【文献】
Bioscience Biotechnol. Biochem.,2004年,Vol.68(10),p.2178-2182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
概要
増殖性疾患、例えば癌は、周囲の(または遠く離れた)組織の健康機能を妨げる細胞の急成長を伴って身体に害をもたらす。細胞は急速に複製するため、転写経路を破壊する化合物は、その疾患と戦う上で価値がある。即ち、転写経路において役割を果たす1つまたは複数のタンパク質の機能を破壊することが可能であれば、癌性細胞の増殖(および可能性のある転移)は制限されるだろう。そのような破壊は、患者がさらなる数ヶ月または数年の生命を得るのに少なくとも役立つだろう。
【0006】
転写経路に関与するタンパク質複合体の一つのファミリーが、スプライセオソームである。スプライセオソームは、典型的に、転写の間にゲノム材料からのエクソンの切り取り(即ち、イントロンのスプライシング)を制御するように一緒に作用する100個を超えるタンパク質を含む。スプライセオソームまたはスプライセオソーム調節タンパク質の機能を妨げる化合物は、増殖性疾患の広がりを遅らせるかまたは止めるのに大いに役立つ。
【0007】
本発明の態様は、増殖性細胞の成長を制限する点で有効であり、癌治療剤として有用である化合物を含む。本発明の態様はまた、これらの化合物を含む組成物、ならびに患者へ投与されると化合物を生じるプロドラックを含む。化合物は、癌、特に、固形腫瘍細胞癌、例えば、乳癌、肺癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、および腎細胞癌の治療に有用である。化合物、組成物、およびプロドラッグは、増殖性疾患、例えば癌についての治療の必要がある患者へ投与することができる。
【0008】
本発明の態様は、本発明の様々な態様の治療用化合物を製造する方法をさらに含む。方法は、触媒の存在下でのエポキシアルコールフラグメントおよびアミドフラグメントの交差メタセシスを含む。ある態様において、方法は、(R)-イソプロピリデングリセルアルデヒドからエポキシアルコールフラグメントを形成すること、Corey-Bakshi-Shibata(CBS)還元、Achmatowicz転位、立体選択的マイケル付加を用いてアミドフラグメントを形成すること、ならびに交差メタセシス反応を用いて第1のフラグメントおよび第2のフラグメントをカップリングすることを含む。方法は、標準反応条件下において約20工程で行うことができ、高いエナンチオマー効率(enantiomeric efficiency)(>98% ee)および高収率で進行する。
[本発明1001]
式Iを有する化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)もしくは抗体コンジュゲートを調製するための方法であって:
式中、
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルケニルオキシ、-(CH
2)
nC(O)NR
16R
17(ここで、R
16およびR
17は、H、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびアリールより独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか;またはR
16およびR
17は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する)、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
3およびR
4は、OH、C
1-6-アルキル(Cl、F、NO
2、OH、またはLGで置換されていてもよく、ここで、LGは脱離基である)、C(O)R
13、F、Cl、NO
2からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであるか;またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素原子と一緒に、エポキシド環を形成し;
R
5およびR
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;かつ
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
方法が、
式IIの化合物:
を式IIIの化合物:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5はここに定義される)へ変換する工程;および
式IIIの化合物と、式IVの化合物:
(式中、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12はここに定義される)とをオレフィンメタセシス触媒の存在下で接触させ、式Iの化合物を形成する工程
を含む、方法。
[本発明1002]
式IIIの化合物が、以下の式の化合物であり:
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
5は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
R
1がHであり;R
2がC
1-6-アルキルであり;かつR
5がHである、本発明1002の方法。
[本発明1004]
R
2が-CH
3である、本発明1002の方法。
[本発明1005]
式IVの化合物が、以下の式の化合物であり:
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;かつ
R
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する、本発明1001の方法。
[本発明1006]
R
6、R
7、R
8、およびR
11が独立してC
1-6-アルキルであり;R
9およびR
10がHであり;かつR
12がC(O)R
13であり、ここでR
13がC
1-6-アルキルである、本発明1005の方法。
[本発明1007]
R
6、R
7、R
8、およびR
11が-CH
3であり;R
9およびR
10がHであり;かつR
12がC(O)R
13であり、ここでR
13が-CH
3である、本発明1005の方法。
[本発明1008]
式Iの化合物が、以下:
ならびにその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは抗体コンジュゲートからなる群より選択される化合物である、本発明1001の方法。
[本発明1009]
式IVを有する化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲートを調製するための方法であって:
式中、
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;かつ
R
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
方法が、
式Vの化合物:
(式中、R
8はここに定義される)と還元剤とを接触させ、式VIの化合物:
(式中、R
8はここに定義される)を得る工程;
式VIの化合物と金属触媒とを接触させ、式VIIの化合物:
(式中、R
8はここに定義される)を得る工程;
式VIIの化合物と、R
7Liの化合物(式中、R
7はここに定義される)と、金属塩とを接触させ、式VIIIの化合物:
を得る工程;
式VIIIの化合物とオレフィンメタセシス触媒とを接触させ(式中、R
7およびR
8はここに定義される)、式IXの化合物:
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11はここに定義される)を得る工程;
式IXの化合物を、式Xの化合物:
(式中、R
6、R
7、R
8、およびR
9はここに定義される)へ還元的アミノ化条件下で変換する工程;ならびに
式Xの化合物と、式XIの化合物:
(式中、R
10、R
11、およびR
12はここに定義される)とを接触させ、式IVの化合物を得る工程
を含む、方法。
[本発明1010]
還元剤がキラル還元剤である、本発明1009の方法。
[本発明1011]
キラル還元剤がキラルオキサザボロリジンを含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
金属触媒がAchmatowicz転位をもたらす、本発明1009の方法。
[本発明1013]
金属触媒がVO(acac)
2である、本発明1009の方法。
[本発明1014]
金属塩がCuBrを含む、本発明1009の方法。
[本発明1015]
式VIの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、R
8は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択される、本発明1009の方法。
[本発明1016]
R
8が-CH
3である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
式VIIの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、R
8は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択される、本発明1009の方法。
[本発明1018]
R
8が-CH
3である、本発明1017の方法。
[本発明1019]
式VIIIの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、R
7およびR
8は独立してC
1-6-アルキルである、本発明1009の方法。
[本発明1020]
式IXの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;かつ
R
8は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択される、本発明1009の方法。
[本発明1021]
式Xの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;かつ
R
8およびR
9は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択される、本発明1009の方法。
[本発明1022]
式XIの化合物が、以下の式の化合物であり:
R
10およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;かつ
R
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する、本発明1009の方法。
[本発明1023]
R
11がC
1-6-アルキルであり;R
10がHであり;かつR
12がC(O)R
13であり、ここでR
13がC
1-6-アルキルである、本発明1022の方法。
[本発明1024]
R
11が-CH
3である、本発明1022の方法。
[本発明1025]
以下からなる群より選択される化合物:
またはその塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲート。
[本発明1026]
本発明1001の1つまたは複数の化合物、またはその塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲート、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、薬学的組成物。
[本発明1027]
以下からなる群より選択される化合物へインビボで変換されるプロドラッグ:
。
[本発明1028]
そのような治療の必要がある対象における癌を治療する方法であって、治療有効量の本発明1025の1つまたは複数の化合物またはその塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲートを投与する工程を含む、方法。
[本発明1029]
癌が固形腫瘍の癌である、本発明1028の方法。
[本発明1030]
癌が、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、腎細胞癌、および膵癌より選択される、本発明1028の方法。
[本発明1031]
治療有効量の1つまたは複数の化合物を60日の期間内に少なくとも2回投与する、本発明1028の方法。
[本発明1032]
少なくとも1つの他の抗癌剤と組み合わせて本発明1025の1つまたは複数の化合物を投与する工程をさらに含む、本発明1028の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本発明の態様は、治療用抗癌剤として使用され得る新規の化合物のファミリーを含む。前記薬剤は、本明細書に記載されるように、アミドへの環状エポキシアルコールの触媒交差メタセシスを含む直接的な合成で合成することができる。
【0010】
本発明の様々な態様は、式Iを有する化合物およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体コンジュゲート(例えば、本明細書に完全に記載されるように参照により組み入れられる、米国特許第8,663,643号を参照のこと)に関し:
式中、
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルケニルオキシ、-(CH
2)
nC(O)NR
16R
17(ここで、R
16およびR
17は、H、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびアリールより独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか;またはR
16およびR
17は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する)、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
3およびR
4は、OH、C
1-6-アルキル(Cl、F、NO
2、OH、またはLGで置換されていてもよく、ここで、LGは脱離基、例えば、-O-メシル、-O-トシルまたは-O-ベシル脱離基である)、C(O)R
13、F、Cl、NO
2からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであるか;またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素原子と一緒に、エポキシド環を形成し;
R
5およびR
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;かつ
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択される。
【0011】
本発明の様々な他の態様は、式Iaを有する化合物およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体コンジュゲートに関し:
式中、
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルケニルオキシ、-(CH
2)
nC(O)NR
16R
17(ここで、R
16およびR
17は、H、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびアリールより独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか;またはR
16およびR
17は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する)、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
3およびR
4は、OH、C
1-6-アルキル(Cl、F、NO
2、OH、またはLGで置換されていてもよく、ここで、LGは脱離基、例えば、-O-メシル、-O-トシルまたは-O-ベシル脱離基である)、C(O)R
13、F、Cl、NO
2からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであるか;またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素原子と一緒に、エポキシド環を形成し;
R
5およびR
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;かつ
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択される。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、式Iを有する化合物およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体コンジュゲートを調製するための方法に関し:
式中、
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルケニルオキシ、-(CH
2)
nC(O)NR
16R
17(ここで、R
16およびR
17は、H、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびアリールより独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか;またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する)、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
3およびR
4は、OH、C
1-6-アルキル(Cl、F、NO
2、OH、またはLGで置換されていてもよく、ここで、LGは脱離基、例えば、-O-メシル、-O-トシルまたは-O-ベシル脱離基である)、C(O)R
13、F、Cl、NO
2からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであるか;またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素原子と一緒に、エポキシド環を形成し;
R
5およびR
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;かつ
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
方法は、
式IIの化合物:
を式IIIの化合物:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は各々ここに定義される)へ変換する工程;および
式IIIの化合物と、式IVの化合物:
(式中、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12はここに定義される)とをオレフィンメタセシス触媒の存在下で接触させ、式Iの化合物を形成する工程
を含む。
【0013】
本明細書において用いる場合、用語「C
1-6-アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する一価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、直鎖および分岐状ヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH
3-)、エチル(CH
3CH
2-)、n-プロピル(CH
3CH
2CH
2-)、イソプロピル((CH
3)
2CH-)、n-ブチル(CH
3CH
2CH
2CH
2-)、イソブチル((CH
3)
2CHCH
2-)、sec-ブチル((CH
3)(CH
3CH
2)CH-)、t-ブチル((CH
3)
3C-)、n-ペンチル(CH
3CH
2CH
2CH
2CH
2-)、およびネオペンチル((CH
3)
3CCH
2-)を含むが、これらに限定されない。用語C
1-6-アルキルはまた、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含むがこれらに限定されないシクロアルキル基を含む。
【0014】
本明細書において用いる場合、用語「C
2-6-アルケニル」(例えば、C
2-6-アルケニルオキシにおける)は、2〜6個の炭素原子を有する一価不飽和ヒドロカルビル基を指す。この用語は、直鎖および分岐状ヒドロカルビル基、例えば、ビニル(CH
2=CH-)、プロペニル(CH
2=CH
2CH
2-)、およびイソプロペニル((CH
3)(CH
2)C-)を含むが、これらに限定されない。用語C
2-6-アルキルはまた、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを含むがこれらに限定されないシクロアルケニル基を含む。
【0015】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書において用いる場合、窒素、酸素および硫黄より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ少なくとも1つの炭素原子を含有する、5〜14員、例えば5〜6員の芳香族複素環を指す。ヘテロアリールは、単環式、二環式、または三環式環系であり得る。代表的なヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジル、アゼピニル、オキセピニル、およびキノキサリニルである。
【0016】
本明細書において用いる場合、用語「アリール」は、環中にヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素を広く指す。そのようなアリール基は置換されていても非置換であってもよい。アリール基としては、フェニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、およびナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書において用いる場合、用語「複素環」または「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書において用いる場合、飽和、不飽和のいずれかであり、かつ、窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5〜14員の環系、例えば5〜6員の環系を指し、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい。複素環は、単環式、二環式、または三環式環系であり得る。二環式または三環式環系はスピロ縮合されていてもよい。二環式および三環式環系は、ベンゼン環へ縮合された複素環またはヘテロアリールを包含し得る。複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合し得る。複素環は、上記に定義されるようなヘテロアリールを含む。複素環の代表的な例としては、アジリジニル、オキシラニル、ツイラニル(thuiranyl)、トリアゾリル、テトラゾリル、アジリニル、ジアジリジニル、ジアジリニル、オキサジリジニル、アゼチジニル、アゼチジノニル、オキセタニル、チエタニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、オキサジニル、チアジニル、ジアジニル、ジオキサニル、トリアジニル、テトラジニル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピロリジニル、イソオキサゾリル、フラニル、フラザニル、ピリジニル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、およびキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「ヒドロキシ」は-OH基を指す。
【0019】
用語「ヒドロキシ保護基」は、-OH基についての保護基を指す。適切なヒドロキシ保護基、ならびに特定の官能基を保護および脱保護するための適切な条件は、当技術分野において周知である。例えば、多数のそのような保護基がT. W. Greene and P. G. M. Wuts, PROTECTING GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, 3rd ed., Wiley, New Yorkに記載されている。そのようなヒドロキシ保護基としては、C
1-6アルキルエーテル、ベンジルエーテル、p-メトキシベンジルエーテル、シリルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
用語「C
1-6-アルコキシ」は、-O-(C
1-6-アルキル)基を指し、ここで、C
1-6-アルキルは本明細書に定義される。C
1-6-アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびn-ペントキシを含むが、これらに限定されない。
【0021】
いくつかの態様において、式IIIの化合物は、以下の式の化合物:
であり、式中、R
1、R
2、およびR
5は本明細書に定義される。
【0022】
いくつかの態様において、式IVの化合物は、以下の式の化合物:
であり、式中、R
6〜R
12は本明細書に定義される。
【0023】
いくつかの態様において、式IVの化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)もしくは抗体コンジュゲートは、式Vの化合物:
から調製され、式中、R
8は本明細書に定義される。式IVの化合物は、以下を含むプロセスによって調製することができる:
式Vの化合物と適切な還元剤(例えば、ボランおよびキラルオキサザボロリジンを用いるCorey-Bakshi-Shibata(CBS)還元)とを接触させ、式VIの化合物:
(式中、R
8は本明細書に定義される)を得る工程;
式VIの化合物と適切な金属触媒(例えば、Achmatowicz転位をもたらすためのVO(acac)
2)とを接触させ、式VIIの化合物:
(式中、R
8は本明細書に定義される)を得る工程;
式VIIの化合物と、R
7Liの化合物(式中、R
7は本明細書に定義される)と、適切な金属塩(例えば、CuBr・S(CH
3)
2)とを接触させ、式VIIIの化合物:
を得る工程;
式VIIIの化合物と適切なオレフィンメタセシス触媒(例えば、適切なGrubbs第二世代オレフィンメタセシス触媒)とを接触させ(式中、R
7およびR
8は本明細書に定義される)、式IXの化合物:
(式中、R
6、R
7、およびR
8は本明細書に定義される)を得る工程;
式IXの化合物を、式Xの化合物:
(式中、R
6、R
7、R
8、およびR
9は本明細書に定義される)へ還元的アミノ化条件下で変換する工程;ならびに
式Xの化合物と、式XIの化合物:
とを接触させ、式IVの化合物を得る工程。
【0024】
いくつかの態様において、式VIの化合物は、以下の式の化合物である。
【0025】
いくつかの態様において、式VIIの化合物は、以下の式の化合物である。
【0026】
いくつかの態様において、式VIIIの化合物は、以下の式の化合物である。
【0027】
いくつかの態様において、式IXの化合物は、以下の式の化合物である。
【0028】
いくつかの態様において、式Xの化合物は、以下の式の化合物である。
【0029】
いくつかの態様において、式XIの化合物は、以下の式の化合物である。
【0030】
いくつかの態様において、式Iの化合物は、以下の式の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)もしくは抗体コンジュゲートである。
【0031】
他の態様において、式Iの化合物は、以下の式の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)もしくは抗体コンジュゲートである。
【0032】
本発明の態様は、化合物Z1〜Z7のいずれか一つ、ならびにそれらの組み合わせを含み、これらは、強力なスプライセオソーム阻害剤であり、抗癌剤として投与してもよく、これらは、本明細書に記載される方法によって合成することができる:
およびその薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体コンジュゲート。化合物は、組成物中に含まれてもよく、プロドラッグとして送達されてもよい。化合物Z1〜Z7は、式Iの化合物について本明細書に記載されるプロセスによって調製することができる。
【0033】
「薬学的に許容される塩」は、一般に、化合物の薬学的に許容される塩を指し、この塩は、当技術分野において周知の様々な有機および無機対イオンに由来し、単なる一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウム;ならびに、分子が塩基性官能性を含む場合は、有機酸または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩を含む。
【0034】
本明細書において用いる場合、用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で加水分解、酸化、または他の方法で反応し、活性化合物、特に、本発明の態様の化合物を提供することができる、化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生物加水分解性(biohydrolyzable)アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カルボネート、生物加水分解性ウレイド、および生物加水分解性ホスフェートアナログなどの生物加水分解性部分を含む本発明の化合物の誘導体および代謝産物が挙げられるが、これらに限定されない。カルボキシル官能基を有する化合物の具体的なプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子上に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって好都合に形成される。プロドラッグは、典型的に、周知の方法、例えば、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers GmbH)に記載されるものを用いて調製され得る。
【0035】
当業者は、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物Z1〜Z7)がキラル中心を含有することを認識するだろう。本明細書に記載の化合物の全てのジアステレオマー、ならびにラセミ体が、本明細書において企図される。当業者はまた、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物Z1〜Z7)が、各々がE(engegen)配置またはZ(zusammen)配置を有し得る二重結合を3箇所に含むことを認識するだろう。本明細書に記載の化合物の全ての異性体(例えば、E,E,E;Z,Z,Z;E,Z,E;E,E,Z;Z,E,E;Z,E,Z、およびZ,Z,E)が本明細書において企図される。
【0036】
本発明の様々な態様はまた、本発明の様々な態様の1つまたは複数の化合物(例えば、化合物Z1〜Z7)、および1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせを含む薬学的組成物を企図する。「薬学的組成物」は、対象(例えば、哺乳動物)への投与に適した化学的または生物学的組成物を指す。そのような組成物は、頬、皮膚、皮膚上、硬膜外、注入、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、経肺、浣腸または坐剤によって直腸に、皮下、真皮下、舌下、経皮、および経粘膜を含むがこれらに限定されない多数の経路のうちの1つまたは複数による投与のために特に製剤化され得る。加えて、投与は、カプセル剤、点滴剤、フォーム、ゲル、ガム、注射、液体、貼付剤、丸剤、多孔性ポーチ、散剤、錠剤、または他の適切な投与手段によって行われ得る。
【0037】
「薬学的賦形剤」または「薬学的に許容される賦形剤」は、担体、時には液体を含み、活性治療剤がその中で製剤化される。賦形剤は、一般に、製剤に対していかなる薬理学的活性も与えないが、化学的および/または生物学的安定性、ならびに放出特性を与え得る。適切な製剤の例は、例えば、Remington, The Science And Practice of Pharmacy, 20th Edition, (Gennaro, A. R., Chief Editor), Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000に見出すことができ、これは参照によりその全体が組み入れられる。
【0038】
本明細書において用いる場合、「薬学的に許容される担体」または「賦形剤」は、生理学的に適合性である、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤を含む。一態様において、担体は非経口投与に適している。あるいは、担体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下、または経口投与に適するものとすることができる。薬学的に許容される担体としては、無菌水溶液または分散液、および無菌注射溶液または分散液の即時調製のための無菌散剤が挙げられる。薬学的活性物質についてのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合性でない限り、本発明の薬学的組成物におけるその使用が企図される。補足の活性化合物も組成物中に組み入れることができる。
【0039】
薬学的組成物は、製造および貯蔵の条件下で無菌かつ安定であり得る。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序構造物として製剤化され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合は必要とされる粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0040】
多くの場合において、等張剤、例えば、糖類、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましいだろう。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。さらに、本明細書に記載の化合物は、持続放出製剤中、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物中に製剤化され得る。活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤などの、化合物を迅速な放出から保護する担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、およびポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー(PLG)などの生分解性、生体適合性ポリマーを用いてもよい。そのような製剤を調製するための多くの方法が当業者に公知である。
【0041】
経口投与形態も本明細書において企図される。本発明の薬学的組成物は、カプセル剤(硬質もしくは軟質)、錠剤(フィルムコーティング、腸溶コーティングもしくは素錠)、散剤もしくは顆粒剤(コーティングされたもしくはコーティングされていない)または液体(液剤もしくは懸濁剤)として経口投与することができる。製剤は、当技術分野において周知の方法のいずれによっても好都合に調製することができる。本発明の薬学的組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、流動化剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、着色剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および薬学的に適合性の担体を含む、1つまたは複数の適切な製造助剤または賦形剤を含み得る。
【0042】
記載される態様の各々について、化合物は、当技術分野において公知の様々な剤形によって投与することができる。当業者に公知の任意の生物学的に許容される剤形、およびそれらの組み合わせが、企図される。そのような剤形の例としては、非限定的に、チュアブル錠、速溶錠、発泡錠、再構成可能な散剤、エリキシル剤、液体、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、多層錠剤、二層錠剤、カプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、カプレット剤、ロゼンジ、チュアブルロゼンジ、ビーズ、散剤、ガム、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒剤、カシェ剤、膣洗浄剤(douche)、坐剤、クリーム、局所剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、貼付剤、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取可能物、注射剤(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)、注入剤、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
混合によって含まれ得る他の化合物は、例えば、医学的不活性成分(例えば、固体および液体希釈剤)、例えば、錠剤またはカプセル剤についてのラクトース、デキストロースサッカロース、セルロース、デンプンまたはリン酸カルシウム、軟カプセル剤についてのオリーブ油またはオレイン酸エチル、および懸濁剤または乳剤についての水または植物油;滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムおよび/またはポリエチレングリコール;ゲル化剤、例えば、コロイド性クレイ;増粘剤、例えば、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム、結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;色素;甘味剤;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベートまたはラウリルサルフェート;ならびにそのような製剤についての公知の添加剤である、他の治療的に許容される副成分、例えば、保湿剤、保存剤、緩衝剤および抗酸化剤である。
【0044】
経口投与用の液体分散液は、シロップ剤、乳剤、液剤、または懸濁剤であり得る。シロップ剤は、担体として、例えば、ショ糖、またはショ糖と共にグリセロールおよび/もしくはマンニトールおよび/もしくはソルビトールを含有することができる。懸濁剤および乳剤は、担体、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有することができる。
【0045】
本発明の様々な態様に従う治療用組成物中の活性化合物の量は、疾患状態、年齢、性別、体重、患者病歴、危険因子、疾患に対する素因、投与経路、既存の治療レジメン(例えば、他の薬剤との可能性のある相互作用)、および個体の体重などの因子によって変わり得る。投薬レジメンは、最適な治療反応を提供するように調節され得る。例えば、単回ボーラスで投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に増減してもよい。
【0046】
「投薬単位形態」は、本明細書において用いる場合、治療される哺乳動物対象について単位投薬量として適した物理的に分離した単位を指し;各単位は、必要とされる薬学的担体と共同して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態についての詳細は、活性化合物の特有の特性および達成される特定の治療効果、ならびに個体における感受性を扱うためのこのような活性化合物を混合する分野に内在する制限により決まり、かつ直接依存する。本発明の化合物またはその適切な薬学的組成物が有効である哺乳動物(例えば、ヒト)における状態を治療するための治療的使用において、本発明の化合物を有効量で投与してもよい。本発明に適した投薬量は、組成物、薬学的組成物、または本明細書に記載される任意の他の組成物であり得る。
【0047】
記載される態様の各々について、投薬量は、より頻繁な投与間隔が可能であるが、典型的に、1日1回、2回、または3回投与される。投薬量は、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、および/または7日毎(週1回)投与されてもよい。ある態様において、投薬量は、30日を含む30日以下の間、好ましくは7〜10日間、毎日投与され得る。別の態様において、投薬量は10日間1日2回投与され得る。患者が慢性疾患または慢性状態のための治療を必要とする場合、徴候および/または症状が持続する限り、投薬量は投与され得る。患者は、患者が投薬量を数ヶ月、数年、または余生の間、毎日受ける「維持治療」を必要とし得る。加えて、本発明の組成物は、症状の再発を予防し得る。例えば、投薬量は、危険性がある患者において、特に無症候性患者について、症状の発症を予防するために1日1回または2回投与され得る。
【0048】
本明細書に記載される組成物は、以下の経路のいずれかで投与され得る:頬、皮膚上、硬膜外、注入、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、経肺、浣腸または坐剤によって直腸に、皮下、真皮下、舌下、経皮、および経粘膜。好ましい投与経路は頬および経口である。投与は局所または全身であり得、局所投与において、組成物は、疾患部位に直接、接近して、局所に、付近に、その場所に、周囲に、または近辺に投与され、全身投与において、組成物は、患者へ提供され、広く身体を通過し、それによって疾患部位に到達する。局所投与は、疾患を包含するおよび/もしくは疾患によって冒された、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状が活性であるかまたは生じる可能性が高い、細胞、組織、器官、および/または器官系への投与であり得る。投与は、局所効果を伴って局在的であり得、組成物は、その作用が望まれる場所に直接適用される。投与は経腸であり得、ここで所望の効果は全身的(非局所)であり、組成物は消化管を介して提供される。投与は非経口であり得、ここで所望の効果は全身的であり、組成物は消化管以外の経路を介して提供される。
【0049】
いくつかの態様において、本発明の様々な態様は、本発明の様々な態様の1つまたは複数の化合物(例えば、少なくとも1つの化合物Z1〜Z7)の治療有効量を含む組成物を企図する。いくつかの態様において、組成物は、癌を治療するための方法において有用であり、該方法は、その必要がある患者へ本発明の様々な態様の1つまたは複数の化合物の治療有効量を投与する工程を含む。いくつかの局面において、本発明の様々な態様は、癌の軽減の必要がある患者を治療するための医薬として使用するための本発明の様々な態様の化合物を企図する。いくつかの態様において、癌は、膵癌;膀胱癌;結腸直腸癌;乳癌、例えば、転移性乳癌;前立腺癌、例えば、アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌;腎臓癌、例えば、転移性腎細胞癌;肝細胞癌;肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌(BAC)、および肺腺癌;卵巣癌、例えば、進行性上皮癌または原発性腹膜癌;子宮頸癌;胃癌;食道癌;頭頸部癌、例えば、頭頸部扁平上皮癌;黒色腫;神経内分泌癌、例えば、転移性神経内分泌腫瘍;脳腫瘍、例えば、神経膠腫、退形成乏突起膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星状細胞腫;骨癌;ならびに軟部組織肉腫を含むが、これらに限定されない固形腫瘍細胞癌を含むが、これらに限定されない。血液悪性腫瘍の例としては、以下が挙げられる:急性骨髄性白血病(AML);慢性骨髄性白血病(CML)、例えば、移行期CMLおよびCML急性転化期(CML-BP);急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL);ホジキン病(HD);非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫;B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ワルデンストレームマクログロブリン血症;骨髄異形成症候群(MDS)、例えば、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、および移行期のRAEB(RAEB-T);ならびに骨髄増殖性症候群、例えば、乳癌、肺癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、および腎細胞癌。
【0050】
用語「治療有効量」は、本明細書において用いる場合、治療される疾患または障害の症状の緩和を含む、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって求められる、組織系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的反応を誘発する、本発明の様々な態様の1つまたは複数の化合物(例えば、少なくとも1つの化合物Z1〜Z7)の量を指す。いくつかの態様において、治療有効量は、任意の医療へ適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で疾患または疾患の症状を治療または緩和し得るものである。しかし、本明細書に記載される化合物および組成物の1日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で担当医によって決定され得ることが理解されるだろう。任意の特定の患者についての具体的な治療有効用量レベルは、治療される状態および状態の重篤度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、および用いられる具体的な化合物の排出速度;治療期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに研究者、獣医、医師または他の臨床医に周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存するだろう。治療有効量は、本明細書に記載の1つまたは複数の化合物の投与の間に生じ得る、任意の毒性または他の望ましくない副作用を参照して選択され得ることも認識される。
【0051】
いくつかの態様において、本発明の様々な態様の化合物の治療有効量は、およそ0.05〜50 mg/受容者のキログラム体重/日;例えば、約0.1〜25 mg/kg/日、または約0.5〜10 mg/kg/日の範囲であり得る。従って、例えば、70 kgの人への投与について、投薬量範囲は約35〜70 mg/日であり得る。
【0052】
いくつかの態様において、本発明の様々な態様の1つまたは複数の化合物は、ドセタキセル、パクリタキセル、ベバシズマブ(Avastin(商標))を含むがこれらに限定されない少なくとも1つの他の抗癌剤と組み合わせて投与することができる。
【0053】
参照による組み入れ
特許、特許出願、特許公報、ジャーナル、書籍、論文、ウェブ・コンテンツなどの他の文書への参照および引用が本開示の全体にわたってなされた。そのような文書の全ては、全ての目的について参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。そのような文書としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。
これらは全て参照によりそれらの全体が組み入れられる。
【0054】
均等物
本明細書に表示および記載されたものに加えて、本発明およびその多くのさらなる態様の様々な改変が、本明細書において引用された科学文献および特許文献への参照を含む、本文書の全内容から当業者に明らかとなるであろう。本明細書中の主題は、その様々な態様における本発明の実施およびその均等物の実施に適応し得る、重要な情報、例示および指針を含有する。
【0055】
用いられた用語および表現は、限定ではなく説明のための用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、表示および記載される特徴またはその部分のいかなる均等物をも排除するという意図はなく、しかし、特許請求される本発明の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。従って、本発明は好ましい態様および任意の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の改変および変形が当業者に明白であり得ること、ならびにそのような改変および変形は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内にあると考えられることが理解されるべきである。
【実施例】
【0056】
例として提供される以下の実施例を参照することによって、本発明をよりよく理解することができる。本発明は、本明細書に提供される実施例に限定されない。
【0057】
化合物Z1〜Z7の合成スキームを、本発明の化合物ではない、下記に示される、FR901464(1)およびスプリセオスタチンA(2)に関して下記に示す。
しかしながら、合成スキームは、全般的に独特であり、例えば、Thompson, C.F., et al., J. Am. Chem. Soc. 122 10482-10483 (2000); およびThompson, C.F., et al., J. Am. Chem. Soc. 123: 9974-9983 (2001)(これらは両方とも本明細書に完全に記載されるように参照により組み入れられる)によって記載される1の全合成と比較して、合成工程を大幅に単純化することが理解されるべきである。化合物Z1〜Z7は、本明細書におけるスキーム1に示されるような環状エポキシアルコール(スキーム1における化合物3)の合成において適切な置換を行うことによって合成することができる。
【0058】
実施例1:エポキシアルコールセグメント3の合成
エポキシアルコールセグメント3の合成をスキーム1に示す。市販のブロモケトン11をそのジチアン誘導体として保護した。得られたジチアンを78℃にて1時間t-BuLiでリチウム化し、続いて(R)-イソプロピリデングリセルアルデヒドと反応させ、ジアステレオマー12および13の混合物(1:1)が2工程によって収率61%で得られた。この立体選択性の欠如は、特に(R)-イソプロピリデングリセルアルデヒドのRおよびβ位の両方でのキレート原子の存在を考えると、いくぶん予想外であった。アンチジアステレオ選択性を改善しようとして、本発明者らは、THFおよびエーテル中において、CeCl
3、ZnCl
2、およびMgBr
2などの多数のルイス酸の存在下でこの付加反応を調べた。しかし、ジアステレオマー比はさらには改善しなかった。
【0059】
異性体をシリカゲルクロマトグラフィーによって分離した。syn異性体12を、p-ニトロ安息香酸の存在下でのMitsunobu反応、続く安息香酸エステルのNaOH媒介加水分解によって、所望のanti異性体13へ変換した。13のヒドロキシル基をパラ-メトキシベンジル(PMB)エーテルとして保護し、イソプロピリデン基のその後の除去をワンポットオペレーションでのp-TsOHの添加によって行い、ジオール14を得た。第一級アルコールを、ジブチルスズオキシドの存在下で塩化トシル(TsCl)およびEt
3Nを用いて選択的にモノトシル化した。得られたモノトシレートと、n-BuLiでのトリメチルスルホニウムヨージドの処理によって調製された過剰のCorey-Chaykovskyジメチルスルホニウムメチリドとの反応によって、収率84%でアリルアルコール15が得られた。同様の官能基変換が、Carreiraおよび共同研究者によって以前報告された。本明細書に完全に記載されるように参照により組み入れられる、Bode, J.W. and Carreira E.M., J. Org. Chem. 66: 6410-6424 (2001)を参照のこと。次いで、15のジチアン基を、乾燥2,6-ルチジンの存在下でメタノール中の過剰のHg(ClO
4)
2を用いることによって除去した。この条件は、アノマーの混合物として対応のメチルケタールを形成させ、これから、0℃にてメタノール中の触媒量のp-TsOHでの処理により、単一のジアステレオマー16が得られた。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)での16中のPMB基の除去、続くm-クロロ過安息香酸(m-CPBA)でのアルコール特異的エポキシ化により、11からの全収率19%(8工程)で白色固体として立体選択的に所望のエポキシアルコールセグメント3が得られた。メチルケタール3は、非常に安定しており、その後の反応について扱いが容易である。
【0060】
実施例2:アミド4の合成
アミド4は、下記スキーム2Aおよびスキーム2Bに示されるように、2工程プロセスで合成することができる。Z-アリルアセテート側鎖7の調製をスキーム2Aに示す。Trostおよび共同研究者によって報告された触媒不斉付加プロトコールを用いることによって、光学活性アルコール10を効率的に調製し、> 98%エナンチオマー効率(ee)の10が得られた。水性LiOHでのメチルエステル10の鹸化、続く塩化アセチルでのアセチル化によって、アセテート17が優れた収率で得られた。リンドラー触媒での水素化によって所望のcis-アルケン7が得られた。
【0061】
アミドセグメント4の合成をスキーム2Bに示し、ここで、アミドセグメント4は以下の構造を有する。
(S)-2-Me-CBS触媒((S)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジンとしても公知)およびBH3・Me
2Sでの市販のアセチルフラン18のエナンチオ選択的還元によって、キラルアルコール9が収率94%(93% ee)で得られた。次いで、触媒量のVO(acac)
2の存在下でのt-BuO
2Hでのアルコール9の処理によってAchmatowicz転位を行い、ヘミケタールが得られ、これを、Kishiおよび共同研究者によって記載されたプロトコールを用いることによって、単一のジアステレオマーとしてエノン19へ直接還元した。本発明者らのその後の合成計画は、C20 (S)-メチル保持立体中心の導入を必要とした。本発明者らは、エノン19への1,4-付加を行うことを選んだ。従って、-78℃にて2時間MeLi/CuBr
3・Me
2Sで19を処理することによって、所望のピラノン8が優れた収率(92%)およびジアステレオ選択性(25:1 dr、
1Hおよび
13C NMR分析による)で得られた。観察されたジアステレオ選択性は、エノン19の配座解析に基づいて説明することができる。マイケル付加の立体化学結果は、遷移状態モデル20において示されるようなカプレートの立体電子的に好都合なアキシアル攻撃を仮定することによって理論的に説明することができる。
【0062】
ピラノン8および公知のアルケン21を、次いで、Grubbsタイプの第二世代触媒(本明細書に完全に記載されるように参照により組み入れられる、Scholl, M., et al., Org. Lett. 1: 953-956 (1999)):
を用いる交差メタセシス条件へ供し、対応の末端トシレートが得られた。得られたトシレートを75℃にて12時間DMSO中のt-BuOKで処理することによって、塩基促進除去により2工程にわたって収率41%でジエン22が生じた。酢酸アンモニウムおよびNaBH
3CNでの22の還元的アミノ化によって、対応の第一級アミン6が主生成物として得られた(6:1 dr、
1H-および
13C NMR分析による)。粗製アミン6およびそのエピマーを、標準アミド化条件を用いて酸7で直接処理し、アミド4が副生成物C-14エピマーと共に得られ、これをカラムクロマトグラフィーによって分離した。
【0063】
最終工程において、FR901464(1)、スプリセオスタチンA(2)、本発明の化合物、即ち、化合物Z1〜Z7、または同様の化合物を、スキーム3に示されるように、エポキシアルコールセグメント3およびアミドセグメント4の交差メタセシスで作製することができる。セグメントであるエポキシアルコール3(スキーム1)およびアミド4(スキーム2A/B)の立体選択的合成を用いて、本発明者らは、次いで、標的分子のC6-C7二重結合を構築することに注意を向けた。スキーム3に示されるように、2つのフラグメントの交差メタセシスは、Grubbs第二世代触媒の存在下で円滑に進行し、スプリセオスタチンA(2)が、同じ条件下での未反応の3および4の1回のリサイクルに基づいて単離収率57%で白色固体として得られた。化合物Z1〜Z7は、同様の収率およびエナンチオマー効率で形成され得る。2を0℃にて湿潤THF中のp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)へ曝露することによって、2中のメチルケタールを除去し、これによって、FR901464(1)が高収率で白色粉末として得られた。本発明者らの合成FR901464[[α]
D-13.0 (c 0.45, CH
2Cl
2)]の
1Hおよび
13C NMRは、天然[[α]
D-12.0 (c 0.5, CH
2Cl
2)]および合成FR901464の報告されたスペクトルと同一である。
【0064】
従って、本発明の態様は、直線的に連続した最長約10個の工程を伴う約20個の全工程でのFR901464、スプリセオスタチンA、または化合物Z1〜Z7の合成についての簡潔でエナンチオ選択的な戦略を提供する。合成は、Aリングフラグメントを形成するための容易に入手可能なキラルプール(R)-イソプロピリデングリセルアルデヒド5の使用、Bリングフラグメントの構築のためのCBS還元、Achmatowicz転位、および立体選択的マイケル付加、ならびに2つのフラグメントをカップリングするための交差メタセシス反応を含む。合成は、短く、集中的であり、開示されていない構造変異体の合成に適しており、これらは合成方法に包含されるように意図される。
【0065】
実施例3
以下の式の化合物:
を、下記スキーム4に示される合成スキームに従って合成した。
【0066】
実施例4
以下の式の化合物:
を、下記スキーム5に示される合成スキームに従って合成した。
【0067】
実施例4
以下の式の化合物:
を、下記スキーム6に示される合成スキームに従って合成した。
【0068】
以下の態様を提供し、これらの番号付けは重要度を指定するものとして解釈されない。
【0069】
態様1は、式Iを有する化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)もしくは抗体コンジュゲートを調製するための方法に関し:
式中、
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、C
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルケニルオキシ、-(CH
2)
nC(O)NR
16R
17(ここで、R
16およびR
17は、H、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびアリールより独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか;またはR
16およびR
17は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する)、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
3およびR
4は、OH、C
1-6-アルキル(Cl、F、NO
2、OH、またはLGで置換されていてもよく、ここで、LGは脱離基である)、C(O)R
13、F、Cl、NO
2からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであるか;またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素原子と一緒に、エポキシド環を形成し;
R
5およびR
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より独立して選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;かつ
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
方法は、
式IIの化合物:
を式IIIの化合物:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5はここに定義される)へ変換する工程;および
式IIIの化合物と、式IVの化合物:
(式中、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12はここに定義される)とをオレフィンメタセシス触媒の存在下で接触させ、式Iの化合物を形成する工程
を含む。
【0070】
態様2は、式IIIの化合物が、以下の式の化合物であり:
R
1およびR
2は、H、OH、C
1-6-アルキル、ならびにハロ、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、およびO-ヒドロキシ保護基より独立して選択される1〜3個の基で置換されたC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;
R
5は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する、態様1の方法に関する。
【0071】
態様3は、R
1がHであり;R
2がC
1-6-アルキルであり;かつR
5がHである、態様1〜2の方法に関する。
【0072】
態様4は、R
2が-CH
3である、態様1〜3の方法に関する。
【0073】
態様5は、式IVの化合物が、以下の式の化合物であり:
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;かつ
R
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する、態様1〜4の方法に関する。
【0074】
態様6は、R
6、R
7、R
8、およびR
11が独立してC
1-6-アルキルであり;R
9およびR
10がHであり;かつR
12がC(O)R
13であり、ここでR
13がC
1-6-アルキルである、態様1〜5の方法に関する。
【0075】
態様7は、R
6、R
7、R
8、およびR
11が-CH
3であり;R
9およびR
10がHであり;かつR
12がC(O)R
13であり、ここでR
13が-CH
3である、態様1〜6の方法に関する。
【0076】
態様8は、式Iの化合物が、以下:
ならびにその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは抗体コンジュゲートからなる群より選択される化合物である、態様1〜7の方法に関する。
【0077】
態様9は、式IVを有する化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲートを調製するための方法に関し:
式中、
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;
R
8、R
9、R
10、およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;かつ
R
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成し;
方法は、
式Vの化合物:
(式中、R
8はここに定義される)と還元剤とを接触させ、式VIの化合物:
(式中、R
8はここに定義される)を得る工程;
式VIの化合物と金属触媒とを接触させ、式VIIの化合物:
(式中、R
8はここに定義される)を得る工程;
式VIIの化合物と、R
7Liの化合物(式中、R
7はここに定義される)と、金属塩とを接触させ、式VIIIの化合物:
を得る工程;
式VIIIの化合物とオレフィンメタセシス触媒とを接触させ(式中、R
7およびR
8はここに定義される)、式IXの化合物:
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11はここに定義される)を得る工程;
式IXの化合物を、式Xの化合物:
(式中、R
6、R
7、R
8、およびR
9はここに定義される)へ還元的アミノ化条件下で変換する工程;ならびに
式Xの化合物と、式XIの化合物:
(式中、R
10、R
11、およびR
12はここに定義される)とを接触させ、式IVの化合物を得る工程
を含む。
【0078】
態様10は、還元剤がキラル還元剤である、態様9の方法に関する。
【0079】
態様11は、キラル還元剤がキラルオキサザボロリジンを含む、態様10の方法に関する。
【0080】
態様12は、金属触媒がAchmatowicz転位をもたらす、態様9の方法に関する。
【0081】
態様13は、金属触媒がVO(acac)
2である、態様9の方法に関する。
【0082】
態様14は、金属塩がCuBrを含む、態様9の方法に関する。
【0083】
態様15は、式VIの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、R
8は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択される、態様9〜14の方法に関する。
【0084】
態様16は、R
8が-CH
3である、態様9〜15の方法に関する。
【0085】
態様17は、式VIIの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、R
8は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択される、態様9〜16の方法に関する。
【0086】
態様18は、R
8が-CH
3である、態様9〜17の方法に関する。
【0087】
態様19は、式VIIIの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、R
7およびR
8は独立してC
1-6-アルキルである、態様9〜18の方法に関する。
【0088】
態様20は、式IXの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;かつ
R
8は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択される、態様9〜19の方法に関する。
【0089】
態様21は、式Xの化合物が、以下の式の化合物であり:
式中、
R
6は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より選択され;
R
7は、C
1-6-アルキルであり;かつ
R
8およびR
9は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択される、態様9〜20の方法に関する。
【0090】
態様22は、式XIの化合物が、以下の式の化合物であり:
R
10およびR
11は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択され;かつ
R
12は、H、ヒドロキシル保護基、C
1-6-アルキル、C(O)R
13、C(O)OR
13、およびC(O)NR
14R
15からなる群より選択され、ここで各R
13は独立してHまたはC
1-6-アルキルであり、R
14およびR
15は、HおよびC
1-6-アルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR
14およびR
15は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜6員の複素環または芳香族複素環を形成する、態様9〜21の方法に関する。
【0091】
態様23は、R
11がC
1-6-アルキルであり;R
10がHであり;かつR
12がC(O)R
13であり、ここでR
13がC
1-6-アルキルである、態様9〜22の方法に関する。
【0092】
態様24は、R
11が-CH
3である、態様9〜23の方法に関する。
【0093】
態様25は、以下からなる群より選択される化合物:
またはその塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲートに関する。
【0094】
態様26は、態様25の1つまたは複数の化合物、またはその塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲート、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、薬学的組成物に関する。
【0095】
態様27は、
からなる群より選択される化合物へインビボで変換されるプロドラッグに関する。
【0096】
態様28は、そのような治療の必要がある対象における癌を治療する方法であって、治療有効量の態様25の1つまたは複数の化合物またはその塩、プロドラッグもしくは抗体コンジュゲートを投与する工程を含む、方法に関する。
【0097】
態様29は、癌が固形腫瘍の癌である、態様28の方法に関する。
【0098】
態様30は、癌が、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、腎細胞癌、および膵癌より選択される、態様28の方法に関する。
【0099】
態様31は、治療有効量の1つまたは複数の化合物を60日の期間内に少なくとも2回投与する、態様28〜30の方法に関する。
【0100】
態様32は、少なくとも1つの他の抗癌剤と組み合わせて態様25の1つまたは複数の化合物を投与する工程をさらに含む、態様28〜31の方法に関する。