特許第6929654号(P6929654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929654
(24)【登録日】2021年8月13日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】射出物発射装置
(51)【国際特許分類】
   F41F 7/00 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
   F41F7/00
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-22891(P2017-22891)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-128216(P2018-128216A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】508208007
【氏名又は名称】三菱航空機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(74)【代理人】
【識別番号】100191961
【弁理士】
【氏名又は名称】藤澤 厚太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 愉考
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】森下 邦宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 望
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3139942(JP,U)
【文献】 特開2012−002743(JP,A)
【文献】 特開2011−075307(JP,A)
【文献】 特開2016−142517(JP,A)
【文献】 特開2004−324352(JP,A)
【文献】 特開2010−197098(JP,A)
【文献】 特開2012−002699(JP,A)
【文献】 特開2011−064670(JP,A)
【文献】 米国特許第05714675(US,A)
【文献】 中国実用新案第201837312(CN,U)
【文献】 中国実用新案第201859048(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 11/80
F41F 7/00
F42B 14/06−14/08
G01M 7/00− 7/08
G01N 3/30− 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気が充填されるタンクと、
一端が前記タンクと接続する加速管と、
前記加速管内に設けられ、前記タンクと前記加速管とを遮断状態から連通状態に切り替える切替手段と、
前記加速管内において、前記加速管に摺動可能に設けられ、前記加速管の射出口側を向く面が射出物を保持可能な形状である射出物保持部材と、
一端が前記射出物保持部材の前記タンク側を向く端面に固定され、他端が前記加速管の内周面に固定される、紐状の拘束具とを備え、
前記射出物保持部材は、
前記射出口側が開口した有底形状であり、1つ、あるいは、互いに嵌合するようにそれぞれ異なる内径及び外径を有した複数のものからなる、射出物保持部材嵌合部と、
前記射出口側が前記射出物を保持可能な形状であり、前記射出物保持部材嵌合部の最も内径側に嵌合した、射出物保持部材片とを備え、
前記拘束具は、
前記射出物保持部材嵌合部及び前記射出物保持部材片それぞれの底部同士を互いに連結するようにして固定された、内側拘束具と、
最も外径側の前記射出物保持部材嵌合部の外面と、加速管の内周面とを連結するようにして固定された、外側拘束具とを備えることを特徴とする射出物発射装置。
【請求項2】
前記射出物保持部材嵌合部及び前記射出物保持部材片のうち、最も外径側の前記射出物保持部材嵌合部以外は、前記射出口側の端部が、それぞれ外径側に嵌合する前記射出物保持部材嵌合部から突出し、前記加速管の内周面に摺接するように拡径していることを特徴とする請求項1に記載の射出物発射装置。
【請求項3】
前記拘束具の前記他端は複数に分岐し、それぞれが前記加速管の内周面に放射状に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出物発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の機体等の衝突試験に用いられる、射出物発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、飛行中に鳥と衝突することで機体が破損する虞がある。よって、航空機開発の一環として、航空機の機体を模した供試体に、射出物発射装置から発射した鳥を衝突させる試験(鳥衝突試験)が行われる(下記特許文献1参照)。
【0003】
この射出物発射装置には加速管が設けられ、この加速管の内部には鳥(射出物)及びこれを保持する射出物保持部材(サボ)が配置されている。射出物発射装置によって射出物を発射する場合は、加速管内において空圧によって射出物及び射出物保持部材を瞬時に押圧し、加速管から射出物を発射した直後に射出物をサボから分離する。ここで、射出物をサボから分離する手段として、例えば下記(1)〜(3)のような手段がある。
【0004】
(1)図8に示すように、供試体17に向けた加速管32の射出口32b近傍に、空孔18aが形成された板(サボストッパ)18を設置し、射出物16が発射される際に、サボ44はサボストッパ18と衝突して停止し、射出物16のみが空孔18aを通ることにより、射出物16をサボ44と分離して発射する。
【0005】
(2)図9に示すように、加速管32外に、複数のサボストッパ19A,19B,19Cを加速管32の延伸方向に並べて配置し、最も加速管32の射出口32bに近い位置に配置されるサボストッパ19Aにおいては、射出物16の管径方向の幅に比べ、余裕を持った広がりの空孔19Aaを有し、各サボストッパ19B,19Cの空孔19Ba,19Caの穴径を供試体17に近づくにつれ段階的に小さくしていくことで、射出物16の発射の際に、サボ44と射出物16を徐々に分離していき、サボ44が最も供試体17に近いサボストッパ19Cと衝突した時点で、射出物16はサボ44と完全に分離して発射される。
【0006】
(3)図10に示すように、先端に射出物16の管径方向の幅よりも大きくサボ44の内径よりも小さい空孔20aが形成された、漏斗状のストリッパ20を、加速管32外の射出口32b近傍に設置する。サボ44がストリッパ20に衝突すると、ストリッパ20がサボ44を内側から抉るように切り裂き、空孔20aを射出物16のみが通過するようにして、射出物16をサボ44と分離して発射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000‐2500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記(1)の手段では、サボ44がサボストッパ18との衝突時に周方向に変形するため、射出物16に干渉し、射出物16の衝突速度のばらつき、射出物16の供試体17に対する衝突位置のばらつき、あるいは射出物16の破損が発生してしまうおそれがある。
【0009】
上記(2)の手段では、複数のサボストッパの構造自体が複雑となるため、配置が困難となる。また、サボ44がサボストッパに衝突する回数が増えるため、速度のばらつきが大きくなる。
【0010】
上記(3)の手段では、サボ44と射出物16との間にストリッパ20の先端が入り込むように、サボ44と射出物16との隙間を大きく取る必要があり、これによって発射時に射出物16がサボ44内で動いてしまい、衝突位置精度が低下する。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、サボがサボストッパに衝突することによって変形し射出物に干渉することを防ぎ、射出物の衝突位置精度及び衝突速度の再現性を向上させ、かつ射出物の破損を防止することができる、射出物発射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する第1の発明に係る射出物発射装置は、
射出側を向く面が射出物を保持可能な形状である射出物保持部材と、
一端が前記射出物保持部材の射出側と反対側を向く端面に固定され、他端が不動部に固定される、紐状の拘束具とを備える
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第2の発明に係る射出物発射装置は、
圧縮空気が充填されるタンクと、
一端が前記タンクと接続する加速管と、
前記加速管内に設けられ、前記タンクと前記加速管とを遮断状態から連通状態に切り替える切替手段と、
前記加速管内において、前記加速管に摺動可能に設けられ、前記加速管の射出口側を向く面が射出物を保持可能な形状である射出物保持部材と、
一端が前記射出物保持部材の前記タンク側を向く端面に固定され、他端が前記加速管の内周面に固定される、紐状の拘束具とを備える
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第3の発明に係る射出物発射装置は、
上記第2の発明に係る射出物発射装置において、
前記拘束具の前記他端は複数に分岐し、それぞれが前記加速管の内周面に放射状に固定される
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第4の発明に係る射出物発射装置は、
上記第2又は3の発明に係る射出物発射装置において、
前記拘束具の前記一端は複数に分岐し、それぞれが前記端面に放射状に固定される
ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する第5の発明に係る射出物発射装置は、
上記第2又は3の発明に係る射出物発射装置において、
前記射出物保持部材は、
前記射出口側が開口した有底形状であり、1つ、あるいは、互いに嵌合するようにそれぞれ異なる内径及び外径を有した複数のものからなる、射出物保持部材嵌合部と、
前記射出口側が前記射出物を保持可能な形状であり、前記射出物保持部材嵌合部の最も内径側に嵌合した、射出物保持部材片とを備え、
前記拘束具は、
前記射出物保持部材嵌合部及び前記射出物保持部材片それぞれの底部同士を互いに連結するようにして固定された、内側拘束具と、
最も外径側の前記射出物保持部材嵌合部の外面と、加速管12の内周面とを連結するようにして固定された、外側拘束具とを備える
ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する第6の発明に係る射出物発射装置は、
上記第5の発明に係る射出物発射装置において、
前記射出物保持部材嵌合部及び前記射出物保持部材片のうち、最も外径側の前記射出物保持部材嵌合部以外は、前記射出口側の端部が、それぞれ外径側に嵌合する前記射出物保持部材嵌合部から突出し、前記加速管の内周面に摺接するように拡径している
ことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する第7の発明に係る射出物発射装置は、
上記第2又は3の発明に係る射出物発射装置において、
前記射出物保持部材の前記射出口側を向く面には突起部が形成され、該突起部の先端は前記射出物を保持可能な形状であり、
前記射出口は、前記加速管の径方向において、前記射出物保持部材本体より小さく、かつ、前記突起部より大きい
ことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する第8の発明に係る射出物発射装置は、
圧縮空気が充填されるタンクと、
一端が前記タンクと接続する加速管と、
前記加速管内に設けられ、解放することで前記タンクと前記加速管とを遮断状態から連通状態に切り替える切替手段と、
前記加速管内において、前記加速管に摺動可能に設けられ、前記加速管の射出口側を向く面が射出物を保持可能な形状である射出物保持部材とを備え、
前記射出物保持部材の前記射出口側を向く面には突起部が形成され、該突起部の先端は前記射出物を保持可能な形状であり、
前記射出口は、前記加速管の径方向において、前記射出物保持部材本体より小さく、かつ、前記突起部より大きく、前記射出物保持部材は、前記加速管内において、前記射出口に接触することで停止する
ことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する第9の発明に係る射出物発射装置は、
圧縮空気が充填されるタンクと、
一端が前記タンクと接続する加速管と、
前記加速管内に設けられ、開閉することで前記タンクと前記加速管とを連通状態と遮断状態とに切り替える弁と、
前記加速管内において、前記加速管に摺動可能に設けられ、前記加速管の射出口側を向く面が射出物を保持可能な形状である射出物保持部材と、
前記加速管の延伸方向に延伸し、一端が前記射出物保持部材の前記タンク側を向く端面に固定される棒、前記棒の他端に形成され、前記加速管の径方向において、前記棒よりも大きく、かつ、前記加速管の内径以下の径である大径部、及び、前記加速管の内周面に固定され、前記加速管の内周面から前記棒に接せず、かつ、前記大径部に接する幅に突起したストッパを有する拘束具とを備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る射出物発射装置によれば、サボがサボストッパに衝突することによって変形し射出物に干渉することを防ぎ、射出物の衝突位置精度及び衝突速度の再現性を向上させ、かつ射出物の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1に係る射出物発射装置の構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施例1に係る射出物発射装置の射出物を発射する際の断面図である。
図3図2のA部分の拡大図である。
図4】本発明の実施例2に係る射出物発射装置における図2のA部分に相当する拡大図である。
図5】本発明の実施例3に係る射出物発射装置における図2のA部分に相当する拡大図である。
図6】本発明の実施例4に係る射出物発射装置における図2のA部分に相当する拡大図である。(a)は弁を開状態とした直後の状態を示しており、(b)は(a)の状態から所定時間経過後の状態を示しており、(c)は(b)の状態からさらに所定時間経過後の状態を示している。
図7】本発明の実施例5に係る射出物発射装置における加速管の射出口近傍の拡大図である。
図8】従来の射出物をサボから分離する手段の第1例を示す断面拡大図である。
図9】従来の射出物をサボから分離する手段の第2例を示す断面拡大図である。
図10】従来の射出物をサボから分離する手段の第3例を示す断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る射出物発射装置を実施例にて図面を用いて説明する。
【0024】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る射出物発射装置の構成を示す断面図であり、図2は、本発明の実施例1に係る射出物発射装置の射出物を発射する際の断面図であり、図3は、図2のA部分の拡大図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施例1に係る射出物発射装置(射出物発射装置1)は、タンク11、加速管12、弁13、サボ14、及び、拘束具15を備えている。
【0026】
タンク11は、圧縮空気が充填されるものである。加速管12は、両端が開口した筒状のものであり、一端であるタンク側端部12aがタンク11に接続し、他端である射出口12bが供試体17に向けられて、設置されている。弁13は、加速管12のタンク側端部12a付近において加速管12の内周面全体を覆うようにして設けられており、弁13が開状態のときタンク11と加速管12とが連通し、弁13が閉状態のときタンク11と加速管12とが遮断される。
【0027】
サボ14は、加速管12内において、加速管12の内周面に摺動可能に設けられている。図1では、発射前の準備の時点で、サボ14が、加速管12のタンク側端部12a近傍(弁13よりも射出口12b側)に設けられている状態を示している。そして、サボ14の射出口12b側を向く面には、加速管12の延伸方向に凹み、射出物16を保持可能な凹部14bが設けられている。
【0028】
サボ14のタンク側11を向く端面14aには、紐状の拘束具15の一端が固定されている。拘束具15の他端は、複数に分岐しており、加速管12の内周面において、弁13に対し射出口12b側から隣り合う位置に、それぞれが放射状に固定されている。
【0029】
なお、拘束具15の長さは、「加速管12の延伸方向における、加速管12に拘束具15が固定された位置から射出口12bまでの長さ」以下とする。
【0030】
射出物発射装置1によって射出物16を発射する場合には、まず、拘束具15が取り付けられ、凹部14bに射出物16を保持したサボ14を、加速管12内に配置する。この状態において、弁13を閉状態から開状態とする。これにより、タンク11に充填されていた圧縮空気が加速管12へ向けて一気に開放される。すると、サボ14がこの圧縮空気によって瞬時に押圧され、図3に白抜き矢印で示すように、加速管12の射出口12bへ向けて加速管12内を高速で摺動する。
【0031】
サボ14がある所定の距離まで進むと、サボ14の端面14aに固定された拘束具15が張った状態となり、張力が生じることでサボ14が急激に減速し停止する。このとき射出物16は、慣性力によってサボ14と分離し、加速管12の射出口12bから供試体17に向かって発射される。
【0032】
このようにして、本発明に係る射出物発射装置では、サボ14がサボストッパ等に衝突しないため変形せず、射出物16に干渉しない。また、加速管12の射出口12b付近にサボストッパを設置する必要がないので、加速管12を供試体17に近づけることが可能となり、衝突位置精度が向上する。
【0033】
また、射出物発射装置1では、サボ14を剛性の高い材料で構成し、拘束具15を伸縮性の高い材料で構成してもよい。このとき、拘束具15の長さは、拘束具15が伸びきった状態で、「加速管12の延伸方向における、加速管12に拘束具15が固定された位置から射出口12bまでの長さ」以下とする。
【0034】
このように構成することで、発射時及び減速(停止)時に、サボ14が損傷しにくくなり、繰り返し使用できるようになるため、経済性が向上する。さらに、個々のサボ14の形状のばらつきがなくなり、速度安定性及び衝突位置精度が向上する。また、拘束具15を伸縮しやすくなることで、サボ14及び加速管12に生じる負荷(加速度)が低下し、試験装置全体の劣化及び損傷を防止することができる。
【0035】
[実施例2]
図4は、本発明の実施例2に係る射出物発射装置における図2のA部分に相当する拡大図である。以下、本発明の実施例2に係る射出物発射装置(射出物発射装置2)について図4を用いて説明する。
【0036】
射出物発射装置2は、実施例1において説明した射出物発射装置1のうち、拘束具15を一端25aが枝分かれした拘束具25としたものである。すなわち、拘束具25はサボ14の端面14aに対し、複数に分岐した一端25aが、それぞれ放射状に固定されているものである。
【0037】
射出物発射装置2は、実施例1において説明した射出物発射装置1の効果に加えて、拘束具25が複数の箇所においてサボ14に固定されているため、サボ14の減速(停止)時に、サボ14に加わる負荷が一点に集中せず、分散される。これによって、サボ14の変形をより防ぐことができる。
【0038】
[実施例3]
図5は、本発明の実施例3に係る射出物発射装置における図2のA部分に相当する拡大図である。以下、本発明の実施例3に係る射出物発射装置(射出物発射装置3)について図5を用いて説明する。
【0039】
射出物発射装置3は、図1〜3で説明した射出物発射装置1のうち、拘束具15を棒状の拘束具35としたものである。
【0040】
拘束具35は、棒35a、大径部35b及びストッパ35cを備えている。棒35aは、加速管12の延伸方向に延伸し、一端が端面14aに固定されている。大径部35bは、棒35aの他端に形成され、棒35aの径よりも大きく、かつ、加速管12の内径以下の径である。
【0041】
ストッパ35cは、加速管12の内周面の所定位置に固定され、棒35aの径より大きく大径部35bの径より小さい径の孔を有する中空平板状のものである。あるいは、中空平板状でなくとも、加速管12の内周面から、棒35aに接せずかつ大径部35bに接する幅に、突起していればよい。
【0042】
射出物発射装置3によって射出物16を発射する場合、まず、射出物発射装置1で説明した如く、射出物16を保持したサボ14を圧縮空気によって瞬時に押圧する。
【0043】
サボ14がある距離まで進むと、サボ14の端面14aに固定された拘束具35の大径部35bが、ストッパ35cに衝突し、これによって、サボ14が急激に減速し停止する。このとき射出物16は、慣性力によってサボ14と分離し、加速管12の射出口12bから供試体17に向かって発射される。
【0044】
射出物発射装置3では、実施例1において説明した射出物発射装置1と同様に、加速管12の射出口12b付近に従来のようなサボストッパを設置する必要がないため、加速管12を供試体17に近づけることが可能となり、衝突位置精度が向上する。
【0045】
[実施例4]
図6(a)(b)(c)は、本発明の実施例4に係る射出物発射装置における図2のA部分に相当する拡大図である。以下、本発明の実施例4に係る射出物発射装置(射出物発射装置4)について図6(a)(b)(c)を用いて説明する。
【0046】
図6(a)は、射出物発射装置4において弁(図1,2参照)を開状態とした直後の状態を示している。図6(a)に示すように、射出物発射装置4は、実施例1において説明した射出物発射装置1のうち、サボ14を複数のサボ片24A,24B,24Cを備えるサボ24とし、拘束具15を各サボ片24A,24B,24Cにそれぞれ固定される拘束具45A,45B,45C(図6(a)中では省略)を備える拘束具45としている。
【0047】
第1サボ片24Aは、加速管12の射出口12b(図1,2参照)側が開口した有底筒状であり、外周面が加速管12の内周面に摺接している。
【0048】
第2サボ片24Bは、加速管12の射出口12b側が開口した有底筒状であり、外周面が第1サボ片24Aの内周面に嵌合している。また、第2サボ片24Bの開口端部24Bbは、第1サボ片24Aから加速管12の射出口12b側へ突出しており、加速管12の内周面に摺接するように外径が拡大している。
【0049】
第3サボ片24Cは、加速管12の射出口12b側が開口した有底筒状であり、外周面が第2サボ片24Bの内周面に嵌合している。また、第3サボ片24Cの開口端面24Cbは、第2サボ片24Bから加速管12の射出口12b側へ突出しており、加速管12の内周面に摺接するように外径が拡大している。さらに、第3サボ片24Cの内周面には、加速管12の射出口12b側に向かって射出物16が保持される(すなわち、第3サボ片24Cの射出口12b側は射出物16を保持可能な形状である)。
【0050】
拘束具45のうち、拘束具45Aは、一端が第1サボ片24Aの底部24Aaの外面に固定され、他端が加速管12の内周面に固定されている。なお、第1サボ片24Aの底部24Aaの外面は、実施例1におけるサボ14のタンク側11を向く端面14aに対応している。
【0051】
拘束具45Bは、図6(a)では図示していないが、一端が第2サボ片24Bの底部24Baの外面に固定され、他端が第1サボ片24Aの底部24Aaの内面に固定されている。
【0052】
拘束具45Cは、図6(a)では図示していないが、一端が第3サボ片24Cの底部24Caの外面に固定され、他端が第2サボ片24Bの底部24Baの内面に固定されている。
【0053】
図6(b)は、射出物発射装置4の弁13を開状態としてから所定時間経過後の状態を示しており、図6(c)は、図6(b)の状態からさらに所定時間経過後の状態を示している。
【0054】
射出物発射装置4によって射出物16を発射する場合には、まず、図6(a)のようにサボ片24A,24B,24Cを、それぞれ拘束具45A,45B,45Cを取り付けて嵌合させ、第3サボ片24Cにて射出物16を保持した状態で、加速管12内に配置する。そして、図1〜3を用いて説明した如く、弁13を閉状態から開状態とすることで、タンク11に封入されていた圧縮空気が加速管12へ向けて一気に開放され、サボ24がこの圧縮空気に押圧されて、射出口12bへ向け加速管12内を高速で摺動する。
【0055】
図6(b)に示すように、サボ片24A,24B,24Cが射出口12bへ向けある距離まで進むと、第1サボ片24Aの底部24Aaの外面に固定された拘束具45Aが張った状態となり、拘束具45Aに張力が生じることで、第1サボ片24Aが急激に減速し停止する。その際、第2サボ片24Bは第1サボ片24Aに対し摺動しながら外れ、図中の白抜き矢印のように射出口12bへ向け前進する。
【0056】
次に、図6(c)に示すように、サボ片24B,24Cが射出口12bへ向けさらに進むと、第2サボ片24Bの底部24Baの外面に固定された拘束具45Bが張った状態となり、拘束具45Bに張力が生じることで、第2サボ片24Bが急激に減速し停止する。その際、第3サボ片24Cは第2サボ片24Bに対し摺動しながら外れ、図中の白抜き矢印のように射出口12bへ向け前進する。
【0057】
その後、サボ片24Cが射出口12bへ向けさらに所定の距離まで進むと、第3サボ片24Cの底部24Caの外面に固定された拘束具45Cが張った状態となり、拘束具45Cに張力が生じることで、第3サボ片24Cが急激に減速し停止する。その際、射出物16は、慣性力によって第3サボ片24Cと分離し、加速管12の射出口12bから供試体17(図1,2参照)に向かって発射される。
【0058】
射出物発射装置4では、サボ24がサボ片24A,24B,24Cに分割されていることにより、射出物16の発射の際、サボ片24A,24B,24Cが段階的に停止し、サボ24への負荷が複数回に分かれて付与される。
【0059】
これによって、射出物発射装置4では、実施例1において説明した射出物発射装置1の効果に加えて、サボ停止時の衝撃を緩和し、試験装置の劣化及び損傷を防止することが可能となる。また、各サボ片24A,24B,24Cが加速管12に摺接しているため、衝突位置精度を維持することができる。
【0060】
なお、本実施例は、サボ24が3つの構造体(サボ片)から成るものに限定するものではなく、サボ24は複数の構造体から成るものであれば、その個数はいくつであっても効果を奏する。
【0061】
すなわち、サボ24は、射出物保持部材嵌合部(サボ片24A,24Bに相当)、及び、射出物保持部材片(サボ片24Cに相当)を備えており、拘束具45は、内側拘束具(拘束具45B,45Cに相当)、及び、外側拘束具(拘束具45Aに相当)を備えているものとする。
【0062】
そして、射出物保持部材嵌合部(サボ片24A,24Bに相当)は、射出口12b側が開口した有底筒状であり、1つ、あるいは、互いに嵌合するようにそれぞれ異なる内径及び外径を有した複数のものから成るものとする。
【0063】
また、射出物保持部材片(サボ片24Cに相当)は、射出口12b側が射出物16を保持可能な形状であり、1つ以上の射出物保持部材嵌合部の最も内径側(サボ片24Bの内径側に相当)に嵌合している。
【0064】
さらに、内側拘束具(拘束具45B,45Cに相当)は、射出物保持部材嵌合部及び射出物保持部材片それぞれの底部同士(底部24A‐24B、及び、底部24B‐24Cに相当)を互いに連結するようにして固定されている。
【0065】
そして、外側拘束具(拘束具45Aに相当)は、最も外径側の射出物保持部材嵌合部(サボ片24Aに相当)の外面と、加速管12の内周面とを連結するようにして固定されている。
【0066】
さらに、射出物保持部材嵌合部(サボ片24A,24Bに相当)、及び、射出物保持部材片(サボ片24Cに相当)のうち、最も外径側の射出物保持部材嵌合部以外(サボ片24B、24Cに相当)は、射出口12b側の端部が、それぞれ外径側に嵌合する射出物保持部材嵌合部(サボ片24A,24Bに相当)から突出し、加速管12の内周面に摺接するように拡径しているものである。
【0067】
[実施例5]
図7は、本発明の実施例5に係る射出物発射装置における加速管の射出口近傍の拡大図である。以下、本発明の実施例5に係る射出物発射装置(射出物発射装置5)について図7を用いて説明する。
【0068】
射出物発射装置5は、実施例1において説明した射出物発射装置1のうち、加速管12における射出口12bの形状を変更し、さらに、サボ14における加速管12の射出口12b側の面の形状を変更したものである。
【0069】
サボ34は、加速管22の射出口22b側を向く端面34dに、加速管22の延伸方向に突起した突起部34aが形成され、突起部34aの先端には、射出物16を保持可能な凹部34bが形成されている。
【0070】
加速管22の射出口22bは、加速管22の径方向において、サボ本体34cよりも小さく、かつ、突起部34aよりも大きく形成されている。
【0071】
拘束具55は紐状であり、その長さは、サボ34の端面34dが射出口22bに当接する位置にある状態で、拘束具55に張力が発生している程度の長さとする。
【0072】
射出物発射装置5では、射出物16の発射の際、サボ34はその端面34dが射出口22b近傍まで近づくと、サボ14のタンク側の端面34eに固定された拘束具55が張った状態となり、張力が生じ、サボ34が減速し始める。
【0073】
そして、拘束具55が伸びる(材料によってその程度は異なる)ことにより、サボ34はそこからやや前進する。その前進の間に、サボ34の端面34dが射出口22bに接触することで、サボ34が完全に停止する。このとき射出物16は、慣性力によってサボ34と分離し、図7の白抜き矢印にて示すように加速管12の射出口22bから発射される。
【0074】
射出物発射装置5では、射出物16の発射の際、サボ34が、拘束具55による張力と、射出口22bとの接触とにより停止するため、サボ34に加わる負荷が分散し、また、加速管12の射出口22bに加わる負荷も小さいため、実施例1において説明した射出物発射装置1の効果に加えて、試験装置の劣化及び損傷を防止することが可能となる。
【0075】
また、射出物発射装置5では、射出物16の発射の際、サボ34に固定される拘束具55が万一破断した場合であっても、サボ34は射出口22bによって停止するため、加速管22から飛び出してしまうことはない。また、射出物16の発射の際、サボ34のうち突起部34aだけは射出口22bから外側へ突き出るようになっているため、射出口22bが万一破損した場合であっても、突起部34aの先端の凹部34bに保持された射出物16には影響を及ぼさない。したがって、射出物発射装置5では射出物16を発射する際の試験品質を確保することができる。
【0076】
さらに言えば、射出物発射装置5では、拘束具55を設けなくともよい。すなわち、サボ34は、射出口22bとの接触のみによって停止するようにしてもよい。このような構成であっても、射出物16の発射の際に、突起部34aの先端の凹部34bに保持された射出物16には影響を及ぼすことはなく、射出物発射装置5では射出物16を発射する際の試験品質を確保することができる。
【0077】
以上、本発明の射出物発射装置について各実施例によって説明した。
なお、上記各実施例では、加速管内に弁を備えるものとして説明したが、この弁に代えて、例えば、タンクと加速管とを仕切る膜を備えるものとし、膜が破れることで、タンクと加速管とが連通状態となるようにしてもよい。すなわち本発明では、弁に限らず、解放することでタンクと加速管とを遮断状態から連通状態に切り替える切替手段を備えていればよい。
【0078】
さらに、上記各実施例では、圧縮空気により射出物16を発射する例を示したが、本発明は、これに限らず、火薬により射出物16を発射してもよいし、電磁誘導により射出物16を発射するレールガンを使用してもよいし、任意の発射手段を適宜選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、航空機の機体等の衝突試験に用いられる射出物発射装置として好適である。
【符号の説明】
【0080】
1,2,3,4,5,6 射出物発射装置
11 タンク
12,22,32 加速管
12a (加速管の)タンク側端部
12b,22b,32b (加速管の)射出口
13 弁
14,24,24,34,44 サボ
14a,34e (サボのタンク側の)端面
14b,34d (サボの射出口側の)凹部
15,25,35,45A,45B,45C,55 拘束具
16 射出物
17 供試体
18,19A,19B,19C サボストッパ
18a,19Aa,19Ba,19Ca (サボストッパの)空孔
20 ストリッパ
20a (ストリッパの)空孔
24A,24B,24C サボ片
24Aa,24Ba,24Ca (サボ片の)底部
24Bb,24Cb (サボ片の)開口端部
25a (拘束具の)一端
34a 突起部
34b 凹部
34c サボ本体
35a 棒
35b 大径部
35c ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10