特許第6929520号(P6929520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929520
(24)【登録日】2021年8月13日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20210823BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20210823BHJP
   B65H 39/16 20060101ALI20210823BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   B41J11/70
   B41J3/36 T
   B65H39/16
   B41J15/04
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-188785(P2017-188785)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-64012(P2019-64012A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古橋 道彦
【審査官】 松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−218999(JP,A)
【文献】 特開2017−005438(JP,A)
【文献】 特開2015−139953(JP,A)
【文献】 特開平10−329387(JP,A)
【文献】 特開2017−167685(JP,A)
【文献】 特開2011−192291(JP,A)
【文献】 特開2017−107452(JP,A)
【文献】 特開2007−290324(JP,A)
【文献】 特開2000−006472(JP,A)
【文献】 特開2015−066894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36−3/37
B41J 3/39
B41J11/00−11/70
B41J15/00−15/14
B41J29/00
B41J29/42
B65H39/00−39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に印字を形成し、印字済み媒体とする印字手段と、
前記印字済み媒体を切断する切断手段と、
前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を内包する筐体と、
前記筐体に設けられ、前記印字済み媒体を筐体内部から筐体外へ排出する排出口と、
を有する印刷装置であって、
前記筐体のうち前記排出口の下方に設けられ、前記筐体の外部に位置する検出対象を非接触にて検出する検出手段と、
前記検出手段により前記検出対象が検出される状態が所定時間継続した場合に、前記切断手段の動作を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記切断手段の動作条件を設定する設定手段をさらに有し、
前記制御手段は、
前記設定手段による設定が第1設定の場合に、前記検出手段により前記検出対象が検出される状態が所定時間継続した場合に前記切断手段の動作を制御し、
前記設定手段による設定が前記第1設定とは異なる第2設定の場合に、前記検出手段により前記検出対象が検出されたか否かにかかわらず前記切断手段の動作を制御する、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷装置において、
前記制御手段は、
前記切断手段による前記印字済み媒体への切断を行うか行わないかを制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に印字を形成し、印字済み媒体とする印字手段と、
前記印字済み媒体を切断する切断手段と、
前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を内包する筐体と、
前記筐体に設けられ、前記印字済み媒体を筐体内部から筐体外へ排出する排出口と、
を有する印刷装置であって、
前記筐体のうち前記排出口の下方に設けられ、前記筐体の外部に位置する検出対象を非接触にて検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記切断手段の動作を制御する制御手段と、
前記印字済み媒体を厚さ方向に部分的に切断する半切断手段と、
有し、
前記制御手段は、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記切断手段及び前記半切断手段の動作を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記制御手段は、
前記切断手段及び前記半切断手段による前記印字済み媒体への切断の態様を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷装置において、
前記制御手段は、
前記検出手段が前記検出対象を検出している時間に応じて、前記切断の態様を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項5記載の印刷装置において、
前記検出手段は、距離センサであり、
前記制御手段は、
前記距離センサにより検出された前記検出対象までの距離に応じて、前記切断の態様を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項5記載の印刷装置において、
前記検出手段は、前記排出口の下方において上下方向に配列された複数のセンサであり、
前記制御手段は、前記複数のセンサに含まれる各センサの検出結果に応じて、前記切断の態様を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に印字を形成し、印字済み媒体とする印字手段と、前記印字済み媒体を切断する切断手段と、前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を内包する筐体と、前記筐体に設けられ、前記印字済み媒体を筐体内部から筐体外へ排出する排出口と、前記筐体のうち前記排出口の下方に設けられ、前記筐体の外部に位置する検出対象を非接触にて検出する検出手段を有する印刷装置に備えられた演算手段に対し、
前記検出手段の検出結果を取得する取得手順と、
前記取得手順で取得された前記検出結果に応じて、前記検出対象が検出される状態が所定時間継続した場合に、前記切断手段の動作を制御する制御手順と、
を実行させるための、印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の印字が形成された印刷物を作成するための印刷装置及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被印字媒体に所望の印字を行い印字後の被印字媒体を切断して印刷物を作成する印刷装置が従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術では、例えば、一連の被印字媒体に対して、印字内容(文字等)が異なる複数枚の印刷物を、同時期の印字動作で印字することができる。この際、異なる複数枚の印刷物は、被印字媒体を印字内容に即して枚葉ごとに分離(以下、「フルカット」と称する。)する機能と、被印字媒体を印字内容に即して枚葉ごとに半分離(以下、「ハーフカット」と称する。)する機能と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−006472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、印字する際に、フルカットとハーフカットとを組み合わせることができるようにもなっている。
【0006】
ここで、印刷装置での印刷物作成作業においては、印字後の被印字媒体に対して予め設定された所定の枚数を基準にフルカットとハーフカットとを組み合わせたのでは、例えば、文字数の相違等に起因する印刷物の長さが異なる場合、ユーザが所望する組み合わせにて印刷物を仕分けすることができないなど、ユーザの用途や好みに応じて印字済み媒体を切断することができなかった。
【0007】
本発明の目的は、操作労力負担を低減しつつ、ユーザの用途や好みに応じて印字済み媒体を切断することができる、印刷装置及び印刷プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に印字を形成し、印字済み媒体とする印字手段と、前記印字済み媒体を切断する切断手段と、前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を内包する筐体と、前記筐体に設けられ、前記印字済み媒体を筐体内部から筐体外へ排出する排出口と、を有する印刷装置であって、前記筐体のうち前記排出口の下方に設けられ、前記筐体の外部に位置する検出対象を非接触にて検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記切断手段の動作を制御する制御手段と、を有する。
【0009】
本願発明においては、搬送手段により搬送される被印字媒体に対し、印字手段により印字が行われて印字済み媒体が形成される。印字済み媒体は切断手段によって切断されて例えば印字ラベル等の印刷物となった後、排出口から筐体外へ排出される。
【0010】
その際、ユーザの用途や好みによって、どのような形で印字済み媒体を切断したいかが異なる場合がある。そこで、本発明においては、筐体に検出手段が設けられるとともに、制御手段がその検出結果に応じて切断手段の動作を制御する。これにより、例えば、ユーザがその検出手段の前に手をかざしてその手を検出対象として検出手段に検出させることで、切断手段に対しユーザの意図する動作をさせることが可能となる。この結果、例えば印刷装置に接続された操作端末の画面や印刷装置自体に備えられた画面においてユーザが切断設定を行う場合に比べ、操作労力負担を低減することができる。
【0011】
また、特に、本願発明においては、検出手段が排出口の下方に配置されている。これにより、例えばユーザが検出手段に手をかざして上記の操作を行った状態で、そのまま、排出口から排出されてくる上記印刷物を手で受け取ることができるので、ワンアクションで切断手段の操作+受け取りを行うことができ、さらに利便性が向上する。さらに、排出口から排出される印刷物自体を検出手段で検出させ、それによって切断手段を操作することも可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作労力負担を低減しつつ、ユーザの用途や好みに応じて印字済み媒体を切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の操作端末により操作される印字ラベル作成装置を備えた印字ラベル生成システムを表すシステム構成図である。
図2】印字ラベル作成装置の全体構造を表す斜視図である。
図3】筐体内に備えられる内部ユニットの一例をカートリッジとともに模式的に表す拡大平面図である。
図4】印字ラベル作成装置の制御系の一例を表す機能ブロック図である。
図5】作成された印刷物の外観の一例を表す上面図である。
図6】アクション検出センサにユーザが手をかざしている一例を示す印字ラベル作成装置の全体構造を表す斜視図である。
図7】ユーザが操作端末を用いて設定する印刷設定画面の一例の説明図である。
図8】印字ラベル作成装置の制御系が実行する処理の一例を表すフロー図である。
図9】筐体内に備えられる内部ユニットの他例をカートリッジとともに模式的に表す拡大平面図である。
図10】印字ラベル作成装置の制御系の他例を表す機能ブロック図である。
図11】作成された印刷物の外観の他例を表す上面図である。
図12】印字ラベル作成装置の制御系が実行する処理の他例を表すフロー図である。
図13】アクション検出センサにユーザが手をかざしている他例を示す印字ラベル作成装置の全体構造を表す斜視図である。
図14】複数のアクション検出センサを配置した例を示す印字ラベル作成装置の全体構造を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明を印字ラベルの生成システムに適用した場合の実施形態である。
【0015】
本実施形態における印刷装置である印字ラベル作成装置と、本実施形態における印刷物作成方法を実行するために上記印字ラベル作成装置に接続された端末と、を備えた印字ラベル生成システムを図1に示す。この印字ラベル生成システムLSにおいて、複数の印字ラベル作成装置1(この例では3台の印字ラベル作成装置1A,1B,1C)が、有線あるいは無線による通信回線NWを介して、例えば、汎用コンピュータからなる一つ以上の操作端末としての端末118(この例では1台のデスクトップ型パーソナルコンピュータ118Aとノートブック型パーソナルコンピュータ118B)に接続されている。
【0016】
端末118は、キーボード又はマウス(タッチパッドを含む)等からなる操作部118aと、液晶ディスプレイ等からなる表示部118bと、CPU(演算手段)、RAM、ROM、及びHDD(いずれも図示省略)等を内装した本体118cと、備えている。上記CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記HDDに予め記憶された各種プログラムを実行する。これにより、印字ラベル作成装置1全体の制御を行う。そして、上記記憶されたプログラムには、3台の印字ラベル作成装置1A,1B,1Cを選択的に用いて後述する複数の印字ラベル(印刷物)を作成するときにおける本実施形態にかかる印刷プログラムも含まれる。
【0017】
<印字ラベル作成装置の全体構造>
次に、図2を参照して印字ラベル作成装置1A,1B,1Cの全体構造を説明する。なお、これら3台の印字ラベル作成装置1A,1B,1Cは、互いに同等の構造であり、それぞれを区別する必要のない場合には、以下適宜、単に「印字ラベル作成装置1」と称する。
【0018】
図2に示すように、印字ラベル作成装置1は、外郭に略六面体(略立方体)形状の筐体200を有する装置本体2と、この装置本体2の上面(図2の矢印参照)に開閉可能(又は着脱可能としてもよい)に設けられた開閉蓋3とを有している。
【0019】
筐体200は、装置本体2の前面(図2の矢印参照)に位置し、装置本体2の内部で作成された帯状(テープ状)の被印字媒体(図示せず)に印字を形成した印字済み媒体Tを外部に排出する排出口4を備えた前壁5と、この前壁5のうち排出口4の下方に設けられ下端が回動可能(開閉可能)に支持された前蓋6と、を備えている。
【0020】
前壁5の一端部には、印字ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源キー7と、装置本体2の内部に配設された切断ユニット30(後述の図3参照)を使用者の手動操作で駆動可能とするためのカッター駆動キー8と、が設けられている。前蓋6には、カッター駆動キー8とは別に、切断ユニット30を使用者による所定のアクションで駆動可能とするための非接触式のアクション検出センサ(検出手段)9が設けられている。なお、このアクション検出センサ9は、排出口4の下方に配置して検出対象を非接触にて検出するものであれば、例えば、公知の光学センサ、赤外線センサ、超音波センサ、等を適用することができる。この際、アクション検出センサ9は、検出対象までの離間距離を含めた検出精度を有するものが望ましい。
【0021】
開閉蓋3は、装置本体2の右後方(図2の矢印参照)の端部にて回動可能に軸支され、バネ等の付勢部材(図示せず)を介して常時開放方向に付勢されている。そして、装置本体2の上面に開閉蓋3に隣接するように配置された開閉ボタン10が押されることにより、開閉蓋3と装置本体2とのロックが解除され、上記付勢部材の付勢作用によって開放される。開閉蓋3の中央側部には、透明カバーで覆われた透視窓11が設けられている。
【0022】
<内部ユニット>
次に、図3に基づいて筐体200の内部に配設された内部ユニットを説明する。図3に示すように、印字ラベル作成装置1の内部ユニットは、概略的には、カートリッジ12を収納するカートリッジホルダ13と、印字手段としての印字ヘッド(サーマルヘッド)21を有する印字機構20と、切断ユニット30と、ラベル排出機構(図示せず)と、を備える。
【0023】
印字ヘッド21は、多数の発熱素子を備えており、カートリッジホルダ13に立設されたヘッド取付部(図示せず)に取り付けられている。
【0024】
カートリッジホルダ13は、カートリッジ12のテープ排出部(図示せず)より排出された後に排出口4から排出される印字済み媒体Tの幅方向の向きが、上下方向となるようにカートリッジ12を収納する。
【0025】
カートリッジ12は、筐体14と、筐体14に配置され帯状の基材テープ101が巻回された第1ロール102(実際には渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、基材テープ101と略同じ幅である透明なカバーフィルム103が巻回された第2ロール104(実際には渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、インクリボン105(熱転写リボン、但し、被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール106(実際には渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、印字後のインクリボン105を巻き取るリボン巻取りローラ107と、カートリッジ12のテープ排出部の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ22と、を有する。なお、カバーフィルム103と、カバーフィルム103に基材テープ101が貼り合わされた印字済み媒体Tとが、各請求項記載の被印字媒体を構成する。
【0026】
第1ロール102は、リール部材102Rの周りに基材テープ101を巻回している。基材テープ101は、図3中の二点鎖線の楕円で囲むA部分拡大図に示すように、この例では4層構造となっており、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PEL(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム(基材層)101b、適宜の粘着材からなる粘着層(貼り付け用粘着剤層)101c、剥離紙(剥離材層)101dの順序で積層されている。
【0027】
ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、粘着層101cによって剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。
【0028】
第2ロール104は、リール部材104Rの周りにカバーフィルム103を巻回している。
【0029】
筐体14は、被検出部15を有している。一方カートリッジホルダ13の被検出部15に対応する位置には、カートリッジセンサ16が設けられている。このカートリッジセンサ16は、カートリッジ12の装着状態を検出するとともにカートリッジ12の種類に関するカートリッジ情報(テープ属性情報)を検出する。
【0030】
一方、カートリッジホルダ13には、ローラホルダ(図示せず)が支持軸により回動可能に枢支され、切換機構により印字位置(当接位置)とリリース位置(離反位置)とに切換可能とされている。このローラホルダには、プラテンローラ23及びテープ圧接ローラ24が回転可能に配設されている。そして、ローラホルダが上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ23及びテープ圧接ローラ24が印字ヘッド21及びテープ送りローラ22に対し圧接される。カートリッジ12のテープ送りローラ22は、基材テープ101とカバーフィルム103とを押圧し接着させ印字済み媒体Tとしつつ、図3中矢印Bで示す方向にテープ送りを行う。なお、リボン巻取りローラ107及びテープ送りローラ22は、リボン巻取りローラ駆動軸108及びテープ送りローラ駆動軸(搬送手段)109が駆動されることによって連動して回転駆動される。これによって、印字済み媒体T及びインクリボン105に対し搬送駆動力がそれぞれ与えられる。なお、リボン巻取りローラ駆動軸108及びテープ送りローラ駆動軸109は、カートリッジ12の外側に設けた例えばパルスモータである搬送用モータ121(後述の図4参照)の駆動力が、図示しないギヤ機構を介し伝達されることによって駆動される。
【0031】
切断ユニット30は、印字済み媒体Tをフルカットする切断部(切断手段)31を備える。切断部31は、固定刃33及び可動刃34を備える。カッタモータ122(後述の図4参照)の駆動力が、図示を略す動力伝達機構等(例えば、カッターハスバギヤ、ボス、長孔等)を介して可動刃34に伝達されて可動刃34が回転する。これにより可動刃34は、固定刃33と協働して、印字済み媒体Tの全ての層(図3中の二点鎖線の楕円で囲むC部分拡大図に示す、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び剥離紙101d)を厚さ方向に分断(全切断)し、搬送方向に沿ってラベル後端部となる部位にフルカット線CL(後述の図5(a)等を参照)を形成する。この全切断状態は、カッターハスバギヤ用カムの作用により切り替わるマイクロスイッチ(図示せず)により検出される。なお、このフルカット線CLは、実際には印字済み媒体Tの全ての層を厚さ方向に分断するもので、図5(b)に示すように、例えば、4種類の印刷物L1〜L4に1つずつバラバラとなる。したがって、図5(a)に示すように、一つの(一連の)帯状の印刷物の間に物理的な線分が残存するものではない。また、以下の説明において、印刷物L1〜L4は、特に断りのない場合には「印刷物L」と総称する。
【0032】
なお、図3中の二点鎖線の楕円で囲むC部分拡大図に示すように、各印刷物L1〜L4は、前述した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっている。すなわち、カバーフィルム103側よりその反対側へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層が構成されている。
【0033】
ラベル排出機構は、切断ユニット30において全切断された後の印刷物Lを排出口4より排出する。すなわちラベル排出機構は、テープ排出モータ124(後述の図4参照)の駆動力により回転する駆動ローラ51(後述の図4参照)と、この駆動ローラ51に対して印字済み媒体Tを挟んで対向する押圧ローラ(図示せず)とを有している。
【0034】
<内部ユニットの動作>
上記構成の内部ユニットにおいて、カートリッジ12がカートリッジホルダ13に装着されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド21とプラテンローラ23との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ22とテープ圧接ローラ24との間に狭持される。そして、搬送用モータ121の駆動力によってリボン巻取りローラ107及びテープ送りローラ22が図3中矢印で示す巻き取り方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、テープ送りローラ駆動軸109とテープ圧接ローラ24及びプラテンローラ23はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸109の駆動に伴いテープ送りローラ22、テープ圧接ローラ24、及びプラテンローラ23が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、テープ送りローラ22へ供給される。
【0035】
一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。このカバーフィルム103の裏面には、リボン供給側ロール106とリボン巻取りローラ107とにより駆動されるインクリボン105が、印字ヘッド21に押圧されることで当接させられる。そして、駆動回路119A(後述の図4参照)により印字ヘッド21の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に、端末118からの印字データに基づく印字R(図3参照)が搬送方向に沿って印刷される。
【0036】
そして、基材テープ101と印刷が終了したカバーフィルム103とがテープ送りローラ22及びテープ圧接ローラ24により接着されて一体化されて印字済み媒体Tとして形成され、テープ排出部よりカートリッジ12の外へと搬送される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸108の駆動によりリボン巻取りローラ107に巻き取られる。
【0037】
そして、上述のように貼り合わされて生成された印字済み媒体Tに対し切断ユニット30により上記全切断が行われ、印刷物Lが生成される。この印字済み媒体T(印刷物L)は、その後さらに上記ラベル排出機構によって排出口4(図2参照)から排出される。
【0038】
<印字ラベル作成装置の制御系>
上記構成の印字ラベル作成装置1の制御系を、図4を用いて説明する。印字ラベル作成装置1の制御基板(図示せず)に、図4に示す制御回路110が配置されている。
【0039】
制御回路110には、各機器を制御するCPU111と、このCPU111にデータバス112を介して接続された入出力インターフェース113と、CGROM114と、ROM115,116と、RAM117とが設けられている。
【0040】
ROM116には、印字ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
【0041】
RAM117には、テキストメモリ117A、印字バッファ117B、パラメータ記憶エリア117C等が設けられている。テキストメモリ117Aには、端末118から入力された印字データが格納される。印字バッファ117Bには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納され、印字ヘッド21はこの印字バッファ117Bに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。パラメータ記憶エリア117Cには、各種演算データ等が記憶される。
【0042】
入出力インターフェース113には、端末118と、印字ヘッド21を駆動するための駆動回路119Aと、搬送用モータ121を駆動するための駆動回路119Bと、カッタモータ122を駆動するための駆動回路119Cと、テープ排出モータ124を駆動するための駆動回路119Eとが接続されている。
【0043】
このような制御回路110を核とする制御系において、端末118を介して文字データ等の上記印字データが入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、印字ヘッド21が駆動回路119Aを介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ121が駆動回路119Bを介してテープの搬送制御を行う。
【0044】
印字ラベル作成装置1により印字済み媒体Tを用いて作成された印刷物Lの例(この例では、印刷物L1〜L4の4種類)を、図5(a)〜図5(b)により説明する。
【0045】
図5(a)〜図5(b)に示す各印刷物L1〜L4において、カバーフィルム103に印字Rが印刷される印字領域(例えば、文字数やフォントサイズ等に応じた上下左右の余白を除く範囲)が含まれている。図5に示した印刷物L1〜L4では、その印字領域におけるカバーフィルム103の裏面に、所望の印字Rがそれぞれ印刷されている。図5に示す印刷物L1は、印字領域に文字「ABCDE」の印字Rが印刷されている。図5に示す印刷物L2では、印字領域に文字「F」の印字Rが印刷されている。図5に示す印刷物L3では、印字領域に文字「GHJ」の印字Rが印刷されている。図5に示す印刷物L4では、印字領域に文字「MNOP」の印字Rが印刷されている。すなわち、印刷物L1〜L4は、この例では、互いに印刷内容がそれぞれ異なっており、その結果として、搬送方向に沿った長さ(ラベル長)がそれぞれ異なっている。
【0046】
また、印刷物L1〜L4は、CPU111の制御によって互いの境界において印字済み媒体Tへの全切断を行うか行わないかを切り替えることにより、例えば、図5(b)に示すように、4つの全てをフルカットとすることでバラバラの状態とする。
【0047】
以上において、本実施形態の要部は、複数の印字ラベル作成装置1A〜1Cを利用して複数の印刷物Lを作成し、かつそのときに、ワンアクションで印刷物L1〜L4を手元に落下させるようにすることにある。
【0048】
そのために、本実施形態では、印字ラベル作成装置1は、カバーフィルム103を搬送させるためのテープ送りローラ駆動軸109と、テープ送りローラ駆動軸109により搬送されるカバーフィルム103に印字を形成し、印字済み媒体Tとする印字ヘッド21と、印字済み媒体Tを切断(フルカット)する切断部31と、テープ送りローラ駆動軸109、印字ヘッド21、及び切断部31を内包する筐体200と、筐体200に設けられ、印字済み媒体Tを筐体200の内部から筐体200の外部へ排出する排出口4と、を有し、筐体200のうち排出口4の下方に設けられ、筐体200の外部に位置する検出対象を非接触にて検出するアクション検出センサ9と、アクション検出センサ9の検出結果に応じて、切断部31の動作を制御するCPU111と、を有する。
【0049】
すなわち、本実施の形態においては、テープ送りローラ駆動軸109により搬送されるカバーフィルム103に対し、印字ヘッド21により印字が行われて印字済み媒体Tが形成される。印字済み媒体Tは切断部31によって切断されて例えば印字ラベル等の印刷物となった後、排出口4から筐体200外へ排出される。
【0050】
その際、ユーザの用途や好みによって、どのような形で印字済み媒体Tを切断したいかが異なる場合がある。そこで、本実施の形態においては、筐体200にアクション検出センサ9が設けられるとともに、CPU111がその検出結果に応じて切断部31の動作を制御する。これにより、例えば、図6に示すように、ユーザがそのアクション検出センサ9の前に手をかざしてその手を検出対象としてアクション検出センサ9に検出させることで、切断部31に対しユーザの意図する動作をさせることが可能となる。
【0051】
この結果、例えば印字ラベル作成装置1に接続された操作端末の画面や印字ラベル作成装置1に備えられた画面において、例えば、図7に示すような設定画面により、ユーザが切断設定を行う場合に比べ、操作労力負担を低減することができる。
【0052】
また、特に、本願発明においては、アクション検出センサ9が排出口4の下方に配置されている。これにより、例えばユーザがアクション検出センサ9に手をかざして上記の操作を行った状態で、そのまま、排出口4から排出されてくる上記印刷物を手で受け取ることができるので、ワンアクションで切断部31の操作+受け取りを行うことができ、さらに利便性が向上する。さらに、排出口4から排出される印刷物自体をアクション検出センサ9で検出させ、それによって切断部31を操作することも可能となる。
【0053】
したがって、CPU111は、切断部31による印字済み媒体Tへの切断を行うか行わないかを制御する。以下、図8のフロー図を参照して、上記印刷プログラムに基づきCPU111が実行する制御ルーチンの一例を説明する。
【0054】
<ラベル作成処理>
CPU111は、ユーザが端末118を操作して印字ラベル作成装置1による所定のラベル作成操作が行われ、ユーザが作成した印刷物L1〜L4に対する印字データを端末118から受信すると、CPU111は、駆動回路119Bを介して搬送用モータ121の駆動力によってテープ送りローラ22及びリボン巻取りローラ107を回転駆動させるとともに、駆動回路119Eを介してテープ排出モータ124の駆動力によって駆動ローラ51を回転駆動させる。
【0055】
これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されテープ送りローラ22へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出され、これら基材テープ101とカバーフィルム103とがテープ送りローラ22及びテープ圧接ローラ24により接着されて一体化されて印字済み媒体Tとして形成され、カートリッジ12外方向からさらに印字ラベル作成装置1の外方向へと搬送される。
【0056】
この搬送状態において、ステップS1において、CPU111は、端末118から取得した印字データに基づき、適宜の公知の手法(パルスモータである搬送用モータ121を駆動する駆動回路119Bの出力するパルス数をカウントする等)により、カバーフィルム103が、印字ヘッド21による印字開始位置まで到達したか否かを判定する。CPU111は、印字開始位置に到達せずに判定が満たされない場合(No)にはループ待機し、印字開始位置に到達して判定が満たされた場合(Yes)にはステップS2に処理を移す。
【0057】
ステップS2では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し駆動回路119Aに制御信号を出力し、印字ヘッド21を通電して、カバーフィルム103のうち前述した印字領域に、取得した印字データに対応した文字、記号、バーコード等の印字(例えば、印刷物L1の文字「ABCDE」)Rの印刷を開始する。
【0058】
その後、CPU111は、ステップS3に処理を移し、上記印字データに基づき、印字済み媒体Tが印字終了位置まで搬送されたかどうかを判定する。このときの判定も、前述と同様、公知の方法で検出すればよい。CPU111は、印字終了位置に到達せずに判定が満たされない場合(No)にはループ待機し、印字終了位置に到達して判定が満たされた場合(Yes)にはステップS4に処理を移す。
【0059】
ステップS4では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し駆動回路119Aにも制御信号を出力し、印字ヘッド21の通電を停止して、印字Rの印字(文字「ABCDE」の印字)を停止する。これによって、1枚の印刷物L1の印字領域に対する印字Rの印字が完了する。その後、CPU111は、ステップS5に処理を移す。
【0060】
ステップS5では、CPU111は、上記取得した印字データに基づき、この時点で作成している印刷物Lについての後端部のカット設定が、アクション検出センサ9を利用したフルカット機能が有効となっているかどうかを判定する。すなわち、上記取得した印字データにおいて、例えば、前述の図5(a)〜(b)に示された印刷物L1〜L4では、後端部の設定はフルカット設定となっている。このような場合に、CPU111は、図7に示した設定画面で、オートカット機能を有効としているのか、他のカット機能を有効としているのか等を判定する。CPU111は、例えば、オートカット機能を有効としていて判定が満たされない場合(No)にはステップS8へと処理をスキップし、オートカット機能を有効とせずに他の機能を有効として判定が満たされた場合(Yes)にはステップS6に処理を移す。
【0061】
ステップS6では、CPU111は、アクション検出センサ9からの検出信号を待機し、アクション検出センサ9からの検出信号を受信せずに判定が満たされない場合(No)にはループ待機し、例えば、図6に示すように、ユーザの手がかざされたことを検出して判定が満たされた場合(Yes)には、ステップS7へと処理を移す。なお、このステップS6が各請求項記載の取得手順に相当する。
【0062】
ステップS7では、CPU111は、アクション検出センサ9からの検出信号が所定時間継続しているか否かを判定する。ここで、CPU111は、例えば、1秒以上継続してアクション検出センサ9から検出信号を受信せず判定が満たされない場合(No)にはループ待機し、1秒以上継続してアクション検出センサ9から検出信号を受信して判定が満たされた場合(Yes)には、ステップS8へと処理を移す。
【0063】
ステップS8において、CPU111は、例えば、余白を含む所定のフルカット位置にまで印字済み媒体Tが搬送されたか否かを判定する。CPU111は、所定のフルカット位置にまで印字済み媒体Tが搬送されたと判定しなかった場合(No)には継続して印字済み媒体Tを搬送してループ待機し、所定のフルカット位置にまで印字済み媒体Tが搬送されたと判定した場合(Yes)にはステップS9へと処理を移す。すなわち、CPU111は、取得した印字データに基づき、ステップS1と同様の公知の手法により、印字済み媒体Tが、印刷物L1の余白を含む後端部(搬送方向に沿って印刷物L1に後続する印刷物L2との境界)に位置するフルカット位置まで搬送されたかどうかを判定する。言い換えれば、CPU111は、切断ユニット30の可動刃34がフルカット線CLに正対する位置まで、印字済み媒体Tが到達したかどうか、を判定する。フルカット位置に到達するまで判定が満たされず(No)ループ待機し、到達したら判定が満たされて(Yes)ステップS9に処理を移す。
【0064】
ステップS9では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し駆動回路119B及び駆動回路119Eに制御信号を出力し、搬送用モータ121及びテープ排出モータ124の駆動を停止して、テープ送りローラ22、リボン巻取りローラ107、駆動ローラ51の回転を停止する。これにより、カートリッジ12から繰り出された印字済み媒体Tが排出方向に移動する過程で、印刷物L1のフルカット線CLに切断ユニット30の可動刃34が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済み媒体Tの搬送が停止する。
【0065】
その後、ステップS10で、CPU111は、駆動回路119Cに制御信号を出力してカッタモータ122を駆動し、切断ユニット30の可動刃34を回動させて、印字済み媒体Tのカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び剥離紙101dを全て分断(=全切断)してフルカット線CLを形成するフルカット処理を行う。この切断ユニット30による分断によって印字済み媒体Tから切り離され、1つの印刷物Lが生成される。なお、このステップS10が各請求項記載の制御手順に相当する。その後、CPU111は、処理をステップS14に移す。
【0066】
なお、必要に応じて、CPU111は、入出力インターフェース113を介し駆動回路119B及び駆動回路119Eに制御信号を出力し、テープ送りローラ22、リボン巻取りローラ107、駆動ローラ51を回転駆動させて印字済み媒体Tの搬送を再開する。これにより、駆動ローラ51による搬送が開始されて、上記生成された印刷物Lが排出口4へ向かって搬送され、排出口4から印字ラベル作成装置1の外へと排出される。ここでの搬送は、例えば、印刷物Lの余白の長さや、カット位置から排出口4までの搬送経路の長さ等よって任意である。
【0067】
ステップS14では、CPU111は、取得した印字データに基づき、当該印字データに含まれるすべての印刷物L(例えば、次の印刷物L2〜L4)の作成が終了したか否かを判定する。全ラベルの作成がまだ終了していない場合には、判定が満たされず(NO)、ステップS1に処理を戻して同様の手順を繰り返す。全ラベルの作成が終了していた場合は判定が満たされ(Yes)、このフローを終了する。
【0068】
以上の制御により、ステップS1〜ステップS10及びステップS14、を繰り返しつつ対応する所定の印字Rを備えた印刷物L1〜L4が順次生成され、最終的に印字ラベル作成装置1に割り当てられた全ての印刷物L1〜L4が生成される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態においては、カバーフィルム103を搬送させるためのテープ送りローラ駆動軸109と、テープ送りローラ駆動軸109により搬送されるカバーフィルム103に印字Rを形成し、印字済み媒体Tとする印字ヘッド21と、印字済み媒体Tを切断(フルカット)する切断部31と、テープ送りローラ駆動軸109、印字ヘッド21、及び切断部31を内包する筐体200と、筐体200に設けられ、印字済み媒体Tを筐体200の内部から筐体200の外部へ排出する排出口4と、筐体200のうち排出口4の下方に設けられ、筐体200の外部に位置する検出対象(例えば、ユーザの手、印字済み媒体T)を非接触にて検出するアクション検出センサ9を有する印字ラベル作成装置1に備えられたCPU111は、アクション検出センサ9の検出結果を取得(ステップS6)し、取得された検出結果に応じて切断部31の動作を制御(ステップS7)、を実行する。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような他の例を、順を追って説明する。
【0071】
(1)ハーフカットがある場合
次に、本実施形態に係る印字ラベル作成装置1の他の例を図9図13に基づいて説明する。この例では、フルカット機能に加え、所謂ハーフカット機能を備えたものである。したがって、切断ユニット30を除く他の構成並びに機能は、上記図3図7に示した構成並びに機能と同一(若しくは実質同一)であるため、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0072】
<内部ユニット>
図8に示すように、印字ラベル作成装置1の内部ユニットは、概略的には、カートリッジ12を収納するカートリッジホルダ13と、印字手段としての印字ヘッド(サーマルヘッド)21を有する印字機構20と、切断ユニット30と、ラベル排出機構(図示せず)と、を備える。
【0073】
切断ユニット30は、印字済み媒体Tをフルカットする切断部(切断手段)31と、印字済み媒体Tを厚さ方向に部分的にハーフカットする半切断部(半切断手段)32と、を備える。なお、切断部31の構成は上記と同一である。
【0074】
半切断部32は、印字済み媒体Tが間に位置するように、受け台35及びハーフカッタ36が対向して配置されている。ハーフカッタ36は、所定の回動支点(図示せず)を中心として、ハーフカッタモータ123(後述の図4参照)の駆動力によって回動する。これによりハーフカッタ36は、受け台35と協働して、印字済み媒体Tのうち、剥離紙101dを残しつつ、剥離紙101dを除く他の層を厚さ方向に分断(半切断)搬送方向に沿ってラベル後端部となる部位にハーフカット線HC(後述の図10(c)〜図10(e)を参照)を形成する。なお、上記とは逆に、ハーフカッタ36が、印字済み媒体Tのうち剥離紙101dのみを分断するようにしてもよい。この場合は、図3中における印字済み媒体Tを挟んだハーフカッタ36と受け台35との位置関係が逆になる。なお、詳細は後述するが、図10(c)〜図10(e)に示すハーフカット線HCは、図面の表現上において破線としているが、一面側から物理的に見た場合には実線状である。また、ハーフカット線HCは、両面側の何れから物理的に見た場合にミシン目状に形成してもよい。この場合、切断部分は厚さ方向に全切断(分断)とするとともに、その他の部分は非切断とする。
【0075】
<内部ユニットの動作>
上記構成の内部ユニットにおいて、生成された印字済み媒体Tは、切断ユニット30により全切断又は半切断が行われ、印刷物Lが生成される。この印刷物Lは、その後さらに上記ラベル排出機構によって排出口4(図2参照)から排出される。
【0076】
<印字ラベル作成装置の制御系>
印字ラベル作成装置1の制御系を、図10を用いて説明する。上記図4と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。入出力インターフェース113には、端末118と、印字ヘッド21を駆動するための駆動回路119Aと、搬送用モータ121を駆動するための駆動回路119Bと、カッタモータ122を駆動するための駆動回路119Cと、ハーフカッタモータ123を駆動するための駆動回路119Dと、テープ排出モータ124を駆動するための駆動回路119Eとが接続されている。
【0077】
ROM116には、印字ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
【0078】
入出力インターフェース113には、端末118と、印字ヘッド21を駆動するための駆動回路119Aと、搬送用モータ121を駆動するための駆動回路119Bと、カッタモータ122を駆動するための駆動回路119Cと、ハーフカッタモータ123を駆動するための駆動回路119Dと、テープ排出モータ124を駆動するための駆動回路119Eとが接続されている。
【0079】
このような制御回路110を核とする制御系において、端末118を介して文字データ等の上記印字データが入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、印字ヘッド21が駆動回路119Aを介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ121が駆動回路119Bを介してテープの搬送制御を行う。
【0080】
印字ラベル作成装置1により印字済み媒体Tを用いて作成された印刷物Lの例(この例では、印刷物L1〜L4の4種類)を、図11(a)〜図11(e)により説明する。
【0081】
図11(a)〜図11(e)に示す各印刷物L1〜L4において、カバーフィルム103に印字Rが印刷される印字領域(例えば、文字数やフォントサイズ等に応じた上下左右の余白を除く範囲)が含まれている。図11に示した印刷物L1〜L4では、その印字領域におけるカバーフィルム103の裏面に、所望の印字Rがそれぞれ印刷されている。図11に示す印刷物L1は、印字領域に文字「ABCDE」の印字Rが印刷されている。図11に示す印刷物L2では、印字領域に文字「F」の印字Rが印刷されている。図11に示す印刷物L3では、印字領域に文字「GHJ」の印字Rが印刷されている。図11に示す印刷物L4では、印字領域に文字「MNOP」の印字Rが印刷されている。すなわち、印刷物L1〜L4は、この例では、互いに印刷内容がそれぞれ異なっており、その結果として、搬送方向に沿った長さ(ラベル長)がそれぞれ異なっている。
【0082】
また、印刷物L1〜L4は、互いの境界において印字済み媒体Tへの切断を行うか行わないかを切り替えることにより、例えば、図11(b)に示すように、4つの全てをフルカットとすることでバラバラの状態とする場合のほか、図11(c)に示すように、4つの全てをハーフカットとすることで一連の状態とする場合、図11(d)や図11(e)に示すように、2〜3枚にフルカットとハーフカットとを混在させる場合、のようにユーザの用途や好みに応じて印字済み媒体Tを切断・連結することができる。
【0083】
このように、印字済み媒体Tを厚さ方向に部分的に切断する半切断部32(ハーフカッタ)をさらに有し、CPU111は、アクション検出センサ9の検出結果に応じて、切断部31及び半切断部32の動作を制御することも可能である。すなわち、CPU111は、切断部31及び半切断部32による印字済み媒体Tへの切断の態様(フルカットON・OFF及びハーフカットON・OFF)を制御する。
【0084】
これにより、ユーザの用途や好みに応じて、印刷物を1つずつバラバラで排出させたり、複数の印刷物を互いに連続した態様で排出させたり、等が可能となり、さらに利便性を向上することができる。特に排出口4から排出される印刷物自体をアクション検出センサ9で検出させる場合には、検出されない間は印字済み媒体Tを半切断部32により半切断することで複数の印刷物を連続させた状態で排出口4から徐々に垂れ下がらせ、垂れ下がった複数の印刷物がアクション検出センサ9で検出されたら印字済み媒体Tを切断部31により切断(全切断)することもできる。
【0085】
ここで、CPU111は、例えば、上記図6に示すようにユーザが比較的長い時間だけ手をかざしている状態と、図13に示すようにユーザが比較的短い時間だけ手をかざしている状態と、のように、アクション検出センサ9が検出対象であるユーザの手を検出している時間(ex.1秒以上か1秒未満か)に応じて、切断の態様を制御する。
【0086】
このような構成において、図12に示すように、CPU111は、上述したステップS1〜ステップS4、ステップS6、ステップS8〜ステップS10及びステップS14に加え、ハーフカット処理のためのステップS5、ステップS7及びステップS11〜ステップS13の処理を上記印刷プログラムに基づき実行する。なお、上記ステップS1〜ステップS4、ステップS6、ステップS8〜ステップS10及びステップS14の処理は上記と同一(若しくは実質的に同一)である。
【0087】
ステップS5では、CPU111は、上記取得した印字データに基づき、この時点で作成している印刷物Lについての後端部のカット設定が、アクション検出センサ9を利用したフルカット機能が有効となっているかどうかを判定する。すなわち、上記取得した印字データにおいて、例えば、前述の図7に示す設定画面において、ハーフカット機能を有効としている。このような場合に、CPU111は、オートカット機能を有効としているのか、他のカット機能を有効としているのか等を判定する。CPU111は、例えば、オートカット機能を有効としていて判定が満たされない場合(No)にはステップS8へと処理をスキップし、オートカット機能を有効とせずに他の機能を有効として判定が満たされた場合(Yes)にはステップS6に処理を移す。
【0088】
ステップS6では、CPU111は、アクション検出センサ9からの検出信号を待機し、アクション検出センサ9からの検出信号を受信せずに判定が満たされない場合(No)にはループ待機し、例えば、図6に示すように、ユーザの手がかざされたことを検出して判定が満たされた場合(Yes)には、ステップS7へと処理を移す。なお、前述と同様、ステップS6が各請求項記載の取得手順に相当する。
【0089】
ステップS7では、CPU111は、アクション検出センサ9からの検出信号が所定時間継続しているか否かを判定する。ここで、CPU111は、例えば、図6に示すように、印刷物L1をフルカットして手で受け取る場合には、基本的には上述したステップS8〜ステップS10の処理を実行するまで手をかざしている必要があるため、結果的に1秒以上継続して検出信号をアクション検出センサ9から受信していることとなる。これに対し、例えば、図13に示すように、アクション検出センサ9の前を通過するように手をかざした場合、結果的に1秒未満の瞬間的な検出信号をアクション検出センサ9から受信していることとなる。したがって、このような動作の違いを切断態様が異なるユーザの要望として判定し、ステップS6の判定後の継続時間が所定時間以上継続しているとの判定が満たされない場合(No)にはステップS11へと処理を移し、ステップS6の判定後の継続時間が所定時間以上継続しているとの判定が満たされた場合(Yes)にはステップS8へと処理を移し、上述したフルカットを実行する。
【0090】
ステップS11では、CPU111は、取得した印字データに基づき、ステップS1と同様の公知の手法により、印字済み媒体Tが、印刷物L1の後端部(搬送方向に沿って印刷物L1に後続する印刷物L2との境界)に位置するハーフカット位置まで搬送されたかどうかを判定する。言い換えれば、CPU111は、半切断部32のハーフカッタ36がハーフカット線HCに正対する位置まで、印字済み媒体Tが到達したかどうか、を判定する。ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされず(No)ループ待機し、到達したら判定が満たされて(Yes)ステップS12に処理を移す。
【0091】
ステップS12では、CPU111は、ステップS9と同様にして、テープ送りローラ22、リボン巻取りローラ107、駆動ローラ51の回転を停止して印字済み媒体Tの搬送を停止する。これにより、印刷物L1のハーフカット線HCに半切断部32のハーフカッタ36が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済み媒体Tの搬送が停止する。
【0092】
その後、ステップS13で、CPU111は、入出力インターフェース113を介し駆動回路119Dに制御信号を出力してハーフカッタモータ123を駆動し、ハーフカッタ36を回動させて、印字済み媒体Tのカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101cを分断(=半切断)してハーフカット線HCを形成するハーフカット処理を行う。この半切断部32による分断によって(搬送方向後端側の印字済み媒体Tから切り離されず連結された状態の)1つの印刷物L1が生成される。なお、前述と同様のステップS10とこのステップS13とが、各請求項記載の制御手順に相当する。その後、ステップS14に処理を移す。
【0093】
以降、CPU111は、ユーザの手かざし操作に伴うアクション検出センサ9の検出時間の長短に応じて、図11(c)〜図11(e)に示すように、ハーフカットのみ、ハーフカットとフルカットとの併用、を任意に実行することができ、操作労力負担を低減しつつ、ユーザの用途や好みに応じて印字済み媒体T(印刷物L1〜L4)を切断することができる。
【0094】
(2)アクション検出センサ9が距離センサである場合
すなわち、アクション検出センサ9を距離センサとすることにより、CPU111は、距離センサにより検出された検出対象までの距離に応じて、切断の態様を制御することも可能である。
【0095】
このような場合は、例えば、図6に示した手の位置は、印刷物L1〜L4を受け取るために排出口4に近い位置となる。一方、図13に示した手の位置は、印刷物L1〜L4を受け取らないため、排出口4から遠い位置でも問題は発生しない。したがって、手をかざしている時間に変えて、手までの距離に置き換えてフルカット・ハーフカットを制御することが可能となる。
【0096】
(3)アクション検出センサ9を複数配置した場合
すなわち、図14に示すように、アクション検出センサ9を排出口4の下方に、上下方向に3つのアクション検出センサ9A〜9Cとし、その組み合わせに応じてCPU111による切断の態様を制御することも可能である。
【0097】
例えば、上述したステップS6において、3つのアクション検出センサ9A〜9Cの何れも何も検出していない状態ではそのまま待機し、そのうえで、最下位のアクション検出センサ9Cを基準に上述した図6の操作もしくは図13の操作を待機する。
【0098】
一方、上述したステップS6において、最上位のアクション検出センサ9Aが切断前の印字済み媒体Tを検出していれば、その他のアクション検出センサ9B〜9Cが所定時間経過しても何も検出していなければ、図7に示した機能を優先してフルカット(若しくはハーフカット)を実行したうえで、次の印刷物Lの印字に移行する。
【0099】
さらに、上述したステップS6において、最上位のアクション検出センサ9Aが切断前の印字済み媒体Tを検出した状態で、最下位のアクション検出センサ9Cがユーザの手を検出したときには、ステップS7において、図6の操作もしくは図13の操作に応じたフルカット若しくはハーフカットを実行する。なお、最上位及び中位のアクション検出センサ9A,9Bが切断前の印字済み媒体Tを検出した状態で、最下位のアクション検出センサ9Cがユーザの手を検出したときにはフルカットを行う。
【0100】
なお、以上において、図4図10に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0101】
また、図8図12に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0102】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0103】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0104】
1(1A〜1C) 印字ラベル作成装置(印刷装置)
4 排出口
9 アクション検出センサ(検出手段)
21 印字ヘッド(印字手段)
31 切断部(切断手段・フルカッタ)
32 半切断部(半切断手段・ハーフカッタ)
103 カバーフィルム(被印字媒体)
108 テープ送りローラ駆動軸(搬送手段)
111 CPU(制御手段)
118 端末(操作端末)
200 筐体
L 印刷物(L1〜L4)
R 印字
T 印字済み媒体
図1
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図7
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