(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記第1の中心軸は、前記第2のインダクタコイル及び前記第3のインダクタコイルの外径の外側に横方向に位置し、前記第2の中心軸は、前記第1のインダクタコイル及び前記第3のインダクタコイルの外径の外側に横方向に位置し、前記第3の中心軸は、前記第1のインダクタコイル及び前記第2のインダクタコイルの外径の外側に横方向に位置する、電子デバイス。
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記第1のインダクタコイル層は、第4のインダクタコイル及び第5のインダクタコイルをさらに含み、前記第2のインダクタコイル層は、第6のインダクタコイル及び第7のインダクタコイルをさらに含む、電子デバイス。
請求項5に記載の電子デバイスであって、前記第1のインダクタコイル層にある前記第1のインダクタコイルと、前記第4のインダクタコイルと、前記第5のインダクタコイルと、は、同一平面上にあり、互いから等間隔に離れており、重ならない配置に位置する、電子デバイス。
請求項5に記載の電子デバイスであって、前記第2のインダクタコイル層にある前記第2のインダクタコイルと、前記第6のインダクタコイルと、前記第7のインダクタコイルと、は、同一平面上にあり、互いから等間隔に離れており、重ならない配置に位置する、電子デバイス。
請求項5に記載の電子デバイスであって、前記第3のインダクタコイルは、前記インダクタコイル配置内の他のすべてのインダクタコイルの一部分に重なる、電子デバイス。
請求項11に記載のワイヤレス充電デバイスであって、前記第1の複数のインダクタコイルは、3つのインダクタコイルを含み、前記第1の複数のインダクタコイルの各インダクタコイルは、前記第2のインダクタコイル層にある他のすべてのインダクタコイルの中心軸から等間隔に離れている中心軸を含む、ワイヤレス充電デバイス。
請求項12に記載のワイヤレス充電デバイスであって、前記第2の複数のインダクタコイルは、3つのインダクタコイルを含み、前記第2の複数のインダクタコイルの各インダクタコイルは、前記第3のインダクタコイル層にある他のすべてのインダクタコイルの中心軸から等間隔に離れている中心軸を含む、ワイヤレス充電デバイス。
請求項13に記載のワイヤレス充電デバイスであって、前記第1の中心軸は、前記インダクタコイル配置の前記第2のインダクタコイル層及び前記第3のインダクタコイル層内の他のすべてのインダクタコイルの中心軸から横方向に等間隔に離れている、ワイヤレス充電デバイス。
請求項11に記載のワイヤレス充電デバイスであって、前記第1のインダクタコイルは、前記インダクタコイル配置内の他のすべてのインダクタコイルの一部分に重なる、ワイヤレス充電デバイス。
請求項16に記載のワイヤレス充電システムであって、前記第1の終端ゾーンは、前記第2のインダクタコイル及び前記第3のインダクタコイルの外径の外側に横方向に位置し、前記第2の終端ゾーンは、前記第1のインダクタコイル及び前記第3のインダクタコイルの外径の外側に横方向に位置し、前記第3の終端ゾーンは、前記第1のインダクタコイル及び前記第2のインダクタコイルの外径の外側に横方向に位置する、ワイヤレス充電システム。
請求項16に記載のワイヤレス充電システムであって、前記第1の終端ゾーン、前記第2の終端ゾーン及び前記第3の終端ゾーンは、正三角形を形成する、ワイヤレス充電システム。
請求項16に記載のワイヤレス充電システムであって、前記第1のインダクタコイル層は、第4のインダクタコイル及び第5のインダクタコイルをさらに含み、前記第2のインダクタコイル層は、第6のインダクタコイル及び第7のインダクタコイルをさらに含む、ワイヤレス充電システム。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本開示の実施形態は、ワイヤレス充電マットの充電面の、領域全体ではないとしても、大部分にわたって電子デバイスを効率的に充電できるワイヤレス充電マットについて説明する。充電面の下に配置された送電コイルのアレイは、電子デバイスの受電器、又は電子デバイスが結合されたドッキングステーションの受電器に電流を誘導できる時変磁場を生成することができる。
【0083】
ワイヤレス充電マットは、複数の送電コイル層を含んでよい。各層は、格子パターンで配置され、対応する格子パターンで磁場を生成するように構成された送電コイルのアレイを含むことができる。層内の各送電コイル間の空間は、「不感帯」(すなわち、磁場が生成されない領域)であることがある。したがって、ワイヤレス充電マットの充電面にわたって最小限の不感帯が存在するように、複数の送電コイル層を配置することができる。一部の実施形態では、ワイヤレス充電マットは3つの送電コイル層を含み、各層が、他の2つの層内の不感帯を埋めるように配置されている。例えば、第1の層内のコイルによって生成された磁場は、第2及び第3の層内の不感帯を埋めることができる。同様に、第2の層内のコイルによって生成された磁場は、第1及び第3の層内の不感帯を埋めることができ、第3の層内のコイルによって生成された磁場は、第1及び第2の層内の不感帯を埋めることができる。したがって、3つの送電コイル層は、充電面にわたって延びる磁場をまとめて生成することができ、それによって、充電面の大部分にわたって電子デバイスを充電できるようにする。本明細書では、そのようなワイヤレス充電マットの実施形態の態様及び特徴が更に詳細に説明される。
I.ワイヤレス充電マット
【0084】
図1は、本開示の一部の実施形態に従って、ワイヤレス充電マットの例100を示している。ワイヤレス充電マット100は充電面102を含むことができ、無線受電器を有するデバイスを、そのバッテリを無線で充電するために、充電面102上に配置することができる。一部の実施形態では、充電面102は、ワイヤレス充電マット100の上面104の領域であってよく、上面104の、領域全体ではないとしても、大部分にわたって延びる。ワイヤレス充電マット100によって生成された時変磁場は、充電面102内の上面104の領域を伝搬し、デバイスが無線で電力を受信できる連続領域を形成することができる。
【0085】
一部の実施形態では、デバイスは、充電面102内の任意の位置に配置されて、電力を受信できる。例えば、第1のデバイス106は、充電面102内のワイヤレス充電マット100の左側に置かれ、ワイヤレス充電マット100から電力を受信することができる。第2のデバイス(例えば、デバイス108)は、充電面102内のワイヤレス充電マット100の右側に置かれ、ワイヤレス充電マット100から電力を受信することができる。本開示の実施形態に従って、充電面102内の任意の位置に配置されたデバイスがワイヤレス充電マット100から電力を受信できるということが理解されるべきである。一部の実施形態では、2つ以上のデバイスがワイヤレス充電マット100上に配置されて、電力を受信することができる。一例として、デバイス106及び108の両方がワイヤレス充電マット100上に同時に配置されて、電力を同時に受信することができる。
【0086】
デバイス106及び108は、ワイヤレス充電マット100から電力を受信するように構成された任意の適切なデバイスであることができる。例えば、デバイス106及び/又はデバイス108は、ポータブル電子デバイス(例えば、携帯電話、メディアプレーヤ、電子時計など)、ドッキングステーション、又はアクセサリ電子デバイスであることができ、ワイヤレス充電マット100によって生成された磁場にさらされたときに電力を受信するように構成された受電コイルをそれぞれ有する。
【0087】
ワイヤレス充電マット100は、1つ以上のデバイスを充電できる適切な面を提供するように成形され得る。例えば、ワイヤレス充電マット100は、
図1に示されたような錠剤(略長円形)の形状であることができるが、他の実施形態が異なる形状を有することができる。一部の実施形態は、円形、長方形、正方形、又は本開示の思想及び範囲を逸脱することなくデバイスを無線で充電できる面を提供するための、任意のその他の適切な形状を有することができる。
II.送電コイルの配置
【0088】
時変磁場は、ワイヤレス充電マット100内に埋め込まれた複数の送電コイルによって生成され得る。例えば、ワイヤレス充電マット100は、
図2に示されたような送電コイル配置を含むことができる。
図2は、本開示の一部の実施形態に従って、充電マット100内に埋め込まれた送電コイル配置200を示している。
図2は、埋め込まれた送電コイル配置200を見ることができるように、上面104が除去されたワイヤレス充電マット100を示している。送電コイル配置200は、すべての送電コイルが動作しているときに磁場のアレイを充電面102全体にわたって生成できるように、異なる層内に非同心方式で配置された送電コイルの複数のアレイを含むことができる。
A.送電コイルのパターン
【0089】
本開示の一部の実施形態によれば、送電コイル200の特定の配置は、ワイヤレス充電マット100が、電子デバイスを充電できる連続的充電面を形成する磁場のアレイを生成できるようにする。この連続的充電面は、充電面内の任意の位置で電子デバイスを効率的に充電できるようにする。充電面は、ワイヤレス充電マット100の、領域全体ではないとしても、大部分にわたって延びることができる。一部の実施形態では、送電コイル配置200は、送電コイル配置200が連続的充電面を形成する磁場を生成できるようにする基本パターンに従って、配置され得る。基本パターンは、より大きい連続的充電面を形成する更に複雑なパターンを形成するように拡張され得る。
1.基本パターン
【0090】
図3は、本開示の一部の実施形態に従って、3つの送電コイル(第1の送電コイル302、第2の送電コイル304、及び第3の送電コイル306)を有する基本パターンの例300を示している。第1、第2、及び第3の送電コイル302、304、及び306は、3つの個別の層内に配置されることが可能であり、それによって、送電コイル積層体を形成する。例えば、第1の送電コイル302を第1の層内に置くことができ、第2の送電コイル304を第1の層の上の第2の層内に置くことができ、第3の送電コイル306を第1及び第2の層の上の第3の層内に置くことができる。各送電コイルは、本明細書において更に詳細に説明されるように、平坦なリング状の形状を形成するように、外半径から内半径まで巻き付けられたワイヤの1つの層で形成され得る。
図3に示されているように、各送電コイルは、理解を容易にするために、送電コイルの下の層内にある他の送電コイルを見ることができるように、中央の要素(例えば、やはり本明細書において詳細に説明される「ボビン」)を含まずに示されている。
【0091】
一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の送電コイル302、304、及び306はそれぞれ、中央の終端ゾーンを含むことができる。中央の終端ゾーンは、プリント配線基板(PCB)などの相互接続層とインターフェースをとるために確保された各送電コイルの中心の領域であることができる。
図3に示されているように、第1、第2、及び第3の送電コイル302、304、及び306は、中央の終端ゾーン316、318、及び320をそれぞれ有することができる。中央の終端ゾーン316、318、及び320は、本明細書において更に説明されるように、相互接続層とインターフェースをとるために確保された各送電コイルの中心の領域であることができる。したがって、第1、第2、及び第3の送電コイル302、304、及び306は、それらの各中央の終端ゾーンが隣接する送電コイルによって遮断されることなく相互接続層とインターフェースをとることができる位置に、置かれ得る。例えば、送電コイル302の中央の終端ゾーン316は、送電コイル304及び306の外径の外側に、横方向に置かれる。中央の終端ゾーン318及び320にも同じことが言える。したがって、中央の終端ゾーン316、318、及び320は、別の送電コイルと交差することなく、送電コイル積層体内で延びることができる。一部の実施形態では、中央の終端ゾーン316、318、及び320は、中央の終端ゾーン316、318、及び320が正三角形322を形成するように、互いから等間隔に離れて置かれてよい。
2.ロゼットパターン
【0092】
前述したように、基本パターンを拡張して、異なる形状及びサイズのワイヤレス充電マットのための他のパターンを形成することができる。そのようなパターンの1つはロゼットパターンであり、ロゼットパターンは、その円形の外形を前提として、実質的に円形のワイヤレス充電マットに適していることがある。ロゼットパターンは、複数のコイルのうちの異なるコイルが異なる平面上に存在して、互いに非同心になるように、送電コイルが重なり合う配置で配置されるパターンであることができる。拡張された基本パターンでは、1つ以上の送電コイル層が2つ以上の送電コイルを含むことができる。
【0093】
図4は、本開示の一部の実施形態に従って、ロゼットパターンで構成された送電コイル配置の例400を示している。送電コイル配置400は、3つの個別の送電コイル層を含むことができ、それらの層のうちの1つ以上が複数の送電コイルを含む。例えば、第1の送電コイル層は送電コイル402a〜cを含むことができ、第2の送電コイル層は送電コイル404a〜cを含むことができ、第3の送電コイル層は送電コイル406を含むことができる。送電コイル配置400内の各送電コイルは、送電コイルの内径によって定められた開口部を有することができ、各開口部は、隣接する送電コイルのどの部分とも重なり合わない終端ゾーン418(すなわち、中央部分)を含む。更に、送電コイルは、複数のコイルのうちの2つのコイルが互いに同心になることがないように配置される。
【0094】
基本パターンは、互いに最も近い3つ(各送電コイル層内に1つ)の送電コイルのすべてのグループが基本パターンで配置されるように、ロゼットパターン全体に延びてもよい。例えば、送電コイル402a、404a、及び406が基本パターンで配置されている。同様に、送電コイル402a、404b、及び406が基本パターンで配置されており、送電コイル404b、402c、及び406が基本パターンで配置されている、などとなっている。基本パターンに従って送電コイル配置400を配置することによって、送電コイル配置400は、電子デバイスが任意の位置で充電できる連続的充電領域を作成できる。
【0095】
拡張された基本パターンの配置を更によく理解するために、
図5A〜5Cに、送電コイル配置400の異なる層を示している。具体的には、
図5Aは送電コイル402a〜cを含んでいる第1の層を示し、
図5Bは送電コイル404a〜cを含んでいる第2の層を示し、
図5Cは送電コイル406を含んでいる第3の層を示している。実施形態によれば、生成された磁場を等間隔の格子パターンで配置できるように、同じ層内の各送電コイルは、等間隔で離すことができる。例えば、送電コイル402a〜c及び404a〜cは、距離D1の間隔で離され得る。距離D1は、本明細書において更に説明されるように、積層の目的で、他の層内の送電コイルの一部が距離D1内に収まるのに十分な広さになるように選択されてよい。他の実施形態では、距離D1は、隣接する送電コイルが互いに接触しないのに十分な広さになるように選択されてよい。例えば、距離D1は3mm未満であってよい。特定の実施形態では、距離D1は1mm未満である。
【0096】
同じ層内の各送電コイルの中心は、距離D2だけ分離され得る。距離D2は、充電面全体の磁束の均一性に影響を与えることができる。距離D2が大きいほど、充電面全体の磁束の均一性が低下し、一方、距離D2が小さいほど、充電面全体の磁束の均一性が向上する。一部の実施形態では、距離D2は、各送電コイルの外径を考慮しながら、送電コイル間の適切な距離D1を可能にする最小の距離になるように選択される。追加の実施形態では、距離D2は、同じ層内のすべての隣接する送電コイルに関して同じである。したがって、3つの送電コイルのグループ(例えば、第1及び第2の層それぞれに含まれる送電コイル402a〜c及び404a〜c)は、正三角形422の端点に従って配置され得る。
【0097】
図5A及び
図5Bは1つの送電コイル層内の3つのみの送電コイルを示しているが、実施形態は3つのみのコイルを有する送電コイル層に限定されないことが理解されるべきである。代わりに、その他の実施形態は、4つ以上の送電コイルを有する送電コイル層を含むことができる。そのような実施形態では、送電コイルは等間隔に離れて配置され、正三角形の角に対応する位置に配置される。
B.送電コイルのパターンの拡張
【0098】
基本パターンと同様に、異なる形状及びサイズのワイヤレス充電マットの送電コイルの更に大きい集合を形成するために、ロゼットパターン(又は、基本パターンから形成された任意のその他のパターン)を拡張することができる。
図6A〜6Cは、本開示の一部の実施形態に従って、送電コイルのパターンの拡張を示している。
図6Aは初期パターン600を示しており、
図6B及び
図6Cは、増分送電コイル層によって拡張された後の初期パターンをそれぞれ示している。
【0099】
図6A内の初期パターン600は、ロゼットパターンで配置された送電コイル配置600として示されているが、当業者は、基本パターンから形成された任意の初期パターンが初期パターンとして使用され得るということを理解する。初期パターン600は3つの送電コイル層を含み、第1の層が送電コイル602a〜cを含み、第2の層が送電コイル604a〜cを含み、第3の層が送電コイル606aを含む。第2の層は、第1の層と第3の層の間に配置され得る。
【0100】
送電コイルのパターンが拡張され得る方法は、既存の送電コイル配置に基づくことができる。例えば、送電コイルを既存のパターンに追加することは、最も近い送電コイルが置かれた層に基づくことができ、その場合、パターンに追加される送電コイルは、最も近い送電コイルが置かれていない層内に配置される。一例として、最も近い送電コイルが第1及び第2の層内に置かれた場合、パターンの拡張に使用される次の送電コイルは、第3の層に置かれる。同様に、最も近い送電コイルが第1及び第3の層内に置かれた場合、次の送電コイルは第2の層内に配置され、最も近い送電コイルが第2及び第3の層内に置かれた場合、次の送電コイルは第1の層内に配置される。このアプローチは、追加コイルが既存の送電コイル配置に追加されるたびに、パターンの拡張に使用されてよい。パターンに追加される各送電コイルは、
図3に関して本明細書において説明された基本パターンに従って置かれる。
【0101】
図6Bに示された特定の例では、送電コイル606b及び606cが送電コイル配置600に追加されて、送電コイル配置601を形成する。本明細書において説明されたアプローチを使用すると、送電コイル606b及び606cは、最も外側の送電コイルの位置に従って、送電コイル配置601内に配置される。最も外側の送電コイル602b、602c、及び604bが第1及び第2の層内に置かれているため、送電コイル606b及び606cは第3の層内に置かれ得る。別の送電コイル層によるパターンの拡張は、同じアプローチに従う。例えば、
図6Cに示されているように、送電コイル602dが送電コイル配置601に追加されて、送電コイル配置603を形成する。最も外側の送電コイル606b、606c、及び604bが第2及び第3の層内に置かれているため、送電コイル602dは第1の層内に置かれ得る。
【0102】
送電コイル配置600は、任意の設計に従って、任意の程度まで拡張され得る。例えば、送電コイル配置600は、16コイル設計に従って拡張され得る。
図6Dは、本開示の一部の実施形態に従って、16個のコイルで形成された送電コイル配置の例605を示している。図に示すように、複数のコイルのうちの異なるコイルが異なる平面上に存在して、互いに非同心になるように、送電コイル配置605内の送電コイルは重なり合う配置で編成され得る。送電コイル配置605は、
図2に関して本明細書において簡単に説明した送電コイル配置200のコイル配置に類似することができる。したがって、各送電コイルは、充電マット100の充電面102全体にわたって広い有効範囲を提供するように置かれ得る。
【0103】
一部の実施形態では、送電コイル配置600は、異なる設計に従って、更に拡張され得る。一例として、送電コイル配置600は、22コイル設計に従って拡張され得る。
図6Eは、本開示の一部の実施形態に従って、22個のコイルで形成された送電コイル配置の例607を示している。図に示すように、
図6A〜6Cに関して本明細書において説明されたステップに従って、6個の追加コイルが16コイル設計に追加され得る。追加コイルを追加することで、充電面102の形状及び有効範囲を変更することができる。更に、追加コイルを追加することで、充電面102全体にわたって磁束の密度を変更することができる。コイルが多いほど、少ないコイルを含む送電コイル配置よりも大きい充電面102、及び充電面102全体にわたる磁束のより高い密度を得ることができる。
C.送電コイルのパターンの有効範囲
【0104】
本開示の実施形態によれば、基本パターンから形成されたパターンで配置された送電コイルは、連続的充電面を形成する磁場を生成することができる。連続的充電面は、充電面の上に置かれた電子デバイスが、充電面内のどの位置でも電力を受信できるようにし、それによって、ユーザがデバイスを充電するときの簡易性を向上する。
【0105】
図7A〜7Cは、本開示の実施形態に従って、送電コイルのパターンが連続的充電面をどのように作成するかを示している。各図は、送電コイル配置の個別の層を示し、ある距離にわたって磁場の強度をプロットした対応するグラフを示している。このグラフは、1つの送電コイルの強度をプロットしているが、同じ層内のすべての送電コイルに適用され得る。各グラフは、磁場の強度(1メートル当たりのアンペアを表す単位Hによって表されてよい)を表し、上に向かって増加するY軸、及び充電面全体にわたる水平距離を表し、右に向かって増加するX軸を有する。
【0106】
図7Aは、本開示の一部に従って、送電コイルのアレイ700と、送電コイル702によって生成された磁場の強度/距離曲線を表すグラフ708とを示している。送電コイルのアレイ700は、送電コイル配置の第1の層内に置かれた送電コイルのアレイであることができる。一部の実施形態では、送電コイル702は、送電コイル702の中心近くで最大になり、曲線714の中心から離れる方に移動するにつれて減少する強度/距離曲線714を有する磁場を生成する。
【0107】
送電コイルがワイヤレス充電を実行するには、送電コイルは、充電面の上に延びるように十分に強い磁場を生成する必要があることがある。ワイヤレス充電が可能となるしきい値は、グラフ708に示された強度しきい値715によって表されてよい。強度しきい値715より上の曲線714の部分は、ワイヤレス充電に十分であることがあり、強度しきい値715より下の曲線714の部分は、ワイヤレス充電に不十分であることがある。強度しきい値715より下の曲線714の部分は、磁場が充電面の上に置かれた電子デバイスを無線で充電できるほど十分に強くない「不感帯」716及び718として指定されてよい。
【0108】
したがって、実施形態によれば、不感帯を埋めるために、追加層が送電コイル配置に組み込まれ得る。
図7Bに示されているように、第2の送電コイル層が、本明細書において説明された基本パターンの配置に一致するようにして第1の送電コイル層の上に配置されて、第1の層の不感帯の少なくとも一部を埋めることができ、それによって、送電コイル配置701が得られる。第2の送電コイル層は、磁場の強度/距離曲線720を有する送電コイル704を含むことができる。送電コイル704を第2の層に含めることによって、送電コイル704(及び第2の層内のその他の送電コイル)によって生成された磁場が、第1の層の不感帯718を埋めることができる。したがって、第2の層内の送電コイルに対応する充電面の部分は、ワイヤレス充電を実行できる可能性がある。
【0109】
チャート720から理解できるように、第2の層を追加しても、まだ一部の不感帯が存在することがある。例えば、不感帯716の部分がまだ存在することがあり、それによって、充電面の一部の領域ではワイヤレス充電の実行が不可能になり、不連続な充電面が発生する。したがって、本開示の一部の実施形態によれば、残りの不感帯を埋めるために、第3の層が組み込まれ得る。
【0110】
図7Cは、送電コイル配置703を形成するために第1及び第2の送電コイル層の上に形成された第3の送電コイル層を示している。一部の実施形態では、第2の送電コイル層は、第1の送電コイル層と第3の送電コイル層の間に置かれ得る。第3の送電コイル層は、磁場の強度/距離曲線722を有する送電コイル706を含むことができる。送電コイル706を第3の層に含めることによって、送電コイル706(及び第2の層内のその他の送電コイル)によって生成された磁場が、第1及び第2の層の不感帯716を埋めることができる。したがって、充電面内に不感帯が存在しなくなるようにすることができ、それによって、電子デバイスを任意の位置に置いたときに無線で充電できる連続的充電面を作成する。
【0111】
図7A〜7Cは連続的充電面を作成するために3つの層のみを有する送電コイル配置を示しているが、実施形態はそのような構成に限定されない。その他の実施形態は、本開示の思想及び範囲を逸脱することなく、連続的充電面を形成するために3つよりも多いか、又は少ない層を有することができる。
D.送電コイルの回転配置
【0112】
異なる層内で互いに重なり合うような送電コイルの配置は、1つの層内に配置された同様のコイルのアレイと比べて、組み立てられたときの送電コイル配置のZ高(例えば、厚さ)を増やす。本開示の一部の実施形態によれば、下で説明されるさまざまな実施形態において記載されるように、送電コイル配置内の送電コイルをさまざまな半径方向に向けて、送電コイル配置のZ高を最小限に抑えることができる。半径方向は、基準方向(真北などの任意の角度方向であってよい)に対して送電コイルが半径方向に調整される角度である。送電コイルの半径方向は、送電コイルの基準位置と基準方向の間の角度差によって定められてよい。
【0113】
図8Aは、基準方向の例807に対する、送電コイル801a〜bの基準位置の例を示している。基準方向の例807は、
図8Aに示されているように、真北に対応する角度方向であってよい。基準位置は、他のすべての送電コイルにおいて共通する送電コイルの任意の構造部品によって表されてよい。例えば、送電コイル801aの基準位置803aは、送電コイル801aの終端805aによって表され得る。同様に、送電コイル801bの基準位置803bは、送電コイル801bの対応する終端805bによって表され得る。送電コイル801aの半径方向は、基準方向807と基準位置803aの間の角度によって定められることが可能であり、送電コイル801bの半径方向は、基準方向807と基準位置803bの間の角度によって定められることが可能である。したがって、送電コイル801aは、
図8Aに示されているように、送電コイル801bとは異なる半径方向に配置されてよい。
【0114】
これらの送電コイルが配置される特定の方法は、1つ以上の要因に基づくことができる。例えば、送電コイルの構造は、隣接する層内の送電コイル間の空間を埋めることができる突起を含むことができ、それによって、Z高を最小限に抑える。一例として、第1の層内の送電コイルは、第2の層内の隣接する送電コイル間の空間を埋める突起を有することができる。そのような構造体の詳細については本明細書で更に説明される。
【0115】
異なる送電コイル層内の送電コイルは、異なる半径方向に配置され得る。
図8Bは、3つの送電コイル層(第1の送電コイル層802、第2の送電コイル層804、及び第3の送電コイル層806)で形成された送電コイル配置の例800を示しており、各層の送電コイルが他の層とは異なる半径方向に配置されている。送電コイル配置800は、
図1及び
図2におけるワイヤレス充電マット100などの錠剤形のワイヤレス充電マットに適した配置で示されているが、実施形態がそのような配置に限定されないこと、及び、他の実施形態が、本開示の思想及び範囲を逸脱することなく、その他の形状のワイヤレス充電マットに適した送電コイル配置を有することができるということが理解されるべきである。
【0116】
図8Bに示されているように、第1の送電コイル層802の送電コイルは第1の半径方向808に配置されることが可能であり、第2の送電コイル層804の送電コイルは第2の半径方向810に配置されることが可能であり、第3の送電コイル層806の送電コイルは第3の半径方向812に配置されることが可能である。第1、第2、及び第3の半径方向808、810、及び812は、角度オフセット814だけ互いからオフセットすることができる。角度オフセット814は、本明細書において更に詳細に説明されるように、送電コイル配置800が組み立てられたときに、第1、第2、及び第3の送電コイル層802、804、及び806の送電コイルが最小限のZ高を達成できる角度になるように決定されてよい。一部の実施形態では、角度オフセット814は、110〜130度の範囲内であり、特定の実施形態では、具体的には約120度である。
【0117】
異なる層内の送電コイルは異なる半径方向に配置され得るが、同じ同一平面上の層内の送電コイルは同じ半径方向に配置され得る。この概念を更に適切に説明するために、
図9A〜9Cは、
図8B内の送電コイル配置800の異なる送電コイル層をそれぞれ示している。具体的には、
図9Aは第1の送電コイル層802を示し、
図9Bは第2の送電コイル層804を示し、
図9Cは第3の送電コイル層806を示している。
【0118】
図9A〜9Cからわかるように、送電コイル802は、すべて同じ半径方向(例えば、第1の半径方向808)に配置される。同様に、送電コイル804はすべて半径方向810に配置され、送電コイル806はすべて半径方向812に配置される。一部の実施形態では、同じ層内の送電コイルは、実質的に同一平面上にある。更に、同じ同一平面上の層内の隣接する送電コイルは、
図5A及び
図5Bに関して本明細書において説明されるように、互いに同じ距離だけ離れて置かれる。更に、同一平面上の層内の送電コイルの各集合は、横軸900に対して対称である。一部の実施形態では、送電コイルの3つの層のうちの2つのみが、同じ数の送電コイルを有する。例えば、第1の層内の送電コイル802は、第2の層内の送電コイル804と同じ数の送電コイルを有する。第3の層内の送電コイル806は、他の2つの層とは異なる数の送電コイル(他の2つの層よりも2つ少ない送電コイルなど)を有することができる。この現象は、本明細書において上で説明された拡張されたロゼットパターンのアーチファクトである。
【0119】
図8B及び
図9A〜9Cは、送電コイル配置の一例を示している。ただし、実施形態は、そのような配置に限定されない。他の実施形態は、異なる送電コイル配置を有することができる。一例として、
図10は、本開示の一部の実施形態に従って、16個の個々のコイルを含む送電コイル配置の例1000を示しており、ここでは、送電コイルが、送電コイル配置内のそれらの位置に基づいて、異なる半径方向に配置されている。例えば、送電コイル配置1000は、12個の外側送電コイル1002及び4つの内側送電コイル1004を含むことができる。外側送電コイル1002は、送電コイル配置1000の最も外側の領域の近くに置かれた送電コイルの集合であってよく、一方、内側送電コイル1004は、外側送電コイル1002によって囲まれた送電コイルであってよい。
図10に示されているように、見やすくするために、内側送電コイル1004は太線で示されており、外側送電コイル1002は細線で示されている。
【0120】
一部の実施形態では、外側送電コイル1002は、内側送電コイル1004とは異なる半径方向に配置される。
図10に示されているように、外側送電コイル1002は、送電コイル配置1000の外側のエッジの方を指す半径方向に配置され得るが、内側送電コイル1004は、さまざまな半径方向に配置され得る。そのような方法で外側送電コイル1002を配置することによって、外側送電コイル1002のある部分を充電面の内側領域から離して置くことが可能になる。そのような部分は、本明細書において更に説明されるように、送電コイルの構造的構成に起因して、送電コイルの効率の低い部分であることがある。
【0121】
送電コイル配置1000の多層構造を前提にすれば、同じ同一平面上の層内の送電コイルを異なる方向に配置することができる。
図11A〜11Cは、
図10内の送電コイル配置1000の異なる送電コイル層をそれぞれ示している。具体的には、
図11Aは、送電コイル配置1000の第1の送電コイル層1102を示し、
図11Bは第2の送電コイル層1104を示し、
図11Cは第3の送電コイル層1106を示している。
【0122】
図11A〜11Cからわかるように、第1の送電コイル層1102内の1つ以上の送電コイルは、同じ層内の他の送電コイルとは異なる半径方向に配置される。
図10内の外側送電コイル1002の一部である送電コイル(例えば、送電コイル1108a、1108b、1108d、1108e、及び1108f)は、
図10に関して本明細書において説明されたように、ワイヤレス充電マット全体にわたって更に均一な充電面を実現するために、それらの半径方向が外側に向くように配置され得る。反対に、
図10内の内側送電コイル1104の一部である送電コイル(例えば、送電コイル1108c)は、
図8Bに関して本明細書において説明されたように、その半径方向が110〜130度の範囲内の増分(120度など)になるように配置され得る。
図11B及び
図11Cに示されているように、第2及び第3の送電コイル層内の内側及び外側送電コイルそれぞれの一部である送電コイルも、同じ原理に基づいて配置され得る。
【0123】
各送電コイル配置内の、
図2〜11Cに示された送電コイルは、類似する寸法を有することができる。例えば、各送電コイル配置内の送電コイルは、同じ内径及び外径を有することができる。
図12Aは、送電コイル配置の例1200を示しており、すべての送電コイルが、実質的に同じ寸法(例えば、同じ内径及び外径)を有している。内径は、送電コイルの中心に最も近い一巻きによって形成された周辺部の直径によって定められることが可能であり、外径は、送電コイルの中心から最も遠い送電コイルの一巻きによって形成された周辺部の直径によって定められることが可能である。例えば、送電コイル1202aは、内径1204及び外径1206を有することができる。送電コイル配置1200内の最も左の位置及び最も右の位置に置かれた送電コイル1202b及び1202cでさえ、他のすべての送電コイルと実質的に同じ寸法を有することができる。一部の実施形態では、送電コイルは、各自の内径と外径との差が10%未満(特定の実施形態では、特に5%未満)である場合、実質的に同じ寸法を有している。
【0124】
本明細書において説明された送電コイル配置は実質的に同じ寸法を有することができるが、一部の実施形態は、
図12Bに関して本明細書において説明されるように、一部の送電コイルが同じ送電コイル配置内の他の送電コイルとは異なる寸法を有する送電コイル配置を有することができる。
【0125】
図12Bは、本開示の一部の実施形態に従って、送電コイル配置の例1201を示しており、1つ以上の送電コイルが、送電コイル配置1201内の他の送電コイルとは異なる寸法を有している。一部の実施形態では、送電コイル配置1200の最も左の位置及び最も右の位置に置かれた送電コイル(送電コイル1202b及び1202cなど)を除く、送電コイル配置1200内の他のすべての送電コイルは、同じ内径1204及び外径1206を有することができる。
【0126】
送電コイル1202b及び1202cは、それらの位置のため、送電コイル配置1200内の他のすべての送電コイルよりも小さい内径を有することができる。送電コイル配置1200の最も左の位置及び最も右の位置は、送電コイル配置の最も端であるため、送電コイルの密度が最も低い。したがって、それらの位置で生成された磁束の密度は、送電コイル配置1200の他の領域で生成された磁束(送電コイル配置1200の中心の近くで生成された磁束など)よりも低いことがある。したがって、最も左の位置及び最も右の位置にある1つ以上の送電コイルは、送電コイル配置のそのような領域で生成される磁束密度を増やすために、異なるコイル寸法を有することができる。例えば、送電コイル1202b及び1202cは、送電コイル配置1200内の他の送電コイル(例えば、送電コイル1202a)と比べた場合、小さい内径1208を有するが、同じ外径1210を有することができる。より小さい内径を有することによって、送電コイル1202b及び1202cはより多くの巻き数を有することができ、それによって、より多くの量の磁束を生成することができる。一部の実施形態では、内径1208は、内径1204よりも約3〜5mm小さい。例えば、内径1208は、内径1208が13mmになり、内径1204が17mmになるように、内径1204よりも約4mm小さくなることができる。より滑らかな充電領域を実現するために、他の実施形態が送電コイルの形状及び/又は外形を変更できるということが理解されるべきである。更に、1つ以上の送電コイルの形状は、ワイヤレス充電マットの外形及びワイヤレス充電マットに対する送電コイルの位置に基づいて変更され得る。例えば、ワイヤレス充電マットが、一般的な正方形の形状又は複数の真っすぐなエッジを有する別の形状である場合、ワイヤレス充電マットのエッジに配置される一部の送電コイルは、送電コイルの真っすぐなエッジがワイヤレス充電マットの真っすぐなエッジに対応することができるように、「D」の形状であることができる。
III.送電コイルの構造
【0127】
図2〜12に示されているように、送電コイルは、円形の「O」形のリングとして示されている。円形の「O」形のリングが、ワイヤレス充電を実行するために、対応する電流を受電コイルに誘導できる時変磁場を生成する、ワイヤのコイルを表すということが、理解されるべきである。一部の実施形態では、ワイヤのコイルは、ワイヤの各一巻きがより小さいワイヤのコイルの束を含んでいる、ワイヤのコイルで形成されてよい。他の実施形態では、ワイヤのコイルは、ワイヤの各一巻きが導電材料の単芯を含んでいる、ワイヤのコイルで形成されてよい。
図2〜12は円形のリングとして送電コイルを示しているが、一部の実施形態では、各送電コイルは、下で更に詳細に説明されるように、ワイヤの幅及びワイヤのらせん形の性質のために完全な円形ではない、略円形の形状を持つ外周を有することができる。本明細書で使用される場合、「略円形」のコイルは、下で説明されるように、円形の周辺部を有するコイルと、円形に近い周辺部を有するコイルの両方を指す。他の実施形態では、送電コイルは、コイルが隣接する送電コイル間の空間を最大限に使用できるように、六角形などの非円形、又は任意のその他の適切な形状(例えば、正方形、長円形、長方形、三角形など)であってよい。
A.送電コイルの配線
【0128】
図13Aは、本開示の一部の実施形態に従って、複数の細いワイヤで形成されたワイヤのコイルの例1300を示している。ワイヤの一巻きは、
図13Bに示されているように、小さい導電性ワイヤの束1302を含むことができる。
図13Bは、コイル1300のワイヤの一巻きの断面
図1301を示している。このワイヤの一巻きは、下位の束1303a、1303b、及び1303cなどの下位の束内に配置され得る複数の細いワイヤ1305を含むことができる。ワイヤの束1302の全幅は、細いワイヤ1305それぞれの厚さ、及び細いワイヤの束1302が配置される方法(例えば、下位の束それぞれの高さ(H)を定める、Z方向に一緒に積み重ねられる細いワイヤ1305の数)によって決定されてよい。一部の実施形態では、細いワイヤ1305それぞれの厚さは、110〜120マイクロメートルの範囲内であってよく、それによって、1〜2mmの範囲内の幅及び0.4〜0.7mmの範囲内の高さ(H)を有する細いワイヤの束1302が得られる。コイルの一巻きごとに細いワイヤの束を使用することは、限られた広さの空間内で多くの巻き数を実現できることを考えると、より強い磁場の生成に特に役立つことがある。
【0129】
ワイヤのコイル1300は、内半径1304と外半径1306の間で巻かれたワイヤのコイルで形成されてよい。一部の実施形態では、ワイヤのコイル1300は、内半径1304から外半径1306まで(又は、外半径1306から内半径1304まで)巻かれたワイヤの1つの層で形成された扁平な「O」リングであることができる。内半径1304は、ワイヤのコイル1300が空の内側空間を有することができるように、ゼロ以外の半径であることができる。ワイヤのコイル1300をワイヤの1つの層として巻くことによって、コイルの全高を最小限に抑え、それによって、コイルが組み立てられたときのワイヤレス充電マットの全高を減らす。
【0130】
特定の実施形態では、細いワイヤ1305はそれぞれ、ポリウレタンなどの誘電材料の1つ以上の層で覆われて電気的に絶縁されたワイヤである。電気絶縁の層は、細いワイヤが巻かれたときに、隣接する細いワイヤと短絡するのを防ぐ。更に、複数の巻かれたワイヤを一緒に取り付けてコイル状のワイヤの1つの構造体を形成するために、ワイヤのコイル1300を、ポリイミドなどの絶縁材料の別の層で全体的に覆うことができる。ワイヤのコイル1300は、本明細書において更に説明されるように、ボビンに取り付けられることが可能であり、したがって、(例えば、製造工程の一部としてロボットを使用して)容易にピックアップされて送電コイル配置内で配置されることが可能である。
【0131】
一部の実施形態では、小さいコイルの束を使用する代わりに、
図13Cに示されているように、ワイヤの一巻きごとに導電材料の単芯が使用されてよい。
図13Cは、本開示の一部の実施形態に従って、単芯の導電性ワイヤで形成されたワイヤのコイルの例1307を示している。
図13Dは、コイル1307のワイヤの一巻きの断面
図1309を示している。断面
図1309に示されているように、ワイヤの一巻きは、
図13Bに示されたようなワイヤの束1302の代わりに、導電性ワイヤ1311の単芯で形成されてよい。ワイヤのコイルの一巻きごとに単芯の導電性ワイヤを使用することは、送電コイルがPCB内で形成される用途に特に役立つことがあり、このPCBは、極めて小さい寸法を有する導電ラインを使用して印刷され得る。一部の実施形態では、単芯の導電性ワイヤは、0.9〜1.3mmの範囲内の幅及び0.08〜0.18mmの範囲内の高さを有することができる。
【0132】
再び
図13Aを参照すると、ワイヤのコイル1300は、第1の終端1308及び第2の終端1310という2つの終端を有することができる。これらの終端は、電流がワイヤのコイル1300に入って通り抜けることができる通り道であってよい。一部の実施形態では、終端1310は
図14A及び
図14Bに示されているように、コイル1300の上で折り畳まれて、コイル1300の内径内に置かれ得る。
【0133】
具体的には、
図14Aは、本開示の一部の実施形態に従って、ワイヤのコイル1400の内径1406内に置かれた終端1402及び1404を有するワイヤのコイル1400の上面斜視図を示し、
図14Bは、ワイヤのコイル1400の側面図を示している。終端1402及び1404をワイヤのコイル1400の内径内に置くと、結合を1か所(例えば、ワイヤのコイル1400の中心)で実行することができるため、コイル1400を別の構造体(ドライバ基板など)に結合する方法が簡単になる。
【0134】
図14Aに示されているように、終端1402は、内径1406内に置かれるように、コイル1400の上で曲がっている。終端1402は、それ自体の上で折り畳まれずにコイル1400の上で曲がっているように見えるが、実施形態はそのような配置に限定されず、本明細書では、終端1402がそれ自体の上で折り畳まれて、内径1406内に置かれる実施形態も想定される。一部の実施形態では、終端1402の部分1408は、コイル1400の平面の上に突き出るように、コイル1400の上に置かれる。例えば、
図14Bを参照すると、部分1408は、コイル1400のワイヤの巻き付けによって形成された面によって定められたコイル1400の平面1410の上で延びることができる。この突起は、コイル1400の反対側が突起を有することがないように、コイル1400の片側のみの上に置かれてよい。終端1402とは異なり、終端1404は、内径1406内にすでに置かれていてよいため、平面1410の上に突き出なくてよい。一部の実施形態では、終端1404は、コイル1400の上で折り畳まれることなく、コイル1400の中心に向かって単に曲がることができる。
【0135】
図14Aを再び参照すると、終端1402及び1404がコイル1400の中心に向かって向きを変える方向は、一部の実施形態では、互いに対する角度1412を形成することができる。角度1412は、
図8Bに関して本明細書において説明されたオフセット角814などのオフセット角に基づいて決定されてよい。オフセット角814は、本明細書において更に説明されるように、コイル1400の重なり合う部分1408を隣接する層内の送電コイル間の隙間に置くことができるようにし、それによって、送電コイル積層体のZ高を最小限に抑えることができ得る。
【0136】
図14Aから理解できるように、ワイヤのコイル1400の一部は、他の領域とは異なる巻き数を有することができる。例えば、
図14Aに示されているように、コイル1400の領域1414はワイヤの4の巻き数を有することができ、一方、コイル1400の他の領域(例えば、領域1414の一部ではないコイル1400の領域)は、ワイヤの5の巻き数を有する。別の例(
図14Aに示されていない)では、コイル1400の領域1414は、コイル1400の他の領域よりも多い巻き数を有することができる。領域1414内で多い巻き数又は少ない巻き数のいずれを有するかは、巻き付けの開始及び終了の位置を定める終端1402及び1404の配置によって決まるということが理解されるべきである。したがって、領域1414は、送電コイル配置内で配置されたときに、コイル1400の他の領域とは異なる、他の送電コイルとの結合特性を有することがある。一例として、領域1414は、送電コイル配置内の他の送電コイルとのより多くの結合を有することがある。多くの結合を有することによって、送電コイルの効率が低下することがある。したがって、一部の実施形態では、終端1402及び1404が置かれる角度を減らすことによって、他の送電コイルとの結合を緩和するように、領域1414が最小化されてよい。例えば、終端1402及び1404は、
図14Cに示されているように、互いに平行に置かれ得る。一部の実施形態では、領域1414は、コイル1400の他の領域よりも小さいコイル1400の一部になるように、コイル1400の半分未満である。
【0137】
図14Cは、終端1402及び1404が互いに平行に配置されたワイヤのコイルの例1401を示している。終端1402及び1404を互いに平行に配置することによって、コイルの他の領域よりも少ない巻き数を有するコイル1401の領域1416を最小限に抑えることができる。例えば、ワイヤの4の巻き数のみを有する領域1416は、
図14Cに示された終端1402と終端1404の間の距離が短くなるように最小限に抑えられてよい。比較すると、領域1416は
図14A内の領域1414よりも大幅に小さいことがある。したがって、領域1416を最小限に抑えることによって、コイル1401はより効率的な方法で動作することができる。
【0138】
一部の実施形態では、コイル1400及び1401を構成するワイヤの各一巻きの幅に起因して、各コイルは真円ではない略円形の形状(コイルの外周によって定められる)を有することがある。つまり、コイル1400及び1401の外周の一部の領域は、真円の外周から逸脱することがある。例えば、
図14A及び
図14Cでは、一点鎖線によって表された真円1418の外周が、コイル1400及び1401の上に重ね合わせられている。少ない巻き数を有するコイル1400及び1401の外周の位置(例えば、位置1414及び1416)は、より短い半径を有することによって、真円1418の外周から逸脱することがある。非円形の送電コイルは、下で更に説明されるように、充電領域の面全体にわたって均一な充電効率を確保するための送電コイル配置の編成方法を決定することができる。
【0139】
本明細書において更に理解されるように、終端が配置される異なる方法が、
図8〜11Cに関して本明細書において説明されたようなコイルの半径方向に影響を与えることがある。この関係の詳細は、
図17A〜19に関して本明細書において更に説明される。
B.ボビン
【0140】
本開示の一部の実施形態によれば、各ワイヤのコイルは、中央のディスク形の支持構造体(「ボビン」と呼ばれる)に巻き付けられ、各コイルの終端がこの支持構造体に取り付けられる。ワイヤのコイル及びボビンを結合することによって形成された構造体は、本開示全体を通じて、しばしば「送電コイル」として参照される。ボビンは、ワイヤのコイルの構造的完全性を提供するだけでなく、終端を取り付けて接続ピンの各対と結合することができる構造体も提供する、支持構造体である。接続ピンは、ワイヤのコイルをワイヤレス充電用の送電コイルとして動作させるために、ワイヤのコイルをドライバ基板に電気的に結合することができる。
【0141】
図15A〜15Dは、本開示の一部の実施形態に従って、ボビンの例1500を示している。具体的には、
図15Aはボビン1500の上面斜視図を示しており、
図15Bはボビン1500の側面図を示しており、
図15C及び
図15Dは他の例示的ボビンの側面図を示している。これらの例示的ボビンは、ボビン1500と類似する特徴を有してよいが、下で説明されるように、これらの例示的ボビンの接続筐体及び接続ピンが異なって配置されてよいという点が異なる。
【0142】
ボビン1500は、実質的に平面的な面を含んでいるディスクの形状で、略平坦かつ円形の構造体であってよい。例えば、ボビン1500は、
図15Bに示されているように、実質的に平面的な上面1502及び実質的に平面的な底面1504を有することができる。
図15Aを再び参照すると、ボビン1500は、ボビン1500の中心近くに置かれた接続筐体1506を含んでいる。接続ピン1508a〜bの対は、ワイヤのコイルの終端の各対と結合するために、接続筐体1502内に存在することができる。接続ピン1508a〜bは、角度付きのボビン1500に巻き付けられたワイヤのコイル(図示されていない)を動作させるための制御基板(例えば、PCBとして形成されたドライバ基板)上のパッドに接触するように構成された片持ち梁の形態の接点(又は、任意のその他の適切な形態の接点)であってよい。
【0143】
一部の実施形態では、接続筐体1506は、ボビン1500の平面を超えて突き出ることができる。一例として、接続筐体1506は、
図15Bに示されているように、平面的な上面1502を超えて突き出ることができる。別の例では、接続筐体1506は、
図15Cに示されているように、上面1502及び底面1504の両方を超えて突き出ることができるか、又は
図15Dに示されているように、底面1504を超えて突き出ることができる。接続筐体1506は、ボビン1500の平面を超えて突き出て、ワイヤのコイルの終端が接続ピン1508a〜bと結合するための追加の垂直空間を提供する。例えば、接続筐体1506は、終端がボビン1500に半田付けされるための十分な空間を提供してよい。その結果得られる半田付けされた構造体は、上面1502及び底面1504によって定められるボビン1500の厚さよりも多くの垂直空間を占めてよい。
【0144】
ボビン1500は、接続パッド1512a〜bの対を含むこともできる。接続パッド1512a〜bは、接続ピン1508a〜bと電気的に結合するために、ワイヤのコイルの終端を結合できる面を提供することができる。例えば、接続パッド1512a〜bは、各接続ピン1508a〜bに電気的に結合される実質的に平坦な面であってよい。ボビン1500は、終端を接続パッド1512a〜bと結合できるようにするためのチャネル1510a〜bの対を更に含んでよい。一部の実施形態では、チャネル1510a〜bは、外側リム1516から接続筐体1506に向かって(すなわち、ボビン1500の中心に向かって)延びる。チャネル1510a〜bは、終端が通過して接続パッド1512a〜bに接触するための通り道を提供することができる。
図15Aに示されているように、チャネル1510a〜bはボビン1500内の空の領域であることができ、ボビン1500の全厚に大きな影響を与えることなく、この領域に終端を置くことができる。
【0145】
ボビン1500は、1つ以上の開口部1516a及び1516bを更に含むことができる。各開口部1516a及び1516bは、装置がボビン1500の片側から反対側に貫通することができるように、ボビン1500を通って延びる空の空間であることができる。一部の実施形態では、開口部1516a及び1516bは、ボビン1500をつかむため、及びボビン1500をピックアップして、送電コイル配置内などの特定の位置に正確に配置するために使用することができる特徴である。更に、開口部1516a及び1516bは、ボビン1500がピックアップされて目的の位置に配置された後に、ボビン1500を送電コイル配置内で固定するために、装置が通過することができる通り道を提供する。
【0146】
一部の実施形態では、ボビン1500は、ワイヤのコイルをボビン1500に取り付けるための取り付けパッド1514を含むことができる。ワイヤのコイルを取り付けパッド1514に固定することによって、エポキシ接着剤などの任意の適切な接着剤がボビン1500をワイヤのコイルに固定してよい。
図15Aはボビン1500の片側のみに配置された3つの取り付けパッド1514を示しているが、実施形態はそのような構成に限定されない。その他の実施形態は、更に多いか、又は少ない取り付けパッドを有することができ、それらの取り付けパッドは、ボビンの片側又は両側に配置され得る。
C.角度送電コイル
【0147】
図15Aに示されているように、ボビン1500のチャネル1510a〜bは、互いに対して角度1518で配置され得る。角度1518は、送電コイルを最小限のZ高を持つ積層体内で配置できるようにするのに特に適したゼロ以外の角度であることができる。例えば、角度1518は、特定の実施形態における120度などの、110〜130度の範囲内であってよい。角度1518は、
図14内のコイル1400の終端間の角度1412に対応してよい。そのため、ボビン1500の外側リム1516に巻き付けられたワイヤのコイルが、コイル1400を形成してよい。一部の実施形態によれば、ワイヤのコイルをボビン1500に巻き付けることによって、
図16A及び
図16Bに示されているような角度送電コイルが形成される。
【0148】
図16A及び
図16Bは、本開示の一部の実施形態に従う、ボビン1604に巻き付けられたワイヤのコイル1602で形成された角度送電コイルの例1600の、それぞれ上面斜視図及び下面斜視図である。
図16Aに示されているように、終端1606及び1608は、ボビン1604の各接続パッドに斜めに(例えば、
図15A内の角度1518で)取り付けられ得る。終端1606及び1608は、接続パッドに取り付けられると、接続筐体1612内の各接続ピン1610a〜bに電気的に結合され得る。したがって、接続パッド1610a〜bがドライバ基板(図示されていない)に結合された場合、ドライバ基板がコイル1602に電気的に結合されて、角度送電コイル1600の動作を制御することができる。更に、ワイヤのコイル1602がボビン1604に巻き付けられると、角度送電コイル1600が形成され、ワイヤレス充電マットの組み立て時にピックアップしてドライバ基板上に配置できる1つの構造体として構築される。
【0149】
図16B内の角度送電コイル1600の下面斜視図からわかるように、終端1608はコイル1602の上で曲がることができる。したがって、接続筐体1612に加えて、終端1608も、角度送電コイル1600の平面から突き出ることができる。一部の実施形態では、終端1608及び接続筐体1612は、角度送電コイル1600の同じ平面から突き出る。この突起は、
図17A及び
図17Bに関して更に説明されるように、送電コイルが送電コイル配置内で実装されるときに半径方向に配向される方法に影響を与えることがある。
【0150】
図17Aは、本開示の一部の実施形態に従って、角度送電コイルで形成された送電コイル配置の例1700を示している。各角度送電コイルは、送電コイル配置1700のZ高を最小限に抑えるのに適した半径方向に配置されることが可能であり、同時に、各送電コイルの接続ピンがドライバ基板(図示されていない)に接触することも可能にする。具体的には、送電コイル配置1700は、
図8〜9Cに示された送電コイル配置に基づいて編成され得る。
図8〜9Cに関する本明細書での説明と同様に、異なる送電コイル層内の送電コイルは、送電コイル配置1700のZ高を最小限に抑えるように、異なる半径方向(例えば、第1、第2、及び第3の送電コイル層内の半径方向1704、1706、及び1708)に配置され得る。
図8B内の半径方向808、810、及び812と同様に、半径方向1704、1706、及び1708は、120度などの110〜130度の範囲内の角度オフセットで配置され得る。角度オフセットは、送電コイルの平面から突き出る終端を別の層内の隣接するコイル間に押し込むことができるように選択され、それによって、送電コイル配置1700のZ高を最小限に抑える。
【0151】
図17Bは、送電コイル配置1700の一部の拡大された下面斜視図を示している。図に示すように、第1の送電コイル層内の角度送電コイルの終端1710は、第2の送電コイル層内の隣接する送電コイル1712と送電コイル1714の間の空間内に押し込まれ得る。隣接する送電コイル間の空間は、
図5A及び
図5Bに関して本明細書において説明された距離D1に対応してよい。距離D1は、終端の幅(すなわち、送電コイルのワイヤの幅)よりも長くてよい。一部の実施形態では、距離D1の範囲は1.5〜2mmである。
【0152】
送電コイルの接続筐体は、接続ピンが別の送電コイルによって遮断されずにドライバ基板とインターフェースをとることができる位置に置かれる。例えば、接続筐体は、送電コイルの中央の終端ゾーン1718内に置かれ得る。中央の終端ゾーン1718は、
図4に関して本明細書において説明された中央の終端ゾーン418に対応してよい。
D.平行送電コイル
【0153】
図18A〜18Bは、本開示の一部の実施形態に従って、平行送電コイルの例1800を示している。具体的には、
図18Aは平行送電コイル1800の上面斜視図を示し、
図18Bは平行送電コイル1800の下面斜視図を示している。
【0154】
図18Aに示されているように、平行送電コイル1800は、ボビン1804に巻き付けられたワイヤのコイル1802を含むことができる。終端1806及び1808は、ボビン1804上の各接続パッドに取り付けられ、互いに平行に配置され得る。終端1806及び1808が平行に配置された場合、終端1806と終端1808の間の領域によって定められたコイル状のワイヤ1802の部分1814は、コイル状のワイヤ1602の部分1614よりも小さくてよい。したがって、平行送電コイル1800は、角度送電コイル1600よりも効率的であり得る。終端1806及び1808は、接続パッドに取り付けられると、接続筐体1812内の各接続ピン1810a〜bに電気的に結合されてよい。したがって、接続パッド1810a〜bがドライバ基板(図示されていない)に結合されたとき、ドライバ基板はコイル1802に電気的に結合されて、平行送電コイル1800の動作を制御してよい。
【0155】
図18B内の平行送電コイル1800の下面斜視図からわかるように、接続筐体1812は平行送電コイル1800の平面から突き出ることができる。終端1808は、コイル1802の上で曲がることができ、平行送電コイル1800の平面から突き出ることもできる。一部の実施形態では、終端1808及び接続筐体1812は、平行送電コイル1800の同じ平面から突き出る。この突起は、送電コイルが送電コイル配置内で実装されるときに半径方向に配向される方法に影響を与えることがある。
【0156】
図19は、本開示の一部の実施形態に従って、平行送電コイル及び角度送電コイルで形成された送電コイル配置の例1900を示している。各送電コイルは、Z高を最小限に抑えながら送電コイル配置1900の内部領域の効率を最大化するのに適した半径方向に配置されることが可能であり、同時に、各送電コイルの接続ピンがドライバ基板(図示されていない)に接触できるようにもする。具体的には、送電コイル積層体は、
図10〜11Cに示された送電コイル配置に従って配置され得る。送電コイル配置1900は、外側送電コイル1902及び内側送電コイル1904を同様に含んでよい。外側送電コイル1902は、送電コイル配置1900の最も外側の領域の近くに置かれた一列の送電コイルであってよく、一方、内側送電コイル1904は、外側送電コイル1902によって囲まれた送電コイルであってよい。
【0157】
一部の実施形態では、外側送電コイル1902は、送電コイル配置1900の外側エッジ(例えば、送電コイル配置1900が内部に配置されたワイヤレス充電マットの外周)の方を指す半径方向に配置された平行送電コイルであってよい。例えば、ワイヤの巻き数が少ない外側送電コイル1902の部分1906(例えば、
図18A内の部分1814などの、ワイヤのコイルの効率の低い部分)を、送電コイル配置1900の外側エッジの方に向けることができる。したがって、巻き数が多く、効率が高い外側送電コイル1904の他の部分は、送電コイル配置1900の内部に向かって集中されてよい。これは、ワイヤレス充電マットが充電面の内側領域内でより一貫性のある効率的な充電面を確実に有することに役立つ。
【0158】
外側送電コイル1902は平行送電コイルで形成されてよいが、内側送電コイル1904は、外側送電コイル1902の配置に起因する空間的制約のため、角度送電コイルで形成されてよい。Z高を最小限に抑えながら内側送電コイル1904を送電コイル配置1900内に収めるために、内側送電コイル1904は、
図17Aに関して本明細書において説明された原理に従って、さまざまな半径方向に配置されてよい。つまり、内側送電コイル1904は、角度送電コイルの平面から突き出る終端を、別の層内の隣接するコイル間に押し込むことができるように、120度などの110〜130度の範囲内の角度オフセットに従って異なる半径方向に配置されてよく、それによって、送電コイル配置1900のZ高を最小限に抑える。
IV.送電コイルの多層配置
【0159】
送電コイル配置のZ高を最小限に抑えるために、接続筐体及びワイヤのコイルの終端の折り畳みに起因する送電コイルの突起は、全体として送電コイル配置の上又は下に突き出ないように、送電コイル配置内に入れ子にされてよい。この概念を更によく理解するために、
図20A及び
図20Bは、送電コイル配置の例2000の側面図を示しており、組み立てられるときに突起がどのように置かれるかを示している。送電コイル配置2000の入れ子構造は、
図8、
図10、
図17A、及び
図19に示された送電コイル配置800、1000、1700、及び1900などの、他の送電コイル配置が入れ子にされる方法に類似してよく、そのような方法の適切な表現であってよい。
【0160】
図20Aは、突起が置かれる方法を示すための送電コイル配置2000の分解図を示している。送電コイル配置2000は、第1の送電コイル2002を第1の送電コイル層内に含み、第2の送電コイル2004を第2の送電コイル層内に含み、第3の送電コイル2006を第3の送電コイル層内に含むことができる。各送電コイルは、同じ層内の他の送電コイルを代表していてよい。一部の実施形態では、第1の送電コイル2002は第3の送電コイル2006から離れて置かれ、第2の送電コイル2004は第1の送電コイル2002と第3の送電コイル2006の間に置かれる。
【0161】
第1の送電コイル2002は、第1の送電コイル2002の平面2010を超えて延びる突起2008を有することができる。面2010は、巻かれたワイヤのコイルと、ワイヤのコイルが巻き付けられたボビンの部分の両方に対応する平面を含むことができる。したがって、一部の実施形態では、巻かれたワイヤのコイルの平面及び第1の送電コイル2002の対応する側のボビンの部分は、実質的に同一平面上にあってよい。ボビンの他の部分は、面2010の上に実質的に突き出なくてよいため、
図20Aの側面図からわかるように、ワイヤのコイルの背後に隠れており、図に示されていない。一部の実施形態では、突起2008は、接続筐体及びワイヤのコイルの折り畳まれた終端を含むことができる。第1の送電コイル2002の接続ピン2026は、突起と反対の方向に沿って平面2011を超えて延びるように置かれ得る。接続ピン2026は、本明細書において更に説明されるように、基礎をなすドライバ基板に接触するように、平面2011を超えて突き出る。
【0162】
第1の送電コイル2002と同様に、第3の送電コイル2006は、第3の送電コイル2002の平面2014を超えて延びる突起2012を有することができる。突起2012は、第3の送電コイル2006のボビンの接続筐体及びボビンに巻き付けられたワイヤのコイルの折り畳まれた終端を含むことができる。第3の送電コイル2006の接続ピン2024は、突起の方向に沿って突起2012の端部を超えて(例えば、ボビンの接続筐体を超えて)延びるように置かれ得る。接続ピン2024は、突起2012の端部を超えて延びて、基礎をなすドライバ基板に接触する。
【0163】
図20Aに更に示されているように、第2の送電コイル2004は、第1の部分2016a及び第2の部分2016bという2つの部分を含む突起を有することができる。第1及び第2の部分2016a及び2016bは、第2の送電コイル2004のボビンの接続筐体及びボビンに巻き付けられたワイヤのコイルの折り畳まれた終端を含むことができる。第1の部分2016aは、第2の送電コイル2004の面2018を超えて延びることができ、第2の部分2016bは、面2018の反対の面2020を超えて延びることができる。第2の送電コイル2004の接続ピン2022は、第2の部分2016bの方向に沿って第2の部分2016bの端部を超えて延びて、基礎をなすドライバ基板に接触するように、置かれ得る。
【0164】
本開示の一部の実施形態によれば、第1の送電コイル2002の突起2008及び第3の送電コイル2006の突起2012は、送電コイルが送電コイル配置2000内に組み立てられるときに全体として突起が送電コイル配置2000の上又は下に突き出ないように、第2の送電コイル2004に向けて置かれ得る。更に、送電コイルの接続パッドの位置は、送電コイルが送電コイル配置2000内に組み立てられるときに、接続ピンが送電コイル配置2000の底面を超えて延びて、基礎をなすドライバ基板に接触することができるように、配置される。接続ピンが送電コイルの各面から離れて置かれる距離は、
図20Bに示されているように、それらの接続ピンが送電コイル配置2000として組み立てられてもドライバ基板に接触できるように、構成される。
【0165】
図20Bは、基礎をなすドライバ基板2029に取り付けられた組み立て済みの送電コイル配置2000を示している。組み立てられるときに、送電コイルの突起は、突起2008、2012、及び2016a〜bを表している点線によって示されているように、送電コイル配置2000内で入れ子にされ得る。一部の実施形態では、送電コイル配置2000内の突起は上面2032(すなわち、第3の送電コイル2006の面2013)の上に延びず、送電コイル配置2000の底面2030(すなわち、第1の送電コイル2002の面2011)の下にも延びない。したがって、突起2008は、第2及び第3の送電コイル2004及び2006の巻かれたコイルの組み合わされた厚さよりも短い距離だけ、面2010から延びることができる。同様に、突起2012は、第1及び第2の送電コイル2002及び2004の巻かれたコイルの組み合わされた厚さよりも短い距離だけ、面2014から延びることができる。第2の送電コイル2004が第1の送電コイル2002と第3の送電コイル2006の間に置かれているため、部分2016aは、第3の送電コイル2006の巻かれたコイルの厚さよりも短い距離だけ、面2018から延びることができ、部分2016bは、第1の送電コイル2002の巻かれたコイルの厚さよりも短い距離だけ、面2020から延びることができる。
【0166】
一部の実施形態では、接続ピンは、送電コイル配置2000が組み立てられるときにドライバ基板2029に接触するように配置されてよい。したがって、送電コイル配置内でドライバ基板2029から最も遠くに置かれる送電コイルは、そのワイヤのコイルから最も遠くに置かれる接続ピンを有することができる。例えば、
図20Bに示されているように、第3の送電コイル2006は、ドライバ基板2029から最も遠くに置かれ得る。したがって、接続ピン2024は、送電コイル配置2000が組み立てられるときにドライバ基板2029に接触するように、第3の送電コイル2006のワイヤのコイルから最も遠くに置かれ得る。一部の実施形態では、
図20Aに示されているように、接続ピン2024は第3の送電コイル2006の面2014から距離2028だけ離れた位置に置かれ、接続ピン2022は第2の送電コイル2004の面2020から距離2030だけ離れた位置に置かれ、接続ピン2026は第1の送電コイル2002の面2011から距離2032だけ離れた位置に置かれる。したがって、距離2028は距離2030及び2032よりも長くてよく、距離2030は距離2028よりも短いが距離2032よりも長くてよく、距離2032は距離2028及び2030よりも短くてよい。これらの距離に従って各送電コイルの接続ピンを配置することによって、接続ピンは、
図20Bに示されているように、これらの接続ピンが結合されたコイルがドライバ基板2029から異なる距離だけ離れて置かれても、基礎をなすドライバ基板2029に接触するように置かれ得る。
【0167】
突起2016a〜b、2012、及び2008がどの方向に延びるかに関わらず、接続ピン2022、2024、及び2026がドライバ基板2029に向かって延びるということが理解されるべきである。一例として、第1の送電コイル2002の接続ピン2026は、突起2008が上に延びても、ドライバ基板2029に向かって下に延びている。接続ピン2022、2024、及び2026は、制御基板2029が送電コイルを動作させてワイヤレス充電を実行できるように、ドライバ基板2029に向かって延びて、ドライバ基板2029に接触する。
V.ボビンのない送電コイル
【0168】
本明細書において説明された前述の実施形態は、ボビン付きの送電コイルで形成された送電コイル配置を対象にする。しかし、本開示の実施形態に従う送電コイル配置が、ボビン付きの送電コイルで形成される必要はないということが理解されるべきである。一部の実施形態では、送電コイル配置は、ボビンのない送電コイルで形成されてよく、その場合でも、ボビン付きの送電コイルで形成された送電コイル配置と同じ有効範囲、性能、及び効率を達成することができる。
【0169】
図21は、本開示の一部の実施形態に従って、ボビンのない送電コイルの例2100を示している。送電コイル2100は、内半径2104と外半径2106の間で巻かれたワイヤのコイル2102を含むことができる。ワイヤのコイル2102は、
図12A内のワイヤのコイル1200に類似する複数の細いワイヤで形成されるか、又は
図13A内のワイヤのコイル1300に類似する導電材料の単芯で形成され得る。
【0170】
一部の実施形態では、ワイヤのコイル2102は、初期位置2108から終了位置2110まで巻かれてよい。初期位置2108は、ワイヤの巻き付けを開始するワイヤのコイル2102に沿った位置であってよく、終了位置2110は、ワイヤの巻き付けを終了するワイヤのコイル2102に沿った位置であってよい。ワイヤの巻き付けは、初期位置2108と終了位置2110の間で互いに大きくずれなくてよい。一部の実施形態では、終了位置2110は、実質的に均一な巻き付けの外形を実現するために、初期位置2108に基づいて置かれ得る。例えば、終了位置2110は、巻かれたコイル2102を隔てた、初期位置2108の真向いの位置に置かれ得る。初期位置2108及び終了位置2110をこのように置くことによって、巻き付けの数をできるだけ整数に近づけることができ、それによって、実質的に均一な巻き付けの外形を実現する。実質的に均一な巻き付けの外形は、
図14A及び14Cに関して本明細書において説明されたように、送電コイル2100の他の部分とは異なる巻き数を有する部分2116のサイズを最小限に抑えることができる。更に、巻き数は、設計によって決定される目標インダクタンス値に従って決定されてよい。より多くの巻き数が送電コイルに形成されるにつれて、送電コイルのインダクタンスが増加する。送電コイルのインダクタンスが大きすぎると、電力送達の効率が悪くなることがある。特定の実施形態では、巻き数は、一部の実施形態における7回などの、6〜8回の範囲内であってよい。
【0171】
送電コイル2100は、第1の終端2112及び第2の終端2114を含むこともできる。各終端2112及び2114は、ワイヤのコイル2102が物理的に終了するポイントであることができる。ボビン付きの送電コイルとは異なり、第2の終端2114は、ワイヤのコイル2102の上に折り畳まれて、送電コイル2100の内径内に置かれてよい。代わりに、第2の終端2114は、終了位置2110でワイヤのコイル2102から離れて分岐を開始し、ワイヤのコイル2102の外側で終了してよい。第1及び第2の終端2112及び2114は、第1及び第2の終端ゾーン2118及び2120と結合して、基礎をなすドライバ基板に接触することができる。第1の終端ゾーン2118は、送電コイル2100の内径内に置かれてよいが、第2の終端ゾーン2120は、送電コイル2100の内径の外側に置かれてよい。一部の実施形態では、第2の終端ゾーン2120は、
図22に関して本明細書において説明されるように、送電コイル2100が送電コイル配置内で組み立てられるときに、別の送電コイル内に置かれてよい。
【0172】
図22Aは、本開示の一部の実施形態に従って、ボビンのない送電コイルで形成された送電コイル配置の例2200を示している。送電コイル配置2200内の送電コイルの位置は、組み立て時に
図22Aに示された各位置に従って、送電コイルの位置を定めるキャリアによって制御され得る。各キャリアは、送電コイルの位置を定めるボスのアレイを含むことができる。ボスは、キャリア面から突き出て、送電コイルを周囲に置くことができる構造体を提供することができる。一部の実施形態では、各キャリアは、送電コイルがドライバ基板上の接点に固定されるまで、送電コイルを所定の位置に一時的に保持する。各キャリアは、送電コイル配置の層ごとに固有であってよい。送電コイルがドライバ基板に固定されると、キャリアは除去されてよく、それによって、送電コイル配置に従って、送電コイルを各位置に残す。各層は、すべての層が組み立てられて
図22に示された送電コイル配置を形成するまで、1つずつ組み立てられる。本明細書において更に説明されるように、送電コイル配置2200内の送電コイルの各層は、カウリングによって所定の位置に固定され得る。
【0173】
各送電コイルは、送電コイル配置2200の内部領域内の結合を最小限に抑えるのに適した半径方向に配置されることが可能であり、同時に、各送電コイルの終端がドライバ基板(図示されていない)に接触できるようにもする。
図19内の送電コイル配置1900と同様に、送電コイル配置2200は、
図10〜11Cに示された送電コイル配置に従って、3つの送電コイル層内に配置され得る。したがって、送電コイル配置2200は、外側送電コイル2202及び内側送電コイル2204を含むことができる。外側送電コイル2202は、送電コイル配置2200の最も外側の領域の近くに置かれた一列の送電コイルであってよく、一方、内側送電コイル2204は、外側送電コイル2202によって囲まれた送電コイルであってよい。
【0174】
一部の実施形態では、外側送電コイル2202は、半径方向が送電コイル配置2200の外側エッジの方を指す第1の半径方向の配置に配置されてよく、それによって、異なる巻き数を有する外側送電コイル2202の領域(例えば、
図21内の領域2116)が、送電コイル配置2200の外側エッジの方に向けられる。したがって、巻き数が多く、結合傾向が低い外側送電コイル2204の部分は、送電コイル配置2200の内部に向かって集中されてよい。これは、ワイヤレス充電マットが充電面の内側領域内でより一貫性のある効率的な充電面を確実に有することに役立つ。更に、内側送電コイル2204は、第1の半径方向の配置とは異なる第2の半径方向の配置で配置されてよい。第2の半径方向の配置は、
図22に示されているように、互いに異なる角度オフセットに従って内側送電コイル2204が配置される配置であることができる。例えば、内側送電コイル2204は、50〜70度(一部の実施形態では、具体的には60度)の範囲内の角度オフセットで配置され得る。第2の半径方向の配置に従って内側送電コイル2204を配置し、隣接する送電コイルの内径内で終端することによって、それらの終端が基礎をなす相互接続構造体に届くことができるようにする。
【0175】
ボビンのない送電コイルが、折り畳まれた部分も、コイルの巻き付けの平面から突き出るボビンも有していないということを考えると、内側送電コイル2204は、Z高を最小限に抑えるために隣接する層内の突起を入れ子にする半径方向に配置される必要がない。代わりに、内側送電コイル2204は、それらの第2の終端が基礎をなすドライバ基板(図示されていない)に接触できるように配置されることのみを必要としてよい。第2の終端ゾーンが、別の送電コイルによって遮断されないように置かれた場合、送電コイルの第2の終端は、基礎をなすドライバ基板に接触することができる。したがって、内側送電コイル2204の第2の終端ゾーンは、隣接する送電コイルの内径内に置かれ得る。
図22に示されているように、内側送電コイル2204は、一部の実施形態では、約60度などの50〜70度の範囲内の角度オフセットで互いにオフセットして、さまざまな半径方向に配置され得る。内側送電コイル2204をこのように配置することによって、第2の終端ゾーンを隣接する送電コイルの内径内に置くことができるようにし、それによって、それらの第2の終端が基礎をなすドライバ基板に接触することができるようにする。
【0176】
図22Aからわかるように、各送電コイルは、各終端が存在する外側終端ゾーン2208及び内側終端ゾーン2206を有することができる。本明細書で述べられたように、各終端ゾーンは、終端が置かれる領域であってよい。終端は、各送電コイルの巻き付けが物理的に終了するポイントであることができるが、終端が支持棒と結合されて基礎をなすドライバ基板に接続された場合、終端の電気的接続が継続することができる。外側終端ゾーン2208は、その各送電コイル(例えば、送電コイル2210)の外径の外側に置かれた終端ゾーンであることができる。内側終端ゾーン2206は、その各送電コイルの内径の内側に置かれた終端ゾーンであることができる。したがって、外側送電コイルは、送電コイル配置の外周の近くに置かれた外側終端ゾーンを有することができ、内側送電コイルは、隣接する送電コイルの内径内に置かれた外側終端ゾーンを有することができる。例えば、送電コイル2212は、内側送電コイルとして置かれ、隣接する送電コイル2218の内径内に置かれた外側終端ゾーン2214を有することができる。
【0177】
各送電コイルが2つの終端ゾーンを有することを考えると、送電コイル配置が、基礎をなすドライバ基板と結合するための非常に多くの終端ゾーンを有することができるということが理解され得る。多くの場合、それらの終端ゾーンの位置は、送電コイル配置の動作効率に影響を与えることができる。したがって、一部の実施形態では、送電コイル配置の終端ゾーンは、
図22B〜22Eに関して本明細書において説明されるように、設計における単純さ及び動作効率における改善を促進するために、ある程度の類似性を有するように配置され得る。
【0178】
図22Bは、本開示の一部の実施形態に従って、ボビンのない、終端が同じように編成された送電コイルで形成された送電コイル配置の例2201を示す簡略図である。送電コイル配置2201は、重なり合う配置で配置された22個の送電コイルで形成され、それによって、複数のコイルのうちの異なるコイルが異なる平面上に存在し、かつ、送電コイル配置の各送電コイルが、
図3〜7Cに関して本明細書において説明されたように、他のすべての送電コイルの中心軸からある横方向距離だけ離れて置かれた中心軸を有するようになっている。本開示の一部の実施形態によれば、終端ゾーンの編成方法は、送電コイル配置の実質的に全体にわたって繰り返される終端ゾーンの基本パターンに従って導き出され得る。一例として、送電コイル配置2201は、実質的に基本パターン2220に従って置かれた終端ゾーンを有することができる。一部の実施形態では、基本パターン2220は、
図22B内の太線で示された5つの送電コイルの終端ゾーンによって確立される。基本パターン2220の終端ゾーンは、最も左の送電コイル及び最も右の送電コイルの終端ゾーンを除いて、送電コイル配置2201の大部分にわたって繰り返され得る。これらの最も左の送電コイル及び最も右の送電コイルの終端ゾーンは、1つの終端ゾーンがコイルの外側にあり、他の終端ゾーンがコイルの内側にあるように置かれ得る。
【0179】
送電コイル配置2201内の送電コイルの更に詳細な図が、
図22C〜Eに示されている。
図22C〜Eは、送電コイル配置2201の各層内の送電コイルの集合の簡略図である。
図22Cは、送電コイル2222の第1の集合の角度方向を示している。
図22Cに示されているように、最も右の送電コイル2228gを除く、外側送電コイルの間に置かれた送電コイル2228b、2228c、2228e、及び2228fは、送電コイル配置2201内で配置されたときに、垂直に上向き又は下向きのいずれかの角度方向を有することができる。内側送電コイルの間に置かれた送電コイル2228a及び2228dは、垂直に上向きの角度方向を有することができる。
図22Dに示されているように、外側送電コイルの間に置かれた送電コイル2230a、2230b、2230d、2230e、2230g、及び2230hは、垂直に上向き又は下向きのいずれかの角度方向を有することができる。内側送電コイルの間に置かれた送電コイル2230c及び2230fは、垂直に上向きの角度方向を有することができる。また、
図22Eに示されているように、最も右の送電コイル2232aを除く、外側送電コイルの間に置かれた送電コイル2232c、2232b、2232e、及び2232fは、送電コイル配置2201内で配置されたときに、垂直に上向き又は下向きのいずれかの角度方向を有することができる。内側送電コイルの間に置かれた送電コイル2232d及び2232gは、垂直に上向きの角度方向を有することができる。
【0180】
図22C〜Eによって理解され得るように、送電コイル配置の外側送電コイルは、最も左の送電コイル及び最も右の送電コイルを除き、垂直に上向き又は下向きのいずれかの角度方向に配置され得る。また、送電コイル配置の内側送電コイルは、同じ方向(例えば、垂直に上向き)を向く角度方向に配置され得る。このようにして、送電コイル配置2201内の送電コイルの終端ゾーンの位置は、実質的に互いに類似することができ、それによって設計を簡略化し、充電効率を向上する。
【0181】
基礎をなすドライバ基板に接触するためにワイヤのコイルの平面の下に延びる接続ピンを有するボビン付きの送電コイルとは異なり、ボビンのない送電コイルは、ドライバ基板上に設置されたときに、基礎をなすドライバ基板から隆起した接続パッドを有する表面実装された支持棒に接触することによって、基礎をなすドライバ基板に接触することができる。したがって、接続パッドは、それらが結合される各送電コイルと同じ平面内に置かれ得る。本明細書では、そのような支持棒の詳細が更に説明される。
VI.ワイヤレス充電マットの組み立て
【0182】
図23は、本開示の一部の実施形態に従って、ボビン付きの送電コイルを有するワイヤレス充電マットの例2300の分解図を示している。ボビン付きの送電コイルは、
図16A〜20Bに関して本明細書において説明された送電コイルに対応することができる。ワイヤレス充電マット2300は、第1の外殻2302及び第2の外殻2304という2つの外殻で形成された筐体を含むことができる。第1の外殻2302は、第2の外殻2304と結合して、内部コンポーネントを置くことができる内部空洞を形成することができる。具体的には、第1及び第2の外殻2302及び2304の面は、内部空洞を定める壁を形成することができる。例えば、第1の外殻2302は、内部空洞の上部境界を定める第1の壁を形成する底面を有することができる。更に、第2の外殻2304は、内部空洞の下部境界を定める第2の壁を形成する上面を有することができる。第1の外殻2302と第2の外殻2304の両方の側面は、内部空洞の側面境界を形成する側壁を有することができる。第1の外殻2302は切り込み2306aも含むことができ、第2の外殻2304は切り込み2306bも含むことができ、これらの切り込みは、第1の外殻2302と第2の外殻2304が結合されたときに、筐体内の開口部を形成する。レセプタクルコネクタなどの電気コネクタ2308は開口部内に置かれることが可能であり、それによって、ワイヤレス充電マット2300が、電気コネクタ2308に接続されたケーブルを介して外部電源から電力を受信することができるようにする。一部の実施形態では、電気コネクタ2308は、電力を外部電源からワイヤレス充電マット2300に送信して、無線電力伝送用の電力を提供できるように、複数の接続ピン及び接続ピンに電気的に結合された複数の端子を含んでよい。
【0183】
第1及び第2の外殻2302及び2304はそれぞれ、2つ以上の層で形成されてよい。例えば、第1の外殻2302は、上部カバー2310、可撓層2312、及び補強層2314を含むことができる。一部の実施形態では、可撓層2312は、上部カバー2310と補強層2314の間に配置され得る。上部カバー2310は、ワイヤレス充電マット2300が組み立てられたときに露出される化粧層であってよい。一部の実施形態によれば、上部カバー2310の上面は、ワイヤレス充電マット2300から電力を受信するためにワイヤレス受電コイル2342を有するデバイス2340を配置できる充電面2316を含む。充電面2316のサイズ及び寸法は、第1の外殻2302と第2の外殻2304の間に入れられた1つ以上の送電コイル配置(例えば、本明細書において説明された任意の送電コイル配置)によって定められ得る。
【0184】
補強層2314は、ワイヤレス充電マット2300に構造的完全性を提供する剛構造であることができる。補強層2314を形成するために、ガラス繊維などの任意の適切な堅い材料が使用されてよい。可撓層2312は、上部カバー2310の下に置かれ、デバイスが上部カバー2310に接触して電力を受信するときに、デバイスを置くための柔らかい枕のような質感を提供することができる。可撓層2312は、発泡体又は任意のその他の多孔質材料などの、任意の適切な可撓性材料で形成され得る。
【0185】
第2の外殻2304は、下部カバー2318、下部シャーシ2320、及びドロップフレーム2322を含むことができる。一部の実施形態では、下部シャーシ2320は、下部カバー2318とドロップフレーム2322の間に置かれ得る。下部カバー2318は、ワイヤレス充電マット2300が組み立てられたときに露出される外側カバーであってよい。下部シャーシ2320は、構造剛性をワイヤレス充電マット2300に提供するための剛構造であることができる。一部の実施形態では、下部シャーシ2320は、ガラス繊維又は炭素繊維などの任意の適切な堅い材料で形成され得る。ドロップフレーム2322は、ワイヤレス充電マット2300の骨格を形成する構造上の支持層であってよい。一部の実施形態では、ドロップフレーム2322は、複数の開口部2348が内部に形成されたプラスチックの堅い層である。各開口部2348は、本明細書において更に説明されるように、1つ以上の送電コイルを動作させるためのインバータなどの電子デバイスに対応する寸法を有するように形成され得る。
【0186】
前述したように、上部外殻2302及び下部外殻2304は、結合して内部空洞を形成することができる。
図23に示されているように、複数の内部コンポーネントが内部空洞内に置かれ得る。内部コンポーネントは、第1の外殻2302の下に置かれた検出コイル2324を含んでよい。検出コイル2324は、既定の周波数で動作するように設計されたコイルの配置であることができ、この周波数で検出コイル2324は、充電面2316内の上部カバー2310上に置かれたデバイスの存在を検出できる。
【0187】
一部の実施形態では、内部コンポーネントは、検出コイル2324の下に配置された送電コイル配置2326も含むことができる。本開示の一部の実施形態によれば、送電コイル配置2326は、複数の層内で、2つのコイルが互いに同心になることがない重なり合う非同心の配置で配置された複数の略平面的な送電コイルで形成され得る。言い換えると、各送電コイルは、複数の送電コイルのうちの他のすべての送電コイルの中心軸からある横方向距離だけ離れて置かれた中心軸を有することができる。例えば、送電コイル配置2326は、送電コイルの3つの層(例えば、第1の層2328、第2の層2330、及び第3の層2332)を含むことができ、各層は互いに同一平面上に配置された複数の送電コイルを含んでいる。送電コイル配置の例としては、本明細書において前述された
図8、10、19、及び22内の送電コイル配置800、1000、1900、及び2200が挙げられる。送電コイル配置2326は、
図16A〜16B及び18A〜18Bに関して本明細書において説明されたように、撚線送電コイルで形成され得る。一部の他の実施形態では、送電コイル配置2326は、PCB内でパターン化した導電性ワイヤのアレイとして形成され得る。
【0188】
送電コイル配置2326は、電流を電子デバイス2340内の受電コイル2342に誘導するために、第1の外殻2302の上面の上に伝搬する時変磁場を生成するように動作することができる。送電コイル配置2326によって生成される時変磁場の有効範囲は、充電面2316の寸法と一致してよい。一部の実施形態では、送電コイル配置2326内のすべての送電コイルは、同じ方向に巻かれたワイヤのコイルを含む。一方、受電コイル2342は、送電コイルと反対の方向に巻かれたワイヤのコイルを含むことができる。例えば、送電コイル配置2326内のすべてのワイヤのコイルは時計回りの方向に巻かれるが、受電コイル2342のワイヤのコイルは反時計回りの方向に巻かれる。
【0189】
一部の実施形態では、フェライト層2334は、送電コイル配置2326の下に配置され得る。フェライト層2334は、送電コイル配置2326によって生成された磁場が送電コイル配置2326の下に配置されたコンポーネントを妨害するのを防ぐように構成された強磁性材料の層であってよい。フェライト層2334は、充電面2316及び/又は送電コイル配置2326に対応するようなサイズ及び形状であることができる。特定の実施形態では、フェライト層2334は、第1の送電コイル層2328の真下に置かれ得る。そのような実施形態では、第1の送電コイル層2328は、第2及び第3の送電コイル層2330及び2332内のワイヤのコイルよりも少ない巻き数を有するワイヤのコイルを含むことができる。フェライト層2334は、送電コイル配置2326内の送電コイルの接続ピンの位置に対応する複数の開口部を含むことができる。複数の開口部は、送電コイルがフェライト層2334の下に配置されたコンポーネントに接触できるようにする。例えば、複数の開口部は、送電コイルがフェライト層2334の下に配置されたドライバ基板2336に接触できるようにする。
【0190】
ドライバ基板2336は、送電コイル配置2326を動作させるための信号及び電力を送信するように構成された、PCB、フレックス回路、パターン化したセラミック基板、パターン化したシリコン基板などの、電気相互接続構造体であってよい。一部の実施形態では、ドライバ基板2336は、送電コイル配置2326内の送電コイルの対応する接続ピンに接触するように置かれた複数の接点2346を含む。複数のインバータは、送電コイル配置2326内の送電コイルを動作させるためのドライバPCB2336の下側に取り付けられ得る。各インバータは、インバータが接触する各送電コイルに対応する位置に置かれ得る。一部の実施形態では、複数のインバータは、ドライバPCB2336の下に延びるように、ドライバPCB2336の底面に表面実装され得る。したがって、複数のインバータは、ドロップフレーム2322内の各開口部2348に挿入され得る。開口部2348は、ドライバPCB2336上に取り付けられた各インバータに対応する位置に置かれ得る。
図23に示されているように、レセプタクルコネクタ2308が組み立てられたときにワイヤレス充電マット2300内に置かれるように、切り込み2350が、フェライト層2334及びドライバPCB2336内に形成されてよい。
【0191】
一部の実施形態では、接地リング2338は、ドライバPCB2336の外周の少なくとも一部に沿って巻かれ得る。接地リング2338は、レセプタクルコネクタ2308がドライバPCB2336に結合される位置を除いてドライバPCB2336の外周に沿って巻かれた、導電性ワイヤであってよい。
【0192】
図24は、本開示の一部の実施形態に従って、ボビンのない送電コイルを有するワイヤレス充電マットの例2400の分解図を示している。ボビンのない送電コイルは、
図21〜22に関して本明細書において説明された送電コイルに対応することができる。ワイヤレス充電マット2300と同様に、ワイヤレス充電マット2400は、第1の外殻2402及び第2の外殻2404という2つの外殻で形成された筐体を含むことができる。第1の外殻2402は、第2の外殻2404と結合して、内部コンポーネントを置くことができる内部空洞を形成することができる。ワイヤレス充電マット2300と同様に、第1の外殻2402は切り込み2406aも含むことができ、第2の外殻2404は切り込み2406bも含むことができ、これらの切り込みは、第1の外殻2402と第2の外殻2404が結合されたときに、筐体内の開口部を形成する。レセプタクルコネクタなどの電気コネクタ2408は開口部内に置かれることが可能であり、それによって、ワイヤレス充電マット2400が、電気コネクタ2408に接続されたケーブルを介して外部電源から電力を受信することができるようにする。一部の実施形態では、電気コネクタ2408は、電力を外部電源からワイヤレス充電マット2400に送信して、無線電力伝送用の電力を提供できるように、複数の接続ピン及び接続ピンに電気的に結合された複数の端子を含んでよい。
【0193】
第1及び第2の外殻2402及び2404はそれぞれ、2つ以上の層で形成され得る。例えば、第1の外殻2402は、上部カバー2410及び補強層2412を含むことができる。上部カバー2410は、ワイヤレス充電マット2400が組み立てられたときに露出される化粧層であることができる。一部の実施形態によれば、上部カバー2410の上面は、ワイヤレス充電マット2400から電力を受信するためにワイヤレス受電コイル2415を有するデバイス2416を配置できる充電面2414を含む。充電面2414のサイズ及び寸法は、第1の外殻2402と第2の外殻2404の間に入れられた1つ以上の送電コイル配置(例えば、本明細書において説明された任意の送電コイル配置)によって定められ得る。
【0194】
一部の実施形態では、上部カバー2410は、充電面2414の下に配置された可撓層(図示されていない)を含むことができる。この可撓層は、デバイスが上部カバー2410に接触して電力を受信するときに、デバイスを置くための柔らかい枕のような質感を提供するように構成され得る。この可撓層は、発泡体又は任意のその他の多孔質材料などの、任意の適切な可撓性材料で形成され得る。補強層2412は、上部カバー2410の下に置かれ、ワイヤレス充電マット2400に構造的完全性を提供する剛構造で構成され得る。補強層2412を形成するために、ガラス繊維又は堅いポリマー(例えば成形されたKalix)などの任意の適切な堅い材料が使用されてよい。
【0195】
第2の外殻2404は、下部カバー2418及び下部シャーシ2420を含むことができる。一部の実施形態では、下部シャーシ2420は、ワイヤレス充電マット2400が組み立てられたときに下部シャーシ2420が見えなくなるように、下部カバー2418に対して置かれ得る。下部カバー2418は、ワイヤレス充電マット2400が組み立てられたときに露出される外側カバーであってよい。下部シャーシ2420は、構造剛性をワイヤレス充電マット2400に提供するための剛構造であることができる。一部の実施形態では、下部シャーシ2420は、ガラス繊維、炭素繊維、又はステンレス鋼などの任意の適切な堅い材料で形成され得る。
【0196】
前述したように、上部外殻2402及び下部外殻2404は、結合して内部空洞を形成することができる。
図24に示されているように、さまざまな内部コンポーネントが内部空洞内に置かれ得る。例えば、内部コンポーネントは送電コイル配置2429を含むことができる。本開示の一部の実施形態によれば、送電コイル配置2429は、複数の層内で、2つのコイルが互いに同心になることがない重なり合う非同心の配置で配置された複数の略平面的な送電コイルで形成され得る。例えば、送電コイル配置2429は、送電コイルの3つの層(例えば、第1の層2428a、第2の層2428b、及び第3の層2428c)を含むことができ、各層は互いに同一平面上に配置された複数の送電コイルを含んでいる。送電コイル配置の例として、本明細書において説明された
図8、10、及び19内の送電コイル配置800、1000、及び1900などの、ボビンに巻き付けられた送電コイルを有する送電コイル配置、並びに本明細書において説明された
図22に示された送電コイル配置2200などの、ボビンに巻き付けられない送電コイルを含む送電コイル配置などが挙げられる。更に、送電コイル配置2429は、任意の適切な数の送電コイルを有することができる。例えば、送電コイル配置2429は、
図6D内の送電コイル配置605などの合計16個のコイル、又は
図6E内の送電コイル配置607などの合計22個のコイルを有することができる。
【0197】
送電コイル配置2429は、電流を電子デバイス2416内の受電コイル2415に誘導するために、第1の外殻2402の上面の上に伝搬する時変磁場を生成するように動作することができる。送電コイル配置2429によって生成される時変磁場の有効範囲は、充電面2414の寸法と一致してよい。
【0198】
ワイヤレス充電マット2400は、送電コイル配置2429を収容するための複数のカウリング2431を含むこともできる。例えば、複数のカウリング2431は、第1のカウリング2430a、第2のカウリング2430b、及び第3のカウリング2430cを含むことができる。各カウリングは、送電コイルが内部に存在できる開口部2431a〜cを有する実質的に平面的な構造体であることができる。例えば、第1のカウリング2430aは、第1の送電コイル層2428aを収容することができ、第2のカウリング2430bは第2の送電コイル層2428bを収容することができ、第3のカウリング2430cは第3の送電コイル層2428cを収容することができる。送電コイルがカウリング内に収容された場合、カウリングは、送電コイルを各位置に限定し、送電コイルがいずれかの横方向にずれるのを防ぐことができる。各カウリングの一部は、層内に空の空間が生じるのを防ぐために、送電コイルの内径内に存在することもできる。空の空間が存在すると、隣接する層内の構造体がゆがむ可能性があり、それによって、1つ以上コンポーネントに物理的圧力が生じ、過剰な摩耗及び断裂につながる恐れがある。一部の実施形態では、各カウリング2430a〜cの厚さは送電コイルの厚さに等しい。したがって、送電コイルが各カウリング内に収容された場合、カウリングと送電コイルが結合して、内部に大きい空間が存在しない実質的に平面的な構造体を形成する。
【0199】
一部の実施形態では、ワイヤレス充電マット2400は、送電コイルの各層及びカウリングを分離するために、1つ以上のスペーサを含むこともできる。例えば、ワイヤレス充電マット2400は、第1のスペーサ2444a、第2のスペーサ2444b、及び第3のスペーサ2444cを含むことができる。第1のスペーサ2444aは、第1のスペーサ2444aの厚さによって定められる設定された距離によって2つの送電コイル層2428a及び2428bを分離するために、第1の送電コイル層2428aと第2の送電コイル層2428bの間に置かれ得る。同様に、第2のスペーサ2444bは、第2のスペーサ2444bの厚さによって定められる設定された距離によって2つの送電コイル層2428b及び2428cを分離するために、第2の送電コイル層2428bと第3の送電コイル層2428cの間に置かれ得る。更に、第3のスペーサ2444cは、第3のスペーサ2444cの厚さによって定められる設定された距離によって第3の送電コイル層2428c及び電磁シールド2422を分離するために、第3の送電コイル層2428cと電磁シールド2422の間に置かれ得る。一部の実施形態では、スペーサ2444a〜cの厚さは同じであり、それによって、各送電コイル層2428a〜c及び電磁シールド2422が同じ距離で互いに分離されるようにする。スペーサ2444a〜cの1つの目的は、隣接する導電層(例えば、送電コイル層2428a〜c及び電磁シールド2422)間の寄生キャパシタンスの程度を定めることである。導電層間の空間を等しくなるように定めることによって、特に高周波数領域において、充電面2414上の異物の検出に対する感度を高める。
【0200】
無線電力伝送中に、送電コイル配置2429は、対応する電流を受電コイル2415に誘導するための時変磁場を生成することができる。これらの生成された磁場は、制御されない場合、ノイズを生成して、周囲のコンポーネントに悪影響を与える可能性がある。したがって、送電コイル配置2429は、磁場が一方向に生成され、隣接するコンポーネントを妨害しないように、磁場を制限するために複数のコンポーネントによって囲まれ得る。一部の実施形態では、本明細書において更に説明されるように、コンポーネントは、強磁性シールド2432、電磁シールド2422、接地フェンス2424、及びドライバ基板2426を含む。
【0201】
強磁性シールド2432は、送電コイル配置2429の下に配置され、送電コイル配置2429によって生成された磁場が強磁性シールド2432の下に配置されたコンポーネントを妨害することを防ぐように構成された強磁性材料の層であることができる。強磁性シールド2432は、充電面2414及び/又は送電コイル配置2429に従うサイズ及び形状であることができる。特定の実施形態では、強磁性シールド2432は、第1の送電コイル層2428aの真下に置かれ得る。そのような実施形態では、第1の送電コイル層2428aは、第2及び第3の送電コイル層2428b及び2428c内のワイヤのコイルよりも少ない巻き数を有するワイヤのコイルを含むことができる。強磁性シールド2432は、送電コイル配置2429内の送電コイルの接続ピンの位置に対応する複数の開口部を含むことができる。複数の開口部は、送電コイルがドライバ基板2426などの、強磁性シールド2432の下に配置されたコンポーネントに接触できるようにする。
【0202】
本明細書で述べられたように、電磁シールド2422も、ワイヤレス充電マット2400に含まれ得る。電磁シールド2422は、第1の外殻2402の下に置かれることが可能であり、無線電力伝送中に受電コイルでの有害な電圧の生成を防ぐように構成されることが可能である。具体的には、電磁シールド2422は、無線電力伝送中にワイヤレス充電マット2400内の送電コイルによって生成された電界を遮断して、有害な電圧が受電コイル(例えば、受電コイル2415)に生成されないように、構成され得る。電磁シールド2422の構造及び材料の組成が、
図25A及び25Bに関して本明細書において更に説明される。
【0203】
図25Aは、本開示の一部の実施形態に従う電磁シールドの例2500の上面図である。電磁シールド2500は、シールド体2502及びシールド体2502の周辺部の周囲の導電性境界2504を含むことができる。シールド体2502は、ワイヤレス充電マット2400内の1つ以上の送電コイルによって生成された電界を遮断し、遮断された電界によって生成された電圧を導電性境界2504を介してアースに放電することができる。一部の実施形態では、シールド体2502は、磁束がシールド体を貫通できるようにするが、電界が貫通するのを防ぐ特性を有する材料で構築される。例えば、シールド体2502は、感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesive、PSA)の層に重ね合わせられた銀で形成され得る。この銀層は、約30〜40μm(一実施形態では、具体的には35μm)の厚さを有することができる。
図25Aに更に示されているように、導電性境界2504は、シールド体2502の周囲の薄い導電領域として構築され得る。ただし、実施形態はそのように限定されない。他の実施形態は、
図25Bに示されているように、導電性境界2504の異なる構成を有することができる。
【0204】
図25Bは、本開示の一部の実施形態に従う、別の電磁シールドの例2501の上面図である。電磁シールド2501は、シールド体2502及び送電コイル配置(本明細書において説明されたいずれかの送電コイル配置など)のエッジまで延びる導電性境界2506を含むことができる。導電性境界2506を送電コイル配置のエッジまで広げることによって、電磁シールド2501を通る磁場の伝達効率は、電磁シールド2500の伝達効率よりも改善され得る。
【0205】
導電性境界2504及び2506は、銅などの導電材料で形成され得る。導電性境界2504及び2506は、シールド体2502の面に接着された銅の薄板であることができる。導電性境界2504及び2506の導電特性により、遮断された電界によって生成された電圧をアースに流すことができる。一部の実施形態では、導電性境界2504は、電圧を接地フェンス(
図24に示された接地フェンス2424など)に流すことができる。
【0206】
再び
図24を参照すると、本明細書において前述されたように、ワイヤレス充電マット2400は、本開示の一部の実施形態に従って、接地フェンス2424を含むことができる。接地フェンス2424は、ドライバ基板2426の外周の少なくとも一部に沿って巻き付けられ、電磁シールド2422の外周の少なくとも一部に取り付けられ得る。接地フェンス2424は、導電特性、及び接地フェンス2422を通る磁場の伝搬を阻止するためのシールド特性を有する、ある長さのワイヤで形成され得る。例えば、接地フェンス2422は、鋼鉄などの金属、又はニッケルめっき鋼などの被覆金属で形成され得る。
【0207】
ドライバ基板2426は、送電コイル配置2429を動作させるための信号及び電力を送信するように構成されたPCBであることができる。一部の実施形態では、ドライバ基板2426は、本明細書において更に説明されるように、電力を複数の支持棒を介して送電コイル配置2429に送信するための複数のボンディングパッド2442を含むことができる。電気コネクタ2408は、ドライバ基板2426が外部電源から電力を受信して送電コイル配置2429を動作させることができるように、ドライバ基板2426上に取り付けられ得る。ドライバ基板2426、接地フェンス2424、強磁性シールド2432、及び電磁シールド2422を組み合わせることによってファラデーケージを形成することができ、このファラデーケージは、送電コイル配置2429を囲んで、送電コイル配置2429によって生成された時変磁場の放射を制御する。例えば、ファラデーケージは、ファラデーケージから出る磁束を一方向に向けながら、ファラデーケージから出る他のすべての方向への磁束の伝搬を実質的に防ぐ。このファラデーケージの更に深い理解及び異なる視点が、
図26A及び26Bに関して説明され、示される。
【0208】
図26Aは、本開示の一部の実施形態に従う、部分的に形成されたワイヤレス充電マットの送電コイル配置2429(図示されていない)の周囲のファラデーケージの一部の断面図である。ファラデーケージのエッジのみが示されているため、送電コイル配置2429が示されていないということ、及び送電コイル配置2429がファラデーケージのエッジから離れて置かれているが、複数のカウリング2431のエッジを見ることができるということが、理解されるべきである。更に、
図26Aに示されたファラデーケージの一部が、ワイヤレス充電マットの片側のみに関するものであるということ、及び当業者が、この図がワイヤレス充電マットの実質的にすべてのエッジを代表していることを理解するということが、理解されるべきである。
図26Aに示されているように、複数のカウリング2431(及び送電コイル配置2429)は、電磁シールド2422、接地フェンス2424、強磁性シールド2432、及びドライバ基板2426で形成されたファラデーケージによって囲まれる。
【0209】
一部の実施形態によれば、ファラデーケージは、磁束が一方向に伝搬できるように構成され得る。例えば、接地フェンス2424は、接地フェンス2424を通る、送電コイル配置2429からの磁束の伝搬に実質的に耐えるように構成されることが可能であり、それによって、横方向の磁場がファラデーケージ内に封じ込められる。更に、強磁性シールド2432は、送電コイル配置2429からドライバ基板2426への磁束の伝搬(すなわち、ファラデーケージから出る下向きの伝搬)を大幅に軽減するように、磁束の方向を変えるように構成され得る。しかし、電磁シールド2422は、ファラデーケージから出る磁束が一方向(例えば、電子デバイス内の受電コイルに向かう上方)に向けられるように、磁束が通って伝搬できるように構成され得る。一方向への磁束の伝搬を可能にするようにファラデーケージを構成することによって、ファラデーケージは、生成された磁束がワイヤレス充電マット内の他の電気システムにノイズを生成しないようにしながら、意図的に磁束が受電コイルに向かう方向に伝搬して、ワイヤレス充電を実行できるようにする。
【0210】
一部の実施形態では、電磁シールド2422は、ワイヤレス充電中に電磁シールド2422に生成された電圧をアースに放電できるように、接地フェンス2424に取り付けられる。一部の例では、電磁シールド2422の導電性境界2506は、堅牢な電気的接続及び物理的接続を実現するために、レーザー溶接によって接地フェンス2424に取り付けられる。更に、強磁性シールド2432は、ドライバ基板2426への磁束の伝搬を軽減するように、ドライバ基板2426の面上に置かれ得る。一部の実施形態では、強磁性シールド2432は、強磁性シールド2432が接地フェンス2424とドライバ基板2426の間に置かれないように、ドライバ基板2426上、かつ接地フェンス2424から横方向に置かれる。強磁性シールド2432を取り付けないことによって、その脆性な構造体が、接地フェンス2424とドライバ基板2426の間の境界面で物理的圧力にさらされなくなり、それによって、強磁性シールド2432への損傷を最小限に抑える。
【0211】
図25Bに示された電磁シールド2501に関して本明細書において述べられたように、導電性境界2506はシールド体2502に接着される。一部の実施形態では、1つ以上の接着剤を使用して、導電性境界2506をシールド体2502のエッジに取り付けることができる。
図26Bは、シールド体2502と導電性境界2506の間の境界面の拡大断面図である。図に示すように、導電性境界2506は、接着剤層2602及び2604によってシールド体2502に取り付けられ得る。接着剤層2602及び2604は、片面銅テープ又は両面銅テープなどの、任意の適切な導電接着剤であることができる。一部の実施形態では、接着剤層2602は両面銅テープの層であり、接着剤層2604は片面銅テープの層である。導電接着剤を使用することによって、電磁シールド2502上で捕捉された電圧を、導電性境界2506を介して接地フェンス2424に流すことができる。
図26Bは導電性境界2506を示しているが、本明細書における開示が、代わりに導電性境界2504が使用される実施形態にも適用されるということが理解されるべきである。一部の実施形態では、シールド2422は、使用中に所定の位置から大幅に移動しないように、接着剤を使用して第3のカウリング層2430cに固定され得る。例えば、シールド2422は、PSAなどの接着剤2606によって固定され得る。
【0212】
本明細書において説明されたように、ドライバ基板は、送電コイル配置を動作させるように構成されたPCBであることができる。したがって、
図24を再び参照すると、ドライバ基板2426は、本開示の一部の実施形態に従って、複数の支持棒2434を介して送電コイル配置2429内の送電コイルに電気的に結合され得る。一部の実施形態では、各支持棒は、ドライバ基板2426から送電コイル配置2429への電力伝達を可能にするために、各ボンディングパッド2442に結合される。支持棒2434は、ドライバ基板2426と送電コイル配置2429の各層の間で電力を送信するように構成され得る。例えば、支持棒2434は、
図27A〜B及び28A〜Bに関して本明細書において説明されるように、支柱の一方の端部から反対側の端部まで電力を送信することができる複数の導電支柱で構成され得る。
【0213】
図27B及び27Bは、本開示の一部の実施形態に従って、支持棒の例2700を示している。支持棒2700は、一方の端部に第1の接点2702を含み、反対側の端部に第2の接点2704を含むことができる。コネクタ2706は、電力を接点2702と接点2704の間で送信できるように、第1の接点2702を第2の接点2704に電気的に結合することができる。一部の実施形態では、第1の接点2702、第2の接点2704、及びコネクタ2706は、横に傾いた「U」字状に成形された1つの一体構造を形成する。この一体構造は、圧力が垂直方向にかけられたときの、ある程度の機械的可撓性を有することができる。したがって、一部の実施形態では、第1の接点2702、第2の接点2704、及びコネクタ2706は、銅の導電率の約60%〜90%の導電率を有する銅合金などの、導電性が高い十分に堅い材料で形成され得る。銅合金の例としては、NKC4419、NKE010、及びC19210などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
一体構造を形成するために機械的に頑丈な導電材料を使用することに加えて、個別の支持構造体を使用して支持棒2700を強化することもできる。例えば、支持コンポーネント2708が第1の接点2702と第2の接点2704の間に置かれ、構造上の支持を支持棒2700に提供することができる。支持コンポーネント2708は、第1の接点2702の上面及び第2の接点2704の底面のみが露出されるように、第1及び第2の接点2702の側壁の上に延びることもできる。支持コンポーネント2708と一体構造の間の構造的結合を強化するために、
図28Aに示されているように、1つ以上のフック構造を第1の接点2702及び/又は第2の接点2704に実装することができる。
【0215】
図28A及び28Bは、本開示の一部の実施形態に従って、フック構造2810付きの支持棒の例2800を示している。支持棒2700と同様に、支持棒2800は、コネクタ2806を介して一緒に結合された第1の接点2802及び第2の接点2804を含むことができる。第1の接点2802、第2の接点2804、及びコネクタ2806は、支持棒2700に類似する一体構造を形成することができる。一部の実施形態では、支持棒2800は、第1の接点2802及び/又は第2の接点2804から延びるフック構造2810を含む。
図28Aに示されているように、フック構造2810は、第1の接点2802から延びて、一体構造の一部を形成する。フック構造2810は、
図28Bに示された支持構造体2808に接触するための追加の表面積を提供し、支持構造体2808との機械的結合を強化する。
【0216】
本明細書において説明されたように、支持棒2434は、ドライバ基板2426を送電コイル配置2429の各送電コイルと結合するように構成され得る。したがって、支持棒2434は、ドライバ基板2426を異なる層内の送電コイルと結合するために、異なる高さを有するように構成され得る。
【0217】
図29は、本開示の一部の実施形態に従って、支持棒2902、2904、及び2906と共に基礎をなすドライバ基板(例えば、ドライバ基板2426)に取り付けられた組み立て済み送電コイル配置の例2900を示している。送電コイル配置2900は、送電コイル2908を第1の送電コイル層内に含み、送電コイル2910を第2の送電コイル層内に含み、送電コイル2912を第3の送電コイル層内に含むことができる。
図29では、明瞭にするために、送電コイル配置2429の各層から1つの送電コイルのみが示されている。
【0218】
組み立てられたときに、支持棒2902、2904、及び2906は、点線で示されているように、送電コイル配置2900内で入れ子にされ得る。各支持棒2902、2904、及び2906は、支持棒が結合される送電コイルの各層に対応する異なる高さを有するように構成され得る。例えば、支持棒2902は、ドライバ基板2426を第1の送電コイル層内の送電コイル2908と結合するのに適した第1の高さを有し、支持棒2904は、ドライバ基板2426を第2の送電コイル層内の送電コイル2910と結合するのに適した第2の高さを有し、支持棒2906は、ドライバ基板2426を第3の送電コイル層内の送電コイル2912と結合するのに適した第3の高さを有することができる。したがって、支持棒2906は、支持棒2902及び2904の両方よりも高くなることができ、支持棒2904は、支持棒2902よりも高いが、支持棒2906よりも短くなることができる。送電コイルの3つの層が組み立てられると、隣接する送電コイルは、互いに接触して置かれても、ドライバ基板2426と結合することができ、それによって、送電コイル配置2900のZ高を最小限に抑える。
【0219】
図24を再び参照すると、ワイヤレス充電マット2400は、本開示の一部の実施形態に従って、ドロップフレーム2436及びドロップフレーム2436の底部シールド2438を含むこともできる。底部シールド2438は、ワイヤレス充電マット2400内で組み立てられるときに、ドロップフレーム2436に接着され得る。ドロップフレーム2436は、ワイヤレス充電マット2400の骨格を形成する構造上の支持層であることができる。一部の実施形態では、ドロップフレーム2436は、複数の開口部2440が内部に形成されたプラスチックの堅い層である。各開口部2440は、本明細書において更に説明されるように、1つ以上の送電コイルを動作させるための複数のインバータなどの1つ以上の電子デバイスに対応する寸法及び位置を有するように形成され得る。
【0220】
図30は、本開示の一部の実施形態に従う、ドライバ基板2426に結合されたドロップフレーム2436の下面図である。この図は、ドロップフレーム2436に関して複数のパッケージ化された電気コンポーネント3002の配置が見えるように、底部シールドのないドロップフレーム2436及びドライバ基板2426を示している。したがって、ドロップフレーム2436の開口部2440は、底面から見たときに、各開口部2440を通してドライバ基板2426が見えることを可能にし得る。一部の実施形態では、さまざまなサイズ及び形状の複数の黒いコンポーネントとして示されているパッケージ化された電気コンポーネント3002は、開口部2440内のドライバ基板2426上に配置され得る。電気コンポーネント3002は、ワイヤレス充電マット2400を動作させるために利用される任意の適切な電気コンポーネントであることができる。例えば、電気コンポーネント3002は、パワーエレクトロニクス機器、マイクロコントローラ、コンデンサ、抵抗器などであることができる。一部の実施形態では、電気コンポーネント3002は、送電コイル配置2429内の送電コイルを動作させるためのドライバ基板2426の対応する下側の領域に取り付けられることが可能な複数のインバータを含む。
【0221】
特定の実施形態では、開口部2440の一部は、
図6D及び6Eに示された送電コイル605又は607の配置などの送電コイルの配置を動作させるために、パッケージ化されたインバータが内部に配置される空間を提供することができる。例えば、インバータの開口部2442は、パッケージ化されたインバータが置かれる空間を提供するために使用され得る。インバータの開口部2442は、見やすいように太線で示されている。一部の実施形態では、パッケージ化されたインバータの開口部2442の数は、送電コイルの配置内で使用される送電コイルの数に一致する。例えば、ワイヤレス充電マットが22個のコイルで構成された送電コイルの配置を組み込む場合、ドロップフレーム2436は22個のインバータの開口部2442を含むことができ、各インバータの開口部は、各送電コイルを支援するための各インバータと一致する。一部の実施形態では、インバータの開口部2442は、パッケージ化されたインバータを、それらが支援する各送電コイルの真下に置くことができるように、配置され得る。他の実施形態では、1つ以上のインバータの開口部2442は、パッケージ化されたインバータを各送電コイルの真下に置くことができるように置かれなくてよい。ただし、その場合でも、これらのインバータの開口部は、パッケージ化されたインバータを、各送電コイルから遠いワイヤレス充電マットのエッジではなく、各送電コイルの極めて近くに配置可能にすることができる。パッケージ化されたインバータを、各送電コイルの真下ではないにしても、近くに置くことができることによって、(インバータが充電マットの周辺部に配置されて、充電マットの中心にある送電コイルに配線される必要のある従来の充電マットで発生するような)長いトレース長からの高抵抗に起因するタイミング遅延及び損失が最小限に抑えられ得る。
【0222】
本開示の一部の実施形態によれば、底部シールド2438(
図30に示されていない)は、ドライバ基板2426が結合される面の反対側のドロップフレーム2436の面に重ね合わされ得る。したがって、底部シールド2438は各開口部2440内の電気コンポーネント3002を囲み、それによって、電気コンポーネントが外部の電気妨害から保護されるだけでなく、開口部3002の外側のワイヤレス充電マット2400のコンポーネントが電気コンポーネント3002から生成されたノイズによって妨害されないようにする。一部の実施形態では、底部シールド2438は、
図31に示されているように、シールド層及び複数の絶縁層で形成される。
【0223】
図31は、本開示の一部の実施形態に従う底部シールドの例3100の上視図である。底部シールド3100は、シールド層3102及びシールド層3102に取り付けられた複数の絶縁層3104を含むことができる。一部の実施形態では、絶縁層3104は、
図30内の開口部2440などの、ドロップフレームの1つ以上の開口部に対応する。例えば、絶縁層3104は、
図31に示されているように、2つ以上の開口部2440/2442に対応するストリップとして構成され得る。絶縁層3104は、ワイヤレス充電マット内で構築されたときに、ドロップフレーム2436に取り付けられ、ドロップフレーム2436(その1つ以上の開口部を伴う)とシールド層3102の間に置かれ得る。絶縁層3104は、シールド層3102との電気コンポーネント3002の電気的結合を防ぐことができる。一部の実施形態では、シールド層3102は、柔軟性のある薄い材料である。したがって、開口部2440の真上のシールド層3102の領域は、開口部2440内にゆがんで、1つ以上の電気コンポーネント3002に接触することができる。したがって、絶縁層3104は、シールド層3102と1つ以上の電気コンポーネント3002の間の電気的結合を防ぐことができる。
【0224】
シールド層3102は、電気コンポーネント3002との間での電気的放射に対する遮蔽に適した任意の材料で形成され得る。例えば、シールド層3102は銅で形成され得る。絶縁層3104は、ポリイミドなどの任意の電気絶縁材料で形成され得る。
【0225】
一部の実施形態では、複数の支柱が開口部2440内に配置され、シールド層3102が開口部2440内に押し下げられたときの移動の程度を軽減することができる。例えば、
図30を再び参照すると、支柱3004は、底部シールド2438のゆがみを軽減するように、空間が存在する領域内のドライバ基板2426上に置かれ得る。更に、支柱3004は、電気コンポーネント3002が、開口部2440を押している外部の物体に起因して損傷するのを防ぐこともできる。
VII.ハイブリッドPCB及び撚線コイルのワイヤレス充電マット
【0226】
本開示の一部の実施形態によれば、ワイヤレス充電マットは、2つ以上の異なるデバイスに電力を提供するように構成され得る。例えば、1つのデバイスは、より大きい受電コイルを有するより大きいデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータなど)であることができ、もう1つのデバイスは、より小さい受電コイルを有するより小さいデバイス(例えば、スマートウォッチ、小型ポータブル音楽プレーヤなど)であることができる。そのような実施形態では、ワイヤレス充電マットは2つ以上の送電コイル配置を含むことができ、各送電コイル配置が、異なる電子デバイスの充電に対して最適化される。したがって、ワイヤレス充電マットは、有利なことに、2つ以上の異なるデバイスを同時に充電することができ、かつ/又は複数の異なるデバイスの充電時の効率を等しくすることができる。
【0227】
図32は、本開示の一部の実施形態に従って、2つ以上の送電コイル配置を含むワイヤレス充電マットの例3200の分解図を示している。ワイヤレス充電マット3200は、それぞれ
図23内の第1及び第2の外殻2302及び2304と同様に構築されてよい第1の外殻3202及び第2の外殻3204を含むことができる。第1及び第2の外殻3202及び3204は、結合して、内部コンポーネントを収容できる内部空洞を形成することができる。一部の実施形態では、内部空洞は、2つ以上の送電コイル配置を含むことができる。例えば、内部空洞は、第1の送電コイル配置3206及び第2の送電コイル配置3208という2つの送電コイル配置を含むことができる。ワイヤレス充電マット3200が、
図23内のワイヤレス充電マット2300に類似するその他の内部コンポーネントを更に含むことができるが、明瞭にするためにそれらの内部コンポーネントが示されていないということが、理解されるべきである。
【0228】
第1の送電コイル配置3206は、第1の受電コイル3214を含んでいる第1のデバイス3212を充電するように最適化されてよく、第2の送電コイル配置3208は、第1の受電コイルとは異なるサイズ及び形状(したがって、異なる電気的特性)を有する第2の受電コイル3218を含んでいる第2のデバイス3216を充電するように最適化されてよい。例えば、第1のデバイス3212は、第2のデバイス3216よりも大きいデバイスであることができ、第1の受電コイル3214は、第2の受電コイル3218よりも大きい受電コイルであることができる。各送電コイル配置3206及び3208は異なるデバイスを充電するように最適化され得るが、各送電コイル配置は、これらの送電コイル配置が充電するように最適化されていない他のデバイスも、低い効率で充電してよい。
図32が2つのデバイスのみを示していても、本明細書において説明された実施形態が、
図32に示されたデバイスとは異なるサイズ及び形状をそれぞれ有する3つ以上のデバイスを充電するように構成されてよいということが理解されるべきである。更に、各送電コイル配置が充電面全体にわたって電子デバイスを充電できるということが理解されるべきである。1つの送電コイル配置が充電面の一部の領域内でのみデバイスを充電できるということ、及びその他の送電コイル配置が充電面の別の一部の領域内でのみデバイスを充電できるということは、本実施形態に当てはまらない。
【0229】
一部の実施形態では、第1及び第2の送電コイル配置3206及び3208は、送電コイルのサイズが異なる電気デバイスに対して最適化された送電コイルで形成され得る。一例として、第1の送電コイル配置3206は、第1のサイズの送電コイルで形成されることが可能であり、一方、第2の送電コイル配置3208は、第2のサイズの送電コイルで形成される。第1のサイズは、第1の電子デバイス3212内の受電コイル3214のサイズに対応することができ、一方、第2のサイズは、第2の電子デバイス3216内の受電コイル3218のサイズに対応することができる。したがって、第1の送電コイル配置3206は、電流を第1のデバイス3212の受電コイル3214に誘導するときに特に効率的であってよいが、電流を第2のデバイス3216の受電コイル3218に誘導するときには効率が低くてよい。反対に、第2の送電コイル配置3208は、電流を第2のデバイス3216の受電コイル3218に誘導するときに特に効率的であってよく、電流を第1のデバイス3212の受電コイル3214に誘導するときには効率が低くてよい。各送電コイル配置が充電面全体にわたって電子デバイスを充電できるということが理解されるべきである。
【0230】
追加の実施形態では、第1及び第2の送電コイル配置3206及び3208は、各パターンが異なる電気デバイスに対して最適化された、異なるパターンで配置され得る。一例として、第1の送電コイル配置3206は、一列の送電コイルとして配置されることが可能であり、一方、第2の送電コイル配置3208は、本明細書において前述された
図8、10、19、及び22内の送電コイル配置800、1000、1900、及び2200のいずれかに従って配置される。したがって、第1の送電コイル配置3206は、電流を第1のデバイス3212の受電コイル3214に誘導するときに特に効率的であってよいが、電流を第2のデバイス3216の受電コイル3218に誘導するときには効率が低くてよく、その逆も同様である。
【0231】
本明細書において説明されたように、送電コイル配置は時変磁場を生成することができる。したがって、第1及び第2の送電コイル配置3206及び3208は、さまざまな周波数で動作して時変磁場を生成できる。一部の実施形態では、第1の送電コイル配置3206は第1の周波数で動作することができ、第2の送電コイル配置3208は第2の周波数で動作する。第1の送電コイル配置3206と第2の送電コイル配置3208が異なるパターンで配置される場合は、第1の周波数と第2の周波数は同じであっても、異なっていてもよい。しかし、第1の送電コイル配置3206と第2の送電コイル配置3208が同じパターンで配置される場合は、第1の周波数と第2の周波数は異なる。例えば、第1の送電コイル配置3206と第2の送電コイル配置3208の両方は、本明細書において前述された
図8、10、19、及び22内の送電コイル配置800、1000、1900、及び2200のいずれか、あるいは任意のその他の送電コイル配置に従って配置され得る。そのような場合、第1の送電コイル配置3206は、電流を第1のデバイス3212の受電コイル3214に誘導するときに特に効率的であるが、電流を第2のデバイス3216の受電コイル3218に誘導するときには効率が低い周波数で動作してよい。反対に、第2の送電コイル配置3208は、電流を第2のデバイス3216の受電コイル3218に誘導するときに特に効率的であるが、電流を第1のデバイス3212の受電コイル3214に誘導するときには効率が低い周波数で動作することができる。動作周波数における違いは、各受電コイルの特定の動作周波数によって決まってよい。一部の実施形態では、この違いは、数桁の範囲にわたることができる。一例として、第1の周波数は、第2の周波数よりも1〜2桁高くなることができる。特定の実施形態では、第1のデバイス3212はスマートウォッチであり、第2のデバイス3216はスマートフォンである。
【0232】
更に、一部の実施形態では、第1及び第2の送電コイル配置3206及び3208は、同じであるか、又は異なる送電コイルから形成され得る。つまり、第1の送電コイル配置3206は、ボビン付き又はボビンなしの撚線ワイヤのコイルを有する送電コイル(例えば、
図16、18、及び21内の送電コイル1600、1800、及び2100)から形成されることが可能であり、一方、第2の送電コイル配置3208はPCB内で形成されることが可能である。構造の各形態は、電力を各デバイスに効率的に誘導するように調整され得る。例えば、第2の送電コイル配置3208の撚線コイルの構造は、電流を第2のデバイス3216の受電コイル3218に誘導するときに特に効率的であるが、電流を第1のデバイス3212の受電コイル3214に誘導するときには効率が低くてよい。
【0233】
本発明は、特定の実施形態に関して説明されているが、本発明は、以下の特許請求の範囲内での、すべての修正形態及び均等物を包含することを意図するものであることが理解されるであろう。