特許第6929887号(P6929887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929887
(24)【登録日】2021年8月13日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】相互接続されたセルを含む緩衝構造体
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/11 20190101AFI20210823BHJP
   B29C 48/154 20190101ALI20210823BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20210823BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20210823BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20210823BHJP
   B65D 81/02 20060101ALI20210823BHJP
   B29K 19/00 20060101ALN20210823BHJP
   B29L 24/00 20060101ALN20210823BHJP
【FI】
   B29C48/11
   B29C48/154
   B29C48/21
   B29C48/88
   B32B3/30
   B65D81/02
   B29K19:00
   B29L24:00
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-567691(P2018-567691)
(86)(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公表番号】特表2019-527153(P2019-527153A)
(43)【公表日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】US2017038926
(87)【国際公開番号】WO2018005272
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2020年6月22日
(31)【優先権主張番号】62/356,681
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ピー.カリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エム.ジョンザ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エル.バル
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−270305(JP,A)
【文献】 特表平09−510928(JP,A)
【文献】 特開2010−274527(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0226698(US,A1)
【文献】 特開2008−302565(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102700144(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/175206(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/11
B29C 48/154
B29C 48/21
B29C 48/154
B29C 48/88
B32B 3/30
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面、及び前記第1主面の反対側の第2主面を有するセル層であって、前記セル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含み、前記セルの各々は、前記第1主面と前記第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含み、前記セル壁は、前記隣接するセルによって各々共有されており、前記セル層は、前記第2主面に位置し、前記セル壁を接続するランド領域を更に含む、セル層と、
シートを形成するために前記セル層の前記第2主面に付着させられた基層と、
を備え
前記セル壁のうちの少なくともいくつかは各々、前記セル層の前記第1主面に隣接した調整端部を含み、前記調整端部は、前記隣接するセル壁の接合部において複数の頂点を含み、前記頂点は前記セル層の前記第2主面に向かって幅が広くなる、物品。
【請求項2】
前記ランド領域は、前記第2主面に沿って延び、前記第2主面において前記セル壁との連続構造体を形成し、前記ランド領域は前記基層に付着させられている、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ランド領域及び前記セル壁によって連続構造体が形成され前記連続構造体は、前記第2主面において内部界面を有しない、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記セル層は、1種以上の熱可塑性エラストマー(TPE)を含む、請求項1に記載の物品
【請求項5】
前記セル壁は各々、前記第2主面から離れる方向に先細状になる厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
溶融材料を、押出ダイを通して押出成形し、第1主面及び第2主面を有する溶融押出物を形成することと、
前記溶融押出物をツール面と接触させることであって、前記ツール面は、前記溶融押出物の前記第1主面内において複製されるべきパターンを含む、ことと、
前記溶融押出物を冷却し、セル層をもたらすことと、
前記溶融押出物を冷却する前に前記溶融押出物の前記第2主面に付着させられるべき基層を準備することと、
を含み、
前記セル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含み、前記セルの各々は、前記第1主面と前記第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含み、前記セル壁は、前記隣接するセルによって各々共有されており、前記セル層は、前記第2主面に位置し、前記セル壁を接続するランド領域を更に含み、
前記セル壁のうちの少なくともいくつかが各々、前記セル層の前記第1主面に隣接した調整端部を含み、前記調整端部が、前記隣接するセル壁の接合部において複数の頂点を含み、前記頂点が前記セル層の前記第2主面に向かって幅が広くなるように、前記セル層の前記第1主面側が調整される、
方法。
【請求項7】
前記溶融材料を押出成形することが、前記溶融材料を鉛直下方へ、及び前記基層と前記ツール面との間の空間内へ押出成形することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶融押出物をツール面と接触させることが、ニップロール及びツールロールを介して、前記溶融押出物を前記ツール面と前記基層との間に挟むことを含み、前記ツール面は、前記ツールロールの表面である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相互接続されたセルを含む緩衝物品又は構造体、並びにそれを作製し、用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗疲労又は緩衝マット又はパッドが長い間使われてきている。通例、マットは、産業現場(例えば、工場、商業店舗)、住宅(例えば、キッチンマット)、及び最近ではオフィス(例えば、座位/立位ワークステーション)で用いられている。通例、緩衝マット又はパッドは発泡体(PVC若しくはポリウレタン)又は成形ゴムであり、重い(>4000グラム/m)。米国特許第5,496,610号は、突起及び領域を緩衝及び保護するための成形性パネルを記載している。
【発明の概要】
【0003】
簡潔に言えば、一態様では、本開示は、第1主面、及び第1主面の反対側の第2主面を有するセル層を含む物品を記載する。セル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含む。セルの各々は、その第1主面と第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含む。セル壁は、隣接するセルによって共有される。セル層は、第2主面に位置し、少なくとも3つのセル壁を接続するランド領域を更に含む。基層が、シートを形成するために、セル層の第2主面に付着させられている。
【0004】
別の態様では、本開示は、溶融材料を、押出ダイを通して押出成形し、第1主面及び第2主面を有する溶融押出物を形成することと、溶融押出物をツール面と接触させることと、を含む方法を記載する。ツール面は、溶融押出物の第1主面内に転写されるべきパターンを含む。本方法は、溶融押出物を冷却し、セル層をもたらすことと、溶融押出物を冷却する前に溶融押出物の第2主面に付着させられるべき基層を準備することと、を更に含む。セル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含む。セルの各々は、その第1主面と第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含む。セル壁は、隣接するセルによって各々共有されており、セル層は、第2主面に位置し、セル壁を接続するランド領域を更に含む。
【0005】
様々な予期せぬ結果及び利点が、本開示の例示的な実施形態において得られる。本開示の例示的な実施形態のこのような利点の1つは、物品が、例えば、軽量、低弾性率を有する柔軟性、高摩擦係数、適合性、弾力性、良好な弾性回復、低コストなどを含む、様々な有益な特性を呈することである。物品は、例えば、マット類、落下保護、表面保護、振動減衰、医療保護などにおける様々な緩衝適用物を提供することができる。
【0006】
以上が本開示の例示的な実施形態の様々な態様及び利点の概要である。上記の「発明の概要」は、それらの本開示の特定の例示的な実施形態の、図示される各実施形態又はすべての実装を説明することを意図するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」は、本明細書に開示される原理を使用する特定の好ましい実施形態を、より詳細に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
【0008】
図1】一実施形態に係る、セル層及び基層を含む物品の、分解組立図で表された形態の側面斜視図である。
図2図1の物品の簡略化された上面図である。
図3図2における横断線3−3に沿った図1の物品の断面図である。
図4】一実施形態に係る、調整端部を有する単一のセルの斜視図である。
図5】一実施形態に係る、図1の物品を作製するための押出複製プロセスの概略図である。
図6図5の拡大部分図である。
【0009】
図面において、類似の参照符号は類似の要素を表す。必ずしも原寸に比例していない上記に特定した図面は、本開示の様々な実施形態を説明しているが、「発明を実施するための形態」で指摘するように、他の実施形態もまた企図される。すべての場合に、本開示は、本明細書で開示される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的な実施形態を示すことによって説明する。本開示の範囲及び趣旨に含まれる多くの他の修正及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の定義された用語の用語解説に関して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が提供されていない限り、本出願全体について適用されるものとする。
【0011】
用語解説
ある特定の用語が、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用されており、これらの大部分については周知であるが、何らかの説明が必要とされる場合もある。以下を理解されたい:
用語「押出複製」は、材料が押出機内で溶融され、ダイ内で溶融塊(例えば、シート)に成形され、その後、フィルムを形成するために2つの表面の間で流延又はプレスされるプロセスを指す。
【0012】
「構造化表面」によって、押出成形された材料(「押出物」)の表面及びツールの表面を含む、物品の表面が、実質的に平面状又は滑らかな表面から逸脱していることが意味される。ツールを記述する際には、構造化表面は、柱、溝、隆起、幾何学的形状、その他の構造、又は同様のものなどの特徴を含み得る。押出成形された材料の記述において用いられる際には、構造化表面は、相互接続されたセル壁の存在、又はセル壁に対する任意の調整(modulation)によって指示され得る。
【0013】
用語「溶融(molten)」は、本明細書において、材料の軟化点を上回る温度にあり、圧力を受けて流れるために十分に低い粘度を有する材料を記述するために用いられる。
【0014】
開示されるコーティングされている物品内の様々な要素の位置に関して、「〜の上部」、「〜上」、「〜の上」、「覆う」、「最上の」、「下に存在する」などの方向の用語を使用している場合、水平に配置されている上向きの基材に対する、ある要素の相対位置に言及するものである。しかしながら、別途指示のない限り、基材又は物品が製造中又は製造後において何らかの特定の空間的配向を有するべきであるということが意図されるわけではない。
【0015】
他の層に対する、ある層の位置を説明するために、「〜によって分離された」という用語を使用することによって、その層が、他の2つの層の間に位置するが、必ずしもどちらかの層と近接したり、又は隣接したりしてはいないことについて言及する。
【0016】
数値又は形状への言及に関する用語「約」又は「おおよそ」は、数値又は特性若しくは特徴の±5パーセントを意味するが、明示的に、正確な数値を含む。例えば、「約」1Pa・secの粘度とは、0.95〜1.05Pa・secの粘度を指すが、1Pa・secちょうどの粘度も明示的に含むものとする。同様に、「実質的に正方形」の外辺部とは、各横方向縁部が、他のいずれかの横方向縁部の長さの95%〜105%の長さを有する4つの横方向縁部を有する幾何形状を説明することを意図するが、これはまた、各横方向縁部が正確に同じ長さを有する幾何形状を含むものとする。
【0017】
特性又は特徴に関する用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対のものが呈される程度よりも高い程度で呈されることを意味する。例えば、「実質的に」透明な基材は、それが透過しない(例えば、吸収する及び反射する)放射線よりも多くの放射線(例えば、可視光)を透過する基材を指す。それゆえに、その表面上に入射する可視光のうちの50%より多くを伝達する基材は、実質的に透明であるが、その表面上に入射する可視光のうちの50%以下を伝達する基材は、実質的に透明ではない。
【0018】
本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に内容により明確な指示がない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物(a compound)」を含有する微細繊維への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0019】
本明細書で使用する場合、末端値による数値範囲での記述には、その範囲内に包含されるあらゆる数値が含まれる(例えば1〜5には1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5が含まれる)。
【0020】
特に指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用する量又は成分、特性の測定値などを表すすべての数は、すべての場合、「約」という用語によって修飾されていると解するものとする。したがって、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0021】
本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を採ってもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的な実施形態に限定されるものではないが、特許請求の範囲に記載されている限定及びそれらの任意の均等物により支配されるものであることを理解すべきである。
【0022】
以下に、本開示の様々な例示的な実施形態を、図面を具体的に参照しながら説明する。
【0023】
図1は、一実施形態に係る、セル層10及び基層20を含む物品100の、分解組立図で表された形態の側面斜視図である。セル層10は、第1主面12、及び第1主面12の反対側の第2主面14を有する。セル層10は、互いに相互接続されたセル15のアレイを含む。図2図3にも示されるように、セル15はセル壁16を含み、セル壁16は各々、それぞれの第1及び第2主面12及び14におけるセル壁16の第1及び第2の端部16a及び16bの間に延びる。セル壁16は各々、セル層10の最縁部におけるセル壁を除いて、隣接するセル15によって共有される。図1図3に示される実施形態では、セル15は各々、ハニカムパターンを形成する6つの共有された壁16を含む。本開示では、セル15は少なくとも3つのセル壁を含むことができる。いくつかの実施形態では、セルのうちの少なくともいくつかは、任意の所望のパターンを形成するために、例えば、3つ、4つ、5つ、7つ、又は8つの共有された壁を含む、他の数の共有された壁を含み得ることを理解されたい。
【0024】
図3に示されるように、セル層10は、第2主面14に位置し、第2主面14に沿って延び、セル壁16を第2主面14において接続するランド領域18を更に含む。明確にするために、ランド領域18は図1に示されていない。図示の実施形態では、ランド領域18は、第2主面14においてセル壁16に付着する別個のフィルムではない。その代わりに、セル壁16及びランド領域18は実質的に同じ組成を有することができ、第2の端部16bにおいて連続的に接続されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、ランド領域18及び隣接するセル壁16は連続構造体を形成する。即ち、ランド領域18、及びセル壁の端部16bは、目立つ内部界面領域が存在しないため(例えば、接合界面領域がない)、構造及び組成の観点から連続的に接続されている。
【0026】
セル壁は、第1及び第2主面12及び14の間で測定された高さ「h」を有する。いくつかの実施形態では、高さ「h」は、例えば、約0.05cm以上、約0.1cm以上、又は約0.2cm以上であることができる。高さ「h」は、例えば、約5cm以下、約3cm以下、又は約1cm以下であることができる。高さ「h」は、例えば、約0.1cm〜約3.0cmの範囲内にあることができる。セル15は中心間距離「d」を有する。いくつかの実施形態では、中心間距離「d」は、例えば、約0.002cm以上、約0.005cm以上、又は約0.01cm以上であることができる。中心間距離「d」は、例えば、約1cm以下、約0.5cm以下、約0.3cm以下、又は約0.1cm以下であることができる。中心間距離「d」は、例えば、約0.005cm〜約0.3cmの範囲内にあることができる。ランド領域18は、例えば、約0.002cm以上、約0.005cm以上、又は約0.01cm以上であることができる厚さ「t」を有する。例えば、約1cm以下、約0.5cm以下、約0.3cm以下、又は約0.1cm以下であることができる厚さ「t」。厚さ「t」は、例えば、約0.005cm〜約0.3cmの範囲内にあることができる。セル壁16は、例えば、約0.005cm以上、約0.01cm以上、又は約0.02cm以上であることができる厚さ「t」を有する。厚さ「t」は、例えば、約2.0cm以下、約1.0cm以下、又は約0.5cm以下であることができる。厚さ「t」は、例えば、0.01cm〜約1.0cmの範囲内にあることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、セル壁16は各々、先細状の形状を有し得る。セル壁16の厚さ「t」は第2主面14から第1主面12まで減少する。セル壁16の側面16cと鉛直方向2との間には抜け勾配が形成されている。いくつかの実施形態では、抜け勾配は、例えば、約10°以下、約5°以下、又は約3°以下であることができる。抜け勾配は、例えば、約0.05°以上、約0.1°以上、又は約0.5°以上であることができる。いくつかの実施形態では、抜け勾配は、例えば、約0.1°〜約10°の範囲内にあることができる。いくつかの実施形態では、抜け勾配は0.5°〜3°であることができる。いくつかの実施形態では、隣接するセル壁16は実質的に同じ厚さ又は厚さプロファイルを有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、セル壁のうちの少なくともいくつかは各々、セル層10の第1主面12に隣接した調整端部を含み得る。図4は、一実施形態に係る、調整端部32を有する単一のセル35の斜視図である。セル35のアレイは、図1図3に示されるとおりの仕方で相互接続され得、セル層10などのセル層を形成する。セル35の各々において、調整端部32は、隣接するセル壁36の接合部における頂点37を含む。頂点37は各々、その端部31に向かって幅が広くなることができる。端部31は図3のランド領域18などのランド領域によって接続され得る。いくつかの実施形態では、頂点32は、その上に別の層が付着させられていなくても、自立していることができる。
【0029】
セル壁36のうちの少なくともいくつかの上に開口部33が形成されている。図示の実施形態では、開口部33は「U」字又はアーチ形状を有する。開口部33は、頂点32などの頂点を形成するために様々な形状を有することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、セル壁36内の開口部33の面積率は、例えば、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、又は約50%以上であることができる。面積率は、例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、又は約80%以下であってもよい。面積率は、例えば、約5%〜約95%、約10%〜約90%、又は約20%〜約80%であってもよい。
【0030】
相互接続されたセル15又は35を含むセル層10は1種以上の熱可塑性エラストマー(TPE)で作製することができる。好適なTPEは、例えば、エチレン系ポリマー(例えば、DuPont,Wilmington,Delawareから商品名「Elvax」で市販されているエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー)、ポリオレフィンコポリマー(例えば、Dow Chemical Company,Midland,Michiganから商品名「Engage」で市販されているポリオレフィンエラストマー、ExxonMobilから商品名「Exact」で市販されているエチレンアルファオレフィンコポリマー、Dow Company,Midland,Michiganから商品名「Infuse」で市販されているオレフィンブロックコポリマー)、ブロックコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、及びKraton Polymersから商品名「Kraton」で市販されているスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS))、ポリエステルコポリマー(例えば、DuPont,Wilmington,Delawareから商品名「Hytrel」で市販されているハイブリッド熱可塑性エラストマー)、ポリウレタン(例えば、Lubrizol,Wickliffe,Ohioから商品名「Estane」で市販されている様々なポリウレタン材料)などのうちの1つ以上を含むことができる。
【0031】
図3に示されるように、セル層10は、シートを形成するために基層20に付着させられたセル層10の第2主面14を有する。基層20は、上にセル層10を付着させることができる任意の好適なフィルムであることができる。基層20は単層又は多層構造体であることができる。いくつかの実施形態では、基層20及びランド領域18は、基層20が、セル層に付着させられた別個の層ではなく、基層とランド領域との間に目立つ内部界面が存在しない、一体構造体として形成され得ることを理解されたい。
【0032】
いくつかの実施形態では、基層20は、例えば、接着剤を用いることによってセル層10に付着させられてもよい。いくつかの実施形態では、基層20は、セル層10に付着、結合、又は接着する能力を有する表面を有し得る。例えば、以下において更に説明される押出プロセスでは、基層20は、熱及び/又は圧力によって押出物材料に結合することができる表面層を有することができる。この種の接着は、2つの同様の材料が熱及び/又は圧力によってくっつけられたときに生じ得る。1つの例示的な押出プロセスでは、エチレン系コポリマーを押出成形し、同じくポリエチレンで実質的に構成された表面を有するフィルムに積層することができる。別の例は、エチレンコポリマーが2層PET−EVAフィルム上に押出成形されることである。エチレンコポリマーは、2層フィルムのPET側に結合するよりも、2層フィルムのEVA側に良好に結合することができる。いくつかの実施形態では、基層20の表面のみが、例えば、押出プロセスにおける押出物に熱結合可能である必要があることを理解されたい。
【0033】
いくつかの実施形態では、基層20は、例えば、シート、フィルム、不織布、布、箔、又は例えば、金属化フィルムなどのこれらの組み合わせ若しくは積層物であることができる。好適な基層は、例えば、ポリエチレン、ゴム、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、又はこれらのコポリマーを含有するポリマーフィルム、不織布、又は布を含むことができる。1つの例示的なフィルムが、Packsource Systems,Inc.,Simi Valley,CAから商品名「Surlyn」で市販されている。いくつかの実施形態では、基層20は、例えば、例として、カスタマイズのためグラフィックフィルム、滑り防止のためのトラクションフィルム等などの他の機能フィルムに接着するために下塗り又は処理することができる、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリマーフィルムであることができる。基層20は、例えば、摩耗耐性、個人化、広告若しくはブランド化のためのグラフィック若しくはロゴ、粗面による滑り防止などを含む様々な適用のための1つ以上の好適な材料を含むことができる。
【0034】
1つ以上のセル層及び基層、例えば、セル層10及び基層20を含むシートを、緩衝マット又はパッドとして適用することができる。いくつかの実施形態では、シートは、例えば、約0.05’’(約0.1cm)以上、又は約0.1’’(約0.25cm)以上の厚さを有することができる。シート厚は、例えば、約1’’(約2.5cm)以下、又は約0.5’’(約1.3cm)以下であることができる。シート厚は、例えば、約0.125’’(約0.3cm)〜約0.35’’(約0.9cm)の範囲内にあることができる。いくつかの実施形態では、シートは、例えば、約0.02g/cc以上、約0.05g/cc以上、約1g/cc以下、約0.5g/cc以下、又は約0.1g/cc〜約0.3g/ccの密度を有し得る。いくつかの実施形態では、シートは、例えば、約20psi以上、約40psi以上、約200psi以下、約150psi以下、又は約60psi〜約130psiの圧縮弾性率を有し得る。いくつかの実施形態では、シートは、例えば、約1psi以上、約2psi以上、約20psi以下、約15psi以下、又は約3psi〜約12psiの圧縮降伏応力を有し得る。いくつかの実施形態では、シートは約60%未満、約50%未満、又は40%未満の圧縮永久ひずみを有し得る。圧縮永久ひずみは、印加された力が取り除かれた後に材料内に残った永久的変形の量である。ASTMD395が、材料内の圧縮永久ひずみ量を測定するための手順を記載している。
【0035】
例えば、図1の物品100などの、本明細書において説明される緩衝構造体又は物品は、例えば、射出成形プロセス、圧縮成形プロセス、3D印刷プロセス、押出複製プロセスなどを含む任意の好適なプロセスによって作製することができる。図5及び図6に、例示的な押出複製プロセスを示す。装置200は、押出材料を通過させて溶融押出物9として押出成形することができる、押出機41及びダイ42を含む。ダイ42から、溶融押出物9を、ツールロール43、ツールロール43の両側に配置された第1のロール45及び第2のロール47を含む3ロール水平鋳造ステーション内に流し込むことができる。第1のロール45及びツールロール43は反対方向(例えば、図6におけるツールロール43についての方向A1)に回転し、それらの間においてニップ435を形成することができる。フィルム20がフィルム巻出機49からニップ435内へ基層として供給される。同時に、溶融押出物9はニップ435内へ進み、ニップ435において、ロール43及び45の回転は溶融押出物9の一部分を、一方の側では、ツールロール43の外面46上の1つ以上の構造特徴(例えば、図6における柱15’)と接触し、他方の側では、基層20と接触するように強制する。溶融押出物9の熱は押出物9への基層20の自己接着を生じさせることができる。押出物9がニップ435の向こう側へ進むと、押出物9はツールロール43の外面46上で冷却することによって固化し始め、セル層10を形成する。図6の拡大部分図に示されるように、柱15’は押出物内に刺さり、セル壁16を含む対応するセルをセル層10内に形成する。図示の実施形態では、柱15’の遠位端部151’は基層20と直接接触していない。遠位端部151’と基層20との間に存在する溶融押出物の部分は基層20に接着して固化し、ランド領域18を形成することができる。このように、セル壁16とランド領域18とは連続構造体を形成することができる。
【0036】
ツールロール43の外面46は、溶融押出物内に複製されるべきパターンを含む。押出物がツールロール43の外面46上で冷却すると、押出物は固化してセル層10を形成し、ツールロール43から除去することができる。固化した押出物は今や、ツールロール43の外面46上の構造特徴と相補的なパターンを有する第1主面、及び基層20が接着する第2主面を有する連続ウェブである。第2のロール47は、押出物を更に冷却し、形成されたセル層10をツールロール43から除去することを助けることができる。物品100は、当業者によって知られている仕方で更に加工されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1のロール45、ツールロール43、及び第2のロール47のうちの1つ以上は、例えば、水温制御装置、温度制御用オイル伝熱流体等などの、温度制御機構を含むことができる。温度制御機構は、押出成形及び複製プロセスにおける溶融押出物の冷却及び固化を制御するために利用することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のロール45は、金属、例えば、ステンレス鋼などの鋼、又はアルミニウム、あるいは任意の他の適切な材料で作製することができる。第1のロール45は、例えば、約10cm以下〜約50cm以上の直径を有することができる。第1のロール45は、例えば、クロム、銅、ニッケル、ニッケル−リンめっき、又は任意の他の有用なめっきを用いて形成された滑らかな表面を有し得るか、あるいはいくつかの実施形態では、第1のロール45はコンフォーマブル表面層(例えば、シリコーン、ゴム、又はEPDM)を有し得る。第1のロール45上の外面は鏡面仕上げを有することができる、又は構造化表面を有することができる。第1のロール45は、通例、水又は他の伝熱流体を用いて冷却される。
【0039】
いくつかの実施形態では、ツールロール43は、金属、例えば、ステンレス鋼などの鋼、又はアルミニウム、あるいは任意の他の適切な材料で作製することができる。ツールロール43は、例えば、約20cm以下〜約80cm以上の直径を有することができる。ツールロール43は、例えばクロム、銅、ニッケル、ニッケル−リンめっき、又は任意の他の有用なめっきを用いて形成されためっき表面を有することができる。本明細書において説明される様々な実施形態では、ツールロール43は、通例、構造化表面を設けられている。ツールロール43はその構造化表面輪郭をセル層10に転写することができ、それにより、セル層10はツールロール43のものと相補的な表面輪郭を有する。ツールロール43は、複製されるべき構造特徴を包含する金属スリーブ又は積層されたコーティングなどの、外層を有し得る。ツールロール43は、通例、伝熱流体を包含する温度制御ユニットに接続されており、この場合には、設定温度を維持するために、伝熱流体を循環させ、ロールに出入りさせることができる。
【0040】
図5の図示の実施形態では、3ロール水平鋳造ステーションを含む装置200は押出複製プロセスのために用いられる。いくつかの実施形態では、パターン付きツール面を有するツールロールを含む任意の好適な装置を押出複製プロセスのために適用することができることを理解されたい。本明細書において説明される押出複製プロセスは、最終製品(例えば、物品100)をロール上に巻き取ることができる、連続プロセス、例えば、ロール・ツー・ロールプロセスであることができる。
【0041】
本明細書において説明される押出複製プロセスでは、押出ダイを通して溶融材料を押出成形し、第1及び第2主面を有する溶融押出物を形成することができる。溶融押出物は、溶融押出物の第1主面内に複製されるべきパターンを含むツール面と接触させることができる。溶融押出物は冷却されるか、又は固化させられ、セル層を提供することができる。セル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含むことができる。セルの各々は、その第1主面と第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含むことができる。セル壁は、隣接するセルによって共有され得、セル層は、第2主面に位置し、セル壁を接続するランド領域を更に含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、溶融押出物を冷却する前に溶融押出物の第2主面に付着させるべき基層を準備することができる。いくつかの実施形態では、溶融材料は、鉛直下方へ、及び基層とツール面との間の空間内へ押出成形することができる。いくつかの実施形態では、溶融押出物をツール面と接触させることは、ニップロール及びツールロールを介して、溶融押出物をツール面と基層との間に挟むことを更に含むことができ、ツール面はツールロールの表面である。いくつかの実施形態では、押出物への基層の自己接着を改善するために、基層の表面を処理することができる。いくつかの実施形態では、任意の所望の機能を果たすために、1つ以上のフィルムをセル層の反対側において基層に接着させることができる。
【0043】
本明細書においては、相互接続されたセルを含む緩衝シートなどの緩衝物品又は構造体が提供される。いくつかのセルは一方の端部においてランド領域によって接続されており、反対端部において調整されたセル壁を有する。物品は、例えば、軽量、低弾性率を有する柔軟性、高摩擦係数、コンフォーマブル、弾力性、良好な弾性回復、低コストなどを含む様々な有益な特性を呈することができる。物品は、例えば、マット類、落下保護、表面保護、振動減衰などにおける様々な緩衝適用物を提供することができる。また、物品は、例えば、床ずれ防止パッドの一部としてなど、医療保護のために適用することもできる。
【0044】
例示的な実施形態の列挙
実施形態1〜18及び19〜24はいずれも組み合わせることができることを理解されたい。
【0045】
実施形態1は、物品であって、この物品は、
第1主面、及びこの第1主面の反対側の第2主面を有するセル層であって、このセル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含み、セルの各々は、その第1主面と第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含み、これらのセル壁は、隣接するセルによって各々共有されており、セル層は、第2主面に位置し、セル壁を接続するランド領域を更に含む、セル層と、
シートを形成するためにセル層の第2主面に付着させられた基層と、
を備える物品である。
【0046】
実施形態2は、ランド領域が、第2主面に沿って延び、第2主面においてセル壁との連続構造体を形成し、ランド領域が基層に付着させられている、実施形態1の物品である。
【0047】
実施形態3は、基層が、ポリスチレン系ブロックコポリマー、ポリエチレン、ゴム、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、又はこれらのコポリマーのうちの1つ以上の層を含む、実施形態1又は2の物品である。
【0048】
実施形態4は、ランド領域及びセル壁によって形成された連続構造体が、第2主面において内部界面を有しない、実施形態1〜3のいずれか1つの物品である。
【0049】
実施形態5は、セル層が、1種以上の熱可塑性エラストマー(TPE)を含む、実施形態1〜4のいずれか1つの物品である。
【0050】
実施形態6は、セル壁のうちの少なくともいくつかが各々、セル層の第1主面に隣接した調整端部を含む、実施形態1〜5のいずれか1つの物品であるである。
【0051】
実施形態7は、調整端部が、隣接するセル壁の接合部において複数の頂点を含み、頂点はセル層の第2主面に向かって幅が広くなる、実施形態6の物品である。
【0052】
実施形態8は、調整端部が、対応するセル壁上の開口部を含み、調整端部は、対応するセル壁上の開口部を含み、開口部及びセル壁の面積率が約10〜約90パーセントである、実施形態6又は7の物品である。
【0053】
実施形態9は、セル壁が各々、第2主面から離れる方向に先細状になる厚さを有する、実施形態1〜8のいずれか1つの物品である。
【0054】
実施形態10は、セル壁が、約0.1°〜約10°の抜け勾配を有する、実施形態9の物品である。
【0055】
実施形態11は、セルが各々、6つの共有壁を含み、ハニカムパターンを形成する、実施形態1〜10のいずれか1つの物品である。
【0056】
実施形態12は、セル壁が、実質的に同じ厚さを有する、実施形態1〜11のいずれか1つの物品である。
【0057】
実施形態13は、シートが、約0.125’’〜約0.35’’の厚さを有する、実施形態1〜12のいずれか1つの物品である。
【0058】
実施形態14は、シートが、約0.1g/cc〜約0.3g/ccの密度を有する、実施形態1〜13のいずれか1つの物品である。
【0059】
実施形態15は、シートが、約50psi〜約150psiの圧縮弾性率を有する、実施形態1〜14のいずれか1つの物品である。
【0060】
実施形態16は、シートが、約3psi〜約25psiの圧縮降伏応力を有する、実施形態1〜15のいずれか1つの物品である。
【0061】
実施形態17は、シートが、約50%未満の圧縮永久ひずみを有する、実施形態1〜16のいずれか1つの物品である。
【0062】
実施形態18は、シートが緩衝パッド又はマットである、実施形態1〜17のいずれか1つの物品である。
【0063】
実施形態19は、方法であって、本方法は、
溶融材料を、押出ダイを通して押出成形し、第1主面及び第2主面を有する溶融押出物を形成することと、
この溶融押出物をツール面と接触させることであって、このツール面は、溶融押出物の第1主面内に複製されるべきパターンを含む、ことと、
溶融押出物を冷却し、セル層をもたらすことと、
溶融押出物を冷却する前に溶融押出物の第2主面に付着させられるべき基層を準備することと、
を含み、
セル層は、互いに相互接続されたセルのアレイを含み、これらのセルの各々は、その第1主面と第2主面との間に延びる少なくとも3つのセル壁を含み、これらのセル壁は、隣接するセルによって各々共有されており、セル層は、第2主面に位置し、セル壁を接続するランド領域を更に含む、
方法である。
【0064】
実施形態20は、ランド領域が、第2主面に沿って延び、第2主面においてセル壁との連続構造体を形成し、ランド領域が、更に備える基層に付着させられている、実施形態19の方法である。
【0065】
実施形態21は、溶融材料を押出成形することが、溶融材料を鉛直下方へ、及び基層とツール面との間の空間内へ押出成形することを含む、実施形態19又は20の方法である。
【0066】
実施形態22は、溶融押出物をツール面と接触させることが、ニップロール及びツールロールを介して、溶融押出物をツール面と基層との間に挟むことを含み、ツール面はツールロールの表面である、実施形態19〜21のいずれか1つの方法である。
【0067】
実施形態23は、基層を準備することが、基層の表面を処理し、1つ以上のフィルムをセル層の反対側で基層に接着させることを更に含む、実施形態19〜22のいずれか1つの方法である。
【0068】
実施形態24は、溶融材料を押出成形することが、1種以上の熱可塑性エラストマー(TPE)を押出成形することを含む、実施形態19〜23のいずれか1つの方法である。
【0069】
実施形態25は、基層とセル層とが付着させられ、物品を形成し、物品がロール・ツー・ロールプロセスにおいて巻き取られる、実施形態19〜24のいずれか1つの方法である。
【0070】
本開示の実施を、以下の詳細な実施例に関して更に説明する。これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技術を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
【実施例】
【0071】
これらの実施例は単に例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を過度に限定することを意図しない。本開示の幅広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において示される数値は、可能な限り正確に報告している。しかし、いずれの数値も、それらの対応する試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる、特定の誤差を本質的に含む。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0072】
押出複製プロセス
以下の実施例1〜3を、図5及び図6に示されるものなどの押出複製プロセスによって作製した。ポリマーペレットを単軸スクリュー押出機(Davis−Standard,Pawcatuck,Connecticutからの2.5’’NRM押出機)の供給口内に供給した。押出機を加熱鋼管によってフィルムダイ(ダイリップ間隙を150ミル又は0.150’’に設定するためのシムを具備する、Nordson Extrusion Dies Industries,Chippewa Falls,WIからの幅18’’のEDIフィルムダイ)に接続した。押出物を3ロール水平鋳造ステーション内に流し込んだ。3つのロールはすべて幅40’’であった。第1のロールは直径10’’の滑らかな鋼であり、温度制御用の水を包含した。第2のロールは、直径20’’であるパターン付きロールであり、深さ0.3’’に機械加工された繰り返し六角形パターンを有し、オイル伝熱流体を温度制御のために用いた。第3のロールは、水温制御を有する直径10’’のゴム被覆ロールであった。押出物が滑らかなロールとパターン付きロールとの間を通過するのと同時に、押出物は、フィルム巻出機から供給されるフィルムと接触した。押出物の熱は溶融押出物へのフィルム巻出機の自己接着を生じさせた。押出物がパターン付きロール内で冷却すると、押出物は六角形状へ固化し、パターン付きロールから除去された。押出物を冷却し、それをパターン付きロールから除去するのを助けるために、第3のゴムロールを用いた。また、Conair Dual Belt Puller(Conair North America,Cranberry Township,PAからの、Hypalon(登録商標)ベルトを具備する、幅36’’のベルト)も、固化した材料をパターン付きロールから除去するのを助けるために用いた。このプロセスは、最終製品がロール上に巻回される、連続プロセス、即ち、ロール・ツー・ロールプロセスであった。
【0073】
実施例1:
Packsource Systems,Inc.(Simi Valley,CA)からSurlyn(登録商標)フィルムを購入した。この等級のSurlyn(登録商標)フィルムは厚さ15ミル(0.0015’’)及び幅20’’であった。このフィルムをフィルム巻出機上に装着し、滑らかなロールとパターン付きロールとの間のニップ内へ巻き出した。Infuse 9807(Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)とNA2170000低密度ポリエチレン(LyondellBasell Industries,Houston,Texasから入手可能)との混合物を、80%のInfuse 9807及び20%のNA2170000の比で2.5’’単軸スクリュー押出機内へ供給した。各々の個々の六角形が両辺間11mmという寸法である、六角形パターン付きツーリングロールを用いた。このプロセスによって、Surlyn(登録商標)フィルムへの良好な接着を有する、幅11mm(両辺距離)及び高さ0.28’’の柔軟な六角形の規則的アレイが生成された。本実施例は厚さ0.003’’のランド領域を有した。
【0074】
実施例2:
Packsource Systems,Inc.(Simi Valley,CA)からSurlyn(登録商標)フィルムを購入した。この等級のSurlyn(登録商標)フィルムは厚さ15ミル(0.0015’’)及び幅20’’であった。このフィルムをフィルム巻出機上に装着し、滑らかなロールとパターン付きロールとの間のニップ内へ巻き出した。Infuse 9807(Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)とNA2170000低密度ポリエチレン(LyondellBasell Houston,Texasから入手可能)との混合物を、90%のInfuse 9807及び10%のNA2170000の比で2.5’’単軸スクリュー押出機内へ供給した。各々の個々の六角形が両辺間11mmという寸法である、六角形パターン付きツーリングロールを用いた。このプロセスによって、Surlyn(登録商標)フィルムへの良好な接着を有する、幅11mm(両辺距離)及び高さ0.28’’の柔軟な六角形の規則的アレイが生成された。本実施例は0.003’’のランド層を有した。
【0075】
実施例3:
Packsource Systems,Inc.(Simi Valley,CA)からSurlyn(登録商標)フィルムを購入した。この等級のSurlyn(登録商標)フィルムは厚さ15ミル(0.0015’’)及び幅20’’であった。このフィルムをフィルム巻出機上に装着し、滑らかなロールとパターン付きロールとの間のニップ内へ巻き出した(図5)。Infuse 9807(Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)とEngage XLT 8677(Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)との混合物を、60%のEngage XLT8677及び40%のInfuse 9807の比で2.5’’単軸スクリュー押出機内へ供給した。実施例3は、各々の個々の六角形が両辺間8mmという寸法である、六角形パターン付きツーリングロールを用いた。本実施例によって、幅8mm(両辺距離)及び高さ0.27’’の六角形の柔軟なアレイが生成された。本実施例についてのランド領域(キャップ層)の厚さは0.010’’であった。
【0076】
実施例4:
規則的な六角形アレイをCADファイルから3D印刷した。これらの試験体は、Objet/Stratasys PolyJet 3Dプリンタ(Stratasys,Eden Prairie,MNより)上でTangoBlack FLX973ゴム状材料(Stratasys,Eden Prairie,MNより)を用いて製作した。
【0077】
この試験体は、0.5mmの基層、両辺間11mmという寸法である、高さ7mmの相互接続された六角形を有した。実施例4は完全な六角形セル壁を有した。実施例5〜7は、セル壁の端部(基層の反対側)を、図4に示されるものなどの構成に調整することによって作製した。実施例4〜7において、基層及びランド領域は3D印刷によって一体構造体として形成された。
【0078】
実施例5:
規則的な六角形アレイをCADファイルから3D印刷した。これらのサンプルは、Objet/Stratsys PolyJet 3Dプリンタ上でTangoBlack FLX973を用いて製作した。
【0079】
このサンプルは、0.5mmの基層、両辺間11mmという寸法である、高さ7mmの相互接続された六角形を有した。実施例5は、六角形セル壁の最上部の半径2mmのカットアウトを有した。
【0080】
実施例6:
規則的な六角形アレイをCADファイルから3D印刷した。これらのサンプルは、Objet/Stratsys PolyJet 3Dプリンタ上でTangoBlack FLX973を用いて製作した。
【0081】
このサンプルは、0.5mmの基層、両辺間11mmという寸法である、高さ7mmの相互接続された六角形を有した。実施例6は、六角形セル壁の最上部の、深さ2mm、半径2mmのカットアウトを有した。
【0082】
実施例7:
規則的な六角形アレイをCADファイルから3D印刷した。これらのサンプルは、Objet/Stratsys PolyJet 3Dプリンタ上でTangoBlack FLX973を用いて製作した。
【0083】
このサンプルは、0.5mmの基層、両辺間11mmという寸法である、高さ7mmの相互接続された六角形を有した。実施例7は、六角形セル壁の最上部の、深さ4mm、半径2mmのカットアウトを有した。
【0084】
【表1】
【0085】
上述の実施例について弾性率及び降伏応力を測定した。結果を以下において表1に列挙する。Instron Model 5500R(Instron,Norwood,MAより)を、平坦プレートを用いてセットアップし、10kNロードセルを用いて0.5in/minで標準圧縮試験を実施した。弾性率は初期弾性領域内の応力−ひずみ曲線の勾配として定義される。表1では、0.2%のオフセット降伏応力を降伏応力として用いた。これは、弾性率と同じ勾配を有する線をx軸上で0.2%オフセットすることによって算出した。
【0086】
実施例2と比べた実施例1は、材料組成の効果を示す。実施例1は80%のTPE(Infuse 9807)及び20%のLDPE(NA217000)を有し、それに対して、実施例2は90%のTPE及び10%のLDPEを有した。実施例2は、LDPEが少なくなれば、同じ幾何学的パターンに対して、弾性率は低下し、降伏応力は低下することを示した。
【0087】
実施例3と比べた実施例2は、幾何学的パターンの効果を示す。実施例2はより大きな六角形(11mm)を有し、実施例3はより小さな六角形(8mm)を有した。実施例3におけるより小さい六角形は、より高い弾性率を生じさせた。
【0088】
実施例4は、押出複製プロセスによって作製した実施例1及び2と同様の寸法を有する幅11mmの六角形構造体であるが、その一方で、実施例4は3D印刷を用いて作製した。実施例4を実施例5、6、及び7と比べると、より大きな面積率がセル壁から除去されると、より低い弾性率及びより低い降伏応力を生じさせることが分かる。実施例5〜7は、端部(基層の反対側)を調整することによって作製したものであり、弾性率及び降伏応力の両方の著しい低下を示した。この特徴は、緩衝又は衝撃吸収構造体を製作する際に有利である。
【0089】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」に対する言及は、「実施形態」という用語の前に、「例示的な」という用語が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特色、構造、材料、又は特徴が、本開示のある特定の例示的な実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「1つ以上の実施形態において」、「ある特定の実施形態において」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」などの表現の出現は、必ずしも本開示のある特定の例示的な実施形態のうちの同一の実施形態に言及するものとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0090】
本明細書では特定の例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の修正形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが、諒解されるであろう。したがって、本開示は、ここまで説明してきた例示的な実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。加えて、本明細書で使用されるすべての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0091】
更には、本明細書で参照されるすべての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度に、それらの全容が参照により組み込まれる。様々な例示的な実施形態について説明してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6