特許第6929557号(P6929557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社兼古製作所の特許一覧

<>
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000002
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000003
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000004
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000005
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000006
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000007
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000008
  • 特許6929557-ラチェットドライバー 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929557
(24)【登録日】2021年8月13日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】ラチェットドライバー
(51)【国際特許分類】
   B25B 15/04 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
   B25B15/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-222306(P2018-222306)
(22)【出願日】2018年11月28日
(65)【公開番号】特開2020-82296(P2020-82296A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2019年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591057441
【氏名又は名称】株式会社兼古製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】兼古 耕一
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−057177(JP,A)
【文献】 特開平09−295276(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3104593(JP,U)
【文献】 実開昭51−068095(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラチェット機構部を備えるグリップ体と、このグリップ体に設けられるドライバー軸部とから成るラチェットドライバーであって、前記グリップ体は、前記ドライバー軸部が設けられる先端側グリップ部と、この先端側グリップ部に前記ラチェット機構部を介して相対回動自在に連結される基端側グリップ部とから成り、前記ラチェット機構部は、ラチェット機構が収容されるラチェット機構収容部と、このラチェット機構収容部内の前記ラチェット機構を切り替え操作する回動方向切替操作部とを備え、この回動方向切替操作部は、周面に前記ラチェット機構を切り替え操作する操作片部が突設された環体であり、また、この操作片部を前記グリップ体を握持した手の指で押動することで前記回動方向切替操作部を回動操作して前記ラチェット機構の切り替えが行われるように構成され、さらに、この回動方向切替操作部は、開口部を有するカバー部で覆われており、また、このカバー部の開口部から前記操作片部が露出するように構成され、前記開口部の開口幅長は、前記操作片部の回動範囲と同じに設定されていることを特徴とするラチェットドライバー。
【請求項2】
請求項1記載のラチェットドライバーにおいて、前記回動方向切替操作部の回動操作は、前記ドライバー軸部を鉛直にした場合、水平回動操作となるように設定されていることを特徴とするラチェットドライバー。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載のラチェットドライバーにおいて、前記カバー部は、前記基端側グリップ部に一体的に設けられていることを特徴とするラチェットドライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラチェットドライバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラチェットドライバーには、図7に示すように、グリップ20の先端部にグリップ20の回動方向を切り替える切替スイッチ21が設けられているタイプのもの(以下「従来例」という。)がある。
【0003】
従来例は、このようにグリップ20の先端部に回動操作する切替スイッチ21が設けられているから、グリップ20を握ったまま切替スイッチ21を指で容易に操作することができ、作業中にネジを回す方向を変更する際にも一々ドライバーを持ち替えなくても指で切替スイッチ21を操作できるメリットがある。
【0004】
しかしながら、この従来例は、図8に示すように、グリップ20を握持した際に、このグリップ20を握持した手の指が丁度切替スイッチ21のところに位置してしまうため、グリップ20を回動操作している際に切替スイッチ21を誤操作してしまうことがある。
【0005】
そのため、グリップ20を回動操作する際は、できるだけ切替スイッチ21に指が触れないようにしてグリップ20を握持したり、切替スイッチ21を誤操作させないように気を付けて操作することになり、しっかりとグリップ20を握持した状態での回動操作がし難いという欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、グリップ部の回動操作中に切替スイッチを誤操作することがないラチェットドライバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
ラチェット機構部6を備えるグリップ体7と、このグリップ体7に設けられるドライバー軸部1とから成るラチェットドライバーであって、前記グリップ体7は、前記ドライバー軸部1が設けられる先端側グリップ部2と、この先端側グリップ部2に前記ラチェット機構部6を介して相対回動自在に連結される基端側グリップ部3とから成り、前記ラチェット機構部6は、ラチェット機構が収容されるラチェット機構収容部8と、このラチェット機構収容部8内の前記ラチェット機構を切り替え操作する回動方向切替操作部4とを備え、この回動方向切替操作部4は、周面に前記ラチェット機構を切り替え操作する操作片部4aが突設された環体であり、また、この操作片部4aを前記グリップ体7を握持した手の指で押動することで前記回動方向切替操作部4を回動操作して前記ラチェット機構の切り替えが行われるように構成され、さらに、この回動方向切替操作部4は、開口部5aを有するカバー部5で覆われており、また、このカバー部5の開口部5aから前記操作片部4aが露出するように構成され、前記開口部5aの開口幅長lは、前記操作片部4aの回動範囲と同じに設定されていることを特徴とするラチェットドライバーに係るものである。
【0009】
また、請求項1記載のラチェットドライバーにおいて、前記回動方向切替操作部4の回動操作は、前記ドライバー軸部1を鉛直にした場合、水平回動操作となるように設定されていることを特徴とするラチェットドライバーに係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のラチェットドライバーにおいて、前記カバー部5は、前記基端側グリップ部3に一体的に設けられていることを特徴とするラチェットドライバーに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、グリップ部を握持する手の指が回動方向切替操作部に触れることなくグリップ部を握持することができ、これにより、グリップ部の回動操作中、即ちネジの締め付け作業若しくは緩め作業中にグリップ部を握持している手の指で誤って回動方向切替操作部を操作してしまい回動方向切替操作部を誤作動させてしまうことがない使い勝手の良いラチェットドライバーとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施例を示す正面図である。
図2】本実施例の要部を示す説明分解斜視図である。
図3】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図4】本実施例のラチェット機構(ニュートラル状態)を示す説明断面図である。
図5】本実施例のラチェット機構(ネジ締め付け状態)を示す説明断面図である。
図6】本実施例のラチェット機構(ネジ緩め状態)を示す説明断面図である。
図7】従来例を示す正面図である。
図8】従来例の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0014】
回動方向切替操作部4は、ドライバー軸取付部2とグリップ部3との間(境界部)に回動自在に設けられ、グリップ部3を握持したままこのグリップ部3を握持している手の指で操作することができる。
【0015】
また、回動方向切替操作部4は、開口部5aを有するカバー部5で覆われ、このカバー部5の開口部5aから回動方向切替操作部4の一部が露出している。
【0016】
したがって、この開口部5aを避けるようにしてグリップ部3を握持することで、このグリップ部3を握持する手の指がカバー部5に当接し、よって、指が回動方向切替操作部4に触れることはない。
【0017】
すなわち、グリップ部3の回動操作の際、言い換えるとネジの締め付け作業若しくは緩め作業の際、このグリップ部3を握持している指で回動方向切替操作部4を誤って操作してしまうことがなく、回動操作中(作業中)の回動方向切替操作部4の誤作動が生じない。よって、回動方向切替操作部4の誤作動を気にすることなく、しっかりとグリップ部3を握持して作業することができる。
【0018】
以上のように、本発明は、グリップ部3を握持する手の指が回動方向切替操作部4に触れることなくグリップ部3をしっかりと握持することができ、グリップ部3の回動操作中、即ちネジの締め付け作業若しくは緩め作業中にグリップ部3を握持している手の指で誤って回動方向切替操作部4を操作してしまい回動方向切替操作部4を誤作動させてしまうことがない使い勝手の良いラチェットドライバーとなる。
【実施例】
【0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、ドライバー軸部1が設けられるドライバー軸取付部2と、このドライバー軸取付部2にラチェット機構を介して相対回動自在に設けられるグリップ部3とから成るラチェットドライバーである。
【0021】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0022】
ドライバー軸部1は、適宜な金属製部材(例えば鋼材)から成る棒状体に形成され、先端部にはビット1aが設けられている。
【0023】
具体的には、ドライバー軸部1は、両端部に異なる形状のビット1a(例えば一端にプラスネジ用ビット、他端にマイナスネジ用ビット)が設けられ、ドライバー軸取付部2に着脱自在に設けられ、ドライバー軸取付部2から取り外して所望のビット1aに自在に切り替えることができるように構成されている。
【0024】
尚、ビット形状は適宜変更可能であり、また、一端にのみビット1aが設けられ、異なる形状のビット1aが設けられた他のドライバー軸部1と差し替え自在な構成としても良い。
【0025】
また、ドライバー軸取付部2は、先端部に前述のドライバー軸部1が回り止め状態で着脱自在に嵌着されるドライバー軸嵌着部(図示省略)が設けられ、基端部に後述するラチェット機構部6が回り止め状態で係合されるラチェット機構係合部(図示省略)が設けられている。
【0026】
具体的には、ドライバー軸嵌着部は、ドライバー軸部1の端部を嵌入係止し得る凹部若しくは挿入孔に形成されている。
【0027】
また、ラチェット機構係合部は、凹部に形成され、ラチェット機構部6の先端部が嵌入し連結される構成とされている。
【0028】
また、ドライバー軸取付部2は、合成樹脂製(例えば強化プラスチック製)であり、外周面が滑り止め部材(例えばゴム製部材)で被覆され、使用者がこのドライバー軸取付部2をグリップ(先端側グリップ部2)として、指先でつまみ操作したり握持して回動操作したりすることができるように構成されている。
【0029】
即ち、本実施例は、このドライバー軸取付部2を先端側グリップ部2として、後述するグリップ部3(基端側グリップ部3)と共にグリップ体7を形成する構成とされている。
【0030】
また、グリップ部3は、前述した先端側グリップ部2とで後述する回動方向切替操作部4を挟持するようにして、ラチェット機構部6を介してドライバー軸取付部2に相対回動自在に設けられている。
【0031】
具体的には、グリップ部3は、合成樹脂製(例えば強化プラスチック製)であり、図1に示すように、ほぼ球状に形成されボールグリップタイプ(ラウンドグリップタイプ)に構成されている。
【0032】
また、グリップ部3は、ドライバー軸取付部2同様、外周面が滑り止め部材(例えばゴム製部材)で被覆され、更に、先端部にはラチェット機構部6の基端部が回り止め状態で係合されるラチェット機構係合部3aが設けられている。
【0033】
また、前述したドライバー軸取付部2及びグリップ部3を相対回動自在に連結するラチェット機構部6、言い換えると、グリップ体7を形成する先端側グリップ部2及び基端側グリップ部3を相対回動自在に連結するラチェット機構部6は、ラチェット機構が収容されるラチェット機構収容部8と、このラチェット機構収容部8の先端側に設けられ前述したドライバー軸取付部2、即ち先端側グリップ部2と回り止め状態で連結する先端側グリップ連結部(図示省略)と、ラチェット機構収容部8の基端側に設けられグリップ部3(基端側グリップ部3)と回り止め状態で連結する基端側グリップ連結部9と、ラチェット機構収容部8内のラチェット機構を切り替え操作するため、言い換えるとドライバー軸部1の回動方向を切り替え操作するための回動方向切替操作部4とで構成されている。
【0034】
具体的には、基端側グリップ連結部9はラチェット機構収容部8と一体に設けられ、また、先端側グリップ連結部はラチェット機構収容部8に対して回動自在に設けられ、これにより、この先端側グリップ連結部に設けられるドライバー軸取付部2(先端側グリップ部2)に対して基端側グリップ連結部9に設けられるグリップ部3(基端側グリップ部3)が相対回動自在に設けられる構成となっている。
【0035】
また、ラチェット機構収容部8に対する先端側グリップ連結部の回動方向は、回動方向切替操作部4の回動操作により切り替えられる構成とされている。
【0036】
この回動方向切替操作部4は、環状(筒状)に形成され、ラチェット機構収容部8の外周面に被嵌されるものである。すなわち、ドライバー軸取付部2(先端側グリップ部2)とグリップ部3(基端側グリップ部3)との間に配設され、ラチェット機構収容部8の周方向に回動操作自在に設けられている。
【0037】
また、回動方向切替操作部4は、図2に示すように、周面に操作片部4aが突設され、本実施例は、ラチェット機構を切り替える際、即ちドライバー軸部1の回動規制方向を設定する際、この操作片部4aを指で操作して回動方向切替操作部4を回動操作しラチェット機構を切り替え操作する構成とされている。
【0038】
また更に、回動方向切替操作部4は、図1に示すように、開口部5aを有するカバー部5で覆われ、グリップ部3を握持した際に、このカバー部5により、グリップ部3を握持している手の指が回動方向切替操作部4に触れることを防止し、グリップ部3を回動操作している際に回動方向切替操作部4を誤操作しないように構成されている。
【0039】
このカバー部5は、使用者がグリップ部3を回動操作するためにこのグリップ部3を握持した際、このグリップ部3を握持した手の指が当たる位置に設けられている。
【0040】
具体的には、カバー部5は、開口部5aが回動方向切替操作部4の操作片部4aを含むこの操作片部4aの操作範囲部(可動領域)に位置するようにして回動方向切替操作部4を囲繞するように設けられている。
【0041】
また、このカバー部5に設けられる開口部5aは、使用者がグリップ部3を回動操作するためにこのグリップ部3を握持した際、このグリップ部3を握持した手の親指と人差し指の間に位置するように設けられている。
【0042】
具体的には、開口部5aの開口幅長lが回動方向切替操作部4の回動範囲となる。
【0043】
即ち、カバー部5は、回動方向切替操作部4の露出範囲を可及的に低減するために開口部5aの開口幅長lを回動方向切替操作部4を切り替え操作するために必要な最小限の長さに設定し、グリップ部3を握持した際、このグリップ部3を握持した手の指が回動方向切替操作部4に触れることを可及的に防止する構成とされている。
【0044】
また、カバー部5は、図2に示すように、グリップ部3(基端側グリップ部3)の先端部にこのグリップ部3と一体形成されると共に、グリップ体7を握持した際、段差等で違和感が生じて握時しにくくならないように、先端側グリップ部2(ドライバー軸取付部2)及び基端側グリップ部3(グリップ部3)と一体的になるようグリップ体7の全体形状に合わせて緩やかな先細り形状に形成されている。
【0045】
また、本実施例のラチェット機構は一般的な機構である。以下、簡単に説明する。
【0046】
本実施例のラチェット機構は、図示するように、収容部が断面視略三角おにぎり形状に形成されるラチェット機構収容部8と、このラチェット機構収容部8に対して相対回動自在に設けられラチェット機構部6の先端側グリップ連結部と連結される回動部材10と、グリップ部3の回動操作による駆動力を回動部材10に伝達する駆動伝達部材11と、この駆動伝達部材11を押動操作し回動部材10との結合状態(歯合状態)を切り替える押動部材12とから成り、駆動伝達部材11の回動部材10との結合状態(歯合状態)により、グリップ部3から回動部材10への駆動力の伝達状態が変わり、ドライバー軸部1の回動方向が所定方向に規制されるように構成されている。
【0047】
具体的には、本実施例のラチェット機構は、駆動伝達部材11が、付勢体11a(例えばコイルばね等)と、この付勢体11aを介して連結され回動部材10に歯合する左右一対の係止爪11bとで構成され、この駆動伝達部材11は、グリップ部3の回動操作により一方の係止爪11bがラチェット機構収容部8の収容部内面に押動されて回動部材10との歯合状態が解除されるように構成されていて、この左右一対の夫々の係止爪11bの回動部材10に対する歯合状態により、グリップ部3から回動部材10への駆動力の伝達状態が変わり、ドライバー軸部1の回動方向が所定方向に規制されるように構成されている。
【0048】
図4は、回動方向切替操作部4がニュートラル位置にある状態のラチェット機構の状態、即ち、一般的なドライバーと同様、グリップ部3をいずれの回動方向に操作してもドライバー軸部1がその操作方向に回動する状態のラチェット機構の状態を示すものである。
【0049】
この回動方向切替操作部4がニュートラル位置にある場合は、押動部材12の駆動伝達部材11(係止爪11b)に対する押動作用がなく、グリップ部3を回動操作しない状態では左右の両係止爪11bが夫々回動部材10との歯合状態を保持し、グリップ部3を回動操作した際、ラチェット機構収容部8の収容部内面に押圧される係止爪11bは左右のいずれか一方のみでもう一方の係止爪11bの回動部材10との歯合状態が保持されるので、グリップ部3を時計回り及び反時計回りのいずれの方向に回動操作してもこのグリップ部3の回動操作による駆動力が左右いずれか一方の係止爪11bにより回動部材10に伝達され、図中の実線矢印方向にグリップ部3を回動操作するとその回動操作方向にドライバー軸部1が回動することとなる。
【0050】
図5は、回動方向切替操作部4をネジ締め付け側の位置に切り替え操作した状態のラチェット機構の状態、即ち、グリップ部3をネジ締め付け方向となる時計回りに回動操作した場合のみドライバー軸部1がその操作方向に回動する状態のラチェット機構の状態を示すものであり、また、図6は、回動方向切替操作部4をネジ緩め側の位置に切り替え操作した状態のラチェット機構の状態、即ち、グリップ部3をネジ緩め方向となる反時計回りに回動操作した場合のみドライバー軸部1がその操作方向に回動する状態のラチェット機構の状態を示すものである。
【0051】
この回動方向切替操作部4がネジ締め付け側の位置若しくはネジ緩め位置側に切り替え操作した場合は、この回動方向切替操作部4の切り替え操作に伴い押動部材12が回動方向切替操作部4の切り替え操作方向に移動し、その移動方向に位置する係止爪11bを押動し、この押動部材12に押動された係止爪11bの回動部材10との歯合状態が解除され、押動部材12に押動されていない一体の回動部材10で駆動力の伝達を行うこととなり、前述したように、この係止爪11bはグリップ部3の回動操作によるラチェット機構収容部8の収容部内面の押動作用により回動部材10との歯合状態が解除されるので、一体の係止爪11bではグリップ部3の時計回り若しくは反時計回りのいずれか一方の方向しか駆動力を伝達することができず、これにより、ドライバー軸部1の回動方向が一方向に規制され、グリップ部3を図中の実線矢印方向に回動操作した場合に駆動力が伝達してドライバー軸部1も回動し、点線矢印方向に回動操作した場合は駆動力が伝達されずグリップ部3が空転することとなりラチェット機能が発揮されることとなる。
【0052】
本実施例は、以上のように構成されているから、グリップ部3を握持する際に、図3に示すようにカバー部5に設けられた開口部5aを避けるようにしてグリップ部3を握持することで、このグリップ部3を握持する手の指がカバー部5に当接し、回動方向切替操作部4に触れることなくグリップ部3を握持することができ、したがって、グリップ部3を回動操作する際に、即ち、言い換えると本実施例を用いてネジの締め付け作業若しくは緩め作業を行う際に、このグリップ部3を握持している指で回動方向切替操作部4を誤って操作してしまうことが防止され、回動操作中(作業中)の回動方向切替操作部4の誤作動の発生が防止されることとなる。
【0053】
以上により、本実施例は、回動方向切替操作部4の誤作動を気にすることなく、しっかりとグリップ部3を握持してネジの締め付け若しくは緩め作業を行うことができる実用性に優れたラチェットドライバーとなる。
【0054】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0055】
1 ドライバー軸部
2 先端側グリップ部
3 基端側グリップ部
4 回動方向切替操作部
4a 操作片部
5 カバー部
5a 開口部
6 ラチェット機構部
7 グリップ体
8 ラチェット機構収容部
l 開口幅長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8