(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転部材は、前記断面の位置が前記第1回転軸と平行な方向に移行するに従って、前記複数のモーメント発生部の周方向位置が連続的にまたは段階的に周方向に変化している、請求項1に記載の流体発電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のマグナス型風力発電装置では、マグナス効果を得るために回転部材を駆動装置により回転軸まわりに回転駆動させている。
【0010】
しかし、駆動装置を用いずに、流体の流れにより、十分なマグナス効果が得られるようにすることが望まれる。すなわち、流れて来る流体の力のみで、大きな回転モーメント(回転力)を回転部材に生じさせることにより、回転部材を回転軸まわりに回転駆動させることが望まれる。
【0011】
また、マグナス効果を利用しない回転部材の回転により発電する場合でも、流体の流れで、より大きな回転モーメントを発生できる回転部材が望まれる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、流体の流れで、より大きな回転モーメントを発生できる回転部材を提供することにある。
また、本発明の目的は、このような回転部材を備える流体発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上述した目的を達成するため、本発明によると、第1回転軸まわりに回転可能で且つ中実に形成され
た回転部材であって、
前記第1回転軸まわりの周方向において互いに異なる位置に設けられた複数のモーメント発生部を含み、
互いに反対を向く前記周方向を第1および第2の周方向とし、
各前記モーメント発生部は、第1の周方向の側を向く第1面と、第2の周方向の側を向く第2面とを含み、
前記第1回転軸と直交する平面による前記回転部材の断面において、
前記第2面は、該第2面に隣接する前記モーメント発生部の前記第1面に向かって延びる傾斜面部を有し、
該第1面と正対する正対方向から見た場合に、該傾斜面部の始点は、前記第1回転軸から、該第1面の反対側へずれた位置にあり、該傾斜面部は、前記正対方向と直交する平面から該第1面へ傾いた方向へ前記始点から該第1面へ延びている、回転部材と、
前記回転部材が前記第1回転軸まわりに回転可能に
複数取り付けられており、前記第1回転軸と交差する第2回転軸まわりに回転可能な回転体と、
前記回転体に設けられ、前記回転体の回転により発電する回転体発電機と
、
前記複数の回転部材毎に設けられ、前記回転部材の回転によりそれぞれ発電する複数の回転部材発電機と、を備える、流体発電装置が提供される。
【0014】
上述した本発明によると、第1の周方向の側を向く第1面に流体圧が作用することにより、第1回転軸まわりの回転モーメントが回転部材に発生する。
これについて、第2面の傾斜面部は、隣接するモーメント発生部の第1面側へ傾斜して延びているので、流れて来る流体を第1面へ案内して、第1面に作用する流体圧を増やす。
さらに、第1面側に傾斜している傾斜面部は、該第1面と正対する正対方向から見た場合に、前記第1回転軸から該第1面の反対側へずれた位置から該第1面へ、広い範囲にわたって延びている。したがって、傾斜面部により第1面へ案内される流体量が増える。よって、第1面に作用する流体圧が大きくなるので、より大きな回転モーメントを回転部材に生じさせることができる。
【0015】
上述の回転部材は、例えば以下のように構成することができる。
【0016】
(2)上記(1)において、前記断面の位置が前記第1回転軸と平行な方向(第1回転軸に沿う方向)に移行するに従って、前記複数のモーメント発生部の周方向位置が連続的にまたは段階的に周方向に変化している。
【0017】
このように、複数のモーメント発生部の周方向位置が連続的にまたは段階的に周方向に変化しているので、回転部材の回転位相により回転モーメントが変動することを抑えることができる。
すなわち、上述の回転部材には、第1面に作用する流体圧が大きいため、回転部材に生じる回転モーメントの変動も大きくなる可能性がある。
この課題は、モーメント発生部の周方向位置の連続的または段階的な変化により解決される。
【0018】
(3)上記(1)または(2)において、前記断面では、前記第1面は、平面であり、または、全体として凹形状である。
【0019】
この構成により、第1面に流れて来た流体が、第1面に周方向に圧力を作用させやすくなる。
【0020】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記断面の形状は、第1回転軸を中心とした互いに点対称の2つの半円を結合させた形状であり、
前記モーメント発生部の数は、2つであり、
前記断面において、
2つの前記半円の直径部分は、前記第1回転軸を通る同一の直線上にあり、一方の前記半円の直径部分と円弧部分は、それぞれ、一方の前記モーメント発生部の前記第1面と前記第2面を形成し、他方の前記半円の直径部分と円弧部分は、それぞれ、他方の前記モーメント発生部の前記第1面と前記第2面を形成している。
【0021】
このような形状の回転部材について、後述する風洞実験を行ったところ、揚力係数の値が、2.0にもなり、優れた揚力係数が得られることが確認された。
【0022】
(5)上記(4)において、前記断面では、前記第1回転軸を通る同一の直線上にある2つの前記半円の直径部分は、互いに重なる状態から直径寸法の50%をずらせて部分的に重なっている乃至直径寸法の100%をずらせて接触している。
【0023】
このような形状の回転部材についても、後述する実験を行ったところ、無負荷状態において、回転数が上昇する傾向が確認された。
【0025】
上述した本発明の流体発電装置では、回転部材が流体の流れにより回転すると、この流れと回転部材の回転により、回転部材には揚力が生じる。この揚力により回転体が回転する。
これについて、上述したように、流体の流れにより、回転部材には大きな回転モーメントが発生するので、その分、揚力も大きくなる。したがって、回転体発電機の発電量も大きくなる。
【0027】
このように、回転部材発電機をさらに設けているので、回転体の回転による発電に加えて、回転部材の回転によっても発電される。
【0028】
さらに、本発明
の参考例によると、上記(1)〜(5)のいずれかの回転部材と、
前記回転部材に設けられ該回転部材の回転により発電する回転部材発電機と、を備える流体発電装置が提供される。
【0029】
上述した本発明の流体発電装置では、上述したように、流体の流れにより、回転部材には大きな回転モーメントが発生するので、その分、回転部材の回転速度も高くなる。したがって、回転部材発電機の発電量も大きくなる。
【発明の効果】
【0030】
上述した本発明の回転部材によると、モーメント発生部の第2面の傾斜面部は、隣接するモーメント発生部の第1面側へ傾斜して延びているので、流れて来る流体を第1面へ案内して、第1面に作用する流体圧を増やす。
さらに、第1面側に傾斜している傾斜面部は、該第1面と正対する正対方向から見た場合に、前記第1回転軸から該第1面の反対側へずれた位置から該第1面へ、広い範囲にわたって延びている。したがって、傾斜面部により第1面へ案内される流体量が増える。よって、第1面に作用する流体圧が大きくなるので、より大きな回転モーメントを回転部材に生じさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
[回転部材の実施形態]
図2(A)は、本発明の実施形態による回転部材10を示す。
図2において、(B)〜(F)は、それぞれ、(A)のB−B、C−C、D−D、E−E、およびF−Fの断面図である。
【0034】
回転部材10は、空気や水などの流体が当たることにより第1回転軸C1(自身の軸)まわりに回転するように配置されて用いられる。この回転部材10は、例えば、後述する流体発電装置20,30または40に用いることができる。なお、回転部材10は、流体の流れにより第1回転軸C1まわりに回転することにより揚力を発生させる目的で用いられ、この揚力を利用する他の装置に設けられてもよい。
【0035】
回転部材10は、複数(
図2(B)の例では2つ)のモーメント発生部3を含む、複数のモーメント発生部3は、第1回転軸C1まわりの周方向(以下、単に周方向という)において互いに異なる位置に設けられている。第1回転軸C1は、回転部材10の中心軸であってよい。好ましくは、複数のモーメント発生部3は、等しい周方向間隔をおいて設けられている。ここで、周方向間隔とは、周方向位置を示す位相の差を意味する。
【0036】
図2(B)に示すように、第1回転軸C1と直交する平面による回転部材10の断面(以下、単に回転部材断面という)において、各モーメント発生部3は、半円の形状を有する。
図2(B)において、第1回転軸C1を通る破線は、2つのモーメント発生部3の境界である。ここで、互いに反対を向く上述の周方向を第1および第2の周方向とする。各モーメント発生部3は、第1および第2の周方向のうち第1の周方向の側を向く第1面3aと、第1および第2の周方向のうち第2の周方向の側を向く第2面3bとを含む。
【0037】
図3(A)は、
図2(B)に相当する回転部材断面を示し、第2面3bの説明図である。各モーメント発生部3の第2面3bは、次のように形成されている。回転部材の断面において、第2面3bは、この第2面3bに隣接するモーメント発生部3(すなわち、この第2面3bが属するモーメント発生部3に隣接するモーメント発生部3)の第1面3aに向かって延びる傾斜面部5を有する。これらの傾斜面部5と第1面3aは、この第1面3aと正対する正対方向Tから見た場合に、回転部材断面において次の関係(a)(b)を満たす。
(a)傾斜面部5の始点Pxは、第1回転軸C1から、第1面3aの反対側へ(
図3(A)の例では距離dだけ)ずれた位置にある。すなわち、第1面3aと始点Pxとの間に、第1回転軸C1が位置している。
(b)傾斜面部5は、正対方向Tと直交する平面Uから、第1面3aへ傾いた方向へ始点Pxから第1面3aへ延びている。
図3(A)の例では、傾斜面部5は、第1面3aまで延びている。
【0038】
なお、第1面3aと正対する正対方向Tとは、回転部材断面において、第1面3aの両端(例えば
図3(A)の位置P1と位置P2)を結ぶ直線に直交する方向である。
【0039】
第1面3aは、本実施形態では、回転部材断面において平面であるが、他の形状を有していてもよい。第2面3bは、回転部材断面において全体として凸形状を有する。すなわち、第2面3bは、回転部材断面において、第2の周方向の側に全体として盛り上がった形状を有する。
図2(B)と
図3(A)の例では、一方のモーメント発生部3について、回転部材断面において、第1面3aは、位置P1から位置P2まで直線状に延びており、第2面3bは、位置P1から位置P3まで円弧状に延びており、他方のモーメント発生部3について、第1面3aは、位置P4から位置P3まで直線状に延びており、第2面3bは、位置P4から位置P2まで円弧状に延びている。また、
図3(B)の例において、各第2面3bの円弧形状の中心は、位置P2,P3である。ただし、本発明によると、回転部材断面の形状として、上記(a)(b)の関係を満たす様々な形状を採用してよい。
【0040】
回転部材断面において、各モーメント発生部3について、第2面3bは、盛り上がった形状にする。この形状における頂部が上記始点Pxとなっている。これにより、第2面3bにおいて、傾斜面部5以外の部分(例えば始点PxからP4までの曲線部分)は、流入してくる流体に対する抵抗が小さくなる。
【0041】
本実施形態では、回転部材断面の形状は、第1回転軸C1を中心とした互いに点対称の2つの半円を結合させた形状である。2つの半円は、
図3(A)から分かるように、モーメント発生部3の数が2つであることに対応している。回転部材断面において、2つの半円の直径部分Sは、第1回転軸C1を通る同一の直線上にあり、かつ、部分的に互いに重なっている。また、回転部材断面において、一方の半円の直径部分Sと円弧部分Rは、それぞれ、一方のモーメント発生部3の第1面3aと第2面3bを形成している。同様に、回転部材断面において、他方の半円の直径部分Sと円弧部分Rは、それぞれ、他方のモーメント発生部3の第1面3aと第2面3bを形成している。
【0042】
回転部材10は中実に形成されている。すなわち、回転部材10の内部には、空洞がない。回転部材10は、例えば、樹脂、軽量合金などにより形成されていてよい。
【0043】
図2(A)〜(F)に示すように回転部材断面の位置が第1回転軸C1と平行な方向(第1回転軸C1に沿う方向)に移行するに従って、複数のモーメント発生部3の周方向位置が連続的に周方向に変化している。このような回転部材10の3次元形状は、次のように表現することもできる。断面が半円である2つの半円柱を、その平らな側面同士を合わせた状態で互いに結合させたものを半円柱結合体とする。この半円柱結合体は、上述した回転部材断面と同じ形状を有する。この半円柱結合体を、第1回転軸C1まわりにねじったものは、
図2(A)の回転部材10と同じ3次元形状を有する。
【0044】
好ましくは、回転部材10のねじれの割合は一定である。すなわち、各モーメント発生部3について、第1回転軸C1と平行な方向における回転部材断面の位置の変化量に対する、モーメント発生部3の周方向位置の変化量(すなわち、第1回転軸C1まわりの位相変化)の割合は、一定である。ここで、「一定」とは、第1回転軸C1と平行な方向におけるモーメント発生部3の存在範囲全体にわたって一定であることを意味する。以下、周方向位置の変化を、単に位相変化ともいう。
【0045】
この場合、好ましくは、1つの周方向位置を任意に選択したときに、この周方向位置にモーメント発生部3が位置することになる軸方向位置(第1回転軸C1と平行な方向の位置)の数は、一定である。すなわち、この数は、選択された周方向位置によらず一定である。このことは、次のように表現することもできる。第1回転軸C1まわりの1周の位相変化量を360度とし、モーメント発生部3の数をnとし、1以上の整数をmとした場合に、好ましくは、各モーメント発生部3について、モーメント発生部3の全位相変化量は、360度をnで除した値(360/n)のm倍である。
【0046】
(実施形態による回転部材の効果)
上述した本実施形態の回転部材10によると、第1面3aに流体圧(動圧)が作用することにより、第1回転軸C1まわりの回転モーメントが回転部材10に発生する。
これについて、第2面3bの傾斜面部5は、隣接するモーメント発生部3の第1面3a側へ傾斜して延びているので、流れて来る流体を第1面3aへ案内して、第1面3aに作用する流体圧を増やす。
さらに、傾斜面部5は、第1面3aと正対する方向から見た場合に、第1回転軸C1から第1面3aの反対側へずれた位置から第1面3aへ、広い範囲にわたって延びている。したがって、傾斜面部5により第1面3aへ案内される流体量が増える。よって、第1面3aに作用する流体圧が大きくなるので、より大きな回転モーメントを回転部材10に生じさせることができる。例えば、
図3(A)において、第1回転軸C1よりも、この図の下側において回転部材10に流入する流れAも、第1面3aへ向かう流れBになって第1面3aへの圧力に寄与する。その結果、回転部材10に生じる回転モーメントが大きくなる。
【0047】
また、回転部材10は、中実に形成されているので、剛性の高い回転部材10が得られる。したがって、回転部材10の回転による回転部材10の変形が防止される。よって、回転部材10は、安定して高速回転できる。
これに対し、例えば、風力発電装置に用いられる従来のサボニウス型回転部材(後述の
図7(B)(C)を参照)は、中空部を有するため剛性が不足し、回転速度が上がってくると変形し回転性能が低下してしまい、その結果、回転部材を高速回転させることが困難になる場合がある。
【0048】
(実験での揚力計測)
図2の回転部材10について風洞実験を行った。この実験では、水平に配置した回転部材10の両端部を回転可能に支持し、第1回転軸C1に直交する水平方向に回転部材10に風を当てた。
【0049】
この実験では、回転部材10の揚力F
Lと抗力F
Dと回転部材10の回転数を計測した。
図3(B)は、
図2(B)に相当する回転部材10の断面図であり、回転部材10に風を当てることにより回転部材10に発生する揚力F
Lと抗力F
Dを示す。揚力F
Lと抗力F
Dは、次の式で表される。
F
L=(1/2)ρV
2C
LD
F
D=(1/2)ρV
2C
DD
ここで、ρは空気密度であり、Vは風速であり、Dは
図3(B)に示す回転部材10の幅であり、C
Lは揚力係数であり、C
Dは抗力係数である。
【0050】
図4(A)(B)は、この実験における各計測値を示す。
図4(A)において、横軸は、
図2の回転部材10に当てた風の速さを示し、縦軸は、揚力係数C
Lまたは抗力係数C
Dを示す。すなわち、
図4(A)において、丸印のプロットは、回転部材10に作用した抗力の計測値から求めた抗力係数であり、四角印のプロットは、回転部材10の揚力の計測値から求めた揚力係数を示す。この図から分かるように、揚力係数は、最大で2.0になった。なお、この値は、
図7(A)に示す標準翼で得られる揚力係数の最大値である1.6よりも大幅に大きい。なお、
図7(A)の標準翼は、この図の一点鎖線に介して線対称な形状の翼であり、厚みが弦長の12%である。
【0051】
図4(B)において、横軸は、
図2の回転部材10に当てた風の速さを示し、縦軸は、回転部材の回転数(rpm)を示す。
図4(B)において、黒の三角印のプロットは、
図2の回転部材10の場合を示し、白の三角印のプロットは、参考例としての
図7(B)に示すサボニウス型回転部材の場合を示す。このサボニウス型回転部材は、回転軸Csまわりに回転可能に配置された。また、
図7(C)は、図
7(B)のC−C断面である。
図7(C)のように、サボニウス型回転部材には、空気が入り込む空洞が内部に設けられている。
図7(B)(C)では、サボニウス型回転部材は、2つの円弧状板と、これらを結合する結合板とを有する。
図4(B)から分かるように、
図2の回転部材10では、回転数は、風速の増加につれて増加し、ここでの例では最大で3000rpmを越えても安定して回転を続けた。一方、サボニウス型回転部材は、回転数が上がると、遠心力により部材が外側に変形して回転性能が低下し、風速5m程度で大きな振動を発生させた。
【0052】
図8は、上述の風洞実験において、回転部材10に作用する風速が9.6m/sである時点で計測した揚力の値を示す。
図8(A)は、後述する
図14のようにモーメント発生部3の周方向位置を一定にした場合を示し、
図8(B)は、
図2(A)〜(F)のようにモーメント発生部3の周方向位置を変化させた場合を示す。
図8(A)は、回転部材10の回転数が1724rpmである状態での計測値を示し、
図8(B)は、回転部材10の回転数が1900rpmである状態での計測値を示す。同じ風速において、モーメント発生部3の周方向位置を変化させた場合の方が優れた回転性能を示した。
【0053】
図8(A)では、揚力が、最小値の−25(N)程度から最大値の45(N)程度の間で変動している。これに対して、
図8(B)では、揚力は、ほぼ10(N)程度の一定値をとっている。したがって、モーメント発生部3の周方向位置を変化させることにより、揚力の変動を防止できる。
【0054】
本実施形態では、
図5(A)に示すように、回転部材断面において、モーメント発生部3に対応する2つの半円の直径部分Sは、第1回転軸C1を通る同一の直線上にあり、かつ、直径部分Sが重なる状態から互いに直径寸法の50%をずらせて(オフセットさせて)部分的に重なっている(50%オフセットモデル)。
【0055】
ここで、2つの半円のオフセット量をパラメータとして実験を行ったところ、
図6に示す結果を得た。
図6において、
図4(B)と同じく横軸は、回転部材に当てた流速を示し、縦軸は、回転部材の回転数(rpm)を示す。
図6において、ひし形印のプロットは、
図5(A)の50%オフセットモデルを示し、三角印のプロットは、
図5(B)の2つの半円の直径部分Sを互いに直径寸法の100%をずらせて接触させた100%オフセットモデルを示し、四角印のプロットは、参考例として、
図5(C)の2つの半円の直径部分Sを互いに直径寸法の33%をずらせて部分的に重ねた33%オフセットモデルを示す。
【0056】
図6から分かるように、無負荷状態において流速を増加させた場合、
図5(C)の33%オフセットモデルよりも、
図5(A)の50%オフセットモデル及び
図5(B)の100%オフセットモデルの方の回転数が上昇する傾向が確認された。
したがって、モーメント発生部3に対応する2つの半円の直径部分Sのオフセット量を50%〜100%に設定することが望ましい。
【0057】
[流体発電装置の実施形態]
図9は、本発明の実施形態による流体発電装置20を示す。
図10は、
図9のVIII−VIII矢視図である。なお、
図10では、一部(ハッチング部分)を断面として図示している。流体発電装置20は、上述した回転部材10と、回転体21と、回転体発電機23とを備える。
【0058】
回転体21には、回転部材10が第1回転軸C1まわりに回転可能に取り付けられている。回転体21は、第1回転軸C1と交差(例えば直交)する第2回転軸C2まわりに回転可能に回転体支持体25に支持されている。好ましくは、このような回転部材10が、複数設けられている。複数の回転部材10の第1回転軸C1が、回転体21の第2回転軸C2を中心として放射状に延びるように、複数の回転部材10が配置されている。
【0059】
回転体発電機23は、回転体21の回転により発電する。回転体発電機23の回転子23aは、
回転体21に固定され、回転体発電機23の固定子23bは、回転体支持体25に固定されている。回転子23aは、磁界の変化により発電するための巻線と永久磁石の一方であり、固定子23bは、これら巻線と永久磁石の他方であってよい。
【0060】
上述した本実施形態の流体発電装置20では、回転部材10が流体の流れ(
図9では風)により第1回転軸C1まわりに回転すると、この流れと回転部材10の回転により、
図1に基づいて上述したマグナス効果による揚力が回転部材10に生じる。この揚力により回転体21が回転する。
これについて、上述したように、流体の流れにより、回転部材10には大きな回転モーメントが発生するので、その分、揚力も大きくなる。したがって、回転体発電機23の発電量も大きくなる。
【0061】
[流体発電装置の別の実施形態]
図11は、図
9の部分拡大図に相当し、本発明の別の実施形態による流体発電装置30を示す。
図11の流体発電装置30について、以下で説明する以外の点は、
図10と
図11の流体発電装置20と同じである。
【0062】
流体発電装置30は、回転部材10に設けられた回転部材発電機31を備える。回転部材発電機31は、第1回転軸C1まわりの回転部材10の回転により発電する。この例では、各回転部材10に回転部材発電機31が設けられている。回転部材発電機31の回転子31aは、回転部材10に固定され、回転部材発電機31の固定子31bは、回転体21に固定されている。回転子31aは、磁界の変化により発電するための巻線と永久磁石の一方であり、固定子31bは、これら巻線と永久磁石の他方であってよい。
【0063】
上述した流体発電装置30では、第2回転軸C2まわりの回転体21の回転による発電に加えて、第1回転軸C1まわりの回転部材10の回転によっても発電される。
【0064】
[流体発電装置のさらに別の実施形態]
図12は、本発明の
参考形態による流体発電装置40を示す。流体発電装置40は、上述した回転部材10と回転部材発電機41とを備える。
【0065】
回転部材発電機41は、回転部材10に設けられ、第1回転軸C1まわりの回転部材10の回転により発電する。回転部材発電機41の回転子41aは、回転部材10に固定され、回転部材発電機41の固定子41bは、回転部材10を回転可能に支持する回転部材支持体43に固定されている。回転子41aは、磁界の変化により発電するための巻線と永久磁石の一方であり、固定子41bは、これら巻線と永久磁石の他方であってよい。
図12の例では、回転部材発電機41は、固定子41bが固定されたケーシング41cを有し、ケーシング41cは回転部材支持体43に固定されている。すなわち、固定子41bはケーシング41cを介して回転部材支持体43に固定されている。
【0066】
上述した本
参考形態の流体発電装置40では、上述したように、流体の流れにより、回転部材10には大きな回転モーメントが発生するので、回転部材発電機41の発電量も大きくなる。
【0067】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例1〜5のいずれかを採用してもよいし、変更例1〜5を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で説明しない点は、上述と同じである。
【0068】
(変更例1)
上述では、回転部材断面の位置が第1回転軸C1と平行な方向に移行するに従って、複数のモーメント発生部3の周方向位置が連続的に周方向に変化していた。しかし、回転部材断面の位置が第1回転軸C1と平行な方向に移行するに従って、複数のモーメント発生部3の周方向位置が段階的に周方向に変化していてもよい。
【0069】
この場合の回転部材10の一例を
図13に示す。
図13は、本発明の変更例1による回転部材10を示す。
図13において、(B)〜(F)は、それぞれ、(A)のB−B、C−C、D−D、E−E、およびF−Fの断面図である。
【0070】
複数のモーメント発生部3の周方向位置を段階的に周方向に変化させることによっても、回転部材10に生じる揚力の変動を抑えることができる。
【0071】
(変更例2)
第1回転軸C1と平行な方向における回転部材断面の位置によらず、複数のモーメント発生部3の周方向位置は一定であってもよい。この場合の回転部材10の一例を
図14に示す。
図14(A)は、本発明の変更例2による回転部材10を示す。
図14(B)は、
図14(A)のB−B断面図である。第1回転軸C1と平行な方向における回転部材断面の位置によらず、複数のモーメント発生部3の周方向位置は、
図14(B)の場合と同じである。
【0072】
(変更例3)
上述では、第1面3aは、本実施形態では、回転部材断面において平面であったが、他の形状を有していてもよい。例えば、回転部材断面において、各モーメント発生部3の第1面は、
図2(B)に相当する
図15(A)のように、全体として凹形状を有していてもよい。
【0073】
(変更例4)
上述では、第2面3bは、回転部材断面において円弧形状であったが、回転部材断面において、全体として凸形状を有していれば、他の形状を有していてもよい。例えば、回転部材断面において、各モーメント発生部3の第2面3bは、
図2(B)に相当する
図15(B)のように、三角形の2辺により形成されていてもよい。
【0074】
(変更例5)
上述では、モーメント発生部3の数は、2つであったが、3つであっても、4つ以上であってもよい。
図15(C)は、モーメント発生部3の数が3つの場合を示し、
図2(B)に対応する回転部材断面を示す。