特許第6929510号(P6929510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929510
(24)【登録日】2021年8月13日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】パイプカバー機能を有する配管カプラ
(51)【国際特許分類】
   F16L 17/035 20060101AFI20210823BHJP
   F16L 17/06 20060101ALI20210823BHJP
   F16L 37/091 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   F16L17/035
   F16L17/06
   F16L37/091
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-565296(P2019-565296)
(86)(22)【出願日】2017年12月7日
(65)【公表番号】特表2020-523526(P2020-523526A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】KR2017014319
(87)【国際公開番号】WO2018225915
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0072397
(32)【優先日】2017年6月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519415199
【氏名又は名称】キム,ビョンソブ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンソブ
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−153284(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0074033(KR,A)
【文献】 特公昭39−014349(JP,B1)
【文献】 実公昭51−013696(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0262920(US,A1)
【文献】 特開2003−269670(JP,A)
【文献】 実開平06−024288(JP,U)
【文献】 特開2001−124264(JP,A)
【文献】 特開2000−146046(JP,A)
【文献】 特開2003−307290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 17/035
F16L 17/06
F16L 37/091
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の圧力を有する流体が移動するパイプを水密または気密を保持し接続する配管カプラにおいて、
長さ方向に沿って中空が設けられ、前記中空の前方に前記パイプが挿入され、前記パイプと連通するカプラ本体と;
前記カプラ本体の中空に備えられ、内部に前記パイプの挿入は可能であるものの、挿入されたパイプは離脱しないように前記パイプを固定するグリップリングと;
前記カプラ本体の中空に備えられ、弾性を有する素材でできており、内部に前記パイプが挿入される場合に前記カプラ本体と前記パイプとの間の隙間を密閉するパッキン部材と;を含み、
前記パッキン部材は、内部に挿入されるパイプの先端部が包まれてカバーされるように下端部の内側面に内方に突出したパイプ係止部が設けられ
前記パッキン部材が、前記パイプ係止部が設けられ且つ内側面が前記パイプに接触する第1パッキン部材と、内側面が前記第1パッキン部材の外側面に接触し且つ外側面が前記カプラ本体に接触する第2パッキン部材との組み合わせからなり、
前記カプラ本体の中空に備えられ、中央に流体が通過できる流体通過ホールが設けられ、前記第2パッキン部材が後方に移動しないように前記第2パッキン部材の後端部を支持するパッキン支持具;をさらに含み、
前記パイプが外力によって前記第1パッキン部材の内部に挿入されながら前記パイプ係止部に係止されて前記第1パッキン部材が前記パイプと一緒に後方に移動する場合、前記第1パッキン部材は縮管されて内側面が前記パイプに圧着され、前記第2パッキン部材は拡管されて外側面が前記カプラ本体に圧着されるように、前記第1パッキン部材及び前記第2パッキン部材は、相互接触する面に、それぞれ相互対応するように傾斜した第1傾斜カム面及び第2傾斜カム面が形成されたことを特徴とする、パイプカバー機能を有する配管カプラ。
【請求項2】
前記パッキン支持具は、前記カプラ本体内の流体圧力によって前記第2パッキン部材が前方に移動できるように、前記第2パッキン部材が支持される面に、前記流体通過ホールと連通する複数の流体流入ホールが設けられたことを特徴とする、請求項に記載のパイプカバー機能を有する配管カプラ。
【請求項3】
前記第2パッキン部材は、前記パッキン支持具に支持される後端部に流体が流入できるように流体加圧溝が凹設されたことを特徴とする、請求項に記載のパイプカバー機能を有する配管カプラ。
【請求項4】
前記第1パッキン部材は、縮管される場合にも下端部の一部区間は初期内径が維持されるように、下端部の内側面に中空円筒状のパッキン内径維持リングが締結されたことを特徴とする、請求項に記載のパイプカバー機能を有する配管カプラ。
【請求項5】
前記グリップリングが、中央に前記パイプが通過するリング状の環部と、前記パイプの挿入は可能であるものの、前方への離脱は防止されるように、前記環部に後方に行くほど内径が小さくなる方向に傾くように配置された複数の放射片とから構成され、
前記カプラ本体の中空に設けられ、前記グリップリングの前方に位置して前記グリップリングの環部を支持する環支持部と、前記グリップリングの放射片が前方に折れることを防止するように、前記環支持部から前記グリップリングの放射片の傾斜に対応して後方に折れた放射片支持部とを有するグリップリング支持具を;さらに含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパイプカバー機能を有する配管カプラ。
【請求項6】
前記カプラ本体の中空に備えられ、前記グリップリングと前記パッキン部材との間に位置して内部に前記パイプが挿入されるものの、一定の長さで前記パイプの外径に対応する内径を有し、前記パイプの挿入移動をガイドするパイプ挿入ガイド;をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパイプカバー機能を有する配管カプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプカバー機能を有する配管カプラに係り、より詳細には、パイプの先端部が包まれてカバーされるパイプ係止部をパッキン部材に設けることにより、コーティング層が被覆されたパイプの場合には持続的に作用する流体の圧力によってパイプの先端部からコーティング層が剥離することを防止することができ、外周面が滑らかでない溝付きパイプの場合にも密閉が可能であり、さらにはパイプの挿入に応じて傾斜カム形式で作用する一対のパッキン部材を用いてより確実な水密または気密保持が可能である、パイプカバー機能を有する配管カプラに関する。
【背景技術】
【0002】
配管作業は、一定の長さに製造されたパイプを設置環境に合わせて多数個に切断し、互いに接続して管路を形成する作業をいう。上述した配管作業においては、制限的なパイプの長さと管路の位置変更の必要性により配管カプラが使用されている。
【0003】
このような配管カプラとして従来使用されているものは、接続されるパイプと同じ内径を有するが、その外径を接続されるパイプよりもさらに大きくして、その内部にパイプがねじ式で挿入できるように螺旋溝を有する多数の接続部が備えられている。
【0004】
しかし、このような従来の通常の配管カプラは、パイプを回転させながら挿入しなければならないので、作業性が容易ではないという問題点があった。
【0005】
上述したような従来の通常の配管カプラの欠点を解決するために、特許文献1には、パッキン部材を備えたパイプ接続装置が提案されている。
【0006】
図1には、特許文献1に掲載された従来技術による配管カプラを示している。
【0007】
図1を参照すると、従来技術による配管カプラは、接続されるパイプが挿入される、開口している多数の接続部が形成された中空胴体10’に、前記接続部の内側端に設置されて前記胴体10’に接続されるパイプの気密性を確保するパッキン部材20’と、前記接続部に内挿されて前記パッキン部材20’に密着するが、その上部に、内面が下方に縮小する斜面を有する支持リング30’と、前記支持リング30’の斜面にのせられて密着するが、前記接続部の内側に挿入されて接続されるパイプの外周面を押圧して固定する多数の固定片が形成された固定具40’と、その内側にねじ溝が設けられ、前記接続部の端部にねじ式で締結されて前記固定具40’に密着固定されるロックナット50’とが順次設置されるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
しかし、上述した従来技術による配管カプラは、配管カプラの内部でパイプの先端部が流れる流体にそのまま露出されており、外側面にコーティング層が被覆されたパイプの場合、持続的に作用する流体の圧力によってコーティング層が剥離し、それによりパイプの先端部が腐食してしまうという問題点があった。
【0009】
また、従来技術による配管カプラは、外周面に円周方向に沿って一定の間隔で溝が設けられたパイプの場合には、その溝を介して流体が移動することによりうまくパッキンされないため、接続部分に設けられた溝をボンディングなどを介して埋めた後に使用しなければならないという欠点があった。
【0010】
また、前記従来技術による配管カプラの場合は、パッキン部材20’の例示としてOリングのみを示したが、Oリングのみでは弾性による体積変化の限界により水密または気密を保持するには限界があった。
【0011】
また、前記従来技術による配管カプラの場合には、パイプが離脱しようとする方向(前方)に力を受ける場合、固定具40’に形成された放射片が前方に折れて過度にパイプを入り込むことによりパイプが破損してしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録実用新案第0381922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、コーティング層が被覆されたパイプの場合には流体の圧力によってパイプの先端部からコーティング層が剥離することを防止することができ、外周面が滑らかでない溝付きパイプの場合にも密閉が可能である、パイプカバー機能を有する配管カプラを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、管体の継ぎ目又は隙間のより確実な水密または気密保持が可能である、パイプカバー機能を有する配管カプラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、一定の圧力を有する流体が移動するパイプを水密または気密を保持し接続する配管カプラにおいて、長さ方向に沿って中空が設けられ、前記中空の前方に前記パイプが挿入され、前記パイプに連通するカプラ本体と;前記カプラ本体の中空に備えられ、内部に前記パイプの挿入は可能であるものの、挿入されたパイプが離脱しないように前記パイプを固定するグリップリングと;前記カプラ本体の中空に備えられ、弾性を有する素材でできており、内部に前記パイプが挿入される場合に前記カプラ本体と前記パイプとの間の隙間を密閉するパッキン部材と;を含み、前記パッキン部材は、内部に挿入されるパイプの先端部が包まれてカバーされるように下端部の内側面に内方に突出したパイプ係止部が設けられたことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記パッキン部材は、前記パイプ係止部が設けられ、内側面が前記パイプに接触する第1パッキン部材と、内側面が前記第1パッキン部材の外側面に接触し、外側面が前記カプラ本体に接触する第2パッキン部材との組み合わせからなり、前記配管カプラは、前記カプラ本体の中空に備えられ、中央に流体が通過できる流体通過ホールが設けられ、前記第2パッキン部材が後方に移動しないように前記第2パッキン部材の後端部を支持するパッキン支持具;をさらに含み、前記パイプが外力によって前記第1パッキン部材の内部に挿入されながら前記パイプ係止部に係止されて前記第1パッキン部材が前記パイプと一緒に後方に移動する場合、前記第1パッキン部材は縮管されて内側面が前記パイプに圧着され、前記第2パッキン部材は拡管されて外側面が前記カプラ本体に圧着されるように、前記第1パッキン部材及び前記第2パッキン部材は、相互接触する面に、それぞれ相互対応して傾斜した第1傾斜カム面及び第2傾斜カム面が形成されたことを特徴とする。
【0017】
ここで、前記パッキン支持具は、前記カプラ本体内の流体圧力によって前記第2パッキン部材が前方に移動できるように、前記第2パッキン部材が支持される面に、前記流体通過ホールと連通する複数の流体流入ホールが設けられたことを特徴とする。
【0018】
ここで、前記第2パッキン部材は、前記パッキン支持具に支持される後端部に流体が流入できるように流体加圧溝が凹設されたことを特徴とする。
【0019】
ここで、前記第1パッキン部材は、縮管される場合にも下端部の一部区間は初期内径が維持されるように、下端部の内側面に中空円筒状のパッキン内径維持リングが締結されたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、前記グリップリングが、中央に前記パイプが通過するリング状の環部と、前記パイプの挿入は可能であるものの、前方への離脱は防止されるように、前記環部に後方に行くほど内径が小さくなる方向に傾くように配置された複数の放射片とから構成され、前記カプラ本体の中空に設けられ、前記グリップリングの前方に位置して前記グリップリングの環部を支持する環支持部と、前記グリップリングの放射片が前方に折れることを防止するように前記環支持部から前記グリップリングの放射片の傾斜に対応して後方に折れた放射片支持部とを有するグリップリング支持具;をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、前記カプラ本体の中空に備えられ、前記グリップリングと前記パッキン部材との間に位置して内部に前記パイプが挿入され、一定の長さに前記パイプの外径に対応する内径を有し、前記パイプの挿入移動をガイドするパイプ挿入ガイドを;さらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上述した構成によって、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、パイプの先端部が包まれてカバーされるパイプ係止部をパッキン部材に形成することにより、コーティング層が被覆されたパイプの場合には持続的に作用する流体の圧力によってパイプの先端部からコーティング層が剥離することを防止することができ、外周面が滑らかでない溝付きパイプの場合にも密閉が可能であるという利点がある。
【0023】
また、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、パイプの挿入に応じて傾斜カム形式で作用する一対のパッキン部材を用いてより確実な水密または気密保持が可能であるという利点がある。
【0024】
また、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、グリップリングの前方に、放射片の傾斜に対応するように後方に折れた放射片支持部を有するグリップリング支持具を備えて、パイプが離脱しようとする方向(前方)に力を受ける場合には放射片が前方に折れることを防止して、放射片が過度にパイプを入り込むことによりパイプが破損することを防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術による配管カプラの分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラの分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るパッキン部材の分解断面図及び動作状態を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るパッキン支持具の平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラの使用状態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図示された実施形態を参照して、本発明に係るパイプカバー機能を有する配管カプラをより詳細に説明する。
【0027】
図2は本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラの分解斜視図、図3は本発明の一実施形態に係るパッキン部材の分解断面図及び動作状態を示す断面図、図4は本発明の一実施形態に係るパッキン支持具の平面図である。図5及び図6は本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラの使用状態を示す断面図である。
【0028】
図2乃至図6を参照すると、本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラは、一定の圧力を有する流体が移動するパイプを水密または気密を保持して接続する構成であって、カプラ本体10と、グリップリング20と、パッキン部材30と、パッキン支持具40と、グリップリング支持具50と、パイプ挿入ガイド60とを含んで構成される。
【0029】
前記カプラ本体10は、接続のためのパイプPが挿入されるための位置に長さ方向に沿って中空11が設けられ、前記中空11の前方に前記パイプPが挿入され、前記パイプPと連通する構成である。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記カプラ本体10は、前記中空11の一側に前記パイプPが挿入される形態を示したが、前記中空11の両側に前記パイプPが挿入される形態だけでなく、T字型、十字型などの多様な形状に製作できる。
【0031】
前記グリップリング20は、前記カプラ本体10の中空11に備えられ、内部に前記パイプPの挿入は可能であるものの、挿入されたパイプPは離脱しないように前記パイプPを固定する構成である。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記グリップリング20は、中央に前記パイプが通過するリング状の環部21と、前記パイプPの挿入は可能であるものの、前方への離脱は防止されるように、前記環部21に後方に行くほど内径が小さくなる方向に傾斜して配置された複数の放射片22とから構成される。
【0033】
つまり、後方に行くほど内径が小さくなる方向に傾斜するように前記環部21に配置された複数の放射片22の構成によって、前記パイプPの挿入は円滑であるものの、その離脱は防止され、前記パイプPが前記カプラ本体10にワンタッチで締結及び固定できる。
【0034】
一方、前記放射片22は、パイプPが挿入された状態で離脱する方向に外力が作用する場合、前記パイプPと一緒に移動して前方に折れて前記パイプPを入り込むが、場合によっては、前記パイプPを過度に入り込んで前記パイプPが破損してしまうおそれがあるが、本発明の一実施形態では、後述するグリップリング支持具50を備えてそのような現象を防止する。
【0035】
前記パッキン部材30は、前記カプラ本体10の中空11に備えられ、弾性を有する素材からなり、内部に前記パイプPが挿入される場合に前記カプラ本体10と前記パイプPとの間の隙間を密閉する構成である。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記パッキン部材30は、第1パッキン部材31と第2パッキン部材32との組み合わせからなる。
【0037】
前記第1パッキン部材31は、内部に挿入されるパイプPの先端部が包まれてカバーされるように、下端部の内側面に内方に突出したパイプ係止部311が設けられ、内側面が前記パイプに接触する。
【0038】
前記パイプ係止部311の構成によって、コーティング層が被覆されたパイプPの場合には持続的に作用する流体の圧力によりそのパイプPの先端部からコーティング層が剥離することを防止することができ、前記パイプPの先端部を密閉することにより、外周面が滑らかでない溝付きパイプの場合にも密閉が可能である。
【0039】
また、前記パイプPが外力によって挿入される場合に前記パイプ係止部311に係止され、前記第1パッキン部材31は、前記パイプPと一緒に後方に移動する。
【0040】
前記第2パッキン部材32は、内側面が前記第1パッキン部材31の外側面に接触し、外側面が前記カプラ本体10に接触するが、後述するパッキン支持具40に支持される後端部には、流体が流入できるように流体加圧溝321が凹設される。
【0041】
前記パッキン支持具40の流体通過ホール及び流体流入ホールを通過した一定圧力の流体が流体加圧溝321に流入し、前記第2パッキン部材32は、前記第1パッキン部材31の移動方向と反対の方向である前方に加圧力を受けて移動する。
【0042】
一方、前記第1パッキン部材31及び前記第2パッキン部材32は、相互接触する面にそれぞれ相互対応するように傾斜した第1傾斜カム面312及び第2傾斜カム面322が形成される。
【0043】
したがって、前記パイプPが外力によって前記第1パッキン部材31の内部に挿入されながら前記パイプ係止部311に係止されて前記第1パッキン部材31が前記パイプPと一緒に後方に移動し、前記カプラ本体10内の流体が前記パッキン支持具40の流体通過ホール41及び流体流入ホール42を通過して前記流体加圧溝321に流入し、流入する流体の圧力によって前記第2パッキン部材32が前方に移動する場合、前記第1パッキン部材31及び前記第2パッキン部材32は、前記第1傾斜カム面312及び前記第2傾斜カム面322によって相互作用して、前記第1パッキン部材31は縮管されて内側面が前記パイプPに圧着され、前記第2パッキン部材32は拡管されて外側面が前記カプラ本体10に圧着されることにより、より確実な水密または気密を保持することができる。
【0044】
一方、前記第1パッキン部材31は、前記第1傾斜カム面312及び前記第2傾斜カム面322の相互作用によって縮管される場合にも、下端部の一部区間は、図3の(a)に示された初期内径dが維持されるように下端部の内側面に中空円筒状のパッキン内径維持リング313が締結される。
【0045】
すなわち、前記第1傾斜カム面312及び前記第2傾斜カム面322の相互作用によって、前記第1パッキン部材31は縮管され、前記第2パッキン部材32は拡管される過程で、相互間の圧力によって前記第1パッキン部材31の下端部が内方に折り曲げられて前記第2パッキン部材32の気密性が低下するおそれがあるが、前記パッキン内径維持リング313の構成によってその現象が防止され、より確実に水密または気密を保持することができる。
【0046】
前記パッキン支持具40は、前記カプラ本体10の中空に備えられ、前記第2パッキン部材32が後方に移動しないように前記第2パッキン部材32の後端部を支持する構成である。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記パッキン支持具40は、中央に流体の通過できる流体通過ホール41が設けられ、前記第2パッキン部材32が支持される面には前記流体通過ホール41と連通する複数の流体流入ホール42が設けられる。
【0048】
したがって、前記カプラ本体10内の流体は、流体通過ホール41及び流体流入ホール42を通過して前記流体加圧溝321に流入することにより、流体の圧力によって前記第2パッキン部材32が前方に移動することができる。
【0049】
前記グリップリング支持具50は、前記グリップリング20の前方位置で前記カプラ本体10の中空に備えられる構成であって、環支持部51と放射片支持部52とからなる。
【0050】
前記環支持部51は、環状をし、前記グリップリング20の環部21を支持する構成である。
【0051】
前記放射片支持部52は、前記環支持部51から前記グリップリング20の放射片22の傾斜に対応して後方に折れるように形成された構成である。
【0052】
前記放射片支持部52の構成によって、前記グリップリング20にパイプPが挿入された状態で前記パイプPの離脱方向(前方)に外力が作用しても、前記グリップリング20の放射片22が前方に折れることを防止することができるため、前記パイプPに放射片22が過度に入り込んで前記パイプPが破損することを防止することができる。
【0053】
前記パイプ挿入ガイド60は、前記カプラ本体10の中空に備えられ、前記グリップリング20と前記パッキン部材30との間に位置して内部に前記パイプPが挿入されるが、一定の長さで前記パイプPの外径に対応する内径を有し、前記パイプPの挿入移動をガイドする構成である。
【0054】
前記パイプ挿入ガイド60の構成によって、前記グリップリング20を通過したパイプがガイドされ、前記パッキン部材30にスムーズに挿入できる。
【0055】
図5及び図6には本発明の一実施形態に係るパイプカバー機能を有する配管カプラの使用状態を示すが、図5の初期状態から図6の状態へと前記パイプPが前記カプラ本体10の中空11に挿入される場合、まず、前記グリップリング20の放射片22が後方に折れ、前記パイプPの挿入は可能にするものの、挿入された状態での前記パイプPの離脱は防止することにより、前記パイプPをワンタッチで固定する。
【0056】
また、図6に示すように、前記パイプPが外力によって挿入される場合に前記パイプ係止部311に係止され、前記第1パッキン部材31は前記パイプPと一緒に後方に移動し、前記カプラ本体10内の流体が前記パッキン支持具40の流体通過ホール41及び流体流入ホール42を通過して前記流体加圧溝321に流入し、流入する流体の圧力によって、前記第2パッキン部材32は前方に移動する。
【0057】
このように、前記第1パッキン部材31は後方に移動し、前記第2パッキン部材32は前方に移動する場合、前記第1パッキン部材31及び前記第2パッキン部材32は前記第1傾斜カム面312及び前記第2傾斜カム面322によって相互作用して、前記第1パッキン部材31は縮管されて内側面が前記パイプPに圧着され、前記第2パッキン部材32は拡管されて外側面が前記カプラ本体10に圧着されることにより、前記パッキン部材30の密閉力を著しく上昇させることができる。
【0058】
前述及び図示したパイプカバー機能を有する配管カプラは、本発明を実施するための一つの実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものと解釈されてはならない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲に記載された事項のみによって定められ、本発明の要旨を逸脱することなく改良及び変更された実施形態は、本発明の属する技術分野におけう通常の知識を有する者に自明なものである限り、本発明の保護範囲に属すると理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
上述した構成を有する本発明は、配管カプラに接続されたパイプの先端部からコーティング層が剥離することを防止することができ、外周面が滑らかでない溝付きパイプの場合にも密閉が可能であり、より確実な水密または気密保持が可能である産業上有用な発明である。
【符号の説明】
【0060】
P パイプ
10 カプラ本体
20 グリップリング
30 パッキン部材
40 パッキン支持具
50 グリップリング支持具
60 パイプ挿入ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6