(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリーブを構成するコードが、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維材料からなる、請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ。
前記スリーブは、一方向に配向されたコード群と、それと交錯するコード群とが、各コード群のコードの2本又は1本ずつが交互に交錯して構成され、且つ交錯する位置が1本ずつずれて構成されている、請求項1又は2に記載の空気圧式アクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来のアクチュエータは、強度(耐圧力)が必ずしも高くなく、特に、スリーブが適切に設計されていない場合、チューブへの負荷が大きくなり、耐久性に改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、作動流体として気体を用いるアクチュエータにおいて、耐久性を向上させた空気圧式アクチュエータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
【0010】
本発明の空気圧式アクチュエータは、空気圧によって膨張及び収縮する筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ筒状の構造体であって前記チューブの外周面を覆うスリーブと、によって構成されるアクチュエータ本体部を具え、
無負荷且つ無加圧状態において、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度が20度以上45度未満であり、
空気圧5MPaで、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度が45度である状態において、前記アクチュエータ本体部の外表面の面積(S1)に対する前記スリーブを構成するコードの間隙の総面積(S2)の比(S2/S1)が35%以下であることを特徴とする。
かかる本発明の空気圧式アクチュエータは、スリーブが適切に設計されているため、チューブへの負荷が小さく、耐久性が向上している。
【0011】
本発明の空気圧式アクチュエータの好適例においては、前記スリーブを構成するコードが、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維材料からなる。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0012】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブは、一方向に配向されたコード群と、それと交錯するコード群とが、各コード群のコードの2本又は1本ずつが交互に交錯して構成され、且つ交錯する位置が1本ずつずれて構成されている。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0013】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブは、前記コードを斜文織(綾織)又は平織して構成されている。この場合も、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0014】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブを構成するコードの破断強力が、200N/本以上である。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。なお、本発明において、コードの破断強力は、JIS L1017に従って測定する。
【0015】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブを構成するコードの破断伸びが、2.0%以上である。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。なお、本発明において、コードの破断伸びは、JIS L1017に従って測定する。
【0016】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブを構成するコードの太さが、0.3mm〜1.5mmである。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0017】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブを構成するコードの打ち込み密度が、6.8本/cm〜25.5本/cmである。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0018】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記チューブの厚みt(mm)と、前記スリーブを構成するコードの太さd(mm)と、無負荷且つ無加圧状態において、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度Θ
1と、アクチュエータの収縮時において、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度Θ
2とが、下記式(1):
【数1】
を満たす。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0019】
ここで、アクチュエータの収縮時における、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度Θ
2は、荷重2.5kN、空気圧5MPaで測定した値である。
【0020】
また、前記チューブの厚みt(mm)と、前記スリーブを構成するコードの太さd(mm)と、無負荷且つ無加圧状態において、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度Θ
1と、アクチュエータの収縮時において、前記スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度Θ
2とは、下記式(2):
【数2】
を満たすことが更に好ましい。この場合、アクチュエータの耐久性がより一層向上する。
【0021】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、前記スリーブを構成するコードの、下記式(3):
【数3】
[式中、T
2はコードの上撚り数(回/10cm)であり、但し、コードが片撚り構造の場合、上撚り数T
2(回/10cm)を下撚り数T
1(回/10cm)に置き換えるものとし、Dはコードを構成する原糸の一本当りの繊度(dtex)であり、ρはコードを構成する原糸の密度(g/cm
3)である]で定義される撚り係数Kが0.14〜0.50である。この場合、スリーブが適切に設計されているため、チューブへの負荷が小さくなり、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0022】
本発明の空気圧式アクチュエータにおいて、前記スリーブを構成するコードは、下撚り数T
1(回/10cm)と該コードを構成する原糸の一本当りの繊度D(dtex)との比(T
1/D)が0.004〜0.03であることが好ましい。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0023】
本発明の空気圧式アクチュエータにおいて、前記スリーブを構成するコードは、下撚り数T
1(回/10cm)と上撚り数T
2(回/10cm)との比(T
1/T
2)が0.8〜1.2であることが好ましい。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0024】
本発明の空気圧式アクチュエータにおいて、前記スリーブを構成するコードは、該コードを構成する原糸の一本当りの繊度Dが800〜5000dtexであり、下撚り数T
1が3.2〜150回/10cmであり、上撚り数T
2が2.6〜180回/10cmであり、撚り本数が2〜4本であることが好ましい。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0025】
本発明の空気圧式アクチュエータの他の好適例においては、無負荷且つ無加圧状態において、前記チューブの厚みが1.0mm〜6.0mmである。この場合、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、耐久性を向上させた空気圧式アクチュエータを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の空気圧式アクチュエータを、その実施形態に基づき、図面を参照しつつ、詳細に例示説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0029】
(1)空気圧式アクチュエータの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る空気圧式アクチュエータ10の側面図である。
図1に示すように、空気圧式アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100、封止機構200及び封止機構300を具える。また、空気圧式アクチュエータ10の両端には、連結部20がそれぞれ設けられる。
【0030】
アクチュエータ本体部100は、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。アクチュエータ本体部100には、フィッティング400及び通過孔410を介して作動流体が流入する。ここで、本発明のアクチュエータは、空気圧式であり、作動流体として気体が用いられ、該気体としては、空気や窒素等が挙げられる。
【0031】
アクチュエータ本体部100は、チューブ110内へ作動流体が流入することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向D
AXに収縮し、径方向D
Rに膨張する。また、アクチュエータ本体部100は、チューブ110から作動流体が流出することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向D
AXに膨張し、径方向D
Rに収縮する。このようなアクチュエータ本体部100の形状変化によって、空気圧式アクチュエータ10は、アクチュエータとしての機能を発揮する。
【0032】
また、このような空気圧式アクチュエータ10は、いわゆるマッキベン型であり、人工筋肉用として適用できることは勿論のこと、より高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢(上肢や下肢など)用としても好適に用い得る。連結部20には、当該体肢を構成する部材などが連結される。
【0033】
封止機構200及び封止機構300は、軸方向D
AXにおけるアクチュエータ本体部100の両端部を封止する。具体的には、封止機構200は、封止部材210及びかしめ部材230を含む。封止部材210は、アクチュエータ本体部100の軸方向D
AXの端部を封止する。また、かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230の外周面には、治具によってかしめ部材230がかしめられた痕である圧痕231が形成される。
【0034】
封止機構200と封止機構300との相違点は、フィッティング400,500(及び通過孔410,510)の役割が異なる点である。
封止機構200に設けられているフィッティング400は、空気圧式アクチュエータ10の駆動圧力源、具体的には、作動流体のコンプレッサと接続されたホース(管路)を取り付けられるように突出している。フィッティング400を介して流入した作動流体は、通過孔410を通過してアクチュエータ本体部100の内部、具体的には、チューブ110の内部に流入する。
一方、封止機構300に設けられているフィッティング500は、アクチュエータに作動流体を注入する際の、ガス抜きとして使用できるように突出している。アクチュエータの作動初期において、作動流体をアクチュエータに注入すると、アクチュエータ内部に元々存在していたガスは、通過孔510を介してフィッティング500から排出される。
【0035】
図2は、空気圧式アクチュエータ10の一部分解斜視図である。
図2に示すように、空気圧式アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100及び封止機構200を具える。
アクチュエータ本体部100は、前述したように、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。
【0036】
チューブ110は、空気圧によって膨張及び収縮する円筒状の筒状体である。チューブ110は、作動流体による収縮及び膨張を繰り返すため、弾性材料、例えば、ゴム等からなる。
【0037】
無負荷且つ無加圧状態において、チューブ110の厚みは、1.0mm〜6.0mmの範囲が好ましく、1.4mm〜5.0mmの範囲が更に好ましい。チューブ110の厚みが1.0mm以上であれば、チューブ110の強度が向上し、スリーブ120を構成するコードの間隙からのチューブ110のはみ出しを抑制でき、アクチュエータとしての耐久性が更に向上する。また、チューブ110の厚みが6.0mm以下であれば、チューブ110の収縮率が大きくなり、十分な動作長を確保できる。
【0038】
なお、
図1及び
図2に示すチューブ110は、1層構造であるが、本発明において、チューブは2層以上の構造を有していてもよい。また、チューブ110の直径(外径)は、目的とする用途に応じて、適宜選択できる。
【0039】
スリーブ120は、円筒状であり、チューブ110の外周面を覆う。スリーブ120は、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返されている。スリーブ120は、このような形状を有することによって、パンタグラフ変形し、チューブ110の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
【0040】
図3は、無負荷且つ無加圧状態における、スリーブ120の2つの実施形態の部分側面図である。
本発明においては、
図3(a)及び(b)に示すように、無負荷且つ無加圧状態(即ち、初期状態)において、スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1が20度以上45度未満である。無負荷且つ無加圧状態において、スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1が20度以上であることで、スリーブ120の耐久性が向上する。一方、無負荷且つ無加圧状態において、スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1が45度を超えると、アクチュエータの作動時の収縮が小さく、アクチュエータとして十分に機能しなくなる。
また、前記平均角度Θ
1は、好ましくは22度以上、更に好ましくは23度以上である。平均角度Θ
1が大きい程、チューブ110への負担が小さくなり、コード121に直接接触しない部分のチューブ110の破損が抑制され、アクチュエータとしての機能を長期に渡って維持できる。
また、前記平均角度Θ
1は、好ましくは37度以下である。平均角度Θ
1が37度以下であれば、アクチュエータの収縮率が大きくなり、十分な動作長を確保できる。
ここで、初期状態における、スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1は、例えば、スリーブ120を編む際のコード121の方向を調整し、更に、円筒状にする際のコード121の方向を調整することで、調整できる。
【0041】
図4は、スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度が45度である状態における、スリーブ120の2つの実施形態の部分側面図である。なお、本発明において、コード121の角度を実測する際には、誤差範囲として±1度を許容する。
本発明においては、
図4(a)及び(b)に示すように、空気圧5MPaで、前記スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
3が45度である状態において、前記アクチュエータ本体部100の外表面の面積(S1)に対する前記スリーブ120を構成するコード121の間隙122の総面積(S2)の比(S2/S1)が35%以下であり、好ましくは32%以下、より好ましくは30%以下、より一層好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
3が45度である状態、即ち、コード121の平均交差角度が90度である状態において、アクチュエータ本体部100の外表面の面積(S1)に対するスリーブ120を構成するコード121の間隙122の総面積(S2)の比(S2/S1)が35%以下であることで、チューブ110への負担が小さくなって、アクチュエータとしての耐久性が向上する。なお、該比(S2/S1)の下限は特に限定れるものではないが、比(S2/S1)は、アクチュエータの動作長の観点からは、5%以上が好ましい。
ここで、スリーブ120を構成するコード121の間隙122の総面積(S2)は、スリーブ120の編み方や、使用するコード121の太さ、材質、打ち込み密度等を選択することで、調整できる。
【0042】
なお、本発明において、スリーブ120を構成するコード121の間隙122の総面積(S2)は、空気圧5MPaで、スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
3が45度となるように、アクチュエータにかける荷重を調整して測定される。その際、スリーブ120の最大径に対して、スリーブ120の径がマイナス5%の範囲までの領域で評価し、該領域の間隙122の面積の合計をS2とし、該領域のアクチュエータ本体部100の外表面の面積をS1として、比(S2/S1)を算出する。ここで、スリーブ120を構成するコード121の間隙122の面積は、スリーブを外側から見て、コード121が存在せず、内側に存在するチューブ110が露出している面積に対応する。
また、本発明において、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1,Θ
2,Θ
3は、コード121とアクチュエータの軸方向D
AXとがなす角度の鋭角側の角度を指す。
【0043】
スリーブ120を構成するコード121としては、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)繊維、ポリカプロラクタム(ナイロン6)繊維等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維等のポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維材料からなる繊維コードを用いることが好ましい。この場合、スリーブの耐久性が更に向上する。これらの中でも、スリーブ120の強度の観点から、アラミド繊維からなるコードを用いることが特に好ましい。
但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などの高強度繊維や、極細のフィラメントによって構成される金属製のコードを用いてもよい。
【0044】
また、上述の繊維コードや金属製のコードは、その表面を、ゴムや、熱硬化性樹脂とラテックスとの混合物等で被覆してもよい。これらの材料でコードの表面が被覆されている場合、コードの耐久性を向上させつつ、コードの表面の摩擦係数を適度に低下させることができる。
なお、熱硬化性樹脂とラテックスとの混合物中の固形分率は、15質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下が更に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、ラテックスとしては、ビニルピリジン(VP)ラテックス、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ラテックス等が挙げられる。
【0045】
本発明において、前記スリーブ120は、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、一方向に配向されたコード群121Aと、それと交錯するコード群121Bとが、各コード群121A,121Bのコード121の二本ずつが交互に交錯して構成され、且つ交錯する位置が1本ずつずれて構成されていること、即ち、斜文織(綾織)で構成されていることが好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータとしての耐久性が更に向上する。
また、本発明において、前記スリーブ120は、
図3(b)及び
図4(b)に示すように、一方向に配向されたコード群121Aと、それと交錯するコード群121Bとが、各コード群121A,121Bのコード121の一本ずつが交互に交錯して構成されていること、即ち、平織で構成されていることも好ましい。この場合も、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータとしての耐久性が更に向上する。
また、本発明において、前記スリーブ120は、コード121を斜子織して構成されていることも好ましい。この場合も、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータとしての耐久性が更に向上する。なお、斜子織において、引きそろえるコードの本数は、特に限定されるものではないが、本発明においては、2本のコードを引きそろえて、別途引きそろえた2本の別のコードを打ち込むことが好ましい。
【0046】
本発明においては、前記スリーブ120を構成するコード121の破断強力が、200N/本以上であることが好ましく、250N/本〜1000N/本の範囲が更に好ましく、300N/本〜1000N/本の範囲がより一層好ましく、500N/本〜1000N/本の範囲が更により一層好ましく、600N/本〜1000N/本の範囲が特に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0047】
本発明においては、前記スリーブ120を構成するコード121の破断伸びが、2.0%以上であることが好ましく、3.0%〜6.0%の範囲が更に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0048】
本発明においては、前記スリーブ120を構成するコード121の太さが、0.3mm〜1.5mmであることが好ましく、0.4mm〜1.5mmであることが更に好ましく、0.5mm〜1.5mmであることがより一層好ましく、0.6mm〜1.3mmであることが更により一層好ましく、0.6mm〜1.0mmであることが特に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0049】
本発明においては、前記スリーブ120を構成するコード121の打ち込み密度が、6.8本/cm〜25.5本/cmであることが好ましく、10.0本/cm〜23.5本/cmであることが更に好ましく、10.0本/cm〜20.0本/cmであることがより一層好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0050】
本発明においては、前記チューブ110の厚みt(mm)と、前記スリーブ120を構成するコード121の太さd(mm)と、無負荷且つ無加圧状態において、前記スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1と、アクチュエータの収縮時において、前記スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
2とが、下記式(1):
【数4】
を満たすことが好ましい。式(1)を満たす場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータとしての耐久性が更に向上する。
【0051】
また、前記チューブ110の厚みt(mm)と、前記スリーブ120を構成するコード121の太さd(mm)と、無負荷且つ無加圧状態において、前記スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
1と、アクチュエータの収縮時において、前記スリーブ120を構成するコード121の、アクチュエータの軸方向D
AXに対する平均角度Θ
2とは、下記式(2):
【数5】
を満たすことが更に好ましい。式(2)を満たす場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータとしての耐久性が更に向上する。
【0052】
本発明においては、スリーブ120を構成するコード121は、下記式(3):
【数6】
[式中、T
2はコードの上撚り数(回/10cm)であり、但し、コードが片撚り構造の場合、上撚り数T
2(回/10cm)を下撚り数T
1(回/10cm)に置き換えるものとし、Dはコードを構成する原糸の一本当りの繊度(dtex)であり、ρはコードを構成する原糸の密度(g/cm
3)である]で定義される撚り係数Kが0.14〜0.50であることが好ましく、0.16〜0.50であることが更に好ましい。スリーブ120を構成するコード121の撚り係数Kが0.14以上の場合、繊維への負荷が小さくなり、アクチュエータの耐久性が更に向上し、また、スリーブ120を構成するコード121の撚り係数Kが0.50以下の場合、チューブへの負荷が小さくなり、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
ここで、コード121の撚り係数Kは、使用する原糸の密度や繊度を選択したり、コードにする際の下撚り数を調整することで、調整できる。
【0053】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、下撚り数T
1(回/10cm)と該コード121を構成する原糸の一本当りの繊度D(dtex)との比(T
1/D)が0.004〜0.03であることが好ましく、0.004〜0.02であることが更に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0054】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、下撚り数T
1(回/10cm)と上撚り数T
2(回/10cm)との比(T
1/T
2)が0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることが更に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0055】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、該コード121を構成する原糸の一本当りの繊度Dが800〜5000dtexであることが好ましく、800〜4000dtexであることがより好ましく、1000〜4000dtexであることが更に好ましく、1500〜4000dtexであることがより一層好ましく、2000〜4000dtexであることが特に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0056】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、下撚り数T
1が3.2〜150回/10cmであることが好ましく、10〜36回/10cmであることが好ましく、10〜30回/10cmであることが更に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0057】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、上撚り数T
2が2.6〜180回/10cmであることが好ましく、10〜36回/10cmであることが好ましく、10〜30回/10cmであることが更に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0058】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、撚り本数が2〜4本であることが好ましく、2本であることが特に好ましい。この場合、チューブ110への負担が更に小さくなって、アクチュエータの耐久性が更に向上する。
【0059】
本発明において、スリーブ120を構成するコード121は、該コード121を構成する原糸の一本当りの繊度Dが800〜5000dtexであり、下撚り数T
1が3.2〜150回/10cmであり、上撚り数T
2が2.6〜180回/10cmであり、撚り本数が2〜4本であることが好ましい。スリーブ120を構成するコード121の、原糸一本当りの繊度D、下撚り数T
1、上撚り数T
2、及び撚り本数の総てが、上述した好適範囲を満たす場合、チューブ110への負担が特に小さくなって、アクチュエータの耐久性が大幅に向上する。
【0060】
前記コード121の製法は特に限定されるものではなく、例えば、該コード121が原糸を複数本、好ましくは、2〜4本撚り合わせてなる、所謂、双撚り構造である場合、例えば、原糸に下撚りをかけ、次いでこれを複数合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、撚糸コードとして得ることができる。
また、コード121が原糸1本を撚ってなる、所謂、片撚り構造である場合、例えば、原糸をひきそろえて、一方の方向に撚りをかけることで、撚糸コードとして得ることができる。なお、本発明において、コード121が片撚り構造である場合、下撚り数T
1は原糸1本を撚る際の撚り数を指すものとする。また、コード121が片撚り構造である場合は、式(1)中の上撚り数T
2(回/10cm)は、下撚り数T
1(回/10cm)に置き換えるものとする。即ち、コード121が片撚り構造である場合は、式(1)中のT
2は原糸1本を撚る際の撚り数を指すものとする。
【0061】
図2において、封止機構200は、アクチュエータ本体部100の軸方向D
AXにおける端部を封止する。封止機構200は、封止部材210、第1係止リング220及びかしめ部材230によって構成される。
【0062】
封止部材210は、胴体部211及び鍔部212を有する。封止部材210としては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
【0063】
胴体部211は、円管状であり、胴体部211には、作動流体が通過する通過孔215が形成される。通過孔215は、通過孔410(
図1参照)に連通する。胴体部211には、チューブ110が挿通される。
【0064】
鍔部212は、胴体部211に連なっており、胴体部211よりも空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXにおける端部側に位置する。鍔部212は、胴体部211よりも径方向D
Rに沿った外径が大きい。鍔部212は、胴体部211に挿通されたチューブ110及び第1係止リング220を係止する。
【0065】
胴体部211の外周面には、凹凸部213が形成される。凹凸部213は、胴体部211に挿通されたチューブ110の滑り抑制に寄与する。凹凸部213による凸部分が3つ以上形成されることが好ましい。
【0066】
また、胴体部211の鍔部212寄りの位置には、胴体部211よりも外径が小さい第1小径部214が形成される。なお、第1小径部214の形状については、
図5以降においてさらに説明する。
【0067】
第1係止リング220は、スリーブ120を係止する。具体的には、スリーブ120は、第1係止リング220を介して径方向D
R外側に折り返される(
図2において不図示、
図5参照)。
【0068】
第1係止リング220の外径は、胴体部211の外径よりも大きい。第1係止リング220は、胴体部211の第1小径部214の位置においてスリーブ120を係止する。つまり、第1係止リング220は、胴体部211の径方向D
R外側であって、鍔部212に隣接する位置において、スリーブ120を係止する。
【0069】
第1係止リング220は、胴体部211よりも小さい第1小径部214に係止させるため、本実施形態では、二分割の形状としている。なお、第1係止リング220は、二分割に限らず、より多くの部分に分割してもよいし、一部の分割部分が回動可能に連結されていてもよい。
【0070】
第1係止リング220としては、封止部材210と同様の金属や硬質プラスチック材料などを用いることができる。
【0071】
かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230としては、アルミニウム合金、真鍮及び鉄などの金属を用いることができる。かしめ部材230には、かしめ用の治具によってかしめ部材230がかしめられると、
図1に示したような圧痕231が形成される。
【0072】
(2)封止機構の構成
次に、
図5〜
図12を参照して、封止機構200の実施形態について説明する。
【0073】
(2.1)実施形態1−1
図5は、実施形態1−1に係る封止機構200を含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。
【0074】
前述したように、封止部材210は、胴体部211の外径よりも小さい外径を有する第1小径部214を有する。
【0075】
第1係止リング220は、第1小径部214の径方向D
R外側に配置される。第1係止リング220の内径R1は、胴体部211の外径R3よりも小さい。なお、第1係止リング220の外径R2も、胴体部211の外径R3より小さくてもよい。
【0076】
チューブ110は、鍔部212に当接するまで胴体部211に挿通される。一方、スリーブ120は、第1係止リング220を介して径方向D
R外側に折り返されている。この結果、スリーブ120は、軸方向D
AXの端部において第1係止リング220を介して折り返された第1折り返し部120aを有する。具体的には、スリーブ120は、前記チューブ110の外周面を覆うスリーブ本体部120bと、該スリーブ本体部120bの軸方向D
AXの端部で折り返されてスリーブ本体部120bの外周側に配置された第1折り返し部120aと、から構成される。
【0077】
第1折り返し部120aは、チューブ110の径方向D
R外側に位置するスリーブ本体部120bと接着されている。具体的には、スリーブ本体部120bと第1折り返し部120aとの間には、接着層240が形成され、この接着層240によって、スリーブ本体部120bと第1折り返し部120aとが接着されている。ここで、接着層240には、スリーブ120を構成するコードの種類によって適切な接着剤を用いればよい。
なお、本発明においては、接着層240は、必須ではなく、第1折り返し部120aは、スリーブ本体部120bと接着されていなくてもよい。
【0078】
かしめ部材230は、封止部材210の胴体部211の外径よりも大きく、胴体部211に挿通された上で治具によってかしめられる。かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。具体的には、かしめ部材230は、胴体部211に挿通されたチューブ110、スリーブ本体部120b、及び第1折り返し部120aをかしめる。つまり、かしめ部材230は、チューブ110、スリーブ本体部120b及び第1折り返し部120aを封止部材210と共にかしめる。
【0079】
(2.2)実施形態1−2
図6は、実施形態1−2に係る封止機構200を含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。以下、実施形態1−1との相違点について主に説明する。
実施形態1−2では、スリーブ120の第1折り返し部120aと、かしめ部材230との間には、シート状の弾性部材が設けられる。具体的には、第1折り返し部120aとかしめ部材230との間には、ゴムシート250が設けられる。ゴムシート250は、円筒状の第1折り返し部120aの外周面を覆うように設けられる。ゴムシート250の種類は特に限定されないが、チューブ110と同様の種類のゴムなどを用いることができる。かしめ部材230は、ゴムシート250も含めて、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。
【0080】
(2.3)実施形態1−3
図7は、実施形態1−3に係る封止機構200を含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。
実施形態1−3では、実施形態1−1の接着層240に代えてゴムシート260が用いられる。ゴムシート260は、シート状の弾性部材であり、スリーブ本体部120bと、第1折り返し部120aとの間に設けられる。ゴムシート260には、ゴムシート250と同様の種類のゴムを用いることができる。
【0081】
(2.4)実施形態2−1
図8は、実施形態2−1に係る封止機構200Aを含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。
【0082】
実施形態2−1では、実施形態1の封止機構200に代えて、封止機構200Aが用いられる。封止機構200と封止機構200Aとの相違点は、封止部材210のような第1小径部214が形成されていないことである。
封止機構200Aは、封止部材210A、第1係止リング220A及びかしめ部材230Aによって構成される。
【0083】
封止部材210Aの胴体部211Aには、チューブ110が挿通される。封止部材210Aには、封止部材210のような第1小径部214が形成されていないため、第1係止リング220Aの外径は、胴体部211Aの外径よりも大きい。このため、第1係止リング220Aは、鍔部212Aとかしめ部材230Aとによって係止される。
【0084】
また、第1係止リング220Aの外径が胴体部211Aの外径よりも大きいため、かしめ部材230Aは、鍔部212Aと当接しない。すなわち、スリーブ120が折り返された第1係止リング220Aの部分は、外部に露出する。さらに、第1係止リング220Aの外径が胴体部211Aの外径よりも大きいため、実施形態1の第1係止リング220のように分割されていなくてもよい。
【0085】
なお、スリーブ本体部120bと第1折り返し部120aとの間には、実施形態1−1と同様に、接着層240が形成される。
【0086】
(2.5)実施形態2−2
図9は、実施形態2−2に係る封止機構200Aを含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。以下、実施形態2−1との相違点について主に説明する。
実施形態2−2では、スリーブ120の第1折り返し部120aと、かしめ部材230Aとの間には、シート状の弾性部材が設けられる。具体的には、第1折り返し部120aとかしめ部材230Aとの間には、ゴムシート250Aが設けられる。ゴムシート250Aは、実施形態1−2のゴムシート250と同様に、円筒状の第1折り返し部120aの外周面を覆うように設けられる。
【0087】
(2.6)実施形態2−3
図10は、実施形態2−3に係る封止機構200Aを含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。
実施形態2−3では、実施形態2−1の接着層240に代えてゴムシート260が用いられる。ゴムシート260は、実施形態1−3と同様に、シート状の弾性部材であり、スリーブ本体部120bと、第1折り返し部120aとの間に設けられる。
【0088】
(2.7)実施形態3−1
図11は、実施形態3−1に係る封止機構200Bを含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。実施形態3(3−1及び3−2)では、2つの係止リングが用いられる。
【0089】
図11に示すように、封止機構200Bは、封止部材210B、第1係止リング220B、かしめ部材230B及び第2係止リング270によって構成される。
【0090】
このように、封止機構200Bは、第1係止リング220Bに加えて第2係止リング270を有する。第2係止リング270は、胴体部211Bの径方向D
R外側であって、第1係止リング220Bよりもアクチュエータ本体部100の軸方向D
AXにおける中央側の位置において、スリーブ120を係止する。
【0091】
具体的には、封止部材210Bは、胴体部211Bの外径よりも小さい外径を有する第2小径部216Bを有する。
【0092】
第2係止リング270は、第2小径部216Bの径方向D
R外側に配置される。第2係止リング270の内径は、胴体部211Bの外径よりも小さいことが好ましい。なお、第2係止リング270の外径も、胴体部211Bの外径よりも小さくてもよい。これにより、第2係止リング270は、第2小径部216Bによって係止される。
【0093】
スリーブ120は、第2係止リング270を介して折り返された第2折り返し部120cを有する。第2折り返し部120cは、第1折り返し部120aに連なっている。つまり、第2折り返し部120cは、前記第1折り返し部120aにおける軸方向D
AXの端部で折り返されて第1折り返し部120aの外周側に配置されている。
具体的には、スリーブ120は、第1係止リング220Bを介して、アクチュエータ本体部100の軸方向D
AXにおける中央側に折り返されることによって第1折り返し部120aを形成する。さらに、スリーブ120は、第1折り返し部120aがアクチュエータ本体部100の軸方向D
AXにおける端部側に折り返されることによって第2折り返し部120cを形成する。
【0094】
かしめ部材230Bは、胴体部211Bに挿通されたチューブ110、チューブ110の径方向D
R外側に位置するスリーブ本体
部120b、第1折り返し部120a、及び第2折り返し部120cを、封止部材210Bと共にかしめる。
【0095】
スリーブ本体
部120bと、第1折り返し部120aとの間には、実施形態1−3と同様のゴムシート260が設けられる。
【0096】
また、第1折り返し部120aと、第2折り返し部120cとの間にもシート状の弾性部材が設けられる。具体的には、第1折り返し部120aと第2折り返し部120cとの間には、ゴムシート280が設けられる。ゴムシート280は、円筒状の第1折り返し部120aの外周面を覆うように設けられる。
【0097】
さらに、第2折り返し部120cと、かしめ部材230Bとの間には、実施形態1−3のゴムシート250と概ね同形状のゴムシート290が設けられる。ゴムシート290は、円筒状の第2折り返し部120cの外周面を覆うように設けられる。
【0098】
(2.8)実施形態3−2
図12は、実施形態3−2に係る封止機構200Cを含む空気圧式アクチュエータ10の軸方向D
AXに沿った一部断面図である。以下、実施形態3−1との相違点について主に説明する。
【0099】
実施形態3−2では、第1小径部214B及び第2小径部216Bが形成されていない封止部材210Cが用いられる。
【0100】
封止部材210Cは、胴体部211Cを有する。封止部材210Cには、封止部材210Bのような第1小径部214B及び第2小径部216Bが形成されていないため、第1係止リング220Cの内径及び第2係止リング270Cの内径は、胴体部211Cの外径よりも大きい。
【0101】
かしめ部材230Cは、軸方向D
AXにおいて、第1係止リング220Cと第2係止リング270Cとの間に位置する。すなわち、スリーブ120が折り返された第1係止リング220Cの部分及び第2係止リング270C部分は、外部に露出する。
【0102】
なお、第1折り返し部120aと第2折り返し部120cとの間には、実施形態3−1のゴムシート280と概ね同形状のゴムシート281が設けられる。また、スリーブ120の第2折り返し部120cと、かしめ部材230Cとの間には、実施形態3−1のゴムシート290と概ね同形状のゴムシート291が設けられる。
【実施例】
【0103】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0104】
(チューブの作製)
高ニトリルNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム、JSR株式会社製「N220S」)45質量部、中高ニトリルNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム、JSR株式会社製「N230S」)35質量部、BR(ブタジエンゴム、宇部興産株式会社製「UBEPOL(登録商標)BR150」)20質量部、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シースト3」)50質量部、ステアリン酸(新日本理化株式会社製「ステアリン酸50S」)1質量部、老化防止剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」)2質量部、樹脂(日本ゼオン株式会社製「クレイトン100」)10質量部、可塑剤(新日本理化株式会社製「サンソサイザーDOA」)8質量部、亜鉛華(ZnO、白水化学工業株式会社製「亜鉛華3号」)5質量部、硫黄(鶴見化学工業株式会社製「Sulfax Z」)1質量部、加硫促進剤CBS(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ」)1質量部、加硫促進剤TOT(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTOT−N」)2質量部、をバンバリーミキサーで混練りしてゴム組成物を調製した。
【0105】
得られたゴム組成物を押出し成形機で加工することにより、長さ300mmの円筒形状のチューブを作製した。作製したチューブの外径と厚みを表1に示す。
【0106】
(スリーブの作製)
表1に示す仕様のアラミド繊維コード64本を編み込んで作製した網目状で、円筒状のスリーブを用意した。なお、各アラミド繊維コードは、原糸のアラミド繊維に下撚りをかけ、更に上撚りを掛けて作製した。また、このスリーブは、横断面において円周上にアラミド繊維コードが64本観察される網目状筒状体であった。
なお、スリーブは、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された32本のアラミド繊維コードと、この32本のアラミド繊維コードと斜交するとともに、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された他の32本のアラミド繊維とが交互に編み込まれてなる網目状筒状体であり、
図3(a)に示すように、各コード群のコードの二本ずつが交互に交錯して構成され、且つ交錯する位置が1本ずつずれて構成されていた(斜文織(綾織))。
各スリーブ、並びに、各スリーブを構成するコードの仕様を表1に示す。
【0107】
(アクチュエータの作製)
前記チューブと前記網目状のスリーブとを用いて、
図1及び
図2に示す構造のアクチュエータを作製した。アクチュエータに組み込まれたチューブの作動流体としては、空気を用いた。作製したアクチュエータのスリーブを構成するコードの角度、並びに、アクチュエータの耐久性を、以下の方法で評価した。
【0108】
<スリーブを構成するコードの角度の評価方法>
アクチュエータの軸方向に対してスリーブを構成するコードがなす角度は、以下のように算出した。
(1)該当部分を写真撮影する。
(2)写真の焦点が合い、解析に十分な画質が確保できるアクチュエータの中央部(アクチュエータの収縮時には、スリーブの最大径に対して、スリーブの径がマイナス5%の範囲までの領域)を選択する。
(3)この部分において、封止機構の中心を結ぶ直線と、スリーブを構成するコードと、がなす角度を測定する。
(4)5点を評価して、平均をとり、測定値する。
なお、コードの角度は、無負荷且つ無加圧状態と、規定の荷重と空気圧(内圧)をかけたアクチュエータの収縮時と、において測定し、表中では、前者を「初期コード角度Θ
1」と標記し、後者を「収縮時コード角度Θ
2」と標記した。
【0109】
<スリーブを構成するコードの間隙の総面積(S2)の評価方法>
空気圧5MPaで、スリーブを構成するコードの、アクチュエータの軸方向に対する平均角度が45度となるように、アクチュエータにかける荷重を調整して、「スリーブを構成するコードの角度の評価方法」と同様に、写真撮影を行い、コードの間隙の総面積(S2)を測定した。該値(S2)を用いて、アクチュエータ本体部の外表面の面積(S1)の値から、比(S2/S1)を算出し、表中では、「収縮時空隙率(S2/S1)」と標記した。なお、コードの角度の実測においては、誤差範囲を±1度とした。
【0110】
<アクチュエータの耐久性の評価方法>
作動流体として空気をチューブ内に注入した。チューブ内の作動流体の圧力が0MPaと5MPaとをそれぞれ3秒ごとに繰り返すように作動流体の注入操作を行い、チューブに亀裂が入りアクチュエータの機能を発現できなくなるまでの回数を測定した。実施例1の回数を100として、指数表示した。指数値が大きい程、耐久性が高いことを示す。
また、故障形態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A: コードに直接接触する部分におけるチューブの損傷による故障
B: コードに直接接触しない部分におけるチューブの損傷による故障
C: コードの切断による故障
【0111】
【表1】
【0112】
表1から、本発明に従う空気圧式アクチュエータは、高い耐久性を有することが分かる。