため、マイボーム腺を備える、またはマイボーム腺に隣接する目標組織に熱を集中させるために、あるいは眼球または前記領域の他の組織における影響を削減または取り除くために、高周波数が好ましい。好ましい周波数は、50−100MHzまたは100MHz以上から250MHzまでである。
例えば、直接的なフォーカスを実行するための位相管理アレイ、あるいは、制限された焦点領域を有する成形された変換器を含む複数の変換器を用いた、フォーカスした超音波は、特に好ましい。光エネルギーと同様に、相対的に連続的な供給が用いられ得るものであり、パルス供給も用いられ得る。
【0144】
無線周波数エミッタが用いられる場合には、局在的な加熱を行うのに知られた周波数が好ましい。300KHz−4MHzのような、電気外科療法に用いられる周波数は、有利に用いられ得る。一つのそのような実施形態では、瞼に接触し、位置および加熱の深さの制御を許可するために、エネルギー伝送面140の中または上に、双極電極が設けられる。
【0145】
または、組織におけるより高い減衰レートのため、5MHzから10MHzの範囲のより高い無線周波数が使用でき、したがって、組織の所望の領域に対する進入の深さおよび加熱の制限の注意深い選択が可能となる。例えば、約245MHz以上の周波数は、人間の皮膚および組織に、約1−3mmの深さまで侵入し、それは、瞼の外側と目標の組織(すなわち、マイボーム腺および隣接する組織)との間の典型的な距離に一致する。
【0146】
導波路モジュール130は、変換器または生成器からエネルギー伝送面140まで、それゆえ目標の組織に至るまでエネルギーを伝達するように設計される。例えば、LEDまたは小さいランプのように、小さな光源から光エネルギーを生成する時は、光導波路モジュール130は、光源から目標の組織ゾーンまで照明を向けさせることができる。
いくつかの実施形態では、眼の中心眼球軸に沿って向かわせることなく、瞼または目標の組織に光を向かわせるための導波構造を含むことが望ましいかもしれない。これは、より接線の角度であるにも関わらず、光を瞼に向かわせながら、角膜および眼の中に進入する光の量を削減することができる。この目的を達成するための好適な構造は、光パイプアレイ、屈折要素、反射要素、回折要素、内部全反射要素(TIRs)、および拡散器を含む。
例えば、ファィバオプティクス、鏡、レンズ、プリズム等が、光を向け、かつ、目標の表面への角度を変えるために用いられ得る。
いくつかの実施形態では、上述したように、瞼14の内側を見るために、および/または瞼の後ろのマイボーム腺を加熱するために、強膜シールド300および反射撮像素子155に光を向けさせることが望ましいかもしれない。
【0147】
他の実施形態では、導波路モジュール130は、超音波エネルギーを反射させ、例えば目標の組織領域のような所望の領域に、それを向かわせ、および/または、それをフォーカスさせる表面を有する超音波導波路である。同様に、既知のマイクロウェーブ、または他のRF導波路は、RFエネルギーを所望の領域に向けさせるのに用い得る。
【0148】
エネルギー伝送面140は、眼治療装置200の内部と、患者との間に、それらの間に障壁を提供しつつ、挟まれる。いくつかの実施形態では、エネルギーがそれを通して患者に供給される窓として考えることができる。それは、患者の瞼に直接接触するように、あるいは、治療中に瞼から0.5mmおよび12mmの間のような、瞼からの小さな距離を開けるように構成し得る。
好ましくは、エネルギー伝送面の外側表面は、スムーズであり、容易に清掃される。いくつかの実施形態では、使い捨てのカバー要素147は、患者間の相互汚染を防ぐために、エネルギー伝送面140の上に配置され得る。要素147は、所望の構造および光学的特性を得るために、ガラス、パイレックス(登録商標)、クォーツ、雲母、またはポリカーボネートのようなポリマー、目視的使用可能な他の光学的に透明な材料、あるいはそれらの組み合わせのような好適な材料から作られ得る。
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140は、表面140が、
a)治療および撮像中に光量子エネルギーの漏れを最少化し、
b)もし望むのなら、マイボーム腺の評価または取り出し中に瞼に圧迫力を与えるために、瞼に対して押し上げられ得ることを確実にするように、エネルギー変換モジュール120または強膜シールド300あるいはハウジング202のいずれかについて、移動経路145に沿ってスライド自在な関係を有し得る。
【0149】
目標の組織領域を加熱する光エネルギーを使用する際は、エネルギー伝送面140は、有利なことに、望むように可視または赤外線光に対して、透過的である。いくつかの実施形態では、それは、可視光、または緑色高のように、治療に用いられるピークのまたは所望の波長に対して透過的であるが、赤外線をブロックするので、瞼のIR加熱を削減する。ガラス、パイレックス(登録商標)、クォーツ、雲母、またはポリカーボネートのようなポリマー、または他の光学的透過材料が使用可能である。
【0150】
目標組織を超音波またはRFで加熱する際には、可視光に対する透明性は、不要であり、その代わり、超音波に対して透過的またはRFに対して透過的な材料が使用可能である。いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面140を冷却することに瞼の冷却を行うために、材料は熱伝導性であることが望ましい。ダイヤモンド、サファイア、およびグラフェンは、好適な熱伝導性の材料である。
他の実施形態では、エネルギー伝送面140の全体または少なくともその窓のいずれかは、ここに説明した安全センサに対して透過的である。例えば、非接触の赤外線温度センサが、瞼の外側の温度を検知するために用いられる場合には、IRを伝達可能な材料が、全てまたは少なくとも関連する領域あるいはエネルギー伝送面140の領域に用いられる。
【0151】
装置200から瞼に加熱エネルギーを与える際には、いくつかの実施形態は、エネルギー伝送面140を冷却することによる瞼の表面冷却が含まれる。目標の組織領域を、光、超音波、またはRFエネルギーで照射しつつ、瞼の外側が冷却される場合には、目標の組織の最適な加熱を通して効果を最大化しつつ、患者の快適さを増すことができる。
エネルギー伝送面140は、以下により冷却し得る。
エネルギー伝送面140の内部を横切る空気の流れ、
冷却剤または水のような、エネルギー伝送面140の内側に対する蒸発性物質の適用、
エネルギー伝送面140内またはエネルギー伝送面140上のチャンネルを通した冷却流体の循環、
または、熱電性(ペルチェ接合)もしくは、冷却様式に接続されたヒートシンクによる、エネルギー伝送面への接触。
また、エネルギー伝送面140は、瞼を所望の温度範囲内に維持するために患者の治療中に瞼から十分な熱を取り除くように、十分に大きなサーマルマスを有する(または、そのようなサーマルと接触する)ことが可能である。サーマルマスは、治療の前に、事前冷却する、または環境温度で簡易に始めることができる。
エネルギー伝送面140および/または瞼を冷却する他の方法は、エネルギー伝送面と、瞼の皮膚との間に、水が充填された袋のような貯蔵器を組み入れることを含む。袋は、袋を通した冷却水の循環、あるいは、熱電装置、コンプレッサ、冷却剤、または他の冷却要素のような、冷却要素を用いて、事前に冷却し、処置中に積極的に冷却することができる。
【0152】
他の実施形態では、エネルギー伝送面140は、瞼から微少な距離の間隔を開け、エネルギー伝送面140と瞼との間に、相対的に冷たい空気、ミスト、水等のような冷却流体の通過を可能とする。例えば、冷たい空気は、瞼およびエネルギー伝送面140の表面を横方向に横切って流れるように誘導されることができ、あるいは、エネルギー伝送面140は、冷却流体を瞼上に向かわせる穴またはチャンネルを含むことができる。冷却流体は、環境温度とすることができ、または、冷却剤、氷等を介するようにして、事前に冷却することができる。
【0153】
振動機構250が用いられる際には、例えば、電気機械的なソレノイド等のような往復運動要素、あるいは、モータシャフトまたは回転カムに接続される偏心錘のような、回転する偏心錘を備えることができる。好ましくは、振動機構は、瞼に振動的に瞼と結合されるが、患者または臨床医が保持するかもしれないいずれかの把手領域を含む、装置の近位端のような他の患者または臨床医の接触点から振動的に隔離されている。
【0154】
患者の安全性および快適さは、本装置および方法においては考慮すべき重要な点である。安全センサおよび警告は、このように、有利なことに、装置に組み込むことが可能である。これらは、皮膚のオーバーヒートを防ぐセンサ、装置の不要な起動を防ぐセンサ、および、患者へのエネルギーの供給をモニタリングするセンサを含む。
いくつかの実施形態では、安全センサは、保護的な強膜シールド300を有する消耗部260が、エネルギー変換モジュール120の起動に先立って適正な位置にあり、眼システム10への損傷を防ぐことを確実にするために使用し得る。
【0155】
図10に示すように、安全警告装置240は、ここに説明したいずれかのセンサによって検知された際に、患者に安全ではない状況を知らせるために、装置に組み込むことができる。これは、フラッシュライト、フラッシュ警告、警告音、映像、振動パターン、あるいは、安全ではない状況の可能性または存在を示す言葉を含む。
【0156】
再び図10を参照すると、安全センサ232、234の第1のセットは、好ましくは、エネルギー伝送面140の上、中、後ろ、または、周辺に位置する。両方のセンサは、瞼の外側表面の加熱を検知して、そのオーバーヒートを防ぐように構成される。センサ232は、好ましくは、焦電センサ(例えば、株式会社村田製作所のIRA-E700ST0)のような非接触センサ、または、(ミシガン州、デクスターの、Dexter Research社のST25T0-18のような)熱電対列、もしくは、熱電対、サーミスタ、光ファイバ、温度センサ、または(Dallas Semiconductor 社のDS-18B20のような)ディジタル温度センサのような従来の温度モニタリング装置である。
温度センサ232および243に加えて、図3図7A−7H、および図8に示すように、温度センサ310が、瞼の内側表面の温度および眼球の温度をそれぞれモニタするために、強膜シールド300の正面または背面に取り付けられ得る。
閾値温度は、40℃、45℃、または50℃のように、装置200にプログラムし得る。いくつかの実施形態では、閾値温度に達すると、または閾値温度を超えると、安全センサは、装置200を遮断し、および/または安全警告装置240を介して、ユーザまたは臨床医に、光、警告音、または他の通知手段を用いて、治療を止めるように信号を送るように構成し得る。いくつかの実施形態では、いずれかの特定位置における閾値温度に到達し、または閾値温度を超えた際には、コントローラ212(またはいずれかのコントローラから独立したディスクリート回路)は、この閾値温度を超えて瞼が過熱することを防ぐために用いられ得る。
これは、例えば、装置200を遮断することにより、(光の輝度の削減、LEDのパルス幅変調、超音波またはRFエネルギー等の電力入力の削減のように)供給されているエネルギーを削減することにより、もしくは、瞼の温度を低減するための冷却手段を起動することにより、達成され得る。
【0157】
安全センサの第2のタイプも、図10に示される。これは、単一のセンサまたは複数のセンサを含み得る。安全センサの第2のタイプの目的は、装置200が、治療が行われるに先立って、瞼に対して適正に位置にあることを確実にすることにある。安全センサの第2のタイプは、一またはそれ以上の以下のようなセンサを含むことができる。一つのセンサは、光センサ236とすることができる。装置が、瞼に対向して配置されると、周囲の光が遮られる。従って、そのような光の欠落が検知され得る。
また、反射型オプトカプラ装置は、光源が遠位に向けられ、遠位を狙うセンサと連結される場合に、用いられ得る。これは、患者までの距離の見積もりと共に、患者の存在を検出可能とする。光源とオプトカプラ型の装置との間の距離に依存して、光の検出は、装置200が適正な位置にある時に、最大化されるか、または排除される。
他の光検出のスキームは、患者に対して遠位であるが、治療光の経路の外側で対面する光センサ236を設けることである。装置200が瞼から離れて置かれる際には、反射された治療光はセンサ236に到達するが、正しい位置にある場合、殆どのそのような光は、センサ236から遮断される。
光センサアプローチは、一つの温度センサからのデータと結びつけることができ、装置の位置を示すものして、光と皮膚の温度を同時に検知するいずれかの光検出の実施形態では、環境光センサ236は、瞼の近くの光学的検出を促進する環境光のレベルを測定するために、装置200に組み込むことができる。
同様に、第2のタイプのセンサと併せて、温度センサを用いる場合には、環境光センサ236は、特に高温環境において、装置200がいつ皮膚に対向するかを判断することを促進することができる。
超音波範囲検出モジュールのような他の距離または接触検出用も用いることができる。
いくつかの実施形態では、エネルギー伝送面の上、中、またはエネルギー伝送面に隣接した熱電対またはサーミスタ234は、装置がいつ患者の眼に隣接して適正に位置されたかを示すのに用い得る。例えば、熱電対またはサーミスタ234は、眼に隣接した装置の配置に先立って、室温を記録し得るものであり、エネルギー伝送面140が眼の皮膚の近くに来ると、熱電対またはサーミスタ234は、体温に近い値を記録し、従って、正しい位置を確認する。反射または色センサ237も、眼が閉じられたことを確認するために、装置に組み込まれ得る。
上述したように、そのようなセンサ237は、(例えば色の付いた皮膚および湿っておらずまたは輝いていない)瞼の皮膚に見える組織、または(白色または色付いた虹彩、および湿った並びに輝いた)眼の組織が存在するかどうかを示すデータを提供することができる。
【0158】
他の実施形態では、第2のタイプのセンサは、タッチセンサとすることができ、いつ装置200が顔に接触したかを検出する。タッチセンサは、二つの電極を用い、かつ、皮膚を通して微小電流を検知する抵抗性のセンサ、あるいは、従来の抵抗性のタッチセンサとすることができる。
また、容量性のセンサは、いつ装置200が皮膚に接触するかを検知するために用いられ得る。これは、単一のセンサ、または、より良い信号のために、複数のセンサとすることができ、そこでは、それらの全てのまたはサブセットは、治療を進められるように、稼働されなければならない。
最後に、タッチセンサは、(マイクロスイッチのような)電気スイッチ、または、装置が皮膚に対して押圧された時に稼働させる歪みゲージを備えることができる。例えば、マイクロスイッチは、フレキシブルで、シールされた表面の後ろに埋め込まれることができ、装置の第1の部分が装置200の第2の部分に対して移動できるようにするため、十分な押圧力が与えられた時に、稼働されることができる。
【0159】
第3のタイプのセンサも、所定のパラメータ内の適正な動作を保証するエネルギー供給変換器をモニタするために、装置200に用い得る。また、これは、単一のセンサまたはセンサの組み合わせでもよく、一またはそれ以上の以下のセンサを含む。
いくつかの実施形態では、安全センサは、図10に変換モニタ246として示すように、電流を測定でき、および/または変換器に適用されることができる。このように、変換器が一またはそれ以上のLEDエミッタ207である場合に、LEDの駆動電流または順方向電圧は、モニタすることができ、そこでは、事前に確立したパラメータからの偏差が、LED、またはLEDドライバの故障、もしくは安全ではない操作状況を示すことができる。
RFまたは超音波変換器を横切る電圧は、同様に、変換モジュール246によりモニタされることができ、そこに供給される電流もモニタされることができる。他の実施形態では、図10においてエネルギー変換モジュール120に隣接して示す熱電対またはサーミスタ234のような温度センサは、変換要素の内部または外部の温度をモニタするように構成されることができ、オーバーヒートは、安全ではない操作、または要素の故障を示すことができ、加熱の不足も、動作的な故障を示し得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、コントローラ212は、いかなる自動的な制御も行うことなく、手動の動作用の自立したディスクリートのアナログおよびディジタル回路を備え、手動の、または、オープンループシステムであってもよい。手動の動作は、装置200をオンおよびオフさせること、並びに、安全な、およびフィードバック情報を受信することを含む。この場合には、装置200は、装置200をオンにし、かつ、フィードバックを用いて瞼の所望の温度を評価し、並びに評価に応じて工程を調整するユーザまたは臨床医によって、コントローラなしで手動で操作される。
フィードバック特性は、オン/オフ、光、または警告音、温度データ、圧力データ、安全データ、あるいはユーザまた臨床医が工程を評価するのに役立つ他のデータのように、ユーザまたは臨床医に状態を知らせ得る。いくつかの実施形態では、コントローラ212は、直接作用型の閾値検出器、および安全のための遮断回路を含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラ212は、フィードバック特性により工程をモニタするように構成されたプロセッサまたは集中コントローラを含み得るものであり、フィードバックのいくつかの部分は、安全ではない状況でシステムをオフにするように、安全のためにコントローラに戻される。
【0161】
コントローラ212の機能ブロックは、意図された動作に向けさせるための動作的機能と、安全機能との両方を含み、および実行し、様々な安全センサ230とインターフェースで接続される。それは、全ての機能を制御する単一のプロセッサ、すなわち、図3および図4Aに示す一つのコントローラ212とすることができ、あるいは、当業者に公知のように、第1コントローラと、第1コントローラの監視役として働く第2安全コントローラのように、一またはそれ以上のコントローラを備えることができる。
特に、第2安全コントローラは、第1コントローラの機能性をモニタするように設計され得るものであり、もし、二またはそれ以上のパラメータが、第1コントローラ212が正しく機能していないことを示す場合には、第2安全コントローラは、エネルギー変換器および/または装置200の全体をパワーダウンさせるように構成されている。
コントローラ212に関連機能は、ソフトウェアと関連するマイクロプロセットまたはマイクロコントローラのようなコントローラによって達成させることができるが、ある実施形態は、好ましくは、コンとラーラなしで、かつ、その代わりに、一またはそれ以上のプログラマブルゲートアレイ、ロジックアレイ、アナログ回路、ディジタル回路要素、あるいは、上述のいずれかの組み合わせを用い得る。
【0162】
一つの簡易な実施形態では、第2安全コントローラは、プロセッサなしのアナログまたはディジタル回路要素を備える。例えば、互いに結線されたか、あるいはロジック回路により結線された光学、温度、および/または圧力スイッチ、オペアンプ、および/またはリレーは、センサが所定の状態にある場合にのみ、装置の初期または連続した動作を可能とするように構成される。
全てをプロセッサにより制御することを示す代替の実施形態では、全てのセンサは、第2安全コントローラの機能を実行するために、および所定のパラメータ外の動作を防ぐか、または、装置200内の機能している要素の動作をそれらのパラメータ内に留まらせるために調整するかのために、一またはそれ以上のプログラムされたプロセッサへのディジタルまたはADC入力を通してモニタされる。
【0163】
安全機能に加えて、コントローラ212は、装置200が通常動作をするように指示し得る。例えば、それは、コントロールボタン、ロータリーエンコーダ、タッチセンサ、音声コマンド、またはいずれかの他の従来のユーザインターフェースを含み得るユーザインターフェース270を通して、ユーザとのインターフェースを行うことができる。それは、エネルギー変換器に対する電力管理、直接または割り込み電流の流れ、およびその出力の調整、振動装置を開始させまたは停止させる動作、安全警告の開始または停止、表面冷却装置の開始、調整、または停止動作、および温度管理部を通したエネルギー変換器の冷却のモニタおよび調整を行うことができる。
コントローラ212は、またはその代わりに用いられるディスクリート回路は、装置200内のいくつかの、あるいは全てのこれらのシステムと動作可能に接続され得る。さらに、それは、エネルギー変換器を自動的に遮断するタイマー機能を含むことができ、それ故、動作の所定期間後に、第1、第2、または第3タイプの安全センサからの信号に応じて、瞼に対する加熱または振動エネルギーの供給を中断することができる。
【0164】
電力源モジュール110は、装置200に対する電力の供給を促進するように設計される。それは、外部の電力源と連結されたコードまたはケーブルのような外部電力インターフェースを含むことができる。好ましい実施形態では、電力管理部は、内部電力供給部を含む。いくつかの実施形態では、電力管理部は、充電可能なバッテリーまたはバッテリーパックを含む。これは、ニッケル水素バッテリー、リチウムイオンまたはリチウムポリマーバッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、またはいずれかの他の好適な充電可能または非充電可能なバッテリーを含むかもしれない。
バッテリーは、好ましくは、1−5アンペア、好ましくは少なくとも3アンペアのサージ電流のような、高電流容量を備え、1、2,3、4、5分またはそれ以上、そのような高電流を供給する能力を備えている。いくつかの実施形態では、内部バッテリーは、3、4、5、6、7、8、9、10、または12ボルトあるいはそれ以上の電圧を供給する。バッテリーの容量は、設計負荷によって要求され、例えば、少なくとも1時間当たり200、300、500、1000、2000、2500ミリアンペアまたはそれ以上の容量を有するバッテリーパックである。所望の電圧は、所望の電圧を達成するために、より低い電圧のバッテリーを直列に接続し、あるいは、より低い電圧を所望の電圧に昇圧するためのDC−DCコンバータを用いて、達成され得る。いくつかの実施形態では、バッテリーは、エネルギー変換器の電力供給によって必要となる電圧よりも低い電圧を供給し、電圧は、より低い電圧、例えば5Vまたは3.3Vの電圧がコントローラ212あるいはそれに変わるディスクリート回路に供給される間、エネルギー変換器のために昇圧される。
【0165】
一つの好ましい実施形態では、エネルギー変換器は、LED Engin社により作成されたものと同様の高出力LEDであってもよく、特に、エネルギー変換器は、最大照度において、およそ12−14Vの順方向電圧、並びに、2.4アンペアまでの電流を必要とする、3個の直列エミッタが3セット平行に配置された非標準的な構成で、9個の緑色エミッタを備えて構成されたLZ9であってもよい。
この実施形態では、3個のRCR123 LiFePO4セルまたは同様のものが直列に用いられ得るものであり、1時間当たり750ミリアンペアの容量を有志、7.2Vの始動電圧を提供する。LEDを駆動するために必要な電圧を提供するために、およそ2倍に電圧を昇圧するDC−DCコンバータ回路が含まれる。
【0166】
電力管理機能は、充電器、バッテリー状態モニタ、および/または温度モニタを含むことができる。これらの機能は、分離した回路またはコントローラ212に全部があるいは一部が組み込まれることによって実行され得る。いくつかの実施形態では、電力管理部は、外部の電力供給部との誘導結合を通して電力を与えられる充電器を含み、それは、装置200がシールドされることを可能にし、簡単な清掃を可能に、および湿気または汚れの進入を防ぐ。いくつの実施形態では、誘導結合は、充電クレイドルまたは電気的に隔離されたコンセントを用いた電力接続を用い得る。誘電結合は、すぐそばにある二つの誘電コイル(一つはクレイドル、および一つは、装置内)、あるいは、同じ周波数で共振するように調整された(磁界調相結合または電気力学的誘導)二つのコイルを含み得る。
【0167】
温度管理部は、また、多くの好ましい実施形態の重要な要素であり、いくつかの場合では、LEDまたはLEDアレイのような、エネルギー変換器からの除熱を含む。LEDの場合には、接合温度を、135℃のような所定の閾値以下に維持することが重要である。他の変換器は、同様に、最大許容構成要素温度を有し、適正な温度管理は、これらの構成要素を許容温度内に維持するために役立つ。例えば、エネルギー変換器要素、ファン、ラジエター、冷却流体等と熱的に結合されたヒートシンクが用いられ得る。
好ましい実施形態では、装置200は、シールドされ、図9に示すような温度管理構造220は、過度の熱を、装置200の外部表面に向ける。これは、シールドされた装置に、喚起のための開放をなくすことを可能にする。他の実施形態では、冷却流体は、(図8に示すような)強制空気冷却または流体冷却ラジエターを通すように装置からの熱を除去するために、温度管理部から、装置の内部に向けられる。
【0168】
技術のさらに別の態様では、装置200は、瞼の熱さの広い範囲にわたって、目標の組織に所望の熱を提供するように、装置をキャリブレートするのに役立つ要素を含み得る。これは、そのようなキャリブレーションなしで、もし目標の組織に近い温度が治療中に測定されない場合には、目標の組織領域(例えば、マイボーム腺および隣接する組織)に起こる熱の量が変化するので、重要である。
上述したように、目標の組織領域のモニタリングは、温度センサを備える強膜等により達成し得る。しかしながら、装置のユーザにとっては、装置を使用する度に、強膜を挿入することは不便である。したがって、個人個人の特定の組織に対して、各装置をキャリブレートすることは有益であり得る。これを達成するために、装置は、初めは、強膜を用いて、好ましくは、眼科のセッティングで、および外部のモニタならびにキャリブレータと併せてキャリブレートしてもよい。
【0169】
例えば、図13を参照すると、装置200がエネルギーを瞼に供給すると、強膜シールド300は、温度データを外部のモニタおよびキャリブレータに(有線または無線接続により)伝達する。外部のモニタおよびキャリブレータ500は、長時間をかけて温度上昇の割合を追跡し、それによって、患者の瞼の熱プロファイルを特徴づける。そのデータにより、外部のモニタおよびキャリブレータ500は、目標組織を所望の温度範囲に加熱するために、装置200をプログラムすることができる。
簡易な実施形態では、外部のモニタおよびキャリブレータ500は、エネルギー変換器をオンし、目標組織が所望の温度に到達するために必要な時間を測定し、かつ、エネルギー変換器をオフし、同じ時間、エネルギーを供給するように装置200をプログラムする。それに代えて、装置200は、目標の組織を、好ましい期間内で所望の温度に加熱するために、エネルギーの量を増加させ、あるいは減少させ得る。
殆どの個人では、瞼の熱さは、上側の瞼から下側の瞼まで、および右眼から左眼まで同様であるが、しかしながら、外部モニタおよびキャリブレータは、それぞれに対して適切な加熱を確実にするために、個々の瞼に対して特定量のエネルギーを供給するための、別々に測定を行い、別々に装置をプログラムすることが好ましいであろう。
エネルギー変換器および関連する回路を実現するために用いられる構成要素の性能に不一致があり得るものであり、適正なキャリブレーションなしで、一つの装置が、他よりもより多いまたは少ないエネルギーを生成するかもしれないことは、さらに認識されるであろう。これの一つの解決は、工場において、コントローラから当たられたコマンドレベルについて実際のエネルギー出力を測定し、コントローラ内にキャリブレーションテーブルを組み込むことであり、それにより、エネルギー装置200が与えられたコマンドレベルについて等しい量のエネルギーを出力する。
それに代えて、およびそれに加えて、外部のモニタおよびキャリブレータ500を用いて、そのような不一致は、また、上述した手順により補償され得るものであり、ここにおいては、装置200の最終のゴールが、目標の組織を所望の温度に加熱することであり、各装置200がそれぞれの特定の患者(およびオプションとしてそれぞれの特定の瞼)にそのように動作するように(不一致の補償に拘わらず)プログラムされる。
【0170】
図14Aおよび14Bを参照すると、強膜シールド300の一つの実施形態では、シールドに埋め込まれた温度変換器のアレイが存在している。この応用については、シールドは実際には眼をエネルギーからシールドするために用いられていないが、代わりに、温度を測定するために用いられており、シールド300は、エネルギー変換器から放射されるエネルギーに対して、実質的に透明な材料で形成し得る。
特定の例として、もしエネルギー変換器が、光源である場合には、シールド300は、エネルギー変換器から放射される光の波長を通過させる透明な材料で形成し得る。好ましくは、シールド300は、また、可能な限り薄く、形状の特徴はなく、それによって患者に対する不快感を最少にして瞼の下に快適に置かれることができ、かつ、組織の加熱について、最小の効果を有する。
図14Aおよび14Bに示す実施形態では、シールド300の正面302に6個の温度センサ310のアレイが存在しており、背面304にセンサアレイが存在する例が示されている。この構成は、殆どの繊細な眼の組織が名目上位置している中心眼球軸の正中線に沿って、正面を向いたセンサ312がより直接的に瞼の内側表面の組織、そこには、マイボーム腺が位置しているが、そこの温度を測定することを可能にし、背面のセンサ314が、眼の表面の温度をより直接的に測定することを可能とする。
温度センサは、シールド300に埋め込まれた(非常に細い線で形成された熱電対、または小型のサーミスタのような)ディスクリート要素でもよく、あるいは、それらは、適切な金属の薄いフィルムを、シールド300の中間層に堆積して形成された熱電対でもよい。
いくつかの実施形態では、シールド300についての好ましいタイプの材料は、シリコーン、ポリウレタン、およびコンタクトレンズに用いられるのと同様な様々なハイドロゲルのような、柔らかく、フレキシブルで、生体適合性のある材料である。
【0171】
上述した実施形態は、外部モニタおよびキャリブレータ500を備えた構成について説明しているが、装置200自身が、その中に作られた同じ機能を有することができ、その場合には、強膜シールド300は、温度データを直接装置200に伝達し、装置200は、それ自身を、特定の患者(およびオプションとして個人の眼および瞼)について正しい温度プロファイルを提供するようにプログラムすることが理解されるであろう。そのような実施形態では、装置200は、臨床医が、装置200に、キャリブレーションシーケンスを実行するように命令し、オプションとして、眼および/または瞼がキャリブレーションされるように装置200に指示を行うことを可能する高性能のユーザインターフェース270を備える。
装置200が、個人的にキャリブレートされた治療を各眼または瞼に提供する場合には、装置200は、眼または瞼が次に治療される患者に(一連の光、またはアルファベットと数字を組み合わせた、もしくはグラフィカルディスプレイを介して)表示できる必要があることが理解されるであろう。
【0172】
それに代えて、またはそれに加えて、キャリブレーション要素は、装置200のエネルギー出力を測定するために用いられ得る。エネルギー変換器が光源である実施形態については、キャリブレーション要素は、例えば、光束、ルーメン、または放射束を測定する照度計であってもよい。
エネルギー源が超音波変換器である実施形態については、キャリブレーション要素は、超音波エネルギー計であってもよい。キャリブレーション要素は、装置200が、容認できる制限で動作しているかいなかを判断するために用いられ得るものであり、および、装置200を所望のパフォーマンス範囲に戻すためのあるパラメータ(エネルギーレベル、または治療時間のような)の調整を可能とするデータを提供し得る。キャリブレーション要素は、また、容認できるパフォーマンス範囲内で装置を動作させ続けるための更新されたキャリブレーションデータを用いて装置200をプログラムするために、装置200と直接または非直接に(例えばPCを通して)通信し得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、装置200は、さらに、温度表示機能、または、病院内装置のためのダッシュボードを含み、それは、内側の瞼および外側の瞼の温度を含むかもしれない。温度表示機能は、絶対温度、または、最大限に対してあくまでも相対的な温度を表示し得る。例えば、温度は、バーグラフの形態で、または、一またはそれ以上の光を用いて表示され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、装置200は、さらに、温度の様相(例えば、時間、日付、使用パラメータ、温度、写真、ビデオ等)を記録するように構成されたデータロギング機能214を含み得る。いくつかの実施形態では、装置200は、さらに、臨床医が、どれくらい多くのMGが健康で、詰まっており、萎縮しているか等の音声による観察を、時間、日付、および患者の名前と共に記録できるように、音声記録機能213を含み得る。これは、臨床医が、手書きのメモをとる必要がなく、および/またはアシスタントを用意することなく、治療を実行することを可能にする。いくつかの実施形態では、装置200は、さらに、データ、音声記録、カメラ画像、またはビデオクリップをダウンロードするための外部のPC、タブレット、またはスマートフォンと接続された通信手段を含み得る。
【0175】
図15A−15Dは、MGD、眼瞼炎、および他の医療疾患についての瞼14の治療のために、眼球20に関連して配置された眼治療装置200の他の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、眼治療装置200は、図3の実施形態と同様に、眼を圧迫しながら、眼の内側および/または外側表面を加熱するように構成される。眼治療装置200からの熱が眼システム10に伝達されると、特に、マイボーム腺18のような治療組織に対しては、熱は、マイバムを柔らかくして、それによって、マイバムが、マッサージまたは眼の運動中に、より容易に取り出されることを可能にする。眼治療装置200は、眼治療装置200の動作に役に立つ付加的な構成要素と共に、図2A−2H、図3に示すモジュールの構成を含むことができる。
【0176】
眼治療装置200は、近位部201、および取り外しまたは消耗部260と接続された遠位部203を有するハウジング202を含むことができる。ハウジング202は、電力源モジュール110、コントローラ212、エネルギー変換モジュール120、およびエネルギー伝送面140を含み得る。いくつかの実施形態のエネルギー変換モジュール120は、一またはそれ以上のLEDエミッタ207で形成されたLED装置、温度管理構造220、およびエネルギー変換モジュールドライバ209含み得る。エネルギー伝送面140およびLEDエミッタ207は、ハウジング202の遠位端203の近くに位置しており、レバー182を用いてエネルギー変換モジュール120と、移動経路145に沿って、スライド自在な関係にあり、これにより、エネルギー伝送面140がLED207と同時に移動することを可能にする。
【0177】
ハウジング202は、さらに、診断および治療中に瞼縁のモニタリングを強化するための可視化手段160、内側および/または外側表面の温度のような様々な瞼の温度を表示するディスプレイまたはダッシュボード218、データロガー214、および/または、音声レコーダ213、および消耗品のタイプを認識して、消耗品が正しく並んでいること、および/または消耗品の再利用を防ぐことを確実にするために、装置と消耗品との間の通信を行う回路を含み得る。
【0178】
消耗部260は、上述したように、眼システム10の(図1に示すような)繊細な組織を覆うために、瞼12、14と眼球20の間に位置することができる強膜シールド300を含み得る。強膜シールド300は、一またはそれ以上の支持アーム262により、アームの上または中に配置されたワイヤにより、および、ある実施形態では、ワイヤまたはワイヤアレイ420の導電部を取り囲むあるいは導く(channeling)絶縁材料から作られた支持アーム262の構造部分により、ハウジング202に接続され得る。
【0179】
眼治療装置200は、眼治療装置200の様々な構成要素に電力を供給する電力源モジュール110を含むことができ、および、いくつかのまたは全ての構成要素に電気的に接続され得る。コントローラ212を有するある実施形態では、コントローラ212は、ユーザから(例えば、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、スマートフォンのような他のモジュールまたは装置からの音声コマンドのようなユーザインターフェース装置207を通して)、LEDエミッタ207からの光を放射するように入力指示を受けることができる。
【0180】
LEDエミッタ207は、所望の治療に必要な適切な波長の光を放射するように構成することができる一つのタイプのエネルギー変換モジュール120の一部である。治療は、一またはそれ以上の以下のものを含む。
内側および/または外側の表面、瞼縁、および/または瞼の後ろのマイボーム腺を照明することにより瞼12,14を診断すること、
眼システム10の目標の組織領域(例えば、瞼12,14の後ろのマイボーム腺)を加熱すること、
および、眼システム内の細菌を殺す抗菌治療。
【0181】
いくつかの実施形態では、付加的なシールド要素258が、透光要素から反射した、不要な光量子エネルギーが臨床医に戻ることを防ぐために用いられ得る。
【0182】
ここに開示した多くの実施形態の特徴は、臨床医が、熱および圧力を与えている間に、瞼縁を見ることができることを可能にする。瞼縁を見ることにより、臨床医は、マイボーム腺の中央導管からどのような内容物、もしあれば、が取り出されるかを見ることができ、それにより、閉塞したマイボーム腺の詰まりを最適に取り除くために、治療される瞼に与えられる熱および圧力の量を調整することができる。例としては、臨床医は、治療の開始時に、治療される瞼の部分のあるマイボーム腺が、クリアな脂っぽい排出物を有しているかを観察し得るものであり、それは正常なマイボーム腺であることを示す。反対に、いくつのマイボーム腺は、曇った脂っぽい排出物、または少量の厚く、歯磨き粉のような脂質を分泌するかもしれず、その両方は、機能不全のマイボーム腺であることを示す。
臨床医が、治療される瞼の部分に熱および圧力を与えると、機能不全のマイボーム腺のさらなる観察により、曇ったまたは厚い分泌がクリアに変わり、かつ、排出物の量が、突然増え、マイボーム腺が詰まっていなかったことがわかり得る。そのような点で、臨床医は、治療が成功裏に、閉塞したマイボーム腺の詰まりを取り除いたので、その領域に与えた熱および圧力を低減するかもしれない。この連続した視覚的フィードバックなしでは、臨床医は、標準的な治療法の適用を退けるかもしれず、それは、与えられた患者における特定の詰まったマイボーム腺については、消極的過ぎ、または積極的過ぎるかもしれない。
【0183】
参照として、少なくとも図2D図2E図2F図2G図2H図3図15A図15B、および図15Dのそれぞれは、眼瞼縁が、臨床医が治療中に視覚的にモニタするように露出されている実施形態の例を示す。臨床医は、治療される眼の前方に位置しているだろう。
【0184】
図16Aを参照すると、側断面図は、エネルギー伝送面140、眼瞼縁14aを有する瞼14、強膜シールド300、および光路175を有する可視化手段160を示す。この実施形態は、画像変換器155を有していないことを除いて、図2Eに示すもの同じである。図16Aの実施形態では、可視化手段は、直接的に眼瞼縁14a上に、より具体的にはマイボーム腺の中央導管19上にフォーカスされる。
【0185】
図16Bは、図16Aと同じ実施形態の正面斜視図であり、眼瞼縁14aが臨床医によって前方から見ることができ、瞼14がエネルギー伝送面140と強膜シールド300との間で、押圧される例を示す。この実施形態は、画像変換器155を有していないが図2Fに示すものと同様である。
【0186】
図16Cは、支持アーム262を加えた、図16Aに示す実施形態と同様の実施形態である。支持アーム262は、図3図3A図7H図7G、および図15Bに示すものと同じである。
【0187】
図16Dは、図16Cに示す実施形態の正面斜視図であり、強膜シールド300に接続された支持アーム262の一部を示す。限定ではなく例として、眼瞼縁14aは、露出し、かつ、支持アーム262の下端に隣接している。図16Eは、図16Dと同じであるが、太い点線の四角でハイライトされる眼瞼縁14aを見る穴440を備えている。図16Fは、図16Dおよび16Eの実施形態の上面図であり、視覚的なモニタのために露出された眼瞼縁14aと共に、強膜シールド300に対して瞼を押圧するエネルギー伝送面140を示す。図16Gは、図16Fと同じであるが、太い点線の四角でハイライトされる眼瞼縁14aを見る穴440を備えている。実施形態では、アーム間の距離は、0.2インチと1.2インチとの間である。実施形態では、二つのアームと背板との間の取り付け点により定義される線と、二つのアームと圧力要素との間の取り付け点により定義される線との距離は、少なくとも0.04インチである。
【0188】
図16Hは、図16Cの実施形態のより詳細な側断面図であり、ある実施形態の穴440の境界を定義する。図においては、線1は、穴の下側の(水平な)境界を示し、線2は、上側の(垂直な)境界を定義する。
頬骨の組織と眉毛の構造におけるバリエーションが、これらの境界のバリエーションになるかもしれないが、角度1は、線1と線2の間の角度であり、理論的には、約90度である。図16Jは、図16Hの実施形態をより詳細に示し、穴440の好ましい下側の境界は、線4として示され、穴440の上側の境界は、線6として示されている。
角度2は、水平な線3と線4との間の角度であり、好ましくは、約5度と約20度との間であり、角度4は線3と線6の間の角度であり、好ましくは、約60度と約80度の間である。
角度3は、線3と線5の間の角度であり、穴440を通して瞼縁14aを見る好ましい角度であり、好ましくは、約25度と約50度の間である。
【0189】
図16Kは、図16Hに示すものよりもエネルギー伝送面140が短いことを除き、図16Hと同様の実施形態であり、それによって、眼瞼縁14aに隣接する瞼14の上側部分をより露出させている。この実施形態では、線7および8により定義される外側の境界が、図16Hに線1および2により定義される境界に対して平行であり、それらの間の角度5が従って約90度であるが、穴440は、より大きくなっている。
【0190】
図16Lは、強膜シールド300が、上側と下側の瞼の両方の後ろまで延びていることを除き、図16Kに示す実施形態と同様であり、下側瞼14だけでなく、上側瞼12に隣接したエネルギー伝送面140の部分が存在している。この実施形態では、上側と下側の両方の瞼は、下側の瞼だけの代わりに、加熱され、押圧される。図示するように、支持アーム262は、強膜シールド300に接続され、エネルギー伝送面140は、穴440を介して、上側と下側の両方の瞼の視認を可能とするように構成されている。線9および10は、穴440のおおよその下側および上側の限度を示しており、それにより、好ましくは約10と約150度の間の、より好ましくは、約20度と約120度の間の、角度6を定義している。
ここに開示した実施形態の多くの変形が可能であり、それらのいくつかは、光路長を変更可能であり、それによって穴に関連する角度を変更する。例えば、図2Eに示すような画像変換器を用い得るものであり、同様に、反射し、導波し、または臨床医に穴を介して眼瞼縁の画像を変換する他の手段を用い得る。また、穴は、構造的要素を介して、光学的に伝達可能な窓であり得る。例えば、図16Lでは、エネルギー伝送面140は、治療される上側および下側の瞼の両方の部分を完全に覆い、かつ、眼瞼縁の近くに開口を設ける代わりに、少なくとも表面140の部分が、臨床医が瞼縁を見るのに十分に透明である。さらに、眼瞼縁に隣接してまたは直接取り付けられた画像センサ、光ファイバ束、あるいは光パイプを設けることが可能であり、眼瞼縁の画像は、表面140の外側の点に電気的または光学的に伝達可能であるかもしれない。これらの代替の実施形態の全て、および当業者にとって明らかな他の実施形態は、この開示の範囲内に含まれる。
【0191】
図16Mは、図16Lの実施形態の正面斜視図である。図示するように、二つの支持アーム262は、強膜シールド300に接続されており、二つのエネルギー伝送面140は、上側瞼12と下側瞼14に隣接して示される。図示するように、上側および下側の眼瞼縁12a、14aは、それぞれ、視認可能であり、マイボーム腺の中央導管19も同様に、視認可能である。図16Nは、図16Mと同じであり、太い点線の四角で一般的に定義される穴440を備える。
【0192】
図16Pは、図16Mの実施形態と同様であるが、単一の支持アーム262を備える。図16Qは、図16Pの実施形態と同じであるが、上側および下側のエネルギー伝送面140の間の間隔により定義される二つの穴440を、中央支持アーム262の左右に対して、ハイライトしている。単一または複数の支持アーム、あるいは単一または複数の穴を有する他の構造の他の組み合わせは、当業者によって考慮されるであろう。
【0193】
図16A−H、図16J−N、および図16P−Qは、エネルギー伝送面140、強膜シールド300、および支持アーム262のユニークな構成を示すものであり、それらは、治療される瞼の部分に熱および圧力を与える間に、一つのまたは両方の眼瞼縁の視認を可能とする穴440を定義する。多くの他の構成が可能であり、革新的な発想を説明するために、いくつかの例示の実施形態だけが、ここに説明されている。
【0194】
図17Aを参照すると、図3に示す実施形態の部分の同様に、アッセンブリが示されている。エネルギー変換モジュール120は、エネルギー導波路モジュール130の近位端に隣接して位置している。モジュール130の遠位端は、エネルギー伝送面140に隣接し、(図17Cに示す)正面ガラス284、および使い捨てカバー要素147aと147bにより、覆われている。部分147bは、瞼14に接する。図17Bは、エネルギー変換モジュール120の正面図であり、二つの赤外線LED120a、および四つのライム放射LED120bから成り、全ては基板上に取り付けられている。図17Cは、図17A−Bに示すものと同じ構成要素の分解図であり、エネルギー導波路モジュール130の内側表面についてコールアウト130aを含む。
いくつかの実施形態では、導波路モジュール130は、モジュール120と固定された関係にあるかもしれず、他の実施形態では、モジュール130は、モジュール120に対してスライドするかもしれず、かつ、他の実施形態では、モジュール120は、モジュール130に対してスライドするかもしれない。好ましい実施形態では、モジュール120は、固定され、モジュール130は、モジュール120の周りを前後にスライドする。そのような好ましい実施形態では、モジュール130が完全に前に動くと、それは、瞼14(上側瞼を治療する際には、または12)に対してエネルギー伝送面140を押す。
【0195】
表面140に対するモジュール120からの光エネルギーの伝達の効率を最大化するため、モジュール130の内側表面は、モジュール120によって放射される波長に高度に反射する材料で、コーティングされ、裏打ちされ得る。例として、モジュール130の内側表面は、保護された銀材料によりコーティングされ、あるいは、Fusion Optix社のWRF-150、もしくは3M社のESR、これらの全ては、500nmと900nmの間の波長に97%以上反射するように設計されているが、これらのようなフィルムにより裏打ちされ得る。
【0196】
ある実施形態では、部分147aは、500nm−880nmの範囲で光エネルギーを伝達するプラスチックまたはガラス材料で作られ得る。アクリルは、部分147aについて許容される材料の一例である。部分147bは、瞼の表面に対して押圧する柔らかな表面を有するために、好ましくは、シリコーンのような低デュロメータ材料である。殆どのシリコーンは、赤外線エネルギーに対して完全には透明ではないので、エネルギー損失を最少化するために、147bの厚さを約0.02−0.06インチの範囲に維持することが好ましい。
【0197】
図17Dは、モジュールが完全に前進した時(その遠位端は赤外線LEDレンズの最高点から約0.5インチにある時)に瞼14を介して伝達される赤外線エネルギーの分布を示す。左上に示すグラフを参照すると、より暗い領域は、最高の放射照度(一平方ミリメータ当たりのワット数)のエリアであり、より明るい領域は、最低の照度である。図示するように、最高の照度は、中央で起こり、照度は端に向かって鋭く落ちる。一方の端から他方の端までを横切って、瞼組織を均一に加熱することが望ましいので、X軸を横切る非対称の分布は、理想的ではない。マイボーム腺に起こる閉塞の殆どは、開口部または中央導管の近くなので、Y軸方向では、いくつかの非対称性は望ましい。下側瞼が治療されている場合には、モジュール140の上端は、下側瞼の上端に並び、瞼全体を温めている間、放射照度プロファイル(および従って組織加熱プロファイル)を上端に向かってバイアスさせることが好ましいだろう。
【0198】
赤外線光の放射照度の分布を改善するために、図17Eに示すように、部分的に反射するコーティング196が、部分147aの表面に適用され得る。一つの実施形態では、このコーティングは、820−880nmの範囲で、エネルギーの約33%を伝達し、約67%を反射するアポディゼーション(apodization)コーティングである。図17Fは、二つのゾーン196a、196bを備えたコーティングパターンのより詳細な図である。図17Gは、アポディゼーションコーティングが用いられた際の瞼を介した放射照度の結果としての分布を示す。図示するように、最高の放射照度ゾーンは、より広くなり、上端に向かって傾き、上端に沿って左右端に向かって放射照度の落ち込みはより少なくなっている。かくして、(下側瞼を治療する場合には)瞼の上側半分に沿って組織の優先的な加熱が行われ、瞼を左右に横切る加熱はより均一になる。
【0199】
アポディゼーションコーティング196が、ライム領域(500−600nm)の波長に反射性を有する場合は、瞼の所望の部分にはライム光は殆ど到達せず、かつ、ライム光エネルギーの発色団吸収を通して、瞼組織の加熱をより少なくするであろう。これに言及すると、一つの実施形態では、コーティング領域196aが、赤外線だけに部分的に反射性(820−880nmには67%反射、33%伝達、ライムの500−600nmには、90%以上伝達)を有し、コーティング領域196aが、赤外線(820−880nm)およびライム(500−600nm)の両方に対して、部分的に反射性(67%反射、33%伝達)を有することが好ましい。
【0200】
図17Hは、上述したように(ゾーン196aはライムを伝達し、赤外線を部分的に反射し、ゾーン196bは両方を部分的に反射する)アポディゼーションコーティングを有する実施形態について瞼の表面にライム放射照度の分布をプロットした図である。図示するように、放射照度パターンは、瞼の上側半分に対して傾き、放射照度の著しい落ち込みなしで、右から左によく分布している。
【0201】
ここに開示したコーティングタイプおよび堆積パターンの例は、本発明を説明する簡単な例であり、代替の構成が、所望のスペクトルでの放射照度のより均一な分布を結果として得るかもしれない。例えば、瞼の加熱パターンを整形する他の方法は、堆積パターンまたは(図3Aに示す)強膜シールド300のエネルギー吸収面302の特性を、修正することである。例えば、放射照度パターンが、図17Dに示すようなものである場合には、強膜の加熱を均一にするために、強膜シールド300の表面の右および左部分が、エネルギー吸収材料により、強膜シールド300の中央部分よりも、より濃くコーティングされ得る。さらに、瞼の上側部分に向かって熱を歪めるために、強膜の表面の上側部分は、エネルギー吸収材料により、より濃くコーティングされるかもしれない。強膜シールドの表面のエネルギー反射および吸収特性の変更だけでなく、エネルギー伝達経路内の要素上のコーティングの組み合わせは、全て本発明の範囲内に含まれる。
【0202】
図18は、開示されたシステムに関連する可視化要素の特定の実施形態の上面図である。この実施形態では、可視化装置または撮像要素160はレンズである。レンズ160は、単一の要素または複数の要素から形成され得るものであり、それは、回折または屈性の構成要素を含み、および材料は、ガラス、プラスチック等を含む技術分野で知られたいずれかの材料のような材料が使用し得る。要素600は、レンズ160に関連する臨床医の目を示す。光路175は、名目上は、臨床医の目から直接、レンズ160を通して、患者の眼20の領域、または、より詳しくは瞼14に至る。610として示される大きさは、レンズ160を介して見た臨床医の視点からの視野を示す。大きさ670は、レンズ160の焦点の深さを示し、大きさ605はレンズ160との間の作動距離を示し、大きさ605は焦域を示す。
【0203】
一つの実施形態では、限定するものではないが、図18のシステムの大きさは、以下のような例示の仕様を有するように携帯用の撮像装置に最適化されている。
【0204】
視野:5−40mm、好ましくは、約8mmと約25mmの間。
【0205】
作動距離:15−100mm、好ましくは、約30−40mmの間。
【0206】
焦点の深さ:3−25mm、好ましくは、少なくとも10mm。
【0207】
臨床医の目までの距離:25−600mm、好ましくは、約200−450mm。
【0208】
倍率:2X−9X、好ましくは、約2.5Xと6Xの間。
【0209】
いくつかの市販のレンズは、以下のような例を含む十分な画像品質を有している。
【0210】
Newport社、PAC040AR.14、アクロマティック・ダブレット、直径 25.4mm、EFL 50.8mm、コーティング 430−700nm
【0211】
Edmund社、49-379、アクロマティック・ダブレット、直径 40mm、EFL 60mm、コーティング 400−1000nm
【0212】
上記レンズは、携帯用装置に取り付けられるのに十分に小さくするため、楕円形または長方形にカットされ得る。長方形の外形は、レンズから取り除いた余材が見逃されないように、注目領域の長方形の特性を反映する。眼瞼縁、眼球、およびマイボーム腺の開口部を可視化するのに申し分のない画像を達成しながら、これらのパラメータの多くのバリエーションが可能であることが理解されるであろう。モールドされ、または研磨されたガラスレンズ、プラスチックレンズ、非球面レンズ、色消しレンズ、回折レンズ、様々コーティング等は、所望の光学的パフォーマンスのいずれかの組み合わせを提供するために、用いられ得る。
【0213】
図8に示す照明源207は、より予測可能な、かつ、均一な視野の照明を提供するオプション要素である。これらは、LED、または他の適切な照明源でもよく、かつ、これらは、図3に207で示すように、LEDに、またはLEDと同じ部分に、もしくは治療を行うのに仕様される他の照明源に組み込まれ得る。従来技術として知られているように、光源(図示せず)は、視野の照明レベルをサンプルするために、かつ、照明源の輝度、および場合によって色温度を調整するために、用い得る。
【0214】
照明源207の配置は、特定の実施形態について最適化し得る。例として、単一のLEDが使用され得るが、それは、視野により均一に光を分配するために、拡散器、屈折要素、回折要素、または他の手段を含み得る。また、LEDのアレイも用い得るし、あるいは、エレクトロルミネセンスランプ、または光パイプ等も与えられ得る。また、照明源のタイプおよび配置は、患者の眼からの明るいスペクトルの反射を削減し、または取り除くように、構成され得る。一つの実施形態では、一対のLEDが用いられ、それらは、そのような反射を削減するために、光路175から少なくとも45度離れて配置される。
【0215】
図19は、開示したシステムに関連する可視化要素の特定の実施形態の側面図である。この実施形態では、撮像装置160は、ハウジング620、マルチエレメントレンズ630、穴680、および撮像素子640を備えるカメラシステムである。複数の視野の大木債610A−Cが示されており、ズーム条件が変化する状況下で、異なる視野を示している。ここに説明したように、多数の代替例が用いられ得るが、照明源207は、カメラハウジングを横に並べて示される。マルチエレメントレンズ630と撮像素子640との距離は、後方焦点距離であり、カメラの遠位端と視認中の眼または瞼との間の所望の作業距離を得るために、調整または設定される。焦点の深さ、つまり、相対的な鋭い焦点となる視野の近い部分と遠い部分の間の距離を調整または設定するために、穴680の大きさが選択される。
【0216】
撮像素子640は、眼瞼縁、マイボーム腺の出口側開口部、および開口部から出てくる物質のように、注目の画像構造に対して十分な解像度を有するCMOSまたはCCD撮像素子であり得る。いつかの場合には、ドキュメントで参照することを目的とした場合、および長期間追跡する治療のように、眼球の全体を撮像することが役立つかもしれず、他の場合には、いくつかのマイボーム腺の開口部をクローズアップして撮像することが好ましい。
典型的な瞼は、約24mm幅であり、典型的には、20−30個のマイボーム腺を含む。解像度の要求についての第一次の評価は、瞼が24mm幅に約24個のマイボーム腺を含むと仮定すると、1mm当たり約1個の開口部が存在する。開口部は、大きさについて、0.1mmのオーダであり、瞼の幅一杯に撮像を行い、開口部当たり少なくとも10ピクセルとする要望がある場合には、必要となる水平方向のピクセルの数は、約(0.1mm当たり10ピクセル)×24mm=2400ピクセルとなる。これは高いピクセル数なので、低い解像度の撮像素子を使用し、瞼縁のより狭い部分に丁度フォーカスすることが望ましい。ズーム機能は望ましいものであり、最小ズームでは、眼球全体は可視化され、最大ズームでは、数開口部だけが、高い倍率で見られる。このズーム機能は、移動可能なズームレンズ組立品を用いることにより実行できるかもしれず、撮像素子がそれに適合する十分な解像度を有している場合には、ディジタルズームを用いることにより実行できるかもしれない。
【0217】
多くのオプションが、カメラシステムの焦点を調整するために利用可能であることが理解されるであろう。例えば、手動のピントリング、または、オートフォーカス機構が用い得る。瞼の治療は、デリケートな工程なので、臨床医に、いかなる焦点調整も要求しないことが好都合だろう。臨床医は、自動機構により選択されたものとは異なる焦点面を選択することを希望するかもしれないので、カメラがオートフォーカスを有しない方がさらに望ましい。これらの理由から、実施形態は、眼の角に近い眼瞼縁の後方および眼球自身の部分だけでなく、眼の中心で眼瞼縁の正面に相対的に鋭いフォーカスを維持するのに十分広い焦点の深さを有する十分に小さい口径を有する、固定フォーカスのレンズシステムを含む。
【0218】
一つの特定の実施形態では、限定されるものではないが、カメラシステムの実施形態は以下のような例示の仕様を有する。
【0219】
視野:通常、20−30mm、好ましくは、約25mm、2倍のディジタルズームで12mmまで、4倍のズームで6mmまで低下する。
【0220】
作動距離:15−100mm、好ましくは、約30−40mmの間。
【0221】
マルチエレメントレンズの焦点距離:5−10mm、好ましくは約7mm。
【0222】
レンズの口径:F/2.8−F/11、好ましくはF/5.6。
【0223】
一つの特定の実施形態では、撮像素子640は、ON Semiconductor社のCMOS撮像素子AR0330であり、以下のような特性を有する。
【0224】
大きさ:1/3インチ(6mm)
【0225】
解像度:2304H×1536V
【0226】
ピクセルサイズ:2.2μm×2.2μm
【0227】
感度:2.0V/lux・sec
【0228】
SNR/最大:39dB
【0229】
ダイナミックレンジ:69.5dB
【0230】
概して、このような撮像素子は、視野が瞼の幅一杯まで広がった時でも、開口部を撮像する十分な水平方向の解像度を有する。それは、また、よい感度を有しているので、少ない照明で、ノイズのない画像を得られる。この特定の撮像素子は、また、近赤外線光エネルギーに良い反応を示すので、この明細書に後述するように、望ましい特性になり得る。
【0231】
ここに開示したカメラシステムについての著しい挑戦は、可視化された瞼が光ベースの熱源を使って加熱される時でも、質の良い画像をキャプチャできるべきである。例えば、光ベースの熱源が、570nmの範囲の波長(黄色−緑色)を用いる場合には、CMOSまたはCCD撮像素子によってキャプチャされた画像の重要な部分は、非常の輝度の高い光レベルにより、露出過度になりやすいであろう。
殆どの撮像素子は、自動露出または自動シャッター機能を有しているが、これが実行される時でも、明るい光のエリアが飽和しないようにするため、画像の殆どが黒色に近くなるように、アルゴリズムは露出を小さくする。
将来の撮像素子は、ダイナミックレンジが改善され、および/またはゾーン特有の露出制御のためにより複雑なアルゴリズムを有するようになるかもしれないが、AR0330のような撮像素子は、代替のアプローチを用いなければならない。
【0232】
このようなアプローチの一つは、図20Aに示される。この図では、上側の波形700は、熱源から放射される明るい光の照射レベルのディジタル表示を示している。それは、「オフ」とある高いレベルの間を切り換え、あるいは、低いレベルと高いレベルの間を切り換え得る。第2の波形710は、カメラが使用可能な波形を示し、高いレベルは、カメラがスナップショットまたはビデオクリップを撮ることができることを示し、低いレベルは、カメラがスタンバイ状態になることを示す。図示したように、カメラは、明るい光が停止または低下した時に使用可能になり、カメラは、サチュレーションまたは過度のコントラストを生じることなく、高品質の画像をキャプチャすることができる。
【0233】
図20Bは、図20Aと同様であり、上側の波形700は、照射レベルを示し、次の波形710は、カメラが使用可能な波形を示す。これに加えて、代替照射源が示唆され、波形720は、そのような照射源について使用可能なラインを示す。この重要性は、代替照射源が、熱源となる光がオフされている間に視野の最適な照度を提供し、熱源となる光がオフしている期間に、カメラシステムがより良い画像をキャプチャできるように構成されるであろうということである。
【0234】
いくつかの実施形態は、独立した視認レンズだけでなく、カメラシステムを有するかもしれず、この場合は、事後の解析やドキュメンテーションのために、SDカードのようなストレージデバイス上に画像をキャプチャする。
また、いくつかの実施形態は、臨床医によって見ることが可能なディスプレイを有する。
そのようなディスプレイは、カメラからのスナップショットまたはリアルタイムのビデオストリームを表示するのに用いられ得る。それは、また、瞼の温度、バッテリーの状態、経過治療時間、エラーメッセージ等の重要なデータを表示できる。
いくつかの実施形態は、ディスプレイと視認レンズの両方を有するかもしれず、さらに他の実施形態は、統合されたディスプレイ/レンズを有するかもしれない。例えば、視認レンズは、(日本、茂原市の)双葉電子工業株式会社が製造する40%の透過率の2.4インチQVGA(240×320)、PMOLED型のパネルのような、それに統合された透明OLEDを有するかもしれない。
さらに他の実施形態では、光路は、この技術において知られたタイプのスプリットビーム機能を含み、OLEDやLCD等のような表示源からの画像は、臨床医に見えるように、光路上にマップされる。グーグルグラス(登録商標、カリフォルニア州、マウンテンビュー、グーグル社)は、そのようなビームスプリットベースの撮像システムの例である。
【0235】
視認レンズを置き換えるカメラおよびディスプレイの組み合わせについては、ディスプレイ(およびカメラ)は、カラーである必要があり、十分な解像度を有する必要がある。小型の携帯用の装置の実施形態の場合は、装置の上に大きなディスプレイを備え付けると、扱いにくいであろう。したがって、より小さいディスプレイが、携帯用の実施形態には好ましい。
以下のことが判断される。
a)そのようなディスプレイの最適な幅は、約40−50mmを含み、約20mmから約70mmの範囲であり、
b)そのようなディスプレイにおける最小の水平ピクセル数は、(ある倍率下の開口部のような)注目している組織を見るために、320ピクセル以上を含み、約240ピクセルである。
垂直のサイズおよびピクセル数は、装置の使用を制限しないように、同じか、30%まで小さいか少ないようにし得る。
【0236】
装置の携帯用の実施形態について適切なサイズで、十分な解像度、輝度、および色精度を有する、そのようなディスプレイの一つは、AUO、1.63インチ、カラー、AMOLED型モジュール、モデル番号 H16163QL01(中華民国、台湾、AUT)である。
【0237】
上述したように、いくつかの実施形態では、ある赤外線波長は、マイボーム腺の組織と取り囲む組織の間に高いコントラストを生成するので、赤外線照射を用いて画像をキャプチャすることが望ましい。したがって、マイボーム腺を撮像するために赤外線を用いる技術は、一般的に用いられており、しばしば、マイボグラフィと呼ばれる。720nmから1300nm以上の波長を使用した報告は、上手くいくこともあり、上手くいかないこともあったが、発行されている。良い品質の画像を生成する殆どの装置は、約800nmから940nmの間の波長を使用する。
【0238】
850nm周辺の波長は、上述したAR0330撮像素子と共に用いると、良い画像を生成する。同時に、その波長は、強膜シールドまたは、(上述したように)瞼の後ろに位置する背板上のエネルギー吸収材よって吸収され、瞼を通過するのに極めて効率的であることが発見されている。これは、赤外線の画像を撮像しつつ、視野を照明しマイボーム腺を加熱するために用いられる同じ850nmの光源を用いる機会を示す。撮像に850nmの光源を使用する際に、はるかに少ない放射パワーが必要であり、実際、ある実施形態では、加熱モードと撮像モードの電力比は、50:1またはそれ以上となり得る。
【0239】
マイボグラフィを実行する工程を簡素化するために、ある好ましい実施形態は、カメラに対して瞼の内側表面を露出させるように、瞼を引き下ろし、および/または瞼をめくる機能を組み込み得る。図21Aは、図3に示すものと同様の構成の器具であるが、瞼めくり装置730を備えた器具を示す(器具の残りの大部分は、説明を簡略化するために図示していないことに注意すべきである)。
図3に示すように、エネルギー伝送面140は、LED207およびレンズ208を覆い隠す。支持アーム262は、強膜シールド300または背板300まで延び、瞼14の後ろに位置し得る。支持アーム262および強膜シールドまたは背板300は、瞼めくり装置には必要条件ではなく、それらはさらには議論しない。しかしながら、それらは、器具と患者の顔との間に離間した関係を確立する手段を提供する。
かくして、支持アームおよび強膜シールド/背板が特定の実施形態に含まれていない場合には、離間関係を作り出し、維持する代替手段が含まれ、これは、眼科の器具と共通しているように、器具から患者の前頭部または頬まで延びた足または指を有するような、多くの従来の方法によって達成し得る。
【0240】
図21Aを再び参照すると、瞼めくりアーム740は、器具から(器具との接続部は簡素化のために図示されておらず、いくつかの数の接続部のオプションを実行し得る)延びるように示される。瞼合わせ部750は、アーム740の遠位端にある。合わせ部750は、柔らかく、球体形状の要素、または、粘着性の表面780を有するローラである。それは、非常に低デュロメータのシリコーンのように、粘着性の材料であるかもしれないし、あるいは、質の悪い表面コーティングを有するかもしれないし、もしくは、粘着テープで覆われているかもしれない。
【0241】
瞼をめくるために、アーム740は、図21Aに矢印で示すように、前方および下方に進む。図21Bに示すように、合わせ部750が瞼14に圧力を与えると、瞼の縁は、外側にたわみ始める。合わせ部が下方に移動すると、内側表面、したがって光路175に対してマイボーム腺を露出するために、瞼14は、さらにめくれるようになる。さらに下方への移動は、瞼のさらなるめくりにつながるであろう。
【0242】
また、合わせ部750は、図21Cに矢印770で示すように、回転能力があり、さらに瞼をめくるかもしれない。図21Dに示すさらに他の実施形態では、合わせ部750は、穴800のアレイを有し、合わせ部750の形状の周りに瞼を吸引するために、経路790を介してアーム740を通して合わせ部に負圧(吸引力)を与え得る。
【0243】
エッジ検出、コントラスト強調、および特徴抽出は、臨床解釈をアシストするための画像処理のよく知られた方法である。いくつかの市販のマイボグラフィシステムは、そのような処理を提供する。様々な特定の技術およびアルゴリズムを開示する文献の例は、T. Celik, et alの"Bioimage informatics approach to automated meibomian gland analysis in infrared images of meibography"(J Optom.2013;6:194-204 - Vol. 6 Num. 4)である。本開示のある実施形態では、そのような画像処理技術は、臨床医に、マイボーム腺の本体とその開口部との間の長さ、ねじれ、結合、またはそれらの欠落のような、一定の特徴をハイライトして、マイボーム腺の品質が向上した画像を提供するために、用い得る。
【0244】
さらなる改善においては、ある実施形態は、照射に複数の波長を用い得るものであり、それぞれの特定の波長を連続的に用いて画像キャプチャし、一連の画像に画像補正を実行する。異なる波長は、若干異なる画像特性を提供するので、複数の画像の組み合わせが、特徴補正または抽出に対するより信頼のおけるアプローチを提供し得る。
【0245】
さらに他の改善では、ある実施形態は、互いにおよび視野に対して離れた関係に配置された複数の光源を備え得る。そのような照射源は、同じ波長または異なる波長であり、可視および/または赤外線かもしれない。これらの照射源は、連続的あるいは組み合わせの態様で、それらに関連する画像をキャプチャし、格納し、処理することを可能とし得る。このような方法で、組織、特にマイボーム腺の、ある3次元特性が、視野に対して照射源の角度を変化させることで得られるシャドーイング効果の結果として、識別され得る。
【0246】
さらに他の改善では、透射光は、装置に対する付加的な臨床的効用を提供するために用い得る。この明細書の上述したセクションで説明したように、透射光は、瞼を介して光を投射し、透射画像を観察またはキャプチャする結果として、マイボーム腺の画像を作成する。
ある実施形態では、光のある波長が、特に赤色および赤外線に近い範囲の波長が、治療されている瞼に照らされると、瞼は圧迫され、可視化手段(視認レンズまたはカメラ)が少なくとも3倍、好ましくは6倍以上の倍率で眼瞼縁にフォーカスされている場合には、マイボーム腺およびそれらの開口部を含む瞼の3次元的な特徴を見ることができる、ことが観察される。
ある場合には、閉塞、またはその欠如は、この技術を用いて識別することができ、それは、そのような閉塞を溶かし、および取り出すための加熱および加圧セラピーを案内する助けになり得る。また、透射、赤外線、および可視光を用いた画像処理は、マイボーム腺についての重要な情報を可視化およびハイライトする重要な機会を提供し得る。
【0247】
図22Aを参照すると、小型で、携帯用の眼治療装置の側面が示されている。装置200は、使い捨て部260および器具部202を含む。ディスプレイ218および動作レバー182も図示されている。ディスプレイ218は、オペレータに対して、内側および外側の瞼の温度、バッテリーの状態、治療時間、およびいくつかのエラーメッセージのような重要なデータを提供し得る。
図22Bおよび22Cは、様々な見方の同じ装置を示している。それはまた、カメラ、あるいは、上述した他の撮像オプションのいずれかであるかもしれないが、撮像要素160は、ガラスレンズとして示される。
【0248】
図23は、同じ眼治療装置の断面図である。撮像要素160は、ハウジングの内部に接続された一対のガラスレンズにより形成されているように示される。ディスプレイ218は、カスタムの液晶ディスプレイ(LCD)かもしれないし、あるいは、標準的なLCD、LED、またはOLEDグラフィックディスプレイモジュールかもしれない。
動作レバー182は、装置のハウジングから突出したキャップ部を備え、これは、ピボット802に連結したピボットアーム804に取り付けられている。臨床医が、レバー182を押し下げると、アッセンブリは、リンケージアーム806と連結する。
アーム806はピボット点808上で揺動し、アーム806の遠位端には、エネルギー伝送面140を運ぶ覆い要素を前方に押すローラベアリングアッセンブリ810がある。この覆い要素は、図3に示す要素140と類似しており、それはエネルギー変換器(この場合には、LED207およびレンズ207)を取り囲み、光エネルギーを患者の瞼に向かって導きながら、前方に移動する。
LED207は、好ましくは、複数のLEDを示しており、図示する好ましい実施形態では、約850nmの中心波長を有する一対の高出力赤外線LED、および約570nmの中心波長を有する少なくとも2つのライム−緑色LEDを表している。これらのLEDは、内部の冷却フィンを有するヒートシンク220に取り付けられ、空気は、ファン814を介してそれらを通して動かされる。
パワーボタン816およびパワーインジケータ818(これは光パイプとして示される)も図示される。
エネルギー源110は、バッテリーであり、それは、好ましくは、LiFePO3のような、再充電可能なバッテリーである。この実施形態では、バッテリーは、バッテリーキャップ812を介して、充電または放電される。しかしながら、バッテリーは、この技術ではよく知られた電気的接続部または導電手段を介して装置内で充電され得る。
不要な光エネルギーが瞳に到達することを防ぐための湾曲部264を有する強膜シールド300も図示される。
【0249】
図24は、同じ実施形態であるが、若干異なる断面図である。この図では、案内シャフト820が図示されている。LED207を取り囲む覆い要素140は、この案内シャフトに沿って乗り、レバー182が押された際に、前方に進む。レバー182が解放されると、それはバネ戻り機構(図25の要素828を参照のこと)を介して引っ込む。
図24には、レバー182のスライド動作式の光制御機能も図示されている。レバー182の上の表面は、矢印824で示すように、前後にスライド可能である。前方にスライドすると、光は照射可能となり(LED207がオンする)、後方にスライドすると(あるいは解放すると)、光は停止する。
【0250】
図25は、同じ眼治療装置の分解図である。ハウジングは、上ハウジング202Aと、下ハウジング202Bとから形成されている。ディスプレイモジュール218が図示されており、好ましくは、ディスプレイ、およびドライバプリント回路基板とから成る。
電気回路基板アッセンブリ830は、バッテリーアッセンブリ828を取り囲む。器具部に係り図示された他の要素は、上述されている。
使い捨てアッセンブリに関しては、湾曲部264を備える強膜シールド300が、端部に係合バーブ186を有する一対のアームを備えて示されている。これらのアームとバーブは、ベゼル832の相手側機能にスライドして係合する。
カバー要素147が図示され、詳細については以下に説明する。
【0251】
図26Aおよび26Bは、使い捨てアッセンブリの拡大側面図であり、使い捨てアッセンブリの主要部、および従って支持アーム262を介して器具に接続された強膜シールド300を示す。
生体適応性表面カバー834は、強膜シールド300上に示される。実施形態では、このようなカバーまたはコーティングは、患者と接触するようになるかもしれないあらゆる表面上に配置される。一つの好適な実施形態では、カバーは、NuSil MED-6015から形成される。
【0252】
図26Aでは、カバー要素147が引っ込み、オペレータが、患者の瞼の下に強膜シールド300を挿入することを可能にする。一旦挿入されると、患者の瞼は、おおよそ太い点線14で示されるように、位置されるだろう。
レバー182が押されると、カバー要素147は、矢印で示すように前方に移動し、それによって瞼14を押圧する。
図26Bは十分に前進した要素147を示す。
【0253】
図26Cは、図26A−26Bに示す装置の部分の断面図である。温度センサ310は、カバー要素147内だけでなく、強膜シールドまたは背板要素147に位置されるように図示される。この実施形態では、要素147は、リジッドフレーム840およびソフトパッドから成り、NuSil MED-6015等から形成され得る。
フレームは、覆い要素140の上部および下部に係合する二つのクリップ838を備える。LED207およびレンズ207も示され、これらはレバーが押された時には移動せず、代わりに、覆い要素は、LEDの周りに前後に移動する。覆い要素140の内側表面は、好ましくは、瞼に向かう光をできるだけ多く運ぶために、高い反射性を有する。そのような表面は、メッキされ、あるいは、それの上に反射フィルムを備えても良い。
【0254】
図27は、同じ実施形態の使い捨て部分のさらなる詳細を示す。シリコーンカバー834は、強膜シールド300にぴったりと合うように整形される。
フレキシブル回路846は、図26Cに示す温度センサを含み、器具に連結性を与える。
この回路は、認証チップ、および/または上述したようにメモリチップを含む。
背板アッセンブリ848は、支持アーム及びベース要素852に接続されるベース要素852に対するインターフェースだけでなく、強膜シールドを含む。
カバー片850は、フレキシブル回路846の載置部に捕捉および保持するために、アッセンブリ848に圧入により取り付け、瞼の内側の温度を計測する二つの温度センサを含む。
ソフトパッド842は、フレーム840に接続され、カバー要素147を構成する。
ベース要素852は、それらの端部に係合バーブ186を有する一対のアームを備え、取り付け中に器具に係合される。ベース要素852は、側部を強く押しつけることによりバーブ186を解放し、治療が完了した際に、使い捨てアッセンブリの取り外しを可能とする。
【0255】
開示を要約する目的で、ある態様、利点、および特徴がここに説明される。全ては必要ではないが、いずれかの特定の実施形態に従って、そのような利点は達成され得ることが理解される。従って、本発明は、ここに教示され、または示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、ここに教示するような一つの利点または利点のグループを達成または最適化する方法で、具体化され、あるいは実行され得る。
【0256】
この発明は、現在、実際的な実施形態とみられるものと関連して説明されるが、様々な修正および変形が、本開示の範囲から離れることなくなされ得ることは、当業者に理解されるであろう。
一つの実施形態に組み合わされた部分は、他の実施形態と置き換え可能であり、図示した実施形態からの一またはそれ以上の部分は、他の図示した実施形態に、いずれかの組み合わせで、含まれることができる。例えば、ここに説明した、および/または図示した様々な構成要素のいずれかは、組み合わせ、置き換え、または他の実施形態から除外され得る。
実質的に、いずれかの複数および/または単数のここにおける使用については、当業者が、複数から単数へ、および/または、単数から複数へ、文脈および/または応用に適切なように、翻訳することができる。様々な単数/複数の並べ替えは、明確性のために、ここに明確に明らかにされ得る。
【0257】
本開示は、ある例示の実施形態を説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正、均等なアレンジ、およびそれらの均等物をカバーすることを意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図3A
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4P
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
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図16D
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図16F
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図16Q
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図17B
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図17D
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図17F
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図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図21D
図22A
図22B
図22C
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図26A
図26B
図26C
図27