特許第6928612号(P6928612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6928612紫外線発光ダイオードで蚊を誘引する殺虫剤燻蒸機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6928612
(24)【登録日】2021年8月11日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】紫外線発光ダイオードで蚊を誘引する殺虫剤燻蒸機
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20210823BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20210823BHJP
   A01M 13/00 20060101ALI20210823BHJP
   A01N 25/18 20060101ALI20210823BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   A01M1/20 G
   A01M1/02 T
   A01M13/00
   A01N25/18 103A
   A01P7/04
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-547894(P2018-547894)
(86)(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公表番号】特表2019-512237(P2019-512237A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】KR2017002501
(87)【国際公開番号】WO2017155300
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2020年3月3日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0029791
(32)【優先日】2016年3月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0023460
(32)【優先日】2017年2月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】コ,ミ ソ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨ ジン
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3085542(JP,U)
【文献】 特開2014−050319(JP,A)
【文献】 実開平06−045473(JP,U)
【文献】 特開平11−075657(JP,A)
【文献】 特開2006−136276(JP,A)
【文献】 特開2000−210000(JP,A)
【文献】 米国特許第06968124(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品が設置される薬品設置部と、
前記薬品設置部付近に設置され、薬品が燻蒸部で燻蒸されるように加熱する加熱部と、
前記燻蒸部付近に設置され、虫誘引効率が高い波長帯の光を照射する光源と、
前記薬品設置部が設けられ、前記加熱部及び前記光源が設置されたハウジングと、
を含み、
前記光源は、紫外線発光ダイオード、及び前記紫外線発光ダイオードが実装された基板を含み、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内部に設置された前記光源から照射された光が通過する通過孔、前記燻蒸部の上方に位置する燻蒸孔、及び、前記燻蒸孔よりも下方に位置する空気流入孔が設けられ、
前記空気流入孔は、少なくとも前記光源を基準にして前記加熱部が位置する方向と対向する前記ハウジングの側面に設けられる、
殺虫剤燻蒸機。
【請求項2】
前記通過孔には、紫外線透過率が高い材質の保護窓が設置される、請求項1に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項3】
前記紫外線発光ダイオードは、その紫外線照射角の中心線が鉛直線を中心に後方に向かって90度以下の角をなすように前記ハウジングに設置される、請求項1に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項4】
前記紫外線発光ダイオードが設置された位置より後方に位置する前記ハウジングの表面には、少なくとも後方に向かう紫外線の照射方向を上方に転換させる反射面が設けられる、請求項に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項5】
前記通過孔を介して前記ハウジングの外部に照射される紫外線の照射範囲が制限される、請求項1に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項6】
前記照射範囲は、鉛直線を基準にして前方に向かって30度を超えない、請求項に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項7】
鉛直線を基準にして前方に向かって照射される前記紫外線の照射範囲を制限する通過孔部分には反射面が設けられる、請求項に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項8】
前記光源は、前記ハウジングの後面部側に設置され、後方に向かって紫外線を照射する、請求項1に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項9】
前記紫外線発光ダイオードの前方には、
少なくとも一部区間で、前記紫外線発光ダイオードの光照射領域の中心線から遠くなるほど、前記紫外線発光ダイオードの発光地点からレンズの外側表面までの距離がさらに遠くなるように形成されるレンズが設置される、請求項に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項10】
前記レンズは、
前記紫外線発光ダイオードの光照射領域の中心線から所定角度までは、前記紫外線発光ダイオードの光照射領域の中心線を中心に凹状に陥没した領域が形成された、請求項に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項11】
前記ハウジングの後面部側には、後方に向かって突出するプラグが設置される、請求項から10のいずれか1項に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項12】
薬品が設置される薬品設置部と、
前記薬品設置部付近に設置され、薬品が燻蒸部で燻蒸されるように加熱する加熱部と、
前記燻蒸部付近に設置され、虫誘引効率が高い波長帯の光を照射する光源と、
前記薬品設置部が設けられ、前記加熱部及び前記光源が設置されたハウジングと、
を含み、
前記光源は、紫外線発光ダイオード、及び前記紫外線発光ダイオードが実装された基板を含み、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内部に設置された前記光源から照射された光が通過する通過孔が設けられ、
前記ハウジングには、前記光源と前記加熱部との間に配置され、前記加熱部で発生した熱が光源に伝達されることを防止する遮蔽部材が備えられる、殺虫剤燻蒸機。
【請求項13】
前記遮蔽部材は、前記ハウジングに形成された空気流入孔から流入した空気を、前記空気流入孔より上部に位置する空気流出孔にガイドするベーン形状である、請求項12に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項14】
前記燻蒸部の上部に設けられた前記ハウジングの燻蒸孔が前記空気流出孔として使用される、請求項13に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項15】
前記ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとが互いに結合される構造を含み、
前記第1ハウジングは、前記加熱部を固定する加熱部固定部材と、前記光源を固定する光源固定部材と、を含む、請求項1に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項16】
前記第2ハウジングは、前記第2ハウジングを前記第1ハウジングに結合した状態で、前記加熱部固定部材に固定された加熱部の離脱を防止する加熱部支持部材、及び前記光源固定部材に固定された光源の離脱を防止する光源支持部材のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項15に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項17】
前記第1ハウジングには、プラグが設置された締結板が固定されるプラグ固定部が設けられる、請求項15に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項18】
前記光源が前記ハウジングの前面部側に設置され、前方に向かって紫外線を照射し、
前記光源をカバーするカバーをさらに含む、請求項1に記載の殺虫剤燻蒸機。
【請求項19】
薬品が設置される薬品設置部と、
前記薬品設置部付近に設置され、薬品が燻蒸部で燻蒸されるように加熱する加熱部と、
前記燻蒸部付近に設置され、虫誘引効率が高い波長帯の光を照射する光源と、
前記薬品設置部が設けられ、前記加熱部及び前記光源が設置されたハウジングと、
を含み、
前記光源は、紫外線発光ダイオード、及び前記紫外線発光ダイオードが実装された基板を含み、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内部に設置された前記光源から照射された光が通過する通過孔が設けられ、
前記ハウジングは、少なくとも一部にガイドレールを含み、
前記光源が前記ガイドレールに沿って移動し、
前記ガイドレールをカバーするカバーをさらに含む、殺虫剤燻蒸機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫剤燻蒸機に関し、より詳細には、紫外線発光ダイオードを用いて燻蒸された殺虫剤の濃度が高い場所に蚊などの虫を誘引することによって、誘引された蚊を高い濃度の殺虫剤によって直ぐ撲滅できるようにした殺虫剤燻蒸機に関する。
【背景技術】
【0002】
殺虫剤は、人体に対する被害を最小化しながら、蚊などのように撲滅しようとする虫を殺す効果が大きい化学薬品を言う。特に、家庭で主に使用される殺虫剤は、蚊、ゴキブリ及びアリなどをターゲットとしている。
【0003】
特に、防蚊剤の場合、エアロゾル形態の防蚊剤を噴射したり、蚊取り線香を焚くことによって蚊を退治していた方式から逸脱し、防蚊剤がしみ込んだパッドを用いたり、容器に収容されている液体状の防蚊剤を用いて燻蒸する方式が広く使用されている。このような方式は、防蚊剤が徐々に広がるので臭いをほとんど感じなく、防蚊剤をゆっくり且つ持続的に一晩中使用できるので家庭での使用に特に適している。
【0004】
ところが、このような電気燻蒸方式の蚊殺虫剤は、燻蒸機から遠く離れた位置では殺虫効果が低下するので、燻蒸機を遠くに置いて寝る人は依然として蚊に刺されるなど、その殺虫効果に限界があった。
【0005】
これは、燻蒸機から遠く離れるほど空気中に含まれる殺虫剤の濃度が薄くなるためであるが、殺虫剤に耐性が生じた蚊が燻蒸機からある程度離れた位置で活動するときは、殺虫剤の影響をほとんど受けなくなる。
【0006】
したがって、寝ている間に蚊に刺されることを防止するためには、燻蒸機の近くで寝たり、燻蒸機を幾つも設置することによって空気中にある殺虫剤の濃度を高め、殺虫剤が広がらない死角地帯をなくす方式を用いなければならなかった。しかし、これは、人も殺虫剤の濃度が高い場所に留まらなければならないという結果となり、微細塵や超微細塵などにより脆弱な子供や高齢者の場合は、各種疾患が誘発されるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものであって、蚊殺虫剤の燻蒸量を増加させなくても殺虫効果を高めることができる殺虫剤燻蒸機を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、人体に最大限無害でありながらも殺虫効果を高めることができる殺虫剤燻蒸機を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、部品の数を減らして組立工程を単純化し、製造が簡単な殺虫剤燻蒸機を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、蚊誘引効果が高い紫外線を発光させながらも発光効率を高め、殺虫効果が高いと共に、エネルギー消費効率の良い殺虫剤燻蒸機を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、蚊誘引光を屈折又は拡散させることによって蚊誘引効率を向上させると同時に、紫外線が人体に直接照射されることを防止するためにカバーをさらに含む殺虫剤燻蒸機を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、蚊誘引光の照射方向を容易に変化させることによって、殺虫剤燻蒸機の設置環境に関係なく、紫外線による蚊誘引効率を向上させるために紫外線発光ダイオードの移動をガイドするガイドレールが設けられた殺虫剤燻蒸機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、電気燻蒸機における燻蒸部の周辺に蚊を誘引する紫外線発光ダイオードを設置し、蚊が燻蒸部の周辺に集まるように誘引する電気燻蒸機を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記紫外線発光ダイオードから照射される紫外線が、室内に留まる人の肉眼に直接照射されない防止策が設けられた電気燻蒸機を提供する。
【0015】
また、本発明は、燻蒸部を加熱する加熱部と紫外線発光ダイオードが同一のハウジングに設置され、調節が容易な電気燻蒸機を提供する。
【0016】
また、本発明は、加熱部の熱が紫外線発光ダイオードに伝達されることを遮断し、円滑な空気の流れを誘導するベーンが備えられることによって燻蒸がより円滑に行われ、発光効率が高い電気燻蒸機を提供する。
【0017】
また、本発明は、蚊を誘引する紫外線光源として、ピーク波長を中心とする半値幅が狭い発光ダイオードを使用し、蚊が最も多く誘引される波長帯の紫外線を照射する発光ダイオードが設置された電気燻蒸機を提供する。
【0018】
具体的に、本発明は、薬品90が設置される薬品設置部19;薬品設置部付近に設置され、前記薬品が燻蒸部91で燻蒸されるように加熱する加熱部50と、前記燻蒸部付近に設置され、虫誘引効率が高い波長帯の光を照射する光源70と、前記薬品設置部が設けられ、前記加熱部及び光源が設置されたハウジング10と、を含む殺虫剤燻蒸機を提供する。
【0019】
前記燻蒸機において、前記光源は、紫外線発光ダイオード71、及び前記紫外線発光ダイオードが実装された基板72を含むことを特徴とする。
【0020】
前記燻蒸機において、前記紫外線発光ダイオード71から照射される紫外線は320nm〜400nmの範囲内にピーク波長を有することを特徴とする。
【0021】
前記燻蒸機において、前記紫外線発光ダイオード71から照射される紫外線は360nm〜370nmの範囲内にピーク波長を有することを特徴とする。
【0022】
前記燻蒸機において、前記ハウジングには、前記ハウジングの内部に設置された前記光源から照射された光が通過する通過孔が設けられることを特徴とする。
【0023】
前記燻蒸機において、前記通過孔には、紫外線透過率が高い材質の保護窓が設置されることを特徴とする。
【0024】
前記燻蒸機において、前記保護窓の材質は、PMMA、石英又はフッ素系合成樹脂を含むことを特徴とする。
【0025】
前記燻蒸機において、少なくとも前記光源70を基準にして前記加熱部が位置する方向と対向するハウジングの位置に空気流入孔61が設けられたことを特徴とする。
【0026】
前記燻蒸機において、前記紫外線発光ダイオード71は、その紫外線照射角の中心線cが鉛直線を中心に後方に向かって90度以下の角をなすように前記ハウジング10に設置されることを特徴とする。
【0027】
前記燻蒸機において、前記紫外線発光ダイオード71が設置された位置より後方に位置するハウジングの表面には、少なくとも後方に向かう紫外線の照射方向を上方に転換させる反射面85が設けられることを特徴とする。
【0028】
前記燻蒸機において、前記通過孔18を介してハウジングの外部に照射される紫外線の照射範囲が制限されることを特徴とする。
【0029】
前記燻蒸機において、前記照射範囲は、鉛直線を基準にして前方に向かって30度を超えないことを特徴とする。
【0030】
前記燻蒸機において、前記鉛直線を基準にして前方に向かって照射される前記紫外線の照射範囲を制限する通過孔部分には反射面が設けられることを特徴とする。
【0031】
前記燻蒸機において、前記ハウジングの後面部側には、後方に向かって突出するプラグ20が設置されることを特徴とする。
【0032】
前記燻蒸機において、前記ハウジングには、前記光源70と加熱部50との間に配置され、前記加熱部50で発生した熱が光源70に伝達されることを防止する遮蔽部材16が備えられることを特徴とする。
【0033】
前記燻蒸機において、前記遮蔽部材16は、ハウジングに形成された空気流入孔61から流入した空気を、前記空気流入孔より上部に位置する空気流出孔62にガイドするベーン形状であることを特徴とする。
【0034】
前記燻蒸機において、前記燻蒸部の上部に設けられた前記ハウジングの燻蒸孔14が前記空気流出孔62として使用されることを特徴とする。
【0035】
前記燻蒸機において、前記ハウジングは、第1ハウジング11と第2ハウジング12とが互いに結合される構造を含み、前記第1ハウジングには、前記加熱部を固定する加熱部固定部材15と、前記光源を固定する光源固定部材17とを含むことが特徴とする。
【0036】
前記燻蒸機において、前記第2ハウジングは、前記第2ハウジングを前記第1ハウジングに結合した状態で、前記加熱部固定部材に固定された加熱部の離脱を防止する加熱部支持部材151、及び前記光源固定部材に固定された光源の離脱を防止する光源支持部材171のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0037】
前記燻蒸機において、前記第1ハウジングには、プラグ20が設置された締結板21が固定されるプラグ固定部112が設けられることを特徴とする。
【0038】
前記燻蒸機において、前記光源が前記ハウジングの前面側に設置され、前方に向かって紫外線を照射し、前記光源をカバーするカバーをさらに含むことを特徴とする。
【0039】
前記燻蒸機において、前記ハウジングは少なくとも一部にガイドレールを含み、前記光源が前記ガイドレールに沿って移動することを特徴とする。
【0040】
前記ガイドレールを含む燻蒸機において、前記ガイドレールをカバーするカバーをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、蚊殺虫剤を燻蒸する電気燻蒸機における燻蒸部の周辺に紫外線発光ダイオードを設置することによって蚊を誘引し、その結果、殺虫剤の濃度が高い領域に蚊を誘引して、殺虫効果を高めることができる。
【0042】
また、本発明によると、人の肉眼に紫外線発光ダイオードが直接露出しない構造を具現することによって、肉眼に紫外線が持続的に露出することによって発生する被害を防止し、殺虫効果を高めながらも蚊殺虫剤の燻蒸量を最小化することができ、燻蒸された殺虫剤によって発生し得る身体疾患の発生を最小化することができる。
【0043】
また、本発明によると、製品の製作を簡単に行うことができ、且つ価格競争力を備えることができ、維持補修が容易である。
【0044】
また、本発明によると、エネルギーの消耗が少なく、蚊を多く誘引できる波長帯で発光効率が高く、よく放熱されることによって発光効率をさらに高めることができる紫外線発光ダイオード及びその設置構造により、蚊誘引効率を高めることによって殺虫効率を高めると同時に、エネルギー消費効率を向上させることができる。
【0045】
また、本発明は、紫外線発光ダイオードをカバーするカバーをさらに含むことによって、蚊誘引光の屈折又は拡散によって蚊誘引効率を向上させると同時に、紫外線が人体に直接照射されることを防止することができる。
【0046】
また、本発明は、紫外線発光ダイオードの移動をガイドするガイドレールをさらに含むことによって、蚊誘引光の照射方向を容易に変化させ、殺虫剤燻蒸機の設置環境に関係なく、紫外線による蚊誘引効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明に係る一実施例である殺虫剤燻蒸機の分解斜視図である。
図2図1の殺虫剤燻蒸機の断面図である。
図3】殺虫剤燻蒸機の他の実施例の断面図である。
図4】殺虫剤燻蒸機の他の実施例の断面図である。
図5】殺虫剤燻蒸機の他の実施例の断面図である。
図6】殺虫剤燻蒸機の他の実施例の断面図である。
図7図6に使用された光源の一実施例を示した斜視図である。
図8図7のX−X線断面図である。
図9図6に使用された光源の他の一実施例を示した斜視図である。
図10図9のY−Y線断面図である。
図11】殺虫剤燻蒸機の他の実施例の断面図である。
図12】殺虫剤燻蒸機の他の実施例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の好適な実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現可能である。但し、本実施例は、本発明の開示を完全にし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0050】
また、本発明で使用された用語であるハウジングの「後面部」及び「前面部」は、本発明の一実施例に係る殺虫剤燻蒸機の設置環境に応じて多様に変更可能であり、例えば、相対的に壁体に向かう面又は曲面が「後面部」を示し、相対的に壁体の反対方向に向かう面又は曲面が「前面」を示すことができる。
【0051】
図1は、本発明に係る一実施例である殺虫剤燻蒸機の分解斜視図で、図2は、図1の殺虫剤燻蒸機の断面図である。
【0052】
本発明の燻蒸機は、全体的な外形をなすハウジング10に薬品90が組み込まれて固定され、ハウジング10の内部に薬品90の燻蒸部91を加熱する加熱部50が設置されており、プラグ20を介して加熱部50に電源を供給すると、燻蒸部91に含まれている蚊殺虫剤が徐々に蒸発して空気中に広がる方式で作動する。薬品90は、容器の内部に液体状の蚊殺虫剤が収容された形態であり、燻蒸部の下端は、容器内部の液体状の殺虫剤に収容されているので、燻蒸部の上部の加熱によって燻蒸部にあった蚊殺虫剤が蒸発すると、毛細管現象により、容器の内部に収容されている液体状の蚊殺虫剤が持続的に燻蒸部から上がるようになる。
【0053】
本発明は、このような燻蒸部で蒸発した蚊殺虫剤が、空気中で最も濃度が高くなる領域である燻蒸機の周辺空間に蚊を誘引することによって、誘引された蚊を燻蒸機の周辺空間で殺虫することを一つの技術的思想とする。
【0054】
このために、本発明は、燻蒸部で燻蒸される殺虫剤が広がっていく通路である燻蒸孔14と近い位置で、少なくとも燻蒸機の上部空間に向かって蚊が多く誘引される光を照射し、燻蒸機から遠く離れているために燻蒸された殺虫剤の影響を受けていなかった蚊を燻蒸機の周辺、特に上部空間に誘引する。
【0055】
蚊を多く誘引する光を照射する光源70として、本発明では紫外線発光ダイオード71を使用する。紫外線発光ダイオード71は、従来の紫外線ランプに比べて、ピーク波長帯の周辺に光量が集まっている形態、すなわち、半値幅(spectrum half width)がさらに狭い形態であるので、蚊誘引のように特定の効果を有する波長の光が集中的に発光する必要があるときに特に有利であることを次の実験を通じて確認した。
【0056】
以下、同一の条件で紫外線発光ダイオードを設置した捕虫器と、既存の商用BL(black light)ランプを使用した捕虫器で捕虫実験を行った結果を説明する。まず、二つの光源の諸元は下記の表の通りである。
【0057】
【表1】
【0058】
二つの光源は、両方ともピーク波長を365nm付近にして類似する形態に構成することによって、ピーク波長以外の他の要因が蚊誘引効果にどれほど多くの違いをもたらすのかを確認するために下記の実験を進めた。二つの光源の諸元を比較すると、スペクトルピーク値の中間部分の幅(spectrum half width)の場合は、紫外線発光ダイオードがBLランプの半分に過ぎなく、可視光線領域に対する紫外線の強さの場合は、紫外線発光ダイオードが133mW/lmであって、BLランプの63mW/lmより2倍以上大きいことが分かる。
【0059】
これらの光源を有して野外畜舎で2回実験を進めたが、一晩中誘引されて捕集された個体の数(Trap Index)は以下の通りである。
【0060】
【表2】
【0061】
前記の実験結果から分かるように、紫外線発光ダイオードを設置した捕虫器を使用した場合、既存のBLランプ捕虫器を使用した場合より5倍以上の捕集効率を有する。このような実験結果は、紫外線発光ダイオードが既存の紫外線ランプより遥かに狭い半値幅を有するので所望の波長帯の紫外線を集中的に照射できるという点、発光ダイオードの場合、ランプとは異なって、照射光が指向性を有しているので目標となる地点に紫外線照射領域を集中できるという点などに起因すると推定される。すなわち、本発明は、既存の紫外線ランプより少なくとも5倍以上の蚊誘引効果をさらに発揮する紫外線発光ダイオードを光源として使用し、発光ダイオードの指向性を活用することによって、蚊が誘引されなければならない場所に紫外線の照射量を集中させる。
【0062】
一般に、近紫外線(UVA)領域帯(320nm〜400nm)の紫外線は、虫誘引効果を有するものとして知られているが、その領域のうち、特にどのような波長帯でより良い効果を有するのかに対してはあまり知られていない。このような認識は、UVA領域の紫外線ランプが他の領域の紫外線ランプより良い虫誘引効果を有するという点に起因したものである。しかし、紫外線発光ダイオードは、紫外線ランプに比べてかなり狭い半値幅を有するので、どのようなピーク波長を有する紫外線がより良い虫誘引効果を有するのかを特定する必要がある。すなわち、互いに異なる波長帯の光を発光する二つの紫外線発光ダイオードから照射される紫外線がいずれもUVA領域帯内にあるとしても、これらが互いに異なるピーク波長を有する場合、蚊を誘引する効果は異なり得る。上述した実験において、半値幅が広いために365nmを基準にして他の波長の紫外線まで均一に照射したランプと比べると、半値幅が狭いために365nm波長付近の紫外線がより集中的に照射される紫外線発光ダイオードを使用した捕虫器に蚊がさらに多く誘引された点から見ると、365nm付近の紫外線が最も高い蚊誘引効果を有すると推定することができる。
【0063】
上述した実験結果に基づいて、本発明では、365nmのピーク波長を有する紫外線発光ダイオードを光源とする。紫外線発光ダイオードの半値幅を見ると、約360nm〜370nmのピーク波長を有する紫外線であれば上述した実験結果に相当する蚊誘引効果を出せると予想される。
【0064】
本発明は、前記紫外線発光ダイオード71を実装した基板72をハウジング10に設置し、少なくとも燻蒸機の上部に向かって直接/間接的に紫外線を照射する。組立工程の便宜のために、ハウジング10は2以上の部品に分割・製作されて組み立てられる。第1ハウジング11と第2ハウジング12は分割・製作された後、各種部品を収容した状態で互いに結合される。
【0065】
第1ハウジング11は、分割されたハウジングの部分構成のうち各種部品が固定される部分として活用され得る。第1ハウジングの中央部には、薬品90がねじ締結方式で結合又は分離される薬品設置部19が備えられている。薬品設置部19の中央部には貫通部が形成されており、薬品90の燻蒸部91がこれを貫通してハウジングの内部空間に収容される。
【0066】
燻蒸部91を加熱するための加熱部50が設置される位置である薬品設置部19の上面には、加熱部固定部材15が設けられている。加熱部固定部材15は、上方に突出した突起状に構成されており、この突起が加熱部50に設けられた溝に圧入されることによって、加熱部50が第1ハウジング11に固定される。加熱部50の固定構造は、圧入方式に限定されるものではなく、組立過程で加熱部50を第1ハウジング11に容易に固定できる構造であれば十分であるので、多様な他の固定方式も適用可能である。
【0067】
加熱部50は、ドーナツ状の環形発熱体であって、電気エネルギーを熱エネルギーに変換させることによって燻蒸部91を加熱する構成である。加熱部50は、後述するプラグ20と電線22を介して電気的に接続されることによって電源の供給を受ける。薬品設置部19に薬品90を設置するとき、薬品90上部の燻蒸部91がドーナツ状の加熱部50に内挿される。したがって、加熱部は燻蒸部を取り囲むようになり、その結果、加熱部で発生した熱は燻蒸部にうまく伝達される。
【0068】
壁体に設置されたコンセントに差し込まれ、外部電源の供給を受ける通路となるプラグ20は締結板21に固定設置され、電線22を介して加熱部50と電気的に接続され、再び電線24を介して基板72に電気的に接続される。締結板21に固定されたプラグ20は、電線22、24を介して加熱部50及び光源70に接続された状態で製作され、第1ハウジング11上に固定される。
【0069】
プラグ20は、その締結板21を第1ハウジング11のプラグ固定部112に組み込めて固定する。締結板21は、プラグ固定部112の上部から下方に組み込まれて互いに締結される。次に、上述したように、加熱部50を第1ハウジング11に固定し、再び紫外線発光ダイオード71が実装された基板72を光源固定部材17に組み込めて固定する。第1ハウジング11は、ある程度の弾性を有する合成樹脂系の材質で製作可能であり、基板72は、このようにある程度の弾性を有する光源固定部材17に圧入され、その位置が固定され得る。基板72上に実装された紫外線発光ダイオードは上方に向かうように配置される。
【0070】
この状態で第2ハウジング12を第1ハウジング11に締結することができる。締結方式としては、ねじ締結、スナップインフックなどの通常の多様な方式が適用され得る。第2ハウジング12の中央部分において、ハウジングに固定された薬品90の燻蒸部91の上端に整列された位置には燻蒸孔14が設けられている。燻蒸部91は、燻蒸孔14の上端より突出していない状態で整列されることによって、ユーザーが燻蒸部の上端に直接接触することを防止した。そして、図示したように、燻蒸部91の上端と燻蒸孔14との間には少しのギャップがあり、ハウジング10の内部空間の加熱空気が殺虫剤の燻蒸時に燻蒸孔14を介して燻蒸された殺虫剤と共に流動しながら抜け出るようにした。
【0071】
第2ハウジング12を第1ハウジング11に締結すると、第2ハウジング12の底面から下方に突出した加熱部支持部材151は加熱部の上端を軽く押すようになる。したがって、第2ハウジングと第1ハウジングとを結合すると、加熱部50が加熱部固定部材15から上方に抜ける現象を防止することができる。同様に、光源支持部材171も基板の上面エッジを軽く押すことによって基板の離脱を防止する。そして、第2ハウジングの外周底面は、プラグ固定部112に組み込まれているプラグの締結板21を押すようになるので、締結板21もハウジングに堅固に固定される。
【0072】
本発明は、まず、プラグ20、加熱部50及び光源70を互いに電線などを介して電気的に接続した状態で、これらを分割されたハウジング部品のうち一つのハウジングである第1ハウジングに一時的に固定した後、第2ハウジング12を第1ハウジング11に締結する方式で組み立てるようになるので、組立過程が簡単である。また、第2ハウジング12が第1ハウジング11と締結されると同時に、第1ハウジング11に一時的に固定されていた前記各部品が堅固に固定されるので、組立工数をさらに減らすことができる。
【0073】
ハウジングに設置された紫外線発光ダイオード71の位置に対応する第2ハウジング12部分には、紫外線発光ダイオード71から照射された紫外線をハウジングの外部に照射させる通過孔18が設けられている。図示したように、必要に応じて、通過孔18を塞ぐ保護窓80を設置することによって紫外線発光ダイオード71を保護できることは当然である。保護窓80は、UVA領域帯の紫外線が透過し得る材質でなければならなく、透過率が高く、エネルギー準位が高い紫外線のエネルギーを吸収し、劣化現象の発生を防止しなければならない。これに適した材質としては、石英(quartz)、単量体の比率が約85%以上であるPMMA(Poly Methyl Meta Acrylate)、「Dupont」社の「Teflon」などのフッ素系合成樹脂を使用することができる。
【0074】
もちろん、図示したように、紫外線発光ダイオード71が半球状の1次レンズとパッケージ形態に実装された場合は、発光ダイオードチップ部分が1次レンズによって保護されるので、保護窓を省略することが十分可能である。1次レンズは、紫外線発光ダイオード71の発光点を中心にした半球状に製作することによって、レンズの境界で生じる紫外線の反射率を最小化することができる。
【0075】
図1及び図2を参照して説明した燻蒸機によると、プラグ20を壁体のコンセントに差し込んだ状態で電源が加熱部50及び基板72に印加され、その結果、殺虫剤の燻蒸及び紫外線の照射が起こるようになる。紫外線は、図示したように、燻蒸が起こる方向と一致する上方に向かって照射されるので、蚊はこのように燻蒸機の上部空間に照射される紫外線によって誘引され、殺虫剤の濃度が高い空間である燻蒸機の上部空間で直ぐ撲滅される。
【0076】
一方、少なくともハウジング10の側面には空気流入孔61が設けられており、加熱部によって加熱された後、燻蒸部91を介して上部に流出する空気によって空になるハウジングの内部空間に、前記空気流入孔61を介して加熱されていない空気が流入する。光源70は、このような空気流入孔61と加熱部50との間に位置しているので、加熱部50によって加熱された空気の影響を最小限に受けながら、空気流入孔61を介して流入した空気と接して十分に冷却されるようにした。
【0077】
また、光源70は、燻蒸部91を基準にしてプラグ20が設置される方向の反対方向に位置している。燻蒸機を基準にして見たとき、プラグが設置される方向は壁体がある後方となるので、燻蒸部を基準にしてそれより前方に光源70を置くことによって、光源によって紫外線が照射される燻蒸部の上部領域を少しでもさらに確保できるようになる。また、これによって、空気流入孔61もハウジングの前方に形成されるので、空気流入がさらに円滑に行われる。
【0078】
以下、本発明の他の実施例について説明する。図3図6は、それぞれ殺虫剤燻蒸機の他の実施例の断面図である。図3図6を説明するにおいて、既に説明した事項と重複する部分に対する説明は省略可能であるので、以下で重複内容を説明していなくても、後述する各実施例に関連構成がなかったり、関連技術が適用されていないことを意味するものではないという点に留意すべきであろう。
【0079】
まず、図3を参照すると、本発明の他の実施例に係る燻蒸機は、第2ハウジング12の上面が中央に行くほど陥没する形態に構成されている。そして、燻蒸部91より前方に設置された紫外線発光ダイオード71は、その照射角の中心線cが、鉛直線vを中心に後方に向かってやや傾いた形態となっている。また、紫外線発光ダイオード71の中心線cに沿ってその上側のハウジング部分に紫外線通過孔18が形成されている。鉛直線を中心に後方に向かって傾いた角度は、0度(中心線と鉛直線とが一致する位置)から90度の範囲内で適宜選択され得る。
【0080】
このように紫外線発光ダイオード71が後方に傾いた形態に設置される理由は、紫外線発光ダイオードから照射された光を肉眼で直接見ることを防止するためである。ピーク波長365nmの近紫外線(UVA領域)は人体に及ぼす影響が少ないが、肉眼がこれに過度に露出する場合、眼疾患が発生するおそれを完全に排除することはできない。そこで、本発明では、少しでも後方に向かって紫外線が偏った状態で照射されるように構成することによって、肉眼がこれに直接露出することを防止し、後方に向かって照射された紫外線が壁体に到達して散乱されることによって、燻蒸機から遠くに位置する蚊が、紫外線が散乱される壁面によって誘引されるようにすることを一つの技術的特徴とする。
【0081】
また、図3を参照すると、このような加熱部50と光源70との間には遮蔽部材16が設置されている。遮蔽部材16は、加熱部50から輻射によって熱が光源に伝達されることを遮断する位置、すなわち、遮蔽部材16と加熱部50の位置を直線で引いたとき、その直線上に設置される。そして、遮蔽部材16は、加熱部50で加熱された空気の熱が対流しながら光源に伝達されることを遮断する位置及び形状を有する。このために、加熱部に向かい合う遮蔽部材16の面は、上方に行くほど燻蒸部91と近くなる形状に構成されている。これらの二つの条件を満足しながら、図示したように、遮蔽部材16を薄いカイド板などのベーン形状にすると、光源70を基準にして加熱部と対向する方向に形成された空気流入孔61を介して流入した空気は、ベーン形状に沿ってその流動がガイドされ、燻蒸孔14を介して排出されるので、燻蒸拡散効率を高めることはもちろん、加熱部で発生する熱が対流して光源側に移動することを防止することができる。すなわち、燻蒸孔14は、空気流入孔を介してハウジングの内部に流入した空気が各内部構成を冷却した後で排出される空気流出孔としての機能を果たすようになる。
【0082】
また、図3に示したように、ハウジング10部分のうち高さが最も高い部分でありながら、光源70と近い位置に別途の空気流出孔62をさらに形成することによって、空気流入孔61を介して流入した空気は、光源70で発生する熱を吸収した後(すなわち、光源を冷却した後)、ハウジング上部の斜面に乗って移動し、空気流出孔62を介して外部に円滑に排出されるように構成することができる。また、通過孔18に別途の保護窓80を設置していない場合は、これを通じても加熱空気を円滑に排出できることは当然である。
【0083】
次に、本発明の更に他の実施例を図示した図4を参照すると、光源70は、ハウジングの前方上端部に設置されており、光源の中心照射方向(c参照)は、実質的に水平と言えるほどに後方に向かっている。特に、第2ハウジング12の上面の中心部は紫外線発光ダイオード71の照射角の中心線cより下側に位置し、第2ハウジングの上面の外側部は外側に行くほど上方に傾斜する形態に構成されており、この上方に傾斜する部分は、紫外線発光ダイオード71の照射角の中心線cと交差する。一方、ハウジングの上面には、紫外線がよく反射される反射面85が設けられている。
【0084】
このような構造を有する燻蒸機に電源が供給され、紫外線が照射されると、中心線cより上側に向かって照射される紫外線は、燻蒸機が差し込まれている壁体の上部に直接到達するようになり、中心線cより下側に向かって照射される紫外線は反射面85で反射され、その照射方向が上方に転換されて、燻蒸機の上部及び壁体側に向かって照射される。また、中心線cと並んで照射される紫外線は、中心線と交差する傾斜面で反射され、その方向が上方に転換される。したがって、紫外線発光ダイオードの照射角の中心線が水平となっていたとしても、紫外線は、燻蒸機の上部空間及び壁体に十分に照射され得る。特に、図4の実施例によると、燻蒸孔14の真上を通過する紫外線は非常に高い照度を有し、燻蒸孔14の入口部分では、燻蒸された殺虫剤の微細粒子の分布密度が非常に高いので、微細粒子の表面で紫外線の散乱が起こるようになり、特に、可視光線に比べて短い波長を有する紫外線の散乱がさらに多く起こるので、粒子によって散乱された光は、人の目には映らないと共に、蚊の目にはよく映るようになる。したがって、図4に示した実施例によると、上述した各原理によって蚊誘引効果をさらに高めることができる。
【0085】
次に、本発明の更に他の実施例を図示した図5には、紫外線発光ダイオードから照射される紫外線の照射角を通過孔18で制限できるという点が示されている。すなわち、紫外線発光ダイオード71から鉛直線vを基準にしてそれより前方に照射される紫外線の照射範囲は、通過孔18及び紫外線発光ダイオード71の相対的な位置によって決定され得る。壁体に設置されるコンセントは、ほとんどが人の背より低い位置に設けられることが一般的であるので、鉛直線vに対して紫外線が前方に向かって照射される範囲が、例えば、30度を超えないようにすると、人が肉眼で直接紫外線を見る可能性を大きく低下させることができる。
【0086】
また、通過孔18の内周面のうち、特に鉛直線を基準にして前方に向かって照射される紫外線の照射範囲を制限する通過孔部分には反射面85が設けられており、通過孔の形状によって前方に向かって照射されることが制限された紫外線の照射方向を再び後方に転換させることによって、紫外線による蚊誘引効率をさらに高めることができる。
【0087】
次に、本発明の更に他の実施例を図示した図6には、紫外線発光ダイオード71がハウジングの後面部側で後方に向かって設置された構造が示されている。このような構造によると、壁体に燻蒸機を設置したとき、人が肉眼で紫外線発光ダイオード71を見る可能性を著しく低下させることができ、紫外線発光ダイオード71から照射された紫外線は壁体の表面で散乱又は反射され、蚊の目で見たとき、間接照明と同じ効果を有するようになる。したがって、図6に示した燻蒸機の場合にも、蚊誘引効率を高めることができる。特に、図6に示した燻蒸機の場合、後方に向かって設置された紫外線発光ダイオード71の前面に2次レンズを設置し、紫外線の照射角を広げることはもちろん、紫外線の照射方向を前方から側方に転換することによって蚊誘引効果をさらに高めることができる。
【0088】
図7は、図6に使用された光源の一実施例を示した斜視図で、図8は、図7のX−X線断面図である。図7を参照すると、図6に示した実施例の光源70は、基板72上に紫外線発光ダイオード71が実装され、その上部にレンズが一体に又は別途に設置される構造である。図6に示したように、紫外線発光ダイオードが後方に向かって設置された場合、紫外線の照射領域が燻蒸部の直後方の壁体に集中することなく、燻蒸部を中心に壁体に全体的に広く拡散されるように紫外線を照射するためには、紫外線発光ダイオード71から照射されて出る紫外線が最大限広い指向角を有するように光経路を制御しなければならない。
【0089】
図8を参照すると、紫外線発光ダイオード71の光照射領域の中心線Oを基準にして紫外線発光ダイオード71から出射される光経路に至る角をaとすると、aが増加するにつれて、紫外線発光ダイオード71の発光地点で2次レンズ74表面の出射点Eまでの距離rが徐々に増加するように2次レンズ74の表面プロファイルが形成される。このようなプロファイルによると、紫外線発光ダイオード71から出射される紫外線が2次レンズ74の表面で屈折されて出射されながら光経路の角度がaからa’に変更される(a<a’)。したがって、紫外線発光ダイオード71から出射する紫外線は、2次レンズ74によって図面上の左右方向にその拡散角がさらに大きくなる。このような2次レンズ74の形態は、半球状の風船を上側から押してさらに平たく製作した形態と同じである。
【0090】
このような形態の2次レンズ74を、パッケージ形態に紫外線発光ダイオード71と共に実装された1次レンズ73上に設置すると、紫外線発光ダイオード71の照射角がさらに大きくなるので、紫外線が燻蒸部を中心に壁体に全体的に広く拡散された形態で照射されるように構成することができる。
【0091】
上述した形態の2次レンズには、依然として紫外線発光ダイオード71の正面に照射される紫外線が集中する。以下では、紫外線発光ダイオード71の正面に照射される紫外線を最大限側面方向に照射し、図6のような使用環境で紫外線をさらに広く照射することによって蚊誘引効果を高めることができるレンズ形態を提示する。
【0092】
図9は、図6に使用された光源の他の一実施例を示した斜視図で、図10は、図9のY−Y線断面図である。図9に示したレンズは、図7のレンズと比べて、レンズの中心を尖ったピンでさらに押し、レンズの中央部が凹状に陥没した形態である点で異なっている。すなわち、図7と比べて、図9のレンズは、図10の断面を見ると、光照射領域の中心線O付近に陥没した領域(0<a<a1)が形成された点で異なっている。陥没した領域は、紫外線発光ダイオード71の光照射領域の中心線Oから外側に傾斜して延長された形状であり、外側に延長されることによって、その勾配が徐々に減少する形態(上側に凸状の形態)からなる。
【0093】
図10を見ると、陥没した領域がある場合は、それがない場合に比べて光の分散効果が大きくなる。すなわち、陥没した領域では全反射が起こったり、全反射が起こらなかったとしても、レンズ表面に到達した光の相当部分が反射され、その経路が側方に変更される。したがって、光照射領域の中心線付近に集中する光が相当分散されるという効果を有するようになる。結局、中心線からA1地点までは、紫外線発光ダイオード71から出射された紫外線が反射又は全反射され、その照射方向が側面に変更される領域となる。また、レンズの外側表面Eから反射や全反射によって基板方向に戻ってくる紫外線が存在し得るという点を勘案して、第2レンズ74の底面又は基板72上には反射面75が形成されることが好ましい。そうすると、紫外線は、反射面75から再反射される紫外線によってさらに分散される。
【0094】
すなわち、図6に示した位置に紫外線発光ダイオード71を設置したとしても、図7及び図9に示した構造の2次レンズを使用すると、いくらでも紫外線の照射領域を広げることができ、その結果、人が紫外線発光ダイオードを直接見るおそれをなくすと共に、蚊誘引効率を高めることができる。
【0095】
図11には、紫外線発光ダイオード71がハウジング10の前面部側で前方に向かって設置され、紫外線発光ダイオード71の前方にカバー76をさらに含む構造が示されている。カバー76は、その形状が特に限定されなく、紫外線発光ダイオード71の前方に着脱可能に設けられ、ユーザーが紫外線発光ダイオード71を容易に交替することができ、紫外線発光ダイオード71から照射される光が透過する材質であってもよい。また、カバー76は、前記光を屈折又は拡散できるように表面が凹凸処理された形態であってもよく、別途のカバー板(図示せず)がカバー76の前方又は後方に付着又は離隔して配置される形態であってもよい。すなわち、害虫、特に蚊は、光が直接照射される場合に比べて、光が屈折又は拡散される場合に誘引効率が向上する傾向を示すが、紫外線発光ダイオード71から照射された光が直ぐ照射されなく、カバー76を透過するように構成することによって、蚊の光誘引効率を向上させることができる。
【0096】
一例として、カバー76は、少なくとも一部又は全部が透光性材質で形成されてもよく、例えば、紫外線発光ダイオード71から照射される光が透過する部分は、ポリカーボネート(Polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate;PET)、メタクリレート−スチレン(Methacrylate−Styrene;MS)、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate;PMMA)などの材質を含んでもよく、透明、半透明及び有色のうち少なくとも一つを含む色で形成されてもよい。
【0097】
したがって、殺虫剤燻蒸機は、紫外線発光ダイオード71がハウジング10の前面部側で前方に向かって設置され、光到達面積を向上させると同時に、カバー76によって光を屈折又は拡散させ、蚊の光誘引効率を向上させながらも、カバー76によって紫外線が人の肉眼に直接露出しない構造を具現することによって、紫外線が持続的に肉眼に露出することによって発生する被害を防止することができ、蚊殺虫剤の燻蒸量を最小化することができ、燻蒸された殺虫剤によって発生し得る身体疾患の発生を最小化することができる。
【0098】
図12には、紫外線発光ダイオード71をハウジング10の少なくとも一側でガイドするガイドレール77が設けられた構造が示されている。紫外線発光ダイオード71は、ガイドレール77に沿ってハウジング10の外周面に沿って移動することができ、ユーザーが手動で調節したり、別途に設けられた駆動部(図示せず)によって自動的に調節され得る。前記駆動部は、電動モーターや油圧式シリンダーなどの公知の技術を用いて具現可能であり、紫外線発光ダイオード71又はこれを含む光源70をガイドレール77に沿って動かす機能を行うことができる。すなわち、殺虫剤燻蒸機は、誘引光源である紫外線発光ダイオード71の照射方向を容易に変更できるようにし、殺虫剤燻蒸機の設置環境が変化したとしても、害虫、特に蚊の光誘引効率を高く維持することができる。
【0099】
また、図12に示したように、ガイドレール77をカバーするカバー76がさらに設置されてもよく、カバー76の設置形態及び材質などは、図11を参照して説明したものを適用することができる。すなわち、殺虫剤燻蒸機は、設置環境が変化したとしても、害虫、特に蚊の光誘引効率を高く維持できると同時に、誘引光を屈折又は拡散させ、光誘引効率を向上させながらも、紫外線が人の肉眼に直接露出することを防止することができる。
【0100】
以上のように、本発明を例示した図面を参照して説明したが、本明細書に開示した実施例及び図面によって本発明が限定されることはなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって多様な変形が可能であることは自明である。併せて、本発明の実施例を説明しながら、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明していないとしても、当該構成によって予測可能な効果も認められなければならないことは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12