(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側バルーンの前記内側が、前記内側バルーンの前記内側とも、前記カテーテルの前記内腔とも、前記カテーテルからの任意の他の流体源とも流体連通していない、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記バルーン構成要素が非膨張状態にあるとき、前記内側バルーン及び前記外側バルーンは、前記外側バルーンの前記内側内でそれらの間に空間が画定されるような形状及び大きさになっている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記バルーン構成要素が非膨張状態にあるとき、前記内側バルーンの壁部はしわが寄っており、前記バルーン構成要素が膨張状態にあるとき、前記内側バルーンの前記壁部は滑らかかつしわのない状態である、請求項3に記載のバルーンカテーテル。
前記内側バルーンが膨張流体を受容し、前記外側バルーンの前記内側の内部で拡張するとき、それらの間にあるすべての残留空気が、前記外側バルーンの前記壁部にある前記穴を通って排出される、請求項3に記載のバルーンカテーテル。
前記バルーン構成要素が膨張状態にあるとき、前記内側バルーンの前記円筒状本体及び前記外側バルーンの前記円筒状本体は、互いと連続的に接触している状態である、請求項5に記載のバルーンカテーテル。
前記バルーン構成要素が前記膨張状態にあるとき、前記外側バルーンが、前記内側バルーンの更なる径方向拡張を制約し、それにより、破裂することなく前記バルーン構成要素によって高圧が維持される、請求項6に記載のバルーンカテーテル。
前記内側バルーンの前記円筒状本体及び前記外側バルーンの前記円筒状本体が、同じ壁厚、同じ作動長さ及び同じ膨張径を有するように形成されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記内側及び外側バルーンの前記近位首状セグメントが前記外側シャフト構成要素に熱接着されており、前記内側及び外側バルーンの前記遠位首状セグメントが前記内側シャフト構成要素に熱接着されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記外側バルーンの前記壁部にある前記穴が、前記外側バルーンの前記近位円錐状セグメントに隣接して前記外側バルーンの前記近位首状セグメントの前記接着されていない領域にある、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【背景技術】
【0002】
世界的に見ると、循環器疾患は、アテローム性動脈硬化症を含めて、死亡の主要原因である。アテローム性動脈硬化症は、はっきりした原因が分かっていない緩徐な進行性疾患である。しかしながら、アテローム性動脈硬化症は、動脈の内側層への損傷から始まり得ると考えられており、このような損傷は、高血圧、高コレステロール、高トリグリセリド(血液中の脂肪(脂質)の一種)、喫煙及び他の煙草由来のもの、インスリン抵抗性、肥満症若しくは糖尿病、疾患(関節炎、狼瘡又は感染症など)からの炎症、並びに/又は原因不明の炎症が原因で引き起こされる可能性がある。動脈の内壁が損傷すると、血球及び他の物質は、多くの場合、損傷部位を攻撃し、動脈の内層に集積する。時間と共に、コレステロール及び他の細胞生産物から作製された脂肪性沈着物又はプラークもまた、損傷部位に集積し、石灰化病変に硬化し、その結果、罹患動脈を狭める。
【0003】
アテローム性動脈硬化症及び他の形態の動脈内腔狭窄を処置するための一方法は、一般に「血管形成」若しくは「PTA」、又は冠動脈において実施されるときは「PTCA」と称される、経皮的血管形成である。血管形成における目的は、罹患動脈を通して十分な血流量を回復させることである。通常、血管形成は、血管壁の制御された伸長及び開裂によって血管を広げるように、動脈の狭窄した内腔内でバルーンカテーテル又は血管形成用カテーテルの膨張バルーンを膨張させ、ある程度まで、軟質プラークを血管壁に押し付けることによって達成され得る。バルーンの膨張は、患者の体の外側に位置する膨張装置に接続されているカテーテルの膨張内腔を通して加圧流体を供給することによって達成される。また、吸引を膨張内腔に適用することは、内部でのバルーンカテーテルの初期配置又は標的血管からの取り出しのためにバルーンをその最小寸法又は低プロファイルまでしぼませる。
【0004】
様々な血管形成用カテーテル設計及び構造が使用可能である。典型的には、血管形成用カテーテルの膨張バルーンは、指定された膨張圧において公称の又は好ましい/定格の膨張径を作り出すように構築及び構成されており、標準的な膨張圧は2〜20気圧(30Psi〜およそ300Psi)である。医用膨張バルーンは、増加する膨張圧下でのバルーンの径の増加量に応じてコンプライアント、非コンプライアント又は半コンプライアントであると分類され得る。−コンプライアントバルーンは、内圧が増加するのに応じた継続的な拡張によって特徴付けられる。例えば、コンプライアントバルーンは、増加する膨張圧に応じて、その好ましい又は定格の膨張径を超えて径方向に拡張し続けることになる。非コンプライアントバルーンは、
図1Aに例示されているグラフの径コンプライアンス曲線によって示されるように、12気圧〜18気圧での公称膨張径の3%の拡大など、慣習的な膨張圧の範囲にわたってバルーンの好ましい又は定格の膨張径の拡大がほとんどないことによって特徴付けられる。非コンプライアントバルーンは、できる限り低い、典型的には5%以下の最大径拡大率を有することになる。半コンプライアントバルーンは、
図1Bに例示されているグラフの径コンプライアンス曲線によって示されるように、12気圧〜18気圧での公称膨張径の6%の拡大など、慣習的な膨張圧の範囲にわたって、その公称膨張径を超えてコンプライアントバルーンよりも低い程度の径方向拡張を提供するものである。典型的には、半コンプライアントバルーンの径方向拡張は、6〜10%である。
図1A及び
図1Bのグラフは、同等の寸法及び壁厚を有する周知の非コンプライアント及び半コンプライアント膨張バルーンの性能に基づいている。第1の非コンプライアント血管形成バルーンは、Stanley Levyによって発明されたものであり、米国再発行特許発明第32,983号に記載されている。Levy特許は、75〜100psiにおいて公称の、しわの寄らない径に達するバルーンを記載している。Levyはまた、200psiにおいて5%未満、又は任意追加的には400psi若しくは500psiにおいて10%未満の公称膨張径を超えて径方向拡張を有するバルーンも教示している。
【0005】
重度の石灰化病変に使用されたとき、標準的な血管形成バルーンは、病変を十分に破壊しない可能性があり、代わりに、
図1Cに示されるように、「ドックボーン」状になる可能性がある。「ドッグボーン」は、バルーンの中央部分がその公称膨張径まで拡張するのを硬い石灰化に阻まれる一方で、石灰化に制約されないバルーンの端部部分は中央部分よりも膨張し、いわゆる「ドッグボーン」膨張形状を作り出すことを意味する専門用語である。このような状況では、標準的な膨張バルーンによるバルーン血管形成は、狭窄症の開口において効果的でない可能性があり、罹患動脈は依然として、第2の血管形成、又は更に別の処置が実施されることを必要とする狭窄を有するままである可能性がある。標準的なバルーンが「ドックボーン」状になり得る1つの原因は、標準的なバルーンは、その破裂強度を超え、機能しなくなる前に、十分な径方向力を重度石灰化病変に働かせることができないことである。
【0006】
したがって、特定の血管形成手技中、従来の血管形成バルーンよりも高い最大拡張圧(RBP)を有する血管形成バルーンを利用することが望まれ得る。同じ材料を使用して膨張バルーンの壁厚を増加させることは、標準的なバルーンよりも比較的に高いRBPを達成し得ることが知られている。しかしながら、そのように作製された、壁を厚くした膨張バルーンは、いくつかの状況において、石化処置部位へのナビゲーション、その内部への挿入、及びそこからの取り出しを妨げる又は遅らせる恐れのあるより大きい脱気送達プロファイル及びより大きい曲げ剛性、例えば、低下した可撓性(追従性)などの欠点を有することが予測され得る。更に、材料を有益に方向付けするために必要な膨張バルーンの加工に起因して、特定の厚さのバルーン壁は、より高い破裂強度を達成するのを実質的に妨げ得る応力勾配を「壁を厚くした」バルーンの内側表面と外側表面との間に発生させる可能性がある。したがって、当該技術分野において、血管内の重度石灰化病変でさえも粉砕又は圧縮するほど十分に高い圧力まで膨張させることができるように、より高いRBPを有する、血管形成手技用の高圧膨張バルーンの必要性が依然として存在する。このようなバルーンは、「ドッグボーン」効果を回避し、その結果、隣接する動脈組織を過剰に伸長することなく抵抗性狭窄部を広げるように、非コンプライアントな性質を有益に有するであろう。更に、このような高圧血管形成バルーンが低プロファイル及び良好な追従性を有することは、石灰化処置部位へのナビゲーション及びその内部への挿入に有利であろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施形態が、図面を参照してここで説明され、図面では、同様な参照番号は、同等な又は機能的に類似した要素を示す。「遠位」及び「近位」という用語は、治療している臨床医に対する位置又は方向に関して以下の説明で使用される。「遠位」又は「遠位に」は、臨床医から離れた位置又は臨床医から離れた方向である。「近位」及び「近位に」は、臨床医に近い位置又は臨床医に向かった方向である。
【0013】
以下の詳細な説明は、本質的に例示にすぎず、本発明又は本発明の用途及び使用を限定することを意図しない。本発明の説明は、冠動脈、腎動脈及び他の末梢動脈などの血管の処置の文脈にあるが、本発明はまた、有用であると考えられる任意の他の身体経路においても使用され得る。更に、前述の技術分野、背景技術、発明の概要、又は以下の詳細な説明において提示されるいかなる明示又は暗示された理論によっても束縛されることを意図していない。
【0014】
図2及び
図2Aは、本明細書に記載の実施形態によるバルーンカテーテル100を描写している。カテーテル100は、患者の外側にいる臨床医によってアクセス可能なハブ116を有する近位セグメント102と、血管構造内で処置部位に位置決め可能な高圧バルーン構成要素108を有する遠位セグメント104と、を含む。バルーン構成要素108は、
図2では非膨張又は非拡張構成で、
図3Bでは拡張又は膨張構成で示されている。本明細書に記載の実施形態では、カテーテル100は、バルーン血管形成手技で使用され得るだけでなく、ステント送達システム、及び/又はグラフト送達システムの基礎を形成してもよい。
【0015】
カテーテル100は、ハブ116に連結された近位端部110と、バルーン構成要素108に連結された遠位端部112と、を有する細長い管状又は外側シャフト構成要素106を含む。
図2及び
図2Aに示す実施形態では、例示を目的とし、これに限定するものではないが、カテーテル100は、外側シャフト構成要素106及びバルーン構成要素108のそれぞれを通って延在する内側シャフト構成要素114を含むオーバーザワイヤー(OTW)構成を有する。内側シャフト構成要素114は、ガイドワイヤー130を収容するために、その中に通して内腔118を画定する。別の実施形態では、カテーテル100は、内側シャフト構成要素が、カテーテル100の遠位セグメント104の内部にのみ延在するよう、本明細書に記載の範囲から逸脱することなく迅速交換(RX)構成を有するように修正されてよい。
図2及び
図2Aに示す本実施形態では、内側シャフト構成要素114は、ハブ116の近位ポート115に連結された近位端部(図示せず)と、バルーン構成要素108の遠位に終端する遠位端部120と、を有する。実施形態では、内側シャフト構成要素114の遠位端部120は、内腔118の遠位ポート117を画定するカテーテル100の非外傷性遠位先端部121の少なくとも一部を形成してよい。別の実施形態では、カテーテル設計の技術分野の当業者であれば理解するように、別個の非外傷性遠位先端部構成要素が、本明細書に記載の範囲から逸脱することなくカテーテル100の遠位端部に連結されてよい。
【0016】
本実施形態に描写されている同軸カテーテル構造では、内側シャフト構成要素114は、外側シャフト構成要素106の内部に延在しており、その結果、実質的に環状の内腔122が、カテーテル100の近位セグメント102の長さにわたってそれらの間に画定されている。例示を目的とし、これに限定するものではないが、押出成形によって形成された多内腔カテーテルシャフト構造など、他のタイプのカテーテル構造もまた、本明細書に記載の実施形態に対して適している。より詳細に以下に説明するように、環状内腔122は、ハブ116の膨張ポート119を通って受容された膨張流体がバルーン構成要素108に送達されるように、外側シャフト構成要素106の近位及び遠位の端部110、112の間に延在している。カテーテル設計の技術分野の当業者であれば理解するように、ハブ116は、膨張流体の供給源に接続され得、かつ、本明細書に記載の範囲から逸脱することなく、
図2に描写されているものとは別の構造又は構成を有し得る、ルアーハブ又は他のタイプのフィッティングを提供する。
【0017】
図2Bは、
図2のラインB−Bに沿って切り取られたカテーテル100の遠位セグメント104の長手方向断面図であり、説明し易いように、ガイドワイヤー130は省略されている。遠位セグメント104の高圧バルーン構成要素108は、内側バルーン224と外側バルーン226とを含む。外側バルーン226は、内側バルーン224を取り巻いており、その結果、内側バルーン224は、外側バルーン226によって画定された内側227の内部に配設されているものとして表現され得る。内側バルーン224は、内側バルーン224の膨張及びそれによるバルーン構成要素108の膨張が所望されるとき、膨張流体をカテーテル100の近位セグメント102の環状内腔122から受容するために、これと流体連通している内側229を画定している。反対に、外側バルーン226の内側227は、近位セグメント102の環状内腔122とも、内側バルーン224の内側229とも、カテーテル100からの任意の他の流体源とも、流体連通していない。これに合わせて、外側バルーン226の内側227は、その中に膨張流体を受容しないが、代わりに外側バルーン226は、以下に説明するように内側バルーン224の膨張によって拡張される。
【0018】
バルーン構成要素108の内側バルーン224は、近位首状セグメント232、テーパー付き近位円錐状セグメント234、遠位首状セグメント236、及びテーパー付き遠位円錐状セグメント238を画定するように形成されている好適な膨張バルーン材料の管状構造体であり、作動又は円筒状本体セグメント240が、近位円錐状セグメント234と遠位円錐状セグメント238との間に延在している。同様に、バルーン構成要素108の外側バルーン226は、近位首状セグメント233、テーパー付き近位円錐状セグメント235、遠位首状セグメント237、及びテーパー付き遠位円錐状セグメント239を画定するように形成されている好適な膨張バルーン材料の管状構造体であり、作動又は円筒状本体セグメント241が、近位円錐状セグメント235と遠位円錐状セグメント239との間に延在している。近位円錐状セグメント234、235のそれぞれは、円錐台状の形状であり、近位にテーパーが付けられており、その結果、対応の円錐状セグメント234、235の狭い近位端部は、その対応の近位首状セグメント232、233に隣接しており、対応の円錐状セグメント234、235の広い遠位端部は、その対応の円筒状壁セグメント240、241の近位端部に隣接している。同様に、遠位円錐状セグメント237、238のそれぞれは、円錐台状の形状であり、遠位にテーパーが付けられており、その結果、対応の円錐状セグメント237、238の広い近位端部は、その対応の円筒状壁セグメント240、241の遠位端部に隣接しており、対応の円錐状セグメント237、238の狭い遠位端部は、その対応の遠位首状セグメント236、237に隣接している。
【0019】
内側及び外側バルーン224、226の近位首状セグメント232、233は、外側シャフト構成要素106の遠位端部112に接合又は接着されており、内側及び外側バルーン224、226の遠位首状セグメント236、237は、内側シャフト構成要素114の遠位端部120に接合又は接着されている。本明細書に記載の実施形態では、内側及び外側バルーン224、226の近位及び遠位の首状セグメントはそれぞれ、外側シャフト構成要素106及び内側シャフト構成要素114に熱接着されても、溶着されてもよい。本明細書に記載の実施形態では、構成要素の熱接着又は溶着は、レーザー溶接、熱定着、及び/又は超音波溶接のうちの1つ以上によってなど、バルーンカテーテル構造の技術分野の当業者にとって周知の任意の従来方法によって達成されてよい。バルーンカテーテル構造の技術分野の当業者にとって周知であるように、他の実施形態では、内側及び外側バルーン224、226を外側シャフト構成要素106及び内側シャフト構成要素114に接合するために、熱接着若しくは溶着に加えて又はその代替として、好適な接着剤が使用されてよい。
【0020】
図2及び
図2Bに示す実施形態では、内側シャフト構成要素114の遠位端部120の接合された、接着された、及び/又は溶解された部分は、内側及び外側バルーン224、226の遠位首状セグメント236、237の接合された、接着された、及び/又は溶解された最遠位部分と共同して、カテーテル100の非外傷性遠位先端部121を形成し、内腔118の遠位ポート117を画定する。本明細書に記載の範囲から逸脱することなくカテーテル設計の技術分野の当業者であれば理解するように、代替的には、上述のように、別個の非外傷性遠位先端部構成要素が、カテーテル100の遠位端部に連結されてもよい。
【0021】
図2Cは、バルーン構成要素108の近位接合領域Cの拡大上面図である。
図2、
図2B及び
図2Cを参照すると、穴又は孔125は、近位首状セグメント233内で外側バルーン226の壁部209を貫通して形成されるものとして示されている。穴125は、
図2及び
図2Bに(並びに後続の
図3A、
図3B、及び
図4A〜
図4Dに)いくぶん大きなものとして示されているが、これは、説明のみを目的としており、本明細書に記載の実施形態による穴125は、それよりむしろ本質的には極めて小さい径のピンホールである。穴125が、外側バルーン226の近位首状セグメント233の残り部分と関連付けて示されているので、穴125の大きさは、
図2Cにおいてより適切に表されている。本明細書に記載の実施形態では、穴125の径は、およそ0.005インチであってよい。
【0022】
穴125は、以下に説明するように、少なくとも初回膨張中に2つのバルーン間の任意の空気又は他の流体が排出されることを可能にするので、穴125は、内側バルーン224が加圧されたときに外側バルーン226と完全に接触するように、外側バルーン226の壁部209を貫通して設けられる通気口である。本明細書に記載の実施形態では、近位又は遠位の円錐状又は首状のセグメント内など、低い2軸ポリマー方向を有する壁部209の領域内に穴125を設けることは、バルーン構成要素の改良された破裂能力を低下させず、バルーン構成要素108を低プロファイルに包む際の破裂変化及び/又は困難につながる恐れのあるバルーン構成要素108における局所的な圧力差を減少させる又はその発生を阻止することの利益をもたらす。外側バルーン226内の穴125は、外側バルーン226の内側227と外部環境との間の唯一の出入り、即ち、流体連通箇所であり、上述のように、外側バルーン226は更なる開口も孔も有せず、内側227は外部環境又はカテーテル100の任意の他の構成要素のいずれとも他の流体連通を有しない。
【0023】
描写された実施形態では、穴125は、外側バルーン226の接合部231の近位側になるように近位首状セグメント233に沿って配置されており、接合部231は、円筒状の近位首状セグメント233とそのテーパー付き近位円錐状セグメント235との間の実質的に境界である。穴125は、外側バルーン226の内側227と周囲環境との間の通気又は流体経路を設けるように、近位首状セグメント233の接着されていない領域A
NB内に配置されている。即ち、穴125は、近位バルーン接着部又は接着された領域A
Bの遠位である箇所又は位置に近位首状セグメント233を貫通して形成されており、接着領域A
Bは、内側及び外側バルーン224、226の近位首状セグメント232、233の接合された、接着された、及び/又は溶解された最近位部分並びに外側シャフト構成要素106の遠位端部112の接合された、接着された、及び/又は溶解された部分からなっている。
【0024】
バルーン構成要素108が非膨張又は非拡張状態にあるとき、
図2及び
図2Bでは容易に見分けることはできないが、内側バルーン224の壁部211は、少なくともその円筒状本体セグメント240に沿ってしわが寄っている、又はそのように見えてよい。
図2Bに示されている非膨張状態では、しわが寄っていることに加えて、内側バルーン224及び外側バルーン226は、外側バルーン226の内側227内でそれらの間に空間又は間隙201が画定される又は生じるような形状及び大きさになっている。実施形態では、「空間」又は「間隙」により、開いた領域、体積又は空隙が、内側227内で、外側バルーン226の内側表面203の少なくとも一部と、非膨張内側バルーン224の外側表面205の少なくとも一部と、の間に存在することが表される。
図2Bでは非膨張の内側及び外側バルーン224、226間の空間201が、例えば、均一な環状空間に見えるようになど、明確に画定されるように描写されているが、これは、例示のみを目的としており、それらの間の実際の空間201は、非膨張の内側及び外側バルーンのしわの寄り方の性質に起因して無定形又はでたらめに見え得ることを理解されたい。
【0025】
本明細書に記載の実施形態によれば、
図3Aは、
図2のカテーテル100の遠位セグメント104の一部の長手方向断面図であり、
図3Bに示されている完全拡張構成へと膨張中のバルーン構成要素108が示されている。内側バルーン224の内側229内の矢印によって表されている、内側バルーン224が膨張流体を受容するとき、内側バルーン224は、外側バルーン226の内側227の内部で径方向に拡張する。外側バルーン226の内側227の内部での内側バルーン224の拡張中、内側バルーン224は、内側及び外側バルーン224、226間の空間又は間隙を埋めるように拡張する。外側バルーン226の内部での内側バルーン224の少なくとも初回拡張中、内側227の空間又は間隙201内に捕捉されている又は残っている残留空気又は流体はすべて、外側バルーン226内の穴125から外に押し出される又は排出され、このことは、内側227内の様々な矢印によって表されている。実施形態では、「残留空気」は、バルーン構成要素108の組み立て時に内側227内の空間又は間隙内に捕捉され得る空気又は他の流体を指すことが意図されており、空間又は間隙は、組み立てられた内側及び外側バルーン224、226間に画定されている。実施形態では、膨張流体による内側バルーン224の拡張中、内側バルーン224の円筒状壁部211は、滑らかかつしわのない状態になる。実施形態では、内側バルーン224は、滑らかかつしわのない外観をバルーン構成要素108の完全加圧未満で達成する。実施形態では、膨張流体による内側バルーン224の拡張中、内側バルーン224は、5気圧〜8気圧に加圧されたとき、滑らかかつしわのない外観を達成する。
【0026】
図3Bは、本明細書に記載の実施形態による、完全拡張構成での
図3Aのバルーン構成要素108を描写しており、バルーン構成要素108は、その公称径D
Nまで拡張され、高作動圧力で加圧されている。拡張構成では、拡張された内側バルーン224は、外側バルーン226の内側227を実質的に占有し、外側バルーン226の内側表面と接触している。本設計の利益は、内側及び外側バルーン224、226が有益に互いと干渉し、それにより、内側又は外側バルーンのいずれよりも個別に高い破裂強度を有する組み立てられたバルーン構成要素108に寄与することである。試験では、本発明による単一バルーンの用意された実施例は、平均24気圧で破裂に達した。しかしながら、本発明により、例示的なバルーンのうちの2つが共に組み立てられ又は入れ子にされたとき、結果として生じた平均破裂圧は40気圧であった。例示的なバルーンの2倍の壁厚を有する、即ち、共に入れ子にされた2つのバルーンの組み合わされた壁厚と同じ厚さである、一重壁のバルーンは、40気圧に達する前に破裂した。外側バルーン226は流体によって直接加圧されず、その代わりに拡張及び加圧された内側バルーン224にケージング効果をもたらすように機能するので、穴125は、バルーン構成要素108の破裂強度に悪影響を及ぼすことはない。即ち、バルーン構成要素108が完全拡張構成にあるとき、外側バルーン226は、内側バルーン224の更なる径方向拡張を制約する傾向があり、それにより、破裂又は断裂することなくバルーン構成要素108によって高圧が維持される。入れ子にされた内側及び外側バルーン224、226は共に、バルーン構成要素108が高い破裂強度を有することを可能にする。実施形態では、バルーン構成要素108は、破裂することなく少なくとも35気圧の高作動圧力を維持し得る。本発明により用意された実施例では、35気圧〜58気圧の範囲の破裂圧が実現された。これに合わせて、本明細書に記載の実施形態によるバルーン構成要素は、高圧膨張バルーンと称され得る。
【0027】
実施形態では、バルーン構成要素108が拡張され、高作動圧力まで加圧されるとき、少なくとも内側バルーン224の円筒状本体セグメント240の外側表面及び外側バルーン226の円筒状本体セグメント241の内側表面は、外側バルーン226が上述のケージング効果をもたらすように、互いと連続的に接触している。別の実施形態では、バルーン構成要素108が拡張され、高作動圧力まで加圧されるとき、内側バルーン224のテーパー付きの近位及び遠位の円錐状セグメント234、238の少なくとも部分の外側表面並びに外側バルーン226のテーパー付きの近位及び遠位の円錐状セグメント235、239の少なくとも部分の内側表面もまた、それぞれに、互いと連続的に接触している状態であり得る。別の実施形態では、バルーン構成要素108が拡張され、高作動圧力まで加圧されるとき、内側バルーン224の近位及び遠位の首状セグメント232、236の少なくとも部分の外側表面並びに外側バルーン226の近位及び遠位の首状セグメント233、237の少なくとも部分の内側表面もまた、それぞれに、互いと連続的に接触している状態であり得る。
【0028】
図4A〜
図4Dは、通気口125又は通気口125a、125bのための様々な位置を描写している、本明細書に記載の実施形態によるバルーン構成要素108A、108B、108C、108Dの断面図である。バルーン構成要素108A、108B、108C、108Dは、説明し易いように、バルーンカテーテルの残り部分から切り離して示されている。
図4Aの実施形態では、単一の穴又は孔125が、外側バルーン226の内側227と周囲環境との間の通気又は流体経路を設けるように、遠位首状セグメント237内で外側バルーン226の壁部209を貫通して形成されるものとして示されている。
図4Aに描写された実施形態では、穴125は、外側バルーン226の接合部223の遠位側になるように遠位首状セグメント237に沿って配置されており、接合部223は、円筒状の遠位首状セグメント237とそのテーパー付き遠位円錐状セグメント239との間の実質的に境界である。上の議論によって理解されるように、穴125は、遠位首状セグメント237の接着されていない領域内に配置されており、したがって、内側及び外側バルーン224、226の遠位首状セグメント236、237の接合された、接着された、及び/又は溶解された最遠位部分並びに内側シャフト構成要素114(
図4Aでは図示せず)の遠位端部121の接合された、接着された、及び/又は溶解された部分からなる遠位バルーン接着部又は接着された領域の近位である箇所又は位置に遠位首状セグメント237を貫通して形成されるであろう。
【0029】
図4Bの実施形態では、単一の穴又は孔125が、外側バルーン226の内側227と周囲環境との間の通気又は流体経路を設けるように、テーパー付きの近位円錐状セグメント235内で外側バルーン226の壁部209を貫通して形成されるものとして示されている。
図4Bに描写された実施形態では、穴125は、外側バルーン226の接合部231からわずかに若しくは最小に遠位である、又はこれに実質的に近位である若しくは隣接しているように、近位円錐状セグメント235の狭い近位端部に沿って配置されている。
図4Cの実施形態では、単一の穴又は孔125が、外側バルーン226の内側227と周囲環境との間の通気又は流体経路を設けるように、テーパー付きの遠位円錐状セグメント239内で外側バルーン226の壁部209を貫通して形成されるものとして示されている。
図4Cに描写された実施形態では、穴125は、外側バルーン226の接合部223からわずかに若しくは最小に近位である、又はこれに実質的に近位である若しくは隣接しているように、遠位円錐状セグメント239の狭い遠位端部に沿って配置されている。
図4Dの実施形態では、外側バルーン226の内側227と周囲環境との間に2つの通気又は流体経路を設けるように、第1の穴125aが、円筒状の近位首状セグメント233の接着されていない領域内に外側バルーン226の壁部209を貫通して形成されるものとして示されており、第2の穴125bが、円筒状の遠位首状セグメント237の接着されていない領域内に外側バルーン226の壁部209を貫通して形成されるものとして示されている。
【0030】
本明細書に記載の実施形態では、内側及び外側バルーン224、226のそれぞれは、膨張可能な医用膨張バルーンの製造に適している任意の材料から形成された半コンプライアント(semi-complaint)血管形成バルーンであり得る。内側及び外側バルーン224、226を形成する際の使用に適した材料としては、例示を目的とし、これに限定するものではないが、ポリエチレン、ポリエーテルブロックアミドコポリマー(PEBA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリウレタン、及びコポリマーなどのポリマー又はこれらのブレンドが挙げられる。上に列挙したものすべてが、半コンプライアントバルーンの作製に適しているわけではない。バルーンの特性は、ナノクレイ、ナノチューブ、又はグラフェンなどの物質をロードすることによって強化され得る。実施形態では、内側及び外側バルーン224、226は、PEBAX(登録商標)7033 SA 01 MEDとして知られているポリエーテルブロックアミドコポリマーからなってよい。
【0031】
本明細書に記載の実施形態では、以下に説明するように、バルーン構成要素108の内側及び外側バルーン224、226のそれぞれは、同じ材料からなっており、内側及び外側バルーン224、226の少なくとも円筒状本体セグメント240、241がそれぞれ、同じ壁厚T
W、同じ作動長さL
W、及び同じ定格又は公称膨張径D
N(
図3Bを参照されたい)を有するようにモールドされている。例えば、実施形態では、例示を目的とし、これに限定するものではないが、内側及び外側バルーン224、226のそれぞれは、PEBAX(登録商標)7033から形成され得、およそ0.0012インチの二重壁厚、20mmの作動長さ及び2.75mmの公称膨張径D
Nを有し得る。効率性及び利便性のために、脱気されたバルーンを穏やかに押して平らにし、2つの壁厚を共に、例えば、二重壁厚(DWT)として、測定することが、一重壁の実際の厚さは測定されたDWTの半分であるという了解の下で、一般に業界で実践されていることに留意されたい。共に測定された2つのバルーン壁の厚さの差異は、典型的にはごくわずかであり、無視することができる。したがって、上の実施形態では、測定されたDWT 0.0012インチは、一重壁厚0.0006インチに関係する。
【0032】
別個に又は個々に、内側及び外側バルーン224、226は、
図1Bに示すように、半コンプライアントバルーンの径コンプライアンス曲線を呈し、その結果、別個に膨張させられると、内側及び外側バルーン224、226のそれぞれは、12気圧〜18気圧でその公称径の6%の拡大(又はおよそ0.34mm/気圧)を個々に経験し得る。しかしながら、内側及び外側バルーン224、226が共に入れ子にされた配置で組み立てられて、本明細書に記載の実施形態によるバルーン構成要素108を形成すると、バルーン構成要素108は、およそ0.0024インチの二重壁厚を有することになり、
図1Bに示すように、また
図5Bに比較により示すように、およそ0.0019インチの二重壁厚を有する一重壁の非コンプライアントバルーンの径コンプライアンス曲線と実質的に同様である径コンプライアンス曲線を、
図5A及び
図5Bに示すように呈することになる。より詳細には、
図5A及び
図5Bを参照すると、入れ子にされた内側及び外側バルーン224、226からなり、かつ、穴125を含むバルーン構成要素108は、12気圧〜18気圧でその公称径D
Nの3%の拡大(又はおよそ0.12mm/気圧)を表す径コンプライアンス曲線を有しており、この曲線は、非コンプライアントバルーンの12気圧〜18気圧でのその公称径の3%の拡大(又はおよそ0.14mm/気圧)を表す径コンプライアンス曲線と実質的に同様である。
【0033】
入れ子にされたバルーン構成要素108は、一重壁の非コンプライアントバルーンのものと同様の径コンプライアンス曲線を提供することができるが、バルーン構成要素108の破裂圧は、
図5Bに示されるように、大幅に高くなっている。加えて、バルーン構成要素108を搭載したカテーテルの追従性は、一重壁の非コンプライアントバルーンを装備した比較可能なカテーテルよりも良好であることが、動物試験及びベンチ試験で示された。一重壁の非コンプライアントバルーンは、
図5Bの入れ子にされた半コンプライアントバルーンの径コンプライアンス曲線及び高破裂圧と同様の特性を提供するように修正されることも可能であり得るが、そのようなバルーンの材料はより硬くする必要があり、かつ/又はバルーン壁をより厚くする必要があることから、そのような一重壁の非コンプライアントバルーンは、著しく妥協した脱気プロファイル及び追従性を有することになるであろう。したがって、本発明の入れ子にされたバルーン構成要素108は、高い破裂強度、低い径コンプライアンス、低い脱気プロファイル及び良好な追従性の普通でない組み合わせを提供する。
【0034】
本明細書に記載の実施形態によるバルーンカテーテルを形成する方法は、第1及び第2のバルーンを保有すること、用意すること、又は取得することを含む。実施形態では、第1及び第2のバルーンのそれぞれは、それぞれのバルーンを形成するように成形された対応の型穴内で対応のポリマー材料のパリソンから延伸ブロー成形されてよい。対応の型穴のそれぞれは、全く同じ円筒状本体セグメント240、241をモールドするように構成されていてよく、また、形成された外側バルーン226の近位及び遠位の首状及び円錐状セグメント233、235、237、239よりもわずかに小さい外法寸法からなるように、形成された内側バルーン224の近位及び遠位の首状及び円錐状セグメント232、234、236、238をモールドするための対応の端部領域を有し得る。この方法では、内側及び外側バルーン224、226は、本明細書に記載されているように、非膨張の内側バルーン224が外側バルーン226の内部に位置決めされることができるように形成されてよい。本明細書に記載の実施形態では、上述のように、第1の又は内側バルーン224及び第2の又は外側バルーン226は、少なくともその円筒状本体セグメント240、241が、同じ壁厚、同じ作動長さ及び実質的に同じ公称膨張径を有するように形成されている。
【0035】
本明細書に記載の実施形態では、上述のように、第1の又は内側バルーン224及び第2の又は外側バルーン226のそれぞれは、半コンプライアントバルーンであってよい。半コンプライアント膨張バルーンを形成するための方法及び加工工程は、医用バルーン設計の技術分野の当業者にとって周知であり、そのため、本明細書には詳述しない。
【0036】
第1の又は内側バルーン224及び第2の又は外側バルーン226を組み立てる前に、ピンホールが、外側バルーン226に穴125の所望の位置に作製される。実施形態では、外側バルーン226は、6気圧までなど、空気供給によって膨張させられ、0.008インチ径の針など、鋭利な工具が、近位及び遠位の首状セグメント233、237のうちの一方を貫通して挿入されて、穴125を作製する。針の挿入深さは、穴125の最終径を制御するように調整されてよく、最終径は、実施形態においておよそ0.005インチであってよい。代替的に、穴125は、穴あけポンチ又はアブレーションレーザービームを使用して作製されてよい。外側バルーン226内の空気の圧力に起因して、ピンホールが作製されるとき、極めて少量の材料が外側に押しやられるので、切断部は可能な限りきれいなままであり得る。代替実施形態では、ピンホールは、膨張した外側バルーン226のテーパー付きの近位及び遠位の円錐状セグメント235、239のうちの一方において、対応の接合部231、223の非常に近くに配置され、その結果、そこに穴125を作製するように、作製されてよい。
【0037】
本明細書によるバルーンカテーテルを形成する方法では、第1の又は内側バルーン224及び第2の又は外側バルーン226は、内側バルーン224を、外側バルーン226の内部に引き込むことができるように十分に折り畳むことによって、バルーン構成要素108を製造するように組み立てられる。その後、内側及び外側バルーン224、226の近位首状セグメント232、233は同軸状に揃えられ、外側シャフト構成要素106の遠位部分がその中に挿入される。次いで、内側及び外側バルーン224、226の近位首状セグメント232、233を外側シャフト構成要素106に取り付けるように、熱接着又は溶着が形成されてよい。近位接着部が作製された後、内側バルーン224の内側229は、カテーテル近位セグメント102の膨張内腔122から膨張流体を受容するために、そこと流体連通している。加えて、近位接着部は、外側バルーン226の近位端部を封止して、その内側227を密封する。本明細書に記載の実施形態では、外側シャフト構成要素106との近位バルーン接着部を形成する前に、内側及び外側バルーン224、226の近位首状セグメント232、233の最近位端部は、長手方向に揃えられているか又は段差配置になっているかのいずれかであり得、段差配置では、外側バルーン226の最近位端部は、内側バルーン224の最近位端部から遠位にずれていてよい。
【0038】
本明細書によるバルーンカテーテルを形成する方法は、内側及び外側バルーン224、226の遠位首状セグメント236、237を、その中に挿入されている内側シャフト構成要素114の遠位部分と同軸状に揃えることを更に含んでよい。次いで、上述の任意の好適な方法により、内側及び外側バルーン224、226の遠位首状セグメント236、237を内側シャフト構成要素114に取り付けるように、熱接着又は溶着が形成される。本明細書に記載の実施形態では、内側シャフト構成要素114との遠位バルーン接着部を形成する前に、内側及び外側バルーン224、226の遠位首状セグメント236、237の最遠位端部は、長手方向に揃えられているか又は段差配置になっているかのいずれかであり得、段差配置では、外側バルーン226の最遠位端部は、内側バルーン224の最遠位端部から近位にずれていてよい。遠位接着部は、内側及び外側バルーン224、226の遠位端部を、その内側229、227の対応の遠位端部を密封又は閉鎖するように封止する。近位及び遠位の接着部の形成中、特に穴125が外側バルーン226の近位及び遠位の首状セグメント233、237のうちの一方の内部に作製されているときは、前もって形成した穴125の領域に接着が起こらないように注意する。
【0039】
バルーンカテーテルを形成する方法では、バルーン224、226が適所に接着された後、内側バルーン224は、外側バルーン226の内部で35気圧の圧力まで膨張させられ、膨張した状態を数秒間などの一定時間維持され得る。
図3Bに示されている拡張構成へのこの初回膨張中、内側バルーン224が拡張して外側バルーン226の内側227を完全に占有すると、外側バルーン226の内側227の内部に捕捉されている可能性のある実質的にすべての残留空気又は他の流体は、穴125を介して周囲環境へと排出又は排気される。その後、内側バルーン224の内側229から膨張流体を取り除くために真空が適用され得、これは同時に、内側及び外側バルーン224、226をそれらの非膨張状態に脱気し、その結果、バルーン構成要素108は、カテーテルシャフトの周囲にまとわりつき、まとわりつき構成でヒートセットされて、低プロファイルを達成し得る。実施形態では、初回排気中並びに/又はまとわりつき及びヒートセット後、実質的にすべての残留空気又は他の流体は、外側バルーン226の内側227から穴125を介して排出され得、穴125の(特に近位及び遠位の首状セグメントのうちの一方に沿っての)極めて小さい大きさ及び位置決めに起因して、空気又は他の流体は、そこを通って外側バルーン226の内側227に再び入ることはない。
【0040】
上述の方法によれば、内側バルーン224は、外側バルーン226の内側227の内部に配設されており、外側バルーン226の内側227は、内側バルーン224の内側229、カテーテル近位セグメント102の内腔122、又はカテーテル100からの任意の他の流体源と流体連通しているように構成されてはいない。
【0041】
本明細書に記載の実施形態では、外側シャフト構成要素106及び内側シャフト構成要素114は、1つ以上のポリマー材料から形成され得る管状構造体であり、このポリマー材料の網羅的でない例としては、ポリエチレン、ポリエチレンブロックアミドコポリマー(PEBA)、ポリアミド、及び/又は積層、ブレンド、若しくは共押出しのいずれかによるこれらの組み合わせが挙げられる。任意追加的に、外側シャフト構成要素106又はそのいくらかの部分は、強度及び/又は可撓性を高めるためにポリマー本体の内部に組み込まれた補強層を有する複合体として形成されてもよい。好適な補強層としては、組物、ワイヤーメッシュ層、埋め込まれた軸方向ワイヤー、埋め込まれた螺旋状又は周方向ワイヤー、ハイポチューブなどが挙げられる。一実施形態では、例えば、外側シャフト構成要素106の少なくとも近位部分は、補強されたポリマー管から形成されてよい。本明細書に記載の範囲から逸脱することなくカテーテル設計の技術分野の当業者には容易に理解されるように、特定の機能性及び用途のために所望され得る追加のカテーテル構成要素が、バルーンカテーテル100、ひいては本明細書に記載されているバルーンカテーテルに追加されても、これと共に利用されてもよい。更に、本明細書に記載の範囲から逸脱することなくカテーテル設計の技術分野の当業者には容易に理解されるように、追加の加工工程及び仕上げ工程が、バルーンカテーテル100に実施されてもよい。
【0042】
バルーン血管形成手技に関連して記載されてはいるが、本明細書に記載の方法及び装置は、ステント手技及び/又はグラフト移植手技を含むがこれらに限定されない、バルーン膨張を利用する任意の医療手技のために使用され得ることを理解されたい。典型的には、ガイドカテーテルは、最初に、切開(図示せず)を通じて、患者の大腿動脈に挿入される。例えば、セルディンガー法は、ガイドカテーテルを経皮的に導入するために利用され得る。ガイドワイヤー130は、血管構造を通じて処置部位まで導入及び操作され得、この例での処置部位は、
図6に示すように、血管V内の狭窄病変又は重度石灰化病変SLであり、その後、カテーテル100がガイドワイヤーの上を処置部位まで進められ得るか、又は代替的に、ガイドワイヤー130及びカテーテル100は同時に狭窄病変SLまで運ばれてきていてもよい。
図6に示すように、カテーテル100は、バルーン構成要素108が狭窄病変(stenotic lesson)SLをうまく横切ってその長手方向中心に位置した状態になるまで進められる。
【0043】
バルーン構成要素108が病変内に配設されると、上述したように、膨張流体が内側バルーン224内に導入され、その結果、バルーン構成要素108は径方向に拡張し始める。バルーン構成要素108は、その完全膨張構成、又は
図3Bに示されている公称径D
Nまで径方向に拡張することになる。バルーン構成要素108は、狭窄病変SLを広げるように、かつ、それにより、血管Vの内腔を拡大するように、必要ならば35気圧などの高圧も含めて、任意の好適な圧力まで加圧されてよい。実施形態では、バルーン構成要素108によって働く力は、狭窄病変SLを径方向に圧縮しても、狭窄を砕き、血管Vの壁を径方向に伸長させても、両効果の組み合わせを付与してもよい。血管形成手技が完了すると、取り出すのに適した低プロファイルに戻るようにバルーン構成要素108を収縮させるために、膨張流体は、内側バルーン224から回収される。
【0044】
本発明による様々な実施形態が上に記載されてきたが、それらは単に例示及び実施例として提示されたにすぎず、限定するものとして提示されたわけではないことを理解されたい。当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細の様々な変更が可能であることは明らかであろう。したがって、本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。本明細書で論じられた各実施形態の各特徴部及び本明細書で引用された各参考文献は、他の実施形態の特徴部と組み合わせて使用し得ることも理解されたい。本明細書で論じるすべての特許及び刊行物は、参照によりこれらの全体が本明細書に援用されている。