【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、主要な請求項及び副次的な請求項に記載の特徴により達成できる。本発明の有利な修正例を従属請求項及び以下の本発明の好ましい実施形態の記載に示す。
【0007】
本発明は、部品、特に、自動車車体及び/又はその付属品に、流体を塗布するための塗布装置(例えば、塗布器)用の孔あき板(例えば、カバー、ストリップ、チップなど)を提供する。
【0008】
孔あき板及び/又は塗布装置は、霧化及び/又はマスキングなしでの流体の塗布に特に役立つ。
【0009】
流体は、例えば、コーティング媒体、特に、塗料、封止剤、分離剤、機能層、又は接着剤であってもよい。
【0010】
流体は、特に、1000s
−1の剪断速度で測定して、好ましくは、50mPa・sより大きい、80mPa・sより大きい、また、さらには、100mPa・sより大きい粘度を有する。流体は、ニュートン力学的挙動を示すものでも、非ニュートン力学的挙動を示すものでもよい。
【0011】
孔あき板は、好ましくは、流体通過用の貫通孔を、少なくとも4つ又は少なくとも5つ有する。貫通孔は、好ましくは実質的に直線的に方向付けられたノズル列内に適宜に配置される。このノズル列は、2つの縁領域と、この2つの縁領域の間に適宜に存在する中央領域とを有する。貫通孔は、特に、孔間隔により互いに隔てられていてもよい。
【0012】
孔あき板は、少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の少なくとも1つの最外孔間隔が、好ましくは、実質的に台形の断面形状(例えば、実質的に直角な、等脚又は不等脚台形の断面形状、及び/又、実質的にガウス曲線形状の断面形状)を有する流体塗布物(例えば、流体線)が可能となるように、中央領域にある少なくとも1つの孔間隔よりも大きい点で特に特徴的である。
【0013】
前述の少なくとも1つの最外孔間隔は、特に、少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の外側から1つ目の孔間隔に対応する。
【0014】
前述の少なくとも2つ、少なくとも3つ、及び/又は、少なくとも4つの最外孔間隔は、特に、少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の最も外側にある、2つ、3つ、及び/又は4つの孔間隔に対応する。
【0015】
孔間隔のステッピング、即ち、適切な増加が、縁領域の一方のみの又は両方の、最外孔間隔、即ち、外側から1つ目の孔間隔についてだけ適用されてもよい。
【0016】
しかし、孔間隔のステッピング、即ち、適切な増加が、縁領域の一方のみにある又は両方にある、少なくとも2つ、少なくとも3つ、及び/又は、少なくとも4つの、最外孔間隔、即ち、最も外側にある孔間隔にわたって適用されてもよい。
【0017】
一方の縁領域のみで孔間隔が増加する場合、好ましくは、流体塗布物(例えば、流体線)は、実質的に直角な台形の断面形状で設けられてもよい。
【0018】
両方の縁領域で孔間隔が増加する場合、好ましくは、流体塗布物(例えば、流体線)は、実質的に等脚又は不等脚な台形の断面形状で設けられてもよい。
【0019】
特に、本発明は、2つの流体塗布物(例えば、流体線)の接続又は重複領域での層の厚さの分布の改善を可能とし、これにより、不利益にも人の目に知覚される層の厚さの上下を適切に有さない、視覚的に揃った流体表面(例えば、コーティング表面)が、もたらされる。この代わりに又はこれに加えて、本発明は、好ましくは単一ノズル列のみから、即ち、一次元ノズル配置で、流体を塗布することにより、塗布の飛び散りを抑制したり完全に避けたりすることを特に可能とする。なぜなら、接続又は重複領域において、以前に塗布した流体が、通常は、既に十分に乾燥又は硬化しており、流体の飛び散りをなすような傾向がまったくない、又は、少なくともそうした傾向が大幅に減少している状態で、このノズル列は流体を直接的に部品に塗布する(場合によっては2つの流体塗布物の接続又は重複領域を除いて塗布する)からである。
【0020】
本発明に係る孔あき板によれば、2つの適切に縁の明瞭な流体塗布物(例えば、流体線)の間の間隔許容差は、±150μm、±200μm、±500μm、±1mm、また、さらには、±2mmまでであってもよい。
【0021】
孔あき板は、好ましくは一次元ノズル配置が可能となるように、流体を塗布するために単一のノズル列のみを有してもよい。
【0022】
ノズル列が中心が直線状となるように方向付けられ、及び/又は、ノズル列の、好ましくは全ての、貫通孔の中心軸が、例えば1つの同じ位置決め線(好適には直線状の位置決め線)に沿って直線的に方向付けられることが可能である。
【0023】
ノズル列の、好ましくは全ての、貫通孔が、揃いに(例えば、実質的に同一に)構成されることが可能である。
【0024】
少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の最外孔間隔は、ノズル列の最大孔間隔を適宜有してもよい。
【0025】
少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の少なくとも2つの最外孔間隔は、中央領域にある少なくとも1つの孔間隔よりも大きくてもよい。
【0026】
少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の少なくとも2つの最外孔間隔は、揃いに(好適には、実質的に同じ大きさに)又は不揃いに(好適には、異なる大きさに)構成されてもよい。
【0027】
中央領域は、好ましくは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの孔間隔を有してもよく、即ち、少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つの貫通孔を適宜有してもよい。
【0028】
少なくとも1つの縁領域は、例えば、少なくとも2つ又は少なくとも3つの孔間隔を有する。
【0029】
中央領域にある貫通孔が互いに等間隔に配置されるように、中央領域にある孔間隔が揃いに(好適には、実質的に同じ大きさに)構成されることが可能である。この代わりに又はこれに加えて、中央領域にある貫通孔が適宜揃いに形成されてもよい。
【0030】
ノズル列の1つの縁領域にある最外孔間隔が、別の縁領域にある最外孔間隔と、揃い(好適には実質的に同じ大きさ)又は不揃い(好適には異なる大きさ)に構成されることが可能である。
【0031】
ノズル列の1つの縁領域にある少なくとも
2つの最外孔間隔が、別の縁領域にある少なくとも2つの最外孔間隔と、揃い(好適には実質的に同じ大きさ)又は不揃い(好適には異なる大きさ)に構成されることも可能である。
【0032】
1つの縁領域にある少なくとも1つの最外孔間隔は、例えば、中央領域にある少なくとも1つの孔間隔よりも大きくてもよく、別の縁領域にある少なくとも1つの最外孔間隔は、中央領域にある少なくとも1つの孔間隔と揃いに(例えば、実質的に同じ大きさに)形成されてもよい。
【0033】
ノズル列の、好ましくは全ての、貫通孔は、それぞれ、孔あき板の上流面上にある孔入口開口と、孔あき板の下流面上にある孔出口開口と、例えば、孔あき板の下流面上にある三次元構造であるパイプスタブとを有してもよい。
【0034】
孔入口開口は、例えば、孔出口開口よりも大きな流路断面を有してもよく、及び/又は、パイプスタブは、例えば、それぞれのパイプスタブの自由端に向けて、先細りの、特に、円錐状の外部ケーシング表面を有していてもよい。
【0035】
2つの縁領域は対称又は非対称に形成されてもよい。好ましくは、ノズル列は、全体として対称的に、特に、ノズル列に対して横方向に延びる対称軸に対して軸対称及び/又は鏡面対称に構成される。
【0036】
少なくとも1つの縁領域にある最外孔間隔が、中央領域の各孔間隔の最大2又は3倍の大きさであることが可能である。
【0037】
少なくとも1つの縁領域にあるノズル列の少なくとも2つの最外孔間隔が、それぞれ、中央領域の各孔間隔の最大2又は3倍の大きさであることが可能である。
【0038】
ノズル列の、好ましくは全ての、貫通孔が、揃いに(好適には、実質的に同一に)形成され、特に、同じ流路断面を有することが可能である。
【0039】
ノズル列の中央領域にある少なくとも1つの貫通孔、及び/又は、ノズル列の少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの貫通孔は、漏斗状の孔入口開口を有し、さらに、好ましくは、円柱状の孔出口開口を有することが可能である。漏斗状の孔入口開口は、好ましくは、流体の流れの方向に狭まっている。
【0040】
例えば、中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の漏斗状の孔入口開口は、少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの貫通孔の漏斗状の孔入口開口よりも、孔あき板内に深く広がっていてもよい。この代わりに又はこれに加えて、ノズル列の中央領域にある少なくとも1つの貫通孔の孔入口開口の入口断面(例えば、入口側の流路断面)は、ノズル列の少なくとも1つの縁領域にある少なくとも1つの貫通孔の孔入口開口の入口断面(例えば、入口側の流路断面)よりも大きくてもよい。
【0041】
ノズル列は、重複に最適化された流体線の生成に特に適するように、実質的に台形の断面形状(例えば、実質的に直角な、等脚又は不等脚台形の断面形状、及び/又、実質的にガウス曲線形状の断面形状)を有する流体塗布物(例えば、流体線)を形成するよう特に構成されてもよい。
【0042】
特に好ましい実施形態では、ノズル列の貫通孔の孔入口開口は孔出口開口よりも大きい流路断面を有する。
【0043】
本発明は、孔あき板に限定されるものではなく、本願明細書に記載の孔あき板を少なくとも1つ有する、流体を塗布するための、塗布装置、例えば、塗布器も包含する。
【0044】
塗布装置は、ノズル列全体にわたって、即ち、好適には貫通孔の全てにわたって、等しい圧力での流体流入を保証するように構成されることが可能である。
【0045】
塗布装置は、中央領域とは独立に制御(例えば、調節)可能な少なくとも1つの縁領域での流体流入を保証するように構成されることも可能である。
【0046】
2つの縁領域は、例えば、同じ流体送達ユニットにより流体を供給されてもよいし、特に、個別に制御可能な(例えば、調節可能な)流体送達ユニットを介して流体をそれぞれの縁領域に供給できるように、それぞれが自分自身の流体送達ユニットを有してもよい。
【0047】
塗布装置は、好ましくは、特に、1000s
−1の剪断速度で、好ましくは、50mPa・sより大きい、80mPa・sより大きい、又は、100mPa・sより大きい粘度を有する流体の塗布に役立つ。流体は、ニュートン力学的挙動を示すものでも、非ニュートン力学的挙動を示すものでもよい。
【0048】
塗布装置は、互いに隣接して配置された少なくとも2つの孔あき板、好ましくは、それらのノズル列がノズル列の長手方向に互いにずれて配置された孔あき板を有することが可能である。
【0049】
少なくとも1つの孔あき板は、特に、塗布装置の外端面に(例えば、外端面上又は内に)配置され、好ましくは、そうして外板を構成してもよい。そこで、少なくとも4つの貫通孔が、好ましくは、塗布装置からの出口穴を形成する。
【0050】
本発明は、さらに、本願明細書に記載の少なくとも1つの塗布装置及び/又は少なくとも1つの孔あき板を用いて流体を塗布する塗布方法も包含する。
【0051】
特に、流体は孔あき板の単一のノズル列から塗布されることが可能である。
【0052】
流体は、好ましくは、コーティング媒体、例えば、塗料、封止剤、分離剤、機能層、接着剤などであり、及び/又は、機能層を形成する役割を果たすものであってもよいことは特筆すべきだろう。
【0053】
機能層の分類として、例えば、接着促進剤、プライマーなどの表面機能化をもたらす層、又は、透過を抑制する層が特に挙げられる。
【0054】
本発明の文脈において、本願明細書に記載の孔あき板を、国際公開第2014/121926号に記載の特徴、特に、特許請求の範囲に記載の特徴で補完することが可能である。そこで、この特許出願の内容の全てが本出願の記載に取り込まれるべきである。
【0055】
本発明に係る孔あき板は、特に、孔あき板の上流面上にある孔入口開口と、孔あき板の下流面上にある孔出口開口と、孔あき板の上流面上及び/又は孔あき板の下流面上にある例えば三次元の構造とを有してもよい。
【0056】
孔入口開口は、流体的に最適化されており、特に、ノズル状であり、及び/又は、孔入口開口は、孔出口開口よりも大きな(流路)断面を有することが可能である。
【0057】
パイプスタブは、孔あき板の下流面から突き出し、貫通孔がそれに移行していくものであり、特に、孔出口開口での湿潤表面積を減らすためのものである構造としての役割を果たすことが可能である。
【0058】
パイプスタブは、例えば、それぞれのパイプスタブの自由端に向けて、先細りの、特に、円錐状の外部ケーシング表面を有していてもよい。
【0059】
孔あき板は、例えば、貫通孔を有する中央領域よりも縁部での厚さが大きくてもよい。
【0060】
好ましくは、孔あき板にある全ての貫通孔が、エッチング製造法、特に、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、少なくとも部分的に製造されることが可能である。
【0061】
孔あき板は、特に、半導体材料、例えば、シリコン、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ガリウム、ヒ化ガリウム、及び/又は、リン化インジウムなどのひとつから少なくとも部分的になるものでもよい。
【0062】
本発明の文脈において、実質的に台形の断面形状という特徴は、好ましくは、例えば、実質的にガウス曲線形状の断面形状なども含んでよいことも言及すべきだろう。
【0063】
上述した本発明の好ましい実施形態は互いに組み合わせてもよい。本発明の他の有利な修正例は、請求項に開示されているし、また、以下の本発明の好ましい実施形態にも図面と連携しつつ記載されている。