(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸気捕集部分に空気を送出するように前記蒸気生成要素の前記第1の表面から横断方向に間隔を空けられたプレナムチャンバを通る第1の移送部分と、前記蒸気捕集部分から空気を集めるように前記蒸気生成要素の前記第2の表面から横断方向に間隔を空けられたプレナムチャンバを通る第2の移送部分とを含む少なくとも二つの移送部分を備える、請求項2に記載のアトマイザ。
前記気化チャンバを二つ以上の領域に分ける少なくとも一つ以上の仕切り壁であって、前記領域の各々が前記空気流路の蒸気捕集部分に対応する、少なくとも一つ以上の仕切り壁を備える、請求項5〜7のいずれか一項に記載のアトマイザ。
前記少なくとも一つ以上の仕切り壁が、前記気化チャンバから前記プレナムチャンバ又は一つ以上のプレナムチャンバを分離する分離壁から前記気化チャンバ内に延在する、請求項8に記載のアトマイザ。
前記分離壁又は各分離壁が、前記気化チャンバから、関係したプレナムチャンバの前記分離を実行するように、前記アトマイザ内に挿入するためのプレートを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアトマイザ。
前記蒸気生成要素が少なくとも一つ以上の開口を含み、空気が、前記少なくとも一つ以上の開口を通って、前記第1の表面から前記第2の表面を通るように、前記空気流路の前記蒸気捕集部分又は各蒸気捕集部分内を移動することができる、請求項2、又は請求項2に従属する請求項3〜10のいずれか一項に記載のアトマイザ。
前記蒸気生成要素が、加熱によって蒸気を生成するように構成された加熱要素であり、前記多孔性シートが、金属繊維の織物ウェブ、又は不織ウェブから形成された導電性の多孔性シートである、請求項2に記載の、又は請求項2に従属する場合の請求項3〜15のいずれか一項に記載のアトマイザ。
前記蒸気捕集部分内を移動する空気の滞留時間を変え、その結果、前記蒸気捕集部分内で空気によって捕集される蒸気のエアロゾルの液滴の大きさを制御するために使用者によって動かされるように構成された一つ以上の可動要素をさらに備える、請求項1〜16のいずれか一項に記載のアトマイザ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について本書において論じられ説明されている。しかし、特定の例及び実施形態におけるいくつかの態様及び特徴は、従来一般に具現化されている場合もあり、それらは簡略化するために詳細には論じることも説明することもしない。したがって、詳細に説明していない本書で論じた装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来技術に従って具現化され得ることは理解されたい。
【0014】
上記のように、本開示は、(限定するものではないが)eシガレット等の電子エアロゾル又は蒸気供給システムに関する。以下の説明を通じて、「eシガレット」及び「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、これらの用語はエアロゾル(蒸気)供給システム又はデバイスと互換的に使用することができることを理解されたい。同様に、「エアロゾル」は、特に、デバイスの最終的な消費可能な生成物に関しては、使用者が吸入するための空気流で運ばれる「蒸気」と互換的に使用することができる。
【0015】
図1は、eシガレット10等の例示的なエアロゾル/蒸気供給システムの非常に概略的な図(正確な縮尺ではない)である。eシガレット10は略円筒形で、破線によって示された長手方向軸線に沿って延在し、二つの主要なコンポーネント、即ち制御又は電源コンポーネント又はセクション20と、蒸気生成コンポーネントとして動作するカートリッジ集合体又はセクション30(カトマイザ又はクリアマイザと称される場合もある)とを備える。
【0016】
カートリッジ集合体30は、エアロゾルを生成するための、例えばニコチンを含有する液体配合物から成る原料液体を収容するリザーバ3を含む。一例として、原料液体は、約1〜3%のニコチン及び50%のグリセロールを含み、残部には、概ね等量の水とプロピレングリコールが含まれ、また場合により香味料等の他の成分も含まれる。リザーバ3は貯蔵タンクの形態をしており、液体がタンクの範囲内で自由に移動し流れるように原料液体を貯蔵することができる容器又は受け器である。或いは、リザーバ3は、詰め綿又はガラス繊維等の、多孔性構造内で原料液体を保持する吸収性材料を収容したものでもよい。リザーバ3は、原料液体が使い尽くされた後に使い捨てができるように製造中に充填された後に封止されてもよく、或いは、新しい原料液体を追加することができる入口ポート又は他の開口部を有してもよい。カートリッジ集合体30はまた、原料液体の気化によってエアロゾルを生成するための、リザーバタンク3の外部に配置された電気蒸気生成要素4を備える。多くの装置では、蒸気生成要素は、電流が通ることによって(抵抗加熱又は誘導加熱により)加熱されて、原料液体が蒸発するまで原料液体の温度を上昇させる加熱要素(ヒーター)であってもよい。或いは、蒸気生成要素は、例えば、圧電効果を使用して、高周波数(例えば、超音波周波数)で振動して原料液体から蒸気を生成してもよい。ウィック又は他の多孔性要素(図示せず)等の液体導管構成体が、原料液体をリザーバ3から蒸気生成要素4に送るために設けられてもよい。ウィックは一つ以上の部分を有し、この部分は、吸上げ又は毛管作用によって、原料液体を吸収して、その原料液体を蒸気生成要素4と接しているウィックの他の部分に移送させることができるように、リザーバ3の内部に配置されている。以って、この液体は気化され、ウィックによって蒸気生成要素4に移送される新しい原料液体によって置き換えられる。
【0017】
ヒーターとウィックの組合せ、又は同じ機能を果たす部分の他の構成体は、アトマイザ又はアトマイザ集合体と称されることがあり、その原料液体を有するリザーバ及びアトマイザはエアロゾル供給源と総称されることがある。様々な設計が可能であり、その部品は
図1の非常に概略的な図と比較して異なる配置とされる場合もある。例えば、ウィックは、蒸気生成要素とは完全に別個の要素であってもよく、又は蒸気生成要素は、多孔性であり、吸上げ機能を直接実行することができるように構成されてもよい(例えば、金属メッシュ)。蒸気生成機能と吸上げ機能とが単一の要素に組み合わされているこの後者のタイプの構成体については下記でさらに説明する。場合によっては、蒸気生成のために液体を送るための導管は、リザーバと蒸気生成要素との間の、リザーバから原料液体を引き出してそれを気化するために送るように毛管作用を維持するのに十分狭い一つ以上のスロット、チューブ、又はチャネルから少なくとも部分的に形成されてもよい。一般に、アトマイザは、送られてきた原料液体から蒸気を生成することができる蒸気生成又は気化要素、及び毛管力などによってリザーバ又は類似の液体貯槽から毛管力等によって蒸気生成器に液体を送る又は移送することができる液体導管(通路)であると考えることができる。
【0018】
典型的には、アトマイザは、電子タバコを通る空気流チャネルの一部を形成する容積部又はチャンバ内に配置される。アトマイザによって生成された蒸気は、この容積部内に押し出され、空気がこの容積部を通過し、蒸気生成要素の上及び周りを流れると、空気は蒸気を捕集して必要なエアロゾルを形成する。この容積部は、気化チャンバと呼ぶことができる。
【0019】
図1に戻ると、カートリッジ集合体30はまた、蒸気生成要素4によって生成され、空気流チャネルを通って送られたエアロゾルを使用者が吸入するところである開口又は空気出口を有する吸い口35を含む。
【0020】
電源コンポーネント20は、eシガレット10の電気コンポーネント、特に蒸気生成要素4に電力を供給するための電池又はバッテリー5(以下「バッテリー」と称し、これは再充電可能であるものとすることができる)を含む。さらに、eシガレットを全体的に制御するためのプリント回路基板28及び/又は他の電子機器若しくは回路がある。システム10を吸引しているときは、電源コンポーネント20の壁の一つ以上の空気入口26を通して空気が流入して空気流チャネルに沿って流れるが、制御電子機器/制御回路は、例えば、このシステム10を吸引していることを検出する空気圧センサ又は空気流センサ(図示せず)からの信号に応答して、蒸気が必要とされるときに蒸気生成要素4をバッテリー5に接続する。蒸気生成要素4がバッテリー5から電力を受け取ると、蒸気生成要素4は、リザーバ3から送られた原料液体を気化してエアロゾルを生成し、次いでこれは吸い口35の開口を通して使用者によって吸引される。使用者が吸い口35を吸うと、エアロゾルは、空気入口26をエアロゾル供給源、そして空気出口に接続する空気チャネル(図示せず)に沿って、エアロゾル供給源から吸い口35に移送される。したがって、電子タバコを通る空気流路は、アトマイザに通じる少なくとも一つの空気入口(電源コンポーネント内にあってもよいし、なくてもよい)と、吸い口の空気出口に至るところとの間に形成される。使用時には、この空気流路に沿った空気流の方向は空気入口から空気出口への方向であり、その結果、アトマイザは空気入口の下流且つ空気出口の上流にあると説明することができる。
【0021】
この特定の例では、電源セクション20とカートリッジ集合体30とは、
図1の実線の矢印で示すように、長手方向軸線と平行な方向に分離することによって互いに取り外すことのできる別個の部品である。コンポーネント20,30は、デバイス10が使用されているときに、電源セクション20とカートリッジ集合体30との間を機械的に且つ電気的に接続する協働係合要素21、31(例えば、ねじ式又はバヨネット式の接続具)によって一体に接合される。しかしながら、これは単なる例示的な構成であり、様々なコンポーネントが電力セクション20とカートリッジ集合体30との間で種々配置されてもよく、他のコンポーネントや要素が含まれてもよい。二つのセクションは、
図1に示されるように、長手方向の形態において端部と端部が互いに接続するものであってもよく、又は、平行な並列配置等の別の形態であってもよい。システムは、略円筒形であってもよいし、略円筒形でなくてもよく、及び/又は、概ね長尺な形状であってもよいし、そうでなくてもよい。セクションの一方又は両方は、使い尽くされたとき(例えば、リザーバ又はバッテリーが空になったとき)に処分されて、交換されることが想定される場合があり、或いは、リザーバを再充填する、バッテリーを再充電する、又はアトマイザを交換する等の行為によって複数回の使用が可能とされることが想定される場合がある。或いは、eシガレット10は、二つ以上の部分に分離することができない一体型のデバイス(使い捨て式又は詰替え式/充電式)であってもよく、その場合、すべてのコンポーネントは単一のボディ又はハウジング内に包含される。本発明の実施形態及び例は、当業者にとり公知であるこれらの形態及び他の形態のいかなるものにも適用可能である。
【0022】
本書では、用語「ヒーター」及び「加熱要素」を使用することがあるが、文脈が特に加熱動作を示しているのでなければ、これらの用語は、一般に、蒸気生成要素を指し、振動によって動作するもの等、他のタイプの蒸気生成要素を含むことを理解すべきである。
【0023】
上述のように、電子タバコの噴霧部分(原料液体から蒸気を生成するように構成された部分)に利用することができる加熱要素等の蒸気生成要素のタイプは、電気伝導性(電気抵抗性)と多孔性の両方によって、加熱と液体送出の機能が組み合わさっている。これに適する材料の例としては、シート形式、即ち長さ又は幅の数分の一の薄さの平面形状を有する細かいメッシュ、ウェブ、格子、又は類似の形態に形成された金属又は金属合金等の電気伝導性材料がある。メッシュは、一緒に織られた、或いは、不織構造物に凝集した金属ワイヤ又は繊維から形成されてもよい。例えば、繊維は、焼結によって凝集されてもよく、その際、金属繊維の集合体に熱及び/又は圧力が加えられて単一の多孔性の塊に圧縮する。
【0024】
これらの構造物は、金属繊維間に適当な大きさの空所及び隙間を与えて、液体を吸い上げるための毛管力を与えることができる。また、金属は電気伝導性があり、したがって、電気抵抗を有する材料を通って流れる電流が熱を生成する抵抗加熱に適している。しかしながら、このタイプの構造物は金属に限定されるものではなく、他の導電材料が繊維に形成されて、メッシュ、格子、又はウェブ構造物に形成されてもよい。例としてはセラミック材料が含まれ、セラミック材料には、メッシュの物理的性質を調整することを意図した物質を加えてもよいし、加えなくてもよい。
【0025】
この種の平面シート状の多孔性加熱要素は、空気流の方向に並行な向きの空気流チャネルの気化チャンバ部分内にあるように、電子タバコ内に配置することができる。したがって、空気は、加熱要素の両側にわたって流れて、蒸気を集める。以って、エアロゾルの生成は非常に効率的になされる。原料液体のリザーバ3は、環状の形状を有することができ、気化チャンバを取り囲み、管状の壁によって気化チャンバから分けられている。加熱要素は、気化チャンバの幅にわたって延在し、分割壁を通過する、又は壁の隙間に載る縁によって定位置に支持される。このように、加熱要素の縁部分は、リザーバ内部と接触して配置され、毛管作用によってそれから液体を捕集することができる。液体は、加熱要素のより中央部分に引き込まれる。電流が通ることができるように加熱要素を電気接続すると、加熱要素の多孔性構造物に保持されている液体を気化するのに必要な熱を発生する。蒸気は、空気流チャネルに沿う空気の流れによって捕集するための気化チャンバ内に送られる。或いは、加熱電流は、蒸気生成要素に侵入する高速交流磁場を電磁石が発生させる必要がある電磁誘導によって生成された渦電流を含む。
【0026】
図2は、この形式の例示的なアトマイザの様々なコンポーネントの分解斜視図である。
図3〜
図6は、異なる組立段階における、
図2に示したコンポーネントの斜視図である。
【0027】
アトマイザ160は、第1のキャリアコンポーネント(第1の部分)101及び第2のキャリアコンポーネント(第2の部分)102を備える。これらの二つのコンポーネント101、102は、平面状の加熱要素103を支持する役割を担い、これに関しては、加熱要素クレードルを提供するとも言うことができる。したがって、
図2に示された第1及び第2のコンポーネント101、102は、便宜上、また、図に示された向きを考えると、上部クレードル101及び下部クレードル102とも称することができる。アトマイザ160は、加熱要素103、加熱要素103の第1の端部に接続するための第1の電気接触要素104、及び加熱要素103の第2の端部に接続するための第2の電気接触要素105をさらに備える。
【0028】
上部及び下部クレードルコンポーネント101、102は、剛性、及び、高温、例えば摂氏230度程度に対する耐性を改善するために、ガラス繊維を多く(例えば50%)含むプラスチック材料から成形することができる。それぞれ上部及び下部クレードルコンポーネントは、大まかに言えば、略半円形の断面である(下記でさらに論じるように、大きさ、及び長さに沿った形状の変形はあるが)。各クレードルコンポーネントには、その長さに沿って延在する凹部120(
図2には、下部クレードルコンポーネント102に対してのみ見えている)が設けられており、それは、そうでなければ平坦な面になっていたところに設けられている。その結果、下記でさらに論じるように、クレードルコンポーネントが加熱要素103を挟むように合わさって一緒になると略管状の形状のクレードルを形成し、それは、管の内部を通る(それぞれの凹部120によって画定された)空気流通路を有し、加熱要素103はその中に配置される。二つの凹部120によって形成された空気流路は、アトマイザ160の気化チャンバを備える。
【0029】
第1及び第2の電気接触要素104、105は、シートメタル材料から形成することができ、このシートメタル材料としては、例えば、従来の製造法による装置の他の要素の形状及び構成を考慮した適切な形状に形成された銅片が含まれる、又は、従来の可撓性配線を含むことができる。
【0030】
平面状の加熱要素103は、焼結金属繊維材料から形成され、概して、シートの形態である。しかしながら、他の多孔性の導電材料も同様に使用することができることは理解されたい。この特定の例では、加熱要素103は、それぞれの電気接触要素104、105に接続するために各端部に電気接点延長部103Bを有する主要部分103Aを備える。この例では、加熱要素の主要部分103Aは、約20mmの長手方向の寸法(即ち、電気接点延長部103B間の方向)、及び約8mmの幅の略矩形である。長手方向の寸法は、気化チャンバを通る空気流の方向に相当する(他の例において、長手方向の寸法が、加熱要素の最も長い寸法である必要はないことに留意されたい)。この例の加熱要素103を含むシートの厚さは約0.15mmである。
図2で分かるように、加熱要素103の略矩形の主要部分103Aは、長い方の側面(長手方向に平行な側面)のそれぞれから内側に延びるスロットの形態の複数の開口を有する。スロットは、約4.8mmだけ内向きに延在し、約0.6mmの幅を有する。内向きに延在するスロットは、加熱要素の各側で約5.4mmだけ互いに離れており、両側から内向きに延在するスロットは、この間隔の約半分だけ互いにずれている。言い換えれば、スロットは長手方向に沿って互い違いに配置される。加熱要素のスロットをこの構成にした結果、加熱要素に沿う電流は、事実上、曲がりくねった経路を強制的にたどらされ、その結果、スロットの端部の周りに電流が集中、したがって電力が集中する。加熱要素の種々の位置で電流/電力密度が異なると、相対的に低い電流密度の領域より熱くなる相対的に高い電流密度の領域ができる。これは、加熱要素に異なる温度の領域を提供して温度勾配を増大させ、これはエアロゾル供給システムという文脈においては望ましい場合がある。これは、原料液体の異なる成分が異なる温度でエアロゾル化/気化することができ、したがって、加熱要素をある温度範囲にすることによって、原料液体中のある範囲の異なる成分を同時にエアロゾル化する助けとなり得るからである。
【0031】
次に、電子タバコ10のカートリッジ集合体30で使用するためなどのアトマイザ160を提供するために
図2の示したコンポーネントを組み立てるプロセスを
図3〜
図6を参照して説明する。
【0032】
図3で分かるように、第1及び第2の電気接触要素104、105は下部クレードルコンポーネント102に取り付けられており、加熱要素103は、それを定位置に置く準備ができた下部クレードルコンポーネント102の上に示されている。第2の電気接触要素105は、下部クレードルコンポーネント102の第2の端部(
図3の向きでは最も左端)に取り付けられている。第2の電気接触要素105の一端には、加熱要素103の電気接点延長部103Bの一方を受け入れるための第2の電気接触要素クランプ部105Aが設けられ、一方、第2の電気接触要素105の他端は、図に示されているように、下部クレードルコンポーネント102から離れるように延在している。第1の電気接触要素104は、凹部120の壁と隣り合う下部クレードルコンポーネント102の長さに沿って通るように取り付けられている。第1の電気接触要素104の一端は、図に概略的に示すように、下部クレードルコンポーネント102の第2の端部から離れるように延在している。第1の電気接触要素104の他端には、加熱要素103の電気接点延長部103Bの他方を受け入れるための、下部クレードルコンポーネント102の第1の端部(
図3では最も右端)に配置された第1の電気接触要素クランプ部105Aが設けられている。
【0033】
下部クレードルコンポーネント102の上面は、上記の加熱要素のスロット、及び対応した位置にある上部クレードル101の穴(図示せず)と位置合わせされた複数の位置決めペグ110を備えている。これらの位置決めペグは、組み立てるときに、上部クレードル101を下部クレードル102と位置合わせすることを助けるため、及び、加熱要素103を上部及び下部クレードル102に対して位置合わせすることを助けるためのものである。
【0034】
図4は、第1及び第2の加熱接触要素104、105を含む下部クレードル102に取り付けられた加熱要素103を示す。加熱要素103は、位置決めペグ110が加熱要素103のスロットと位置合わせされた状態で、下部クレードルの上面に置くだけで、下部クレードルに取り付けられる。下部クレードル102の上面のわずかに高い部分は、加熱要素103の各端部の電気接点延長部103Bの近くに位置決め壁111を提供して、加熱要素を位置合わせすることをさらに助ける。この例では、位置決め壁は、加熱要素の大きさよりわずかに離れており、位置決めペグは、スロットの大きさよりわずかに小さいので、加熱要素は、水平面で全体的にわずかに、例えば、約0.1mmだけ自由に動ける。これによって、加熱要素の使用時の熱膨張及び収縮が許容されて座屈を避ける助けとなる。第1及び第2の電気接触要素クランプ部104A、105Aは、加熱要素103の各端部の電気接点延長部103Bのそれぞれの周りを締め付けるように折り曲げられ、したがって、下部クレードルコンポーネント102から離れるように延在している電気接触要素104、105の部分と加熱要素103の端部との間を電気接続させる。この例では、電気接触要素104、105と加熱要素103との間の電気接続は、物理的な接触だけによっているが、他の実施形態では、他の技法、例えば、溶接又は半田付けが用いられてもよい。
【0035】
図5は、
図4に示されたように組み合わされた下部クレードルコンポーネント102、第1及び第2の電気接触要素104、105、並びに加熱要素103を示すが、他のクレードルコンポーネント101は、下部クレードルコンポーネントに取り付けられようとしていることが示されている。
【0036】
図6は、アトマイザ160を組み立てるために下部クレードルコンポーネント102(及び
図4に示された他の要素)に取り付けられた上部クレードルコンポーネント101を概略的に示す。上部クレードルコンポーネント101は、下部クレードルコンポーネントの位置決めペグ110を上部クレードルコンポーネント101の対応する位置決め穴(図示せず)と位置合わせして一緒になるように置くだけで下部クレードル102に取り付けられる。
図4及び
図5で分かるように、位置決めペグ110にはそれぞれ、肩部110Aが設けられている。肩部110Aは、位置決め壁111の高さに匹敵する下部クレードルコンポーネント102の上面より高いが、加熱要素103の厚さよりわずかに高い。肩部110Aは、加熱要素のスロット内に入るような大きさ及び配置になっている。しかしながら、上部クレードルの対応する位置決め穴は位置決めペグを受け入れるだけの大きさで、それらの肩部を受け入れる大きさではない。したがって、上部クレードルコンポーネント101が下部クレードルコンポーネント102に取り付けられたとき、それらは、肩部110A及び位置決め壁111の高さに相当する隙間200だけ離れている。この隙間は、加熱要素の厚さよりも広く、したがって、加熱要素は、上部クレードルコンポーネントと下部クレードルコンポーネントとの間で、その場に固定されて締め付けられるのではなく、ゆるく挟まれている。上記のように、加熱要素のこのゆるい取付けによって、使用中での加熱要素の熱膨張及び収縮が許容される。
【0037】
したがって、組み立てられたアトマイザ160は略管状で、上部及び下部キャリアコンポーネントのそれぞれの凹部120によって画定された気化チャンバを形成する中央通路を有し、中央通路は、完成した電子タバコの空気入口と空気出口とを接続する、アトマイザを通る空気流路を提供する。使用時、アトマイザ160は、原料液体のリザーバによって環状に取り囲まれている。隙間200は、リザーバと流体連通しており、したがって、加熱要素103の両側に沿って延在する毛管チャネルを提供し、原料液体は毛管チャネルを通ってリザーバから加熱要素に引かれる。使用中、原料液体は加熱要素の細孔に入って気化して気化チャンバ120内で蒸気を生成する。使用者が電子タバコ10を吸うと、通過する空気が蒸気を捕集してエアロゾルを生成して気化チャンバから引き出され、電子タバコ10を通る空気流路のさらなる部分に沿って空気出口を通って出る。
【0038】
アトマイザは、電子タバコに取り付けられるとき、上流から下流端までアトマイザを通る空気流の方向に相当する加熱要素の長手方向の寸法が、
図1の例等の端部と端部が互いに接続するデバイス用の電子タバコの長手方向軸線、又は、カートリッジの側面に配置された電源コンポーネントを有する並列デバイスの少なくともカートリッジコンポーネントの長手方向軸線に平行になるように位置合わせされるように配置することができる。しかしながら、これは必須ではなく、本説明では、用語「長手方向」は、アトマイザの寸法及び向き、特に、アトマイザの上流端におけるアトマイザ入口から、気化チャンバを通って、アトマイザの下流端におけるアトマイザ出口までの空気流路に沿った加熱要素の寸法を指すことが意図されている。
【0039】
図7は、使用時の例示的なアトマイザ160の、非常に簡略化した長手方向の横断面図である。ここで、この断面は加熱要素103の平面に直交する。上部及び下部クレードルコンポーネント101及び102(又は、気化チャンバを形成し、ヒーターを支持する類似のハウジング)は、取り囲んでいるリザーバ3からアトマイザ160の内部を分ける外壁を形成する。その内部は気化チャンバ120を形成する。縁が示されている加熱要素103は、長手方向に気化チャンバ120を通って延在し、上記のように気化チャンバ内に蒸気を生成する。気化チャンバ120の上流端(図の左)は、電子タバコを通る空気流チャネルの上流部と接続して一つ以上の空気入口からつながる。気化チャンバ120の下流端(図の右)は、空気チャネルの下流部と接続して、吸い口の空気出口につながる。気化チャンバの両端は、加熱要素103の両側で開いている。したがって、使用者が空気出口を通して吸うと、少なくとも一つの入口を通って引き入れられた空気は気化チャンバ120に入り、長手方向経路をたどり、遠端で再合流して空気出口まで移動する前に、平面状の加熱要素103の両側にわたって流れることができる。これは、図において矢印Aによって示されている。したがって、気化チャンバ120を通って加熱要素の表面にわたる経路長さは比較的長く、それは、加熱要素103の全長を事実上含む。したがって、流れる空気は多量の蒸気を捕集することができ、この蒸気は凝縮してエアロゾルの液滴を形成する。気化チャンバの上流端において形成された液滴は、気化チャンバ/加熱要素の全長を移動しなければならず、この移動中に過大な大きさに成長することがある。
【0040】
これに対処するために、気化チャンバを通る移動長さを短縮するように空気流路を変える一方、例えば、平面状の多孔性のヒーターの形態によって与えられた比較的大きなヒーター表面から達成可能な高レベルの蒸気発生を保つように所与のヒーター及び気化チャンバの形状を維持したままにすることが提案されている。空気流路を移動するいかなる空気分子も、蒸気を捕集することができる領域(ヒーターによって蒸気が供給される気化チャンバの領域)で費やす時間量を短縮するように空気流路は修正される。この時間は、T=D/Vで与えられる滞留時間又は保持時間Tである。ここで、Dは蒸気捕集領域を通る流路長さ、Vはこの経路に沿う空気の流速である。例えば、eシガレットの典型的な吸入から生じる所与の空気の流速に対して、経路長さを短縮することによって滞留時間を短縮することができる。様々な実施形態では、空気流路は、空気が、(例えば、
図7の構成のような)修正されていない形状と比べてより短い又はより小さい気化チャンバの領域又は容積部を通って流れるように構成される。いくつかの構成では、滞留時間を短縮し、したがって、液滴の大きさを小さくしながら、できるだけ多くの生成された蒸気にアクセスするように、複数のより小さな空気流路を気化チャンバの異なる領域に設けることができる。どちらの場合にも、蒸気の捕集が起きる空気流路の部分又は各部分は、気化チャンバの全容積部よりも小さな気化チャンバの容積部を占める。
【0041】
図8は、空気流路が修正されたアトマイザの簡略化した断面図であり、この場合も、この断面はヒーターの平面に直交する。空気流Aは、まだ、アトマイザの上流端から下流端まで概ね長手方向に沿っているが、加熱要素103の第1(図の上方)の側103aから加熱要素103の反対側の第2(図の下方)の側103bに加熱要素103を通過するように曲げられている。したがって、この場合、空気流路は、加熱要素103を横切る概ね横断セクション40を含む。この横断部分40の前後は、空気流路の長手方向部分42、44である。
【0042】
空気流路を修正することに加えて、下記でさらに説明するように、流れる空気が蒸気を捕集することができる気化チャンバ120を通る割合を減少させる。したがって、エアロゾル液滴が過剰に成長する機会は限定され、最大の液滴の大きさをより小さく保つことができる。これは、蒸気の捕集を、加熱要素を通る横断通路を含む空気流の部分に少なくとも部分的に限定し、他のところでの蒸気の捕集を最小限にすることによって達成される。したがって、空気流路の横断セクション40は蒸気捕集部分と呼ばれ、空気流路の長手方向セクション42、44は移送部分と呼ばれ、空気は、エアロゾルの比率に大きな変化なしに移送部分に沿って流れる(ここでは、蒸気捕集部分よりも捕集される蒸気が少ない)。
【0043】
空気流路の異なる部分の間の蒸気捕集のこの違いを達成するために、流路の移送部分に沿って流れる空気が、気化チャンバ120内の蒸気に曝されることを減らすように、物理的な構造物をアトマイザ160に導入することができる。これら構造物は、空気流を曲げて加熱要素103を通る横断流を生成し、アトマイザの内部を仕切って、気化チャンバ120とは異なる領域を提供する働きをする。
【0044】
これらの物理的な構造物は、
図2〜
図6の例のようなアトマイザ内に挿入するための別個のコンポーネントを備えることができる、又は、例えば、上部及び/又は下部クレードルコンポーネント101、102の内面に成形された表面機能部のように、アトマイザのコンポーネントと一体的に形成することができる。
【0045】
したがって、実施形態において、一つ以上のプレナムチャンバがアトマイザ内に設けられる。各プレナムチャンバは、壁又は他の構造物によって気化チャンバ120から分離されているが、気化チャンバ120及び/又は加熱様子103の長手方向の範囲内にあり、加熱要素の一方又は他方の表面103a、103bから横断方向に離間している。プレナムチャンバは、上流側からアトマイザ160に入る空気を受け入れる、又は、アトマイザ160の下流側において空気を送り出す。また、プレナムチャンバは、空気を横断蒸気捕集部分40に送る、又は横断蒸気捕集部分40からのエアロゾル搬送空気を集めるように、気化チャンバ120と連通している。プレナムチャンバを気化チャンバ120から分離することによって、プレナムチャンバの蒸気のレベルは低くなり、その結果、空気のエアロゾルの比率は、プレナムチャンバを通ることによって大きく変わらない一方、空気は、それでも、概ね下流の長手方向に流れて空気入口から吸い口出口に移動する。
【0046】
図9は、プレナムチャンバを備えたアトマイザの簡略化した断面図であり、アトマイザの内部に分割壁を追加すると、どうのように、空気流路を曲げて横断部分を生成し、また、気化チャンバから分離されたプレナムチャンバを生成するかを示している。この簡単な例では、二つのプレナムチャンバがある。第1のプレナムチャンバ122は、加熱要素103の第1の上側103aから間隔を空けて配置され、空気は、アトマイザ160を通る空気流路の第1の移送部分42において第1のプレナムチャンバ122を通って移動し、第2のプレナムチャンバ124は、加熱要素103の第2の下側103bから間隔を空けて配置され、空気は、アトマイザ160を通る空気流路の第2の移送部分44において第2のプレナムチャンバ124を通って移動する。移送部分と移送部分との間には空気流路の横断部分40があり、空気は、そこで、加熱要素によって生成された蒸気を捕集するように加熱要素103を通過することを含めて気化チャンバ120を通る。
【0047】
第1のプレナムチャンバ122は、アトマイザ160の入口端からアトマイザ160の長さに沿った中間点まで長手方向に延在する分離壁126を境界とし、その壁は、加熱要素130及びアトマイザ160の上部外壁101の両方から横断方向に間隔を空けて配置されている。加熱要素103の上面103aと分離壁126との間の領域は、加熱要素103から追い出された蒸気を貯めることができ、したがって、気化チャンバ120の部分のままである。分離壁126と外壁101の内面との間の領域は、蒸気が多く入らないように守られており、以って、空気が少量の蒸気を捕集して移動することができるプレナムチャンバ122を形成する。空気が分離壁126の端に達すると、プレナムチャンバを出て、気化チャンバ120に入って、経路の蒸気捕集部分40で蒸気を捕集する。入ってくる空気をプレナムチャンバ122に向けるために、及び気化チャンバ120に入らないようにするために、端壁128は、プレナムチャンバ122内への入口を除いて、アトマイザ160の上流端を閉じている。
【0048】
同様に、第2のプレナムチャンバ124は、アトマイザ160の長さに沿った中間点からアトマイザ160の出口端まで延在する分離壁132を境界とし、その壁は、加熱要素103及びアトマイザ160の下部外壁102の両方から横断方向に間隔を空けて配置されている。加熱要素103の下面103bと分離壁132との間の領域は、気化チャンバ120の一部を形成し、一方、分離壁132と下部外壁102の内面との間の領域は、第2のプレナムチャンバ124を形成する。空気は、蒸気捕集部分44を横断した後、気化チャンバ120を出て、第2のプレナムチャンバ124に入り、アトマイザ160の下流端を出る前に、空気は、第2のプレナムチャンバ124を通って第2の移送部分44において少量の蒸気を捕集して移動する。第2の端壁130は、第2のプレナムチャンバ124からの出口を除いて、アトマイザの下流端を閉じて、空気が第1のプレナムチャンバ122を出て、空気流路の蒸気捕集部分40及び第2の移送部分44に入るように曲げる助けとなっている。
【0049】
図9の例は特に単純であり、必要な空気流路を形成するためにより複雑な構造物をアトマイザ内に配置することができる。
【0050】
図10は、さらなる例示的なアトマイザ160の長手方向の断面図である。この例は、空気を、気化チャンバのより大きな部分を横断させて蒸気を捕集させることによって、平面状の加熱要素によって生成された蒸気量をよりよく利用するように構成されている。しかしながら、
図7のような、エアロゾルの液滴が成長する危険性を伴う、気化チャンバを通る単一の長い空気流路ではなくて、
図10の例は、気化チャンバを通る複数の平行なより短い空気流路を提供する。入ってくる空気は複数の流れに分けられ、それぞれが、気化チャンバ120及び加熱要素103の異なる部分を通るそれ自体の横断蒸気捕集部分40を有し、次いで、再合流してアトマイザを出る。したがって、加熱要素103の実質的な長手方向の範囲からの蒸気捕集を可能にしながらも、長い流路が回避されている。過大な液滴の大きさを避けながら、又は小さくしながら、より多量のエアロゾルが送出される。
【0051】
図10の例は、気化チャンバ120からプレナムチャンバ122、124を分ける二つの分離壁126、132が、上流端壁128から下流端壁130までのアトマイザ160の全長を延在するという点で、
図9の例とは異なる。さらに、各分離壁126、132は、長手方向の寸法に沿って間隔を空けて配置された複数の隙間134を有する。上部分離壁126の各隙間134は、第1のプレナムチャンバ122から気化チャンバ120内への出口であり、下部分離壁132の各隙間134は、気化チャンバ120から第2のプレナムチャンバ124内への入口である。したがって、電子タバコ内に引かれて入ってくる空気Aは、アトマイザに達して、第1のプレナムチャンバ122に入る。空気の一部分は、第1の隙間134を通って第1のプレナムチャンバ122を出て気化チャンバ120に入り、残った空気は長手方向に流れ続けて第2の隙間134に行き、第2の隙間134で、さらなる部分が気化チャンバ120に出て、同様に続く。この例では、各分離壁には四つの隙間134があるが、必要に応じて異なる数の隙間を使用することができる。上部分離壁126の隙間134は、入ってくる空気流を四つの部分に分ける働きをし、それぞれ、第1の側103aから第2の側103bまで加熱要素103を通る個別の横断蒸気捕集経路40をたどる。第2の分離壁132の対応する隙間134によって、空気の各部分は、気化チャンバ120を出て、第2のプレナムチャンバ124に入ることができ、ここで、四つの部分は、単一の流れに再合流し、アトマイザを出て、吸い口まで進む。空気流の各部分は、各プレナムチャンバの異なる長さを流れ、したがって、第1及び第2の異なる量の移送経路42、44を経るが、各部分に対して、移送経路42、44の全長(第1の移送経路と第2の移送経路の和)はほぼ同じである。
【0052】
図11は、
図9又は
図10の例として構成されたアトマイザの横断方向の断面図である。これは、アトマイザ160の略円形の断面を示し、分離壁126、132は、アトマイザ106の外壁101、102の外向きの湾曲の反対方向に内向きに湾曲して、プレナムチャンバ122、124を略卵形の断面にする、略弓形の断面を有するように構成することができることを示している。横断空気経路Aは、第1のプレナムチャンバ122から気化チャンバ120を通って第2のプレナムチャンバ124に流れていることを示している。しかしながら、これは単なる例であり、分離壁126、132は、外壁101、102と同様にその他の形状(例えば、平坦な形状等)であってもよい。外壁と分離壁は、例えば、単一片に成形して一体的に形成されてもよい。或いは、分離壁は、例えば、外壁101、102の内面に形成されたスロット、又はその他の受け入れて支える凹部に滑り込ますことによってアトマイザに挿入されるプレートとして形成されてもよい。
【0053】
図12は、さらなる例示的なアトマイザの横断方向の断面図である。この例では、各プレナムチャンバ122、124内にさらなる分離壁135が設けられて、チャンバを二つの小さなプレナムチャンバに細分し、二つの小さなプレナムチャンバは、加熱要素103の平面に実質的に平行で長手方向に直交する方向に隣り合っている。空気は両方のプレナムチャンバに入ることができ、それによって、入ってくる空気流を、
図10の例の長手方向に離間した隙間134によって与えられた区画に直交する第2の寸法離間した半分の二つの空気流Aに分割することができる。したがって、気化チャンバでの蒸気の捕集は、加熱要素の幅の寸法にわたって分散される(ここで、「幅」は、長手方向に直交する方向を示しているに過ぎず、加熱要素のこれらの二つの寸法のいかなる相対的な大きさも意味していない)。また、さらなるプレナムチャンバを生成するようにさらなる細分化を行うことができ、それぞれが、気化チャンバに接続する、長手方向に離間した任意の数の隙間を有することができる。また、ある程度の細分化部は、さらなる分離壁135の必要とすることなく、長手方向に直交して間隔を空けて配置された分離壁126、132の隙間だけによって設けることができる。したがって、アトマイザを通る空気流路は、複数の横断蒸気捕集経路40に分割され、加熱要素103の領域にわたって長さ及び幅の両方向に分散されて蒸気の捕集を最大化することができる。
【0054】
ここまでの例は、プレナムチャンバを気化チャンバから分離して所望の空気流路を形成するために、物理的な構造物による比較的簡単な仕切りを有する。使用者が吸って必要な方向に沿って空気を引くとき、ある程度、電子タバコを通る空気チャネル全体に沿った圧力差への依存がある。気化チャンバは主として開放容積部であり、場合によっては、空気は、第1のプレナムチャンバから第2のプレナムチャンバまで加熱要素を通る最短経路を採らないことがある。いくつかの横方向の移動が(加熱要素にほぼ平行な平面で)起こる場合があり、これは、気化チャンバでのより長い滞留時間、及びエアロゾルの液滴が望まない大きさに増大する機会を与える。
【0055】
したがって、他の例は、より厳密に所望の少なくとも一つの経路に沿った流れを維持するために流れている空気をさらに案内し、及び/又は、空気の横方向の移動を制限するために気化チャンバを仕切る物理的な構造物を含むことができる。これらの構造物は、バッフル、ベーン、壁、フィン、ブレード、凹部、空洞、又は他の形態を採ってもよい。
【0056】
図13は、このように構成された例示的なアトマイザの長手方向の断面図である。簡単にするために、各プレナムチャンバ壁126、132に単一の隙間134を示すこの例では、傾斜壁136が、隙間134の後ろの第1のプレナムチャンバ122を閉じている。これは、すべての空気を気化チャンバ内に向け、第1のプレナムチャンバ122の閉じられた下流端に空気が集まることを止めている。同様に、傾斜壁138が、隙間134の上流で第2のプレナムチャンバ124を閉じて、空気が第2のプレナムチャンバの上流端に入ることを止めて、空気を下流端の空気出口の方に向ける。これらの壁を傾斜させることは、いくらかの空気力学効果を与えて、空気流をより滑らかにする。さらに、バッフル140が、隙間134の縁に設けられて、気化チャンバ内にわずかに突出している。これらは、空気が横方向に移動することを防いで、より多くの空気が、第1のプレナムチャンバ122から、気化チャンバ120を通る横断経路を経て、第2のプレナムチャンバ124までの所望の経路を採ることを確実にする。
【0057】
図14は、仕切られた気化チャンバで構成された例示的なアトマイザの長手方向の断面図である。この例においてプレナムチャンバ122、124を形成する分離壁126、132はそれぞれ、気化チャンバ120と接続する三つの隙間134を有する。さらに、仕切り壁142は、隣り合う隙間134のそれぞれの対の間にある分離壁126、132から気化チャンバ120内に延在して、横断蒸気捕集経路40のそれぞれに対して一つ以上の独立した領域に気化チャンバを細分する。この例の各仕切り壁134は加熱要素103の近くに達するが、接触はしない。これは、加熱要素103からの直接熱伝達によって仕切り壁142が加熱されることを減じることができる。他の例では、気化チャンバ領域を互いから隔離するために、仕切り壁が加熱要素103に接触することを許容できる場合がある。これに代えて、又はこれに加えて、仕切り壁142は、分離壁126、132からではなく、アトマイザの側壁又は端壁から気化チャンバ内に延在してもよい。加熱要素の幅にわたって離間した横断経路に対して、この寸法で離間した仕切り壁があり得る。仕切り壁142は、成形等によって様々な他の壁と一体的に形成されてもよく、又は別個に製作されて後で組み立てられてもよい。例えば、仕切り壁は、それらの縁又は交点で接続されて、各横断経路に対して一つ以上の複数の独立したセルを画定する単一の要素であってもよく、それは、
図2〜
図6の例等のアトマイザのコンポーネントを組み立てるときに加熱要素の上及び下に置かれるだけである。或いは、仕切り壁は分離壁を形成するプレートから突出してもよく、それは、気化チャンバの上部又は下部に挿入するための単一の要素となる。
【0058】
図15は、加熱要素103の幅にわたって離間した仕切り壁142を有するアトマイザ106の横断方向の断面を示す。
【0059】
図16Aは、加熱要素の上又は下のどちらかで気化チャンバを分割し、気化チャンバに10個の領域を与えるための第1の例示的なインサート仕切り壁144の斜視図である。インサート144の壁142はそれらの交点で接続される。
図16Bは、三つの領域を提供し、インサートの周囲で接続された壁142を有する第2の例示的なインサート仕切り要素144の斜視図である。壁142の形状及び相対位置は、アトマイザの他の部分の形状に合わせるためにこれらの例とは異なってもよいことは明らかである。上記のように、仕切れ壁142は、プレナムチャンバを画定するための分離壁126、132を形成するためのプレートに支持されてもよい。このようなプレートは、
図16Aの仮想線で示されている。仕切り壁は、分離壁を形成するプレートの表面から延在するフィン又はベーンとして考えることができ、ここで、プレートは平坦であってもよいし、湾曲、弓形、又はその他の凹状、凸状等、平坦でなくてもよい。
【0060】
上記の例は、限定するものとして考えるべきではない。プレナムチャンバを気化チャンバから分けるための、気化チャンバを仕切るための、空気を所望の流路に沿って案内するための、空気流を滑らかにするための、及び「行き止まり」になる可能性のあるところを閉じるための物理的な構造物の多くの他の形状は、当業者にとっては容易に明らかとなり、これらは、本開示の範囲内であると考えられる。
【0061】
上記のように、
図2〜
図6のデバイスの平面状の加熱要素等の蒸気生成要素は、多孔性のシート状の材料を含む。したがって、空気は、細孔を通って蒸気生成要素を通過して、アトマイザを通る空気流路の横断蒸気捕集部分を流れることができる。個々の細孔の大きさ、細孔の密度(空隙率)、及び蒸気生成要素の厚さは、どの程度の容易さで空気が加熱要素を通って引かれるか、したがって、どの程度の困難さで使用者が電子タバコを吸わなければならないかを決める要因である。この必要な吸引力は「吸込み抵抗」として知られている。場合によっては、多孔性のシートの構造物は、大きすぎると考えられる吸込み抵抗を生じることがある。使用者は、電子タバコを通して空気を引くために不都合な力を使って吸う必要がある。したがって、いくつかの例では、蒸気生成要素が、細孔に加えて、(シートの一方の側から他方の側への貫通穴)一つ以上の開口を備えることが提案されている。
【0062】
これらの開口は、一つ以上を設けることができ、シート加熱要素の平面に、多孔性シート材料の細孔の最大の幅より大きな少なくとも一つ以上の寸法を有する。或いは、開口の大きさは、開口又は各開口の断面積が、多孔性シート材料の細孔の最大断面積より大きくなるように選択することができる。或いは、開口の寸法又は断面積が、多孔性シート材料の細孔の平均幅又は平均断面積よりも大きいと定めることはより都合がよいことがある。例えば、開口の大きさ(寸法又は断面積)は、最大の、又は平均の細孔の幅又は細孔の断面積より、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は少なくとも100倍大きくなるように指定してもよい。より小さい細孔に対するより大きな少なくとも一つの開口のこの比によって、加熱要素の多孔性構造物の吸上げ特性を保ちながら、空気は加熱要素をより容易に通過することができる。
【0063】
また、開口の全断面積を考えることもできる。電子タバコを吸うときに快適に吹かすことができるように、また、加熱要素の前後の圧力降下を比較的小さくするために、加熱要素のすべての開口の全断面積を少なくとも0.5mm
2にすることが提案されている。これは、加熱要素を横切る、横断方向に流れる空気に提案される開口の面積である。
【0064】
図2〜
図6の例示的なアロマイザに戻ると、加熱要素103には、二つの長い方の縁から内向きに延在するスロットが設けられている。これらのスロットは、歯110を使用してクレードルコンポーネント101、102内に加熱要素103を位置合わせするために使用され、また、蛇行電流経路を生成して、加熱されたとき、ある範囲の温度を要素から生成するためにも使用されるが、これらは、空気が加熱要素をより容易に通るための開口としても使用することができることが提案されている。
【0065】
一例として、
図2のアトマイザが約20mmの長手方向の寸法と約8mmの幅を有することができることは上述されている。スロットは、約4.8mm内向きに延在し、約0.6mmの幅を有することができる。したがって、六つのスロットの全断面積は、6×4.8mm×0.6mm=17.28mm
2であり、(スロット面積のいくらかがクレードルコンポーネントの支持壁によって閉ざされているときでさえ)上記で提案した下限の0.5mm
2を楽々と超えている。
【0066】
開口の他の大きさ、形状、位置、及び量は、望むように使用されてもよい。
図17は、加熱要素103の長さに沿って2列に配置されたほぼ円形の八つの開口150を有する例示的な加熱要素の平面図である。開口150は、
図17のように列同士で位置合わせされてもよく、又は、
図18に示すように二つの列に沿って互い違いになっていてもよい。開口は円形である必要はなく、他の形状を使用してもよい。2列より多く、又は単一の列を使用してもよい。例えば、
図19は、加熱要素の中央に沿った単一の列のスロット状の開口150を有する加熱要素103の平面図である。開口のこれらの様々な配置は、
図2のスロットの例のように、電流経路を蛇行状に曲げるが、各場合でその経路は異なる。開口は、電流経路、及びその結果生じる加熱要素の加熱プロファイルを適合させるように、且つ所望の数の平行に横断する空気経路及び所望の吸込み抵抗となるように選ぶことができる。
【0067】
(
図13〜
図16の例等の)仕切り壁と加熱要素の開口の両方を備えたアトマイザでは、仕切り壁は、開口を参照して、例えば、一つ以上の開口に対して一つ以上の気化チャンバを与えることによって、気化チャンバを仕切るように配置することができる。
【0068】
図20は、
図2の例等のスロットのある加熱要素103の平面図であり、点線は仕切り壁142の可能な位置を示している。以って、気化チャンバは六つの領域に分割され、それぞれがスロット150のうちの一つ以上と一致する。プレナムチャンバを形成する分離壁は、各領域/開口と位置合わせされた隙間を備えて、空気流路の蒸気捕集部分のそれぞれに沿って空気を移動させるために、空気を気化チャンバ領域に、また気化チャンバ領域から送る。加熱要素がアトマイザクレードルに取り付けられると、スロット150の外側端部は、位置合わせ歯、及びクレードル壁の支持縁部によって塞がれるので、空気は、スロット150の湾曲した内側端部を通過する。
【0069】
図21は、
図2の例のようなスロットのある加熱要素103のさらなる例の平面図であり、実線は仕切り壁142の位置を示す。各壁は、スロット150の基部から隣り合うスロット150の基部まで加熱要素103を延在するようにある角度で配置され、加熱要素が気化チャンバの壁を通過してリザーバ内に達するところを示す破線によって示されるように気化チャンバの縁に達する。このように、個々のスロットに対応する気化チャンバの各セクションは、空気が別のセクションに流れることができないように他のセクションから独立している。壁142は、空気が、スロット150と位置合わせされた上部分離壁の隙間134を通って上部プレナムチャンバを出て、スロットを通って流れる(図の左の収束する矢印によって示されている)ような形状及び構成である。スロットを通ると、空気流は広がって、下部プレナムチャンバに入る(図の右の発散する矢印によって示されている)ように、これもスロットと位置合わせされた下部分離壁の一つ以上の隙間134によって集めることができる。空気流は、二つのスロットに対してだけ示されているが、実際には、空気は、あらゆるスロットによって収束、発散し、各スロットに対応する蒸気捕集部分への空気の送達及び集合は、各プレナムチャンバの分離壁の隙間によって可能になる。二つだけが点線によって図に示されている隙間134の形状に留意されたい。各隙間は、対応するスロット150の湾曲した端部を反映し、それにならう、スロットとは重ならない弓形の輪郭を有する。言い換えれば、隙間の縁は、スロットの端部から、プレナムチャンバからの空気流路、及びプレナムチャンバへの空気流路に沿った空気流のおおよその方向にずらされている。上部分離壁では、隙間の縁は上流の空気流の方向にずらされ、下部分離壁では、隙間の縁は下流の空気流の方向にずらされている。このように、空気は、蒸気捕集部分に沿って傾斜した経路を採ることができ、ヒーターの一部分を横切る方向に概ね向けられ、その結果、隙間とスロットが重なっている場合に生じ得る、スロットを真直ぐに通る垂直方向の経路と比べて、より多くの蒸気を捕集するための機会を有する。仕切り壁142に沿った縁、及び気化チャンバの縁(破線)を含む他の縁では、隙間はこれらの縁をたどる。好ましいものであれば、他の形状の隙間を使用してもよい。隙間の縁は、例えば、壁から内向きに離間してもよく、湾曲した縁は、異なる形状のスロット端部と一致するように異なる形状であってもよい。
【0070】
上記の例では、蒸気生成要素の上と下の両方に一つ以上のプレナムチャンバを使用することを提案した。しかしながら、提案した修正空気流路は、少なくともある程度、蒸気生成要素の一方の側だけに設けられたプレナムチャンバで支えることができる。したがって、アトマイザは、蒸気生成要素の上又は下のどちらかに単一のプレナムチャンバ、蒸気生成要素の各側に一つ以上のプレナムチャンバ、或いは一方の側に少なくとも二つのプレナムチャンバ、他方の側にゼロ又は一つ以上以上のプレナムチャンバを備えてもよい。蒸気生成要素の各側に異なる数のプレナムチャンバを設けてもよい。例えば、アトマイザの上流側の複数のプレナムチャンバは、入ってくる空気流を、蒸気生成要素を横切るように複数の横断空気流に分ける働きをすることができ、一方、下流側の単一のプレナムチャンバは、これらの複数の空気流を集めて再合流させてアトマイザから出力することができる。
【0071】
上記の例は、上流のプレナムチャンバを加熱要素の上にして、下流のプレナムチャンバを加熱要素の下にすることを提案したが、反対の配置を使用することができ、使用者が任意の角度に回転して保持することができる組み立てられた電子タバコという文脈では、「上」及び「下」という概念はなくなる。したがって、より一般的な用語「蒸気生成要素の第1の側」及び「蒸気生成要素の第2の側」がより適切であり、ここでは、二つの側は互いに反対側にある。アトマイザの上流の入口端とアトマイザの下流の出口側は、蒸気生成要素の両側と流体連通するように構成され、どちらかを、第1の側か第2の側に関係付けることができる。同様に、平面状の蒸気生成要素は、第1の側に第1の表面、及び第2の側に第2の反対側の表面を有する。
【0072】
本開示の例によるアトマイザで使用するのに適した加熱要素等の平面状の多孔性の蒸気生成要素は、多孔性材料のより大きなシートから打抜き又は切断(レーザ切断等)によって必要な形状に形成することができる。これは、上記のような開口を生成するための材料の打抜き、切断、又はその他除去を含むことができる。
【0073】
加熱要素は、例えば、ステンレス鋼の繊維等の金属繊維を含む不織焼結多孔性ウェブ構造物である導電材料から作ることができる。例えば、ステンレス鋼はAISI(American Iron and Steel Institute、アメリカ鉄鋼協会)316L(欧州規格1.4404に相当)であってもよい。この材料の重量は、100〜300g/m
2の範囲とすることができる。その空隙率は50%より大きくてもよく、又は70%よりも大きくてもよい。ここで、空隙率は、材料の単位体積当たりの空気体積であり、50%より小さい、又は30%より小さい密度がこれに対応する。ここで、密度は、材料の単位体積当たりの繊維の体積である。材料の厚さは75〜250μmの範囲とすることができる。典型的な繊維の直径は約12μmとすることができ、典型的な細孔の平均の大きさ(繊維間の空間の大きさ)は約32μmとすることができる。このタイプの材料の例としては、ステンレス鋼繊維を焼結して作られた多孔性不織繊維マトリックス材料の範囲にある、NV Bekaert、Belgiumによって製造されるベキポア(Bekipor)(登録商標)ST多孔性金属繊維媒体がある。
【0074】
本開示は、このような材料から作られた加熱要素に限定されるものではなく、多孔性セラミック材料を含む平面状の多孔性導電材料から作られた加熱要素に広く適用可能である。また、振動によって蒸気を生成するのに適した材料も、蒸気生成要素の動作状態に応じて適宜使用することができる。材料は平面状として説明されているが、これは、シート材料及び加熱要素の相対的な寸法(厚さが、長さ及び/又は幅の数分の一)ことを言っており、特にこの材料から作られた最終的な加熱要素が平坦であることを必ずしも示しているわけではないことにも留意されたい。加熱要素は平坦であってもよいが、その代わりに、シート材料から、湾曲した、波形の、しわの寄った、うね状の、又はその他の凹状、凸状等、平坦でない形状に形成されてもよい。また、実施形態は、平面状でなく、むしろ、円筒形(例えば、セラミックから成形)、又は細長いコイルとして構成された蒸気生成要素で実施されてもよい。横断空気流が蒸気捕集部分に流れることができるのに十分開いた構造物又は開口を含むことができるが、そうでないと、空気流は加熱要素を通過することができない。また、各要素が気化チャンバの容積部の異なる部分に蒸気を供給するように、例えば、列に配置された、二つ以上の蒸気生成要素が含まれてもよい。
【0075】
上記の例は、主に、空気流路の蒸気捕集部分が横断方向であり、蒸気生成要素を通過し、空気流路の移送部分が長手方向であり、加熱要素の平面に実質的に平行であるが、それから間隔を空けて配置された構成体に限られていた。しかしながら、これらの条件はどちらも必要ではなく、これらの空気流の構成の一方又は両方がなくても、蒸気捕集の滞留時間を短縮することができる。
【0076】
図22は、さらなる例示的なアトマイザ160の長手方向の断面図であり、プレナムチャンバを通る空気流路の少なくとも一部分(少なくとも一つの移送部分)は、ヒーター103の平面に対して長手方向ではない。この例は、
図10のアトマイザと類似しているが、プレナムチャンバ122及び124が、漏斗形を形成する内部壁によってさらに形づくられている。上部プレナムチャンバ122の長手方向部分は、プレナムチャンバの空気Aが、一方又は他方の漏斗に入ることができ、首部に沿って長手方向と実質的に直交する方向に流れてヒーター103に向かうように、二つの漏斗200の首部に接続する。漏斗首部は、分離壁126まで延在する傾斜壁によって形成された漏斗口につながり、分離壁126には、いくつかの隙間134が前述したように画定されている。各漏斗口は、一つ以上のプレナム漏斗200内を移動する空気が、三つの部分に分けられて気化チャンバ120及びヒーター103を通って移動するように、(この例では)三つの隙間134を含む。したがって、各漏斗は三つの蒸気捕集部分を与える。ヒーター103の第2の側では、第2の分離壁128は対応する隙間134の組を有して、蒸気捕集部分からの空気を集めて、第1のプレナムチャンバ122の漏斗の反対側に配置された第2のプレナムチャンバ124の第2の対の漏斗200の口の中に、なおも直交方向に空気を移動させることができる。第2の漏斗200は、空気がアトマイザ160を出るように長手方向に流れる第2のプレナムチャンバ124の共通通路内に空気を吐出する漏斗の首部に収束する。したがって、この例では、プレナムチャンバ内の空気流(アトマイザを通る空気流の移送部分)の一部分は、長手方向でない方向をたどる。プレナムチャンバを、移送部分に対して、空気流路に長手方向以外の方向を与え、一方、それでもなお空気を少なくとも一つの蒸気捕集部分に送出し、空気を少なくとも一つの蒸気捕集部分から集める様々な異なる構成に容易に形づくり構成することができることは理解されたい。したがって、本開示は、アトマイザのコンポーネントの向きに対する移送部分の空気流の方向に関して限定するものではない。
【0077】
図23は、さらなる例示的なアトマイザ160の長手方向の断面図であり、ここでは、蒸気捕集部分の空気流路は蒸気生成要素を通過しない。この例では、気化チャンバ120は、主に、ヒーター103の第1の側だけに画定され、単一のプレナムチャンバ122もヒーター103の第1の側に設けられている。分離壁126は、第1及び第2の隙間134を有し、その結果、アトマイザ101に入る空気Aは、アトマイザを出るまで、第1の移送部分42のプレナムチャンバに沿って流れ、第1の隙間134を出て気化チャンバ120に入り、蒸気捕集部分40で気化チャンバ120を通って移動し、第2の隙間134を通ってプレナムチャンバ122に引き戻されて、プレナムチャンバ122の第2の移送部分44に沿って流れる。このように、空気は加熱要素103の上側だけに留まり、加熱要素103を通って流れない。バッフル140は、隙間134の端から気化チャンバ120内に延在して、空気流を意図した経路に沿うように向ける助けとなる。この形式のプレナムチャンバを、加熱要素103の第2の側に鏡像となるように反映して第2の空気流路を設けることができる。ここでもまた、蒸気捕集部分が加熱要素を通る横断空気流を含まない、アトマイザを通る空気流を供給する他の方法でプレナムチャンバを形づくり構成することができることは理解されたい。
【0078】
したがって、様々な例では、蒸気捕集部分の空気流は、加熱要素を通って横断してもよく、加熱要素の一方の側に留まってもよく、或いは加熱要素を通り過ぎて、又はその周りを流れて一方の側から別の側に移動してもよい(例えば、コイルの周りの空気流)。
【0079】
使用者が、空気流路の蒸気捕集部分を修正することによって(移送部分をこれに対応して修正することもある)、アトマイザのエアロゾルの供給を調節することができることも考えられる。滞留時間を変えるように蒸気捕集部分を変える場合、捕集される蒸気の量、及び/又は形成することができるエアロゾルの液滴の大きさは使用者の好みにしたがって調節することができる。これは、例えば、空気流路の長さを変える、それに対応して滞留時間を変えるように蒸気捕集部分の再構成を可能にすることによって達成することができる。或いは、プレナムチャンバから気化チャンバにつなげる分離壁の隙間の大きさ等、空気流路の穴を変えると、空気が蒸気捕集部分に入るときの空気の速度を変えることができ、それもまた、滞留時間を変えることになる。一つ以上の可動又はその他調節可能なコンポーネント又は要素を、この制御を達成するために設けることができる。
【0080】
図24は、エアロゾルの液滴の大きさを調節することができるように構成された簡単な例示的なアトマイザ160の長手方向の断面図である。気化チャンバ120内につながる分離壁126の単一の隙間134を有する上部プレナムチャンバ122が設けられ、これも単一の隙間134aを有して、空気が蒸気捕集部分を移動した後に気化チャンバ120から空気を集める下部プレナムチャンバ124と対になる。しかしながら、上部分離壁126の隙間134と類似の大きさの隙間134aは、下部プレナムチャンバ124を形成する分離壁128の表面にわたって長手方向に沿って滑ることができる滑りプレート202に配置される。分離壁128は、滑りプレート202の隙間134aより長手方向の範囲が長いさらなる隙間134bを有しており、その結果、プレートが動かされて、隙間134aの位置が変わっても、この隙間は、気化チャンバ120から下部プレナムチャンバ124内に開いている。このように、隙間134aは、蒸気捕集部分が比較的短い経路長さを有するような、上部プレナムチャンバ122からの第1の隙間134に近い上流位置から、蒸気捕集部分がより長い経路長さを有するような、第1の隙間134から離れた下流位置まで動かすことができる。中間の経路長さを選択するために中間の位置を使用することができる。したがって、蒸気捕集部分の経路長さを変えることができ、それに相応して滞留時間、したがってエアロゾルの液滴の大きさを調節することができる。滑りプレート202は、電子タバコの外側にある(機械式又は電気式の)使用者制御部に機械的に結合されて、使用者がその位置を調節することができる。
【0081】
同様に、上部分離壁126の隙間134を覆うように滑る滑りプレートを設けて、隙間の大きさを変えることができるように隙間を部分的に覆ったり開けたりすることができ、これは、蒸気捕集部分に沿う空気流の速度を変えて滞留時間を変える助けとなる。
【0082】
使用者が経路長さ及び/又は空気流の速度を調節することによって滞留時間を変えるための代替の実施方法は明らかであろう。アトマイザを通る空気流路を再構成ために様々な可動要素を使用することができることを想定することができる。
【0083】
いずれの例においても、分離壁、いずれの仕切り壁、及びいずれの他のバッフル、ベーン、フィン、ブレード、空洞なども、空気流路を曲げ、修正し、及び/又は分割して、これらの物理的な構造物がない同じチャンバと比べて、気化チャンバ内の空気の滞留時間を短縮する働きをする、気化チャンバに配置された物理的な構造物として考えることができる。
【0084】
一般に、アトマイザを通る空気流路は、アトマイザを通って流れる空気の気化チャンバ内の滞留時間を短縮するように、一つ以上のプレナムチャンバを画定する一つ以上の構造物(壁など)によって気化チャンバから分離された少なくとも一つ以上の部分を有する。前記構造物がない場合、気化チャンバに対する滞留時間はより長くなり、それによってエアロゾルの液滴はより大きな大きさに成長する。したがって、これらの構造物は、空気流路の一部をプレナムチャンバに留めて、液滴の大きさを小さくする、又は制御するように働く。
【0085】
平面状の多孔性ヒーターを通る横断空気流構成体を使用して液滴(粒子)の大きさを小さくすることを得ることができることを示す実験結果が得られた。
【0086】
図25は、二つの空気流構成体から測定されたデータのプロットを示す。各構成体に対して、液滴(粒子)の平均直径が測定された。データ点53は、
図7に示した構成と類似の、ヒーター表面に実質的に平行で、ヒーターの全長にわたって流れる空気流に対して構成された、
図2〜
図5に示したタイプの平面状の多孔性ヒーターを使用して得られた粒子直径である。測定された平均直径は1096.7nmであった。これに対して、データ点54は、空気流が横断方向をたどってヒーターを通過するようの構成されたことを除いて、「53」の構成体と同じように動作するように構成された、実質的に同一の平面状の多孔性ヒーターを使用して得られた粒子直径である。測定された平均直径は516.7nmであった。したがって、この場合は、空気を多孔性ヒーターの表面にわたって流す代わりに、空気を多孔性の平面状のヒーターを通過させることによって蒸気捕集部分が短縮されて構成された空気流路は、液滴の大きさを半分より小さくすることができる。
【0087】
図26は、三つの動作試験のそれぞれに対して、「53」平行空気流構成体に対して測定された粒子直径の発生頻度のグラフを示す。このデータは、上記の1096.7nmの平均値を与え、装置の複数の動作にわたって、液滴の大きさがかなりよく一致していることを示している。
【0088】
図27は、これに対応した、「54」横断空気流構成体に対して測定された粒子直径の三つのグラフを示す。このデータは、上記の516.7nmの平均値を与え、装置の複数の動作にわたって、液滴の大きさが一致していることも示している。したがって、横断空気流から達成された、観測された液滴の大きさのほぼ50%の減少は、現実的で繰返し可能な効果であると考えられる。
【0089】
上記の滞留時間の短縮に加えて、横断空気流から液滴の大きさがより小さくなることは、いくつかの他の効果のいずれか又はすべてから生じ得る。平面状の多孔性ヒーターを通る流れは、液滴(粒子)が凝集する機会、したがって、より大きな液滴を形成する機会を減らす。また、ヒーターの多孔性構造物を通る流れは、ヒーター表面に垂直な方向に液滴が形成されることへの抵抗力を発生する。液滴が小さければ小さいほど受ける抵抗は小さく、それによって、より大きな液滴よりも容易に空気流に巻き込まれる。形成するいかなる大きな液滴も、横断空気流を導くように設けられた物理的な構造物(例えば、プレナムチャンバの壁)に衝突し、以って、空気流から除去され得る。
【0090】
上記の例によるアトマイザは、カトマイザ又はクリアマイザ等のエアロゾル生成コンポーネント(再使用可能又は使い捨て可能)の一部として含まれて、バッテリーセクションに取外し可能に結合して、電子タバコ又は他の(電子又は非電子)蒸気供給デバイスを形成してもよい、或いは取外し可能又は分離可能なコンポーネントを備えない電子タバコ又は他の(電子又は非電子)蒸気供給デバイスに直接組み込まれてもよい。
【0091】
本書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は、実施形態の単なる代表的な例として供され、すべての実施形態を網羅するものでもなければ、他の実施形態を排除するものでもない。本書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されたように本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、或いは特許請求の範囲に対する均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段など等の適切な組合せを適切に含み、それらのみから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。