特許第6929031号(P6929031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929031
(24)【登録日】2021年8月12日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】タービンブレード用ダンパピン
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/10 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
   F01D5/10
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-162310(P2016-162310)
(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公開番号】特開2017-53349(P2017-53349A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2019年8月18日
(31)【優先権主張番号】14/844,306
(32)【優先日】2015年9月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー・エイ・カレフ
(72)【発明者】
【氏名】シェオ・ナレイン・ギリ
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03266770(US,A)
【文献】 特開2006−214367(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0237348(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0079529(US,A1)
【文献】 特開2011−252468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/10
F01D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ軸(24)に結合された隣接するタービンブレードの制振のためのダンパピン(100)であって、
第1の端部(106)と第2の端部(108)との間に配置された中央部(104)を有する細長い本体(102)であって、前記第1の端部(106)、前記中央部(104)、及び前記第2の端部(108)は、前記細長い本体の略弓形上部(110)を定め、前記上部(110)の少なくとも一部は、前記隣接するタービンブレード(28)の間に定められた溝(48)の内面と接触するように構成された、細長い本体(102)と、
記第1の端部(106)から前記中央部(104)へ延びる、前記細長い本体(102)の第1の平坦な低面(114a)と、
記第2の端部(108)から前記中央部(104)へ延びる、前記細長い本体(102)の第2の平坦な低面(114b)と、
を備え、
前記第1の端部(106)及び前記第2の端部(108)は、略半円筒形断面形状を有し、前記中央部(104)は円筒形断面形状を有し、
前記第1の端部(106)と前記中央部(104)の間の前記中央部(104)に近い位置で前記ダンパピンは、中心角が180度よりも大きい略弓形断面形状を有し、
前記第2の端部(108)と前記中央部(104)の間で前記中央部(104)に近い位置で前記ダンパピンは、中心角が180度よりも大きい略弓形断面形状を有し、
前記第1の平坦な低面(114a)と前記第2の平坦な低面(114b)とは、前記細長い本体(102)の前記中央部(104)で接する、ダンパピン(100)。
【請求項2】
ロータ軸に結合された隣接するタービンブレード(28)の制振のためのダンパピン(100)であって、
前記ダンパピン(100)は、軸方向と該軸方向に垂直な半径方向を画定し、
前記ダンパピン(100)は、
第1の端部(106)と第2の端部(108)との間に配置された中央部(104)を有する細長い本体(102)であって、前記第1の端部(106)、前記中央部(104)、及び第2の端部(108)は、前記細長い本体の略弓形上部(110)を定め、前記上部(110)の少なくとも一部は、前記隣接するタービンブレード(28)の間に定められた溝(48)の内面と接触するように構成された、細長い本体(102)を備え、
前記第1の端部(106)及び前記第2の端部(108)は、円筒形断面形状を有し、前記中央部(104)は略半円筒形断面形状を有し、
前記細長い本体の底部(114)は、前記第1の端部(106)から前記中央部(104)まで及び前記第2の端部(108)から前記中央部(104)まで、前記細長い本体(102)の軸方向中央線に対して半径方向内向きに収束し、
前記第1の端部(106)と前記中央部(104)の間の前記中央部(104)に近い位置で前記ダンパピンは、中心角が180度よりも大きい略弓形断面形状を有し、
前記第2の端部(108)と前記中央部(104)の間の前記中央部(104)に近い位置で前記ダンパピンは、中心角が180度よりも大きい略弓形断面形状を有する、ダンパピン(100)。
【請求項3】
前記細長い本体(102)の前記第1及び第2の端部(106、108)は、軸方向に沿って離れており、前記ダンパピン(100)はさらに、前記軸方向に対して垂直な横方向に延びる少なくとも1つの開口部(122)を備える、請求項1に記載のダンパピン(100)。
【請求項4】
前記軸方向に対して垂直な横方向に延びる少なくとも1つの開口部(122)を備える、請求項2に記載のダンパピン(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口部(122)は、前記細長い本体(102)の横方向に対向する側壁を貫通して延びる、請求項3または4に記載のダンパピン(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口部(122)は、前記細長い本体(102)の前記中央部(104)に近接して定められる、請求項3乃至5のいずれかに記載のダンパピン(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開口部(122)は、記細長い本体(102)の前記第1の端部(106)に近接して定められる、請求項3乃至6のいずれかに記載のダンパピン(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開口部(122)は、記細長い本体(102)の前記第2の端部(108)に近接して定められる、請求項3乃至7のいずれかに記載のダンパピン(100)。
【請求項9】
タービンエンジンであって、
上記タービンエンジンの中で軸方向に延びるロータ軸と、
上記ロータ軸に結合された隣接する組のタービンブレード(28)であって、上記タービンブレードの各々は、上記対応するタービンブレードのスラッシュ面に沿って延びる溝を少なくとも部分的に定める、隣接する組のタービンブレードと、
請求項1乃至8のいずれかに記載のダンパピン(100)と、
を備える、タービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、複数の周方向に位置合わせされたタービンブレードを有するターボ機械に関する。より具体的には、本発明は、隣接するタービンブレード間の制振をもたらすための、不連続な断面形状を有するダンパピンに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンブレードは、タービンバケット又はタービンロータブレードとして知られ、高温燃焼ガス又は蒸気などの流体の流れのエネルギーをターボ機械のロータ軸を回転させることにより機械的エネルギーに変換する。ターボ機械が各種運転モードを遷移する際に、タービンブレードは機械的及び熱応力の両方にさらされる。
【0003】
タービンブレードは、一般的に、プラットフォームから半径方向外向きに延びる翼形部、プラットフォームから半径方向内向きに延びるシャンク、及びシャンクから半径方向内向きに延びるダブテールつまり取り付け部を含む。各タービンブレードのダブテールは、ロータホイールつまりディスクに定められた相補形スロット内に固定される。ロータホイールは、ロータ軸に結合される。
【0004】
エンジンの運転の間、タービンブレードに振動が発生する場合がある。例えば、高温燃焼ガス又は蒸気の流れの変動が、タービンブレードを振動させることがある。ターボ機械設計者が考慮すべき基本的設計事項の一つは、タービンブレードの固有周波数での共振及び強制応答及び/又は空力弾性不安定性によって引き起こされる動的応力を回避又は最小化することにより、タービンブレードの高サイクル疲労を制御することである。タービンブレードの高サイクル疲労寿命を改善するために、一般的に、プラットフォームの下及び/又は間に制振ダンパを設けて振動エネルギーを、摩擦により散逸させ、運転中の対応する振動の振幅を低減させる。制振ダンパにより除去される振動エネルギーの量は、制振ダンパの動的重量と反動荷重との関数である。
【0005】
公知のダンパは、通常の運転に対しては、十分適切であるものの、ダンパの全体的有効性を改善したいという要望がある。振動の減衰を達成するための従来の試みには、円形ダンパピン、金属薄板平型ダンパ、或いは複合楔形ダンパなどがあった。上記の形式のダンパの真の減衰性能は、最初のエンジン試験までわからないことが多い。しかしながら、その時は、タービンブレードのダンパポケット幾何学的形状は、激しい仕上げ作業によって閉じ込められてしまう。そのため、ダンパが初期の性能を発揮しない場合、費用のかかる仕上げ作業のやり直しが必要になる。従って、共振モードの励起を回避するための固有周波数調整ツールを提供し、かつ既存のタービンブレードの設計に対する変更を必要とせずに独立したモード調整機能を可能にするダンパピンに対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7731482号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様及び利点は、以下の説明において記載され、又は本説明から明らかになることができ、或いは、本発明を実施することによって理解することができる。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、ロータ軸に結合された隣接するタービンブレードを制振するためのダンパピンである。ダンパピンは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部を有する細長い本体を含む。第1の端部、中央部及び第2の端部は、細長い本体の略弓形上部を少なくとも部分的に定める。上部の少なくとも一部は、隣接するタービンブレードの間に定められた溝に接触するように構成することができる。第1の端部及び第2の端部は略半円筒形断面形状を有し、中央部は円筒形断面形状を有する。細長い本体の底部は、第1の端部から中央部に向かって及び第2の端部から中央部に向かって、半径方向外向きに広がる。
【0009】
別の実施形態は、ロータ軸に結合された隣接するタービンブレードの制振のためのダンパピンを含む。ダンパピンは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部を有する細長い本体を含む。第1の端部、中央部及び第2の端部は、細長い本体の略弓形上部を少なくとも部分的に定める。上部の少なくとも一部は、隣接するタービンブレードの間に定められた溝に接触するように構成される。第1の端部及び第2の端部は円筒形断面形状を有し、中央部は略半円筒形断面形状を有する。細長い本体の底部は、第1の端部から中央部に向かって及び第2の端部から中央部に向かって、半径方向内向きに収束する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、タービンエンジンである。タービンエンジンは、タービンエンジン内に軸方向に延びるロータ軸と、ロータ軸に結合された隣接する対のタービンブレードとを含む。各タービンブレードは、対応するタービンブレードのスラッシュ面に沿って延びる溝を少なくとも部分的に定める。タービンエンジンは、隣接するブレードの間の溝に配置されたダンパピンをさらに含む。ダンパピンは、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部を有する細長い本体を含む。第1の端部、中央部及び第2の端部は、細長い本体の略弓形上部を少なくとも部分的に定める。上部の少なくとも一部は、隣接するタービンブレードの間に定められた溝に接触するように構成される。第1の端部及び第2の端部は略半円筒形断面形状を有し、中央部は円筒形断面形状を有する。細長い本体の底部は、第1の端部から中央部に向かって及び第2の端部から中央部に向かって、半径方向外向きに広がる。
【0011】
当業者であれば、本明細書を検討することにより、上記実施形態の特徴及び態様、及び他の特徴及び態様をよりよく理解できる。
【0012】
添付図の参照を含む本明細書の残りの部分において、当業者に対してなしたその最良の形態を含む本発明の完全且つ有効な開示をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の少なくとも1つの実施形態を組み込むことができる例示的なガスタービンの機能図。
図2】本発明の少なくとも1つの実施形態による例示的なタービンブレードの斜視図。
図3】本発明の少なくとも1つの実施形態による周方向に隣接するタービンブレードの間に配置されたダンパピンの概略図。
図4】本発明の1つの実施形態による例示的なダンパピンの側面図。
図5図4に示したダンパピンの断面線5−5に沿った断面端面図。
図6図4に示したダンパピンの断面線6−6に沿った断面端面図。
図7図4に示したダンパピンの断面線7−7に沿った断面端面図。
図8】本発明の1つの実施形態による図4に示した例示的なダンパピンの側面図。
図9】本発明の1つの実施形態による例示的なダンパピンの側面図。
図10図9に示したダンパピンの断面線10−10に沿った断面端面図。
図11図9に示したダンパピンの断面線11−11に沿った断面端面図。
図12図9に示したダンパピンの断面線12−12に沿った断面端面図。
図13】本発明の1つの実施形態による図9に示した例示的なダンパピンの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、その1つ又はそれ以上の実施例が添付図面に例示されている本発明の実施形態について詳細に説明する。詳細な説明では、図面中の特徴部を示すために参照符号及び文字表示を使用している。本発明の同様の又は類似の要素を示すために、図面及び説明において同様の又は類似の記号表示を使用している。本明細書で使用される用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために同義的に用いることができ、個々の構成要素の位置又は重要性を意味することを意図したものではない。
【0015】
用語「上流」及び「下流」は、流体経路における流体流れに関する相対的方向を指す。例えば、「上流」は、流体がそこから流れる方向を指し、「下流」は流体がそこに向けて流れ込む方向を指す。用語「半径方向」は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対方向を指し、用語「軸方向」は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行な及び/又は同軸に整列された相対方向を指す。
【0016】
各実施例は、説明の目的で提供され、本開示の実施形態を限定するものではない。実際に、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、修正形態及び変形形態を本発明において実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。本明細書では産業用又は地上設置型のガスタービンが図示され説明されたが、本明細書で図示され説明される本発明は、請求項において特に指定のない限り、産業用又は地上設置型のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に説明する発明は、蒸気タービン、航空機用ガスタービン及び船舶用ガスタービン等を含むがこれらに限定されない、あらゆる形式のターボ機械において用いることができる。
【0017】
ここで図面を参照すると、図1は、ガスタービン10の1つの実施形態の概略図である。ガスタービン10は、一般的に入口セクション12、入口セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14、圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼器セクション16内の複数の燃焼器(図示せず)、燃焼器セクション16の下流に配置されたタービンセクション18、及びタービンセクション18の下流に配置された排気セクション20を含む。さらに、ガスタービン10は、圧縮機セクション14とタービンセクション18との間に結合された1又は2以上の軸22を含む場合がある。
【0018】
タービンセクション18は、一般的に複数のロータディスク26(その内1つを示す)を有するロータ軸24と、ロータディスク26から半径方向外向きに延びかつロータディスク26に相互結合された複数のロータブレード28とを含む。次に各ロータディスク26は、タービンセクション18を通って延びるロータ軸24の一部に結合することができる。タービンセクション18は、ロータ軸24とロータブレード28とを周方向に囲み、それによりタービンセクション18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に定める、外側ケーシング30をさらに含む。
【0019】
運転中、空気等の作動流体は、入口セクション12を通って圧縮機セクション14に流れ込み、そこで空気は漸次的に圧縮され、燃焼セクション16の燃焼器に対して加圧された空気を供給する。加圧された空気は、各燃焼器内で燃料と混合され、燃焼して燃焼ガス34を発生する。燃焼ガス34は、燃焼器セクション16からタービンセクション18に向かって高温ガス経路32を通って流れ、(運動及び/又は熱)エネルギーが、燃焼ガス34からロータブレード28に移転することにより、ロータ軸24を回転させる。そして機械的回転エネルギーは、圧縮機セクション14の動力及び/又は発電に用いることができる。次いでタービンセクション18から出る燃焼ガス34は、排気セクション20を介してガスタービン10から排出される。
【0020】
図2は、翼形部36、プラットフォーム38、シャンク40、及びダブテールつまり取り付け部42を含む従来型タービンブレードつまりバケット28を示す。図3は、1組の周方向に隣接するタービンブレード28(a)、28(b)を下流からみた図である。図2に示すように、本技術分野では公知の通り、ダブテール42を用いてタービンブレード28をロータディスク26(図1)の周縁に固定する。プラットフォーム38は、タービンセクション18(図1)の高温ガス経路32を通って流れる燃焼ガス34に対する内側の流れ境界を定める。本発明の種々の実施形態において、ダンパピン44は、タービンブレードプラットフォーム38に隣接する(つまり半径方向内側)の1つの軸方向縁部(つまりスラッシュ面)46に沿って配置される。図3から明らかなように、ロータディスク26(図1)のタービンブレード28(a)、28(b)の各隣接する組の間に類似のダンパピン44が配置される。特定の実施形態において、図2に示すように、ダンパピン44は、タービンブレード28のスラッシュ面46全体に沿って延びる細長い溝48(図2)に配置される。
【0021】
ダンパピン44は、制振ダンパとして機能する。図3に示すように、組み込まれると、ダンパピン44は、隣接するタービンブレード28(a)、28(b)の間に配置される。運転中は、ダンパピン44は、振動エネルギーを摩擦により散逸させ、対応する振動の振幅を低減する。制振ダンパにより除去される振動エネルギーの量は、限定されるものではないが、ダンパピン44の動的重量、ダンパピン44の幾何学的形状、及び隣接するタービンブレード(a)、28(b)の間の反動荷重を含む、幾つかの因子の関数である。
【0022】
図4は、本発明の1つの実施形態による例示的なダンパピン100の側面図を提示する。図5は、図4に示したダンパピンの断面線5−5に沿った断面端面図である。図6は、図4に示したダンパピンの断面線6−6に沿った断面端面図である。図7は、図4に示したダンパピンの断面線7−7に沿った断面端面図である。図8は、本発明の1つの実施形態による、図4に示した例示的なダンパピンの側面図である。図4から図8に示すダンパピン100は、図2及び図3に示すダンパピン44と置き換えることができることを理解されたい。
【0023】
図4に示すように、1つの実施形態において、ダンパピン100は、第1の端部106と第2の端部108との間に配置された中央部104を有する細長い本体102を含む。図4に示すように、第1の端部106、中央部104、及び第2の端部108は、細長い本体102の略弓形上部又は表面110を定める。細長い本体102の上部110は、隣接するタービンブレード28(a)、28(b)の間に定められた溝48の内面と接触するように構成する(寸法決めする及び/又は形作る)ことができる。
【0024】
図5に示すように、第1の端部106は、略半円筒形断面形状を有する。図6に示すように、中央部104は、円筒形断面形状を有する。図7に示すように、第2の端部108は、略半円筒形断面形状を有する。第1の端部106及び第2の端部108の半円筒形状は、タービンブレードスラッシュ面46内に形成された溝48の両端において機械加工されたタービンブレードプラットフォーム面つまり肩部に載るようになっている支持表面112(a)(図5)、112(b)(図7)を形成し、それにより機械の運転中に望ましくない過度の回転を防止しながら、ダンパピン100の支持を可能にする。
【0025】
図4に示すように、細長い本体102の第1の底部つまり表面114(a)は、第1の端部106から中央部104まで細長い本体102の軸方向中心線116に対して半径方向外向きに広がる。細長い本体102の第2の底部つまり表面114(b)は、第2の端部108から中央部104まで細長い本体102の軸方向中心線116に対して半径方向外向きに広がる。図6に示すように、細長い本体102は、第2の側部120に横方向に対向する第1の側部118をさらに含む。
【0026】
特定の実施形態において、図8に示すように、細長い本体102は、少なくとも1つの横方向に延びる開口部122を定める。少なくとも1つの実施形態において、細長い本体102は、複数の横方向に延びる開口部122(a)、122(b)、122(c)を定める。3つの開口部は、略弓形又は丸い形状を有するように示されるが、細長い本体102は、任意の形状を有し、細長い本体102に沿って任意の位置に配置された、任意の数の開口部を定めることができることを理解されたい。
【0027】
開口部122は、細長い本体102の横方向に対向する側部118、120を貫通して延びる。1つの実施形態において、少なくとも1つの開口部122(a)は、細長い本体102の中央部104に近接して定められる。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの開口部122(b)は、細長い本体102の第1の端部106に近接して定められる。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの開口部122(c)は、細長い本体102の第2の端部108に近接して定められる。開口部122は、ダンパピン200の質量を低減しながら、隣接するタービンブレード28(a)、28(b)に対する所望の全体的剛性又は制振効果をもたらすことができる。
【0028】
図9は、本発明の1つの実施形態による、例示的なダンパピン200の側面図である。図10は、図9に示したダンパピン200の断面線10−10に沿った断面端面図である。図11は、図9に示したダンパピン200の断面線11−11に沿った断面端面図である。図12は、図9に示したダンパピン200の断面線12−12に沿った断面端面図である。図13は、本発明の1つの実施形態による、図9に示したダンパピン200の側面図である。図9から図13に示すダンパピン200は、図2及び図3に示すダンパピン44と置き換えることができることを理解されたい。
【0029】
1つの実施形態において、図9に示すように、ダンパピン200は、第1の端部206と第2の端部208との間に配置された中央部204を有する細長い本体202を含む。図9に示すように、第1の端部206、中央部204、及び第2の端部208は、細長い本体202の略弓形上部又は表面210を定める。細長い本体202の上部210は、隣接するタービンブレード28(a)、28(b)の間に定められた溝48の表面と接触するように構成する(寸法決めする及び/又は形作る)ことができる。
【0030】
図10に示すように、第1の端部206は、円筒形断面形状を有する。図6に示すように、中央部204は、略半円筒形断面形状を有する。図7に示すように、第2の端部208は、円筒形断面形状を有する。
【0031】
図9に示すように、細長い本体202の第1の底部214(a)は、第1の端部206から中央部204まで細長い本体202の軸方向中心線216に対して半径方向内向きに広がる。細長い本体202の第2の底部214(b)は、第2の端部208から中央部204まで細長い本体202の軸方向中心線216に対して半径方向内向きに広がる。図10から図12に示すように、細長い本体202は、第2の側部220に横方向に対向する第1の側部218をさらに含む。
【0032】
特定の実施形態において、図13に示すように、細長い本体202は、少なくとも1つの横方向に延びる開口部222を定める。少なくとも1つの実施形態において、細長い本体202は、複数の横方向に延びる開口部222(a)、222(b)を定める。2つの開口部122は、略弓形又は丸い形状を有するように示されるが、細長い本体102は、任意の形状を有し、細長い本体202に沿って任意の位置に配置された、任意の数の開口部を定めることができることを理解されたい。
【0033】
開口部222は、細長い本体202の横方向に対向する側部218、220を貫通して延びる。1つの実施形態において、少なくとも1つの開口部222(a)は、細長い本体202の第1の端部206に近接して定められる。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの開口部222(b)は、細長い本体202の第2の端部206に近接して定められる。開口部222は、ダンパピン200の質量を低減しながら、隣接するタービンブレード28(a)、28(b)に対する所望の全体的剛性又は制振効果をもたらすことができる。
【0034】
本明細書は、開示される主題の実施例を用いて、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本開示の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【0035】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
ロータ軸に結合された隣接するタービンブレードの制振のためのダンパピンであって、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部を有する細長い本体であって、上記第1の端部、上記中央部、及び上記第2の端部は、上記細長い本体の略弓形上部を定め、上記上部の少なくとも一部は、上記隣接するタービンブレードの間に定められた溝と接触するように構成された、細長い本体、
を備え、
上記第1の端部及び上記第2の端部は、略半円筒形断面形状を有し、上記中央部は円筒形断面形状を有し、
上記細長い本体の底部は、上記第1の端部から上記中央部まで及び上記第2の端部から上記中央部まで、半径方向外向きに広がる、ダンパピン。
[実施態様2]
上記細長い本体は、少なくとも1つの横方向に延びる開口部を定める、実施態様1に記載のダンパピン。
[実施態様3]
上記開口部は、上記細長い本体の横方向に対向する側壁を貫通して延びる、実施態様2に記載のダンパピン。
[実施態様4]
上記開口部は、上記細長い本体の上記中央部に近接して定められる、実施態様2に記載のダンパピン。
[実施態様5]
上記開口部は、上記細長い本体の上記第1の端部に近接して定められる、実施態様2に記載のダンパピン。
[実施態様6]
上記開口部は、上記細長い本体の上記第2の端部に近接して定められる、実施態様2に記載のダンパピン。
[実施態様7]
上記細長い本体は、複数の横方向に延びる開口部を定める、実施態様1に記載のダンパピン。
[実施態様8]
ロータ軸に結合された隣接するタービンブレードの制振のためのダンパピンであって、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部を有する細長い本体であって、上記第1の端部、上記中央部、及び第2の端部は、上記細長い本体の略弓形上部を定め、上記上部の少なくとも一部は、上記隣接するタービンブレードの間に定められた溝と接触するように構成された、細長い本体を備え、
上記第1の端部及び上記第2の端部は、円筒形断面形状を有し、上記中央部は略半円筒形断面形状を有し、
上記細長い本体の底部は、上記第1の端部から上記中央部まで及び上記第2の端部から上記中央部まで、半径方向内向きに収束する、ダンパピン。
[実施態様9]
上記細長い本体は、少なくとも1つの横方向に延びる開口部を定める、実施態様8に記載のダンパピン。
[実施態様10]
上記開口部は、上記細長い本体の横方向に対向する側壁を貫通して延びる、実施態様9に記載のダンパピン。
[実施態様11]
上記開口部は、上記細長い本体の上記中央部に近接して定められる、実施態様9に記載のダンパピン。
[実施態様12]
上記開口部は、記細長い本体の上記第1の端部に近接して定められる、実施態様9に記載のダンパピン。
[実施態様13]
上記開口部は、記細長い本体の上記第2の端部に近接して定められる、実施態様9に記載のダンパピン。
[実施態様14]
上記細長い本体は、複数の横方向に延びる開口部を定める、実施態様8に記載のダンパピン。
[実施態様15]
タービンエンジンであって、
上記タービンエンジンの中で軸方向に延びるロータ軸と、
上記ロータ軸に結合された隣接する組のタービンブレード(28)であって、上記タービンブレードの各々は、上記対応するタービンブレードのスラッシュ面に沿って延びる溝を少なくとも部分的に定める、隣接する組のタービンブレードと、
上記溝内に配置されたダンパピンと、
を備え、上記ダンパピンは、
第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部を有する細長い本体であって、上記第1の端部、上記中央部、及び上記第2の端部は、上記細長い本体の略弓形上部を定め、上記上部の少なくとも一部は、上記隣接するタービンブレードの間に定められた溝と接触するように構成された、細長い本体、
を備え、
上記第1の端部及び上記第2の端部は、略半円筒形断面形状を有し、上記中央部は円筒形断面形状を有し、
上記細長い本体の底部は、上記第1の端部から上記中央部まで及び上記第2の端部から上記中央部まで、半径方向外向きに広がる、タービンエンジン。
[実施態様16]
上記細長い本体は、少なくとも1つの横方向に延びる開口部を定める、実施態様15に記載のタービンエンジン。
[実施態様17]
上記開口部は、上記細長い本体の横方向に対向する側壁を貫通して延びる、実施態様16に記載のタービンエンジン。
[実施態様18]
上記開口部は、上記細長い本体の上記中央部に近接して定められる、実施態様16に記載のタービンエンジン。
[実施態様19]
上記開口部は、上記細長い本体の上記第1の端部又は上記第2の端部の一方に近接して定められる、実施態様16に記載のタービンエンジン。
[実施態様20]
上記細長い本体は、複数の横方向に延びる開口部を定める、実施態様15に記載のタービンエンジン。
【符号の説明】
【0036】
10:ガスタービン
12:入口セクション
14:圧縮機セクション
16:燃焼セクション
18:タービンセクション
20:排気セクション
22:軸
24:ロータ軸
26:ロータディスク
28:ロータブレード
30:外側ケーシング
32:高温ガス経路
34:高温ガス
36:翼形部
38:基部/プラットフォーム
40:シャンク
42:ダブテール
44:ダンパピン
46:軸方向縁/スラッシュ面
48:溝
100:ダンパピン
102:細長い本体
104:中央部
106:第1の端部
108:第2の端部
110:上部/表面
112(a):支持表面
112(b):支持表面
114(a):第1の底部
114(b):第2の底部
116:中心線
118:第1の側部
120:第2の側部
122:開口部
122(a):開口部
122(b):開口部
122(c):開口部
200:ダンパピン
202:細長い本体
204:中央部
206:第1の端部
208:第2の端部
210:上部/表面
212(a):支持表面
212(b):支持表面
214(a):第1の底部
214(b):第2の底部
216:中心線
218:第1の側部
220:第2の側部
222:開口部
222(a):開口部
222(b):開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13