(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料チャンネル(131)、反応チャンバ(126)、及びリザーバ(151,152)を有する流体ネットワーク(106)であって、前記試料チャンネルは、生物試料を受け入れるよう構成した試料通口(116)に流体連通するものとし、前記反応チャンバは、光路からの照射光を受ける少なくとも1つの光学的に透明な面及び反応窪みのアレイを有する、該流体ネットワーク(106)と、
前記流体ネットワークに流体連通するよう構成したポンプアセンブリと、
フローチャンネル(140)を有し、また第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう構成した回転バルブ(123)であって、前記フローチャンネルは、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき前記反応チャンバ及び前記試料チャンネルを流体的に接続し、また前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき前記リザーバ及び前記反応チャンバを流体的に接続し、前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき前記生物試料を前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導することができ、また前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき反応成分を前記リザーバから前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導することができる、前記回転バルブ(123)と、
前記反応チャンバ内の前記反応窪みのアレイから、1つ以上の反応によって生み出される光信号を検出する検出アセンブリと、
を備え、
前記回転バルブは、前記回転バルブが前記第1バルブ位置から前記第2バルブ位置に回転するにつれて、前記フローチャンネル内に前記生物試料を保持することができ、前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、前記生物試料を前記リザーバ内に流入させるフローを誘導することができる、システム(100)。
請求項1記載のシステムにおいて、前記試料チャンネル(131)は第1試料チャンネルとし、また前記生物試料は第1生物試料とし、前記流体ネットワーク(106)は第2生物試料を有する第2試料チャンネルを含み、前記回転バルブ(123)は、前記フローチャンネル(140)が前記第2試料チャンネルに流体連通する第3バルブ位置に回転するよう構成し、前記ポンプアセンブリは、前記第2試料チャンネル内の第2生物試料を前記フローチャンネル内に流入させるフローを誘導する構成とし、この場合、前記回転バルブが前記第3バルブ位置から前記第2バルブ位置に回転するにつれて、前記フローチャンネル内に前記第2生物試料を保持することができ、また前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、前記フローチャンネルにおける前記第2生物試料を前記リザーバ(151,152)に流入させるフローを誘導することができる、システム。
請求項1記載のシステムにおいて、前記リザーバ(151,152)は第1リザーバとし、前記流体ネットワーク(106)はさらに第2リザーバを有するものとし、この場合、前記回転バルブ(123)は、前記フローチャンネル(140)が前記第2リザーバ及び前記反応チャンバ(126)を流体的に接続する第3バルブ位置に移動する構成とした、システム。
請求項1記載のシステムにおいて、前記試料チャンネル(131)は第1試料チャンネルとし、また前記流体ネットワークは第2試料チャンネルを含むものとする、システム。
請求項5記載のシステムにおいて、前記第1試料チャンネル及び第2試料チャンネルのそれぞれは、共通サプライ通口を介して前記回転バルブ(123)に流体連通する、システム。
請求項5記載のシステムにおいて、さらに、前記試料チャンネル(131)に接続し、第1位置と第2位置との間で移動するよう構成したチャネルバルブ(121)であって、前記第1位置及び第2位置ではそれぞれ、前記試料チャンネルを通過するフローを阻止及び許可する、該チャネルバルブ(121)を備える、システム。
請求項1記載のシステムにおいて、前記回転バルブ(123,216)は軸線(142,299)周りに回転し、前記流体ネットワーク(106)はフィード通口(226)を有し、前記フィード通口(226)が実質的に前記回転バルブ(123,216)の回転軸(142,299)と並んで一致し、かつ前記フィード通口(226)は、前記フローチャンネル(140/218)及び前記反応チャンバ(126)を流体的に接続する、システム。
請求項1記載のシステムにおいて、前記流体ネットワーク(106)は、さらに、試薬チャンネルを有し、前記試料チャンネル(131)及び前記試薬チャンネルは、前記フローチャンネル(140)に対して上流側に配置した共通のサプライ通口に流体連通し、前記サプライ通口は、前記試料チャンネル及び前記試薬チャンネルを前記フローチャンネルに流体的に接続する、システム。
請求項1記載のシステムにおいて、さらに、前記回転バルブ(123)及び前記ポンプアセンブリを自動的に制御して、シークエンシング・バイ・シンセシスプロトコールの反復サイクルを行うよう構成したシステムコントローラ(180)を備える、システム。
請求項12記載の方法において、さらに、複数の前記生物試料を個別に前記リザーバ(151)内に流入させて前記生物試料をリザーバ(151)内で組み合わせ、前記回転バルブ(123)が前記第1バルブ位置にあるとき、前記生物試料を同時に前記フローチャンネル(140)経由で前記反応チャンバ(126)内に流入させるステップを有する、方法。
請求項12記載の方法において、さらに、前記回転バルブ(123)を第4バルブ位置に回転し、また第3リザーバからの洗浄溶液を前記反応チャンバ(126)内に流入させるステップを有し、さらに、前記回転バルブを前記第2バルブ位置に回転し、また前記第1リザーバからの前記反応成分を前記反応チャンバ内に導入させるステップを有する、方法。
請求項12記載の方法において、前記回転バルブ(123)は軸線(142)周りに回転し、フィード通口が前記フローチャンネル(140)及び前記反応チャンバ(126)を流体的に接続し、前記軸線は前記フィード通口を貫通するものとする、方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載する実施形態は、試料(サンプル)調製及び/又は生化学的解析のための指定反応を遂行するのに使用することができる。本明細書で使用する用語「生化学的解析」は、生物学的解析又は化学的解析のうち少なくとも一方を含み得る。
図1は、生化学的解析及び/又は試料調製を行うよう構成したシステム100の概略図である。システム100は、ベース機器102と、及びこのベース機器102に離脱可能に係合するよう構成した係脱可能カートリッジ104とを備える。ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、生物試料を含む指定反応を行わせるため互いに相互作用して、生物試料をシステム100内の異なる場所に輸送し、その後の解析用に生物試料を調整する、また随意的に、生物試料による1つ又は複数の事象を検出できるよう構成することができる。事象は生物試料による指定反応の指標となり得る。係脱可能カートリッジ104は、2014年5月27日出願の米国仮出願第62/003,264号(参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする)に示されまた記載されたような統合化マイクロ流体カートリッジに類似のものとすることができる。しかし、本明細書に記載の実施形態は統合化デバイスに限定されるものではなく、より大型のシステムにも使用することができる。
【0013】
以下は
図1に示すベース機器102及び係脱可能カートリッジ104に言及するが、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、システム100における単に1つの例示的な実施形態を示すに過ぎず、それ以外の実施形態もあると理解されたい。例えば、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、共同して生物試料を調製する及び/又は生物試料を解析する多数の操作を実行する種々のコンポーネント及び形体を有する。図示の実施形態において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104のそれぞれは、特定の機能を行うことができる。しかし、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は異なる機能を実施する及び/又はこのような機能を共有することができると理解されたい。例えば、図示の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は、検出アセンブリ(例えば、撮像デバイス)の使用により指定反応を検出するよう構成する。代替的実施形態において、ベース機器102は、検出アセンブリを含むことができる。他の実施例として、図示の実施形態において、ベース機器102は、係脱可能カートリッジ104に対して液体を供給、受容又は交換しない「乾式」機器とする。代替的実施形態において、ベース機器102は、例えば、試薬又は他の液体を係脱可能カートリッジ104に供給し、次いで、この係脱可能カートリッジ104が試薬又は他の液体を消費する(例えば、指定反応に使用する)ことができる。
【0014】
本明細書で使用するように、生物試料としては、1種類又は複数種類の生物学的又は化学的な物質、例えば、ヌクレオシド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リガンド、受容体、多糖類、炭水化物、ポリリン酸塩、ナノ細孔、オーガネル(細胞小器官)、脂質層、細胞、組織、有機体、上述した種の類似物又は模倣物のような生物学的活性化合物が有り得る。幾つかの場合、生物試料としては、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、膣排出物、漿液、滑液、心膜液、腹水、胸膜液、浸出液、滲出液、嚢胞液、胆汁、尿、胃液、腸液、糞試料、単一又は複数の細胞を含む液体、オーガネルを含む液体、流動化組織、流動化有機体、多細胞生物を含む液体、生物学的スワブ、及び生物学的洗浄液があり得る。
【0015】
幾つかの実施形態において、生物試料は、添加材料、例えば、水、脱イオン水、生理食塩水溶液、酸性溶液、塩基性溶液、清浄液及び/又はpH緩衝液を含有することができる。添加材料としては、さらに、指定反応分析プロトコール中に使用して生化学的反応を行わせる試薬もあり得る。例えば、添加液体は、生物試料で複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)サイクルを行わせる材料を含有することができる。
【0016】
しかし、解析される生物試料は、システム100に装填される生物試料とは異なる形式又は状態の場合もあり得ると理解されたい。例えば、システム100に装填される生物試料は全血又は唾液とし、次にこれを処理して(例えば、分離又は増幅手順により)調製した核酸を生ずることができる。調製した核酸は、この後システム100によって解析する(例えば、PCRによって定量化する又はSBSによってシークエンシングする)。したがって、最初の操作、例えばPCRを記述する間に用語「生物試料」を使用し、それに続いて第2操作、例えばシークエンシングを記述する間に再び使用するとき、第2操作における生物試料は第1操作前又は第1操作中の生物試料とは変更されている場合があり得る。例えば、シークエンシングステップ(例えば、SBS)は、先行増幅ステップ(例えば、PCR)で増幅された鋳型核酸から産生した単位複製配列核酸で実施することができる。この場合、単位複製配列は鋳型の複製であり、また単位複製配列は鋳型の量よりも多い量で存在する。
【0017】
幾つかの実施形態において、システム100は、ユーザーが供出した物質(例えば、全血又は唾液)に基づく生化学的解析用の試料を自動的に調製することができる。しかし、他の実施形態において、システム100は、ユーザーが解析用に部分的に又は予め調製した生物試料を解析することができる。例えば、ユーザーは、全血から既に単離及び/又は増幅した核酸を含む溶液を供出することができる。
【0018】
本明細書で使用する「指定反応」は、関心対象検体の化学的、電気的、物理的、光学的な特性(又は特質)のうち少なくとも1つにおける変化を含む。特別な実施形態において、指定反応は、会合性結合事象(例えば、関心対象検体に蛍光ラベル付けした生体分子の組み込み)とする。指定反応は、解離性結合事象(例えば、関心対象検体から蛍光ラベル付けした生体分子の釈放)であり得る。指定反応は、化学変換、化学変化、化学的相互作用とすることができる。さらに、指定反応は、電気的特性の変化とすることができる。例えば、指定反応は、溶液内のイオン濃度変化とすることができる。例示的な反応としては、以下のものに限定しないが、還元、酸化、付加、脱離、転位、エステル化、アミド化、エーテル化、環化、又は置換のような化学反応、第1化学物質が第1化学物質に結合する結合相互作用、2つ以上の化学物質が互いに分離する解離反応、蛍光発光、発光、生物発光、化学発光、及び生物反応、例えば核酸複製、核酸増幅、核酸雑種形成、核酸連結反応、リン酸化反応、素触媒反応、受容体結合、又はリガンド結合がある。指定反応は、例えば、周囲溶液又は周囲環境におけるpHなどとして検出可能な陽子の付加又は脱離であり得る。付加的指定反応は、薄膜(例えば、天然又は合成の)二層膜を透過するイオンの流れを検出でき、例えば、イオンが薄膜を透過するとき電流が中断し、この中断を検出することができる。従来既知の温度感知及び他の解析感知技術として荷電タグの電界センシングを用いることもできる。
【0019】
特別な実施形態において、指定反応としては、検体に対する蛍光ラベル付け分子の取り込みがある。検体はオリゴヌクレオチドとし、蛍光ラベル付け分子はヌクレオチドとすることができる。指定反応は、ラベル付けヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに向けて励起光を照射し、また蛍光色素分子が検出可能な蛍光信号を発生するとき検出することができる。代替的実施形態において、検出した蛍光は化学発光又は生物発光の結果である。指定反応は、さらに、例えば、受容体蛍光色素分子にドナー蛍光色素分子を近づけることによって蛍光(又はフェルスター)共鳴エネルギー転移(FRET)を増加することができ、ドナー蛍光色素分子及び受容体蛍光色素分子を引き離すことによってFRETを減少し、消光剤を蛍光色素分子から引き離すことにより蛍光を増加し、又は消光剤及び蛍光色素分子を再配置することによって蛍光を減少することができる。
【0020】
本明細書に使用する「反応成分(reaction component)」は、指定反応を得るのに使用できる任意の材料を含む。例えば、反応成分としては、試薬、酵素のような触媒、反応のための反応剤、試料、反応生成物、他の生体分子、塩、金属共同因子、キレート剤、及び緩衝溶液(水素化緩衝液)がある。反応成分は、個別溶液として又は1つ以上の混合物として、流体ネットワークの種々の場所に送給することができる。例えば、反応成分は、生物試料が固定化される反応チャンバに送給することができる。反応成分は、生物試料と直接的又は間接的に相互作用することができる。幾つかの実施形態において、係脱可能カートリッジ104に対して、指定分析プロトコールを実施するのに必要な1種類以上の反応成分を予め装填する。予装填は、カートリッジ104をユーザーが係合する(例えば、ユーザー施設で)のに先立って、1つの場所(例えば、製造施設)で行うことができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、ベース機器102は、セッション毎に1個の係脱可能カートリッジ104と相互作用するよう構成することができる。セッション後に係脱可能カートリッジ104は他の係脱可能カートリッジ104と交換することができる。他の実施形態において、ベース機器102は、セッション毎に1つより多い係脱可能カートリッジ104と相互作用するよう構成する。本明細書に使用する用語「セッション」は、試料調製及び/又は生物試料解析プロトコールのうち少なくとも1つを実施することを含む。試料調製としては、生物試料における1種類以上の成分を分離、単離、変更及び/又は増幅して、調製した生物試料が解析に適合できるようにすることが挙げられる。幾つかの実施形態において、セッションとしては、多数の制御下での反応を行う連続的行為があり、この連続行為は、(a) 指定回数の反応が行われるまで、(b) 指定回数の事象が行われるまで、(c) システムの指定期間が経過するまで、(d) 信号対ノイズ比が指定閾値まで低下するまで、(e) 標的成分が同定されるまで、(f) システム障害若しくはシステム異常が検出されるまで、及び/又は(g) 反応を行わせる1つ以上の反応源が枯渇するまで継続する。代案として、セッションとしては、或る期間(例えば、数分、数時間、数日、数週間)にわたりシステム行為を停止させ、またその後(a)〜(g)のうち少なくとも1つが生ずるまでセッションを完遂する。
【0022】
分析プロトコールは、指定反応を行わせる、指定反応を検出する、及び/又は指定反応を解析するという一連の操作シーケンスを含むことができる。総合的に、係脱可能カートリッジ104及びベース機器102は、異なる操作を実行するのに必要なコンポーネントを有する。分析プロトコールの操作としては、流体操作、熱制御操作、検出操作、及び/又は機械的操作があり得る。流体操作としては、システム100に流れる流体(例えば、液体又はガス)のフローを制御することがあり、この制御は、ベース機器102及び/又は係脱可能カートリッジ104によって作動させる。例えば、流体操作としては、生物試料又は反応成分を反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するポンプを制御することがあり得る。熱制御操作としては、システム100における指定部分の温度を制御することがあり得る。例えば、熱制御操作としては、生物試料を含む液体を保存するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ゾーンの温度を上昇又は低下させることがあり得る。検出操作としては、生物試料の所定特性、品質若しくは特徴を検出する検出器の作動を制御する、又はその活動をモニタリングすることがあり得る。一つの実施例において、検出操作としては、生物試料を含む指定領域の画像を撮像し、指定領域からの蛍光発光を検出することがあり得る。検出操作としては、生物試料に照射する光源を制御する、又は生物試料を観測する検出器を制御することがあり得る。機械的操作としては、係脱可能カートリッジ104における可動バルブに作用的に係合する、ベース機器102のバルブ制御コンポーネントを移動させるモータを制御することがあり得る。幾つかの事例において、異なる操作の組合せを同時に行うことができる。例えば、ポンプが反応チャンバに流れる流体フローを制御するとき、検出器が反応チャンバの画像を撮像する。幾つかの事例において、異なる生物試料に対する異なる操作を同時に行うことができる。例えば、第1生物試料に増殖(例えば、PCR)を行わせるとともに、第2生物試料に検出を受けさせることができる。
【0023】
同様又は同一の流体素子(例えば、チャンネル、通口、リザーバ等)に異なる名前付けをし、流体素子の見分けが容易にできるようにする。例えば、通口は、リザーバ通口、サプライ通口、ネットワーク通口、フィード通口等と称することができる。異なる名前付けをした2つ以上の流体素子(例えば、リザーバチャンネル、試料チャンネル、フローチャンネル、ブリッジチャンネル)は、流体素子が構造上異なるものである必要はない。さらに、特許請求の範囲は、請求項において、このような流体素子の区別が容易につくようこのような名前を追加して補正することができる。
【0024】
本明細書に使用する用語「液体」は、比較的圧縮不能である物質であり、またこの物質を保持する容器又はチャンネルの形状に追従及び適合する能力を有する物質である。液体は、水をベースとし、また液体を互いに保持する表面張力を示す極性分子を含むものとすることができる。さらに、液体は、オイルをベースとする又は水性ではない物質で見られるような、無極性分子を含むものとすることができる。本明細書における液体への言及は、2種類以上の液体の組合せから形成される液体も含むと理解されたい。例えば、個別の試薬溶液は、指定反応を行わせるため後に組み合わせることができる。
【0025】
係脱可能カートリッジ104は、ベース機器102に離脱可能に係合する、又は係脱可能に結合するよう構成する。本明細書に使用する用語「離脱可能に係合(した)」又は「係脱可能に結合(した)」(等々)は、係脱可能カートリッジとベース機器との間の関係性を記述するのに使用するとき、この用語の意図は、係脱可能カートリッジとベース機器との間の連結(接続)がベース機器を破壊することなく容易に切り離すことを意味するものである。したがって、係脱可能カートリッジは、ベース機器に対して電気的に離脱可能に係合し、ベース機器の電気的接点が破壊されることのないようにすることができる。係脱可能カートリッジは、ベース機器に対して機械的に離脱可能に係合し、係脱可能カートリッジを保持するベース機器の形体を破壊することのないようにすることができる。係脱可能カートリッジは、ベース機器に対して流体的に離脱可能に係合し、ベース機器の通口がされることのないようにすることができる。ベース機器は、例えば、コンポーネントに対する簡単な調整(例えば、再整列化)又は簡単な交換(例えば、ノズル交換)を必要とする場合、「破壊した」と見なされない。コンポーネント(例えば、係脱可能カートリッジ104及びベース機器102)は、互いに離脱させるとき、コンポーネントが不当な労力なしに又はコンポーネントを分離するのに費やされる長い時間がかかることなく、容易に離脱可能とすることができる。幾つかの実施形態において、係脱可能カートリッジ104及びベース機器102は、係脱可能カートリッジ104又はベース機器102のいずれかを破壊することなく、容易に離脱させることができる。
【0026】
幾つかの実施形態において、係脱可能カートリッジ104はベース機器102とのセッション中に永久的な変更を受ける又は部分的に損傷し得る。例えば、液体を保留する容器は、液体をシステム100に流入させることができるよう穿刺するフォイルカバーを有する。このような実施形態において、フォイルカバーは損傷し、これにより損傷した容器を他の容器に交換する必要がある。特定の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は交換し、また随意的に1回使用後に廃棄できるよう、使い捨て可能カートリッジとする。
【0027】
他の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は、ベース機器102に係合したまま1回よりも多いセッションに使用する、及び/又はベース機器102から取り外し、試薬を再充填し、またベース機器102に再係合させて、追加の指定反応を行わせるようにすることができる。したがって、係脱可能カートリッジ104は、幾つかの場合において、同一係脱可能カートリッジ104を異なる消耗品(例えば、反応成分及び生物試料)を使用できるよう改造することができる。改造は、カートリッジを顧客施設に配置したベース機器から取り外した後に、製造施設で行うことができる。
【0028】
図1に示すように、係脱可能カートリッジ104は、流体(例えば、液体又はガス)を保持及び導く流体ネットワーク106を有する。流体ネットワーク106は、流体を保存できる及び/又は流体を流すことができるよう相互連結した複数個の流体素子を有する。流体素子の非限定的な例としては、チャンネル、チャンネルの通口、キャビティ、保存モジュール、保存モジュールのリザーバ、反応チャンバ、廃棄リザーバ、検出チャンバ、反応及び検出用の多目的チャンバ、等々がある。流体素子は指定の仕方で互いに流体的に接続し、システム100が試料を調製する及び/又は解析できるようにする。
【0029】
本明細書で使用する用語「流体的に接続した」(又は類似用語)は、2つの空間的領域を互いに接続して、液体又はガスが2つの空間的領域間で導かれるようにすることに言及する。いくつかの場合では、流体接続は、流体を2つの空間的領域間で行き来するよう導くのを可能にする。他の場合では、流体接続は一方向のものとし、2つの空間的領域間のフローが一方向のみとする。例えば、分析リザーバをチャンネルに流体的に接続し、液体が分析リザーバからチャンネル内に移送できるようにする。しかし、幾つかの実施形態において、チャンネル内の流体を分析リザーバに逆流できないようにする。特定実施形態において、流体ネットワーク106は、生物試料を受容し、また生物試料を試料調製及び/又は試料解析に導くよう構成する。流体ネットワーク106は、生物試料及び他の反応成分を廃棄リザーバに導くことができる。
【0030】
1つ又は複数の実施形態は、生物試料(例えば、鋳型核酸)を解析する指定場所で保持する。本明細書で使用する用語「保持した」は、生物試料について使用するとき、生物試料を表面に実質的に付着させる、又は生物試料を指定空間内に閉じ込めることを含む。本明細書で使用する用語「固定化」は、生物試料について使用するとき、実質的に生物試料を固形支持体内又は固形支持体上の表面に付着させることを含む。固定化は、分子レベルの生物試料を表面に付着することを含み得る。例えば、生物試料は、非共有相互作用(例えば、静電力、ファン・デル・ワールス力、及び疎水性界面の脱水)を含めた吸着技術、並びに官能基又はリンカーが生物試料を表面に付着させるのを促進する共有結合技術を用いて、基板表面に対して固定化することができる。生物試料の基板表面に対する固定化は、基板表面の特性、生物試料を担持する液体状の媒体、及び生物試料自体の特性に基づく。幾つかの場合において、基板表面は、生物試料の基板表面に対する固定化を促進するよう機能化する(例えば、化学的又は物理的に変更する)ことができる。基板表面は、先ず表面に結合する官能基を有するよう変更することができる。次に、この官能基が生物試料に結合し、官能基における生物試料を固定化する。幾つかの場合において、生物試料は、米国特許出願公開第2011/0059865号及び同第2014/0079923号(これら各特許文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする)に記載のようなゲルにより表面に対して固定化することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、核酸を表面に対して固定化し、またブリッジ増幅を用いて増幅することができる。有用なブリッジ増幅方法は、例えば、米国特許第5,641,658号、国際公開第07/010251号、米国特許第6,090,592号、米国特許出願公開第2002/0055100号、米国特許第7,115,400号、米国特許出願公開第2004/0096853号、同第2004/0002090号、同第2007/0128624号、同第2008/0009420号に記載されており、これら各特許文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。表面上における核酸を増幅する他の有用な方法は、例えば、以下に詳細に説明する方法を用いる、ローリング・サークル増幅(RCA:rolling circle amplification)である。幾つかの実施形態において、核酸は、表面に付着させ、また1つ以上のプライマー対を用いて増幅することができる。例えば、一方のプライマーを溶液内に存在させ、また他方のプライマーを表面上で固定化することができる(例えば、5’-付着)。例えば、核酸分子は、表面上における一方のプライマーに対する雑種を生じ、これに続いて固定化したプライマーの延伸を生じ、核酸の第1複製を産生する。この後、溶液内のプライマーは核酸の第1複製に対する雑種を生じ、核酸の第1複製を鋳型として使用して延伸することができる。随意的に、核酸の第1複製を産生した後、原核酸分子を表面上に固定化した第2プライマーに対して雑種を生じ、溶液におけるプライマーが延伸するのと同時又は後に、延伸することができる。いかなる実施形態においても、固定化したプライマー及び溶液内プライマーを用いる延伸(増幅)の反復ラウンドにより、核酸の複数の複製を生ずる。幾つかの実施形態において、生物試料は、生物試料の増幅(例えば、PCR)中に使用するよう構成された所定空間内に反応成分とともに閉じ込めることができる。
【0032】
本明細書に記載する1つ又は複数の実施形態は、増幅プロトコールである、又は増幅プロトコールを含む分析プロトコールを実行するよう構成することができる。増幅プロトコール中、リザーバ又はチャンネル内の生物試料の温度を変化させて、生物試料(例えば、生物試料のDNA)を増幅できるようにする。例えば、生物試料は、(1) 約75秒間にわたる約95℃の予加熱段階、(2) 約15秒間にわたる約95℃の変性段階、(3) 約45秒間にわたる約59℃のアニーリング延伸段階、(4) 約60秒間にわたる約72℃の温度保持段階を受けさせる。実施形態は複数回の増幅サイクルを実行することができる。上述のサイクルは1つの特定実施形態についてのみ記載したものであり、また代替的実施形態は増幅プロトコールに対する変更もあり得ることに留意されたい。
【0033】
本明細書に記載の方法及びシステムは、特徴を有する配列を様々な密度のうち任意の密度にして使用することができ、これら密度としては、例えば、少なくとも約10特徴/cm
2、100特徴/cm
2、500特徴/cm
2、1,000特徴/cm
2、5,000特徴/cm
2、10,000特徴/cm
2、50,000特徴/cm
2、100,000特徴/cm
2、1,000,000特徴/cm
2、5,000,000特徴/cm
2、又はそれ以上がある。本明細書に記載の方法及びシステムは、これら例示的密度のうち1つ又は複数での個別特徴を少なくとも十分に解像する解像度を有する検出コンポーネント又はデバイスを設けることができる。
【0034】
図示の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は、複数個のハウジング側面111〜114があるカートリッジハウジング110を有する。ハウジング側面111〜114には、非合体側面111〜113及び合体側面114がある。合体側面114はベース機器102に係合するよう構成する。図示の実施形態において、カートリッジハウジング110はほぼ単一構造体を形成する。代替的実施形態において、カートリッジハウジング110は、システム100のユーザーが組み付ける1つ又は複数のサブコンポーネントによって構成することができる。サブコンポーネントは、係脱可能カートリッジ104を離脱可能にベース機器102に係合させる前に、又は1つのサブコンポーネントを離脱可能にベース機器102に係合させた後に組み付けることができる。例えば、保存モジュール150を第1サブハウジング(図示せず)によって保持し、また係脱可能カートリッジ104の残りの部分(例えば、流体ネットワーク及び撮像デバイス)を第2サブハウジング(図示せず)に設けることができる。第1及び第2のサブハウジングを組み合わせてカートリッジハウジング110を形成することができる。
【0035】
流体ネットワーク106は、カートリッジハウジング110によって保持し、また非合体側面112に開口する複数個の試料通口(ポート)116を有する。代替的実施形態において、試料通口116は、非合体側面111若しくは113に沿って配置する、又は合体側面114に沿って配置することができる。各試料通口116は、生物試料を受容するよう構成する。単なる例として、生物試料は全血又は唾液とすることができる。幾つかの実施形態において、生物試料は、核酸及びPCRを行うための他の材料(例えば、試薬、緩衝液等)とすることができる。3個の試料通口116を
図1に示したが、実施形態によっては、1個のみの試料通口、2個の試料通口、又は3個より多い個数の試料通口を設けることができる。
【0036】
流体ネットワーク106は、さらに、合体側面114に開口し、またカートリッジハウジング110の外部に露出する流体接続通口118を有する。流体接続通口118は、ベース機器102のシステムポンプ119に流体的に接続するよう構成する。流体接続通口118は、流体ネットワーク106の一部であるポンプチャンネル133と流体連通する。システム100の動作中、システムポンプ119は、流体をポンプチャンネル133及び流体ネットワーク106の残りの部分を経由させるフローを誘導する負圧を生ずるよう構成する。例えば、システムポンプ119は、生物試料を試料通口116から試料調製領域132に流入させるフローを誘導し、この試料調製領域132において、生物試料をその後の解析のために調製することができる。システムポンプ119は、生物試料を試料調製領域132から反応チャンバ126に流入させるフローを誘導し、この反応チャンバ126において検出操作を行って、生物試料のデータ(例えば、撮像データ)を取得する。システムポンプ119は、さらに、流体を保存モジュール150のリザーバ151,152から反応チャンバ126に流入させるフローを誘導することができる。検出操作を行った後、システムポンプ119は、流体を廃棄リザーバ128に流入させるフローを誘導する。
【0037】
流体ネットワーク106の他に、係脱可能カートリッジ104は、ベース機器102が制御し得る1つ以上の機械的インタフェース117を有することができる。例えば、係脱可能カートリッジ104は、流体ネットワーク106に作用的に接続される複数個のフロー制御バルブ121〜123を設けたバルブアセンブリ120を有する。各フロー制御バルブ121〜123は、ベース機器102が制御し得る機械的インタフェース117を代表することができる。例えば、フロー制御バルブ121〜123は、システムポンプ119の選択的な作動と関連してベース機器102によって選択的の動作又は制御し、流体ネットワーク106内の流体のフローを制御することができる。
【0038】
例えば、図示の実施形態において、流体ネットワーク106は、試料通口116の直ぐ下流に流体連通する試料チャンネル131を有する。
図1には単に1個の試料チャンネル131を示したが、代替的実施形態においては複数の試料チャンネルを設けることができる。試料チャンネル131は、試料調製領域132を有することができる。バルブアセンブリ120は、1対のチャンネルバルブ121,122を有し、これらチャンネルバルブ121,122は、フロー制御バルブと称することもできる。チャンネルバルブ121,122は、ベース機器102によって選択的に作動し、流体の試料チャンネル131を経由するフローを阻止又はブロックできるようにする。特定実施形態において、チャンネルバルブ121,122は、試料チャンネル131の試料調製領域132内の液体用指定容積を保持するシールを形成するよう作動する。試料調製領域132内の指定容積に生物試料を含むことができる。
【0039】
バルブアセンブリ120は、さらに可動バルブ123を有することができる。可動バルブ123は、対応する通口間に延在する少なくとも1個のフローチャンネル140を設けることができる弁本体138を有する。弁本体138は、通口を流体ネットワーク106の対応する通口に整列させる異なる位置間で移動することができる。例えば、可動バルブ123の位置は、反応チャンバ126内に流入する流体タイプを決定することができる。第1位置において、可動バルブ123は、試料チャンネル131の対応する通口に整列して、生物試料を反応チャンバ126に供給することができる。第2位置において、可動バルブ123は、保存モジュール150のリザーバ151,152にそれぞれ流体連通する1個又は複数個の対応するリザーバチャンネル161,162に整列する。各リザーバ151,152は、指定反応を行うのに使用される反応成分を保存するよう構成する。リザーバチャンネル161,162は、それぞれリザーバ151,152の下流で流体連通するよう配置する。幾つかの実施形態において、可動バルブ123は、異なる位置に個別に移動して、リザーバチャンネルの対応する通行と整列することができる。
【0040】
図示の実施形態において、可動バルブ123は、軸線142の周りに回転するよう構成した回転バルブ(又は回転可能バルブ)とする。可動バルブ123は回転バルブ216(
図2に示す)に類似のものとすることができる。しかし、代替的実施形態は異なる位置に回転しない可動バルブを有することができる。このような実施形態において、可動バルブは対応する通口に整列するよう1つ又は複数の直線方向に摺動し得るものとする。本明細書に記載の回転バルブ及び直線移動バルブは、2013年3月15日出願の国際出願第PCT/US2013/032309号に記載の装置に類似するものとすることができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、生物試料をベース機器102の光源158によって照射する。代案として、光源158は係脱可能カートリッジ104に組み込むことができる。例えば、生物試料は、適合する波長を有する光によって励起するとき発光する1種類又は複数の蛍光色素分子を含むことができる。図示の実施形態において、係脱可能カートリッジ104は光路154を有する。この光路154は、ベース機器102の光源158からの照射光156が反応チャンバ126内の生物試料に入射できるよう構成する。したがって、反応チャンバは1個又は複数個の透明側面又は窓を有することができる。光路154は1個又は複数個の光学的素子、例えばレンズ、リフレクタ、光ファイバライン等を有することができ、照射光156を反応チャンバに能動的に指向させる。例示的実施形態において、光源158は発光ダイオード(LED)とすることができる。しかし、代替的実施形態において、光源158は別タイプの発光デバイス、例えば、レーザー又はランプとすることができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、検出アセンブリ108は、撮像検出器109及び反応チャンバ126を含む。撮像検出器109は、反応チャンバ126内の指定反応を検出するよう構成する。幾つかの実施形態において、この撮像検出器109は、反応チャンバ126からの光信号(例えば、吸光度、反射/屈折、又は発光度)を検出するよう反応チャンバ126に対して相対位置決めする。撮像検出器109は、電荷結合素子(CCD)カメラ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像装置のような撮像デバイスを1個又は複数個有することができる。幾つかの実施形態において、撮像検出器109は、化学発光から発生した光信号を検出することができる。さらに他の実施形態において、検出アセンブリ108は撮像用途に限定しないものとすることができる。例えば、検出アセンブリ108は、液体の電気的特性を検出する1個又は複数個の電極とすることができる。
【0043】
上述したように、ベース機器102は、係脱可能カートリッジ104に作用的に係合し、また係脱可能カートリッジ104内の種々の動作を制御して、生物試料の指定反応を行わせる及び/又は生物試料のデータを取得できるよう構成する。この目的のため、合体側面114は、ベース機器102が係脱可能カートリッジ104の1つ又は複数のコンポーネントにおける動作の制御を可能にするよう構成する。例えば、合体側面114には、バルブ121〜123をベース機器102が制御できるようにする複数個のアクセス開口171〜173を設けることができる。合体側面114には、さらに、ベース機器102の熱サイクラー(例えば、熱ブロック又は熱伝達ブロック)を収容するよう構成したアクセス開口174を設けることができる。図示の実施形態において、熱サイクラー186は熱ブロックとする。アクセス開口174は試料チャンネル131に沿って延在する。図示のように、アクセス開口171〜174は合体側面114に開口する。
【0044】
幾つかの実施形態において、流体ネットワーク106及びバルブアセンブリ123はフロー制御システム164を構成することができる。このフロー制御システム164は、システム100、より具体的には、係脱可能カートリッジ104における1つ又は複数の流体のフローを制御し、1つ又は複数の指定動作を実行できるようにするコンポーネントを含むことができる。このフロー制御システム164は、他の実施形態において、システムポンプ119のような追加コンポーネントを含むことができる。フロー制御システム164は、フロー制御システム200(
図2に示す)と類似又は同一のものとすることができる。
【0045】
ベース機器102は、係脱可能カートリッジ104の合体側面114に離脱可能に係合するよう構成した制御側面198を有する。係脱可能カートリッジ104の合体側面114及びベース機器102の制御側面198は、集合的にシステムインタフェース195を画定する。システムインタフェース195は、係脱可能カートリッジ104とベース機器102との間の共通境界面を代表し、この共通境界面を通じてベース機器102及び係脱可能カートリッジ104が動作可能に係合する。より具体的には、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、システムインタフェース195に沿って動作可能に係合して、ベース機器102が係脱可能カートリッジ104の種々の特徴形体を合体側面114経由で制御することができる。例えば、ベース機器102は、係脱可能カートリッジ104の対応するコンポーネントを制御する1個又は複数個の制御可能コンポーネントを有することができる。
【0046】
幾つかの実施形態において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は動作可能に係合し、システムインタフェース195で確立される、電気的接続部、熱的接続部、光学的接続部、バルブ連結部、又は流体接続部のうち少なくとも1つにより、システムインタフェース195において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104が互いに固定される。図示の実施形態において、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、電気的接続部、熱的接続部、バルブ連結部、及び光学的接続部を有する構成とする。より具体的には、ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、データ及び/又は電力を電気的接続部経由で送受することができる。ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、熱的接続部経由で熱エネルギーを相互に送受することができ、またベース機器102及び係脱可能カートリッジ104は、光学的接続部経由で光信号(例えば、照射光)を送受することができる。
【0047】
図示の実施形態において、システムインタフェース195は、片面インタフェース195とする。例えば、制御側面198及びハウジング側面114はほぼ平面状にし、互いに逆向きにして対面させる。システムインタフェース195は、係脱可能カートリッジ104及びベース機器102は合体側面114及び制御側面198経由のみで互いに動作可能に接続するよう片面インタフェースとする。代替的実施形態において、システムインタフェースは複数側面インタフェースとすることができる。例えば、係脱可能カートリッジの少なくとも2,3、4、又は5つの側面はベース機器と連結するよう構成した合体側面とすることができる。これら複数側面は、平面状とし、また互いに直交する又は互いに対向する(例えば、直方体容積のすべて又は一部を包囲する)よう配列されるものとすることができる。
【0048】
係脱可能カートリッジ104の動作を制御するため、ベース機器102は、フロー制御バルブ121〜123に動作可能に係合するよう構成したバルブアクチュエータ181〜183と、試料調製領域132に対して熱エネルギーを供給及び/又は除去するよう構成した熱サイクラー186と、及び電気接点の接点アレイ188とを有することができる。ベース機器102は、さらに、制御側面198に沿って位置決めした光源158を有することができる。ベース機器102は、さらに、制御側面198に沿って位置決めした制御通口199を有するシステムポンプ119を有することができる。
【0049】
システム100は、さらに、ロック機構176を有することができる。図示の実施形態において、ロック機構176は、係脱可能カートリッジ104のラッチ係合素子178に係合するよう構成した回転可能なラッチ177を有する。代案として、係脱可能カートリッジ104が回転可能なラッチ177を有し、またベース機器102がラッチ係合素子178を有することができる。係脱可能カートリッジ104をベース機器102に取り付けるとき、ラッチ177は回転し、またラッチ係合素子178に係合することができる。ロック機構176が生ずるカム作用が係脱可能カートリッジ104をベース機器102に向けて押圧又は駆動して係脱可能カートリッジ104をベース機器102に固定することができる。
【0050】
ベース機器102は、指定分析プロトコールを行うためのユーザー入力を受け取るよう構成した及び/又は分析に関してユーザーに情報を通信するよう構成したユーザー・インタフェース125を有することができる。ユーザー・インタフェース125は、ベース機器102に組み込むことができる。例えば、ユーザー・インタフェース125は、ベース機器102のハウジングに取り付けたタッチパネルであって、またユーザーからのタッチ及びタッチパネルに表示される情報に対するタッチ場所を識別するよう構成した、該タッチパネルを有することができる。代案として、ユーザー・インタフェース125は、ベース機器102に対して離れた位置に配置することができる。
【0051】
ベース機器102は、さらに、バルブアクチュエータ181〜183、熱サイクラー186、接点アレイ188、光源158、又はシステムポンプ119のうち少なくとも1つの動作を制御するよう構成したシステムコントローラを有することができる。システムコントローラ180は回路モジュールの集合体として概念的に示すが、専用ハードウェア回路板、DSP、プロセッサ等の任意な組合せを利用して実装することができる。代案として、システムコントローラ180は、単一プロセッサ又はプロセッサ間に分散させた機能操作の多重プロセッサを有する市販PCを利用して実装することができる。他の選択肢として、以下に記載の回路モジュールをハイブリッド構成の利用により実装することができ、このハイブリッド構成の場合、若干のモジュール機能は専用ハードウェアを利用して実施するとともに、残りのモジュール機能は市販PC等を利用して実施することができる。
【0052】
システムコントローラ180は、ベース機器102及び/又は係脱可能カートリッジ104の特定コンポーネントの動作を制御するよう構成された複数個の回路モジュール190〜193を有することができる。例えば、回路モジュール190は、流体ネットワーク106における流体のフローを制御するよう構成したフロー制御モジュール190とすることができる。このフロー制御モジュール190は、バルブアクチュエータ181〜183及びシステムポンプ119に動作可能に接続することができる。フロー制御モジュール190は、バルブアクチュエータ181〜183及びシステムポンプ119を選択的に作動させ、1つ又は複数の経路における流体のフローを誘導し、及び/又は1つ又は複数の経路における流体のフローを阻止することができる。
【0053】
単に例として、バルブアクチュエータ183は可動バルブ123に回転可能に係合することができる。バルブアクチュエータ183は、バルブアクチュエータ183を駆動(例えば、回転)するよう構成した回転モータ189を有することができる。フロー制御モジュール190はバルブアクチュエータ183を作動させて、可動バルブ123を第1回転位置に移動することができる。可動バルブ123が第1回転位置にある状態で、フロー制御モジュール190はシステムポンプ119を作動させ、これにより生物試料を試料調製領域132から反応チャンバ126に引き込むことができる。次に、フロー制御モジュール190はバルブアクチュエータ183を作動させて、可動バルブ123を第2回転位置に移動する。可動バルブ123が第2回転位置にある状態で、フロー制御モジュール190はシステムポンプ119を作動させ、これにより1種類又は複数種類の反応成分を対応するリザーバから反応チャンバ126に引き込むことができる。幾つかの実施形態において、システムポンプ119は正圧を供給するよう構成し、これにより流体を逆方向に能動的にポンプ送給できるようにする。このような動作を使用して、複数種類の液体を共通リザーバに追加流入させ、リザーバ内でこれら流体を混合できるようにする。したがって、流体接続通口118は、流体(例えば、ガス)をカートリッジハウジング110から排出させたり、又は流体をカートリッジハウジング110内に受容したりすることができる。
【0054】
システムコントローラ180は、さらに、熱制御モジュール191を有することができる。熱制御モジュール191は熱サイクラー186を制御して、試料調製領域132に対して熱エネルギーを供給及び/又は除去できるようにする。1つの特別な実施例において、熱サイクラー186は、試料チャンネル131内の生物試料がPCRプロトコールにしたがって受ける温度を上昇及び/又は低下することができる。図示しないが、システム100は、試料調製領域132に隣接する位置に追加の熱デバイスを設けることができる。
【0055】
システムコントローラ180は、さらに、生物試料に関するデータを取得する検出アセンブリ108を制御するよう構成した検出モジュール192を有することができる。検出モジュール192は、接点アレイ188により検出アセンブリ108の動作を制御することができる。例えば、検出アセンブリ108は、合体側面114に沿う電気接点196の接点アレイ194に通信可能に係合することができる。幾つかの実施形態において、電気接点196は可撓接点(例えば、ポゴ接点又は接点ビーム)とし、合体側面114に対して出入りする再位置決めができるようにする。電気接点196は、カートリッジハウジングの外部に露出し、また検出アセンブリ108に電気的に接続する。電気接点196は、入/出力(I/O)接点と称することができる。ベース機器102及び係脱可能カートリッジ104が動作可能に係合するとき、検出モジュール192は検出アセンブリ108を制御して、所定時点で又は所定期間にわたりデータを取得できるようにする。例えば、検出モジュール192は検出アセンブリ108を制御して、生物試料がそれに付着する蛍光色素分子を有するとき、反応チャンバ126の画像を撮像できるようにする。多数の画像を取得することができる。
【0056】
随意的に、システムコントローラ180は、少なくとも部分的結果をシステム100のユーザーに提供するデータを解析するよう構成した解析モジュール193を有する。例えば、解析モジュール193は、撮像検出器109によって得られた画像データを解析することができる。解析は、生物試料の核酸シークエンスを同定することができる。
【0057】
システムコントローラ180及び/又は回路モジュール190〜193は、1個又は複数個のマイクロコントローラ、プロセッサ、縮小命令セット・コンピューター(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、論理回路、本明細書に記載した機能を実行できる任意な他の回路を含む、1つ又は複数の論理ベースのデバイスを設けることができる。例示的実施形態において、システムコントローラ180及び/又は回路モジュール190〜193は内部に記憶した命令セットを実行して、1つ又は複数の分析プロトコールを実施する。記憶素子は、ベース機器102及び/又は係脱可能カートリッジ104内の情報源又は物理的メモリ素子の形態とすることができる。分析システム100が実施するプロトコールは、例えば、DNA若しくはRNAの定量解析、タンパク質解析、DNAシークエンシング(例えば、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS))、試料調製、及び/又はシークエンシングの断片ライブラリ準備を実行することができる。
【0058】
命令セットは、システム100に命令する様々なコマンドを含み、本明細書に記載の種々の実施形態の方法及びプロセスのような特別な操作を実施することができる。命令セットはソフトウェアプログラムの形態とすることができる。本明細書で使用する用語「ソフトウェア」及び「ファームウェア」は、互換的に使用され、またコンピュータが実行するためのメモリ、例えば、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリに記憶させた任意のコンピュータプログラムがある。上述のメモリタイプは、単に例示的なものであり、コンピュータプログラムの記憶用に使用可能なメモリタイプに限定されない。
【0059】
ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態とすることができる。さらに、ソフトウェアは、大規模プログラムにおける個別プログラム若しくはプログラムモジュールの集合体としての形態、又はプログラムモジュールの一部としての形態があり得る。さらに、ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態でプログラミングするモジュールを含むことができる。検出データを取得した後、検出データは、システム100が自動的に処理する、ユーザー入力に応答して処理する、又は他の処理装置が発するリクエスト(例えば、通信リンク経由の遠隔リクエスト)に応答して処理することができる。
【0060】
システムコントローラ180は、通信リンク経由でシステム100の他のコンポーネント又はサブシステムに接続することができ、この通信リンクは、有線又は無線とすることができる。システムコントローラ180は、さらに、オフサイトシステム又はサーバーに通信可能に接続することができる。システムコントローラ180は、ユーザー・インタフェース(図示せず)からユーザー入力又はコマンドを受け取ることができる。ユーザー・インタフェースとしては、キーボード、マウス、タッチ画面パネル、及び/又は音声認識システム等があり得る。
【0061】
システムコントローラ180は、ソフトウェア命令の記憶、解釈及び/又は実行、並びにシステム100の全体動作の制御のような処理能力を提供するのに供することができる。システムコントローラ180は、種々のコンポーネントのデータ及び/又は電力状況を制御するよう構成する、及びプログラムすることができる。システムコントローラ180は
図1に単一構造体として示すが、システムコントローラ180は、システム100にわたり異なる場所に分散する複数の個別コンポーネント(例えば、プロセッサ)を有することができる。幾つかの実施形態において、1個又は複数個のコンポーネントをベース機器に内蔵することができ、また1個又は複数個のコンポーネントをベース機器に対して遠隔位置に配置することができる。
【0062】
図2は、本発明の実施形態により形成したフロー制御システム200の平面図である。このフロー制御システム200は、システム100(
図1に示す)のような、試料調製及び/又は試料解析を行うシステム(図示せず)の一部とすることができる。幾つかの実施形態において、フロー制御システム200は、係脱可能カートリッジ104(
図1参照)のような統合装置内に全体的に位置する。しかし、他の実施形態において、フロー制御システム200は標準システム(例えば、デスクトップシステム)の一部とすることができる。
図2において、フロー制御システム200のコンポーネントは、局所的エリア内に配置する。他の実施形態において、フロー制御システム200のコンポーネントは互いに離間させ、また異なるエリアに分散させることができる。
【0063】
図示の実施形態において、フロー制御システム200は、内部に流れる1種類又は複数種類の流体(ガス又は液体)を有するよう構成した流体ネットワーク202を含む。流体ネットワーク202は、相互接続した流体素子の構成体を有する。流体素子は、流体ネットワーク202内の指定領域に流体を導くよう構成することができ、この指定領域において、例えば、流体は所定条件に晒される及び/又は指定反応を受けることができる。流体素子は、1個又は複数個のバルブによって選択的に相互接続され、これにより1個又は複数個の流体素子を、動作中に1個又は複数個の他の流体素子に対して接続分離できるようにする。
【0064】
図示の実施形態において、流体ネットワーク202は、試料通口204A〜204Dと、及び試料通口204A〜204Dとそれぞれ流体連通する試料チャンネル206A〜206Dとを有する。試料チャンネル206A〜206Dは、対応の試料通口204A〜204Dから共通の合流部又は交接部209に延在する。流体ネットワーク202は、さらに、合流部209からサプライ通口210(
図9に示す)まで延在する統合した試料チャンネル208を有する。回転バルブ216をサプライ通口210上に配置する。
【0065】
流体ネットワーク202は、さらに、フィード通口226(
図9に示す)と、及びこのフィード通口226から延在するフィードチャネル224とを有する。フィードチャネル224は、フィード通口226と流体ネットワーク202におけるフローセル320との間に延在する。フローセル320は、流入通口322、流出通口324、及びこれら通口322,324間に延在する反応チャンバ326を有する。動作中、流体は、フィードチャネル224から流入通口322を経由して流れ、また流出通口324経由で反応チャンバ326から流出することができる。反応チャンバ326から流出した後、流体は、流体ネットワーク202の廃棄リザーバ330に流れることができる。廃棄リザーバ330は
図2で小さいボックスで代表して示すが、廃棄リザーバ330の容積は、例えば、リザーバ240〜244よりも大きいものにすることができると理解されたい。
【0066】
流体は反応チャンバ326を流れるとともに、流体は反応チャンバ326内の既存の物質(例えば、検体)と反応し合うことができる。指定反応は反応チャンバ326内で検出することができる。例えば、検出アセンブリ(図示せず)は反応チャンバ326に隣接して位置決めし、また反応チャンバ326から光信号を検出することができる。
【0067】
図示の実施形態において、試料通口204A〜204Dは、マイクロ流体制御構体212の外部に露出するよう、マイクロ流体制御構体212の構体側面又は表面214に開口する。試料チャンネル206A〜206D及び統合した試料チャンネル208はマイクロ流体制御構体212に貫通する(例えば、マイクロ流体制御構体内部に存在する)。サプライ通口210は、構体側面214に開口する。代案として、サプライ通口210は、マイクロ流体制御構体212の下側面(図示せず)又は側方側面に開口することができる。したがって、試料チャンネル206A〜206Dは、サプライ通口210のような単一通口に流体連通する。代替的実施形態において、試料チャンネル206A〜206Dは、構体側面214に開口する個別のサプライ通口に流体連通することができる。このような代替的実施形態において、各試料チャンネルは、対応の試料通口と対応のサプライ通口との間に延在することができる。
【0068】
図示の実施形態において、流体ネットワーク202は、さらに、複数個のリザーバチャンネル220を有する。各リザーバチャンネル220は、リザーバ通口222(
図10に示す)とリザーバ240との間に流体的に介在させる。リザーバ通口222は構体側面214に開口する。サプライ通口210と同様に、リザーバ通口222は、回転バルブ216によってカバーすることができる。随意的に、流体ネットワーク202は、共通試料チャンネル208とリザーバ230との間に流体的に介在させたリザーバチャンネル228を有することができる。
【0069】
図示の実施形態において、フロー制御システム200はマイクロ流体制御構体212を有する。マイクロ流体制御構体212は、流体ネットワーク202の流体素子を画定する物理的構体とすることができる。例えば、マイクロ流体制御構体212は積層したPCB層を有し、これらのPCB層において、1つ又は複数の層は、流体ネットワーク202の1つ又は複数のチャンネル(例えば、試料チャンネル206A〜206D、共通試料チャンネル208、リザーバチャンネル220,228及びフィードチャネル224)、並びに1個又は複数個の通口(例えば、試料通口204A〜204D、リザーバ通口222、サプライ通口210及びフィード通口226)をエッチング又は整形する。フローセル320は、マイクロ流体制御構体212に固定することができる。このようなマイクロ流体制御構体は、米国仮出願第62/003,264号及び同第61/951,462号に図示及び記載されている。これら各米国仮出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。PCB層に代えて又は付加して、他の材料、例えば、ガラス又はプラスチックを使用することができる。代替的実施形態において、マイクロ流体制御構体212は、集合的に複数の構体コンポーネントから形成することができる。幾つかの場合において、流体ネットワーク202は少なくとも部分的に管材によって形成することができる。
【0070】
回転バルブ216は、軸線299周りに異なるバルブ位置に回転して、流体ネットワーク202の異なるチャンネルを流体的に接続するよう構成する。回転バルブ216は、構体側面214に摺動可能に連結することができ、また構体側面214に開口する多数の通口、例えば、リザーバ通口222、サプライ通口210、及びフィード通口226をカバーするよう位置決めすることができる。回転バルブ216は、離散した個別チャンネルを流体的に接続するよう構成した少なくとも1個のフローチャンネル218(
図9に示す)を有する。例えば、回転バルブ216が第1バルブ位置にあるとき、フローチャンネル218は試料チャンネル208をフィードチャネル224に流体的に接続することができる。回転バルブ216が第2回転位置にあるとき、フローチャンネル218は1個のチャンネル又はリザーバチャンネル220をフィードチャネル224の流体的に接続することができる。
【0071】
試料通口204A〜204Dそれぞれは、対応の生物試料を受容するよう構成する。例えば、例えば、検査技師又は研究所職員のようなフロー制御システム200のユーザーは、生物試料を1個又は複数個の試料通口204A〜204D内に装填する(ピペット注入)することができる。生物試料は、同一個体(例えば、人間)のものとする、又は集団からの多数の異なる個体からのものとすることができる。生物試料は、当然のことながら、動物、植物、細菌、又は真菌のような他の種からのものとすることができる。図示の実施形態において、試料通口204A〜204Dは、フロー制御システム200の外側からアクセスできるよう構成する。代替的実施形態において、試料通口204A〜204Dは、より大規模な流体ネットワークの一部とすることができ、これにより生物試料を大規模流体ネットワーク経由で試料通口204A〜204D内に送給する。
【0072】
図2に示すように、試料チャンネル206A〜206Dのそれぞれは、試料調製領域232を有することができる。図示の実施形態において、試料チャンネル206A〜206Dは、対応の試料調製領域232に沿って対応の波状又は蛇行経路を有する。波状又は蛇行経路は、より多くの量の生物試料が温度制御エリア234内に存在できるようにする。代替的実施形態において、試料調製領域232は対応の試料チャンネルの他の部分とは異なる寸法を有することができる。例えば、試料調製領域232は、広いチャンバ又は増大した深さを有するウェルを形成することができる。
【0073】
試料調製領域232において、生物試料は、その後の反応及び/又は解析のために試料調製の処理を受けることができる。例えば、生物試料は、圧力及び/又は温度の変化を受けることができる。代替的又は付加的に、生物試料は、試料調製領域232内で1種類又は複数種類の反応成分と混合することができる。幾つかの実施形態において、フロー制御システム200は、試料チャンネル206A〜206Dの試料調製領域232に隣接する温度制御エリア234に沿って延在する温度制御ストリップ又はバンド236(破線で示す)を有することができる。幾つかの実施形態において、温度制御ストリップ236は、米国仮出願第61/951,462号(参照によって全体が本明細書に組み入れられる)に記載の可撓性PCBヒータのような、可撓性PCBヒータとすることができる。可撓性PCBヒータは、温度制御エリア234に沿って延在させ、また電流を通電するとき発熱する導電性配線を有することができる。
【0074】
熱制御ストリップ236は、熱制御エリア234に沿う対応の試料チャンネル206A〜206D内の生物試料の温度を制御するよう構成する。温度は、増幅プロトコール中に制御され、生物試料が所定スケジュールに従って温度上昇/低下を受けて生物試料を増幅できるようにする。このような実施形態において、生物試料を試薬の増幅(例えば、PCR)ミックスとともに試料通口204A〜204Dに装填することができる。代案として、この増幅ミックスは、別個に流体ネットワーク202経由で試料調製領域232に送給することができる。例えば、試料調製領域232は、増幅ミックスを送給できる他のチャンネル(図示せず)に流体連通することができる。
【0075】
幾つかの実施形態において、フロー制御システム200は、保存アセンブリ又はモジュール238を有する。図示のように、保存アセンブリ238は、複数個のリザーバ240〜244を有する。各リザーバ240〜244は、所定分析プロトコール(例えば、SBSプロトコール)中に使用し得る反応成分を保有するよう構成する。各リザーバ240〜244はリザーバチャンネル220のうち1つに対応する通口に流体連通することができる。本明細書に記載のように、回転バルブ216は、所定スケジュールに従って異なるバルブ位置に回転するよう構成し、フィードチャネル224を流体ネットワーク202の別チャンネルに流体的に接続する。
【0076】
幾つかの実施形態において、フロー制御システム200は、さらに、チャンネルバルブ246,248を有することができる。図示のように、試料チャンネル206A〜206Dそれぞれは、1対のチャンネルバルブ246,248に接続する。各試料チャンネル206A〜206Dの対応する試料調製領域232は、対応する対におけるチャンネルバルブ246,248間に延在する。チャンネルバルブ246,248の各対は、生物試料が異なる条件に晒されるとき試料調製領域232内の対応する生物試料を封止するよう構成する。例えば、チャンネルバルブ246,248は、生物試料がPCRプロトコールの熱サイクリングに晒されるとき、対応の生物試料をチャンネルバルブ246,248間に封止することができる。
【0077】
流体ネットワーク202全体にわたりフローを誘導するため、フロー制御システム200はポンプアセンブリ332を有する。図示の実施形態において、フロー制御システム200は、反応チャンバ326の下流に配置し、流体ネットワーク202に流体を吸引する単一ポンプのみを有する。代替的実施形態において、1個又は複数個のポンプを使用して、流体ネットワーク202に流体を圧送することができる。例えば、1個又は複数個のポンプをリザーバ240〜243及び/又はリザーバ244に対する上流に流体的に配置することができる。試料通口204A〜204Dは、さらに、生物試料の試料チャンネル208に向かうフローを誘導する上流ポンプに流体的に接続することができる。
【0078】
図3〜8は、フロー制御システム200(
図2参照)が流体ネットワーク(
図2参照)におけるフローを制御(例えば、調節)できる異なるバルブ調節機構を示す。より具体的には、
図3及び4は、チャンネルバルブ246を有するバルブ調節機構250の断面を示す。以下はチャンネルバルブ246についての説明であるが、チャンネルバルブ248(
図2参照)及び他のバルブも同様又は同一の特徴を有することができる。図示のように、マイクロ流体制御構体212は互いに並置積層させた複数個の層252〜254を有する。層252〜254はプリント回路板(PCB)層とすることができる。1つ又は複数の層252〜254はエッチングし、このエッチングは、層252〜254を互いに並置積層させるとき、マイクロ流体制御構体212が試料チャンネル206を形成するように行う。試料チャンネル206はバルブ又は内部キャビティ256を有する。
【0079】
チャンネルバルブ246は、試料チャンネル206における流体のフローを調節するよう構成する。例えば、チャンネルバルブ246は、流体が阻害されることなしに流動できる最大クリアランスを可能にする。チャンネルバルブ246は通過する流体のフローを阻害することもできる。本明細書に使用する用語「阻害する」は、流体フローを緩慢にすること又は流体フローを完全に遮断することを含む。図示のように、試料チャンネル206は、バルブキャビティ256に流体連通する第1通口258及び第2通口260を有する。試料チャンネルは、流体を第1通口258経由でバルブキャビティ256内に流入させ、また第2通口260経由でバルブキャビティ256から流出させるよう構成する。図示の実施形態において、チャンネルバルブ246は、第1状態と第2状態との間で撓むことができる可撓性薄膜を構成する。可撓性薄膜は、
図3で第1状態にあり、また
図4で第2状態にある。特別な実施形態において、可撓性薄膜は可撓層とする。可撓層は、バルブキャビティ256内に押し込んで第1通口258をカバーして、第1通口における流体のフローをブロックするよう構成する。代替的実施形態において、チャンネルバルブ246は、異なる状態又は位置間で移動して流体のフローを調節できる他の物理的素子とすることができる。
【0080】
フロー制御システム200(
図2参照)は、さらに、チャンネルバルブ246を作動させる構成としたバルブアクチュエータ262を有することができる。例えば、バルブアクチュエータ262は可撓性薄膜を第1状態と第2状態との間で撓ませることができる。バルブアクチュエータ262は、アクセス孔又は開口266に貫通する支柱又はロッドのような細長本体264をする。アクセス孔266は、バルブアクチュエータ262が、図示の実施形態では可撓性薄膜であるチャンネルバルブ246に直接係合できるようにする。
図6において、バルブアクチュエータ262は第2状態又は第2位置にある。この第2位置において、バルブアクチュエータ262はチャンネルバルブ246に係合し、第1通口258に向かって或る距離移動している。バルブアクチュエータ262はチャンネルバルブ246を変形し、これによりチャンネルバルブ246は第1通口258をカバーする。このようにして、第1通口258経由の流体フローはチャンネルバルブ246によってブロックされる。
【0081】
図5及び6は、チャンネルバルブ272を有するバルブ調節機構270の断面を示す。幾つかの実施形態において、チャンネルバルブ246(
図2参照)をチャンネルバルブ272に置き換えることができる。バルブ調節機構270はバルブ調節機構250と同様のものとすることができる。例えば、バルブ調節機構はチャンネルバルブ272及びバルブアクチュエータ274を有する。バルブアクチュエータ274はノズルのような細長本体276を有し、この細長本体276をアクセス孔又は開口278内に突入させる。アクセス孔278は閉鎖又は封止したチャンバを構成することができる。例示的実施形態において、可撓性薄膜とすることができるチャンネルバルブ272をバルブアクチュエータ274によって空気圧的に作動する。より具体的には、バルブアクチュエータ274は、流体(例えば、空気)を供給して閉鎖チャンバ内の圧力を増加し、これによりチャンネルバルブ272を変形させる。チャンネルバルブ272が変形したとき、チャンネルバルブは試料チャンネル279の通口277をカバーし、これにより試料チャンネル279におけるフローをブロックすることができる。
【0082】
図7及び8は、チャンネルバルブ282を有するバルブ調節機構280を示す。バルブ調節機構280は、バルブ調節機構250(
図3参照)及びバルブ調節機構270(
図5参照)と同様の特徴を有することができる。チャンネルバルブ282はバルブアクチュエータ284に回転可能に係合する。チャンネルバルブ282は、第1回転位置(
図7に示す)にあるとき試料チャンネル286におけるフローを可能にし、また第2回転位置(
図8に示す)にあるとき試料チャンネル286におけるフローをブロックできる形状の平面状本体とする。より具体的には、チャンネルバルブ282は第2回転位置にあるとき通口288をカバーすることができる。
【0083】
図9は、バルブアクチュエータ290に動作可能に係合する回転バルブ216の断面を示す。回転バルブ216は、マイクロ流体制御構体212の構体側面214に摺動可能に係合する。バルブアクチュエータ290は、回転バルブ216を軸線99周りに指定バルブ位置(又は回転位置)に回転して、流体ネットワーク202(
図1参照)の異なるチャンネルを流体的に接続するよう構成する。回転バルブ216は、流体制御側面294及び操作側面296を有する弁本体292を有する。操作側面296は、バルブアクチュエータ290に係合するよう構成した機械的インタフェース(接合部分)298を有することができる。図示の実施形態において、機械的インタフェース298は、軸線299に一致する平面状本体又はフィンを有する。バルブアクチュエータ290は機械的インタフェース298を収容する構成とした溝孔300を有し、これによりバルブアクチュエータ290は回転バルブ216に動作可能に係合する。より具体的には、バルブアクチュエータ290が回転バルブ216に係合し、バルブアクチュエータ290が回転バルブ216を軸線299周りに回転させることができる。
【0084】
構体側面214は、サプライ通口210及びフィード通口226を有する。構体側面214は、さらに、リザーバ通口222A〜222E(
図10に示す)を有する。フローチャンネル218は、第1チャンネル通口306と第2チャンネル通口308との間に延在する。第1及び第2のチャンネル通口306,308は弁本体292の流体制御側面294に開口する。例示的実施形態において、回転バルブ216は、2個のみのチャンネル通口306,308と、1個のみのフローチャンネル218を有する。しかし、他の実施形態において、回転バルブ216は2個より多いチャンネル通口及び/又は1個より多いフローチャンネルを有することができる。このような実施形態によれば、回転バルブ216の単一回転位置で2個より多いチャンネルを流体的に接続することができる。
【0085】
図9に示すように、フィード通口226はチャンネル通口308に整列して流体的に接続され、またサプライ通口210はチャンネル通口306に整列して流体的に接続される。回転バルブ216の回転位置に基づいて、チャンネル通口306は、さらに、リザーバ通口222A〜222Eのうち1つに流体的に接続することができる。上述したように、回転バルブ216は軸線299周りに回転するよう構成する。幾つかの実施形態において、フィード通口226及びチャンネル通口308は軸線299に整列するよう位置決めする。より具体的には、軸線299は、フィード通口226及びチャンネル通口308のそれぞれを貫通する。
【0086】
バルブアクチュエータ290が回転バルブ216に動作可能に係合するときには、バルブアクチュエータ290が構体側面214に向かう方向にアクチュエータ力310を加えることができる。このような実施形態において、アクチュエータ力310は、チャンネル通口306,308間のフローチャンネル218を封止し、またリザーバ通口222及び/又はサプライ通口210を封止するのに十分なものとなり得る。
【0087】
したがって、回転バルブ216は、第1回転位置において、フィード通口226及びサプライ通口210を流体的に接続し、また第2回転位置において、フィード通口226及び対応のリザーバ通口222を流体的に接続する。回転バルブ216が異なる回転位置間で回転するとき、回転バルブ216は、流体ネットワークの流路を効果的に変化する。
【0088】
流体はフローチャンネル218をいずれかの方向に流動することができる。例えば、システムポンプ119(
図1参照)のようなシステムポンプ(図示せず)はフィード通口226に流体連通することができる。システムポンプは吸引力を発生し、流体をサプライ通口210経由でフローチャンネル218内に引き込み、またフィード通口226を通過させる。代案として、システムポンプは流体をフローチャンネル218内に変位させる正圧を供給することができ、これにより、流体をフィード通口226経由でフローチャンネル218内に流入させ、またサプライ通口210(又は対応のリザーバ通口222)を通過させることができる。
【0089】
図10は、構体側面214を上から見下ろした図であり、サプライ通口210、フィード通口226、及びリザーバ通口222A〜222Eを示す。
図10において、フローチャンネル218は、2つの回転位置を代表して示すが、フローチャンネル218は他の回転位置をとることができることを理解されたい。フローチャンネル218の回転位置は、回転バルブ216(
図2参照)のバルブ位置に相関する。リザーバ通口222A〜222Eは、対応のリザーバチャンネルにより対応のリザーバに流体的に接続される。例えば、リザーバ通口222Aはリザーバ243に流体的に接続され、リザーバ通口222Aはリザーバ243に流体的に接続され、リザーバ通口222Bはリザーバ242に流体的に接続され、リザーバ通口222Cはリザーバ241に流体的に接続され、リザーバ通口222Dはリザーバ240に流体的に接続され、またリザーバ通口222Eはリザーバ244に流体的に接続される。上述したように、回転バルブ216(
図2参照)の回転位置に基づいて、フローチャンネル218は、フィード通口226をサプライ通口210に、又は対応のリザーバ通口222A〜222Eのうち1つに流体的に接続することができる。
【0090】
表1は、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールの種々の段階を示す。例示的実施形態において、リザーバ244は水素化緩衝液を含み、リザーバ243はヌクレオチド溶液を含み、リザーバ242は洗浄溶液を含み、またリザーバ241は開裂溶液を含む。表1はSBSプロトコールのスケジュールを提示するが、所望分析プロトコールに基づいて様々なスケジュールを設けることができることを理解されたい。以下の実施例において、生物試料はPCRプロトコールに従って対応の試料調製領域232(
図2参照)内で増幅されている。
【0091】
段階1において、フローチャンネル218は、サプライ通口210及びフィード通口226を流体的に接続するバルブ位置を有する。段階1において、試料チャンネル206Aに接続したチャンネルバルブ246,248(
図2参照)を不作動状態(例えば、第1状態)にし、第1生物試料が試料チャンネル206A及び試料チャンネル208に流れることを可能にする。しかし、試料チャンネル206B〜206Dに接続したチャンネルバルブ246,248は作動状態にして、第2、第3、及び第4の生物試料を対応する試料調製領域232内に封止する。したがって、段階1において、ポンプアセンブリ332(
図2参照)は、第1生物試料のフローをフローチャンネル218に誘導することができる。段階2において、第1生物試料をフローチャンネル218内に保存したまま、回転バルブ216を第2バルブ位置に回転し、これによりフローチャンネル218はリザーバ通口222E及びフィード通口226を流体的に接続する。この第2バルブ位置において、ポンプアセンブリ332は、フローチャンネル218内の流体のフローを誘導し、第1生物試料をリザーバ通口222E経由で水素化緩衝液内に流入させる。
【0092】
段階3において回転バルブ216を回転して第1バルブ位置に戻し、またチャンネルバルブ246,248を選択的に作動して、第3及び第4の生物試料を試料調製領域232内に封止したまま第2生物試料をフローチャンネル218内に流入できるようにする。第4段階で、第2生物試料をフローチャンネル218内に保存したまま回転バルブ216を回転して第2バルブ位置に戻し、第2生物試料を、第1生物試料を含む水素化緩衝液に添加する。段階5〜8中に第3及び第4の生物試料を対応の試料調製領域から取り出して、水素化緩衝液に添加する。したがって、第4生物試料は、水素化緩衝液を有する単一リザーバ内に保存することができる。リザーバ244内に存在する間に、生物試料及び水素化緩衝液で、SBSシークエンシング用に生物試料を調整する反応を生ずる。
【0093】
段階9において、ポンプアセンブリ332は、統合した生物試料/水素化緩衝液を、リザーバ通口222E、フローチャンネル218、フィード通口226を経由して反応チャンバ326(
図2参照)内に引き込む。生物試料は、反応チャンバを画定する表面に固定化することができる。例えば、生物試料を含むクラスターを形成することができる。段階10〜13は、シークエンシング・サイクルを表す。段階10において、回転バルブ216を第3バルブ位置にし、ヌクレオチド溶液をフローチャンネル218経由で反応チャンバ内に引き込むことができる。この時点で、ヌクレオチドが対応の生物試料(例えば、鋳型核酸にアニーリングされたプライマー)に組み込まれる。段階11において回転バルブ216を第4バルブ位置にし、洗浄溶液を反応チャンバに通過させ、ヌクレオチド溶液を伴って反応チャンバから流出させることができる。段階11において、反応チャンバを撮像検出器、例えば検出デバイス404(
図11参照)によって画像化する。クラスターから発せられた光の色を使用して、クラスターが組み込んだ塩基を同定することができる。段階12において、回転バルブ216を第4バルブ位置にし、開裂溶液を反応チャンバに流し、また蛍光色素分子(及び、もし存在するならば、可逆的ターミネーター部分)をクラスターから除去することができる。段階13において、回転バルブ216を再び第3バルブ位置にし、洗浄溶液を反応チャンバに流して、開裂溶液を除去することができる。段階10〜13は、シークエンシングが完了するまで、及び/又は試薬が枯渇するまで繰り返すことができる。
【0095】
図11は、検出アセンブリ400の一部の断面を示す。図示の実施形態において、検出アセンブリ400は、フローセル320に一体的に形成する。より具体的には、検出アセンブリは、フローセル320及び反応チャンバ326に隣接して位置決めした検出デバイス404を有する。フローセル320は検出デバイス404に取り付けることができる。図示の実施形態において、フローセル320は1つ又は複数の固定メカニズム(例えば、接着剤、ボンド、固定具等々)により検出デバイス404に直接付着する。幾つかの実施形態において、フローセル320は、検出デバイス404に取外し可能に連結することができる。特定実施形態において、検出デバイス404は、反応チャンバ326からの光信号を検出するよう構成する。したがって、検出デバイス404は、幾つかの実施形態において、撮像検出器を称することができる。
【0096】
図示の実施形態において、検出デバイス404はデバイス基部425を有する。特定実施形態において、デバイス基部425は、複数の積層レイヤ(例えば、シリコン層、誘電体層、金属−誘電体層等)を有する。デバイス基部425は、光センサ440のセンサアレイ424、光ガイド462のガイドアレイ426、及び対応する反応部位414を有する反応窪み408の反応アレイ428を有することができる。若干の実施形態において、コンポーネントは、各光センサ440が単一の光ガイド462及び単一の反応部位414に整列するよう配列する。しかし、他の実施形態において、単一の光センサ440が、1個より多い光ガイド462からの、及び/又は1つより多い反応部位414からの光子を受け取ることができる。本明細書で使用する単一光センサは、1個のピクセル又は1個より多いピクセルを有することができる。検出デバイス404は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術を用いて製造することができる。特定実施形態において、検出デバイス404は、CMOS撮像検出器とする。
【0097】
用語「アレイ」又は「サブアレイ」は、必ずしも検出デバイスを有する所定タイプの各アイテム及びすべてのアイテムを含まなくてもよい。例えば、センサアレイ424は、検出デバイス404に各光センサ及びすべての光センサを含まないものとすることができる。その代わり、検出デバイス404は、他の光センサ(例えば、光センサの別アレイ)を含むことができる。他の実施例として、ガイドアレイ426は、検出デバイスの各光ガイド及びすべての光ガイドを含まないものとすることができる。その代わり、光ガイド462とは異なる構成の他の光ガイド、又は検出デバイス404の他の素子と異なる関係性を有する他の光ガイドとすることができる。このようにして、他に明示しない限り、用語「アレイ」は、このような検出デバイスのアイテムをすべて含む又は含まないものとすることができる。
【0098】
図示の実施形態において、フローセル320は、側壁406と、並びに側壁406及び他の側壁(図示せず)によって支持されるフローカバー410とを有する。側壁は、検出器表面412に連結し、またフローカバー410と検出器表面412との間に延在する。幾つかの実施形態において、側壁は、フローカバー410を検出デバイス404に結合する硬化可能接着剤層から形成する。
【0099】
フローセル320は、反応チャンバ326がフローカバー410と検出デバイス404との間に存在するサイズ及び形状にする。図示のように、反応チャンバ326は高さH
1を有することができる。単に例として、高さH
1は、約50〜400μm(ミクロン)の間、とくに約80〜200μm(ミクロン)の間とすることができる。図示の実施形態において、高さH
1は約100μmとする。フローカバー410は、検出アセンブリ400の外部から反応チャンバ326内に伝播する励起光を透過する材料を含むことができる。
図7に示すように、励起光401は直角でない角度でフローカバー410に入射する。しかし、これは単に説明目的のためだけのものであり、励起光は異なる角度でフローカバー410に入射することができる。反応チャンバ326は、検出器表面412に沿って流体を導くことができるサイズ及び形状にする。反応チャンバ326の高さH
1及び他の寸法は、検出器表面412に沿う流体のほぼ均一なフローを維持するよう構成することができる。反応チャンバ326の寸法は、さらに、バブル形成を抑制するよう構成する。
【0100】
側壁406及びフローカバー410は、互いに連結する個別コンポーネントとすることができる。他の実施形態において、側壁406及びフローカバー410は、材料の連続ピースから形成されるよう一体形成することができる。例えば、フローカバー410(又はフローセル320)は、ガラス又はプラスチックのような透明材料を有することができる。フローカバー410は、反応チャンバ326を画定する平面状外面及び平面状内面を有する、ほぼ直方体ブロックを構成することができる。このブロックを側壁406に取り付けることができる。代案として、フローセル320をエッチングして、フローカバー410及び側壁406を画定する。例えば、窪みを透明材料にエッチングすることができる。エッチングした材料を検出デバイス404に取り付けるとき、窪みは反応チャンバ326となり得る。
【0101】
検出デバイス404は、官能化する(例えば、指定反応を行うため適正な方法で化学的又は物理的に修飾する)ことができる検出器表面412を有する。例えば、検出器表面412は、官能化し、また固定化した1種類又は複数種類の生体分子を有する複数の反応部位414を有することができる。検出器表面412は、反応窪み又は片面開放反応窪み408のアレイを有する。各反応窪み408は、1つ又は複数の反応部位414を有する。反応窪み408は、例えば、検出器表面412に沿う凹み又は深さ変化によって画定することができる。他の実施形態において、検出器表面412はほぼ平面状にすることができる。
【0102】
図11に示すように反応部位414は、検出器表面412に沿ってパターン化して分布させることができる。例えば、反応部位414は、マイクロアレイに類似するように検出器表面412に沿う行列として配置することができる。しかし、反応部位の様々なパターンを使用できると理解されたい。反応部位は、光信号を発生する生物学的物質又は化学物質を含むことができる。例えば、反応部位における生物学的物質又は化学物質は、励起光401に応答して発光することができる。特別な実施形態において、反応部位414は、検出器表面412に固定化した生体分子(例えば、核酸)のクラスター又はコロニーを有する。
【0103】
図12は方法470のフローチャートである。この方法は、生物試料を調製するステップ及び/又は解析用に生物試料の指定反応を検出するステップを有することができる。方法470は、例えば、本明細書に記載の実施形態(例えば、システム及び/又は方法)の構造又は態様を採用することができる。様々な実施形態において、若干のステップを同時に実施する、若干のステップを一斉に実施する、若干のステップを複数ステップに分割する、若干のステップを異なる順序で実施する、又は若干のステップ若しくは一連のステップを反復して再実施することができる。
【0104】
方法470は、フロー制御システム200(
図2参照)と類似又は同一のフロー制御システムを用いて実施又は実行することができる。方法470は、回転バルブを第1バルブ位置に回転するステップを有する。回転バルブは少なくとも1個のフローチャンネルを有する。第1バルブ位置において、このフローチャンネルは、試料チャンネル(又はフロー制御システムの他のリザーバ)に、また反応チャンバに流体連通し、フローチャンネルは、試料チャンネル及び反応チャンバを流体的に接続することができる。例えば、回転バルブは第1チャンネル通口及び第2チャンネル通口を有することができる。第1チャンネル通口は、通口(例えば、サプライ通口又はリザーバ通口)に整列し、また第2チャンネル通口はフィード通口に整列することができる。回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、他の通口は回転バルブによって封止され、流体は他の通口に流れるのをブロックすることができる。
【0105】
方法470は、さらに、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき生物試料を試料チャンネル(又は第1リザーバ)からフローチャンネルに流入させるステップ(474)を有する。例えば、生物試料はサプライ通口経由で回転バルブのフローチャンネルに流入することができる。他の実施例として、生物試料は、リザーバ、例えば水素化緩衝液を収容するリザーバ内に配置することができる。生物試料(水素化緩衝液とともに)リザーバ通口経由でフローチャンネルに流入することができる。
【0106】
随意的に、生物試料を反応チャンバ内に流入させ続けることができる(ステップ476)。代案として、方法470は、生物試料がフローチャンネル内に配置された状態のまま回転バルブを第2バルブ位置に回転するステップ(478)を有する。第2バルブ位置において、フローチャンネルは、他のリザーバ、例えば水素化緩衝液を収容するリザーバに流体的に接続することができる。ステップ480において、フローチャンネル内の生物試料がリザーバ内に流入するフローを誘導することができる(例えば、ポンプアセンブリによって)。方法470は、所望生物試料のそれぞれが共通リザーバ内に配置されるまで、ステップ472,474,478、及び480を繰り返す。ステップ482において、水素化緩衝液を伴う生物試料を同時にフローチャンネル経由で反応チャンバ内に進入させることができる。
【0107】
したがって、1つ又は複数の生物試料が反応チャンバ内に回転バルブを利用して反応チャンバに導くことができる。代替的実施形態において、生物試料(又は複数の生物試料)は反応チャンバへの直接チャネルを有し、回転バルブを流れることがないものとすることができる。随意的に、方法470は、指定反応を行わせるため、表1につき説明した操作のような指定操作の繰り返しを開始することができる。例えば、回転バルブは他のバルブ位置に回転し(ステップ484)、反応チャンバを指定リザーバに流体的に接続することができる。ステップ486において、反応成分は反応チャンバに流入し、生物試料と相互作用することができる。随意的に、ステップ488において、方法470は、反応チャンバ内における指定反応を検出する。方法470は、次にステップ484に復帰する。
【0108】
図13は、マイクロ流体制御構体504の構体側面502に回転可能に取り付ける、本発明の実施形態による回転バルブ500の平面図である。この回転バルブ500は、回転バルブ216(
図2参照)と類似する特徴を有することができる。マイクロ流体制御構体504は、反応成分及び/又は生物試料を保持するよう構成した複数個のリザーバ506〜510を有する。より具体的には、リザーバ506〜509は、それぞれ第1、第2、第3、及び第4の生物試料(又は試料液体)を保持する。リザーバ510は水素化緩衝液を有する。リザーバ506〜510のそれぞれは、
図13に直線で示す対応するリザーバチャンネル516〜520により対応する通口に流体的に接続する。図示のように、これら通口は、構体側面502に開口し、またリザーバ506〜510に流体連通するサプライ通口526〜530を含む。マイクロ流体制御構体504は、さらに、構体側面502に開口するフィード通口524(
図13に示す)を有する。
【0109】
回転バルブ500は、構体側面502に係合する流体制御側面513及び反対側の操作側面514を有する弁本体512を備える。この弁本体512は、第1、第2、第3、及び第4のフローチャンネル536〜539を有する。各フローチャンネル536〜539は、増幅又はPCRプロトコール中に生物試料を保持するよう構成する。各フローチャンネル536〜539は、中心に位置する共通チャンネル通口(又は流出通口)544を有する。他の実施形態において、フローチャンネル536〜539は同一のチャンネル通口を共有しないものとする。共通チャンネル通口544は、軸線542を有し、この軸線542の周りに回転バルブ500が回転する。フローチャンネル536〜539は、第1チャンネル通口(又は流入通口)546〜549を有する。したがって、各フローチャンネル536〜539は、対応する第1チャンネル通口546〜549から共通チャンネル通口544まで延在する。回転バルブ216(
図2参照)と同様に、回転バルブ500は、異なるバルブ位置に回転してリザーバ及びチャンネルを流体的に接続するよう構成する。しかし、回転バルブ500とは異なり、回転バルブ500は増幅プロトコール中に使用する。より具体的には、弁本体512は、生物試料をフローチャンネル536〜539内に保持したまま、熱サイクラー570(
図14参照)に係合することができる。
【0110】
幾つかの実施形態において、フローチャンネル536〜539は、非拡散セグメント545を有することができる。この非拡散セグメント545は、フローチャンネル536〜539内の生物試料がPCRプロトコールを受けるときに生ずる拡散の可能性を減少するよう構成する。例えば、
図13に示すフローチャンネル536〜539は、非線形経路を有し、また経路に沿って変化する寸法を有する。より具体的には、フローチャンネル536〜539は、フローチャンネルが対応の第1チャンネル通口から共通チャンネル通口544に向かって延在するにつれて、行ったり来たりの巻回をする蛇行経路又は波状経路を有する。第1チャンネル通口546〜549は、半径方向外方の場所をとる。フローチャンネル536〜539の形状の他に、フローチャンネル536〜539は、フローチャンネルが対応の第1チャンネル通口から共通チャンネル通口544に向かって延在するにつれて減少する寸法を有する。他の実施形態において、非拡散セグメント545は蛇行経路を持たないようにすることができる。非拡散セグメント545を含まないフローチャンネル536〜539のセグメントは、試料調製領域543と称することができ、この試料調製領域543は、対応のフローチャンネルにおける生物試料が温度変化のような異なる条件に晒される部分を表すものである。しかし、少なくとも幾つかの実施形態において、生物試料は非拡散セグメント545内にも存在し得ることを理解されたい。
【0111】
図14は、熱サイクラー570を操作側面514に取り付けるときの回転バルブ500の垂直断面図を示す。幾つかの実施形態において、熱サイクラー570は、弁本体512をマイクロ流体制御構体505の構体側面502に押し付ける取付け力572を付与することができる。
図14には示さないが、弁本体512は、熱サイクラー570が係合する1個又は複数個の機械的インタフェース(例えば、フィンのような非平面状形体)を有することができる。この熱サイクラー570は、フローチャンネル536〜539の温度を制御するよう構成する。特定の実施形態において、熱サイクラー570は、各フローチャンネル536〜539の温度を同時に制御する。他の実施形態において、熱サイクラー570は、一度にすべてのフローチャンネルではなく、フローチャンネルに選択的に係合することができる。
【0112】
図14に示すように、共通チャンネル通口544はフィード通口524に流体的に接続する。軸線542は共通チャンネル通口544及びフィード通口524に貫通する。フローチャンネル537の第1チャンネル通口547は、リザーバ通口527に流体的に接続する。しかし、フローチャンネル539の第1チャンネル通口549は構体側面502によって封止される。したがって、
図14に示すバルブ位置において、流体(例えば、生物試料を含む流体)は、リザーバ507(
図13参照)からフローチャンネル537内に流入する。
【0113】
図15A〜15Lは、回転バルブ500の平面図であり、また異なる操作を生ずる異なるバルブ位置を示す。増幅プロトコール用に調製するため、システムコントローラ180(
図1参照)のようなシステムコントローラは、ポンプアセンブリ(図示せず)及び回転バルブ500を選択的に制御するよう構成する。ポンプアセンブリは、ポンプアセンブリ332に類似のものとし、また1つ又は複数のフローポンプを有することができる。幾つかの実施形態において、単一ポンプを回転バルブ500の下流に設け、また流体を共通チャンネル通口544(
図15A参照)に引き込むよう構成することができる。
【0114】
随意的に、フローチャンネル536〜539(
図15A参照)は、生物試料を収容する前に、流体をプライム注入することができる。例えば、
図15A〜15Dは、対応するフローチャンネルの第1チャンネル通口が、リザーバ510に流体連通するリザーバ通口530に流体的に接続される状態を示す。したがって、各フローチャンネルの第1チャンネル通口は、個別にリザーバ510に接続することができる。フローチャンネルがリザーバ510に流体連通するとき、システムコントローラは、ポンプアセンブリを選択的に作動させて、リザーバ510内の反応成分のフローを誘導し、反応成分を対応のフローチャンネルに流入させる。
【0115】
従って
図15Dの状態後、各フローチャンネル536〜539は、反応成分をプライム注入する。反応成分はリザーバ510に関連するが、他の反応成分を使用してフローチャンネル536〜539にプライム注入することができる。例えば、フローチャンネル536〜539は、例えば、水又は緩衝溶液を収容する別個のリザーバ(図示せず)に流体的に接続することができる。図示の実施形態において、各フローチャンネル536〜539は、個別にリザーバ510に接続する。代替的実施形態において、フローチャンネル536〜539のうち1つ又は複数を、リザーバ510又は別個のリザーバに同時に接続することができる。
【0116】
フローチャンネル536〜539がプライム注入された後、リザーバ506〜509(
図15E参照)からの生物試料をフローチャンネル536〜539内に装填することができる(
図15E参照)。例えば、
図15Eに示すように、フローチャンネル538を、リザーバ508に流体連通するリザーバ通口528に流体的に接続する。このとき、フローチャンネル536,537及び539は構体側面502によってカバーされる。ポンプアセンブリはリザーバ508内の生物試料のフローを誘導し、これにより生物試料はフローチャンネル538内に流入する。フローの量は、リザーバ508内の流体の量に基づくものとすることができる。生物試料がフローチャンネル538内に装填された後、回転バルブ500を選択的に回転し、またポンプアセンブリを同様に選択的に作動させ、リザーバ506,507、及び509における生物試料を、それぞれ
図15F〜15Hに示すように、フローチャンネル536,537、及び539内に導入させることができる。
【0117】
生物試料を各フローチャンネル536〜539内に装填した状態で、回転バルブ500を選択的に回転し、各第1チャンネル通口546〜549をマイクロ流体制御構体504の構体側面502によってカバー(又は封止)する。第1チャンネル通口546〜549が封止されるバルブ位置を
図15Iに示す。次に、熱サイクラー570(
図14参照)を制御し、指定増幅プロトコールに従って温度変化のサイクルを開始することができる。フローチャンネル536〜539は、一方の端部のみを封止するが、ポンプアセンブリ及び非拡散セグメント545は、生物試料(例えば、PCRプラグ)のフィード通口524(
図14参照)への移動及び/又は拡散に抵抗を与えることができる。
【0118】
増幅プロトコール後、生物試料を共通リザーバ内に装填することができる。例えば、
図15J〜15Lに示すように、フローチャンネル536〜538内の生物試料をリザーバ510に流体的に接続することができる。ポンプアセンブリを選択的に操作して、生物試料のリザーバ510内へのフローを誘導することができる。図示しないが、フローチャンネル536も流体的にリザーバ510に接続し、これによりフローチャンネル536内の生物試料をリザーバ510内に装填することができる。したがって、リザーバ506〜509からの各生物試料を、増幅プロトコール後に共通リザーバ510内に装填することができる。次に、ポンプアセンブリを選択的に作動させ、混合した生物試料のフィード通口へのフローを誘導することができる。生物試料は、反応チャンバ、例えば、反応チャンバ326(
図2参照)に流体的に送給することができる。この後、生物試料は、上述したように指定反応を行うことができる。特別な実施形態において、生物試料はSBSプロトコール中に使用することができる。
【0119】
図16は、本発明の実施形態により形成し、マイクロ流体制御構体618の構体側面616に取り付ける回転バルブ600の平面図である。回転バルブ600は回転バルブ216(
図2参照)及び回転バルブ500(
図13参照)に類似の特徴を有することができる。回転バルブ600は、フローチャンネル604〜606を有する弁本体602を備える。各フローチャンネル604〜606は、第1チャンネル通口(又は流入通口)608と第2チャンネル通口(又は流出通口610との間に延在する。回転バルブ500とは異なり、フローチャンネル604〜606は、共通チャンネル通口に流体連通しない。
【0120】
図示の実施形態において、各フローチャンネル604〜606は、上流チャンネル612及び下流チャンネル614に流体連通する。
図16において、回転バルブ600は、各フローチャンネル604〜606が対応の上流チャンネル612から生物試料を受容するバルブ位置にある。例えば、フローチャンネル604〜606は、対応する生物試料を同時に受容することができる。生物試料のフローチャンネル604〜606へのフローは、共通ポンプによって誘導することができる。例えば、下流チャンネル614は互いに合流させ、また単一ポンプに流体的に接続することができる。代案として、個別ポンプをフローチャンネル604〜606に流体的に接続することができる。
【0121】
図17は、フローチャンネル604〜606それぞれの第1及び第2のチャンネル通口608,610がマイクロ流体制御構体618の構体側面616によって封止されるバルブ位置に回転バルブを回転した後の回転バルブ600の平面図である。
図17に示すバルブ位置において、熱サイクラー(図示せず)を弁本体602に係合して、フローチャンネル604〜606内で受ける温度を制御する。このようにして、生物試料は上述のような増幅プロトコールを受けることができる。
図13〜15に示す実施形態とは異なり、フローチャンネル604〜606は、PCRプラグが拡散及び移動する可能性を減少するため両側の端部を封止する。
【0122】
図18は、本発明の実施形態により形成した回転バルブ620の平面図である。回転バルブ620は、回転バルブ600(
図16参照)に類似又は同一のものとすることができ、また複数個のフローチャンネル624〜626を有することができる。図示のように、回転バルブ600は、3つの温度制御エリア又はゾーン634〜636に分割する。温度制御エリア634〜636は、破線で示すパイ状エリアで表す。各温度制御エリア634〜636は、1個又は複数個の熱サイクラー(図示せず)によって制御する異なる温度レンジを表す。より具体的には、生物試料をフローチャンネル624〜626内に装填した後、回転バルブ620を選択的に異なる位置に回転することができる。温度制御エリア634内のフローチャンネルは、核酸を変性する指定温度に曝すことができる。温度制御エリア635内のフローチャンネルは、アニーリング延伸段階用の指定温度に曝し、また温度制御エリア636内のフローチャンネルは、予加熱及び/又は温度保持段階用の指定温度に曝すことができる。システムコントローラは、回転バルブ620を3つの異なるバルブ位置に選択的に回転して、生物試料に多重PCR増幅段階のサイクル動作をさせることができる。したがって、回転バルブ600フローチャンネルとは異なり、フローチャンネル624〜626は異なる温度に曝される。
【0123】
図19は方法650を示すフローチャートである。幾つかの実施形態において、方法650は、生物試料を調製するステップと、及び随意的に、解析用に生物試料の指定反応を検出するステップとを有することができる。方法650は、例えば、上述したような種々の実施形態(例えば、システム及び/又は方法)、例えば、
図13〜18につき説明した実施形態の構造又は態様を採用することができる。様々な実施形態において、若干のステップを省略又は付加する、若干のステップを組み合わせる、若干のステップを同時に実施する、若干のステップを一斉に実施する、若干のステップを複数ステップに分割する、若干のステップを異なる順序で実施する、又は若干のステップ又は一連のステップを反復して再実施することができる。
【0124】
方法650は、マイクロ流体制御構体及び回転バルブを準備するステップ(652)を有する。マイクロ流体制御構体は、構体側面と、リザーバ通口526〜529のようなサプライ通口、及びフィード通口を含む流体ネットワークとを有することができる。サプライ通口は構体側面に開口することができる。回転バルブは、構体側面に回転可能に取り付けることができ、また第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び第1チャンネル通口と第2チャンネル通口との間に延在するフローチャンネルを有することができる。幾つかの実施形態において、多重のフローチャンネルを使用することができ、これらフローチャンネルは、
図16〜18の実施形態におけるように個別の第2チャンネル通口を有する、又は
図13〜15の実施形態におけるように第2チャンネル通口を共有することができる。第2チャンネル通口を共有する実施形態においては、第2チャンネル通口を共通チャンネル通口と称することができる。
【0125】
方法650は、第1チャンネル通口がマイクロ流体制御構体のサプライ通口に流体連通する第1バルブ位置に回転バルブを回転するステップ(654)を有する。方法650は、さらに、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、生物試料を第1チャンネル通口経由でフローチャンネル内に流入させるステップ(656)を有する。生物試料は、第1チャンネル通口から第2チャンネル通口に向かう方向に流動することができる。流入ステップ(656)は、流動の流量及び/又は持続時間を選択的に制御するステップを有し、この制御は、生物試料が第2チャンネル通口又はフィード通口をほぼ通り過ぎることがないように行う。回転バルブ500のような複数のフローチャンネルを有する実施形態に対しては、ステップ654及び656は、各フローチャンネルが内部に対応の生物試料を有するようになるまで繰り返す。しかし、各フローチャンネルの回転ステップ(654)は同一バルブ位置においてではない。より具体的には、生物試料を対応するフローチャンネル内に流入させるとき、他のフローチャンネルは一方又は双方の端部を封止することができる。
【0126】
方法650は、さらに、フローチャンネル内の生物試料を伴って回転バルブを第2バルブ位置に回転し、第1チャンネル通口を構体側面によって封止するステップ(658)と、フローチャンネル内における生物試料の温度を選択温度に変化させる熱サイクリング操作を実施するステップ(660)とを有する。この実施ステップ(660)は、所定スケジュールに従うものとすることができる。例えば、このスケジュールは、PCR操作を実行してその後の解析用に生物試料を増幅できるものとする。
【0127】
随意的に、この実施ステップ(660)後に、生物試料又は複数の生物試料をリザーバ内に装填する(ステップ662)。例えば、リザーバは、その後の解析用に生物試料を調製する水素化緩衝溶液を有することができる。ステップ664において、生物試料(又は組み合せた生物試料)を、その後の解析用に反応チャンバに送給する(ステップ666)。
【0128】
図20は、マイクロ流体制御構体702及び回転バルブ704を備える、本発明の実施形態により形成したフロー制御システム700の斜視図である。回転バルブ500(
図13参照)、600(
図16参照)、及び620(
図18参照)とは異なり、増幅は回転バルブ704内のみでは生じない。その代わり、増幅はマイクロ流体制御構体702内で少なくとも部分的に生ずる。より具体的には、マイクロ流体制御構体702は、第1構体側面706(
図22に示す)及び、これとは反対方向に対面する第2構体側面708(
図22に示す)を有する。マイクロ流体制御構体702は流体ネットワーク705を備え、この流体ネットワーク705は、複数個の試料リザーバ711〜714、対応の流入通口731〜734を有する複数個のサプライチャンネル721〜724、及び共通の流出通口736を含む。流入通口731〜734及び流出通口736は、第1構体側面706に開口する(
図22参照)。
【0129】
回転バルブ704は、第1構体側面706に沿ってマイクロ流体制御構体702に回転可能に取り付ける。図示の実施形態において、回転バルブ704は、第1チャンネルセグメント726及び第2チャンネルセグメント728を有する。これら第1及び第2のチャンネルセグメント726,728は、回転バルブ704の流体制御側面709に開口することができる。代案として、第1及び第2のチャンネルセグメント726,728は、流体制御側面709に開口する対応するチャンネル通口間に延在することができる。第1及び第2のチャンネルセグメント726,728は、互いに離間し、また流体制御側面709の一部分に沿ってのみ延在する。例示的実施形態において、第2チャンネルセグメント728は回転バルブ704のいずれの回転位置においても流出通口736に流体連通する。
【0130】
図20は、試料リザーバ711がポンプアセンブリに流体連通する指定位置にある回転バルブ704を示す。より具体的には、第1チャネルセグメント726は、流入通口731と試料リザーバ711との間に流体的に介在する。第2チャンネルセグメント726は、試料リザーバ711と流出通口736との間に介在する。このようにして、サプライチャンネル721は、第1チャンネルセグメント726、試料リザーバ711、及び第2チャンネルセグメント728経由でフィードチャンネル756に流体連通する。
【0131】
図示しないが、フロー制御システム700は、流入通口731及び第1チャンネルセグメント726経由で試料リザーバ711内に流入する流体のフローを誘導するよう構成したポンプアセンブリを備えることができる。流体は、例えば、サプライチャンネル721に流体連通する遠隔のリザーバ(図示せず)内に位置する生物試料を含むことができる。流体の流動及び試料リザーバの寸法は、生物試料が第2チャンネルセグメント728を経て試料リザーバ711からほぼ流出しないよう構成することができる。生物試料を試料リザーバ711内に装填した後、回転バルブ704を選択的に回転し、第1チャンネルセグメント726及び第2チャンネルセグメント728が試料リザーバ712に流体的に接続するようにする。試料リザーバ712には、サプライチャンネル722から流れる生物試料を装填することができる。同様にして、試料リザーバ713及び714に対応する生物試料を装填することができる。
【0132】
図21は、試料リザーバ711〜714に対応する生物試料を装填した後のフロー制御システム700の斜視図である。幾つかの実施形態において、回転バルブ704は、
図20に示すガスリザーバ741〜744を有する。増幅プロトコール中、ガスリザーバ741〜744は、試料リザーバ711〜714に整列するよう構成する。例えば、
図22に示すように、試料リザーバ711及びガスリザーバ741が組み合わさって試料調製チャンバ751を形成うる。ガスリザーバ741内のガスは、試料調製チャンバ751内でガスバラストとして機能することができる。熱サイクリング後、生物試料は、出口通口736に流体連通するフィードチャンネル756(
図20参照)に流れる。本明細書に記載したように、生物試料は、反応チャンバ326(
図2参照)のような反応チャンバに導くことができる。
【0133】
図23は、本発明の実施形態によって形成したシステム800の概略図である。システム800は、システム100(
図1参照)に類似の特徴を有することができる。例えば、システム800は、流体ネットワーク804を有するフロー制御システム802を備える。流体ネットワーク804は、多数の相互接続したチャンネル、通口、リザーバ、流体フローを保持又は流すよう構成した他の空間的領域を有する。例えば、流体ネットワーク804は、回転バルブ806,808を有する。回転バルブ806は試料調製段階中に使用するよう構成し、回転バルブ808は試料解析段階中に使用するよう構成する。回転バルブ806,808は、流体ネットワーク804の中間チャンネル810によって流体的に接続する。流体ネットワーク804は、さらに、フィードチャンネル812、反応チャンバ814、及び廃棄リザーバ816を有する。フロー制御システム802は、流体ネットワーク804に流体連通するポンプアセンブリ818を有する。図示の実施形態において、ポンプアセンブリ818は単一ポンプを有するが、他の実施形態において複数のポンプを有することができる。システム800は、構体側面819を有するマイクロ流体制御構体(図示せず)を備えることができる。回転バルブ806,808は構体側面819に回転可能に取り付ける。マイクロ流体制御構体は、さらに、中間チャンネル810及びフィードチャンネル812を有する又は画定することができる。
【0134】
流体ネットワーク804は、さらに、複数個の分析チャンネル821〜824及び複数個の試料リザーバ831〜834を有する。各分析チャンネル821〜824は、対応する第1通口826と第2通口828との間に延在し、また対応する試料リザーバを中間チャンネル810に流体的に接続する。図示のように、分析チャンネル821〜824は熱制御エリア825を貫通する。図示の実施形態において、分析チャンネル821〜824は熱制御エリア825を通る波状経路を有する。分析チャンネル821〜824の熱制御エリア825を貫通する部分は、試料調製領域827を構成することができる。非線形経路に代わって又は付加的に、分析チャンネル821〜824は、対応する生物試料の指定量を保持する異なる寸法にすることができる。
【0135】
回転バルブ806は、複数のバルブ位置間で移動するよう構成する。回転バルブ806は、ブリッジチャンネル840と、及びフローチャンネル842とを有する。ブリッジチャンネル840及びフローチャンネル842は、試料リザーバ831〜834のうち1つを中間チャンネル810に流体的に接続するよう構成する。例えば、
図23に示すように、ブリッジチャンネル840は、試料リザーバ833のリザーバ通口(又はサプライ通口)853を分析チャンネル823の第1通口826に流体的に接続する。同時に、フローチャンネル842が第2通口828を中間通口856に流体的に接続する。中間通口856は、構体側面819に沿って開口し、また中間チャンネル810に流体連通する。
【0136】
したがって、システムコントローラ(図示せず)は回転バルブ806を選択的に回転し、試料リザーバ831〜834をそれぞれ対応の分析チャンネル821〜824に流体的に接続する。システムコントローラは、ポンプアセンブリ818を制御して、試料リザーバ内における生物試料のフローを誘導し、生物試料を分析チャンネル821〜824の試料調製領域827内に配置する。
【0137】
生物試料(又は複数の試料)を対応する分析チャンネル内に配置するとき、回転バルブ806をシステムコントローラによって他のバルブ位置に回転し、分析チャンネル821〜824それぞれの第1及び第2の通口826,828を構体側面819によってカバー又は封止する。分析チャンネルが封止された状態で、生物試料は増幅プロトコールを受けることができる。例えば、熱サイクラー(図示せず)を熱制御エリア825に隣接配置し、増幅プロトコールに従って熱エネルギーを加えることができる。特別な実施形態において、各生物試料を同時に熱制御エリア825内に配置することができる。代替的実施形態において、生物試料は個別の時点で熱制御エリア825内に配置することができる。
【0138】
生物試料を増幅した後、回転バルブ806を対応のバルブ位置に戻し、対応の生物試料をフローチャンネル842内に装填することができる。生物試料をフローチャンネル842内に配置した状態で、回転バルブを他の位置に回転し、フローチャンネル842をリザーバ835に流体連通させる。リザーバ835は、例えば、水素化緩衝溶液を収容することができる。生物試料をこのリザーバ835に装填することができる。随意的に、回転バルブ806及びポンプアセンブリ818を同様にして動作させ、生物試料を他の分析チャンネルからリザーバ835内に装填する。生物試料はこの後、他の段階に向かわせることができる。例えば、生物試料は、フローチャンネル842、中間通口856経由で中間チャンネル810に流入することができる。代替的実施形態において、生物試料は、最初にリザーバ835内に装填されることなく、回転バルブ808に向かわせることができる。
【0139】
図23に示すように、回転バルブ808は、フローチャンネル870と、及び複数個の試薬リザーバ871〜878とを有する。回転バルブ806を用いて、生物試料が調製された後に、生物試料を反応チャンバ814に移送することができる。随意的に、生物試料を反応チャンバ814に送給する前に、回転バルブ808を回転して試薬リザーバ871〜878のうち1つ又は複数を反応チャンバ814に流体的に接続することができる。より具体的には、フローチャンネル870を指定位置に回転して、試薬リザーバ871〜878のうち1つを反応チャンバ814に流体的に接続する。このように、回転バルブ808を使用して、生物試料を収容する反応チャンバ814を準備することができる。例えば、試薬リザーバ871〜878は、クラスター化試薬、酵素、及び/又はキャプチャプローブを含むことができる。
【0140】
生物試料を反応チャンバ814に送給した後、回転バルブ808を異なるバルブ位置に選択的に回転することができる。例えば、回転バルブ808は、所定サイクルに従って、SBSプロトコールを行うための反応成分を反復して送給することができる。サイクルは、上述の表1に示すサイクルと同様のものとすることができる。したがって、回転バルブ808を利用して、生物試料を収容する反応チャンバを準備する、及び/又は分析プロトコールを行うことができる。
【0141】
図24及び25は、ブリッジチャンネルを有する回転バルブを利用する他の実施形態を示す。
図24はフロー制御システム900の平面図であり、また
図25はフロー制御システム900の部分的な分解斜視図である。図示のように、フロー制御システム900は、互いに反対向きの第1構体側面904及び第2構体側面906(
図25参照)を有するマイクロ流体制御構体902を備える。マイクロ流体制御構体902は、複数個のフローチャンネル908と、及び複数個の試料リザーバ910とを備える。各フローチャンネル908は対応の試料リザーバ910に流体的に接続するよう構成する。フローチャンネル908は、フローチャンネル536〜539(
図13参照)と同様の形状及びサイズとすることができる。
【0142】
フロー制御システム900は、さらに、回転バルブ912を備える。回転バルブ912は、対応するフローチャンネル908及び試料リザーバ910を流体的に接続するよう構成した、複数個のブリッジチャンネル913〜916を有する。特別な実施形態において、各ブリッジチャンネル913〜916は、回転バルブ912の外部に沿って側面が開放した溝とする。代替的実施形態において、ブリッジチャンネル913〜916は側面が開放しないチャンネルとし、またその代わりに外部に開口する第1通口と第2通口との間に延在するチャンネルとする。例えば、
図24に示すブリッジチャンネル916は、回転バルブ912の回転位置に基づいて、対応する試料リザーバ910を対応するフローチャンネル908に流体的に接続する。生物試料がブリッジチャンネル913に流れるとき、他のブリッジチャンネル914〜916は、対応する試料リザーバ910には流体的に接続されない。より具体的には、他のブリッジチャンネル914〜916は回転バルブ912によって封止される。
【0143】
他の実施形態で説明したのと同様にして、熱サイクラー(図示せず)はフローチャンネル908内の生物試料が晒される温度を変化させることができる。例えば、構体側面904,906のうち一方又は双方に熱サイクラーを係合させることができる。増幅プロトコール後に、生物試料は、付加的修飾/調製、及び/又は解析のための他の空間的領域に送給することができる。
【0144】
種々の実施形態につき上述したように、回転バルブ及びマイクロ流体制御構体は、互いに連携して1つ又は複数の流体フローを指定様態で制御する異なる流体素子を有することができる。上述の実施形態は単に例示的なものであり、限定的ではないと理解されたい。例えば、上述の実施形態(及び/又はその態様)は互いに組み合せて使用することができる。さらに、多くの変更を行って、発明の範囲から逸脱することなく種々の実施形態の教示するものに特別な状況又は材料を適用することができる。
【0145】
図26〜29は、本発明の実施形態により形成した回転バルブ950の様々な図である。回転バルブ950は、回転バルブ216(
図2参照)のような、種々の実施形態における回転バルブとして使用することができる。
図26及び27のそれぞれは、回転バルブ950を底部側から見た斜視図及び側方から見た斜視図である。この回転バルブ950は、流体制御側面952及び操作側面954を有する。操作側面954は、バルブアクチュエータ(図示せず)に係合するよう構成した機械的インタフェース956を有する。
【0146】
図28は回転バルブ950の断面図を示す。図示のように、回転バルブ950は、ハウジングカバー960と、互いに固着状態に固定する側面カバー964とを有する。ハウジングカバー960はバルブキャビティ962を画定し、また側面カバー964は流体制御側面952に沿ってバルブキャビティ962の一方の端部を閉鎖する。回転バルブ950は、さらに、バルブキャビティ962内にそれぞれ配置した機械的インタフェース956、バルブばね968、マニホルド本体970、及び圧縮可能薄膜972を含むロータシャフト966を有する。このロータシャフト966は、マニホルド本体970及び圧縮可能薄膜972を側面カバー964に沿って軸線978周りに回転するよう構成する。
【0147】
マニホルド本体970は、一方の側面をロータシャフト966に固定し、反対側の側面を圧縮可能薄膜972に固定する。圧縮ばね968は、マニホルド本体970及び圧縮可能薄膜972を側面カバー964の内側表面に対して偏倚又は押圧することができる。特別な実施形態において、圧縮可能薄膜972は、ポリプロピレン又は他の類似材料とすることができる。
図26に戻って説明すると、側面カバー964は、中心フロー通口980、ドレイン通口、及び外側フロー通口982を有する。この側面カバー964は、
図26において部分的に透明化して、中心フロー通口980、ドレイン通口、及び外側フロー通口982を示す。合計9個の外側フロー通口982を示すが、他の実施形態では異なる個数の通口を有することができる。
【0148】
図29は、回転バルブ950の拡大断面図であり、マニホルド本体970、圧縮可能薄膜972、及び側面カバー964間における相互作用を示す。図示のように、側面カバー964及び圧縮可能薄膜972は、両者間に潤滑リザーバ990を画定することができる。潤滑リザーバ990は軸線978周りに延在することができる。幾つかの実施形態において、外側潤滑リザーバ991を設けることもできる。潤滑リザーバ990は
図26にも示す。ドレイン通口981は潤滑リザーバ990に流体連通し、潤滑剤をリザーバ990に装填できるようにする。図示のように、マニホルド本体970及び圧縮可能薄膜972は、両者間にフローチャンネル984を画定する。ロータシャフト966がマニホルド本体970を圧縮可能薄膜972とともに回転するとき、フローチャンネル984がともに回転する。回転に抗する摩擦力は、圧縮可能薄膜972及び潤滑リザーバ980に起因して減少する。したがって、回転バルブ950の耐用寿命は、既知のバルブよりも長くすることができる。
【0149】
本発明の実施形態によれば、試料チャンネル、反応チャンバ及びリザーバを有する流体ネットワークを備えるシステムを提供する。試料チャンネルは、生物試料を受容するよう構成した試料通口に流体連通する。システムは、さらに、流体ネットワークに流体連通するよう構成したポンプアセンブリを備える。システムは、さらに、フローチャンネルを有し、また第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう構成した、回転バルブを備える。フローチャンネルは、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、反応チャンバ及び試料チャンネルを流体的に接続し、また回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、リザーバ及び試料チャンネルを流体的に接続する。ポンプアセンブリは、回転バルブが第1バルブ位置にあるとき生物試料を反応チャンバに向かわせるフローを誘導し、また回転バルブが第2バルブ位置にあるとき反応成分をリザーバから反応チャンバに向かわせるフローを誘導する。
【0150】
一態様において、ポンプアセンブリは、前記反応チャンバに流体連通しかつ前記反応チャンバに対して下流側に位置するシステムポンプを有することができる。
【0151】
他の実施形態において、前記回転バルブは、前記回転バルブが前記第1バルブ位置から前記第2バルブ位置に回転するにつれて、前記フローチャンネル内に前記生物試料を保持する構成とすることができる。前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、前記生物試料を前記リザーバ内に流入させるフローを誘導するよう構成することができる。
【0152】
随意的に、前記試料チャンネルは第1試料チャンネルとし、また前記生物試料は第1生物試料とすることができる。前記流体ネットワークは第2生物試料を有する第2試料チャンネルを含むことができる。前記回転バルブは、前記フローチャンネルが前記第2試料チャンネルに流体連通する第3バルブ位置に回転するよう構成することができる。前記ポンプアセンブリは、前記第2試料チャンネル内の第2生物試料を前記フローチャンネル内に流入させるフローを誘導する構成とし、この場合、前記回転バルブが前記第3バルブ位置から前記第2バルブ位置に回転するにつれて、前記フローチャンネル内に前記第2生物試料を保持するよう構成することができる。前記ポンプアセンブリは、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、前記フローチャンネルにおける前記第2生物試料を前記リザーバに流入させるフローを誘導する構成とすることができる。幾つかの実施形態において、前記ポンプアセンブリは、前記第1生物試料及び前記第2生物試料を前記リザーバから前記反応チャンバに向かわせるフローを誘導する構成とすることができる。
【0153】
他の態様において、前記リザーバは第1リザーバとすることができる。前記流体ネットワークは第2リザーバを有するものとすることができ、この場合、前記回転バルブは、前記フローチャンネルが前記第2リザーバ及び前記反応チャンバを流体的に接続する第3バルブ位置に移動する構成とする。
【0154】
他の態様において、前記試料チャンネルは第1試料チャンネルとし、また前記流体ネットワークは第2試料チャンネルを含むものとすることができる。随意的に、前記第1試料チャンネル及び第2試料チャンネルのそれぞれは、共通サプライ通口を介して前記回転バルブに流体連通することができる。随意的に、システムは、さらに、前記試料チャンネルに接続するチャネルバルブを備えることができる。前記チャネルバルブは、第1位置と第2位置との間で移動し、前記第1位置及び第2位置ではそれぞれ、前記試料チャンネルを通過するフローを阻止及び許可するよう構成する。
【0155】
他の態様において、前記回転バルブは軸線周りに回転することができる。前記流体ネットワークは、前記軸線に整列しかつ前記フローチャンネル及び前記反応チャンバを流体的に接続するフィード通口を有することができる。
【0156】
他の態様において、前記流体ネットワークは、さらに、試薬チャネルを有することができる。前記試料チャンネル及び前記試薬チャンネルは、前記フローチャンネルに対して上流側に配置した共通のサプライ通口に流体連通することができる。前記サプライ通口は、前記試料チャンネル及び前記試薬チャンネルを前記フローチャンネルに流体的に接続することができる。
【0157】
他の態様において、システムは、前記反応チャンバ内の指定反応を検出するよう構成した検出アセンブリを備えることができる。随意的に、前記検出アセンブリは、前記反応チャンバからの光信号を検出するよう位置決めできる撮像検出器を含む。随意的に、前記撮像検出器は、前記流体ネットワークに対する定位置をとることができる。
【0158】
他の態様において、システムは、前記回転バルブ及び前記ポンプアセンブリを自動的に制御して、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールの反復サイクルを行うよう構成したシステムコントローラを備える。
【0159】
実施形態において、フローチャンネルを有する回転バルブを第1バルブ位置に回転するステップを有する方法を提供する。前記フローチャンネルは、前記第1バルブ位置にあるとき反応チャンバに流体連通する。本発明方法は、さらに、回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、生物試料を試料チャンネル又は第1リザーバから前記フローチャンネルを経由して前記反応チャンバ内に流入させるステップを有することができる。本発明方法は、さらに、前記回転バルブを第2バルブ位置に回転するステップを有することができる。前記フローチャンネルは、前記第2バルブ位置にあるとき第2リザーバ及び前記反応チャンバを流体的に接続することができる。本発明方法は、さらに、前記第2リザーバからの反応成分を前記反応チャンバ内に流入させるステップを有する。前記反応成分は前記反応チャンバ内の生物試料と相互反応する。
有する。
【0160】
一態様において、本発明方法は、前記反応チャンバ内における前記反応成分と前記生物試料との間の指定反応を検出するステップを有する。随意的に、前記指定反応を検出するステップは、前記反応チャンバからの光信号を検出するステップを含むことができる。前記光信号は前記指定反応の指標となり得る。
【0161】
他の態様において、本発明方法は、さらに、複数の前記生物試料を個別に前記リザーバ内に流入させて前記生物試料をリザーバ内で組み合わせるステップを有する。前記生物試料は、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、同時に前記フローチャンネル経由で前記反応チャンバ内に流入することができる。
【0162】
他の態様において、本発明方法は、さらに、前記回転バルブを第3バルブ位置に回転し、また第3リザーバからの洗浄溶液を前記反応チャンバ内に流入させるステップを有する。本発明方法は、さらに、前記回転バルブを前記第2バルブ位置に回転し、また前記第2リザーバからの前記反応成分を前記反応チャンバ内に導入させるステップを有することができる。随意的に、本発明方法は、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールの反復サイクルを実行するステップを有する。
【0163】
他の態様において、本発明方法は、さらに、前記生物試料を前記フローチャンネル経由で前記反応チャンバ内に流入させる前に、前記試料チャンネル又は前記リザーバ内の前記生物試料を増幅させるステップを有する。
【0164】
実施形態において、流体ネットワーク及び前記流体ネットワークに流体連通するポンプアセンブリを有するフロー制御システムを備えるシステムを提供する。前記流体ネットワークは、生物試料を受け入れるよう構成した試料チャンネル、複数個のリザーバ、及び反応チャンバを含むものとする。システムは、さらに、フローチャンネルを有する回転バルブを備える。回転バルブは、異なるバルブ位置に回転し、前記反応チャンバを前記試料チャンネルに、または前記リザーバのうち1つに流体的に接続するよう構成する。本発明システムは、さらに、分析プロトコール中に前記反応チャンバから光信号を検出するよう構成した検出デバイスを備える。本発明システムは、さらに、前記回転バルブ及び前記ポンプアセンブリを制御し、前記生物試料を前記試料チャンネルから前記反応チャンバに流入させるよう構成したシステムコントローラを備える。システムコントローラは、さらに、複数のプロトコールサイクル中に前記回転バルブ、前記ポンプアセンブリ及び前記検出デバイスを制御するよう構成し、前記プロトコールサイクルの各サイクルは、(a) 前記回転バルブを第1リザーバ-バルブ位置に回転して、前記反応チャンバを前記複数のリザーバのうち第1リザーバに流体連通させるステップと、(b) 前記ポンプアセンブリを制御して、流体を前記第1リザーバから前記反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するステップと、(c) 前記回転バルブを第2リザーバ-バルブ位置に回転して、前記反応チャンバを前記複数のリザーバのうち第2リザーバに流体連通させるステップと、(d) 前記ポンプアセンブリを制御して、流体を前記第2リザーバから前記反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するステップと、及び(e) 前記第2リザーバからの流体を前記反応チャンバに流入させる間に、又は前記第2リザーバからの流体を前記反応チャンバに通過させた後に前記反応チャンバから光信号を検出するステップとを含むものとする。
【0165】
一態様において、前記試料チャンネルは試料調製領域を含むものとすることができる。本発明システムは、さらに、前記試料調製領域内における生物試料の温度を制御するよう構成した熱サイクラーを備えることができる。前記システムコントローラは、前記熱サイクラーを制御して、前記生物試料を前記試料チャンネルから前記反応チャンバ内に流入させる前に、前記試料調製領域内の前記生物試料を増幅させることができる。
【0166】
随意的に、前記プロトコールサイクルの各サイクルは、さらに、前記回転バルブを第3リザーバ-バルブ位置に回転して、前記反応チャンバを前記複数個のリザーバのうち第3リザーバに連通させるステップと、及び前記ポンプアセンブリを制御して、流体を前記第3リザーバから前記反応チャンバ内に流入させるフローを誘導するステップとを有する。
【0167】
他の態様において、前記検出デバイスはCMOS撮像検出器を有する。他の態様において、フローセルを前記検出デバイスに接続する。前記フローセルは前記反応チャンバを画定することができる。随意的に、前記フローセルは前記検出デバイスに対して定位置に固定する。
【0168】
他の態様において、前記フロー制御システムは、構体側面を有するマイクロ流体制御構体を含む。前記構体側面は、その構体側面に開口する複数個の通口を有し、前記フローチャンネルが前記複数個の通口のうち少なくとも1個に流体的に接続するとき他の前記複数個の通口を封止するよう構成する。特定実施形態において、本発明システムは、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)プロトコールを実行するよう構成する。
【0169】
実施形態によれば、マイクロ流体制御構体及び回転バルブを準備する準備ステップを有する方法を提供する。前記マイクロ流体制御構体は構体側面及び流体ネットワークを有し、前記流体ネットワークはサプライ通口及びフィード通口を含む。前記サプライ通口は前記構体側面に開口する。前記回転バルブは前記構体側面に対して回転可能に取り付ける。前記回転バルブは、第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び前記第1チャンネル通口と前記第2チャネル通口との間に延在するフローチャンネルを有する。本発明方法は、さらに、前記回転バルブを、前記第1チャンネル通口が前記マイクロ流体制御構体の前記サプライ通口に流体連通する第1バルブ位置に回転するステップを有する。本発明方法は、さらに、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、生物試料を前記第1チャンネル通口経由で前記フローチャンネルに流入させるステップを有する。本発明方法は、さらに、前記生物試料が前記フローチャンネル内に存在する状態で前記回転バルブを第2バルブ位置に回転して、前記第1チャンネル通口を前記構体側面によって封止するステップを有する。本発明方法は、さらに、熱サイクリング操作を行って、前記フローチャンネル内における生物試料の温度を選択温度に変化させるステップを有する。
【0170】
一態様において、前記マイクロ流体制御構体は、前記構体側面に開口してリザーバに流体連通するリザーバ通口を有することができる。本発明方法は、さらに、前記回転バルブを前記第1チャンネル通口及び前記リザーバ通口を整列させるよう回転して、前記フローチャンネル内の前記生物試料を前記第1チャンネル通口経由で前記リザーバ内に流入させるフローを誘導するステップを有する。随意的に、本発明方法は、さらに、前記リザーバから前記フローチャンネル及び前記マイクロ流体制御構体の前記フィード通口を経由する前記生物試料のフローを誘導するステップを有する。
【0171】
他の態様において、前記回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、前記第2チャンネル通口は前記フィード通口に整列することができる。
【0172】
他の態様において、前記回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、前記第2チャンネル通口は前記構体側面によって封止することができる。
【0173】
他の態様において、前記第1チャンネル通口は第1流入通口とし、前記フローチャンネルは第1フローチャンネルとする。前記回転バルブは第2流入通口及び第2フローチャンネルを有することができる。前記第2フローチャンネルは前記第2流入通口と前記第2チャンネル通口との間に延在することができる。
【0174】
他の態様において、前記第1チャンネル通口は第1流入通口とし、前記第2チャンネル通口は第1流出通口とする。前記回転バルブは第2流入通口及び第2流出通口を有し、フローチャンネルが前記第2流入通口と前記第2流出通口との間に延在することができる。
【0175】
他の態様において、前記回転バルブは互いに逆向きに対面する流体制御側面及び操作側面を有する。前記熱サイクラーは、前記操作側面に係合して前記生物試料の温度を制御することができる。
【0176】
他の態様において、本発明方法は、前記リザーバからの前記生物試料が前記フローチャンネル及び前記マイクロ流体制御構体の前記フィード通口を経由して反応チャンバ内に流入するフローを誘導するステップを有することができる。本発明方法は、さらに、前記反応チャンバからの光信号を検出するステップを有する。随意的に、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとるものとする。
【0177】
他の態様において、フローセルが前記反応チャンバを含むものとする。前記反応チャンバからの光信号を検出するステップは、前記フローセルに接続した撮像検出器を用いて、前記光信号を検出するステップを含むことができる。随意的に、前記撮像検出器及び前記フローセルは互いに固定する。
【0178】
本発明の実施形態において、構体側面及び流体ネットワークを有しするマイクロ流体制御構体であって、前記流体ネットワークはサプライ通口及びフィード通口を有する、該マイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。前記サプライ通口は前記構体側面に開口するものとする。本発明システムは、さらに、前記構体側面に対して回転可能に取り付ける回転バルブを備える。前記回転バルブは、第1チャンネル通口、第2チャンネル通口、及び前記第1チャンネル通口と前記第2チャネル通口との間に延在するフローチャンネルを有する。前記回転バルブは、第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で回転するよう構成する。前記第1チャンネル通口は、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき前記マイクロ流体制御構体の前記サプライ通口に流体連通する。前記第1チャンネル通口は、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき前記マイクロ流体制御構体によって封止されるものとする。本発明システムは、さらに、前記回転バルブが前記第1バルブ位置にあるとき、流体を前記サプライ通口経由で前記フローチャンネル内に流入させるフローを誘導する構成としたポンプアセンブリを備える。本発明システムは、さらに、前記回転バルブに対して位置決めされる熱サイクラーであって、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、前記フローチャンネル内の流体が受ける温度を制御するよう構成した、該熱サイクラーを備える。
【0179】
一態様において、前記マイクロ流体制御構体は、前記構体側面に開口してリザーバに流体連通するリザーバ通口を有することができる。前記回転バルブは、前記第1チャンネル通口及び前記リザーバ通口が整列する第3バルブ位置に回転することができる。前記ポンプアセンブリは、前記フローチャンネル内の前記流体を前記第リザーバ通口経由で前記リザーバ内に流入させるフローを誘導するよう構成することができる。随意的に、前記ポンプアセンブリは、前記リザーバからの前記流体が前記フローチャンネル及び前記マイクロ流体制御構体の前記フィード通口を経由するフローを誘導するよう構成する。
【0180】
他の態様において、前記回転バルブは軸線の周りに回転するよう構成する。前記第2チャンネル通口及び前記フィード通口は前記軸線に整列することができる。
【0181】
他の態様において、前記フローチャンネルは第1フローチャンネルとすることができる。前記回転バルブは、対応するチャンネル通口間に延在する第2フローチャンネルを有することができる。
【0182】
他の態様において、本発明システムは、前記フィード通口に流体連通する反応チャンバと、及び前記反応チャンバ内の指定反応を検出するよう位置決めした検出デバイスとを備える。随意的に、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとる。随意的に、本発明システムは、前記反応チャンバを有するフローセルを備える。前記検出デバイスは、前記フローセルに隣接して位置決めした撮像検出器とすることができる。幾つかの実施形態において、前記撮像検出器及び前記フローセルは互いに固定することができる。
【0183】
本発明の実施形態において、流入通口、流出通口、及び試料リザーバを含む流体ネットワークを有するマイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。本発明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体に回転可能に連結した回転バルブを備える。前記回転バルブは、第1チャンネルセグメント及び第2チャンネルセグメントを有する。前記第1チャンネルセグメントは、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき前記流入通口及び試料リザーバを流体的に接続する。前記第2チャンネルセグメントは、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき前記流出通口及び試料リザーバを流体的に接続する。本発明システムは、さらに、前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、前記流入通口及び第1チャンネルセグメント経由で前記試料リザーバ内に流体を流入させる構成としたポンプアセンブリを備える。前記回転バルブは、前記試料リザーバが前記回転バルブによって封止される第2バルブ位置に移動するよう構成する。本発明システムは、さらに、前記回転バルブが前記第2バルブ位置にあるとき、熱エネルギーを前記試料リザーバに供給するよう前記マイクロ流体制御構体に対して位置決めした熱サイクラーを備える。
【0184】
一態様において、前記回転バルブは被包化したガスリザーバを有することができる。前記被包化したガスリザーバは、前記回転バルブが第2バルブ位置にあるとき、前記試料リザーバと整列することができる。前記被包化したガスリザーバ及び前記試料リザーバは反応チャンバを形成するよう組み合わせることができる。
【0185】
他の態様において、本発明システムは、さらに、前記流出通口に流体連通するフィードチャンネルを備える。前記フィードチャンネルは前記流出通口を反応チャンバに流体的に接続することができる。本発明システムは、前記反応チャンバと、及び前記反応チャンバ内の指定反応を検出するよう位置決めした検出デバイスとを備える。
【0186】
他の態様において、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとることができる。随意的に、本発明システムは、前記反応チャンバを有するフローセルを備える。前記検出デバイスは、前記フローセルに隣接して位置決めした撮像検出器とすることができる。
【0187】
本発明の実施形態において、試料リザーバ及び別個の分析チャンネルを含む流体ネットワークを有するマイクロ流体制御構体を備えるシステムを提供する。前記分析チャンネルは第1通口と第2通口との間に延在する。前記流体ネットワークは、さらにフィード通口を有する。本発明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体の熱制御エリアに隣接して位置決めされる熱サイクラーを備える。前記分析チャンネルは前記熱制御エリアに貫通する。前記熱サイクラーは、熱エネルギーを前記熱制御エリアに供給するよう構成する。本発明システムは、さらに、前記マイクロ流体制御構体に回転可能に連結し、また第1バルブ位置と第2バルブ位置との間で移動するよう構成した回転バルブを備える。前記回転バルブは、ブリッジチャンネル及び別個のフローチャンネルを有する。前記回転バルブが第1バルブ位置にあるとき、前記ブリッジチャンネルは、前記ブリッジチャンネルは前記試料リザーバ及び前記分析チャンネルの第1通口を流体的に接続し、また前記フローチャンネルは前記分析チャンネルの第2通口及び前記フィード通口を流体的に接続する。前記回転バルブは、前記分析チャンネルの前記第1通口及び第2通口を封止する第2バルブ位置に移動するよう構成する。
【0188】
一態様において、前記フローチャンネルは前記分析チャンネルから生物試料を受け取るよう構成することができる。前記回転バルブは、前記フローチャンネルがリザーバに流体的に接続される第3バルブ位置に回転するよう構成することができる。前記生物試料は前記フローチャンネルを経由して前記リザーバ内に流入することができる。
【0189】
他の態様において、本発明システムは、さらに、前記フィード通口に流体連通する反応チャンバと、前記反応チャンバ内での指定反応を検出するよう位置決めした検出デバイスとを備える。随意的に、前記反応チャンバは前記回転バルブに対して離れた位置をとることができる。随意的に、本発明システムは、さらに、前記反応チャンバを有するフローセルを備える。前記検出デバイスは、前記フローセルに隣接して位置決めした撮像検出器とすることができる。
【0190】
本明細書に使用するように、単数形で表現され、単語「a」「an」が前置される要素又はステップは、明示しない限り、複数素子又は複数ステップを排除しないと理解されたい。さらに、「一実施形態」への言及は、記載される特徴を組み込んだ他の実施形態の存在を排除することを意図しない。他に明示しない限り、特定特性を有する1つの要素又は複数要素を「備える(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その特性を有する又は有していない他の要素を含むことができる。
【0191】
当然のことながら、図示した実施形態のコンポーネントの特別な構成(例えば、個数、タイプ、配置等)は、種々の代替的実施形態においては変更することができる。種々の実施形態において、所与のモジュール若しくはユニットの異なる個数を採用することができ、所与のモジュール若しくはユニットの異なるタイプを採用することができ、所与のモジュール若しくはユニットを追加することができ、又は所与のモジュール若しくはユニットを省略することができる。
【0192】
上述の記載は説明を意図するもので、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上述の実施形態(及び/又は態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態が教示するところに特別な状況又は材料を適用するための多くの変更を加えることができる。種々のコンポーネントの寸法、材料タイプ、向き、並びに本明細書に記載の種々のコンポーネントの個数及び位置は、若干の実施形態のパラメータを規定することを意図し、何ら限定的なものではなく、単なる例示的実施形態に過ぎない。本明細書を閲覧する際に、特許請求の精神及び範囲内における多くの他の実施形態及び変更例は、当業者には明らかであろう。したがって、特許可能な範囲は、添付の特許請求の範囲の請求項を参照し、並びにこのような請求項に記載の均等物の全範囲とともに決定されるべきものである。
【0193】
本明細書で使用するように、「例示的実施形態(exemplary embodiment)」等の語句は、記載された実施形態は単なる1つの実施例であることを意味する。この語句は、をその実施形態に限定することを意図しない。新規性要旨の他の実施形態は、記載の特徴又は構造を含まないことがあり得る。添付の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」「において(in which)」は、対応する用語「備える(comprising)」「における(wherein)」という平明英語の均等物として使用する。さらに、以下の特許請求の範囲において、用語「第1(first)」、「第2(second)」、及び「第3(third)」等は、単なる名前付けとして使用するもので、対象物に対する数値要件を課することを意図しない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、このような特許請求の範囲の限定が、他の構造がない機能表現が後続する語句「ための手段(means for)」を明確に使用しない限り、また使用するまでは、「means-plus-function」フォーマットで記述されず、米国特許法112条(f)に基づいて解釈することを意図しない。