特許第6927983号(P6927983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6927983ノズル列の一方又は両方の縁領域で直径が小さくなる孔あき板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927983
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】ノズル列の一方又は両方の縁領域で直径が小さくなる孔あき板
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
   B05C5/00 101
【請求項の数】31
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-536725(P2018-536725)
(86)(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公表番号】特表2019-501770(P2019-501770A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2017000037
(87)【国際公開番号】WO2017121643
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】102016000356.1
(32)【優先日】2016年1月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、ハンス−ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェール、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】クライナー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ブベック、モーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベイル、ティモ
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−076362(JP,A)
【文献】 特開2013−180437(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0375241(US,A1)
【文献】 特開2005−254210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0079543(US,A1)
【文献】 米国特許第9085151(US,B2)
【文献】 特開2011−049002(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0052819(US,A1)
【文献】 特表2014−502920(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202011001109(DE,U1)
【文献】 中国特許出願公開第103402726(CN,A)
【文献】 米国特許第05571560(US,A)
【文献】 特開平10−083982(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19734485(DE,A1)
【文献】 特開平07−037797(JP,A)
【文献】 特開2002−096474(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0166232(US,A1)
【文献】 特開2000−033289(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102294317(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00−3/18
7/00−9/08
B05C5/00−5/04
B05D1/00−7/26
B41J2/01−2/215
F27D7/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を自動車車体及び/又はその付属品に塗布するための塗布装置用の孔あき板(1)であって、
中央領域(2)及び2つの縁領域(3a、3b)を有するノズル列に割り振られる、流体通過用の少なくとも3つの貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)を備え、
少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外から少なくとも1つの貫通孔(3.1)が、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d3)よりも小さい少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)を有
前記中央領域(2)及び前記少なくとも1つの縁領域(3a)を備える前記ノズル列が、前記基準開口径(d、d1、d2、d3)への接線と一致する直線位置決め線(4)に沿って、直線的に並べられている、
孔あき板(1)。
【請求項2】
前記孔あき板(1)は、流体を塗布するために単一のノズル列のみを有する、請求項1に記載の孔あき板(1)。
【請求項3】
記ノズル列の前記貫通孔の全てが、前記直線位置決め線(4)に沿って、直線的に並べられている、請求項1又は2に記載の孔あき板(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外貫通孔(3.1)又は最外から少なくとも2つの貫通孔(3.1、3.2)の少なくとも1つの中心軸は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの前記貫通孔(2.1)の少なくとも1つの中心軸よりも、前記直線位置決め線(4)に近く配置される、請求項に記載の孔あき板(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある、最外から、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの貫通孔(3.1、3.2)は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d、d3)よりも小さい基準開口径(d、d1、d2)を有る、請求項1からのいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外から少なくとも1つの貫通孔(3.1)が、ノズル列の最小基準開口径(d、d1)を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外から少なくとも2つの貫通孔(3.1、3.2)は、異なる又は揃いの基準開口径(d、d1、d2)を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外から少なくとも2つの貫通孔(3.1、3.2)は異なる基準開口径(d、d1、d2)を有しており、最外貫通孔(3.1)の基準開口径がより小さい基準開口径である、請求項1からのいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項9】
前記中央領域(2)は少なくとも2つ又は少なくとも3つの貫通孔(2.1)を有し、及び/又は、
前記少なくとも1つの縁領域(3a)は少なくとも2つの貫通孔(3.1、3.2)を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項10】
前記中央領域(2)にある複数の貫通孔(2.1)が揃った基準開口径(d3)を有し、
前記中央領域(2)にある複数の貫通孔(2.1)の中心軸が互いに直線的に並べられ、及び/又は、
前記中央領域(2)にある複数の貫通孔(2.1)が互いに等間隔に配置されている、請求項1からのいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項11】
前記中央領域(2)にある少なくとも3つの貫通孔(2.1)の間の少なくとも2つの孔ピッチ(a3)が揃いに構成されている、及び/又は、
前記ノズル列が前記貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)の間で揃った孔ピッチ(a1=a2=a3=a4=a5)で全体として構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外孔ピッチ(a1)又は最外から少なくとも2つの孔ピッチ(a1、a2)が前記中央領域(2)にある少なくとも1つの孔ピッチ(a3)と一致する、請求項1から11のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外孔ピッチ(a1)又は最外から少なくとも2つの孔ピッチ(a1、a2)が前記中央領域(2)にある少なくとも1つの孔ピッチ(a3)よりも小さい又は大きい、請求項1から12のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項14】
前記ノズル列のひとつの縁領域(3a)にある最外孔ピッチ(a1)又は最外から少なくとも2つの孔ピッチ(a1、a2)が、別の縁領域(3b)にある最外孔ピッチ(a5)又は最外から少なくとも2つの孔ピッチ(a4、a5)と揃いに構成されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項15】
2つの前記縁領域(3a、3b)における、貫通孔配置は互いに一致する、請求項1から14のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項16】
前記ノズル列は、実質的に台形の断面形状(6)を有する流体塗布物を形成するために構成されている、請求項1から15のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項17】
2つの前記縁領域(3a、3b)は、対称若しくは非対称に形成され、又は、前記ノズル列は、全体として対称的に形成される、請求項1から16のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項18】
前記ノズル列の、前記貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)は、それぞれ、前記孔あき板(1)の上流面上にある孔入口開口(30)と、前記孔あき板(1)の下流面上にある孔出口開口(40)と、前記孔あき板(1)の下流面上にある三次元構造としてのパイプスタブ(70)とを備え、
前記孔入口開口(30)は前記孔出口開口(40)よりも大きい流路断面を有し、及び/又は、
前記パイプスタブ(70)は、各前記パイプスタブ(70)の自由端に向けて先細りになっている外部ケーシング表面を有する、請求項1から17のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項19】
ひとつの縁領域(3a)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.1)は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d3)よりも小さい少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)を有し、且つ、別の縁領域(3b)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.3)は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d3)と揃いに構成されている少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)を有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項20】
前記基準開口径(d、d1、d2)は孔出口開口径である、請求項1から19のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項21】
前記ノズル列の前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)、及び/又は、前記ノズル列の少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの貫通孔(3.1)は、漏斗状孔入口開口(30)を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項22】
前記中央領域(2)にある前記少なくとも1つの貫通孔(2.1)の前記漏斗状孔入口開口(30)が、前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある前記少なくとも1つの貫通孔(3.1)の前記漏斗状孔入口開口(30)と比べて、前記孔あき板(1)の中のより深いところまで存在する、請求項21に記載の孔あき板(1)。
【請求項23】
前記ノズル列の前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の孔入口開口(30)の入口断面(E)が、前記ノズル列の少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの貫通孔(3.1)の孔入口開口(30)の入口断面(E)よりも大きい、請求項1から22のいずれか1項に記載の孔あき板(1)。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1項に記載の孔あき板(1)を少なくとも1つ有する、流体を塗布するための塗布装置。
【請求項25】
前記塗布装置は、前記ノズル列の全体に渡って等しい圧力での流体流入のために構成されている、請求項24に記載の塗布装置。
【請求項26】
前記塗布装置は、前記中央領域(2)とは独立に制御可能な少なくとも1つの縁領域(3a)での流体流入のために構成されている、請求項24又は25に記載の塗布装置。
【請求項27】
前記2つの縁領域(3a、3b)が、同じ流体送達ユニットに接続されている、又は、それぞれが、それ自身の流体送達ユニットに接続されている、請求項24から26のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項28】
前記塗布装置は、50mPa・sより大きい、80mPa・sより大きい、又は、100mPa・sより大きい粘度を有する流体を塗布するために構成されている、請求項24から27のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項29】
前記塗布装置は、互いに隣接して配置された少なくとも2つの孔あき板(1)を含み、前記孔あき板(1)のノズル列は、前記ノズル列の長手方向に互いにずれて配置されている、請求項24から28のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項30】
少なくとも1つの前記孔あき板(1)は、前記塗布装置の外端面上に配置される、請求項24から29のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項31】
請求項1から23のいずれか1項に記載の孔あき板(1)の少なくとも1つ又は請求項24から30のいずれか1項に記載の塗布装置により流体が塗布される、流体を塗布するための塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品、特に、自動車車体及び/又はその付属品に、流体を塗布するための塗布装置(例えば、塗布器)用の孔あき板(例えば、カバー)に関する。本発明は、さらに、こうした孔あき板を用いた塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コーティング媒体を、特に、オーバースプレーなしで、塗布するための塗布器用の孔あき板を開示する。この文献では、孔あき板は、コーティング媒体を塗布するためのいくつかの貫通孔を備えており、これらの貫通穴は、格子パターンで、従って、二次元配置で、いくつかのノズル列に配置されている。これにより、縁が鮮明なコーティング媒体線を作ることができる。しかし、縁が鮮明なコーティング媒体線は、少なくとも凡そ長方形の断面形状を有するので、重ね合わせるのには適していないという欠点がある。例えば、図16は、長方形の断面形状を有する2本のコーティング媒体線B及びB2の間での殆ど完璧な接続を示す。こうした完璧な接続は±50μmの分散を有するはずであり、これは図16の右に示すような最適のコーティングをもたらす。こうした完璧な接続は、例えば、許容差のために、実際には不可能であるか、又は、甚大な費用を掛けてのみ可能である。図17は、長方形の断面形状を有する2本のコーティング媒体線B及びB2を示す。これらの線は接続/重複領域で接触も重複もしていない。そのため、図17の右に示すように、得られたコーティングに不都合な凹みができる。図18は、長方形の断面形状を有する2本のコーティング媒体線B及びB2を示す。これらの線は重複コーティングが生じるように接続/重複領域で重複している。そのため、図18の右に示すように、得られたコーティングに不都合なピーク又は突出ができる。
【0003】
特許文献2は、コーティング線の重複に一層適する台形の形態の断面形状を提供する塗布装置を開示する。台形形状は、格子パターンで、従って、二次元配置で、いくつかのノズル列に配置される、コーティング媒体塗布用のいくつかの貫通穴を用いて得られる。異なる径のノズルの直径は、規則的又は表面的に分布しており、特に、表面コーティングでより良い解像度を得るために、役立つ。同じ又は異なる径のノズル直径を有する二次元配置及びこれより得られる台形形状は、まず、複数の貫通孔のため、高度に複雑である。さらに、二次元配置では、特に、車体を塗装する際よくあるようにコーティング媒体が連続的に塗布される場合に、コーティング媒体の流量が不必要に多くなる。また、二次元配置では、コーティング線を塗布する際に、移動方向に対して下流に配置されたノズル列からのコーティング媒体が、移動方向に対して上流に配置されたノズル列からのコーティング媒体の上に塗布されることとなるが、これは、まだ十分に乾燥又は固化していないコーティング媒体上にコーティング媒体が塗布されるため、コーティング媒体の飛び散りを不都合にも招きかねない。一般的な先行技術として、特許文献3及び特許文献4も引用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013002413号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102010019612号明細書
【特許文献3】米国特許第4622239号明細書
【特許文献4】米国特許第5769949号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題の1つは、改善された及び/又は代わりとなる孔あき板、特に、2本の流体線の改善された接続領域若しくは重複領域を可能とする、及び/又は、流体の飛び散りが少なくとも実質的にない流体塗布物を可能とする孔あき板を設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、主要な請求項及び副次的な請求項に記載の特徴により達成できる。本発明の有利な修正例を従属請求項及び以下の本発明の好ましい実施形態の記載に示す。
【0007】
本発明は、部品、特に、自動車車体及び/又はその付属品に、流体を塗布するための塗布装置(例えば、塗布器)用の孔あき板(例えば、カバー、ストリップ、チップなど)を提供する。
【0008】
孔あき板及び/又は塗布装置は、霧化及び/又はマスキングなしでの流体の塗布に特に役立つ。
【0009】
流体は、例えば、コーティング媒体、特に、塗料、封止剤、分離剤、機能層、又は接着剤であってもよい。
【0010】
流体は、特に、1000s−1の剪断速度で測定して、好ましくは、50mPa・sより大きい、80mPa・sより大きい、また、さらには、100mPa・sより大きい粘度を有する。流体は、ニュートン力学的挙動を示すものでも、非ニュートン力学的挙動を示すものでもよい。
【0011】
孔あき板は、好ましくは、流体通過用の貫通孔を、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つ有する。貫通孔は、好ましくは実質的に直線的に方向付けられたノズル列内に適宜に配置される。このノズル列は、2つの縁領域と、この2つの縁領域の間に適宜に存在する中央領域とを有する。
【0012】
孔あき板は、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔が、好ましくは、実質的に台形の断面形状(例えば、実質的に直角な、等脚又は不等脚台形の断面形状、及び/又は、実質的にガウス曲線形状の断面形状)を有する流体塗布物(例えば、流体線)が可能となるように、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの基準開口径よりも小さい少なくとも1つの基準開口径を有する点で特に特徴的である。本発明の文脈において、少なくとも1つの縁領域にある、少なくとも2つ、少なくとも3つ、また、さらには、少なくとも4つの最外貫通孔において、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの基準開口径よりも小さい基準開口径は適宜に揃い又は不揃いである。
【0013】
前述の少なくとも1つの最外貫通孔は、特に、少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の外側から1つ目の貫通孔に対応する。
【0014】
前述の少なくとも2つ、少なくとも3つ、及び/又は、少なくとも4つの最外貫通孔は、特に、少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の最も外側にある、2つ、3つ、及び/又は4つの貫通孔に対応する。
【0015】
本発明の文脈において、直線的に方向付けられた特定のノズル列では、2つの縁領域の少なくとも1つにある少なくとも1つの貫通孔の基準開口径は、2つの縁領域の間の中央領域にある好ましくは複数の貫通孔の複数の基準開口径よりも小さくてもよい。しかし、本発明の一実施形態において、中央領域は単一の貫通孔のみを適宜有していてもよいことにも言及せねばなるまい。
【0016】
基準開口径の勾配、即ち、適切な直径の減少が、縁領域の一方のみの又は両方の、最外貫通孔、即ち、外側から1つ目の貫通孔についてだけ存在してもよい。
【0017】
しかし、基準開口径の勾配、即ち、適切な直径の減少が、縁領域の一方のみにある又は両方にある、少なくとも2つ、少なくとも3つ、及び/又は、少なくとも4つの、最外貫通孔、即ち、最も外側にある貫通孔にわたって存在してもよい。
【0018】
一方の縁領域のみで直径が減少する場合、好ましくは、流体塗布物(例えば、流体線)は、実質的に直角な台形の断面形状で設けられてもよい。
【0019】
両方の縁領域で直径が減少する場合、好ましくは、流体塗布物(例えば、流体線)は、実質的に等脚又は不等脚な台形の断面形状で設けられてもよい。
【0020】
特に、本発明は、2つの流体塗布物(例えば、流体線)の接続又は重複領域での層の厚さの分布の改善を可能とし、これにより、不利益にも人の目に知覚される層の厚さの上下を適切に有さない、視覚的に揃った流体表面(例えば、コーティング表面)が、もたらされる。この代わりに又はこれに加えて、本発明は、好ましくは単一ノズル列のみから、即ち、一次元ノズル配置で、流体を塗布することにより、塗布の飛び散りを抑制したり完全に避けたりすることを特に可能とする。なぜなら、接続又は重複領域において、以前に塗布した流体が、通常は、既に十分に乾燥又は硬化しており、流体の飛び散りをなすような傾向がまったくない、又は、少なくともそうした傾向が大幅に減少している状態で、このノズル列は流体を直接的に部品に塗布する(場合によっては2つの流体塗布物の接続又は重複領域を除いて塗布する)からである。
【0021】
本発明に係る孔あき板によれば、2つの適切に縁の明瞭な流体塗布物(例えば、流体線)の間の間隔許容差は、±150μm、±200μm、±500μm、±1mm、また、さらには、±2mmまでであってもよい。
【0022】
孔あき板は、好ましくは一次元ノズル配置が可能となるように、流体を塗布するために単一のノズル列のみを有してもよい。
【0023】
中央領域と少なくとも1つの縁領域とを好ましくは備えるノズル列は、例えば位置決め線(好適には直線状の位置決め線)に沿って直線的に並べられていてもよい。
【0024】
ノズル列の貫通孔の全てが例えば位置決め線に沿って直線的に並べられることもさらに可能である。
【0025】
好ましくは、ノズル列の貫通孔の全てが1つの同じ位置決め線に沿って直線的に並べられてもよい。
【0026】
位置決め線は、例えば、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔又は少なくとも2つの最外貫通孔の少なくとも1つの基準開口径及び/又は孔出口径、並びに、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの基準開口径及び/又は孔出口径を通って、存在してもよく、その結果、例えば一側偏心ノズル列配置が少なくとも1つの縁領域と中央領域との間にできることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、位置決め線は、ノズル列の基準開口径及び/又は孔出口径の全てを通って存在することすら可能である。
【0027】
そのため、ここで、位置決め線は、基準開口径及び/又は孔出口径への接線、好ましくは、ノズル列の貫通孔の全てについての接線と一致してもよい。
【0028】
ノズル列配置は、例えば、『頂部整列』、『底部整列』、又は『垂直方向中央整列』などのいずれかで並べられていてもよい。
【0029】
位置決め線は、例えば、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔又は少なくとも2つの最外貫通孔の少なくとも1つの中心軸、及び、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの中心軸を通って、存在してもよく、その結果、中央ノズル列配置が少なくとも1つの縁領域と中央領域との間にできることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、位置決め線は、ノズル列の中心軸の全てを通って存在することすら可能である。
【0030】
少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔又は少なくとも2つの最外貫通孔の少なくとも1つの中心軸は、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの中心軸よりも、位置決め線に近く配置されることも可能である。この代わりに又はこれに加えて、例えば、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔又は少なくとも2つの最外貫通孔の少なくとも1つの中心軸、及び、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの中心軸が、実質的に位置決め線上に並べられてもよい。
【0031】
少なくとも1つの縁領域にある、少なくとも2つ、少なくとも3つ、及び/又は、少なくとも4つの最外貫通孔が、中央領域の少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの基準開口径よりも小さい基準開口径を有することも可能である。
【0032】
少なくとも1つの縁領域にある貫通孔の基準開口径は、好ましくは、互いに、揃いに(例えば、実質的に同じ大きさに)又は不揃いに(例えば、異なる大きさに)構成されてもよい。
【0033】
少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔は、好ましくは、ノズル列の最小基準開口径を有してもよい。そこで、本発明の文脈において、より小さい基準開口径が存在しないように適宜設けられて、最外貫通孔がノズル列の絶対最小基準開口径を有する、又は、ノズル列の少なくとも1つのさらなる貫通孔が当該絶対最小基準開口径と揃った(例えば、実質的に同じ大きさの)基準開口径を有することも特に可能である。
【0034】
少なくとも1つの縁領域にある少なくとも2つの最外貫通孔が揃い(例えば、実質的に同じ大きさ)の又は異なる大きさの基準開口径を有することが可能である。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも2つの最外貫通孔は、異なる基準開口径を有してもよい。ここで、最外の貫通孔の基準開口径がより小さい基準開口径を有してもよい。
【0036】
中央領域は、好ましくは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの貫通孔を有する。この代わりに又はこれに加えて、少なくとも1つの縁領域が、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの貫通孔を有してもよい。
【0037】
中央領域にある貫通孔の複数、好ましくは、全てが、揃った(好適には実質的に同じ大きさの)基準開口径を有し、中央領域にある貫通孔の複数の、好ましくは、全ての中心軸が、互いに直線的に並べられており、及び/又は、中央領域にある貫通孔の複数、好ましくは、全てが、互いに等間隔に配置されていることも可能である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、中央領域にある貫通孔の全てが、揃った(好適には実質的に同じ大きさの)基準開口径を有し、及び/又は、互いに実質的に等間隔に配置される。
【0039】
中央領域にある少なくとも3つの貫通孔の間の少なくとも2つの孔間隔が、揃い(好適には実質的に同じ大きさ)に構成されることが可能である。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、ノズル列は、全体として貫通孔の間の孔間隔が揃い(好適には実質的に同じ大きさ)となるように構成されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの縁領域にある最外孔間隔又は少なくとも2つの最外孔間隔が、中央領域にある少なくとも1つの孔間隔と一致し、そして、好ましくは、実質的に同じ大きさに構成されることも可能である。
【0042】
また、少なくとも1つの縁領域にある最外孔間隔又は少なくとも2つの最外孔間隔が、中央領域にある少なくとも1つの孔間隔よりも、小さい又は大きいことも可能である。
【0043】
また、少なくとも1つの縁領域にある最外孔間隔又は少なくとも2つの最外孔間隔が、別の縁領域にある最外孔間隔又は少なくとも2つの最外孔間隔と、揃い(好適には実質的に同じ大きさ)又は不揃い(好適には異なる大きさ)に構成されることも可能である。
【0044】
2つの縁領域における貫通孔構成は、互いに対応していても(例えば、実質的に同一及び/又は軸方向に対称であっても)よいし、異なるように構成されてもよい。ここで、好ましくは、貫通孔構成は、貫通孔、基準開口径、及び/又は、孔間隔からなる構成を含む。
【0045】
基準開口径は、特に、孔出口径でもよい。
【0046】
ノズル列の中央領域にある少なくとも1つの貫通孔、及び/又は、ノズル列の少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの貫通孔は、漏斗状の孔入口開口を有し、さらに、好ましくは、円柱状の孔出口開口を有することが可能である。漏斗状の孔入口開口は、好ましくは、流体の流れの方向に狭まっている。
【0047】
例えば、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の漏斗状の孔入口開口は、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの貫通孔の漏斗状の孔入口開口よりも、孔あき板内に深く広がっていてもよい。この代わりに又はこれに加えて、ノズル列の中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の孔入口開口の入口断面(例えば、入口側の流路断面)は、ノズル列の少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの貫通孔の孔入口開口の入口断面(例えば、入口側の流路断面)よりも大きくてもよい。
【0048】
ノズル列は、重複に最適化された流体線の生成に特に適するように、実質的に台形の断面形状(例えば、実質的に直角な、等脚又は不等脚台形の断面形状、及び/又は、実質的にガウス曲線形状の断面形状)を有する流体塗布物(例えば、流体線)を形成するよう特に構成されてもよい。
【0049】
少なくとも1つの貫通孔が、その長さにわたって、一定の、特に、不変の、流路断面を有することが可能である。この場合、基準開口径は、好ましくは、不変の流路断面の1つの適切な一定開口径に関連する。このことは、例えば、貫通孔が、円柱状、特に、正円柱状などに構成される場合に、該当する。この代わりに又はこれに加えて、少なくとも1つの貫通孔が、その長さにわたって、変化する流路断面を有することも可能である。この場合、基準開口径は、好ましくは、変化する流路断面の最小開口径に関連する。このことは、例えば、貫通孔が、円柱状、特に、正円柱状などに構成されるものの、孔出口開口が孔入口開口よりも大きな流路断面を有する若しくはその逆、又は、貫通孔が実質的にラバルノズル状などに構成される場合に、該当する。
【0050】
そこで、基準開口径は、好ましくは、少なくとも実質的に一定の開口径、及び/又は、関連する貫通孔の最小開口径、好ましくは孔出口開口径に関連する。
【0051】
特に好ましい実施形態では、孔入口開口は孔出口開口よりも大きな流路断面を有する。孔入口開口は、例えば、漏斗状に構成されてもよい。
【0052】
2つの縁領域は対称又は非対称に形成され、または、ノズル列が、全体として対称的に、特に、ノズル列に対して横方向に延びる対称軸に対して軸対称及び/又は鏡面対称に構成されることも可能である。
【0053】
1つの縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔は、例えば、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの基準開口径よりも小さい基準開口径を有してもよく、このとき、別の縁領域にある少なくとも1つの最外貫通孔は、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の少なくとも1つの基準開口径に対して揃いに(例えば、実質的に同じ大きさに)構成されている少なくとも1つの基準開口径を有してもよい。
【0054】
本発明は、孔あき板に限定されるものではなく、本願明細書に記載の孔あき板を少なくとも1つ有する、流体を塗布するための、塗布装置、例えば、塗布器も包含する。
【0055】
塗布装置は、好ましくは、より小さい基準開口径を有する1つ以上の貫通孔により、圧力損失の結果、より少ない流体体積流量が流れるように、ノズル列全体にわたって、即ち、好適には貫通孔の全てにわたって、等しい圧力での流体流入を保証するように構成されることが可能である。
【0056】
塗布装置は、中央領域とは独立に制御(例えば、調節)可能な少なくとも1つの縁領域での流体流入を保証するように構成されることも可能である。
【0057】
2つの縁領域は、例えば、同じ流体送達ユニットにより流体を供給されてもよいし、特に、個別に制御可能な(例えば、調節可能な)流体送達ユニットを介して流体をそれぞれの縁領域に供給できるように、それぞれが自分自身の流体送達ユニットを有してもよい。
【0058】
塗布装置は、好ましくは、特に、1000s−1の剪断速度で、好ましくは、50mPa・sより大きい、80mPa・sより大きい、又は、100mPa・sより大きい粘度を有する流体の塗布に役立つ。流体は、ニュートン力学的挙動を示すものでも、非ニュートン力学的挙動を示すものでもよい。
【0059】
塗布装置は、互いに隣接して配置された少なくとも2つの孔あき板、好ましくは、それらのノズル列がノズル列の長手方向に互いにずれて配置された孔あき板を有することが可能である。
【0060】
少なくとも1つの孔あき板は、特に、塗布装置の外端面に(例えば、外端面上又は内に)配置され、好ましくは、そうして外板を構成してもよい。そこで、少なくとも3つの貫通孔が、好ましくは、塗布装置からの出口穴を形成する。
【0061】
本発明は、さらに、本願明細書に記載の少なくとも1つの塗布装置及び/又は少なくとも1つの孔あき板を用いて流体を塗布する塗布方法も包含する。
【0062】
特に、流体は孔あき板の単一のノズル列から塗布されることが可能である。
【0063】
流体は、好ましくは、コーティング媒体、例えば、塗料、封止剤、分離剤、機能層、接着剤などであり、及び/又は、機能層を形成する役割を果たすものであってもよいことは特筆すべきだろう。
【0064】
機能層の分類として、例えば、接着促進剤、プライマーなどの表面機能化をもたらす層、又は、透過を抑制する層が特に挙げられる。
【0065】
本発明の文脈において、本願明細書に記載の孔あき板を、国際公開第2014/121926号に記載の特徴、特に、特許請求の範囲に記載の特徴で補完することが可能である。そこで、この特許出願の内容の全てが本出願の記載に取り込まれるべきである。
【0066】
本発明に係る孔あき板は、特に、孔あき板の上流面上にある孔入口開口と、孔あき板の下流面上にある孔出口開口と、孔あき板の上流面上及び/又は孔あき板の下流面上にある例えば三次元の構造とを有してもよい。
【0067】
孔入口開口は、流体的に最適化されており、特に、ノズル状であり、及び/又は、孔入口開口は、孔出口開口よりも大きな(流路)断面を有することが可能である。
【0068】
パイプスタブは、孔あき板の下流面から突き出し、貫通孔がそれに移行していくものであり、特に、孔出口開口での湿潤表面積を減らすためのものである構造としての役割を果たすことが可能である。
【0069】
パイプスタブは、例えば、それぞれのパイプスタブの自由端に向けて、先細りの、特に、円錐状の外部ケーシング表面を有していてもよい。
【0070】
孔あき板は、例えば、貫通孔を有する中央領域よりも縁部での厚さが大きくてもよい。
【0071】
好ましくは、孔あき板にある全ての貫通孔が、エッチング製造法、特に、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、少なくとも部分的に製造されることが可能である。
【0072】
孔あき板は、特に、半導体材料、例えば、シリコン、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ガリウム、ヒ化ガリウム、及び/又は、リン化インジウムなどのひとつから少なくとも部分的になるものでもよい。
【0073】
本発明の文脈において、実質的に台形の断面形状という特徴は、好ましくは、例えば、実質的にガウス曲線形状の断面形状なども含んでよいことも言及すべきだろう。
【0074】
上述した本発明の好ましい実施形態は互いに組み合わせてもよい。本発明の他の有利な修正例は、請求項に開示されているし、また、以下の本発明の好ましい実施形態にも図面と連携しつつ記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明の一実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図2】本発明の別の実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図3】本発明のさらに別の実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図4】本発明のさらなる実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図5】本発明のまたさらなる実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図6A】本発明の一実施形態に係る、孔あき板により作られた2つの流体塗布物の模式断面図を示す。
図6B】本発明の一実施形態に係る、孔あき板により作られた流体塗布物の模式断面図を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る孔あき板の貫通孔の断面図を示す。
図8A】本発明の一実施形態の別の変形例に係る孔あき板の貫通孔の断面図を示す。
図8B】貫通孔内にコーティング媒体があるときの図8Aの断面図を示す。
図9A】本発明の別の実施形態に係る、湿潤表面積を減らすための追加のパイプスタブを有する、図8Aの変形例を示す。
図9B】貫通孔内にコーティング媒体があるときの図9Aの断面図を示す。
図10】本発明の別の実施形態に係る、円錐状に先細りになっているパイプスタブを有する、図9Aの変形例を示す。
図11A】本発明の別の実施形態に係る、強化された縁部と貫通孔を有するより薄い中央領域とを備える孔あき板の模式断面図を示す。
図11B】本発明の別の実施形態に係る、図11Aの変形例を示す。
図12】本発明の別の実施形態に係る、図7の変形例を示す。
図13A】本発明の一実施形態に係る、孔あき板を有する塗布装置(塗布器)を示す。
図13B】本発明の別の実施形態に係る塗布装置(塗布器)を示す。
図14】本発明の一実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図15】本発明の別の実施形態に係るノズル列を有する孔あき板を示す。
図16】先行技術に係る2つのコーティング媒体線を示す。
図17】先行技術に係る2つのコーティング媒体線を示す。
図18】先行技術に係る2つのコーティング媒体線を示す。
図19】本発明の一実施形態に係る孔あき板の貫通孔の断面図を示す。
図20】本発明の別の実施形態に係る孔あき板の貫通孔の断面図を示す。
図21】本発明のさらなる実施形態に係る孔あき板の貫通孔の断面図を示す。
図22】本発明のさらに別の実施形態に係る孔あき板の貫通孔の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図面を参照しつつ記載される実施形態は、部分的に関連するので、類似又は同一の部品は、同じ符号で示し、繰り返しを避けるために、それらの説明について、1以上の他の実施形態の記載も参照する。
【0077】
図1は、流体を部品(例えば、自動車車体及び/又はその付属品)に塗布する、好ましくは、噴霧もマスキングも無しで塗布するための、塗布装置用の、孔あき板1を示す。
【0078】
孔あき板1は中央領域2を備える。中央領域2は複数の貫通孔2.1を有する。図中では、明確化のため、貫通孔2.1のうち3つのみを2.1の符号で示している。孔あき板1は、また、図1で左側にある第1の縁領域3aと、図1で右側にある第2の縁領域3bとを備える。第1の縁領域3aは2つの貫通孔3.1と3.2を有し、第2の縁領域3bは貫通孔3.3を有する。貫通孔2.1、3.1、3.2、及び3.3は、直線的に並んだノズル列を形成し、その内部で流体を伝える役割を果たす。
【0079】
貫通孔2.1、3.1、3.2、及び3.3は、それぞれ、流路断面を有し、この流路断面は、貫通孔の開口径が適宜実質的に一定であるように、好ましくは、その長さにわたって、不変、例えば、実質的に円柱状である。
【0080】
2つの最外貫通孔3.1及び3.2、即ち、第1の縁領域3aにおいて最も外側にある2つの貫通孔3.1及び3.2は、中央領域2にある貫通孔2.1の基準開口径よりも小さい基準開口径を有する。
【0081】
孔あき板1は、単一のノズル列のみを備え、このノズル列は、直線状の位置決め線4に沿って直線的に並べられている。
【0082】
図1に示す孔あき板1では、位置決め線4は、縁領域3aにある2つの最外貫通孔3.1及び3.2の基準開口径、並びに、中央領域2にある基準開口径を通って直線的に存在するので、偏心ノズル列配置が縁領域3aと中央領域2との間にできる。第1の縁領域3aにある貫通孔3.1及び3.2の中央軸は、中央領域2にある貫通孔2.1の中央軸よりも、位置決め線4に近く配置されている。
【0083】
中央領域2にある貫通孔2.1は、全てが同じ基準開口径を有しており、互いに等間隔に配置されている。
【0084】
図1に示す実施形態では、第1の縁領域3aにある2つの最外貫通孔3.1及び3.2は、異なる基準開口径を有し、第1の縁領域3aにある最外貫通孔3.1は、ノズル列の最小基準開口径を有している。
【0085】
図1に示す孔あき板1では、第1の縁領域3aのみが、中央領域2に対して減少した基準開口径を有し、第2の縁領域3b及び中央領域2は、実質的に同じ大きさの基準開口径を有する。そのため、2つの縁領域3a及び3bは、揃いに構成されてはいない。
【0086】
ノズル列の孔間隔は、貫通孔3.1及び3.2の間の最外孔間隔を除き、実質的に同じ大きさであり、貫通孔3.1及び3.2の間の最外孔間隔は、ノズル列の他の部分の孔間隔よりも小さい。
【0087】
ノズル列の外周は、実質的に直角な台形5により境界を定められてもよい。こうして、ノズル列は、実質的に直角の台形の断面形状を有する流体線を作る。
【0088】
両矢印Fは、部品に対する孔あき板1の2つのあり得る移動方向を示す。
【0089】
図2は、本発明の別の実施形態に係る孔あき板1を示す。
【0090】
図2に示す孔あき板1では、基準開口径の勾配、即ち、減少が、縁領域3a及び3bの両方で生じている。
【0091】
第1の縁領域3a及び第2の縁領域3bは、揃いの、特に、軸対称のノズル孔配置を有する。
【0092】
図2に示す実施形態では、ノズル列は、全体として対称的に、特に、ノズル列に対して横方向に延びる対称軸Sに対して軸対称及び/又は鏡面対称に構成される。
【0093】
図3は、本発明のさらに別の実施形態に係る孔あき板1を示す。
【0094】
図3に示す孔あき板1では、基準開口径の減少は、縁領域3a及び3bの両方で生じている。しかし、2つの縁領域3a及び3bは、図2に示される2つの貫通穴をそれぞれが有するのではなく、1つの貫通孔3.1のみをそれぞれが有する。
【0095】
図4は、本発明のさらに別の実施形態に係る孔あき板1を示す。
【0096】
図4に示す孔あき板1の場合、2つの縁領域3a及び3bは、それぞれ、3つの貫通孔3.1及び3.2を備える。2つの最外貫通孔を符号3.1で、内側の貫通孔を符号3.2で示す。縁領域3aにある2つの最外貫通孔3.1は、実質的に同じ大きさの基準開口径d1を有し、また、縁領域3bにある2つの最外貫通孔3.1も、実質的に同じ大きさの基準開口径d5を有する。第1の縁領域3aにある貫通孔3.2は、基準開口径d2を有し、また、縁領域3bにある貫通孔3.2は、基準開口径d4を有する。中央領域2にある貫通孔2.1は、実質的に同じ大きさの基準開口径d3を有する。
【0097】
本発明の文脈において、基準開口径は以下のように特定できる。
【0098】
d1はd2より小さい
d2はd3より小さい
d4はd3より小さい
d5はd4より小さい
【0099】
d1はd5に等しい又は等しくない
d2はd4に等しい又は等しくない
【0100】
図5は、本発明の別の実施形態に係る孔あき板1を示す。
【0101】
図5の孔あき板1は、まず、図2の孔あき板1と実質的に対応している。
【0102】
図5は、特に、ノズル列のあり得る孔間隔配置を示す役割を果たす。
【0103】
本発明の文脈において、孔間隔は、例えば、以下のように特定できる。
【0104】
1.
a3は好ましくは揃っている
a1及びa2はa3と一致する
a4及びa5はa3と一致する
【0105】
2.
a3は好ましくは揃っている
a1及びa2は同じ大きさで、a1はa3より小さい
a4及びa5は同じ大きさで、a4はa3より小さい
【0106】
3.
a3は好ましくは揃っている
a1はa2より小さく、a2はa3よりも小さい、及び/又は、
a5はa4よりも小さく、a4はa3よりも小さい
【0107】
4.
a3は好ましくは揃っている
a1及びa2は同じ大きさで、a1はa3より大きい、及び/又は、
a4及びa5は同じ大きさで、a5はa3より大きい
【0108】
5.
a3は好ましくは揃っている
a1はa2より大きく、a2はa3より大きい、及び/又は、
a5はa4より大きく、a4はa3より大きい
【0109】
5.
a3は好ましくは揃っている
a1はa2と等しくなく、a2はa3と等しくなく、及び/又は、
a5はa4と等しくなく、a4はa3と等しくない
【0110】
原則として、2つの縁領域3a及び3bにある孔間隔は、互いに一致(例えば、a1はa5と等しい、a2はa4と等しいなど)してもよいし、異なって構成されてもよいということになる。
【0111】
図6Aは、本発明の一実施形態に係る、孔あき板1により作ることのできる2つの流体線B1及びB2を通る断面の模式図を示す。
【0112】
コーティング媒体線B1及びB2の断面は、実質的に等脚の台形形状6を有しており、接続又は重複領域で重複している。2つの流体線B1及びB2の間の間隔許容差は、±150μm、±200μm、±500μm、±1mm、また、さらには、±2mmの範囲であってもよい。台形形状6は、図6Aで右側に示すように、最適のコーティングを、特に、接続又は重複領域で、もたらす。
【0113】
図6Bは、本発明の一実施形態に係る、孔あき板1により作ることのできる流体線B1を通る断面の模式図を示す。この断面は実質的に直角な台形形状6を有する。
【0114】
図1から5に係る孔あき板1は、流体を塗布するための塗布装置との使用に適切に役立つ。塗布装置は、より小さい径を有する貫通孔により、圧力損失の結果、より少ない流体体積流量が流れるように、ノズル列全体にわたって実質的に等しい圧力での流体の流入を保証するように構成されてもよい。
【0115】
また、塗布装置は、中央領域2とは独立に制御可能(例えば、調節可能)な少なくとも1つの縁領域3への流体流入を可能とするように構成されてもよい。
【0116】
2つの縁領域3a及び3bは、例えば、同じ流体送達ユニットにより又はそれぞれがそれ自身の流体送達ユニットにより、流体を供給されてもよい。
【0117】
図7から12は、ノズル列の各貫通孔2.1、3.1、3.2、及び3.3を構成し得る本発明の好ましい実施形態に係る貫通孔構成を示す。基準開口径は、図7から12では、符号dで示され、ノズル列の各貫通孔2.1、3.1、3.2、及び3.3に関連し得る。孔あき板1、特に、貫通孔は、国際公開第2014/121926号に記載されているように構成してもよい。そこで、この特許出願の内容の全てが本出願の記載に取り込まれるべきである。
【0118】
図7は、貫通孔の1つの領域における孔あき板1の断面図を示す。断面図内の矢印は、貫通孔を通るコーティング媒体の流れ方向を示す。この断面図から、貫通孔の流体抵抗が減少する流体的に最適な孔入口開口30を貫通孔が有することは明らかである。
【0119】
さらに、孔あき板1は、湿潤性を減少させる構造を、下流面上で各貫通孔の外周縁上に有する。
【0120】
図8A及び8Bは、貫通孔の領域における孔あき板1の別の断面図を示す。図8Aはコーティング媒体がない状態の貫通孔を示し、図8Bはコーティング媒体(例えば、流体)50を示す。
【0121】
これから、コーティング媒体50が、孔あき板1の下流表面上の湿潤表面60を濡らし、これが、孔あき板1からのコーティング媒体50のジェット形放出を妨げることは明らかである。
【0122】
図9A及び9Bは、湿潤性の減少した本発明の好ましい実施形態を示す。このため、孔あき板1は、個別の貫通孔のそれぞれの外周縁上にパイプスタブ70を有している。パイプスタブ70の自由端でパイプスタブ70の端面が湿潤表面80を形成するように、貫通孔はパイプスタブ70に移行している。そこで、湿潤表面80は、パイプスタブ70の自由端面に制限されており、そのため、図8Aの湿潤表面60よりも実質的に小さい。これは孔あき板1からのコーティング媒体50の放出を促進する。
【0123】
孔あき板1の下流面とパイプスタブ70の自由端との間で、パイプスタブ70は、例えば、長さLを有している。長さLは、好ましくは、50μm、70μm、又は100μmより大きく、及び/又は、200μm、170μm、又は150μmより小さい。そこで、パイプスタブ70は、例えば、50から200μm、70から170μm、又は100から150μmの間の長さLを有していてもよい。
【0124】
図10は、パイプスタブ70の自由端の湿潤表面が最小となるように、パイプスタブ70の外部ケーシング表面がパイプスタブ70の自由端に向けて先細りとなっている、図9Aの修正例を示す。
【0125】
図11Aは、上述の孔あき板と部分的に関連する孔あき板1の模式断面図を示す。そこで、繰り返しを避けるために、上述の記載を参照し、対応する部分には同じ符号を用いる。
【0126】
この例示的実施形態の特別な特徴の1つとしては、孔あき板1が、外側には比較的厚い縁90を、中央には貫通孔のあるより薄い領域100を有する点が挙げられる。ここで、孔あき板1の厚い縁90は、十分な機械的安定性を保証し、一方、貫通孔のある領域100での厚みの減少は、貫通孔が比較的に低い流れ抵抗のみをもたらすことを保証する。
【0127】
図11Bは、図11Aの修正例を示す。そこで、繰り返しを避けるために、図11Aの記載を参照し、対応する部分には同じ符号を用いる。
【0128】
この例示的実施形態の特別な特徴は、領域100が一方の側でのみ厚みが減少している点である。
【0129】
図中、鋭利な縁及び角は、例としてそう描いたに過ぎず、有利には、流体的に最適化するため又は洗浄性を改善するために丸めてもよい。
【0130】
図12に示す貫通孔の例示的実施形態の特別な特徴は、上流の孔入口開口で、貫通孔が、最初は、第1の内径を有する円柱状領域200を有する点である。
【0131】
その後、流れ方向に、円柱状領域200に続いて、流れ方向に先細りになり且つ孔出口開口で基準開口径(内径)dを有する円錐形領域210がある。
【0132】
ここで、孔出口開口の基準開口径(内径)dが、好ましくは、円柱状領域200の第1の内径よりも実質的に小さいことは重要である。
【0133】
図13Aは、部品160(例えば、自動車車体部品)をコーティングするために、本発明に係る孔あき板1を備える、塗布装置、特に、塗布器の極めて単純化した模式図を示す。
【0134】
ここで、コーティング媒体のジェット170が、孔あき板1の個別の貫通孔から出て、部品160の表面にコーティング媒体の連続膜を形成する。コーティング媒体の個別のジェット170は、図13Aに示すように液滴状のジェットとして形成されてもよいし、図13Bに示すように、コーティング媒体の連続したジェット、特に、液滴を形成しないものとして形成されてもよい。
【0135】
さらに、図13A及び13Bは、孔あき板1に接続される塗布器180と、塗布器180に接続される塗布機材190(接続を模式的な線で表す)とを示す。
【0136】
図14及び15は、本発明の2つの実施形態に係る、中央領域2と少なくとも1つの縁領域3aとを備え、直線的に方向付けられたノズル列を有する孔あき板1を示す。
【0137】
図14に示す孔あき板1の特徴は、貫通孔2.1、3.1、3.2、及び3.3の中心軸が直線状の位置決め線4上に実質的に並べられている点である。そこで、直線状の位置決め線4は、縁領域3aにある貫通孔3.1及び3.2の中心軸、中央領域2にある貫通孔2.1の中心軸、及び縁領域3bにある貫通孔3.3の中心軸を通って、存在し、その結果、中央ノズル列配置が中央領域2と2つの縁領域3a及び3bとの間にできる。
【0138】
さらに、図14は、孔あき板1が、少なくとも3つの貫通孔2.1、3.1、3.2、3.3が塗布装置からの出口孔を形成するように、塗布装置の外端面上に配置されることを示す。
【0139】
図15に示す孔あき板1の特徴は、貫通孔2.1、3.1、及び3.2の中心軸が直線状の位置決め線4上に実質的に並べられている点である。そこで、直線状の位置決め線4は、縁領域3aにある貫通孔3.1及び3.2の中心軸、中央領域2にある貫通孔2.1の中心軸、及び縁領域3bにある貫通孔3.1及び3.2の中心軸を通って、存在し、その結果、中央ノズル列配置が中央領域2と2つの縁領域3a及び3bとの間にできる。
【0140】
図1から5、14、及び15に示すノズル列は全て直線的に並べられており、図1から5では全ての貫通孔がそれらの基準開口径及び/又は孔出口開口径について直線的に並べられることが好ましいが、図14及び15では全ての貫通孔がそれらの中心軸について直線的に並べられることが好ましいことも言及すべきだろう。
【0141】
図19は、本発明の一実施形態に係る孔あき板1の貫通孔の断面図を示す。この貫通孔は、入口断面Eを有する漏斗状の孔入口開口30と円柱状の孔出口開口40とを備える。
【0142】
図20は、本発明の別の実施形態に係る孔あき板1の貫通孔の断面図を示す。この貫通孔は、入口断面Eを有する漏斗状の孔入口開口30と円柱状の孔出口開口40とを備え、図20の漏斗状の孔入口開口30は図19の漏斗状の孔入口開口30よりも孔あき板1内に深く広がっている。
【0143】
図21は、本発明の別の実施形態に係る孔あき板1の貫通孔の断面図を示す。この貫通孔は、入口断面Eを有する漏斗状の孔入口開口30と円柱状の孔出口開口40とを備え、図21の漏斗状の孔入口開口30は図20の漏斗状の孔入口開口30よりも孔あき板1内に深く広がっている。
【0144】
図22は、本発明の別の実施形態に係る孔あき板1の貫通孔の断面図を示す。この貫通孔は、入口断面Eを有する漏斗状の孔入口開口30と円柱状の孔出口開口40とを備え、図22の漏斗状の孔入口開口30は図21の漏斗状の孔入口開口30よりも孔あき板1内に深く広がっている。
【0145】
図19から22は、孔入口開口30が漏斗状に構成された貫通孔の円柱割合を変えることで流量に影響を与えることができるという追加の可能性をを特に示す。貫通孔の円柱割合を減少又は拡大できるように漏斗状の孔入口開口30を設けることで、図19から22では基準開口径d及び入口断面Eが同じ大きさであるものの、貫通孔を通る流体体積流量をさらに増加又は減少させることができる。ここで、図19が最も小さい、図20が2番目に小さい、図21が3番目に小さい、そして、図22が最も大きい、流体体積流量を可能とする。
【0146】
図19から22に示す貫通孔は、好適には、ノズル列の中央領域2内及び/又はノズル列の少なくとも1つの縁領域3a、3b内で使用できる。
【0147】
本発明の実施形態に係る塗布装置は、互いに隣接して配置された少なくとも2つの孔あき板1であって、それらのノズル列がノズル列の長手方向に互いにずれて配置された孔あき板を有してもよいことは言及せねばなるまい。ここで、孔あき板1は、外板を構成するように、塗布装置の外端面上に配置される。
【0148】
本発明は上述の好ましい実施形態に制限されるものではない。むしろ、本発明の概念を利用し、それ故、本権利保護範囲に含まれる、種々の変形例及び修正例が可能である。さらに、また、本発明は、従属請求項が参照する特徴及び請求項とは独立に、従属請求項の主題及び特徴についての権利保護も請求する。
【0149】
[付記]
[付記1]
流体を、部品、好ましくは、自動車車体及び/又はその付属品に塗布するための塗布装置用の孔あき板(1)であって、
中央領域(2)及び2つの縁領域(3a、3b)を有するノズル列に割り振られる、流体通過用の少なくとも3つの貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)を備え、
少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.1)が、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d3)よりも小さい少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)を有する、孔あき板(1)。
【0150】
[付記2]
前記孔あき板(1)は、流体を塗布するために単一のノズル列のみを有する、付記1に記載の孔あき板(1)。
【0151】
[付記3]
前記中央領域(2)及び前記少なくとも1つの縁領域(3a)を備える前記ノズル列が直線的に並べられている、及び/又は、前記ノズル列の前記貫通孔の全てが、好ましくは、一つの同じ直線位置決め線(4)に沿って、直線的に並べられている、付記1又は2に記載の孔あき板(1)。
【0152】
[付記4]
直線位置決め線(4)が、前記少なくとも1つの縁領域(3a)と前記中央領域(2)との間に、好ましくは偏心の、ノズル列配置ができるように、前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.1)若しくは少なくとも2つの最外貫通孔(3.1、3.2)の少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)及び/又は孔出口開口径(40)、並びに、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d、d3)及び/又は孔出口開口径(40)を通って直線的に存在し、又は、
直線位置決め線(4)が、前記少なくとも1つの縁領域(3a)と前記中央領域(2)との間に中心ノズル列配置が好ましくはできるように、前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.1)又は少なくとも2つの最外貫通孔(3.1、3.2)の少なくとも1つの中心軸、及び、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの中心軸を通って存在する、付記1から3のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0153】
[付記5]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外貫通孔(3.1)又は少なくとも2つの前記最外貫通孔(3.1、3.2)の少なくとも1つの中心軸は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの前記貫通孔(2.1)の少なくとも1つの中心軸よりも、前記直線位置決め線(4)に近く配置され、又は、
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外貫通孔(3.1)又は少なくとも2つの最外貫通孔(3.1、3.2)の少なくとも1つの中心軸、及び、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの前記貫通孔(2.1)の少なくとも1つの中心軸は、前記直線位置決め線(4)上に並べられている、付記3又は4に記載の孔あき板(1)。
【0154】
[付記6]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの最外貫通孔(3.1、3.2)は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d、d3)よりも小さい基準開口径(d、d1、d2)を有し、好ましくは、前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある前記貫通孔(3.1、3.2)の前記基準開口径(d、d1、d2)は、互いに揃い又は不揃いに構成される、付記1から5のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0155】
[付記7]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.1)が、ノズル列の最小基準開口径(d、d1)を有する、付記1から6のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0156】
[付記8]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも2つの最外貫通孔(3.1、3.2)は、異なる又は揃いの基準開口径(d、d1、d2)を有する、付記1から7のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0157】
[付記9]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも2つの最外貫通孔(3.1、3.2)は異なる基準開口径(d、d1、d2)を有しており、最外貫通孔(3.1)の基準開口径がより小さい基準開口径である、付記1から8のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0158】
[付記10]
前記中央領域(2)は少なくとも2つ又は少なくとも3つの貫通孔(2.1)を有し、及び/又は、
前記少なくとも1つの縁領域(3a)は少なくとも2つの貫通孔(3.1、3.2)を有する、付記1から9のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0159】
[付記11]
前記中央領域(2)にある複数の貫通孔(2.1)が揃った基準開口径(d3)を有し、
前記中央領域(2)にある複数の貫通孔(2.1)の中心軸が互いに直線的に並べられ、及び/又は、
前記中央領域(2)にある複数の貫通孔(2.1)が互いに等間隔に配置されている、付記1から10のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0160】
[付記12]
前記中央領域(2)にある少なくとも3つの貫通孔(2.1)の間の少なくとも2つの孔間隔(a3)が揃いに構成されている、及び/又は、
前記ノズル列が前記貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)の間で揃った孔間隔(a1=a2=a3=a4=a5)で全体として構成される、付記1から11のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0161】
[付記13]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外孔間隔(a1)又は少なくとも2つの最外孔間隔(a1、a2)が前記中央領域(2)にある少なくとも1つの孔間隔(a3)と一致する、付記1から12のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0162】
[付記14]
前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある最外孔間隔(a1)又は少なくとも2つの最外孔間隔(a1、a2)が前記中央領域(2)にある少なくとも1つの孔間隔(a3)よりも小さい又は大きい、付記1から13のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0163】
[付記15]
前記ノズル列のひとつの縁領域(3a)にある最外孔間隔(a1)又は少なくとも2つの最外孔間隔(a1、a2)が、別の縁領域(3b)にある最外孔間隔(a5)又は少なくとも2つの最外孔間隔(a4、a5)と揃いに構成されている、付記1から14のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0164】
[付記16]
2つの前記縁領域(3a、3b)における、貫通孔配置、特に、孔間隔(a1、a2、a3、a4、a5)及び/又は基準開口径(d、d1、d2、d4、d5)は互いに一致する、付記1から15のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0165】
[付記17]
前記ノズル列は、実質的に台形の断面形状(6)を有する流体塗布物を形成するために構成されている、付記1から16のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0166】
[付記18]
2つの前記縁領域(3a、3b)は、対称若しくは非対称に形成され、又は、前記ノズル列は、全体として対称的に、特に、前記ノズル列に対して横方向に延びる対称軸に対して軸対称及び/又は鏡面対称に形成される、付記1から17のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0167】
[付記19]
前記ノズル列の、前記貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)、好ましくは、前記貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)の全ては、それぞれ、前記孔あき板(1)の上流面上にある孔入口開口(30)と、前記孔あき板(1)の下流面上にある孔出口開口(40)と、前記孔あき板(1)の下流面上にある三次元構造としてのパイプスタブ(70)とを備え、
前記孔入口開口(30)は前記孔出口開口(40)よりも大きい流路断面を有し、及び/又は、
前記パイプスタブ(70)は、各前記パイプスタブ(70)の自由端に向けて、特に、円錐状に、先細りになっている外部ケーシング表面を有する、付記1から18のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0168】
[付記20]
ひとつの縁領域(3a)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.1)は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d3)よりも小さい少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)を有し、且つ、別の縁領域(3b)にある少なくとも1つの最外貫通孔(3.3)は、前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の少なくとも1つの基準開口径(d3)と揃いに構成されている少なくとも1つの基準開口径(d、d1、d2)を有する、付記1から19のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0169】
[付記21]
前記基準開口径(d、d1、d2)は孔出口開口径である、付記1から20のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0170】
[付記22]
前記ノズル列の前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)、及び/又は、前記ノズル列の少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの貫通孔(3.1)は、漏斗状孔入口開口(30)と、好ましくは、円柱状孔出口開口(40)とを有する、付記1から21のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0171】
[付記23]
前記中央領域(2)にある前記少なくとも1つの貫通孔(2.1)の前記漏斗状孔入口開口(30)が、前記少なくとも1つの縁領域(3a)にある前記少なくとも1つの貫通孔(3.1)の前記漏斗状孔入口開口(30)と比べて、前記孔あき板(1)の中のより深いところまで存在する、付記22に記載の孔あき板(1)。
【0172】
[付記24]
前記ノズル列の前記中央領域(2)にある少なくとも1つの貫通孔(2.1)の孔入口開口(30)の入口断面(E)が、前記ノズル列の少なくとも1つの縁領域(3a)にある少なくとも1つの貫通孔(3.1)の孔入口開口(30)の入口断面(E)よりも大きい、付記1から23のいずれか1つに記載の孔あき板(1)。
【0173】
[付記25]
付記1から24のいずれか1つに記載の孔あき板(1)を少なくとも1つ有する、流体を塗布するための塗布装置。
【0174】
[付記26]
前記塗布装置は、前記ノズル列の全体に渡って等しい圧力での流体流入のために構成されている、付記25に記載の塗布装置。
【0175】
[付記27]
前記塗布装置は、前記中央領域(2)とは独立に制御可能な少なくとも1つの縁領域(3a)での流体流入のために構成されている、付記25又は26に記載の塗布装置。
【0176】
[付記28]
前記2つの縁領域(3a、3b)が、同じ流体送達ユニットに接続されている、又は、それぞれが、それ自身の流体送達ユニットに接続されている、付記25から27のいずれか1つに記載の塗布装置。
【0177】
[付記29]
前記塗布装置は、50mPa・sより大きい、80mPa・sより大きい、又は、100mPa・sより大きい粘度を有する流体を塗布するために構成されている、付記25から28のいずれか1つに記載の塗布装置。
【0178】
[付記30]
前記塗布装置は、互いに隣接して配置された少なくとも2つの孔あき板(1)を含み、前記孔あき板(1)のノズル列は、前記ノズル列の長手方向に互いにずれて配置されている、付記25から29のいずれか1つに記載の塗布装置。
【0179】
[付記31]
少なくとも1つの前記孔あき板(1)は、前記塗布装置の外端面上に、好ましくは、少なくとも3つの貫通孔(2.1、3.1、3.2、3.3)が前記塗布装置からの出口孔を形成するように、配置される、付記25から30のいずれか1つに記載の塗布装置。
【0180】
[付記32]
付記1から24のいずれか1つに記載の孔あき板(1)の少なくとも1つ又は付記25から31のいずれか1つに記載の塗布装置により流体が塗布される、流体を塗布するための塗布方法。
【符号の説明】
【0181】
1 孔あき板、例えば、カバー
2 中央領域
2.1 中央領域にある少なくとも1つの貫通孔
3a 縁領域(好適には、1つ目)
3b 縁領域(好適には、2つ目)
3.1 最外貫通孔
3.2 2番目に外側の最外貫通孔
4 位置決め線(好適には、直線状の位置決め線)
5 実質的に台形の形状
6 実質的に台形の流体の断面形状
30 孔入口開口
40 孔出口開口
50 流体(コーティング媒体)
60 湿潤表面
70 パイプスタブ
80 湿潤表面
90 縁
100 貫通孔を有する領域
110 強化帯
160 部品
170 流体/コーティング媒体のジェット
180 塗布器
190 塗布機材
200 貫通孔の円柱状領域
210 貫通孔の円錐状領域
d 基準開口径
d1−d5 基準開口径
a1−a5 孔間隔
B1 流体塗布物(特に、流体線)
B2 流体塗布物(特に、流体線)
F 孔あき板の移動方向
S 対称軸
L パイプスタブの長さ
E 入口断面
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22