特許第6927894号(P6927894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6927894サービス内容管理装置及びサービス内容管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927894
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】サービス内容管理装置及びサービス内容管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20210823BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20210823BHJP
【FI】
   G06Q10/10 324
   G06Q50/22
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-11442(P2018-11442)
(22)【出願日】2018年1月26日
(65)【公開番号】特開2019-128877(P2019-128877A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】吉田 邦明
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 真也
【審査官】 田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0191596(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0147775(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0004947(US,A1)
【文献】 特開2017−037489(JP,A)
【文献】 特開2003−265427(JP,A)
【文献】 特開2004−318869(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0136879(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0161094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象組織に属する複数の構成員の属性に含まれる前記構成員の所属及び前記構成員の役職の少なくともいずれかによってそれぞれ重み付けされた複数の健康指標に基づいて、前記複数の構成員の健康状態を評価した評価結果を取得する取得部と、
前記取得部が取得した評価結果に基づいて、前記対象組織に提供するサービスの内容を決定する決定部と、
を有するサービス内容管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記健康指標をランクに分類し、前記ランクに分類された前記複数の健康指標の数の割合に基づいて前記複数の構成員の健康状態を評価した前記評価結果を取得する、
請求項1に記載のサービス内容管理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記取得部が取得した評価結果に基づいて、融資条件を決定する、
請求項1又は2に記載のサービス内容管理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記取得部が取得した評価結果に基づいて、融資の金利を決定する、
請求項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記決定部が前記サービスの内容を決定する時点の前の、前記対象組織に属する全ての構成員のうち所定の割合以上の構成員が健康診断を受けた期間に行われた健康診断に基づく前記複数の健康指標に基づいて前記健康状態を評価した前記評価結果を取得する、
請求項1からのいずれか一項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項6】
前記健康指標は複数の検査項目に対する検査結果を含み、
前記取得部は、前記複数の検査結果のうち前記対象組織が属する業種に関連付けられた一以上の検査結果に重み付けして前記健康状態を評価した前記評価結果を取得する、
請求項1からのいずれか一項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記対象組織と異なる組織に属する複数の構成員の健康指標と比較することにより前記対象組織の構成員の前記健康状態を評価した前記評価結果を取得する、
請求項1からのいずれか一項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記複数の構成員の家族の健康指標と、前記複数の構成員の前記複数の健康指標とに異なる重み付けをすることにより前記健康状態を評価した前記評価結果を取得する、
請求項1からのいずれか一項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項9】
前記決定部は、過去に前記サービスの内容を決定した時点において前記取得部が取得した前記評価結果に用いられた過去の前記健康状態と、前記サービスの内容を決定する時点において前記取得部が取得した前記評価結果に用いられた今回の前記健康状態との関係に基づいて、前記サービスの内容を決定する、
請求項1からのいずれか一項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項10】
前記決定部は、前記サービスの内容を直前に決定した時点における前記過去の健康状態よりも改善された前記今回の健康状態の改善度に基づいて、前記サービスの内容を決定する、
請求項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項11】
前記決定部は、前記取得部が取得した前記評価結果に用いられた前記健康状態が連続して所定の期間にわたって所定の条件を満たすか否かに基づいて前記サービスの内容を決定する、
請求項1から10のいずれか一項に記載のサービス内容管理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
対象組織に属する複数の構成員の属性に含まれる前記構成員の所属及び前記構成員の役職の少なくともいずれかによってそれぞれ重み付けされた複数の健康指標に基づいて、前記複数の構成員の健康状態を評価した評価結果を取得するステップと、
前記評価結果に基づいて、前記対象組織に提供するサービスの内容を決定するステップと、
を有するサービス内容管理方法。
【請求項13】
対象組織に提供するサービスの内容を決定するために用いる評価結果を取得するための評価装置であって、
前記対象組織に属する複数の構成員の属性に含まれる前記構成員の所属及び前記構成員の役職の少なくともいずれかによってそれぞれ重み付けされた複数の健康指標を取得する結果取得部と、
前記複数の健康指標に基づいて、前記複数の構成員の健康状態を評価することにより前記評価結果を取得する評価部と、
を有するサービス内容管理装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康診断に対する評価結果に基づいて決定されるサービス内容を管理するサービス内容管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組織の構成員の健康状態が良好である場合、組織のリスクが相対的に低いと考えられる。従来、健康経営が行われていることが所定の機関に認められた場合に、融資時に優遇を受けられる制度が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】健康経営・健康宣言の普及促進に向け愛知銀行・中京銀行・名古屋銀行と覚書を締結しました、[平成29年12月7日検索]、インターネット<https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/aichi/cat070/201606021>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定の機関によって認められる健康経営は、健康状態の診断結果に基づいて認定されるものではないため、健康経営が行われていることが所定の機関に認められたとしても、組織の構成員の健康状態が良好であるとは限らない。その結果、組織の構成員の健康状態が良好ではないにもかかわらず必要以上に組織を優遇してしまう場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、構成員の健康状態に即したサービスを提供することができるサービス内容管理装置及びサービス内容管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るサービス内容管理装置は、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標に基づいて、前記複数の構成員の健康状態を評価した評価結果を取得する取得部と、前記取得部が取得した評価結果に基づいて、提供するサービスの内容を決定する決定部と、を有する。
【0007】
前記決定部は、前記取得部が取得した評価結果に基づいて、前記対象組織に提供するサービスの内容を決定してもよい。
前記取得部は、前記健康指標をランクに分類し、前記ランクに分類された前記複数の健康指標の数の割合に基づいて前記複数の構成員の健康状態を評価した前記評価結果を取得してもよい。
【0008】
前記決定部は、前記取得部が取得した評価結果に基づいて、融資条件を決定してもよい。
前記決定部は、前記取得部が取得した評価結果に基づいて、融資の金利を決定してもよい。
【0009】
前記取得部は、前記決定部が前記サービスの内容を決定する時点の前の、前記対象組織に属する全ての構成員のうち所定の割合以上の構成員が健康診断を受けた期間に行われた健康診断に基づく前記複数の健康指標に基づいて前記健康状態を評価した前記評価結果を取得してもよい。
【0010】
前記取得部は、前記対象組織に属する前記構成員の属性によって前記複数の健康指標に重み付けすることにより前記健康状態を評価した前記評価結果を取得してもよい。
【0011】
前記健康指標は複数の検査項目に対する検査結果を含み、前記取得部は、前記複数の検査結果のうち前記対象組織が属する業種に関連付けられた一以上の検査結果に重み付けして前記健康状態を評価した前記評価結果を取得してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記対象組織と異なる組織に属する複数の構成員の健康指標と比較することにより前記対象組織の構成員の前記健康状態を評価した前記評価結果を取得してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記複数の構成員の家族の健康指標と、前記複数の構成員の前記複数の健康指標とに異なる重み付けをすることにより前記健康状態を評価した前記評価結果を取得してもよい。
【0014】
前記決定部は、過去に前記サービスの内容を決定した時点において前記取得部が取得した前記評価結果に用いられた過去の前記健康状態と、前記サービスの内容を決定する時点において前記取得部が取得した前記評価結果に用いられた今回の前記健康状態との関係に基づいて、前記サービスの内容を決定してもよい。
【0015】
前記決定部は、前記サービスの内容を直前に決定した時点における前記過去の健康状態よりも改善された前記今回の健康状態の改善度に基づいて、前記サービスの内容を決定してもよい。
【0016】
前記決定部は、前記取得部が取得した前記評価結果に用いられた前記健康状態が連続して所定の期間にわたって所定の条件を満たすか否かに基づいて前記サービスの内容を決定してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様に係るサービス内容管理方法は、コンピュータが実行する、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標に基づいて、前記複数の構成員の健康状態を評価した評価結果を取得するステップと、前記評価結果に基づいて、提供するサービスの内容を決定するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様に係る評価装置は、提供するサービスの内容を決定するために用いる評価結果を取得するための評価装置であって、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標を取得する結果取得部と、前記複数の健康指標に基づいて、前記複数の構成員の健康状態を評価することにより前記評価結果を取得する評価部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構成員の健康状態に即したサービスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】サービス内容管理システムの概要を説明するための図である。
図2】評価装置及びサービス内容管理装置の構成を示す図である。
図3】診断結果管理データベースの構成を示す図である。
図4】評価管理データベースの構成を示す図である。
図5】業種ごとの重み付けを模式的に表した図である。
図6】構成員の家族の健康指標を含めた診断結果管理データベースの構成を示す図である。
図7】サービス内容管理データベースの構成を示す図である。
図8】サービス内容管理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】サービス内容管理システムの変形例における概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[サービス内容管理システムS]
図1は、サービス内容管理システムSの概要を説明するための図である。サービス内容管理システムSは、サービスの提供を受ける対象の組織である対象組織に提供されるサービスの内容を管理するシステムである。サービスは、有形物又は無形物を組織に提供するサービスである。サービス内容は、サービス提供者が銀行である場合、融資額、融資の金利又は融資の期間等の融資条件であり、投資額など投資に関する条件でもよい。サービス提供者が通信事業者である場合、通信回線の利用に必要な料金等である。また、サービス提供者が格付機関である場合、対象組織に対する格付の結果を提供する。
【0022】
対象組織は、サービス提供者が提供するサービスを利用するサービス利用者であり、例えば、従業員及び役員が属する法人、又は職員が属する自治体等である。構成員は、対象組織が法人である場合、当該法人に属する従業者及び役員であり、対象組織が自治体である場合、当該自治体に属する職員である。サービス提供者は、対象組織に対してサービスを提供する法人である。サービスの提供は、対象組織に対して、直接または第三者からの依頼・委託により間接的に提供する場合を含む。サービスの提供先は、構成員が属する対象組織ではなく、対象組織と関連する他の個人又は法人(例えば対象組織を顧客とする事業法人)であってもよい。サービス提供者は、例えば、対象組織に対して融資を行う銀行、又は対象組織に対して通信回線を提供する通信事業者等である。
【0023】
サービス内容管理システムSは、評価装置2と、サービス内容管理装置3とを備える。評価装置2及びサービス内容管理装置3は、サービス提供者が管理する装置であり、例えばサーバである。評価装置2は、対象組織に属する複数の構成員の健康状態を評価し、評価した結果をサービス内容管理装置3に通知する。サービス内容管理装置3は、対象組織に提供するサービスの内容を管理し、対象組織が受けるサービスの内容を、対象組織が管理する端末1に通知する。
【0024】
本明細書において、サービス提供者が、対象組織に属する複数の構成員の健康状態を評価し、対象組織に提供するサービスの内容の管理を行うとして説明するが、これに限らない。例えば、サービス提供者と法的な関係を有する第三者(例えば、委託契約における委託先の法人等)が、対象組織に属する複数の構成員の健康状態を評価し、対象組織に提供するサービスの内容の管理を行ってもよい。
【0025】
サービス提供者は、対象組織からサービス(例えば、融資、投資、格付又は通信回線の利用)の申し込みを受け付けた場合に、当該対象組織に属する構成員に対して検査の受診を依頼する(図1の(1))。構成員は、検査センターから送付された検査キットを使用して検体を採取する(図1の(2))。検査キットは、例えば採血する器具又は心拍数、歩数、睡眠時間等を測定するウェアラブルデバイス等である。構成員は、採取した検体(例えば、採血した血液又は測定した心拍数のデータ)を検査センターに郵送したり、測定データを検査センターに送信したりする(図1の(3))。構成員は、採取した検体に加えて、運動時間、飲酒量、及び喫煙量等を記入した問診票を検査センターに送付してもよい。
【0026】
検査センターは、構成員から送付された検体等に基づいて検査を実施する(図1の(4))。検査センターは、検査した結果として、健康指標を評価装置2に送信する(図1の(5))。具体的には、検査センターの職員は、不図示のコンピュータを用いて評価装置2に健康指標を送信する。ここで、健康指標は、構成員の健康状態を評価するために用いられる指標であり、健康診断結果、生活習慣(例えば、歩数、睡眠時間、運動時間、飲酒量、及び喫煙量等)による健康への影響要因等を含む。評価装置2は、検査センターから送信された健康指標に基づいて、構成員の健康状態を評価する(図1の(6))。評価装置2は、評価結果をサービス内容管理装置3に送信する(図1の(7))。
【0027】
サービス内容管理装置3は、評価装置2から送信された評価結果に基づいて、サービス内容を決定する(図1の(8))。サービス内容管理装置3は、例えば、評価結果が、対象組織に属する構成員の健康状態が良好であることを示す場合、基準レベルよりも優遇したサービス内容を決定する。一方、サービス内容管理装置3は、評価結果が、対象組織に属する構成員の健康状態が良好ではないことを示す場合、基準レベルのサービス内容に決定する。
【0028】
サービス内容管理装置3は、決定したサービス内容を端末1に通知する(図1の(9))。例えば、サービス提供者が銀行である場合、銀行が管理するサービス内容管理装置3は、決定した対象組織への融資条件を端末1に通知する。また、例えば、サービス提供者が銀行から依頼された格付機関である場合、格付機関が管理するサービス内容管理装置3は、決定した対象組織に対する格付の結果を銀行が管理する端末1に通知し、銀行が、格付の結果に基づいて決定した融資条件を対象組織に通知する。
【0029】
また、例えば、サービスを利用するサービス利用者(企業A)と、健康状態の評価を受ける対象組織(企業B)とが同一主体ではない場合、銀行が管理するサービス内容管理装置3は、企業Bの構成員の健康状態に基づいて決定した企業Aへの融資条件を、企業Aが管理する端末1に通知する。この場合における企業Aと企業Bは、契約又は資本等に基づく関係を有し、例えば、企業Aが派遣会社である場合、企業Bは派遣先の会社であり、企業Aが親会社である場合、企業Bは企業Aの子会社である。このようにして、サービス提供者は、対象組織に属する構成員の健康状態に即したサービスを提供することができる。このようにすることで、対象組織が健康増進に向けて取り組むように動機付けることができる。
【0030】
[評価装置2及びサービス内容管理装置3の構成]
続いて、評価装置2及びサービス内容管理装置3の構成について説明する。図2は、評価装置2及びサービス内容管理装置3の構成を示す図である。評価装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。通信部21は、サービス内容管理装置3との間でデータを送受信するネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばLANコントローラを含んで構成されている。
【0031】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部22は、組織の構成員の健康指標を管理する診断結果管理データベースと、評価結果を管理する評価結果管理データベースとを記憶している。診断結果管理データベースと、評価結果管理データベースの詳細については後述する。
【0032】
制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、結果取得部231、分類部232、及び評価部233として機能する。
【0033】
結果取得部231は、検査センターから送信された、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標を取得する。結果取得部231は、取得した複数の健康指標を分類部232に入力する。
【0034】
分類部232は、健康指標をランクに分類する。分類部232は、ランクに分類した健康指標を診断結果管理データベースに記憶させる。
【0035】
図3は、診断結果管理データベースの構成を示す図である。図3に示すように、診断結果管理データベースは、対象組織に属する構成員を特定するための構成員情報と、検査を実施した日を示す実施日と、健康指標が示す検査結果(例えば、肝機能及び腎機能等)とを関連付けて記憶している。構成員情報は、例えば、対象組織名、対象組織の部署名、及び構成員の識別情報であるユーザIDを含む。
【0036】
図3に示す検査結果は、例えば、検査種別(例えば、肝機能、腎機能等)ごとに、1から5までの5段階に分類したランクで示される。検査種別ごとの検査結果は、当該検査種別に含まれる複数の検査項目(例えば、γ−GTP、尿酸等)の数値が、所定の基準値以内であるか否かに基づいて5段階に分類したランクで示される。なお、健康指標として、他の指標、例えば歩数を採用する場合は、例えば検査日における歩数で分類し、歩数が多いほど、ランクを高く評価することができる。
【0037】
分類部232は、検査種別に含まれる複数の検査項目のうち、診断結果が一番悪い検査項目に基づいて、当該検査種別のランクを分類してもよいし、検査種別に含まれる複数の検査項目の診断結果を平均して、当該検査種別のランクを分類してもよい。
【0038】
図2に戻り、詳細については後述するが、評価部233は、複数の健康指標に基づいて、複数の構成員の健康状態を評価する。具体的には、評価部233は、診断結果管理データベースに記憶された検査結果が示す構成員の健康状態に基づいて、当該構成員が属する対象組織を評価する。
【0039】
評価部233は、対象組織に属する全ての構成員に対応する複数の健康指標が検査センターから送信されたタイミングで、構成員の健康状態を評価する。しかし、全ての構成員が健康診断の受診をしなくても、所定の割合以上の構成員が健康診断を受診すれば構成員の健康状態を評価することができる場合がある。
【0040】
そこで、評価部233は、後述するサービス内容管理装置3の決定部332がサービスの内容を決定する時点の前の、対象組織に属する全ての構成員のうち所定の割合以上の構成員が健康診断を受けた期間に行われた健康診断に基づく複数の健康指標に基づいて健康状態を評価してもよい。評価部233は、例えば、サービス内容管理装置3の決定部332がサービスの内容を決定する直前の時点から1年以内において、8割以上の構成員に対応する複数の健康指標が検査センターから送信されたタイミングで、構成員の健康状態を評価してもよい。評価部233は、通信部21を介して、評価結果をサービス内容管理装置3に送信する。
【0041】
サービス内容管理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。通信部21は、端末1又は評価装置2との間でデータを送受信するネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばLANコントローラを含んで構成されている。
【0042】
記憶部32は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部32は、サービス提供者が提供するサービス内容を管理するサービス内容管理データベースを記憶している。サービス内容管理データベースの詳細については後述する。
【0043】
制御部33は、例えばCPUである。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部331、及び決定部332として機能する。
取得部331は、通信部31を介して、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標に基づいて、複数の構成員の健康状態を評価した評価結果を、評価装置2から取得する。
【0044】
詳細については後述するが、決定部332は、評価装置2が評価した結果に基づいて、対象組織に提供するサービスの内容を決定する。具体的には、取得部331が取得した評価結果に基づいて、対象組織に提供するサービスの内容を決定する。決定部332は、通信部31を介して、決定したサービス内容を端末1に通知する。
【0045】
[健康状態の評価方法]
続いて、評価装置2の評価部233が行う評価方法について説明する。評価部233は、分類種別ごとにランクに分類された健康指標の数の割合に基づいて複数の構成員の健康状態を評価する。具体的には、評価部233は、分類部232によって複数のランクそれぞれに分類された健康指標の数の割合に基づいて複数の構成員の健康状態を評価する。評価部233は、評価結果を評価管理データベースに記憶させる。
【0046】
図4は、評価管理データベースの構成を示す図である。図4に示すように、評価管理データベースは、健康診断を受けた構成員が属する対象組織を示す評価対象と、検査が行われた期間を示す検査期間と、健康指標に基づく評価とを関連付けて記憶している。図4に示す評価の検査種別それぞれは、1から5までの5段階に分類された複数のランクそれぞれに含まれる構成員の割合を示す。図4に示す評価の総合は、例えば、各検査種別における各ランクに含まれる構成員の割合に基づいてAからEまでの5段階の総合ランクに分類された総合的な評価を示す。
【0047】
評価部233は、所定の指標に基づいて総合的な評価を行う。所定の指標は、例えば、検査種別それぞれにおける1及び2の割合が80%以上であり、かつ4及び5の割合が10%以下である場合は総合ランクを「A」とし、検査種別における4から5までの割合が30%以上である場合は総合ランクを「E」とする等である。
【0048】
評価部233は、対象組織と異なる組織に属する複数の構成員の健康指標と比較することにより対象組織の構成員の健康状態を評価してもよい。評価部233は、例えば、図4に示す「A社」が評価対象である場合において、「B社」と比較することにより「A社」の構成員の健康状態を評価する。この場合、「A社」の構成員の健康状態は、「B社」の構成員の健康状態より良好であるので、評価部233は、「A社」に対して、「B社」よりも高いランクに分類して評価する。
【0049】
また、評価部233は、様々な条件に応じて、健康指標に重み付けすることにより、構成員の健康状態を評価してもよい。例えば、働き盛りである30代の構成員は、対象組織の事業を遂行するために重要な役割を担うことが考えられる。また、役員は、事業の遂行を管理する責任者として重要な役割を担うことが考えられる。このような構成員の健康状態が良好ではない場合、対象組織の事業の遂行に影響が生じる可能性がある。
【0050】
そこで、評価部233は、対象組織に属する構成員の属性、例えば年齢、所属及び役職の少なくともいずれかによって複数の健康指標に重み付けすることにより健康状態を評価してもよい。評価部233は、例えば、30代の構成員に対応する複数の健康指標を1.5倍に重み付けすることにより健康状態を評価してもよい。また、評価部233は、例えば、役員に対応する複数の健康指標を2倍に重み付けすることにより健康状態を評価してもよい。
【0051】
評価部233は、健康指標に含まれる複数の検査種別に対する複数の検査結果のうち対象組織が属する業種に関連付けられた一以上の検査結果に重み付けして健康状態を評価してもよい。図5は、業種ごとの重み付けを模式的に表した図である。図5に示すように、重み付けは、業種ごとに、検査種別それぞれに対して設定されている。例えば、営業部門は、顧客との接待によりアルコールを摂取する機会が多いことから、アルコールの摂取により影響を及ぼす肝機能の検査種別に対して、2倍の重み付けが設定される。また、開発部門は、製品開発の納期及びコストの管理等によるストレスを受けやすいことから、ストレスにより影響を及ぼす血液の検査種別に対して、2倍の重み付けが設定される。
【0052】
このように評価部233は、健康指標に含まれる複数の検査種別に対する複数の検査結果のうち、対象組織が属する業種に関連付けられた一以上の検査結果それぞれに設定された数値に基づいて重み付けすることにより健康状態を評価する。評価部233は、健康指標に含まれる複数の検査項目に対する複数の検査結果のうち、対象組織が属する業種に関連付けられた一以上の検査結果それぞれに設定された数値に基づいて重み付けすることにより健康状態を評価してもよい。このように検査種別よりも詳細な検査項目に対して重み付けを設定することにより、評価部233は、業種ごとの健康状態を評価する精度を向上することができる。
【0053】
また、構成員自身の健康状態が良好である場合であっても、構成員の家族の健康状態が良好でない場合、家族の看護等により業務を行えなくなる可能性がある。そこで、評価部233は、複数の構成員の家族の健康指標と、複数の構成員の複数の健康指標とに異なる重み付けをすることにより健康状態を評価してもよい。この場合、まず、分類部232は、結果取得部231が取得した、対象組織に属する複数の構成員と、当該複数の構成員の家族とに対応する複数の健康指標それぞれを複数のランクに分類し、分類した健康指標を診断結果管理データベースに記憶させる。
【0054】
図6は、構成員の家族の健康指標を含めた診断結果管理データベースの構成を示す図である。図6に示すように、診断結果管理データベースは、図3で示した構成に加えて、構成員情報に、構成員に対する続柄を示す関係を関連付けて記憶している。評価部233は、例えば、構成員自身の重み付けを1.0倍とした場合に、関係が「妻」である場合に0.5倍に重み付けし、関係が「長男」、「長女」等の子供を示す場合に0.25倍に重み付けをすることにより健康状態を評価する。
【0055】
[サービス内容の決定方法]
続いて、サービス内容管理装置3の決定部332が行うサービス内容の決定方法について説明する。決定部332は、例えば、サービス提供者が銀行である場合、取得部331が取得した評価結果に基づいて、対象組織への融資の金利を決定する。また、決定部332は、例えば、サービス提供者が通信事業者である場合、取得部331が取得した評価結果に基づいて、通信回線の利用に伴う料金を決定する。決定部332は、決定したサービス内容を端末1に通知するとともに、決定したサービス内容をサービス内容管理データベースに記憶させる。
【0056】
図7は、サービス内容管理データベースの構成を示す図である。図7に示すサービス内容管理データベースは、サービス提供者が銀行である場合を例とした構成である。図7に示すように、サービス内容管理データベースは、サービスの利用が申し込まれたサービス利用者を示す対象組織と、サービス内容を決定した年度を示す対象年度と、評価装置2から取得した評価と、評価に基づいて決定したサービス内容とを関連付けて記憶している。決定部332は、例えば、評価が「A」である場合に、金利が一番低い「特別金利1」を決定し、評価が「B」である場合に、通常の金利よりも低い「特別金利2」を決定し、評価が「C」以下である場合に、通常の金利と同じ「一般金利」を決定する。
【0057】
決定部332は、過去にサービスの内容を決定した時点において取得部331が取得した評価結果に用いられた過去の健康状態と、サービスの内容を決定する時点において取得部331が取得した評価結果に用いられた今回の前記健康状態との関係に基づいて、サービスの内容を決定してもよい。具体的には、決定部332は、サービスの内容を直前に決定した時点における過去の健康状態よりも改善された今回の健康状態の改善度に基づいて、サービスの内容を決定してもよい。
【0058】
例えば、2017年度のA社への融資の金利を決定する場合において、図7に示すように、2016年度の評価が「B」であり、2017年度の評価が「A」であるとする。この場合において、決定部332は、2017年度の評価が、2016年度の評価よりも改善されているので、2016年度に決定した金利よりも低い金利を決定する。
【0059】
決定部332は、取得部331が取得した評価結果に用いられた健康状態が連続して所定の期間にわたって所定の条件を満たすか否かに基づいてサービスの内容を決定してもよい。決定部332は、例えば、取得部331が取得した評価結果に用いられた健康状態が3年以上にわたって複数回の評価が連続して「B」以上であることを条件として、金利が一番低い「特別金利1」を決定してもよい。決定部332は、図7に示すA社の評価結果に用いられた健康状態が連続して3年以上にわたって評価が「B」以上であることから、サービス内容として「特別金利1」を決定する。
【0060】
[サービス内容管理システムSの処理]
サービス内容管理システムSにおける処理の流れについて説明する。図8は、サービス内容管理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。サービス内容管理システムSの処理は、評価装置2の結果取得部231が、検査センターから送付された、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標を取得したことを契機として開始する(S10)。結果取得部231は、取得した複数の健康指標を分類部232に入力する。
【0061】
分類部232は、健康指標をランクに分類する(S20)。分類部232は、ランクに分類した健康指標を診断結果管理データベースに記憶させる。
【0062】
評価部233は、検査センターから送信された複数の健康指標が所定の数を満たすか否かを判定する(S30)。評価部233は、例えば、対象組織に属する全ての構成員に対応する複数の健康指標が検査センターから送信されたことを条件とした場合において、対象組織に属する全ての構成員に対応する複数の健康指標が検査センターから送信されていないと判定した場合(S30においてNOの場合)、処理をS30に戻す。
【0063】
一方、評価部233は、対象組織に属する全ての構成員に対応する複数の健康指標が検査センターから送信されたと判定した場合(S30においてYESの場合)、診断結果管理データベースに記憶された健康指標に対して重み付けを実行する(S40)。評価部233は、例えば、対象組織に属する構成員の年齢及び役職の少なくともいずれかによって複数の健康指標に対して重み付けを実行する。
【0064】
評価部233は、重み付けした複数の健康指標に基づいて、複数の構成員の健康状態を評価する(S50)。具体的には、評価部233は、分類部232によって複数のランクそれぞれに分類された健康指標の数の割合に基づいて複数の構成員の健康状態を評価する。評価部233は、評価結果を評価管理データベースに記憶させる。また、評価部233は、通信部21を介して、評価結果をサービス内容管理装置3に送信する。
【0065】
サービス内容管理装置3の取得部331は、評価装置2から送信された、対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標に基づいて複数の構成員の健康状態を評価した評価結果を取得する(S60)。取得部331は、取得した評価結果を決定部332に入力する。
【0066】
決定部332は、評価装置2が評価した結果に基づいて、対象組織に提供するサービスの内容を決定する(S70)。決定部332は、例えば、取得部331が取得した評価結果に基づいて、対象組織への融資の金利を決定する。
【0067】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、本実施の形態に係るサービス内容管理システムSは、評価装置2が、検査センターから取得した対象組織に属する複数の構成員に対応する複数の健康指標に基づいて、複数の構成員の健康状態を評価する。そして、サービス内容管理装置3が、評価装置2が評価した評価結果に基づいて、対象組織に提供するサービスの内容を決定する。このようにすることで、サービス内容管理システムSは、構成員の実際の健康状態に基づいて、サービス内容を決定することができる。その結果、サービス提供者は、対象組織に属する構成員の健康状態に即したサービスを提供することができる。そして、対象組織は、良いサービスの提供を受けられるように健康増進に取り組むように動機付けられる。
【0068】
[変形例]
上記の説明において、サービス提供者が、検査センターから送信された健康指標に基づいて、構成員の健康状態を評価し、サービス内容を決定する例を示したが、これに限らない。検査センターにおいて健康指標を評価し、サービス提供者が、検査センターが評価した結果に基づいて、サービス内容を決定してもよい。
【0069】
図9は、サービス内容管理システムSの変形例における概要を説明するための図である。図9に示す(1)から(4)、(8)から(9)は、図1に示す(1)から(4)、(8)から(9)に対応する。図9に示すように、評価装置2は、検査センターによって管理されている。この場合、検査センターの職員は、不図示のコンピュータを用いて健康指標を評価装置2に入力する(図9の(5))。
【0070】
評価装置2は、入力された健康指標に基づいて、構成員の健康状態を評価し(図9の(6))、評価した評価結果をサービス内容管理装置3に送信する(図9の(7))。そして、サービス内容管理装置3は、送信された評価結果に基づいてサービス内容を決定し(図9の(8))、決定したサービス内容を端末1に通知する(図9の(9))。このようにすることで、サービス提供者は、健康診断に関する知識がない場合であっても、検査センターによる評価結果に基づいて対象組織に属する複数の構成員の健康状態を把握し、サービス内容を決定することができる。
【0071】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0072】
1 端末
2 評価装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 結果取得部
232 分類部
233 評価部
3 サービス内容管理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 取得部
332 決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9