(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929318
(24)【登録日】2021年8月12日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】冷凍装置及び冷凍装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
F25B1/00 101Z
F25B1/00 101E
F25B1/00 331Z
F25B1/00 311Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-62391(P2019-62391)
(22)【出願日】2019年3月28日
(65)【公開番号】特開2020-159665(P2020-159665A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】篠澤 徹
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−031417(JP,A)
【文献】
特開平03−067958(JP,A)
【文献】
特開2007−322009(JP,A)
【文献】
特開2018−096621(JP,A)
【文献】
特開2005−226874(JP,A)
【文献】
特表2020−533555(JP,A)
【文献】
国際公開第2019/052761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吐出する圧縮機、前記冷媒を凝縮して高圧冷媒を出力する凝縮器、前記高圧冷媒を膨張させる膨張弁、膨張された前記高圧冷媒を蒸発させて低圧冷媒を出力する蒸発器を備える冷凍装置であって、
前記凝縮器を通過した高圧冷媒と前記蒸発器を通過した低圧冷媒とを熱交換させる気液熱交換器と、
前記凝縮器から前記気液熱交換器を通過して前記蒸発器へ向かう前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記気液熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
前記バイパス回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能な液流量調整部と、
前記凝縮器を通過した前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記圧縮機へ導入する液インジェクション回路と、
前記液インジェクション回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能なインジェクション流量調整部と、
前記圧縮機から前記凝縮器へ向かう高圧冷媒の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサで測定した温度に基づき前記液流量調整部の開閉弁の開閉と前記インジェクション流量調整部の開閉弁の開閉とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記温度センサで測定された前記温度が第1所定値以上であるかどうかを判定し、前記温度が第1所定値以上であると判定された場合、前記液流量調整部の開閉弁を開状態にし、前記液流量調整部の開閉弁の開状態を継続した状態で、前記温度が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上であるかどうかを判定し、前記温度が前記第2所定値以上であると判定された場合、前記インジェクション流量調整部の開閉弁を開状態にする冷凍装置。
【請求項2】
冷媒を吐出する圧縮機、前記冷媒を凝縮して高圧冷媒を出力する凝縮器、前記高圧冷媒を膨張させる膨張弁、膨張された前記高圧冷媒を蒸発させて低圧冷媒を出力する蒸発器を備える冷凍装置であって、
前記凝縮器を通過した高圧冷媒と前記蒸発器を通過した低圧冷媒とを熱交換させる気液熱交換器と、
前記蒸発器から前記気液熱交換器を通過して前記圧縮機へ向かう前記低圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記気液熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
前記バイパス回路へ流入する前記低圧冷媒の流量を調整可能な液流量調整部と、
前記凝縮器を通過した前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記圧縮機へ導入する液インジェクション回路と、
前記液インジェクション回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能なインジェクション流量調整部と、
前記圧縮機から前記凝縮器へ向かう高圧冷媒の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサで測定した温度に基づき前記液流量調整部の開閉弁の開閉と前記インジェクション流量調整部の開閉弁の開閉とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記温度センサで測定された前記温度が第1所定値以上であるかどうかを判定し、前記温度が第1所定値以上であると判定された場合、前記液流量調整部の開閉弁を開状態にし、前記液流量調整部の開閉弁の開状態を継続した状態で、前記温度が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上であるかどうかを判定し、前記温度が前記第2所定値以上であると判定された場合、前記インジェクション流量調整部の開閉弁を開状態にする冷凍装置。
【請求項3】
前記気液熱交換器は、前記凝縮器からの高圧冷媒を通過させる第一配管と前記蒸発器からの低圧冷媒を通過させる第二配管とを有し、
前記バイパス回路は、前記前記気液熱交換器の前記第一配管に連結される請求項1記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記気液熱交換器は、前記凝縮器からの高圧冷媒を通過させる第一配管と前記蒸発器からの低圧冷媒を通過させる第二配管とを有し、
前記バイパス回路は、前記前記気液熱交換器の前記第二配管に連結される請求項2記載の冷凍装置。
【請求項5】
冷媒を吐出する圧縮機、前記冷媒を凝縮して高圧冷媒を出力する凝縮器、前記高圧冷媒を膨張させる膨張弁、膨張された前記高圧冷媒を蒸発させて低圧冷媒を出力する蒸発器、前記凝縮器を通過した高圧冷媒と前記蒸発器を通過した低圧冷媒とを熱交換させる気液熱交換器、前記凝縮器から前記気液熱交換器を通過して前記蒸発器へ向かう前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記気液熱交換器をバイパスするバイパス回路、前記バイパス回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能な液流量調整部、前記凝縮器を通過した前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記圧縮機へ導入する液インジェクション回路、前記液インジェクション回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能なインジェクション流量調整部、前記圧縮機から前記凝縮器へ向かう高圧冷媒の温度を測定する温度センサ、前記温度センサで測定した温度に基づき前記液流量調整部の開閉弁の開閉と前記インジェクション流量調整部の開閉弁の開閉とを制御する制御部を備え冷凍装置の運転方法であって、
前記温度センサで測定された温度が第1所定値以上であるかどうかを判定する第1判定ステップと、
前記温度が前記第1所定値以上であると判定された場合、前記液流量調整部の開閉弁を開状態とする第1弁開ステップと、
前記液流量調整部の開閉弁の開状態を継続した状態で、前記温度が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上であるかどうかを判定する第2判定ステップと、
前記温度が前記第2所定値以上であると判定された場合、前記インジェクション流量調整部の開閉弁を開状態とする第2弁開ステップとを含む冷凍装置の運転方法。
【請求項6】
冷媒を吐出する圧縮機、前記冷媒を凝縮して高圧冷媒を出力する凝縮器、前記高圧冷媒を膨張させる膨張弁、膨張された前記高圧冷媒を蒸発させて低圧冷媒を出力する蒸発器、前記凝縮器を通過した高圧冷媒と前記蒸発器を通過した低圧冷媒とを熱交換させる気液熱交換器、前記蒸発器から前記気液熱交換器を通過して前記圧縮機へ向かう前記低圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記気液熱交換器をバイパスするバイパス回路、前記バイパス回路へ流入する前記低圧冷媒の流量を調整可能な液流量調整部、前記凝縮器を通過した前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記圧縮機へ導入する液インジェクション回路、前記液インジェクション回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能なインジェクション流量調整部、前記圧縮機から前記凝縮器へ向かう高圧冷媒の温度を測定する温度センサ、前記温度センサで測定した温度に基づき前記液流量調整部の開閉弁の開閉と前記インジェクション流量調整部の開閉弁の開閉とを制御する制御部を備え冷凍装置の運転方法であって、
前記温度センサで測定された温度が第1所定値以上であるかどうかを判定する第1判定ステップと、
前記温度が前記第1所定値以上であると判定された場合、前記液流量調整部の開閉弁を開状態とする第1弁開ステップと、
前記液流量調整部の開閉弁の開状態を継続した状態で、前記温度が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上であるかどうかを判定する第2判定ステップと、
前記温度が前記第2所定値以上であると判定された場合、前記インジェクション流量調整部の開閉弁を開状態とする第2弁開ステップとを含む冷凍装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置及び冷凍装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発器からの低圧冷媒を用いて、凝縮器からの高圧冷媒を過冷却して冷凍能力を向上させる気液熱交換器を装着した冷凍装置が知られている。この冷凍装置は、冷凍能力制御時や高負荷時に気液熱交換器を通過する冷媒量を制限することで冷凍能力や負荷の低減を図っている(特許文献1−2)。
【0003】
また、海上コンテナに装備された冷凍装置では、膨張弁の手前から圧縮機に対してバイパス回路を設けて液冷媒を供給する液インジェクションを行うことで、気液熱交換器による吸入ガス過熱度の増大に伴う吐出ガスの温度上昇を抑えている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−31417号公報
【特許文献2】特開2018−96621号公報
【特許文献3】特開2005−226874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、気液熱交換器では、低圧冷媒で高圧冷媒を過冷却するため、気液熱交換器により圧縮機の入口のガス冷媒が過熱され、圧縮機の吐出温度が上昇する。
【0006】
また、液インジェクションにより吐出温度の上昇を抑制していたが、液インジェクションを行うことにより、蒸発器を通過する冷媒循環量が低下して冷凍能力が低下する。また、液インジェクションが頻繁にオンオフすると、膨張弁の過熱度制御に乱れが生じて冷凍能力が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、圧縮機の吐出温度の上昇を抑制するとともに冷凍能力の低下を抑制することができる冷凍装置及び冷凍装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る冷凍装置は、冷媒を吐出する圧縮機、前記冷媒を凝縮して高圧冷媒を出力する凝縮器、前記高圧冷媒を膨張させる膨張弁、膨張された前記高圧冷媒を蒸発させて低圧冷媒を出力する蒸発器を備える冷凍装置であって、前記凝縮器を通過した高圧冷媒と前記蒸発器を通過した低圧冷媒とを熱交換させる気液熱交換器と、前記凝縮器から前記気液熱交換器を通過して前記蒸発器へ向かう前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記気液熱交換器をバイパスするバイパス回路と、前記バイパス回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能な液流量調整部と、前記凝縮器を通過した前記高圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて前記圧縮機へ導入する液インジェクション回路と、前記液インジェクション回路へ流入する前記高圧冷媒の流量を調整可能なインジェクション流量調整部と、前記圧縮機から前記凝縮器へ向かう高圧冷媒の温度を測定する温度センサと、前記温度センサで測定した温度に基づき前記液流量調整部の開閉弁の開閉と前記インジェクション流量調整部の開閉弁の開閉とを制御する制御部とを備え
、前記制御部は、前記温度センサで測定された前記温度が第1所定値以上であるかどうかを判定し、前記温度が第1所定値以上であると判定された場合、前記液流量調整部の開閉弁を開状態にし、前記液流量調整部の開閉弁の開状態を継続した状態で、前記温度が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上であるかどうかを判定し、前記温度が前記第2所定値以上であると判定された場合、前記インジェクション流量調整部の開閉弁を開状態にする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧縮機の吐出温度の上昇を抑制するとともに冷凍能力の低下を抑制することができる冷凍装置及び冷凍装置の運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る冷凍装置の構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る冷凍装置の処理を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態に係る冷凍装置の構成図である。
【
図4】第3実施形態に係る冷凍装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は、例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素については図示を省略する。
【0012】
以下に、本発明の冷凍装置及び冷凍装置の運転方法の実施例を図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る第1実施形態の冷凍装置の構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る冷凍装置は、圧縮機1、凝縮器2、気液熱交換器3、バイパス回路4、膨張弁5、蒸発器6、バイパス開閉弁7、液インジェクション回路8、インジェクション開閉弁9、ファン2a,6a(送風機)、温度センサ10、コントローラ11を備える。
【0014】
圧縮機1は、冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出し、配管1aを経由して凝縮器2に供給する。凝縮器2は、コンデンサであり、圧縮機1から供給される冷媒を凝縮し、凝縮された高圧冷媒を気液熱交換器3に供給する。ファン2aは、凝縮器2に空気を供給することにより凝縮された高圧冷媒を冷却する。
【0015】
気液熱交換器3は、例えば、第一配管3aと第二配管3aを、断面同心円状に配置した二重管式の熱交換器である。詳しくは、第一配管3aは断面内側、第二配管3bは断面外側となる二重管構造である。気液熱交換器3は、凝縮器2を通過した高圧冷媒と蒸発器6を通過した低圧冷媒とを熱交換させる。
【0016】
第一配管3aは、凝縮器2から出力される高圧冷媒を通過させて、膨張弁5に供給する。第二配管3bは、蒸発器6から出力される低圧冷媒を通過させて圧縮機1に供給する。
【0017】
気液熱交換器3の出力は、膨張弁5に接続されている。膨張弁5は、気液熱交換器3からの冷媒を膨張させることにより減圧された低圧冷媒を蒸発器6に供給する。
【0018】
蒸発器6は、エバポレータであり、低圧冷媒を蒸発させて気液熱交換器3の第二配管3bに供給する。ファン6aは、蒸発器6に空気を供給することにより蒸発された低圧冷媒を冷却する。気液熱交換器3の第一配管3aには、高圧冷媒が供給されるので、両者の間で熱交換が行われる。
【0019】
バイパス回路4は、気液熱交換器3の第一配管3aに連結されており、凝縮器2から気液熱交換器3を通過して蒸発器6へ向かう高圧冷媒の少なくとも一部の高圧冷媒を受け入れて気液熱交換器3をバイパスする。バイパス開閉弁7は、本発明の液流量調整部に相当し、バイパス回路4に取り付けられた電磁弁からなり、開閉動作することで、バイパス回路4へ流入する高圧冷媒の流量を調整する。
【0020】
液インジェクション回路8は、凝縮器2の出口側に接続された配管2bに連結され、凝縮器2を通過した高圧冷媒の少なくとも一部の高圧冷媒を受け入れて圧縮機1へ導入する。インジェクション開閉弁9は、本発明のインジェクション流量調整部に相当し、液インジェクション回路8に取り付けられた電磁弁からなり、開閉動作することで、凝縮器2から液インジェクション回路8へ流入する高圧冷媒の流量を調整する。
【0021】
温度センサ10は、圧縮機1の出口側に接続された配管1aに取り付けられ、圧縮機1から凝縮器2へ向かう高圧冷媒の温度を測定し、検出した温度データをコントローラ11に出力する。
【0022】
コントローラ11は、本発明の制御部に相当し、温度センサ10で測定した温度に基づきバイパス開閉弁7の開閉とインジェクション開閉弁9の開閉とを制御する。
【0023】
コントローラ11は、温度センサ10で測定された温度が第1所定値Ta以上であるかどうかを判定し、温度が第1所定値Ta以上であると判定された場合、バイパス開閉弁7を開状態にする。
【0024】
コントローラ11は、温度センサ10で測定された温度が第1所定値Taよりも大きい第2所定値Tb以上であるかどうかを判定し、温度が第2所定値Tb以上であると判定された場合、インジェクション開閉弁9を開状態にする。
【0025】
次に、このように構成された第1実施形態に係る冷凍装置の動作を
図2に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0026】
まず、圧縮機1により圧縮された高圧冷媒は、凝縮器2に供給される。凝縮された高圧冷媒は、気液熱交換器3と液インジェクション回路8とに供給される。高圧冷媒は、気液熱交換器3の第一配管3aに導入される。
【0027】
次に、温度センサ10により圧縮機1の吐出温度を検出する(ステップS11)。コントローラ11は、温度センサ10で測定された温度が第1所定値Ta以上であるかどうかを判定し(ステップS12)、温度が第1所定値Ta以上であると判定された場合、バイパス開閉弁7を開状態にする(ステップS13)。
【0028】
このため、バイパス回路4は、凝縮器2から気液熱交換器3を通過して蒸発器6へ向かう高圧冷媒の少なくとも一部の高圧冷媒を受け入れて気液熱交換器3をバイパスする(ステップS14)。
【0029】
その後、高圧冷媒は膨張弁5に導入され、膨張弁5を適切な開度で通過することにより、高圧冷媒が減圧されるので、低圧冷媒となる。その後、低圧冷媒は、蒸発器6に導入され、冷媒は蒸発し気化する。
【0030】
蒸発器6から出力される低圧冷媒は、気液熱交換器3の第二配管3bに導入されて、第一配管3aを流れる高圧冷媒との間で熱交換される。第二配管3bを流れる低圧冷媒は気液熱交換器3から出力される。その後、低圧冷媒は、圧縮機1に導入され、再度圧縮され循環する。
【0031】
このように、気液熱交換器3に流入する液冷媒の一部をバイパス回路4によりバイパスさせることにより、高圧冷媒の過冷却度を低減できる。このため、冷凍能力の大幅な低下がなく、圧縮機1の吐出温度の上昇を抑制することができる。これにより、液インジェクション回路8の動作を回避することができる。
【0032】
上記バイパス回路4によるバイパス制御が継続されている状態、即ち、バイパス開閉弁7の開状態が継続された状態で、コントローラ11は、温度センサ10で測定された温度が第1所定値Taよりも大きい第2所定値Tb以上であるかどうかを判定する(ステップS15)。温度が第2所定値Tb以上であると判定された場合、インジェクション開閉弁9を開状態にする(ステップS16)。
【0033】
このため、凝縮器2から供給される高圧冷媒の一部の高圧冷媒が圧縮機1に導入される。液インジェクションでは、気液熱交換器3からの低圧冷媒に液インジェクション回路8からの高圧冷媒が導入されるため、圧縮機1の吐出温度の上昇を抑制することができる。
【0034】
また、バイパス制御と液インジェクション制御との相乗効果により、冷凍能力の低下を抑制することができるとともに、液インジェクションの動作回数が低下し、吐出温度の変動が抑制できる。また、インジェクション開閉弁9の寿命を延ばすことができる。また、高負荷プルダウンの時間を短縮することができる。
【0035】
出願人は、第1実施形態の冷凍装置について、40℃から−25℃に変化させる高負荷プルダウン試験を行った。この試験では、40℃から−25℃まで冷却するのに要した時間と、液インジェクションの回数を測定して従来の冷凍装置と実施形態の冷凍装置とを比較した。
【0036】
従来の冷凍装置では、液インジェクション制御を行うのみであり、プルダウン時間が103時間、液インジェクション回数が10回であった。
【0037】
これに対して、実施形態の冷凍装置では、液インジェクション制御とバイパス制御を行い、プルダウン時間が87時間、液インジェクション回数が3回であった。この試験の結果により、実施形態の冷凍装置の方が冷却時間が早く、インジェクション開閉弁9の動作回数が少ない。このため、実施形態の冷凍装置は、冷凍能力の低下を抑制することができるとともに、インジェクション開閉弁9の延命化を図ることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る冷凍装置の構成図である。第1実施形態に係る冷凍装置は、気液熱交換器3の第一配管3aにバイパス回路4を連結したが、第2実施形態に係る冷凍装置は、気液熱交換器3の第二配管3bにバイパス回路4bを連結した。
【0039】
バイパス回路4bは、蒸発器6から気液熱交換器3を通過して圧縮機1へ向かう低圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて気液熱交換器をバイパスする。
図3に示すその他の構成は、
図1に示す構成と同一である。なお、
図3に示す冷却装置の動作は、
図2に示すフローチャートで示す処理と同一であるが、以下の処理のみが異なる。
【0040】
コントローラ11は、吐出温度が第1所定値Ta以上であると判定された場合、バイパス開閉弁7bを開状態にする。このため、バイパス回路4bは、蒸発器6から気液熱交換器3を通過して圧縮機1へ向かう低圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて気液熱交換器をバイパスする。
【0041】
このように、気液熱交換器3に流入する低圧冷媒の一部をバイパス回路4bによりバイパスさせることにより、高圧冷媒の過冷却度を低減できる。このため、冷凍能力の大幅な低下がなく、圧縮機1の吐出温度の上昇を抑制することができる。これにより、液インジェクション回路8の動作を回避することができる。
【0042】
また、バイパス制御と液インジェクションとの相乗効果により、冷凍能力の低下を抑制することができるとともに、液インジェクションの動作回数が低下し、吐出温度の変動が抑制できる。また、インジェクション開閉弁9の寿命を延ばすことができる。また、プルダウンの時間を短縮できる。
【0043】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る冷凍装置の構成図である。第3実施形態に係る冷凍装置は、気液熱交換器3の第一配管3aにバイパス回路4を連結するとともに、気液熱交換器3の第二配管3bにバイパス回路4bを連結したものである。バイパス回路4にはバイパス開閉弁7が取り付けられ、バイパス回路4bにはバイパス開閉弁7bが取り付けられている。
【0044】
コントローラ11は、温度センサ10で測定された温度が第1所定値Ta以上であるかどうかを判定し、温度が第1所定値Ta以上であると判定された場合、バイパス開閉弁7とバイパス開閉弁7bとを開状態にする。
【0045】
このため、バイパス回路4は、凝縮器2から気液熱交換器3を通過して蒸発器6へ向かう高圧冷媒の少なくとも一部の高圧冷媒を受け入れて気液熱交換器3をバイパスする。バイパス回路4bは、蒸発器6から気液熱交換器3を通過して圧縮機1へ向かう低圧冷媒の少なくとも一部を受け入れて気液熱交換器をバイパスする。
【0046】
このように、気液熱交換器3に流入する高圧冷媒の一部をバイパス回路4によりバイパスさせ、気液熱交換器3に流入する低圧冷媒の一部をバイパス回路4bによりバイパスさせることにより、高圧冷媒の過冷却度を低減できる。このため、冷凍能力の大幅な低下がなく、圧縮機1の吐出温度の上昇を抑制することができる。これにより、液インジェクション回路8の動作を回避することができる。
【0047】
また、バイパス制御と液インジェクションとの相乗効果により、冷凍能力の低下を抑制することができるとともに、液インジェクションの動作回数が低下し、吐出温度の変動が抑制できる。また、インジェクション開閉弁9の寿命を延ばすことができる。また、プルダウンの時間を短縮できる。
【0048】
なお、第3実施形態に係る冷凍装置では、吐出温度が所定温度Ta以上になった場合、バイパス回路4とバイパス回路4bとを同時に動作させた。例えば、吐出温度が所定温度Taになった場合に、バイパス回路4とバイパス回路4bとの一方のバイパス回路を動作させ、吐出温度が所定温度TaとTbとの間の温度になった場合に、バイパス回路4とバイパス回路4bとの他方のバイパス回路を動作させてもよい。
【0049】
以上の実施形態の説明で、気液熱交換器3は、第一配管3aに凝縮器2を通過した高圧冷媒を導入し、第二配管3bに蒸発器を通過した低圧冷媒を導入する構成としたが、第一配管3aに蒸発器を通過した低圧冷媒を導入し、第二配管3bに凝縮器2を通過した高圧冷媒を導入する構成としてもよい。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 圧縮機
1a 配管
2 凝縮器
2a ファン
2b 配管
3 気液熱交換器
3a 第一配管
3b 第二配管
4 バイパス回路
5 膨張弁
6 蒸発器
6a ファン
7 バイパス開閉弁
8 液インジェクション回路
9 インジェクション開閉弁
10 温度センサ
11 コントローラ