(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6928654
(24)【登録日】2021年8月11日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】連続した帯状の複合材料を製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B22D 11/12 20060101AFI20210823BHJP
B21B 1/46 20060101ALI20210823BHJP
B21B 1/22 20060101ALI20210823BHJP
B22D 19/16 20060101ALI20210823BHJP
B23K 20/04 20060101ALI20210823BHJP
B32B 15/01 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
B22D11/12 A
B21B1/46 Z
B21B1/22 B
B22D19/16 B
B23K20/04 C
B32B15/01 A
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-526611(P2019-526611)
(86)(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公表番号】特表2019-536634(P2019-536634A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2017079413
(87)【国際公開番号】WO2018091571
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】102016222813.7
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016224412.4
(32)【優先日】2016年12月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016226277.7
(32)【優先日】2016年12月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ルンケル・トーマス
【審査官】
瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−112084(JP,A)
【文献】
特開昭63−203288(JP,A)
【文献】
特開昭53−007533(JP,A)
【文献】
特開昭56−026688(JP,A)
【文献】
特開平04−305384(JP,A)
【文献】
米国特許第03620880(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00− 1/46
B22D 11/00−11/22
B22D 19/16
B23K 20/00−20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した帯状の複合材料(11)を製造する方法であって、以下のステップ:
鋼又は鋼合金から成る少なくとも1つの連続したストランド(13)を第1の鋳造機械(12)によって生成するステップと、
前記ストランド(13)を固化することで形成されたスラブ(16)を熱間圧延するステップと
を有する前記方法において、
(i)鋼又は鋼合金から成る少なくとも1つの別の連続したストランド(19)を少なくとも1つの第2の鋳造機械(18)によって生成するステップと、
(ii)前記第1の鋳造機械(12)及び前記第2の鋳造機械(18)によって生成された前記ストランド(13,19)から固化によって形成されたスラブ(16,22)を、当該スラブがそれぞれ少なくとも720℃の温度を有する熱間状態で合体させるステップと、
(iii)合体された前記スラブ(16,22)で形成された複合物を熱間圧延し、その結果、これによりロールクラッディングによって1つの連続した帯状の複合材料(11)が生じるステップと
が行われ、
前記スラブ(16,22)の温度に意図的に影響を与えるために、及び前記スラブの温度をそれぞれ他のスラブ(22,16)の温度に適合させるために、前記第1/第2の鋳造機械(12,18)によって生成されたストランド(13,19)から形成された両スラブ(16,22)が、ステップ(iii)前に、温度影響装置(34)によって加熱又は冷却されること、及び
前記ステップ(ii)の前に、前記第1/第2の鋳造機械(12,18)により生成されるストランド(13,19)を固化することで形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)の速度が第1の開ループ制御回路若しくは第1の閉ループ制御回路において開ループ制御され、若しくは閉ループ制御されること、又は少なくとも1つのスラブ(16,22)が補整ロールスタンド(24;25)を通過し、該補整ロールスタンドによって該スラブ(16,22)の速度を第1の開ループ制御回路若しくは第1の閉ループ制御回路において開ループ制御可能若しくは閉ループ制御可能であること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1/第2の鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)で形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)又は両スラブ(16,22)が、該スラブ(16,22)の温度に意図的に影響を与えるとともに、それぞれ他のスラブ(22,16)の温度に適合させるために、前記ステップ(ii)前に誘導加熱部(26,27)によって加熱されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(ii)前に、及び/又は前記ステップ(ii)中に、及び/又は前記ステップ(iii)前に、前記第1/第2の鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)から固化によって形成された前記スラブ(16,22)が、該スラブが互いに相対的に整向させるために、側方でガイドされること、及び該側方のガイドのために、アクチュエータによってあらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動するガイドギブの形態の少なくとも1つの側部影響装置(28)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1/第2の鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)から固化によって形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)が前記ステップ(ii)前に洗浄されるか、又はスケール除去されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(ii)前に、及び/又は前記ステップ(ii)中に、及び/又は前記ステップ(iii)前に、及び/又は前記ステップ(iii)中に、前記ストランド(13,19)から固化によって形成された前記スラブ(16,22)が、保護ガス雰囲気においてガイドされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(iii)前の前記温度影響装置(34)を用いた加熱によって、前記ストランド(13,19)から形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)の表面温度のみが、それぞれ他のスラブ(22,16)に対向する側で変更されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(iii)につづいて、生成される1つの連続した帯状の前記複合材料(11)の材料特性が、レントゲン及び/又は超音波によって検出されること、及び検出された材料特性に基づいて、当該方法について第2の閉ループ制御回路を形成するプロセス信号が制御装置によって生成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
当該方法が、あらかじめ規定された少なくとも1つのプロセス量に依存して自動的に行われること、及び該プロセス量が、前記第1/第2の鋳造機械(12,18)の速度、該鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)の未凝固域圧下の変化、前記ステップ(ii)前における、前記ストランド(13,19)から固化によって形成される前記スラブ(16,22)の速度、前記ステップ(ii)前及び/又は前記ステップ(iii)前の前記個々のスラブ(16,22)の温度差、ロールクラッディング装置(14.1)のワークロール(A1,A2)の各速度、生成された1つの連続した帯状の前記複合材料(11)の前記検出された材料特性及び/又は生成された1つの帯状の前記複合材料(11)の前記ステップ(iii)において達成された厚さ低減で形成されたグループから選択されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)が、それぞれ異なる材料品質で構成されていること、及びステップ(i)において、第3の鋳造機械によって別の連続したストランドが生成され、つづくステップ(ii)及び(iii)が、前記第1、第2及び第3の鋳造機械によって生成されたストランドからそれぞれ固化によって形成された全部で3つのスラブをもって行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の鋳造機械によって生成された前記ストランドから固化によって形成された前記スラブが、熱間状態において、前記ステップ(ii)及び(iii)の新たな実行によって、ステップ(iii)において既に形成された1つの連続した帯状の前記複合材料(11)と結合されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
合体されるべき前記スラブ間に、固体状、液体状又は粉体状の少なくとも1つの中間層が挿設され、該中間層が、前記スラブの互いに対向する表面を不活性化又は活性化することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によって、連続した帯状の複合材料(11)を製造する装置(10)であって、
連続的なストランド(13)を生成する少なくとも1つの第1の鋳造機械(12)と、 前記第1の鋳造機械(12)と一列にその下流に配置された少なくとも1つのロールスタンドと
含んでおり、前記第1の鋳造機械(12)によって生成されたストランド(13)の固化された前記スラブ(16)を熱間圧延可能である、前記装置において、
少なくとも1つの第2の鋳造機械(18)が設けられており、該第2の鋳造機械によって、金属から成る別の連続したストランド(19)が生成され、前記第2の鋳造機械(18)が、前記ロールスタンドと一列にその上流に配置されていること、
一方では前記鋳造機械(12,18)と他方では前記ロールスタンドの間に合体装置(20)が配置されており、該合体装置を用いて、前記第1の鋳造機械(12)によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブ(16)と、前記第2の鋳造機械(18)によって生成されたストランド(19)から固化によって形成されたスラブ(22)とが、熱間状態において互いに整向可能であること、
前記ロールスタンドがロールクラッディング装置(14.1)として形成されており、該ロールクラッディング装置を用いて、合体された前記スラブ(16,22)で形成された複合物を熱間圧延可能であり、その結果、これにより、1つの連続した帯状の前記複合材料(11)がロールクラッディングによって生じること、及び
前記合体装置(20)と該合体装置の下流に配置されたロールクラッディング装置(14.1)の間に少なくとも1つの温度影響装置(34)が設けられており、該温度影響装置を用いて、前記ストランド(13,19)から形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)の表面温度に、それぞれ他のスラブ(22,16)に対向する側において影響を与えることが可能であること
を特徴とする装置。
【請求項13】
第1の補整ロールスタンド(24)が設けられており、該第1の補整ロールスタンドが、前記第1の鋳造機械と前記合体装置(20)の間で一列に配置されていること、及び/又は第2の補整ロールスタンド(25)が設けられており、該第2の補整ロールスタンドが、前記第2の鋳造機械と前記合体装置(20)の間で一列に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記合体装置(20)の上流に、及び/又は前記合体装置の一部として、少なくとも1つの加熱装置(26;27)が設けられており、前記第1の鋳造機械(12)によって生成されたストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記第2の鋳造機械(18)によって生成されたストランド(19)から固化によって形成された前記スラブ(22)が、前記加熱装置(26;27)を通過してガイドされていること、前記少なくとも1つの加熱装置(26,27)が、誘導加熱の原理により機能すること、及びスラブごとにそれぞれ1つの別々の加熱装置(26;27)が設けられていることを特徴とする請求項12又は13に記載の装置(10)。
【請求項15】
少なくとも1つの側部影響装置(28)が設けられており、該側部影響装置が、前記合体装置(20)の上流に、及び/又は前記合体装置の一部として、及び/又は前記ロールクラッディング装置(14.1)の上流に配置されており、前記第1/第2の鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)から形成された前記スラブ(16,22)が、側方で互いに対して整向させるために、その側方縁部で前記側部影響装置(28)に接触可能であること、及び前記少なくとも1つの側部影響装置(28)が、あらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動可能なガイドギブの形態で形成されていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項16】
前記鋳造機械(12,18)と前記合体装置(20)の間に少なくとも1つの洗浄装置(30)又はスケール除去装置が配置されており、該洗浄装置あるいはスケール除去装置を用いて、前記鋳造機械(12,18)によって生成された前記ストランド(13,19)から固化によって形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)を洗浄可能又はスケール除去可能であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項17】
前記合体装置(20)の手前に、及び/又は前記合体装置(20)の一部として、及び/又は下流で前記合体装置(20)に直接隣り合って配置されたロールクラッディング装置(14.1)の一部として設けられた、保護ガス装置(32)が設けられており、前記ストランド(13,19)から形成された少なくとも1つのスラブ(16,22)又は両スラブ(16,22)が、前記保護ガス装置(32)内で保護ガス雰囲気においてガイドされていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項18】
ロールクラッディング装置(14.1)の下流に測定装置(36)が設けられており、該測定装置を用いて、生成された1つの連続した帯状の前記複合材料(11)の材料特性が、レントゲン及び/又は超音波によって検出可能であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項19】
少なくとも1つの第3の鋳造機械が設けられており、該第3の鋳造機械によって、別の連続したストランドが生成され、前記第3の鋳造機械が、前記ロールクラッディング装置(14.1)と一列に配置されていることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による、連続した帯状の複合材料を製造する方法と、請求項
12の前提部分による対応する装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、金属あるいは鋼から成る少なくとも2つの材料パートナーをロール溶接あるいは熱間溶接を用いて1つの複合材料へ接合することが知られている。このことは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に開示されている。これによれば、プレート状の薄板がまずは互いに重ねられ、続いてプレートパケットへ互いに溶接され、そして、1つのロールクラッディングされた熱間ストリップ(熱間帯)あるいは複合材料へ熱間圧延される。このような技術は、互いに重ねられたプレート状の薄板がまず互いに溶接されるという中間ステップが生産進行について手間となり、最大の生産容量を制限してしまうという欠点を伴うものである。
【0003】
従来技術により鋳造圧延設備が知られており、当該鋳造圧延設備により、鋼帯が、鋳造機械及び後続の圧延機−スタンドを用いて連続的に生成される。鋼の処理時には、材料の熱間圧延が、典型的には鋼の再結晶温度を超える温度で、すなわち例えば720℃を超える温度で行われる。このような鋳造圧延設備において用いられる個々の鋳造機械の容量により、可能な最大の材料速度及びこれにより生じる生産容量が制限されている。制限された材料速度によるこのような公知の鋳造圧延設備の別の欠点は、設備における比較的長い滞留時間にあり、これにより、材料が冷却されてしまうとともに、材料に対して追加的な熱の供給が必要となってしまう。このような熱の供給のためのコストにより、このような鋳造圧延設備の経済性が低下してしまう。したがって、個々の鋳造機械が用いられる従来の連続的な鋳造圧延設備は、限定された要求に対してのみ使用可能である。
【0004】
特許文献5及び特許文献6から、それぞれ、帯状の材料を、互いに接触させること、及び互いに重ねられた帯状の材料が通過するローラ対を用いて互いに結合することが知られている。帯状の材料は、材料である鋼で構成されておらず、これらがローラ対によって互いに結合される前に再度加熱されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1690606号明細書
【特許文献2】欧州特許第201202号明細書
【特許文献3】欧州特許第053600号明細書
【特許文献4】欧州特許第04063号明細書
【特許文献5】米国特許第3620880号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0608905号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対応して、本発明の基礎となる課題は、少なくとも1つの鋳造機械が用いられる帯状の
鋼複合材料の形態の連続した金属帯の製造を、経済性及び/又は可能な生産スペクトル(生産範囲)について最適化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1による方法及び請求項
12に記載された特徴を有する装置によって解決される。本発明の有利な発展形成は、従属請求項の対象である。
【0008】
本発明による方法は、以下のステップ
:鋼又は鋼合金から成る少なくとも1つの連続したストランドを第1の鋳造機械によって生成するステップと、ストランドを固化することで形成されたスラブを熱間圧延するステップとを有する、帯状の複合材料の形態の連続した金属帯を製造に用いられる。このとき、以下のステップが実行される:(i)
鋼又は鋼合金から成る少なくとも1つの別の連続したストランドを少なくとも1つの第2の鋳造機械によって生成すること、(ii)第1の鋳造機械及び第2の鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブを
、当該スラブがそれぞれ少なくとも720℃の温度を有する熱間状態で合体させること、あるいは互いに整向させること、(iii)合体あるいは互いに整向されたスラブで形成された複合物を熱間圧延し、その結果、これによりロールクラッディングによって1つの連続した帯状の複合材料が生じ
、スラブの温度に目的をもって影響を与えるために、及びスラブの温度をそれぞれ他のスラブの温度に適合させるために、第1/第2の鋳造機械によって生成されたストランドから形成された両スラブが、当該ステップ(iii)前に、誘導加熱部によって加熱されること。
【0009】
同様に、本発明は、帯状の複合材料の形態の連続した金属帯を製造する装置も企図したものである。当該装置は、特に鋼から成る連続的なストランドを生成する少なくとも1つの第1の鋳造機械と、第1の鋳造機械と一列にその下流に配置された少なくとも1つのロールスタンドとを含んでおり、第1の鋳造機械により生成されたストランドの固化されたスラブを熱間圧延可能である。金属から成る連続した別のストランドを生成する少なくとも1つの第2の鋳造機械が設けられており、当該第2の鋳造機械は、ロールスタンドと一列にその上流に配置されている。一方では鋳造機械と他方ではロールスタンドの間に合体装置が配置されており、この合体装置を用いて、第1の鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、第2の鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブとが、熱間状態において互いに整向可能である。ロールスタンドがロールクラッディング装置として形成されており、該ロールクラッディング装置を用いて、合体されたスラブで形成された複合物を熱間圧延可能であり、その結果、これにより、1つの連続した帯状の複合材料がロールクラッディングによって生じる。
合体装置とその直接下流に配置されたロールクラッディング装置の間に、少なくとも1つの温度影響装置が誘導加熱部の形態で設けられており、当該誘導加熱部を用いて、ストランドから形成されたスラブのうち少なくとも1つの表面温度が、それぞれ他のスラブと対向する箇所で影響を与えられ得る。
【0010】
本発明の意味合いでは、後続の態様は、以下のとおり理解されるべきである:
−「スラブ」という特徴は、あらかじめほぼ完全に固化された、金属から成る鋳造されたストランドであると理解され、その結果、金属の液体の割合が内部から外部へ押し出されることなく当該スラブの圧延が可能である。このようなスラブは、鋳造機械を用いて例えば連続鋳造によって製造あるいは鋳造される無端成形物として形成されることができる。
−例えば本発明による方法のステップ(ii)について規定されているような「スラブの合体」という特徴は、スラブが互いに対して整向されるように理解され得る。これは、個々のスラブがステップ(ii)の間に、あるいはその終わりにまだ接触していないか、あるいは触れ合っていないことを意味し得る。いずれにしても、個々のスラブは、合体装置において行われるステップ(ii)による合体によって、つづく本発明による方法のステップ(iii)あるいは本発明による装置のロールクラッディング装置において合体されたスラブから形成される複合物が熱間圧延され得るように互いに整向される。
−ステップ(ii)に関連して記載されている「熱間」という修飾語あるいは「熱間状態で」という定義は、材料パートナーあるいはスラブの温度に関するものであるとともに、当該温度が再結晶温度(例えば720℃)を超えるものであることと理解され得る。
【0011】
本発明は、熱間状態で合体された少なくとも2つのスラブの熱間圧延あるいは熱間クラッディングによって連続した帯状の複合材料の形態で1つの
鋼帯が生成される鋳造圧延プロセスが少なくとも1つの第2の鋳造機械を用いることで生産容量についても、また使用範囲あるいは可能な生産スペクトル(生産範囲)の拡張についても改善されるという本質的な認識に基づくものである。ロールクラッディング装置の形態の圧延機の前方あるいは上流に配置された少なくとも2つの鋳造機械の使用と、当該鋳造機械によって生成されるストランドから固化によって形成されたスラブの熱間圧延とは、有利には鋳造圧延プロセスについての総処理量を拡大すると同時に、例えば10mmまでの達成可能な最終厚さの向上を可能とする。本発明による装置は、「RR設備」と呼ぶことが可能である。さらに、鋳造機械によって鋳造される様々な材料を用いることで、生成される連続した帯状の複合材料の固有の材料特性を実現することが可能である。
【0012】
鋳造機械により鋳造される材料として、鋼若しくは鋼合
金を用いることが可能である。基本的に、個々の鋳造機械により生成されるストランドが異なる材料品質で構成されることが本発明について可能である。例えば、個々の鋳造機械において異なる鋼品質が鋳造されることができ、当該鋼品質は、本発明による方法のステップ(iii)において1つの連続した帯状の複合材料へ結合される。
【0013】
本発明による方法の有利な発展形態では、ステップ(ii)の前に、第1あるいは第2の鋳造機械で固化によって形成されたストランドで形成された少なくとも1つのスラブの速度に目的をもって影響が与えられる。少なくとも1つのスラブの速度への当該影響は、鋳造圧延プロセスの別のプロセス量に依存して開ループ制御又は閉ループ制御して行われ得るが、これについては詳細に後述する。少なくとも1つのスラブの速度に影響を与えるために、本発明による方法の実行あるいは本発明による装置について、第1あるいは第2の鋳造機械と合体装置の間で一列に配置されることを設定することができ、スラブは、その速度に影響を与えるために、この補整ロールスタンドを通過する。合目的には、それぞれ第1あるいは第2の鋳造機械と一列に配置されその下流に設けられた2つの別々の補整ロールスタンドを設けることができる。
【0014】
鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成された両スラブの熱間圧延と、熱間圧延を用いた、1つの連続的な帯状の複合材料へのこれら両スラブの所望の結合とは、ステップ(iii)においてスラブの熱間圧電がなされる前にこれら両スラブの温度が互いに適合される
ことによって改善される。
いずれにしてもステップ(iii)の前にスラブに対して行われるこの加熱は、スラブのうち少なくとも1つ
について、当該スラブの温度に目的をもって影響を与え、それぞれ他のスラブの温度へ適合させるように、ステップ(ii)の前に
もなされ
得る。このとき、両スラブについて加熱を同時に行うことも可能である。少なくとも1つのスラブを加熱するために、合体装置の上流に、及び/又はその一部として配置され得る少なくとも1つの加熱装置が設けられており、スラブは、この加熱装置を通過する。特に大きなエネルギー入力が、大きなエネルギー密度においてわずかな設置空間しか必要としないという利点に結び付く例えば誘導加熱部の形態の加熱装置によって達成されることができる。
【0015】
本発明の有利な発展形態では、鋳造機械によって生成されるストランドを固化することで形成されたスラブが、当該スラブが互いに相対的に整向されるように、ステップ(ii)の前に側方でガイドされるようになっている。同様に、このことは、ステップ(ii)の間に、及び/又はステップ(iii)の前に行うことも可能である。このために、合体装置及び/又はその一部として配置され得る少なくとも1つの側部影響装置が設けられている。これに加えて、又はこれに代えて、この側部影響装置も、ロールクラッディング装置の上流に配置されることが可能である。側部影響装置は、例えばガイドローラ又はガイドギブの形態で形成されることができ、上述のように側方で互いに整向されるように、このガイドローラ又はガイドギブとスラブの側方縁部が接触する。
【0016】
本発明の有利な発展形態では、上述の側部影響装置をガイドギブの形態で形成することができ、このガイドギブは、アクチュエータによって、特にあらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動する。この態様では、帯中心の方向における両スラブの整向も可能である。
【0017】
本発明の有利な発展形態では、側部影響装置が好ましくはガイドギブの形態でロールクラッディング装置の下流にも設けられるように構成されることが可能である。この場合については、複合材料をセンタリングしてロール通路の中心で圧延ラインを通して、及びこれに属するロールスタンドを通してガイドするために、生成される連続した帯状の複合材料がステップ(iii)の後にも側方でガイドされることが保証されている。このとき、生成された複合材料を側方縁部において接触させ(るとともに帯中心の方向へ戻すように)、ガイドするために、ガイドギブがあらかじめ規定された力で帯中心の方向へ移動するように構成することも可能である。
【0018】
ステップ(iii)における熱間圧延を用いて、あるいはロールクラッディング装置によって個々の材料パートナーを結合することは、第1/第2の鋳造機械によって生成されるストランドの固化によって形成された少なくとも1つのスラブがステップ(iii)の前に適切に洗浄され、すなわちそれぞれ他のスラブに対向し、したがってステップ(iii)における熱間圧延時に接触に至る当該スラブの表面において洗浄される場合に最適化される。好ましくは、第1及び第2の鋳造機械によって生成されるストランドから固化によって形成された両スラブが互いに対向するその表面において洗浄される。このために、本発明による装置のために、一方では鋳造機械と他方では合体装置(集合装置)の間に配置された少なくとも1つの洗浄装置が設けられている。場合によっては、洗浄装置は、合体装置の一部としても形成されることが可能である。スラブのこのような洗浄は、例えば噴射、ブラシ、研磨、研削、切削又はこれに類することによって機械的に行うことが可能である。これに加えて、又はこれに代えて、スラブの洗浄をスケール除去の形態で行うことも可能であり、流体、好ましくは高圧水がスラブの表面へ当てられる。この場合については、洗浄装置はスケール除去装置として形成されており、当該スケール除去装置を用いて流体が好ましくは高圧で少なくとも1つのスラブの表面へ散布可能である。スラブのスケール除去は、固化によりスラブを形成するストランドが鋼又は鋼合金で構成されている場合に推奨される。
【0019】
ステップ(iii)における熱間圧延を用いた、あるいはロールクラッディング装置による個々の材料パートナーの結合
は、ステップ(iii)の前に、あるいはロールクラッディング装置の上流で、第1/第2の鋳造機械により生成されるストランドから固化により形成された少なくとも1つのスラブの表面温度が変更されることで最適化
される。このために、本発明による装置のために、合体装置とその下流に直接配置されたロールクラッディング装置の間に位置決めされた
、誘導加熱部の形態の温度影響装置が設けられている。好ましくは、温度の上昇によってこのような表面温度の変更が実現され、上記温度影響装置は、例えばスラブの表面へ向けられた輻射ヒータ又はこれに類するもので形成されることができる
。
【0020】
所望の連続した帯状の複合材料を製造する少なくとも2つの材料パートナーの結合の品質は、第1/第2の鋳造機械によって生成されるストランドから固化によって形成されるスラブが保護ガス雰囲気においてガイドされることで更に改善されることが可能である。このために、合体装置の前に配置され、及び/又は合体装置の一部として及び/又は下流で直接合体装置に隣り合って配置されたロールクラッディング装置の一部として形成された保護ガス装置が設けられている。相応して、スラブは、本発明による方法において、ステップ(ii)の前に、及び/又はステップ(ii)の間に、及び/又はステップ(iii)の前に、保護ガス雰囲気においてガイドされる。スラブが鋼又は鋼合金で構成される場合には、これにより、スケールの形成が少なくとも回避されるか、又は排除される。
【0021】
これにより、ステップ(iii)の前に、あるいはロールクラッディング装置の上流に第1/第2の鋳造機械によって生成される少なくとも1つのストランドあるいはこれから固化によって形成されるスラブのプロファイリング(形状加工)が行われる場合に、個々の材料パートナーの結合を改善することが可能である。このようなプロファイリングにおいては、ストランドあるいはこれから形成されるスラブをその側方縁部において斜めに面取りすることが可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、このようなプロファイリングにおいては、ストランド、好ましくはこれから形成されるスラブが垂直方向の断面で切削されることが可能である。いずれにしても、ステップ(iii)において、あるいはロールクラッディング装置によって熱間圧延される少なくとも2つのスラブが、これらすらプの結合がつづく熱間圧延において均等な態様で保証されるように、その縁部において互いに重なるか、あるいは互いに対して整向されていることが上述のプロファイリングによって保証される。
【0022】
本発明の有利な発展形態では、ステップ(iii)につづいて生成される1つの連続した帯状の複合材料の材料特性が好ましくはレントゲン及び/又は超音波によって検出されるように設定されることが可能である。この目的のために、本発明による装置のために、ロールクラッディング装置の下流に測定装置が設けられており、当該測定装置を用いて、生成される1つの連続した帯状の複合材料の内部の材料特性、特に結合品質を検出することが可能である。そして、合目的には、検出された材料特性に基づき、制御装置によってプロセス信号が生成され、このプロセス信号により、本発明による方法のための制御回路を形成することが可能である。
【0023】
本発明による方法の有利な発展形態では、当該方法が少なくとも1つのあらかじめ設定されたプロセス量に依存して自動的に実行されるように設定されることが可能である。本発明の上記説明に関して、このプロセス量を例えばストランドから固化して形成されたスラブについてのステップ(ii)の前の速度及び/又は生成された連続した帯状の複合材料の材料特性で構成することが可能である。さらに、このようなプロセス量を、第1/第2の鋳造機械の速度、当該鋳造機械によって生成されたストランドの
未凝固域圧下の変化、ステップ(ii)前及び/又はステップ(iii)前の個々のスラブの温度差、ロールクラッディング装置のワークロールの各速度、及び/又は生成された1つの帯状の前記複合材料のステップ(iii)において達成された厚さ低減で形成されたグループから選択することが可能である。本発明による方法は、上記考えられるプロセス量に基づき、制御回路として形成されることができるとともに、対応して自動的に実行されることが可能である。
【0024】
本発明の有利な発展形態では、ロールクラッディング装置の各ワークロールの速度が、当該ロールクラッディング装置からの脱落時にロールクラッディング装置によって、又はロールクラッディング装置において熱間圧延材される帯状の複合材料の可能な「スキー形成(スキービンディング)」を妨害するように制御されるように設定されることが可能である。このことは、特に、合体装置に下流で直接隣り合って配置された第1のロールクラッディング装置について推奨される。対応して、「スキー形成」が生成される帯状の複合材料の前端部に生じ、これにより合体装置の下流においてロールスタンドの損傷のおそれが生じることなく、生成された帯状の複合材料を圧延ラインにおいて更に搬送することが可能である。
【0025】
本発明の有利な発展形態では、生成された連続した帯状の複合材料が、後続のプロセスステップを改善し、及び/又はこの設備で生成される最終製品の長さを得る目的で、ステップ(iii)につづいて、あるいは合体装置と直接隣り合うロールクラッディング装置の下流で切断あるいは分離されるように設定されることが可能である。
【0026】
これに加えて、及び/又はこれに代えて、生成される1つの連続した帯状の複合材料のスキー形成を回避する抑圧装置を、合体装置に直接配置されたロールクラッディング装置の下流に位置決めするように設定することが可能である。
【0027】
本発明の有利な発展形態では、本発明による方法のステップ(i)において別の連続したストランドを生成する第3の鋳造機械が設けられるように設定されることが可能である。当該第3の鋳造機械は、同様に、ロールクラッディング装置と一列に、好ましくはその上流に配置されている。対応して、本発明による方法の後続のステップ(ii)及び(iii)を全部で3つのスラブについて実行することができ、これらスラブは、それぞれ、第1、第2及び第3の鋳造機械により生成されるストランドから固化によって形成される。これに代えて、第3の鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブが、熱間状態において、前記ステップ(ii)及び(iii)の新たな実行によって、ステップ(iii)において既に形成された1つの連続した帯状の複合材料と結合されるように設定することが可能である。この場合については、第3の鋳造機械は、第1/第2の鋳造機械によって生成されるストランドから固化によって形成されたスラブのための合体装置に直接隣り合う第1のロールクラッディング装置の下流に配置されている。いずれにしても、例えば3つの鋳造機械の使用時には、最上及び最下の層が同一の特性プロファイルを有する鋼で構成された、連続した帯状の複合材料を製造することができ、当該複合材料の中間の層は、例えば、特性について縁部箇所に用いられる材料とは異なる鋼で形成されている。
【0028】
本発明の有利な発展形態では、合体されたスラブの間に1つ又は複数の中間層が固体、液体又は粉体の形状で挿設されるように設定されることが可能である。このような中間層は、スラブの互いに対向する表面を不活性化又は活性化することが可能である。その結果、スラブの表面におけるスケール(付着)傾向が低減され、及び/又は材料パートナー間の拡散工程に有利に影響する。
【0029】
本発明の更なる利点は、以下の態様から成る:
−生成された連続した帯状の複合材料についてのより大きな厚さ、
−より大きな生産性能及び改善された経済性、
−生産される鋼の種類の拡張、
−従来の鋳造圧延設備に比して大きな変形度、
−生成された連続した帯状の複合材料で構成された厚板及びコイルの生成、
−ロールクラッディングされた厚板及びコイルの生成、並びに
−従来の冷間圧延及び従来の熱間圧延設備における材料圧延の可能な代用。
【0030】
以下に、本発明の実施例を概略的に単純化した図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】少なくとも2つの鋳造機械が用いられる本発明による装置の原理的な側面図である。
【
図2】別の実施形態に基づく本発明による装置の原理的な側面図である。
【
図3】
図1/
図2の装置の一部であり得る、代替的な合体装置の原理的な側面図である。
【
図4a】
図1あるいは
図2の装置の一部であるロールクラッディング装置のワークロールの側面図である。
【
図4b】
図1あるいは
図2の装置の一部であるロールクラッディング装置のワークロールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、
図1〜
図4を参照しつつ、本発明による装置10及びその構成要素の好ましい実施形態を説明し、この装置10は、連続した帯状の複合材料11の形態の金属帯を製造するために用いられる。図面におけるものと同一の特徴には、ここではそれぞれ同一の符号が付されている。ここで、図面が単に単純化され、特に基準なしに図示されていることを個別に指摘しておく。
【0033】
図1には、原理上単純化された、第1の実施形態による装置10の側面図が示されている。
【0034】
装置10は、特に鋼から成る連続的なストランド13を生じさせる第1の鋳造機械12を含んでいる。さらに、装置10は、特に鋼又は他の金属(例えば非鉄金属)から成る連続的なストランド19を生じさせる第2の鋳造機械18を含んでいる。両ストランド13あるいは19から、固化によってそれぞれスラブ16あるいは22が形成され、当該スラブは、つづいて、鋳造機械12,18の下流に配置された合体装置20によってガイドされ、これにより互いに対して整向される。装置は、合体装置20に直接接続され、したがってその下流に配置されたロールクラッディング装置14.1の形態の少なくとも1つのロールスタンドを更に含んでいる。このロールクラッディング装置14.1の機能については、個別に後述する。
【0035】
合体装置20は、両スラブ16,22を互いに対して整向させる目的で用いられる。
図1に図示された実施形態では、両スラブ16,22があらかじめ合体装置20内で互いに接触されるように構成されることが可能である。
図3により原理上簡易化して側面図で示され、同様に
図1の装置に用いられることができる合体装置20の代替的な実施形態によれば、両スラブが直接これに隣接した位置決めされたロールクラッディング装置14.1へ導入される場合には、両スラブ16,22がこの合体装置20内でなく、外部において初めて、その下流で接触するように構成されている。
【0036】
図3では矢印「T」で搬送方向が示唆されており、この搬送方向において、生成される連続的で帯状の複合材料11が搬送あるいは移動される(図において左方から右方)。
図1及び
図2の図示に関して、ここでは複合材料11が同様の方向へ、すなわち(図面において)左方から右方へ移動することはいうまでもない。
【0037】
装置10は第1の補整ロールスタンド24を備えており、当該第1の補整ロールスタンドは、第1の鋳造機械12と合体装置20の間で一列に配置されている。さらに、装置10は第2の補整ロールスタンド25を備えており、当該第2の補整ロールスタンドは、第2の鋳造機械18と合体装置20の間で一列に配置されている。固化により第1の鋳造機械12によって生成されたストランド13で形成されたスラブ16は、第1の補整ロールスタンド24を通過する。同様に、固化により第2の鋳造機械18によって生成されたストランド19で形成されたスラブ22は、第2の補整ロールスタンド25を通過する。これにより、補整ロールスタンド24/25を用いて合体装置20の方向においてスラブ16/22の速度を開ループ制御、好ましくは閉ループ制御することが可能である。
【0038】
装置10は、第1の鋳造機械12と合体装置20の間で一列に配置された第1の加熱装置26と、第2の鋳造機械18と合体装置20の間で一列に配置された第2の加熱装置27とを含んでいる。スラブ16あるいは22が第1の加熱装置26あるいは第2の加熱装置27を通過することが
図1の側面図から明らかである。これにより、固化により第1の鋳造機械12によって生成されるストランド13で形成されたスラブ16と、固化により第2の鋳造機械18によって生成されるストランド19で形成されたスラブ22との間の異なる長さの搬送区間により生じ得る可能な温度差を補整することが可能である。その結果、スラブ16/22は、好ましくは同一の温度で合体装置20へ入る。
【0039】
装置10は側部影響装置を備えており、当該側部影響装置は、それぞれ合体装置20の上流で第1の鋳造機械12あるいは第2の鋳造機械18と一列に配置されている。これら側部影響装置は、
図3の図示において抽象的に符号「28」で示唆されているとともに、例えばガイドギブによって形成されることが可能である。対応して、スラブ16,22は、これらガイドギブによって側方でガイドされ、これにより互いに対して相対的に整向される。ここでは、これら側部影響装置28も合体装置20内に配置されることができ、したがってこの合体装置20の一部として形成され得ることを個別に指摘しておく。
【0040】
既に上述したロールクラッディング装置14.1は、少なくとも2つのスラブ16,22のための熱間圧延を実行し、したがって、これに基づきロールクラッディングを用いて連続的で帯状の複合材料11を生成するという目的に用いられる。
図4aの側面図には、スラブがロールクラッディング装置14.1のワークロールA1,A2と接触し、これらワークロールA1,A2の間を通過するときの、例えば少なくとも両スラブ16,22で構成され得る2つの材料パートナーの2層のロール溶接が原理上簡易化して示されている。両スラブがロールクラッディング装置14.1へ共通に導入されるときに、複合物が合体された両スラブ16,22によって形成され、当該複合物がロールクラッディング装置のワークロールA1,A2によって熱間圧延あるいはロールクラッディングされることが
図3の側面図から明らかである。
【0041】
ロールクラッディング装置14.1につづいて、あるいはその下流において、別のロールスタンドあるいはロールクラッディング装置を設けることができ、当該ロールスタンドあるいはロールクラッディング装置により、帯状の複合材料11のための熱間圧延が行われる。
図1では、ロールクラッディング装置14.1の下流に少なくとも1つの別のロールクラッディング装置又は複数のこのようなロールスタンドが圧延ラインに配置され得ることが符号「14.i」で示唆されている。さらに、ロールクラッディング装置14.iにつづいて、別のロールスタンドを圧延ライン15に設けることが可能である。
【0042】
図3における図示によれば、装置10は、合体装置20の上流に配置されたスケール除去装置30の形態の洗浄装置を含んでいる。当該スケール除去装置30によりスラブ16,22は適切にスケール除去され、このことは、スラブのうち少なくとも1つ、又は両スラブが(それぞれ)鋼又は鋼合金から成る場合に特に有利である。さらに、装置10が合体装置20に統合された保護ガス装置32を含んでいることが
図3の側面図から明らかである。
図3の図示では、保護ガス装置32は、破線によって単に単純化して象徴されている。スラブがロールクラッディング装置14.1によって、熱間圧延あるいはロールクラッディングを用いて互いに結合される前に、スラブ16,22は、保護ガス装置32を通過し、このことは、スラブ16,22の互いに対向する表面における「新たな」スケールの形成を有効に防止するものである。
【0043】
ステップ(iii)における熱間圧延を用いた少なくとも2つのスラブ16,22の結合は、スラブ16,22の表面温度をそれぞれ対向する側において影響させ、好ましくは高めることで改善され得る。この目的のために、ロールクラッディング装置14.1の直接上流には、
図3では象徴的に簡易化して示されている温度影響装置34が配置されている。
【0044】
装置は更に少なくとも1つの測定装置36を含んでおり、当該測定装置により、内部の材料特性、特に、熱間圧延を用いてロールクラッディング装置14.1により生成された、連続した帯状の複合材料11の結合品質を検出することが可能である。測定装置36は、例えばロールクラッディング装置14.1の後方あるいは下流に配置されているとともに、好ましくはレントゲン及び/又は超音波の原理により機能する。このために、測定装置36の付属するセンサを連続した帯状の複合材料の上方及び/又は下方に設けるように構成することができ、その結果、これにより、この複合材料11の形態の金属帯の上側及び/又は下側がその材料特性あるいは表面品質に関して検査されることが可能である。
【0045】
図1の実施形態では、鋳造機械12,18がそれぞれ弓状連続鋳造装置の形態で形成されている。
【0046】
ストランドガイドに沿った様々な箇所には、例えば熱切断装置、振り子式はさみ、ドラム式はさみ又はこれらに類するものの形態の分離装置38が配置されている。当該分離装置38により、利用できない材料の切断あるいは削除が可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、この分離装置38を用いて、個々の帯の不連続な圧延動作及び/又は鋳造機械12,18のうち1つのみによる非常時の動作も実現することが可能である。分離は、後続のプロセスステップを改善する目的をもって、及び/又はこの設備において生成される最終製品の長さを生成するためにも行われることが可能である。これに関連して、
図1及び
図2に示された各分離装置38の位置は、単に例示的なものと理解されるべきであることを指摘しておく。
【0047】
生成された連続した帯状の複合材料11をコイルへ巻き取るために、圧延ライン15の終端部には少なくとも1つのウインチ40が設けられている。合目的には、個々のウインチ40を切り換えるための適当な(不図示の)装置を有するこのような複数のウインチ40を設けることも可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、圧延ライン15の終端部には、そこから薄板あるいは厚板を取り出すために、少なくとも1つの保管部又はこれに類するものを設けることが可能である。
【0048】
図2には、別の実施形態による本発明の装置10の側面図が示されている。ここで、
図1の実施形態に比して同一の特徴にはそれぞれ同一の参照符号が付されている。
図2の実施形態は、鋳造機械12,18がそれぞれ垂直連続鋳造装置の態様で形成されており、これにより生成されるストランド13,19が、下方へ垂直に、冷却を伴うストランドガイドシステムへ導入される点で
図1の実施形態とは異なっている。
【0049】
図3による代替的な合体装置20が
図2の実施形態においても用いられ得ることを個別に指摘しておく。その他の点において、
図2による実施形態の機能は
図1の実施形態の機能に対応するため、
図1についての繰り返しの説明を省略する。
【0050】
図1及び
図2による実施形態に加えて、装置は(不図示の)第3の中族機械を備えることが可能である。このような第3の鋳造機械により、別のスラブ23(
図4b参照)を形成し得る別の連続したストランドが生成される。この第3の鋳造機械は、ロールクラッディング装置14.1と一列に配置されることが可能である。3つのスラブ16,22,23で構成される全部で3つの層の熱間圧延あるいはロールクラッディングは、
図4bの側面図において原理上簡易化されて示されている。ここで、外側の両スラブ22,23は、それぞれ、中央のスラブ16の形態の基礎材料に比して1つの材料あるいは他の材料品質あるいは鋼品質で構成され得るクラッディング材料として用いられることが可能である。
【0051】
図1及び
図2による本発明の装置10の上述の実施形態により、連続した帯状の複合材料11を製造する本発明による方法を実行することが可能である。当該方法は、上述のプロセス量のうち少なくとも1つに依存して自動的に、好ましくは閉ループ制御されて実行されることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 装置
11 連続した帯状の複合材料
12 第1の鋳造機械
13 (第1の鋳造機械12により生成された)連続したストランド
14.1 ロールクラッディング装置
14.i (別の)ロールクラッディング装置
15 圧延ライン
16 (ストランド13から形成された)スラブ
18 第2の鋳造機械
19 (第2の鋳造機械18により生成された)連続したストランド
20 合体装置
22 (ストランド19から形成された)スラブ
23 (第3の鋳造機械により生成されるストランドから成る)スラブ
24 第1の補整ロールスタンド
25 第2の補整ロールスタンド
26 第1の加熱装置(例えば誘導加熱部)
27 第2の加熱装置(例えば誘導加熱部)
28 側部影響装置(例えばガイドギブ)
30 洗浄装置(例えばスケール除去装置)
32 保護ガス装置
34 温度影響装置
36 測定装置
38 分離装置(例えばドラム式はさみ)
40 ウインチ
A1,A2 (ロールクラッディング装置14.1の)ワークロール
T (帯状の複合材料についての)搬送方向