特許第6928087号(P6928087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6928087離散粒子及び水性ベース組成物を含む製品組成物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6928087
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】離散粒子及び水性ベース組成物を含む製品組成物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20210823BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20210823BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210823BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20210823BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210823BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20210823BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/46
   A61K8/02
   A61Q5/00
   A61Q19/00
   A61Q1/00
   A61K8/04
【請求項の数】14
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-525898(P2019-525898)
(86)(22)【出願日】2018年4月13日
(65)【公表番号】特表2020-500851(P2020-500851A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】US2018027404
(87)【国際公開番号】WO2018191568
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年6月4日
(31)【優先権主張番号】62/484,912
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/484,915
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/484,917
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/484,918
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/484,919
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/484,920
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/532,365
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/532,366
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/532,368
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/532,369
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/532,371
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/532,372
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横木 純一
(72)【発明者】
【氏名】ジュー シンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ マックス サンケル
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−037403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品組成物の調製方法であって、
カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物を調製する工程と、
カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、前記水性ベース組成物が、アニオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される洗浄性界面活性剤を含まない、工程と、
前記混合組成物と前記水性ベース組成物とを混合して、前記水性ベース組成物中に分散された前記混合組成物の離散粒子を形成する工程と、を含む、方法であって、
前記高融点脂肪族化合物が、14〜30個の炭素原子を有する脂肪族アルコールであり、
前記水性キャリアが、水、又は、1〜6個の炭素原子を有する一価アルコールの水溶液であり、
前記離散粒子が、偏光顕微鏡で測定したときマルタ十字を有さないものである、方法。
【請求項2】
製品組成物の調製方法であって、
カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物の離散粒子を調製する工程と、
カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、前記水性ベース組成物が、アニオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される洗浄性界面活性剤を含まない、工程と、
前記離散粒子と前記水性ベース組成物とを混合して、前記水性ベース組成物中に前記離散粒子を分散する工程と、を含む、方法であって、
前記高融点脂肪族化合物が、14〜30個の炭素原子を有する脂肪族アルコールであり、
前記水性キャリアが、水、又は、1〜6個の炭素原子を有する一価アルコールの水溶液であり、
前記離散粒子が、偏光顕微鏡で測定したときマルタ十字を有さないものである、方法。
【請求項3】
前記混合組成物と前記水性ベース組成物とを、両方とも前記混合組成物に含有される前記高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度で混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記離散粒子と前記水性ベース組成物とを、両方とも前記離散粒子に含有される前記高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度で混合する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記混合組成物が、
前記カチオン性界面活性剤及び前記高融点脂肪族化合物を含む溶融混合組成物を調製する工程であって、前記溶融混合組成物の温度が、前記混合組成物中に含有される前記高融点脂肪族化合物の融点よりも高い、工程と、
前記混合組成物中に含有される前記高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度に前記溶融混合組成物を冷却して、前記混合組成物を形成する工程と、によって調製される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記離散粒子が、コーティング又は封入されていない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法の方法。
【請求項7】
前記離散粒子が、1ヶ月以上にわたって前記組成物中に存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記離散粒子が、前記製品組成物中で膨潤する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
膨潤前の前記離散粒子が固体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
膨潤前の前記離散粒子が、前記離散粒子の50重量%未満の水を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
膨潤前の前記離散粒子が、前記離散粒子の10重量%〜100重量%の前記界面活性剤及び前記高融点脂肪族化合物を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記製品組成物が、ヘアケア組成物、ボディケア組成物、フェイシャルスキンケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記水性ベース組成物が、前記カチオン性界面活性剤及び前記高融点脂肪族化合物及び前記水性キャリア以外の有益剤を更に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記有益剤が、シリコーン化合物、香料、前記離散粒子中に含有される少なくとも1つの成分に非相溶性である非相溶性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物を調製する工程と、界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、この水性ベース組成物が、洗浄性界面活性剤を実質的に含まない、工程と、混合組成物と水性ベース組成物とを混合して、水性ベース組成物中に分散された混合組成物の離散粒子を形成する工程と、を含む、製品組成物の調製方法に関する。あるいは、本方法は、混合組成物の離散粒子を調製する工程と、それを水性組成物と混合する工程と、を含む。本発明の方法は、製品組成物のレオロジーにおけるより高い柔軟性、製品組成物における改善された安定性、及び水性ベース組成物が有益剤を更に含む場合、そのような有益剤の改善された付着のうちの少なくとも1つを製品組成物に提供する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のコンディショニングのために、様々な手法が開発されている。コンディショニング効果を提供する一般的な方法は、カチオン性界面活性剤及びポリマー、高融点脂肪族化合物、低融点油、シリコーン化合物、並びにこれらの混合物などのコンディショニング剤の使用による。これらのコンディショニング剤のほとんどは、様々なコンディショニング効果を提供することが知られている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2003/0103923号(SAN−EI KAGAKU)は、アルコールを含有する組成物であって、ヘアトリートメント剤にブレンドするための、組成物と、このヘアトリートメント剤から調製されたヘアコンディショナーとに関する。SAN−EI公報は、例えば、実施例100〜110において、脂肪族アルコール及びカチオン性界面活性剤を含有する組成物を含む、ヘアトリートメント剤にブレンドするための様々なそのような組成物を開示している。SAN−EI公報はまた、例えば、実施例112〜118において、ブレンドにそのような組成物を使用することによるヘアコンディショナーも開示している。
【0004】
SAN−EI公報の実施例112〜117では、ブレンド用組成物(実施例102、103、104、及び106)を最大80℃以上まで加熱し、次に主に水と混合してヘアコンディショナーを作製する。その中で使用されるブレンド用組成物(実施例102、103、104、及び106)は、脂肪族アルコール及びカチオン性界面活性剤と共に、高い割合の液状材料(例えば、実施例102の27%のプロピレングリコール、実施例103の47%の液状ワセリン、実施例104の43%のグリセリン及び18%の液状ワセリン、並びに実施例106の28%のグリセリン)を含有する。
【0005】
SAN−EI公報の実施例118では、ブレンド用組成物(実施例111)を40℃未満に冷却したエマルションに添加し、このエマルションは、水とカチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコールを含有する添加剤組成物とのものであり、更に水と混合されてヘアコンディショナーを作製する。ブレンド用組成物(実施例111)は、エタノール、カチオン性界面活性剤、及び80%超の水を含有し、脂肪族アルコールを含有しない。
【0006】
SAN−EI公報はまた、実施例150〜156のヘアコンディショナーの調製も開示している。実施例150〜154では、ブレンド用組成物(実施例123、126、127、130、133、及び134)を80℃超に加熱し、同様に80℃超に加熱した水に添加し、乳化し、冷却してヘアコンディショナーを作製する。ブレンド用組成物(実施例123、126、127、130、133、及び134)は、カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコール、並びに15〜20%の液状油(実施例123、130、及び133において)又は6〜8%のポリオキシエチレンエステル(実施例126、127、及び134において)も含有する。
【0007】
別の例は、(a)脂肪族アルコール及び界面活性剤を、脂肪族アルコールへの界面活性剤の分配を可能にするのに十分な温度でプレミックスに組み合わせることと、(b)プレミックスの鎖融解温度未満に混合物を冷却してゲルネットワークを形成することと、(c)ゲルネットワークを洗浄性界面活性剤及び水性キャリアに添加して、洗浄組成物を形成することと、を含む、洗浄組成物を調製するためのプロセスに関するP&Gの米国特許出願公開第2003/223952号である。P&G公報は、脂肪族アルコール及びカチオン性界面活性剤を含有するそのようなゲルネットワークを使用した実施例を段落[0186]〜[0190]に開示している。
【0008】
また、Kaoの米国特許出願公開第2016/143827号は、室温で固体であり、含水量が10重量%以下である組成物、及び固体組成物を適度な温度で水中に分散させることによって調製されるヘアコンディショナー組成物を開示している。Shiseidoの欧州特許出願公開第2394632号は、非常に低い含水量を有するヘアコンディショナー組成物を開示しており、ヘアコンディショナー組成物は水で希釈するだけで容易に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0103923号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/223952号
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/143827号
【特許文献4】欧州特許出願公開第2394632号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、以下のうちの少なくとも1つを提供するコンディショニング組成物の必要性が残っている。
−好ましくは界面活性剤及び高融点脂肪族化合物などの同量の活性物質を使用する場合であっても、また好ましくは増粘ポリマーの使用とは無関係に柔軟性も提供する製品組成物のレオロジー、特に貯蔵弾性率(G’)におけるより高い柔軟性。異なるレオロジー、特に貯蔵弾性率(G’)を有する製品組成物は、異なるマウンド性を提供すると考えられ、より高いマウンド性を有する製品組成物は、豊かなコンディショニング知覚/感触を提供する傾向があり、また毛髪に適用しやすく、かつ/又は手のひらで保持しやすい傾向がある。
−特に、水性ベース組成物中の界面活性剤及び高融点脂肪族化合物などのより少量の活性物質を使用する場合、及び好ましくは増粘ポリマーの使用とは無関係に安定性の改善を提供する、水性ベース組成物及び製品組成物の改善された安定性。
−組成物中に有益剤を含有する場合、有益剤の改善された付着、
−非相溶性成分を含有する場合、改善された安定性。
【0011】
既存の技術のいずれも、本発明の有利点及び利益の全てを提供するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、製品組成物の調製方法を目的とし、本方法は、
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物を調製する工程と、
界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、この水性ベース組成物が、洗浄性界面活性剤を実質的に含まない、工程と、
混合組成物と水性ベース組成物とを混合して、水性ベース組成物中に分散された混合組成物の離散粒子を形成する工程と、を含む。
【0013】
本発明はまた、製品組成物を調製する方法を目的とし、本方法は、
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物の離散粒子を調製する工程と、
界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、この水性ベース組成物が、洗浄性界面活性剤を実質的に含まない、工程と、
離散粒子と水性ベース組成物とを混合して、水性ベース組成物中に離散粒子を分散する工程と、を含む。
【0014】
本発明の方法は、製品組成物のレオロジーにおけるより高い柔軟性、製品組成物における改善された安定性、及び水性ベース組成物が有益剤を更に含む場合、そのような有益剤の改善された付着のうちの少なくとも1つを製品組成物に提供する。
【0015】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、並びに利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を読むことで、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の記載からよりよく理解されるものと考えられる。
【0017】
本明細書において、「含む」とは、最終結果に影響しない他の工程及び他の成分も加えられる可能性があることを意味する。この用語には、「〜からなる」及び「〜から本質的になる」という用語が包含される。
【0018】
全ての百分率、部及び比率は、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量を基準とする。全てのこのような重量は、提示された成分に関する場合、活性成分の濃度に基づき、したがって市販材料に含まれる場合のあるキャリア又は副生成物を含まない。
【0019】
本明細書において、「混合物」は、物質の単純な組み合わせと、結果としてそのような組み合わせから生じる場合があるあらゆる化合物と、を含むことを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「分子量(molecular weight)」又は「分子量(Molecular weight)」は、特に記述のない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準法であるゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、「GPC」)を使用して測定される。
【0021】
混合組成物
本明細書の混合組成物は、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む。混合組成物は有益剤を更に含有してもよい。これらの成分は、後で詳細に説明される。
【0022】
混合組成物は、水性ベース組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有するという観点から、また、製品組成物のレオロジーにおいてより高い柔軟性及び/又は製品組成物において改善された安定性を提供するという観点から、製品組成物の好ましくは約0.01重量%〜約70重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約50重量%、またより好ましくは約0.05重量%〜約30重量%の濃度で製品組成物中に含有される。
【0023】
混合組成物が有益剤を含有し、そのような有益剤がシリコーン及び/又は香料である場合、混合組成物は、製品組成物の好ましくは約0.1重量%〜約70重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約50重量%、またより好ましくは約1重量%〜約30重量%、更により好ましくは約2重量%〜約20重量%の濃度で製品組成物中に含有され得る。
【0024】
混合組成物が有益剤を含有し、そのような有益剤が着色剤及び/又は雲母である場合、混合組成物は、製品組成物の好ましくは約0.01重量%〜約50重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約30重量%、またより好ましくは約0.01重量%〜約20重量%、更により好ましくは約0.05重量%〜約10重量%の濃度で製品組成物中に含有され得る。
【0025】
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、水性ベース組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有すると同時に、有益剤などの他の成分を含有するという観点から、また、製品組成物のレオロジーにおいてより高い柔軟性及び/又は製品組成物において改善された安定性を提供するという観点から、他の成分の有無にかかわらず、混合組成物の好ましくは約10重量%〜約100重量%、より好ましくは約20重量%〜約100重量%、またより好ましくは約40重量%〜約100重量%、更により好ましくは約60重量%〜約100重量%、なおより好ましくは約80重量%〜約100重量%の濃度で混合組成物中に存在する。
【0026】
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物以外に、混合組成物が、非水溶性、水混和性、並びに水溶性液体及び水などの任意の液体を含有する場合、水性ベース組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有するという観点から、混合組成物中の全液体濃度が混合組成物の最大約92重量%、最大約60重量%、より好ましくは最大約50重量%、またより好ましくは最大約40重量%、更により好ましくは最大約30重量%であり得るように、そのような液体の濃度を制御することも好ましい。
【0027】
液体がシリコーンなどの非水溶性液体である場合、そのような非水溶性液体は、混合組成物の好ましくは最大約90重量%、最大約60重量%、より好ましくは最大約50重量%、またより好ましくは最大約40重量%、更により好ましくは最大約30重量%の濃度で混合組成物中に含有され得る。
【0028】
液体がプロピレングリコール及びグリセリンなどの水混和性液体である場合、そのような水混和性液体は、混合組成物の好ましくは最大約90重量%、最大約60重量%、より好ましくは最大約50重量%、またより好ましくは最大約40重量%、更により好ましくは最大約30重量%の濃度で混合組成物中に含有され得る。
【0029】
液体がイソプロピルアルコール(IPA)及びエタノールなどの水溶性液体である場合、そのような水溶性液体は、混合組成物の好ましくは最大約50重量%、より好ましくは最大約30重量%、またより好ましくは最大約20重量%の濃度で混合組成物中に含有され得る。
【0030】
混合組成物が水を含有する場合、水性ベース組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有するという観点から、混合組成物が混合組成物の約50重量%未満の水、より好ましくは約25重量%未満、またより好ましくは約15重量%未満、更により好ましくは約10重量%未満、なお好ましくは約8重量%未満の水を含有するように、水の濃度を制御することが好ましい。
【0031】
好ましくは、混合組成物中、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、レオロジー及び/又はコンディショニング効果を提供するという観点から、界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比が、約1:1〜約1:10、より好ましくは約1:1〜約1:4、またより好ましくは約1:2〜約1:4の範囲となるような濃度で含有される。
【0032】
混合組成物の界面活性剤
混合組成物に使用される界面活性剤は、好ましくは疎水性であり、また好ましくはカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、またより好ましくはカチオン性界面活性剤である。そのような好ましいカチオン性界面活性剤は、以下の見出し「カチオン性界面活性剤」で更に説明される。
【0033】
混合組成物の高融点脂肪族化合物
混合組成物に使用される高融点脂肪族化合物は、以下の見出し「高融点脂肪族化合物」で説明される。
【0034】
混合組成物の有益剤
混合組成物は、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物に加えて、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物とは異なる有益剤を更に含んでもよい。この有益剤はまた、混合組成物中に含有され得る水性キャリア及び水とは異なる。
【0035】
有益剤は、有益剤からの効果を提供するという観点から、また水性組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有するという観点から、混合組成物の好ましくは約0.1重量%〜約90重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約60重量%、またより好ましくは約0.5重量%〜約40重量%、更により好ましくは約0.5重量%〜約30重量%の濃度で混合組成物中に含有され得る。
【0036】
好ましくは、そのような有益剤は、シリコーン化合物、香料、水性ベース組成物の色とは異なる色を離散粒子に加えるための着色剤、水性ベース組成物中に含有される少なくとも1つの成分に非相溶性である非相溶性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
そのようなシリコーン化合物は、以下の見出し「シリコーン化合物」で更に説明される。
【0038】
そのような香料は、任意のもの、例えば、香料自体、及び香料がポリマー外層によって封入される香料マイクロカプセル(perfume micro capsule、PMC)であり得る。
【0039】
そのような着色剤は、任意のもの、例えば、顔料及び染料であり得る。
【0040】
そのような非相溶性剤は、例えば、以下からなる群から選択されるものである:
高いイオン強度及び/又は高い表面電荷を有し、凝集及び/又は結晶化を引き起こす傾向がある固体鉱物又は化学物質、例えば、雲母、サリチル酸、及びイオン性ポリマーコーティング又は分散体を有する又は有さないピリチオン亜鉛などの金属ピリチオン、
ゲルネットワーク成分と高度に相互作用する有機油材料、例えば、
ヘキシルデカノール、イソステアリン酸イソステアリル、
及びこれらの混合物。
【0041】
有益剤を含有する場合、有益剤の種類に応じて、製品組成物は、以下のうちの少なくとも1つを提供し得る:
−有益剤の改善された付着、
−非相溶性剤を含有する場合、改善された安定性、
−水性ベース組成物の色とは異なる色を離散粒子に加えるために着色剤を含有する場合、改善された視覚的/審美的外観。
【0042】
水性ベース組成物
水性ベース組成物は、水性ベース組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有するという観点から、製品組成物の適量〜100重量%、好ましくは製品組成物の約30重量%〜約99.9重量%、より好ましくは約50重量%〜約99.9重量%、またより好ましくは約70重量%〜約99.9重量%、更により好ましくは約80重量%〜約99.9重量%、なおより好ましくは約90重量%〜約99.9重量%の濃度で製品組成物中に含まれ得る。
【0043】
本発明の水性ベース組成物は、界面活性剤を含む。界面活性剤は、コンディショニング効果を提供するという観点から、水性ベース組成物の好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約8重量%、またより好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、更により好ましくは約0.7重量%〜約4重量%の濃度で水性ベース組成物中に含まれ得る。
【0044】
本発明の水性ベース組成物は、高融点脂肪族化合物を含む。高融点脂肪族化合物は、コンディショニング効果を提供するという観点から、水性ベース組成物の好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、より好ましくは約1.0重量%〜約10重量%、またより好ましくは約1.5重量%〜約8.0重量%、更により好ましくは約2.0重量%〜約6.0重量%、なおより好ましくは約2.5重量%〜約6.0重量%の濃度で水性ベース組成物中に含まれ得る。
【0045】
本発明の水性ベース組成物は、水性キャリアを含む。一般に、水性キャリアは、水性ベース組成物の適量〜100重量%、好ましくは水性ベース組成物の約40重量%〜約99重量%、より好ましくは約50重量%〜約95重量%、なおより好ましくは約70重量%〜約95重量%、更により好ましくは約80重量%〜約95重量%の濃度で水性ベース組成物中に含有され得る。
【0046】
好ましくは、水性ベース組成物中に、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、レオロジー及び/又はコンディショニング効果を提供するという観点から、界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比が、約1:1〜約1:10、より好ましくは約1:1〜約1:4、またより好ましくは約1:2〜約1:4の範囲となるような濃度で含有される。
【0047】
水性ベース組成物の界面活性剤
水性ベース組成物に使用される界面活性剤は、好ましくは疎水性であり、好ましくはカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群からも選択され、またより好ましくはカチオン性界面活性剤である。そのような好ましいカチオン性界面活性剤は、以下の見出し「カチオン性界面活性剤」で更に説明される。
【0048】
水性ベース組成物は、好ましくは、以下の見出し「洗浄性界面活性剤を実質的に含まない」で詳細に説明される洗浄性界面活性剤を実質的に含まない。
【0049】
水性ベース組成物の高融点脂肪族化合物
水性ベース組成物に使用される高融点脂肪族化合物は、以下の見出し「高融点脂肪族化合物」で説明される。
【0050】
水性ベース組成物の有益剤
水性ベース組成物は、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物に加えて、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物とは異なる有益剤を更に含んでもよい。この有益剤はまた、水性キャリア及び水とも異なる。
【0051】
有益剤は、有益剤からの効果を提供するという観点から、また水性ベース組成物、特に界面活性剤及び高融点脂肪族化合物からの効果を劣化させないという観点から、水性ベース組成物の好ましくは約0.05重量%〜約60重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、またより好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、更により好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の濃度で水性ベース組成物中に含有され得る。
【0052】
有益剤は、有益剤からの効果を提供するという観点から、また水性ベース組成物、特に界面活性剤及び高融点脂肪族化合物からの効果を劣化させないという観点から、製品組成物の好ましくは約0.05重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、またより好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.1重量%〜約7重量%の濃度で製品組成物中に含有され得るように、水性ベース組成物中に含有され得る。
【0053】
好ましくは、水性ベース組成物に使用されるそのような有益剤は、シリコーン化合物、香料、混合組成物中及び/又は離散粒子中に含有される少なくとも1つの成分と非相溶性である非相溶性剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、水性ベース組成物に使用されるそのような有益剤は、混合組成物中及び/又は離散粒子中に含有される少なくとも1つの成分に非相溶性である非相溶性剤である。
【0054】
そのようなシリコーン化合物は、以下の見出し「シリコーン化合物」で更に説明される。
【0055】
そのような香料は、任意のもの、例えば、香料自体、及び香料がポリマー外層によって封入される香料マイクロカプセル(PMC)であり得る。
【0056】
そのような非相溶性剤は、例えば、以下からなる群から選択されるものである:
高いイオン強度及び/又は高い表面電荷を有し、凝集及び/又は結晶化を引き起こす傾向がある固体鉱物又は化学物質、例えば、雲母、及びイオン性ポリマーコーティング又は分散体を有する又は有さないピリチオン亜鉛などの金属ピリチオン、
ゲルネットワーク成分と高度に相互作用する有機油材料、例えば、ヘキシルデカノール、イソステアリン酸イソステアリル、
及びこれらの混合物。
【0057】
有益剤を含有する場合、有益剤の種類に応じて、製品組成物は、以下のうちの少なくとも1つを提供し得る:
−有益剤の改善された付着、
−非相溶性剤を含有する場合、改善された安定性。
【0058】
離散粒子
製品組成物は、混合組成物の離散粒子を含む。本明細書における離散粒子は、水性ベース組成物中に分散されたものであり、例えば、顕微鏡によって視覚的に最終製品組成物中の離散粒子として観察することができるが、偏光顕微鏡によって測定したときに、マルタ十字印を示さないものである。これは、本明細書において有用な離散粒子が、界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物などのエマルションでしばしば見られる小胞ではないことを意味する。一般に、界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアは、エマルション、好ましくはゲルマトリックスを形成する。そのようなエマルション及びゲルマトリックスでは、これらの成分は、多くの場合、層状小胞及び/又は層状シートを形成する。しかしながら、そのような層状小胞は、顕微鏡によって離散粒子として観察することができるが、偏光顕微鏡によって測定したときにマルタ十字印を示す。
【0059】
離散粒子は、製品組成物のレオロジーにおいてより高い柔軟性及び/又は製品組成物において改善された安定性を提供するという観点から、製品組成物の好ましくは約0.1重量%〜約70重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約50重量%、またより好ましくは約0.1重量%〜約30重量%の濃度で製品組成物中に含有される。
【0060】
離散粒子は、好ましくは製品組成物中で膨潤し、より好ましくは水性キャリアによって膨潤し、またより好ましくは水によって膨潤する。離散粒子は、水性キャリア及び/又は水性ベース組成物からの水によって水性ベース組成物中で膨潤し得る。あるいは又は同時に、離散粒子は、水性キャリア及び/又は水を溶媒として使用して離散粒子を分散させることにより、水性ベース組成物と混合する前に、例えば、混合組成物からの離散粒子を調製するとき、又は調製した後に膨潤し得る。そのような溶媒は、成分の量を計算するとき、水性ベース組成物の成分とみなされる。
【0061】
離散粒子の膨潤は、粒子サイズにかかわらず、また含まれる場合には内部の有益剤にかかわらず、約3日間、最長でも最大1週間で飽和されると考えられる。また、それが起こる場合、離散粒子の拡散及び/又は崩壊は、1週間以内に起こり、最長でも3週間以内に完了すると考えられる。また、離散粒子の物理的特性及び効果は、膨潤、拡散、及び/又は崩壊中に変化し得るが、安定化され、3週間後には変化しないとも考えられる。したがって、本明細書において有用な離散粒子は、好ましくは1ヶ月以上、より好ましくは3ヶ月以上、またより好ましくは6ヶ月以上、なおより好ましくは12ヶ月以上、更により好ましくは24ヶ月以上組成物中に存在する。
【0062】
膨潤した離散粒子は、好ましくは、約1マイクロメートル〜約2000マイクロメートル、より好ましくは約10マイクロメートル〜約1000マイクロメートル、またより好ましくは約50マイクロメートル〜約500マイクロメートルの粒子サイズを有する。そのような膨潤した離散粒子は、顕微鏡によって離散粒子として観察することもできるが、偏光顕微鏡法によって測定したときにマルタ十字印を示さない。
【0063】
本明細書における離散粒子及び膨潤した離散粒子は、任意の形状、例えば、球形、矩形、又はダイヤモンド形状であり得る。
【0064】
膨潤前、好ましくは、離散粒子は固体である。
【0065】
膨潤前、離散粒子は、好ましくは、100%の混合組成物、すなわち混合組成物からなる。離散粒子が膨潤前に水を含有する場合、膨潤前の離散粒子が離散粒子の約50重量%未満の水、より好ましくは約25重量%未満、またより好ましくは約15重量%未満、更により好ましくは約10重量%未満、なお好ましくは約8重量%未満の水を含有するように、膨潤前の水の濃度を制御することが好ましい。
【0066】
膨潤前、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、水性ベース組成物中及び製品組成物中に混合組成物の離散粒子を有するという観点から、他の成分の有無にかかわらず、離散粒子の好ましくは約10重量%〜約100重量%、より好ましくは約20重量%〜約100重量%、またより好ましくは約40重量%〜約100重量%、更により好ましくは約60重量%〜約100重量%、なおより好ましくは約80重量%〜約100重量%の濃度で離散粒子中に存在する。
【0067】
膨潤前及び膨潤後、離散粒子は、好ましくは水中油型エマルション又は水中油中水型エマルションではなく、より好ましくは油中水型エマルション及び油中水中油型エマルションを含むいずれのエマルションではない。
【0068】
本明細書における離散粒子は、例えばポリマーによってコーティング又は封入された粒子とは異なる。
【0069】
本明細書において有用な離散粒子は、膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーとは異なる。好ましくは、離散粒子及び混合組成物は、そのような膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーを実質的に含まない。本発明において、「膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーを実質的に含まない離散粒子及び混合組成物」とは、離散粒子及び混合組成物が膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーを含まないか、又は、離散粒子及び混合組成物が膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーを含有する場合、そのような膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーの濃度は非常に低いことを意味する。本発明において、そのような膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーの総濃度は、含まれる場合には、離散粒子又は混合組成物の好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、またより好ましくは0.01重量%以下である。最も好ましくは、そのような膨潤性シリコーンエラストマー及び膨潤性増粘ポリマーの総濃度は、離散粒子又は混合組成物の0重量%である。
【0070】
製品組成物
製品組成物は、離散粒子及び水性ベース組成物を含み、好ましくは離散粒子及び水性ベース組成物からなる。本発明の製品組成物は何であってもよく、好ましくはヘアケア製品組成物、ボディケア製品組成物、フェイシャルスキンケア製品組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはヘアケア製品組成物である。ヘアケア組成物の中でも、またより好ましくは、離散粒子中に含有される界面活性剤及び水性組成物がカチオン性界面活性剤であるヘアコンディショニング組成物である。
【0071】
製品形態
本発明の製品組成物は、洗い流す(rinse-off)製品又は洗い流さない(leave-on)製品の形態であってもよく、クリーム、ゲル、エマルション、ムース、及びスプレーが挙げられるが、これらに限定されない、多種多様な製品形態で配合されてもよい。本発明の製品組成物は、ヘアコンディショナー、特に洗い流すヘアコンディショナーに特に好適である。
【0072】
洗い流すコンディショナーとして使用する場合、この製品組成物は好ましくは:
(i)毛髪をシャンプーした後、毛髪をコンディショニングするための有効量のコンディショナー組成物を毛髪に塗布する工程、及び
(ii)その後、毛髪をすすぐ工程、により使用される。
【0073】
本明細書での有効量は、例えば、毛髪10gあたり約0.1mL〜約2mL、好ましくは、毛髪10gあたり約0.2mL〜約1.5mLである。
【0074】
カチオン性界面活性剤
本明細書で有用なカチオン性界面活性剤は、1つのカチオン性界面活性剤であるか、又は2つ以上のカチオン性界面活性剤の混合物であり得る。好ましくは、カチオン性界面活性剤は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩;モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ;モノ長鎖アルキルアミン;モノ長鎖アルキルアミンとジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせから選択される。
【0075】
モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、12〜30個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、より好ましくはC18〜22アルキル基を有する1つの長いアルキル鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、1〜約4個の炭素原子のアルキル基、又は約4個以下の炭素原子を有する、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から独立に選択される。
【0076】
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、式(I)を有するものであり、
【0077】
【化1】
(式中、R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12〜30個の炭素原子のアルキル基、又は、最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R75、R76、R77、及びR78の残りは、1〜約4個の炭素原子のアルキル基、又は、最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から独立して選択され、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)ラジカル、酢酸ラジカル、クエン酸ラジカル、乳酸ラジカル、グリコール酸ラジカル、リン酸ラジカル、硝酸ラジカル、スルホン酸ラジカル、硫酸ラジカル、アルキル硫酸ラジカル、及びアルキルスルホン酸ラジカルから選択されるものである)を有するものである。アルキル基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。好ましくは、R75、R76、R77、及びR78のうち1つは、12〜30個の炭素原子、より好ましくは16〜24個の炭素原子、更により好ましくは18〜22個の炭素原子、なおより好ましくは22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R75、R76、R77、及びR78の残りは、CH、C、COH、及びこれらの混合物から独立に選択され、Xは、Cl、Br、CHOSO、COSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0078】
こうしたモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、及び水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0079】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
使用される場合、ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、レオロジー効果及びコンディショニング効果の安定性という観点から、1:1〜1:5、より好ましくは1:1.2〜1:5、更により好ましくは1:1.5〜1:4の重量比で、好ましくは、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミン塩と組み合わされる。
【0080】
本明細書で有用なジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、12〜30個の炭素原子、より好ましくは16〜24個の炭素原子、更により好ましくは18〜22個の炭素原子の2つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なそのようなジ長鎖アルキル第四級化アンモニウム塩は、式(I)を有するものであり、
【0081】
【化2】
式中、R71、R72、R73及びR74のうちの2つは、12〜30個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、より好ましくは18〜22個の炭素原子の脂肪族基、又は約30個以下の炭素原子を有する、芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R71、R72、R73、及びR74の残りは、1〜約8個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子の脂肪族基、又は、約8個以下の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から独立に選択され、Xは、ハロゲン化物(例えば、塩化物及び臭化物)、C1〜C4アルキルサルフェート(例えば、メトサルフェート及びエトサルフェート)、及びこれらの混合物からなる群から選択される塩形成アニオンである。脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基などの他の基を含有してよい。より長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であっても不飽和であってもよい。好ましくは、R71、R72、R73、及びR74のうちの2つは、12〜30個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、より好ましくは18〜22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R71、R72、R73、及びR74の残りは、CH、C、COH、CH、及びこれらの混合物から独立に選択される。
【0082】
このような好ましいジ長鎖アルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0083】
モノ長鎖アルキルアミン
本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンは、好ましくは12〜30個の炭素原子、より好ましくは16〜24個の炭素原子、更により好ましくは18〜22個のアルキル基の、1つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンはまた、モノ長鎖アルキルアミドアミンを含む。第一級、第二級、及び第三級脂肪族アミンが有用である。
【0084】
約12〜約22個の炭素を有するアルキル基を有する第三級アミドアミンが特に有用である。例示的な第三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。本発明において有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。
【0085】
これらのアミンは、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物、より好ましくは、L−グルタミン酸、乳酸、クエン酸などの酸と、約1:0.3〜約1:2、より好ましくは約1:0.4〜約1:1のアミン対酸のモル比で組み合わせて使用される。
【0086】
高融点脂肪族化合物
本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含む。高融点脂肪族化合物の使用によって、本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含まない組成物に比べて、及び/又は高融点脂肪族化合物の代わりに低融点脂肪族化合物を含む組成物に比べて、例えば、コンディショナー適用時の摩擦の低減、展延の容易さ、及び/又はもつれほぐしの容易さなどの、改善されたコンディショニング効果を提供する。高融点脂肪族化合物の使用によって、本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含まない組成物に比べて、及び/又は高融点脂肪族化合物の代わりに低融点脂肪族化合物を含む組成物に比べて、相分離の危険性の低減などの、改善された組成物安定性を提供し得る。
【0087】
本明細書で有用な高融点脂肪族化合物は、エマルション、特にゲルマトリックスの安定性という観点から、25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更により好ましくは50℃以上の融点を有する。好ましくは、そのような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化という観点から、好ましくは約90℃まで、より好ましくは約80℃まで、更に好ましくは約70℃まで、更により好ましくは約65℃までである。本発明では、高融点脂肪族化合物は、単一化合物として、又は少なくとも2種の高融点脂肪族化合物のブレンド若しくは混合物として、使用することができる。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0088】
本明細書で有用な高融点脂肪族化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。当業者は、本明細書のこの項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということを理解している。しかしながら、所定の分類は、その特定の化合物を限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、当業者は、二重結合の数及び位置、並びに分枝鎖の長さ及び位置に応じて、ある必要な炭素原子を有する特定の化合物が、上記の本発明において好ましい融点未満の融点を有する可能性があることを理解している。そのような低融点の化合物は、この項に含まれないと意図される。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0089】
様々な高融点脂肪族化合物のうち、脂肪族アルコールが好ましくは本発明の組成物において使用される。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14〜約30個の炭素原子、好ましくは約16〜約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖アルコールであっても分岐鎖アルコールであり得る。
【0090】
例えば、好ましい脂肪族アルコールとしては、(約56℃の融点を有する)セチルアルコール、(約58〜59℃の融点を有する)ステアリルアルコール、(約71℃の融点を有する)ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかしながら、これらは多くの場合、供給されるときにより低い融点を有するが、それはこのような供給される製品は多くの場合、主アルキル鎖がセチル、ステアリル、又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるからである。
【0091】
本発明では、より好ましい脂肪族アルコールは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物である。
【0092】
一般的には、混合物において、ステアリルアルコールに対するセチルアルコールの重量比は、好ましくは約1:9〜9:1、より好ましくは約1:4〜約4:1、更により好ましくは約1:2.3〜約1.5:1である。
【0093】
水性キャリア
水性キャリアの濃度及び種は、他の成分との相溶性及び製品の他の所望の特性に従って選択される。
【0094】
本発明において有用なキャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコールであり、より好ましくは、エタノール及びイソプロパノールである。
【0095】
好ましくは、水性キャリアは、実質的に水である。脱イオン水が使用されるのが好ましい。ミネラルカチオンを含む天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。
【0096】
ゲルマトリックス
好ましくは、本発明では、水性ベース組成物中に含有されるカチオン性界面活性剤、水性ベース組成物中に含有される高融点脂肪族化合物、及び水性ベース組成物中に含有される水性キャリアは、水性ベース組成物中にゲルマトリックスを共に形成する。ゲルマトリックスは、濡れている毛髪への塗布中のツルツル感、並びに乾いた毛髪の柔らかさ及びしっとり感などの各種コンディショニング効果を提供するのに好適である。
【0097】
好ましくは、ゲルマトリックスを形成するとき、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物が改善された湿潤コンディショニング効果を提供するという観点から、カチオン性界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比は、好ましくは約1:1〜約1:10、より好ましくは約1:1.5〜約1:4、またより好ましくは約1:2〜約1:4の範囲となるような濃度で含有される。
【0098】
洗浄性界面活性剤は実質的に含まない
本発明の水性ベース組成物は洗浄性界面活性剤を実質的に含まない。本明細書の洗浄性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、双極性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択されるものである。
【0099】
本発明では、「洗浄性界面活性剤を実質的に含まない組成物」とは、水性ベース組成物が洗浄性界面活性剤を含まない、又は、水性ベース組成物が洗浄性界面活性剤を含有する場合は、そのような洗浄性界面活性剤の濃度が非常に低いことを意味する。本発明において、そのような洗浄性界面活性剤の総濃度は、含まれる場合には、好ましくは水性ベース組成物の0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、またより好ましくは0.01重量%以下である。最も好ましくは、そのような洗浄性界面活性剤の総濃度は、水性ベース組成物の0重量%である。
【0100】
製品組成物(混合組成物及び水性ベース組成物の離散粒子を含む)はまた、洗浄性界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。
【0101】
シリコーン化合物
好ましくは、水性ベース組成物中に含有される場合、シリコーン化合物は、水性ベース組成物中に、約10nm〜約100ミクロン、より好ましくは約0.1ミクロン〜約100ミクロン、またより好ましくは約1ミクロン〜約50ミクロンの平均粒子サイズを有する。
【0102】
単一化合物として、少なくとも2つのシリコーン化合物のブレンド若しくは混合物として、又は少なくとも1つのシリコーン化合物及び少なくとも1つの溶媒のブレンド若しくは混合物として、本明細書で有用なシリコーン化合物は、25℃にて、好ましくは約1,000〜約2,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0103】
粘度は、Dow Corning Corporateの試験方法CTM0004(1970年7月20日)に記載されているガラスキャピラリー粘度計により測定することができる。好適なシリコーン流体には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノ置換シリコーン、四級化シリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。コンディショニング特性を有する他の不揮発性シリコーン化合物も使用することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、アミノ置換シリコーン用いるのが好ましい。好ましいアミノシリコーンとしては、例えば、一般式(I):
(R3−a−Si−(−OSiG−(−OSiG(R2−b−O−SiG3−a(R
式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり、aは、0、又は1〜3の値を有する整数、好ましくは1であり、bは、0、1、又は2、好ましくは1であり、nは、0〜1,999の数であり、mは、0〜1,999の整数であり、nとmとの合計は、1〜2,000の数であり、a及びmはいずれも0ではなく、Rは、一般式CqH2qLに従う一価ラジカルであり、式中、qは、2〜8の値を有する整数であり、Lは、−N(R)CH−CH−N(R、−N(R、−N(R、−N(R)CH−CH−NR、の基から選択され、ここで、Rは、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C〜約C20のアルキルラジカルであり、Aは、ハロゲン化物イオンである。
【0105】
極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約1500〜約1700、より好ましくは約1600であり、Lは、−N(CH又は−NH、より好ましくは−NHである)に対応するものである。別の極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約400〜約600、より好ましくは約500であり、Lは、−N(CH又は−NH、より好ましくは−NHである)に対応するものである。シリコーン鎖の一端又は両端が、窒素含有基によって末端処理されているため、このような極めて好ましいアミノシリコーンを、末端アミノシリコーンと呼ぶことができる。
【0106】
上述のアミノシリコーンを組成物中に組み込む場合、より低い粘度を有する溶媒と混合することができる。そのような溶媒としては、例えば、極性又は非極性の揮発性又は不揮発性油が挙げられる。そのような油としては、例えば、シリコーン油、炭化水素、及びエステルが挙げられる。このような各種溶媒のうち、好ましいものは、非極性、揮発性炭化水素、揮発性環状シリコーン、不揮発性直鎖シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。本明細書において有用な不揮発性線状シリコーンは、25℃にて、約1〜約20,000センチストークス、好ましくは約20〜約10,000センチストークスの粘度を有するものである。好ましい溶媒のうち、極めて好ましいのは、アミノシリコーンの粘度を低下させ、そして乾いた毛髪上における摩擦が低減するなどの改善されたヘアコンディショニング効果を提供するという観点から、非極性で揮発性の炭化水素、特に非極性で揮発性のイソパラフィンである。かかる混合物の粘度は、好ましくは約1,000mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s〜約50,000mPa・sである。
【0107】
他の好適なアルキルアミノ置換シリコーン化合物としては、シリコーン主鎖のペンダント基としてアルキルアミノ置換を有するものが挙げられる。極めて好ましいものは、「アモジメチコン」として知られているものである。本明細書で有用な市販のアモジメチコンとしては、例えば、Dow Corningから入手可能なBY16−872が挙げられる。
【0108】
第四級基を含有するシリコーンポリマー
本明細書で有用なシリコーン化合物には、例えば、末端エステル基を含み、最大100,000mPa・sの粘度及びD単位200超のDブロック長さを有する、第四級基を含有するシリコーンポリマーが含まれる。理論に束縛されるものではないが、この低粘度シリコーンポリマーは、滑らかな感触、摩擦の低減、及びヘアダメージの防止などの改善されたコンディショニング効果を提供しながら、シリコーンブレンドの必要性を排除する。
【0109】
構造的に、シリコーンポリマーは、1つ以上の第四級アンモニウム基、200個を超えるシロキサン単位を含む少なくとも1つのシリコーンブロック、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造ユニット、及び少なくとも1つの末端エステル基を含むポリオルガノシロキサン化合物である。1つ以上の実施形態では、シリコーンブロックは、300〜500個のシロキサン単位を含む場合がある。
【0110】
シリコーンポリマーは、組成物の約0.05重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.15重量%〜約5重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約4重量%の量で存在する。
【0111】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、一般式(Ia)及び(Ib)を有する:
M−Y−[−(N−T−N)−Y−]−[−(NR−A−E−A’−NR)−Y−]−M (Ia)
M−Y−[−(N−T−N)−Y−]−[−(N−A−E−A’−N)−Y−]−M (Ib)
式中、
mは、0超、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.1〜100、更により好ましくは1〜100、具体的には1〜50、より具体的には1〜20、更により具体的には1〜10であり、
kは0であるか、又は平均値0超〜50、又は好ましくは1〜20、又は更により好ましくは1〜10であり、
Mは、以下から選択される末端エステル基を含む末端基を表し、
−OC(O)−Z
−OS(O)−Z
−OS(O)O−Z
−OP(O)(O−Z)OH、
−OP(O)(O−Z)
式中、Zは、最大40個の炭素原子を有する一価の有機残基から選択され、1つ以上のヘテロ原子を任意に含む。
A及びA’はそれぞれ互いに独立して、単結合、又は最大10個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価有機基から選択され、
Eは、一般式:
−[CHCHO]−[CHCH(CH)O]−[CHCH(C)O]
式中、qは、0〜200であり、rは0〜200であり、sは0〜200であり、q+r+sは1〜600である。
は、水素又はRから選択され、
Rは、最大22個の炭素原子、及び任意に1つ以上のヘテロ原子を有する一価の有機基から選択され、窒素原子における遊離原子価は炭素原子に結合され、
Yは、式:
−K−S−K−及び−A−E−A’−又は−A’−E−A−の基であり、
【0112】
【化3】
であり、
式中、R1=C〜C22アルキル、C〜C22フルオロアルキル又はアリールであり、nは、200〜1000であり、ポリオルガノシロキサン化合物中に複数のS基が存在する場合、これらは同一であっても又は異なっていてもよい。
Kは、二価又は三価の直鎖、環状、及び/又は分岐状のC〜C40炭化水素残基であり、これは、−O−、−NH−、三価のN、−NR−、−C(O)−、−C(S)−によって任意に中断され、かつ−OHで任意に置換され、Rは、上のとおりに定義され、
Tは、最大20個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価の有機基から選択される。
【0113】
残基Kは、互いに同一であるか又は異なっていてもよい。−K−S−K−部分中、残基Kは、C−Si−結合を介して残基Sのケイ素原子に結合される。
【0114】
ポリオルガノシロキサン化合物中にはアミン基(−(NR−A−E−A’−NR)−)が存在する可能性があることに起因し、これらは、有機又は無機酸によるそのようなアミン基のプロトン化によりもたらされる、プロトン化アンモニウム基を有する場合がある。そのような化合物は、ポリオルガノシロキサン化合物の酸付加塩と称されることもある。
【0115】
好ましい実施形態では、第四級アンモニウム基b)と末端エステル基c)のモル比は、100:20未満であり、更により好ましくは100:30未満であり、最も好ましくは100:50未満である。この比は、13C−NMRによって決定することができる。
【0116】
更なる実施形態では、ポリオルガノシロキサン組成物は、
A)a)少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、b)少なくとも1つの第四級アンモニウム基、c)少なくとも1つの末端エステル基、及びd)少なくとも1つのポリアルキレンオキシド基(上で定義したとおり)を含む、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン化合物と、
B)化合物A)とは異なる少なくとも1つの末端エステル基を含む少なくとも1つのポリオルガノシロキサン化合物と、を含む場合がある。
【0117】
成分A)の定義において、本発明のポリオルガノシロキサン化合物の記述を参照することができる。ポリオルガノシロキサン化合物B)は、ポリオルガノシロキサン化合物A)とは異なり、好ましくは、ポリオルガノシロキサン化合物B)は第四級アンモニウム基を含まない。好ましいポリオルガノシロキサン化合物B)は、一官能性有機酸、特にカルボン酸と、ビスエポキシドを含有するポリオルガノシロキサンとの反応から生じる。
【0118】
ポリオルガノシロキサン組成物において、化合物B)に対する化合物A)の重量比は好ましくは90:10未満である。すなわち換言すれば、成分B)の含量は少なくとも10重量%である。化合物A)中のポリオルガノシロキサン組成物の更に好ましい実施形態では、末端エステル基c)に対する第四級アンモニウム基b)のモル比は100:10未満であり、更により好ましくは100:15未満であり、かつ最も好ましくは100:20未満である。
【0119】
シリコーンポリマーは、20℃及び剪断速度0.1s−1(プレート−プレートシステム、プレート直径40mm、間隙幅0.5mm)において、100,000mPa・s(100Pa・s)未満の粘度を有する。更なる実施形態では、未希釈のシリコーンポリマーの粘度は、500〜100,000mPa・s、又は好ましくは500〜70,000mPa・s、又はより好ましくは500〜50,000mPa・s、又は更により好ましくは500〜20,000mPa・sの範囲であってよい。更なる実施形態では、未希釈ポリマーの粘度は、20℃及び剪断速度0.1s−1で決定されるとき、500〜10,000mPa・s、又は好ましくは500〜5000mPa・sの範囲であってよい。
【0120】
上で列挙したシリコーンポリマーに加え、以下の好ましい組成物が以下に提供される。例えば、次の一般式のポリアルキレンオキシド基Eにおいて、
−[CHCHO]−[CHCH(CH)O]−[CHCH(C)O]
式中、q、r、及びsは、以下のように定義される場合があり、すなわち
qは0〜200であり、又は好ましくは0〜100、又はより好ましくは0〜50、又は更により好ましくは0〜20であり、
rは0〜200であり、又は好ましくは0〜100、又はより好ましくは0〜50、又は更により好ましくは0〜20であり、
sは0〜200であり、又は好ましくは0〜100、又はより好ましくは0〜50、又は更により好ましくは0〜20であり、
q+r+sは1〜600であり、又は好ましくは1〜100、又はより好ましくは1〜50、又は更により好ましくは1〜40である。
【0121】
一般式Sを有するポリオルガノシロキサン構造単位では、
【0122】
【化4】
式中、Rは、C〜C22アルキル、C〜C22フルオロアルキル又はアリールであり、nは200〜1000であり、又は好ましくは300〜500であり、K(−K−S−K−基中)は、好ましくは二価又は三価の直鎖、環状、又は分岐状C〜C20炭化水残基であり、−O−、−NH−、三価のN、−NR−、−C(O)−、−C(S)−により任意に中断され、かつ−OHで任意に置換される。
【0123】
具体的な実施形態では、Rは、C〜C18アルキル、C〜C18フルオロアルキル及びアリールである。更に、Rは、好ましくはC〜C18アルキル、C〜Cフルオロアルキル、及びアリールである。更に、Rは、より好ましくはC〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキルであり、更により好ましくはC〜Cフルオロアルキル、及びフェニルである。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、トリフルオロプロピル、及びフェニルである。
【0124】
本明細書で使用するとき、「C〜C22アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖であってもよい、1〜22個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を意味する。メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、ウンデシル、イソプロピル、ネオペンチル、及び1,2,3−トリメチルヘキシル部分が例として機能する。
【0125】
更に、本明細書で使用するとき、「C〜C22フルオロアルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、かつ少なくとも1つのフッ素原子で置換された、1〜22個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素化合物を意味する。モノフルオロメチル(Monofluormethyl)、モノフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル(trifluorethyl)、ペルフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロプロピル、1,2,2−トリフルオロブチルが好適な例である。
【0126】
更に、「アリール」という用語は、置換されていない、又はOH、F、Cl、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル若しくはフェニルで1回又は数回フェニル置換されたものを意味する。アリールは、ナフチルも意味する場合がある。
【0127】
ポリオルガノシロキサンの実施形態については、アンモニウム基に由来する正電荷は、塩化物、臭化物、硫酸水素塩、硫酸塩などの無機アニオン、又は、C〜C30カルボン酸に由来するカルボキシレート、例えば、アセテート、プロピオネート、オクタノエート、特に、C10〜C18カルボン酸に由来するカルボキシレート、例えば、デカノエート、ドデカノエート、テトラデカノエート、ヘキサデカノエート、オクタデカノエート、及びオレアート、アルキルポリエーテルカルボキシレート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルポリエーテルスルフェート、リン酸モノアルキル/アリールエステル及びリン酸ジアルキル/アリールエステル由来のリン酸塩などの有機アニオンにより中和される。ポリオルガノシロキサン化合物の特性を、特に使用する酸の選択に基づいて修正することができる。
【0128】
第四級アンモニウム基は、通常、モノカルボン酸及び二官能性ジハロゲンアルキル化合物の存在下で、第三級ジアミンと、特にジエポキシド(ビスエポキシドと称される場合もある)から選択されるアルキル化剤とを反応させることにより生成される。
【0129】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、以下の一般式(Ia)及び(Ib)のものであってもよく、
M−Y−[−(N−T−N)−Y−]−[−(NR−A−E−A’−NR)−Y−]−M (Ia)
M−Y−[−(N−T−N)−Y−]−[−(N−A−E−A’−N)−Y−]−M (Ib)
式中、各基は上で定義したとおりである。しかしながら、反復単位は、統計的配列である(すなわち、ブロック様配列ではない)。
【0130】
更に好ましい一実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、一般式(IIa)又は(IIb)のものであってもよく、
M−Y−[−N−Y−]−[−(NR−A−E−A’−NR)−Y−]−M (IIa)
M−Y−[−N−Y−]−[−(N−A−E−A’−N)−Y−]−M (IIb)
式中、各基は上で定義したとおりである。また、このような式中、反復単位は通常、統計的配列である(すなわち、ブロック様配列ではない)。
式中、上で定義したとおり、Mは、
−OC(O)−Z、
−OS(O)−Z、
−OS(O)O−Z、
−OP(O)(O−Z)OH、
−OP(O)(O−Z)であり、
Zは、直鎖、環状、又は分岐状の飽和若しくは不飽和のC〜C20、又は好ましくはC〜C18であり、又は更により好ましくは、1つ以上の−O−若しくは−C(O)−により中断され、かつ−OHで置換されている場合がある炭化水素ラジカルである。具体的な実施形態では、Mは標準的なカルボン酸から生じる−OC(O)−Zであり、特に、例えば、ドデカン酸などのように10個超の炭素原子を有する。
【0131】
更なる実施形態では、ポリオルガノシロキサンを含有する反復基−K−S−K−及びポリアルキレン反復基−A−E−A’−又は−A’−E−A−のモル比は100:1〜1:100、又は好ましくは20:1〜1:20、又はより好ましくは10:1〜1:10である。
【0132】
−(N−T−N)−基中、Rは、1つ以上の−O−、−C(O)−により中断されている可能性があり、かつ−OHにより置換されている可能性がある、一価の直鎖、環状、又は分岐状C〜C20炭化水素ラジカルを表す場合があり、Tは、−O−、−C(O)−により中断されている可能性があり、かつヒドロキシルにより置換されている可能性がある二価の直鎖、環状、又は分岐状C〜C20炭化水素ラジカルを表す場合がある。
【0133】
第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む上記のポリオルガノシロキサン化合物はまた、1)第四級アンモニウム官能基を含み、エステル官能基を含まない個々の分子、2)第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む分子、並びに3)エステル官能基を含み、第四級アンモニウム官能基を含まない分子も含み得る。構造に限定されはしないものの、第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む、上記のポリオルガノシロキサン化合物は、ある特定の平均量及び比の両方の部分を含む分子の混合物として理解される。
【0134】
エステルを得るために様々な一官能性有機酸を使用することができる。例示的な実施形態としては、C〜C30カルボン酸、例えば、C、C、C酸、C10〜C18カルボン酸、例えば、C12、C14、C16酸、飽和、不飽和、及びヒドロキシル官能化C18酸、アルキルポリエーテルカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルポリエーテル硫酸、リン酸モノアルキル/アリールエステル及びリン酸ジアルキル/エステルが挙げられる。
【0135】
追加成分
本発明の水性ベース組成物は、他の追加成分を含んでもよく、それは最終製品の所望の特性によって当業者により選択されてもよく、また組成物をより美容的若しくは審美的に許容可能なものにするか、又は付加的な使用による効果を組成物に提供するために好適なものである。こうした他の追加成分は、一般に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%以下の濃度で個々に用いられる。
【0136】
多種多様な他の追加成分を本発明の組成物に配合することができる。これには、他のコンディショニング剤(例えば、Hormelから入手可能な商標名「Peptein 2000」の加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名「Emix−d」のビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパントテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素など)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素など)、pH調節剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、FD&C又はD&C顔料の任意のものなど)、香料、紫外線・赤外線遮断吸収剤(例えばベンゾフェノンなど)、及び抗ふけ剤(例えばジンクピリチオンなど)が挙げられる。
【0137】
製品組成物の調製方法
本発明の製品組成物は、以下の方法A又は方法Bによって調製される。
【0138】
方法A
本発明の製品組成物は、以下の方法(以下、方法A)によって調製され、この方法は、
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物を調製する工程と、
界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、この水性ベース組成物が、洗浄性界面活性剤を実質的に含まない、工程と、
混合組成物と水性ベース組成物とを混合して、水性ベース組成物中に分散された混合組成物の離散粒子を形成する工程と、を含む。
【0139】
好ましくは、混合されるとき、混合組成物及び水性ベース組成物は、それぞれ、高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度を有する。
【0140】
好ましくは、混合されるとき、混合組成物は、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度を有し、混合組成物は、水性ベース組成物と混合する間及び混合後にそのような温度を有する。また好ましくは、水性ベース組成物はまた、混合組成物と混合されるとき、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度を有し、混合組成物と混合する間又は混合後にそのような温度を有する。
【0141】
したがって、混合されるとき、混合組成物及び水性ベース組成物は、それぞれ、上記の高融点脂肪族化合物の融点よりも、好ましくは少なくとも2℃低い、より好ましくは少なくとも5℃低い、またより好ましくは少なくとも10℃低い、更により好ましくは少なくとも15℃低い温度を有する。
【0142】
混合されるとき、混合組成物及び水性ベース組成物は、それぞれ、約0℃〜約50℃、より好ましくは約10℃〜約40℃、またより好ましくは約15℃〜約35℃の温度を有することも好ましい。
【0143】
方法B
あるいは、本発明の製品組成物は、以下の方法(以下、方法B)によって調製され、この方法は、
混合組成物の離散粒子を調製する工程であって、この混合組成物が、界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む、工程と、
界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む水性ベース組成物を別個に調製する工程であって、この水性ベース組成物が、洗浄性界面活性剤を実質的に含まない、工程と、
混合組成物と水性ベース組成物とを混合して、水性ベース組成物中に離散粒子を分散する工程と、を含む。
【0144】
この方法Bでは、離散粒子は、好ましくは固体であり得る。
【0145】
方法Bでは、溶媒又は担体を使用して、混合組成物の離散粒子を調製してもよい。このような溶媒及び担体は、成分の量を計算するときに、水性ベース組成物の成分とみなされる。
【0146】
好ましくは、混合されるとき、離散粒子及び水性ベース組成物は、それぞれ、高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度を有する。
【0147】
好ましくは、混合されるとき、離散粒子は、離散粒子中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度を有し、離散粒子は、水性ベース組成物と混合する間及び混合後にそのような温度を有する。また好ましくは、水性ベース組成物はまた、離散粒子と混合されるとき、離散粒子中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度を有し、離散粒子と混合する間又は混合後にそのような温度を有する。
【0148】
したがって、混合されるとき、離散粒子及び水性ベース組成物は、それぞれ、上記の高融点脂肪族化合物の融点よりも、好ましくは少なくとも2℃低い、より好ましくは少なくとも5℃低い、またより好ましくは少なくとも10℃低い、更により好ましくは少なくとも15℃低い温度を有する。
【0149】
混合されるとき、離散粒子及び水性ベース組成物は、それぞれ、約0℃〜約50℃、より好ましくは約10℃〜約40℃、またより好ましくは約15℃〜約35℃の温度を有することも好ましい。
【0150】
混合組成物の調製
方法A及びBの両方において、好ましくは、混合組成物は、好ましくは、
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む溶融混合組成物を調製する工程であって、溶融混合組成物の温度が、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも高い、工程と、
混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度に溶融混合組成物を冷却して、混合組成物を形成する工程と、によって調製される。方法Bにおいて、離散粒子は、上記冷却工程中に混合組成物を調製する際に同時に調製され得るか、又は混合組成物を形成した後に調製され得る。
【0151】
好ましくは、溶融混合組成物の温度は、上記の高融点脂肪族化合物の融点よりも少なくとも2℃、またより好ましくは少なくとも5℃、更により好ましくは少なくとも10℃高い。溶融混合組成物の温度は、約30℃〜約150℃、より好ましくは約40℃〜約100℃、またより好ましくは約50℃〜約95℃、更により好ましくは約55℃〜約90℃、なおより好ましくは約66℃〜約90℃であることも好ましい。
【0152】
好ましくは、溶融混合組成物は、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度、より好ましくは混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも少なくとも2℃、より好ましくは少なくとも5℃、またより好ましくは少なくとも10℃低い温度に冷却される。溶融混合組成物を、約−200℃〜約50℃、より好ましくは約−40℃〜約50℃、またより好ましくは約0℃〜約30℃の温度に冷却することも好ましい。
【0153】
混合組成物中に有益剤を含有する場合
混合組成物が有益剤を更に含む場合、混合組成物は、
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む溶融混合組成物を調製する工程であって、溶融混合組成物の温度が、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも高い、工程と、
混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度に溶融混合組成物を冷却して、混合組成物を形成する工程と、によって調製され得、
有益剤は、有益剤の特性に応じていつでも添加することができ、例えば、有益剤は、冷却前、特に香料などの揮発性有益剤を使用するときには冷却中、又は冷却後、好ましくは冷却後30分以内などの冷却直後に、混合組成物に添加することができる。
【0154】
混合組成物が有益剤を含む場合、有益剤を混合組成物と均質に混合することができ、均質な離散粒子を組成物中に形成することができる。
【0155】
あるいは、離散粒子において、有益剤は、混合組成物によって形成された外殻によって覆われた内部コアを形成することができる。
【0156】
水性ベース組成物中に有益剤を含有する場合
水性ベース組成物が有益剤を含む場合、有益剤は、水性ベース組成物と均質に混合され得る。
【0157】
水性ベース組成物が有益剤を含む場合、有益剤は、いつでも、例えば、混合組成物及び/又は離散粒子を添加する前に、混合組成物及び/又は離散粒子を添加した後に、及び/又は離散粒子と同時に、水性ベース組成物に添加することができる。
【実施例】
【0158】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であるため、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。適用可能な場合には、成分を、化学名又はCTFA名で特定し、そうでない場合は、以下で定義する。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【0162】
【表4】
【0163】
成分の定義
1 BTMS/IPA:80%のベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート及び20%のイソプロピルアルコール
2 四級化アミノシリコーン:次式を有するものでありMomentiveから入手可能:
M−Y−[−(N−T−N)−Y−]−[−(N−A−E−A’−N)−Y−]−M
(式中、
【0164】
【表5】
【0165】
製品組成物の調製方法
「Ex.」によって開示及び表される実施形態は、本発明の方法によって作製されたヘアコンディショニング製品組成物であり、上記に説明される方法Bによって調製され、以下により詳細に記載される。
界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を含む混合組成物を調製し、この混合組成物は、以下の方法により調製された:
溶融混合組成物の温度が、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも高い、すなわち約66℃〜約90℃である溶融混合組成物を調製する;
混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度、すなわち約0℃〜約40℃に溶融混合組成物を冷却して、混合組成物を形成する。
【0166】
混合組成物からなる固体離散粒子を調製する;
水性ベース組成物を別個に調製する;
離散粒子及び水性ベース組成物を混合し、両方とも、離散粒子が水性ベース組成物中に分散されるように、混合組成物中に含有される高融点脂肪族化合物の融点よりも低い温度、すなわち約10℃〜約40℃の温度を有する。
【0167】
離散粒子は、製品組成物中で膨潤する。
【0168】
「CEx.」によって開示及び表されるヘアコンディショナー製品組成物は、比較例であり、組成物が離散粒子を含有する場合には上記方法B、又は組成物が離散粒子を含有しない場合には従来の方法のいずれかによって調製された。
【0169】
特性及びコンディショニング効果
上記組成物のいくつかに関しては、以下の方法で特性及びコンディショニング効果を評価する。評価結果はまた、上に示される。
【0170】
「Ex.」によって開示及び表される実施形態は、洗い流す使用に特に有用であり、多くの利点を有する、本発明の方法によって作製されたヘアコンディショニング製品組成物である。例えば、本発明の方法によって作製された製品組成物は、製品組成物のレオロジーにおけるより高い柔軟性、製品組成物における改善された安定性、及び有益剤を含む場合、改善された有益剤の付着のうちの少なくとも1つを提供する。そのような効果のいくつかは、比較例「CEx.」との比較によって理解され得る。
【0171】
例えば、製品組成物のレオロジーにおける改善された柔軟性は、「Ex.R−1」〜「Ex.R−3」(本発明の実施例)及び「CEx.R−i」(比較例)の比較によって理解され得、全て、「製品組成物−R」という名称の表中にある。製品組成物中に界面活性剤及び高融点脂肪族化合物などのほぼ同量の活性物質を使用する場合であっても、本発明の製品組成物は、増粘ポリマーの使用とは無関係に、様々な製品組成物のレオロジー、特に貯蔵弾性率(G’)を提供することができる。
【0172】
有益剤の改善された付着は、「Ex.S−1」(本発明の実施例)と「CEx.S−i」(比較例)との比較によって理解され得る。
【0173】
貯蔵弾性率(G’)測定
本発明の貯蔵弾性率は、TA Instrumentsから入手可能な型式名AR2000のレオメータを用い、1000μmの間隙を有する直径40mmの平行型形状を使用して、1Hzの周波数及び25℃で、動的な振幅応力で掃引することにより測定される。
【0174】
シリコーン付着
本明細書におけるシリコーン付着は、以下の工程によって測定される。
シリコーンの付着量は、(i)ヘアピースの準備、及び(ii)シリコーンの付着測定、及び(iii)評価からなる方法により測定される。
【0175】
(i)ヘアピースの準備
シリコーンの付着測定に際し、長さ6インチの2gのヘアピースを使用した。ヘアピースは以下の工程により準備する。
(1)非コンディショニングシャンプーを1ヘアピースごとに0.2g塗布し、このヘアピースを泡立たせ、すすぎ、乾燥させる。
(2)ヘアピースごとに0.2cc濃度で非コンディショニングシャンプーを塗布し、泡立たせ、このヘアピースをすすぐ。
(3)(2)を繰り返す。
(4)(2)を再び繰り返す。
(5)ヘアピースをすすぎ、次いでヘアピースを乾燥させる。
【0176】
シリコーンの付着量を測定及び評価するためにヘアピースを用意する。
【0177】
(ii)シリコーンの付着測定
ヘアピースに付着させたシリコーンを適切な溶媒に抽出する。抽出物を次に原子吸着/放出検出装置に導入し、適切な波長で測定する。装置により返された吸着/放出値を、次に、試験下で十分に特性評価された、重量既知のシリコーン化合物標準により得られた外挿検量線により、毛髪に付着したシリコーン化合物の実際の濃度(マイクログラム)に変換する。毛髪のグラム当たりのマイクログラム(μg)を計算する。
【0178】
(iii)評価
上記工程(ii)の付着測定は、1つのコンディショナーにつき、工程(i)で準備された少なくとも3つの異なるヘアピースに対して実施され、次いで、「1グラム当たりのマイクログラム(μg)」の平均を計算してシリコーンの付着値を得る。
【0179】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0180】
相互参照される又は関連する特許若しくは出願のいずれも含めた、本明細書に引用されている全ての文書は、明示的に除外される、又は特に限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0181】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。