(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の開発支援装置を適用した開発支援システムについて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、開発支援装置1の構成を示すブロック図である。開発支援装置1は、汎用パーソナルコンピュータであり、対象機器2に、仲介装置3を介して接続されている。対象機器2は、所定の通信プロトコルに準じた入出力を行なう開発対象機器である。仲介装置3は対象機器2と開発支援装置1との間に介在し、対象機器2が準ずる通信プロトコルによる入出力と、開発支援装置1が持つ入出力との間を仲介し、所定の通信プロトコルに基づく
通信データをキャプチャして開発支援装置1へ提供する装置である。開発対象である所定の通信プロトコルは例えばCAN(Controller Area Network)、又はオートモーティブオーディオバス対応のプロトコル等である。
【0016】
開発支援装置1は、上述したように汎用パーソナルコンピュータであって処理部10、記憶部11、入出力部12及び接続部13を備える。入出力部12には、表示装置15及び操作装置16が接続されている。接続部13には仲介装置3が接続されている。
【0017】
処理部10は、CPU(Central Processing Unit )又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。処理部10は、プロセッサ、メモリ、記憶部11及び接続部13を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。処理部10は、記憶部11に記憶されている開発支援プログラム1Pに基づき、開発オペレータの操作を受け付けて開発を支援し、シミュレーションを実施する。
【0018】
記憶部11は、ハードディスク等の不揮発性記憶媒体を用い、開発支援プログラム1Pを含む処理部10が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部11には、対象機器2に向けて送信するコマンド(メッセージ)、又は対象機器2から受信するコマンド(メッセージ)の定義情報のほか、後述する処理部10の各機能で使用する情報群及びデータベース(以下、DBという)が記憶される。処理部10は、開発支援プログラム1Pに基づき、定義情報を含む仕様情報に基づいて、対象機器2へ仲介装置3を介して実際にコマンドを送信したり、受信したりすることが可能である。
【0019】
記憶部11に記憶されている開発支援プログラム1Pは、処理部10が記憶媒体6に記憶されている開発支援プログラム6Pを読み出して複製したものであってもよい。開発支援プログラム1Pは、図示しないサーバ装置から処理部10がダウンロードして記憶部11に記憶し、インストールしたものであってもよい。
【0020】
入出力部12は、表示装置15及び操作装置16との接続を実現する入出力インタフェースである。入出力部12は例えば、入出力装置用のケーブルインタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等であってよい。
【0021】
接続部13は、仲介装置3との接続を実現する接続インタフェースである。接続部13は、USBインタフェース、又は、有線若しくは無線による通信インタフェースであってもよい。
【0022】
表示装置15は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置である。操作装置16は、試験オペレータの操作を受け付ける入出力装置であり、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作装置16は、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0023】
仲介装置3は通信のプロトコルを変換し、開発の対象機器2との間で実際に信号の入出力を実現できるものであれば他の構成で代替されてもよい。例えば仲介装置3は接続部13に接続されるネットワークカード型のものであって開発支援装置1と一体に構成されていてもよい。
【0024】
図2は、開発支援装置1の処理部10の機能を示す機能ブロック図である。開発支援装置1の処理部10は、記憶部11に記憶されている開発支援プログラム1Pに基づいて、仕様受付部101、差分抽出部102、シナリオ作成部103、テスト実施部104、及びコマンド入出力部105として機能する。
【0025】
処理部10は仕様受付部101の機能によって、開発対象である対象機器2の仕様の作成又は編集を受け付ける。仕様は主に、他の装置との間での情報の授受に関する仕様、具体的には通信仕様である。処理部10は仕様受付部101の機能によって仕様のバージョン管理を実施する。処理部10は仕様受付部101の機能によって、開発支援プログラム1Pに基づき、表示装置15に表示させた仕様編集画面と、操作装置16による操作とによってコマンドの追加を受け付けてコマンド定義情報112に記憶し、シーケンスの追加を受け付けてシーケンス定義情報113に記憶する。仕様編集画面は、CUI(Character User Interface)でもよいし、GUI(Graphical User Interface)でもよい。処理部10は仕様受付部101によって、対象機器2に設定されている機能毎のコマンド及びシーケンスを示す仕様情報(仕様書)を仕様書DB111に記憶する。処理部10は仕様受付部101の機能によって、エディタで作成されて記憶部11に記憶されている仕様情報(コマンドの定義データ、及びシーケンスの定義データ、並びに機能の定義データ)を、仕様情報として受け付けてもよい。
【0026】
処理部10は仕様受付部101の機能によって、既に登録済みの仕様情報について、改定を受け付けることも可能である。処理部10は仕様受付部101の機能によって、登録済みの仕様情報を、機能毎に、シーケンス毎に、又は各コマンドについて改定を受け付ける。処理部10は仕様受付部101の機能によって、改めてエディタにて定義されて記憶部11に記憶されている改定後の仕様情報(コマンドの定義データ、及びシーケンスの定義データ、並びに機能の定義データ)の選択によって改定を受け付けてもよい。処理部10は、仕様が改定された場合、コマンド定義情報112、及びシーケンス定義情報113、並びに機能情報を、改定前と改定後とで異なるバージョン識別情報(番号等)を付与して仕様書DB111に記憶する。
【0027】
処理部10は仕様受付部101の機能によって仕様の改定を受け付けた場合、改定前のバージョンの仕様と改定後のバージョンの仕様との差分の内容と、差分が発生したコマンドの識別情報、差分が発生したシーケンスの識別情報を差分抽出部102の機能によって抽出する。処理部10は抽出した差分の情報(内容、差分が発生したコマンド、シーケンスの識別情報)を差分DB114に記憶する。
【0028】
処理部10はシナリオ作成部103の機能によって、仕様書DB111に登録された仕様情報から、評価シナリオ115を作成し、評価シナリオDB116に記憶する。評価シナリオ115は、コマンド及び処理の内容を、順序と対応付けた情報であって、シナリオの識別情報によって他のシナリオと識別される。
【0029】
処理部10は差分抽出部102の機能によって差分を抽出し、抽出した差分を差分情報114として記憶した場合、評価シナリオDB116に記憶されている複数の評価シナリオ115の内、改定によって差分が発生したコマンド又はシーケンスが含まれている評価シナリオ115を抽出する。処理部10はシナリオ作成部103の機能によって、抽出した評価シナリオ115に基づき、改定後のバージョンに対する新たな評価シナリオ115を作成し、評価シナリオDB116に記憶する。新たな評価シナリオ115は、改定前のバージョンにおける評価シナリオ115とは異なるシナリオの識別情報によって識別される。
【0030】
処理部10はテスト実施部104の機能によって、対象機器2と通信する通信相手としての処理をシミュレートしてテストを実施する。具体的には処理部10は、テスト実施部104の機能によって、表示装置15及び操作装置16における操作に基づき評価シナリオDB116に記憶された未実施の評価シナリオ115の選択を受け付ける。処理部10は、選択された評価シナリオ115に基づいてコマンドを生成し、コマンド入出力部105へ渡し、コマンド入出力部105から得られ
る所定の通信プロトコルに基づく通信データ
を、通信履歴としてコマンド入出力履歴DB117に記憶する。処理部10は、テスト実施部104の機能によって、コマンドの入出力の結果に対する評価(成功・失敗等)を評価結果DB118に記憶する。
【0031】
処理部10はコマンド入出力部105の機能によって、処理部10から渡されたコマンドを、仲介装置3とのインタフェースに応じて変更し、仲介装置3へ向けて接続部13から出力する。処理部10はコマンド入出力部105の機能によって、仲介装置3から得られる対象機器2との間の
所定の通信プロトコルに基づく通信デー
タを取得し、テスト実施部104へ渡す。
【0032】
このように構成される開発支援装置1による仕様の改定による差分の抽出、評価シナリオ115への反映、差分が発生した分のみのテストの実施について、具体例及びフローチャートを参照して説明する。
【0033】
図3は、コマンド定義情報112及びシーケンス定義情報113の内容例を示す。
図3に示すコマンド定義情報112及びシーケンス定義情報113は、処理部10が仕様受付部101に機能によって、開発オペレータの操作装置16の操作に応じて作成したものであり、第1のバージョンの定義情報である。コマンド定義情報112には、コマンドのIDに対応付けて、コマンド名とコマンドのデータフィールドに含まれるデータ範囲の定義を含むコマンドの定義データが含まれている。シーケンス定義情報113には、コマンド定義情報112に定義されているコマンドを、定義された装置がどのような順序で使用するかを記述した定義データが含まれている。
【0034】
図4は、評価シナリオ115の内容例を示す。
図4の評価シナリオ115の内容例は、
図3のシーケンス定義情報113の内の、シーケンスID「Seq002」で識別されるシーケンスの定義データの内容例に基づく。
図4の評価シナリオ115に基づき対象機器2が名称「ECU2」として定義されている場合、処理部10はテスト実施部104の機能によって、「0x0101」の要求コマンドAを送信し、通知コマンドAを受信し、「0x0203」の要求コマンドBを送信し、通知コマンドBを受信するシミュレートを実行する試験を実施する。
【0035】
図5は、処理部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。処理部10は仕様受付部101の機能によって、CUIのコマンド又はGUIに含まれるメニューにより、改定対象の仕様情報の指定を受け付ける(ステップS101)。改定対象の仕様情報の指定は、バージョン情報及び仕様を識別する情報、例えば対象機器2の種類、機能の選択である。処理部10は指定されたバージョンの仕様情報を仕様書DB111から取得し(ステップS102)、取得した仕様情報の内容を表示装置15で表示させる(ステップS103)。
【0036】
処理部10は、操作装置16によって仕様改定に関して仕様情報の編集を受け付ける(ステップS104)。処理部10はバージョン管理機能によって、編集に基づく改定後の仕様情報に対しバージョン情報を付与する(ステップS105)。処理部10は、改定後の仕様情報を、バージョン情報と対応付けて仕様書DB111に記憶する(ステップS106)。エディタ等で予め改定後の仕様情報を作成し、読み込む場合にはステップS101−S103の処理は省略してよい。
【0037】
続いて処理部10は差分抽出部102の機能によって、評価対象のバージョン、即ち改定後の仕様情報を仕様書DB111から取得する(ステップS107)。処理部10は、指定されたバージョン、例えばステップS101で指定され、ステップS102で取得した仕様情報に対し、ステップS107で取得した仕様情報の差分を抽出する(ステップS108)。ステップS101−S103の処理を省略する場合には、処理部10はステップS108の前に改定前の仕様情報のバージョンの指定を受け付けてよい。
【0038】
処理部10は、抽出した差分の内容を改定前後のバージョンの情報と対応付けて差分DB114に記憶する(ステップS109)。処理部10は、評価対象のバージョンについて、抽出された差分に関連し、ステップS104で編集を受けた情報以外のコマンド定義データ、シーケンス定義データを仕様書DB111から抽出し(ステップS110)、抽出したデータを更新する(ステップS111)。更新後のデータを含むコマンド定義情報112及びシーケンス定義情報113を改定後のバージョン情報と対応付けて仕様書DB111に記憶する(ステップS112)。
【0039】
続いて処理部10はシナリオ作成部103の機能によって、ステップS108で抽出された差分に関連する評価シナリオ115を抽出する(ステップS113)。処理部10は、抽出した評価シナリオ115を改定後のコマンド定義情報112及びシーケンス定義情報113に基づいて更新することで新たな評価シナリオ115として作成し(ステップS114)、評価シナリオDB116に記憶する(ステップS115)。
【0040】
これにより、仕様の改定、バージョン管理、改定後の仕様に基づく評価シナリオ115の作成が可能である。
【0041】
図6は、改定されたコマンド定義情報112及びシーケンス定義情報113の内容例を示す。
図6の例は、コマンド定義情報112に含まれる1つのコマンドのIDを改定した場合の例である。改定前のバージョンではIDが「92」であった通知コマンドBのIDを「82」へ改定する場合、開発オペレータが開発支援装置1を使用して改定内容を入力操作(S104)することによって、開発支援装置1の処理部10が自動的に、シーケンス定義情報113における関連するシーケンスデータにおける通知コマンドBのIDを更新する(S111)。
【0042】
図7は、改定に関して抽出、更新された評価シナリオ115の内容例を示す。
図7の内容例は、
図4の内容例に対応する。
図7に示すように、通知コマンドBのコマンドのIDを改定する編集をした場合、開発支援装置1の処理部10の処理によって差分に対応する評価シナリオ115が作成される。
図7に示すように差分に関係する評価シナリオ115のみが抽出されて作成されるから、改定で発生した差分に関する箇所のみの試験が可能になり、試験効率が改善される。
【0043】
図8は、改定されたコマンド定義情報112及びシーケンス定義情報113の他の内容例を示す。
図8の例は、シーケンス定義情報113に含まれる1つのシーケンス「Seq002」について、通知コマンドCを「ECU2」が受信した後、「2.0秒±0.2秒」の周期で通知コマンドDを定期的に送信するというシーケンスを、「2.1秒±0.2秒」の周期で送信するシーケンスに改定した場合の例である。改定前のバージョンでは通知コマンドDの送信周期が「2.0秒±0.2秒」であったところを、「2.1秒±0.2秒」へ改定する場合、開発オペレータが開発支援装置1を使用して改定内容を入力操作(S104)することによって、シーケンス定義情報113が更新される。
【0044】
上述したように、開発支援装置1では抽出された差分の情報がその都度差分DB114に記憶される。これにより、
図8の改定後の仕様情報について、表示装置15及び操作装置16による操作によって参照要求があった場合、処理部10はこれを受け付け、要求対象の仕様情報を表示装置15に表示させる。この場合処理部10は、要求対象の使用対象の内、差分DB114に記憶されている差分を特定することができるので、差分に対応する改定された一部を示す情報を要求元、ここでは表示装置15へ送信することができる。これにより、
図8に示したように、改定された一部を強調して表示させることができ、改定部分の確認が容易である。後述の実施の形態2等の場合、要求元は、操作される端末装置であり、端末装置からの仕様情報の参照要求に対し、処理部10は改定された一部を示す情報を要求元の端末装置へ送信する。
【0045】
図9は、改定に関して抽出、更新された評価シナリオ115の他の内容例を示す。
図9の内容例は、
図4の内容例に対応する。
図9に示すように、シーケンス「Seq002」について通知コマンドDの送信周期を改定する編集をした場合、開発支援装置1の処理部10の処理によって差分に対応する評価シナリオ115が作成される。
図9の例では、改定前の送信周期の範囲(1.8秒から2.2秒)には含まれないが、改定後の送信周期(1.9秒から2.3秒)には含まれる「2.3秒」の送信周期の評価シナリオ115が作成されている。これにより、仕様の改定の対応がされているか否かの試験が可能である。この場合、改定後の仕様に基づいて実際に処理を実施したログから仕様を推定して、仕様の差分を抽出する方法では、評価漏れが起こるところ、仕様の差分を先に抽出することによって評価漏れ、テスト漏れが防止される。そして
図9に示すように差分に関係する評価シナリオ115のみが抽出されて作成されるから、改定で発生した差分に関する箇所のみの試験が可能になり、試験効率が改善される。
【0046】
(実施の形態2)
図10は、通信試験システム100の構成を示すブロック図である。通信試験システム100は、開発支援装置4と、対象機器2と、仲介装置3と、複数の開発オペレータが夫々使用する端末装置5とを含む。実施の形態2における開発支援装置4は、汎用的なサーバコンピュータを用い、開発支援プログラム4Pに基づいて開発支援装置4として機能する。端末装置5は、汎用的なパーソナルコンピュータである。開発支援装置4及び端末装置5は、仲介装置3及び対象機器2間の通信媒体とは異なるネットワークNを介して通信接続が可能である。実施の形態2における通信試験システム100の内、実施の形態1と共通する対象機器2及び仲介装置3については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
開発支援装置4は、サーバコンピュータであって処理部40、記憶部41、接続部43及び通信部44を備える。処理部40は、CPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。処理部40は、記憶部41に記憶されている開発支援プログラム4Pに基づき、Webベースで開発オペレータの操作を受け付けて対象機器2に関する開発を支援し、シミュレーションを実行する。
【0048】
記憶部41は、ハードディスク等の不揮発性記憶媒体を用い、開発支援プログラム4P及びWebサーバプログラムを含む処理部40が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部41には、対象機器2に向けて送信するコマンド(メッセージ)、又は対象機器2から受信するコマンド(メッセージ)の定義情報のほか、後述する処理部40の各機能で使用する情報群及びデータベース(以下、DBという)が記憶される。処理部40は、開発支援プログラム4Pに基づき、定義情報を含む仕様情報に基づいて、対象機器2へ仲介装置3を介して実際にコマンドを送信したり、受信したりすることが可能である。処理部40は、Webサーバプログラムによって端末装置5のWebブラウザと通信接続し、端末装置5との間で表示及び操作に係る情報を送受信する。
【0049】
記憶部41に記憶されている開発支援プログラム4Pは、処理部40が記憶媒体7に記憶されている開発支援プログラム7Pを読み出して複製したものであってもよい。開発支援プログラム4Pは、図示しないサーバ装置から処理部40がダウンロードして記憶部41に記憶したものであってもよい。
【0050】
接続部43は、仲介装置3との接続を実現する接続インタフェースである。接続部43は例えば、USBインタフェース、又は有線若しくは無線による通信インタフェースである。実施の形態2の開発支援装置4は、接続部42を複数備え、複数の仲介装置3へ夫々接続可能である。
【0051】
通信部44は、公衆通信網N1又はキャリアネットワークN2を含むネットワークNを介した端末装置5との通信を実現する通信モジュールである。通信部44は例えば、ネットワークカード、Wi-Fi に対応する無線通信デバイス、又は、キャリア通信用モジュールを用いる。
【0052】
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2とを含む。公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが含まれる。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれる。
【0053】
端末装置5は、汎用的なパーソナルコンピュータであって処理部50、記憶部51、通信部52、表示部53及び操作部54を備える。端末装置5は、ラップトップ型のパーソナルコンピュータであっても、タブレット端末であってもよい。
【0054】
処理部50は、CPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。処理部50は、プロセッサ、メモリ、記憶部51及び通信部52を集積した1つのハードウェア(SoC)として構成されていてもよい。処理部50は、記憶部51に記憶されているWebブラウザプログラムに基づき、開発支援装置4における処理の結果を表示部53に表示し、操作部54で受け付けた情報を開発支援装置4へ送信する。
【0055】
記憶部51は、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive )等の不揮発性記憶媒体を用い、Webブラウザプログラム及びデータを記憶する。
【0056】
通信部52は、公衆通信網N1又はキャリアネットワークN2を含むネットワークNを介した開発支援装置4との通信を実現する通信モジュールである。通信部52は例えば、ネットワークカード、Wi-Fi に対応する無線通信デバイス、又は、キャリア通信用モジュールを用いる。
【0057】
表示部53は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイである。操作部54は、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、物理ボタン、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部54は、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0058】
実施の形態2における開発支援装置4の機能は、編集の受け付け、又は改定の受け付けを、端末装置5を介して受け付けることを除いては実施の形態1における開発支援装置1の構成と同様である。つまり処理部40は、仕様受付部101、差分抽出部102、シナリオ作成部103、テスト実施部104及びコマンド入出力部105として機能する。
【0059】
処理部40は仕様受付部101の機能によって、端末装置5からの通信接続を受け、仕様編集画面の情報を送信し、端末装置5の表示部53に表示させた仕様編集画面と、操作部54による操作によってコマンドの追加、編集又は改定を受け付ける。処理部40は、受け付けた追加、編集又は改定によって定義データをコマンド定義情報112に記憶する。処理部40は同様に、シーケンスについても追加、編集又は改定を、端末装置5を介して受け付け、シーケンス定義情報113に記憶する。
【0060】
処理部40はテスト実施部104の機能によって、端末装置5を介して実施する評価シナリオ115の選択を受け付け、選択された評価シナリオ115に基づいて対象機器2との通信をシミュレートする。
【0061】
端末装置5では、汎用的なWebブラウザプログラムを介して、開発オペレータのアカウント情報を用いて開発支援装置4を共有して対象機器2の仕様の改定、改定後のシミュレート実施等を実行することができる。端末装置5は、特定の開発支援プログラム1PをインストールせずともWebベースによって開発支援装置4による処理結果を享受することが可能である。複数の端末装置5が開発支援装置4に通信接続することができるので、仕様の改定、評価シナリオ115に基づく対象機器2のシミュレート実施等は矛盾が発生しないように同期、利用制限等を実施するとよい。
【0062】
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3における開発支援装置1の構成を示すブロック図である。実施の形態3では、開発支援装置1を、仕様の作成及び編集、差分の抽出を行なって評価シナリオを作成する仕様処理装置18と、作成された評価シナリオに基づいてシミュレートを行なうテスト実施装置19とにハードウェア的に分ける。テスト実施装置19は複数存在してもよい。
【0063】
仕様処理装置18は、処理部180、記憶部181、入出力部182及び通信部184を備える。
【0064】
処理部180はCPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。記憶部181はフラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive )等の不揮発性記憶媒体を用い、開発支援プログラム1Pを含む処理部180が参照するプログラム及びデータを記憶する。
【0065】
入出力部182は、表示装置15及び操作装置16との接続を実現する入出力インタフェースである。入出力部182は例えば、入出力装置用のケーブルインタフェース、USBインタフェース等であってよい。
【0066】
通信部184は、テスト実施装置19との通信接続を実現する通信インタフェースである。通信部184は、USBインタフェース、又は、有線若しくは無線による通信インタフェースであってもよい。
【0067】
テスト実施装置19は、処理部190、記憶部191、接続部193及び通信部194を備える。
【0068】
処理部190はCPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。記憶部191はフラッシュメモリ、SSD等の不揮発性記憶媒体を用い、開発支援プログラム1Pを含む処理部190が参照するプログラム及びデータを記憶する。
【0069】
接続部193は、仲介装置3との間での情報の授受を実現する接続インタフェースである。接続部193は、USBインタフェース、又は、有線若しくは無線による通信インタフェースであってもよい。接続部193は複数のインタフェースを有し、複数の仲介装置3と接続する。
【0070】
通信部194は、仕様処理装置18との通信接続を実現する通信インタフェースである。通信部194は、USBインタフェース、又は、有線若しくは無線による通信インタフェースであってもよい。
【0071】
図12は、実施の形態3における開発支援装置1の機能ブロック図である。仕様処理装置18の処理部180が仕様受付部101、差分抽出部102、及びシナリオ作成部103として機能し、テスト実施装置19の処理部190がテスト実施部104、及びコマンド入出力部105として機能する。
【0072】
実施の形態3において仕様処理装置18は、処理部180のシナリオ作成部103の機能によって作成した評価シナリオ115を、通信部184によってテスト実施装置19へ送信する。処理部180は、表示装置15及び操作装置16にて評価シナリオ115の選択を受け付け、選択された評価シナリオ115を示す情報と共に、選択された評価シナリオ115に基づくテストの実施をテスト実施装置19へ指示する。
【0073】
実施の形態3においてテスト実施装置19は、処理部190のテスト実施部104の機能によって、選択された評価シナリオ115に基づいてシミュレートを実施する。テスト実施装置19は、処理部190のコマンド入出力部105の機能によって、仲介装置3から得られる評価シナリオ115に基づく対象機器2との間の
所定の通信プロトコルに基づく通信デー
タを取得し、テスト実施部104へ渡す。テスト実施装置19は、処理部190のテスト実施部104の機能によって、コマンドの入出力の結果に対する評価(成功・失敗等)を評価結果DB118に記憶する。
【0074】
このようにして、実施の形態3における開発支援装置1は、実施の形態1の
図2に示した開発支援装置1の機能を
図12に示したように分配して実施する。分配して実施する点、分配して実施するために、評価シナリオ115等を通信部184,194によって送受信する点を除いては、実施の形態1における開発支援装置1と同様の処理を行なうから、詳細な説明を省略する。
【0075】
このように実施の形態3では、テスト実施装置19を仕様処理装置18と別途に設け、例えば通信部194を無線通信可能な構成としポータブルタイプで構成する。これにより、実際に用いられる通信媒体(ケーブルハーネス等)によって接続された対象機器2群のいずれかに仲介装置3を介在させてテスト実施装置19を接続し、実際に用いられるケーブル長、ケーブル特性等を鑑みた評価テストを実施することが容易になる。
【0076】
(実施の形態4)
図13は、実施の形態4における開発支援装置1の構成を示すブロック図である。実施の形態4の開発支援装置1は、実施の形態3の開発支援装置1と、テスト実施装置19にも表示装置15及び操作装置16と接続する入出力部192が設けられる点を除いてほぼ共通する構成を持つ。実施の形態1又は実施の形態3と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0077】
図13に示すように、テスト実施装置19は処理部190、記憶部191、入出力部192、接続部193及び通信部194を備える。
【0078】
入出力部192は、仕様処理装置18に接続されている表示装置15及び操作装置16とは別の表示装置15及び操作装置16との接続を実現する入出力インタフェースである。入出力部192は例えば、入出力装置用のケーブルインタフェース、USBインタフェース等であってよい。
【0079】
図14は、実施の形態4における開発支援装置1の機能ブロック図である。仕様処理装置18の処理部180が仕様受付部101、差分抽出部102、及びシナリオ作成部103として機能し、テスト実施装置19の処理部190がテスト実施部104、及びコマンド入出力部105として機能する。
【0080】
実施の形態4において仕様処理装置18は、実施の形態3と同様に処理部180のシナリオ作成部103の機能によって作成した評価シナリオ115を、通信部184によってテスト実施装置19へ送信する。
【0081】
実施の形態3においてテスト実施装置19は、処理部190のテスト実施部104の機能によって、テスト実施装置19に接続されている表示装置15及び操作装置16にて評価シナリオ115の選択を受け付け、選択された評価シナリオ115に基づいてシミュレートを実施する。テスト実施装置19は、処理部190のコマンド入出力部105の機能によって、仲介装置3から得られる評価シナリオ115に基づく対象機器2との間の
所定の通信プロトコルに基づく通信デー
タを取得し、テスト実施部104へ渡す。
【0082】
このようにして、実施の形態4における開発支援装置1は、実施の形態1の
図2に示した開発支援装置1の機能を
図14に示したように分配して実施する。分配して実施する点、分配して実施するために、評価シナリオ115等を通信部184,194によって送受信する点を除いては、実施の形態1における開発支援装置1と同様の処理を行なうから、詳細な説明を省略する。
【0083】
実施の形態4では、テスト実施装置19にて表示装置15及び操作装置16による操作が可能であるから、差分に基づいて作成された評価シナリオ115を用いてテスト実施装置19単体で評価テストを実施することが可能である。したがって、実際に用いられる通信媒体(ケーブルハーネス等)によって接続された対象機器2群のいずれかに仲介装置3を介在させてテスト実施装置19を接続し、評価シナリオ115を選択して実際に用いられるケーブル長、ケーブル特性等を鑑みた評価テストを実施することが容易になる。
【0084】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。