(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929385
(24)【登録日】2021年8月12日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】ハイブリッドエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20210823BHJP
H02J 5/00 20160101ALI20210823BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
H02J1/00 301B
H02J5/00
H02J3/32
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-563426(P2019-563426)
(86)(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公表番号】特表2020-520226(P2020-520226A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】KR2017008589
(87)【国際公開番号】WO2018212404
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2019年11月15日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0062452
(32)【優先日】2017年5月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジ−ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジ−ホン
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−097258(JP,A)
【文献】
特表2017−508428(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/167802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00− 7/12
7/34− 7/36
H02M 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統及び前記系統に連携したDC(Direct Current)配電網の電力を管理するハイブリッドエネルギー貯蔵システムにおいて、
前記DC配電網に連結された第1のDC−DCコンバータ;
前記第1のDC−DCコンバータに連結され、前記第1のDC−DCコンバータによって充放電が制御されるスーパーキャパシタ;
前記DC配電網に連結された第2のDC−DCコンバータ;及び、
前記第2のDC−DCコンバータに連結され、前記第2のDC−DCコンバータによって充放電が制御されるバッテリを含むものの、
前記第1のDC−DCコンバータは、前記DC配電網に印加された系統電圧のノイズをフィルタリングした後、ダンピング電流を生成して、前記DC配電網を安定化させるDC配電網安定化制御器を含み、
前記第1のDC−DCコンバータ及び前記第2のDC−DCコンバータを制御する上位運用システムをさらに含むものの、
前記上位運用システムは、
前記第1のDC−DCコンバータに前記スーパーキャパシタの充放電に係る電力指令を提供し、
前記第2のDC−DCコンバータに前記バッテリの充放電に係る電力指令を提供し、
前記DC配電網は、負荷と分散電源システムを含み、
前記系統と前記DC配電網の間には、前記系統のAC電圧をDC電圧に変換して、前記DC配電網に伝達するAC−DCコンバータが配置され、
前記上位運用システムは、
前記分散電源システムの出力に対するスムージング(smoothing)制御を介してエネルギー貯蔵システム指令値を計算し、
前記計算されたエネルギー貯蔵システムの指令値をフィルタリングして、前記バッテリの充放電に係る電力指令値を算出し、
前記エネルギー貯蔵システム指令値と、前記バッテリの充放電に係る電力指令値との差に基づいて、前記スーパーキャパシタの充放電に係る電力指令値を計算する、
ハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記DC配電網安定化制御器は、
前記DC配電網に印加された前記系統電圧のノイズをフィルタリングするフィルターと、
前記系統電圧と前記ノイズがフィルタリングされた系統電圧間の電圧差に基づいて、前記ダンピング電流の関数として決定される等価ダンピング抵抗を生成する等価ダンピング抵抗部、とを含む、
請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記第1のDC−DCコンバータは、
前記系統を分離する際、前記DC配電網の電圧を制御するDC配電網電圧制御器と、
前記スーパーキャパシタの電圧を制御するスーパーキャパシタ電圧制御器と、
前記DC配電網安定化制御器から提供された電流指令に基づいて、第1のゲートパルスを生成する第1の電流制御器をさらに含む、
請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記第1のDC−DCコンバータは、
前記系統と前記DC配電網の連携有無を判別し、
前記系統と前記DC配電網の連携有無が判別されると、前記スーパーキャパシタの電圧が予め定めた電圧範囲内で維持されるか否かを判別し、
前記スーパーキャパシタの電圧が前記予め定めた電圧範囲の上限値又は下限値に到逹すると、前記スーパーキャパシタ電圧制御器を介して前記スーパーキャパシタの電圧制御を行って、電流指令を生成し、
前記生成された電流指令を前記DC配電網安定化制御器における生成された電流指令と合わせて最終電流指令を生成し、
前記最終電流指令に基づいて、前記第1の電流制御器を介して前記第1のゲートパルスを生成する、
請求項3に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記第1のDC−DCコンバータは、
前記系統と前記DC配電網が連携した場合、前記上位運用システムから前記スーパーキャパシタの充放電に係る電力指令を提供され、
前記系統と前記DC配電網が分離された場合、前記DC配電網電圧制御器を介してDC配電網電圧制御モードを開始する、
請求項4に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記第1のDC−DCコンバータは、
前記第1の電流制御器から前記第1のゲートパルスを提供される第1のゲートドライバと、
前記第1のゲートドライバにより制御される第1の半導体素子をさらに含む、
請求項3に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記第2のDC−DCコンバータは、
前記上位運用システムから前記バッテリの充放電に係る電力指令を提供されて、前記バッテリの電圧を制御するバッテリ電圧制御器と、
前記バッテリ電圧制御器から提供された電流指令に基づいて、第2のゲートパルスを生成する第2の電流制御器と、
前記第2の電流制御器から前記第2のゲートパルスを提供される第2のゲートドライバと、
前記第2のゲートドライバにより制御される第2の半導体素子を含む、
請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記第2のDC−DCコンバータは、
前記バッテリのSOC(State of Charge)が予め定めた安定範囲内で維持されるか否かを判別し、
前記バッテリのSOCが前記予め定めた安定範囲を外れると、前記バッテリ電圧制御器を介して前記バッテリのSOCを補償するための修正要求値を前記上位運用システムに伝達する、
請求項7に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記バッテリは、鉛蓄電池を含む、
請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、浮かび上がっているDC配電システムは、デジタル負荷に直接にDC(Direct Current)電力を供給することができるため、変換損失を顕著に低減することができ、新再生エネルギー源から直接に電力を供給されて使用することができるところ、経済的効果も大きいという長所がある。
【0003】
かかるDC配電システムの電力を管理するために、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System)が使用されている。
【0004】
エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System)は、生産した電力を発電所、変電所及び送電線等を含む各々の連携システムに貯蔵した後、電力を要する時期に選択的、かつ効率的に使用してエネルギー効率を高めるシステムである。
【0005】
エネルギー貯蔵システムは、時間帯及び季節別の変動の大きい電気負荷を平準化して、全般的な負荷率を向上させる場合、発電単価を低くすることができ、電力設備の増設に要する投資費と運転費等を節減することができて、電気料を引き下げてエネルギーを節約することができる。
【0006】
かかるエネルギー貯蔵システムは、電力系統における発電、送配電、需用家に設置されて利用されており、周波数調整(Frequency Regulation)、新再生エネルギーを利用した発電機の出力安定化、尖頭負荷の低減(Peak Shaving)、負荷平準化(Load Leveling)、非常電源等の機能として使用されている。
【0007】
また、エネルギー貯蔵システムは、貯蔵方式によって大きく物理的エネルギー貯蔵と化学的エネルギー貯蔵とに区分される。物理的エネルギー貯蔵としては、揚水発電、圧縮空気貯蔵、弾み車等を利用した方法があり、化学的エネルギー貯蔵としては、リチウムイオンバッテリ、鉛蓄電池、Nas電池等を利用した方法がある。
【0008】
具体的には、
図1には、従来のエネルギー貯蔵システムが示されている。
【0009】
図1は、従来のエネルギー貯蔵システムを説明する概略図である。
【0010】
図1を参照すれば、従来のエネルギー貯蔵システム1は、バッテリ100を用いており、バッテリ100は、DC−DCコンバータ110によってDC配電網(30;すなわち、DC系統)に設置され、バッテリ100の電力は、連携したDC−DCコンバータ110によって制御される。
【0011】
参考に、系統10とDC配電網30の間には、系統10のAC(Alternating Current;交流)電圧をDC(Direct Current;直流)電圧に変換してDC配電網30に伝達するAC−DCコンバータ20が配置され、DC配電網30は、負荷36と分散電源システム33を含んでいてもよい。
【0012】
もちろん、AC−DCコンバータ20は、DC配電網30のDC電圧をAC電圧に変換して系統10に伝達することもできる。また、DC−DCコンバータ110は、バッテリ100のDC電圧をDC電圧に変換してDC配電網30に伝達するか、DC配電網30のDC電圧をDC電圧に変換してバッテリ100に伝達することができる。
【0013】
ここで、負荷36と分散電源システム33は、複数存在し得る。
【0014】
従来のエネルギー貯蔵システム1は、分散電源システム33と連携して電力を運用する上位運用システム60(例えば、EMS(Energy Management System)を含むところ、上位運用システム60は、分散電源システム33の出力(DG output)の安定化のためファジィ論理方式又はフィルタリング方式を使用する。
【0015】
具体的には、上位運用システム60は、分散電源システム33の出力(DG output)の安定化のためスムージング制御を用いてエネルギー貯蔵システム指令(Pess ref.)を生成し、分散電源システム33の出力(DG output)をリアルタイムでフィルタリングして、分散電源システム33から系統10へ流入する電力の変化をDC成分で測定し、測定した電力の変化を介してバッテリ100の充放電を制御する。
【0016】
ただし、従来のエネルギー貯蔵システム1では、バッテリ100として高いリチウム系列のバッテリを使用しなければならないし、DC配電網30に対する電力管理と電力品質補償を同時に行うことができないという問題がある。
【0017】
これにより、最近、DC(Direct Current)配電システムを運用するにおいて発生し得る電力品質の問題を分析し、該問題を解決するためハイブリッドエネルギー貯蔵システムに対する開発が活発に行われている。
【0018】
図2には、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの一例が示されている。
【0019】
図2は、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの一例を説明する概略図である。
【0020】
図2を参照すれば、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの一例2は、バッテリ100が直接にDC配電網30に連結され、スーパーキャパシタ70は、DC−DCコンバータ80を介してDC配電網30に連結される構造を有している。
【0021】
ただし、
図2のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの一例2では、バッテリ100の電力管理が直接に行われないし、分散電源システム33の電力、系統10から供給される電力、スーパーキャパシタ70の充放電電力の和によって自動でバッテリ100の電力が決定されるようになる。
【0022】
すなわち、バッテリ100を直接にDC配電網30に連携し、スーパーキャパシタ70をDC−DCコンバータ80を介してDC配電網30に連携する場合、上位運用システム60は、分散電源システム33の出力(DG output)に対してスムージング制御を行って、エネルギー貯蔵システム指令値を計算し、エネルギー貯蔵システム指令をフィルタリングして系統電力指令(Pgrid ref.)を生成する。
【0023】
また、上位運用システム60は、生成された系統電力指令(Pgrid ref.)をDC配電網30の電圧制御を行うAC−DCコンバータ20に伝達し、エネルギー貯蔵システム指令と系統電力指令(Pgrid ref.)の差に基づいて、スーパーキャパシタの電圧を制御するためのスーパーキャパシタ電力指令(Psc ref.)を生成してDC−DCコンバータ80に伝達する。
【0024】
ここで、スーパーキャパシタ電力指令(Psc ref.)は、エネルギー貯蔵システム指令と系統電力指令(Pgrid ref.)の差だけの非常に小さな電力成分を制御するための指令である。
【0025】
結果的に、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの一例2は、DC−DCコンバータ80を1つのみ使用するという長所があるが、DC配電網30の電圧がバッテリ100を保護するために一定範囲内で必ず制御されなければならないし、DC配電網30の定格電圧が高い場合、バッテリ100の電圧も高くなければならないため、費用に負担があるという短所がある。
【0026】
次いで、
図3及び
図4には、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例が示されている。
【0027】
図3及び
図4は、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例を説明する概略図である。
【0028】
図3及び
図4を参照すれば、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例3は、スーパーキャパシタ70とバッテリ100をそれぞれDC−DCコンバータ80、110を介してDC配電網30に連結する構造を有している。
【0029】
参考に、この構造では、スーパーキャパシタ70とバッテリ100の電力が互いに独立して第1のDC−DCコンバータ80及び第2のDC−DCコンバータ110によって制御されてもよく、上位運用システム60により各電力指令(Psc ref.、Pbatt ref.)が制御されてもよいという長所がある。また、バッテリ100のSOC(State of Charge)及びスーパーキャパシタ70のSOCが個別に管理されてもよく、バッテリ100とスーパーキャパシタ70が互いに異なる電圧レベルを有し得るところ、所望の容量と電圧で連携構成が可能であるという長所もある。
【0030】
また、上位運用システム60は、分散電源システム33の出力(DG output)に対してスムージング制御を行って、エネルギー貯蔵システム指令値を計算し、エネルギー貯蔵システム指令をフィルタリングして、バッテリ電力指令(Pbatt ref.)を生成する。
【0031】
また、上位運用システムは、エネルギー貯蔵システム指令とバッテリ電力指令(Pbatt ref.)の差に基づいて、スーパーキャパシタの電圧を制御するためのスーパーキャパシタ電力指令(Psc ref.)を生成する。
【0032】
ここで、スーパーキャパシタ電力指令(Psc ref.)は、エネルギー貯蔵システム指令とバッテリ電力指令(Pbatt ref.)の差だけの非常に小さな電力成分を制御するための指令である。
【0033】
従って、DC配電網30の電力変化において、急激かつ小さな電力の変化は、スーパーキャパシタ70が担い、長期間の膨大な電力の変化は、バッテリ100で管理することになる。
【0034】
結果的に、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例3は、DC配電網30の電力管理のみ行えるだけであり、DC配電網30の電力品質補償は、行えないという短所がある。
【0035】
参考に、前述したように、DC配電網30には、複数の分散電源システム及び負荷を含んでいてもよいところ、DC配電網30内のコンバータ(すなわち、電力変換器)で発生するスイッチング高調波成分によりDC配電網30の電圧(すなわち、DC系統電圧)が非線形的特性を有するようになり得る。
【0036】
具体的には、
図5を参照すれば、この際の等価回路及び流入する高調波成分によりDC配電網の電圧(Vc)が200%近く変動を表し得ることが分かる。
【0037】
このような大幅の電圧変動は、DC配電網30に連携する機器の制御性能を低減し、寿命を短縮し得るという問題がある。
【0038】
もちろん、従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムにおいても、DC配電網の線路の長さが長くなり、容量が増加するほど、線路に抵抗を追加するか、コンバータの出力キャパシタ値を増加させることで、系統のダンピング(damping)を増加させることができるが、これは、抵抗の発熱問題及びキャパシタの費用問題により現実的に不可能であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
本発明は、DC配電網の電力を管理すると共に、電力品質も安定化させるハイブリッドエネルギー貯蔵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0040】
上記目的を達成するために本発明のハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、系統及び系統に連携したDC(Direct Current)配電網の電力を管理するハイブリッドエネルギー貯蔵システムにおいて、DC配電網に連結された第1のDC−DCコンバータ、第1のDC−DCコンバータに連結され、第1のDC−DCコンバータによって充放電が制御されるスーパーキャパシタ、DC配電網に連結された第2のDC−DCコンバータ、及び第2のDC−DCコンバータに連結され、第2のDC−DCコンバータによって充放電が制御されるバッテリ、とを含むものの、第1のDC−DCコンバータは、DC配電網に印加された系統電圧のノイズをフィルタリングした後、ダンピング電流を生成して、DC配電網を安定化するDC配電網安定化制御器を含む。
【0041】
前記DC配電網安定化制御器は、DC配電網に印加された系統電圧のノイズをフィルタリングするフィルターと、系統電圧とノイズがフィルタリングされた系統電圧間の電圧差及びダンピング電流に基づいて、等価ダンピング抵抗を生成する等価ダンピング抵抗部、とを含む。
【0042】
前記第1のDC−DCコンバータ及び第2のDC−DCコンバータを制御する上位運用システムをさらに含むものの、上位運用システムは、第1のDC−DCコンバータにスーパーキャパシタの充放電に係る電力指令を提供し、第2のDC−DCコンバータにバッテリの充放電に係る電力指令を提供する。
【0043】
前記DC配電網は、負荷と分散電源システムを含み、系統とDC配電網の間には、系統のAC電圧をDC電圧に変換してDC配電網に伝達するAC−DCコンバータが配置される。
【0044】
前記上位運用システムは、分散電源システムの出力に対するスムージング(smoothing)制御を介してエネルギー貯蔵システム指令値を計算し、計算されたエネルギー貯蔵システムの指令値をフィルタリングして、バッテリの充放電に係る電力指令値を算出し、エネルギー貯蔵システム指令値とバッテリの充放電に係る電力指令値との差に基づいて、スーパーキャパシタの充放電に係る電力指令値を計算する。
【0045】
前記第1のDC−DCコンバータは、系統を分離する際、DC配電網の電圧を制御するDC配電網電圧制御器と、スーパーキャパシタの電圧を制御するスーパーキャパシタ電圧制御器と、DC配電網安定化制御器から提供された電流指令に基づいて、第1のゲートパルスを生成する第1の電流制御器をさらに含む。
【0046】
前記第1のDC−DCコンバータは、系統とDC配電網の連携有無を判別し、系統とDC配電網の連携有無が判別されると、スーパーキャパシタの電圧が予め定めた電圧範囲内で維持されるか否かを判別し、スーパーキャパシタの電圧が予め定めた電圧範囲の上限値又は下限値に到逹すると、スーパーキャパシタ電圧制御器を介してスーパーキャパシタの電圧制御を行って、電流指令を生成し、生成された電流指令をDC配電網安定化制御器における生成された電流指令と合わせて、最終電流指令を生成し、最終電流指令に基づいて、第1の電流制御器を介して第1のゲートパルスを生成する。
【0047】
前記第1のDC−DCコンバータは、系統とDC配電網が連携した場合、上位運用システムからスーパーキャパシタの充放電に係る電力指令を提供され、系統とDC配電網が分離された場合、DC配電網電圧制御器を介してDC配電網電圧制御モードを開始する。
【0048】
前記第1のDC−DCコンバータは、第1の電流制御器から第1のゲートパルスを提供される第1のゲートドライバと、第1のゲートドライバにより制御される第1の半導体素子をさらに含む。
【0049】
前記第2のDC−DCコンバータは、上位運用システムからバッテリの充放電に係る電力指令を提供されて、バッテリの電圧を制御するバッテリ電圧制御器と、バッテリ電圧制御器から提供された電流指令に基づいて、第2のゲートパルスを生成する第2の電流制御器と、第2の電流制御器から第2のゲートパルスを提供される第2のゲートドライバと、第2のゲートドライバにより制御される第2の半導体素子、とを含む。
【0050】
前記第2のDC−DCコンバータは、バッテリのSOC(State of Charge)が予め定めた安定範囲内で維持されるか否かを判別し、バッテリのSOCが予め定めた安定範囲を外れると、バッテリ電圧制御器を介してバッテリのSOCを補償するための修正要求値を上位運用システムに伝達する。
【0051】
前記バッテリは、鉛蓄電池を含む。
【発明の効果】
【0052】
前述したように、本発明によれば、安い鉛蓄電池とスーパーキャパシタを用いて高いリチウム系列のバッテリを取り替えると共に、DC配電網の電力品質の問題を解決することにより、電圧安定度を改善できるだけでなく、効率的なエネルギー管理も可能である長所がある。
【0053】
上述した効果とともに本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための具体的な事項を説明しながら共に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】従来のエネルギー貯蔵システムを説明する概略図。
【
図2】従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの一例を説明する概略図。
【
図3】従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例を説明する概略図。
【
図4】従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例を説明する概略図。
【
図5】従来のDC配電網の電圧及び電流の変動を説明するグラフ。
【
図6】本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの第1のDC−DCコンバータの制御流れを説明する図面。
【
図7】
図6のDC配電網安定化制御器の制御流れを説明する図面。
【
図8】
図6の第1の電流制御器の制御流れを説明する図面。
【
図9】本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムにより制御されたDC配電網の電圧及び電流の変動を説明するグラフ。
【
図10】本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの第2のDC−DCコンバータの制御流れを説明する図面。
【発明を実施するための形態】
【0055】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにおいて、本発明に係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して本発明による好ましい実施形態を詳説する。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すことに使われる。
【0056】
以下では、
図6〜
図10を参照して、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムを説明する。
【0057】
図6は、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの第1のDC−DCコンバータの制御流れを説明する図面である。
図7は、
図6のDC配電網安定化制御器の制御流れを説明する図面である。
図8は、
図6の第1の電流制御器の制御流れを説明する図面である。
図9は、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムにより制御されたDC配電網の電圧及び電流の変動を説明するグラフである。
図10は、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの第2のDC−DCコンバータの制御流れを説明する図面である。
【0058】
参考に、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、
図3に示した従来のハイブリッドエネルギー貯蔵システムの他の例3と同じ構造からなっている。
【0059】
すなわち、
図3に示したように、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、DC配電網30に連結された第1のDC−DCコンバータ80、第1のDC−DCコンバータ80に連結され、第1のDC−DCコンバータ80によって充放電が制御されるスーパーキャパシタ70、DC配電網30に連結された第2のDC−DCコンバータ110、第2のDC−DCコンバータ110に連結され、第2のDC−DCコンバータ110によって充放電が制御されるバッテリ100、第1のDC−DCコンバータ80、及び第2のDC−DCコンバータ110を制御する上位運用システム60、とを含んでいてもよい。
【0060】
ここで、バッテリ100は、例えば、鉛蓄電池を含んでいてもよい。
【0061】
また、
図4に示したように、通常、上位運用システム60は、分散電源システム33の出力に対するスムージング(smoothing)制御を介してエネルギー貯蔵システム指令(Pess ref.)値(すなわち、エネルギー貯蔵システム指令値)を計算し、計算されたエネルギー貯蔵システム指令値をフィルタリングして、バッテリ電力指令(Pbatt ref.)値(すなわち、バッテリ100の充放電に係る電力指令値)を算出し、エネルギー貯蔵システム指令値と、バッテリ100の充放電に係る電力指令値との差に基づいて、スーパーキャパシタ指令(Psc ref.)値(すなわち、スーパーキャパシタ70の充放電に係る電力指令値)を計算することができる。
【0062】
また、上位運用システム60は、第1のDC−DCコンバータ80にスーパーキャパシタ70の充放電に係る電力指令(すなわち、スーパーキャパシタ電力指令(Psc ref.))を提供し、第2のDC−DCコンバータ110には、バッテリ100の充放電に係る電力指令(すなわち、バッテリ電力指令(Pbatt ref.))を提供することができる。
【0063】
参考に、上位運用システム60は、分散電源システム33と連携して電力を運用することができ、例えば、EMS(Energy Management System)を含んでいてもよい。
【0064】
ただし、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、
図3と違って、第1のDC−DCコンバータ80にノイズフィルタリング技法及び等価ポジティブ抵抗成分を生成し、系統10のダンピングを増加させることを目的とする安定化技法がさらに適用される点で相違するところ、相違点を中心に説明する。
【0065】
図3及び
図6〜
図8を参照すれば、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの第1のDC−DCコンバータ80は、DC配電網電圧制御器83、スーパーキャパシタ電圧制御器86、DC配電網安定化制御器90、第1の電流制御器95、第1のゲートドライバ97、第1の半導体素子98、とを含んでいてもよい。
【0066】
具体的には、DC配電網電圧制御器83は、系統10を分離(例えば、系統10の事故又は停電)する際、DC配電網30の電圧を制御することができ、スーパーキャパシタ電圧制御器86は、スーパーキャパシタ70の電圧を制御することができる。
【0067】
また、DC配電網安定化制御器90は、DC配電網30に印加された系統電圧のノイズをフィルタリングした後、ダンピング電流を生成して、DC配電網30を安定化させることができ、第1の電流制御器95は、DC配電網安定化制御器90から提供された電流指令に基づいて、第1のゲートパルス(S)を生成することができる。
【0068】
また、第1のゲートドライバ97は、第1の電流制御器95から第1のゲートパルス(S)を提供されて、第1の半導体素子98を制御することができる。すなわち、第1の半導体素子98は、第1のゲートドライバ97により制御されてもよい。
【0069】
参考に、第1の半導体素子98は、例えば、IGBT(insulated gate bipolar mode transistor)を含んでいてもよいが、これに限定されるものではない。
【0070】
かかる構成を含む第1のDC−DCコンバータ80は、次のような制御流れを有し得る。
【0071】
具体的には、第1のDC−DCコンバータ80は、先に系統10とDC配電網30の連携有無を判別することができる。
【0072】
すなわち、系統連携モード(Grid−tied Mode;すなわち、系統10がDC配電網30と連携)の際には、基本的に、上位運用システム60からスーパーキャパシタ70の充放電に係る電力指令(Psc ref.)を提供され、系統分離モード(Islanded Mode;すなわち、系統10がDC配電網30と分離)の際には、DC配電網電圧制御器83を介してDC配電網電圧制御モードを開始することができる。
【0073】
すなわち、DC配電網電圧制御器83は、DC配電網電圧指令(Vdc ref.)に基づいて、DC配電網電圧制御モードを開始することができる。
【0074】
系統10とDC配電網30の連携有無が判別されると、第1のDC−DCコンバータ80は、スーパーキャパシタ70の電圧が予め定めた電圧範囲内で維持されるか否かを判別することができる。
【0075】
具体的には、スーパーキャパシタ70の電圧が予め定めた電圧範囲の上限値(Vhigh)又は下限値(Vlow)に到逹すると、第1のDC−DCコンバータ80は、スーパーキャパシタ電圧制御器86を介してスーパーキャパシタ70の電圧制御を行って、電流指令(Isc_ref1;第1のスーパーキャパシタ電流指令)を生成することができる。
【0076】
すなわち、スーパーキャパシタ電圧制御器86は、スーパーキャパシタ電圧指令(Vsc ref.)に基づいて、スーパーキャパシタ70の電圧制御を行うことができる。
【0077】
スーパーキャパシタ電圧制御器86のスーパーキャパシタ70に対する電圧を制御した後、現在のスーパーキャパシタ70の電圧(Vsc)が入力される素子87を経て生成された第1のスーパーキャパシタ電流指令(Isc_ref1)と、DC配電網安定化制御器90における生成された電流指令(Isc_ref2;第2のスーパーキャパシタ電流指令)が合算されて、最終電流指令(Isc_ref3;第3のスーパーキャパシタ電流指令)を生成することができる。
【0078】
ここで、素子87は、例えば、割り算、すなわち、割る機能を有する素子であってもよい。
【0079】
生成された第3のスーパーキャパシタ電流指令(Isc_ref3)は、第1の電流制御器95へ提供され、第1の電流制御器95は、第3のスーパーキャパシタ電流指令(Isc_ref3)に基づいて、第1のゲートパルス(S)を生成して、第1のゲートドライバ97に提供することができる。
【0080】
第1のゲートドライバ97は、提供された第1のゲートパルス(S)に基づいて、第1の半導体素子98を制御することができる。
【0081】
ここで、
図7を参照すれば、DC配電網安定化制御器90は、DC配電網30に印加された系統電圧(Vend)のノイズをフィルタリングするフィルター91と、系統電圧(Vend)とノイズがフィルタリングされた系統電圧間の電圧差(Vend_lpf)及びダンピング電流に基づいて、等価ダンピング抵抗(Rdamp)を生成する等価ダンピング抵抗部92、とを含むことが分かる。
【0082】
すなわち、DC配電網安定化制御器90は、フィルター91(例えば、低域通過フィルター)を介してDC配電網30に印加された系統電圧(Vend;すなわち、DC配電網30の末端電圧)のノイズをフィルタリングすることができる。
【0083】
また、DC配電網安定化制御器90は、系統電圧(Vend)とノイズがフィルタリングされた系統電圧間の電圧差(Vend_lpf)を計算した後、等価ダンピング抵抗部92を介して生成されたダンピング電流及び前記電圧差(Vend_lpf)に基づいて、等価ダンピング抵抗(Rdamp)を生成することで、第2のスーパーキャパシタ電流指令(Isc_ref2)を生成することができる。
【0084】
次いで、
図8を参照すれば、第1の電流制御器95は、PI制御器95a、素子95b、リミッター95c、スイッチングキャリア95d、比較器95e、とを含んでいてもよい。
【0085】
すなわち、第3のスーパーキャパシタ電流指令(Isc_ref3)とスーパーキャパシタ電流(Isc)との差がPI制御器95aに入力として提供され、PI制御器95aの出力とスーパーキャパシタ電圧(Vsc)の和及びDC配電網30の末端電圧(Vend)が素子95bに提供され、素子95bの出力がリミッター95cに提供され、リミッター95cの出力とスイッチングキャリア95dの出力が比較器95eに入力として提供されると、比較器95eにおけるゲートパルス(S;Sp、Sn(Spの反転信号))を生成することができる。
【0086】
結果的に、前述した構造及び制御方法を介して第1のDC−DCコンバータ80は、
図9に示したように、DC配電網30の末端電圧(Vend)の変動を10%以内に低減することができる。
【0087】
すなわち、第1のDC−DCコンバータ80がDC配電網30の電圧変動を10%未満に維持させることで、DC配電網30に複数の機器が連携し、線路が長くなるとしても、電圧の変動を低減させることが分かる。
【0088】
図3及び
図10を参照すれば、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの第2のDC−DCコンバータ110は、バッテリ電圧制御器115、第2の電流制御器118、第2のゲートドライバ119、第2の半導体素子120、とを含んでいてもよい。
【0089】
具体的には、バッテリ電圧制御器115は、上位運用システム60からバッテリ100の充放電に係る電力指令(Pbatt ref.)を提供されて、バッテリ100の電圧を制御することができ、第2の電流制御器118は、バッテリ電圧制御器115から提供された電流指令(Ibatt_ref)に基づいて、第2のゲートパルス(S’)を生成することができる。
【0090】
また、第2のゲートドライバ119は、第2の電流制御器118から第2のゲートパルス(S’)を提供されて、第2の半導体素子120を制御することができる。すなわち、第2の半導体素子120は、第2のゲートドライバ119により制御されてもよい。
【0091】
参考に、第2の半導体素子120は、例えば、IGBT(insulated gate bipolar mode transistor)を含んでいてもよいが、これに限定されるものではない。
【0092】
かかる構成を含む第2のDC−DCコンバータ110は、次のような制御流れを有し得る。
【0093】
具体的には、第2のDC−DCコンバータ110は、先にバッテリ100のSOC(State of Charge)が予め定めた安定範囲内で維持されるか否かを判別することができる。
【0094】
すなわち、第2のDC−DCコンバータ110は、基本的に、系統連携モード(Grid−tied Mode)及び系統分離モード(Islanded Mode)両方における上位運用システム60からバッテリ電力指令(Pbatt ref.)を提供されて、バッテリ100のSOCが予め定めた安定範囲内にあるとき、上位運用システム60から提供されたバッテリ電力指令(Pbatt ref.)に基づいて、バッテリ100の充放電を制御することができる。
【0095】
ただし、バッテリ100のSOCが予め定めた安定範囲を外れると(SOC Limit)、バッテリ電圧制御器115を介してバッテリ100のSOCを補償するための修正要求値(Adj ref.)を上位運用システム60に伝達することができる。
【0096】
また、バッテリ電圧制御器115から提供されたバッテリ電力指令(Pbatt ref.)及び現在のバッテリ100の電圧(Vbatt)が素子(117)に入力されると、バッテリ電流指令(Ibatt_ref.)を生成することができる。
【0097】
ここで、素子117は例えば、割り算、すなわち、割る機能を有する素子であってもよい。
【0098】
生成されたバッテリ電流指令(Ibatt_ref.)は、第2の電流制御器118に提供され、第2の電流制御器118は、バッテリ電流指令(Ibatt_ref.)に基づいて、第2のゲートパルス(S’)を生成して、第2のゲートドライバ119に提供することができる。
【0099】
第2のゲートドライバ119は、提供された第2のゲートパルス(S’)に基づいて、第2の半導体素子120を制御することができる。
【0100】
前述したように、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、安い鉛蓄電池(すなわち、バッテリ100)とスーパーキャパシタ70を用いて高いリチウム系列のバッテリを取り替えると共に、DC配電網30の電力品質の問題を解決することにより、電圧安定度を改善するだけでなく、効率的なエネルギー管理も可能である長所がある。
【0101】
前述した本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるため、前述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではない。