(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブロックコポリマーが、1,000g/モル〜1,200,000g/モルの数平均分子量を有し、前記ブロックコポリマーが、90:10〜10:90のポリブタジエン対ポリイソプレンの比を有し、前記充填剤の量が、ゴム100重量部当たり5〜200重量部である、請求項1に記載の加硫性組成物。
前記得られたブロックコポリマーが、1,000g/モル〜1,200,000g/モルの数平均分子量、90:10〜10:90のポリブタジエン対ポリイソプレンの比、及び少なくとも90%のシス含量を有する、請求項4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、ポリブタジエンとポリイソプレンとの高シス−1,4−ポリジエンブロックコポリマーの発見に少なくとも部分的に基づく。ブロックコポリマーを単独で又は他のエラストマーの存在下で加硫処理すると、耐摩耗性と低いヒステリシス損との有利なバランスを示すことが見出された。有利には、これらのコポリマーは、連鎖移動剤として機能するアルキル化剤を含むランタニド系触媒系を使用して製造することができ、これにより、重合プロセスを商業的に実現可能にできる。連鎖移動剤の存在は、ブロックコポリマーが所望される場合に技術的課題を提示してきたが、アルミノキサン共触媒の混入により、共役ジエン(例えば、1,3−ブタジエン及びイソプレン)のブロック共重合を有利に可能にすることが予想外にも発見された。
ポリマー特性
【0011】
ブロックコポリマーは、2つ以上のブロックを有するポリマーを含み、ブロックは、組成的に同じである繰り返しマー単位を含む。例えば、ジブロックポリマーとして、第1のモノマー(例えばブタジエン)を重合して第1のブロックを生成し、次いで第2のモノマー(例えばイソプレン)を重合して、第1ブロックにつながれる第2ブロックを生成することによって調製され得る、A−B型ブロックコポリマーが挙げられる。また、マルチブロックコポリマーも、第1のモノマー又は第3のモノマー(すなわち、第3の共役ジエン)を更に添加することによって調製できる。更に他の実施形態では、第1又は第2のモノマーは、異なるモノマーを重合し、繰り返しブロックが提供された後に添加されてよい(例えば、A−B−A又はA−B−A−Bブロックコポリマーの生成)。1つの特定の例では、ジブロックコポリマーは上記のように調製されてもよく、好適な量の第2のモノマーが重合された後、第1のモノマーを添加して、トリブロック、つまりA−B−A型ブロックコポリマーを調製してもよい。次いで、第1及び第2のモノマーの交互添加によって連続ブロックを添加してもよい。
【0012】
1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、イソプレン単位及びブタジエン単位の両方を含むテーパ部分を含んでもよい。特定の実施形態では、テーパ部分は最小化され、換言すれば、ブロックコポリマーは、5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、更により好ましくは1重量%未満のテーパ部分を含む。他の実施形態では、ブロックコポリマーはテーパ部分を欠いている。
【0013】
1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、そのポリマー微細構造によって特徴付けることができる。例えば、ブロックコポリマーが、ポリブタジエンのブロック及びポリイソプレンのブロックを含むブロックコポリマーを含む場合、ポリブタジエン及びポリイソプレンブロックのポリマー微細構造は、
13C NMRによって別々に決定され得る。1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、60%超、他の実施形態では約75%超、他の実施形態では約90%超、他の実施形態では約95%超、他の実施形態では約96%超、他の実施形態では約97%超、他の実施形態では約98%超のシス−1,4−結合含量を有するポリブタジエンセグメント又はブロックを含んでよく、このときこれらのパーセンテージは、ブタジエンマー単位の数に基づいており、シス−1,4結合対ブタジエンマー単位総数を採用している。これらの又は他の実施形態では、ブロックコポリマーは、100%未満、他の実施形態では99%未満のシス−1,4−結合含量を有するポリブタジエンセグメント又はブロックを含んでもよい。また、ブロックポリマーは、7%未満、他の実施形態では5%未満、他の実施形態では2%未満、他の実施形態では1%未満の1,2−結合含量を有するポリブタジエンセグメント又はブロックを含んでよく、このときこれらのパーセンテージは、ブタジエンマー単位の数に基づいており、シス−1,4結合対ブタジエンマー単位総数を採用している。ブロック内のブタジエンマー単位の残部には、トランス−1,4−結合を採用してもよい。
【0014】
1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、60%超、他の実施形態では約75%超、他の実施形態では約90%超、他の実施形態では約95%超、他の実施形態では約96%超、他の実施形態では約97%超、他の実施形態では約98%超のシス−1,4−結合含量を有するポリイソプレンセグメント又はブロックを含んでよく、このときこれらのパーセンテージは、ブタジエンマー単位の数に基づいており、シス−1,4結合対イソプレンマー単位総数を採用している。これらの又は他の実施形態では、ブロックコポリマーは、100%未満、他の実施形態では99%未満のシス−1,4−結合含量を有するポリイソプレンセグメント又はブロックを含んでもよい。また、ブロックポリマーは、6%未満、他の実施形態では5%未満、他の実施形態では4%未満、他の実施形態では2%未満の3,4−ビニル結合含量を有するポリイソプレンセグメント又はブロックを含んでよく、このときこれらのパーセンテージは、イソプレンマー単位の数に基づいており、3,4−ビニル結合対イソプレンマー単位総数を採用している。ブロック内のイソプレンマー単位の残部には、少量の1,2−ビニル結合を採用したトランス−1,4−結合を主に採用してもよい。
【0015】
1又は複数の実施形態では、これらのブロックコポリマーは、
13C NMRによって決定され得るポリブタジエンとポリイソプレンの量の比によって特徴付けることができる。1又は複数の実施形態では、ポリブタジエン対ポリイソプレンの比は、約90:10〜約10:90、他の実施形態では約80:20〜約20:80、他の実施形態では約25:75〜約75:25、他の実施形態では30:70〜約70:30、他の実施形態では約35:65〜約65:35、他の実施形態では約40:60〜約60:40であってもよい。
【0016】
1又は複数の実施形態では、本発明のブロックコポリマー(例えば、ポリブタジエンとポリイソプレンとのブロックコポリマー)の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン標準で較正されたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって決定するとき(グラム/モルで表示)、約1,000g/モル〜約1,200,000g/モル、他の実施形態では約10,000g/モル〜約1,000,000g/モル、他の実施形態では約150,000g/モル〜約800,000g/モル、他の実施形態では約200,000g/モル〜約600,000g/モル、他の実施形態では約300,000g/モル〜約500,000g/モルであってよい。本発明の高1,4−シスポリジエンブロックコポリマーの分子量分布又は多分散性(Mw/Mn)は、約1.5〜約5.0、他の実施形態では約2.0〜約4.0であってよい。これらの又は他の実施形態では、本発明の高1,4−シスポリジエンブロックコポリマーは、3.5未満、他の実施形態では3.0未満、他の実施形態では2.5未満、他の実施形態では2.3未満、他の実施形態では2.2未満、他の実施形態では2.0未満のMw/Mnを有してよい。
【0017】
1又は複数の実施形態では、本発明のブロックコポリマーは、ポリブタジエンブロック又はセグメントの数平均分子量(Mn)によって特徴付けられてもよく、これは、ポリスチレン標準で較正されたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、
13C NMRによって決定されるポリブタジエン対ポリイソプレンの比率から、ポリブタジエンブロックの寄与を計算することによって判定され得る。1又は複数の実施形態では、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn)は、約200g/モル〜約800,000g/モル、他の実施形態では約1,000g/モル〜約600,000g/モル、他の実施形態では約10,000g/モル〜約400,000g/モル、他の実施形態では約50,000g/モル〜約200,000g/モルであってもよい。
【0018】
1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、ポリイソプレンブロック又はセグメントの数平均分子量(Mn)によって特徴付けられてもよく、これは、ポリスチレン標準で較正されたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、
13C NMRによって決定されるポリブタジエン対ポリイソプレンの比率から、ポリイソプレンブロックの寄与を計算することによって判定され得る。1又は複数の実施形態では、ポリイソプレンブロックの数平均分子量(Mn)は、約200g/モル〜約800,000g/モル、他の実施形態では約1,000g/モル〜約600,000g/モル、他の実施形態では約10,000g/モル〜約400,000g/モル、他の実施形態では約50,000g/モル〜約200,000g/モルであってもよい。
【0019】
1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは不飽和を含有してもよい。これらの又は他の実施形態において、結合ポリマーは加硫性である。1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、2つのガラス転移温度(Tg)を有し得る。2つのガラス転移温度を有するポリマーは、ランダムコポリマーとは対照的に、単一のガラス転移温度を有するブロックコポリマーと一致する。これらの又は他の実施形態では、本発明のブロックコポリマーは、約−80℃〜−40℃、他の実施形態では約−75℃〜−50℃、他の実施形態では約−70℃〜−60℃である第1のガラス転移温度を有し得る。1又は複数の実施形態では、本発明のブロックコポリマーは、約−125℃〜−85℃、他の実施形態では約−115℃〜−95℃、他の実施形態では約−110℃〜−100℃である第2のガラス転移温度を有し得る。
【0020】
1又は複数の実施形態では、反応性ブロックコポリマーを官能化剤で処理することにより、官能基をブロックコポリマーの鎖末端に付与してもよい。末端に官能基を所有するポリマー鎖のパーセンテージは、種々の要因(例えば、触媒又は開始剤の種類、モノマーの種類、構成成分の純度、重合温度、モノマー転化率、及び多くの他の要因)に依存する。1又は複数の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約10%が末端に官能基を保有し、他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約20%が末端に官能基を保有し、他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約30%が末端に官能基を保有し、他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約40%が末端に官能基を保有し、他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約50%が末端に官能基を保有し、更に他の実施形態ではポリマー鎖の少なくとも約60%が末端に官能基を保有する。
産業上の利用性
【0021】
本発明のブロックコポリマーは、タイヤ部品の製造に使用することができるゴム組成物の調製に特に有用であるという点で、有利である。ゴム配合技術及び当該技術で用いられる添加物は、概して、「Rubber Technology(2
nd Ed.1973)」における「The Compounding and Vulcanization of Rubber」に開示されている。ゴム組成物は、加硫性組成物とも称されてもよく、ゴム成分、充填剤、及び硬化剤を含んでもよい。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、硬化活性化剤、硬化促進剤、油、樹脂、他の可塑剤、顔料、コード接着促進剤、脂肪酸、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び解膠剤が挙げられるが、これらに限定されない、他の構成成分を含んでもよい。
【0022】
加硫性組成物のゴム成分として、ポリマーを単独で又は他のエラストマー(すなわち、ゴム又はエラストマー特性を有する組成物を形成するために加硫処理できるポリマー)と共に用いることによって、ゴム組成物を調製することができる。使用してもよい他のエラストマーには、天然及び合成ゴムが含まれる。合成ゴムは、典型的に、共役ジエンモノマーの重合、共役ジエンモノマーと他のモノマー(例えばビニル置換芳香族モノマー)との共重合、あるいはエチレンと1つ以上のα−オレフィン及び任意的に1つ以上のジエンモノマーとの共重合から得られる。特定の実施形態では、別のエラストマーが、ポリブタジエンとポリイソプレンの高1,4−シスブロックコポリマーと共に使用される場合、エラストマーは、ポリブタジエンとポリイソプレンの高1,4−シスブロックコポリマー及び第2のエラストマーのみを含む。
【0023】
ブロックコポリマーと共に使用され得る例示的なエラストマーとして、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン−コ−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらのエラストマーは、無数の巨大分子構造、例えば、直線状、分岐状、及び星形構造を有することができる。
【0024】
ゴム組成物には、充填剤、例えば、無機及び有機充填剤が含まれていてもよい。有機充填剤の例としては、カーボンブラック及びデンプンが挙げられる。無機充填剤の例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク(水和ケイ酸マグネシウム)、及びクレイ(水和アルミニウムシリケート)が挙げられる。カーボンブラック及びシリカは、タイヤの製造において用いられる最も一般的な充填剤である。ある実施形態では、異なる充填剤の混合物を有利に用いてもよい。
【0025】
1つ以上の実施形態では、カーボンブラックには、ファーネスブラック、チャンネルブラック、及びランプブラックが含まれる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超摩耗ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、高磨耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。
【0026】
特定の実施形態では、カーボンブラックの表面積(EMSA)は、少なくとも20m
2/g、他の実施形態では少なくとも35m
2/gであってもよく、表面積値は、ASTM D−1765によって、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)技術を用いて決定することができる。カーボンブラックは、ペレット化された形態又はペレット化されていない綿状形態であり得る。カーボンブラックの好ましい形態は、ゴム化合物を混合するために使用される混合機器の種類に依存し得る。
【0027】
使用され得るいくつかの市販のシリカとしては、Hi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233、及びHi−Sil(商標)190(PPG Industries,Inc.、Pittsburgh,Pa.)が挙げられる。市販のシリカの他の供給業者としては、Grace Davison(Baltimore,Md.)、Degussa Corp.(Parsippany,N.J.)、Rhodia Silica Systems(Cranbury,N.J.)、及びJ.M.Huber Corp.(Edison,N.J.)が挙げられる。
【0028】
1つ以上の実施形態では、シリカは、その表面積によって特徴付けることができ、これにより、その補強特性の尺度が与えられる。ブルナウアー−エメット−テラー(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載されている)は、表面積を決定するための広く認められている方法である。シリカのBET表面積は、一般に450m
2/g未満である。表面積の有用な範囲としては、約32〜約400m
2/g、約100〜約250m
2/g、約150〜約220m
2/gが挙げられる。
【0029】
シリカのpHは、概して、約5〜約7である。あるいは、わずかに7より高い。また、他の実施形態では、約5.5〜約6.8である。
【0030】
1つ以上の実施形態では、シリカを充填剤として(単独で又は他の充填剤と組み合わせて)用いる場合、混合中に結合剤及び/又は遮蔽剤をゴム組成物に添加して、シリカとエラストマーとの相互作用を高めることがある。有用な結合剤及び遮蔽剤は以下の文献に開示されている。米国特許第3,842,111号、同第3,873,489号、同第3,978,103号、同第3,997,581号、同第4,002,594号、同第5,580,919号、同第5,583,245号、同第5,663,396号、同第5,674,932号、同第5,684,171号、同第5,684,172号、同第5,696,197号、同第6,608,145号、同第6,667,362号、同第6,579,949号、同第6,590,017号、同第6,525,118号、同第6,342,552号、及び同第6,683,135号。これらは本明細書において参照により組み込まれている。
【0031】
硫黄又は過酸化物系硬化系を含む、多数のゴム硬化剤(加硫剤又は硬化剤とも呼ばれる)が用いられてもよい。硬化剤は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.20,pgs.365−468,(3
rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390−402、及びA.Y.Coran,Vulcanization,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,(2
nd Ed.1989)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。硬化剤は、促進剤又は阻害剤などの硬化プロセスを補完する共硬化剤又は他の化合物と共に使用することもできる。この点に関しては、硬化パッケージも参照できる。
【0032】
ゴム配合において典型的に用いられる他の構成成分もまた、ゴム組成物に添加されてもよい。これらには、促進剤、促進活性剤、油、可塑剤、蝋、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化用樹脂、脂肪酸、例えばステアリン酸、解こう剤、劣化防止剤、例えば酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤が含まれる。特定の実施形態では、用いられる油としては、従来から伸展油として用いられるものが挙げられる。これらのオイルの例としては、パラフィン系オイル、芳香油、ナフテン系オイル、ヒマシ油以外の植物油、及び低PCAオイル、例えばMES、TDAE、SRAE、重ナフテン系オイルが挙げられる。これらの油は不揮発性であるため、それらは典型的に、分離する必要がなく、ポリマー内に取り込まれたままである。
【0033】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、第三級アミン又は第三級アミン塩を含んでもよい。本発明のブロックコポリマー及び第三級アミン又は第三級アミン塩を含む加硫物は、有利なレベルのヒステリシス損を同時に維持しながら、有利な耐摩耗性を示すことが見出された。ブロックコポリマーは、第三級アミン又は第三級アミン塩と相乗的に相互作用し得ると考えられる。
【0034】
1又は複数の実施形態では、第三級アミン化合物は、次式によって定義することができ、
【化1】
式中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して一価の有機基である。1又は複数の実施形態では、R
1、R
2、及び/又はR
3は、約8〜約20個の炭素原子、他の実施形態では約10〜約18個の炭素原子、他の実施形態では約12〜約16個の炭素原子を有する炭化水素基であってもよい。これらの又は他の実施形態では、炭化水素基は直鎖炭化水素基であってよい。当業者には理解されるように、第三級アミン塩は、例えば、第三級アミンを酸と反応させることによって調製されてもよい。これらの又は他の実施形態では、第三級アミンは、対イオン、具体的には酸の共役塩基を含み得る。
【0035】
三級アミンが第三級アミン塩である1又は複数の実施形態では、第三級アミン塩は対イオンを含んでもよい。好適な対イオンとしては、カルボン酸塩、ハロゲン原子、ホスホン酸塩、及びリン酸塩が挙げられる。好適なカルボン酸塩の例としては、ステアリン酸塩、クエン酸塩、及びバーサチック酸塩が挙げられる。
【0036】
第三級アミンの特定例として、ジメチルオクチルアミン、ジメチルノニルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルトリデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、ジメチルペンタデシルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、ジメチルエイコシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチルノニルアミン、ジエチルデシルアミン、ジエチルウンデシルアミン、ジエチルドデシルアミン、ジエチルトリデシルアミン、ジエチルテトラデシルアミン、ジエチルペンタデシルアミン、ジエチルヘキサデシルアミン、ジエチルエイコシルアミン、ジ−n−プロピルオクチルアミン、ジ−n−プロピルノニルアミン、ジ−n−プロピルデシルアミン、ジ−n−プロピルウンデシルアミン、ジ−n−プロピルドデシルアミン、ジ−n−プロピルトリデシルアミン、ジ−n−プロピルテトラデシルアミン、ジ−n−プロピルペンタデシルアミン、ジ−n−プロピルヘキサデシルアミン、ジ−n−プロピルエイコシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピルノニルアミン、ジイソプロピルデシルアミン、ジイソプロピルウンデシルアミン、ジイソプロピルドデシルアミン、ジイソプロピルトリデシルアミン、ジイソプロピルテトラデシルアミン、ジイソプロピルペンタデシルアミン、ジイソプロピルヘキサデシルアミン、ジイソプロピルエイコシルアミン、メチルエチルオクチルアミン、メチルエチルノニルアミン、メチルエチルデシルアミン、メチルエチルウンデシルアミン、メチルエチルドデシルアミン、メチルエチルトリデシルアミン、メチルエチルテトラデシルアミン、メチルエチルペンタデシルアミン、メチルエチルヘキサデシルアミン、メチルエチルエイコシルアミン、メチルイソプロピルオクチルアミン、メチルイソプロピルノニルアミン、メチルイソプロピルデシルアミン、メチルイソプロピルウンデシルアミン、メチルイソプロピルドデシルアミン、メチルイソプロピルトリデシルアミン、メチルイソプロピルテトラデシルアミン、メチルイソプロピルペンタデシルアミン、メチルイソプロピルヘキサデシルアミン、メチルイソプロピルエイコシルアミン、イソプロピルエチルオクチルアミン、イソプロピルエチルノニルアミン、イソプロピルエチルデシルアミン、イソプロピルエチルウンデシルアミン、イソプロピルエチルドデシルアミン、イソプロピルエチルトリデシルアミン、イソプロピルエチルテトラデシルアミン、イソプロピルエチルペンタデシルアミン、イソプロピルエチルヘキサデシルアミン、及びイソプロピルエチルエイコシルアミンが挙げられる。
【0037】
第三級アミン塩の特定例として、ジメチルオクチルアンモニウムステアレート、ジメチルノニルアンモニウムステアレート、ジメチルデシルアンモニウムステアレート、ジメチルウンデシルアンモニウムステアレート、ジメチルドデシルアンモニウムステアレート、ジメチルトリデシルアンモニウムステアレート、ジメチルテトラデシルアンモニウムステアレート、ジメチルペンタデシルアンモニウムステアレート、ジメチルヘキサデシルアンモニウムステアレート、ジメチルエイコシルアンモニウムステアレート、ジエチルオクチルアンモニウムステアレート、ジエチルノニルアンモニウムステアレート、ジエチルデシルアンモニウムステアレート、ジエチルウンデシルアンモニウムステアレート、ジエチルドデシルアンモニウムステアレート、ジエチルトリデシルアンモニウムステアレート、ジエチルテトラデシルアンモニウムステアレート、ジエチルペンタデシルアンモニウムステアレート、ジエチルヘキサデシルアンモニウムステアレート、ジエチルエイコシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルオクチルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルノニルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルウンデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルドデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルトリデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルテトラデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルペンタデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルヘキサデシルアンモニウムステアレート、ジ−n−プロピルエイコシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルオクチルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルノニルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルウンデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルドデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルトリデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルテトラデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルペンタデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルヘキサデシルアンモニウムステアレート、ジイソプロピルエイコシルアンモニウムステアレート、メチルエチルオクチルアンモニウムステアレート、メチルエチルノニルアンモニウムステアレート、メチルエチルデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルウンデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルドデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルトリデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルテトラデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルペンタデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルヘキサデシルアンモニウムステアレート、メチルエチルエイコシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルオクチルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルノニルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルウンデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルドデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルトリデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルテトラデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルペンタデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルヘキサデシルアンモニウムステアレート、メチルイソプロピルエイコシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルオクチルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルノニルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルウンデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルドデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルトリデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルテトラデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルペンタデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルヘキサデシルアンモニウムステアレート、イソプロピルエチルエイコシルアンモニウムステアレート、ジメチルオクチルアンモニウムベルサテート、ジメチルノニルアンモニウムベルサテート、ジメチルデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルウンデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルドデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルトリデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルテトラデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルペンタデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、ジメチルエイコシルアンモニウムベルサテート、ジエチルオクチルアンモニウムベルサテート、ジエチルノニルアンモニウムベルサテート、ジエチルデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルウンデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルドデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルトリデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルテトラデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルペンタデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、ジエチルエイコシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルオクチルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルノニルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルウンデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルドデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルトリデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルテトラデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルペンタデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、ジ−n−プロピルエイコシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルオクチルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルノニルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルウンデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルドデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルトリデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルテトラデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルペンタデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、ジイソプロピルエイコシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルオクチルアンモニウムベルサテート、メチルエチルノニルアンモニウムベルサテート、メチルエチルデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルウンデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルドデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルトリデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルテトラデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルペンタデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、メチルエチルエイコシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルオクチルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルノニルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルウンデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルドデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルトリデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルテトラデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルペンタデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、メチルイソプロピルエイコシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルオクチルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルノニルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルデシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルウンデシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルドデシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルトリデシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルテトラデシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルペンタデシルアンモニウムベルサテート、イソプロピルエチルヘキサデシルアンモニウムベルサテート、及びイソプロピルエチルエイコシルアンモニウムベルサテート、ジメチルオクチルアンモニウムクロリド、ジメチルノニルアンモニウムクロリド、ジメチルデシルアンモニウムクロリド、ジメチルウンデシルアンモニウムクロリド、ジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルトリデシルアンモニウムクロリド、ジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジメチルペンタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジメチルエイコシルアンモニウムクロリド、ジエチルオクチルアンモニウムクロリド、ジエチルノニルアンモニウムクロリド、ジエチルデシルアンモニウムクロリド、ジエチルウンデシルアンモニウムクロリド、ジエチルドデシルアンモニウムクロリド、ジエチルトリデシルアンモニウムクロリド、ジエチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジエチルペンタデシルアンモニウムクロリド、ジエチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジエチルエイコシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルオクチルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルノニルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルウンデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルドデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルトリデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルペンタデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジ−n−プロピルエイコシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルオクチルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルノニルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルウンデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルドデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルトリデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルペンタデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルエイコシルアンモニウムクロリド、メチルエチルオクチルアンモニウムクロリド、メチルエチルノニルアンモニウムクロリド、メチルエチルデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルウンデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルドデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルトリデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルテトラデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルペンタデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、メチルエチルエイコシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルオクチルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルノニルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルウンデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルドデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルトリデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルテトラデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルペンタデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルヘキサデシルアンモニウムクロリド、メチルイソプロピルエイコシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルオクチルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルノニルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルデシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルウンデシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルドデシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルトリデシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルテトラデシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルペンタデシルアンモニウムクロリド、イソプロピルエチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、及びイソプロピルエチルエイコシルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0038】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも20、他の実施形態では少なくとも30、及び他の実施形態では少なくとも40重量パーセントのゴム成分を含む。これら又は他の実施形態において、ゴム組成物は、組成物の全重量に基づいて、最大で90、他の実施形態では最大で70、及び他の実施形態では最大で60重量パーセントのゴム成分を含む。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、組成物の全重量に基づいて、約20〜約90、他の実施形態では約30〜約70、他の実施形態では約40〜約60重量パーセントのゴム成分を含む。
【0039】
又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、ゴム組成物の総ゴム成分中のブロックコポリマーの量によって特徴付けることができる。総ゴム成分含量は、ブロックコポリマーとゴム組成物中に使用される任意の追加のエラストマーとの総重量に対する、ブロックコポリマーの重量として説明することができる。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、実質的にブロックコポリマーである総ゴム成分含量を含んでもよい。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、少なくとも50%のブロックコポリマー、他の実施形態では少なくとも60%のブロックコポリマー、他の実施形態では少なくとも70%のブロックコポリマー、他の実施形態では少なくとも80%のブロックコポリマー、他の実施形態では少なくとも90%のブロックコポリマー、他の実施形態では少なくとも95%のブロックコポリマー、及び他の実施形態では少なくとも99%である、総ゴム成分含量を含んでもよい。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、約50%〜約100%のブロックコポリマー、他の実施形態では約80%〜約99%のブロックコポリマー、他の実施形態では約90%〜約95%のブロックコポリマーである、総ゴム成分含量を含んでもよい。1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーは、ゴム組成物に使用される唯一のエラストマーである。
【0040】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物に用いられる充填剤の総量は、ゴム100重量部(phr)当たり、少なくとも5、他の実施形態では少なくとも10、他の実施形態では少なくとも25、他の実施形態では少なくとも40重量部を含んでよい。これらの又は他の実施形態では、ゴム組成物に用いられる充填剤の総量は、最大200、他の実施形態では最大120、他の実施形態では最大60phr、他の実施形態では最大50phrを含んでもよい。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物に用いられる充填剤の総量は、約5〜約200、他の実施形態では約10〜約50、他の実施形態では約25〜約120、他の実施形態では約40〜約60phrを含んでよい。
【0041】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、ゴム100重量部(phr)当たり、少なくとも0、他の実施形態では少なくとも10、他の実施形態では少なくとも20重量部(pbw)のカーボンブラックを含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、最大で200、他の実施形態では最大で100、他の実施形態では最大で70pbwのカーボンブラックphrを含む。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、約0〜約200、他の実施形態では約10〜約100、他の実施形態では約20〜約70pbwのカーボンブラックphrを含む。
【0042】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、ゴム100重量部(phr)当たり、少なくとも5、他の実施形態では少なくとも25、他の実施形態では少なくとも50重量部(pbw)のシリカを含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、最大で200、他の実施形態では最大で130、他の実施形態では最大で80pbwのシリカphrを含む。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、約5〜約200、他の実施形態では約25〜約130、他の実施形態では約50〜約80pbwのシリカphrを含む。
【0043】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、シリカ100重量部当たり、少なくとも1、他の実施形態では少なくとも2、他の実施形態では少なくとも5重量部(pbw)のシリカカップリング剤を含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、シリカ100重量部当たり、最大で20、他の実施形態では最大で15、他の実施形態では最大で10pbwのシリカカップリング剤を含む。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、シリカ100重量部当たり、約1〜約20、他の実施形態では約2〜約15、他の実施形態では約5〜約10pbwのシリカカップリング剤を含む。
【0044】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、シリカ100重量部当たり、少なくとも0、他の実施形態では少なくとも5、他の実施形態では少なくとも7重量部(pbw)のシリカ分散剤を含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、シリカ100重量部当たり、最大で20、他の実施形態では最大で16、他の実施形態では最大で12pbwのシリカ分散剤を含む。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、シリカ100重量部当たり、約0〜約20、他の実施形態では約5〜約16、他の実施形態では約7〜約12pbwのシリカ分散剤を含む。
【0045】
1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、ゴム100重量部(phr)当たり、少なくとも0、他の実施形態では少なくとも10、他の実施形態では少なくとも20重量部(pbw)の油を含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、最大で35、他の実施形態では最大で25、他の実施形態では最大で20pbwの油phrを含む。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、約0〜約35、他の実施形態では約0〜約25、他の実施形態では約0〜約20pbwの油phrを含む。
【0046】
ブロックコポリマーは、トラック又はバスタイヤ(TBR)用のトレッド組成物において特に有用であり得る。ゴム組成物がTBR用トレッドで用いるために利用される1又は複数の実施形態では、ゴム組成物は、約10〜約100、他の実施形態では約20〜約80、他の実施形態では約30〜約65pbwのカーボンブラックphrを含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、約0〜約20、他の実施形態では約0〜約15、他の実施形態では約0〜約10pbwの油phrを含む。これら又は他の実施形態では、ゴム組成物は、約0〜約100、他の実施形態では約0〜約70、他の実施形態では約0〜約35pbwのシリカphrを含む。
【0047】
ゴム組成物に使用される第三級アミン又は第三級アミン塩の量は、ゴム100重量部当たりの重量部(phr)で説明することができる。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物に用いられる第三級アミン又は第三級アミン塩の量は、ゴム100重量部(phr)当たり、少なくとも1重量部、他の実施形態では少なくとも2重量部、他の実施形態では少なくとも2.5重量部であってもよい。これらの又は他の実施形態では、ゴム組成物に用いられる第三級アミン又は第三級アミン塩の量は、ゴム100重量部(phr)当たり、最大10重量部、他の実施形態では最大7.5重量部、他の実施形態では最大5重量部であってもよい。1又は複数の実施形態では、ゴム組成物に用いられる第三級アミン又は第三級アミン塩の量は、ゴム100重量部(phr)当たり、約1重量部〜約10重量部、他の実施形態では約2重量部〜約7.5重量部、他の実施形態では約2.5重量部〜約5重量部であってもよい。
タイヤの製造方法
【0048】
ゴム組成物の全ての成分は、標準的な混合機器、例えばバンバリー又はブラベンダーミキサ、押出機、ニーダー、及び2つの圧延ミルを用いて混合することができる。1つ以上の実施形態では、構成成分を2段階以上で混合する。第1の段階(多くの場合、マスターバッチ混合段階とも呼ばれる)において、典型的に、ゴム成分及び充填剤(並びに任意に第三級アミン又は第三級アミン塩)が含まれるいわゆるマスターバッチを調製する。早期加硫(別名スコーチ)を防止するために、マスターバッチから加硫剤を除外してもよい。マスターバッチの混合を、開始温度が約25℃〜約125℃、吐出温度が約135℃〜約180℃で行ってもよい。いったんマスターバッチが調製されると、加硫剤を、最終混合段階において、マスターバッチ内に導入及び混合してもよく、これは典型的には、時期尚早な加硫の機会を減少させるように、比較的低温で実施される。任意的に、しばしば再ミルと呼ばれる付加的な混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終的な混合段階との間で用いることができる。ゴム組成物にシリカが充填剤として含まれる場合、1つ以上の再ミル段階が用いられることが多い。本発明のポリマーを含む種々の構成成分の添加を、これらの再ミル中に行うことができる。
【0049】
シリカ充填されたタイヤ配合物に特に適用可能な混合手順及び条件は、米国特許第5,227,425号、同第5,719,207号、及び同第5,717,022号、並びに欧州特許第890,606号に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、最初のマスターバッチの調製は、結合剤及び遮蔽剤が実質的に存在しない状態で本発明のポリマー及びシリカを含めることによって行う。
【0050】
ゴム組成物をタイヤの製造において用いる場合、これらの組成物を処理してタイヤ部品にすることを、普通のタイヤ製造技術、例えば、標準的なゴム成形技術、成型技術、及び硬化技術により行うことができる。典型的に、加硫は、加硫性組成物を成形型内で加熱することによって達成される。例えば、成形型は、約140℃〜約180℃に加熱されてもよい。硬化又は架橋されたゴム組成物は、一般的に熱硬化性の三次元ポリマー網状組織を含有する、加硫物と称され得る。充填剤及び加工助剤などの他の成分は、架橋された網状組織全体にわたって一様に分散してもよい。空気入りタイヤは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,866,171号、同第5,876,527号、同第5,931,211号、及び同第5,971,046号に記載されるように作製され得る。
【0051】
タイヤ部品を形成するのに有用なブロックコポリマーから調製されるゴム組成物。1又は複数の実施形態では、本発明の態様を
図1を参照して説明できる。
図1に具体的に示されるように、タイヤ10は、トレッド部分12と、複数のベルト(図示せず)を含み得るベルトパッケージ14と、一対のサイドウォール16、16’インナーライナー18と、一対の軸方向に離間配置されたビード部20、20’と、を含む。プライ22は、ビード部20、20’の間を延在する。トラック及びバスタイヤ(TBR)は、一般に、乗用車用タイヤ(PSR)よりも多くのベルトを含むベルトパッケージ14を有する。当業者には理解されるように、タイヤ10はまた、トレッドショルダー、キャッププライ、ベルトウェッジ、及びベルトショルダーなどであるが、これらに限定されない、様々な他の構成要素(図示せず)を含んでもよい。ブロックコポリマーから調製され得る好適なタイヤ部品としては、タイヤトレッドが挙げられる。
シス−1,4ブロックコポリマーの合成
【0052】
1又は複数の実施形態では、高シス−1,4−ポリジエンブロックコポリマーは、アルミノキサン共触媒を含むランタニド系触媒系の存在下で、第1及び第2のモノマーの逐次重合によって調製することができる。第1及び第2のモノマーを1,3−ブタジエン及びイソプレンとして記載しているが、他のモノマーを用いてもよい。
【0053】
1又は複数の実施形態では、第1及び第2のモノマーは、共役ジエンから選択される。1又は複数の実施形態では、共役ジエンは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、及び2,4−ヘキサジエンから選択されてよい。2つ以上の共役ジエンの混合物を共重合において用いてもよい。当業者であれば、連続供給材料が区別されることによって互いに隣接する別個のブロックを生成する限り、連続モノマー供給材料は、任意の1つ以上の共役ジエンモノマーから選択され得ることを理解するであろう。特定の実施形態では、高シス−1,4−ポリブタジエンのブロック及び高シス−1,4−ポリイソプレンのブロックを含む、高シス−1,4−ポリジエンブロックコポリマーが生成される。
【0054】
1又は複数の実施形態では、用いられる触媒系は、(a)ランタニド含有化合物、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、及びハロゲン含有化合物を含む。これらの又は別の実施形態では、他の有機金属化合物、ルイス塩基、及び/又は触媒変性剤を、前述した構成成分又は成分に加えて用いることができる。例えば、一実施形態では、ニッケル含有化合物を、米国特許第6,699,813号に開示されているとおり分子量調節剤として用いることができる。なおこの文献は、本明細書において参照により組み込まれている。1つ以上の実施形態では、この触媒系は、事前形成ランタニド系触媒系である。他の実施形態では、この触媒系は、その場で形成されるランタニド系触媒系である。
ランタニド含有化合物
【0055】
前述したように、本発明で用いられるランタニド系触媒系には、ランタニド含有化合物を含めることができる。本発明で有用なランタニド含有化合物は、ランタン、ネオジム、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、及びジジムのうち少なくとも1種の原子を含む化合物である。一実施形態では、これらの化合物には、ネオジム、ランタン、サマリウム、又はジジムを含めることができる。本明細書で用いる場合、「ジジム」という用語は、モナズ砂から得られる希土類元素の市販の混合物を示すものとする。加えて、本発明で有用なランタニド含有化合物は、元素ランタニドの形態とすることができる。
【0056】
ランタニド含有化合物中のランタニド原子は、種々の酸化状態であってもよく、例えば、限定するものではないが、0、+2、+3、及び+4の酸化状態であってもよい。一実施形態では、三価のランタニド含有化合物(ここで、ランタニド原子は、+3の酸化状態である)を用いることができる。好適なランタニド含有化合物には、ランタニドカルボキシレート、ランタニド有機ホスフェート、ランタニド有機ホスホネート、ランタニド有機ホスフィナート、ランタニドカルバメート、ランタニドジチオカルバメート、ランタニドキサンテート、ランタニドβ−ジケトネート、ランタニドアルコキシド又はアリールオキシド、ランタニドハライド、ランタニド疑似ハライド、ランタニドオキシハライド、及び有機ランタニド化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
1つ以上の実施形態では、ランタニド含有化合物は、炭化水素溶媒(例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は脂環式炭化水素)に可溶性であり得る。しかし、炭化水素不溶性のランタニド含有化合物も、本発明で有用な場合がある。重合媒体中で懸濁させて、触媒活性種を形成することができるためである。
【0058】
説明を簡単にするために、有用なランタニド含有化合物についての更なる説明では、ネオジム化合物に焦点を合わせるが、当業者であれば、他のランタニド金属に基づく同様の化合物を選択することができるであろう。
【0059】
好適なネオジムカルボキシレートには、ネオジムホルメート、ネオジムアセテート、ネオジムアクリレート、ネオジムメタクリレート、ネオジムバレレート、ネオジムグルコネート、ネオジムシトレート、ネオジムフマレート、ネオジムラクテート、ネオジムマレエート、ネオジムオキサレート、ネオジム2−エチルヘキサノエート、ネオジムネオデカノエート(別名、ネオジムベルサテート)、ネオジムナフテネート、ネオジムステアレート、ネオジムオレエート、ネオジムベンゾエート、及びネオジムピコリネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
好適なネオジム有機ホスフェートには、ネオジムジブチルホスフェート、ネオジムジペンチルホスフェート、ネオジムジヘキシルホスフェート、ネオジムジヘプチルホスフェート、ネオジムジオクチルホスフェート、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)ホスフェート、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジムジデシルホスフェート、ネオジムジドデシルホスフェート、ネオジムジオクタデシルホスフェート、ネオジムジオレイルホスフェート、ネオジムジフェニルホスフェート、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)ホスフェート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフェート、及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフェートが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
好適なネオジム有機ホスホネートには、ネオジムブチルホスホネート、ネオジムペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルホスホネート、ネオジムドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルホスホネート、ネオジムフェニルホスホネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチルブチルホスホネート、ネオジムペンチルペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルオクチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルデシルホスホネート、ネオジムドデシルドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルオレイルホスホネート、ネオジムフェニルフェニルホスホネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)(p−ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ブチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスホネート、及びネオジム(p−ノニルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスホネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
好適なネオジム有機ホスフィネートには、ネオジムブチルホスフィネート、ネオジムペンチルホスフィネート、ネオジムヘキシルホスフィネート、ネオジムヘプチルホスフィネート、ネオジムオクチルホスフィネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムデシルホスフィネート、ネオジムドデシルホスフィネート、ネオジムオクタデシルホスフィネート、ネオジムオレイルホスフィネート、ネオジムフェニルホスフィネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムジブチルホスフィネート、ネオジムジペンチルホスフィネート、ネオジムジヘキシルホスフィネート、ネオジムジヘプチルホスフィネート、ネオジムジオクチルホスフィネート、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムジデシルホスフィネート、ネオジムジドデシルホスフィネート、ネオジムジオクタデシルホスフィネート、ネオジムジオレイルホスフィネート、ネオジムジフェニルホスフィネート、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
好適なネオジムカルバメートには、ネオジムジメチルカルバメート、ネオジムジエチルカルバメート、ネオジムジイソプロピルカルバメート、ネオジムジブチルカルバメート、及びネオジムジベンジルカルバメートが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
好適なネオジムジチオカルバメートには、ネオジムジメチルジチオカルバメート、ネオジムジエチルジチオカルバメート、ネオジムジイソプロピルジチオカルバメート、ネオジムジブチルジチオカルバメート、及びネオジムジベンジルジチオカルバメートが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
好適なネオジムキサンテートには、ネオジムメチルキサンテート、ネオジムエチルキサンテート、ネオジムイソプロピルキサンテート、ネオジムブチルキサンテート、及びネオジムベンジルキサンテートが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
好適なネオジムβ−ジケトネートには、ネオジムアセチルアセトネート、ネオジムトリフルオロアセチルアセトネート、ネオジムヘキサフルオロアセチルアセトネート、ネオジムベンゾイルアセトネート、及びネオジム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
好適なネオジムアルコキシド又はアリールオキシドには、ネオジムメトキシド、ネオジムエトキシド、ネオジムイソプロポキシド、ネオジム2−エチルヘキソキシド、ネオジムフェノキシド、ネオジムノニルフェノキシド、及びネオジムナフトキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
好適なネオジムハライドには、ネオジムフルオリド、ネオジムクロリド、ネオジムブロミド、及びネオジムヨージドが含まれるが、これらに限定されない。好適なネオジム疑似ハライドには、ネオジムシアニド、ネオジムシアネート、ネオジムチオシアネート、ネオジムアジド、及びネオジムフェロシアニドが含まれるが、これらに限定されない。好適なネオジムオキシハライドには、ネオジムオキシフルオリド、ネオジムオキシクロリド、及びネオジムオキシブロミドが含まれるが、これらに限定されない。ルイス塩基(例えばテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、「THF」))を、このクラスのネオジム化合物を不活性有機溶媒中に可溶化しやすくするために用いてもよい。ランタニドハライド、ランタニドオキシハライド、又はハロゲン原子を含有する他のランタニド含有化合物を用いる場合、ランタニド含有化合物は任意選択的に、ランタニド系触媒系におけるハロゲン源の全部又は一部を提供してもよい。
【0069】
本明細書で用いる場合、有機ランタニド化合物という用語は、少なくとも1つのランタニド−炭素結合を含有する任意のランタニド含有化合物を指す。これらの化合物は主に、排他的ではないが、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl、「Cp」)、置換シクロペンタジエニル、アリル、及び置換アリル配位子を含有する化合物である。好適な有機ランタニド化合物には、Cp
3Ln、Cp
2LnR、Cp
2LnCl、CpLnCl
2、CpLn(シクロオクタテトラエン)、(C
5Me
5)
2LnR、LnR
3、Ln(アリル)
3、及びLn(アリル)
2Cl(Lnは、ランタニド原子を表し、Rはヒドロカルビル基を表す)が含まれるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、本発明で有用なヒドロカルビル基は、へテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子などを含有していてもよい。
有機アルミニウム化合物
【0070】
本明細書で用いる場合、有機アルミニウム化合物という用語は、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合を含有する任意のアルミニウム化合物を指す。有機アルミニウム化合物は、アルキル化剤として機能することができ、1つ以上のヒドロカルビル基を別の金属に移動させることができる。1つ以上の実施形態では、炭化水素溶媒に可溶性である有機アルミニウム化合物を用いることができる。1又は複数の実施形態では、触媒組成物は、有機アルミニウム化合物とは別の追加のアルキル化を含んでもよい。1又は複数の実施形態では、追加のアルキル化剤は、有機アルミニウム化合物であってもよい。他の実施形態では、追加のアルキル化剤は、有機アルミニウム化合物以外の化合物であってもよい。他の好適なアルキル化剤としては、有機マグネシウム化合物が挙げられる。
【0071】
後に詳細に説明するように、好適なアルキル化剤のいくつかの種をハライドの形態とすることができる。アルキル化剤にハロゲン原子が含まれる場合、アルキル化剤はまた、前述の触媒系におけるハロゲン源の全部又は一部として機能する場合がある。
【0072】
1又は複数の実施形態では、ランタニド系触媒系において用いることができる有機アルミニウム化合物には、一般式AlR
nX
3−n(式中、各Rは独立に、アルミニウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよく、各Xは独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であってもよく、nは1〜3の範囲の整数であってもよい)によって表わされるものが含まれる。1つ以上の実施形態では、各Rは独立して、ヒドロカルビル基、例えば、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリル、アリル、及びアルキニル基などであってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基は、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子を含有していてもよい。
【0073】
一般式AlR
nX
3−nによって表わされる有機アルミニウム化合物の種類には、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド、ヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド、ジヒドロカルビルアルミニウムカルボキシレート、ヒドロカルビルアルミニウムビス(カルボキシレート)、ジヒドロカルビルアルミニウムアルコキシド、ヒドロカルビルアルミニウムジアルコキシド、ジヒドロカルビルアルミニウムハライド、ヒドロカルビルアルミニウムジハライド、ジヒドロカルビルアルミニウムアリールオキシド、及びヒドロカルビルアルミニウムジアリールオキシド化合物が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルキル化剤には、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド、及び/又はヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド化合物を含めることができる。一実施形態では、アルキル化剤に有機アルミニウムヒドリド化合物が含まれる場合、前述のハロゲン源は、スズハライドによって提供することができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第7,008,899号に開示されている。
【0074】
好適なトリヒドロカルビルアルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1−メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウム、及びエチルジベンジルアルミニウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
好適なジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物には、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ−n−ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ−p−トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−オクチルアルミニウムヒドリド、p−トリルエチルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、p−トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、p−トリルイソブチルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド、及びベンジル−n−オクチルアルミニウムヒドリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
好適なヒドロカルビルアルミニウムジヒドリドには、エチルアルミニウムジヒドリド、n−プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n−ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド、及びn−オクチルアルミニウムジヒドリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
好適なジヒドロカルビルアルミニウムハライド化合物には、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ−n−オクチルアルミニウムクロリド、ジフェニルアルミニウムクロリド、ジ−p−トリルアルミニウムクロリド、ジベンジルアルミニウムクロリド、フェニルエチルアルミニウムクロリド、フェニル−n−プロピルアルミニウムクロリド、フェニルイソプロピルアルミニウムクロリド、フェニル−n−ブチルアルミニウムクロリド、フェニルイソブチルアルミニウムクロリド、フェニル−n−オクチルアルミニウムクロリド、p−トリルエチルアルミニウムクロリド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムクロリド、p−トリルイソプロピルアルミニウムクロリド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムクロリド、p−トリルイソブチルアルミニウムクロリド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムクロリド、ベンジルエチルアルミニウムクロリド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムクロリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムクロリド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムクロリド、ベンジルイソブチルアルミニウムクロリド、及びベンジル−n−オクチルアルミニウムクロリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
好適なヒドロカルビルアルミニウムジハライド化合物には、エチルアルミニウムジクロリド、n−プロピルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、n−ブチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、及びn−オクチルアルミニウムジクロリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
一般式AlR
nX
3−nによって表わされ得るアルキル化剤として有用な他の有機アルミニウム化合物には、ジメチルアルミニウムヘキサノエート、ジエチルアルミニウムオクトエート、ジイソブチルアルミニウム2−エチルヘキサノエート、ジメチルアルミニウムネオデカノエート、ジエチルアルミニウムステアレート、ジイソブチルアルミニウムオレエート、メチルアルミニウムビス(ヘキサノエート)、エチルアルミニウムビス(オクトエート)、イソブチルアルミニウムビス(2−エチルヘキサノエート)、メチルアルミニウムビス(ネオデカノエート)、エチルアルミニウムビス(ステアレート)、イソブチルアルミニウムビス(オレエート)、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジイソブチルアルミニウムフェノキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、イソブチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジフェノキシド、エチルアルミニウムジフェノキシド、及びイソブチルアルミニウムジフェノキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
ランタニド系触媒系においてアルキル化剤として用いるのに適した別のクラスの有機アルミニウム化合物は、アルミノキサンである。アルミノキサンには、以下の一般式によって表すことができるオリゴマー直線状アルミノキサンと、
【化2】
以下の一般式によって表すことができるオリゴマー環式アルミノキサン
【化3】
(式中、xは1〜約100、又は約10〜約50の範囲の整数であってもよく、yは2〜約100、又は約3〜約20の範囲の整数であってもよく、各Rは独立して、アルミニウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよい)と、を含めることができる。一実施形態では、各Rは独立して、ヒドロカルビル基、例えば、限定するものではないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリル、アリル、及びアルキニル基であってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基はまた、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子を含有していてもよい。なお、本出願で用いるアルミノキサンのモル数とは、オリゴマーアルミノキサン分子のモル数ではなく、アルミニウム原子のモル数を指すことに留意すべきである。この慣習は、アルミノキサンを用いる触媒系の技術分野において広く用いられている。特定の実施形態では、オリゴマー直鎖アルミノキサンとオリゴマー環状アルミノキサンの混合物を使用してもよい。
【0081】
アルミノキサンの調製は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を水と反応させることによって行うことができる。この反応は、例えば、(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒中に溶解した後に水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば金属塩に含有される結晶体の水又は無機若しくは有機化合物に吸着された水と反応させる方法、又は(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、重合するモノマー又はモノマー溶液の存在下で水と反応させる方法などの既知の方法により行うことができる。
【0082】
好適なアルミノキサン化合物には、メチルアルミノキサン、変性メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n−プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n−ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n−ヘキシルアルミノキサン、n−オクチルアルミノキサン、2−エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1−メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、及び2,6−ジメチルフェニルアルミノキサンが含まれるが、これらに限定されない。変性メチルアルミノキサンの形成は、当業者に既知の技術を用いて、メチルアルミノキサンのメチル基の約5〜95%を、C
2〜C
12ヒドロカルビル基、好ましくは、イソブチル基と置換することによって可能である。
有機マグネシウム化合物
【0083】
前述したように、ランタニド系触媒系において有用なアルキル化剤には、有機マグネシウム化合物を含めることができる。1又は複数の実施形態では、用いることができる有機マグネシウム化合物には、一般式MgR
2(式中、各Rは独立して、マグネシウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよい)によって表されるものが含まれる。1又は複数の実施形態では、各Rは独立して、ヒドロカルビル基、例えば、限定するものではないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、アリル、置換アリール、アラルキル、アルカリル、及びアルキニル基であってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基にはまた、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、及びリン原子を含有していてもよい。
【0084】
一般式MgR
2で表され得る好適な有機マグネシウム化合物には、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、及びジベンジルマグネシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
アルキル化剤として用いることができる別のクラスの有機マグネシウム化合物は、一般式RMgX(式中、Rは、マグネシウム原子に炭素原子を介して結合される一価の有機基であってもよく、Xは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であってもよい)で表され得る。アルキル化剤が、ハロゲン原子を含む有機マグネシウム化合物である場合、有機マグネシウム化合物は、触媒系において、アルキル化剤とハロゲン源の少なくとも一部との両方として機能することができる。1又は複数の実施形態では、Rは、ヒドロカルビル基、例えば、限定するものではないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、アリル、置換アリール、アラルキル、アルカリル、及びアルキニル基であってもよく、各基は、1個の炭素原子(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)から最大で約20個の炭素原子を含有している。これらのヒドロカルビル基はまた、へテロ原子、例えば、限定するものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子を含有していてもよい。一実施形態では、Xは、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であってもよく、各基は、1〜約20の範囲の炭素原子を含有している。
【0086】
一般式RMgXで表され得る有機マグネシウム化合物の種類には、ヒドロカルビルマグネシウムヒドリド、ヒドロカルビルマグネシウムハライド、ヒドロカルビルマグネシウムカルボキシレート、ヒドロカルビルマグネシウムアルコキシド、及びヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
一般式RMgXによって表され得る好適な有機マグネシウム化合物には、メチルマグネシウムヒドリド、エチルマグネシウムヒドリド、ブチルマグネシウムヒドリド、ヘキシルマグネシウムヒドリド、フェニルマグネシウムヒドリド、ベンジルマグネシウムヒドリド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、ベンジルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、ヘキシルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヘキサノエート、エチルマグネシウムヘキサノエート、ブチルマグネシウムヘキサノエート、ヘキシルマグネシウムヘキサノエート、フェニルマグネシウムヘキサノエート、ベンジルマグネシウムヘキサノエート、メチルマグネシウムエトキシド、エチルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、ヘキシルマグネシウムエトキシド、フェニルマグネシウムエトキシド、ベンジルマグネシウムエトキシド、メチルマグネシウムフェノキシド、エチルマグネシウムフェノキシド、ブチルマグネシウムフェノキシド、ヘキシルマグネシウムフェノキシド、フェニルマグネシウムフェノキシド、及びベンジルマグネシウムフェノキシドが含まれるが、これらに限定されない。
ハロゲン源
【0088】
前述したように、本発明で用いるランタニド系触媒系には、ハロゲン源を含めることができる。本明細書で用いる場合、ハロゲン源という用語は、少なくとも1つのハロゲン原子を含む任意の物質を指す。1又は複数の実施形態では、ハロゲン源の少なくとも一部を、前述したランタニド含有化合物及び/又は前述したアルキル化剤のいずれかによって提供することが、これらの化合物に少なくとも1つのハロゲン原子が含有されているときに可能である。言い換えれば、ランタニド含有化合物は、ランタニド含有化合物とハロゲン源の少なくとも一部との両方として機能することができる。同様に、アルキル化剤は、アルキル化剤とハロゲン源の少なくとも一部との両方として機能することができる。
【0089】
別の実施形態では、ハロゲン源の少なくとも一部は、触媒系において、別個で異なるハロゲン含有化合物の形態で存在することができる。1つ以上のハロゲン原子を含有する種々の化合物(又はそれらの混合物)をハロゲン源として用いることができる。ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上のハロゲン原子の組み合わせを用いることもできる。炭化水素溶媒に可溶性であるハロゲン含有化合物が、本発明で用いるのに適している。しかし、炭化水素不溶性のハロゲン含有化合物は、重合系において懸濁させて触媒活性種を形成することができるため、やはり有用である。
【0090】
使用できる有用な種類のハロゲン含有化合物としては、元素ハロゲン、混合ハロゲン、ハロゲン化水素、有機ハライド、無機ハライド、金属ハライド、及び有機金属ハライドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
好適な元素ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれるが、これらに限定されない。好適な混合ハロゲンのいくつかの具体例として、一塩化ヨウ素、一臭化ヨウ素、三塩化ヨウ素、及び五フッ化ヨウ素が挙げられる。
【0092】
好適なハロゲン化水素には、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、及びヨウ化水素が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
好適な有機ハライドには、t−ブチルクロリド、t−ブチルブロミド、アリルクロリド、アリルブロミド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、クロロ−ジ−フェニルメタン、ブロモ−ジ−フェニルメタン、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド、ベンジリデンクロリド、ベンジリデンブロミド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、プロピオニルクロリド、プロピオニルブロミド、メチルクロロホルメート、及びメチルブロモホルメートが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
好適な無機ハライドには、リントリクロリド、リントリブロミド、リンペンタクロリド、リンオキシクロリド、リンオキシブロミド、ボロントリフルオリド、ボロントリクロリド、ボロントリブロミド、シリコンテトラフルオリド、シリコンテトラクロリド、シリコンテトラブロミド、シリコンテトラヨージド、ヒ素トリクロリド、ヒ素トリブロミド、ヒ素トリヨージド、セレンテトラクロリド、セレンテトラブロミド、テルルテトラクロリド、テルルテトラブロミド、及びテルルテトラヨージドが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
好適な金属ハライドには、スズテトラクロリド、スズテトラブロミド、アルミニウムトリクロリド、アルミニウムトリブロミド、アンチモントリクロリド、アンチモンペンタクロリド、アンチモントリブロミド、アルミニウムトリヨージド、アルミニウムトリフルオリド、ガリウムトリクロリド、ガリウムトリブロミド、ガリウムトリヨージド、ガリウムトリフルオリド、インジウムトリクロリド、インジウムトリブロミド、インジウムトリヨージド、インジウムトリフルオリド、チタンテトラクロリド、チタンテトラブロミド、チタンテトラヨージド、亜鉛ジクロリド、亜鉛ジブロミド、亜鉛ジヨージド、及び亜鉛ジフルオリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
好適な有機金属ハライドには、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジフルオリド、エチルアルミニウムジフルオリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリド、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨージド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、ジ−t−ブチルスズジクロリド、ジ−t−ブチルスズジブロミド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジブロミド、トリブチルスズクロリド、及びトリブチルスズブロミドが含まれるが、これらに限定されない。
非配位アニオン/非配位アニオン前駆体
【0097】
1又は複数の実施形態では、ランタニド系触媒系には、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物を含めることができる。1又は複数の実施形態では、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物を、前述したハロゲン源の代わりに用いることができる。非配位アニオンは、立体的に嵩高いアニオンであり、立体障害があるために、例えば、触媒系の活性中心と配位結合を形成することはない。本発明で有用な非配位アニオンには、テトラアリールボレートアニオン及びフッ素化テトラアリールボレートアニオンが含まれるが、これらに限定されない。また、非配位アニオンを含有する化合物は、対カチオン、例えば、カルボニウム、アンモニウム、又はホスホニウムカチオンを含有することができる。例示的な対カチオンには、トリアリールカルボニウムカチオン及びN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが含まれるが、これらに限定されない。非配位アニオン及び対カチオンを含有する化合物の例としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本実施形態では、非配位アニオン前駆体を用いることもできる。非配位アニオン前駆体とは、反応条件下で非配位アニオンを形成することができる化合物である。有用な非配位アニオン前駆体には、トリアリールホウ素化合物、BR
3(ここで、Rは、電子求引性の高いアリール基、例えば、ペンタフルオロフェニル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基である)が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明で用いるランタニド系触媒組成物の形成は、前述の触媒構成成分を組み合わせるか又は混合することによって行ってもよい。1つ以上の活性触媒種は、ランタニド系触媒構成成分の組み合わせから得られると考えられるが、種々の触媒構成成分又は成分間の相互作用又は反応の程度は、それほど正確には分かっていない。したがって、「触媒組成物」という用語は、構成成分の単純混合物、物理的若しくは化学的な引力によって生じる種々の構成成分の合成物、構成成分の化学反応生成物、又は前述の組み合わせを包含するように用いている。
特定の触媒
【0100】
1又は複数の実施形態では、ブロックコポリマーの生成に用いられる触媒は、ランタニドカルボキシレート、アルミノキサン、式AlR
nX
3−n(式中、R、X、及びnは上述されている)によって定義される有機アルミニウム化合物、及び有機金属ハライドの組み合わせ又は反応生成物である触媒である。米国特許出願公開第2008/0182954号には、アルミノキサン及び有機アルミニウム化合物を組み合わせて用いることができる例が示されており、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。特定の実施形態では、触媒はまた、式AlR
nX
3−nによって定義される第2の有機アルミニウム化合物を含んでもよい。具体的な実施形態では、ランタニドカルボキシレートはネオジムカルボキシレートであり、アルミノキサンはオリゴマー直鎖アルミノキサンであり、有機アルミニウム化合物はジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物であり、有機金属ハライドは有機アルミニウムハライドである。これらの又はエーテルの実施形態では、第2の有機アルミニウム化合物が用いられる場合、第2の有機アルミニウム化合物は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物であってもよい。1又は複数の実施形態では、触媒系は、ネオジムネオデカノエート、メチルアルミノキサン、ジエチルアルミニウムクロリド、並びに、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリイソブチルアルミニウム、及びトリメチルアルミニウムのうちの少なくとも1つとの組み合わせ又は反応生成物である。より具体的な実施形態では、触媒系は、ネオジムネオデカノエート、メチルアルミノキサン、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、及びジエチルアルミニウムクロリドの組み合わせ又は反応生成物である。他の具体的な実施形態では、触媒系は、ネオジムネオデカノエート、メチルアルミノキサン、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリイソブチルアルミニウム、及びジエチルアルミニウムクロリドの組み合わせ又は反応生成物である。
量
【0101】
前述のランタニド系触媒組成物は、1,3−ブタジエン及びイソプレンを重合してブロックコポリマーにするための高い触媒活性を、広範囲の触媒濃度及び触媒構成成分比にわたって有し得る。いくつかの要因が、触媒構成成分のうちのいずれか1つの最適濃度に影響を及ぼす場合がある。例えば、触媒構成成分は相互作用して活性種を形成する場合があるため、任意の1つの触媒構成成分に対する最適濃度が、他の触媒構成成分の濃度に依存する場合がある。
【0102】
1又は複数の実施形態では、アルキル化剤のランタニド含有化合物に対するモル比(アルキル化剤/Ln)は、約1:1〜約1,000:1、他の実施形態では約2:1〜約500:1、他の実施形態では約4:1〜約200:1、及び他の実施形態では約5:1〜約20:1で変動してもよい。
【0103】
アルミノキサン及び少なくとも1つの他の有機アルミニウム剤がアルキル化剤として用いられるこれらの実施形態では、アルミノキサンのランタニド含有化合物に対するモル比(アルミノキサン/Ln)は、5:1〜約1,000:1、他の実施形態では約10:1〜約700:1、他の実施形態では約20:1〜約500:1で変動してもよく、また、少なくとも1つの他の有機アルミニウム化合物のランタニド含有化合物に対するモル比(Al/Ln)は、約1:1〜約200:1、他の実施形態では約2:1〜約150:1、他の実施形態では約3:1〜約100:1、他の実施形態では約5:1〜約30:1で変動してもよい。
【0104】
ランタニド含有化合物に対するハロゲン含有化合物のモル比は、ランタニド含有化合物中のランタニド原子のモル数に対するハロゲン源中のハロゲン原子のモル数の比(ハロゲン/Ln)の観点で最もよく説明される。1又は複数の実施形態では、ハロゲン/Lnモル比は、約0.5:1〜約20:1、他の実施形態では約1:1〜約10:1、他の実施形態では約.51:1〜約6:1、及び他の実施形態では約2:1〜約4:1で変動し得る。
【0105】
更に別の実施形態では、ランタニド含有化合物に対する非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体のモル比(An/Ln)は、約0.5:1〜約20:1、他の実施形態では約0.75:1〜約10:1、及び他の実施形態では約1:1〜約6:1であってもよい。
触媒系の調製
【0106】
本発明で用いられる触媒系は、種々の方法によって形成することができる。
【0107】
1又は複数の実施形態では、ランタニド系触媒組成物は、段階的に又は同時に、触媒構成成分をモノマー及び溶媒を含有する溶液に、又はバルクモノマーに、添加することによって、その場で形成することができる。一実施形態では、アルキル化剤を最初に添加し、次に、ランタニド含有化合物、そして、次に、ハロゲン源又は非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物を添加することができる。
【0108】
1つ以上の実施形態では、ランタニド系触媒組成物は事前形成され得る。つまり、触媒構成成分を、重合系外で予備的に混合する。1又は複数の実施形態では、触媒構成成分を予備的に混合することによって、活性触媒系が形成され、この触媒系は、本発明の1つ以上の実施形態によってモノマーを重合することができる。ランタニド系触媒組成物を事前形成するための有用なプロセスの例は、米国特許第5,686,371号、同第6,576,731号、米国特許出願公開第2002/0035226号、同第2012/0208964号、同第2013/0237669号に開示されており、それらの文献は、本明細書において参照により組み込まれている。
添加の順序
【0109】
1つ以上の実施形態では、触媒構成成分を同時に又は連続的に混合することにより、触媒系を形成する場合がある。構成成分を連続的に混合する場合、まず、アルキル化剤をランタニド含有化合物と混合し、次にその混合物をハロゲン源又は非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体を含有する化合物と混合することができる。他の実施形態では、まず、アルキル化剤とハロゲン源(又は、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体)とを混合し、次にその混合物をランタニド含有化合物と混合することができる。更に他の実施形態では、まず、ランタニド含有化合物とハロゲン源(又は、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体)とを混合し、次にその混合物をアルキル化剤と混合することができる。
溶媒の使用
【0110】
1つ以上の実施形態では、触媒の事前形成は、溶媒と共に行うことができる。1又は複数の実施形態において、溶媒を担体として用いて触媒を溶解又は懸濁させて、重合系への触媒の送達を容易にしても良い。他の実施形態では、モノマーを担体として用いることができる。更に他の実施形態では、触媒を、いかなる溶媒も用いることなく無希釈の状態で用いることができる。
【0111】
1つ以上の実施形態では、好適な溶媒には、触媒又は開始剤の存在下でのモノマーの重合中に、重合することも伝搬ポリマー鎖に取り込まれることもない有機化合物が含まれる。1つ以上の実施形態では、これらの有機種は、周囲温度及び圧力で液体である。1つ以上の実施形態では、これらの有機溶媒は、触媒又は開始剤に対して不活性である。例示的な有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素のような低い又は比較的低い沸点を有する炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びメシチレンが挙げられる。脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、イソオクタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン、及び石油スピリットが挙げられる。また、脂環式炭化水素の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、及びメチルシクロヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。上記の炭化水素の混合物を使用することもできる。当該技術分野で知られているように、環境上の理由から、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素を用いることが望ましい場合がある。低沸点の炭化水素溶媒は典型的に、重合が終了したらポリマーから分離される。
【0112】
有機溶媒の他の例としては、一般に油展ポリマーに使用される炭化水素油を含む高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらの油の例は上述されており、パラフィン系オイル、芳香油、ナフテン系オイル、ヒマシ油以外の植物油、及び低PCAオイル、例えばMES、TDAE、SRAE、重ナフテン系オイルが挙げられる。
【0113】
1つ以上の実施形態では、触媒系は、任意的に、触媒系を安定させるのに役立ち得る少量のアルケン含有化合物の存在下で、例えば触媒系を事前形成することによって、調製することができる。有用なアルケン含有化合物には、本明細書で定義されるモノマーが含まれ得る。触媒系の事前形成に好適なモノマーの具体例としては、1,3−ブタジエン又はイソプレンなどの共役ジエンモノマーが挙げられる。触媒の事前形成に用いることができるアルケン含有化合物の量は、ランタニド含有化合物の1モル当たり、約1〜約100モル、他の実施形態では約2.5〜約50モル、他の実施形態では約5〜約20モルの範囲であり得る。
触媒系形成の条件
【0114】
1又は複数の実施形態では、本発明で用いられる触媒系は、特定の温度で調製される場合がある。1又は複数の実施形態では、触媒組成物は、少なくとも−20℃、他の実施形態では少なくとも0℃、他の実施形態では少なくとも20℃、他の実施形態では少なくとも40℃の温度で調製することができる。これらの又は他の実施形態では、触媒組成物は、100℃以下、他の実施形態では80℃以下、他の実施形態では60℃以下、他の実施形態では40℃以下、他の実施形態では20℃以下、他の実施形態では0℃以下の温度で調製することができる。
触媒系の熟成
【0115】
1又は複数の実施形態では、触媒組成物は、使用の前に(すなわち、重合系への添加の前に)熟成される場合がある。
【0116】
1つ以上の実施態様では、触媒組成物は、少なくとも−20℃、他の実施態様では少なくとも0℃、他の実施態様では少なくとも20℃、他の実施態様では少なくとも40℃の温度で熟成させることができる。これらの又は他の実施形態では、触媒組成物は、100℃以下、他の実施形態では80℃以下、他の実施形態では60℃以下、他の実施形態では40℃以下、他の実施形態では20℃以下、他の実施形態では0℃以下の温度で熟成させることができる。ある特定の実施形態では、触媒組成物は、温度制御が行われない環境において、そこでは、変化する環境温度に触媒組成物がさらされる可能性がある環境において、熟成され得る。これらの又は他の実施形態では、触媒組成物は、上述の温度で熟成される場合がある。また、熟成時間の少なくとも一部において、制御されない温度で更に熟成される場合がある。
【0117】
1又は複数の実施形態では、触媒組成物の熟成は、少なくとも1分間、他の実施形態では少なくとも4分間、他の実施形態では少なくとも10分間、他の実施形態では少なくとも15分間、他の実施形態では少なくとも30分間、他の実施形態では少なくとも60分間、他の実施形態では少なくとも2時間、他の実施形態では少なくとも4時間、他の実施形態では少なくとも6時間行われる場合がある。これらの又は他の実施形態では、触媒組成物の熟成は、14日間以下、他の実施形態では12日間以下、他の実施形態では10日間以下、他の実施形態では7日間以下、他の実施形態では4日間以下、他の実施形態では3日間以下、他の実施形態では1日間以下、他の実施形態では12時間以下行われる場合がある。1又は複数の実施形態では、触媒組成物は、約1分間〜約14日間、他の実施形態では約4分間〜約12日間、他の実施形態では約10分間〜約10日間、他の実施形態では約15分間〜約7日間熟成させ、他の実施形態では約30分間〜約4日間、他の実施形態では約60分間〜約3日間、他の実施形態では約2時間〜約1日間、他の実施形態では約4時間〜約12時間熟成される。
重合混合物
【0118】
上述のように、ポリブタジエンとポリイソプレンとの高1,4−シスブロックコポリマーは、触媒的に有効な量の触媒系の存在下で、所望の分子量の第1のポリマーセグメント(すなわち、第1のブロックのマー単位)を調製するのに十分な量で、第1のモノマー(1,3−ブタジエン又はイソプレンのいずれか)を重合させることによって調製できる。触媒及び第1のモノマーを導入することにより重合混合物が形成され、これは重合系と呼ばれることもあり、ここでポリマーが形成される。所望の量の第1のモノマーを重合した後、第2のモノマー(第1のモノマーとは異なる1,3−ブタジエン又はイソプレンのうちの1つ)を重合混合物に添加して、第2のブロック又はポリマーセグメントを調製できる。
【0119】
用いるべき触媒の量は、種々の要因(例えば、用いる触媒又は開始剤の種類、構成成分の純度、重合温度、所望の重合速度及び重合転化率、所望の分子量、及び多くの他の要因)の相互作用に依存する場合がある。したがって、具体的な触媒の量については、触媒的に有効な量の触媒を用いてもよいと言う以外に、明確に述べることはできない。
【0120】
1又は複数の実施形態では、第1のモノマーの相当部分が重合された後、第2のモノマーを重合混合物に添加してもよい。1又は複数の実施形態では、第2のモノマーは、第1のモノマーの80%が重合した後、他の実施形態では第1のモノマーの90%が重合した後、他の実施形態では第1のモノマーの95%が重合した後、他の実施形態では第1のモノマーの99%が重合した後に、重合混合物に添加され得る。1又は複数の実施形態では、第1のモノマーの実質的に全てが重合された後、第2のモノマーを重合混合物に添加してもよい。他の実施形態では、第1のモノマーの全てが重合された後、第2のモノマーを重合混合物に添加してもよい。
【0121】
使用される(すなわち、重合中に存在する)ランタニド含有化合物の量は、任意の所与のモノマー供給材料の重合中に存在するモノマーの重量を基準として説明することができる。1又は複数の実施形態では、使用されるランタニド含有化合物の量を、第1のモノマー100グラム当たり、約0.0008〜約1.6mmol、他の実施形態では約0.004〜約0.8mmol、更に他の実施形態では約0.008〜約0.16mmolのランタニド含有化合物と変えることができる。
【0122】
同様に、使用されるランタニド含有化合物の量を、第2のモノマー100グラム当たり、約0.0008〜約1.6mmol、他の実施形態では約0.004〜約0.8mmol、更に他の実施形態では約0.008〜約0.16mmolのランタニド含有化合物と変えることができる。
【0123】
他の実施形態では、使用されるランタニド含有化合物の量は、全反応中に重合される全モノマーの重量を基準として説明することができる。1又は複数の実施形態では、使用するランタニド含有化合物の量を、全モノマー100グラム当たり約0.001〜約2mmol、他の実施形態では約0.005〜約1mmol、更に他の実施形態では約0.01〜約0.2mmolと変えることができる。
【0124】
1又は複数の実施形態では、重合は、相当量の溶媒を含む重合系において行わる場合がある。一実施形態では、溶液重合系として、重合すべきモノマー及び形成されたポリマーの両方が溶媒に可溶であるものを用いてもよい。別の実施形態では、沈殿重合系を用いることを、形成されたポリマーが不溶性である溶媒を選択することによって行ってもよい。いずれの場合も、触媒又は開始剤を調製するときに用いてもよい溶媒量に加えて、ある量の溶媒が、通常、重合系に添加される。付加的な溶媒は、触媒又は開始剤を調製するときに用いる溶媒と同じであってもよいし又は異なっていてもよい。例示的な溶媒については前述している。1又は複数の実施形態では、重合混合物の溶媒含有量は、重合混合物の総重量に対して、20重量%超、他の実施形態では50重量%超、更に他の実施形態では80重量%超であり得る。
【0125】
重合は、当該技術分野で知られている任意の従来の重合容器内で行ってもよい。1つ以上の実施形態では、溶液重合を従来の攪拌槽型反応器内で行うことができる。他の実施形態では、特にモノマー転化率が約60%未満である場合、バルク重合を従来の攪拌槽型反応器内で行うことができる。更に他の実施形態では、特にバルク重合プロセスにおけるモノマー転化率が約60%を超える場合(この場合、典型的に、高粘性のセメントが得られる)、バルク重合を細長い反応器(重合中の粘性セメントがピストンによって又は実質的にピストンによって動かされる)内で行う場合がある。例えば、セメントが自浄式一軸スクリュー又は二軸スクリュー撹拌器によって押し出される押出機が、この目的に適している。有用なバルク重合プロセスの例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,351,776号に開示されている。
【0126】
1又は複数の実施形態では、重合に対して使用する構成成分を全て単一容器(例えば、従来の撹拌タンク反応器)内で混合することができ、重合プロセスの全てのステップをこの容器内で行うことができる(第2のモノマーを連続して添加すると理解される)。他の実施形態では、2つ以上の構成成分を1つの容器内で事前に組み合わせてから別の容器に移し、そこでモノマー(又は少なくともその大部分)の重合を行うことができる。
【0127】
重合は、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスとして行うことができる。半連続プロセスでは、モノマーを必要に応じて断続的に充填して、すでに重合したモノマーと入れ替える。1又は複数の実施形態では、重合が進む条件を制御して、重合混合物の温度を、約−10℃〜約200℃、他の実施形態では、約0℃〜約150℃、他の実施形態では、約20℃〜約100℃の範囲に維持してもよい。1又は複数の実施形態では、重合の熱を取り除くことを、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却、反応器に接続された還流凝縮器を用いることによるモノマーの気化及び凝縮による内部冷却、又は2つの方法の組み合わせによって行ってもよい。重合条件はまた、約0.1気圧〜約50気圧、他の実施形態では約0.5気圧〜約20気圧、他の実施形態では約1気圧〜約10気圧の圧力下で重合を行うように制御することができる。1又は複数の実施形態では、重合を行い得る圧力には、大部分のモノマーが確実に液相となる圧力が含まれる。これらの又は他の実施形態では、重合混合物を嫌気条件下で維持してもよい。
疑似リビングポリマー
【0128】
ランタニド系触媒によって触媒される重合は、その結果得られるポリマー鎖の一部又は全てが、重合混合物が急冷される前に反応性鎖末端を保有できるポリマーセグメント及びコポリマーをもたらす。そのため、反応性ポリマーについて言及する際は、反応性鎖末端を有するポリマー鎖又はコポリマーについて言及している。ランタニド系触媒を用いて調製された反応性ポリマーは、疑似リビングポリマーと称されることもある。1又は複数の実施形態では、反応性ポリマーを含む重合混合物は、活性重合混合物又は活性重合系と呼ばれることもある。反応性末端を所有するポリマー鎖のパーセンテージは、種々の要因(例えば、触媒又は開始剤の種類、モノマーの種類、構成成分の純度、重合温度、モノマー転化率、及び多くの他の要因)に依存する。1又は複数の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約20%が反応性末端を保有し、他の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約50%が反応性末端を保有し、更に他の実施形態では、ポリマー鎖の少なくとも約80%が反応性末端を保有している。
末端官能化反応
【0129】
1又は複数の実施形態では、反応性鎖末端を含む疑似リビングポリマー(すなわち、ブロックコポリマー)は、任意に、その反応性鎖末端を官能化剤と反応させることにより、末端官能化され得る。
【0130】
1又は複数の実施形態では、第2のモノマー(又はターミナルブロックを形成するいずれかのモノマー)の所望の転化率が実現された後であるが、重合混合物が急冷剤によって急冷される前に、官能化剤を反応性ポリマーと反応させることができる。1又は複数の実施形態では、官能化剤と反応性ポリマーとの反応は、ピーク重合温度に達した後2時間以内、他の実施形態では1時間以内、他の実施形態では30分以内、他の実施形態では5分以内、他の実施形態では1分以内に起きる場合がある。1又は複数の実施形態では、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、ピーク重合温度に達し後すぐに起こり得る。他の実施形態では、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、反応性ポリマーが貯蔵された後に起こり得る。1又は複数の実施形態では、反応性ポリマーの貯蔵は、室温で又は室温未満で、不活性雰囲気下で行う。
【0131】
官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応が完了するのに必要な時間は、反応性ポリマーの調製に用いられる触媒のタイプ及び量、官能化剤のタイプ及び量、並びに官能化反応が行われる温度など、種々の要因に依存する。1又は複数の実施形態では、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、約10〜60分間、行なわれ得る。
【0132】
1又は複数の実施形態では、重合が行われた場所(例えば、容器内)で、官能化剤を重合混合物に導入する場合がある。他の実施形態では、重合が行われた場所とは異なる場所で、官能化剤を重合混合物に導入する場合がある。例えば、下流の容器(下流の反応器又はタンク、インライン反応器又はミキサー、押出機、又は脱揮装置を含む)内で、官能化剤を重合混合物に導入する場合がある。
官能化剤
【0133】
1又は複数の実施形態では、好適な官能化剤としては、疑似リビングポリマーと反応し得る基を含有する化合物が挙げられる。
【0134】
例示的な官能化剤としては、ケトン類、キノン類、アルデヒド類、アミド類、エステル類、イソシアネート類、イソチオシアネート類、エポキシド類、イミン類、アミノケトン類、アミノチオケトン類、及び酸無水物類が挙げられる。これらの化合物の例は、米国特許第4,906,706号、同第4,990,573号、同第5,064,910号、同第5,567,784号、同第5,844,050号、同第6,838,526号、同第6,977,281号、及び同第6,992,147号、米国特許出願公開第2006/0004131(A1)号、同第2006/0025539(A1)号、同第2006/0030677(A1)号、及び同第2004/0147694(A1)号、並びに日本国特許出願第05−051406(A)号、同第05−059103(A)号、同第10−306113(A)号、及び同第11−035633(A)号に開示されている。なお、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれている。官能化剤の他の例としては、米国特許第7,879,952号に開示されるアジン化合物、米国特許第7,671,138号に開示されるヒドロベンズアミド化合物、米国特許第7,732,534号に開示されるニトロ化合物、米国特許第8,088,868号に開示される保護オキシム化合物、米国特許第8,314,189号に開示される複素環ニトリル化合物、米国特許第8,258,332号に開示されるアミノ基を含むハロシラン、米国特許第7,906,592号に開示される保護アミノ基を含むイミド化合物、米国特許出願公開第2010/0168378号に開示されるニトロソ化合物、米国特許出願公開第2010/0099826号に開示されるアミド含有化合物、米国特許出願公開第2011/0077325号に開示されるシリル化アミノ基を含むカルボン酸又はチオカルボン酸エステル、米国特許出願公開第2011/0152449号に開示されるポリオキシム化合物、米国特許出願公開第2011/0288200号に開示されるポリシアノ化合物、米国特許出願公開第2012/0059112号に開示される保護アミノ基を含むニトリル化合物が挙げられ、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
官能化ポリマーを得るために重合混合物に添加することができる官能化剤の量は、種々の要因(反応性ポリマーを合成するために用いる触媒の種類及び量、及び所望の官能化度を含む)に依存する場合がある。1又は複数の実施形態では、ランタニド系触媒を用いて反応性ポリマーを調製する場合、用いられる官能化剤の量は、ランタニド含有化合物のランタニド金属を基準にして説明することができる。例えば、官能化剤対ランタニド金属のモル比は、約1:1〜約80:1、他の実施形態では約5:1〜約40:1、及び他の実施形態では約10:1〜約25:1であり得る。
ポリマーの回収
【0136】
重合混合物を急冷させた後、重合混合物(ブロックコポリマーを含む)の種々の成分を回収及び/又は分離してもよい。1又は複数の実施形態では、未反応モノマーを重合混合物から回収することができる。例えば、当該技術分野で既知の技術を用いてモノマーを重合混合物から蒸留することができる。1又は複数の実施形態では、脱揮装置を用いてモノマーを重合混合物から取り出してもよい。モノマーを重合混合物から取り出した後、モノマーを精製してもよいし、貯蔵してもよいし、かつ/又はリサイクルして重合プロセスに戻してもよい。
【0137】
ブロックポリマー生成物を重合混合物から回収することを、当該技術分野で知られた技術を用いて行ってもよい。1又は複数の実施形態では、脱溶媒及び乾燥技術を用いてもよい。例えば、ポリマーの回収を、重合混合物を加熱されたスクリュー装置(例えば脱溶媒押出機)に通すことによって行うことができる。この装置では、揮発性物質の除去が、適温(例えば、約100℃〜約170℃)かつ大気圧又は準大気圧下の気化によって行われる。この処理によって、未反応モノマー及び任意の低沸点溶媒が除去される。代替的に、ポリマーの回収を、重合混合物に蒸気脱溶媒を施し、続いて、結果として得られたポリマークラムを熱風トンネル内で乾燥させることによって行うこともできる。別の方法では、重合混合物をイソプロピルアルコールなどの極性溶媒に供することにより、ポリマーを回収し、続いて得られた凝固ポリマーをドラム乾燥機で乾燥させることによっても回収することができる。ポリマーの回収はまた、重合混合物をドラム乾燥機上で直接乾燥させることによって行なうこともできる。
【0138】
本発明の実施を示すために、以下の実施例が調製され、試験された。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとして見なされるべきではない。特許請求の範囲が本発明を定義するものとする。
【実施例】
【0139】
無水トルエンをAldrichから購入し、更に精製することなく使用した。ブタジエン(>99%)を蒸留し、CDX−XPビーズ(BASF)で乾燥させ、無水ヘキサンと組み合わせて、ブタジエンの21.0重量%溶液を得た。イソプレン(≧99%)をAldrichから入手し、活性アルミナビーズを通過させて乾燥させた。メチルアルミノキサン、変性メチルアルミノキサン(5%オクチルアルミノキサン)、トリメチルアルミニウムトリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、及びジエチルアルミニウムクロリドをAldrich又はAlbemarleから溶液として入手し、更に精製することなく使用した。ポリマーサンプルの数平均(Mn)及び重量平均(Mw)分子量は、Tosoh Ecosec HLC−8320GPCシステム及びTosoh TSKgel GMHxl−BSカラムをTHFを溶媒として用い、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。このシステムは、一連のポリスチレン標準(K=0.0001249、α=0.72)を使用して較正した。ポリマーのムーニー粘度(ML
1+4)は、大型ローター、ウォームアップ時間1分間、試験時間4分間でAlpha Technologies Money粘度計を用いて、100℃にて測定した。ポリマーサンプルのBR/IR比、シス−1,4−結合、トランス−1,4−結合、及びビニル結合含量は、
1H及び
13C NMR分光法において、CDCl
3を溶媒として使用し、Varian Mercury 300MHz、Varian Mercury 400MHz、又はVarian Inova 500MHzのいずれかを使用して特徴的なピークを積分することによって決定した。
実施例1.1
触媒の調製
【0140】
小型のN
2でパージした密封ガラス容器に、27.1mLのトルエン中2.81Mメチルアルミノキサン溶液、及び5.86mLのヘキサン中21.3重量%ブタジエン溶液を投入した。この混合物に、1.47mLのヘキサン中0.518Mネオジムベルサテート溶液、直後に、11.3mLのヘキサン中1.01Mトリイソブチルアルミニウム溶液及び3.77mLの1.01Mジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液を加えた。その混合物を激しく振盪し、23℃で2分間熟成させた。この混合物に2.85mLのヘキサン中1.07Mジエチルアルミニウムクロリド溶液を添加した。この混合物を23℃で14分間熟成させた後、ヘキサン中にブタジエンモノマーを含有する反応器に投入した。
重合
【0141】
5ガロンの反応器に、7.04kgのヘキサン、続いて2.86kgのヘキサン中21.30重量%ブタジエン溶液を投入した。上記の熟成触媒をこの混合物に投入し、反応器のジャケットを65.5℃で加熱するように設定した。触媒投入から30分後、0.91kgのイソプレンを反応器に投入した。イソプレン投入から60分後、重合セメントを20分間冷却した後、16Lのイソプロピルアルコール及び30gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含む容器内に排出し、凝固させた。ポリマーの特性評価データについては、表1を参照のこと。
実施例1.2
触媒の調製
【0142】
少量のN
2でパージした密封ガラス容器に、12.00mLのトルエン中1.96Mメチルアルミノキサン溶液、及び1.84mLのヘキサン中21.0重量%ブタジエン溶液を投入した。この混合物に、0.45mLのヘキサン中0.518Mネオジムベルサテート溶液、直後に、4.66mLのヘキサン中1.01Mトリイソブチルアルミニウム溶液及び1.16mLの1.01Mジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液を加えた。その混合物を激しく振盪し、23℃で2分間熟成させた。この混合物に0.88mLのヘキサン中1.07Mジエチルアルミニウムクロリド溶液を添加した。この混合物を23℃で14分間熟成させた後、活性触媒混合物を21.0mLのトルエンで希釈し、次いでモノマー溶液に添加した。
重合
【0143】
N
2でパージした10個の密封ガラス容器に、181.8gのヘキサン、続いて74.7gのヘキサン中21.0重量%ブタジエン溶液をそれぞれ投入した。各容器に、3.50mLの上記活性触媒混合物を添加した。次いで、容器を65℃の撹拌浴中に直ちに配置した。撹拌30分後、重合混合物のそれぞれに34.5mLのイソプレンを添加した。65℃で更に60分撹拌した後、0.46gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する4mLのイソプロピルアルコールを添加することによって重合を停止させた。そのポリマーセメントを、15gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する8Lのイソプロピルアルコール中で組み合わせ凝固させ、次いでドラム乾燥した。ポリマーの特性評価データについては、表1を参照のこと。
【表1】
実施例1.3
触媒の調製
【0144】
大型のN
2でパージした密封ガラス容器に、181mLのトルエン中1.12M変性メチルアルミノキサン(5%オクチルアルミノキサン)溶液、20.5mLのヘキサン中1.98Mトリメチルアルミニウム溶液、及び15.9mLのヘキサン中20.9重量%ブタジエン溶液を投入した。この混合物に、3.92mLのヘキサン中0.518Mネオジムベルサテート溶液、直後に、19.5mLの1.04Mジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液を加えた。その混合物を激しく振盪し、23℃で2分間熟成させた。この混合物に5.6mLのヘキサン中1.08Mジエチルアルミニウムクロリド溶液を添加した。この混合物を23℃で14分間熟成させた後、ヘキサン中にブタジエンモノマーを含有する反応器に投入した。
重合
【0145】
20ガロンの反応器に、14.5kgのヘキサン、続いて9.45kgのヘキサン中21.50重量%ブタジエン溶液を投入した。上記の熟成触媒をこの混合物に投入し、反応器のジャケットを65.5℃で加熱するように設定した。触媒投入から30分後、3.05kgイソプレン/9.14kgヘキサン溶液を反応器に投入した。イソプレン溶液の投入から60分後、重合セメントを2.5時間冷却した後、500mLのヘキサン中25%v/v tert−ブタノール溶液を反応器に投入することによって急冷した。得られたセメントを、10.2gのIrganox−1076及び30.5gのトリス(ノニルフェニル)ホスファイトを含有する保持筒に移した。保持シリンダーからサンプルを回収し、30gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有する16Lのイソプロピルアルコールで凝固させ、分析した。ポリマーの特性評価データについては、表2を参照のこと。
【表2】
【0146】
表3に示されるように、実施例1.1で調製したBR−b−IRコポリマーを、未充填配合物において評価した。BR対IRのブロック比は、40/60であった。ブロックコポリマーを、天然ゴム(NR)及び低シスアニオン性BR(実施例2.1、37%シス、Mn:322kg/モル)の対照ブレンド、並びに、NR及び高シスBR(実施例2.3、97%シス、Mn:189kg/モル)の別の対照ブレンドと比較した。物理的特性試験片を調製するために、化合物を145℃で35分間硬化させた。結果を表4にまとめる。ブロックコポリマーは、NR/低シスBRのブレンドと比較して、180%〜235%低いヒステリシスを示し、NR/高シスBRのブレンドと比較して、40%〜65%低いヒステリシスを示した。ピコ摩耗試験器で測定したブロックコポリマーの耐摩耗性は、NR/低シスBRのブレンドよりも30%良好であり、NR/高シスBRのブレンドよりも8%良好であった。
【表3】
【表4】
【0147】
表5に示されるように、実施例1.2で調製したBR−b−IRコポリマーを、カーボンブラック充填配合物において評価した。BR対IRのブロック比は、40/60であった。ブロックコポリマーを、NR及び高シスBR(97%シス、Mn:189kg/モル)の対照ブレンドと比較した。同じ配合物を3回混合したが、異なる充填係数で混合した。物理的特性試験片を調製するために、化合物を145℃で21分間硬化させた。結果を表6にまとめる。異なる充填係数のために、異なるサンプルセット間において摩耗データの変動がいくらか見られる。しかしながら、NR/シスBRブレンドとブロックコポリマーの摩耗データとの間に、95%信頼区間を有する統計的に有意な差は存在しない。しかしながら、ブロックコポリマー化合物のヒステリシスは、それぞれの対応する対照化合物と比較して10〜20%低かった。同じ組成の3つのデータの平均で、ブロックコポリマーは、NR/シスBRブレンドよりも17%低いヒステリシスを示し、これは統計的に有意である。
【表5】
【表6】
【0148】
表7に示されるように、実施例1.2で調製したBR−b−IRコポリマーを、カーボンブラック充填配合物において評価した。BR対IRのブロック比は、40/60であった。ブロックコポリマーを、NR及び高シスBR(97%シス、Mn:189kg/モル)の対照ブレンドと比較した。物理的特性試験片を調製するために、化合物を145℃で25分間硬化させた。結果を表8にまとめる。トルク制御式摩耗試験機を使用して摩耗特性を測定し、TBRタイヤの動作過酷度の履歴データを考慮して摩耗率を算出した。結果はまた、ブロックコポリマーの耐摩耗性がNR/シスBRブレンドの耐摩耗性と同等であることも示す。しかし、ブロックコポリマーは、著しく低いヒステリシスを示した。
【表7】
【表8】
【0149】
表9に示されるように、実施例1.3で調製したBR−b−IRコポリマーを、カーボンブラック充填配合物において評価した。BR対IRのブロック比は、40/60であった。ブロックコポリマーを、NRと、Ni高シスBR(実施例5.1、シス96%、Mn:107kg/モル)及びアニオン性低シスBR(実施例5.2、シス38%、Mn:160kg/モル)から選択したBRとの対照ブレンドと比較した。化合物を2段階で混合した。トルク制御式摩耗試験機を使用して摩耗特性を測定し、TBRタイヤの動作過酷度の履歴データを考慮して摩耗率を算出した。結果は、ブロックコポリマー化合物の耐摩耗性が、対照ブレンド化合物よりも5%〜7%低かったことを示す。しかしながら、NR及びBRのホモポリマーのブレンドの代わりにブロックコポリマーを使用することによって、ヒステリシスの有意な低下が達成された。結果を表10にまとめる。
【表9】
【表10】
【0150】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。