特許第6928670号(P6928670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6928670
(24)【登録日】2021年8月11日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】電力管理サーバ及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20210823BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20210823BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20210823BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210823BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20210823BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   H02J3/00 170
   H02J3/00 130
   H02J3/00 180
   H02J3/46
   H02J3/14
   H02J3/38 130
   H02J3/38 170
   H02J3/38 110
   H02J3/32
   H02J13/00 311R
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-557281(P2019-557281)
(86)(22)【出願日】2018年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2018043837
(87)【国際公開番号】WO2019107435
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2020年5月22日
(31)【優先権主張番号】特願2017-228874(P2017-228874)
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2018-77153(P2018-77153)
(32)【優先日】2018年4月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中垣 和歌
(72)【発明者】
【氏名】沖野 健太
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−22807(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/042474(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/195651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/46
H02J 3/14
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散電源を有する複数の施設の中から、前記分散電源に第1処理を適用する第1施設及び前記分散電源に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択する制御部を備え、
前記第1処理は、電力事業者から施設が購入する買電電力の目標値として第1目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理であり、
前記第2処理は、前記買電電力の目標値として前記第1目標値よりも大きい第2目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理であり、
前記制御部は、契約電力量に第1マージンを加味することによって得られるマージン閾値を確保電力量が超えるまで前記第1施設及び前記第2施設の候補を選択し、
前記契約電力量は、前記複数の施設の全体としてベースライン電力から削減するように定められた電力量であり、
前記確保電力量は、前記第1施設及び前記第2施設の候補として選択される施設のベースライン電力から削減可能な電力量の合計であり、
前記制御部は、前記複数の施設の予測需要電力に基づいて前記第1マージンを設定する、電力管理サーバ。
【請求項2】
前記制御部は、電力系統の電力が不足するデマンドレスポンス期間を対象として、前記第1施設及び第2施設を選択する、請求項1に記載の電力管理サーバ。
【請求項3】
前記第1目標値は、ゼロである、請求項1又は請求項2に記載の電力管理サーバ。
【請求項4】
前記第1処理は、前記分散電源が自律的に実行する処理を含み、
前記第2処理は、前記第2目標値と買電電力との差異に基づいて前記分散電源を制御するフィードバック処理を含む、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力管理サーバ。
【請求項5】
前記第2処理は、前記制御部によって前記分散電源を遠隔で制御する処理を含む、請求項4に記載の電力管理サーバ。
【請求項6】
前記制御部は、ベースライン電力に対する削減電力、前記ベースライン電力に対する削減割合及び前記買電電力の絶対値の少なくともいずれか1つに基づいて、前記第1目標値及び前記第2目標値を設定し、
前記ベースライン電力は、前記電力事業者から施設に供給される電力に基づいて定められる、請求項4に記載の電力管理サーバ。
【請求項7】
前記所定基準は、前記電力事業者から前記複数の施設に供給される電力の全体の削減電力の超過誤差及び不足誤差を最小化するように定められる、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電力管理サーバ。
【請求項8】
前記所定基準は、施設の需要電力の絶対量、施設の需要電力の変動量、前記分散電源の劣化度、前記分散電源の出力電力のコスト、前記分散電源の種類、施設に設けられる機器の種類の少なくともいずれか1つに基づいた基準である、請求項7に記載の電力管理サーバ。
【請求項9】
前記第2処理は、N(Nは自然数)番目の単位時間において、N−X(XはNよりも小さい自然数)番目の単位時間における買電電力と前記第2目標値との差異に第2マージンを加味することによって得られるマージン差異に基づいて前記分散電源を制御するフィードバック処理を含む、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電力管理サーバ。
【請求項10】
前記制御部は、N−2X番目の単位時間の買電電力とN−X番目の単位時間の買電電力との誤差に基づいて前記第2マージンを設定し、或いは、予測遅延誤差に基づいて前記第2マージンを設定する、請求項9に記載の電力管理サーバ。
【請求項11】
分散電源を有する複数の施設の中から、前記分散電源に第1処理を適用する第1施設及び前記分散電源に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択するステップAと、
前記複数の施設の予測需要電力に基づいて、契約電力量に加味される第1マージンを設定するステップBとを備え、
前記第1処理は、電力事業者から施設が購入する買電電力の目標値として第1目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理であり、
前記第2処理は、前記買電電力の目標値として前記第1目標値よりも大きい第2目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理であり、
前記ステップAは、前記契約電力量に前記第1マージンを加味することによって得られるマージン閾値を確保電力量が超えるまで前記第1施設及び前記第2施設の候補を選択するステップを含み、
前記契約電力量は、前記複数の施設の全体としてベースライン電力から削減するように定められた電力量であり、
前記確保電力量は、前記第1施設及び前記第2施設の候補として選択される施設のベースライン電力から削減可能な電力量の合計である、電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理サーバ及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統の電力需給バランスを維持するために、電力系統から施設への潮流の量を抑制する技術が知られている。電力系統の電力需給バランスを維持するために、施設に設けられる蓄電池装置を利用する技術も提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/041010号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/084396号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
第1の特徴に係る電力管理サーバは、分散電源を有する複数の施設の中から、前記分散電源に第1処理を適用する第1施設及び前記分散電源に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択する制御部を備える。前記第1処理は、電力事業者から施設が購入する買電電力の目標値として第1目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理である。前記第2処理は、前記買電電力の目標値として前記第1目標値よりも大きい第2目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理である。前記制御部は、契約電力量に第1マージンを加味することによって得られるマージン閾値を確保電力量が超えるまで前記第1施設及び前記第2施設の候補を選択する。前記契約電力量は、前記複数の施設の全体としてベースライン電力から削減するように定められた電力量である。前記確保電力量は、前記第1施設及び前記第2施設の候補として選択される施設のベースライン電力から削減可能な電力量の合計である。前記制御部は、前記複数の施設の予測需要電力に基づいて前記第1マージンを設定する。
【0005】
第2の特徴に係る電力管理方法は、分散電源を有する複数の施設の中から、前記分散電源に第1処理を適用する第1施設及び前記分散電源に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択するステップAと、前記複数の施設の予測需要電力に基づいて、契約電力量に加味される第1マージンを設定するステップBとを備える。前記第1処理は、電力事業者から施設が購入する買電電力の目標値として第1目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理である。前記第2処理は、前記買電電力の目標値として前記第1目標値よりも大きい第2目標値を用いて、前記分散電源の出力電力を制御する処理である。前記ステップAは、前記契約電力量に前記第1マージンを加味することによって得られるマージン閾値を確保電力量が超えるまで前記第1施設及び前記第2施設の候補を選択するステップを含む。前記契約電力量は、前記複数の施設の全体としてベースライン電力から削減するように定められた電力量である。前記確保電力量は、前記第1施設及び前記第2施設の候補として選択される施設のベースライン電力から削減可能な電力量の合計である。
【発明の効果】
【0006】
一態様によれば、蓄電池装置などの分散電源を用いて、電力系統の電力需給バランスを適切に維持することを可能とする電力管理サーバ及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る電源管理システム100を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る施設300を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る電力管理サーバ200を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るローカル制御装置360を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る第1処理を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る第1処理を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る第2処理を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る第2処理を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
図11図11は、変更例1について説明するための図である。
図12図12は、変更例2について説明するための図である。
図13図13は、変更例4について説明するための図である。
図14図14は、変更例5について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0009】
但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれている場合があることは勿論である。
【0010】
[実施形態の概要]
近年では、電力系統の需給バランスを維持するために蓄電池装置を用いるケースにおいて、施設の需要電力に追従するように蓄電池装置の放電電力を制御することが考えられる(以下、負荷追従処理)。
【0011】
しかしながら、全ての施設について負荷追従処理を一律に適用すると、蓄電池装置の最大放電電力を需要電力が超える施設において、電力系統の電力需給バランスを適切に維持することができない可能性がある。
【0012】
実施形態では、上述した課題を解決するために、蓄電池装置などの分散電源を用いて、電力系統の電力需給バランスを適切に維持することを可能とする電力管理サーバ及び電力管理方法を提供する。
【0013】
[実施形態]
(電源管理システム)
以下において、実施形態に係る電源管理システムについて説明する。
【0014】
図1に示すように、電源管理システム100は、電力管理サーバ200と、施設300と、電力会社400とを有する。図1では、施設300として、施設300A〜施設300Cが例示されている。
【0015】
各施設300は、電力系統110に接続される。以下において、電力系統110から施設300への電力の流れを潮流と称し、施設300から電力系統110への電力の流れを逆潮流と称する。
【0016】
電力管理サーバ200、施設300及び電力会社400は、ネットワーク120に接続されている。ネットワーク120は、電力管理サーバ200と施設300との間の回線及び電力管理サーバ200と電力会社400との間の回線を提供すればよい。例えば、ネットワーク120は、インターネットである。ネットワーク120は、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を提供してもよい。
【0017】
電力管理サーバ200は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者、リソースアグリゲータなどの電力事業者によって管理されるサーバである。リソースアグリゲータは、VPP(Virtual Power Plant)において発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などに逆潮流の電力を提供する電力事業者である。実施形態において、電力管理サーバ200は、逆潮流の電力の買取エンティティの一例である。電力管理サーバ200は、電源管理サーバの一例である。
【0018】
電力管理サーバ200は、施設300に設けられるローカル制御装置360に対して、施設300に設けられる分散電源(例えば、太陽電池装置310、蓄電池装置320又は燃料電池装置330)に対する制御を指示する制御メッセージを送信する。例えば、電力管理サーバ200は、潮流の制御を要求する潮流制御メッセージ(例えば、DR;Demand Response)を送信してもよく、逆潮流の制御を要求する逆潮流制御メッセージを送信してもよい。さらに、電力管理サーバ200は、分散電源の動作状態を制御する電源制御メッセージを送信してもよい。潮流又は逆潮流の制御度合いは、絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよく、相対値(例えば、○○%)で表されてもよい。或いは、潮流又は逆潮流の制御度合いは、2以上のレベルで表されてもよい。潮流又は逆潮流の制御度合いは、現在の電力需給バランスによって定められる電力料金(RTP;Real Time Pricing)によって表されてもよく、過去の電力需給バランスによって定められる電力料金(TOU;Time Of Use)によって表されてもよい。
【0019】
施設300は、図2に示すように、太陽電池装置310、蓄電池装置320、燃料電池装置330と、負荷機器340、ローカル制御装置360及び電力計380を有する。
【0020】
太陽電池装置310は、太陽光などの光に応じて発電を行う分散電源である。太陽電池装置310は、所定買取価格が適用される特定分散電源の一例である。例えば、太陽電池装置310は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。
【0021】
蓄電池装置320は、電力の充電及び電力の放電を行う分散電源である。蓄電池装置320は、所定買取価格が適用されない分散電源の一例である。例えば、蓄電池装置320は、PCS及び蓄電池セルによって構成される。
【0022】
燃料電池装置330は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。燃料電池装置330は、所定買取価格が適用されない分散電源の一例であり、定格電力を出力する定格運転モードを有する分散電源である。例えば、燃料電池装置330は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。
【0023】
例えば、燃料電池装置330は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0024】
実施形態において、太陽電池装置310、蓄電池装置320及び燃料電池装置330は、VPPに用いられる電源であってもよい。
【0025】
負荷機器340は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器340は、空調機器、照明機器、AV(Audio Visual)機器などである。
【0026】
ローカル制御装置360は、施設300の電力を管理する装置(EMS;Energy Management System)である。ローカル制御装置360は、太陽電池装置310の動作状態を制御してもよく、施設300に設けられる蓄電池装置320の動作状態を制御してもよく、施設300に設けられる燃料電池装置330の動作状態を制御してもよい。ローカル制御装置360の詳細については後述する(図4を参照)。
【0027】
実施形態において、電力管理サーバ200とローカル制御装置360との間の通信は、第1プロトコルに従って行われる。一方で、ローカル制御装置360と分散電源(太陽電池装置310、蓄電池装置320又は燃料電池装置330)との間の通信は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルに従って行われる。例えば、第1プロトコルとしては、Open ADR(Automated Demand Response)に準拠するプロトコル、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。例えば、第2プロトコルは、ECHONET Liteに準拠するプロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。なお、第1プロトコルと第2プロトコルは異なっていればよく、例えば、両方が独自の専用プロトコルであっても異なる規則で作られたプロトコルであればよい。
【0028】
電力計380は、電力系統110から施設300への潮流の量及び施設300から電力系統110への逆潮流の量を計測する第1電力計の一例である。例えば、電力計380は、電力会社400に帰属するスマートメータである。
【0029】
ここで、電力計380は、単位時間(例えば、30分)毎に、単位時間における計測結果(潮流又は逆潮流の量(Wh))を示す情報要素を含むメッセージをローカル制御装置360に送信する。電力計380は、自律的にメッセージを送信してもよく、ローカル制御装置360の要求に応じてメッセージを送信してもよい。
【0030】
電力会社400は、電力系統110などのインフラストラクチャーを提供するエンティティであり、例えば、発電事業者又は送配電事業者などの電力事業者である。電力会社400は、電力管理サーバ200を管理するエンティティに対して、各種の業務を委託してもよい。
【0031】
(電力管理サーバ)
以下において、実施形態に係る電力管理サーバについて説明する。図3に示すように、電力管理サーバ200は、管理部210と、通信部220と、制御部230とを有する。電力管理サーバ200は、VTN(Virtual Top Node)の一例である。
【0032】
管理部210は、不揮発性メモリ又は/及びHDDなどの記憶媒体によって構成されており、電力管理サーバ200によって管理される施設300に関するデータを管理する。電力管理サーバ200によって管理される施設300は、電力管理サーバ200を管理するエンティティと契約を有する施設300であってもよい。例えば、施設300に関するデータは、電力系統110から施設300に供給される需要電力であってもよく、電力系統110全体の需要電力の削減要請(DR;Demand Response)に応じて各施設300で削減された電力量であってもよい。施設300に関するデータは、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電池装置320又は燃料電池装置330)の種別、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電池装置320又は燃料電池装置330)のスペックなどであってもよい。スペックは、太陽電池装置310の定格発電電力(W)、蓄電池装置320の最大出力電力(W)、燃料電池装置330の最大出力電力(W)であってもよい。さらに、施設300に関するデータは、過去において分散電源に指示した出力電力量であってもよい。例えば、分散電源が蓄電池装置320である場合において、施設300に関するデータは、蓄電池装置320に指示した放電電力量であってもよい。施設300に関するデータは、分散電源の劣化度であってもよい。例えば、分散電源が蓄電池装置320である場合において、施設300に関するデータは、蓄電池装置320のSOH(State Of Health)であってもよい。
【0033】
通信部220は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介してローカル制御装置360と通信を行う。通信部220は、上述したように、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージをローカル制御装置360に送信する。通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答をローカル制御装置360から受信する。
【0034】
実施形態において、通信部220は、電力系統110から施設300に供給される需要電力を示す情報要素を含むメッセージを施設300(例えば、ローカル制御装置360又は電力計380)から受信する。需要電力は、上述した電力計380によって測定された値でもよい。需要電力は、負荷機器340の消費電力から分散電源(太陽電池装置310、蓄電池装置320、燃料電池装置330)の出力電力を除いた値でもよい。
【0035】
制御部230は、メモリ及びCPUなどによって構成されており、電力管理サーバ200に設けられる各構成を制御する。例えば、制御部230は、制御メッセージの送信によって、施設300に設けられるローカル制御装置360に対して、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電池装置320又は燃料電池装置330)に対する制御を指示する。制御メッセージは、上述したように、潮流制御メッセージであってもよく、逆潮流制御メッセージであってもよく、電源制御メッセージであってもよい。
【0036】
(ローカル制御装置)
以下において、実施形態に係るローカル制御装置について説明する。図4に示すように、ローカル制御装置360は、第1通信部361と、第2通信部362と、制御部363とを有する。ローカル制御装置360は、VEN(Virtual End Node)の一例である。
【0037】
第1通信部361は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介して電力管理サーバ200と通信を行う。第1通信部361は、上述したように、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信部361は、第1プロトコルに従って第1メッセージを電力管理サーバ200から受信する。第1通信部361は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答を電力管理サーバ200に送信する。
【0038】
第2通信部362は、通信モジュールによって構成されており、分散電源(太陽電池装置310、蓄電池装置320又は燃料電池装置330)と通信を行う。第2通信部362は、上述したように、第2プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信部362は、第2プロトコルに従って第2メッセージを分散電源に送信する。第2通信部362は、第2プロトコルに従って第2メッセージ応答を分散電源から受信する。
【0039】
制御部363は、メモリ及びCPUなどによって構成されており、ローカル制御装置360に設けられる各構成を制御する。具体的には、制御部363は、施設300の電力を制御するために、第2メッセージの送信及び第2メッセージ応答の受信によって、分散電源の動作状態の設定を機器に指示する。制御部363は、施設300の電力を管理するために、第2メッセージの送信及び第2メッセージ応答の受信によって分散電源の情報の報告を分散電源に指示してもよい。
【0040】
(適用シーン)
以下において、実施形態の適用シーンについて説明する。電力管理サーバ200の上位ノードである電力会社400から電力系統110の需要電力の削減要請を電力管理サーバ200が受信するケースについて説明する。このようなケースにおいて、電力管理サーバ200は、電力管理サーバ200によって管理される施設300の全体として、契約電力量に相当する電力量をベースライン電力から削減すればよい。
【0041】
契約電力量は、ネガワット取引において、電力管理サーバ200と電力会社400との間で定められた電力量であればよい。契約電力量は、電力管理サーバ200によって管理される複数の施設300の全体としてベースライン電力から削減するように定められた電力量である。ベースライン電力は、削減要請が行われなかった場合に想定される需要電力である。ベースライン電力は、削減要請の発動予告よりも前の一定期間の需要電力の平均値であってもよい。一定期間は、ネガワット取引の実体に応じて定められてもよく、電力管理サーバ200と電力会社400との間で定められてもよい。
【0042】
このような背景下において、電力管理サーバ200は、分散電源(ここでは、蓄電池装置320)を有する複数の施設300の中から、蓄電池装置320に第1処理を適用する第1施設及び蓄電池装置320に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択する制御部230を有する。制御部230は、電力系統110の電力が不足するデマンドレスポンス期間を対象として、上述した第1施設及び第2施設を選択してもよい。
【0043】
第1処理は、電力事業者から施設300が購入する買電電力の目標値として第1目標値を用いて、蓄電池装置320の出力電力を制御する処理である。上述した第1目標値はゼロであってもよい。ここで、ゼロは、実質的にゼロであればよく、負荷機器340の消費電力の急激な変動に伴う逆潮流を抑制すべく、数十Wの第1目標値が設定されてもよい。言い換えると、ゼロは、数十Wを含む概念と考えてもよい。このようなケースにおいて、蓄電池装置320の出力電力は負荷機器340の消費電力に追従するため、第1処理は、負荷追従処理と称してもよい。第1処理は、蓄電池装置320が自律的に実行する処理であってもよい。このようなケースにおいて、電力管理サーバ200は、第1目標値を蓄電池装置320に設定するとともに、第1処理を実行する期間を指示すればよい。
【0044】
第2処理は、買電電力の目標値として第1目標値よりも大きい第2目標値を用いて、蓄電池装置320の出力電力を制御する処理である。第2処理は、第2目標値と買電電力との差異に基づいて蓄電池装置320を制御するフィードバック処理(或いは、逐次処理)であってもよい。フィードバック処理では、N−X番目の単位時間における削減電力の不足誤差又は超過誤差をN番目の単位時間で補う調整処理が行われる。N及びXは自然数であり、N>Xの関係が満たされる。このようなケースにおいて、第2処理は、制御部230(電力管理サーバ200)によって蓄電池装置320を遠隔で制御する処理であってもよい。
【0045】
制御部230は、各施設300におけるベースライン電力に対する削減電力、各施設300におけるベースライン電力に対する削減割合及び買電電力の絶対値の少なくともいずれか1つに基づいて、第1目標値及び第2目標値を設定してもよい。ベースライン電力に対する削減電力に基づいて第1目標値及び第2目標値が定められる場合には、ベースライン電力と削減電力との差分が買電電力に相当する。従って、このようなケースであっても、第1目標値及び第2目標値は買電電力の目標値を意味する。同様に、ベースライン電力に対する削減割合に基づいて第1目標値及び第2目標値が定められる場合には、1から削減割合を除いた値をベースライン電力に乗算した値が買電電力に相当する。従って、このようなケースであっても、第1目標値及び第2目標値は買電電力の目標値を意味する。
【0046】
さらに、上述した所定基準は、電力系統110から複数の施設300に供給される電力の全体の削減電力の超過誤差及び不足誤差を最小化するように定められる。例えば、所定基準は、施設300の需要電力の絶対量、施設300の需要電力の変動量、蓄電池装置320の劣化度、蓄電池装置320の出力電力のコスト、蓄電池装置320の種類、施設300に設けられる機器(例えば、負荷機器340)の種類の少なくともいずれか1つに基づいた基準である。
【0047】
(1)施設300の需要電力の絶対量
施設300の需要電力の絶対量が大きい場合には、蓄電池装置320の最大出力電力を施設300の需要電力が超える状態(すなわち、ネガワット取引における削減電力が不足する状態)が生じる可能性が高い。従って、削減電力の不足状態を優先的に抑制するために、所定基準は、需要電力の絶対量が所定閾値以下である施設300を第1施設として選択し、電力需要の絶対量が所定閾値を超える施設300を第2施設として選択する基準であってもよい。所定基準は、需要電力の絶対量が相対的に大きい施設300が第2施設として優先的に選択される基準であってもよい。
【0048】
(2)施設300の需要電力の変動量
施設300の需要電力の変動量が大きい場合には、蓄電池装置320の最大出力電力を施設300の需要電力が超える状態(すなわち、ネガワット取引において削減電力が不足する状態)、及び、買電電力が目標値を下回る状態(すなわち、ネガワット取引において削減電力が超過する状態)のいずれが生じる可能性も高い。従って、所定基準は、需要電力の変動量が所定閾値を超える施設300が第1施設及び第2施設として選択されない基準であってもよい。さらに、少なくとも削減電力の超過状態が生じないように、所定基準は、需要電力の変動量が所定閾値を超える施設300を第1施設として選択し、電力需要の変動量が所定閾値以下である施設300を第2施設として選択する基準であってもよい。所定基準は、需要電力の変動量が相対的に小さい施設300が第2施設として優先的に選択される基準であってもよい。
【0049】
(3)蓄電池装置320の劣化度
蓄電池装置320の劣化度を平準化するために、所定基準は、蓄電池装置320の劣化度が所定閾値よりも高い施設300が第1施設及び第2施設として選択されない基準であってもよい。さらに、上述した第2処理が第1処理よりも蓄電池装置320に負担をかける可能性がある場合には、所定基準は、蓄電池装置320の劣化度が所定閾値よりも高い施設300を第1施設として選択し、蓄電池装置320の劣化度が所定閾値以下である施設300を第2施設として選択する基準であってもよい。所定基準は、劣化度が相対的に小さい蓄電池装置320を有する施設300が第2施設として優先的に選択される基準であってもよい。
【0050】
(4)蓄電池装置320の出力電力のコスト
コストが低い蓄電池装置320の出力電力を有効に利用するために、出力電力のコストが所定閾値よりも高い蓄電池装置320を有する施設300が第1施設及び第2施設として選択されない基準であってもよい。さらに、上述した第2処理が第1処理よりも蓄電池装置320の出力電力が抑制される可能性があるため、所定基準は、出力電力のコストが所定閾値以下である蓄電池装置320を有する施設300を第1施設として選択し、出力電力のコストが所定閾値よりも高い蓄電池装置320を有する施設300を第2施設として選択する基準であってもよい。所定基準は、出力電力のコストが相対的に高い蓄電池装置320を有する施設300が第2施設として優先的に選択される基準であってもよい。
【0051】
ここで、蓄電池装置320の出力電力のコストは、蓄電池装置320に電力を蓄積するのに要したコストであってもよい。すなわち、蓄電池装置320の出力電力のコストは、蓄電池装置320に蓄積された電力のコストと考えてもよい。従って、蓄電池装置320の出力電力のコストは、電力系統110の電力が蓄電池装置320に蓄積されるケースでは、電力系統110から供給される電力について施設300が契約を結んでいる電気料金プランに基づいて定められてもよく、太陽電池装置310又は燃料電池装置330の出力電力が蓄電池装置320に蓄積されるケースでは、太陽電池装置310又は燃料電池装置330の発電コストに基づいて定められてもよい。このようなケースにおいて、蓄電池装置320の充電効率及び放電効率が考慮されてもよい。
【0052】
(5)蓄電池装置320の種類
例えば、蓄電池装置320の種類は、蓄電池装置320の最大出力電力及び蓄電池装置320の負荷追従性などの特性を示すパラメータである。例えば、このようなパラメータは、負荷機器340の消費電力の変動に対する蓄電池装置320の出力電力の応答性を示すパラメータであってもよい。このようなパラメータは、逐次処理における電力管理サーバ200と施設300(蓄電池装置320)との間の伝送遅延を示すパラメータであってもよい。
【0053】
例えば、所定基準は、最大出力電力が所定閾値よりも大きい蓄電池装置320を有する施設300を第1施設として選択し、最大出力電力が所定閾値よりも小さい蓄電池装置320を有する施設300を第2施設として選択する基準であってもよい。或いは、所定基準は、負荷追従性が所定閾値よりも良好でない蓄電池装置320を有する施設300を第1施設として選択し、負荷追従性が所定閾値よりも良好である蓄電池装置320を有する施設300を第2施設として選択する基準であってもよい。
【0054】
(6)施設300に設けられる機器(例えば、負荷機器340)の種類
機器の種類は、施設300の需要電力の絶対量及び施設300の需要電力の変動量に影響を与える。従って、施設300の需要電力の絶対量及び施設300の需要電力の変動量と同様の考え方で、機器の種類に基づいて所定基準が定められてもよい。
【0055】
ここで、第1施設及び第2施設を選択する処理は、上述した(1)〜(6)の中から選択された2以上パラメータに基づいて行われてもよい。2以上のパラメータに基づいた基準が重み付けによって組み合わされてもよい。
【0056】
(第1処理)
以下において、実施形態に係る第1処理について説明する。第1処理は、上述したように、電力事業者から施設300が購入する買電電力の目標値として第1目標値を用いて、蓄電池装置320の出力電力を制御する処理である。ここでは、説明簡略化のために、デマンドレスポンス期間よりも前において蓄電池装置320が放電を行っておらず、デマンドレスポンス期間で放電を行うために必要な蓄電残量を蓄電池装置320が有するものとする。
【0057】
例えば、図5に示すように、第1目標値(PTL1)はゼロであり、デマンドレスポンス期間において、蓄電池装置320の出力電力は、各施設300における需要電力(PCONSUMP)に追従する。従って、ネガワット取引における削減電力の目標値(NWTARGET)は、各施設300におけるベースライン電力(PBL)と同じである。ネガワット取引における実際の削減電力は、蓄電池装置320の放電によって目標値(NWTARGET)に達する。
【0058】
しかしながら、図6に示すように、需要電力(PCONSUMP)が蓄電池装置320の最大出力電力(Pmax)を超える場合には、ネガワット取引における削減電力の不足が生じる。すなわち、買電電力の目標値として第2目標値よりも小さい第1目標値を用いる第1処理では、削減電力の不足が生じる可能性が第2処理よりも高い。
【0059】
(第2処理)
以下において、実施形態に係る第2処理について説明する。第2処理は、上述したように、買電電力の目標値として第1目標値よりも大きい第2目標値を用いて、蓄電池装置320の出力電力を制御する処理である。ここでは、説明簡略化のために、デマンドレスポンス期間よりも前において蓄電池装置320が放電を行っておらず、デマンドレスポンス期間で放電を行うために必要な蓄電残量を蓄電池装置320が有するものとする。
【0060】
例えば、図7に示すように、第2目標値(PTL2)はゼロよりも大きい値であり、デマンドレスポンス期間において、蓄電池装置320の出力電力は、各施設300における需要電力(PCONSUMP)から第2目標値(PTL)を除いた値に追従する。従って、ネガワット取引における削減電力の目標値(NWTARGET)は、各施設300におけるベースライン電力(PBL)から第2目標値(PTL)を除いた値と同じである。ネガワット取引における削減電力は、蓄電池装置320の放電によって目標値(NWTARGET)に達する。
【0061】
しかしながら、図8に示すように、需要電力(PCONSUMP)が蓄電池装置320の最大出力電力(Pmax)を超える場合には、ネガワット取引における削減電力の不足が生じる可能性があり、需要電力(PCONSUMP)が第2目標値(PTL)を下回る場合には、ネガワット取引における削減電力の超過が生じる可能性もある。すなわち、買電電力の目標値として第1目標値よりも大きい第2目標値を用いる第2処理では、削減電力の不足が生じる可能性が第2処理よりも低いものの、削減電力の超過が生じる可能性が生じる。
【0062】
従って、第2処理では、フィードバック処理を採用することによって、N−X番目の単位時間における削減電力の不足誤差又は超過誤差をN番目の単位時間で補う調整処理が行われることが好ましい。このようなフィードバック処理によれば、デマンドレスポンス期間の全体としては、削減電力の不足及び超過を吸収することができる。
【0063】
(電力管理方法)
以下において、実施形態に係る電力管理方法について説明する。
【0064】
図9に示すように、ステップS10において、電力管理サーバ200は、各施設300の需要電力を示す情報要素(需要電力情報)を含むメッセージを受信する。例えば、ステップS10の処理は、単位時間(例えば、30分)毎に行われる。このような構成によれば、電力管理サーバ200は、各施設300の需要電力を把握することができ、各施設300のベースライン電力を把握することも可能である。
【0065】
ステップS11において、電力管理サーバ200は、各施設300の蓄電池装置320に関する情報要素(蓄電池情報)を含むメッセージを受信する。例えば、ステップS10の処理は、単位時間毎に行われる。ステップS11の単位時間は、ステップS10の単位時間と異なっていてもよい。例えば、蓄電池情報は、蓄電池装置320の蓄電残量などを示す情報である。
【0066】
ステップS12において、電力管理サーバ200は、電力会社400から削減要請を受信する。
【0067】
ステップS13において、電力管理サーバ200は、デマンドレスポンス期間を対象として、蓄電池装置320に第1処理を適用する第1施設及び蓄電池装置320に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択する。ここで、電力管理サーバ200によって管理される複数の施設300は、第1施設及び第2施設として選択されない施設300を含んでもよい。すなわち、全ての施設300が削減要請に参加しなくてもよい。所定基準に基づいた選択方法の一例については後述する(図10を参照)。
【0068】
ステップS14において、電力管理サーバ200は、第1処理又は第2処理を示す情報要素(処理方法通知)を含むメッセージを各施設300に送信する。
【0069】
ステップS15において、第2施設として選択された施設300は、買電電力と第2目標値との誤差を示す情報要素(誤差情報)を含むメッセージを電力管理サーバ200に送信する。ここで、ステップS15の処理は、デマンドレスポンス期間が開始した後の動作である。
【0070】
ステップS16において、電力管理サーバ200は、ステップS15で受信する誤差情報に基づいて、誤差を調整するための制御コマンドを第2施設として選択された施設300に送信する。
【0071】
図9に示すケースにおいて、ステップS15及びステップS16は単位時間毎に繰り返される(フィードバック処理)。フィードバック処理の単位時間は、需要電力情報又は蓄電池情報を受信する単位時間よりも短くてもよい。
【0072】
続いて、上述したステップS13の一例について説明する。ここでは、所定基準が需要電力の絶対量(以下、単に需要電力)に基づいた基準であるケースを例示する。需要電力は、第1施設及び第2施設を選択するタイミングの需要電力であってもよく、過去における需要電力(例えば、ベースライン電力)であってもよい。
【0073】
図10に示すように、ステップS20において、電力管理サーバ200は、電力管理サーバ200によって管理される施設300の中から、削減要請に関する制御を適用することができない施設300を除外する。例えば、このような施設300としては、蓄電池装置320を有していない施設300、蓄電残量が十分ではない蓄電池装置320を有する施設300、電力管理サーバ200と通信路を確保できない施設300などが挙げられる。
【0074】
ステップS21において、電力管理サーバ200は、確保電力量が契約電力量を超えるまで、需要電力が小さい順に施設300を第1施設として選択する。確保電力量は、第1施設として選択される施設300について、ベースライン電力(需要電力)から削減可能な電力量の合計である。ここでは、削減可能な電力量の合計は、第1目標値(PTL)を除いた値の合計である。従って、第1目標値(PTL)がゼロである場合には、確保電力量は、第1施設として選択される施設300のベースライン電力(需要電力)の合計と同じである。
【0075】
ステップS22において、電力管理サーバ200は、確保電力量が契約電力量を超えるまで第1施設を選択できたか否かを判定する。電力管理サーバ200は、判定結果がYESである場合には、ステップS23の処理を行う。電力管理サーバ200は、判定結果がNOである場合には、ステップS27の処理を行う。
【0076】
ステップS23において、電力管理サーバ200は、需要電力が所定閾値よりも大きい施設300の中から所定数の施設300を第2施設として選択する。このようなケースにおいて、電力管理サーバ200は、需要電力が所定閾値よりも大きい施設の中から、需要電力が小さい順に所定数の施設300を第2施設として選択してもよい。
【0077】
ステップS24において、電力管理サーバ200は、ステップS21で第1施設として選択された施設300を、ステップS23で第2施設として選択された施設300と置き換える。このような置き換えが行われることから、ステップS21で第1施設として選択された施設300は、第1施設及び第2施設の候補と称してもよい。このような置き換えは、第2施設として選択された施設300の削減電力が第1施設として選択された施設300の削減電力と同程度となるように行われる。置き換え対象の第1施設は、需要電力が大きい順に選択されてもよい。さらに、両者が完全に一致しない場合には、第2施設として選択された施設300の削減電力が第1施設として選択された施設300の削減電力よりも大きくなるように置き換えが行われてもよい。
【0078】
ステップS25において、電力管理サーバ200は、第1施設から第2施設への置き換えに伴う誤差を調整する。第2施設として選択された施設300の削減電力が第1施設として選択された施設300の削減電力よりも大きい場合に、第1施設として選択された施設300の中から、需要電力が大きい施設300の除外が優先される。
【0079】
ステップS26において、電力管理サーバ200は、削減要請に対する参加応答を電力会社400に送信する。
【0080】
ステップS27において、電力管理サーバ200は、削減要請に対する不参加応答を電力会社400に送信する。
【0081】
図10に示す処理は、デマンドレスポンス期間を対象として行われればよい。従って、デマンドレスポンス期間の前だけではなく、デマンドレスポンス期間中において図10に示す処理が行われてもよい。図10に示す処理は所定周期で行われてもよい。
【0082】
(作用及び効果)
実施形態では、電力管理サーバ200は、蓄電池装置320に第1処理を適用する第1施設及び蓄電池装置320に第2処理を適用する第2施設を所定基準に基づいて選択する。このような構成によれば、削減電力の不足誤差及び超過誤差が生じる可能性を低減しながら、電力系統110の需給バランスを維持することができる。
【0083】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0084】
実施形態では、電力管理サーバ200は、確保電力量が契約電力量を超えるまで、需要電力が小さい順に施設300を第1施設(すなわち、第1施設及び第2施設の候補)として選択する。これに対して、変更例1では、電力管理サーバ200は、契約電力量に第1マージンを加味することによって得られるマージン閾値を確保電力量が超えるまで、施設300を第1施設(すなわち、第1施設及び第2施設の候補)として選択する。実施形態と同様に、需要電力が小さい順に施設300が第1施設として選択されてもよい。
【0085】
ここで、電力管理サーバ200(制御部230)は、複数の施設300の予測需要電力に基づいて第1マージンを設定する。第1マージンは、正の値及び負の値のいずれかを取り得る。第1マージンは、契約電力量に加算される電力量で表されてもよく、契約電力量に乗算される割合で表されてもよい。
【0086】
例えば、複数の施設300の全体としてデマンドレスポンス期間において予測需要電力が直前需要電力よりも大きくなる時間帯(以下、不足時間帯)が含まれる場合には、削減電力の不足が生じる可能性があるため、第1マージンとして正の値が設定されてもよい。すなわち、実施形態よりも多くの施設300が第1施設として選択される。一方で、複数の施設300の全体としてデマンドレスポンス期間において不足時間帯が含まれない場合には、削減電力の超過が生じる可能性があるため、第1マージンとして負の値が設定されてもよい。すなわち、実施形態よりも少ない施設300が第1施設として選択される。
【0087】
(電力管理方法)
以下において、変更例1に係る電力管理方法について説明する。ここでは、第1マージンの決定方法について説明する。
【0088】
図11に示すように、ステップS30において、電力管理サーバ200は、複数の施設300の予測需要電力を取得する。予測需要電力は、デマンドレスポンス期間における電力需要の予測推移である。予測需要電力は、過去の電力需要の推移に基づいて予測されてもよい。例えば、過去の電力需要は、デマンドレスポンス期間と同じ条件(例えば、時間帯、曜日、月)で測定された電力需要である。
【0089】
ステップS31において、電力管理サーバ200は、デマンドレスポンス期間において不足時間帯が含まれるか否かを判定する。電力管理サーバ200は、判定結果がYESである場合に、ステップS32の処理を行う。電力管理サーバ200は、判定結果がNOである場合に、ステップS34の処理を行う。
【0090】
ステップS32において、電力管理サーバ200は、複数の施設300の全体を対象として、デマンドレスポンス期間における予測需要電力の最大値(以下、最大需要電力>直前需要電力)と直前需要電力との差分を算出する。
【0091】
ステップS33において、電力管理サーバ200は、ステップS32で算出された差分に基づいて第1マージンを設定する。ここでは、第1マージンは正の値である。例えば、第1マージンが契約電力量に乗算される割合で表される場合には、第1マージンは、差分/契約電力量で表される。従って、マージン閾値は、契約電力量×(1+第1マージン)によって算出される。これによって、実施形態よりも多くの施設300が第1施設として選択される。
【0092】
ここで、第1マージンは、最大需要電力から直前需要電力を除いた値そのものであってもよく、最大需要電力から直前需要電力を除いた値に係数を乗算した値であってもよい。第1マージンは、これらの値と対応する割合で表されてもよい。
【0093】
ステップS34において、電力管理サーバ200は、複数の施設300の全体を対象として、デマンドレスポンス期間における最大需要電力(<直前需要電力)と直前需要電力との差分を算出する。
【0094】
ステップS35において、電力管理サーバ200は、ステップS32で算出された差分に基づいて第1マージンを設定する。ここでは、第1マージンは負の値である。例えば、第1マージンが契約電力量に乗算される割合で表される場合には、第1マージンは、差分/契約電力量で表される。従って、マージン閾値は、契約電力量×(1+第1マージン)によって算出される。これによって、実施形態よりも少ない施設300が第1施設として選択される。
【0095】
ここで、第1マージンは、最大需要電力から直前需要電力を除いた値そのものであってもよく、最大需要電力から直前需要電力を除いた値に係数を乗算した値であってもよい。第1マージンは、これらの値と対応する割合で表されてもよい。
【0096】
図11では、デマンドレスポンス期間において不足時間帯が含まれない場合に、契約電力量に第1マージンを加味するケースを例示したが、このようなケースにおいて、契約電力量に第1マージンを加味されなくてもよい。すなわち、ステップS34及びステップS35は省略されてもよい。
【0097】
(作用及び効果)
変更例1では、電力管理サーバ200は、契約電力量に第1マージンを加味することによって得られるマージン閾値を確保電力量が超えるまで、施設300を第1施設(すなわち、第1施設及び第2施設の候補)として選択する。従って、削減電力の不足誤差及び超過誤差が生じる可能性をさらに低減することができる。
【0098】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0099】
変更例2においては、実施形態で触れた第2処理のフィードバック処理における調整処理の詳細について説明する。上述したように、調整処理は、N−X番目の単位時間における削減電力の不足誤差又は超過誤差をN番目の単位時間で補う処理である。
【0100】
図12に示すように、施設300から電力管理サーバ200に送信される買電電力(フィードバック買電電力)は、X(ここでは、3単位時間)の遅延時間を伴う。従って、N−3番目の単位時間で参照されるフィードバック買電電力(1.4kW)は、N−6番目の単位時間における施設300の買電電力(1.4kW)である。従って、N−3番目の単位時間においては、遅延時間に伴う誤差(−0.3kW=1.4kW−1.7kW)が生じている。
【0101】
変更例2において、このような遅延時間に伴う誤差を考慮して、電力管理サーバ200(制御部230)は、N番目の単位時間において、N−3番目の単位時間における買電電力と第2目標値との差異に第2マージンを加味することによって得られるマージン差異に基づいて蓄電池装置320を制御する。第2マージンは、正の値及び負の値のいずれかを取り得る。第2マージンは、買電電力と第2目標値との差異に加算される電力で表されてもよく、買電電力と第2目標値との差異に乗算される割合で表されてもよい。
【0102】
例えば、電力管理サーバ200は、N−3番目の単位時間における買電電力とN−6番目の単位時間における買電電力との誤差(ここでは、−0.3kW)に基づいて第2マージンを設定してもよい。このようなケースにおいては、第2マージンは、施設300毎に個別に設定され、かつ、単位時間毎に設定されてもよい。第2マージンは、買電電力と第2目標値との差異に加算される電力で表されてもよい。すなわち、仮に第2目標値が1kWであるケースを想定すると、削減電力の目標値は0.4kW(1.7kW−1kW−0.3kW)である。
【0103】
或いは、電力管理サーバ200は、予測遅延誤差に基づいて第2マージンを設定してもよい。予測遅延誤差は、過去の遅延誤差(例えば、遅延誤差の平均値、遅延誤差の最大値、遅延誤差の最小値など)に基づいて予測されてもよい。例えば、過去の遅延誤差は、デマンドレスポンス期間と同じ条件(例えば、時間帯、曜日、月)で測定された遅延誤差である。このようなケースにおいては、第2マージンは、施設300毎に個別に設定されてもよく、複数の施設300の全体で供用される1つの値として設定されてもよい。第2マージンは、デマンドレスポンス期間の全体で供用される1つの値として設定されてもよい。第2マージンは、買電電力と第2目標値との差異に乗算される割合で表されてもよい。
【0104】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0105】
実施形態では、図10に示すように、電力管理サーバ200は、確保電力量が契約電力量を超えるまで、需要電力が小さい順に施設300を第1施設として選択し、選択された第1施設の一部を第2施設に置き換える。これに対して、変更例3では、電力管理サーバ200は、複数の施設300のそれぞれについて、第1処理(負荷追従処理)を適用するか、第2処理(逐次処理)を適用するかを予め決定する。続いて、電力管理サーバ200は、確保電力量が契約電力量を超えるまで施設300を選択する。
【0106】
例えば、デマンドレスポンスが発動されるケースにおいて、電力管理サーバ200は、以下の手順で需要電力を削減する。
【0107】
第1に、電力管理サーバ200は、直前需要電力が所定閾値よりも大きい施設300に第2処理(逐次処理)を適用すると決定し、直前需要電力が所定閾値以下の施設300に第1処理(負荷追従処理)を適用すると決定する。
【0108】
第2に、電力管理サーバ200は、確保電力量が契約電力量を超えるまで、優先度が高い順に施設300を選択する。例えば、優先度は、直前需要電力が低いほど高くてもよい。
【0109】
変更例3においては、確保電力量は、第1施設及び第2施設として選択される施設300について、ベースライン電力(需要電力)から削減可能な電力量の合計であってもよい。削減可能電力量は、第1施設についてベースライン電力から第1目標値を除いた値の合計と、第2施設についてベースライン電力から第2目標値を除いた値の合計とをたし合せた値であってもよい。
【0110】
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0111】
変更例4では、上述した第1マージンの決定方法について説明する。第1マージンは、契約電力量に加味されることによってマージン閾値を定める値である。
【0112】
具体的には、変更例4では、電力系統110の需要電力の削減要請に参加する施設300の数は変動し得るケースを想定する。削減要請に参加する施設300は、第1施設及び第2施設として選択される施設300である。このようなケースを想定して、電力管理サーバ200は、削減要請に参加する施設300の数と第1マージンとを対応付けて記憶する。
【0113】
例えば、図13に示すように、電力管理サーバ200は、図13に示すテーブルを記憶する。Time Stampは、削減要請が実行された時刻を示す情報である。Marginは、削減要請で用いられた第1マージンを示す情報(ここでは、比率)である。Countは、削減要請に参加した施設300の数である。ここで、図13に示すテーブルにおいては、削減電力の不足誤差及び超過誤差が所定誤差以下である制御で用いられたレコードのみが格納されてもよい。
【0114】
このようなケースにおいて、電力管理サーバ200は、今回の削減要請に参加する施設300の数に最も近いCountと対応付けられたMarginを第1マージンとして用いる。例えば、今回の削減要請に参加する施設300の数が65である場合には、63のCountと対応付けられたMargin、すなわち、2018−07−05の削減要請で用いられた“0.46”が第1マージンとして用いられる。
【0115】
また、今回の削減要請に参加する施設300の数が52である場合には、50のCountと対応付けられたMargin、すなわち、2018−07−02の削減要請で用いられた“1.00”又は2018−07−03の削減要請で“0.87”が第1マージンとして用いられる。このように、今回の削減要請に参加する施設300の数に最も近いCountが2以上である場合には、今回の削減要請に時間的に近いCountと対応付けられたMargin、すなわち、2018−07−03の削減要請で“0.87”が第1マージンとして用いられてもよい。或いは、2以上のCountと対応付けられたMarginの中で小さいMargin、すなわち、2018−07−03の削減要請で“0.87”が第1マージンとして用いられてもよい。或いは、2以上のCountと対応付けられたMarginの平均値、すなわち、約0.94=(1.00+0.87)/2が第1マージンとして用いられてもよい。
【0116】
さらに、電力管理サーバ200は、今回の削減要請に参加する施設300の数(以下、対象数)と今回の削減要請に参加する施設300に最も近いCount(以下、参照数)との差異が所定数よりも大きい場合には、最も近いCountと対応付けられたMarginを補正してもよい。Marginは、対象数と参照数との比率に基づいてMarginが小さくなるように補正される。Marginは、Margin=Margin×|1−(参照数/対象数)|の式に従って補正されてもよい。例えば、今回の削減要請に参加する施設300の数が100である場合には、100に最も近いCountは63であるが、63と対応付けられた“0.46”が補正される。上述した式に従えば、0.17=0.46×|1−(63/100)|が第1マージンとして用いられる。
【0117】
[変更例5]
以下において、実施形態の変更例5について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0118】
変更例5では、買電電力の目標値の設定方法について説明する。買電電力の目標値は、第1処理で用いる第1目標値を含んでもよく、第2処理で用いる第2目標値を含んでもよい。
【0119】
具体的には、変更例5では、電力管理サーバ200によって管理される施設300は、第1施設又は第2施設として選択される対象施設と、第1施設及び第2施設のいずれにも選択されない非対象施設とを含むケースを想定する。非対象施設は、上述したステップS20で除外される施設300を含んでもよい。非対象施設は、電力系統110の需要電力の削減要請に参加しない施設300を含んでもよい。このようなケースを想定して、電力管理サーバ200は、非対象施設のベースライン電力と非対象施設の電力需要との差異に基づいて、対象施設が用いる買電電力の目標値を設定する。言い換えると、電力管理サーバ200は、非対象施設のベースライン電力と非対象施設の予測電力需要との差異を対象施設の制御によって補う。
【0120】
例えば、図14に示すように、時間帯Xにおいて非対象施設の需要電力(PCONSUMP)が非対象施設のベースライン電力(PBL)よりも大きい。このような場合に、電力管理サーバ200は、対象施設の需要電力(PCONSUMP)が対象施設のベースライン電力(PBL)よりも小さくなるように、対象施設が用いる目標値を小さくする。これによって、非対象施設の需要電力(PCONSUMP)の超過が補償される。
【0121】
一方で、時間帯Yにおいて非対象施設の需要電力(PCONSUMP)が非対象施設のベースライン電力(PBL)を下回る。このような場合に、電力管理サーバ200は、対象施設の需要電力(PCONSUMP)が対象施設のベースライン電力(PBL)よりも大きくなるように、対象施設が用いる目標値を大きくする。これによって、非対象施設の需要電力(PCONSUMP)の不足が補償される。
【0122】
[変更例6]
以下において、実施形態の変更例6について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。変更例6では、対象施設及び非対象施設の選択方法について説明する。
【0123】
第1に、電力管理サーバ200は、対象施設を第1対象施設及び第2対象施設に分類してもよい。第1対象施設は、非対象施設の需要電力の超過又は不足を補償する施設である。第2対象施設は、非対象施設の需要電力の超過又は不足を補償しない施設である。
【0124】
例えば、非対象施設の需要電力の超過が予測される場合に、電力管理サーバ200は、予測需要電力がベースライン電力よりも小さいと予測される施設300を第1対象施設として選択する。非対象施設の需要電力の不足が予測される場合に、電力管理サーバ200は、予測需要電力がベースライン電力よりも大きいと予測される施設300を第1対象施設として選択する。これらのケースにおいて、電力管理サーバ200は、予測需要電力とベースライン電力との差異が閾値以下である施設300を第2施設として選択してもよい。
【0125】
例えば、非対象施設の需要電力の超過及び不足が生じないと予測される場合に、電力管理サーバ200は、予測需要電力とベースライン電力との差異が閾値以下である施設300を第1対象施設として選択してもよい。このようなケースにおいて、電力管理サーバ200は、予測需要電力とベースライン電力との差異が閾値よりも大きい施設300を第2対象施設として選択してもよい。
【0126】
上述したように、対象施設を第1対象施設及び第2対象施設に分類することによって、非対象施設の需要電力の超過又は不足の補償で制御する第1対象施設の数を抑制することができ、補償に伴う制御を簡略化することができる。
【0127】
第2に、電力管理サーバ200は、非対象施設を第1非対象施設及び第2非対象施設に分類してもよい。第1非対象施設は、需要電力の超過又は不足を対象施設によって補償する必要がある施設である。第2非対象施設は、需要電力の超過又は不足を対象施設によって補償する必要がない施設である。
【0128】
例えば、電力管理サーバ200は、予測需要電力とベースライン電力との差異が閾値よりも大きい施設300を第1非対象施設として選択する。一方で、電力管理サーバ200は、予測需要電力とベースライン電力との差異が閾値以下である施設300を第2非対象施設として選択する。このようなケースにおいて、第1非対象施設の需要電力の不足が予測される場合に、対象施設の需要電力を大きくすることが可能であり、対象施設の削減電力を抑制することができる。
【0129】
上述したように、非対象施設を第1非対象施設及び第2非対象施設に分類することによって、需要電力の超過又は不足の補償すべき施設の数を抑制することができ、補償に伴う対象施設の負担を軽減することができる。さらに、第1非対象施設の需要電力の超過又は不足の補償を利用して、対象施設の削減電力を抑制する余地が生まれる。
【0130】
第3に、電力管理サーバ200は、過去需要電力と過去ベースライン電力との差異が閾値よりも大きい施設300を対象施設として優先的に選択してもよい。言い換えると、電力管理サーバ200は、過去需要電力と過去ベースライン電力との誤差が所定誤差よりも小さい施設300を非対象施設として優先的に選択してもよい。
【0131】
このような構成によれば、過去需要電力と過去ベースライン電力との誤差が大きい施設300が非対象施設として選択されることがないため、非対象施設の需要電力の超過又は不足の補償に伴う制御負荷の増大を抑制することができる。
【0132】
第4に、電力管理サーバ200は、施設300の全体に対する非対象施設の割合が一定割合以下となるように対象施設を選択してもよい。或いは、電力管理サーバ200は、対象施設に対する非対象施設の割合が一定割合以下となるように対象施設を選択してもよい。或いは、電力管理サーバ200は、非対象施設に対する対象施設の割合が一定割合以上となるように対象施設を選択してもよい。
【0133】
このような構成によれば、非対象施設の需要電力と非対象施設のベースライン電力との誤差の増大が抑制され、非対象施設の需要電力の超過又は不足の補償に伴う制御負荷の増大を抑制することができる。
【0134】
第5に、電力管理サーバ200は、非対象施設の予測電力需要と非対象施設のベースライン電力との誤差の合計が所定誤差以下となるように、対象施設の数を決定してもよい。
【0135】
このような構成によれば、非対象施設の需要電力と非対象施設のベースライン電力との誤差の増大が抑制され、非対象施設の需要電力の超過又は不足の補償に伴う制御負荷の増大を抑制することができる。
【0136】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0137】
実施形態では、太陽電池装置310及び燃料電池装置330が設けられている。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。分散電源として、太陽電池装置310及び燃料電池装置330が設けられておらず、蓄電池装置320が設けられていてもよい。
【0138】
実施形態では、第1処理又は第2処理を適用する分散電源として蓄電池装置320を例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1処理又は第2処理を適用する分散電源は燃料電池装置330であってもよい。このようなケースにおいて、燃料電池装置330は、目標値(第1目標値又は第2目標値)によって需要電力を補正した上で負荷追従処理を行ってもよい。
【0139】
実施形態では、第2処理が電力管理サーバ200によって蓄電池装置320を遠隔で制御する処理であるケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第2処理は、蓄電池装置320又はローカル制御装置360が自律的に実行する処理であってもよい。このようなケースにおいて、蓄電池装置320又はローカル制御装置360は、電力管理サーバ200から通知された第2目標値を用いて蓄電池装置320の出力を制御する。電力管理サーバ200は、デマンドレスポンスの発動に応じて、デマンドレスポンス期間の開始前に又はデマンドレスポンス期間中に第2目標値を蓄電池装置320又はローカル制御装置360に通知してもよい。蓄電池装置320又はローカル制御装置360は、図7に示すフィードバック処理を行ってもよい。
【0140】
実施形態では、第2処理のフィードバック処理において、各施設300で削減電力の不足及び超過を吸収するケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。1つの施設300で削減電力の不足及び超過を吸収できない場合には、第2施設として選択された施設300の全体として削減電力の不足及び超過を吸収するように第2処理が行われてもよい。
【0141】
実施形態では、デマンドレスポンス期間を開始する前に、第1施設及び第2施設を選択する処理が行われるケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1施設及び第2施設を選択する処理は、デマンドレスポンス期間を対象として行われればよい。従って、デマンドレスポンス期間中において、第1施設及び第2施設を選択する処理が行われてもよい。このようなケースにおいて、デマンドレスポンス期間におけるリアルタイムの需要電力の絶対量又は変動量に基づいて第1施設及び第2施設を選択する処理が行われてもよい。さらに、デマンドレスポンス期間において削減電力の不足量及び超過量が計算され、計算された不足量及び超過量に基づいて第1施設及び第2施設を選択する処理が行われてもよい。
【0142】
実施形態では、ベースライン電力及び直前需要電力を使い分けているが、直前需要電力をベースライン電力で読み替えてもよく、ベースライン電力を直前需要電力で読み替えてもよい。
【0143】
実施形態では特に触れていないが、蓄電池装置320は、施設300に設けられる電力線に固定的に接続される蓄電池装置であってもよく、施設300に設けられる電力線に着脱可能に接続される蓄電池装置であってもよい。施設300に設けられる電力線に着脱可能に接続される蓄電池装置としては、電動車両に設けられる蓄電池装置が考えられる。
【0144】
実施形態では特に触れていないが、施設300に設けられるローカル制御装置360は、必ずしも施設300内に設けられていなくてもよい。例えば、ローカル制御装置360の機能の一部は、インターネット上に設けられるクラウドサーバによって提供されてもよい。すなわち、ローカル制御装置360がクラウドサーバを含むと考えてもよい。
【0145】
実施形態では、第1プロトコルがOpen ADR2.0に準拠するプロトコルであり、第2プロトコルがECHONET Liteに準拠するプロトコルであるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1プロトコルは、電力管理サーバ200とローカル制御装置360との間の通信で用いるプロトコルとして規格化されたプロトコルであればよい。第2プロトコルは、施設300で用いるプロトコルとして規格化されたプロトコルであればよい。
【0146】
なお、日本国特許出願第2017−228874号(2017年11月29日出願)及び日本国特許出願第2018−077153号(2018年4月12日出願)の全内容が、参照により本願明細書に組み込まれている。
図1
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