(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記日時情報の取得に係る動作において捕捉された電波に係る情報を記憶し、前記現在位置情報の取得に係る動作を行う場合には、当該捕捉された電波を優先して捕捉対象とすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
前記制御部は、前記日時情報の取得に係る動作の途中で前記継続時間が前記第2基準時間以上となった場合には、前記日時情報の取得前に前記現在位置情報の取得に係る動作に必要な数の電波の捕捉動作を行うことを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
この電子時計1(コンピュータ)は、マイコン40と、衛星電波受信処理部50及びアンテナA1と、操作受付部61と、表示部62と、報知動作部63と、ROM64と、電力供給部70などを備える。
【0011】
マイコン40は、電子時計1の各種動作の制御を行う。マイコン40は、ホスト制御部41と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46などを備える。
【0012】
ホスト制御部41は、ホストCPU411と、RAM412などを備えて各種演算処理やデータの記憶保持を行い、マイコン40による電子時計1の動作を統括制御する。ホストCPU411は、演算処理を行うプロセッサである。RAM412は、ホストCPU411に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する揮発性メモリである。RAM412には、書き換え更新可能な不揮発性メモリが含まれていても良い。
【0013】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して分周回路45に出力する。発振回路44は、例えば、水晶発振子を備えて約16kHzや約32kHzなどの信号を生成する。水晶発振子はマイコン40に外付けされても良い。
【0014】
分周回路45は、発振回路44から入力された所定の周波数信号を分周してホストCPU411や計時回路46などが用いる周波数信号に各々変換し、当該ホストCPU411や計時回路46などに出力する。
【0015】
計時回路46は、分周回路45から入力される信号を計数して現在の日時(時刻)を計数保持する。計時回路46の計数する日時には、多少の誤差、例えば、一日当たり±0.5秒程度、がある。この計時回路46の計数する日時は、ホストCPU411からの命令に従って修正されることが可能となっている。
【0016】
衛星電波受信処理部50は、受信部51と、モジュール制御部52と、記憶部53などを備え、日時情報(時刻情報)や位置情報を取得するための所定の処理動作を行う。受信部51は、測位衛星からの電波を捕捉、受信して、航法メッセージを復調する。モジュール制御部52は、受信部51により捕捉された測位衛星からの電波から得られる航法メッセージに基づき日時情報や各測位衛星の位置情報などを取得する。また、モジュール制御部52は、CPUやRAMなどを備え、取得された日時情報及び各測位衛星の位置情報を用いて自機の現在位置を算出する測位を行う。記憶部53は、受信動作に係る各種設定データやモジュール制御部52の動作に係る制御プログラムなどを記憶保持する。受信対象とされる測位衛星は、例えば、米国のGPSに係る測位衛星であるが、この補完衛星(みちびきなど)やロシアのGLONASSなど他の測位衛星からの電波を受信可能であっても良い。
【0017】
衛星電波受信処理部50による測位に係る動作に要する電力(消費電流、負荷)及び測位動作が終了するまでの一回当たりの電力消費量は、日時の計数動作や表示部62による表示動作といった電子時計1における他の動作と比較して著しく大きい。
【0018】
ROM64は、電子時計1の各種動作に係る設定データやプログラム641を格納する。プログラム641には、操作受付部61が受け付けている操作内容に応じて衛星電波受信処理部50の動作制御を行う受信動作制御のプログラムが含まれる。ROM64は、マスクROMなどの書き換え更新ができないもの、フラッシュメモリなどの更新可能な不揮発性メモリ、又はこれら両方を有する。
【0019】
操作受付部61は、外部(ユーザ)からの入力操作を受け付けて入力信号としてホストCPU411に出力する。操作受付部61は、外部からの入力操作を受け付ける構成として、一又は複数の押しボタンスイッチ611を有する。また、操作受付部61は、りゅうずやタッチパネルなどを有していても良い。
【0020】
表示部62は、ホストCPU411の制御に応じて各種情報を表示する。表示部62は、計時回路46により計数されている日時に基づいて、少なくとも現在の時刻を表示可能である。表示部62としては、例えば、複数の指針(時針、分針及び秒針など)を備えていても良いし、あるいは、液晶画面などによるデジタル表示が可能な構成を備えていても良い。
【0021】
報知動作部63は、ホストCPU411の制御に基づいて所定の報知動作を行う。報知動作部63としては、例えば、ビープ音を発生するビープ音発生部、発光動作を行う発光部やこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0022】
電力供給部70は、マイコン40や衛星電波受信処理部50などの各部にバッテリ71から電力を供給する。バッテリ71は、電子時計1が備える発電部及び当該発電部の発電起電力により充電される二次電池を有していても良いし、あるいは、電子時計1に対してユーザが着脱可能なボタン型電池などであっても良い。発電部としては、例えば、太陽光発電部が挙げられる。ここでは、電子時計1の軽量化や小型化のために、軽量かつ小型なバッテリ71が用いられることが望ましい。
【0023】
次に、本実施形態の電子時計1における受信動作制御方法である測位衛星からの電波受信動作について説明する。
電子時計1では、所定の押しボタンスイッチ611の押下状態(所定の入力操作)の継続時間が第1基準時間(例えば、1.5秒)以上、かつ第1基準時間より長い第2基準時間(例えば、3.0秒)未満の場合に日時の取得を行い、所定の押しボタンスイッチ611の押下継続時間が3.0秒以上の場合には、現在位置情報の取得を行う。ここでいう現在位置情報には、現在の位置座標を示すものに限らず、現在位置が属するタイムゾーンや夏時間実施ルールの設定エリアを同定する情報を含む。
これらの各構成のうち、ホスト制御部41とモジュール制御部52とが本実施形態の電子時計1における制御部を構成する。
【0024】
次に、本実施形態の電子時計1における電波受信による情報取得動作について説明する。
図2は、電子時計1における日時情報と現在位置情報の取得切替について説明する図である。
【0025】
電子時計1では、所定の押しボタンスイッチ611が第1基準時間、例えば、1.5秒押下状態が継続された時点でその押下状態の解除や最終的な継続時間にかかわらず日時の取得動作を開始する。そして、
図2(a)に示すように、押下状態が第1基準時間より長い第2基準時間、例えば、3.0秒未満で終了した場合には、日時が取得され次第受信動作を終了する。一方、
図2(b)に示すように、第2基準時間以上押下状態が継続した場合には、日時の取得後に引き続いて当該日時を用いて測位動作を行う。そして、測位結果に応じた現在位置情報を取得して、受信動作を終了する。
【0026】
通常、測位衛星からの情報取得には、受信部51の起動と初期設定、測位衛星からの送信電波の捕捉、及び捕捉された電波において必要な情報を含む部分の信号受信が必要である。日時情報を取得する場合、これらの動作には、通常、1.5秒以上を要するが、第2基準時間が経過する前に日時情報の取得が完了し、かつ押下状態が継続されている場合には、一度受信部51の動作を停止させて良い。
【0027】
一方、測位動作(現在位置の算出)には、現在の正確な日時と、当該日時における3機(高度情報が不要な場合)又は4機(高度情報を含めて取得する場合)以上の測位衛星の位置情報と、これらの測位衛星からの電波受信タイミングのずれ情報(擬似距離)とが必要になる。コンピュータでは、現在位置の算出は、通常、数値的に所定の初期位置から収束させることで行われる。このときの現在日時や初期位置が不正確であると、算出(収束)までの時間を要したり、適切に収束しなかったりする。続けて複数回の測位動作(演算)を行う場合には、前回の測位及び日時取得の結果を利用できるので、二回目以降徐々に精度が向上するが、間欠的に一度の受信、演算を行う場合には、毎回これらの日時や初期位置(特に、測位衛星の現在位置)が正確な位置から若干ずれているので、精度が向上しない。そこで、電子時計1では、先に日時情報のみを先に取得して、当該日時に基づく測位演算を行うことで、一回の測位でも十分な精度の現在位置に確実かつ速やかに収束させる。
【0028】
また、現在位置情報を取得する場合には、測位衛星から当該現在位置までの距離を正確に考慮したより正確な日時が取得可能になるが、現在位置が取得されるまで当該日時が取得されず、また、測位衛星の位置情報を取得するのに18秒から30秒程度を必要とするので、日時の修正にも時間を要する。電子時計1では、測位を行う場合でも最初に日時のみを取得することで、短時間で取得された日時に一度修正され、また、修正された日時が表示される。
【0029】
図3は、本実施形態の電子時計1で実行される受信動作制御処理のホスト制御部41による制御手順を示すフローチャートである。
この受信動作制御処理は、所定の押しボタンスイッチ611の押下継続時間が第1基準時間となったタイミングで起動される。
【0030】
受信動作制御処理が開始されると、ホスト制御部41(ホストCPU411)は、衛星電波受信処理部50を起動して初期設定を行う(ステップS101)。ホスト制御部41は、起動した衛星電波受信処理部50に対して日時情報の取得命令(日時情報の取得に係る動作の実行命令)を出力する(ステップS102)。衛星電波受信処理部50の起動、初期設定時に日時情報の取得命令を同時に送信可能な場合には、ステップS101、S102の処理は同時に行われて良い。
【0031】
ホスト制御部41は、所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の解除検出後、衛星電波受信処理部50からの入力を待ち受け、入力された日時情報を取得する。ホスト制御部41は、取得された日時情報に基づいて、計時回路46の計数する日時の修正及び修正された日時の表示などの処理を行う(ステップS103)。
【0032】
ホスト制御部41は、所定の押しボタンスイッチ611の押下継続時間が第2基準時間(3.0秒)以上であったか否かを判別する(ステップS104)。なお、所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の解除検出前に日時情報の取得、修正及び表示が可能な場合には、ステップS103の処理は、当該押下状態の解除検出前に行われて良い。この場合、ステップS104の処理では、ホスト制御部41は、所定の押しボタンスイッチ611の押下状態が現時点まで継続されたまま第2継続時間を超えているか、又は第2継続時間を超えてから既に解除されているかを判別する。また、押下状態が継続されたまま現時点で第2基準時間が経過していない場合には、押下状態が解除され、又は第2基準時間が経過するまで判断を保留する。
【0033】
押下継続時間が第2基準時間以上ではなかったと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、ホスト制御部41の処理は、ステップS108に移行する。第2基準時間以上であったと判別された場合には(ステップS104で“YES”)、ホスト制御部41は、衛星電波受信処理部50を再起動させる(ステップS105)。ホスト制御部41は、再起動した衛星電波受信処理部50に対して測位動作命令(現在位置情報の取得に係る動作の実行命令)を出力する(ステップS106)。このとき、ホスト制御部41は、現在日時として先に修正された現在日時の情報を衛星電波受信処理部50に対して出力する。
【0034】
ホスト制御部41は、衛星電波受信処理部からの入力を待ち受け、現在位置に係る情報を取得する(ステップS107)。ホスト制御部41は、取得された現在位置情報に基づいて適宜必要な処理、例えば、表示部62による現在位置の表示動作(取得された日時情報に係る情報の表示動作)や、地方時設定の変更などを行う。また、このとき、ステップS103よりも正確な日時情報が得られるので、ホスト制御部41は、日時を再度修正、表示させる。あるいは、現在位置情報の取得時には、ホスト制御部41は、日時情報を改めて取得しないこととしても良い。それから、ホスト制御部41の処理は、ステップS108に移行する。
【0035】
ステップS108の処理に移行すると、ホスト制御部41は、衛星電波受信処理部50の動作を停止させる(ステップS108)。そして、ホスト制御部41は、受信動作制御処理を終了する。
これらのうち、ステップS102、S103の処理により本実施形態の電子時計1の受信動作制御方法(プログラム)における第1受信制御ステップ(第1受信制御手段)が構成され、ステップS104、S106、S107の処理により第2受信制御ステップ(第2受信制御手段)が構成される。
【0036】
図4は、衛星電波受信処理部50において実行される受信制御処理のモジュール制御部52による制御手順を示すフローチャートである。
この受信制御処理は、ホスト制御部41により衛星電波受信処理部50が起動された場合に合わせて起動、開始される。
【0037】
受信制御処理が開始されると、モジュール制御部52は、初期設定を行い(ステップS201)、ホスト制御部41から入力された取得対象に係る命令に応じて取得対象を設定する。また、モジュール制御部52は、当該取得対象に応じて受信対象とされる測位衛星の数である対象衛星数Nを設定する(ステップS202)。この対象衛星数Nは、ここでは、日時情報が取得対象である場合には、「1」であり、現在位置情報が取得対象である場合には「3」である。あるいは、上述のように、現在位置情報が取得対象である場合に対象衛星数Nを「4」としても良い。
【0038】
モジュール制御部52は、受信部51を起動して受信動作を開始させる。モジュール制御部52は、測位衛星からの電波の捕捉動作を開始する(ステップS203)。このとき、モジュール制御部52は、エフェメリス(軌道情報)データや直近の捕捉情報などがある場合には、捕捉対象の測位衛星に優先順位をつけることができる。
【0039】
モジュール制御部52は、現在捕捉動作中であり、かつ新たに測位衛星の電波が捕捉されたか否かを判別する(ステップS204)。新たに電波が捕捉されたと判別された場合には(ステップS204で“YES”)、モジュール制御部52は、当該捕捉された電波の追尾動作を開始する(ステップS205)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS206に移行する。捕捉動作中ではないか、又は捕捉動作中ではあるが新たに電波が捕捉されていないと判別された場合には(ステップS204で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS206に移行する。
【0040】
モジュール制御部52は、捕捉された電波の数が対象衛星数N以上であるか否かを判別する(ステップS206)。対象衛星数N以上ではないと判別された場合には(ステップS206で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS204に戻る。
【0041】
対象衛星数N以上であると判別された場合には(ステップS206で“YES”)、モジュール制御部52は、捕捉動作を終了する(ステップS207)。モジュール制御部52は、追尾動作において取得対象に応じた必要な情報が取得されたか否かを判別する(ステップS208)。必要な情報が取得されていないと判別された場合には(ステップS208で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS204に戻る。
【0042】
必要な情報が取得されたと判別された場合には(ステップS208で“YES”)、モジュール制御部52は、取得対象とされている内容に係る結果を取得して、適切なタイミングでホスト制御部41に出力する(ステップS209)。モジュール制御部52は、受信部51の動作を中止させて、受信動作を終了する(ステップS210)。そして、モジュール制御部52は、受信制御処理を終了する。
【0043】
以上のように、第1実施形態の電子時計1は、測位衛星からの電波を受信する受信部51と、ホスト制御部41及びモジュール制御部52を含む制御部と、ユーザの操作を受け付ける操作受付部61と、を備える。制御部は、操作受付部61が受け付けている所定の押しボタンスイッチ611の押下操作の継続時間が所定の第1基準時間(1.5秒)以上となった場合には、受信部51による日時情報の取得に係る動作を開始させ、継続時間が第1基準時間より長い第2基準時間(3.0秒)以上となった場合には、日時情報の取得後に、当該取得された日時情報を用いて現在位置情報の取得に係る動作を行う。
これにより、測位が終了する前に途中で、特に、受信開始から早い時間に暫定的な日時修正情報が得られるので、最低限の受信結果が速やかに得られる。特に、最後まで動作させずに受信動作を打ち切る場合でも、何も結果が得られない状況を回避することができる。また、測位動作を行うか否かが確定する前に日時情報の取得動作を開始することができるので、測位動作の完了までの時間を不必要に長引かせない。
したがって、電波受信による情報取得に係るユーザの利便性を向上させることができる。
【0044】
また、制御部は、現在位置情報の取得に係る動作において、取得された日時情報を用いる。すなわち、暫定的に修正された日時を用いて現在位置を算出する演算処理を行うので、より確実かつ速やかに現在位置に収束させてより精度の良い現在位置情報を取得することができる。
【0045】
また、制御部は、継続時間が第2基準時間(3.0秒)以上となった場合には、日時情報の取得後に受信部51(衛星電波受信処理部50)を再起動させて現在位置情報の取得に係る動作を開始させる。
このように単純な処理で動作を切り替えるので、制御を複雑化しない。
【0046】
また、本実施形態の電子時計1の受信動作制御方法は、操作受付部61が受け付けている所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の継続時間が所定の第1基準時間(1.5秒)以上となった場合には、受信部51による日時情報の取得に係る動作を開始させる第1受信制御ステップ、継続時間が第1基準時間より長い第2基準時間(3.0秒)以上となった場合には、日時情報の取得後に、当該取得された日時情報を用いて現在位置情報の取得に係る動作を行う第2受信制御ステップ、を含む。
これにより、測位が終了する前に途中で暫定的な日時修正情報が得られる。また、ユーザによる所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の継続時間が確定する前に早い段階で受信動作を開始させることができる。これを表示などに用いることで、ユーザに受信状況の進行をより適切に知得させることができる。したがって、電波受信による情報取得に係るユーザの利便性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のプログラム641は、電子時計1のコンピュータを、操作受付部61が受け付けている所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の継続時間が所定の第1基準時間(1.5秒)以上となった場合には、受信部51による日時情報の取得に係る動作を開始させる第1受信制御手段、継続時間が第1基準時間より長い第2基準時間(3.0秒)以上となった場合には、日時情報の取得後に、現在位置情報の取得に係る動作を行う第2受信制御手段、として機能させる。
このように、ユーザの利便性を向上させるプログラムをインストールして制御部にソフトウェア的に制御動作を行わせることで容易に受信制御を行うことができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電子時計について説明する。
この第2実施形態の電子時計1の機能構成は、第1実施形態の電子時計1と同一であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0049】
次に、第2実施形態の電子時計1における電波受信による情報取得動作について説明する。
この電子時計1では、現在位置情報の取得(測位)命令がなされている状態で日時情報の取得がなされると、取得に係る情報を表示し、現在位置に係る情報の取得を続行して良いか否かを確認する。
【0050】
図5は、本実施形態の電子時計1で実行される受信動作制御処理のホスト制御部41による制御手順を示すフローチャートである。
この受信動作制御処理は、第1実施形態の電子時計1における受信動作制御処理と比較して、ステップS111、S112の処理が追加されている。その他の処理については同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
ステップS106の処理に続いて、ホスト制御部41は、測位衛星からの電波の捕捉情報を衛星電波受信処理部50(モジュール制御部52)から取得し、現在位置情報の取得に係る動作を続行する(継続させる)か否かを問い合わせる表示を表示部62により行わせる(ステップS111)。ホスト制御部41は、操作受付部61への入力操作を待ち受け、続行を指示する入力操作があったか否かを判別する(ステップS112)。入力操作が続行を指示するものではない(続行しない)と判別された場合には(ステップS112で“NO”)、処理をステップS108に移行させる。続行を指示するとの入力があったと判別された場合には(ステップS112で“YES”)、ホスト制御部41の処理は、ステップS107に移行する。なお、所定時間入力操作がなかった場合や、入力操作がないうちに現在位置情報が取得された場合には、ホスト制御部41の処理は、自動的にステップS107に移行することとして良い。
【0052】
図6は、本実施形態の電子時計1で実行される受信制御処理のモジュール制御部52による制御手順を示すフローチャートである。
この受信制御処理では、第1実施形態の電子時計1における受信制御処理と比較して、ステップS202、S206の処理がそれぞれステップS202a、S206aの処理に置き換えられ、また、ステップS221、S222の処理が追加されている。その他の処理は同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
ステップS201の処理に次いで、モジュール制御部52は、取得対象の設定を行う(ステップS202a)。ここでは、モジュール制御部52は、対象衛星数Nの設定を行わない。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS203に移行する。このとき、取得対象が現在位置情報である場合に、モジュール制御部52は、後述のステップS222の処理で記憶された捕捉情報を用いて先に日時情報取得時に捕捉された電波を優先して捕捉対象とすることができる。
【0054】
ステップS204の処理で“NO”に分岐した場合、又はステップS205の処理に続いて、モジュール制御部52は、捕捉された電波の数が4以上であるか否かを判別する(ステップS206a)。4以上ではないと判別された場合には(ステップS206aで“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS208に移行する。
【0055】
捕捉された電波の数が4以上であると判別された場合には(ステップS206aで“YES”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS207に移行する。ステップS207の処理の後、モジュール制御部52は、取得対象が日時情報であるか否かを判別する(ステップS221)。日時情報ではないと判別された場合には(ステップS221で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS208に移行する。日時情報であると判別された場合には(ステップS221で“YES”)、モジュール制御部52は、捕捉された電波の送信元測位衛星の情報を記憶部53に記憶させる(ステップS222)。この情報(捕捉された電波に係る情報)には、測位衛星の識別番号などに加えて受信強度やSN比などの情報(電波の捕捉情報)が含まれていても良い。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS208に移行する。
【0056】
以上のように、第2実施形態の電子時計1では、制御部は、日時情報の取得に係る動作において捕捉された電波に係る情報を記憶し、現在位置情報の取得に係る動作を行う場合には、当該捕捉された電波を優先して捕捉対象とする。このように、日時取得動作における電波受信情報を有効に利用することで、測位動作、特に電波の捕捉動作に要する時間と手間を短縮して可能な限りユーザを待たせずに現在位置情報の取得を完了することができる。
【0057】
また、表示部62を備え、制御部は、所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の継続時間が第2基準時間(3.0秒)以上となった場合には、取得された日時情報に係る情報を表示部62に表示させ、操作受付部61からの入力操作に応じて現在位置情報の取得に係る動作を続行(継続)させるか否かを判別する。すなわち、修正表示された日時の地方時にずれがないことが確認されて、地方時設定を更新する必要がなくなった場合や、電波の受信状況が悪く、現在位置で測位動作を行うことがあまり適切ではない場合などを日時情報の取得に係る結果表示からユーザが知得し、本当に測位動作を続けるかをユーザが再判断することができる。この場合、日時の取得までにはユーザに大きな時間を待たせることは少ないので、ユーザに多大な待機時間などを要求しない。また、日時の取得までは行われるので、何も得られずに作業を終了することにならず、ユーザの徒労感などを軽減させることができる。また、継続承認操作がなされない間にも測位に係る受信動作を継続させておくので、もともと現在位置情報の取得命令が取得されている状況で、ユーザの操作の遅れやユーザが操作しないことによって現在位置の取得に係る動作が不必要に長引いたりすることはない。また、わざわざ再度の入力操作を行いたくないユーザには、追加の入力操作を強いないので、不要な手間を増やすことはない。そして、ユーザが不要と判断した場合に速やかに現在位置情報の取得に係る長時間の受信動作を停止させることができるので、不要な電力消費を抑えることができる。
【0058】
また、日時情報の取得に係る情報には、測位衛星からの電波の捕捉情報が含まれる。このように、捕捉された電波数や捕捉された電波の受信強度、SN比などの情報を含めてユーザに提示することで、ユーザに測位動作を実際に行うかをより適切に判断させることができる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の電子時計について説明する。
第3実施形態の電子時計1は、第1実施形態の電子時計1と同一の機能構成を有するので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
次に、第3実施形態の電子時計1における電波受信による情報取得動作について説明する。
この電子時計1では、日時情報の取得中に再起動せずに日時に係る情報の取得動作から現在位置に係る情報の取得動作に移行可能である。
【0061】
図7は、本実施形態の電子時計1における受信動作制御処理のホスト制御部41による制御手順を示すフローチャートである。
この受信動作制御処理は、第1実施形態の電子時計1で実行される受信動作制御処理と比較して、ステップS121〜S123の処理が追加され、ステップS104、S105の処理が削除され、また、ステップS106の処理がステップS106aの処理に置き換えられている。その他の処理については同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
ステップS102の処理に続いて、ホスト制御部41は、所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の開始タイミングから3.0秒以上経過したか否かを判別する(ステップS121)。3.0秒以上経過していないと判別された場合には(ステップS121で“NO”)、ホスト制御部41は、押下操作が解除されて押下状態が終了したか否かを判別する(ステップS122)。解除されていないと判別された場合には(ステップS122で“NO”)、ホスト制御部41の処理は、ステップS121に戻る。解除されたと判別された場合には(ステップS121で“NO”)、すなわち、押下状態の継続時間が3秒未満であると確定した場合には、ホスト制御部41の処理は、ステップS103に移行する。
【0063】
ステップS121の判別処理で、押下状態の開始タイミングから3秒以上経過したと判別された場合には(ステップS121で“YES”)、ホスト制御部41は、モジュール制御部52に対して測位命令を出力する(ステップS106a)。それから、ホスト制御部41の処理は、ステップS103に移行する。
【0064】
ステップS103の処理で、衛星電波受信処理部50から日時情報を取得すると(ステップS103)、ホスト制御部41は、衛星電波受信処理部50に対して測位命令を送信済みであるか否かを判別する(ステップS123)。測位命令を送信済みであると判別された場合には(ステップS123で“YES”)、ホスト制御部41の処理は、ステップS107に移行する。測位命令を送信していないと判別された場合には(ステップS123で“NO”)、ホスト制御部41の処理は、ステップS108に移行する。
【0065】
図8は、本実施形態の電子時計1の衛星電波受信処理部50で実行される受信制御処理のモジュール制御部52による制御手順を示すフローチャートである。
【0066】
この受信制御処理は、第1実施形態の電子時計1で実行される受信制御処理と比較して、ステップS231〜S233の処理が追加され、ステップS202の処理がステップS202bの処理に置き換えられ、また、ステップS208、S209の処理の代わりにステップS208a、S209a、S208b、S209bの処理が実行される。その他の処理については同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
ステップS201の処理に続いて、モジュール制御部52は、取得対象を日時に設定し、また、対象衛星数Nを「1」に設定する(ステップS202b)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS203に移行する。
【0068】
ステップS204で“NO”に分岐した場合又はステップS205の処理の後、モジュール制御部52は、ホスト制御部41から捕捉命令が入力されたか否かを判別する(ステップS231)。入力されていないと判別された場合には(ステップS231で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS206に移行する。入力されたと判別された場合には(ステップS231で“YES”)、対象衛星数Nを「3」に設定変更する(ステップS232)。すなわち、モジュール制御部52は、日時情報の取得前であっても現在位置情報の取得に必要な数の電波の捕捉動作を開始、実行する。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS206に移行する。
【0069】
ステップS206の処理で“NO”に分岐した場合又はステップS207の処理の後、モジュール制御部52は、日時に係る情報が取得されたか否かを判別する(ステップS208a)。取得されていないと判別された場合には(ステップS208aで“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS208bに移行する。
【0070】
日時に係る情報が取得されたと判別された場合には(ステップS208aで“YES”)、モジュール制御部52は、日時を取得し、要求された日時情報をホスト制御部41に出力する(ステップS209a)。モジュール制御部52は、測位命令が入力されているか否かを判別する(ステップS233)。取得されていないと判別された場合には(ステップS233で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS210に移行する。取得されていると判別された場合には(ステップS233で“YES”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS208bに移行する。
【0071】
ステップS208a又はステップS233からステップS208bの処理に分岐すると、モジュール制御部52は、測位に係る情報が取得されたか否かを判別する(ステップS208b)。取得されていないと判別された場合には(ステップS208bで“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS204に戻る。取得されたと判別された場合には(ステップS208bで“YES”)、モジュール制御部52は、現在位置情報を取得し、現在位置情報をホスト制御部41に出力する(ステップS209b)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS210に移行する。
【0072】
以上のように、第3実施形態の電子時計1では、制御部は、日時情報の取得に係る動作の途中で所定の押しボタンスイッチ611の押下状態の継続時間が第2基準時間(3.0秒)以上となった場合には、日時情報の取得前に現在位置情報の取得に係る動作に必要な数(3又は4)の電波の捕捉動作を行う。このように、日時の取得中であっても複数の測位衛星からの電波の捕捉動作を進めておくことで、日時情報の取得後に速やかに現在位置情報の取得に係る受信動作に移行することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、所定の押しボタンスイッチ611の押下継続時間に基づく受信動作制御を行うこととしたが、他の操作、例えば、りゅうずの回転動作やタッチパネルの所定位置への接触時間などに基づいて受信動作制御がなされても良い。
【0074】
また、上記実施の形態では、衛星電波受信処理部50を再起動する場合に、日時情報の取得時の捕捉情報を記憶させて優先的に再捕捉することとしたが、これに限るものではない。
【0075】
また、上記実施の形態では、現在位置情報の取得動作時にユーザに承認を求める場合、承認がなくても動作を継続させておくこととしたが、必ず又は条件によっては動作を中止させても良い。例えば、日時取得動作時に3機以上の測位衛星が捕捉されていない場合には、再度捕捉動作を実行する前にユーザの承認を必須としても良い。
【0076】
また、ユーザの承認を求める場合に、電波の捕捉情報を表示させることとしたが、指針式の電子時計などで表示部62の表示能力に余裕がない場合には、必ずしも表示させなくても良い。あるいは、時刻の表示に用いられる指針とは別に、受信状況など機能動作に係る表示を行う機能針が別個に設けられていても良い。
【0077】
また、以上の説明では、本発明に係るホスト制御部41(ホストCPU411)の処理動作に係る受信動作制御処理のプログラム641を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリやEEPROMなどの各種不揮発性メモリを有するROM64を例に挙げて説明したが、これに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)や、CD−ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した構成、制御内容や手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0079】
[付記]
<請求項1>
測位衛星からの電波を受信する受信部と、
制御部と、
ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、
を備え、
前記制御部は、
前記操作受付部が受け付けている所定の入力操作の継続時間が所定の第1基準時間以上となった場合には、前記受信部による日時情報の取得に係る動作を開始させ、
前記継続時間が前記第1基準時間より長い第2基準時間以上となった場合には、日時情報の取得後に、現在位置情報の取得に係る動作を行う
ことを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記制御部は、前記現在位置情報の取得に係る動作において、取得された前記日時情報を用いることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記制御部は、前記継続時間が前記第2基準時間以上となった場合には、前記日時情報の取得後に前記受信部を再起動させて前記現在位置情報の取得に係る動作を開始させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
<請求項4>
前記制御部は、前記日時情報の取得に係る動作において捕捉された電波に係る情報を記憶し、前記現在位置情報の取得に係る動作を行う場合には、当該捕捉された電波を優先して捕捉対象とすることを特徴とする請求項3記載の電子時計。
<請求項5>
表示部を備え、
前記制御部は、前記継続時間が前記第2基準時間以上となった場合には、取得された前記日時情報に係る情報を前記表示部に表示させ、前記操作受付部からの入力操作に応じて前記現在位置情報の取得に係る動作を継続させるか否かを判別することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項6>
前記日時情報の取得に係る情報には、前記測位衛星からの電波の捕捉情報が含まれることを特徴とする請求項5記載の電子時計。
<請求項7>
前記制御部は、前記日時情報の取得に係る動作の途中で前記継続時間が前記第2基準時間以上となった場合には、前記日時情報の取得前に前記現在位置情報の取得に係る動作に必要な数の電波の捕捉動作を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
<請求項8>
測位衛星からの電波を受信する受信部と、ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、を備える電子時計の受信動作制御方法であって、
前記操作受付部が受け付けている所定の入力操作の継続時間が所定の第1基準時間以上となった場合には、前記受信部による日時情報の取得に係る動作を開始させる第1受信制御ステップ、
前記継続時間が前記第1基準時間より長い第2基準時間以上となった場合には、日時情報の取得後に、現在位置情報の取得に係る動作を行う第2受信制御ステップ、
を含むことを特徴とする受信動作制御方法。
<請求項9>
測位衛星からの電波を受信する受信部と、ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、を備える電子時計のコンピュータを、
前記操作受付部が受け付けている所定の入力操作の継続時間が所定の第1基準時間以上となった場合には、前記受信部による日時情報の取得に係る動作を開始させる第1受信制御手段、
前記継続時間が前記第1基準時間より長い第2基準時間以上となった場合には、日時情報の取得後に、現在位置情報の取得に係る動作を行う第2受信制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。