(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ICチップの電気的接触面とは反対側の面の全体と接着面との間に接着剤が介在されるため、接着面にICチップを接触させることができず、接着剤の塗布量や接着剤を塗布する位置のバラツキなどよって、ホルダに対するICチップの位置にばらつきが生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ホルダに対してICチップを精度良く位置決めすることができる現像カートリッジおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る現像カートリッジは、第1方向に延び、トナーを収容する筐体と、記憶媒体と、電気的接触面と、を有するICチップと、前記ICチップを保持するホルダであって、前記第1方向における前記筐体の一端部に位置するホルダと、を備える。
前記ICチップは、前記電気的接触面と交差する第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第1面と、前記第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第2面であって、前記第1面と間隔を空けて位置する第2面と、前記第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第3面であって、前記第1面と前記第2面との間に位置する第3面と、を有する。
前記ホルダは、前記第1面と接触する第1接触面と、前記第2面と接触する第2接触面と、前記第2方向において、前記第3面と向かい合い、前記第1接触面および前記第2接触面よりも前記第3面から離れた接着面であって、前記第1接触面と前記第2接触面との間に位置する接着面と、を有する。
さらに、前記現像カートリッジは、前記接着面と前記第3面とを接着する接着剤を備える。
【0007】
この構成によれば、第1面と第1接触面および第2面と第2接触面を接触させた状態で、第3面と接着面を接着剤によって接着させることができる。そのため、第2方向において、ホルダに対してICチップを精度良く位置決めすることができる。また、第1接触面および第2接触面よりも第3面から離れた位置に接着面が設けられる。そのため、第1面と第1接触面の接触部分および第2面と第2接触面の接触部分によって、現像カートリッジの製造時において、接着面とICチップの電気的接触面とは反対側の面との間で押し潰されて広がる接着剤が、接着面とICチップの電気的接触面とは反対側の面との間から排出されるのを抑えることができる。
【0008】
また、前記現像カートリッジは、前記第1方向に延びる第1軸について回転可能な現像ローラを備え、前記接着面は、前記記憶媒体が入り込む穴を有していてもよい。
【0009】
また、前記ホルダは、前記第1接触面を囲う第1壁を構成する第1側壁であって、前記ICチップと接触する第1側壁を有していてもよい。
【0010】
これによれば、ICチップを第1側壁によって位置決めすることができる。
【0011】
また、前記第1壁は、前記第2接触面を囲い、前記ホルダは、前記第1壁を構成する第2側壁であって、前記第1側壁と間隔を空けて位置する第2側壁と、前記第2側壁から前記第1側壁に向けて延び、前記第1側壁との間で前記ICチップを挟み込む保持部と、を有していてもよい。
【0012】
これによれば、保持部によってICチップを第1側壁に押し付けることができる。そのため、ホルダに対するICチップの位置決めを精度良く行うことができる。また、接着剤が固まるまでの間における、ホルダに対するICチップの位置ずれを抑えることができる。
【0013】
また、前記電気的接触面は、第1電気的接触面と、前記第1方向おいて前記第1電気的接触面と並ぶ第2電気的接触面と、を有し、前記保持部は、前記第1方向において前記ICチップと接触していてもよい。
【0014】
これによれば、複数の電気的接触面を第1方向に正確に位置決めすることができる。その結果、複数の電気的接触面が、本体筐体に設けられる複数の本体側電気的接触面から第1方向にずれて、意図せぬ本体側電気的接触面に接触してしまうのを抑えることができる。
【0015】
また、前記保持部は、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向において、前記ICチップと接触してもよい。
【0016】
これによれば、電気的接触面を第3方向に正確に位置決めすることができる。その結果、電気的接触面が、本体筐体に設けられる本体側電気的接触面から第3方向にずれてしまうのを抑えることができる。
【0017】
また、前記保持部は、前記第1側壁よりも変形しやすく構成されていてもよい。
【0018】
これによれば、ICチップをホルダに取り付ける際に、保持部を変形させることができるので、変形した保持部によってICチップを第1側壁に押し付けることができる。
【0019】
また、前記保持部は、前記第1接触面と前記第2接触面の間に位置し、前記第2方向において前記接着面と向かい合っていてもよい。
【0020】
これによれば、保持部の潰れた部分が第1接触面および第2接触面の上に載るのを抑えることができる。そのため、第1面と第1接触面の間および第2面と第2接触面の間に保持部の潰れた部分が介在することを抑えることができる。
【0021】
また、前記保持部は、前記第2方向において前記接着面と向かい合う第1保持面と、前記第2方向において前記第1保持面の反対側に位置する第2保持面と、を有し、前記第2保持面は、前記第2側壁から前記第1側壁に近づくにつれて、前記接着面に近づくように傾斜していてもよい。
【0022】
これによれば、第2保持面によって、ICチップを接着面側に誘導することができるとともに、誘導の最中に保持部の角部が潰れやすくなる。その結果、ICチップをホルダに保持させる作業を容易に行うことができる。
【0023】
また、前記ICチップは、前記第1方向における前記ICチップの一方側の端よりも、前記第1方向における前記ICチップの他方側の端の近くに位置する凸部を有していてもよい。また、前記第1側壁は、前記凸部が入り込む凹部を有していてもよい。
【0024】
これによれば、ICチップが誤った向きで取り付けられるのを抑えることができる。
【0025】
また、前記第1側壁は、前記接着剤を外部に露出させる開口部を有していてもよい。
【0026】
これによれば、接着剤の有無を開口部を通して外部から確認することができる。
【0027】
また、前記開口部は、前記第1方向において、前記ICチップを挟んで前記筐体の反対側に位置していてもよい。
【0028】
これによれば、接着剤の有無を容易に確認することができる。
【0029】
また、前記接着面は、前記第2方向に凹むように形成されたマーク部を有していてもよい。
【0030】
これによれば、接着剤を塗布するのに適正な位置をマーク部によって作業者に知らせることができる。
【0031】
また、前記マーク部は、複数あってもよい。
【0032】
これによれば、接着剤を一箇所に塗布する場合に比べ、接着剤の厚みを略均一にすることができる。
【0033】
また、前記ホルダは、前記第1接触面と前記接着面とを連結する連結面を有し、前記連結面は、前記第2方向から見て、円弧形状となる曲面を有していてもよい。
【0034】
これによれば、接着面に塗布した接着剤が、接着面全体に広がりやすい。その結果、接着剤の厚みをより均一にすることができる。
【0035】
また、前記接着面は、第1接着面と、当該第1接着面よりも前記第3面から離れた第2接着面とを有していてもよい。
【0036】
また、前記第2接着面は、前記マーク部を有していてもよい。
【0037】
これによれば、接着剤が第1接触面および第2接触面に向けて移動するのを、第1接着面と第2接着面の間の段差面によって抑えることができる。
【0038】
また、本発明に係る現像カートリッジの製造方法は、第1方向に延び、トナーを収容する筐体と、記憶媒体と、電気的接触面と、を有するICチップと、前記ICチップを保持するホルダであって、前記第1方向における前記筐体の一端部に位置するホルダと、を備え、前記ICチップは、前記電気的接触面と交差する第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第1面と、前記第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第2面であって、前記第1面と間隔を空けて位置する第2面と、前記第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第3面であって、前記第1面と前記第2面との間に位置する第3面と、を有し、前記ホルダは、前記第1面と接触する第1接触面と、前記第2面と接触する第2接触面と、前記第2方向において、前記第3面と向かい合い、前記第1接触面および前記第2接触面よりも前記第3面から離れた接着面であって、前記第1接触面と前記第2接触面との間に位置する接着面と、を有し、前記接着面と前記第3面とを接着する接着剤と、を備えた現像カートリッジの製造方法である。
前記製造方法は、前記接着面に前記接着剤を塗布する第1工程と、前記第1面および前記第2面を前記第1接触面および前記第2接触面に接触させた状態で、前記第3面を前記接着剤に接触させる第2工程と、を備える。
【0039】
これによれば、第1面と第1接触面および第2面と第2接触面を接触させた状態で、第3面と接着面を接着剤によって接着させることができる。その結果、第2方向において、ホルダに対してICチップを精度良く位置決めすることができる。
【0040】
また、前記した製造方法において、製造する現像カートリッジの前記ホルダが、前記第1接触面および前記第2接触面を囲う第1壁を構成する第1側壁と、前記第1壁を構成する第2側壁であって、前記第1側壁と間隔を空けて位置する第2側壁と、前記第2側壁から前記第1側壁に延び、前記第1側壁との間に前記ICチップを挟み込む保持部をさらに有する場合には、前記第2工程において、前記第3面を前記接着剤に接触させるときに、前記保持部を潰しながら、前記第1面および前記第2面を前記第1接触面および前記第2接触面に接触させてもよい。
【0041】
これによれば、ICチップを第1側壁と保持部の間に精度良く位置決めすることができる。
【0042】
また、前記した製造方法において、製造する現像カートリッジのホルダの第1側壁が、前記接着剤を外部に露出させる開口部をさらに有する場合には、前記第2工程の後、前記開口部から前記接着剤を確認する第3工程を備えていてもよい。
【0043】
これによれば、接着面に接着剤を塗布しない状態で、現像カートリッジを出荷してしまうことを抑制することができる。
【0044】
また、本発明に係る現像カートリッジは、記憶媒体および基板を有するICチップと、前記基板を保持するホルダとを備える。
前記ホルダは、前記基板の前記ホルダ側の面に接触する接触面と、前記基板の前記ホルダ側の面に対向し、前記接触面よりも前記基板から離れた接着面と、前記接着面と前記接触面とを連結する連結面と、前記ICチップと前記接着面とを接着する接着剤と、を備える。
【0045】
この構成によれば、従来のような支持面に接着剤を塗布してICチップを取り付ける構造に比べ、接触面とICチップとを密着させることができるので、ICチップを支持する面に直交する方向においてICチップを精度良く位置決めすることができる。
【0046】
また、前記ICチップは、電気的接触面を有し、前記基板は、前記電気的接触面と交差する第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第1面と、前記第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第2面であって、前記第1面と間隔を空けて位置する第2面と、前記第2方向において前記電気的接触面の反対側に位置する第3面であって、前記第1面と前記第2面との間に位置する第3面と、を有し、前記接触面は、前記第3面と接触し、前記接着面は、前記第2方向において、前記第1面と向かい合い、前記接触面よりも前記第1面から離れた第1接着面と、前記第2方向において、前記第2面と向かい合い、前記接触面よりも前記第2面から離れた第2接着面であって、前記接触面に対して前記第1接着面の反対側に位置する第2接着面と、を有していてもよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、ホルダに対してICチップを精度良く位置決めすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、現像カートリッジ1は、トナーを収容する樹脂製の筐体10と、筐体10に設けられる現像ローラ11等と、現像ローラ11等を駆動するギヤを覆う樹脂製のホルダ20と、ICチップ30とを備えている。現像ローラ11は、筐体10の一端に配置されており、第1軸X1を中心に回転可能となっている。筐体10の一端とは反対の他端には、ユーザによって把持される取手部12が設けられている。ICチップ30は、4つの電気的接触面32と、記憶媒体33(
図3参照)とを備えている。
【0050】
なお、以下の説明では、便宜上、現像ローラ11の第1軸X1に沿った第1方向を、軸方向または左右方向とも称する。また、電気的接触面32と交差する第2方向を、上下方向とも称する。さらに、筐体10の一端から他端に向う第3方向を、前後方向とも称する。なお、本実施形態では、第2方向は、電気的接触面32に対して垂直な方向のことを指す。
【0051】
現像カートリッジ1は、左右方向の長さが最も長くなっている。筐体10は、第1方向に延びている。筐体10は、第1方向の長さが最も長くなっている。筐体10の第1方向の一端には、ホルダ20が設けられている。
【0052】
ICチップ30は、ホルダ20に設けられている。ICチップ30は、前後方向において、取手部12よりも現像ローラ11の近くに配置されている。ICチップ30は、左右方向の長さが最も長くなっている。
【0053】
図2に示すように、ICチップ30は、第1方向に長い矩形の基板31と、4つの電気的接触面32と、記憶媒体33(
図3参照)とを備えている。基板31は、例えば樹脂などからなっている。基板31は、ホルダ20とは反対側を向いて外部に露出する表面31Aと、ホルダ20側を向く裏面31Bとを有している。基板31は、前後方向の各端に前後方向外側に向けて突出する4つの凸部31Cを有している。各凸部31Cは、基板31の左右方向内側(筐体10側)の端よりも左右方向外側の端の近くに配置されている。言い換えると、各凸部31Cは、基板31の左右方向外側の端に片寄って配置されている。つまり、基板31は、第1方向において、非対称な形状となっている。
【0054】
各電気的接触面32は、現像カートリッジ1が画像形成装置の本体筐体に装着されたときに、本体筐体に設けられる4つの本体側電極のそれぞれに接触する電極である。各電気的接触面32と各本体側電極が接触した状態においては、本体筐体に設けられる制御装置とICチップ30とが電気的に接続される。各電気的接触面32は、前後方向に長い矩形の板状に形成されている。各電気的接触面32は、第1方向、詳しくは左右方向に並んでいる。言い換えると、各電気的接触面32は、第1電気的接触面32A、第2電気的接触面32B、第3電気的接触面32Cおよび第4電気的接触面32Dを有する。第2電気的接触面32Bは、第1方向おいて前記第1電気的接触面と並んでいる。
図3に示すように、記憶媒体33は、基板31の裏面31Bの略中央部から突出するように設けられている。
裏面31Bは、第1面B1、第2面B2および第3面B3を有する。第2面B2は、第3方向において、第1面B1と間隔を空けて位置する。第3面B3は、第3方向において、第1面B1と第2面B2との間に位置する。
第1面B1、第2面B2および第3面B3は、第2方向において電気的接触面32の反対側に位置する。
図3に示すように、記憶媒体33は、第2方向において、ICチップ30の第3面B3の略中央部から突出するように設けられている。
【0055】
図2に戻って、ホルダ20は、基板31を支持する2つの接触面21と、接触面21よりも基板31から離れた接着面22と、接着面22と各接触面21とを連結する2つの連結面23と、接触面21を囲う第1壁24と、ICチップ30の第3面B3と接着面22とを接着する接着剤25(
図5(c)参照)とを備えている。
【0056】
なお、接着剤25としては、どのようなものを使用してもよい。例えば、接着剤25として、変成シリコーン系接着剤などを使用することができる。詳しくは、変成シリコーン樹脂、エポキシ変成シリコーン樹脂またはアクリル変成シリコーン樹脂などを使用することができる。
【0057】
接触面21は、第1面B1と接触する第1接触面21Aと、第2面B2と接触する第2接触面21Bと、を有する。
第1接触面21Aは、ICチップ30の第1面B1に接触する。
図4(a)に示すように、第1接触面21Aは、第1方向に長い略矩形の第1部位21A1と、第1部位21A1の第1方向の一端部から第3方向に延びる第2部位21A2と、第1部位21A1の第1方向の他端部から第3方向に延びる第3部位21A3と、を有している。
第2接触面21Bは、ICチップ30の第2面B2に接触する。第2接触面21Bは、第3方向において、第1接触面21Aと間隔を空けて位置している。第2接触面21Bは、第1方向に長い略矩形の第1部位21B1と、第1部位21B1の第1方向の一端部から第3方向に延びる第2部位21B2と、第1部位21B1の第1方向の他端部から第3方向に延びる第3部位21B3と、を有している。
【0058】
接着面22は、第2方向において、第3面B3と向かい合い、第1接触面21Aおよび第2接触面21Bよりも第3面B3から離れて位置する。接着面22は、第3方向において、第1接触面21Aと第2接触面21Bとの間に位置する。
図2に示すように、接着面22は、基板31の裏面31Bに対して間隔を空けて対向する面である。
図4(a)に示すように、接着面22は、幅広部22Aと、2つの幅狭部22Bと、接着剤25(
図5(a)参照)を塗布する際の目印となる4つのマーク部22Cと、記憶媒体33が入り込む穴22Dとを有している。幅広部22Aは、前後方向において2つの第1部位21Aの間に配置されている。各幅狭部22Bは、前後方向の幅が、幅広部22Aの前後方向の幅よりも小さくなっている。各幅狭部22Bは、幅広部22Aの左右方向の各端から左右方向外側に突出している。各幅狭部22Bは、幅広部22Aの左右方向の各端における前後方向の略中央部に配置されている。各幅狭部22Bは、前後方向において2つの第2部位21Bの間に配置されている。
【0059】
各マーク部22Cは、幅広部22Aの4つの角に対応した位置に配置されている。各マーク部22Cは、上下方向から見て円状に形成されている。各マーク部22Cは、各マーク部22Cの中心を結んだ仮想線が左右方向に長い長方形を形成するように配置されている。各マーク部22Cは、連結面23までの最短距離がそれぞれ同じ距離となるように配置されている。
【0060】
各マーク部22Cは、前後方向において、後述する切欠部W11に近接して配置されている。詳しくは、前後方向に並ぶ2つのマーク部22C間の距離は、切欠部W11の前後方向の幅と等しい。さらに、前後方向に並ぶ2つのマーク部22Cの前後方向内側の端部は、切欠部W11の前後方向で対向する各側面と、前後方向で同じ位置に配置されている。
図4(b)に示すように、各マーク部22Cは、接着面22から第2方向に凹むように形成されている。
【0061】
穴22Dは、ホルダ20の壁、詳しくは接着面22が形成される壁13(
図5(a)参照)を貫通する貫通孔である。穴22Dは、幅広部22Aの略中央部に形成されている。穴22Dは、左右方向、つまり基板31の長手方向において、4つのマーク部22Cのうち左右方向に並ぶ2つのマーク部22Cの間に位置している。
連結面23は、接着面22と第1接触面21Aとを連結する第1連結面23Aと、接着面22と第2接触面21Bとを連結する第2連結面23Bと、を有する。連結面23は、第2方向から見て、円弧形状となる曲面23Rを有する。
連結面23の第2方向の長さは、例えば0.5mmとすることができる。また、記憶媒体33の第2方向の長さは、例えば0.7mmとすることができる。つまり、記憶媒体33の第2方向の長さは、連結面23の第2方向の長さより大きい。
第1壁24は、第1接触面21Aおよび第2接触面21Bを囲う。
【0062】
図2に示すように、第1壁24は、接触面21および接着面22を囲うような矩形の筒状に形成されている。第1壁24は、接触面21よりも上下方向外側に突出している。詳しくは、第1壁24は、接触面21に接触するように取り付けられた基板31の表面31A(詳しくは電気的接触面32)よりも上下方向外側に突出している(
図5(c)参照)。第1壁24は、位置決め部の一例としての第1側壁W1と、第2側壁W2と、第3側壁W3と、第4側壁W4とを有している。
【0063】
第1側壁W1は、基板31の左右方向の位置決めを行うための壁である。第1側壁W1は、接触面21の左右方向外側に位置している。第1側壁W1は、接触面21に沿った方向、詳しくは左右方向において基板31の端部に接触する。第1側壁W1は、開口部の一例としての切欠部W11を有している。
【0064】
切欠部W11は、接着面22に塗布された接着剤25を外部に露出させるための開口部である。切欠部W11は、第1側壁W1の上下方向外側の端部から上下方向内側に向けて凹むように形成されている。切欠部W11は、左右方向に貫通して、接着面22と基板31の間の空間に臨んでいる。
【0065】
切欠部W11は、左右方向、つまり現像カートリッジ1の長手方向においてICチップ30よりも外側に位置している。言い換えると、切欠部W11は、第1方向において、ICチップ30を挟んで筐体10の反対側に位置する。
図4(b)に示すように、切欠部W11の底面W12のうち左右方向内側の部分は、接着面22と面一となる位置に配置されている。底面W12のうち左右方向外側の部分は、左右方向外側に向かうにつれて上下方向内側に位置するように傾斜している。
【0066】
図2に示すように、第2側壁W2は、第1側壁W1に対して基板31を挟んだ反対側に位置している。第2側壁W2は、第1側壁W1との間で基板31を挟み込んで保持する保持部W21を有している。保持部W21は、左右方向、つまり複数の電気的接触面32の並び方向である第1方向において、基板31の端部に接触する。
【0067】
保持部W21は、第2側壁W2から第1側壁W1に向けて突出している。保持部W21は、第1側壁W1側の端部である先端部が尖った三角柱状に形成されている。このように尖った保持部W21の先端部は、第1側壁W1よりも変形しやすくなっている。保持部W21の先端部から第1側壁W1までの距離は、基板31の左右方向の長さよりも小さい。
保持部W21は、第2方向において接着面22と向かい合う第1保持面W23と、第2方向において第1保持面W23の反対側に位置する第2保持面W22と、を有している。第2保持面W22は、第2側壁W2から第1側壁W1に近づくにつれて、接着面22に近づくように傾斜する。
【0068】
図4(a)に示すように、保持部W21は、接触面21に沿った方向において、各接触面21から離れている。詳しくは、保持部W21は、接着面22の幅狭部22Bの前後方向略中央部に配置されている。
図4(b)に示すように、保持部W21は、接着面22から上下方向外側に向けて延びている。保持部W21の上下方向外側の面、つまり接着面22とは反対側の面である第2保持面W22は、第1側壁W1に近づくにつれて接着面22に近づくように傾斜する傾斜面となっている。保持部W21は、第1接触面21Aと第2接触面21Bの間に位置する。保持部W21は、第2方向において接着面22と向かい合う。
【0069】
図2に示すように、第3側壁W3は、第1側壁W1および第2側壁W2の前後方向の一端部同士を連結している。第3側壁W3は、基板31の前後方向の一端部に設けられた2つの凸部31Cが入り込む凹部W31を有している。凹部W31は、第3側壁W3の上下方向外側の端部から凹むように形成されている。凹部W31は、前後方向に貫通している。凹部W31は、第3側壁W3の左右方向内側の一端よりも左右方向外側の他端の近くに配置されている。
【0070】
第4側壁W4は、第1側壁W1および第2側壁W2の前後方向の他端部同士を連結している。第4側壁W4は、基板31の前後方向の他端部に設けられた2つの凸部31Cが入り込む凹部W41を有している。凹部W41は、第4側壁W4の上下方向外側の端部から凹むように形成されている。凹部W41は、前後方向に貫通している。凹部W41は、第4側壁W4の左右方向内側の一端よりも左右方向外側の他端の近くに配置されている。
【0071】
次に、現像カートリッジ1の製造方法、特に、ICチップ30をホルダ20に取り付ける方法について説明する。
図1に示すように、まず、筐体10にホルダ20を取り付ける。その後、
図5(a)に示すように、接着面22の各マーク部22Cに接着剤25を塗布する(第1工程)。詳しくは、接着剤25が接触面21よりも上下方向外側に突出するように、接着剤25を塗布する。
【0072】
次に、
図5(b)に示すように、ICチップ30を斜めに傾けて、基板31の左右方向の一端を第1側壁W1に当接させる。その後、基板31の左右方向の他端を、保持部W21の第2保持面W22に押し付け、当該保持部W21を潰しながら接触面21に向けて押し込んでいく。このようにして基板31の他端を押し込んでいきながら、
図5(c)に示すように、基板31を、接触面21に接触させつつ、接着面22上の接着剤25に接触させる(第2工程)。なお、この際、保持部W21のうち基板31によって押し潰された部位は、接触面21から一段下がった位置に配置される接着面22上に押し出される。
【0073】
基板31を接触面21に接触させると、接着剤25が基板31と接着面22との間で潰されて、
図6(a),(b)に示すように、接着剤25がマーク部22Cの径方向外側に放射状に広がる。これにより、切欠部W11の前後方向の幅内に接着剤25が多く入り込むことになる。そのため、作業者は、第2工程の後、切欠部W11から接着剤25を確認することができる(第3工程)。
【0074】
なお、接着剤25を乾燥させる工程は、第3工程の前に行ってもよいし、第3工程の後に行ってもよい。
【0075】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
接触面21と基板31とを接触させることができるので、従来のような接着面に接着剤を塗布して基板を取り付ける構造に比べ、接触面21から基板31が浮くのを抑えることができ、接触面21に直交する方向においてICチップ30を精度良く位置決めすることができる。
詳しくは、第1面31Aと第1接触面21Aおよび第2面31Bと第2接触面21Bを接触させた状態で、第3面31Cと接着面22を接着剤25によって接着させることができる。そのため、第2方向において、ホルダ20に対してICチップ30を精度良く位置決めすることができる。
【0076】
基板31に接触する接触面21から一段下がった位置に接着面22が設けられるので、製造時において、接着面22と基板31との間で押し潰されることで広がっていく接着剤25が接触面21まで近づいた場合であっても、接着剤25が接触面21に到達するのを、段差面である連結面23によって抑えることができる。
詳しくは、基板31に接触する第1接触面21Aおよび第2接触面21Bから一段下がった位置に接着面22が設けられる。すなわち、第1接触面21Aおよび第2接触面21Bよりも第1面31Aおよび第2面31Bから離れた位置に接着面22が設けられる。そのため、製造時において、接着面22と第3面31Cとの間で押し潰されて広がる接着剤25が、第1面31Aと第1接触面21Aの接触部分および第2面31Bと第2接触面21Bの接触部分まで近づいた場合であって、接着剤25が第1接触面21Aおよび第2接触面21Bに到達するのを、抑えることができる。
【0077】
基板31が左右方向において第1側壁W1に接触するので、第1側壁W1によって基板31を左右方向に位置決めすることができる。
【0078】
保持部W21によって基板31を第1側壁W1に押し付けることができるので、左右方向におけるICチップ30の位置決めを精度良く行うことができる。また、接着剤25が固まるまでの間、保持部W21と第1側壁W1によってICチップ30を保持することができる。
【0079】
また、複数の電気的接触面32の並び方向である左右方向において保持部W21を基板31に接触させたので、複数の電気的接触面32を左右方向に正確に位置決めすることができる。そのため、複数の電気的接触面32が、本体筐体に設けられる複数の本体側電極から左右方向にずれて、意図せぬ本体側電極に接触してしまうのを抑えることができる。
【0080】
保持部W21を、第1側壁W1よりも変形しやすくなるように構成することで、基板31を取り付ける際に保持部W21を変形させることができるので、変形した保持部W21によって基板31を第1側壁W1に押し付けることができる。
【0081】
保持部W21を接触面21から離すことで、保持部W21の潰れた部分が接触面21上に載るのを抑えることができるので、基板31を接触面21に接触させることができる。
詳しくは、保持部W21が、第1接触面21Aと第2接触面21Bとの間に位置することで、保持部W21の潰れた部分が接触面21上に載るのを抑えることができるので、第1面31Aを第1接触面21Aに接触させるとともに、第2面31Bを第2接触面21Bに接触させることができる。
【0082】
保持部W21の第2保持面W22によって、ICチップ30を接着面22側に誘導することができるとともに、誘導の最中に保持部W21の角部が潰れやすくなるので、ICチップ30をホルダ20に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0083】
接着剤25を塗布する際の目印となるマーク部22Cを接着面22に設けたので、接着剤25を塗布するのに適正な位置を作業者に知らせることができる。
【0084】
マーク部22Cを複数設けたので、例えば接着剤を一箇所に塗布する場合に比べ、接着剤25の厚みを略均一にすることができる。
【0085】
基板31の一端よりも他端の近くに配置された凸部31Cが入り込む凹部W31を第3側壁W3に設けたので、ICチップ30が誤った向きで取り付けられるのを抑えることができる。
【0086】
第1側壁W1に切欠部W11を設けたので、接着剤25の有無を切欠部W11を通して外部から確認することができる。そのため、接着剤25を塗布せずにICチップ30を取り付けてしまうことを抑制することができる。
【0087】
切欠部W11がICチップ30よりも現像カートリッジ1の長手方向外側に位置しているので、現像カートリッジ1の長手方向外側から接着剤25の有無を容易に確認することができる。
詳しくは、切欠部W11が、第1方向において、ICチップ30を挟んで筐体10の反対側に位置しているので、接着剤25の有無を容易に確認することができる。
【0088】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態の一部の構造を変更したものであるため、第1の実施形態と略同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0089】
図7に示すように、第2の実施形態に係る現像カートリッジ2は、トナーを収容する樹脂製の筐体40と、筐体40に設けられる現像ローラ41等と、樹脂製のカバー部材50と、ICチップ230とを備えている。現像ローラ41は、筐体40の一端に配置されており、第1軸X1を中心に回転可能となっている。筐体40の一端とは反対の他端には、ユーザによって把持される取手部42が設けられている。ICチップ230は、4つの電気的接触面32と、記憶媒体33(
図10参照)とを備えている。
【0090】
なお、以下の説明では、便宜上、現像ローラ41の第1軸X1に沿った第1方向を、軸方向または左右方向とも称する。また、電気的接触面32と交差する第2方向を、上下方向とも称する。さらに、筐体40の一端から他端に向う第3方向を、前後方向とも称する。なお、本実施形態では、第2方向は、電気的接触面32に対して垂直な方向のことを指す。
【0091】
図8に示すように、カバー部材50は、現像ローラ41等を駆動するギヤを覆う第1カバー51と、第2カバー52とを備えている。第2カバー52は、ICチップ230を支持する樹脂製のホルダ60を、第1カバー51との間で保持している。
【0092】
図9に示すように、ホルダ60は、カバー部材50に固定されるベース部材70によって、ICチップ230の基板31の略面直方向に移動可能に支持されている。ホルダ60とベース部材70との間には、圧縮コイルバネSPが設けられている。ICチップ230は、圧縮コイルバネSPによって常時上下方向外側に付勢されている。
【0093】
ICチップ230は、第1の実施形態に係るICチップ30と略同様の構造となっている。具体的に、ICチップ230は、第1の実施形態と略同様の基板31、電気的接触面32および記憶媒体33(
図10参照)を備え、基板31の形状が多少第1の実施形態とは異なっている。詳しくは、基板31は、第1の実施形態とは異なる2つの凸部231C,231Dを有している。
【0094】
凸部231C,231Dは、基板31の前後方向の各端から前後方向外側に向けて突出している。凸部231Dの基板31の端からの突出量は、凸部231Cの基板31の端からの突出量よりも大きい。凸部231C,231Dは、基板31の左右方向外側の端よりも左右方向内側の端の近くに配置されている。
また、基板31の裏面31Bは、第1面B1、第2面B2および第3面B3を有する。第2面B2は、第1方向において、第1面B1と間隔を空けて位置する。第3面B3は、第1方向において、第1面B1と第2面B2との間に位置する。
第1面B1、第2面B2および第3面B3は、第2方向において電気的接触面32の反対側に位置する。
【0095】
図10に示すように、ホルダ60は、基板31を支持する接触面61と、接触面61よりも基板31から離れた接着面62と、接着面62と接触面61とを連結する連結面63と、接触面61を囲う第1壁64と、ICチップ230と接着面62とを接着する接着剤65(
図13参照)とを備えている。
【0096】
接触面61は、基板31の裏面31Bに接触する面である。接触面61の略中央には、接着面62が配置されている。
接触面61は、第1面B1と接触する第1接触面61Aと、第2面B2と接触する第2接触面61Bと、を有する。
【0097】
接着面62は、基板31の裏面31Bに対して間隔を空けて対向する面である。接着面62は、第2方向において、第3面B3と向かい合っている。接着面62は、第1接触面61Aおよび第2接触面61Bよりも第3面B3から離れている。接着面62は、第2方向において、第1接触面61Aと第2接触面61Bとの間に位置している。
接着面62は、第3面B3から所定距離だけ離れた第1接着面62Aと、当該第1接着面62Aよりも第3面B3から離れた第2接着面62Bと、第1接着面62Aと第2接着面62Bとを連結する連結面62Cとを有している。
【0098】
第1接着面62Aの外形は、上下方向から見て、左右方向に長い長方形の両端部が半円形状となる角丸長方形となっている。第1接着面62Aの略中央部には、上下方向内側に向けて凹む底付きの穴62Dが形成されている。穴62Dは、記憶媒体33が入り込む穴である(
図11参照)。穴62Dの形状は、上下方向から見て、左右方向に長い長方形となっている。そして、穴62Dの底面は、第2接着面62Bとなっている。
【0099】
第2接着面62Bには、2つのマーク部22Cと、開口部の一例としての貫通孔62Eとが設けられている。各マーク部22Cは、第1の実施形態と略同様の構造となっている。各マーク部22Cは、左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0100】
貫通孔62Eは、ホルダ60の壁、詳しくは第2接着面62Bを形成する壁66(
図11参照)を貫通している。貫通孔62Eの形状は、上下方向から見て、矩形となっている。貫通孔62Eは、左右方向において、各マーク部22Cの間に配置されている。
【0101】
連結面63は、上下方向、つまり接触面61に直交する方向から見て、マーク部22Cを中心とする円弧形状となる曲面63Aを、各マーク部22Cに対応するように2つ有している。
連結面63の第2方向の長さは、例えば0.5mmとすることができる。また、記憶媒体33の第2方向の長さは、例えば0.7mmとすることができる。つまり、記憶媒体33の第2方向の長さは、連結面63の第2方向の長さより大きい。
また、第1接着面62Aと第2接着面62Bとを連結する連結面62Cの第2方向の長さは、例えば0.8mmとすることができる。つまり、接触面61から第2接着面62Bまでの第2方向における距離は、記憶媒体33の第2方向の長さよりも大きい。
【0102】
第1壁64は、接触面61を囲うような矩形の筒状に形成されている。第1壁64は、接触面61よりも上下方向外側に突出している。詳しくは、第1壁64は、接触面61に接触するように取り付けられた基板31の表面31A(詳しくは電気的接触面32)よりも上下方向外側に突出している(
図11参照)。第1壁64は、第3側壁610と、第4側壁620と、第1側壁630と、第2側壁640とを有している。
【0103】
第3側壁610は、接触面61の左右方向外側に位置している。第4側壁620は、第3側壁610に対して基板31を挟んだ反対側に位置している。
【0104】
第1側壁630は、第3側壁610および第4側壁620の前後方向の一端部同士を連結している。第1側壁630は、第1位置決め部631と、第2位置決め部632と、突出部633とを有している。第1位置決め部631、第2位置決め部632および突出部633は、第1側壁630の前後方向内側の面から第2側壁640に向けて突出している。第1位置決め部631、第2位置決め部632および突出部633は、左右方向において互いに間隔を空けて並んでいる。突出部633は、左右方向において、第1位置決め部631と第2位置決め部632の間に配置されている。第1位置決め部631は、左右方向において、第4側壁620から離れている。第2位置決め部632は、左右方向において、第3側壁610から離れている。
【0105】
図12(a)に示すように、第1位置決め部631および第2位置決め部632は、突出部633よりも前後方向内側に突出している。また、第1位置決め部631および第2位置決め部632の前後方向内側の各先端は、前後方向で同じ位置に配置されている。これにより、
図12(b)に示すように、第1位置決め部631および第2位置決め部632は、接触面61に沿った方向、詳しくは前後方向において基板31の端部に接触する。
【0106】
また、第1側壁630は、基板31の前後方向の一端部に設けられた凸部231Dが入り込む凹部634を有している。凹部634は、第2位置決め部632と突出部633との間に位置している。凹部634は、第2位置決め部632および突出部633の各先端から前後方向外側へ凹むように形成されている。凹部634は、前後方向内側と上下方向外側に向けて開口している。
【0107】
第2側壁640は、第3側壁610および第4側壁620の前後方向の他端部同士を連結している。第2側壁640は、第1突出部641と、第2突出部642と、第3突出部643と、保持部644とを有している。各突出部641〜643は、第2側壁640の前後方向内側の面から第1側壁630に向けて突出している。各突出部641〜643は、左右方向において互いに間隔を空けて並んでいる。第2突出部642は、左右方向において、第1突出部641と第3突出部643の間に配置されている。第1突出部641は、左右方向において、第4側壁620から離れている。第3突出部643は、左右方向において、第3側壁610から離れている。
【0108】
保持部644は、各位置決め部631,632との間で基板31を挟み込んで保持する部位である。保持部644は、第3方向、つまり基板31の短手方向において、基板31の端部に接触する。
【0109】
保持部644は、第2突出部642の前後方向内側の先端から第1側壁630に向けて突出している。保持部644は、第1側壁630側の端部である先端部が尖った三角柱状に形成されている。このように尖った保持部644の先端部は、各位置決め部631,632よりも変形しやすくなっている。
【0110】
そして、この保持部644の先端部は、接触面61よりも前後方向内側に配置されている。つまり、保持部644の先端部、つまり基板31と接触する部分は、接触面61から離れている。
【0111】
また、第2側壁640は、基板31の前後方向の他端部に設けられた凸部231Cが入り込む凹部645を有している。凹部645は、第2突出部642と第3突出部643との間に位置している。凹部645は、第2突出部642と第3突出部643の各先端から前後方向外側へ凹むように形成されている。凹部645は、前後方向内側と上下方向外側に向けて開口している。
【0112】
次に、現像カートリッジ2の製造方法、特に、ICチップ230をホルダ60に取り付ける方法について説明する。
図12(a)に示すように、まず、第2接着面62Bの各マーク部22Cに接着剤25を塗布する(第1工程)。詳しくは、接着剤25が接触面61よりも上下方向外側に突出するように、接着剤25を塗布する。なお、この際、図に示すように、第1接着面62A上に接着剤25が塗布されてもよい。
【0113】
次に、ICチップ230を斜めに傾けて、基板31の前後方向の一端を各位置決め部631,632に当接させる。その後、基板31の前後方向の他端を、保持部644に押し付け、当該保持部644を潰しながら接触面61に向けて押し込んでいく。このようにして基板31の他端を押し込んでいきながら、
図12(b)に示すように、基板31を、接触面61に接触させつつ、接着面62上の接着剤25に接触させる(第2工程)。なお、この際、保持部644のうち基板31によって押し潰された部位は、接触面61から一段下がった位置に配置される第1接着面62A上に押し出される。
【0114】
基板31を接触面61に接触させると、接着剤25が基板31と接着面62との間で潰されて、接着剤25がマーク部22Cの径方向外側に放射状に広がる。これにより、接着剤25の一部が、貫通孔62E内に入り込むことになる。そのため、作業者は、
図13に示すように、第2工程の後、貫通孔62Eから接着剤25を確認することができる(第3工程)。
【0115】
その後は、
図9に示すように、ICチップ230が固着されたホルダ60と圧縮コイルバネSPとを、ベース部材70に組み付ける。そして、
図8に示すように、ホルダ60等からなるユニットを、第1カバー51と第2カバー52との間で挟み込むようにして、カバー部材50に組み付ける。
【0116】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる他、以下のような効果を得ることができる。
保持部644を、基板31の短手方向において基板31に接触させたので、例えば保持部を基板に対して長手方向に接触させる構造と比べ、基板31を取り付ける部分の最大長さを短くすることができる。
【0117】
連結面63が、第2方向から見て、円弧形状となる曲面63Aを有する。そのため、第1接着面62Aおよび第2接着面62Bに塗布した接着剤25が、第1接着面62Aおよび第2接着面62Bの全体に広がりやすい。その結果、接着剤25の厚みをより均一にすることができる。
また、連結面63が、接触面61に直交する方向から見て、マーク部22Cを中心とする円弧形状となる曲面63Aを有するので、連結面63の曲面63Aとマーク部22Cとの距離を均等にすることができる。そのため、マーク部22Cに塗布した接着剤25が広がって接触面61に到達するのを抑えることができるとともに、接触面61の面積を大きくすることができる。
【0118】
第1接着面62Aに対して一段下がった位置に配置された第2接着面62Bに、マーク部22Cを設けたので、接着剤25が接触面61に向けて広がるのを、第1接着面62Aと第2接着面62Bの間の段差面によって抑えることができる。
【0119】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態の一部の構造を変更したものであるため、第1の実施形態と略同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0120】
図14(a),(b)に示すように、第3の実施形態に係るホルダ320は、接触面321と、接着面322とを有する。接着面322は、第1接着面322Aと、第2接着面322Bとを有する。
【0121】
接触面321は、基板31の第3面B3と接触する。接触面321は、記憶媒体33が入り込む穴22Dを有している。
【0122】
第1接着面322Aは、第2方向において、基板31の第1面B1と向かい合っている。第1接着面322Aは、接触面321よりも基板31の第1面B1から離れている。第1接着面322Aは、接着剤25を塗布する際の目印となる2つのマーク部22Cを有している。接着剤25は、第1接着面332Aと第1面B1を接着する。
【0123】
第2接着面322Bは、第2方向において、第2面B2と向かい合っている。第2接着面322Bは、接触面321よりも第2面B2から離れている。第2接着面322Bは、接触面321に対して第1接着面322Aの反対側に位置している。第2接着面322Bは、接着剤25を塗布する際の目印となる2つのマーク部22Cを有している。接着剤25は、第2接着面332Bと第2面B2を接着する。
【0124】
ホルダ320は、第1の実施形態と略同様の第1側壁W1と、第2側壁W2と、第3側壁W3と、第4側壁W4とを有している。第3側壁W3は、第1の実施形態と略同様の凹部W31を有している。凹部W31は、第2接着面322Bと第2面B2との間の空間と、第3側壁W3の外部とを連通している。これにより、第2接着面322Bと第2面B2との間に塗布した接着剤25を外部から視認することが可能となっている。
【0125】
第4側壁W4は、第1の実施形態と略同様の凹部W41を有している。凹部W41は、第1接着面322Aと第1面B1との間の空間と、第4側壁W4の外部とを連通している。これにより、第1接着面322Aと第1面B1との間に塗布した接着剤25を外部から視認することが可能となっている。
【0126】
第2側壁W2は、第1の実施形態と略同様の保持部W21を有している。接触面321は、第2方向において、保持部W21と対向する位置に、基板31から離れる方向に凹む凹部321Aを有している。これにより、基板31の取付時において、基板31によって押し潰された保持部W21の一部を、凹部321A内に収容させることが可能となっている。
【0127】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0128】
前記実施形態では、ICチップとして、電気的接触面32を有する接触式のICチップを例示したが、本発明はこれに限定されず、ICチップは、例えば非接触式のICチップであってもよい。
【0129】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。