(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する空気圧縮装置および付着物除去装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下では、付着物除去装置が、車両に搭載され、車両の周辺を撮像するカメラに付着した付着物を除去する装置である場合を例にとって説明を行う。
【0013】
また、以下では、本実施形態に係る付着物除去装置1の構成の概要について
図1A〜
図1Fを用いて説明した後に、本実施形態に係る付着物除去装置1のより具体的な構成について、
図2A以降を用いて説明する。
【0014】
図1Aは、本実施形態に係る付着物除去装置1の斜視透視図である。また、
図1Bは、空気圧縮部10の構成を示す斜視透視図である。また、
図1Cは、空気圧縮部10の動作説明図である。また、
図1Dは、隙間発生箇所の説明図である。また、
図1Eは、本実施形態に係るシール部材21の概略説明図であり、
図1Fは、本実施形態に係るシール部材22の概略説明図である。
【0015】
図1Aに示すように、付着物除去装置1は、出力部5と、空気圧縮部10とを備える。空気圧縮部10は、空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成された圧縮空気を出力部5を介して車両用のカメラ50へ噴出することで、たとえばカメラ50のレンズに付着した雨滴等の付着物を除去する。
【0016】
なお、ここでは、付着物除去装置1によって付着物が除去される対象をカメラ50とするが、これに限定されるものではない。
【0017】
すなわち、たとえばレンズを介して映像を取得したり、車両周辺の物標の情報などを取得したりする光学センサであればよい。具体的には、たとえば車両周辺の物標を検出するレーダ装置など種々の光学センサを対象とすることができる。なお、後述するが、本実施形態に係る空気圧縮部10は、小型、軽量および安価に構成することが可能である。したがって、設置スペースが狭小で、かつ、コストも嵩みがちであり、光学センサも多数搭載される車両用の装置への適用が好適である。
【0018】
空気圧縮部10は、回転式の空気圧縮機構である。具体的には、空気圧縮部10は、
図1Bに示すように、シリンダ11と、回転部12とを備える。シリンダ11は、シリンダ壁11aと、連通口11bと、流路部11cとを備える。
【0019】
シリンダ11は、たとえば円筒状に形成され、内部にシリンダ室が形成されている。シリンダ壁11aは、たとえば平板状に形成され、回転軸axRを中心に点対称となる位置で、円筒状のシリンダ室をほぼ径方向に沿って仕切るように設けられる。したがって、シリンダ11内は、シリンダ壁11aによって2つのシリンダ室に区画されることとなる。
【0020】
連通口11bは、2つのシリンダ室のシリンダ壁11a付近の天井部に、回転軸axRを中心に点対称となる位置に開口されている。後述する回転部12の回転に基づいて生成された圧縮空気は、かかる連通口11bを介してシリンダ室から出力される。
【0021】
流路部11cは、連通口11bのそれぞれに接続され、回転軸axRを中心に点対称となるような形状に形成されている。また、流路部11cは、回転軸axRの軸線上において出力部5に接続されている。連通口11bを介してシリンダ室から出力される圧縮空気は、かかる流路部11cを介して出力部5へ誘導され(図中の矢印101参照)、出力部5を介してカメラ50へ噴射されることとなる。
【0022】
回転部12は、羽根部12aと、回転ベース12bと、シャフト部12cとを備える。回転ベース12bは、円形の平板状に形成され、回転軸axRまわりに回転可能に設けられている。また、回転ベース12bは、モータ(図示略)が接続されている。
【0023】
なお、モータによって駆動されない自由状態においては、回転ベース12bは、モータの回転方向とは逆方向にばね部材(図示略)によって付勢されている。シャフト部12cは、回転軸axRまわりの回転におけるシャフト部分である。
【0024】
羽根部12aは、平板状に形成され、回転ベース12bを径方向に沿って仕切るように立設される。かかる回転部12が、シリンダ11に係合されて、シリンダ室内で回転することによって、圧縮空気が生成される。
【0025】
具体的には、
図1Cに示すように、空気圧縮部10では、まず、前述のモータによって駆動されない自由状態においては、羽根部12aがばね部材の「ばね力」によって付勢されて、シリンダ壁11aに押し付けられた状態となっている。
【0026】
かかる状態から「モータによる駆動力」によって羽根部12aがシリンダ壁11aから離間する方向へ回転すると、離間して生じた羽根部12aとシリンダ壁11aとの間に空気が「吸気」される。なお、図示していないが、空気の取込口は、前述の連通口11bのほぼ下方のシリンダ11の外壁に開口されている。
【0027】
そして、羽根部12aが所定位置まで回転すると、モータの駆動力は解除される。すると、モータの駆動力から解放された羽根部12aは、ばね部材の「ばね力」によってシリンダ壁11aと当接した状態に戻る。このとき、「吸気」されていた空気が圧縮されて連通口11bから高圧状態で「排気」される。
【0028】
なお、車両などに搭載される場合、小型、軽量かつ安価であることが求められることから、シリンダ11および回転部12は、樹脂等で形成されることが好ましい。
【0029】
ただし、樹脂等で形成された場合、形成の際の寸法のばらつきや取り付けの際のばらつきによって、また、シリンダ11が固定部品および回転部12が可動部品である都合上、シリンダ11および回転部12の間には隙間が生じうる。
【0030】
隙間が発生しうる箇所は、たとえば、
図1Dに破線領域R1で示すように、上方向での、シリンダ11のシリンダ室天井部と羽根部12aとの間である。また、たとえば、破線領域R2で示すように、径方向外向きでの、シリンダ11の内周側壁と羽根部12aとの間である。また、たとえば、破線領域R3で示すように、下方向での、シリンダ11と回転ベース12bとの間である。
【0031】
また、他の隙間が発生しうる箇所として、たとえば、破線領域R4で示すように、径方向内向きでの、シリンダ壁11aとシャフト部12cとの間である。また、たとえば、破線領域R5で示すように、下方向での、シリンダ壁11aと回転ベース12bとの間である。これら箇所は、シリンダ11および回転部12がシリンダ11内で互いに接触する部位の方向に対応する。破線領域R1〜R5からも分かるように、かかる方向は多方向である。
【0032】
そこで、本実施形態では、シリンダ11および回転部12が互いに接触する部位の方向に対し、同時に少なくとも2方向へ向けて付勢されることによって付勢先の部位をシールするシール部材をシリンダ11および回転部12に設けることとした。
【0033】
具体的には、
図1Eに示すように、回転部12の羽根部12aに対しては、羽根部12aの平面方向に沿ったスリット12aaを形成し、かかるスリット12aaへ平板状のシール部材21を挿入することとした。シール部材21は、スリット12aaに対しては、スペーサとして機能することになる。
【0034】
そして、後ほど詳述するが、シール部材21は、回転部12の回転時に羽根部12aがシリンダ11に接触しつつ相対移動する部位の方向、すなわち、スリット12aaの開口方向に付勢可能な形状に形成されている。スリット12aaの開口方向は、前述の破線領域R1,R2に対応する方向である。
【0035】
また、
図1Fに示すように、シリンダ11のシリンダ壁11aに対しては、シリンダ壁11aの平面方向に沿ったスリット11aaを形成し、かかるスリット11aaへ平板状のシール部材22を挿入することとした。シール部材22は、スリット11aaに対しては、スペーサとして機能することになる。
【0036】
そして、こちらも後ほど詳述するが、シール部材22は、回転部12の回転時にシリンダ壁11aが回転部12に接触しつつ相対移動する部位の方向、すなわち、スリット11aaの開口方向に付勢可能な形状に形成されている。スリット11aaの開口方向は、前述の破線領域R4,R5に対応する方向である。また、シール部材21,22は、いずれも樹脂により形成可能であり、したがって、付勢力は樹脂ばねによるものとなる。
【0037】
これにより、回転部12の回転時に、シリンダ11および回転部12のそれぞれにおいて、互いに接触しつつ相対移動する部位が、シール部材21,22の付勢力によってシールされることとなる。したがって、空気圧縮部10は、前述の破線領域R1,R2,R4,R5に構造上の隙間が生じていても、空気漏れを防ぐことができ、優れた空気圧縮性能を確保することができる。また、シール部材21,22は、スリット11aa,12aaに挿入される薄い部材であるので、シリンダ11および回転部12との接触時も摩擦が小さい。したがって、シールを行いつつも回転部12をスムースに回転動作させることができる。
【0038】
また、シール部材21,22は、樹脂で形成することができ、形状は、厚さが薄い略L字の平板形状であり、その両端において棒状の樹脂ばね(後述する付勢部21a,21b,22a,22bに対応)が平板とは隙間を空けて平板の内側へ折り返すようにして一体形成されている。これにより、1個で2方向に付勢できるので、安価に構成することができる。すなわち、低コストで、優れた空気圧縮性能を確保することができる。なお、破線領域R3に対するシール構造については、
図4A〜
図5Bを用いた説明で後述する。
【0039】
以下、本実施形態に係る付着物除去装置1のさらに具体的な構成について、
図2A以降を用いて順次説明する。
図2Aおよび
図2Bは、空気圧縮部10の縦断面図(その1)および(その2)である。また、
図2Cは、付勢部の変形例を示す図である。
【0040】
図2Aに示すように、回転部12に対しては、羽根部12aのそれぞれにシール部材21が設けられる。シール部材21は、羽根部12aの平面方向沿いに形成されたスリット12aaに挿入される。
【0041】
スリット12aaは、回転部12の回転時に羽根部12aがシリンダ11に接触しつつ相対移動する部位の方向が開口されており、シール部材21は、かかる開口方向に付勢可能な形状に形成されている。
【0042】
具体的には、シール部材21は、付勢部21a,21bを有する。付勢部21aは、図中の矢印201の方向、すなわち前述の破線領域R1に対応する方向に付勢可能な形状に形成された樹脂ばねである。
【0043】
また、付勢部21bは、図中の矢印202の方向、すなわち前述の破線領域R2に対応する方向に付勢可能な形状に形成された樹脂ばねである。より具体的には、付勢部21a,21bは、スリット12aaの内部形状に対応するように略L字の薄板形状に形成されたシール部材21の端部からそれぞれ延伸する棒状に形成されており、さらには、それぞれがスリット12aaの最奥部に突き当たりつつ、かつ、シール部材21本体とは隙間が空くように、内側へ折り曲げられた形状を有する。シール部材21は、これら付勢部21a,21bにより矢印201,202の方向に付勢され、さらにかかる付勢力の合力によって矢印203の方向にも付勢される。したがって、シール部材21は、シリンダ11のシリンダ室天井部の隅までも確実にシールすることができる。
【0044】
これにより、空気圧縮部10は、前述の破線領域R1,R2に対応する方向の空気漏れを防止することができる。したがって、優れた空気圧縮性能の確保に資することができる。
【0045】
また、
図2Bに示すように、シリンダ11に対しては、シリンダ壁11aのそれぞれにシール部材22が設けられる。シール部材22は、シリンダ壁11aの平面方向沿いに形成されたスリット11aaに挿入される。
【0046】
スリット11aaは、回転部12の回転時にシリンダ壁11aが回転部12に接触しつつ相対移動する部位の方向が開口されており、シール部材22は、かかる開口方向に付勢可能な形状に形成されている。
【0047】
具体的には、シール部材22は、付勢部22a,22bを有する。付勢部22aは、図中の矢印204の方向、すなわち前述の破線領域R4に対応する方向に付勢可能な形状に形成された樹脂ばねである。
【0048】
また、付勢部22bは、図中の矢印205の方向、すなわち前述の破線領域R5に対応する方向に付勢可能な形状に形成された樹脂ばねである。より具体的には、付勢部22a,22bは、スリット11aaの内部形状に対応するように略L字の薄板形状に形成されたシール部材22の端部からそれぞれ延伸する棒状に形成されており、さらには、それぞれがスリット11aaの最奥部に突き当たりつつ、かつ、シール部材22本体とは隙間が空くように、内側へ折り曲げられた形状を有する。シール部材22は、これら付勢部22a,22bにより矢印204,205の方向に付勢され、さらにかかる付勢力の合力によって矢印206の方向にも付勢される。したがって、シール部材22は、シャフト部12cの付け根までも確実にシールすることができる。
【0049】
これにより、空気圧縮部10は、前述の破線領域R4,R5に対応する方向の空気漏れを防止することができる。したがって、優れた空気圧縮性能の確保に資することができる。
【0050】
なお、
図2Aおよび
図2Bに示した各付勢部21a,21b,22a,22bの形状は、これに限定されるものではない。形成されるスリット11aa,12aaの形状に応じ、必要な方向への付勢が可能となるように適宜形成することが可能である。たとえば
図2Cに付勢部31として示すように、各付勢部21a,21b,22a,22bよりもさらに多段なばね形状としてもよい。
【0051】
ところで、前述の破線領域R1の隙間に対応するために、さらにシャフト部12cとシール部材21の間をオーバーラップさせてもよい。言い換えれば、シャフト部12cとシール部材21の間に架け渡す架け渡し部12dを設けてもよい。
【0052】
この点について
図3Aおよび
図3Bを用いて説明する。
図3Aおよび
図3Bは、架け渡し部12dの説明図(その1)および(その2)である。
図3Aに示すように、シャフト部12cとシール部材21の間とは、図中のM1部に対応する箇所である。
図3Bは、かかるM1部周辺の拡大図となっている。
【0053】
図3Bに示すように、本実施形態に係る空気圧縮部10は、シャフト部12cとシール部材21との間に架け渡し部12dを設けることができる。架け渡し部12dは、シャフト部12cに連接され、シャフト部12cと同じ高さでシール部材21へ向けて延伸し、距離αの位置までシール部材21に対し、重なるように設けられる。
【0054】
これにより、シール部材21が図中の矢印301の方向に付勢されることで、構造上、シャフト部12cとシール部材21の間に生じうる隙間をも防止することができる。したがって、優れた空気圧縮性能の確保に資することができる。
【0055】
次に、前述の破線領域R3に対するシール構造について、
図4A〜
図5Bを用いて説明する。
図4Aおよび
図4Bは、破線領域R3に対するシール構造の説明図(その1)および(その2)である。
図5Aおよび
図5Bは、変形例に係る破線領域R3に対するシール構造の説明図(その1)および(その2)である。
図4A〜
図5Bの説明は、概略的には、シリンダ11および回転部12が共有する底板として環状部材を備えるケースである。
【0056】
図4Aに示すように、破線領域R3に対するシール構造は、環状部材13を用いることによって構成することができる。具体的には、回転ベース12bをその外周部までシリンダ11の中に収めたうえで、シリンダ11および回転ベース12bに環状部材13を底板として設ければよい。
【0057】
これにより、環状部材13がない場合には、空気は、
図4BのM2部を通る矢印の方向で逃げていく可能性があったが、環状部材13を設けることで、
図4BのM3部を通る矢印に示すように、空気の逃げ道をラビリンス化し、空気漏れを起こりにくくすることができる。
【0058】
また、
図5Aに示すように、変形例として、回転部12を2ピース化して駆動ギヤ部12fを別体とし、環状部材13でなくシャフト穴付き平板14をシリンダ11および回転ベース12bの底板として設けてもよい。なお、かかる場合、駆動ギヤ部12fとシャフト部末端12eとは、たとえばDカット形状で嵌合されることが、位置決めおよび回り止めの観点から好ましい。なお、シャフト穴付き平板14もまた、環状部材の1種である。
【0059】
これにより、
図5Bで破線領域R6として示すシリンダ11および回転ベース12bの底のほぼ全域を覆うことができるので、より空気漏れを起こりにくくすることができる。
【0060】
次に、シール部材21のシリンダ11に対する接触形状のパターン例について、
図6A〜
図6Dを用いて説明する。
図6A〜
図6Dは、シール部材21のシリンダ11に対する接触形状のパターン例の説明図(その1)〜(その4)である。なお、ここでは、シール部材21を例に挙げるが、シール部材22の回転部12に対する接触形状についても同様の考え方を適用してよい。
【0061】
図6Aに示すように、羽根部12aへ設けられたシール部材21は、回転部12の回転時にシリンダ11の内周壁11dへ接触する。以下、接触箇所をM4部として示す。
【0062】
図6Bに示すように、まず、シール部材21は、その接触形状21cを、シリンダ11の内周壁11dと同一形状にすることができる。これにより、シール部材21は、シリンダ11に対し、内周壁11dと面接触しつつ相対移動するので、より効果的に空気漏れを防止することができる。
【0063】
また、
図6Cに示すように、シール部材21は、その接触形状21dを、シリンダ11の内周壁11dと異なる形状にすることができる。たとえば、
図6Cには、シール部材21と内周壁11dとが線接触するように、接触形状21dをR形状とした場合を図示している。
【0064】
かかる場合、接触時の摩擦を低減することができるので、空気漏れを防止しつつ、スムースな回転動作で圧縮空気の生成を行うことができる。
【0065】
また、
図6Dに示すように、シール部材21は、その接触形状21eを、シリンダ11の径方向に対し、線対称でない形状としてもよい。たとえば、
図6Dには、ばね力による「排気側」への回転で空気を圧縮しつつシリンダ壁11aへ当接する側の面の側端部と、内周壁11dとが線接触するようにした接触形状21eを示している。
【0066】
かかる場合、「吸気側」への回転時にはスムースな回転動作で吸気を行わせることができるとともに、「排気側」への回転時には空気漏れを抑え、より効果的に空気圧縮を行わせることができる。
【0067】
上述してきたように、本実施形態に係る空気圧縮部10(「空気圧縮装置」の一例に相当)は、シリンダ11と、回転部12(「回転体」の一例に相当)と、シール部材21,22とを備える。回転部12は、シリンダ11内に回転軸axRを中心に回転可能に設けられる。シール部材21,22は、シリンダ11および回転部12の少なくともいずれかに設けられ、シリンダ11および回転部12が互いに接触する部位の方向に対し、同時に2方向へ向けて付勢される。
【0068】
したがって、本実施形態に係る空気圧縮部10によれば、低コストで、優れた空気圧縮性能を確保することができる。
【0069】
(その他の実施形態)
ところで、これまでは、シリンダ11が円筒状に形成された空気圧縮部10を備える場合を例に挙げたが、回転式の空気圧縮機構として構成できれば、シリンダ11の形状を限定するものではない。
【0070】
かかる場合の実施形態について、
図7を用いて説明する。
図7は、その他の実施形態に係る空気圧縮部10Aの構成を示す模式図である。
【0071】
図7に示すように、空気圧縮部10Aでは、シリンダ11’は内周壁11d’に勾配のついた形状に形成されている。たとえば、
図7に示すように、シリンダ11’は、シリンダ室の天井部へ近づくほど内周が縮径される形状である。
【0072】
また、シリンダ11’の形状に応じ、シリンダ壁11a’およびこれに設けられるシール部材22’にも勾配がつけられる。シール部材22’は、勾配面22f’を有する。
【0073】
また、シリンダ11’の形状に応じ、回転部12’も勾配のついた形状に形成される。たとえばシャフト部12c’には、勾配面22f’に対応する勾配がつけられる。羽根部12a’に設けられるシール部材21’には、内周壁11d’に対応する勾配がつけられる。シール部材21’は、勾配面21f’を有する。
【0074】
このようなシリンダ11’と回転部12’を組み合わせることによっても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、低コストで、優れた空気圧縮性能を確保することができる。
【0075】
また、空気圧縮部10Aによれば、とりわけ容易に組み立てを行うことができる。すなわち、シール部材21’は勾配面21f’が内周壁11d’に当接し、シール部材22’は勾配面22f’がシャフト部12c’に当接して、勾配によりそれぞれガイドされながら組み付けられるので、容易に組み立てを行うことができる。
【0076】
なお、上述した各実施形態では、シリンダ11および回転部12の双方にシール部材21,22を設ける場合を例に挙げたが、シリンダ11および回転部12の少なくともいずれかでよい。
【0077】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。