特許第6929303号(P6929303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6929303ピペット操作システム用サンプリングコーンの支持ハウジング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929303
(24)【登録日】2021年8月12日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】ピペット操作システム用サンプリングコーンの支持ハウジング
(51)【国際特許分類】
   B01L 9/00 20060101AFI20210823BHJP
   B65D 19/06 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   B01L9/00
   B65D19/06
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-558763(P2018-558763)
(86)(22)【出願日】2017年5月10日
(65)【公表番号】特表2019-516544(P2019-516544A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2017061121
(87)【国際公開番号】WO2017194575
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2020年3月27日
(31)【優先権主張番号】1654249
(32)【優先日】2016年5月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513310243
【氏名又は名称】ジルソン エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス カヴァコ フィリップ
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0045815(US,A1)
【文献】 特表平10−512196(JP,A)
【文献】 特表2001−505820(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0190861(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0101422(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0257953(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0236346(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 9/00 − 9/06
B65D 19/00 − 21/08
G01N 1/00 − 1/44
G01N 35/00 − 35/10
C12M 1/00
A47B 69/00 − 75/00
A47B 79/00 − 81/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットの先端に装填される前のサンプリングコーンを収容するためのケース(1)であって、
積載方向(2)に沿って他の同じケースに積載されるように構成されており、
前記サンプリングコーンを収容するポート(12)が設けられた支持部(10)と、
記積載方向(2)と直交する第一方向(8)に延びており、前記積載方向(2)および当該第一方向(8)と直交する第二方向(6)に対向している第一側面(14a)および第二側面(14b)と、
を備えており、
前記第一側面(14a)と前記第二側面(14b)の各々は、前記第一方向(8)における中央(P)の両側にほぼ対称に配置された結合雌部材(18)と結合雄部材(20)を備えており、
前記第一側面(14a)の前記結合雌部材(18)と前記第二側面(14b)の前記結合雌部材(18)は、ともに前記中央(P)の一方の側に配置されており、
前記第一側面(14a)の前記結合雄部材(20)と前記第二側面(14b)の前記結合雄部材(20)は、ともに前記中央(P)の他方の側に配置されており、
二つの同一の前記ケース(1)が前記積載方向(2)に沿って積載されるとき、
上側の前記ケース(1)の前記結合雄部材(20)と下側の前記ケース(1)の前記結合雄部材(20)が前記中央(P)に対して同じ側にあれば、当該上側の前記ケース(1)は、当該下側の前記ケース(1)に対して係止されることなく載置される位置をとり、
上側の前記ケース(1)の前記結合雄部材(20)と下側の前記ケース(1)の前記結合雄部材(20)が前記中央(P)の両側にあれば、当該上側の前記ケース(1)の二つの当該結合雄部材(20)がそれぞれ当該下側の前記ケース(1)の前記結合雌部材(18)と協働することにより、当該上側の前記ケース(1)が当該下側の前記ケース(1)に対して係止される位置をとる、
ケース。
【請求項2】
前記結合雄部材(20)は、前記積載方向(2)とほぼ直交する軸(23)を有する回動ジョイント(22)を介して対応する側面に回動可能に設けられたタブを備えており、 前記タブは、前記回動ジョイント(22)の一方の側に位置する把持部(30)と、ノッチ(34)を先端に有する係止部(32)を備えている、
請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記回動ジョイント(22)は、弾性ねじれ変形が可能な二つのビード材(26)からなり、当該二つのビード材(26)は、前記回動ジョイント(22)の前記軸(23)に沿って並んでいる、
請求項2に記載のケース。
【請求項4】
前記把持部(30)は、対応する前記側面(14a、14b)よりも上方に突出しており、前記ノッチ(34)は、当該側面のほぼ下端に配置されている、
請求項2に記載のケース。
【請求項5】
前記結合雌部材(18)は、その上部に斜面(19)を有しており、当該斜面(19)は、上側の前記ケースが前記積載方向(2)に沿って下側の前記ケースに向かって相対移動する間、前記ノッチ(34)が当該斜面(19)に沿って動くことによって、前記回動ジョイント(22)を中心として対応する前記結合雄部材(20)を回動させることを可能にし、
前記ノッチ(34)が前記斜面(19)を離れると、当該ノッチ(34)が自動的に前記結合雌部材(18)に挿入される、
請求項2に記載のケース。
【請求項6】
前記結合雌部材(18)への前記ノッチ(34)の自動的挿入は、前記結合雄部材(20)が回動することによりなされ、当該回動は、当該ノッチ(34)が前記斜面(19)を移動している間に前記回動ジョイント(22)へ蓄積されたエネルギーが解放されることによりなされる、
請求項5に記載のケース。
【請求項7】
前記結合雌部材(18)は、対応する側面のほぼ上端かつ前記支持部(10)との合流点の近傍に配置されている、
請求項1に記載のケース。
【請求項8】
前記支持部は、前記サンプリングコーンを収容するための前記ポート(12)を96個有している、
請求項1に記載のケース。
【請求項9】
請求項1に記載のケース(1)を複数備えているアセンブリ(100)であって、
当該複数のケース(1)が前記積載方向(2)に沿って載置されているか、係止されている、
アセンブリ。
【請求項10】
前記複数のケース(1)のスタックの底部に配置された中空ベース(4)を備えており、当該中空ベース(4)は、当該スタックの最も下にある前記ケース(1)と結合するための雌部材(18’)を備えている、
請求項9に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、オートマトン、サンプリングピペットなどのピペット操作システム用のサンプリングコーンを支持するためのケースの分野に関連する。当該ケースは、従来から「ラック」と称されている。
【背景技術】
【0002】
そのようなケースは、ピペット操作システム(ピペット操作ロボットの先端、マルチチャネルサンプリングピペット、マニュアルサンプリングピペット、モータサンプリングピペットなどの先端)へ装填される前のサンプリングコーンを搬送する必要がある。サンプリングコーンを収容するポート間のピッチは、ピペット操作システムの先端間のピッチに合致している。先端のコーンへの容易な挿入を可能にするためである。
【0003】
コーンを搭載したケースは、積み重ねられることが普通である。よって、繰り返されるピペット操作の後でケース内のコーンが空になると、当該ケースがスタックから除かれ、新たなコーンで満たされた下方のケースが現れる。
【0004】
サンプリングピペットを用いて行なわれる手作業の場合、積載されたケースは作業者によって扱われるので、重なるケース同士を結合する手段が設けられることが好ましい。この場合、あるケースから別のケースへの切り替えは、当該結合手段を解除する操作を作業者が行なうことによってなされる。これにより、結合を解かれた一方のケースの取り出しが可能になる。
【0005】
ロボットやオートマトンを用いる自動化されたピペット操作の場合、当該結合手段は、操作の仕方を複雑にする。ケースは、相互保持手段なしに積み重ねられているのみであることが普通だからである。
【0006】
上記の状況は、手作業と自動化作業のどちらを想定するかによって異なる仕様のケースを製造する必要性に繋がる。これにより、ケースの積載方法が複雑化する。ロボットは、製造された各ケースを把持した後、当該ケースが相互保持された積載向けのものなのか、単に積み重ねされるものなのかを判断するための特定を行なうからである。
【0007】
ユーザの視点からも同様の問題がある。ユーザは、使用されるピペット操作システムに応じて異なる仕様のケースを入手することを要するからである。これにより消耗品の支持体の管理が複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の目的は、上記の問題の少なくとも一部を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための本発明の対象は、ピペット操作システム用サンプリングコーンを支持するケースであって、
積載方向に沿って他の同じケースに積載されるように構成されており、
前記サンプリングコーンを収容するポートが設けられた支持部と、
前記支持部と一体であり、前記積載方向を含む中央仮想平面が通って延びるようにように対向している第一側面および第二側面と、
を備えている。
本発明においては、前記第一側面と前記第二側面の各々は、前記中央仮想平面両側にほぼ対称に配置された結合雌部材と結合雄部材を備えており、
前記第一側面の前記結合雌部材と前記第二側面の前記結合雌部材は、ともに前記中央仮想平面の一方の側に配置されており、
前記第一側面の前記結合雄部材と前記第二側面の前記結合雄部材は、ともに前記中央仮想平面の他方の側に配置されており、
二つの同一の前記ケースが前記積載方向に沿って積載されるとき、
上側の前記ケースの前記結合雄部材と下側の前記ケースの前記雄部材が前記中央仮想平面に対して同じ側にあれば、当該上側の前記ケースは、当該下側の前記ケースに対して係止されることなく載置される位置をとり、
上側の前記ケースの前記結合雄部材と下側の前記ケースの前記雄部材が前記中央仮想平面の両側にあれば、当該上側の前記ケースの二つの当該結合雄部材がそれぞれ当該下側の前記ケースの前記雌部材と協働することにより、当該上側の前記ケースが当該下側の前記ケースに対して係止される位置をとる。
【0010】
よって、本発明は、保管されるケースの構成を一種類だけにできる一方、想定される使用状況に応じて載置される位置または係止される位置をとれるようにする独創的な解決手段を提供する。この特徴により、ケースの製造を容易にし、ユーザによる当該ケースの管理を簡単にできる。具体的には、ケースの製造ラインにおいて、製造されるケースの種別を特定する必要も、二つの異なる積載方式を選択する必要もなくなる。結果として、製造工程の大幅な簡略化が達成され、製造時間やプログラム開発などに関して相当の利益が得られる。
【0011】
本発明は、以下に列挙される特徴の少なくとも一つを、単独あるいは組み合わせて備えうる。
【0012】
前記結合雄部材は、前記積載方向とほぼ直交する軸を有する回動ジョイントを介して対応する前記側面に回動可能に設けられたタブを備えており、
前記タブは、前記回動ジョイントの一方の側に位置する把持部と、ノッチを先端に有する係止部を備えている。
【0013】
前記回動ジョイントは、弾性ねじれ変形が可能な二つのビード材からなり、当該二つのビード材は、前記回動ジョイントの前記軸に沿って並んでいる。
【0014】
前記把持部は、対応する前記側面よりも上方に突出しており、前記ノッチは、当該側面のほぼ下端に配置されている。
【0015】
前記結合雌部材は、その上部に斜面を有しており、当該斜面は、上側の前記ケースが前記積載方向に沿って下側の前記ケースに向かって相対移動する間、前記ノッチが当該斜面に沿って動くことによって、前記回動ジョイントを中心として対応する前記結合雄部材を回動させることを可能にし、前記ノッチが前記斜面を離れると、当該ノッチが自動的に前記結合雌部材に挿入される。
【0016】
この場合、前記結合雌部材への前記ノッチの自動的挿入は、前記結合雄部材が回動することによりなされ、当該回動は、当該ノッチが前記斜面を移動している間に前記回動ジョイントへ蓄積されたエネルギーが解放されることによりなされる。
【0017】
あるいは、上記の挿入は、自動的にではなく、前記タブの前記把持部を手で押し、その後で離すことによってもなされうる。
【0018】
前記結合雌部材は、対応する前記側面のほぼ上端かつ前記支持部との合流点の近傍に配置されている。
【0019】
前記支持部は、前記サンプリングコーンを収容するための前記ポートを96個有している。本発明の趣旨から逸脱しなければ、ポートの数は異なってもよいことは勿論である。
【0020】
本発明の別の対象は、上記のケースを複数備えているアセンブリであって、当該複数のケースが前記積載方向に沿って載置されているか、係止されている。
【0021】
前記アセンブリは、前記複数のケースのスタックの底部に配置された中空ベースを備えており、当該中空ベースは、当該スタックの最も下にある前記ケースと結合するための雌部材を備えている。
【0022】
本発明に係る更なる利点や特徴は、以降の非限定的な説明において詳細に説明される。
【0023】
その説明は、以下に列挙される添付の図面に基づいてなされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の好適な一実施形態に係るサンプリングコーンを支持する複数のケースが積載されたアセンブリを、一部断面視で示す正面図である。
図2図1に示される積載された複数のケースの一つを示す斜視図である。
図3図2に示されるケースの一部を示す縦断面図であり、当該断面は結合雄部材を通るように延びている。
図4図2図3に示されるケースの上面図である。
図5】載置位置にある二つのケースのスタックを示す斜視図である。
図5a図5に示されるスタックの一部を示す縦断面図であり、当該断面は結合雄部材を通るように延びている。
図6】係止位置にある二つのケースのスタックを示す斜視図である。
図6a図6に示されるスタックの一部を示す縦断面図であり、当該断面は結合雄部材と結合雌部材を通るように延びている。
図7a図6図6aに示される複数のケースを積載する工程を例示している。
図7b図6図6aに示される複数のケースを積載する工程を例示している。
図7c図6図6aに示される複数のケースを積載する工程を例示している。
図8図6図6a、図7aから図7cに示される二つのケースを結合させる方法を例示している。
図9】スタックの最も下にあるケースと協働する中空ベースを示す斜視図である。
図10図9と同様の図であって、ケースの図示を省略している。
図11図9に対応する横断面図であって、当該断面は、ケースの結合雄部材を通るように延びている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本発明の好適な実施形態に係るアセンブリ100が示されている。このアセンブリは、ピペット操作用のサンプリングコーンを支持する複数のケースのスタックに対応する。
【0026】
ケース1は、積載方向2に沿って積み重ねられる。ここでは、積載方向2は鉛直方向に対応している。後述する本発明の詳細によれば、スタックを形成するケース1は、単に積み重ねられてもよいし、積載方向2に沿って相互保持されてもよい。
【0027】
ケース1は、消耗品とも称されるサンプリングコーン(不図示)を収容するためのものである。よって、コーンアセンブリがスタックの最も上にあるケースから取り除かれると、当該ケースがスタックから取り外され、次のケースに支持されたコーンへの直接的なアクセスが可能になる。この工程は、スタックの底に配置された中空ベース4に支持された最も下にあるケースに至るまで繰り返される。
【0028】
図2から図4は、スタックを形成する複数のケース1の一つを例示している。全てのケース1は、同一の仕様を有している。
【0029】
ワンピース部品として形成されたケース1は、略直方体の中空形状を有している。ケース1は、消耗品を支持する上壁を備えている。支持部10は、積載方向と直交する平面内に配置されている。支持部10は、サンプリングコーンを収容するための複数のポート12を備えている。例えば、96個のポート12が複数の行と複数の列を含むマトリクス上に配列される。ポート12間のピッチは、ピペット操作システムの先端のピッチと合致している。これにより、当該先端のコーンへの容易な挿入を可能にしている。
【0030】
ケース1は、縦方向6と横方向8に沿って延びている。三方向2、6、8は、互いに直交している。
【0031】
支持部10の周辺に、ケース1は四つの側面を備えている。対向する第一側面14aと第二側面14bは、支持部10と一体にされている。積載方向2を含む中央仮想平面Pは、第一側面14aと第二側面14bを通るように延びている。したがって、方向6について対向する側面14a、14bの各々は、方向2と方向8によって定められる横平面に沿って延びている。方向8について対向する二つの側面16a、16bは、方向2と方向6によって定められる縦平面に沿って延びており、側面14a、14bとともに支持部10の外周を形成する。
【0032】
本発明の特徴の一つは、連続するケース同士を結合する手段の構成にある。後述するように、当該手段は、スタックにおけるケースの向きに応じてアクティブまたはパッシブになりうる。
【0033】
対向する第一側面14aと第二側面14bの各々は、結合用雌部材18を備えている。雌部材18は、方向6における外方へ開口している単一のスロットの形態である。雌部材18は、対応する側面のほぼ上端かつ支持部10の近傍に配置されている。方向6における外方へ向かうに連れて下方へ延びる斜面19により、当該スロットが区画されている。
【0034】
対向する第一側面14aと第二側面14bの各々は、結合用雄部材20も備えている。雄部材20は、回動ジョイント22を介して対応する側面に回動可能に設けられたタブの形態である。回動ジョイント22は、積載方向2と略直交かつ横方向8と略平行である回動軸23を有している。回動ジョイント22は、同軸上に並び弾性ねじれ変形が可能な二つのビード材26により形成されている。
【0035】
タブ20は、ケース1を上回る高さを有している。回動ジョイント22を挟む一方の側において、タブ20は、対応する側面と支持部10よりも上方に延びる把持部30を備えている。回動ジョイント22を挟む他方の側において、タブ20は、対応する側面の略下端に配置されたノッチ34を先端に有する係合部32を備えている。
【0036】
タブ20が概ね積載方向2に沿って延びているのに対し、ノッチ34は、方向6に沿ってケース1の内方へ突出している。
【0037】
図4においてより明らかなように、各側面14a、14bにおいて、雌部材18と雄部材20は、中央仮想平面Pについてほぼ対称に配置されている。両側面14a、14bにおいて、雌部材18は、中間仮想平面Pの一方の側に配置されている。両側面14a、14bにおいて、雄部材20は、中央仮想平面Pの他方の側に配置されている。
【0038】
これにより、二つのケース1は、図5図6に示される二つの異なる方式で積載可能である。図5に示されるスタックにおいて、上方に位置するケース1は、下方に位置するケース1に係止されることなく積載方向2に沿って載置されている。この場合、両ケースの雄部材20は、中央仮想平面Pの一方の側に位置している。これにより、図5aに示されるように、雄部材20は、方向6に沿って二対二の関係で重なり合う。
【0039】
単に上ケース1が下ケース1に載置されるこの場合において、雄部材20は、中央仮想平面Pの他方の側に位置している雌部材18と協働しない。
【0040】
複数のケース1が積載中心軸に対して同じ角度位置をとるこの載置方式は、ピペット操作の自動化を可能にするロボットやオートマトンによってアセンブリ100が保持される場合に用いられることが好ましい。
【0041】
これに対し、図6に示されるスタックにおいて、上方に位置するケース1は、下方に位置するケース1に係止される。係止は、前述した結合手段を用いて行なわれる。この場合、二つのケース1は同じ角度位置をとるのではなく、積載中心軸を中心として互いに180°オフセットした角度位置をとる。これにより、両ケースの雄部材は、中央仮想平面Pの両側に位置するようになる。したがって、上ケース1が有する二つの雄部材20は、それぞれ下ケースの二つの雌部材18と協働できるようになる。この様子は、図6aにおける側面14aに示されている。
【0042】
この載置方式は、サンプリングピペットでピペット操作が手作業で行なわれる場合に用いられることが好ましい。これにより、ケース1同士が予期せず分離する虞なしに作業者がケース1のスタックを動かせるようになる。
【0043】
図7aから図7cは、二つのケース1同士を組み立てる方法を例示している。単に一方を他方へ積載方向2に沿って移動させることにより、組立てがなされる。二つのケースは、初めは図7aに示される方向2に沿って揃っている。その後、図7bに示されるようにノッチ34が雌部材18の斜面19に当接する。例えば上ケースを単に下方へ押圧することによる相対移動の継続により、ノッチ34が斜面19に沿って移動する。斜面19の役割は、図7cに示されるように、係合部32を方向6に沿って外方へ動かすことである。この動作は、回動軸23に沿って延びるジョイント22を中心としてタブ20が回動することによりなされる。
【0044】
係合部32が離れて行くと、回動ジョイント22を形成している両ビード材が、軸23に沿って弾性ねじれ変形される。よって、斜面19の出口において雌部材18によって区画されたスロットに対向しているノッチ34に下方への圧力が加わると、当該ノッチ34は、回動ジョイントにそれまで蓄積されたエネルギーが解放されることによって自動的に雌部材18に挿入される。係止位置(係留位置とも称される)は、このようにして得られる。
【0045】
あるいは、ケース1同士の結合は、各把持部30を内方へ動かすように圧力を加え、各ノッチが各雌部材に対向してから当該圧力を解除することによってなされうる。
【0046】
ケース同士の結合を解除するためには、図8に示されるように同じ圧力40が把持部30へ加えられうる。これにより、各ノッチが各雌部材から外れる。係合解除がなされると、上ケースが上方へ付勢されうる。あるいは、下ケースが下方へ付勢されうる。これにより、積載解除がなされる。
【0047】
図9から図11は、ケース1のものと同一または同様の結合雌部材18’を中空ベース4の上縁が備えている構成を例示している。これにより、スタックの最も下にあるケース1の雄部材20と協働できる。同様に、斜面システム19’は、部材20のノッチの雌部材18’への自動的挿入を可能にする。
【0048】
非限定的な例を示したに過ぎない上述の発明に対し、当業者によって様々な改変がなされうることは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図6a
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
図11