(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、下記成分(E)、及び下記成分(F)を含有し、前記成分(F)を除く化粧料の総量に対する、前記成分(A)の含有割合が2.0〜10.0質量%、前記成分(B)の含有割合が2.0〜10.0質量%、下記成分(C)の含有割合が0.05〜1.4質量%である化粧料。
成分(A):数平均分子量が5万〜30万のデキストラン
成分(B):数平均分子量が4000〜3万のポリエチレングリコール
成分(C):電解質
成分(D):イオン性界面活性剤
成分(E):水
成分(F):油性成分
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化粧料は、数平均分子量が5万〜30万のデキストラン、数平均分子量が4000〜3万のポリエチレングリコール、電解質、イオン性界面活性剤、水、及び油性成分を少なくとも含む。なお、本明細書において、数平均分子量が5万〜30万のデキストランを「成分(A)」、数平均分子量が4000〜3万のポリエチレングリコールを「成分(B)」、電解質を「成分(C)」、イオン性界面活性剤を「成分(D)」、水を「成分(E)」、油性成分を「成分(F)」とそれぞれ称する場合がある。
【0013】
本発明の化粧料は、さらに、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及び数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールからなる群より選択される1以上の多価アルコールを含むことが好ましい。なお、本明細書において、上記「ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及び数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールからなる群より選択される1以上の多価アルコール」を「成分(G)」と称する場合がある。
【0014】
すなわち、本発明の化粧料は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、及び成分(F)を少なくとも含む。本発明の化粧料は、さらに成分(G)を含むことが好ましい。本発明の化粧料は、上記成分(A)〜(G)以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の化粧料に含まれる各成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、成分(G)、及び他の成分などの各成分は、それぞれ、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0015】
本発明の化粧料は、容器に入れて一定時間静置することで、外観が、水層二層と油層を含む多層式(例えば、水層二層と油層一層の三層式)となる。より詳細には、例えば
図1に示すように、本発明の化粧料Xは、容器4内では、上から、油層1/水層2/水層3の順に層を有する三層式の化粧料となっている。例えば、水層2は数平均分子量が4000〜3万のポリエチレングリコールを含む水層であり、水層3は数平均分子量が5万〜30万のデキストランを含む水層である。
【0016】
本発明の化粧料は、油層/水層/水層の三層式である場合、容器内で撹拌した際は、エマルションになるため、化粧料として使用可能となる。なお、このような構造の三層式であることにより、界面活性剤層を有する皮膚化粧料とは異なり、塗布時のべたつき、ぬるつき、皮膚への刺激を抑制することができる。また、油層を二層有する三層式の化粧料は、油性成分の配合量が比較的多量となるため、油膜感が生じるという問題があるが、本発明の化粧料はこのような問題も抑制することができる。さらに、本発明の化粧料は、エマルション化後は、使用後の三層への再分離性に優れ、一定時間静置することで各層の界面が表れ、再び三層式の外観となる。
【0017】
[成分(A)]
成分(A)は、数平均分子量が5万〜30万のデキストランである。成分(A)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0018】
成分(A)の数平均分子量は、5万〜30万であり、好ましくは5万〜22万である。上記数平均分子量が5万以上であることにより、成分(B)に対する排除体積効果が高くなり、二層の水層を形成することができる。上記数平均分子量が30万以下であることにより、化粧料を皮膚に塗布した際のべたつきを抑制することができ、化粧料としての使用性に優れる。
【0019】
なお、本明細書において、数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0020】
成分(A)としては、市販品を用いることができる。成分(A)の市販品としては、例えば、商品名「高分子デキストランEH」、商品名「デキストラン70」(以上、名糖産業株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
本発明の化粧料中の成分(A)の含有割合は、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量(すなわち、成分(F)以外の各成分の総量)100質量%に対して、2.0〜10.0質量%であり、好ましくは2.5〜8.0質量%、より好ましくは3.0〜5.0質量%である。上記含有割合が2.0質量%以上であることにより、二層の水層を安定的に形成することができる。上記含有割合が10.0質量%以下であることにより、化粧料を皮膚に塗布した際のべたつきを抑制することができ、化粧料としての使用性に優れる。上記成分(A)の含有割合は、本発明の化粧料中の全ての成分(A)の含有割合の合計である。
【0022】
[成分(B)]
成分(B)は、数平均分子量が4000〜3万のポリエチレングリコールである。成分(B)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0023】
成分(B)の数平均分子量は、4000〜3万であり、好ましくは6000〜25000、より好ましくは1万〜2万である。上記数平均分子量が4000以上であることにより、成分(A)に対する排除体積効果が高くなり、二層の水層を形成することができる。上記数平均分子量が3万以下であることにより、化粧料を皮膚に塗布した際のべたつきを抑制することができ、化粧料としての使用性に優れる。
【0024】
成分(B)としては、市販品を用いることができる。成分(B)の市販品としては、例えば、商品名「PEG#20000」、商品名「PEG#11000」、商品名「PEG#6000」(以上、日油株式会社製)、商品名「ブラウノン PEG−20000S」(青木油脂工業株式会社製)などが挙げられる。
【0025】
本発明の化粧料中の成分(B)の含有割合は、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量100質量%に対して、2.0〜10.0質量%であり、好ましくは2.0〜8.0質量%、より好ましくは2.0〜5.0質量%である。上記含有割合が2.0質量%以上であることにより、二層の水層を安定的に形成することができる。上記含有割合が10.0質量%以下であることにより、化粧料を皮膚に塗布した際のべたつきを抑制することができ、化粧料としての使用性に優れる。上記成分(B)の含有割合は、本発明の化粧料中の全ての成分(B)の含有割合の合計である。
【0026】
本発明の化粧料は、成分(A)及び成分(B)をそれぞれ上記の含有割合で含有することにより、成分(A)と成分(B)の排除体積効果により、成分(A)を含む水層と成分(B)を含む水層に分離することができる。
【0027】
[成分(C)]
成分(C)は、電解質である。本発明の化粧料は、成分(C)を含むことにより、撹拌によりエマルションが形成された後、一定時間静置した際の、エマルションの油性成分の浮上(クリーミング)を促進し、クリーミングとエマルションの合一化の速度を調節することができ、多層式に戻る際の審美性に優れる。成分(C)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0028】
成分(C)としては、特に限定されないが、例えば、金属塩(例えば、一価の金属塩、二価以上の多価金属塩等)などが挙げられる。上記金属塩は、無機塩であってもよいし、有機塩であってもよい。上記金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。成分(C)としては、具体的には、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ミョウバン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム(クエン酸三ナトリウム)、エデト酸二ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムなどが挙げられる。また、塩化ベンザルコニウム、クロルヒドロキシアルミニウムも挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料中の成分(C)の含有割合は、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量100質量%に対して、0.05〜1.4質量%であり、好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であることにより、化粧料のエマルション化後、各層が分離するまでの時間を短縮することができる。また、クリーミングを促進することができ、エマルションの合一化速度とクリーミング速度のバランスが適度となり、適度のクリーミング後に合一化が起こるため、合一化して生成した油性成分の容器壁面への付着を抑制でき、多層式に戻る際の審美性に優れる。上記含有割合が1.4質量%以下であることにより、クリーミング速度が適度に遅くなるため、各層が分離するまでの時間が短くなりすぎず、化粧料の使用性が向上する。上記成分(C)の含有割合は、本発明の化粧料中の全ての成分(C)の含有割合の合計である。
【0030】
[成分(D)]
成分(D)は、イオン性界面活性剤である。成分(D)としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。成分(D)は、エマルションの合一化を促進することができる。本発明の化粧料は、成分(D)は油水界面に配向して、界面の膜強度を弱くすると推測され、エマルションの合一化速度を向上させることができる。成分(D)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0031】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N−アシルサルコシン及びその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩などが挙げられる。
【0032】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸系カチオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有第3級アミン塩などのアミン塩、モノアルキル型第4級アンモニウム塩、ジアルキル型第4級アンモニウム塩、トリアルキル型第4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型第4級アンモニウム塩などのアルキル第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などの環式第4級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。中でも、比較的嵩高い構造を有するカチオン性界面活性剤が好ましく、例えば、塩化ベンザルコニウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩などが好ましい。
【0033】
両性界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩などのグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩などのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0034】
成分(D)としては、塩化ベンザルコニウム及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩が好ましく、特に好ましくはN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩である。
【0035】
本発明の化粧料中の成分(D)の含有割合は、特に限定されないが、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量100質量%に対して、0.005〜0.1質量%が好ましく、より好ましくは0.008〜0.05質量%、さらに好ましくは0.01〜0.05質量%である。上記含有割合が0.005質量%以上であると、エマルションの合一化をより促進することができ、化粧料を撹拌によりエマルション化した後、各層が分離するまでの時間を短縮することができる。上記含有割合が0.1質量%以下であると、エマルションの合一化速度が速くなりすぎることを防ぎ、化粧料を撹拌によりエマルション化した後、エマルション状態をある程度の間維持することとができる。このため、化粧料の使用性が向上する。そして、上記範囲内であることで、化粧料のエマルション状態からのエマルションの合一化速度を最適化することができる。上記成分(D)の含有割合は、本発明の化粧料中の全ての成分(D)の含有割合の合計である。
【0036】
[成分(E)]
成分(E)は水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。成分(E)は、本発明の化粧料における2つの水層の媒体となる成分である。本発明の化粧料中の成分(E)の含有割合は、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量100質量%に対して、60.0〜95.0質量%であることが好ましく、より好ましくは70.0〜90.0質量%である。
【0037】
[成分(F)]
成分(F)は油性成分である。成分(F)としては、例えば、植物油、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、ロウ、高級アルコールなどが挙げられる。成分(F)は本発明の化粧料において油層を形成する。成分(F)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0038】
上記植物油としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、椿油、これらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)などが挙げられる。
【0039】
上記エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12−15)などが挙げられる。
【0040】
上記シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどが挙げられる。
【0041】
上記炭化水素油としては、例えば、α−オレフィンオリゴマー、ワセリン、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカンなどが挙げられる。
【0042】
上記ロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリン、ヒマワリ種子ロウなどが挙げられる。
【0043】
上記高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
【0044】
本発明の化粧料中の成分(F)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料の総量100質量%に対して、5.0質量%以上が好ましく、より好ましくは7.0質量%以上である。上記含有割合が5.0質量%以上であると、油層の形成を目視で充分に確認することができる。上記含有割合は、60.0質量%以下が好ましく、より好ましくは50.0質量%以下である。上記含有割合が60.0質量%以下であると、油性成分由来の油膜感やべたつきを抑制することができ、化粧料としての使用感に優れる。上記成分(F)の含有割合は、本発明の化粧料中の全ての成分(F)の含有割合の合計である。
【0045】
[成分(G)]
成分(G)は、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及び数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールからなる群より選択される1以上の多価アルコールである。成分(G)を含む場合、本発明の化粧料は、二層の水層の分離速度が向上する。成分(G)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0046】
成分(G)として使用することができるポリエチレングリコールの数平均分子量は、2000以下であり、好ましくは200〜1800、より好ましくは400〜1600である。
【0047】
上記ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、例えば、ポリオキシアルキレン(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を、アルキルグルコシドに付加したものを使用することができる。上記ポリオキシアルキレンの平均付加モル数は1〜20モル程度が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドにおけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。上記ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、特に、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドが好ましい。
【0048】
上記ポリオキシアルキレンメチルグルコシドとしては、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレン(10)メチルグルコシド、ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ポリオキシプロピレン(10)メチルグルコシド、ポリオキシプロピレン(20)メチルグルコシドなどが挙げられる。
【0049】
本発明の化粧料中の成分(G)の含有割合は、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量100質量%に対して、1.0〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは2.0〜20.0質量%、さらに好ましくは4.0〜15.0質量%である。上記含有割合が1.0質量%以上であると、二層の水層の分離速度をより向上させることができる。上記含有割合が30.0質量%以下であると、べたつきを抑制することができる。上記成分(G)の含有割合は、本発明の化粧料中の全ての成分(G)の含有割合の合計である。
【0050】
本発明の化粧料は、ノニオン性界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。なお、実質的に含有しないとは、積極的に配合しないことをいい、例えば不可避的に存在する場合を除くものとする。具体的には、本発明の化粧料中のノニオン性界面活性剤の含有割合は、成分(F)を除く本発明の化粧料の総量100質量%に対して、0.05質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下である。ノニオン性界面活性剤は、エマルション状態の化粧料から多層式に戻る際、エマルションの合一化とクリーミングを阻害する作用を奏するためである。上記ノニオン性界面活性剤の含有割合は、本発明の化粧料中の全てのノニオン性界面活性剤の含有割合の合計である。
【0051】
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられる。
【0052】
[その他の成分]
本発明の化粧料は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上記成分(A)〜(G)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分などが挙げられる。具体的には、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム等の増粘剤;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;皮膜形成性高分子化合物;粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリなどが挙げられる。
【0053】
本発明の化粧料の用途は、特に限定されず、皮膚(肌)用(例えば、顔、首、頭皮、肩、体、腕、肘、掌、手の甲、腿、ふくらはぎ、膝、足首、足の甲、足の裏等)、毛髪用のいずれにも用いることができる。本発明の化粧料は、成分(F)を含むことでクレンジング化粧料として使用することができるため、皮膚用化粧料であることが好ましい。また、本発明の化粧料は、成分(F)を含むことでヘアオイルとしても使用することができるため、頭髪用化粧料であってもよい。
【0054】
本発明の化粧料は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ホモミキサー、パドルミキサーなどで攪拌して製造することができる。
【0055】
本発明の化粧料は、水[成分(E)]を媒体とする化粧料において、数平均分子量が5万〜30万のデキストラン[成分(A)]及び数平均分子量が4000〜3万のポリエチレングリコール[成分(B)]をそれぞれ特定の割合で含むことにより、化粧料の優れた使用感を保ちながら、成分(A)及び成分(B)の排除体積効果を向上させ、成分(A)を含む水層と、成分(B)を含む水層の、二層の水層を形成することができる。そして、油性成分[成分(F)]を配合することで油層を形成し、水層二層と油層を有する多層式の化粧料とすることができる。なお、本発明の化粧料は、化粧料を使用する際は撹拌してエマルションとし、使用後は油層および二層の水層が分離して、再度多層の形態を形成することが審美性の観点から重要である。このため、電解質[成分(C)]を特定の割合で配合することで、エマルションのクリーミングを促進し、さらにイオン性界面活性剤[成分(D)]を配合することでエマルションの合一化を促進して、クリーミング速度と合一化速度のバランスをとる。これにより、多層式に戻る際は、合一化よりもクリーミングを優先的に起こりやすくし、容器壁面に合一化した油性成分の付着を抑制することができ、この際にも審美性に優れるものとすることができる。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。
【0057】
実施例1〜22、比較例1〜9
表に記した各成分を用い、実施例及び比較例の各化粧料を常法により調製した。
【0058】
表に記載の主な成分は、以下の通りである。
【0059】
<成分(A)>
デキストラン70:商品名「デキストラン70」、名糖産業株式会社製、数平均分子量54000〜85000
高分子デキストランEH:商品名「高分子デキストランEH」、名糖産業株式会社製、数平均分子量178000〜217000
<成分(B)>
PEG4000:商品名「PEG#4000」、日油株式会社製、数平均分子量4000
PEG6000:商品名「PEG#6000」、日油株式会社製、数平均分子量6000
PEG10000:商品名「ブラウノン PEG−10000」、青木油脂工業株式会社製、数平均分子量10000
PEG20000:商品名「ブラウノン PEG−20000S」、青木油脂工業株式会社製、数平均分子量20000
<成分(C)>
塩化ナトリウム:商品名「ナクルM」、ナイカイ塩業株式会社製
<成分(D)>
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩:商品名「CAE」、味の素株式会社製
<成分(F)>
ジメチコン:商品名「XIAMETER PMX−200 SILICONE FLUID 1.5CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製、メチルポリシロキサン
軽質イソパラフィン:商品名「マルカゾールR」、丸善石油化学株式会社製
ひまわり油:商品名「ハイオレイックひまわり油」、OLEOMONTERREAL S.L.社製、ひまわり種子油
流動パラフィン:商品名「CARNATION」、Sonneborn Inc.社製
流動イソパラフィン:商品名「パールリームEX」、日油株式会社製
<成分(G)>
ポリオキシプロピレンメチルグルコシド:商品名「マクビオブライドMG−10P」、日油株式会社製
<その他の成分>
デキストラン40:商品名「デキストラン40」、名糖産業株式会社製、数平均分子量31000〜45000
【0060】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0061】
(1)分離速度
実施例及び比較例で得られた各化粧料100mlを、ポリエチレンテレフタレート製ボトル容器(容量150ml)に充填し、充分に振とうした後、直後から10分後までの層の分離挙動を目視にて観察し、層分離のはやさを以下の基準で判定した。
[分離速度の判定基準]
○(良好):油層、水層、水層の三層に分かれる速さが、実用上適切である。
×(不良):三層に分かれる速さが速すぎて、化粧料を塗布する前に分離が起こる。又は、三層に分かれる速さがおそく、審美性に劣る。
【0062】
(2)外観
(1)の評価の後、3時間後に目視にて観察し、外観を以下の基準で判定した。
[外観の判定基準]
○(良好):油層、水層、水層の三層に分かれている。かつ、壁面に油滴の付着による明らかな汚れが見られない。
×(不良):三層に分かれていない。及び/又は、壁面に油滴が明らかに付着しており、汚れが見られる。
【0063】
(3)使用感(べたつき)
実施例及び比較例で得られた各化粧料を、充分に振とうした後、上腕内側部に塗布し、塗布直後のべたつきを以下の基準で判定した。
[使用感(べたつき)の判定基準]
○(良好):べたつきが少ない、又は、べたつきがなく、実用上問題ない使用感である。
×(不良):明らかにべたつきが感じられ、実用上不快である。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
本発明の化粧料(実施例)は、分離速度が実用上適切であり、分離後は目視で油層、水層、水層の三層に分かれていることが確認でき、且つ壁面に油滴の付着による明らかな汚れが見られず、審美性に優れていた。また、使用感にも優れていた。一方、成分(A)の代わりに数平均分子量が5万未満のデキストランを用いた場合(比較例1)、成分(B)の代わりに数平均分子量が4000未満のポリエチレングリコールを用いた場合(比較例2)、成分(A)の含有割合が低い場合(比較例3)、成分(B)の含有割合が低い場合(比較例5)、及び成分(D)を配合しない場合(比較例9)のいずれにおいても、三層に分かれる速さがおそく、3時間後でも目視で油層、水層、水層の三層に分かれていることが確認できなかった。
【0067】
成分(A)の含有割合が高い場合(比較例4)、及び成分(B)の含有割合が高い場合(比較例6)のいずれにおいても、明らかにべたつきが感じられ、使用感が劣ると評価された。
【0068】
成分(C)を配合しない場合(比較例7)、3時間後では目視で油層、水層、水層の三層に分かれていることが確認できたものの、分離速度がおそく、また壁面に油滴が明らかに付着していた。なお、成分(C)の含有割合が高い場合(比較例8)、分離速度が速すぎ、化粧料を塗布する前に分離が起こるおそれがある。