(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水添ロジン酸メチル以外のロジンは、重合ロジン、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、アクリル酸変性不均化ロジン、水添ロジン、不均化ロジン及び水添ロジングリセリンエステルからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項3に記載のフラックス。
前記はんだ粉末は、U:5質量ppb未満、Th:5質量ppb未満、Pb:5質量ppm未満、As:5質量ppm未満、Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下、及びFe:0質量ppm以上100質量ppm以下、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式を満たし、かつ、α線量が0.02cph/cm2以下であるはんだ合金からなる、請求項13に記載のソルダペースト。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を以下により詳しく説明する。
本明細書において、はんだ合金組成に関する「ppb」は、特に指定しない限り「質量ppb」である。「ppm」は、特に指定しない限り「質量ppm」である。「%」は、特に指定しない限り「質量%」である。
【0015】
(フラックス)
本発明の一態様に係るフラックスは、ソルダペーストに用いられるものである。
本実施形態のフラックスは、水添ロジン酸メチルと、一般式(p1)で表される化合物と、溶剤とを含有する。
【0016】
≪水添ロジン酸メチル≫
本実施形態のフラックスは、水添ロジン酸メチルを含む。
この水添ロジン酸メチルは、ロジンから得られる水素添加した環状脂肪酸とメチルアルコールとから得られるエステルであり、別名が水添アビエチン酸メチルであり、CAS番号:8050−15−5を有するものである。
前記フラックス中の水添ロジン酸メチルの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
水添ロジン酸メチルの含有量が前記の好ましい範囲であれば、はんだ付けにおいてボイドの発生がより抑制されやすくなる。
【0017】
≪一般式(p1)で表される化合物≫
本実施形態のフラックスは、下記一般式(p1)で表される化合物を含む。
【0018】
【化2】
[式(p1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
【0019】
前記一般式(p1)において、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、シクロブチル基が挙げられる。中でも、R
1、R
2、R
3及びR
4は、水素原子、メチル基、エチル基、シクロプロピル基であることが好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
前記一般式(p1)で表される化合物としては、ピコリン酸、6−メチルピコリン酸、6−エチルピコリン酸、3−シクロプロピルピコリン酸、4−シクロプロピルピコリン酸、6−シクロプロピルピコリン酸、5−ブチルピコリン酸、6−シクロブチルピコリン酸などが挙げられる。これらの中でも、ピコリン酸が特に好ましい。
一般式(p1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
前記フラックス中の、一般式(p1)で表される化合物の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%超え5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましく、2質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
前記一般式(p1)で表される化合物の含有量が前記の好ましい範囲であれば、はんだ付けにおいて、はんだの濡れ性がより高められる、加えて、ミッシングがより抑制される。
【0022】
前記フラックス中の水添ロジン酸メチルと、前記一般式(p1)で表される化合物との合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して5質量%超え25質量%以下であることが好ましく、6質量%以上25質量%以下がより好ましく、7質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
これら2成分の合計の含有量が、前記の好ましい範囲であれば、ボイド発生の抑制、はんだの濡れ性、ミッシング抑制の効果をより高められやすくなる。
【0023】
≪溶剤≫
本実施形態のフラックスにおいて、溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ビス[2,2,2−トリス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エリトリトール、トレイトール、グアヤコールグリセロールエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0024】
≪その他成分≫
本実施形態のフラックスは、水添ロジン酸メチル、一般式(p1)で表される化合物及び溶剤以外に、必要に応じてその他成分を含んでもよい。
その他成分としては、水添ロジン酸メチル以外のロジン、一般式(p1)で表される化合物以外の有機酸、アミン、チキソ剤、ハロゲン系活性剤、ロジン系樹脂以外の樹脂成分、金属不活性化剤、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
例えば、好適なフラックスとして、水添ロジン酸メチルと、一般式(p1)で表される化合物と、溶剤と、水添ロジン酸メチル以外のロジンと、チキソ剤とを含有する形態が挙げられる。
【0025】
水添ロジン酸メチル以外のロジン:
水添ロジン酸メチル以外のロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。
該誘導体としては、例えば、精製ロジン、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。
本実施形態のフラックスでは、水添ロジン酸メチル以外のロジンを、一種又は二種以上で用いることができる。
上記の中でも、水添ロジン酸メチル以外のロジンとしては、重合ロジン、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、アクリル酸変性不均化ロジン、水添ロジン、不均化ロジン及び水添ロジングリセリンエステルからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0026】
前記フラックス中の、水添ロジン酸メチル以外のロジンの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して20質量%以上40質量%以下であることが好ましく、25質量%以上40質量%以下がより好ましく、25質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。
【0027】
本実施形態のフラックス中、水添ロジン酸メチルと、水添ロジン酸メチル以外のロジン(以下「その他ロジン」ともいう)との混合比率は、水添ロジン酸メチル/その他ロジン、で表される質量比として、0.16以上1.0以下であることが好ましく、0.16以上0.60以下がより好ましく、0.16以上0.40以下がさらに好ましい。
【0028】
前記フラックス中の、その他ロジンの含有量と、水添ロジン酸メチル及び一般式(p1)で表される化合物の合計の含有量との比率は、その他ロジン/(水添ロジン酸メチル及び一般式(p1)で表される化合物)、で表される質量比として、0.80以上4.0以下であることが好ましく、1.0以上3.0以下がより好ましく、1.5以上2.5以下がさらに好ましい。
【0029】
一般式(p1)で表される化合物以外の有機酸:
一般式(p1)で表される化合物以外の有機酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)、グリシン、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2−キノリンカルボン酸、3−ヒドロキシ安息香酸、プロピオン酸、リンゴ酸、p−アニス酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ピメリン酸、ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
本実施形態のフラックスでは、有機酸を、一種又は二種以上で用いることができる。
上記の中でも、有機酸としては、マロン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ステアリン酸及び水添ダイマー酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0030】
前記フラックス中の、有機酸の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましく、7質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0031】
アミン:
アミンとしては、例えば、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、エポキシ−イミダゾールアダクト、2−メチルベンゾイミダゾール、2−オクチルベンゾイミダゾール、2−ペンチルベンゾイミダゾール、2−(1−エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2−ノニルベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−tert−オクチル−6’−tert−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−(1’,2’−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[(2−エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6−ビス[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]−4−メチルフェノール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
本実施形態のフラックスでは、アミンを、一種又は二種以上で用いることができる。
【0032】
前記フラックス中の、アミンの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0033】
チキソ剤:
チキソ剤としては、例えば、ワックス系チキソ剤、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
【0034】
ワックス系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的にはヒマシ硬化油等が挙げられる。
【0035】
アミド系チキソ剤としては、例えば、モノアミド、ビスアミド、ポリアミドが挙げられ、具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、p−トルアミド、p−トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等のモノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6〜24)アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、メチレンビスオレイン酸アミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、芳香族ビスアミド等のビスアミド;飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等のポリアミドが挙げられる。
【0036】
前記環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。
【0037】
また、前記非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸とモノアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合等が挙げられる。モノカルボン酸又はモノアミンを含むアミドオリゴマーであると、モノカルボン酸、モノアミンがターミナル分子(terminal molecules)として機能し、分子量を小さくした非環状アミドオリゴマーとなる。また、非環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸と、ジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミド化合物である場合、非環状高分子系アミドポリマーとなる。更に、非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とモノアミンとが非環状に縮合したアミドオリゴマーも含まれる。
【0038】
ソルビトール系チキソ剤としては、例えば、ジベンジリデン−D−ソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、(D−)ソルビトール、モノベンジリデン(−D−)ソルビトール、モノ(4−メチルベンジリデン)−(D−)ソルビトール等が挙げられる。
【0039】
本実施形態のフラックスでは、チキソ剤を、一種又は二種以上で用いることができる。
上記の中でも、前記チキソ剤は、ワックス系チキソ剤及びアミド系チキソ剤からなる群より選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
ワックス系チキソ剤は、ヒマシ硬化油を含むことが好ましい。
アミド系チキソ剤は、ポリアミド、ビスアミド及びモノアミドからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0040】
前記フラックス中の、前記チキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましく、6質量%以上9質量%以下がさらに好ましい。
【0041】
ハロゲン系活性剤:
ハロゲン系活性剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩等が挙げられる。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、trans−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、トリアリルイソシアヌレート6臭化物、1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
また、有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン化カルボキシル化合物も挙げられ、例えば、2−ヨード安息香酸、3−ヨード安息香酸、2−ヨードプロピオン酸、5−ヨードサリチル酸、5−ヨードアントラニル酸などのヨウ化カルボキシル化合物;2−クロロ安息香酸、3−クロロプロピオン酸などの塩化カルボキシル化合物;2,3−ジブロモプロピオン酸、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモ安息香酸などの臭素化カルボキシル化合物等が挙げられる。
【0042】
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素とを反応させた化合物である。ここでのアミンとしては、例えば、エチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられ、ハロゲン化水素としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素の水素化物が挙げられる。
【0043】
また、ハロゲン系活性剤としては、例えば、アミンとテトラフルオロホウ酸(HBF
4)とを反応させた塩、アミンと三フッ化ホウ素(BF
3)とを反応させた錯体も用いることができる。
【0044】
本実施形態のフラックスでは、ハロゲン系活性剤を、一種又は二種以上で用いることができる。
前記フラックス中の、前記有機ハロゲン化合物の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
前記フラックス中の、前記アミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
【0045】
ロジン系樹脂以外の樹脂成分:
ロジン系樹脂以外の樹脂成分としては、例えば、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル−ポリエチレン共重合樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
変性テルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。変性テルペンフェノール樹脂としては、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。変性スチレン樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等が挙げられる。変性キシレン樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等が挙げられる。
【0046】
金属不活性化剤:
金属不活性化剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、窒素化合物等が挙げられる。フラックスがヒンダードフェノール系化合物、又は窒素化合物のいずれかを含有することで、ソルダペーストの増粘抑制効果が高められやすくなる。
ここでいう「金属不活性化剤」とは、ある種の化合物との接触により金属が劣化することを防止する性能を有する化合物をいう。
【0047】
ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノールのオルト位の少なくとも一方に嵩高い置換基(例えばt−ブチル基等の分岐状又は環状アルキル基)を有するフェノール系化合物をいう。
ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されず、例えば、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、下記化学式で表される化合物等が挙げられる。
【0048】
【化3】
[式中、Zは、置換されてもよいアルキレン基である。R
11及びR
12は、それぞれ独立して、置換されてもよい、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基である。R
13及びR
14は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基である。]
【0049】
金属不活性化剤における窒素化合物としては、例えば、ヒドラジド系窒素化合物、アミド系窒素化合物、トリアゾール系窒素化合物、メラミン系窒素化合物等が挙げられる。
【0050】
ヒドラジド系窒素化合物としては、ヒドラジド骨格を有する窒素化合物であればよく、ドデカン二酸ビス[N2−(2ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、デカンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N−サリチリデン−N’−サリチルヒドラジド、m−ニトロベンズヒドラジド、3−アミノフタルヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、オキザロビス(2−ヒドロキシ−5−オクチルベンジリデンヒドラジド)、N’−ベンゾイルピロリドンカルボン酸ヒドラジド、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン等が挙げられる。
【0051】
アミド系窒素化合物としては、アミド骨格を有する窒素化合物であればよく、N,N’−ビス{2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド等が挙げられる。
【0052】
トリアゾール系窒素化合物としては、トリアゾール骨格を有する窒素化合物であればよく、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミド、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
【0053】
メラミン系窒素化合物としては、メラミン骨格を有する窒素化合物であればよく、メラミン、メラミン誘導体等が挙げられる。より具体的には、例えば、トリスアミノトリアジン、アルキル化トリスアミノトリアジン、アルコキシアルキル化トリスアミノトリアジン、メラミン、アルキル化メラミン、アルコキシアルキル化メラミン、N2−ブチルメラミン、N2,N2−ジエチルメラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン等が挙げられる。
【0054】
界面活性剤:
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、弱カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、例えば、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
【0055】
上記以外の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール類、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
【0056】
以上説明した本実施形態のフラックスを適用することにより、はんだ付けにおいて、ボイドの発生が少ないはんだ付けを実現でき、はんだの濡れ性を高められ、ミッシングを抑制することができる。また、本実施形態のフラックスは、後述のように、低α線量のはんだ合金を採用したソルダペースト用として好適なものである。
【0057】
(ソルダペースト)
本発明の他の態様に係るソルダペーストは、上述した一態様に係るフラックスと、はんだ粉末と、からなるものである。加えて、前記はんだ粉末は、α線量が0.02cph/cm
2以下であるはんだ合金からなる。
【0058】
<フラックス>
本実施形態のソルダペーストは、上述した実施形態のフラックスを含有する。
本実施形態のソルダペースト中のフラックスの含有量は、ソルダペーストの全質量(100質量%)に対して、5〜95質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
ソルダペースト中のフラックスの含有量がこの範囲であると、フラックスに配合する成分の効果、すなわち、はんだ付けの際に、ボイド発生の抑制、はんだの濡れ性、ミッシング抑制の効果がいずれも高められやすくなる。
【0059】
<はんだ粉末>
本実施形態のソルダペーストに用いられるはんだ粉末は、α線量が0.02cph/cm
2以下であるはんだ合金からなる。
本実施形態におけるはんだ粉末は、Sn単体のはんだの粉体、又は、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系、Sn−In系等の合金の粉体、あるいは、これらの合金にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体でもよい。
また、はんだ粉末は、Pbを含まないはんだでもよいし、Pbを含むはんだでもよく、Sn−Pb系、あるいは、Sn−Pb系にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体でもよい。
【0060】
はんだ粉末の一実施形態としては、U:5質量ppb未満、Th:5質量ppb未満、Pb:5質量ppm未満、As:5質量ppm未満、Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下、及びFe:0質量ppm以上100質量ppm以下、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式を満たし、かつ、α線量が0.02cph/cm
2以下であるはんだ合金からなるはんだ粉末(以下「はんだ粉末(SP)」ともいう。)が好適に挙げられる。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
【0061】
前記はんだ粉末(SP)を用いることにより、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制できる。加えて、ソフトエラーの発生を抑制することが可能となる。
【0062】
≪U:5質量ppb未満、Th:5質量ppb未満≫
U及びThは、放射性元素である。ソフトエラーの発生を抑制するには、はんだ合金中のこれらの含有量を抑える必要がある。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のU及びThの含有量は、はんだ合金から発生するα線量を0.02cph/cm
2以下とする観点から、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、各々5ppb未満である。高密度実装でのソフトエラー発生を抑制する観点から、U及びThの含有量は、好ましくは各々2ppb以下であり、低いほどよい。
【0063】
≪Pb:5質量ppm未満≫
一般的に、Sn中には、不純物としてPbが含まれている。このPb中の放射性同位体がβ崩壊して
210Poとなり、
210Poがα崩壊して
206Pb生成時にα線が発生する。このことから、はんだ合金中の、不純物であるPbの含有量も極力少ないことが好ましい。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のPbの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、5ppm未満であり、好ましくは2ppm未満であり、より好ましくは1ppm未満である。尚、はんだ合金中のPbの含有量の下限は0ppm以上でもよい。
【0064】
≪As:5質量ppm未満≫
はんだ合金にAsを添加することは、ソルダペーストの経時での増粘抑制に有効であるが、Asの添加に伴い、合金に、As由来の不純物から放射性元素も含まれることになり、はんだ材料から発生するα線量が増加してしまう。
前記はんだ粉末(SP)においては、放射性元素を含む不純物を伴うAsを添加することなく、ソルダペーストの経時での増粘抑制を図ることを目的とする。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のAsの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、5ppm未満であり、好ましくは2ppm未満であり、より好ましくは1ppm未満である。尚、はんだ合金中のAsの含有量の下限は0ppm以上でもよい。
【0065】
≪Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下、Fe:0質量ppm以上100質量ppm以下、(1)式≫
はんだ付けにより、はんだ合金中の接合界面近傍において、Sn含有金属間化合物(Snを含む金属間化合物)の形成が進み、このSn含有金属間化合物が析出すると、はんだ継手の機械的強度が劣化する。
【0066】
Ni:0質量ppm以上600質量ppm以下
Niは、Sn含有金属間化合物が接合界面で形成することを抑制する元素である。
はんだ合金がNiを含有することで、前記Sn含有金属間化合物の形成が抑制されて、はんだ継手の機械的強度が維持される。一方、はんだ合金中のNiの含有量が600ppmを超えると、はんだ合金中の接合界面近傍において、SnNi化合物が析出し、はんだ継手の機械的強度が劣化するおそれがある。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のNiの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0ppm以上600ppm以下であり、好ましくは20ppm以上600ppm以下であり、より好ましくは40ppm以上600ppm以下である。
【0067】
Fe:0質量ppm以上100質量ppm以下
Feは、Niと同様に、Sn含有金属間化合物が接合界面で形成することを抑制する元素である。加えて、所定の含有量の範囲内では、SnFe化合物による針状結晶の析出が抑制されて、回路の短絡を防ぐことができる。
ここでいう「針状結晶」とは、1つのSnFe化合物由来の結晶において、長径と短径との比であるアスペクト比が2以上の結晶をいう。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のFeの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0ppm以上100ppm以下であり、好ましくは20ppm以上100ppm以下であり、より好ましくは40ppm以上80ppm以下である。
【0068】
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金に関し、合金組成については、下記(1)式を満たす。
20≦Ni+Fe≦700 (1)
(1)式中、Ni及びFeは、各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
【0069】
(1)式におけるNi及びFeは、いずれも、Sn含有金属間化合物が接合界面で形成することを抑制する元素である。加えて、前記はんだ粉末(SP)において、Ni及びFeは、いずれも、ソルダペーストの経時での増粘抑制の効果にも寄与する。
前記Sn含有金属間化合物の形成を抑制する効果、及びソルダペーストの経時での増粘抑制の効果を得るために、はんだ合金中のNiとFeとの合計の含有量が、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、20ppm以上700ppm以下である必要がある。NiとFeとの合計の含有量は、好ましくは40ppm以上700ppm以下であり、より好ましくは40ppm以上600ppm以下であり、最も好ましくは40ppm以上200ppm以下である。
【0070】
但し、前記「NiとFeとの合計の含有量」は、はんだ合金中のNiの含有量が0ppmである場合にはFeの含有量となり、はんだ合金中のFeの含有量が0ppmである場合にはNiの含有量となり、NiとFeとを併有する場合にはこれらの合計の含有量となる。
【0071】
また、前記はんだ粉末(SP)においてNiとFeとを併有する場合、はんだ合金中のNiとFeとの比率は、Ni/Feで表される質量比として、好ましくは0.4以上30以下であり、より好ましくは0.4以上10以下であり、さらに好ましくは0.4以上5以下であり、特に好ましくは0.4以上2以下である。
かかる質量比のNi/Feが前記の好ましい範囲であれば、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する効果がより得られやすくなる。
【0072】
≪任意元素≫
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金に関し、合金組成は、上述した元素以外の元素を必要に応じて含有してもよい。
例えば、前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金に関し、合金組成は、上述した元素に加えて、更に、Ag:0質量%以上4質量%以下、及びCu:0質量%以上0.9質量%以下の少なくとも一種を含有してもよい。
【0073】
Ag:0質量%以上4質量%以下
Agは、結晶界面にAg
3Snを形成してはんだ合金の信頼性を向上させることができる任意元素である。また、Agは、イオン化傾向がSnに対して貴な元素であり、Ni及びFeと共存することによって、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を高める。さらに、はんだ合金中のAgの含有量が上記範囲内であれば、合金の融点の上昇を抑制することができるため、リフロー温度を過度に高くする必要がなくなる。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のAgの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上4%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以上3.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以上3.0%以下であり、特に好ましくは2.0%以上3.0%以下である。
【0074】
Cu:0質量%以上0.9質量%以下
Cuは、一般的なはんだ合金で使用されており、はんだ継手の接合強度を向上させることができる任意元素である。また、Cuは、イオン化傾向がSnに対して貴な元素であり、Ni及びFeと共存することによって、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を高める。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のCuの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上0.9%以下が好ましく、より好ましくは0.1%以上0.8%以下であり、さらに好ましくは0.2%以上0.7%以下である。
【0075】
前記はんだ粉末(SP)においてCuとNiとを併有する場合、はんだ合金中のCuとNiとの比率は、Cu/Niで表される質量比として、好ましくは8以上175以下であり、より好ましくは10以上150以下である。
かかる質量比のCu/Niが前記の好ましい範囲であれば、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する効果がより得られやすくなる。
【0076】
前記はんだ粉末(SP)においてCuとFeとを併有する場合、はんだ合金中のCuとFeとの比率は、Cu/Feで表される質量比として、好ましくは50以上350以下であり、より好ましくは70以上250以下である。
かかる質量比のCu/Feが前記の好ましい範囲であれば、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する効果がより得られやすくなる。
【0077】
前記はんだ粉末(SP)においてCuとNiとFeとを併有する場合、はんだ合金中のCuとNiとFeとの比率は、Cu/(Ni+Fe)で表される質量比として、好ましくは7以上350以下であり、より好ましくは10以上250以下である。
かかる質量比のCu/(Ni+Fe)が前記の好ましい範囲であれば、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する効果がより得られやすくなる。
【0078】
例えば、前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金に関し、合金組成は、上述した元素に加えて、更に、Bi:0質量%以上0.3質量%以下、及びSb:0質量%以上0.9質量%以下の少なくとも一種を含有してもよい。
【0079】
Bi:0質量%以上0.3質量%以下
Biは、フラックスとの反応性が低く、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を示す元素である。また、Biは、はんだ合金の液相線温度を下げるとともに、溶融はんだの粘性を低減させるため、濡れ性の劣化を抑えることができる元素である。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のBiの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上0.3%以下が好ましく、より好ましくは0.0020%以上0.3%以下であり、さらに好ましくは0.01%以上0.1%以下であり、最も好ましくは0.01%以上0.05%以下である。
【0080】
Sb:0質量%以上0.9質量%以下
Sbは、Biと同様に、フラックスとの反応性が低く、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を示す元素である。はんだ合金中のSbの含有量が多すぎると、濡れ性が劣化するため、Sbを添加する場合には適度な含有量にする必要がある。
前記はんだ粉末(SP)において、はんだ合金中のSbの含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0%以上0.9%以下が好ましく、より好ましくは0.0020%以上0.9%以下であり、さらに好ましくは0.01%以上0.1%以下であり、最も好ましくは0.01%以上0.05%以下である。
【0081】
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金に関し、合金組成が、更に、Bi:0質量%以上0.3質量%以下、及びSb:0質量%以上0.9質量%以下の少なくとも一種を含有する場合、前記合金組成は、下記(2)式を満たすことが好ましい。
0.03≦Bi+Sb≦1.2 (2)
(2)式中、Bi及びSbは、各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
【0082】
(2)式におけるBi及びSbは、いずれも、ソルダペーストの経時での増粘抑制効果を示す元素である。加えて、前記はんだ粉末(SP)において、Bi及びSbは、いずれも、はんだ合金の濡れ性にも寄与する。
はんだ合金中のBiとSbとの合計の含有量は、はんだ合金の総質量(100質量%)に対して、0.03%以上1.2%以下が好ましく、より好ましくは0.03%以上0.9%以下であり、さらに好ましくは0.3%以上0.9%以下である。
【0083】
但し、前記「BiとSbとの合計の含有量」は、はんだ合金中のBiの含有量が0%である場合にはSbの含有量となり、はんだ合金中のSbの含有量が0%である場合にはBiの含有量となり、BiとSbとを併有する場合にはこれらの合計の含有量となる。
【0084】
前記はんだ粉末(SP)においてBiとSbとを併有する場合、はんだ合金中のBiとSbとの比率は、Sb/Biで表される質量比として、好ましくは0.01以上10以下であり、より好ましくは0.1以上5以下である。
かかる質量比のSb/Biが前記の好ましい範囲であれば、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する効果がより得られやすくなる。
【0085】
≪残部:Sn≫
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金に関し、合金組成は、残部がSnからなる。上述した元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、上述の効果に影響することはない。
【0086】
≪α線量≫
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金は、α線量が0.02cph/cm
2以下である。
これは、電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量である。
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金から発生するα線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.01cph/cm
2以下であり、より好ましくは0.002cph/cm
2以下であり、さらに好ましくは0.001cph/cm
2以下である。
【0087】
はんだ合金から発生するα線量は、以下のようにして測定することができる。かかるα線量の測定方法は、国際標準であるJEDEC STANDARDに基づいている。
【0088】
手順(i):
ガスフロー型のα線量測定装置を用いる。
測定サンプルとして、はんだ合金を溶融し、一面の面積が900cm
2であるシート状に成形したはんだ合金シートを用いる。
前記α線量測定装置内に、測定サンプルとして前記はんだ合金シートを設置し、そこにPRガスをパージする。
【0089】
尚、PRガスには、国際標準であるJEDEC STANDARDに従うものを用いる。すなわち、測定に使用するPRガスは、アルゴン90%−メタン10%の混合ガスをガスボンベに充填してから3週間以上が経過した、ガス中の不純物ラドン(Rn)の崩壊したものとする。
【0090】
手順(ii):
前記はんだ合金シートを設置した前記α線量測定装置内に、前記PRガスを12時間流し静置した後、72時間α線量測定を行う。
【0091】
手順(iii):
平均α線量を「cph/cm
2」として算出する。異常点(装置振動によるカウント等)はその1時間分のカウントを除去する。
【0092】
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金は、一面の面積が900cm
2であるシート状に成形した際のはんだ合金シートに対して、100℃で1時間の加熱処理を施した後におけるα線量が、0.02cph/cm
2以下となるものが好ましく、より好ましくは0.01cph/cm
2以下となるものであり、さらに好ましくは0.002cph/cm
2以下となるものであり、特に好ましくは0.001cph/cm
2以下となるものである。
このようなα線量を示すはんだ合金は、合金中で
210Poの偏析が起こりにくいものであり、α線量の経時変化による影響が小さく、有用である。このようなα線量を示すはんだ合金を適用することにより、ソフトエラーの発生がより抑制されて、半導体素子の安定な動作がいっそう確保されやすくなる。
【0093】
[はんだ合金の製造方法]
前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金は、例えば、Ni及びFeの少なくとも一種、並びにSnを含有する原料金属を溶融混合する工程を有する製造方法を用いることにより製造できる。
低α線量のはんだ合金の設計を目的としていることから、その原料金属として低α線量材を用いることが好ましく、例えば、原料金属としてのSn、Ni及びFeには、それぞれ、高純度のもの、並びにU、Th及びPbを除去したものを用いることが好ましい。
原料金属としてのSnとしては、例えば、特開2010−156052号公報(特許文献1)に記載の製造方法に準じて製造したものを用いることができる。
原料金属としてのNi及びFeとしては、それぞれ、例えば、特許第5692467号公報に準じて製造したものを用いることができる。
原料金属を溶融混合する操作は、従来公知の方法を用いることができる。
【0094】
前記はんだ粉末(SP)の製造は、溶融させたはんだ合金を滴下して粒子を得る滴下法や、遠心噴霧する噴霧法、アトマイズ法、液中造粒法、バルクのはんだ合金を粉砕する方法など、公知の方法を採用することができる。滴下法又は噴霧法における、滴下又は噴霧は、粒子状とするために不活性雰囲気又は溶媒中で行うことが好ましい。
【0095】
前記はんだ粉末(SP)は、球状粉末であることが好ましい。球状粉末であることにより、はんだ合金の流動性が向上する。
前記はんだ粉末(SP)が球状粉末である場合、JIS Z 3284−1:2014における粉末サイズの分類(表2)において、記号1〜8を満たしていることが好ましく、記号4〜8を満たしていることがより好ましい。はんだ粉末の粒径がこの条件を満たすと、粉末の表面積が大きすぎず、ソルダペーストの経時での粘度の上昇が抑制され、また、微細粉末の凝集が抑制されて、ソルダペーストの粘度の上昇が抑えられることがある。このため、より微細な部品へのはんだ付けが可能となる。
【0096】
また、前記はんだ粉末(SP)は、平均粒子径が0.1〜50μmのはんだ合金粒子群からなるものを用いることが好ましく、平均粒子径が1〜25μmのはんだ合金粒子群からなるものを用いることがより好ましく、平均粒子径が1〜15μmのはんだ合金粒子群からなるものを用いることがさらに好ましい。
はんだ粉末の粒径が前記の好ましい範囲であると、ソルダペーストの経時での粘度増加が抑制されやすくなる。
ここでいうはんだ粉末の平均粒子径とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。
【0097】
また、前記はんだ粉末(SP)は、粒度分布の異なる2種以上のはんだ合金粒子群を併有することが好ましい。これにより、ソルダペーストの滑り性が高められて、印刷しやすくなる等の作業性が向上する。
例えば、はんだ粉末として、平均粒子径が異なる2種以上のはんだ合金粒子群を併有することが挙げられる。一例として、平均粒子径5μm以上10μm未満のはんだ合金粒子群(S1)と、平均粒子径1μm以上5μm未満のはんだ合金粒子群(S2)とを併有したはんだ粉末が好適に挙げられる。
はんだ合金粒子群(S1)とはんだ合金粒子群(S2)との混合比率は、(S1)/(S2)で表される質量比として、(S1)/(S2)=9/1〜1/9が好ましく、9/1〜3/7がより好ましく、9/1〜5/5がさらに好ましい。
【0098】
本実施形態におけるはんだ粉末について、球状粉末の真球度は、0.8以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましく、0.99以上が特に好ましい。
【0099】
ここでいう「球状粉末の真球度」は、最小領域中心法(MZC法)を用いるCNC画像測定システム(ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョンULTRA QV350−PRO測定装置)を使用して測定することができる。
真球度とは、真球からのずれを表し、例えば500個の各はんだ合金粒子の直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、その値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
【0100】
本実施形態のソルダペーストは、当業界で一般的な製造方法により製造することができる。
上記フラックスを構成する配合成分を加熱混合してフラックスを調製し、このフラックス中に、上記はんだ粉末を撹拌混合することにより、ソルダペーストを得ることができる。また、経時での増粘抑制効果を期待して、上記はんだ粉末とは別に、酸化ジルコニウム粉末をさらに配合してもよい。
【0101】
以上説明したように、本実施形態のソルダペーストにおいては、特定のロジン及び活性剤を併有するフラックスを採用する。かかるフラックスと、α線量が0.02cph/cm
2以下であるはんだ合金からなるはんだ粉末と、を組み合わせたソルダペーストでは、はんだ付けにおいて、ボイドの発生が少ないはんだ付けを実現でき、はんだの濡れ性を高められ、ミッシングを抑制することができる。さらに、本実施形態のソルダペーストによれば、ソフトエラーの発生を抑制することも可能である。
本実施形態におけるフラックスでは、特定のロジン、すなわち、水添ロジン酸メチルを選択したことにより、ソルダペーストの溶融粘度が低下しやすくなる。このため、ガス化したフラックス成分がペースト中から抜けやすくなることで、ボイド発生の抑制が可能となる。加えて、本実施形態におけるフラックスでは、特定の活性剤、すなわち、一般式(p1)で表される化合物を選択したことにより、はんだの濡れ性が高められる。このため、はんだの濡れ速度の向上が図れるとともに、リフロー及びフラックス残渣洗浄後のミッシングが抑制される。
【0102】
また、上述した実施形態のソルダペーストにおいて、はんだ粉末として前記はんだ粉末(SP)を採用した形態は、更に、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、かつ、ソフトエラーの発生を抑制することが可能となる。すなわち、本実施形態のソルダペーストは、低α線量材料としても好適なものである。
【0103】
一般に、はんだ合金においては、はんだ合金を構成する各構成元素が独自に機能するものではなく、各構成元素の含有量がすべて所定の範囲である場合に、初めて種々の効果を発揮することができる。前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金によれば、各構成元素の含有量が上述の範囲であることにより、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制し、かつ、ソフトエラーの発生を抑制することができる。すなわち、前記はんだ粉末(SP)におけるはんだ合金は、目的とする低α線量材料として有用であり、メモリ周辺のはんだバンプの形成に適用することで、ソフトエラーの発生を抑制することが可能となる。
【0104】
また、前記はんだ粉末(SP)では、Asを積極的に添加することなく、地金の精錬時又は加工時に高温で加熱されるような高融点金属であるNi及びFeを、特定の割合で含有するはんだ合金を採用することで、ソルダペーストの経時での増粘抑制を達成する。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推測される。
低α線量のはんだ合金用のSnは非常に高純度であり、溶融した合金を凝固する際、Snの結晶サイズが大きくなってしまう。また、そのSnにおける酸化膜も、それに応じた疎な酸化膜を形成してしまう。そこで、高融点金属であるNi及びFeを添加することにより、結晶サイズを小さくし、密な酸化膜を形成させることで、合金とフラックスとの反応性が抑えられるため、ソルダペーストの経時での増粘抑制が可能となる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例において、特に指定しない限り、はんだ合金組成についての「ppb」は「質量ppb」であり、「ppm」は「質量ppm」であり、「%」は「質量%」である。
【0106】
<はんだ合金の作製>
【0107】
(製造例1〜460)
原料金属を溶融・撹拌して、表1から表19に示す各合金組成を有するはんだ合金をそれぞれ作製した。
【0108】
各製造例のはんだ合金について、α線量の評価を以下のようにして行った。評価した結果を表1から表19に示した。
【0109】
[α線量]
(1)検証方法その1
α線量の測定は、ガスフロー比例計数器のα線量測定装置を用い、上述した手順(i)、(ii)及び(iii)に従うことにより行った。
測定サンプルとして、製造直後のはんだ合金シートを用いた。
このはんだ合金シートは、作製直後のはんだ合金を溶融し、一面の面積が900cm
2であるシート状に成形することにより製造した。
この測定サンプルを、α線量測定装置内に入れ、PR−10ガスを12時間流し静置した後、72時間α線量を測定した。
【0110】
(2)判定基準その1
〇〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm
2以下であった。
〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm
2超、0.02cph/cm
2以下であった。
×:測定サンプルから発生するα線量が0.02cph/cm
2超であった。
この判定が「〇〇」又は「〇」であれば、低α線量のはんだ材料であると言える。
【0111】
(3)検証方法その2
測定サンプルを変更した以外は、上記の(1)検証方法その1と同様にして、α線量の測定を行った。
測定サンプルとして、作製直後のはんだ合金を溶融し、一面の面積が900cm
2であるシート状に成形したはんだ合金シートに対して、100℃で1時間の加熱処理を行い、放冷したものを用いた。
【0112】
(4)判定基準その2
〇〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm
2以下であった。
〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm
2超、0.02cph/cm
2以下であった。
×:測定サンプルから発生するα線量が0.02cph/cm
2超であった。
この判定が「〇〇」又は「〇」であれば、低α線量のはんだ材料であると言える。
【0113】
(5)検証方法その3
上記の(1)検証方法その1にてα線量を測定した測定サンプルのはんだ合金シートを1年間保管した後、再度、上述した手順(i)、(ii)及び(iii)に従うことによりα線量を測定して、α線量の経時変化を評価した。
【0114】
(6)判定基準その3
〇〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm
2以下であった。
〇:測定サンプルから発生するα線量が0.002cph/cm
2超、0.02cph/cm
2以下であった。
×:測定サンプルから発生するα線量が0.02cph/cm
2超であった。
この判定が「〇〇」又は「〇」であれば、発生するα線量が経時変化せず、安定なものであると言える。すなわち、電子機器類におけるソフトエラーの発生を抑制することができる。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】
【表7】
【0122】
【表8】
【0123】
【表9】
【0124】
【表10】
【0125】
【表11】
【0126】
【表12】
【0127】
【表13】
【0128】
【表14】
【0129】
【表15】
【0130】
【表16】
【0131】
【表17】
【0132】
【表18】
【0133】
【表19】
【0134】
表1〜19に示すように、各製造例のはんだ合金についてα線量を評価した結果、製造例1〜460のはんだ合金は、製造直後のはんだ合金シート、100℃で1時間の加熱処理後のはんだ合金シート、1年間保管した後のはんだ合金シートについて、いずれも、判定は「〇〇」であること、が確認された。
【0135】
<はんだ粉末の製造>
各製造例のはんだ合金を溶融し、アトマイズ法により、表1から表19に示す合金組成をそれぞれ有するはんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末を製造した。
【0136】
また、製造例241〜296及び製造例445〜448のはんだ合金については、各製造例のはんだ合金を溶融し、アトマイズ法により、表10、表11、表12及び表19に示す合金組成をそれぞれ有するはんだ合金からなり、平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末を製造した。
【0137】
<フラックスの調製>
(実施例1〜28、比較例1〜3)
樹脂成分として、水添ロジン酸メチル、水添ロジン酸メチル以外のロジンを用いた。
水添ロジン酸メチル以外のロジンとして、重合ロジン、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、水添ロジングリセリンエステルを用いた。
有機酸として、ピコリン酸、マロン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ステアリン酸、水添ダイマー酸を用いた。
アミンとして、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2−フェニルイミダゾール、ジトリルグアニジンを用いた。
チキソ剤として、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヒマシ硬化油を用いた。
溶剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシルジグリコールを用いた。
ハロゲン系活性剤として、有機ハロゲン化合物であるtrans−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを用いた。また、アミンハロゲン化水素酸塩であるジフェニルグアニジン・HBr塩を用いた。
そして、表20〜25に示す各成分を混合して、各例のフラックスをそれぞれ調製した。
【0138】
<ソルダペーストの製造>
(実施例101)
実施例1のフラックスと、製造例445〜448の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合してソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0139】
(比較例101)
実施例1におけるフラックスを、比較例1のフラックスに変更した以外は、実施例1と同様にしてソルダペーストを製造した。
【0140】
(比較例102)
実施例1におけるフラックスを、比較例2のフラックスに変更した以外は、実施例1と同様にしてソルダペーストを製造した。
【0141】
(比較例103)
実施例1におけるフラックスを、比較例3のフラックスに変更した以外は、実施例1と同様にしてソルダペーストを製造した。
【0142】
(実施例102〜128)
実施例1におけるフラックスを、実施例2〜28の各フラックスにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして各ソルダペーストを製造した。
【0143】
(実施例129)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例445〜448の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=35:65とした。
【0144】
(実施例130)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例449〜452の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0145】
(実施例131)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例453〜456の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0146】
(実施例132)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例457〜460の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0147】
(実施例133)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例1〜74の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0148】
(実施例134)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例371〜444の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0149】
(実施例135)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例75〜148の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0150】
(実施例136)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例223〜296の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0151】
(実施例137)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例149〜222の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0152】
(実施例138)
実施例1〜28の各フラックスと、製造例297〜370の各はんだ合金からなり、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群からなるはんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスとはんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:はんだ粉末=11:89とした。
【0153】
(実施例139)
いずれも製造例445のはんだ合金からなる、平均粒子径が異なる2種のはんだ合金粒子群を併有する混合はんだ粉末を製造した。
具体的には、製造例445のはんだ合金からなり平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群(S1b)と、製造例445のはんだ合金からなり平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群(S2b)とを、質量比(S1b)/(S2b)=90/10で混合して、混合はんだ粉末を得た。
次いで、実施例1〜28の各フラックスと、質量比(S1b)/(S2b)=90/10で混合した混合はんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスと混合はんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:混合はんだ粉末=11:89とした。
【0154】
(実施例140)
いずれも製造例445のはんだ合金からなる、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群(S1b)と、平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群(S2b)との混合比率を、質量比(S1b)/(S2b)=50/50に変更した以外は、実施例139と同様にして各ソルダペーストを製造した。
【0155】
(実施例141)
いずれも製造例257のはんだ合金からなる、平均粒子径が異なる2種のはんだ合金粒子群を併有する混合はんだ粉末を製造した。
具体的には、製造例257のはんだ合金からなり平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群(S1a)と、製造例257のはんだ合金からなり平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群(S2a)とを、質量比(S1a)/(S2a)=90/10で混合して、混合はんだ粉末を得た。
次いで、実施例1〜28の各フラックスと、質量比(S1a)/(S2a)=90/10で混合した混合はんだ粉末と、をそれぞれ混合して各ソルダペーストを製造した。
フラックスと混合はんだ粉末との混合比率は、いずれも質量比として、フラックス:混合はんだ粉末=11:89とした。
【0156】
(実施例142)
いずれも製造例257のはんだ合金からなる、平均粒子径が6μmのはんだ合金粒子群(S1a)と、平均粒子径が4μmのはんだ合金粒子群(S2a)との混合比率を、質量比(S1a)/(S2a)=50/50に変更した以外は、実施例141と同様にして各ソルダペーストを製造した。
【0157】
<評価(その1)>
各例のフラックス及びソルダペーストを用いて、ボイドの発生しにくさ、はんだの濡れ速度、ミッシング抑制の各評価を行った。これらの評価結果から総合評価を行った。
詳細は以下のとおりである。評価した結果を表20〜28に示した。
【0158】
[ボイドの発生しにくさ]
ソルダペーストを、φ80μm、ピッチ150μmのCu−OSP電極(N=15)の上に、メタルマスクを用いて40μm高さに印刷した。その後、窒素雰囲気下にてリフローした。リフロープロファイルは、160℃で2分間保持し、その後260℃まで1.5℃/秒で昇温とした。
リフロー後のはんだ付け部(はんだバンプ)の透過画像を、UNi−HiTE SYSTEM社製Microfocus X−ray System XVR−160を用いて観察し、ボイド発生率を求めた。
具体的には、はんだバンプについて上部から下部に向かって透過観察を行い、円形のはんだバンプ透過画像を得、その色調のコントラストに基づき金属充填部とボイド部とを識別し、自動解析によりボイド面積率を算出して、これをボイド発生率とした。
【0159】
このようにして求めたボイド発生率を用いて、以下の基準でボイドの発生しにくさを評価した。
〇:15個のはんだ付け部全てにおいてボイド発生率が10%以下である場合
×:15個のはんだ付け部中にボイド発生率が10%超のものが含まれる場合
【0160】
[はんだの濡れ速度]
(1)検証方法
はんだの濡れ速度の評価試験を以下のようにして行った。
メニスコグラフ試験の方法に準拠し、幅5mm×長さ25mm×厚さ0.5mmの銅板を150℃で1時間酸化処理し、試験板である酸化銅板を得て、試験装置としてSolder Checker SAT−5200(RHESCA社製)を用い、合金組成Sn−3Ag−0.5Cu(各数値は質量%;残部Sn)を有するはんだ合金を用いて、次のように評価した。
まず、ビーカーに測り取った各例のフラックスに対して、試験板を5mm浸漬させ、試験板にフラックスを塗布した。続いて、フラックスを塗布後、速やかにフラックスが塗布された試験板を、前記合金組成を有するはんだ合金のはんだ槽に浸漬させ、ゼロクロスタイム(sec)を得た。
続いて、各例のフラックスにつき5回の測定を行い、得られた5個のゼロクロスタイム(sec)の平均値を算出した。試験条件を以下のように設定した。
はんだ槽への浸漬速度:5mm/sec(JIS Z 3198−4:2014)
はんだ槽への浸漬深さ:2mm(JIS Z 3198−4:2014)
はんだ槽への浸漬時間:10sec(JIS Z 3198−4:2014)
はんだ槽温度:245℃(JIS C 60068−2−69:2019 附属書B)
ゼロクロスタイム(sec)の平均値が短いほど、濡れ速度は高くなり、はんだ濡れ性が良いことを意味する。
【0161】
(2)判定基準
〇:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が6秒以下である。
×:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が6秒を超える。
【0162】
[ミッシング抑制]
(1)検証方法
φ80μm、ピッチ150μmのCu−OSP電極(N=15)を有する基板を、イソプロピルアルコールに浸漬し、ブラシでOSP膜を除去した。
OSP膜の除去後、100℃の恒温槽中で1時間ベーク処理を行った。
得られた基板電極上に、メタルマスクを用いて、各例のソルダペーストを40μm高さに印刷した。その後、窒素雰囲気下にてリフローした。
リフロープロファイルは、160℃で2分間保持し、その後、260℃まで1.5℃/秒で昇温とした。
続いて、光学顕微鏡にて、電極に対するソルダペーストの位置ずれ(ミッシング)が生じていないか、を観察した。
【0163】
(2)判定基準
〇:ミッシングが、いずれの電極においても観察されなかった。
×:ミッシングが観察された電極が1個以上であった。
【0164】
[総合評価]
〇:表20〜28において、ボイドの発生しにくさ、はんだの濡れ速度、ミッシング抑制の各評価が、いずれも〇であった。
×:表20〜28において、ボイドの発生しにくさ、はんだの濡れ速度、ミッシング抑制の各評価のうち、少なくとも1つが×であった。
【0165】
【表20】
【0166】
【表21】
【0167】
【表22】
【0168】
【表23】
【0169】
【表24】
【0170】
【表25】
【0171】
【表26】
【0172】
【表27】
【0173】
【表28】
【0174】
表20〜28に示すように、本発明を適用したフラックスを含有する、実施例101〜142のソルダペーストでは、いずれのソルダペーストを用いた場合においても、ボイドの発生が少ないこと、はんだの濡れ性が高められていること、ミッシングが抑制されていること、が確認された。
【0175】
一方、一般式(p1)で表される化合物を含んでいない、本発明の範囲外であるフラックスを含有する比較例1のソルダペーストを用いた場合では、はんだの濡れ性、ミッシング抑制の効果がいずれも劣る結果を示した。
また、水添ロジン酸メチルを含んでいない、本発明の範囲外であるフラックスを含有する比較例2〜3のソルダペーストでは、いずれのソルダペーストを用いた場合でも、ボイドの発生しにくさの評価が劣る結果を示した。
【0176】
<評価(その2)>
各例のソルダペーストについて、以下のようにして増粘抑制の評価を行った。
【0177】
[増粘抑制]
(1)検証方法
実施例133〜142における、製造直後の各ソルダペーストについて、株式会社マルコム社製:PCU−205を用い、回転数:10rpm、25℃、大気中で12時間粘度を測定した。
【0178】
(2)判定基準
〇:12時間後の粘度が、ソルダペーストを調製直後から30分経過した時の粘度と比較して1.2倍以下である。
×:12時間後の粘度が、ソルダペーストを調製直後から30分経過した時の粘度と比較して1.2倍を超える。
この判定が「〇」であれば、十分な増粘抑制効果が得られたものであると言える。すなわち、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制することができる。
【0179】
各例のソルダペーストについて増粘抑制の評価を行った結果、本発明を適用したフラックスと、製造例1〜444の各はんだ合金が用いられているはんだ粉末と、を併有する実施例133〜138、141、142のソルダペーストについて、いずれも、判定は「〇」であり、ソルダペーストの経時での粘度増加が抑制されていることが確認された。
【0180】
一方、Ni及びFeの各含有量が1質量ppm未満である製造例445のはんだ合金が用いられているはんだ粉末を含有する実施例139、140のソルダペーストについて、判定は「×」であった。
【課題】ボイドの発生が少ないはんだ付けを実現でき、はんだの濡れ性を高められ、ミッシングが抑制されたフラックス、及びこのフラックスを用いたソルダペーストを提供する。
【解決手段】本発明は、ソルダペーストに用いられるフラックスであって、水添ロジン酸メチルと、一般式(p1)で表される化合物と、溶剤と、を含有することを特徴とする。一般式(p1)中、R