(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物理量の検出に基づいて識別信号を無線送信する無線センサ装置と、前記無線センサ装置が無線送信する識別信号を受信する無線受信装置とを備える無線センサシステムであり、
前記無線センサ装置は、
安定した固定電圧を出力する直流電圧源と抵抗と蓄積容量とが接続された回路部と、
前記回路部により得られた電圧を検出する、上限閾値電圧と下側閾値電圧が設定されたシュミットトリガー回路よりなる電圧検出回路と、
前記電圧検出回路が検出した電圧に基づいて予め設定された識別信号を無線送信する無線送信回路と、
前記直流電圧源とは別に用意した可変電圧源の電圧値と、前記抵抗の抵抗値と、前記蓄積容量の容量値と、前記電圧検出回路が検出する閾値との少なくともいずれか1つの値が、検出した物理量に相関して変化するセンサ素子とを備え、
シュミットトリガー回路よりなる前記電圧検出回路は、前記回路部により得られた電圧が前記上限閾値電圧に達したとき、検出信号を出力し、前記回路部により得られた電圧が前記下側閾値電圧に低下したとき、検出信号の出力を停止し、
前記無線送信回路は、前記検出信号が出力される間に、前記識別信号を無線送信することで、前記センサ素子が検出した物理量に相関した間隔で、前記無線送信回路が前記識別信号を前記無線受信装置に無線送信するようにし、
前記無線受信装置は、前記無線センサ装置の無線送信回路が無線送信した識別信号を受信する無線受信回路と、
前記無線受信回路が受信した識別信号の受信間隔を判別する受信間隔判別部と、
前記受信間隔判別部が判別した受信間隔から、物理量を計算する物理量計算部とを備えたことを特徴とする
無線センサシステム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.第1の実施の形態例]
以下、本発明の第1の実施の形態例を、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態例による無線センサシステムの例を示す構成図である。第1の実施の形態例は、本発明の基本的な構成の例を示すものである。
【0016】
無線センサシステムは、無線センサ装置10aと無線受信装置20とで構成される。無線センサ装置10aは、物理量を測定する場所に配置される。
無線センサ装置10aは、直流電圧源11と、抵抗12と、蓄積容量13とを備えた回路部を有し、直流電圧源11で得られた所定の直流電圧Vccが、抵抗12を介して電圧検出回路14及び無線送信回路15に供給される。直流電圧源11としては、例えば小型の電池が使用される。あるいは、直流電圧源11として、太陽光発電装置などの環境発電装置を使用してもよい。太陽光発電装置などの発電状態が不安定な発電装置を使用する場合には、例えば二次電池を併用して、安定して電源が得られるようにするのが好ましい。
蓄積容量13は、直流電圧源11と並列に接続されており、この蓄積容量13に直流電圧Vccが抵抗12を介して充電される。
【0017】
電圧検出回路14は、この蓄積容量13に充電された電圧Vstを検出し、電圧Vstの値に応じて検出信号を出力するシュミットトリガー回路である。すなわち、電圧検出回路14は、電圧Vstが上側閾値VHに達したとき、検出信号の出力を開始し、検出電圧Vstが下側閾値VLに低下したとき、検出信号の出力を停止する動作を行う。電圧検出回路14の検出信号は、無線送信回路15のイネーブル端子ENに供給する。
【0018】
無線送信回路15の電源入力端子V
DDには、Vstが供給されている。また、電圧検出回路14で検出された検出信号は、無線送信回路15のイネーブル端子ENに供給される。無線送信回路15は、イネーブル端子ENに検出信号が供給されるときに、電源入力端子V
DDに得られる電圧(電源)をエネルギーとして消費して送信処理を行う。無線送信回路15のアンテナ端子ANTは、送信用のアンテナ16に接続される。なお、無線送信回路15の接地電位部GNDは、直流電圧源11の接地電位部と接続されている。
【0019】
無線送信回路15は、送信処理部15aと、識別信号記憶部15bと、送信制御部15cとを備える。
図1の例では、識別信号記憶部15bは、送信制御部15cに内蔵される。そして、送信制御部15cの制御により、送信処理部15aは、識別信号記憶部15bに記憶された識別信号を所定の周波数帯で無線送信させる処理を行う。識別信号記憶部15bに記憶された識別信号は、1台ごとの無線センサ装置10aに付与された識別信号で、例えば無線送信回路に1台ずつ割り当てられているMACアドレス等でもかまわないし、送信制御部15cにあらかじめ記憶させておくこともできる。
【0020】
イネーブル端子ENに検出信号が供給されると、送信処理部15aに対して、無線送信処理の開始を指示する。例えば、イネーブル端子ENに得られる信号が、ローレベルからハイレベルに変化して検出信号の供給が開始されるタイミングで、送信制御部15cは無線送信回路15の初期化処理を実行し、その初期化処理の完了と同時に無線送信の実行を指示する。この指示を受信した送信処理部15aは、識別信号記憶部15bに記憶された識別信号を無線信号Sとして送信する処理を実行する。送信処理部15aが識別信号を無線信号Sとして送信処理する際には、識別信号のみを送信すればよいが、必要に応じてヘッダなどを付加して、そのペイロードとして識別信号を載せてもよい。
【0021】
この無線送信回路15での無線送信処理が実行されると、蓄積容量13から供給されるエネルギーが消費されるので、蓄積容量13から無線送信回路15に供給される電圧Vstが低下し、電圧検出回路14は下側閾値VLへの低下を検出する。この下側閾値VLへの低下が検出されると、電圧検出回路14からイネーブル端子ENへの検出信号の供給がなくなり、送信制御部15cは、無線送信回路15の動作を停止させる。無線送信回路15の動作が停止すると、無線センサ装置10a内でのエネルギー消費がなくなり、蓄積容量13に蓄積された電圧Vstが再び上昇する。そして、電圧Vstが上側閾値VHに達したとき、無線送信回路15における無線送信処理が再開される。
【0022】
このように、無線センサ装置10aは、蓄積容量13の電圧Vstの上昇及び下降に対応して、無線送信回路15が識別信号の送信を周期的に実行する。
ここで、無線センサ装置10aに使用されるセンサ素子としては、直流電圧源11と、抵抗12と、蓄積容量13と、電圧検出回路14の少なくともいずれか1つが、物理量の検出に相関して値が変化するセンサ素子が使用される。ここで、センサ素子の使用とは、直流電圧源11、抵抗12、蓄積容量13、又は電圧検出回路14のいずれかを直接にセンサ素子に置き換える場合と、直流電圧源11、抵抗12、蓄積容量13、又は電圧検出回路14にセンサ素子を接続する場合とがある。なお、具体的なセンサ素子の接続例については後述する。
【0023】
このように物理量を検出するセンサ素子を接続した無線センサ装置10aによると、そのセンサ素子が検出した物理量に応じて、無線送信回路15が無線信号Sを無線送信する間隔が変化するようになる。例えば、後述する
図3で説明するように、抵抗12として、物理量(温度)で抵抗値が変化するセンサ素子(サーミスタ)12aを使用することで、蓄積容量13の電圧Vstが上昇する速度が物理量(温度)により変化し、無線送信回路15が無線信号Sを送信する間隔が、物理量(温度)に相関した間隔になる。
【0024】
次に、無線センサ装置10aから送信した無線信号Sを受信する無線受信装置20の構成について説明する。
無線受信装置20は、アンテナ21が接続された無線受信回路22を備える。無線受信回路22は、無線信号Sを常時受信できる状態で待機しており、受信した無線信号Sを識別信号検出部23に供給する。識別信号検出部23は、無線信号Sに含まれる識別信号(MACアドレス等)を検出する。
図1では、無線信号Sを送信する無線センサ装置10aは1台のみを示すが、無線受信装置20は複数台の無線センサ装置10aからの無線信号Sを管理することができ、その場合には、識別信号検出部23は、それぞれの無線センサ装置10aに付与された識別信号を検出することになる。
【0025】
識別信号検出部23が識別信号を検出すると、識別信号検出部23は、その検出した識別信号の無線受信回路22における受信タイミングのデータを、受信間隔判別部24に供給する。受信間隔判別部24は、それぞれの識別信号の無線信号Sの受信間隔を判別し、判別した受信間隔のデータを物理量計算部25に供給する。物理量計算部25は、無線信号Sの中の各識別信号の受信間隔に基づいて、それぞれの無線センサ装置10a内のセンサ素子が検出した物理量を計算する。
【0026】
上述したように、無線センサ装置10aは、センサ素子が検出した物理量に応じて、無線信号Sの送信間隔が変化するので、無線受信装置20では、無線信号Sの受信間隔から、センサ素子が検出した物理量を計算することができる。無線信号Sの受信間隔から物理量を計算する際には、1回の受信間隔の値から直接物理量の値を得るようにしてもよいが、ある程度の時間内での受信間隔の平均値から、物理量の値を得るようにしてもよい。物理量計算部25が計算した物理量のデータは、例えば無線受信装置20に接続されたコンピュータ装置や外部のサーバなどに伝送されて、物理量のデータを受信した機器で物理量の変化の管理などが実行される。
【0027】
なお、
図1では、無線受信装置20が識別信号の検出から物理量の計算までを行うようにしたが、例えば無線受信装置20では無線信号の受信処理のみを行って、識別信号検出部23、受信間隔判別部24及び物理量計算部25での処理については、無線受信装置20に接続された外部のコンピュータ装置などの情報処理装置が実行するようにしてもよい。この場合、識別信号検出部23、受信間隔判別部24及び物理量計算部25については、該当する処理を実行するソフトウェアで実現してもよい。また、物理量計算部25では、間隔の値を演算式に代入して物理量を計算する処理の代わりに、間隔の値を物理量に変換する変換テーブルを用意して、その変換テーブルを参照することにより直接物理量を得るようにしてもよい。
【0028】
このように構成した無線センサ装置10aと無線受信装置20とを備えた無線センサシステムによると、無線センサ装置10aが低消費電力かつ低負荷で無線信号Sを送信できるようになる。すなわち、無線センサ装置10a内の無線送信回路15は、識別信号記憶部15bが記憶した識別信号を送信するだけでよい。つまり、常に同じ信号を繰り返し送信するだけでよいので、センサ素子の出力の増幅やデジタル変換などの電力を大きく消費する処理を必要としない。したがって、例えば直流電圧源11として、ボタン型電池のような小型の電池を使用した場合でも、無線センサ装置10aは、長期間連続稼動させることができる。また、センサ素子の出力の増幅やデジタル変換が不要であることから、無線センサ装置10aの構成が非常に簡単になり、様々な物理量を測定する無線センサ装置10aが、極めて安価かつ小型に構成できるようになる。無線送信回路15についても、測定データなどを送信パケットに付加する処理が不要であり、識別信号という常に同じ信号を送信するだけでよく、非常に簡単な送信処理で無線信号を送信できるようになる。
【0029】
また、無線受信装置20では、無線信号の受信間隔から物理量を取得するが、一時的な無線信号の受信欠落があっても、その欠落した時間の間の物理量を推定できるので、信頼性の高い物理量の取得が無線通信で可能になる。
すなわち、無線受信装置20で何らかの要因で一時的に無線信号を受信できない場合、その受信が欠落したことを推定して、適切に処理するようにできる。例えば長時間継続して受信していたときには、連続してほぼ同じ間隔で受信できる状態であり、ほぼ同じ間隔で受信した状態の中で1回受信が欠落したときには、無線伝送状態の不良などで受信できない状態が発生したことを比較的容易に推定することができ、補間処理などで適切な物理量を取得できるようになる。
あるいは、無線受信装置20側で取得した物理量の値が、一時的にその前後の物理量の値から大きく外れている場合には、受信の欠落によるエラーと推定でき、その大きく外れた物理量の測定値については、計測データから除去する処理を行うようにしてもよい。
【0030】
[2.第2の実施の形態例]
次に、本発明の第2の実施の形態例を、
図2〜
図9を参照して説明する。第2の実施の形態例を説明する
図2〜
図9において、第1の実施の形態例で説明した
図1と同一箇所には同一符号を付している。
まず、
図2に、本発明の第2の実施の形態例による無線センサシステムの基本構成を示す。
図2に示す無線センサ装置10bは、
図1に示す無線センサ装置10aと同様に、直流電圧源11、抵抗12、及び蓄積容量13からなる回路部と、蓄積容量13の電圧Vstを検出する電圧検出回路14とを備える。電圧検出回路14として、電圧Vstが上側閾値VHに到達したことを検出したとき検出信号を出力し、下側閾値VLに低下したとき、検出信号の出力を停止する点についても、
図1例と同じである。また、直流電圧源11、抵抗12、蓄積容量13、及び電圧検出回路14の少なくともいずれか1つが、物理量を検出するセンサ素子である点でも第1の実施の形態例と同様である。
【0031】
そして、電圧検出回路14が出力する検出信号は、電源回路17に供給される。ここで、電源回路17は、電圧安定化部17aと、電圧安定化部17aでの安定化動作を制御する電圧安定化制御部17bとを備える。電圧安定化制御部17bは、電圧検出回路14からイネーブル端子ENに検出信号が供給されると、電圧安定化部17aを作動させて、一定電圧に安定化した電源電圧を出力する。また、イネーブル端子ENに検出信号が供給されないときは、電圧安定化制御部17bは、電圧安定化部17aの動作を停止させ、電源回路17から電源電圧を出力させない。この電源回路17としては、例えばLDO(Low DropOut)と称される電源回路が適用可能である。
【0032】
電源回路17は、無線送信回路18の電源入力端子V
DDに電源電圧を供給する。無線送信回路18は、電源入力端子V
DDに得られる電圧(電源)をエネルギーとして消費して、無線信号Sの送信処理を行う回路であり、送信処理部18aと識別信号記憶部18bとを備える。無線送信回路18には、無線信号Sを送信するアンテナ16が接続されている。送信処理部18aは、電源入力端子V
DDに規定の範囲内の電圧が供給されると、その電源入力端子V
DDに得られる電圧(電源)をエネルギーとして消費して、無線信号Sの送信処理を行う。無線信号Sとしては、識別信号記憶部18bに記憶された識別信号が送信される。送信処理部18aが識別信号を無線信号Sとして送信処理する際には、識別信号のみを送信すればよいが、ヘッダなどのデータを付加してもよい点は、第1の実施の形態例の無線送信回路15と同じである。
なお、無線送信回路18及び電源回路17の接地電位部GNDは、直流電圧源11の接地電位部と接続されている。
【0033】
このように構成した無線センサ装置10bによると、第1の実施の形態例の無線センサ装置10aと同様に、無線センサ装置10bが内蔵したセンサ素子が検出した物理量に応じて、無線送信回路18が無線信号Sを無線送信する間隔が変化するようになる。すなわち、蓄積容量13の電圧Vstの変化に連動して、電源回路17が作動状態と非作動状態を繰り返し、電源回路17が起動するごとに、無線送信回路18が無線信号Sを送信する。このことは、センサ素子での物理量の検出状態に応じて、電源回路17が作動状態と非作動状態を繰り返す間隔が変化し、無線信号Sを送信する間隔が変化することを意味している。
【0034】
第2の実施の形態例の無線センサ装置10bの場合には、第2の実施の形態例で説明した効果に加えて、無線信号Sの送信が安定してできる効果を有する。すなわち、無線センサ装置10bは、無線送信回路18に供給される電源電圧V
DDが、電源回路17で安定化した電圧であるため、安定した一定電圧で送信処理を行うことができ、無線送信処理が安定して実行できるようになる。
無線受信装置20は、
図1に示す無線受信装置20と同様に構成され、無線信号Sを受信して、識別信号ごとの受信間隔から物理量を計算する。
【0035】
図3は、第2の実施の形態例の無線センサ装置10bを、温度測定用センサノードに適用した場合の無線センサ装置10cの構成を示す。
図3に示す無線センサ装置10cは、抵抗12として、温度に対応した抵抗値が得られるサーミスタ(センサ素子)12aを使用した例を示す。無線センサ装置10cのその他の部分については、
図2に示す無線センサ装置10bと同じ構成である。
【0036】
この
図3に示すように温度測定用センサノードとして構成した無線センサ装置10cによると、サーミスタ12aが検出した温度によって、サーミスタ12aの抵抗値が変化する。そして、直流電圧源11からの電圧Vccで蓄積容量13に充電される電圧Vstの上昇速度が、サーミスタ12aが検出した温度により変化する。したがって、無線センサ装置10cが無線信号Sを送信する間隔が、サーミスタ12aが検出した温度と相関のある間隔になり、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔から、サーミスタ12aが検出した温度を取得できるようになる。
【0037】
図4は、無線センサ装置10cにおいて、サーミスタ12aが検出する温度により、蓄積容量13の電圧Vstと電源電圧V
DDが変化する例を示す。
図4Aは温度が摂氏5℃の場合を示し、
図4Bは温度が摂氏30℃の場合を示し、それぞれ縦軸は電圧、横軸は時間を示す。
この例では、サーミスタ12aは、摂氏25℃のとき、10kΩの抵抗を持つ素子を使用し、直流電圧源11の電圧Vccを3.7V、電圧検出回路14での上側閾値VHを2.6V、下側閾値VLを2.0V、蓄積容量13の容量値を1mFとする。
【0038】
温度5℃の場合(
図4A)と、温度30℃の場合(
図4B)のいずれでも、蓄積容量13の電圧Vstが徐々に増加するが、温度が高い方が増加速度が早い。この電圧Vstが上側閾値VH(2.6V)に到達すると、電源回路17及び無線送信回路18が作動を開始し、電圧Vstが低下し、下側閾値VL(2.0V)に達すると、電源回路17が動作を停止して、再び電圧Vstが増加する。なお、電源電圧V
DDについては、ピーク時の電圧波形を
図4A及び
図4Bに拡大して示すように、電源回路17による動作で、一定期間、ピーク時の電圧V
DD-1(
図4A)や電圧V
DD-2(
図4B)を維持する。
【0039】
ここで、起動開始から最初に電圧Vstが上側閾値VHに到達するまでは、比較的長い時間がかかるが、その後は、いずれの温度でも、その温度に基づいた間隔で、電圧Vstが変動するようになる。例えば、摂氏5℃の場合(
図4A)には、上側閾値VHに到達するタイミングTX11,TX12,・・・ごとに無線信号Sを送信するようになり、温度30℃の場合(
図4B)には、上側閾値VHに到達するタイミングTX21,TX22,・・・ごとに無線信号Sを送信するようになり、それぞれの温度に対応した間隔で無線信号Sを送信するようになる。無線信号Sの送信処理は、電源電圧V
DDが電圧V
DD-1(
図4A)や電圧V
DD-2(
図4B)を維持している間に行われる。この例では、摂氏5℃で無線信号Sを送信する間隔は11.0秒になり、摂氏30℃で無線信号Sを送信する間隔は3.8秒になる。
したがって、無線受信装置20側では、この無線信号Sを受信する間隔を判別することで、無線センサ装置10c内のサーミスタ12aが検出した温度を取得できる。
【0040】
図5は、摂氏5℃程度の環境に設置した無線センサ装置10cが無線信号Sを送信するタイミングと、摂氏30℃程度の環境に設置した無線センサ装置10cが無線信号Sを送信するタイミングの例を示す。
図5において、縦軸は温度、横軸は時間(秒)である。
図5に示すプロット点S11,S12,S13,・・・は、摂氏5℃の環境に設置された無線センサ装置10cから無線信号Sが送信されるタイミングである。また、プロット点S21,S22,S23,・・・は、摂氏30℃の環境に設置された無線センサ装置10cから無線信号Sが送信されるタイミングである。
【0041】
摂氏5℃程度の環境に設置された無線センサ装置10cから無線信号Sが送信されるタイミングS11,S12,S13,・・・の間隔Tc1は、11.0秒である。
また、摂氏30℃程度の環境に設置された無線センサ装置10cから無線信号Sが送信されるタイミングS21,S22,S23,・・・の間隔Tc2は、3.8秒である。
このように、無線センサ装置10cから送信される無線信号は、無線センサ装置10cに内蔵されたサーミスタ12aが検出した温度に相関のある送信間隔になる。
無線センサ装置10cを設置して室温や外気温などの温度を計測する場合、温度の急激な変動はほとんどなく、ほぼ一定の間隔での無線信号の受信が連続するようになり、間隔の変動が少ない。したがって、例えば無線受信装置20側で、受信信号の受信に1回失敗した場合でも、前後の受信間隔から受信失敗が推定でき、補間処理で適切な物理量を取得できるようになる。あるいは、その欠落したと推定されたときには、その前後の受信タイミングについては、間隔の判断に使用しないようにして、取得される物理量が誤った値になるのを防ぐような処理も実行できるようになる。
【0042】
図6は、無線信号の送信サイクル時間と温度との関係を示す特性図である。
図6において、縦軸は絶対温度(K)を示し、横軸は送信間隔に対応した送信サイクル時間を示す。この
図6から分かるように、このシステムでは、温度が高くなるほど送信間隔が短くなり、それぞれの送信間隔から温度が1つの値に定まる。
【0043】
図7は、実際の環境の温度(横軸)と、無線センサ装置10cが無線信号を送信した間隔から取得した温度(縦軸)とを比較した特性図である。
この
図7から分かるように、このシステムでは、測定値をプロットした点を結ぶラインが直線状に並び、送信間隔から得た温度が実温度と一致した精度の高い測定ができるようになる。
【0044】
図8は、2台の無線センサ装置10c−1,10c−2と、その2台の無線センサ装置10c−1,10c−2からの無線信号Sを受信する無線受信装置20とを備えたシステム構成例(
図8A)と、それぞれの無線センサ装置10c−1,10c−2からの無線信号Sを受信して24時間温度を計測した例を示す。第1無線センサ装置10c−1は、サーミスタ12a−1を備え、識別信号のIDコード1の無線信号Sを送信する。第2無線センサ装置10c−2は、サーミスタ12a−2を備え、識別信号のIDコード2の無線信号Sを送信する。
この例では、第1無線センサ装置10c−1は、サーミスタ12a−1を窓辺に設置し、第2無線センサ装置10c−2は、サーミスタ12a−2を土中に設置した。
また、無線受信装置20には、情報処理装置(コンピュータ装置)30を接続して、情報処理装置30側で、無線受信装置20で得た温度データの記録を行うようにした。
【0045】
図8Bの縦軸は温度(℃)、横軸は1日の時刻(時分)を示し、温度T1はIDコード1の無線信号Sから検出した値であり、温度T2はIDコード2の無線信号Sから検出した値である。
この
図8から分かるように、2台の無線センサ装置10c−1,10c−2から無線信号Sを受信した間隔から、窓辺の温度T1と土中の温度T2の24時間の変化が、無線受信装置20が接続された情報処理装置30で監視できるようになる。
なお、このように複数台の無線センサ装置10c−1,10c−2を設置して、1台の無線受信装置20でそれぞれの無線センサ装置10c−1,10c−2で受信するようにした場合、ごく稀に複数の無線信号の送信タイミングが重なって、その重なった無線信号については無線受信装置20で正しく受信できない可能性があるが、既に説明したように、一時的な受信欠落があっても対処が可能であり、継続して問題なく温度の監視ができる。
【0046】
図9は、第2の実施の形態例の無線センサ装置10b(
図2)を、水量検出用センサノードに適用した場合の無線センサ装置10dの構成を示す。
図9に示す無線センサ装置10dは、抵抗12として、抵抗12bと電極対12cとを直列に接続した例を示す。電極対12cは、容器121内に直立状態で対向して配置した2つの電極板122,123よりなり、水量検出用センサ素子として機能する。すなわち、容器121内に水が溜まることで、その水の水量により、2つ電極板122,123に水が浸る高さが変化し、2つの電極板122,123に電気が流れる際の抵抗が水量に応じて変化するものである。
無線センサ装置10dのその他の構成については、
図2に示す無線センサ装置10bと同じ構成である。
【0047】
この
図9に示すように水量検出用センサノードとして構成した無線センサ装置10dによると、容器121内に溜まった水量に応じて、電極対12cの抵抗値が変化する。このため、直流電圧源11からの電圧Vccで蓄積容量13に充電される電圧Vstが上昇する速度が、容器121内に溜まった水量により変化する。但し、容器121に全く水が溜まっていない状況では、2つの電極板122,123に電気の流れが生じない。
したがって、容器121内に水が溜まり始めたとき、無線信号Sの送信が開始され、その無線信号Sを送信する間隔が、水量と相関のある間隔になり、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔から、容器121に溜まった水量を取得できるようになる。このため、
図9に示すように水量検出用センサノードの場合には、容器121に全く水が溜まっていない状況では、全く電力を消費せず、漏水や降雨などがあったときだけ、検出水量に応じた電力消費が生じる。例えば建物や設備などで通常は漏水が発生しない場所で、万一の漏水を監視する用途に使用した場合には、その漏水が発生したときだけ電力消費するため、例えば直流電圧源11としてコイン型の電池のような小型のものを使用した場合でも、非常に長期間(あるいは半永久的に)、漏水を監視できるようになる。
【0048】
[3.第3の実施の形態例]
次に、本発明の第3の実施の形態例を、
図10〜
図12を参照して説明する。第3の実施の形態例を説明する
図10〜
図12において、第1及び第2の実施の形態例で説明した
図1〜
図9と同一箇所には同一符号を付している。
まず、
図10に、本発明の第3の実施の形態例による無線センサシステムの無線センサ装置10eの基本構成を示す。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じであり、説明を省略する。
【0049】
図10に示す無線センサ装置10eは、
図2に示す無線センサ装置10bと同様に、直流電圧源11、抵抗12、及び蓄積容量13からなる回路部と、電圧検出回路14′と、電源回路17と、無線送信回路18と、無線送信回路18に接続されたアンテナ16とを備える。
そして、直流電圧源11、抵抗12、蓄積容量13、及び電圧検出回路14′の少なくともいずれか1つが、物理量を検出するセンサ素子である。
【0050】
図10の例では、電圧検出回路14′として演算増幅器で構成し、その演算増幅器よりなる電圧検出回路14′の周囲に抵抗31,32,33を接続して、シュミットトリガー回路として機能する構成としたものである。すなわち、蓄積容量13の電圧Vstが得られる電源回路17の入力端子と、接地電位部との間を、直列接続された2つの抵抗31,32で接続する。そして、その2つの抵抗31,32の接続点を、電圧検出回路14′の入力端子に接続する。さらに、演算増幅器である電圧検出回路14′の入力端子と出力端子との間を、フィードバック用の抵抗33で接続する。電圧検出回路14′は、その入力端子に得られる検出信号を電源回路17のイネーブル端子ENに供給する。
【0051】
このように構成したことで、電圧検出回路14′と抵抗31,32,33とでシュミットトリガー回路が構成される。すなわち、電圧検出回路14′は、蓄積容量13の電圧Vstが上側閾値VHに達したとき検出信号を出力し、蓄積容量13の電圧Vstが下側閾値VLに低下したとき検出信号の出力を停止する、いわゆるヒステリシス特性を持つようになる。
【0052】
したがって、
図10に示す無線センサ装置10eによると、第2の実施の形態例で説明した無線センサ装置10bと同様に、センサ素子が検出した物理量から、無線送信回路18が送信する無線信号Sの送信間隔が決まり、センサ素子が検出した物理量を無線受信装置20側で取得できるようになる。
なお、
図10に示すシュミットトリガー回路は、上述した演算増幅器以外にも、CMOSインバータ回路など様々な回路素子で構成でき、電圧検出回路14′として、いずれの回路素子により構成してもよい。
【0053】
図11は、第3の実施の形態例の無線センサ装置10eを、湿度測定用センサノードに適用した場合の無線センサ装置10fの構成(例1)を示す。
図11に示す無線センサ装置10fは、蓄積容量13として、湿度に対応した容量値が得られる静電容量型高分子湿度センサ素子13aを使用した例を示す。無線センサ装置10fのその他の部分については、
図10に示す無線センサ装置10eと同じ構成である。
この
図11に示すように湿度測定用センサノードとして構成した無線センサ装置10fによると、静電容量型高分子湿度センサ素子13aが検出した湿度によって、湿度センサ素子13aに蓄積可能な容量値が変化する。このため、湿度センサ素子13aが検出した湿度により、容量である湿度センサ素子13aの充電電圧Vstが変化し、無線センサ装置10fが無線信号Sを送信する間隔が、静電容量型高分子湿度センサ素子13aが検出した湿度と相関のある間隔になる。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔から、静電容量型高分子湿度センサ素子13aが検出した湿度を取得できるようになる。
【0054】
図12は、第3の実施の形態例の無線センサ装置10eを、湿度測定用センサノードに適用した場合の無線センサ装置10gの構成(例2)を示す。
図11例の無線センサ装置10fでは、湿度検出用のセンサ素子として、静電容量型高分子湿度センサ素子13aを使用したが、
図12例では、抵抗33として、湿度に対応した抵抗値が得られる抵抗変化型湿度センサ素子33aを使用した。無線センサ装置10gのその他の部分については、
図10に示す無線センサ装置10eと同じ構成である。
【0055】
このように構成したことで、電圧検出回路14′は、蓄積容量13の電圧Vstが上側閾値VHに達したとき検出信号を出力し、蓄積容量13の電圧Vstが下側閾値VLに低下したとき検出信号の出力を停止する。そして、その上側閾値VHと下側閾値VLが、抵抗変化型湿度センサ素子33aが検出した湿度に応じて変化する。
このため、抵抗変化型湿度センサ素子33aが検出した湿度により、電圧検出回路14′が出力する検出信号の出力周期が変化し、無線センサ装置10gが無線信号Sを送信する間隔が、抵抗変化型湿度センサ素子33aが検出した湿度と相関のある間隔になる。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔から抵抗変化型湿度センサ素子33aが検出した湿度を取得できるようになる。
【0056】
[4.第4の実施の形態例]
次に、本発明の第4の実施の形態例を、
図13〜
図16を参照して説明する。第4の実施の形態例を説明する
図13〜
図16において、第1〜第3の実施の形態例で説明した
図1〜
図12と同一箇所には同一符号を付す。
まず、
図13に、本発明の第4の実施の形態例による無線センサシステムの無線センサ装置10hの基本構成を示す。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じであり、説明を省略する。
【0057】
図13に示す無線センサ装置10hは、
図10に示す無線センサ装置10eと同様に、直流電圧源11、抵抗12、及び蓄積容量13からなる回路部と、電源回路17と、無線送信回路18と、無線送信回路18に接続されたアンテナ16とを備える。
そして、電圧検出回路として差動増幅器41を使用する。
この場合、
図10例の無線センサ装置10eと同様に、蓄積容量13の電圧Vstが得られる電源回路17の入力端子と、接地電位部との間を、直列接続された2つの抵抗31,32で接続する。そして、その2つの抵抗31,32の接続点を、差動増幅器41の+側入力端子に接続し、差動増幅器41の+側入力端子と出力端子との間を、フィードバック用の抵抗33で接続する。
さらに、差動増幅器41の−側入力端子には、可変基準電圧源42が接続される。この可変基準電圧源42の接地電位部は、直流電圧源11の接地電位部と共通に接続される。
【0058】
そして、少なくとも可変基準電圧源42を、物理量を検出するセンサ素子とする。可変基準電圧源42以外の素子(直流電圧源11、抵抗12、蓄積容量13、抵抗31〜33)についても、物理量を検出するセンサ素子としてもよい。
【0059】
このように構成したことで、センサ素子である可変基準電圧源42が検出した物理量に応じて、差動増幅器41の−側入力端子に供給される電圧が変化し、上側閾値VHと下側閾値VLの値が変化するようになる。したがって、センサ素子である可変基準電圧源42が検出した物理量に応じて、無線センサ装置10hが無線信号Sを送信する間隔が変化する。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔からセンサ素子である可変基準電圧源42が検出した物理量を取得できるようになる。
【0060】
図14は、第4の実施の形態例の無線センサ装置10hを、pH測定用センサノードに適用した場合の無線センサ装置10iの構成を示す。
図14例の無線センサ装置10iでは、可変基準電圧源42として、pHの検出値に応じて電圧が変化するpH電極電圧源(pH検出用センサ素子)42aを使用した。この場合、pH電極電圧源42aの正極側を、差動増幅器41の−側入力端子に接続し、pH電極電圧源42aの負極側を、直列接続した抵抗43,44の接続点に接続する。抵抗43,44は、蓄積容量13の電圧Vstが得られる電源回路17の入力端子と接地電位部との間に直列接続した素子であり、pH電極電圧源42aの負極側にバイアス電圧を得る。
pHの検出値に応じて電圧が変化するpH電極電圧源42aとしては、例えば薄いガラス膜を近接して配置したガラス電極型pH測定用のセンサ素子がある。
【0061】
このように構成したことで、pH電極電圧源42aが検出したpH値に応じて、差動増幅器41の−側入力端子に供給される電圧が変化し、上側閾値VHと下側閾値VLの値が変化するようになる。したがって、pH電極電圧源42aが検出したpH値に応じて、無線センサ装置10iが無線信号Sを送信する間隔が変化する。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔からpH電極電圧源42aが検出したpH値を取得できるようになる。
【0062】
図15は、pH測定用センサノードとしての別の無線センサ装置10jの構成を示す。
図15例の無線センサ装置10jでは、
図13などに示す直流電圧源11を等価直流電圧源50に変更し、その等価直流電圧源50として、pH検出用センサ素子であるpH電極電圧源52を備える構成とした。すなわち、等価直流電圧源50として、pH値により出力電圧が変化するpH電極電圧源52を備え、pH電極電圧源52の正極側を、抵抗53を介して差動増幅器51の+側入力端子に接続し、pH電極電圧源52の負極側を、差動増幅器51の−側入力端子に接続する。
【0063】
また、一定電圧が得られる端子54を、抵抗55,56の直列回路を介して接地電位部に接続し、抵抗55,56の接続点を、差動増幅器51の−側入力端子に接続する。
さらに、差動増幅器51の+側入力端子と出力端子とを抵抗57で接続し、差動増幅器51の出力端子を、抵抗12を介して蓄積容量13に接続する。
なお、電圧検出回路としての差動増幅器41の−側入力端子には、電圧源34を接続する。
無線センサ装置10jのその他の部分については、
図13に示す無線センサ装置10hと同じ構成である。
【0064】
このように構成したことで、pH電極電圧源52が検出したpH値に応じて、差動増幅器51の+側入力端子に供給される電圧が変化し、抵抗12を介して蓄積容量13に供給される電圧が、pH値と相関を持って変化するようになる。したがって、pH電極電圧源52が検出したpH値に応じて、無線センサ装置10jが無線信号Sを送信する間隔が変化する。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔からpH電極電圧源52が検出したpH値を取得できるようになる。
【0065】
図16は、第4の実施の形態例の無線センサ装置10hを、照度測定用センサノードに適用した場合の無線センサ装置10kの構成を示す。
図16例の無線センサ装置10kでは、直列接続した抵抗31,32の接続点を、電圧検出回路を構成する差動増幅器41の+側入力端子に接続し、直列接続した抵抗63,62の接続点を、差動増幅器41の−側入力端子に接続する。これら抵抗31,32の直列回路と、抵抗63,62の直列回路は、蓄積容量13の蓄積電圧Vstが得られるラインと接地電位部との間に接続される。
そして、抵抗63と並列に、照度検出用センサ素子であるホトダイオード61を接続する。差動増幅器41は、+側入力端子と出力端子との間に、フィードバック抵抗33を接続する。
【0066】
このように構成したことで、ホトダイオード61が検出した照度に応じて、差動増幅器41の−側入力端子に供給される電圧が変化し、差動増幅器41が電圧検出動作を行う際の上側閾値VHと下側閾値VLの値が変化するようになる。したがって、ホトダイオード61が検出した照度に応じて、無線センサ装置10kが無線信号Sを送信する間隔が変化する。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔からホトダイオード61が検出した照度を取得できるようになる。
【0067】
[5.第5の実施の形態例]
次に、本発明の第5の実施の形態例を、
図17を参照して説明する。
図17において、第1〜第4の実施の形態例で説明した
図1〜
図16と同一箇所には同一符号を付す。
図17は、本発明の第5の実施の形態例による無線センサシステムの無線センサ装置10mの構成のみを示している。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じなので、説明を省略する。
【0068】
図17に示す無線センサ装置10mは、電源として、太陽電池71と2次電池73とを備える。太陽電池71の出力が、ダイオード72を介して2次電池73に供給され、2次電池73が充電される。この2次電池73は、電圧Vccを得る直流電圧源として使用される。
【0069】
そして、2次電池73から電圧Vccが供給される構成は、
図1に示す無線センサ装置10aと同様である。すなわち、
図1に示す無線センサ装置10aと同様に、抵抗12、及び蓄積容量13からなる回路部と、蓄積容量13の電圧Vstを検出する電圧検出回路14とを備える。電圧検出回路14は、
図1例と同様に、電圧Vstが上側閾値VHに到達したことを検出したとき検出信号を出力し、下側閾値VLに低下したとき、検出信号の出力を停止する。また、直流電圧源(太陽電池71、ダイオード72、2次電池73)、抵抗12、蓄積容量13、及び電圧検出回路14の少なくともいずれか1つが、物理量を検出するセンサ素子である点でも第1の実施の形態例と同様である。
【0070】
そして、電圧検出回路14が出力する検出信号は、電源回路17に供給される。
図17では、電源回路17の内部構成は示されていないが、電源回路17は、電圧検出回路14からイネーブル端子ENに検出信号が供給されると、一定電圧に安定化した電源電圧を出力する。また、イネーブル端子ENに検出信号が供給されないときは、電源回路17は電源電圧を出力しない。電源回路17としては、例えばLDOと称される電源回路が適用可能である。
【0071】
以上説明したように、第5の実施の形態例の無線センサ装置10mは、電源として太陽電池71を使用することができるようになる。
【0072】
[6.第6の実施の形態例]
次に、本発明の第6の実施の形態例を、
図18及び
図19を参照して説明する。第6の実施の形態例を説明する
図18及び
図19において、第1〜第5の実施の形態例で説明した
図1〜
図17と同一箇所には同一符号を付す。
図18は、本発明の第6の実施の形態例による無線センサシステムの無線センサ装置10nの構成のみを示す。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じなので、説明を省略する。
【0073】
図18に示す無線センサ装置10nは、電源として、エネルギーハーベスト電源74と安定化電源回路75を備える。エネルギーハーベスト電源74は、光、振動、熱などのエネルギーを電力に変換する。なお、
図17に示す太陽電池71は、エネルギーハーベスト電源74の1つの例である。
エネルギーハーベスト電源74の出力電圧は、安定化電源回路75で一定の電圧に安定化される。
【0074】
安定化電源回路75から電圧Vccが供給される。すなわち、
図1に示す無線センサ装置10aと同様に、抵抗12、及び蓄積容量13からなる回路部と、蓄積容量13の電圧Vstを検出する電圧検出回路14とを備える。電圧検出回路14は、
図1例と同様に、電圧Vstが上側閾値VHに到達したことを検出したとき検出信号を出力し、下側閾値VLに低下したとき、検出信号の出力を停止する。また、直流電圧源(エネルギーハーベスト電源74)、抵抗12、蓄積容量13、及び電圧検出回路14の少なくともいずれか1つが、物理量を検出するセンサ素子である点でも第1の実施の形態例と同様である。
【0075】
そして、電圧検出回路14が出力する検出信号は、電源回路17に供給される。
図17では、電源回路17の内部構成は示されていないが、電源回路17は、電圧検出回路14からイネーブル端子ENに検出信号が供給されると、一定電圧に安定化した電源電圧を出力する。また、イネーブル端子ENに検出信号が供給されないときは、電源回路17は、電源電圧を出力しない。
【0076】
以上説明したように、第6の実施の形態例の無線センサ装置10nは、エネルギーハーベスト電源74を使用することができるようになる。また、例えばエネルギーハーベスト電源74をセンサ素子として使用することで、エネルギーハーベスト電源74に加わる光、振動、熱などの状態に応じて、無線センサ装置10nが無線信号Sを送信する間隔が変化する。その結果、無線受信装置20側で、無線信号Sの受信間隔からエネルギーハーベスト電源74での発電状況などを取得できるようになる。本実施の形態例では、安定化電源75の出力電圧が一定となるため、センサとして精度が高まる。
【0077】
図19は、本発明の第6の実施の形態例の変形例の無線センサ装置10pの構成を示す。
図19に示す無線センサ装置10pは、
図18に示す無線センサ装置10nと同様に、エネルギーハーベスト電源74、及び安定化電源回路75を備える。
そして、
図19に示す無線センサ装置10pは、蓄積容量13の電圧Vstをスイッチ回路76を介して無線送信回路18に供給する。スイッチ回路76の開閉は、電圧検出回路14の検出信号により制御される。すなわち、電圧検出回路14は、電圧Vstが上側閾値VHに到達したことを検出したとき、検出信号を出力し、スイッチ回路76を閉状態とする。また、電圧検出回路14は、電圧Vstが下側閾値VLに低下したとき、検出信号の出力を停止し、スイッチ回路76を開状態とする。したがって、スイッチ回路76が閉状態のとき、電圧Vstが無線送信回路18に電圧V
DDとして供給される。
【0078】
図19に示す構成とすることで、
図18の例と同様に安定化電源75により電源電圧が安定化し、センサとしての精度が高まる効果がある。
【0079】
[7.第7の実施の形態例]
次に、本発明の第7の実施の形態例を、
図20を参照して説明する。第7の実施の形態例を説明する
図20において、第1〜第6の実施の形態例で説明した
図1〜
図19と同一箇所には同一符号を付す。
図20は、本発明の第7の実施の形態例による無線センサシステムの無線センサ装置10qの構成のみを示している。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じなので、説明を省略する。
【0080】
図20に示す無線センサ装置10qは、第2の実施の形態例で説明した無線センサ装置10bと同様に、直流電圧源11と、抵抗12と、蓄積容量13と、電圧検出回路14の少なくともいずれか1つをセンサ素子として使用することで、そのセンサ素子が検出した物理量に応じて、電源回路17が電圧V
DDを出力開始する間隔を変化させるものである。
【0081】
そして、
図20に示す無線センサ装置10qでは、電源回路17が出力する電圧V
DDが、CPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)76と無線送信回路18′に供給される。CPU76は、MPU(Micro Processing Unit)とも称され、データの演算処理や記憶処理を実行する演算処理装置である。CPU76は、識別信号などの情報を記憶して、その記憶した識別情報などの送信情報を無線送信回路18′に供給する。
【0082】
また、CPU76は、演算処理を行って得られた情報を、無線送信回路18′に送信情報として供給するようにしてもよい。例えば、CPU76は、無線送信回路18′が信号を送信する際の累積送信番号を算出し、その算出した累積送信番号の情報を無線送信回路18′に供給するようにしてもよい。あるいは、何を測定するセンサであるかを示す属性信号をCPU76が無線送信回路18′に供給するようにしてもよい。さらに、センサ情報の補正(較正)に必要な情報であるキャリブレーション信号を、CPU76が無線送信回路18′に供給するようにしてもよい。さらにまた、CPU76が、識別信号などの情報を暗号化し、その暗号化された識別情報を無線送信回路18′に供給するようにしてもよい。
【0083】
無線送信回路18′は、電源回路17から供給される電圧V
DDにより、CPU76から供給される識別信号などの情報を付加した無線信号Sを無線送信する。なお、CPU76から無線送信回路18′に識別信号が供給される場合、無線送信回路18′は、
図2に示した識別信号記憶部18bを備えなくてもよい。
【0084】
図20に示す構成とすることで、無線センサ装置10qは、CPU76が出力可能な様々な情報を、無線送信回路18′が送信できるようになる。したがって、無線受信装置20側で、無線センサ装置10qを識別する情報以外の各種情報についても取得できるようになり、より高度なセンサシステムが構築できる。
【0085】
[8.第8の実施の形態例]
次に、本発明の第8の実施の形態例を、
図21及び
図22を参照して説明する。第8の実施の形態例を説明する
図21及び
図22において、第1〜第7の実施の形態例で説明した
図1〜
図20と同一箇所には同一符号を付す。
第8の実施の形態例においても、無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じなので、説明を省略する。
【0086】
図21に示す無線センサ装置10rは、ビート方式直流電流センサとして構成したものである。
すなわち、無線センサ装置10rは、環状の導体で構成されるクランプセンサ81を備え、クランプセンサ81の中央に、被測定対象ライン81aを配置する。無線センサ装置10rは、この被測定対象ライン81aを流れる電流値I
0を測定する。なお、
図21には示さないが、クランプセンサ81は開閉する構造として、被測定対象ライン81aを容易に配置できるようにする。
【0087】
クランプセンサ81には、コイル81bが巻かれている。コイル81bのインダクタンスLは、被測定対象ライン81aを流れる電流値I
0により変化する。無線センサ装置10rは、このコイル81bをセンサ素子として使用する。
具体的には、無線センサ装置10rとして、直流電圧電源11を備え、その直流電圧電源11の出力直流電圧Vccが得られる端子を、コイル81bとダイオード84の直列回路を介して、電源回路17に接続する。ダイオード84は、アノードがコイル81b側に接続され、カソードが電源回路17側に接続される。
ここで、コイル81bとダイオード84の接続点には、トランジスタ83の一端が接続される。トランジスタ83としては、例えばNチャンネルMOSFETが使用され、ドレインをコイル81bとダイオード84の接続点に接続される。
【0088】
トランジスタ83のゲートには、発振器82が接続される。発振器82は、所定の周波数(例えば100kHz程度の周波数)で発振するようにし、発振器82の発振に連動してトランジスタ83がオン・オフを繰り返す。トランジスタ83のソースは、直流電圧電源11の接地電位部GNDに接続する。
【0089】
また、ダイオード84のカソードと、接地電位部GNDとの間には、蓄積容量13が接続される。したがって、電源回路17に供給される電圧は、この蓄積容量13の電圧Vstになる。また、蓄積容量13の電圧Vstは、電圧検出回路14に供給される。電圧検出回路14は、蓄積容量13に充電された電圧Vstを検出し、電圧Vstの値に応じて検出信号を出力するシュミットトリガー回路である。この電圧検出回路14の検出信号は、電源回路17のイネーブル端子ENに供給される。ここでは、電源回路17としてLDOが使用される。
【0090】
電源回路17は、CPU(又はMPU)76と無線送信回路18′の電源入力端子V
DDに電源電圧LDO
OUTを供給する。CPU76は、無線送信回路18′に対して識別信号などを供給する。無線送信回路18′は、電源入力端子V
DDに規定の範囲内の電圧が供給されると、その電源入力端子V
DDに得られる電圧(電源)をエネルギーとして消費して、無線信号Sの送信処理を行う。この無線信号Sの送信処理時には、無線送信回路18′は、CPU76から供給される識別信号などを無線信号Sに付加する。
なお、電源回路17、無線送信回路18′、及びCPU76の接地電位部GNDは、直流電圧源11の接地電位部と接続されている。
【0091】
次に、
図21に示す無線センサ装置10rの動作について説明する。
図22は、直流電圧電源11から蓄積容量13側に供給される電流IL(
図22A)と電圧Vcc(
図22B)とを示す。
図21に示す無線センサ装置10rは、クランプセンサ81に配置されたコイル81bが電流のセンサ素子として使用されるが、発振器82により駆動されるトランジスタ83が接続されているため、電流IL及び電圧Vccは、トランジスタ83のオン・オフに連動して変動する。
【0092】
すなわち、トランジスタ83がオンのとき、インダクタンスLのコイル81bに1/2LImax^2でエネルギーがたまり、トランジスタ83がオフになると、蓄積容量13に放出される。この放出されるエネルギーを蓄電用コンデンサに次々と溜めていく。なお、Imaxは、トランジスタ83のオン・オフで発生するパルスの電流値である。
【0093】
このように変化する蓄積容量13の電圧Vstを電圧検出回路14が検出し、電圧Vstが一定の電圧になったら、電源回路(LDO)17が起動されて、蓄積容量13が貯めたエネルギーが定電圧で放出される。この電源回路17が放出する定電圧のエネルギーを使用して、CPU(又はMPU)76と無線送信回路18′に電源電圧LDO
OUTが供給され、無線送信回路18′から無線信号Sが送信される。
【0094】
ここで、コイル81bのインダクタンスLは、被測定対象ライン81aを流れる電流値I
0により変化するが、電流値I
0が大きいほどコイル81bのインダクタンスLが小さくなる。このため、蓄積容量13にエネルギーが溜まるスピードが遅くなる。蓄積容量13にエネルギーが溜まるスピードが遅くなることで、無線送信回路18′から無線信号Sが送信される間隔が長くなる。この無線信号を受信する無線受信装置20側では、無線信号Sの受信間隔から、被測定対象ライン81aを流れる電流値I
0を検出することができる。無線信号Sの間隔から電流値I
0を検出するために必要な演算式又は換算表は、無線受信装置20に予め記憶させておけばよい。
このように
図21に示す無線センサ装置10rは、直流電流センサとして機能するようになる。
【0095】
[9.第9の実施の形態例]
次に、本発明の第9の実施の形態例を、
図23〜
図25を参照して説明する。第9の実施の形態例を説明する
図23〜
図25において、第1〜第8の実施の形態例で説明した
図1〜
図22と同一箇所には同一符号を付す。
第9の実施の形態例においても、無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じであり、説明を省略する。
【0096】
図23に示す無線センサ装置10sは、
図21に示す無線センサ装置10rと同様に、ビート方式直流電流センサとして構成したものである。以下に説明する
図23に示す無線センサ装置10sは、検出する電流値I
0の増加により、無線信号の送信間隔が短くなるので、
図21に示す無線センサ装置10rとは送信間隔の変化が逆になるようにしている。
【0097】
図23に示す無線センサ装置10sについて説明すると、無線センサ装置10sは、直流電圧電源11を備え、その直流電圧電源11の出力直流電圧Vccが得られる端子が、コイル86の一端に接続される。さらに、コイル86の他端には、クランプセンサ87に巻回されたコイル87bの一端が接続される。クランプセンサ87は、
図21に示すクランプセンサ81と同様に、被測定対象ライン87aを配置するものであり、無線センサ装置10sは、この被測定対象ライン87aを流れる電流値I
0を測定する。なお、後述する動作説明では、コイル86のインダクタンスをL
1、クランプセンサ87に取り付けられたコイル87bのインダクタンスをL
2とする。インダクタンスL
1は固定値であり、インダクタンスL
2は電流値I
0によって変化する。
【0098】
そして、コイル87bの他端には、ダイオード84のアノードが接続される。また、コイル86とコイル87bとの接続点に、トランジスタ83のドレインが接続される。
図23に示す無線センサ装置10sのその他の構成については、
図21に示す無線センサ装置10rと同様に構成される。
【0099】
図24は、クランプセンサ87の詳細構造(
図24A)、及び特性(
図24B)を示す。
図24Bの横軸は電流値I
0[A]、縦軸はコイル87bのインダクタンスL
2[μH]を示す。
図24Bに示すように、電流値I
0が0のときインダクタンスL
2が最大となり、電流値から+方向と−方向のいずれの方向であっても、電流値の増加によりインダクタンスL
2が小さくなる。但し、
図24Bに示すように、電流値I
0とインダクタンスL
2の変化特性は直線的ではない。
【0100】
このようにコイル87bのインダクタンスL
2が変化するが、
図23に示す無線センサ装置10sの場合、コイル87bは、固定のインダクタンスL
1と直列接続されているので、固定のインダクタンスのコイル86から送られたエネルギーは、全て蓄積容量13に溜まるのではなく、直流電流センサとしてのコイル87bにも溜まる。ここで、被測定対象ライン87aの直流電流I
0が増えると、コイル87bのインダクタンスL
2が小さくなるので、蓄積容量13に早くエネルギーが溜まるようになる。したがって、
図23に示す無線センサ装置10sは、被測定対象ライン87aの直流電流I
0が増えると、無線信号Sの送信間隔が短くなる。
【0101】
図25は、蓄積容量13の電圧Vstと、電源回路17の出力電圧LDO
OUTとの関係を示す。
図25の縦軸は電圧値、横軸は時間である。
この例では、電圧検出回路14の上側閾値VHが2.6V、下側閾値VLが2.0Vであり、電源回路(LDO)17の出力電圧LDO
OUTが1.9Vである。
図25に示すように、蓄積容量13の電圧Vstが上側閾値VHに到達してから、下限閾値VLに低下するまでの間、電源回路17が1.9Vの電圧LDO
OUTを出力し、この電圧LDO
OUTが出力される間に、無線送信回路18′から無線信号Sが送信される。
図25に示すように、電圧LDO
OUTが出力を繰り返す間隔tiが、蓄積容量13の電圧Vstが変化する周期に対応する。この電圧LDO
OUTが出力を繰り返す間隔tiが、無線信号Sの送信間隔に相当する。
【0102】
このように
図23に示す無線センサ装置10sを使用することで、この無線センサ装置10sからの無線信号Sの送信間隔に基づいて、被測定対象ライン87aの直流電流I
0を検出できるようになる。さらに、
図23に示す無線センサ装置10sの場合には、
図21に示す無線センサ装置10rとは直流電流の増減と送信間隔の変化の特性が逆になる。
【0103】
[10.第10の実施の形態例]
次に、本発明の第10の実施の形態例を、
図26〜
図28を参照して説明する。第10の実施の形態例を説明する
図26〜
図28において、第1〜第9の実施の形態例で説明した
図1〜
図25と同一箇所には同一符号を付す。
図26,
図27,
図28に、本発明の第10の実施の形態例による無線センサシステムの3つの例(例1,例2,例3)の無線センサ装置10t,10u,10vの構成のみを示す。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じなので、説明を省略する。
【0104】
図26〜
図28に示す3つの無線センサ装置10t,10u,10vは、いずれも小電圧を検出する電圧検出センサとして構成したものである。
まず、
図26に示す無線センサ装置10tの構成について説明する。
無線センサ装置10tは、直流電圧源11の出力電圧Vccを、トランジスタ92のドレインに供給し、トランジスタ92のソースを電源回路17側に接続する。
トランジスタ92のゲートには、直流電圧源91を接続する。無線センサ装置10tは、この直流電圧源91の電圧値を検出するものであり、トランジスタ92は、ゲート電圧に依存する可変抵抗(センサ素子)として利用される。トランジスタ92としては、MOSFET、MESFET、又はバイポーラトランジスタなどが使用される。なお、直流電圧源91は、電圧の検出箇所を示すものであり、電圧検出対象箇所の電圧がトランジスタ92のゲートに得られるようにすればよい。
【0105】
トランジスタ92のソースは、蓄積容量13の一端に接続され、トランジスタ92を通過した信号が蓄積容量13に蓄積される。そして、電圧検出回路14は、蓄積容量13に充電された電圧Vstを検出し、電圧Vstの値に応じて検出信号を出力する。電圧検出回路14は、電圧Vstの値に応じて検出信号を出力するシュミットトリガー回路である。電圧検出回路14の検出信号は、電源回路17のイネーブル端子ENに供給される。
【0106】
電源回路17は、イネーブル端子ENに検出信号が供給されると、一定電圧に安定化した電源電圧を無線送信回路18の電源入力端子V
DDに出力する。無線送信回路18は、電源入力端子V
DDに得られる電圧(電源)をエネルギーとして消費して、無線信号Sの送信処理を行う。
なお、無線送信回路18及び電源回路17の接地電位部GNDは、直流電圧源11の接地電位部と接続されている。また、蓄積容量13の他端についても、直流電圧源11の接地電位部と接続されている。
【0107】
この
図26に示す構成の無線センサ装置10tによると、直流電圧源91の電圧値に応じて、センサ素子であるトランジスタ92の抵抗値が変化し、その抵抗値の変化に応じて、無線送信回路18から無線信号Sを送信する間隔が変化する。したがって、無線受信装置20では、無線信号Sの受信間隔から、直流電圧源91の電圧値を検出することができる。
【0108】
次に、
図27に示す無線センサ装置10uの構成について説明する。
図27に示す無線センサ装置10uは、直流電圧源91とトランジスタ92のゲートとの間に、増幅器92を接続したものである。その他の構成については、
図26に示す無線センサ装置10tと同様である。
【0109】
図27に示すように増幅器92を接続したことで、検出する電圧である直流電圧源91の電圧が小さい場合であっても、電圧変化により適切に無線信号Sの送信間隔が変化し、無線受信装置20で適切に電圧を検出できるようになる。
【0110】
次に、
図28に示す無線センサ装置10vの構成ついて説明する。
図28に示す無線センサ装置10vは、電圧源として交流電圧源94を使用したものである。
すなわち、無線センサ装置10vでは、交流電圧源94が出力する交流電圧を増幅器95で増幅されると共に、整流素子96で整流される。そして、トランジスタ92のゲートには、整流素子96で整流された直流電圧が供給される。その他の構成については、
図26に示す無線センサ装置10tと同様である。
【0111】
図28に示す無線センサ装置10vによると、交流電圧源94の交流電圧値に応じて、センサ素子であるトランジスタ92の抵抗値が変化し、その抵抗値の変化に応じて、無線送信回路18から無線信号Sを送信する間隔が変化する。したがって、無線受信装置20では、無線信号Sの受信間隔から、センサ素子であるトランジスタ92の抵抗値が変化し、その抵抗値の変化に応じて、無線送信回路18から無線信号Sを送信する間隔が変化する。したがって、無線受信装置20では、無線信号Sの受信間隔から、直流電圧源91の電圧値を検出することができる。
【0112】
[11.第11の実施の形態例]
次に、本発明の第10の実施の形態例を、
図29〜
図31を参照して説明する。第11の実施の形態例を説明する
図29〜
図31において、第1〜第10の実施の形態例で説明した
図1〜
図28と同一箇所には同一符号を付す。
図29に、本発明の第11の実施の形態例による無線センサシステムの無線センサ装置10wの構成を示す。無線受信装置20側の構成は、第1及び第2の実施の形態例で説明した無線受信装置20と同じなので、説明を省略する。
【0113】
図29に示す無線センサ装置10wは、動き検出センサとして構成したものであり、ドップラーレーダー97を備える。
ドップラーレーダー97は、動きを検出したい物体又は人体に対して電波を発射し、その反射波を受信して、物体又は人体の動きを検出するものである。無線センサ装置10wは、このドップラーレーダー97をセンサ素子として利用したものである。ドップラーレーダー97は、ドップラー効果で送信周波数と受信周波数とに生じるずれを利用して、動いている物体又は人体の移動状態(移動速度)を検出する。ここでは、ドップラーレーダー97は、人体の睡眠状態(静止中か、寝返り中かの判別)を検出する。睡眠状態を検出する場合、例えばドップラーレーダー97は、被測定者が睡眠するベッドの下側に設置して、被測定者と非接触で睡眠状態を検出する。
【0114】
ドップラーレーダー97は、検出信号として、相互に位相が異なるI信号(In-phase成分)とQ信号(Quadrature成分)とを出力する。そして、この2つの信号成分の内のいずれか一方の信号(ここではI信号)を、直流成分カット用コンデンサ98を介して増幅器95に供給し、増幅する。
そして、増幅器95で増幅されたI信号が、トランジスタ92のゲートに供給される。トランジスタ92は、
図28の例に示す無線センサ装置10vと同様に、直流電圧源11の出力電圧Vccがドレインに供給され、ソースが電源回路17側に接続される。
【0115】
また、ドップラーレーダー97が出力するQ信号を、呼吸・心拍センサ99に供給する。呼吸・心拍センサ99は、検出信号から人体の呼吸数や心拍数の情報を取得する。なお、無線センサ装置10wが呼吸・心拍センサ99を備えるのは一例であり、呼吸・心拍センサ99を省略してもよい。
無線センサ装置10wのその他の構成については、
図28に示す無線センサ装置10vと同様である。
【0116】
図30は、無線センサ装置10wの動作例を示す波形図である。
図30の縦軸は電圧、横軸は時間(秒)を示す。この
図30の例では、被測定者の動きが大きい状態から、徐々に動きが小さくなる状態を示す。
図30に示す電圧波形V
R1は、ドップラーレーダー97が出力するI信号を示す。I信号V
R1は、被測定者の動きがあるとき、一定の周波数で振動し、その波高値が被測定者の動きに連動して変化する。被測定者に動きがないときには、I信号V
R1は、ほぼ一定の電圧値になる。
【0117】
このI信号V
R1を増幅器95で増幅することで、最大5Vの増幅信号V
R2が得られる。ここでは、トランジスタ92は、オンする閾値V
th1を4.5Vに設定する。
このようなトランジスタ92の閾値V
th1の設定で、
図30の例の場合、被測定者の動きが大きい状態の場合に、増幅信号V
R2の電圧値の増減に連動して、閾値V
th1を超えたタイミングでオン状態となり、閾値V
th1以下でオフ状態となる。
トランジスタ92がオンになる期間だけ蓄積容量13に充電される。トランジスタ92がオンになる状態が繰り返されると、蓄積容量13の電圧が上側閾値VHに達するので、電源回路17が作動し、無線送信回路18が無線信号Sを送信する。無線送信回路18は無線信号Sを送信した後に停止し、蓄積容量13の電圧が下側閾値VLに達するまで放電を続ける。その後また、トランジスタ92hがオンになる時間だけ充電が行われるが、この動作はドップラーレーダーが交流信号を出力している間続けられる。このような動作により、無線送信回路18が無線信号Sを間欠的に送信するようになる。この無線信号Sを間欠的に送信している間は、被測定者に動きがある期間に相当する。
一方、被測定者に動きがないか、あるいは小さな動きである場合には、増幅信号V
R2が4.5Vを超えず、トランジスタ92が全くオン状態にならない。このため、被測定者に動きがないか、あるいは小さな動きである場合には、電源回路17が作動せず、無線送信回路18が無線信号Sを送信しない。
【0118】
図31は、無線センサ装置10wが送信した無線信号Sの無線受信装置20での受信状態の例を示す。
図31の横軸は、測定開始からの時間(分)を示し、縦軸は1秒あたりの無線信号Sのビート数(1/s)を示す。
図31の例の場合、測定開始直後に1回目の被測定者の動きm1があり、その1回目の被測定者の動きm1から約20秒後に2回目の被測定者の動きm2があり、以下、数秒から数十秒ごとに、3回目、4回目、5回目の動きm3,m4,m5が発生している。それぞれの動きは、被測定者の寝返りに相当する。
【0119】
無線センサ装置10wによると、
図31に示すように、睡眠中の被測定者に、寝返りに相当する動きが発生したタイミングを測定できるようになる。
従来、このような睡眠中の動きをレーダーで測定する場合、ドップラーレーダーの出力を高速フーリエ変換などで周波数解析する必要があり、負担の大きな信号処理を連続して行う必要があった。これに対して、
図29に示す無線センサ装置10wの場合には、ドップラーレーダー29の出力に基づいて無線信号Sの送信を行うだけでよく、非常に簡単な構成であると共に、少ない消費電力で検出ができるようになる。
また、
図29に示す無線センサ装置10wの場合、ドップラーレーダー29の出力を使って、呼吸・心拍センサ99が呼吸数や心拍数を検出することもできる。したがって、無線信号Sの送信状態から検出した寝返りの期間と、呼吸・心拍センサ99での呼吸数や心拍数の検出とを総合的に評価して、被測定者の睡眠状態の総合的な診断を行うこともできる。
【0120】
なお、無線センサ装置10wを被測定者の睡眠状態の検出に使用したのは一例であり、無線センサ装置10wを、その他の用途の物体又は生体の動き検出に使用してもよい。例えば、ドップラーレーダー29が特定の範囲内での物体又は生体の動きを検出して、侵入者の有無などを監視するようにしてもよい。侵入者の監視などを行う場合には、呼吸・心拍センサ99は必要ない。但し、呼吸・心拍センサ99を設置して、侵入者(監視対象者)の検出時に、該当者の心拍などを同時に検出してもよい。
また、動きを検出するセンサ装置の場合、
図29に示す例のようにドップラーレーダー29を使用するのが好ましいが、その他の構成のレーダーを使用してもよい。
【0121】
[12.変形例]
なお、ここまで説明した物理量を検出するセンサ素子はそれぞれ好適な例を示したものであり、その他の物理量を測定するセンサ素子を接続した無線センサ装置としてもよい。例えば、圧力(気圧,タイヤ空気圧など)を検出するセンサ素子など、物理量を電気的に検出することが可能なセンサ素子であれば、様々なセンサ素子を使用した無線センサ装置を構成することができる。
【0122】
また、
図3以降の各図に示す無線センサ装置は、いずれも
図2で説明した電源回路17を備える構成を適用したが、
図1の例のように、電圧検出回路14が直接的に無線送信回路15を制御する構成において、
図3以降に示すように各素子をセンサ素子とする構成を適用にしてもよい。
また、無線センサ装置が無線送信する識別信号としては、送信処理部に固有に割り当てられているMACアドレス等、システム内に存在する複数の無線センサ装置が識別できる信号であれば、その他の信号を無線送信するようにしてもよい。
また、各実施の形態例の無線センサ装置では、物理量を検出するセンサ素子により電圧値などの1つの値だけを変化させるようにしたが、複数の値を検出した物理量に応じて同時に変化させる構成としてもよい。具体的には、直流電圧源の電圧値と、抵抗の抵抗値と、蓄積容量の容量値と、電圧検出回路が検出する閾値の2つ以上の値を、センサ素子で検出した物理量により変化させる無線センサ装置としてもよい。
【0123】
また、それぞれの実施の形態例で説明した構成を組み合わせて、無線センサ装置を構成するようにしてもよい。例えば、第7の実施の形態例の
図20に示す無線センサ装置10qに示したCPU76と無線送信回路18′を備える構成を、その他の実施の形態例の無線センサ装置(装置10bなど)に適用してもよい。このようにCPU76を備えることで、無線信号Sとして、識別信号(ID信号)の他に、第7の実施の形態例で説明した、累積送信番号、属性信号、あるいはキャリブレーション信号を付加することが、その他の実施の形態例の構成においても可能になる。また、無線信号Sに含まれる情報を暗号化することも、いずれの実施の形態例の構成において可能になる。
なお、これらの様々な信号の生成や暗号化の処理をCPUが行うようにした点についても一例であり、例えば無線送信回路に内蔵された回路が累積送信番号などの生成や、暗号化処理を行うようにしてもよい。