【実施例】
【0160】
これまで本発明を概略的に説明してきたが、実例として提示し、および別段の定めがない限り、本発明を限定することを目的としない以下の実施例を参照して、本発明をより容易に理解できるであろう。
【0161】
以下の実施例は、例示目的だけのために記載し、発明者らがそれらの発明と考えるものの範囲を限定することを目的としない。
実施例1 説明と組成物
[
本発明のテストステロンゲル製剤]
【0162】
本臨床試験で投与される製剤の3つの異なる濃度の組成物を、以下の表に示す。
剤形の説明
【0163】
本発明のテストステロンゲル製剤は、鼻腔内適用を目的とする、粘着性で搖変性の可溶化テストステロンを含有する油性製剤である。本製剤を、公定不活性成分であるヒマシ油、オレオイルポリオキシルグリセリドおよびコロイド状二酸化ケイ素を用いて製剤化する。
【0164】
本発明のテストステロンゲル製剤を、0.15w/w%、0.45w/w%および0.6w/w%の3つの異なる薬物用量を鼻腔内に投与する。投薬後、シリンジ内に残っているゲル分として各シリンジに過剰分を加える。シリンジ内のゲルの量に関係なく、この過剰分は、23mLで一定である。
低投薬濃度鼻腔内テストステロン組成物
【0165】
【表4】
【0166】
【表5】
【0167】
【表6】
容器
【0168】
本発明のテストステロンゲル製剤は、単位用量ポリプロピレンシンリジで供給される。各用量の2本のシリンジを保護アルミニウムホイルパウチに包装する。
実施例2
鼻腔内テストステロンゲル製剤
【0169】
本発明のテストステロンゲル製剤は、性的欲求低下障害(HSDD)および続発性無オルガズム症(SA)の女性においてIntrinsa(登録商標)および本発明のテストステロンゲル製剤のプラセボを比較して、本発明のテストステロンゲル製剤の3つの異なる投与量の薬物動態および薬力学を評価することを提案した鼻腔内ゲル中のテストステロンの製剤である。
【0170】
有効成分であるテストステロンは、Bayer Scheringから供給される。経鼻送達の課題としては、以下が挙げられる。
・肺内投与よりも粒子を大きくする必要がある(すなわち、10μmを超える粒子のみが、気道への進入を避けるのに十分重い)、
・投与できる量が少ないため、濃度を上げる必要がある、
・沈着部位からの治療剤の急速なクリアランスにより、吸収に利用可能な時間が短くなる、
・局所的な組織炎症の可能性、および
・薬物送達プロファイルを変更するために制限される製剤の取扱の可能性。
【0171】
テストステロンは、両側卵巣摘出および子宮摘出(外科的に閉経期を誘発)され、エストロゲン併用療法を受けている女性において、HSDD治療に適応される。また、テストステロンは、男性の性腺機能低下症の治療で、ホルモン補充療法に適応される。現時点で利用できるテストステロン投与の選択肢は、経口、経頬、注射剤、埋め込み式および経皮の投与である。
【0172】
鼻腔内テストステロン(3.2%)ゲル(TBS−1ゲル)は、男性の性腺機能低下症の治療のために開発され、いくつかの臨床試験で性腺機能低下の男性に投与されている(Mattern,C.ら,2008 The Aging Male 11(4):171−178(Dec 2008)、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。女性のための鼻腔内テストステロンゲルである本発明のテストステロンゲル製剤は、テストステロン約0.15%から約0.6%にわたる濃度で開発されている。
実施例3 過剰分
[
本発明のテストステロンゲル製剤]
【0173】
該製剤には過剰分を加えていない。投薬後、シリンジ内に残っているゲル分として各シリンジに過剰分を加える。シリンジ内のゲルの量に関係なく、この過剰分は、23mLで一定である。本発明のテストステロンゲル製剤のための理論的な充填量および分配量の合計は、以下に示す。
【0174】
【表7】
実施例4 物理化学的特性および生物学的特性
[
本発明のテストステロンゲル製剤]
【0175】
本発明のテストステロンゲル製剤は、3,000〜10,000mPa×秒の範囲で粘度を有する。粘度は、鼻腔内で該ゲル製剤が鼻粘膜と接触して保持されるのを容易にするので、粘度は重要である。粘度が約3,000mPa×秒(すなわち、3,000センチポアズ)未満の場合、ゲルは重力によって鼻腔から引き出される傾向がある。
実施例5 バッチ処方
[
本発明のテストステロンゲル製剤]
【0176】
本発明の0.15%、0.45%および0.6%の3つの異なる濃度のテストステロンゲル製剤を、提案した臨床試験のために製造する。これらのバッチのバッチ処方を下記の表5に示す。
【0177】
【表8】
実施例6 製造工程および工程管理
[
本発明のテストステロンゲル製剤]
【0178】
材料は、以下の工程によって製造される。
【0179】
【表9】
成分の混合−バルクゲル
【0180】
ヒマシ油の部分1と共に全量のテストステロンをプロペラミキサーで10分間混合することによってプレミックスを調製する。
【0181】
このプレミックスを残りのヒマシ油に添加して、60分間混合することによって混合物Iを調製する。全混合工程中、製品温度を50℃以下に維持する。
【0182】
オレオイルポリオキシグリセリドを40〜50℃まで予め加熱し、10分間混合して、混合物Iに添加する。これを混合物IIとして特定する。製品温度を50℃以下に維持しながら、混合物IIを45分間混合する。次いで、溶解してないテストステロンのどのような凝集物も取り除くために、混合物IIを、篩を通して選別する。
【0183】
製品温度を50℃以下に維持しながら、コロイド状二酸化ケイ素を混合物IIIに添加し、次いで15分間混合することによって混合物IIIを調製する。このステップの後に、ゲルが透明であることを確認するために、目視検査を行う。
【0184】
混合が完了すると、ゲルを撹拌して、製品温度が30℃以下になるまで冷却する。次いで、製品をステンレス製のドラムに放出し、バルクゲル試料を解析的分析のために採取する。
充填および包装−臨床補給品
【0185】
管理研究室によって最終的なゲル混合物がリリースされると、充填および包装の工程は、所定量をシンリンジに充填し、続いてシリンジのキャップを付けることで実行される。2本のシリンジをホイルパウチに包装する。
【0186】
ピペットを用いて貯蔵タンクからゲルを採取して、シリンジに充填する。シリンジに充填し、シリンジキャップを付けた後、ピペットの先を捨てる。各シリンジには、個々にラベルを付ける。
【0187】
ラベルを付けた後、2本のシリンジを予め形成したホイルパウチに包装して、該パウチを密封する。各パウチにラベルを付ける。
実施例7
無オルガズム症の女性における本発明のテストステロンゲル製剤の評価
【0188】
本発明のテストステロンゲル製剤の薬物動態および薬力学的有効性を無オルガズム症の女性の試験において評価する。無オルガズム症の女性における性的刺激への本発明のテストステロンゲル製剤の効果も決定する。
患者母集団
【0189】
無オルガズム症を呈するがそれ以外は健常な18歳〜65歳の女性を評価する。16名の被験者を採用する。
投薬
【0190】
本発明のテストステロンゲル製剤の3つの投与量、1鼻孔当たり150mg、450mgおよび600mgを調べる。本発明のテストステロンゲル製剤を一日2回、計5投与、女性に鼻腔内投与する。本発明のテストステロンゲル製剤のプラセボを対照として投与する。
治療期間
【0191】
試験被験者は、本発明のテストステロンゲル製剤を5投与、3日間にわたり投与される。
エンドポイント
【0192】
エンドポイント
一次エンドポイント:
総テストステロンおよびジヒドロテストステロンの血漿濃度を、バリデート済みのLC/MS/MSを用いて測定する。全被験者について下記の薬物動態パラメータを決定する。
・各投与期間のCmin、Cmax、tmax、PTFおよびPTSを決定する。
・各投与期間のAUC0−τおよびCavgを算出する。
・血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンの生理的基準範囲の範囲内、範囲未満、および範囲を超える時間のパーセンテージ。
二次エンドポイント:
・一連のコンピュータおよび精神生理学的試験によって有効性を判定する。
・下記のパラメータに従って安全性をモニタリングする。
・ベースラインおよび完了来院時の全血球数。
・ベースライン時および完了時の臨床検査および尿検査で、選択された内分泌パラメータ、腎機能、肝機能、骨格筋/心筋損傷、脂質異常、およびカルシウムホメオスタシスの変化を評価する。
・ベースライン時、試験日および完了時の血漿テストステロン、ジヒドロテストステロンおよび種々のホルモンの測定。
・有害事象。
無作為化
【0193】
ANORコホートの被験者を、本発明のテストステロンゲル製剤(3用量レベル)またはプラセボのいずれかを投与されるように無作為化する。無作為化は、下記の設計配分による。
【0194】
【表10】
LD(0.15%)−低用量;MD(0.45%)−中用量;HD(0.6%)−高用量
【0195】
盲検化
本分析は、治療コホートに応じて、二重盲検試験と非盲検試験の両方とする。ANOR群の被験者については、試験はプラセボ対象の二重盲検とする。
【0196】
用量および投与計画
全ての被験者に、試験中5回、本発明のテストステロンゲル製剤(0.15%、0.45%または0.6%)または本発明のテストステロンゲル製剤のプラセボを投与する:1日目の20時、2日目の8時と20時、および3日目の8時と20時。鼻腔内ゲルを両鼻孔に投与する(1鼻孔当たりシリンジ1本(100μl容量))。
【0197】
包装およびラベル貼付
治験薬は本発明のテストステロンゲル製剤およびプラセボゲルからなり、100μlのゲルを放出するように設計された単回使用シリンジに充填する。2本のシリンジを1つのホイルポーチに包装する。
【0198】
治療計画
4日(3泊)の入院処置期間に投与を行い、計画割り付けに従って本発明の鼻腔内テストステロンゲル製剤(3用量レベル)またはプラセボ(ANOR)のいずれかを投与される投与計画に対して被験者を無作為化する。
【表11】
【0199】
無作為化スキームは、試験施設ごとに作成し、1コホート当たり4処置のブロックからなる。
【0200】
試験は4日間である。試験は、1日目(ベースライン)の20時〜21時の間の治験薬投与で始まる。血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンプロファイルのための血液サンプルは、1日目および3日目の晩投与の60分前と、0時点、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後および480分後、ならびに3日目の朝/晩投与の投与時点および投与60分後に採取する。
【0201】
3つの本発明のテストステロンゲル製剤群またはプラセボゲルに割り付けられた被験者について、PD検査を、2日目の朝投与の30分後と4.5時間後(精神生理学的検査)および3日目の朝投与の30分後(コンピュータ検査)に行う。被験者は初回投与の前に診療精神生理学的面接を受ける。
【0202】
被験者は最初の宿泊時には、夜に繰り返し採血されてよく眠れないと思われるので、精神生理学的検査とコンピュータ検査の傾向は釣り合わない。コンピュータ検査は、精神生理学的検査よりも睡眠不足によってより大きな負の影響を受けると思われる。従って、2日目に精神生理学的検査を行い、コンピュータ検査は3日目に行う。
【0203】
有害事象を評価し、報告する。
【0204】
患者の選択および取消
本試験の被験者は、ANORを有する女性である。被験者は医療集団または一般集団から、地方紙での告知(ウェブサイトで付加的な情報が得られる)を通じて募集する。スクリーニング来院を計画する前に、被験者に被験者がその試験に適しているといえるかどうかを評価するために電話で一連の標準的な質問を行う。
【0205】
選択基準
・18〜65歳の女性。
・DSM−IV判定基準に従って女性オルガズム障害(無オルガズム症)と診断。現在のエピソードがスクリーニング来院までに少なくとも24週間の期間でなければならない。サブタイプが全身性であり、治療奏功を妨げるような病因因子(例えば、鬱病、アルコール依存症、手術、損傷)によるものでないこと。合併障害としてのHSDDは、それが無オルガズム症の後に始まった場合のみ許容する。
・BMI<35。
・女性がスクリーン来院時に11を超えるFSDS−Rスコアとともに26.55を超えるFSFIスコアを有していること。
・少なくとも12か月安定な関係にある女性またはオルガズムの達成を試みる基本的方法としてマスターベーションを用いる独身女性。
・閉経前および閉経後女性(生理的および外科的閉経後女性)のエストロゲン/プロゲスターゲン補充(ET/Pの低用量併用)は試験登録までに少なくとも3ヶ月あること、またはET/P補充が未経験の閉経後女性。
・閉経前異性愛女性は信頼できる避妊法を採る必要がある(すなわち、OCPまたはパートナーはコンドームを使用しなければならない)。
・甲状腺機能、生理的プロラクチン濃度が正常。
・耳鼻咽喉科検査が正常。
・書面によるインフォームド・コンセントを提出。
【0206】
除外基準
・性機能に影響を及ぼし得るか、患者の安全にリスクがあるか、またはコンプライアンスに影響を及ぼし得る、臨床上関連のある他の精神医学的障害の病歴が評価される。これには双極性障、精神障害、重度の不安、摂食障害、反社会性人格障害などが含まれる。
・スクリーニング来院前5か月以内に大鬱障害の病歴があるか、またはベック鬱病調査表IIでスコアが14以上。
・性嫌悪障害、物質誘発性性機能障害、性交疼痛症(不十分な前戯刺激によって生じるものや潤滑剤によって緩和されるものではない)、膣痙、性同一性障害、性欲倒錯、健康状態による性機能障害に関してDSM−IV基準(APA)を満たす被験者。
・MMQにて20以上のスコアで示されるような関係の不一致を感じている被験者。
・既知の活動性骨盤炎症性疾患、尿路または膣感染/膣炎、子宮頸炎、間質性膀胱炎、外陰痛、または顕著な膣萎縮を有する被験者。
・授乳中、またはベースライン来院の直近6か月以内に授乳していた被験者。
・妊娠中(スクリーン来院時の血清妊娠検査による)、またはベースライン来院の直近12か月以内に妊娠していた被験者。
・グルココルチコイドの全身投与による処置。
・アンドロゲン、低用量併用ET/P以外のエストロゲン、ゲスタゲン(例えば、アナボリックステロイド、DHEA、プレマリン(Premarin)(登録商標)(結合型ウマエストロゲン))などの性ステロイドホルモンによる処置。
・甲状腺ホルモンによる処置(安定補充療法の場合のみ)。
・任意のタイプの重大な介入疾患、特に、肝疾患、腎疾患、または心疾患、任意の形態の真性糖尿病(制酸薬を使用している、または高脂血症処置もしくは甲状腺機能低下処置を受けた被験者は、少なくとも6か月間それらの薬剤用量で安定していた場合には除外対象とならない)。
・鼻障害(例えば、季節性または通年性アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎、ポリープ症、鼻粘膜充血除去薬の濫用、臨床上重要な鼻中隔わん曲、再発性鼻出血)または睡眠時無呼吸症の病歴。
・痴呆または他の神経変性疾患、器質性脳疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作、脳手術、重大な脳外傷、多発性硬化症、脊髄損傷、末梢神経障害、および癲癇を有する被験者(小児に限定される熱性痙攣は除外被験者でない)。
・基底細胞癌以外の癌の病歴。
・重度または多重のアレルギー、重度の有害薬物反応または白血球減少の病歴。
・静脈穿刺または静脈内挿管に無関係の異常な出血傾向または血栓性静脈炎の病歴。
・DVTの病歴。
・B型肝炎の病歴、B型肝炎表面抗原陽性判定、C型肝炎の病歴、C型肝炎抗体陽性判定、HIV感染の病歴またはHIV抗体の証明。
・重大な睡眠障害の最近の病歴。交替制労働者は、試験登録前の3週間は適切な昼夜周期を持つ必要がある。
・1日のアルコールが3単位を超える常習的飲酒者(1単位=ビール300ml、ワイングラス1杯、蒸留酒1メジャー)。
・アルコールもしくは任意の薬物(合法または違法薬物)の濫用の病歴、または現証拠、あるいは濫用薬物およびアルコールに関する尿の薬物およびアルコールスクリーンが陽性。
・試験期間中、OTC薬(臨時のパラセタモール/アスピリンを除く)の中断が難しい場合。
・コンプライアンスが不十分な被験者または試験来院できそうにない被験者。
・本試験の初回用量投与の30日以内に研究試験の一環として何らかの薬剤を受容。
・初回試験投与前12週間以内に献血(通常550ml)。
【0207】
被験者の処置
試験来院
来院1(15日前)−選択基準および除外基準に関する被験者のスクリーニング:
試験前スクリーニングは処置開始前2週間以内に行う。被験者は、インフォームド・コンセント書式に自主的にサインした後、登録前に、治験責任医師またはその指名医師による面接を受け、医師は医学的、性的および身体的履歴をとり、人口統計的データを記録し、バイタルサイン(血圧、安静時心拍数、体重、および身長)を含む通常の身体検査を行う。
・FSFIおよびFSDS−R、ならびにMMQ、BDI−II、ISS、SIDI−II、SESII−Wを実施する。
・耳鼻咽喉検査はENT医師が行う。
・一晩絶食後に、CBC(ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、ヘマトクリット、MCV、MCHC、RBC、WBCおよび分類)、臨床化学プロファイル(Na/K、ブドウ糖、尿素、クレアチニン、総ビリルビン、アルブミン、カルシウム、リン酸塩、尿酸、LDL、HDL、トリグリセリド、AST、ALT、ALP、GGTおよびCK)用として静脈血を採取する。
・エストラジオール、遊離テストステロン、遊離テストステロン(パーセント)、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、プロゲステロン、性ホルモン結合グロブリン、総テストステロン、およびデヒドロエピアンドロステロン硫酸用として静脈血サンプルを採取する。
・TSH、総および遊離トリヨードチロニン、総および遊離チロキシン用として血液サンプルを採取する。
・比重、ブドウ糖、ケトン、ビリルビン、pH、ウロビリノーゲン、白血球、亜硝酸塩を測定するために尿を採取する。
・被験者はB型肝炎、C型肝炎およびHIV検査(血漿中のB型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体)を受ける。
・尿薬物スクリーンは、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、カンナビノイド、コカイン、オピエート、MDMAに関して行う。陽性判定の被験者は登録しない。
・エタノールは呼気アルコール分析器でスクリーニングする。
【0208】
来院2(第1日)−ベースライン、無作為化、PK採血およびPD検査の開始:
・被験者を午後に3泊で診療施設に収容する。
・禁止薬剤(OTCおよび処方薬)、薬物、アルコールまたは煙草に関して確認するため、入院時検査を行う。被験者には、入院前48時間、アルコールを控えるように依頼する。アルコールの摂取は、施設宿泊中は何時でも厳格に禁じる。PKプロファイル用の採血中の食物摂取については特に制限はない。
・スクリーニング時と同じ薬物濫用に関する尿検査を繰り返す。
・妊娠者は、尿検査を用いて(適用可能であれば)除外する。
・バイタルサイン(血圧、安静時心拍数、および体重)を確認する。
・CBC、化学プロファイル、ホルモンプロファイル、および妊娠検査用として血液を採取する。
・酒気検査を行うとともに、検尿および尿薬物スクリーン用の尿を採取する。
・投与および採血の前に、被験者に精神生理学的熟知化検査を行う。この検査では、ニュートラルなフィルムとエロティックなフィルムを見せ、試験手順およびあからさまなエロティック刺激に曝されることを熟知してもらうためにVPAが記録される。得られたデータは分析には使用しない。
・前腕静脈に静脈カニューレを留置し、治験薬の晩投与の1時間前に採血を始める。
・被験者は20時〜21時の間に投与を受ける。。
・投与60分前、投与時0分、投与15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後、および480分後に、血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンレベルを調べるための採血を行う。
・この来院時に処置スキームに対する無作為化を行う。
・安全性評価の記録を行う。
・被験者は一晩、診療施設に留まる。
【0209】
来院3(第2日)−PK採血:
・バイタルサインを採取する。
・ホルモンプロファイルを採取する。
・被験者に、8時〜9時と20時〜21時とに治験薬を投与する(イントリンサ(Intrinsa)(登録商標)群でない場合)。投与0時点と投与60分後に血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンレベルを調べるための採血を行う。
・3つの本発明のテストステロンゲル製剤群またはプラセボゲルに割り付けた被験者に関して、朝投与の30分後と4.5時間後に精神生理学的検査を行う。
・安全性評価の記録を行う。
・被験者は一晩、診療施設に留まる。
【0210】
来院4(第3日)−PK採血およびPD検査:
・バイタルサインを採取する。
・ホルモンプロファイルを採取する。
・被験者に、8時〜9時と20時〜21時とに治験薬を投与する。朝投与の0時点と投与60分後、ならびに晩投与の0時点、投与15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後、および480分後に、血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンレベルを調べるための採血を行う。
・3つの本発明のテストステロンゲル製剤群またはプラセボゲルに割り付けた被験者に関して、朝投与の30分後にコンピュータ検査を行う。
・安全性評価の記録を行う。
【0211】
来院5(第4日)−退院−完了手続き:
・バイタルサインを含む身体検査。
・一晩絶食後に、CBC(ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、ヘマトクリット、MCV、MCHC、RBC、WBCおよび分類)、臨床化学プロファイル(Na/K、ブドウ糖、尿素、クレアチニン、総ビリルビン、アルブミン、カルシウム、リン酸塩、尿酸、LDL、HDL、トリグリセリド、AST、ALT、ALP、GGTおよびCK)用として静脈血を採取する。
・エストラジオール、遊離テストステロン、遊離テストステロン(パーセント)、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、プロゲステロン、性ホルモン結合グロブリン、総テストステロン、およびデヒドロエピアンドロステロン硫酸に適当な血液サンプルを採取する。
・比重、ブドウ糖、ケトン、ビリルビン、pH、ウロビリノーゲン、白血球、亜硝酸塩を測定するために尿を採取する。
・安全性評価の記録を行う。
【0212】
臨床評価
スクリーニングおよび共変動質問紙を臨床評価に用いる。
【0213】
BDI
鬱症状の現レベルを指数化するために、21項目のBDI−II(Beck,Steer,& Brown. 1996)、オランダ版(Van der Does,2002)を実施する。BDI総スコアの範囲は0〜63であり、スコアが高いほど鬱症状が大きいことを示す。
【0214】
MMQ
モーズレイ結婚質問紙(Maudsley Marital Questionnaire)(MMQ; Crowe,1978)は、全般的関係、性的関係、および生活全般の不満を評価する20項目の自記式質問紙である。MMQは、良好な信頼性と妥当性を示した。MMQのオランダ版の精神測定品質も満足できるものであることが判明した(Arrindell,Boelens,& Lambert. 1983)。スコアが高いほど、不満が大きいことを表す。
【0215】
FSFI
女性の性機能のレベルが、女性性機能指数(Female Sexual Function Index)(FSFI; Rosen,Brown,Heimanら,2000)によって評価される。このFSFI(登録商標)は、19の設問からなる自記式質問紙である。この尺度には6つの領域:欲求、興奮、潤滑、オルガズム、満足、および疼痛が含まれる。総スコアの範囲は2〜36であり、スコアが低いほど性機能の悪化を示す。FSFIの精神測定品質は満足できるものである(Wiegel,Meston,& Rosen. 2005)。性的不満を持つ、また持たないおよそ350人の女性からなるオランダサンプルに基づけば、FSFIの内的整合性および安定性は、満足から良好までであることが判明した。性機能のある女性と性機能障害の女性の間のFSFIの識別能は、性的不満の有無の推定能と同様に優れたものであった(ter Kuile,Brauer,& Laan,2006)。
【0216】
FSDS−R
性機能障害による女性の個人的苦痛のレベルは、改訂版女性性的苦痛尺度(Female Sexual Distress Scale−Revised)(FSDS−R(登録商標);Derogatis,Clayton,Lewis−D’Agostinoら,2008)によって評価される。
【0217】
これらの項目は、最近30日間の負の感情、および煩わしい問題または苦痛を生じる問題について質問するものである。FSDS(登録商標)(12項目版)の信頼性および妥当性は、性機能のある女性および性機能障害の女性の種々のサンプルで評価された。このFSDS(登録商標)では、結果は一次元因子構造、高度の内的整合性、および再検査信頼性を示した。FSDS(登録商標)は、3回の妥当性試験のそれぞれで、性機能障害の女性と性機能のある女性との間で高度の識別を示した。オランダサンプルでの結果は、FSDSの一次元構造ならびにその信頼性および精神測定的妥当性を裏付けた(ter Kuile,Brauer,& Laan,2006)。妥当性確認済みのFSDS(登録商標)に追加設問(設問13)が加えられた。この設問は、特に性的欲求に関連する苦痛に関するものである。性的苦痛の最大レベルを示すFSDS−R(登録商標)の最大総スコアは「52」である。FSDS−R(登録商標)総スコアと設問13スコア単独の両方を分析する。
【0218】
共変動質問紙
性的満足指数(ISS)
女性の性的満足のレベルが性的満足指数(Index of Sexual Satisfaction)により評価される(ISS; Hudson,Harrison,& Crosscup. 1981)。この25項目の質問紙は、被験者に自分の性的関係の様々な側面を評価してもらうものであり、0〜100の範囲となる合計スコアが導き出される。高いスコアほど大きな性的満足に相当する。この尺度は、様々なサンプルで良い面、すなわち、収束的および識別的妥当性を有することが示されている。項目例としては、「自分のパートナーは自分達の性生活を楽しんでいると感じる」、「セックスはすばらしいものだと思う」、および「自分のパートナーは大変性的活力に満ちている」などである。本試験のため、このISSをオランダ語に翻訳する。
【0219】
SDI−II
女性の性的欲求のレベルが性的欲求尺度(Sexual Desire Inventory−II)(SDI−II; Spector,Carey,& Steinberg. 1996)によって評価される。このSDI−IIは、2本の7項目自記式尺度、すなわち、パートナーとの性行為に対する個人の欲求を評価する二者性的欲求尺度(Dyadic Sexual Desire scale)と、自己性愛的性行為に対する個人の欲求を評価する個人性的欲求尺度(Solitary Sexual Desire scale)からなる。この2本の各尺度は内部一致していた(クロンバックのα:二者尺度=0.86;個人尺度=0.96)。
【0220】
性的興奮/性的抑制(SESII−W)
女性用性的抑制/興奮尺度(Sexual Desire Inventory for women)(SESII−W; Graham,Sanders,& Milhausen. 2006)を用い、性的興奮と性的抑制に関する個人の傾向を評価する。これは、性的抑制および性的興奮に影響を及ぼし得る刺激状態、または興奮性および抑制についての一般陳述に触れた36項目からなる。これらの指示は、その時の最も典型的な反応であると思われるもの、またはその項目が自分に当てはまらない場合には、自分が反応することをどう思うかを報告してもらうというものである。項目は「全く同意できない」から「非常に同意できる」までの4点リッカート評定尺度で評価する。SESII−Wは8つの低次因子を含み、それらは2つの高次因子、すなわち、性的興奮および性的抑制に負荷をかける。この質問紙は良好な再検査信頼性と収束的および識別的妥当性を示し、性的興奮および性的抑制は比較的独立した因子であると思われる。この一覧は既にオランダで使用されているが、精神測定的特性はまだ検討されていない。
【0221】
有効性薬力学的試験
コンピュータ検査
単一標的潜在的連合課題(Single target Implicit Association Task)(StIAT):
Wigboldusら(2005)に従い、本試験に用いるstIATは、被験者の、性的刺激との感情的連合を評価するように設計されている(Brauer,van Leeuwen,Janssenら,投稿中)。被験者に、性行為を描写する画像(すなわち、標的刺激)および「ポジティブ」または「ネガティブ」な意味を表す言葉(すなわち、属性刺激)を、キーボード上の左または右応答キーだけを押すことにより、できるだけ速やかに適当な上位カテゴリー(すなわち、「セックス」、「ポジティブ」、「ネガティブ」)に分類するように指示する。これらのカテゴリーに用いるこれらのラベル(セックス、ポジティブ、ネガティブ)は、常にコンピュータスクリーンに表示されている。stIATは、練習ブロックと試験ブロックの組合せからなる(詳細な方法論は、Greenwald,McGhee & Schwartz. 1998を参照)。試験ブロックは、試験の「不一致」ブロック1つと「一致」ブロック1つからなる。不一致ブロックでは、「セックス」と「ネガティブ」が1つのキーに、そして、「ポジティブ」が他方のキーに配置されるが、一致ブロックでは、「セックス」と「ポジティブ」が同じキーに、そして、「ネガティブ」が他方のキーに配置される。これら2つの試験ブロック間の反応時間の違いは、セックスがポジティブまたはネガティブのいずれとより強く結びついているかを表すと予想される。一致ブロックの応答が速ければ(他方のブロックに比べて)、ポジティブとセックスの間の結びつきがより強いことを表し、不一致ブロックの応答が速ければ、ネガティブとセックスの間の結びつきがより強いことを表す。応答キーを共有する標的−属性の組合せ(すなわち、ブロック順序)、および左または右キーの応答要件は釣り合いが取れるようにする。各批判ブロックは40の設問からなり、その応答は2つの応答キーに等分した。標的カテゴリーは、International Affective Picture System (IAPS; Center for the Study of Emotion and Attention,1995)から得た、下記の番号:4800、4652、4658、4659、および4672の5例の性的画像刺激からなる。属性カテゴリーは、一般にポジティブな言葉20語と一般にネガティブな言葉20語からなり(Dotsch & Wigboldus,2008; Dotsch,Wigboldus,Langnerら,2008)、従って、セックスとのより包括的な感情的連合を表す。これらの言葉は長さおよび頻度を管理した。妥当性に関して、stIATの強度は二律背反カテゴリーによる効果量の高さにあり、多くの場合、反応時間が遅くなる(考慮すべきいくつかの可能性があるので、カテゴリー化の判断には努力を要する)。
【0222】
画像連想課題(Picture Association Task)(PAT)
van Leeuwen and Macrae (2004)により開発されたこの課題は、感情的プライミング課題(例えば、Bargh,Chaiken,Govenderら,1992; Fazio,Sanbonmatsu,Powellら,1986; Hermans,De Houwer,& Eelen,1994)に基づくものであり、この感情プライミング課題では、ターゲットワードの前に、そのターゲットワードのカテゴリー化速度に影響を及ぼす別の言葉または画像がくる。しかしながら、PATでは、ターゲットワードと画像が同時に現れる。本試験に用いるPATでは、被験者に、性的な画像またはニュートラルな画像と重ね合わせてポジティブな単語またはネガティブな単語を示す(Brauer,van Leeuwen,Janssenら,投稿中)。被験者には、2つのコンピュータキーのうち1つを押すことによって、それらの言葉をポジティブまたはネガティブとしてできるだけ速くカテゴリー化するように指示する。さらに被験者に、背景画像はこの課題には重要でなく、画像刺激が属するカテゴリー(性的、ニュートラル)は問題にしないので背景画像に注意を払うことなく、スクリーンに現れた言葉に集中するように指示する。従って、このPATでは、作業性能に対する画像背景刺激の感情価の無意識な影響を捉える。それらの言葉(ポジティブまたはネガティブ)に対して適正な応答を選択する時間は、その言葉の価数と背景画像(性的またはニュートラル)の価数との間の合致に左右され、それにより、被験者にとっての画像の価数が間接的に明らかとなる。言葉のカテゴリーはポジティブな言葉10語とネガティブな言葉10語からなる。stIATの場合、一般的なポジティブな単語およびネガティブな単語(例えば、平和、尊敬、戦争、敵意)が選択されるが、PATは、言葉の内容と性的画像によって誘発される内容との概念的重なりを作り出すために、性的状況に適用できるがもっぱら性体験に言及しないポジティブな単語およびネガティブな単語(例えば、楽しい、すばらしい、不潔、嫌悪)からなる。これらの言葉はオランダでのパイロット試験から採用し、その試験では、女性被験者(N=20)に各ポジティブな単語およびネガティブな単語について7点リッカート尺度で、それがそれぞれポジティブまたはネガティブな性的状況をどれだけ描写したかを示してもらった(Brauer & Laan,2008)。予測による応答を回避し被験者に確実に画像に目を移動させるようにするために、これらの言葉は画像上の無作為化された4箇所のうち1箇所に現れる。性的画像は、性交疼痛症の女性における性的刺激との潜在的連合に関する別の試験から採用した(Brauer,de Jong,Huijdingら,2009)。これらの画像は様々な性行為を示す(例えば、キス、クニリングス、フェラチオ、性交)。各性的画像を基に、性的画像をスクランブルさせてニュートラルな刺激を残すことによって対照画像を作成した。画像は全て600×480ピクセルに標準化し、明るさとコントラストを合わせる。各刺激は、被験者が判断を下すまでまたは3,000msが経過するまでスクリーンに留まる。10回の練習設問の後、80回の設問を提示する。各言葉は性的画像およびニュートラルな画像と無作為に対を作るので、ポジティブな単語と性的画像、ネガティブな単語と性的画像、ポジティブな単語とニュートラルな画像、ネガティブな単語とニュートラルな画像という4つの異なる組合せができ、それぞれ20回提示する。設問の提示順序は被験者内で釣り合いが取れるようにし、応答キーの配置(すなわち、ポジティブ/ネガティブまたはネガティブ/ポジティブ)は被験者間で釣り合いが取れるようにする。コンピュータが各応答の精度と待ち時間を記録する。妥当性については、PATの強度は、stIATの場合と同様に、同時に異なる刺激カテゴリーに注意を払う必要があるために、あり得る解釈の偏りに対する感度が低いということである。
【0223】
ドット探査課題(Dot probe task)(DOT)
ドット探査課題(DOT)は、性的およびニュートラルな視覚刺激に対する注目選択を評価する。この課題では、被験者は、コンピュータスクリーン上で横に並んだ2つの画像を500ms間見せられる。これら2つの画像が消える際に、それらの画像のうち一方の代わりに、小さいなドットで表された標的刺激が現れる。被験者には、そのドットの場所(側)を示してもらう。1)ニュートラルとニュートラル、2)ニュートラルとセックス、ニュートラルの下にドット、3)ニュートラルとセックス、セックスの下にドット、の3つのカテゴリーに関して平均RTを算出する。ある種の刺激の代わりにドットが現れる場合に反応時間が速ければ、これは注意の偏りを示す。
【0224】
精神生理学的検査
性器応答(VPA)
精神生理学的検査は、性器応答(膣脈振幅)の評価と、自己誘発性エロティック空想(3分)、低強度エロティックフィルムクリップ(5分)、および高強度エロティックフィルムクリップ(5分)に対する性的過程の主観的な性的興奮の評価からなる(Laanら,準備中)。これらのエロティック状態は、被験者をベースラインに戻らせるための集中的課題(簡単な計算問題)を完了する間の、刺激間の様々な間隔によって分断される。エロティック刺激検査には、ベースラインレベルを確立するために8分のニュートラルなフィルムが先行する。VPAは、Sintchak and Geer (1975)が最初に開発した器具を基にBert Molenkamp (Technical Support,Department of Psychology,University of Amsterdam)が開発した膣フォトプレチスモグラフィーを用いて測定される。光源(3mm LED、λ=620nm)および光センサー(Texas Instruments TSL250)は100バッチで生産し、これにより、本明細書で使用される全てのフォトプレチスモグラフィーはほぼ等しい電子工学的特徴を有することになる。信号調整増幅器は、12dB/オクターブ、0.7Hzフィルターを用いて、直流成分からVPAを分離する。VPAのさらなる濾波は、24dB/オクターブ、0.4Hzハイパスである。VPA信号は、Windows(登録商標) 2000 PCシステム上で実行されるKeithley KPCI3107 A/Dコンバーターを用いて100Hzでデジタル化される。探針の深さおよび光源の向きは、光センサーの5cm以内でケーブルに取り付けられた装置(9×2cmのFDA承認パースペクスプレート)により制御される。被験者に、この探針をプレートが陰唇に触れるまで挿入するように指示する。探針およびプレートは、標準的な部門プロトコルに従って滅菌する。
【0225】
性的感情および情動(SAQ)
エロティック刺激の前と直後に被験者は、性的興奮(クロンバックのα=0.87);性器感覚(クロンバックのα=0.96);官能性(クロンバックのα=0.73);ポジティブな情動(クロンバックのα=0.93);およびネガティブな情動(クロンバックのα=0.65)の5つの尺度からなる、性的刺激中の性的感情および情動を評価する質問紙に書き込む。各設問は、「フィルムの間、私は次のように感じた」という文が前にあり、その後、例えば、快感;困惑;性器脈動または拍動;性的に興奮したなどのポジティブ、ネガティブ、肉体的または性的な体験が記載される。これらの項目は、1(全くない)から7(強い)の尺度で評価される。
【0226】
急性女性性的欲求(AFSDQ)
精神生理学的検査の前後に被験者は急性女性性的欲求質問紙(Laan,Heiman、未発表)に書き込む。この質問紙はエロティック刺激への性的関心を評価し、後天的HSDDを有する女性と性機能のある対照を識別するために示されたものである(Laanら,準備中)。
【0227】
統計学的方法
薬物動態パラメータの算出
・実測値からC
min、C
max、およびt
maxを採取する。これらの値を、治療対象のテストステロン投与時間に対して求める。
・濃度曲線下の面積(AUC)を、台形公式を用いて0〜24時間の時間間隔ならびにBID投与間隔で推定する。
・本発明のテストステロンゲル製剤およびプラセボの1日目の晩投与後と、本発明のテストステロンゲル製剤、プラセボおよびイントリンサ(登録商標)パッチ(1日目に適用された)の3日目の晩投与後のPK評価−AUC、総および遊離テストステロン、DHT、エストラジオール、SHBGの濃度。C
avg、C
min、C
max、t
max、AUC
0−t、PTF、およびPTSの分析。C
avgは12時間ならびに適当であればτで算出する。イントリンサ(登録商標)に対する被験者では、24時間算出を行う。
・投与間の平均濃度(C
avg)はAUCから、下式:C
avg=AUC
0-τ/τ(ここで、τ=投与間時間)を用いて算出する。
・ピーク値トラフ値変動(Peak Trough Fluctuation)(PTF)およびピーク値トラフ値振幅(Peak Trough Swing)(PTS)は次のように算出する。
PTF=(C
max−C
min)/C
avg
PTS=(C
max−C
min)/C
min
・血漿テストステロン濃度が70ng/dlの基準範囲を上回るパーセント時間、その範囲内あるパーセント時間、および下回るパーセント時間を算出する。
【0228】
薬力学的データの統計分析
stIAT:
不適当応答を分析から除外する。さらに、300msより短いまたは3000msより長いRTも分析から除外する。stIATデータに関しては、Wigboldus、Holland & van Knippenberg (2005)の後に、各被験者について、一致ブロックおよび不一致ブロックの属性項目に対する適正な応答の潜時応答中央値が用いられる。この後、これら2つの試験ブロックの反応時間中央値が相互に差し引かれて、stIAT効果が得られる(すなわち、stIAT効果=中央値(セックス/ネガティブ)−中央値(セックス/ポジティブ))。ネガティブなstIAT効果は、性的刺激との比較的強いネガティブな結びつきを示す。
【0229】
stIAT効果は、固定因子として処置、群(HSDDおよびSA)および処置×群の相互作用を用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0230】
PAT:
適正な応答の潜時応答中央値は、van Leeuwen and Macrae (2004)に従って算出する。ポジティブな単語およびネガティブな単語に対するベースライン反応に関して補正を行うために、性的画像に重ね合わせたポジティブな単語に対するRTから性的画像に重ね合わせたニュートラルな語に対するRTを差し引くことによって差のスコアを算出する。同じことを性的画像とニュートラルな画像に重ね合わせたネガティブな単語についても行う(すなわち、セックス/+=RT(セックス/ポジティブな単語)−RT(ニュートラル/ポジティブな単語)およびセックス/−=RT(セックス/ネガティブな単語)−RT(ニュートラル/ネガティブな単語。セックス/+<セックス/−=セックスとの無意識下のポジティブな結びつき)。
【0231】
これら2つのPAT変数(RTポジティブおよびRTネガティブ)を、固定因子として処置、群(ANOR)および群×処置を用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0232】
DOT:
各被験者について、セックスの下にドットを付したニュートラル・セックスカテゴリーに対する平均RTとニュートラルの下にドットを付したニュートラル・セックスカテゴリーに対する平均RTの間の差を算出してDOT効果を得る(すなわち、DOT効果=ニュートラルの下にドットを付したニュートラル・セックスの平均−セックスの下にドットを付したニュートラル・セックスの平均)。DOTスコアが高いほど、性的刺激に対して相対的に強い注意を示す。
【0233】
DOT効果を、固定因子として処置、群(ANOR)および処置×群の相互作用を用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0234】
VPA:
Bert Molenkamp(Technical Support、Department of Psychology、University of Amsterdam)により開発されたコンピュータプログラムで行ったVPAの人工的削除後に、各残留脈動に関してパルスピーク/トラフ振幅を算出する。いくつかの条件:ニュートラルフィルム(8分)、自己誘発性エロティック空想(3分)、低強度エロティックフィルムクリップ(5分)および高強度エロティックフィルムクリップ(5分)の間、30秒ごとにVPAの平均を求める。全ての条件を、鼻腔ゲル適用の0.5時間後に1回と鼻腔ゲル適用の4.5時間後に1回の、2回申し入れる。
【0235】
エロティックな空想、低強度フィルムおよび高強度フィルムの間のVPAを個別に分析し、異なる瞬間(投与0.5時間後と4.5時間後)も個別に分析すると、6種の分析となる。ある条件およびある瞬間のVPAは、固定因子として処置、群(ANOR)、時間、群×処置、処置×時間、および変量因子として被験者、ならびに共変量としてニュートラルフィルムの間の平均VPAスコアを用いた混合モデル分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0236】
SAQ:
5つのSAQ尺度のそれぞれについて、ある条件およびある瞬間の平均応答を、因子として処置、群(ANOR)および群×処置を用い、共変量として性的刺激前のスコアを用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0237】
AFSDQ:
ある瞬間の、エロティック刺激後のASFDQスコアを、因子として処置、群(ANOR)、および群×処置、ならびに共変量として性的刺激前のスコアを用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0238】
分散分析の要件を満たすために必要であれば、データを対数変換する。結果は、逆転換して変化率%として報告する。
【0239】
最小二乗平均のグラフは時間×処置を評価し、それぞれ最高および最低プロファイルの上限および下限95%信頼区間を示すエラーバーとともに示す。対比の最小二乗平均を表にする。
【0240】
記載のモデルに従い、所与のデータを用いて分析が実施できない場合には、分析を調整する。有用であると思われる場合には、追加の探査分析を行う。
【0241】
安全性データの統計分析
鼻の耐用性:鼻の耐用性データを要約表に示す。統計分析は行わない。
【0242】
バイタルサインおよび臨床検査パラメータ:
全ての臨床検査値とベースラインからの変化をまとめた表を各処置群について示す。パラメータが基準範囲の±20%である場合、これらの所見の臨床的有意性が評価される。
【0243】
この分析の結果を
図1および4〜6に示す。下表3および9〜11は、無オルガズム症またはHSDDを有すると診断された被験者における低有効成分含量の本発明のテストステロンゲル鼻腔製剤の効果間の結果を比較したものである。
【0244】
実施例8
HSDDを有する女性における本発明のテストステロン鼻腔ゲル製剤の評価
本発明のテストステロンゲル製剤の薬物動態および薬力学的有効性を、HSDDを有する女性の試験において評価する。HSDDを有する女性における性的刺激に対する本発明のテストステロンゲル製剤の効果も判定する。
【0245】
投与
3種の用量の本発明のテストステロンゲル製剤を検討する:鼻孔当たり150μg、450μgおよび600μ。合計5用量の本発明のテストステロンゲル製剤をBIDで女性の鼻腔内に投与する。このHSDDコホートにおいて、対照としてイントリンサ(登録商標)パッチ(300μgテストステロン)を投与する。
【0246】
患者母集団
HSDDを呈する、それ以外の点では健康な18〜65歳の女性を評価する。各適応症に対して16人の被験者を動員する。
【0247】
処置期間
被験者は、5用量の本発明のテストステロンゲル製剤を3日間投与される。
【0248】
エンドポイント
一次エンドポイント:
総テストステロンおよびジヒドロテストステロンの血漿濃度を、バリデート済みのLC/MS/MSを用いて測定する。全被験者について下記の薬物動態パラメータを決定する。
・各投与期間のCmin、Cmax、tmax、PTFおよびPTSを決定する。
・各投与期間のAUC0−τおよびCavgを算出する。
・血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンの生理的基準範囲の範囲内、範囲未満、および範囲を超える時間のパーセンテージ。
【0249】
二次エンドポイント:
・一連のコンピュータおよび精神生理学的試験によって有効性を判定する。
・下記のパラメータに従って安全性をモニタリングする。
・ベースラインおよび完了来院時の全血球数。
・ベースライン時および完了時の臨床検査および尿検査で、選択された内分泌パラメータ、腎機能、肝機能、骨格筋/心筋損傷、脂質異常、およびカルシウムホメオスタシスの変化を評価する。
・ベースライン時、試験日および完了時の血漿テストステロン、ジヒドロテストステロンおよび種々のホルモンの測定。
・有害事象。
【0250】
無作為化
HSDDコホートの被験者を、本発明のテストステロンゲル製剤(3用量レベル)またはイントリンサ(登録商標)パッチのいずれかを投与されるように無作為化する。無作為化は以下の計画割り付けに従う。
【表12】
LD(0.15%)-低用量;MD(0.45%)-中用量;HD(0.6%)-高用量
【0251】
盲検化
本試験は、処置コホートに応じて、二重盲検試験と非盲検試験の両方とする。HSDDコホートについては、鼻腔内投与とパッチ投与の盲検化が実施できないので、部分的非盲検試験とする。HSDDコホートにおける本発明のテストステロンゲル製剤の用量を盲検とする。
【0252】
用量および投与計画
HSDDコホートの被験者の4分の3(75%)に、試験中5回、本発明のテストステロンゲル製剤(0.15%、0.45%または0.6%)を投与する:1日目の20時、2日目の8時と20時、および3日目の8時と20時。鼻腔内ゲルを両鼻孔に投与する(1鼻孔当たりシリンジ1本(100μl容量))。残りの4分の1(25%)の被験者には、1日目の20時にイントリンサ(登録商標)パッチを投与し、試験期間の間、被験者の下腹部に付けたままにする。4日目に被験者が診療施設を退院前に剥がす。
【0253】
包装およびラベル貼付
治験薬は本発明のテストステロンゲル製剤および本発明のテストステロンゲル製剤のプラセボゲルからなり、100μlのゲルを放出するように設計された単回使用シリンジに充填する。2本のシリンジを1つのホイルポーチに包装する。HSDDコホートの実薬対照イントリンサ(登録商標)は、製造者から得たその原包装のままとする。
【0254】
治療計画
4日(3泊)の入院処置期間に投与を行い、計画割り付けに従って本発明の鼻腔内テストステロンゲル製剤(3用量レベル)またはイントリンサ(登録商標)パッチ(HSDD)のいずれかを投与される投与計画に対して被験者を無作為化する。
【表13】
【0255】
無作為化スキームは、試験施設ごとに作成し、1コホート当たり4処置のブロックからなる。
【0256】
試験は4日間である。試験は、1日目(ベースライン)の20時〜21時の間の治験薬投与で始まる。血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンプロファイルのための血液サンプルは、1日目および3日目の晩投与の60分前と、0時点、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後および480分後、ならびに2日目の朝/晩投与と3日目の朝投与の投与時点および投与60分後に採取する(ただし、イントリンサ群では、2日目と3日目の朝の60分での採血は行わない)。
【0257】
3つの本発明のテストステロンゲル製剤群またはプラセボゲルに割り付けられた被験者について、PD検査を、2日目の朝投与の30分後と4.5時間後(精神生理学的検査)および3日目の朝投与の30分後(コンピュータ検査)に行う。被験者は初回投与の前に診療精神生理学的面接を受ける。
【0258】
被験者は最初の宿泊時には、夜に繰り返し採血されてよく眠れないと思われるので、精神生理学的検査とコンピュータ検査の傾向は釣り合わない。コンピュータ検査は、精神生理学的検査よりも睡眠不足によってより大きな負の影響を受けると思われる。従って、2日目に精神生理学的検査を行い、コンピュータ検査は3日目に行う。イントリンサ(登録商標)パッチに無作為化された被験者については、精神生理学的検査を3日目の8時〜9時の間に行い、その後、3日目の午後16時〜17時の間にコンピュータ検査を行う。
【0259】
有害事象を評価し、報告する。
【0260】
患者の選択および取消
本試験の被験者は、HSDDを有する女性である。被験者は医療集団または一般集団から、地方紙での告知(ウェブサイトで付加的な情報が得られる)を通じて募集する。スクリーニング来院を計画する前に、被験者に被験者がその試験に適しているといえるかどうかを評価するために電話で一連の標準的な質問を行う。
【0261】
選択基準
・65歳までの女性。
・スクリーニング来院時にDSM−IV判定基準に従って全身性後天型のHSDDの一次診断を有する閉経後の女性。現在のエピソードがスクリーニング来院までに少なくとも24週間の期間でなければならない。合併する場合の、二次的な女性性的興奮障害および/または女性オルガズム障害は許容される。この選択基準は、HSDDが女性性的興奮障害および/または女性オルガズム障害の前に始まり、かつ、治験責任医師の判断でHSDDがその被験者により重要である場合にのみ満たされる。
・BMI≦35。
・女性がスクリーン来院時に11を超えるFSDS−Rスコアとともに26.55を超えるFSFIスコアを有していること。
・少なくとも12か月安定な関係にある女性。
・生理的および外科的閉経後女性−エストロゲン/プロゲスターゲン補充(ET/Pの低用量併用)は試験登録までに少なくとも3ヶ月あること、またはET/P補充が未経験の閉経後女性。
・甲状腺機能、生理的プロラクチン濃度が正常。
・耳鼻咽喉科検査が正常。
・書面によるインフォームド・コンセントを提出。
【0262】
除外基準
・MINIにより評価されるような、性機能に影響を及ぼし得るか、患者の安全にリスクがあるか、またはコンプライアンスに影響を及ぼし得る、臨床上関連のある他の精神医学的障害の病歴。これには双極性障、精神障害、重度の不安、摂食障害、反社会性人格障害などが含まれる。
・スクリーニング来院前5か月以内に大鬱障害の病歴があるか、またはベック鬱病調査表IIでスコアが14以上。
・性嫌悪障害、物質誘発性性機能障害、性交疼痛症(不十分な前戯刺激によって生じるものや潤滑剤によって緩和されるものではない)、膣痙、性同一性障害、性欲倒錯、健康状態による性機能障害に関してDSM−IV基準(APA)を満たす被験者。
・既知の活動性骨盤炎症性疾患、尿路または膣感染/膣炎、子宮頸炎、間質性膀胱炎、外陰痛、または顕著な膣萎縮を有する被験者。
・MMQにて20以上のスコアで示されるような関係の不一致を持つ女性。
・グルココルチコイドの全身投与による処置。
・アンドロゲン、低用量併用ET/P以外のエストロゲン、ゲスタゲン(例えば、アナボリックステロイド、DHEA、プレマリン(Premarin)(登録商標)(結合型ウマエストロゲン))などの性ステロイドホルモンによる処置。
・甲状腺ホルモンによる処置(安定補充療法の場合のみ)。
・任意のタイプの重大な介入疾患、特に、肝疾患、腎疾患、もしくは心疾患、または任意の形態の真性糖尿病(制酸薬を使用している、または高脂血症処置もしくは甲状腺機能低下処置を受けた被験者は、少なくとも6か月間それらの薬剤用量で安定していた場合には除外対象とならない)。
・鼻障害(例えば、季節性または通年性アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎、ポリープ症、鼻粘膜充血除去薬の濫用、臨床上重要な鼻中隔わん曲、再発性鼻出血)または睡眠時無呼吸症の病歴。
・痴呆または他の神経変性疾患、器質性脳疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作、脳手術、重大な脳外傷、多発性硬化症、脊髄損傷、末梢神経障害、および癲癇を有する被験者(小児に限定される熱性痙攣は除外被験者でない)。
・基底細胞癌以外の癌の病歴。
・重度または多重のアレルギー、重度の有害薬物反応または白血球減少の病歴。
・静脈穿刺または静脈内挿管に無関係の異常な出血傾向または血栓性静脈炎の病歴。
・DVTの病歴。
・B型肝炎の病歴、B型肝炎表面抗原陽性判定、C型肝炎の病歴、C型肝炎抗体陽性判定、HIV感染の病歴またはHIV抗体の証明。
・重大な睡眠障害の最近の病歴。交替制労働者は、試験登録前の3週間は適切な昼夜周期を持つ必要がある。
・1日のアルコールが3単位を超える常習的飲酒者(1単位=ビール300ml、ワイングラス1杯、蒸留酒1メジャー)。
・アルコールもしくは任意の薬物(合法または違法薬物)の濫用の病歴、または現証拠、あるいは濫用薬物およびアルコールに関する尿の薬物およびアルコールスクリーンが陽性。
・試験期間中、OTC薬(臨時のパラセタモール/アスピリンを除く)の中断が難しい場合。
・コンプライアンスが不十分な被験者または試験来院を履行できそうにない被験者。
・本試験の初回用量投与の30日以内に研究試験の一環として何らかの薬剤を受容。
・初回試験投与前12週間以内に献血(通常550ml)。
【0263】
被験者の処置
試験来院
来院1(15日前)−選択基準および除外基準に関する被験者のスクリーニング:
試験前スクリーニングは処置開始前2週間以内に行う。被験者は、インフォームド・コンセント書式に自主的にサインした後、登録前に、治験責任医師またはその指名医師による面接を受け、医師は医学的、性的および身体的履歴をとり、人口統計的データを記録し、バイタルサイン(血圧、安静時心拍数、体重、および身長)を含む通常の身体検査を行う。
・FSFIおよびFSDS−R、ならびにMMQ、BDI−II、ISS、SIDI−II、SESII−Wを実施する。
・耳鼻咽喉検査はENT医師が行う。
・一晩絶食後に、CBC(ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、ヘマトクリット、MCV、MCHC、RBC、WBCおよび分類)、臨床化学プロファイル(Na/K、ブドウ糖、尿素、クレアチニン、総ビリルビン、アルブミン、カルシウム、リン酸塩、尿酸、LDL、HDL、トリグリセリド、AST、ALT、ALP、GGTおよびCK)用として静脈血を採取する。
・エストラジオール、遊離テストステロン、遊離テストステロン(パーセント)、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、プロゲステロン、性ホルモン結合グロブリン、総テストステロン、およびデヒドロエピアンドロステロン硫酸用として静脈血サンプルを採取する。
・TSH、総および遊離トリヨードチロニン、総および遊離チロキシン用として血液サンプルを採取する。
・比重、ブドウ糖、ケトン、ビリルビン、pH、ウロビリノーゲン、白血球、亜硝酸塩を測定するために尿を採取する。
・被験者はまたB型肝炎、C型肝炎およびHIV検査(血漿中のB型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体)も受ける。
・尿薬物スクリーンは、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、カンナビノイド、コカイン、オピエート、MDMAに関して行う。陽性判定の被験者は登録しない。
・エタノールは呼気アルコール分析器でスクリーニングする。
【0264】
来院2(第1日)−ベースライン、無作為化、PK採血およびPD検査の開始:
・被験者を午後に3泊で診療施設に収容する。
・禁止薬剤(OTCおよび処方薬)、薬物、アルコールまたは煙草に関して確認するため、入院時検査を行う。被験者には、入院前48時間、アルコールを控えるように依頼する。アルコールの摂取は、施設宿泊中は何時でも厳格に禁じる。PKプロファイル用の採血中の食物摂取については特に制限はない。
・スクリーニング時と同じ薬物濫用に関する尿検査を繰り返す。
・妊娠者は、尿検査を用いて(適用可能であれば)除外する。
・バイタルサイン(血圧、安静時心拍数、および体重)を確認する。
・CBC、化学プロファイル、ホルモンプロファイル、および妊娠検査用として血液を採取する。
・酒気検査を行うとともに、検尿および尿薬物スクリーン用の尿を採取する。
・投与および採血の前に、被験者に精神生理学的熟知化検査を行う。この検査では、ニュートラルなフィルムとエロティックなフィルムを見せ、試験手順およびあからさまなエロティック刺激に曝されることを熟知してもらうためにVPAが記録される。得られたデータは分析には使用しない。
・前腕静脈に静脈カニューレを留置し、治験薬の晩投与の1時間前に採血を始める。
・被験者は20時〜21時の間に投与を受ける。
・投与60分前、投与時0分、投与15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後、および480分後に、血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンレベルを調べるための採血を行う。
・この来院時に処置スキームに対する無作為化を行う。
・安全性評価の記録を行う。
・被験者は一晩、診療施設に留まる。
【0265】
来院3(第2日)−PK採血:
・バイタルサインを採取する。
・ホルモンプロファイルを採取する。
・被験者に、8時〜9時の間と20時〜21時の間に治験薬を投与する(イントリンサ(登録商標)群でない場合)。投与0時点と投与60分後に血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンレベルを調べるための採血を行う。イントリンサ(登録商標)群の被験者では、8時〜9時の間と20時〜21時の間に0時点採血を行う。
・3つの本発明のテストステロンゲル製剤群またはプラセボゲルに割り付けた被験者に関して、朝投与の30分後と4.5時間後に精神生理学的検査を行う。
・安全性評価の記録を行う。
・被験者は一晩、診療施設に留まる。
【0266】
来院4(第3日)−PK採血およびPD検査:
・バイタルサインを採取する。
・ホルモンプロファイルを採取する。
・被験者に、8時〜9時の間と20時〜21時の間に治験薬を投与する(イントリンサ(登録商標)群でない場合)。朝投与の0時点と投与60分後、ならびに晩投与の0時点、投与15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後、および480分後に、血漿テストステロンおよびジヒドロテストステロンレベルを調べるための採血を行う。イントリンサ(登録商標)を受けている被験者には、新たな用量を受容した場合と同様に朝投与の0時点および晩投与の全ての時点で採血を行う。
・3つの本発明のテストステロンゲル製剤群またはプラセボゲルに割り付けた被験者に関して、朝投与の30分後にコンピュータ検査を行う。イントリンサ(登録商標)パッチに無作為化された女性については、精神生理学的検査を3日目の8時〜9時の間に行い、その後、3日目の午後16時〜17時の間にコンピュータ検査を行う。
・安全性評価の記録を行う。
【0267】
来院5(第4日)−退院−終了手続き:
・バイタルサインを含む身体検査。
・一晩絶食後に、CBC(ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、ヘマトクリット、MCV、MCHC、RBC、WBCおよび分類)、臨床化学プロファイル(Na/K、ブドウ糖、尿素、クレアチニン、総ビリルビン、アルブミン、カルシウム、リン酸塩、尿酸、LDL、HDL、トリグリセリド、AST、ALT、ALP、GGTおよびCK)用として静脈血を採取する。
・エストラジオール、遊離テストステロン、遊離テストステロン(パーセント)、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、プロゲステロン、性ホルモン結合グロブリン、総テストステロン、およびデヒドロエピアンドロステロン硫酸に適当な血液サンプルを採取する。
・比重、ブドウ糖、ケトン、ビリルビン、pH、ウロビリノーゲン、白血球、亜硝酸塩を測定するために尿を採取する。
・イントリンサ(登録商標)パッチを剥がす(適当であれば)。
・安全性評価の記録を行う。
【0268】
臨床評価
スクリーニングおよび共変動質問紙を臨床評価に用いる。
【0269】
BDI
鬱症状の現レベルを指数化するために、21項目のBDI−II(Beck,Steer,& Brown. 1996)、オランダ版(Van der Does,2002)を実施する。BDI総スコアの範囲は0〜63であり、スコアが高いほど鬱症状が大きいことを示す。
【0270】
MMQ
モーズレイ結婚質問紙(Maudsley Marital Questionnaire)(MMQ; Crowe,1978)は、全般的関係、性的関係、および生活全般の不満を評価する20項目の自記式質問紙である。MMQは、良好な信頼性と妥当性を示した。MMQのオランダ版の精神測定品質も満足できるものであることが判明した(Arrindell,Boelens,& Lambert. 1983)。スコアが高いほど、不満が大きいことを表す。
【0271】
FSFI
女性の性機能のレベルが、女性性機能指数(Female Sexual Function Index)(FSFI; Rosen,Brown,Heimanら,2000)によって評価される。このFSFI(登録商標)は、19の設問からなる自記式質問紙である。この尺度には6つの領域:欲求、興奮、潤滑、オルガズム、満足、および疼痛が含まれる。総スコアの範囲は2〜36であり、スコアが低いほど性機能の悪化を示す。FSFIの精神測定品質は満足できるものである(Wiegel,Meston,& Rosen. 2005)。性的不満を持つ、また持たないおよそ350人の女性からなるオランダサンプルに基づけば、FSFIの内的整合性および安定性は、満足から良好までであることが判明した。性機能のある女性と性機能障害の女性の間のFSFIの識別能は、性的不満の有無の推定能と同様に優れたものであった(ter Kuile,Brauer,& Laan,2006)。
【0272】
FSDS−R
性機能障害による女性の個人的苦痛のレベルは、改訂版女性性的苦痛尺度(Female Sexual Distress Scale−Revised)(FSDS−R(登録商標);Derogatis,Clayton,Lewis−D’Agostinoら,2008)によって評価される。
【0273】
これらの項目は、最近30日間の負の感情、および煩わしい問題または苦痛を生じる問題について質問するものである。FSDS(登録商標)(12項目版)の信頼性および妥当性は、性機能のある女性および性機能障害の女性の種々のサンプルで評価された。このFSDS(登録商標)では、結果は一次元因子構造、高度の内的整合性、および再検査信頼性を示した。FSDS(登録商標)は、3回の妥当性試験のそれぞれで、性機能障害の女性と性機能のある女性との間で高度の識別を示した。オランダサンプルでの結果は、FSDSの一次元構造ならびにその信頼性および精神測定的妥当性を裏付けた(ter Kuile,Brauer,& Laan,2006)。妥当性確認済みのFSDS(登録商標)に追加設問(設問13)が加えられた。この設問は、特に性的欲求に関連する苦痛に関するものである。性的苦痛の最大レベルを示すFSDS−R(登録商標)の最大総スコアは「52」である。FSDS−R(登録商標)総スコアと設問13スコア単独の両方を分析する。
【0274】
性的満足指数(ISS)
女性の性的満足のレベルが性的満足指数(Index of Sexual Satisfaction)により評価される(ISS; Hudson,Harrison,& Crosscup. 1981)。この25項目の質問紙は、被験者に自分の性的関係の様々な側面を評価してもらうものであり、0〜100の範囲となる合計スコアが導き出される。高いスコアほど大きな性的満足に相当する。この尺度は、様々なサンプルで良い面、すなわち、収束的および識別的妥当性を有することが示されている。項目例としては、「自分のパートナーは自分達の性生活を楽しんでいると感じる」、「セックスはすばらしいものだと思う」、および「自分のパートナーは大変性的活力に満ちている」などである。本試験のため、このISSをオランダ語に翻訳する。
【0275】
SDI−II
女性の性的欲求のレベルが性的欲求尺度(Sexual Desire Inventory−II)(SDI−II; Spector,Carey,& Steinberg. 1996)によって評価される。このSDI−IIは、2本の7項目自記式尺度、すなわち、パートナーとの性行為に対する個人の欲求を評価する二者性的欲求尺度(Dyadic Sexual Desire scale)と、自己性愛的性行為に対する個人の欲求を評価する個人性的欲求尺度(Solitary Sexual Desire scale)からなる。この2本の各尺度は内部一致していた(クロンバックのα:二者尺度=0.86;個人尺度=0.96)。
【0276】
性的興奮/性的抑制(SESII−W)
女性用性的抑制/興奮尺度(Sexual Desire Inventory for women)(SESII−W; Graham,Sanders,& Milhausen. 2006)を用い、性的興奮と性的抑制に関する個人の傾向を評価する。これは、性的抑制および性的興奮に影響を及ぼし得る刺激状態、または興奮性および抑制についての一般陳述に触れた36項目からなる。これらの指示は、その時の最も典型的な反応であると思われるもの、またはその項目が自分に当てはまらない場合には、自分が反応することをどう思うかを報告してもらうというものである。項目は「全く同意できない」から「非常に同意できる」までの4点リッカート評定尺度で評価する。SESII−Wは8つの低次因子を含み、それらは2つの高次因子、すなわち、性的興奮および性的抑制に負荷をかける。この質問紙は良好な再検査信頼性と収束的および識別的妥当性を示し、性的興奮および性的抑制は比較的独立した因子であると思われる。この一覧は既にオランダで使用されているが、精神測定的特性はまだ検討されていない。
【0277】
有効性薬力学的試験
コンピュータ検査
単一標的潜在的連合課題(Single target Implicit Association Task)(StIAT):
Wigboldusら(2005)に従い、本試験に用いるstIATは、被験者の、性的刺激との感情的連合を評価するように設計されている(Brauer,van Leeuwen,Janssenら,投稿中)。被験者に、性行為を描写する画像(すなわち、標的刺激)および「ポジティブ」または「ネガティブ」な意味を表す言葉(すなわち、属性刺激)を、キーボード上の左または右応答キーだけを押すことにより、できるだけ速やかに適当な上位カテゴリー(すなわち、「セックス」、「ポジティブ」、「ネガティブ」)に分類するように指示する。これらのカテゴリーに用いるこれらのラベル(セックス、ポジティブ、ネガティブ)は、常にコンピュータスクリーンに表示されている。stIATは、練習ブロックと試験ブロックの組合せからなる(詳細な方法論は、Greenwald,McGhee & Schwartz. 1998を参照)。試験ブロックは、試験の「不一致」ブロック1つと「一致」ブロック1つからなる。不一致ブロックでは、「セックス」と「ネガティブ」が1つのキーに、そして、「ポジティブ」が他方のキーに配置されるが、一致ブロックでは、「セックス」と「ポジティブ」が同じキーに、そして、「ネガティブ」が他方のキーに配置される。これら2つの試験ブロック間の反応時間の違いは、セックスがポジティブまたはネガティブのいずれとより強く結びついているかを表すと予想される。一致ブロックの応答が速ければ(他方のブロックに比べて)、ポジティブとセックスの間の結びつきがより強いことを表し、不一致ブロックの応答が速ければ、ネガティブとセックスの間の結びつきがより強いことを表す。応答キーを共有する標的−属性の組合せ(すなわち、ブロック順序)、および左または右キーの応答要件は釣り合いが取れるようにする。各批判ブロックは40の設問からなり、その応答は2つの応答キーに等分した。標的カテゴリーは、International Affective Picture System (IAPS; Center for the Study of Emotion and Attention,1995)から得た、下記の番号:4800、4652、4658、4659、および4672の5例の性的画像刺激からなる。属性カテゴリーは、一般にポジティブな言葉20語と一般にネガティブな言葉20語からなり(Dotsch & Wigboldus,2008; Dotsch,Wigboldus,Langnerら,2008)、従って、セックスとのより包括的な感情的連合を表す。これらの言葉は長さおよび頻度を管理した。妥当性に関して、stIATの強度は二律背反カテゴリーによる効果量の高さにあり、多くの場合、反応時間が遅くなる(考慮すべきいくつかの可能性があるので、カテゴリー化の判断には努力を要する)。
【0278】
画像連想課題(Picture Association Task)(PAT)
van Leeuwen and Macrae (2004)により開発されたこの課題は、感情的プライミング課題(例えば、Bargh,Chaiken,Govenderら,1992; Fazio,Sanbonmatsu,Powellら,1986; Hermans,De Houwer,& Eelen,1994)に基づくものであり、この感情プライミング課題では、ターゲットワードの前に、そのターゲットワードのカテゴリー化速度に影響を及ぼす別の言葉または画像がくる。しかしながら、PATでは、ターゲットワードと画像が同時に現れる。本試験に用いるPATでは、被験者に、性的な画像またはニュートラルな画像と重ね合わせてポジティブな単語またはネガティブな単語を示す(Brauer,van Leeuwen,Janssenら,投稿中)。被験者には、2つのコンピュータキーのうち1つを押すことによって、それらの言葉をポジティブまたはネガティブとしてできるだけ速くカテゴリー化するように指示する。さらに被験者に、背景画像はこの課題には重要でなく、画像刺激が属するカテゴリー(性的、ニュートラル)は問題にしないので背景画像に注意を払うことなく、スクリーンに現れた言葉に集中するように指示する。従って、このPATでは、作業性能に対する画像背景刺激の感情価の無意識な影響を捉える。それらの言葉(ポジティブまたはネガティブ)に対して適正な応答を選択する時間は、その言葉の価数と背景画像(性的またはニュートラル)の価数との間の合致に左右され、それにより、被験者にとっての画像の価数が間接的に明らかとなる。言葉のカテゴリーはポジティブな言葉10語とネガティブな言葉10語からなる。stIATの場合、一般的なポジティブな単語およびネガティブな単語(例えば、平和、尊敬、戦争、敵意)が選択されるが、PATは、言葉の内容と性的画像によって誘発される内容との概念的重なりを作り出すために、性的状況に適用できるがもっぱら性体験に言及しないポジティブな単語およびネガティブな単語(例えば、楽しい、すばらしい、不潔、嫌悪)からなる。これらの言葉はオランダでのパイロット試験から採用し、その試験では、女性被験者(N=20)に各ポジティブな単語およびネガティブな単語について7点リッカート尺度で、それがそれぞれポジティブまたはネガティブな性的状況をどれだけ描写したかを示してもらった(Brauer & Laan,2008)。予測による応答を回避し被験者に確実に画像に目を移動させるようにするために、これらの言葉は画像上の無作為化された4箇所のうち1箇所に現れる。性的画像は、性交疼痛症の女性における性的刺激との潜在的連合に関する別の試験から採用した(Brauer,de Jong,Huijdingら,2009)。これらの画像は様々な性行為を示す(例えば、キス、クニリングス、フェラチオ、性交)。各性的画像を基に、性的画像をスクランブルさせてニュートラルな刺激を残すことによって対照画像を作成した。画像は全て600×480ピクセルに標準化し、明るさとコントラストを合わせる。各刺激は、被験者が判断を下すまでまたは3,000msが経過するまでスクリーンに留まる。10回の練習設問の後、80回の設問を提示する。各言葉は性的画像およびニュートラルな画像と無作為に対を作るので、ポジティブな単語と性的画像、ネガティブな単語と性的画像、ポジティブな単語とニュートラルな画像、ネガティブな単語とニュートラルな画像という4つの異なる組合せができ、それぞれ20回提示する。設問の提示順序は被験者内で釣り合いが取れるようにし、応答キーの配置(すなわち、ポジティブ/ネガティブまたはネガティブ/ポジティブ)は被験者間で釣り合いが取れるようにする。コンピュータが各応答の精度と待ち時間を記録する。妥当性については、PATの強度は、stIATの場合と同様に、同時に異なる刺激カテゴリーに注意を払う必要があるために、あり得る解釈の偏りに対する感度が低いということである。
【0279】
ドット探査課題(Dot probe task)(DOT)
ドット探査課題(DOT)は、性的およびニュートラルな視覚刺激に対する注目選択を評価する。この課題では、被験者は、コンピュータスクリーン上で横に並んだ2つの画像を500ms間見せられる。これら2つの画像が消える際に、それらの画像のうち一方の代わりに、小さいなドットで表された標的刺激が現れる。被験者には、そのドットの場所(側)を示してもらう。1)ニュートラルとニュートラル、2)ニュートラルとセックス、ニュートラルの下にドット、3)ニュートラルとセックス、セックスの下にドット、3つのカテゴリーに関して平均RTを算出する。ある種の刺激の代わりにドットが現れる場合に反応時間が速ければ、これは注意の偏りを示す。
【0280】
精神生理学的検査
性器応答(VPA)
精神生理学的検査は、性器応答(膣脈振幅)の評価と、自己誘発性エロティック空想(3分)、低強度エロティックフィルムクリップ(5分)、および高強度エロティックフィルムクリップ(5分)に対する性的過程の主観的な性的興奮の評価からなる(Laanら,準備中)。これらのエロティック状態は、被験者をベースラインに戻らせるための集中的課題(簡単な計算問題)を完了する間の、刺激間の様々な間隔によって分断される。エロティック刺激検査には、ベースラインレベルを確立するために8分のニュートラルなフィルムが先行する。VPAは、Sintchak and Geer (1975)が最初に開発した器具を基にBert Molenkamp (Technical Support,Department of Psychology,University of Amsterdam)が開発した膣フォトプレチスモグラフィーを用いて測定される。光源(3mm LED、λ=620nm)および光センサー(Texas Instruments TSL250)は100バッチで生産し、これにより、本明細書で使用される全てのフォトプレチスモグラフィーはほぼ等しい電子工学的特徴を有することになる。信号調整増幅器は、12dB/オクターブ、0.7Hzフィルターを用いて、直流成分からVPAを分離する。VPAのさらなる濾波は、24dB/オクターブ、0.4Hzハイパスである。VPA信号は、Windows(登録商標) 2000 PCシステム上で実行されるKeithley KPCI3107 A/Dコンバーターを用いて100Hzでデジタル化される。探針の深さおよび光源の向きは、光センサーの5cm以内でケーブルに取り付けられた装置(9×2cmのFDA承認パースペクスプレート)により制御される。被験者に、この探針をプレートが陰唇に触れるまで挿入するように指示する。探針およびプレートは、標準的な部門プロトコルに従って滅菌する。
【0281】
性的感情および情動(SAQ)
エロティック刺激の前と直後に被験者は、性的興奮(クロンバックのα=0.87);性器感覚(クロンバックのα=0.96);官能性(クロンバックのα=0.73);ポジティブな情動(クロンバックのα=0.93);およびネガティブな情動(クロンバックのα=0.65)の5つの尺度からなる、性的刺激中の性的感情および情動を評価する質問紙に書き込む。各設問は、「フィルムの間、私は次のように感じた」という文が前にあり、その後、例えば、快感;困惑;性器脈動または拍動;性的に興奮したなどのポジティブ、ネガティブ、肉体的または性的な体験が記載される。これらの項目は、1(全くない)から7(強い)の尺度で評価される。
【0282】
急性女性性的欲求(AFSDQ)
精神生理学的検査の前後に被験者は急性女性性的欲求質問紙(Laan,Heiman、未発表)に書き込む。この質問紙はエロティック刺激への性的関心を評価し、後天的HSDDを有する女性と性機能のある対照を識別するために示されたものである(Laanら,準備中)。
【0283】
統計学的方法
薬物動態パラメータの算出
・実測値からC
min、C
max、およびt
maxを採取する。これらの値を、治療対象のテストステロン投与時間に対して求める。
・濃度曲線下の面積(AUC)を、台形公式を用いて0〜24時間の時間間隔ならびにBID投与間隔で推定する。
・本発明のテストステロンゲル製剤およびプラセボの1日目の晩投与後と、本発明のテストステロンゲル製剤、プラセボおよびイントリンサ(登録商標)パッチ(1日目に適用された)の3日目の晩投与後のPK評価−AUC、総および遊離テストステロン、DHT、エストラジオール、SHBGの濃度。C
avg、C
min、C
max、t
max、AUC
0−t、PTF、およびPTSの分析。C
avgは12時間ならびに適当であればτで算出する。イントリンサ(登録商標)に対する被験者では、24時間算出を行う。
・投与間の平均濃度(C
avg)はAUCから、下式:C
avg=AUC
0-τ/τ(ここで、τ=投与間時間)を用いて算出する。
・ピーク値トラフ値変動(Peak Trough Fluctuation)(PTF)およびピーク値トラフ値振幅(Peak Trough Swing)(PTS)は次のように算出する。
PTF=(C
max−C
min)/C
avg
PTS=(C
max−C
min)/C
min
・血漿テストステロン濃度が70ng/dlの基準範囲を上回るパーセント時間、その範囲内あるパーセント時間、および下回るパーセント時間を算出する。
【0284】
薬力学的データの統計分析
stIAT:
不適当応答を分析から除外する。さらに、300msより短いまたは3000msより長いRTも分析から除外する。stIATデータに関しては、Wigboldus、Holland & van Knippenberg (2005)の後に、各被験者について、一致ブロックおよび不一致ブロックの属性項目に対する適正な応答の潜時応答中央値が用いられる。この後、これら2つの試験ブロックの反応時間中央値が相互に差し引かれて、stIAT効果が得られる(すなわち、stIAT効果=中央値(セックス/ネガティブ)−中央値(セックス/ポジティブ))。ネガティブなstIAT効果は、性的刺激との比較的強いネガティブな結びつきを示す。
【0285】
stIAT効果は、固定因子として処置、群(HSDDおよびSA)および処置×群の相互作用を用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0286】
PAT:
適正な応答の潜時応答中央値は、van Leeuwen and Macrae (2004)に従って算出する。ポジティブな単語およびネガティブな単語に対するベースライン反応に関して補正を行うために、性的画像に重ね合わせたポジティブな単語に対するRTから性的画像に重ね合わせたニュートラルな語に対するRTを差し引くことによって差のスコアを算出する。同じことを性的画像とニュートラルな画像に重ね合わせたネガティブな単語についても行う(すなわち、セックス/+=RT(セックス/ポジティブな単語)−RT(ニュートラル/ポジティブな単語)およびセックス/−=RT(セックス/ネガティブな単語)−RT(ニュートラル/ネガティブな単語。セックス/+<セックス/−=セックスとの無意識下のポジティブな結びつき)。
【0287】
これら2つのPAT変数(RTポジティブおよびRTネガティブ)を、固定因子として処置、群(ANOR)および群×処置を用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0288】
DOT:
各被験者について、セックスの下にドットを付したニュートラル・セックスカテゴリーに対する平均RTとニュートラルの下にドットを付したニュートラル・セックスカテゴリーに対する平均RTの間の差を算出してDOT効果を得る(すなわち、DOT効果=ニュートラルの下にドットを付したニュートラル・セックスの平均−セックスの下にドットを付したニュートラル・セックスの平均)。DOTスコアが高いほど、性的刺激に対して相対的に強い注意を示す。
【0289】
DOT効果を、固定因子として処置、群(ANOR)および処置×群の相互作用を用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0290】
VPA:
Bert Molenkamp(Technical Support、Department of Psychology、University of Amsterdam)により開発されたコンピュータプログラムで行ったVPAの人工的削除後に、各残留脈動に関してパルスピーク/トラフ振幅を算出する。いくつかの条件:ニュートラルフィルム(8分)、自己誘発性エロティック空想(3分)、低強度エロティックフィルムクリップ(5分)および高強度エロティックフィルムクリップ(5分)の間、30秒ごとにVPAの平均を求める。全ての条件を、鼻腔ゲル適用の0.5時間後に1回と鼻腔ゲル適用の4.5時間後に1回の、2回申し入れる。
【0291】
エロティックな空想、低強度フィルムおよび高強度フィルムの間のVPAを個別に分析し、異なる瞬間(投与0.5時間後と4.5時間後)も個別に分析すると、6種の分析となる。ある条件およびある瞬間のVPAは、固定因子として処置、群(ANOR)、時間、群×処置、処置×時間、および変量因子として被験者、ならびに共変量としてニュートラルフィルムの間の平均VPAスコアを用いた混合モデル分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0292】
SAQ:
5つのSAQ尺度のそれぞれについて、ある条件およびある瞬間の平均応答を、因子として処置、群(ANOR)および群×処置を用い、共変量として性的刺激前のスコアを用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0293】
AFSDQ:
ある瞬間の、エロティック刺激後のASFDQスコアを、因子として処置、群(ANOR)、および群×処置、ならびに共変量として性的刺激前のスコアを用いた分散分析によって分析する。対比はそのモデル内で算出する。
【0294】
分散分析の要件を満たすために必要であれば、データを対数変換する。結果は、逆転換して変化率%として報告する。
【0295】
最小二乗平均のグラフは時間×処置を評価し、それぞれ最高および最低プロファイルの上限および下限95%信頼区間を示すエラーバーとともに示す。対比の最小二乗平均を表にする。
【0296】
記載のモデルに従い、所与のデータを用いて分析が実施できない場合には、分析を調整する。有用であると思われる場合には、追加の探査分析を行う。
【0297】
安全性データの統計分析
鼻の耐用性:鼻の耐用性データを要約表に示す。統計分析は行わない。
【0298】
バイタルサインおよび臨床検査パラメータ:
全ての臨床検査値とベースラインからの変化をまとめた表を各処置群について示す。パラメータが基準範囲の±20%である場合、これらの所見の臨床的有意性が評価される。
【0299】
この分析の結果を
図2、3および7、8に示す。
図3、9〜11は、無オルガズム症またはHSDDを有すると診断された被験者における本発明のテストステロンゲル鼻腔製剤の効果間の結果を示す、または比較したものである。
【0300】
実施例9
53人の無オルガズム症女性および本発明の3種の異なるテストステロン生体接着性ゲル製剤(実施例1〜5で報告されるように、ゲル製剤の0.15重量%、0.45重量%および0.6重量%のテストステロン)に関する薬物動態(「PK」)および薬力学的(「PD」)試験
目的:
図14に示されるように、このPKおよびPD試験は、無オルガズム症を有する女性において、プラセボとの比較により、本発明の各テストステロン生体接着性ゲル製剤(実施例1〜5で報告されるように、ゲル製剤の0.15重量%、0.45重量%および0.6重量%のテストステロン)の単回投与後の、血清テストステロン薬物動態プロファイルと、膣脈振幅(「VPA」)の尺度となる薬力学的応答を評価することである。
【0301】
方法:
このプラセボおよび実薬対照PKおよびPD試験には、合計12人の無オルガズム症を有する女性(n=12)が含まれる。各女性は、異なる4日に、単位用量シリンジによって各鼻孔に100μlの4種の異なる単回鼻腔内用量を投与される(すなわち、この試験の12人の女性は各々、TBS−2高用量(1.2mg−0.6重量%テストステロン−0.6mg/100μl/鼻孔)、TBS−2中用量(0.9mg−0.45重量%テストステロン−0.45mg/100μl/鼻孔)またはTBS−2低用量(0.3mg−0.15重量%テストステロン−0.15mg/100μl/鼻孔)およびプラセボTBS−2(無オルガズム症コホート)を投与される。鼻腔内投与後、最初の12時間の間に各女性からPK血清アンプルを頻繁に採取する。初期の薬力学的有効性は、膣脈振幅(VPA)を用いて調査する。VPAは、膣への血流(充血)の指標である。安全性は、PKおよびPD試験期間を通してモニタリングする。
【0302】
結果:
PK結果は、用量レベルの上昇に伴って血漿テストステロンレベルの上昇が起こることを示す。
図14参照。投与から0〜12時間後の血漿テストステロンの平均濃度は:(a)TBS−2高用量(1.2mg−0.6重量%テストステロン−0.6mg/100μl/鼻孔)−投与から最初の約100分後で約70ng/dL、投与から最初の約250分後で約50ng/dL、投与から約350分以降で約40ng/dL;(b)TBS−2中用量(0.9mg−0.45重量%テストステロン−0.45mg/100μl/鼻孔)−投与から最初の約25分後で約55ng/dL、投与から最初の約250分後で約35ng/dL、投与から約350分以降で約35〜30ng/dL;および(c)TBS−2低用量(0.3mg−0.15重量%テストステロン−0.15mg/100μl/鼻孔)−投与から最初の約100分後で約28ng/dL、投与から最初の約250分後で約23ng/dL、投与から約350分以降で約20ng/dLである。
【0303】
3つのTBS−2有効成分含量それぞれの単回投与後のテストステロンについてのテストステロンC
maxおよびC
avgは、女性の正常テストステロン血清レベルを超えない(3〜80ng/dL)。
【0304】
全てのTBS−2有効成分含量で、単回投与後、テストステロンレベルはベースラインに戻る。
【0305】
本試験のPD側面に関しては、投与後0.5時間および4.5時間の時点において、プラセボに対し、各TBS−2有効成分含量について、女性のVPA応答に有利な統計的有意差がある。
【0306】
結論:
現在のところ考えられるのは、本発明のTBS−2経鼻用テストステロン生体接着性ゲルは、(i)prn方式で、すなわち、必要に応じて、特有の方法で摂取することができ、(ii)理想的な安全性プロファイルを有し、すなわち、アンドロゲン関連の副作用がないものと思われ、テストステロン薬物負荷が低く、(iii)テストステロン移行のリスクを与えないということである。
【0307】
実施例10
56人の無オルガズム症を有する女性の振動触覚刺激試験(「VTS」)
目的:
56人の無オルガズム症を有する女性において、高用量TBS−2(実施例1〜5で報告されるように、1.2mg−0.6重量%テストステロン−0.6mg/100μl/鼻孔)の単回投与が及ぼす、投与後0.5時間、2.0時間、4.0時間および8.0時間の時点でのオルガズムへの影響を検討すること。この試験のもう1つの目的は、TBS−2鼻腔内投与後のオルガズムまでの時間およびオルガズムの質を評価することである。さらに、このVTS試験の目的は、高用量TBS−2が興奮、官能性および性器刺激に及ぼす影響を判定すること、ならびに安全性を評価することである。
図15参照。
【0308】
方法:
このVTS試験は、視覚による性的刺激と組み合わせた振動触覚刺激を用いた、単一施設、無作為化、単盲検、プラセボ対照、5群並行群間試験である(n=56)。
図15参照。
【0309】
このVTS試験プロトコルに従って、各女性に高用量TBS−2(1.2mg−0.6重量%テストステロン−0.6mg/100μl/鼻孔)の鼻腔内単回投与を行う。
【0310】
このVTS試験についての人口統計を示す。
図15参照。
・59人の女性を無作為化し、56人が試験を完了した
・3人は全てプロトコル違反のために脱落
・平均年齢27.8歳
・87.5%が原発性無オルガズム症、12.5%が続発性無オルガズム症
・無作為化された被験者全員が結婚生活の質と抑鬱(Martial Quality and Depression)の参加基準を満たした
・3%の患者(97人中3人)は来院2の際にオルガズムのために除外した
【0311】
結果:
図16に示されるように、プラセボと比べて、高用量TBS−2による治療を受けた女性にオルガズムの報告が多い。実際には、治療期後4週間の間に、プラセボを受けた女性ではオルガズムがなかったのに対し、高用量TBS−2による治療を受けた女性8人は合計8回のオルガズムを報告している。治療期については、プラセボを受けた女性では2回のオルガズムであったのに対し、高用量TBS−2による治療を受けた女性8人は合計4回のオルガズムを報告している。
図16参照。
【0312】
さらなるVTS試験結果と所見として以下のものがある。
・オルガズムまでの時間は、高用量TBS−2の投与後12.17分から18.22分までの範囲である。
・TBS−2の投与を受けた女性によるオルガズムは、プラセボの投与を受けた女性によるオルガズムと比べて、心地よく強いことが報告されている。
・プラセボと比べて、TBS−2女性に興奮が大きいという報告が多い(16.7%に対して83.3%)。
図17および
図18参照。
・TBS−2女性は性欲の高まりを報告している(AFSDQスコア)。これについても
図17および
図18を参照。
・TBS−2では刺激に対する陽性応答がより顕著である。
図18参照。
・実施例9で報告したように、TBS−2高用量、中用量および低用量とプラセボとの間ではVPAに統計的有意差がある(ベースラインからの平均変化)。
・総テストステロンレベルは正常値の上限まで上昇する(平均約66.7ng/dL)。
・平均遊離テストステロンレベルは約6.35pg/mLである(長期治療では約3.1〜4.0pg/mLに達する)。
・他の所見−患者のフィードバック
(a)女性は在宅設定を好む
(i)病院設定、試験者について考え、集中できない
(ii)その設定のため、まだ少し緊張がある
(iii)在宅がよりよい設定である
(iv)在宅では、よりリラックスする
(v)姿勢による運動制限が少ない
(b)一部の女性にとって重要なパートナーの関与
(i)実生活のパートナーを伴うほうがよいと思われる
(ii)彼が(パートナー)でありその場にいないことに罪の意識を感じた
(iii)男性を伴うほうがよい
【0313】
安全性:
・重篤な有害事象なし
・合計18例の有害事象が報告された
(i)軽度で、試験終了により消散
(ii)5例は治験薬との関連なし
(iii)3例は原因不明(関連の可能性あり)
(iv)進行中の治療と有害事象との関連なし
(v)プラセボでは、有害事象を報告した女性は50%であったのに対し、TBS−2では19.1%であった
・内分泌学的結果(SHBG、アルブミン、ヘモグロビン(Hemogolobin))に差はない
【0314】
結論
・適切な陰核刺激だけでは無オルガズム症を治療するには十分でない
・実施例10および実施例11のデータは、効果的な刺激に加えてのTBS−2薬剤介入の奏功を示している
・TBS−2データは、投与後2時間〜8時間の間の陽性応答を示す
・TBS−2は、prnを投与した場合、女性の性的応答を誘発、増強すると考えられる
・TBS−2は、総テストステロンレベルおよび遊離テストステロンレベルを正常範囲に維持すると考えられる
・TBS−2は安全であると考えられ、長期テストステロン治療で一般的に見られる有害事象は認められない
・快適な環境(在宅設定)とパートナーの相互作用がオルガズム達成の一端を果たし得る
【0315】
実施例11
1.表題
健康な閉経前女性被験者における3つの用量レベルでの鼻腔内テストステロンゲル(TBS−2)の非盲検単回および多回投与
2.概要
主要目的は、600μg、1200μgおよび1800μgの用量でのTBS−2の鼻腔内アプリケーションの単回投与後、ならびに1日3回(t.i.d.)で3日間与える1200μgのTBS−2の多回投与後に得られる薬物動態(PK)プロファイルによって、総テストステロンのバイオアベイラビリティを評価することである。TBS−2は生体接着性鼻腔内テストステロンゲルである。
【0316】
副次目的は、600μg(0.24%)、1200μg(0.48%)および1800μg(0.72%)の用量でのTBS−2の鼻腔内アプリケーションの単回投与後、ならびに3日間(最初の2日間はt.i.d.、3日目は朝に1回)与える1200μg(0.72%)TBS−2の多回投与後に得られるPKプロファイルによって、遊離テストステロン、ジヒドロテストステロン、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)およびエストラジオールのバイオアベイラビリティを評価すること、ならびにTBS−2の安全性を評価することである。
【0317】
A.
治験方法
これは健康な正常月経周期の成人女性におけるTBS−2の安全性、忍容性およびPKを評価するために設計された、単一施設、無作為化、非盲検並行群間第I相試験であった。被験者は、1期の間に3つの治療群(コホート1、コホート2またはコホート3)の1つに1:1:1で無作為に割り付け、600μg、1200μgまたは1800μg用量でのTBS−2の鼻腔内アプリケーションの単回投与(鼻孔当たり300μg、600μgおよび900μgの単回投与)を行った。1期の終わりに、これら3つのコホートから抽出した、本試験の多回投与部分を続ける意思がありかつそれが可能である、合計8人の被験者を選んで2期に参加させた。2期では、被験者に1200μg TBS−2(鼻孔当たり600μg)のt.i.d.2日間と3日目の朝に1回の投与を行った。被験者は、1期での投与の3週間前まで適格性についてのスクリーニングを受け(来院1)、投与前日の7時に臨床研究施設(CRU)へ収容された(来院2、1日目)。2日目に、被験者はTBS−2の単回投与を受け、安全性モニタリングとPK評価のために投与後72時間CRUに残った(4日目)。2期では、被験者は投与当日の7時にCRUへ収容された(来院3、1日目)。1日目と2日目に、被験者に8時(±30分)、16時(±30分)および24時(±30分)にTBS−2を投与した。3日目に、被験者に8時(±30分)にTBS−2を投与した。
【0318】
1期では、テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロン(DHT)およびエストラジオールのベースライン濃度の決定のための血液サンプルを、1日目の7時45分と、その後、8時を基準に15分、30分および45分の時点と、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、20時間および23.5時間の時点で採取した。テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロンおよびエストラジオールの血漿濃度の決定のための血液サンプルは、拘束期間の間、2日目(投与後15分、30分および45分と、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間および20時間)および3日目(投与後24時間、32時間、40時間および48時間)に採取した。
【0319】
2期では、テストステロン(遊離および総)、SHBG、DHTおよびエストラジオールのベースライン濃度の決定のための血液サンプルを、7時45分(すなわち、治験薬投与15分前)に採取した。テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロンおよびエストラジオールの濃度の決定のための血液サンプルは、拘束期間の間、1日目(投与前[投与15分前]と15時45分および23時45分)、2日目(15時45分および23時45分)、3日目(15分、30分および45分と、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間および20時間)および第4日(24時間、32時間、40時間および48時間)に採取した。
【0320】
本試験中に行った他の評価には、有害事象(AE)のモニタリング、臨床検査値の評価(化学[ホルモンプロファイルを含む]、血液学および尿検査)、バイタルサインの評価(収縮期および拡張期血圧[BP]、心拍数[HR]、呼吸数[RR]および体温)、ならびに身体検査を含んだ。加えて、耳鼻咽喉科学的検査所見、12誘導心電図(ECG)測定値、病歴および併用薬の使用を記録した。
【0321】
B.
被験者数(計画時および分析時)
計画時:合計24人の被験者を登録するように計画した。
登録時:合計24人の被験者を登録し、1期での治療に、コホート1に8人、コホート2に8人、コホート3に8人と、無作為に割り付けた。これら3つのコホートからサンプリングした、本試験の多回投与部分を続ける意思がありかつそれが可能である、合計8人の被験者を選んで2期に参加させた。
分析時:24人の被験者全員を安全性分析に含め、24人の被験者をPK分析に含めた。
【0322】
C.
診断および主要な選択基準
閉経前の、18歳〜40歳(両端を含む)の健康な正常月経周期を持ち、体格指数(BMI)が18.5〜35kg/m
2(両端を含む)であり、選択基準の全てを満たし、除外基準に該当せず、インフォームド・コンセントが得られた女性を試験に含めた。
【0323】
D.
治験薬、用量および投与方法、バッチ番号
この試験に使用したTBS−2は、各鼻孔にテストステロン300μgの単回鼻腔内用量を送達するための0.24%テストステロンゲル(コホート1)、各鼻孔にテストステロン600μgの単回鼻腔内用量を送達するための0.48%テストステロンゲル(コホート2[単回投与]および多回投与群)、および各鼻孔にテストステロン900μgの単回鼻腔内用量を送達するための0.72%テストステロンゲル(コホート3)を予め充填したディスペンサーで供給される鼻腔内テストステロンゲルであった。この試験に使用したTBS−2原薬のロット番号はIMP11008、IMP11009およびIMP11010であった。
【0324】
この治験に使用する3種の異なる濃度の製剤の組成は下記のCMCセクションおよび表3.2.P.1−1−3に示す。
【0325】
E.
治療期間
本試験は、コホート1、コホート2およびコホート3に対して1期間を必要とし、スクリーニング開始から試験後の来院までの各被験者の参加期間はおよそ25日であった。この試験は、多回投与群に対しては合計30〜36日となる2期間を必要とした。
【0326】
F.
評価基準
安全性:安全性は、本試験期間を通して評価し、AEのモニタリング、臨床検査値の評価(化学[ホルモンプロファイルを含む]、血液学および尿検査)、バイタルサイン、ならびに12誘導ECGを含めた。身体検査および耳鼻咽喉科学的検査を行い、病歴および併用の使用を記録した。
【0327】
薬物動態:テストステロン(遊離および総)、SHBG、DHTおよびエストラジオールの血漿濃度の決定のための全血サンプルを特定の時点で採取した。実際のサンプリング時点を記録し、PK算定に用いた。テストステロン(遊離および総)、SHBG、DHTおよびエストラジオールの薬物動態パラメータは、データが許容される全ての被験者について、標準的なノンコンパートメント法により算出した。単回投与コホート(コホート1、コホート2、およびコホート3)を追跡する、テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロンおよびエストラジオールの血漿濃度について評価するPKパラメータとしては、0時間から最終測定可能濃度時間までの血漿濃度時間曲線下面積(AUC
0−t)、0時間から無限大時間までの血漿濃度時間曲線下面積(AUC
0−∞)、投与後に観察された最高濃度(C
max)、投与時点に対する観察されたC
maxの時間(t
max)、終末消失速度定数(l
z)および消失半減期(t
1/2)を含んだ。多回投与コホートを追跡するテストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロンおよびエストラジオールの血漿濃度について評価するPKパラメータとしては、0時間から投与間隔までの濃度−時間曲線下面積(AUC
0−τ、この場合、τ=8時間)、C
max、t
max、多回投与の際の投与間隔での最低濃度(C
min)、定常状態で投与直前に測定した投与前濃度(C
pd)、平均定常状態濃度(C
avg)、ピーク値トラフ値変動%(PTF)およびピーク値トラフ値振幅%(PTS)を含めた。
【0328】
G.
統計手法
この試験によりPK特性ならびにTBS−2の安全性および耐用性を評価した。検出力の算出は行わなかった。この試験の症例数は統計的仮説検定に基づいて決定したものではなかった。典型的な初期PK試験に基づいて、各コホート当たり8人の被験者から、試験の目的を満足するのに十分な臨床情報が得られた。治療群および全体で、各安全性変数についての記述統計量(症例数、平均、中央値、標準偏差[SD]、最小および最大)を用いることによりデータをまとめた。本試験中の全来院から得られたデータをデータ一覧に示した。
【0329】
5つの分析物(テストステロン[総および遊離]、SHBG、ジヒドロテストステロンおよびエストラジオール)についての濃度−時間データを、バリデート済みの検定方法により決定し、PKパラメータを算出した。実際のサンプリング時点を記録し、PK算定のために、投与からサンプリングまでの実際の経過時間の算出に用いた。各投与は各鼻孔に対して行ったため、投与時間は最初の鼻孔投与の時間とした。PKパラメータの算出前に、投与24時間前プロファイルから得たベースライン分析物濃度を、投与後の、時間が一致する分析物濃度から差し引いた。
【0330】
PK集団の各被験者のプロファイルについては、WinNonlin(Pharsight Corporation)を用いることにより各PKパラメータを推定し、データ一覧に示した。記述統計量(平均、SD、%変動係数[CV]、信頼区間(CI)、中央値、最小および最大)を用いることによりデータをまとめ、治療群ごとに示した。AUCおよびC
maxの推定値については幾何平均を含め、一部の他のPKパラメータにも幾何平均を含めた。SAS(登録商標)の一般化線形モデル(GLM)手法を用いることにより、自然対数(ln)変換パラメータAUC
0−t、AUC
0−∞、AUC
0−τ、C
avgおよびC
maxに対し、また、未変換パラメータt
1/2およびλ
zに対して、有意水準0.05で分散分析(ANOVA)を行った。AUC
0−t、AUC
0−∞、AUC
0−τおよびC
maxについてはANOVA残差を用いることにより被験者内CVを算出した。
【0331】
単回投与後の用量線形性(1期)を、AUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxの自然対数変換後に評価した。
【0332】
PKパラメータについての次の1期比較を行った:
・比較1:600μg(0.24%)TBS−2対1200μg 0.48%TBS−2;
・比較2:600μg(0.24%)TBS−2対1800μg 0.72%TBS−2;
・比較3:1200μg(0.48%)TBS−2対1800μg 0.72%TBS−2。
【0333】
3.表および図の一覧
表9 1:試験スケジュール
表9 2:薬物動態試料収集のスケジュール
表11 1:病歴(単回投与集団)
図19:補正遊離テストステロン濃度の平均値(単回投与集団)
図20:補正総テストステロン濃度の平均値(単回投与集団)
図21:補正ジヒドロテストステロン濃度の平均値(単回投与集団)
図22:補正エストラジオール濃度の平均値(単回投与集団)
図23:補正SHBG濃度の平均値(単回投与集団)
図24:観測される遊離テストステロン濃度の平均値(単回投与集団)
図25:観測される総テストステロン濃度の平均値(単回投与集団)
図26:観測されるジヒドロテストステロン濃度の平均値(単回投与集団)
図27:観測されるエストラジオール濃度の平均値(単回投与集団)
図28:観測されるSHBG濃度の平均値(単回投与集団)
図29:遊離テストステロン血漿濃度の平均値(複数回投与集団)
図30:総テストステロン血漿濃度の平均値(複数回投与集団)
図31:ジヒドロテストステロン血漿濃度の平均値(複数回投与集団)
図32:エストラジオール血漿濃度の平均値(複数回投与集団)
図33:SHBG血漿濃度の平均値(複数回投与集団)
図34:遊離テストステロン血漿濃度の平均値とのスパゲッティ濃度のプロット(複数回投与集団)
図35:総テストステロン血漿濃度の平均値とのスパゲッティ濃度のプロット(複数回投与集団)
図36:ジヒドロテストステロン血漿濃度の平均値とのスパゲッティ濃度のプロット(複数回投与集団)
図37:エストラジオール血漿濃度の平均値とのスパゲッティ濃度のプロット(複数回投与集団)
図38:SHBG血漿濃度の平均値とのスパゲッティ濃度のプロット(複数回投与集団)
表11 22:遊離テストステロンの概要(単回投与集団)
表11 23:総テストステロンの概要(単回投与集団)
表11 24:ジヒドロテストステロンの概要(単回投与集団)
表11 25:エストラジオールの概要(単回投与集団)
表11 26:SHBGの概要(単回投与集団)
表11 27:複数回投与プロファイルの遊離テストステロンの概要(複数回投与集団)
表11 28:ベースラインの遊離テストステロン濃度(単回投与集団)
表11 29:複数回投与プロファイルの総テストステロンの概要(複数回投与集団)
表11 30:ベースラインの総テストステロン濃度(単回投与集団)
表11 31:複数回投与プロファイルのジヒドロテストステロンの概要(複数回投与集団)
表11 32:ベースラインのジヒドロテストステロン濃度(単回投与集団)
表11 33:複数回投与プロファイルのエストラジオールの概要(複数回投与集団)
表11 34:ベースラインのエストラジオール濃度(単回投与集団)
表11 35:複数回投与プロファイルのSHBGの概要(複数回投与集団)
表11 36:ベースラインのSHBG濃度(単回投与集団)
表11 37:用量比例性の分析(単回投与集団)
表11 38:いくつかの薬物動態パラメータの分散分析(単回投与集団)
表11 39:期間1および期間2にTBS−2を1200μg有した被験者の薬物動態パラメータAUC0−8およびAUC0−24の対応のあるt検定結果
表12 1:器官別大分類および基本語による治療中に発生した有害事象の発生率(単回投与集団)
表12 2:器官別大分類および基本語による治療中に発生した有害事象の発生率(複数回投与集団)
表12 3:有害反応を有する被験者(単回投与集団および複数回投与集団)
表12 4:血液研究室による投与後に新たに異常な評価結果を示した被験者(単回投与集団および複数回投与集団)
表12 5:化学研究室による投与後に新たに異常な評価結果を示した被験者(単回投与集団および複数回投与集団)
表12 6:尿検査研究室による投与後に新たに異常な評価結果を示した被験者(単回投与集団および複数回投与集団)
表12 7:耳、鼻、および喉の基本検査の異常な結果を有する被験者(単回投与集団および複数回投与集団)
【0334】
4.略語および用語集
AE 有害事象
ALT アラニントランスアミナーゼ
ANOVA 分散分析
AST アスパラギン酸トランスアミナーゼ
AUC 血漿中濃度時間曲線下面積
AUC0−∞ 0時間から∞までのAUC
AUC0−t 0時間から最後の測定可能濃度の時点までのAUC
AUC
0−τ 複数回投与期間中の0時間から投与間隔(ここでは、τ=8時間)までのAUC
AUC
0−8 単回投与期間中の0時間から8時間までのAUC
BMI 肥満度指数
BP 血圧
BUN 血中尿素窒素
Cagv 平均定常状態濃度
CFR 連邦規則コード
CI 信頼区間
CK クレアチンキナーゼ
CL クリアランス
Cmax 投与後に観測される最大濃度
Cmin 複数回投与中の投与間隔にわたる最低濃度
ConcBase ベースライン濃度
ConcBC 補正したベースライン濃度
ConcBLQ BLQについて補正した活性投与濃度
Cpd 定常状態での投与直前に決定される投与前濃度
CRF 症例報告書
CRU 臨床研究ユニット
CS 臨床的に有意な
CV 変動係数
DHT ジヒドロテストステロン
ECG 心電図
eCRF 電子症例報告書
FDA (米国)食品医薬品局
FSD 女性の性的機能不全
GCP 医薬品の臨床試験の実施の基準
GGT γ−グルタミルトランスフェラーゼ
GLM 一般化線形モデル
HbsAg B型肝炎表面抗原
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HR 心拍数
ICF インフォームド・コンセント・フォーム
IRB 治験審査委員会
In 対数
MedDRA 医薬品規制用語集
NCS 臨床的に有意ではない
OTC 店頭販売
PD 薬力学
PI 治験責任医師
PK 薬物動態
PTF 最高最低間の変動率(%)
PTS 最高最低間のスイングの割合(%)
RR 呼吸数
SAP 統計解析計画書
SD 標準偏差
SHBG 性ホルモン結合グロブリン
t
1/2 排出半減期
tmax 投与時間に対する観測されるCmaxの時間
VPA 膣パルス振幅
λz 終末消失速度定数
【0335】
5.倫理
A.
治験審査委員会(IRB)
本試験および全ての改正は、各センターの治験審査委員会(IRB)によって審査された。その後の全てのプロトコル改正またはインフォームド・コンセントの改訂は、全ての変更が開始される前に、IRBによって承認された。
【0336】
B.
本試験の倫理行動
本試験を、ヘルシンキ宣言および現在の医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)に由来する倫理原則に従い、かつ地域の規制要件および21 CFR 312に準拠して行った。
【0337】
C.
被験者の情報および同意
被験者の情報シートおよびインフォームド・コンセント・フォーム(ICF)の形式ならびに内容は、治験責任医師(PI)、IRB、およびTrimel Pharmaceuticals Corp.(以下Trimelと呼ぶ)によって合意された。本試験に参加するための、各被験者の書面のインフォームド・コンセントを、試験の全ての具体的な手順が行われる前に入手した。本試験チームのPIまたは医学的に資格のあるメンバーは、治験薬および治療割当の方法、可能性のあるリスクおよび利点、ならびに試験関連の傷害が発生した場合に利用可能な補償もしくは治療の十分な説明を被験者に提供した。
【0338】
本試験に参加することに合意した被験者は、ICFに署名し、日付を記入した。このICFには、指定場所の担当者も署名し、日付を記入した。署名および日付のあるオリジナルのICFならびに署名および日付のある全ての改正されたICFは試験場所で保有され、これらの形式のコピーが被験者に渡された。
【0339】
6.治験責任医師および試験管理体制
この試験は、米国内の1つの治験実施場所で行われた。この治験実施場所のPIは、症例報告書(CRF)に提供されるデータの妥当性および精度に対して責任があった。CRFの完成のための権限委任は許されるが、PIはその正確な完成に対して責任があり、CRFは本試験における被験者の参加が本当にかつ正確に反映されたものであったということを完成したCRFに署名する必要があった。
【0340】
治験実施場所のPIは、プロトコルの署名ページに署名した。このページに署名することにより、PIは、試験プロトコルに従って本試験を実施することに同意し、臨床責任医師の義務に関する要件および該当する規制当局の他の全ての関連要件に従うことにも同意した。
【0341】
7.序論
TBS−2は、無オルガズム症の治療のために開発された。
【0342】
A.
背景
無オルガズム症は、性的欲求低下障害に次いで最も頻繁に報告される女性の性的な問題である。性的な態度および行動の世界的調査は、29ヶ国の40〜80歳(40歳および80歳を含む)の9000人の女性における性的な問題を評価した。オルガズムに達することができない有病率は、17.7%(北欧)から41.2%(東南アジア)の範囲であった。31,000人を超える女性のPRESIDE調査において、約10%が苦痛による欲求の低下を報告し、約5%が苦痛によりオルガズムに達することの困難さを報告している。無オルガズム症は、正常な性的な興奮段階後のオルガズムの持続性遅延もしくは反復性遅延、またはオルガズムの欠如であると考えられ、著しい苦痛または人間関係の問題を引き起こす。女性が、良質のオルガズムリリースを伴わない性行為を持つ場合、性行為は、相互に満足する親密な経験よりも面倒な作業または義務になり得る。これは、性的関心および/または人間関係の問題の二次損失にもつながり得る。
【0343】
女性において主に循環しているアンドロゲンであるテストステロンは、卵巣および副腎から分泌される天然のステロイドである。更年期のエストロゲンの急激な低下に反して、女性が年をとるにつれて、主に副腎アンドロゲン前駆体の産生の減少に起因する血清レベルのアンドロゲンは徐々に減少する。テストステロンは、気分、身体組成、および骨ミネラル密度の調節で役割を果たし、性機能に中枢効果および末梢効果を及ぼす。末梢において、テストステロンは、性的興奮時のクリトリス組織の充血および膣の潤滑のための血流の増加(vasocongestion)を刺激するために一酸化窒素を必要とする。テストステロンは、性欲を含め意欲および報酬システムに関与する様々な脳構造中のドーパミン放出を刺激する。テストステロンは、ラットにおいて基本条件下での、性的刺激による視床下部前部の内側視索前野におけるドーパミン放出を刺激することが判明した。
【0344】
女性の性欲を高めるためのアンドロゲンの使用が、最初に、Loeserによって1940年に報告された。Salmonは、自分自身を以前は「不感症」と考えていた多くの若い既婚女性が、プロピオン酸テストステロン注射後に「オルガズムで絶頂に達する、性交の満足感の著しい増加」を体験することができたが、この効果は注射の中止後数週間以内に徐々に消えていくことに気付いた。1980年代には、性機能維持におけるアンドロゲンの役割を卵巣摘出女性で試験した。この3ヶ月間の、44人の女性の前向きな非盲検試験において、エストロゲンおよびテストステロンの毎月の注射は、性的欲求の割合、性的興奮の割合、ならびにファンタジーの数を増加させた。さらに、性交およびオルガズムの割合は、対照と比較してアンドロゲンおよびエストロゲンで治療を受けた女性の方が高かった。過去20年にわたり、80を超える試験が性的欲求低下障害の女性で行われ、付随するエストロゲン療法の有無にかかわらず、経口、経皮、舌下または非経口の投与経路を介して外因性テストステロンを使用することにより、性的欲求、オルガズム、覚醒、満足できる性行為の頻度、喜びおよび反応性が増加した。
【0345】
Trimelは、賦形剤としてヒマシ油、オレオイルポリオキシグリセリド、およびコロイド状二酸化ケイ素と共に、0.24%〜0.72%のテストステロンを含む経鼻投与用テストステロンゲルを開発した。TBS−2は、各鼻孔に等しく適用される用量で投与される。この製剤は、全身循環への迅速な吸収および迅速なクリアランス、初回通過代謝の欠如、ヒトからヒトへの移動の回避、ならびに使いやすさを含む多くの有利な特徴を有する。TBS−2が、他のFSDの非存在下で、一般的な性機能、特に、無オルガズム症に直接影響を及ぼすか否かを調べることは、テストステロンの役割を調査する専用の試験プログラムにおける論理的な次のステップである。
【0346】
性的刺激と関係する扁桃体の反応性およびPDエンドポイントに対するテストステロンの効果を評価するために、2つの薬物動態(PK)試験/薬力学(PD)試験が行われた。最初のPD試験(CMO−nr:2004/144)は、アンドロゲンレベルの加齢に伴う低下が、扁桃体の活動の減少と関係するか否か、かつ外因性テストステロンが扁桃体の活性を回復できるか否かを調べた。テストステロンのレベルの増加は、個人を超えて、上前頭皮質の応答に正の相関があり、眼窩前頭皮質の応答に負の相関があり、これは、扁桃体調節におけるテストステロン誘導変化を反映し得る。これらの結果は、感情のシグナルにおけるテストステロンの調節的役割を支持し、テストステロンが、オルガズムの誘発に必要である感覚を高めるのに役立つことを示唆する。
【0347】
第2の試験(TBS−2−2010−01)は、テストステロンパッチおよびプラセボと比べた、3用量レベルのTBS−2のPKおよび性機能PDを評価した。PKの結果は、用量レベルが増加するにつれて、血漿テストステロンレベルが直線的に増加することを示した。第1のPKシリーズ中に、TBS−2の高用量群の血漿テストステロン平均濃度および血漿中濃度−時間曲線(AUC)下面積は、定常状態におけるテストステロンパッチの平均濃度およびAUCと同じレベルに達した。第2のPKシリーズ中に、TBS−2の高用量群の血漿テストステロン平均濃度およびAUCは、テストステロンパッチ群の血漿テストステロン平均濃度およびAUCよりも高いレベルに達するが、まだ正常な生理的範囲の上限内であった。性機能PD効果を、膣パルス振幅(VPA)、主観的な性的興奮についてのアンケート、および有効なコンピュータタスクにおけるテストステロンの役割を評価することによって調べた。有意差が、無オルガズム症コホートの女性におけるテストステロン投与後のVPA反応に見られた。TBS−2を受け取った女性(上記の実施例9および実施例10参照)は、テストステロンパッチを受け取った女性に比べて、性器反応および主観的な性的測定に高い反応を示した。
【0348】
本試験で調査中の製品である0.24%、0.48%および0.72%の強度のTBS−2は、生体接着性の経鼻投与用テストステロンゲルである。経皮投与(Intrinsa、両側卵巣摘出および子宮摘出を行い(外科的に更年期が誘発される)、付随するエストロゲン療法を受ける女性の性的欲求低下障害(HSDD)の治療のために、欧州連合(EU)で承認されたテストステロン経皮パッチ)とは異なり、鼻粘膜を介した生体接着性TBS−2の投与は、全身循環への迅速な吸収を可能にする。迅速な作用発現およびより高いピーク濃度は、必要とされるより低い総濃度のテストステロンで性欲およびオルガズムを高め、したがって、効果を増加させ、副作用を減少させるのにより有効であると仮定される。さらに、TBS−2は、「必要に応じて」、無オルガズム症を軽減し、したがって、テストステロンへの慢性曝露を避けるのに有効であると証明することができる。
【0349】
8.試験目的
A.
主な目的
本試験の主な目的は、600μg、1200μg、1800μgの用量でのTBS−2の鼻内投与の単回投与、ならびに最初の2日間は1日3回(t.i.d)および3日目の朝に1回与えられるTBS−2 1200μgの複数回投与後に得たPKプロファイルにより総テストステロンの生物学的利用能を評価することであった。
【0350】
B.
第2の目的
本試験の第2の目的は以下のとおりであった。
・600μg、1200μg、1800μgの用量でのTBS−2の鼻内投与の単回投与、ならびに3日間(最初の2日間はt.i.dおよび3日目の朝に1回)与えられるTBS−2 1200μgの複数回投与後に得たPKプロファイルにより、遊離テストステロン、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、ジヒドロテストステロン(DHT)、およびエストラジオールの生物学的利用能を評価すること。
・TBS−2の安全性を評価すること。
【0351】
9.治験計画
A.
全体的な設計および計画の説明
これは、健全な正常周期の成人女性における第1相、単一施設、無作為化、非盲検、並行群間試験であった。約24人の健常成人女性が登録された。被験者を、期間1の間に1〜3の治療群(コホート1、コホート2、またはコホート3)に対して1:1:1に無作為に割り当て、600μg、1200μg、または1800μgの用量でのTBS−2の鼻内投与の単回投与(鼻孔あたり300μg、600μg、および900μgの単回投与)を行った。期間1の終わりに、本試験の複数回投与部分を継続することをいとわず、かつ継続することができるこれらの3つのコホートからサンプリングした全部で8人の被験者を、期間2に参加するように選択した。期間2の間に、被験者に、2日間はt.i.dおよび3日目の朝に1回、TBS−2 1200μg(鼻孔あたり600μg)を投与した。
【0352】
被験者は、期間1での投与前の最高で3週間の間に、適格性についてスクリーニングされ(来院1)、ベースラインテストステロン測定のための投与前日の7時に臨床研究ユニット(CRU)に入院した(来院2、1日目)。2日目に、被験者は、単回用量のTBS−2を投与され、安全監視およびPK評価のために、投与後72時間の間、CRUに留まった(4日目)。被験者は、4日目に診療所から退院し、期間2へ続かない被験者も、完了評価を受けた。彼らのサイクルに応じて、期間2に参加するために選択された被験者は、来院3の期間1の終了後約26〜32日(期間2)にCRUに戻った。期間2の間に、被験者は、投与の日の7時にCRUに入院した(来院3、1日目)。1日目および2目日に、被験者に、8時(±30分)、16時(±30分)、および24時(±30分)にTBS−2を投与した。3日目に、被験者に、8時にTBS−2を投与した。被験者は、安全監視およびPK評価のために、3日目の投与後48時間の間、CRUに留まった。被験者は、5日目に診療所から退院した。
【0353】
期間1の間に、ベースラインテストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロン(DHT)、ならびにエストラジオールの濃度の決定のための血液試料を、1日目の7時45分、次いで、8時の時刻を基準に15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、20時間、および23.5時間に採取した。テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロン(DHT)、ならびにエストラジオールの濃度の決定のための血液試料を、入院期間中の2日目(投与後15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、および20時間)ならびに3日目(投与後24時間、32時間、40時間、および48時間)に採取した。期間2の間に、ベースライン血清テストステロン濃度の血液試料を、7時45分(すなわち、治験薬投与15分前)に採取した。テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロン(DHT)、ならびにエストラジオールの血漿濃度の決定のための血液試料を、入院期間中の1日目(投与前(投与15分前)、15時45分および23時45分)、2日目(15時45分および23時45分)、3日目(15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、および20時間)、ならびに4日目(24時間、32時間、40時間、および48時間)に採取した。
【0354】
試験中に行われた他の評価には、有害事象(AE)、臨床検査室の評価((ホルモンプロファイルを含む)化学的評価、血液学的評価および尿検査の評価)、バイタルサイン評価(収縮期および拡張期の血圧(BP)、心拍数(HR)、呼吸数(RR)、および体温)ならびに身体検査が含まれた。さらに、耳鼻咽喉科検査の所見、12誘導心電図(ECG)のデータ、病歴、および併用薬の使用を記録した。
【0355】
B.
試験デザインおよび対照群の選択の詳解
これは、期間1(単回投与)の被験者の3つのコホート(コホート1、コホート2、およびコホート3)ならびに期間2の複数回投与のコホートにおけるTBS−2の第I相、単一施設、無作為化、非盲検の並行群試験であった。約24人の健常女性は、TBS−2の安全性、耐容性、およびPKを評価するために、600μg、1200μg、または1800μgのTBS−2の単回経鼻投与を受けた。被験者は、期間1では4日間および期間2では5日間CRUに留まった。
【0356】
C.
治験対象母集団の選択
試験対象患者基準
被験者は、以下の試験対象患者基準の全てを満たす場合に、本試験の試験対象患者の資格があった:
1.18歳から40歳の間の女性
2.26日から32日の間に規則的な月経周期を有する対象
3.妊娠可能な女性は、試験前、試験中、および試験の終了後1ヶ月までに、以下の信頼性の高い避妊法のうちの1つを使用することに同意しなければならない。
a.外科的不妊(卵管結紮)
b.試験の開始前の少なくとも3ヶ月間、定位置に置く子宮内装置
c.バリア法(パートナーが使用する殺精子剤入りのコンドーム)
d.禁欲
4.乱用薬物、B型肝炎表面抗原(HbsAg)、C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、および妊娠(血清β−HCG)に対して陰性である対象
5.肥満度指数(BMI)が18.5kg/m
2から35kg/m
2の間(18.5kg/m
2および35kg/m
2を含む)である対象
6.正常な耳、鼻、喉(ENT)試験結果を有する対象
7.正常な甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を有する対象
8.身体検査、12誘導ECG、およびバイタルサインで臨床的に重要な所見がない対象
9.正常な甲状腺機能、生理学的なプロラクチン濃度を有する対象
10.PIが検査値は臨床的に有意でないと判断した場合を除き、許容範囲外の臨床検査値をもたない対象
11.書面によるインフォームド・コンセントを理解し、提供することができた対象
12.全試験期間が参加可能であり、署名のあるICFによって証明されるように、プロトコルの要件を忠実に守る意思があった対象
【0357】
除外基準
以下の除外基準のいずれかに該当する場合、被験者は試験への参加から除外された。
1.テストステロン(例えば、イントリンサ(Intrinsa)パッチ)および/または関連薬に対する過敏症の既往歴
2.多嚢胞性卵巣症候群の既往歴
3.PIまたは医療指名者により臨床的に有意ではないと判断されない限り、心臓、肺、消化管、内分泌、筋骨格系、神経疾患、精神疾患、血液疾患、生殖疾患、肝疾患、または腎疾患の既往歴または存在
4.乳癌などのエストロゲン応答性腫瘍の存在もしくは既往歴および/または基底細胞癌を除く全ての癌の病歴
5.たびたび起こる臨床的に有意なにきびの既往歴
6.多毛症の既往歴
7.鼻の手術、特に、鼻甲介手術(turbinoplasty)、鼻中隔形成、鼻形成術、(「鼻の美容整形」)、または副鼻腔手術の経歴
8.以前の鼻骨折
9.鼻炎、鼻漏、または鼻詰まりなどの活発なアレルギー
10.粘膜の炎症性疾患、特に、天疱瘡またはシェーグレン症候群
11.副鼻腔疾患、特に、急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、またはアレルギー性真菌性副鼻腔炎
12.鼻疾患(例えば、ポリープ症、反復性鼻出血(1月あたり1回を上回る鼻出血)、鼻充血除去薬の乱用)または睡眠時無呼吸の病歴
13.薬剤、特に、鼻スプレーを含む鼻用コルチコステロイドおよびオキシメタゾリン(例えば、ドリスタン(Dristan)12時間用鼻スプレー)の鼻腔内送達の任意の形態の使用
14.B型肝炎の病歴、HbsAg試験が陽性、C型肝炎の病歴、C型肝炎抗体試験が陽性、HIV感染の病歴、またはHIV抗体の実証
15.薬、食べ物、虫刺され、環境アレルゲンを含む重度のアレルギー反応の全ての病歴、または吸収、分布、代謝、もしくは薬物の排泄を妨害することが知られている全ての病状
16.治験薬投与の6ヶ月以内の、精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)(第4版)の基準による薬物乱用またはアルコール乱用の全ての病歴
17.過去12ヶ月以内の任意のホルモン療法での現在の治療、治験薬の投与および/または任意の他の処方薬投与の30日以内にテストステロンの代謝を阻害する薬物による治療。試験期間中の店頭販売(OTC)の薬の使用を控えることが困難であること
18.治験薬投与前30日以内の経口、経皮、およびインプラントの避妊薬の使用または治験薬投与前1年以内の徐放性製剤の避妊薬注射の使用
19.妊娠または授乳の証拠
20.スクリーニング来院前6ヶ月以内に授乳していたすなわち母乳で育てていた対象
21.治験薬投与前30日以内の別の治験薬の投与
22.治験薬投与前56日以内の献血
23.本試験前7日以内の血漿交換療法プログラムの血漿ドナーとしての任意の参加
24.静脈穿刺に対して不耐性
25.静脈穿刺もしくは静脈カニュレーションと無関係の異常な出血傾向または血栓静脈炎の病歴
26.深部静脈血栓症または凝固障害の病歴
【0358】
治療または評価による被験者の除去
治験薬を受け取った後に本試験を離脱した被験者については、離脱した理由に関わらず、交代しなかった。
【0359】
被験者は、以下の理由のいずれかにより、時期尚早に本試験から離脱した場合がある。
・試験のプロトコルおよび手順に対する重大な違反
・試験の進展を妨害した併発病
・PIの意見において被験者の安全を妨害した可能性がある、臨床的に有意で、異常な検査所見を含む過度のAE
・本試験からの離脱が被験者にとって得策であったという主任治験医師の決定
【0360】
D.
治療
実施される治療
被験者を、期間1の間に3つの治療群(コホート1、コホート2、またはコホート3)のうちの1つに1:1:1ベースで無作為に割り当て、600μg、1200μg、または1800μgの用量でのTBS−2の鼻内投与の単回投与(鼻孔あたり300μg、600μg、および900μgの単回投与)を行った。期間1の終わりに、本試験の複数回投与部分を継続することをいとわず、かつ継続することができるこれらの3つのコホートからサンプリングした全部で8人の被験者を、期間2に参加するように選択した。期間2の間に、被験者に、2日間はt.i.dおよび3日目の朝に1回、TBS−2 1200μg(鼻孔あたり600μg)を投与した。
【0361】
治療1:期間1の2日目の8時(±30分)に総量600μgをコホート1に与えるための、鼻孔あたり単回投与でテストステロン300μgを送達するための0.24%テストステロンゲルがあらかじめ充填されたTBS−2ディスペンサー。
【0362】
治療2:期間1の2日目の8時(±30分)に総量1200μgをコホート2に与えるための、鼻孔あたり単回投与でテストステロン600μgを送達するための0.48%テストステロンゲルがあらかじめ充填されたTBS−2ディスペンサー。
【0363】
治療3:期間1の2日目の8時(±30分)に総量1800μgをコホート3に与えるための、鼻孔あたり単回投与でテストステロン900μgを送達するための0.72%テストステロンゲルがあらかじめ充填されたTBS−2ディスペンサー。
【0364】
治療4:総量1200μg(複数回投与群)を期間2の1日目および2日目の8時(±30分)、16時(±30分)、ならびに24時(±30分)に1日あたりt.i.dで、かつ期間2の3日目の朝8時(±30分)に1回与えるための、鼻孔あたり単回投与でテストステロン600μgを送達するための0.48%テストステロンゲルがあらかじめ充填されたTBS−2ディスペンサー。
【0365】
プレフィルディスペンサーを用いることにより、TBS−2ゲルを鼻内投与するための適切な手順について被験者に指導した。期間1の2日目ならびに期間2の1日目、2日目、および3日目の8時に治験薬を自己投与した。TBS−2の自己投与を、試験担当者が監視した。治験薬投与直後、および投与後の1時間の間は鼻をすすったり、かんだりしないように被験者に指導した。
【0366】
治験薬の内容
活性治験薬を、0.24%、0.48%、または0.72%のTBS−2を含有するプレフィルディスペンサーで供給した。
【0367】
TBS−2ゲルを、プレフィルディスペンサーにパッケージした。複数回用量用ディスペンサーを、鼻腔内のゲル沈着のために用いた。該ディスペンサーは、非加圧容器から作動あたりTBS−2ゲル125μLを鼻腔内に分注するように設計された、指で作動する分注システムであった。複数回用量用ディスペンサーの主要構成要素には、ポリプロピレンでできているバレル、ベース、ポンプ、およびアクチュエータ、ならびにポリエチレンでできているピストンが含まれていた。
図39および以下のCMCの欄を参照されたい。
【0368】
全ての治験薬の箱およびディスペンサーを、適用される規制要件に従ってラベルし、供給した。資格があり、ライセンスのある試験担当者が、無作為化スケジュールのとおり本試験の単位用量を用意した。与えられる薬物の量について明確にラベルされた、適切な単位用量のホイル袋に入れて、治験薬を被験者に提供した。
【0369】
治験薬を、15℃〜25℃(55°F〜77°F)の制御された室温の安全な場所で保管した。保管場所は、適切な試験担当者にのみ利用可能で、アクセスが限られ、鍵のかかった部屋であった。
【0370】
全ての治験薬は、推奨される保管条件下で、適用可能な規制要件に従って、堅牢な領域で保管されることをPI、または承認された代表者(例えば、共同研究者)が保証した。
【0371】
本試験の完了すなわち終了時に、かつTrimelからの授権書を得た際に、Trimelが指定したとおり、全ての未使用の治験薬および/もしくは部分的に使用した治験薬を治験場所に返却するか、またはその場で破壊した。
【0372】
治療群に被験者を割り当てる方法
無作為化スケジュールをプレミア研究(Premier Research)が用意し、本試験開始前にCRUでPIに提供した。
【0373】
登録基準を満たす被験者を、3つの治療群のうちの1つに、1:1:1ベースで無作為に割り当てた。
【0374】
本試験における用量の選択
臨床薬理データに基づいて、本試験のために、600μg、1200μg、および1800μgの用量を選択し、これらは第1相試験に適する。現在までに完了した動物の毒性試験は、TBS−2曝露に関連する異常なまたは予期せぬ毒性を示唆するものではない。被験者が、TBS−2により副作用を経験することは予想されなかった。
【0375】
各被験者のための投与の選択およびタイミング
治験薬を、期間1(単回投与)の2日目に投与した。期間2(複数回投与)の間に、治験薬を、1日目および2日目にt.i.dで投与し、かつ3日目の朝に投与した。被験者は、期間1の4日間および期間2の5日間、CRUに留まった。
【0376】
盲検
これは非盲検試験であり、被験者は治療割当を知らされていなかった。
【0377】
事前療法および併用療法
テストステロンの代謝を妨げる薬物での任意の処方薬もしくは市販薬の使用、またはその薬物による治療は、治験薬投与の30日以内および最終試験来院まで禁止された。鼻腔内薬剤送達、特に、鼻用コルチコステロイドおよびオキシメタゾリン含有鼻スプレー(例えば、ドリスタン12時間用鼻スプレー)の任意の形態の使用は、最終試験来院まで禁止された。任意のホルモン療法での現在の治療は、治験薬投与前12ヶ月間および最終試験来院まで禁止された。治験薬投与前30日以内の経口、経皮、またはインプラントの避妊薬の使用または治験薬投与前1年以内の徐放性避妊薬注射の使用も禁止された。さらに、別の治験薬の投与は、本治験薬投与前30日以内は禁止された。被験者がこの試験に登録している間、違法薬物の使用は許可されなかった。
【0378】
本試験中、PIは、十分な支持療法を提供するために必要と認める任意の併用療法を処方することができた。PIは、併用薬が本試験中に必要である場合に、第1日目の前の30日以内に薬を使用する任意の被験者のスポンサーに通知しなければならなかった。被験者が本試験に登録できるか、または本試験中に薬を服用できるか否かの決定は、スポンサーおよびPIが共に行い、薬物の使用が被験者の安全性または試験データの解釈を危うくする可能性は低いという彼らの意見に基づいていた。投与および全ての併用療法前の30日以内に摂取される全ての薬は、CRFの適切なセクションに記録された。
【0379】
治療コンプライアンス
治験薬の投与を受けた被験者は、TBS−2指示への適合を保証するために、投与後1時間試験担当者が監視した。被験者は、期間1の4日間および期間2の5日間、CRUに留まり、しっかり監視された。薬物調剤の記録を行い続けた。薬物動態の結果は、コンプライアンスを確認するために使用可能であった。
【0380】
治験薬は、期間1(単回投与)の2日目に投与した。期間2(複数回投与)の間に、治験薬を1日目および2日目にt.i.dで投与し、かつ3日目の朝に投与した。被験者は、期間1の4日間および期間2の5日間、CRUに留まった。
【0381】
E.
薬物動態および安全性の変数
薬物動態および安全性の測定評価ならびにフローチャート
試験スケジュールを表9−1に示す。
【0382】
【表14】
略語:AE=有害事象;CBC=全血球算出;DHT=ジヒドロテストステロン;ECG=心電図;ENT=耳、鼻、のど;FSH=卵胞刺激ホルモン;HbsAg=B型肝炎表面抗原;HIV=ヒト免疫不全ウイルス;LH=黄体形成ホルモン;PK=薬物動態;SHBG=性ホルモン結合グロブリン;TSH=甲状腺刺激ホルモン
a.本試験の複数回投与部分を継続することをいとわず、かつ継続することができる8人の被験者の全員は、コホート1、コホート2、およびコホート3から選択され、複数回投与群を含んでいた。
b.バイタルサイン(心拍数、血圧、体温、および呼吸数)
c.現場の医師が、追跡調査時に被験者を調べ、任意の臨床的に有意な鼻粘膜への変化を同定した。
d.化学的検査、血液学的検査、尿検査
e.ホルモンプロファイル:TSH、総トリヨードチロシンおよび遊離トリヨードチロシン、総チロキシンおよび遊離チロキシン、FSH、プロラクチン、およびプロゲステロン
f.8時(±30分)に投与した治験薬
g.8時(±30分)、16時(±30分)、および24時(±30分)に投与した治験薬
h.8時(±30分)に投与した治験薬
i.24時間のベースラインプロファイルのための血液試料(総テストステロンおよび遊離テストステロン、SHBG、DHT、ならびにエストラジオール)を、7時45分、次いで、8時の時刻を基準に15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、20時間、および23.5時間に採取した。
j.48時間のPKプロファイルのための血液試料(総テストステロンおよび遊離テストステロン、SHBG、DHT、ならびにエストラジオール)を、15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間、32時間、40時間、および48時間に採取した。
k.ベースライン血清テストステロンのための血液試料を、7時45分(すなわち、投与15分前)に採取した。
l.トラフレベル測定のためのPKサンプリングを、8時、16時、および24時の投与前に行った。
m.48時間のPKプロファイルのための血液試料を、投与前の7時45分、ならびに15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間、32時間、40時間、および48時間に採取した。
【0383】
測定の妥当性
本試験に含まれる測定値は、第I相の単回投与試験および複数回投与試験に典型的であった。
【0384】
薬物動態学的薬物濃度の測定
テストステロン(遊離および総)、SHBG、ジヒドロテストステロン、ならびにエストラジオールの濃度決定のための全血試料を、表9−2に示す各時点で採取した。採取の日付および時刻を、最も近い分までCRFに記録した。全血試料を、直接静脈穿刺を介して取得した。ヘパリンロックまたはIV留置カテーテルの使用は、初期の時点のPK試料収集を可能にした。各被験者のPK解析のために採取した血漿試料の量は、期間1では約120mLおよび期間2では92mLであった。
【0385】
【表15】
【0386】
薬物動態パラメータの推定
5検体(テストステロン(総および遊離)、SHBG、ジヒドロテストステロンならびにエストラジオール)についての濃度−時間データを決定し、PKパラメータをそれらから算出した。実際のサンプリング時点を記録し、PK算出のための投与からサンプリングまでの実際の経過時間の算出に使用した。各投与を鼻孔のそれぞれに行ったので、投与の時間は最初の鼻孔投与の時間であった。濃度の最終単位が、濃度について報告された生化学分析実験室のデータを反映していたので、5つの異なる検体のそれぞれの濃度の単位は異なっていた可能性がある。PKパラメータのユニットは、検体の濃度単位に由来した。24時間の投与前プロファイルのベースライン検体濃度を、PKパラメータの算出の前に、報告された検体濃度から差し引いた。
【0387】
以下のPKパラメータを、PK特性のために、単回投与(コホート1、コホート2、およびコホート3)後に算出した。プロファイル間隔は、第1の投与の最初から、投与日に採取した最後の試料まで続いた。PKパラメータは、WinNonlinプログラムに用いられる標準的な方法によって推定され、簡単な説明を以下に示す。終末排出相の決定については、WinNonlin説明書により十分に記載した。C
min、C
max、およびt
maxは、実測値から取得されるが、C
minおよびC
maxのベースライン補正後であったことに留意されたい。
【0388】
【表16】
【0389】
以下のPKパラメータを、複数回用量後に算出した(複数回投与群):
【0390】
【表17】
【0391】
PKパラメータの追加の探索的分析は、必要に応じて実行されてもよい。
【0392】
安全測定
安全測定には、AEの監視、臨床検査室の評価((ホルモンプロファイルを含む)化学的検査、血液検査、および尿検査)、バイタルサイン、ならびに12誘導ECGが含まれていた。さらに、物理的検査および耳鼻咽喉科検査を行い、病歴および併用薬の使用を記録した。安全測定は、表9−1に明記された時間に行った。PIは、治験薬治療後、分解またはベースラインに戻るまで、全ての臨床的に有意な異常所見を追った。
【0393】
有害事象
AEは、因果関係にかかわらず、Trimel製品を用いる臨床試験に参加するヒトに生じる徴候、症状、疾患、または実験的もしくは生理学的な所見の形態の、任意の厄介かつ望ましくない、予定外の臨床事象である。既存の病状は、治験薬投与前に存在し、被験者の病歴の一部として報告されるものである。既存の病状を、既存の病状の頻度、強度、または特徴が、研究の過程で悪化した場合にのみ、AEとして報告した。
【0394】
臨床検査値異常は、それらが臨床徴候もしくは症状または必要な医学的介入に関連していない限り、AEとみなされなかった。しかし、基礎疾患とは無関係で、医療介入もしくは外科的介入が必要とされるか、または治験薬の中断もしくは中止につながる臨床検査値異常(例えば、(ホルモンプロファイルを含む)臨床化学、血液学、尿検査で検出された臨床的に有意な変化)は、AEと考えられた。
【0395】
臨床的に有意な臨床検査値異常を含む臨床的に有意であると判断される全てのAEは、分解またはベースラインに戻るまで追跡された。
【0396】
F.
重症度の評価
全てのAEまたはSAEを、以下の評価尺度を用いて、その重症度を評価した。
軽度→被験者が簡単に耐容性を示す事象;一過的または軽度の不快感(通常、<48時間);必要とされる医療介入/治療はなし。
中程度→普通の、日々の活動を妨げる可能性のある事情;多少の支援が必要な場合がある;必要とされる医療介入/治療はないかまたは最小限である。
重症→被験者が、普通の、日々の活動を行うことを阻む事象;通常、多少の支援が必要とされる;医療介入/治療は必要とされ、入院もあり得る。
【0397】
AEの重症度の変化が、一日一回を超える頻度で生じた場合に、その日の経験に対する最大の重症度が注目された。重症度のカテゴリーが何日にもわたって変化した場合、それらの変化を、別々に(別々の発症日で)記録した。AEの重症度を、CRFのAEページの適切なセクションに記録した。重症度の評価は、「重篤度」の評価と区別された。重症な事象は、重篤度の基準を満たしていない場合があり、重篤な事象は軽度として評価される場合がある。
【0398】
G.
因果関係の評価
それぞれ報告される有害反応については、PIが、以下の尺度を用いることによって、その事象と治験薬との関係性の評価を行った。
明確な関係→薬物投与および退薬との真実味のある一時的な関係があり、薬物の再スタート後に再び現れる。
ほぼ確実な関係→薬物投与との真実味のある一時的な関係がある。
可能性がある関係→薬物投与との真実味のある一時的な関係があるが、適度に他の要因と関連し得る。
有りそうもない関係→薬物投与との真実味のある一時的な関係はない。
未知の関係→薬物摂取と相関を確立するのに十分な要素はない。
関係なし→治験薬投与と相関し得ない。
【0399】
H.
重篤な有害事象
PIは、深刻かまたは深刻でないかのいずれかで、それぞれのAEを分類した。重篤な有害事象(SAE)は、任意の用量で発生し、以下の結果のいずれかを引き起こした全てのAEとして定義した。
・死亡
a
・生命に危険を及ぼす
b
・必要とされる入院患者の入院または既存入院の延長
・永続的または重大な障害/無能
cを引き起こした
・先天異常/先天性欠損を引き起こした
・さらに、死亡には至らなかったものの、生命に危険を及ぼすか、または入院が必要とされ得る重大な医療事象は、適切な医学的判断に基づき、それらが被験者を危険にさらし、上記の結果のうちの1つを防ぐために医療介入または外科的介入を必要とし得る場合に、SAEとみなされ得る。例えば、緊急治療室または家庭での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣などである。
注:
a.死亡は、AEではなく、結果であった。死亡した場合には、死の原因はAEとして記録した。その原因が不明であった場合は、唯一の例外は、「突然死」であった。
b.生命に危険を及ぼすAEには、PIの観点から、それが発生した時の反応から、被験者を差し迫った死のリスクにさらす任意の有害な薬物経験が含まれた。より深刻な形で発生し、死を引き起こす可能性のあった反応は含まれなかった。
c.能力障害は、普通の生活機能を遂行するための人の能力における実質的な破壊として定義された。
【0400】
因果関係にかかわらず、死亡または生命に危険を及ぼした全てのSAEは、事象の起きた現場の認識から24時間以内にTrimel(または被指名人)に報告された。最初のSAE報告書のコピーは、1営業日以内に受け取らなければならなかった。Trimelに報告できる全ての他のSAEまたは他の事象は、1営業日以内にTrimel(または被指名人)に転送された。その情報がSAEを構成するか否かについて疑いがあった場合には、その情報は、本試験の目的のためにSAEとして処理された。
【0401】
臨床検査
臨床検査を、表9−1に提供するスケジュールに従って行った。
【0402】
血清化学評価には、ナトリウム、カリウム、塩化物、グルコース、尿素、クレアチニン、カルシウム、リン酸塩、尿酸、総ビリルビン、アルブミン、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、クレアチンキナーゼ(CK)、およびコレステロール、ならびにホルモンプロファイルが含まれていた。
【0403】
ホルモンプロファイルには、TSH、総トリヨードチロニンおよび遊離トリヨードチロニン、総サイロキシンおよび遊離サイロキシン、FSH、プロラクチン、およびプロゲステロンが含まれていた。
【0404】
血液評価には、白血球数、ヘモグロビン、およびヘマトクリットが含まれていた。
【0405】
尿検査には、グルコース、ビリルビン、ケトン、比重、血液のpH、タンパク質、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球、および、必要に応じて、顕微鏡検査が含まれていた。
【0406】
スクリーニング時およびCRUへの入院時に、乱用薬物(マリファナ、コカイン、アヘン剤、アンフェタミン、フェンシクリジン、ベンゾジアゼピン、およびバルビツール酸)について検査をするために尿検体を取得し、アルコール呼気検査を使用してアルコールについて検査をした。
【0407】
HbsAg、抗HCV、およびHIVについての検査を、スクリーニング時(来院1)にのみ行った。
【0408】
試料は、MEDTOXラボラトリーズ社が分析した。
【0409】
バイタルサイン
バイタルサイン測定には、収縮期および拡張期のBPならびに収縮期および拡張期のHR、体温、ならびにRRが含まれた。バイタルサイン評価を、表9−1に示す時間に行った。
【0410】
12誘導心電図
標準12誘導ECGを、スクリーニング時(来院1)にのみ評価した。
【0411】
他の安全性の測定
身体検査を、表9−1に示した時間に行った。
【0412】
ENT(耳鼻咽喉科)鼻内視鏡検査をスクリーニング時に行った。基本ENT(耳鼻咽喉科)検査を、表9−1に示す時間に行った。現場の医師が被験者を診察し、追跡調査時に鼻粘膜への任意の臨床的に有意な変化を同定した。
【0413】
本試験中、併用薬を監視した。
【0414】
I.
データの品質保証
この試験を、GCPに従って訓練を受けた経験者が監視した。臨床試験監視員が、プロトコルの順守、正確性、完全性、およびデータの整合性、ならびに臨床試験の実施における地方条例の順守を確認するために試験記録を再調査した。臨床試験監視員は、現場との定期的な接触を維持し、CRFへのエントリーを確認するのに必要な被験者の医療記録および他の研究関連記録を入手する機会を得た。
【0415】
電子CRF(eCRF)が、この試験のために使用され、識別子としてeCRF上に被験者のイニシャル、生年月日、および割り当てられた被験者番号のみを含んでいた。PIは、eCRF上の情報が得られる元の文書の可用性および信頼性を保証し、プロトコルに概説されるとおり、文書の保存手続に従うように義務付けられた。症例報告書は、PIが精度を再調査し、署名し、日付を記入した。
【0416】
J.
統計的方法および標本サイズの決定
統計的計画および解析計画
治験実施計画書に示す統計学的方法は、統計解析計画(SAP)に記載の方法が取って代わった。本研究は、PK特性ならびにTBS−2の安全性および耐容性を評価した。電力の算出は行わなかった。データを、治療群および全体により安全変数のそれぞれについて記述統計学(標本サイズ、平均値、中央値、標準偏差(SD)、最小値、および最大値)を用いてまとめた。試験中の全ての来院で得たデータを、データ・リストに示した。
【0417】
5検体(テストステロン(総および遊離)、SHBG、ジヒドロテストステロン、ならびにエストラジオール)の濃度−時間データを、検証アッセイ法により決定し、PKパラメータを算出した。実際のサンプリング時点を記録し、PK算出のために投与からサンプリングまでの実際の経過時間の算出に使用した。各投与は、鼻孔のそれぞれに行われるので、投与の時間は最初の鼻孔投与の時間であった。24時間の投与前プロファイルのベースライン検体濃度を、PKパラメータの算出前に、用量投与後の時間を一致させた検体濃度から差し引いた。
【0418】
血漿のTBS−2濃度−時間データを、Phoenix WinNonlin(Pharsight Corporation)を用いて分析した。テストステロン(遊離および総)、SHBG、DHT、ならびにエストラジオールのPKパラメータ(薬物動態パラメータ推定値と言われる)を、標準的な非コンパートメント法により、データが許す限り全ての被験者について算出した。PK集団における各被験者のプロファイルについて推定した個々のPKパラメータを、データリストに示した。データを、記述統計(平均、SD、変動係数(CV)(%)、信頼区間(CI)、中央値、最小値、および最大値)を用いてまとめ、治療群ごとに提示する。
【0419】
幾何平均を、AUCおよびCmax推定のため、かついくつかの他のPKパラメータのために含めた。SAS(登録商標)の一般化線形モデル(GLM)の手順を用いることにより、分散分析(ANOVA)を、自然対数(In)変換したパラメータAUC
0−t、AUC
0−∞、AUC
0−τ、C
avg、およびC
max、ならびに変換していないパラメータt
1/2および有意水準が0.05のλ
Z上で行った。被験者内のCVを、ANOVA残差を用いてAUC
0−t、AUC
0−∞、AUC
0−τ、およびC
maxについて算出した。
【0420】
AUC
0−t、AUC
0−∞およびC
maxを投与される用量に対して正規化した後に、単回投与(期間1)後の用量直線性を評価した。
【0421】
PKパラメータについて、以下の期間1の比較を行った。
・比較1:0.24%のTBS−2 600μg対0.48%のTBS−2 1200μg;
・比較2:0.24%のTBS−2 600μg対0.72%のTBS−2 1800μg;
・比較3:0.48%のTBS−2 1200μg対0.72%のTBS−2 1800μg。
【0422】
標本サイズの決定
この試験の標本サイズを、統計的仮説試験に基づいて決定しなかった。典型的な、初期段階のPK研究に基づき、コホートあたり8人の被験者群は、研究の目的を満たすために適切な臨床情報を提供するのに十分であった。
【0423】
中間解析
正式な中間解析は、この試験では行わなかった。しかし、濃度データを、期間1後、さらに期間2後に生化学分析実験室から受け取った時、全てのPK TLFを、実際の予定したサンプリング時間よりも予定したサンプリング時間を使用して利用可能なデータの限界まで提供した。複数回投与データは、期間2後に利用可能になった。予備的なPK解析または予備的な表、リスト、および図の品質管理試験は中間解析については完了せず、中間PKパラメータの試験は、中間解析については完了しなかった。
【0424】
K.
本試験の実施における変更または計画分析
最初のドラフト分析を行った後のデータの計画PK解析を詳述するSAPに変更があった。これらは、SAPに提供するとおり、PKパラメータの追加の探索的解析のカテゴリーの分類に入った。
【0425】
最初の分析は、SAP(補正τ=8時間)に従ったが、排出半減期は、収集期間の全48時間の間に適切に推定することはできなかった。
【0426】
薬物動態コンサルタントは、PK解析を指揮し、最高のPK結果を示すためにPK解析計画に変更を行った。最終解析において、いくつかの追加のPKパラメータをこの解析に加え、追加試験を行った。
【0427】
第1段階のコンサルタントコメントは、PK解析にこれらの追加を要求した。
1.両期間に1200μgの用量を受け取った3人の被験者のそれぞれの数字。データには、遊離ジヒドロテストステロンおよび総ジヒドロテストステロンについての、BioanalystのBLQ−補正生データのプロットが含まれる。3検体のそれぞれについて3個ずつ、合計9個の数字。
2.Bioanalyst(ConcBLQ)のBLQ補正データのAUC
0−8およびAUC
0−24を再算出する。新しい表中の期間1と期間2との間で、これらのパラメータをANOVAにより比較した。期間1(単回投与)と期間2(複数回投与)における1200μgの用量を受け取った被験者はわずか3人であった。1200μgの用量を受け取った3人の被験者および8人の被験者の全員のデータについてもANOVAに要求した。
【0428】
第2段階のコンサルタントコメントは、以下のものを要求した。両方のコンサルタントがSAPのPKセクションを検討し、以下のコメントをした。
1.複数回投与について補正したベースラインではなく、単回投与について補正したベースラインを用いて、AUC
0−8またはAUC
0−24のいずれかのAUCを要求した。共に、提供された。
2.単回投与について補正したベースラインであるAUC
0−∞を、24時間までに限定して要求した。
3.C
24の濃度は、単回投与のPKパラメータとして報告されることになっていた。
4.タウが8時間であった時に、誤って12時間として与えられたところでSAP中に誤りが認められた。
5.PKパラメータに加えられるべき複数回投与のC
0およびC
24を要求した。
6.注意すべきは、C
avgが8時間の投与間隔(τ)に基づいていることであった。
【0429】
10.試験の被験者
A.
被験者の配置
24人の被験者の全員が期間1で登録され、8人の被験者のそれぞれが、コホート1、コホート2、およびコホート3に無作為化された。24人の被験者の全員は期間1を完了した。
【0430】
期間1後に、8人の被験者の全員は期間2を続けた。8人の被験者の全員は期間2を完了した。
【0431】
B.
プロトコル逸脱
試験中に報告されたプロトコル逸脱は小規模で、試験の結果に影響を及ぼすことは予想されなかった。24人中6人の被験者(25.0%)の全員は、見逃されたバイタルサイン評価のプロトコル逸脱または2もしくは3分の差で枠から出たPK血液を有した。
【0432】
11.薬物動態評価
A.
解析されるデータセット
・単回投与集団:試験中、無作為化され、少なくとも1用量のTBS−2を受け取った被験者の全員;24人の被験者(100%)はこの集団に含まれた(セクション14.1、表14.1.1a)。
・複数回投与集団:試験期間2に引き継がれるために選択された単回投与集団の被験者の全員:8人の被験者(100%)はこの集団に含まれた(セクション14.1、表14.1.1b)。
【0433】
B.
人口統計および他のベースラインの特性
人口統計データ
期間1のほとんどの被験者は、白人(24人中19人の被験者(79.2%))であり、続いて多い割合は、アメリカインディアンの黒人(24人中4人(16.7%))であり、またはアラスカ先住民/白人(24人中1人(4.2%))であった。ヒスパニックすなわちラテンアメリカ系ではない被験者(24人中13人の被験者(54.2%))と、ヒスパニックすなわちラテンアメリカ系である被験者(24人中11人の被験者(45.8%))は、同じような数であった。年齢の平均値(SD)は、29.8(5.86)歳であった。身長の平均値(SD)は161.02(6.667)cmであり、体重の平均値(SD)は66.36(11.378)kgであり、BMIの平均値(SD)は25.61(4.079)kg/m
2であった。ほとんどの被験者は正常なBMI(24人中13人の被験者(54.2%))を有し、続いて多い割合は、太りすぎの被験者(24人中7人(29.2%))および肥満の被験者(24人中4人(16.7%))であった。
【0434】
期間2のほとんどの被験者は、白人(8人中5人の被験者(62.5%))であり、続いて多い割合は、アメリカインディアンの黒人(8人中2人(25.0%))であり、またはアラスカ先住民/白人(8人中1人(12.5%))であった。ヒスパニックすなわちラテンアメリカ系ではない被験者(8人中5人の被験者(62.5%))と、ヒスパニックすなわちラテンアメリカ系である被験者(8人中3人の被験者(37.5%))は、同じような数であった。年齢の平均値(SD)は、30.3(6.48)歳であった。身長の平均値(SD)は160.8(3.99)cmであり、体重の平均値(SD)は61.13(9.815)kgであり、BMIの平均値(SD)は23.65(3.454)kg/m
2であった。ほとんどの被験者は正常なBMI(8人中6人の被験者(75.0%))を有し、続いて多い割合は、太りすぎの被験者(8人中2人(25.0%))であった。
【0435】
ベースライン特性
病歴
スクリーニング時に報告される被験者の病歴を、表11.1に、身体系によってまとめる。
【0436】
以下の体組織における現在アクティブで、非排他的な以下の病歴の病状が、被験者全体の少なくとも10%までに報告された。神経系(24人中15人の被験者(62.5%))、泌尿生殖器系(24人中7人の被験者(29.2%))、外皮系(24人中4人の被験者(16.7%))、およびアレルギー症状(24人中4人の被験者(16.7%))。
【0437】
【表18】
【0438】
D.
前治療薬および併用薬
本試験中、併用薬は何も報告されなかった。
【0439】
全体的に、10人の被験者が、前治療薬を報告した。報告されたほとんどの前治療薬は、店頭販売の鎮痛剤または抗炎症薬およびマルチビタミン剤であった。
【0440】
E.
治療コンプライアンスの測定
全ての被験者が、試験場所での投与中に観測され、治験薬管理に準拠した。
【0441】
F.
個々の被験者データの作表
薬物動態の解析
本試験には薬物動態学的にプロファイリングした3つの用量が用いられた。単回投与期間について3つの用量をプロファイリングし、複数回投与期間について1つの用量をプロファイリングした。単回投与プロファイルには、別々のコホートで600、1200、および1800μgの用量のテストステロンが含まれたが、複数回投与期間には、1200μgの用量のテストステロンのみが含まれた。各用量を、遊離テストステロンおよび総テストステロン、ジヒドロテストステロン、エストラジオール、およびSHBGについてプロファイリングした。各投与群には8人の被験者がいた。
【0442】
これらの結果を、最初に濃度について、次いで、PKパラメータについて示す。
【0443】
G.
濃度結果
期間1:単回投与プロファイル
平均濃度プロファイルを、ベースライン補正後の5検体のそれぞれについて、以下の図に示す。遊離テストステロン濃度および総テストステロン濃度の数値は、テストステロン用量の増加に対する濃度の最も明白な関係を示す(それぞれ、
図19および
図20)。ジヒドロテストステロン検体は、互いに明白に区別されない低用量と比較して、1800μg用量との明らかな区別が可能である(
図21)。これと反することが、互いに明白に区別されない2つの高用量とは明らかに異なり、600μgの最低用量であるエストラジオール濃度に観測される(
図22)。SHBG濃度は、投与したテストステロン用量間で明白に区別されない(
図23)。
【0444】
遊離および総テストステロン、ならびにより少ない程度のジヒドロテストステロン濃度は、ベースラインと有効用量の間でより明確に区別される(それぞれ、
図24、
図25、および
図26)。エストラジオールおよびSHBGの濃度は、同じ用量のベースライン濃度と重複する投与後の曲線を有する(それぞれ、
図27および
図28)。
【0445】
期間2:複数回投与プロファイル
遊離テストステロンおよび総テストステロンの平均値は、投与時に最高濃度になり、約12時間〜16時間でプラトーまで減少する最も明確な用量効果を示す。これらの濃度は、投与後の10時間後に、ベースラインレベルに戻るように思われる。これら2つのプロットは、非常に密接して進むので、それらはスケールが調整されると、重ね合わせることができるように思われる(それぞれ、
図19および
図20)。ジヒドロテストステロン濃度も投与時にピークを示すが、遊離および総テストステロンほどは明確ではない(
図21)。複数回投与プロファイルの観測期間にわたって、エストラジオールおよびSHBG濃度にはほとんど差が見られず、これは、投与が行われる時の濃度におけるスパイクの欠如に起因し得る(それぞれ、
図32および
図33)。
【0446】
被験者522−03は、最終投与後12時間に他の7人の被験者と比べて、同様の減少を示さなかった遊離テストステロン濃度を有していた(
図34)。被験者522−03の遊離テストステロン濃度も12時間後に最高濃度であったが、遊離テストステロン濃度は他の7人の被験者と異なってはいなかった(
図35)。SHBG濃度は各被験者について本質的に一定であるが、異なる濃度であるという点で、用量との関係は、ジヒドロテストステロン、エストラジオール、およびSHBGについて見つけることが一層難しくなる(それぞれ、
図36、
図37、および
図38)。
【0447】
H.
薬物動態パラメータの推定値
薬物動態パラメータを、Phoenix WinNonlinバージョン6.2を用いて推定した。
【0448】
期間1:単回投与の薬物動態パラメータの推定値
全てのPKパラメータの推定値は、ベースライン補正した濃度を用いて最初の24時間で行った。各個人の単回投与プロファイルから推定されるPKパラメータを、別表16.2のリスト16.2.5.1.2aに示し、セクション14.2の表14.4.2aにまとめる。以下の表(表11〜22)は、単回投与PKパラメータのデータを示すが、SDおよび中央値は省略した。
【0449】
24人の被験者の全員は、遊離および総テストステロンのλz(最終消失速度定数)を推定するプロファイルを有した。12人の被験者のみが、ジヒドロテストステロンのλzを推定するプロファイルを有し、11人の被験者がエストラジオールのλzを推定するプロファイルを有し、9人の被験者がSHBGのλzを推定するプロファイルを有した。λzがないと、排泄半減期、t
1/2、およびAUCo
−∞を算出することができなかった。
【0450】
遊離テストステロン
遊離テストステロンでは、平均C
maxが投与量をしっかり追跡し、用量に対する比例を示唆した。平均AUC
0−8は、600μgの用量〜1200μgの用量まで比例していた(2.00用量比に対する1.94比)が、1800μgの用量では、幾分かより低くかった(3.00用量比に対する3.55比)。AUCのその他の尺度は、あまり明確には用量と関連しておらず、AUC
0−8と同じくらい強い用量との比例関係を示唆しなかった。これは、図にみられる通り、おそらく最初の8時間に最も顕著である投与による濃度の増加に起因した。λz値は、用量の全域で類似していた。
【0451】
【表19】
【0452】
総テストステロン
総テストステロンのC
maxパラメータは、AUC測定値の全てがそうであるように、用量が増加するにつれて増加した。λz測定値は、用量の全域で類似していた(表11−23)。
【0453】
【表20】
【0454】
ジヒドロテストステロン
ジヒドロテストステロンのPKパラメータは、多くのパラメータ値を失っており、ベースライン補正後には、いくつかのプロファイル全体が失われた。24個のプロファイルのうちの18個のみが存在し、λzは、24個のプロファイルのうちの12個でのみ推定することができた。C
max、AUC
0−8、およびAUC
0−∞の平均値は、600μgの用量から1200μgの用量まで減少したが、その後、1800μgの用量については増加した。他のAUC測定値は、用量が増加するにつれて暴露の増加を示した。λz値は、各用量についておおよそ類似していた(表11−24)。
【0455】
【表21】
【0456】
エストラジオール
C
maxおよびAUCの測定値のエストラジオールPKパラメータは、1200μgおよび1800μgの用量では類似していたが、600μgの用量の値よりも一貫して低かった。例えば、1200μgおよび1800μgの用量と比較した600μgの用量のC
maxの平均値は、それぞれ、0.61および0.64であった。AUC
0−8については、それぞれ、0.31および0.47の類似の比であり、2.00および3.00の比が、比例を示す。600μgの用量は、N=8を有しているが、1200μgおよび1800μgの用量の両方は、N=7を有していたことにも留意されたい。λ
z値は類似していた(表11−25)。
【0457】
【表22】
【0458】
SHBG
SHBGのC
maxならびにAUC
0−8、AUC
0−24、およびACU
0−tの値は、600μgおよび1200μgの用量では類似していた。λ
zは、これらの被験者の大多数について特徴づけられなかった(表11−26)。
【0459】
【表23】
【0460】
I.期間2:複数回投与の薬物動態パラメータの推定値
各個人の複数回投与プロファイルから推定されるPKパラメータを、別表16.2のリスト16.2.5.1.2bに示し、セクション14.2、表14.4.2bにまとめる。以下の表は、複数回投与PKパラメータのセクション14.2、表14.4.2bにまとめたデータを示すが、SDおよび中央値は省略した。被験者の全員は、テストステロン1200μgを7回投与された。
【0461】
遊離テストステロン
1200μgのテストステロン用量は、本試験の単回投与期間および複数回投与期間の両方で使用したので、それらのPKパラメータを比較することが有用であると思われる。しかし、単回投与データはベースライン補正データに基づいているが、複数回投与データはそうではないので、これは有用ではない。しかし、単回投与期間のベースライン濃度データは、複数回投与データと比較して検討することができる。表11−28のデータはベースライン由来であるので、全濃度が投与前に決まるように、用量は関係ない。
【0462】
複数回投与期間に観測される最小値および最大値は、全部で3つの用量コホートについてベースライン期間に観測される最小値および最大値よりも高い。これは、テストステロンの複数回投与が、遊離テストステロン濃度の最小値および最大値の両方を、ベースライン値を超えて増加させ、複数回投与後に、遊離テストステロン濃度の予期される増加を与えることを示す(表11−27)および(表11−28)。
【0463】
投与間隔が8時間であるので、AUC
0−8およびAUC
o−τは同一である。AUC
0−24時は、最後の投与期間の8時間に及ぶだけでなく、先行する16時間も含む。%PTFおよび%PTSは、それぞれ、C
avgまたはC
minで割った時のC
maxとC
minの間のパーセント差を示す。
【0464】
【表24】
【0465】
【表25】
【0466】
総テストステロン
複数回投与後の85.80〜242.00ng/dLの総テストステロンPK C
max範囲を、ベースラインで観測される41.10〜58.00ng/dLの最大テストステロン濃度範囲と比較する。複数回投与後の25.20〜79.50ng/dLの総テストステロンC
min範囲を、ベースラインで観測される総テストステロンの8.00〜12.70ng/dLの範囲の最小値と比較する。C
maxとC
minの両方は、テストステロン用量投与の効果(C
maxに対しては2〜4倍の効果およびC
minに対しては3倍の効果)を示すが、この蓄積は、最終投与後24時間以内に消える。
【0467】
【表26】
【0468】
【表27】
【0469】
ジヒドロテストステロン
ジヒドロテストステロン観測は、ベースライン観測と大きな違いを示さない。複数回投与期間のジヒドロテストステロンの30.50ng/dLの最大値C
maxは、ベースラインで観測される32.60のC
maxに匹敵する。複数回投与期間の6.32ng/dLの最小値C
minは、ベースラインで観測される5.02ng/dLに匹敵する。テストステロン投与の効果は、ベースラインとのジヒドロテストステロン濃度のこの比較では見られない(表11−31および表11−32)。
【0470】
【表28】
【0471】
【表29】
【0472】
エストラジオール
ベースライン観測期間の間に24時間にわたって観測されるエストラジオールC
min濃度は、17.00pg/mL(単回投与期間における24人の被験者の17.00〜20.90pg/mLの範囲)であり、これを、複数回投与期間における12.70pg/mL(8人の被験者の12.70〜95.20pg/mLの範囲)と比較する。エストラジオールC
max濃度は、ベースライン期間中は122.00であり、複数回投与期間中は145.00であった。これらの濃度にいくらかの違いがあるが、これらは類似している(表11−33および表11−34)。
【0473】
【表30】
【0474】
【表31】
【0475】
SHBG
ベースライン観測期間のSHBGのC
minは、15.30nmol/Lであり、複数回投与期間のC
minは、19.90nmol/Lであった。SHBGのC
maxは、137.00nmol/Lであったが、複数回投与期間のC
maxは、100.00nmol/Lであった。SHBG濃度に対するテストステロン投与の効果は明らかではない(表11−35および表11−36)。
【0476】
【表32】
【0477】
【表33】
【0478】
J.
薬物動態パラメータの統計的検定
単回用量における用量比例性の分析
セクション14.2の表14.4.3は、用量比例性の分析を示す。表11−37は、対数変換PKパラメータの線形回帰分析を示すためにこの表から抽出されたものである。
【0479】
投与量の増加が、一定量の暴露(PKパラメータ)の比例増加を伴っている時に用量比例性が生じる。この線形回帰モデルを、予測因子として用量(600、1200、および1800μg)を使用して、関心のあるPKパラメータのそれぞれに当てはめる。
【0480】
(数1)
PK=勾配×用量+切片
【0481】
切片の95%信頼限界が0を含む場合、用量比例性の仮説は棄却できない。
【0482】
用量比例性は、遊離テストステロンのAUC
0−24、AUC
0−8、およびAUC
0−tのみについては棄却しなかった。
【0483】
【表34】
【0484】
分散分析を用いる用量ペアワイズテスト
表11−38は、用量の正規化後にANOVAを用いる単回用量PKパラメータのペアワイズ比較を示す。結果は、AUC
0−24、AUC
0−8、およびAUC
0−tの遊離テストステロンAUC測定値を除いて、3つのペアワイズ比較のうちの少なくとも1つについて、用量で正規化した全検体の値に違いがあることを明らかにした。
【0485】
【表35】
【0486】
単回投与から複数回投与へのAUC
0−8およびAUC
0−24の対t検定による比較
用量1200μgでの単回投与期間および複数回投与期間の両期間に参加した被験者は3例であった。複数回投与プロファイルの未補正パラメータとの比較のため、遊離テストステロン、総テストステロンおよびジヒドロテストステロンの分析物の濃度からAUC
0−8およびAUC
0−24の未補正パラメータを算出した。表11−39は、遊離テストステロン、総テストステロンおよびジヒドロテストステロンについて、対t検定を用いてこの3例のAUC
0−8およびAUC
0−24を比較したものである。log変換後の比較の結果が示されている。
【0487】
【表36】
【0488】
95%CIの遊離テストステロンの比較には、単回投与と複数回投与のAUC測定値間の同等性が棄却されないよう両AUC測定値の差にゼロを含めた。総テストステロン95%CIには、同等性がAUC
0−8については棄却されず、AUC
0−24については棄却されるよう、AUC
0−8についてゼロを含め、AUC
0−24にはゼロを含めなかった。分析物ジヒドロテストステロンでは、両AUCについて同等性が棄却されるよう、95%CIにゼロを含めた。
【0489】
統計上および分析上の問題
K.共変量の調整
該当なし。
【0490】
L.離脱または欠落データの処理
全部または一部が欠落したAEおよび併用投薬の日付を処理する際には、以下のルールを適用した:
1.一部欠損したAEおよび併用投薬開始の日付について、年が不明である場合、欠損値を割り当てた。月が不明で、年が初回投与の日付の年と一致する場合、初回投与の日付の月日とするか、1月を割り当てた。日が不明で、年月が初回投与の日付のものと一致する場合、初回投与の日付の日とするか、「01」を割り当てた。
2.一部欠損したAEおよび同時投薬終了の日付について、年が不明である場合、欠損値を割り当てた。月が不明である場合、「12月」を割り当てた。日が不明である場合、その月の最終日を割り当てた。
【0491】
上のルールを実行後、開始の日付または終了の日付が欠落しているAE(または投薬)が治療前のものであるか、治療中/治療後のものであるかを判定するため、以下の戦略を用いた:
1.開始の日付および終了の日付がともに欠落している場合、最も慎重な方法をとり、AE(または投薬)が治療中に(または治療と同時に)発現したものであるとした。
2.開始の日付は欠落しているが、終了の日付が欠落しておらず、試験投与の日の後である場合、最も慎重な方法をとり、AE(または投薬)が治療中に(または治療と同時に)発現したものであるとした。
3.開始の日付は欠落しているが、終了の日付が欠落しておらず、試験投与の当日またはその日の前で、インフォームド・コンセントに署名した日の後である場合、AE(または投薬)を治療前のものであるとした。
4.開始の日付は欠落していないが、終了の日付が欠落している場合、最も慎重な方法をとり、投薬を同時のものであるとし、AEを開始の日付により定めた。
【0492】
欠落しているAEの重症度については、最も重症度が高いものとし、欠落している試験薬とAEとの因果性については、「関連がある」ものとした。
【0493】
M.中間解析およびデータ監視
中間解析については上の「中間解析」のセクションで述べられている。
【0494】
N.多施設試験
該当なし。
【0495】
O.多重比較/多重性
対比較を数個実施したが、これらは予備分析であったため、第1種過誤率を調整しなかった。
【0496】
P.被験者の「薬物動態サブセット」の使用
PK分析の対象には全例を含めた。
【0497】
Q.同等性を示すための実薬対照試験
該当なし。
【0498】
R.サブグループの試験
該当なし。
【0499】
個々の応答データの集計
該当なし。
【0500】
薬物用量、薬物濃度および応答との関連
該当なし。
【0501】
薬物−薬物相互作用および薬物−疾患相互作用
該当なし。
【0502】
主題別の表示
該当なし。
【0503】
薬物動態に関する結論
1.単回投与のベースライン補正した遊離テストステロン濃度および総テストステロン濃度で濃度とテストステロン用量の増加との関連が最も明確に認められる。ジヒドロテストステロン分析物濃度には、1800μgの用量と、これと比較した互いに明確な差がみられない低い用量との間に明確な差が認められる。互いに明確な差がみられない高い2つの用量と明確に異なる最低用量600μgの場合、エストラジオール濃度にわずかな変化が観察される。投与したテストステロン量の間にSHBG濃度の明確な差は認められない。
【0504】
2.複数回投与での濃度にはベースライン補正を施さなかったが、グラフによる評価の結果がほぼ同じであった。遊離テストステロン濃度および総テストステロン濃度には投与に起因する濃度の増加が明確に認められる。投与時に比較的少ないジヒドロテストステロン濃度の増加が観察されるが、エストラジオールおよびSHBGの濃度の増加は投与時にはほとんど観察されない。この投与をBIDで実施すると、テストステロンが2〜4倍蓄積するが、12〜15時間後にベースラインに戻る。
3.薬物動態パラメータを個々に挙げて、単回投与および複数回投与のプロファイルをまとめた。単回投与のプロファイルについて、用量比例性の正式な統計的検定を実施した。
4.全3用量にわたる直線回帰を用いた単回投与のプロファイルの検定により、遊離テストステロンのPKパラメータAUC
0−8、AUC
0−24およびAUC
0−tが、用量比例性が棄却されなかった唯一の分析物パラメータであることが示された。
5.単回投与のプロファイルの用量に関するANOVAを用いた対比較では直線回帰との一致がみられたが、ほかにも、遊離テストステロンのAUC
0−8、AUC
0−24およびAUC
0−tパラメータが、少なくとも1つの用量比較について用量比例性が棄却されなかった唯一の分析物パラメータであることが示された。
6.同じ1200μgの用量レベルでの単回投与および複数回投与の両プロファイルに参加した3例を、AUC
0−8およびAUC
0−24の対t検定を用いて比較した。ジヒドロテストステロンの両パラメータおよび総テストステロンのAUC
0−24については、未補正の単回投与プロファイルと未補正の複数回投与プロファイルとの間の同等性が棄却されたが、遊離テストステロンのパラメータについては、いずれもプロファイル間の同等性は棄却されなかった。
【0505】
12.安全性評価
A.曝露の程度
臨床現場で職員監視の下、試験薬投与を実施した。
【0506】
B.有害事象
治療中に発生した有害事象のまとめ
試験期間中、中止に至る死亡例、SAEおよびAEはみられなかった。TEAEのほとんどが器官別大分類の一般障害(鼻関連の事象)および投与部位の状態、呼吸器障害、胸部障害および縦隔障害に分類されるものであった。TEAEのほとんどが軽度のものであり、試験薬との関連性が低い、あるいは関連がみられないものであった。
【0507】
治療中に発生した有害事象の表示
期間1についてTEAEの発現率を表12−1および表12−2に示す。
【0508】
【表37】
【0509】
【表38】
【0510】
有害事象の分析
期間1の有害事象
期間1では、全体で24例中11例(45.8%)にTEAEが少なくとも1件認められた。被験者のほとんどに一般障害および投与部位の状態(24例中7例[29.2%]に認められた)ならびに呼吸器障害、胸部障害および縦隔障害(24例中5例[20.8%]に認められた)のTEAEが認められた。2例以上に認められたTEAEは、カテーテル部位の紅斑(24例中3例[12.5%]に認められた)ならびにカテーテル部位の出血、カテーテル部位の炎症、めまいおよび鼻閉(それぞれ24例中2[8.3%]に認められた)であった(表12−1)。
【0511】
期間1で認められたTEAEの大部分が軽度のものであった。24例中、計10例(41.7%)に軽度のTEAEが認められた。24例中1例(4.2%)のみに中等度のTEAEが認められた。第1日に、被験者522−53(コホート2)に中等度の頭痛およびめまいが認められた。TEAEはともに治療を実施することなく翌日に解消し、試験薬との関連性は低いと考えられた。
【0512】
全体で、24例中4例(16.7%)に試験薬との関連が否定できないTEAEが認められた。24例中、計3例(12.5%)に試験薬との関連性が低いと考えられるTEAEが認められ、24例中4例(16.7%)に試験薬との関連はないと考えられるTEAEが認められた。
【0513】
期間2の有害事象
期間2では、全体で8例中4例(50.0%)にTEAEが少なくとも1件認められた。8例中2例(25.0%)に一般障害および投与部位の状態が認められた。8例中それぞれ1例(12.5%)に認められたTEAEは、カテーテル部位の疼痛、カテーテル部位の静脈炎、消化不良、頭痛および鼻痛であった(表12−2)。
【0514】
期間2で認められたTEAEの大部分が軽度のものであった。全体で、8例中3例(37.5%)に軽度のTEAEが認められた。8例中1例(12.5%)のみに中等度のTEAEが認められた。第2日に、被験者522−29に中等度の頭痛強度の増大が認められた。TEAEは治療を実施することなく2日後に解消し、試験薬との関連が否定できないものであると考えられた。
【0515】
全体で、8例中2例(25.0%)に試験薬との関連が否定できないTEAEが認められ、8例中2例(25.0%)に試験薬と関連がないと考えられるTEAEが認められた。
【0516】
期間1および期間2の有害反応
期間1および期間2で認められた有害反応(試験薬との関連が否定できない、試験薬と関連がある可能性が高い、あるいは試験薬と明らかに関連があると考えられるTEAEと定義される)を表12−3に示す。
【0517】
試験期間中、計6例に有害反応が認められ、期間1では24例中4例(16.7%)に、また期間2では8例中2例(25.0%)に有害反応が認められた。いずれの有害反応も試験薬との関連が否定できないものであると考えられた。被験者522−29(期間2)に、それぞれ1つのTEAEとして記録された頭痛の有害反応が2件認められたが、これは重症度が中等度まで増大した1件の軽度の頭痛であった。
【0518】
【表39】
MedDRA=医薬品規制用語集;TEAE=治療中に発現した有害事象
a.発現は、発現が期間1の間である場合、[発現日−期間1の治療日+1]、発現が期間2の間である場合、[発現日−期間2の治療日+1]として、それぞれ算出した。
b.重症度は、治験責任医師により軽度、中等度または重度の等級に分けられたものである。
【0519】
被験者による有害事象の列挙
別表16.2,リスト16.2.7.1には有害事象が被験者により列挙されている。別表16.2、リスト16.2.7.4には期間1および期間2の有害反応(試験薬との関連が否定できない、試験薬と関連がある可能性が高い、あるいは試験薬と明らかに関連があると考えられるTEAEと定義される)が被験者により列挙されている。
【0520】
C.死亡例、他の重篤な有害事象例および他の重要な有害事象例
試験期間中、中止に至る死亡例、SAEおよびAEはみられなかった。
【0521】
D.臨床検査室評価
各検査パラメータの評価
経時的な検査値
検査値の経時的変化は算出しなかった。
【0522】
個々の被験者にみられる変化
スクリーニングを受けておらず、異常な検査値が認められた被験者を表12−4(血液学的検査)、表12−5(化学検査)および表12−26(尿検査)に示す。
【0523】
【表40】
【0524】
【表41】
【0525】
【表42】
【0526】
個々の臨床的に重要な異常
異常な臨床検査結果がTEAEとして記録されることはなかった。
【0527】
E.バイタルサイン、身体検査および安全性に関連するその他の観察
バイタルサイン
異常なバイタルサインがPIによって報告されることも、TEAEとして記録されることもなかった。
身体検査
PK血液検体採取による静脈穿刺部位に関連した異常な身体検査結果が3例に認められた。これらはいずれも臨床的に重要であるとは考えられなかった。
・被験者522−35(1200μg)−期間2、第5日:左側肘前部位のわずかな静脈炎
・被験者522−38(1200μg)−期間2、第5日:左側肘前領域の圧痛/ひりひりする痛み
・被験者522−51(1200μg)−期間1、第4日:左側AC IV部位のわずかな圧痛
【0528】
HEENTまたはPK血液検体採取による静脈穿刺部位に関連したもの以外に他の異常な身体検査結果は報告されなかった。
【0529】
経鼻内視鏡検査
スクリーニング時、ENT経鼻内視鏡検査所見は報告されなかった(別表16.2、リスト16.2.4.3.2)。
【0530】
期間1の第4日、PIにより臨床的に重要であると考えられたENT検査所見が2例に認められ、そのうち、被験者522−37(600μg)にわずかな鼻漏が認められ、被験者522−53(1200μg)に軽度の紅斑が左側鼻孔粘膜に認められた。
【0531】
基礎的なENT検査で認められた全異常所見を表12−27に示す。
【0532】
【表43】
CS=臨床的に重要である;ENT=耳鼻咽喉;NCS=臨床的に重要ではない;TEAE=治療中に発生した有害事象
a.第2日に鼻漏(軽度で、試験薬との関連が否定できないもの)のTEAEが報告され、第5日に解消した。
b.第3日に鼻粘膜障害(軽度で、試験薬との関連が否定できないもの)のTEAEが報告され、試験終了時にも継続していた。
【0533】
F.安全性に関する結論
試験期間中、中止に至る死亡例、SAEおよびAEはみられなかった。EAEのほとんどが器官別大分類の一般障害および投与部位の状態、呼吸器障害、胸部障害および縦隔障害に分類されるもの(鼻関連の事象)であった。TEAEのほとんどが軽度のものであり、試験薬との関連性が低い、あるいは関連がみられないものであった。
【0534】
期間1では、24例中、計11例(45.8%)にTEAEが少なくとも1件認められた。2例以上に認められたTEAEは、カテーテル部位の紅斑(24例中3例[12.5%]に認められた)ならびにカテーテル部位の出血、カテーテル部位の炎症、めまいおよび鼻閉(それぞれ24例中2例[8.3%]に認められた)であった。
【0535】
期間1で認められたTEAEの大部分が軽度のものであった。24例中10例(41.7%)に軽度のTEAEが認められた。24例中1例(4.2%)のみに中等度のTEAEが認められた。第1日に、被験者522−53(1200μg)に中等度の頭痛およびめまいが認められた。TEAEはともに治療を実施することなく翌日に解消し、試験薬との関連性は低いと考えられた。
【0536】
期間2では、8例中、計4例(50.0%)にTEAEが少なくとも1件認められた。8例中2例(25.0%)に一般障害および投与部位の状態が認められた。8例中それぞれ1例(12.5%)に認められたTEAEは、カテーテル部位の疼痛、カテーテル部位の静脈炎、消化不良、頭痛および鼻痛であった。
【0537】
期間2で認められたTEAEの大部分が軽度のものであった。全体で、8例中3例(37.5%)に軽度のTEAEが認められた。8例中1例(12.5%)のみに中等度のTEAEが認められた。第2日に、被験者522−29に中等度の頭痛強度の増大が認められた。TEAEは治療を実施することなく2日後に解消し、試験薬との関連が否定できないものであると考えられた。
【0538】
試験期間中、計6例に有害反応(試験薬との関連が否定できない、試験薬と関連がある可能性が高い、あるいは試験薬と明らかに関連があると考えられるTEAEと定義される)が認められ、うち4例が期間1に、2例が期間2に認められたものである。いずれの有害反応も試験薬との関連が否定できないものであると考えられた。被験者522−29(期間2、600μg)に、それぞれ1つのTEAEとして記録された頭痛の有害反応が2件認められたが、これは重症度が中等度まで増大した1件の軽度の頭痛であった。
【0539】
試験期間中、計6例に有害反応が認められ、期間1では24例中4例(16.7%)に、また期間2では8例中2例(25.0%)に有害反応が認められた。いずれの有害反応も試験薬との関連が否定できないものであると考えられた。被験者522−29(期間2)に、それぞれ1つのTEAEとして記録された頭痛の有害反応が2件認められたが、これは重症度が中等度まで増大した1件の軽度の頭痛であった。
【0540】
臨床検査結果またはバイタルサインに関連するTEAEはみられなかった。期間1の第4日、PIにより臨床的に重要であると考えられたENT検査所見が2例に認められ、そのうち、被験者522−37(600μg)にわずかな鼻漏が認められ、被験者522−53(1200μg)に軽度の紅斑が左側鼻孔粘膜に認められた。
【0541】
13.CMCのセクション
USP規格に従った志願者により、臨床バッチで使用するテストステロンのバッチ80402960を十分に試験した。
【0542】
製剤TBS−2は、女性の無オルガズム症の治療に鼻腔内適用を目的し、可溶化テストステロンを含有する粘稠性で生体接着性の油性製剤である。
【0543】
この製剤は公定不活性成分のヒマシ油、オレオイルポリオキシルグリセリドおよびコロイド状二酸化ケイ素を用いて製剤化される。TBS−2は白色、非エアロゾル、複数回用量の定量ポンプ容器で供給される。容器はキャップ付きでバレル(Albion 15ml)およびポンプ(VP39/140H)として別々に供給される。容器施栓は、製薬学的用途として許容される材料を用いて製造される。
図39を参照されたい。
【0544】
容器施栓は大気圧を利用するものであり、装置は必要な用量を送達するよう設計されている。VP39/140ポンプのアクチュエータが押されると、ポンプ機構のバルブが開く。これにより、ゲルを含むAlbion 15mlバレルの底部を介して大気圧がピストンに作用し、ピストンを押し上げることが可能になる。その結果、ゲルが装置の先端を通って押し上げられる。送達されるゲルの正確で簡明な量は、VP39/140ポンプの設計の機能の1つである。アクチュエータが停止すると、ポンプ機構のばねがバルブを閉じてピストンに対する大気圧の作用を停止させ、アクチュエータがその最初の位置に戻る。
【0545】
患者には、アクチュエータのポンプに指を置き、ポンプ上の指が鼻の基部に達するまでアクチュエータの先端を差し込むよう指示する。アクチュエータ先端の開口部は鼻粘膜の方に向けなければならない。患者がポンプを押すと、ゲルが鼻粘膜上に放出される。各投与は2回の作動からなり、鼻孔当たり1回の作動となる。
【0546】
この臨床試験で使用される3種類の異なる濃度の製剤の組成を表3.2.P.1−1〜3に記載する。
【0547】
【表44】
【0548】
【表45】
【0549】
【表46】
【0550】
充填後および使用時に容器施栓系内で微生物が増殖しないことを確認するため、USP<51>抗微生物有効性試験(Antimicrobial Effectiveness Testing)に従って試験を実施する。この試験は、複数回用量ディスペンサーに充填した4.5%テストステロンゲルを用いて実施するものである。
【0551】
この試験では16個の複数回用量ディスペンサーを検討した。各複数回用量ディスペンサーに標準微生物懸濁液の1つ(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、黄色ブドウ球菌(Sraphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))をピストン先端から0.05mL播種する。上記微生物は、USP <51> 抗微生物有効性試験(Antimicrobial Effectiveness Testing)で経鼻用製品に対して推奨されている微生物であることから選択されたものである。播種に使用する微生物の理論的濃度は、1mL当たり100,000〜1,000,000個である。のちの21日間、各複数回用量ディスペンサーについて毎日2回の作動を行って、実際の使用(2回の作動が1用量に相当する)を反映する。
【0552】
播種したディスペンサーを直立させて20〜25℃でインキュベートする。播種の1日後、7日後、14日後および21日後に各試料を検査する。21日間にわたって試験を実施する。第1日の時点は最悪の事態を評価するため選択されたものである。実際には毎日、作動後に試料の試験を実施する。全時点について、バレル内に残存するゲルを試験する。ピストンを取り外し、バレル内に残存するゲルを試料10グラムを用いてさらに試験して、存在する試験微生物数を測定した。上記の間隔で、外観(すなわち、色、粘度)の変化について試料を検査した。試料採取後に各ディスペンサーを廃棄する。結果を表3.2.P.2.5〜1に示す。
【0553】
【表47】
【0554】
【表48】
【0555】
まとめると、細菌黄色ブドウ球菌(S.Aureus)および緑膿菌(P.Aeruginosa)は、第14日の時点で最初の計数値から2.0以上の減少を示し、第21の時点で第14日の計数値からの増加を示さなかった。酵母カンジダ・アルビカンス(C.Albicans)およびアスペルギルス・ブラシリエンシス(A.Brasiliensis)は、第14日および第28日の時点で最初の計算値からの増加を示さなかった。複数回用量ディスペンサーに包装したテストステロン経鼻ゲルは、抗微生物有効性試験(Antimicrobial Effectiveness Test)の基準を満たすものである。
【0556】
計画される臨床試験用に0.24%、0.48%および0.72%の3つの異なる濃度のTBS−2臨床材料を製造する。上記バッチのバッチ処方を表3.2.P.3.2−1に示す。
【0557】
【表49】
【0558】
TBS−2バルクゲルをバッチリリース用の以下の仕様で試験する。
【0559】
【表50】
TBS1 RC4−17−ヒドロキシアンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン(Δ−6−テストステロン);EP不純物I TBS1 RC5−17−ヒドロキシアンドロスタ−4−エン−3オン(エピテストステロン);EP不純物C
【0560】
複数回用量ディスペンサーに包装したTBS−2ゲルをバッチリリース用の以下の仕様で試験する。
【0561】
【表51】
TBS1 RC4−17−ヒドロキシアンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン(Δ−6−テストステロン);EP不純物I TBS1 RC5−17−ヒドロキシアンドロスタ−4−エン−3オン(エピテストステロン);EP不純物C
【0562】
ディスペンサーの性能を確認するリリース試験として、USPによる投薬量の均一性(Delivered Dose Uniformity)が追加されている。さらに、関連化合物を試験する分析方法が修正されている。資料提供のみを目的にゲルの粘度および水分含有量をリリース時に試験する。ここに挙げた分析方法をこのセクションに記載する。
【0563】
個々のバレルを10個選択し、表3.2.P.5.2.1.1−1にまとめた方法に従って投薬量の均一性(Delivered Dose Uniformity)を試験した。ポンプを10回作動させて各ディスペンサーを準備する。最初の投与、すなわち11回目および12回目の作動ならびに最後の投与(10用量という表示に基づく、すなわち20回の作動)、すなわち29回目および30回目の作動の薬物含有量を試験する。10回の投与(20回の作動)の平均値を報告する。
【0564】
【表52】
【0565】
表3.2.P.5.2.1.2−1にまとめる方法に従って、最終製品中の関連化合物TBS1 RC4(不純物I/Δ−6−テストステロン)およびTBS1 RC5(不純物C/エピテストステロン)および未知の不純物をHPLCにより分析する。
【0566】
【表53】
【0567】
TBS−2の粘度の測定は回転式粘度計を用いて行う。結果は資料提供を目的に報告される。
【0568】
ゲル中の水分含有量は、方法1aによる直接的な滴定測定手段を用いて決定する。結果は資料提供を目的に報告される。
【0569】
ディスペンサーの性能を確認するリリース試験として、USPによるアッセイおよび投薬量の均一性(Delivered Dose Uniformity)が追加されている。さらに、関連化合物を試験する分析方法が修正されている。資料提供のみを目的にゲルの粘度および水分含有量をリリース時に試験する。ここに挙げた分析方法のバリデーションをこのセクションに記載する。
【0570】
表3.2.P.5.3.1−1に挙げたパラメータに従って、アッセイおよび投薬量の方法のバリデーションが実施されている。
【0571】
【表54】
【0572】
HPLCによる関連化合物/分解産物。表3.2.P.5.3.2−1および3.2.P.5.3.2−2に示される性能に対するこの方法のバリデーションが実施されている。
【0573】
【表55】
【0574】
【表56】
【0575】
分析方法は、バリデーション計画に記載されている判定基準を満たすと結論することができる。
【0576】
第I相臨床試験には、TBS−2の3種類のバルクゲルバッチが製造されており、これを表3.2.P.5.4−1にまとめる。バルクゲルバッチIMP1 1005、IMP1 1006およびIMP1 1007のバッチ分析の結果を表3.2.P.5.4−2に示し、最終製剤バッチIMP1 1008、IMP1 1009およびIMP1 1010のバッチ分析のデータを表3.2.P.5.4−3に示す。
【0577】
【表57】
【0578】
【表58】
TBS1 RC4−17−ヒドロキシアンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン(Δ−6−テストステロン);EP不純物I TBS1 RC5−17−ヒドロキシアンドロスタ−4−エン−3オン(エピテストステロン);EP不純物C
BRT−報告の必要な閾値未満
【0579】
【表59】
TBS1 RC4−17−ヒドロキシアンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン(Δ−6−テストステロン);EP不純物I TBS1 RC5−17−ヒドロキシアンドロスタ−4−エン−3オン(エピテストステロン);EP不純物C
TAMC−好気性微生物の総数;TYMC−酵母/カビを合わせた総数;BRT−報告の必要な閾値未満
【0580】
前回の仕様に施した唯一の変更は、ディスペンサーの性能を確認するため、USPによる投薬量の均一性の試験を追加したことである。この使用における上記試験について、その意図する使用への適合性に関する考察および判断基準の正当性の根拠を以下に述べる。
【0581】
鼻アクチュエータから放出されるゲルの投薬量について、個々の複数回用量ディスペンサーの初回投与および最終回投与時の試料の有効成分含有量について分析する。ポンプを10回作動させて各ディスペンサーを準備する。最初の投与、すなわち11回目および12回目の作動ならびに最後の投与(10用量という表示に基づく、すなわち20回の作動)、すなわち29回目および30回目の作動の薬物含有量を、社内のHPLC法を用いて試験して、鼻アクチュエータから送達される有効成分の量を測定し、これを表示量の百分率で表す。
【0582】
鼻アクチュエータから放出された場合、投薬量の均一性試験により作動1回当たりおよび総投薬量(2回の作動)当たりの投薬量の均一性が示され、これは表示と一致するものである。
【0583】
提案される判定基準は、投薬量の均一性(Delivered Dose Uniformity)に関するUSP <601>ならびに経鼻スプレー、吸入液製剤、吸入懸濁液製剤および吸入スプレー製剤の指針(Guidance for Nasal Spray and Inhalation Solution,Suspension,and Spray Drug Products)−化学、製造および管理に関する文書(Chemistry,Manufacturing and Controls Documentation)に基づくものである。
【0584】
測定結果1つ当たりの有効成分の量は、10容器による20個の測定結果のうち3個以上でLCの80〜120%の範囲を外れることがなく、測定結果でLCの75〜125%の範囲を外れるものはなく、初回の測定結果および最終回の測定結果それぞれの平均が85〜115%LCの範囲を外れていない。
【0585】
TBS−2をVP39/140Hポンプとキャップを装着したポリプロピレン製のAlbion 15mlバレルに包装する。ゲル125mgが効率的に放出されるよう、Airlesssystems Laboratory充填ユニット(Airlesssystems、RD 149 Charleval 27380、France)を用いて真空下でバレルにゲルを充填する。
【0586】
Albion 15mlバレルの充填重量の目標を10.0±1.0gとする。
【0587】
包装成分には品質管理の基準が提案される。VP39/140Hポンプとキャップを装着したAlbion 15mlバレルの材料に関する資料を表3.2.P.7−1に示す。供給業者のリリースCoAに加え、容器施栓系を受領時に再試験し、表3.2.P.7−2にまとめた使用を確認する。Albion 15mlバレルのロット10318UV12101のCoAを別表5に記載する。15ml AlbionボトルおよびPMP VP39/140H15Albion+デジタルアクチュエータ+キャップ15ml Albion Roundedの図面を
図39に示す。
【0588】
【表60】
【0589】
【表61】
【0590】
GMP施設で3種類の臨床バッチバルクバッチTBS−2(IMP1 1005、IMP1 1006およびIMP1 1007)を製造した。次いで、表3.2.P.8.1にまとめるように、複数回用量ディスペンサーに各バッチを充填した。
【0591】
【表62】
【0592】
バルクゲルをリアルタイム条件25±2℃、60±5%RHで保管し、表3.2.P.8.3−2に示す時間間隔で試験する。
【0593】
【表63】
【0594】
【表64】
TBS1 RC4−17−ヒドロキシアンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン(Δ−6−テストステロン);EP不純物I TBS1 RC5−17−ヒドロキシアンドロスタ−4−エン−3オン(エピテストステロン);EP不純物C
【0595】
複数回用量ディスペンサーをリアルタイム保管条件下(25±2℃、60±5%RH)、中間時点保管条件下(30±2℃、65±5%RH)および加速保管条件下(40±2℃、75±5%RH)で保管し、表3.2.P.8.1−4に示すスケジュールに従って試験する。各時点で10個のディスペンサーを分析する。
【0596】
【表65】
【0597】
TBS−2最終製品の品質を確認するために用いた属性および対応する判定基準を表3.2.P.8.1−5に挙げる。
【0598】
【表66】
【0599】
データ作成後に提案される何らかの傾向および有効期間について、安定性試験の結果を評価する。室温保管条件、中間保管条件および加速保管条件での安定性試験が現在進行中であり、要請により更新データが入手可能である。
【0600】
セクション3.2.P.8.1に記載のように、TBS−2のバルクおよび最終製品で安定性プログラムを実施する。安定性に関する更新情報については、入手でき次第提供する。
【0601】
本発明による4.5%テストステロンゲルを同一の容器施栓系、VP39/140Hポンプとキャップを装着したポリプロピレン製のAlbion 15mlバレルに包装する。製剤処方は、4.5%ゲルに関しては0.24%ゲル、0.48%ゲルおよび0.72%ゲルと同じであり、ヒマシ油とテストステロンの割合だけが異なる。VP39/140Hポンプとキャップを装着したポリプロピレン製のAlbion 15mlバレルに包装されたテストステロンゲルの安定性を裏付けるデータを表3.2.P.8.3−1および3.2.P.8.3−2に示す。この裏付けデータは、ディスペンサーに包装されたゲルが、効力および純度を十分に保護し、判定基準の範囲内にあることを示している。
【0602】
【表67】
BRT−報告の必要な閾値未満
【0603】
【表68】
BRT−報告の必要な閾値未満
【0604】
14.考察および全体的な結論
A.被験者の概要
本試験は、期間1(単回投与)の3コホートの被験者(コホート1、2および3)および期間2の複数回投与コホートを対象にしたTBS−2の第I相単施設無作為化非盲検並行群間試験であった。計24例の健常女性にTBS−2を600μg、1200μgまたは1800μg鼻腔内に投与し、TBS−2の安全性、耐容性およびPKを評価した。
【0605】
B.薬物動態に関する結論
試験の結果は、遊離テストステロン濃度ならびにAUC
0−8、AUC
0−24およびAUC
0−tパラメータが用量比例性であることを示している。総テストステロン濃度およびパラメータは用量を明確に反映するものであるが、最も強い用量比例関係は遊離テストステロンにみられる。用量比例性は直線回帰およびパラメータの対による用量比較の両方によって試験されるものであり、両試験は、遊離テストステロン濃度が用量比例性であるという点で多義的なものである。その他の分析物濃度については用量による変化はこれより小さく、ジヒドロテストステロン、エストラジオールの順に変化が小さくなり、最後にSHBGが最も変化が小さい。
【0606】
さらに、単回投与プロファイルと複数回投与プロファイルとの間の同等性は、遊離テストステロンのAUC
0−8およびAUC
0−24パラメータのいずれについても棄却されず、このことは、複数回投与しても遊離テストステロンがほとんど沈着しないことを示唆している。しかし、この結果は、各プロファイルについて1200μgを投与した3例に限定されている。複数回投与パラメータとの比較するため、未補正の遊離テストステロン、総テストステロンおよびジヒドロテストステロンの濃度について、単回投与パラメータの算出を実施した。薬物動態分析は、正常範囲およびベースライン範囲が報告されている5種類の分析物に基づくものである。下の表は、正常範囲、観察されたベースライン範囲および用量コホート毎のベースライン範囲の分析結果を示したものである。
【0607】
【表69】
【0608】
この正常範囲とプールされたベースライン範囲のデータ比較は、プールされたベースライン範囲が遊離テストステロン(最小値および最大値)、ジヒドロテストステロン(最大値)、エストラジオール(最小値)およびSHBG(最小値および最大値)の正常範囲外にあることを示している。
【0609】
C.安全性に関する結論
試験期間中、中止に至る死亡例、SAEおよびAEはみられなかった。TEAEのほとんどが器官別大分類の一般障害(鼻関連の事象)および投与部位の状態、呼吸器障害、胸部障害および縦隔障害に分類されるものであった。このことは、PK血液検体採取時の静脈穿刺および試験薬の鼻腔内投与を考慮すれば予測できないことはない。TEAEのほとんどが軽度のものであり、試験薬との関連性が低い、あるいは関連がみられないものであった。
【0610】
TBS−2は、AEおよびバイタルサインに関して安全で耐容性に優れている。
【0611】
本明細書で引用される特許、特許文献、論文、抄録およびその他の刊行物の開示は全て、それぞれ個々に組み込まれた場合と同様に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。不一致が生じた場合には、定義を含めた本明細書が優先されるものとする。当業者には、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明に対する様々な修正および変更が自明である。例示的な実施形態および実施例は単なる例として示されるものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、以下に記載される請求項によってのみ限定される。