(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6930163
(24)【登録日】2021年8月16日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/20 20060101AFI20210823BHJP
B65D 55/16 20060101ALI20210823BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
A61M39/20
B65D55/16
B65D41/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-56095(P2017-56095)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-157919(P2018-157919A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日高 正人
(72)【発明者】
【氏名】山口 健志
【審査官】
磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/037271(WO,A1)
【文献】
特開2016−158656(JP,A)
【文献】
特開2008−265848(JP,A)
【文献】
特開2000−238831(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/121385(WO,A1)
【文献】
特開2005−041566(JP,A)
【文献】
特開2005−015052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/20
B65D 41/04
B65D 55/16
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象のポート部に蓋をするスクリュー式のキャップ本体と、
前記ポート部の胴部に着脱自在に且つ回転可能に取り付けることができるリング部と、
前記キャップ本体と前記リング部とを連結し、相対する2つの主面と、前記主面よりも幅が狭い2つの側面とを有する細板状の連結部とを備え、
前記リング部を前記ポート部の胴部に取り付け、前記キャップ本体により前記ポート部に蓋をして、前記キャップ本体の天面側から平面視した際に、前記連結部は、前記キャップ本体側に位置する第1の屈曲部と、前記リング部側に位置する第2の屈曲部と、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間に位置し、前記ポート部の外周に沿って湾曲する中間部とを有し、前記第1の屈曲部を挟んで互いに隣接する前記キャップ本体側の部分と前記キャップ本体と反対側の部分との一部及び前記第2の屈曲部を挟んで互いに隣接する前記リング部側の部分と前記リング部と反対側の部分との一部において、前記主面の一方が前記ポート部の延びる方向に重なり合うように屈曲している、キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体と、前記第1の屈曲部との距離は、前記連結部の長さの1/3以下、1/10以上であり、
前記リング部と、前記第2の屈曲部との距離は、前記連結部の長さの1/3以下、1/10以上である、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記連結部は、前記連結部の他の部分よりも肉薄となった肉薄部を有し、
前記肉薄部は、前記リング部を前記ポート部の胴部に取り付け、前記キャップ本体により前記ポート部に蓋をした際に、前記屈曲部となる、請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記リング部を前記ポート部の胴部に取り付け、前記キャップ本体により前記ポート部に蓋をした際に、前記連結部が前記キャップ本体に接続された位置と前記キャップ本体の中心とを結ぶ直線と、前記連結部が前記リング部に接続された位置と前記キャップ本体の中心とを結ぶ直線とがなす角は、30°以上、270°以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記リング部を前記ポート部の胴部に取り付け、前記キャップ本体により前記ポート部に蓋をして、前記キャップ本体の天面側から平面視した際に、前記第1の屈曲部は前記キャップ本体から径方向外側に突出した位置に配置され、前記第2の屈曲部は前記リング部から径方向外側に突出した位置に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャップと、
前記リング部が取り付けられたコネクタ本体とを備えている、医療用コネクタ。
【請求項7】
前記キャップは、前記連結部に捻れが無い状態において、前記キャップ本体の天面と前記ポート部の開口とが同じ側となるように、前記コネクタ本体に取り付けられている、請求項6に記載の医療用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用機器のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
血液回路等の流体回路には、他の流体回路等と接続するためのコネクタを設けることが一般的である。使用されていないコネクタには、液体の流出やほこりの侵入等を防ぐために、コネクタのポート部に蓋をするキャップが取り付けられることが一般的である。コネクタを使用する際にキャップはポート部から取り外され、使用が終わるとキャップは再びポート部に取り付けられる。スクリュー式のキャップは、スナップ式のキャップと比べて不用意な脱落が生じにくく、安全性の面で優れている。
【0003】
一方、ポート部から取り外したキャップを落としたり、紛失したりすることを防ぐために、キャップとコネクタとを連結することが行われている。スクリュー式のキャップの場合、キャップはポート部に対して、自由に回転できるようにする必要がある。このため、ポート部の胴部にリング部を回転自在に取り付け、リング部とキャップの本体とを連結部により連結したキャップが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。連結部は邪魔にならないようにできるだけ短くすることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−54137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のキャップには、ポート部に蓋をした際に、連結部がキャップ本体から側方へ大きく飛び出すという問題がある。側方へ大きく飛び出した連結部は、操作の邪魔になるだけでなく、流体回路の包装を傷つけたり、破損したりする原因となる。また、保管及び運搬等の際に大きく飛び出した連結部に集中的に力が加わり、連結部が破損する原因ともなる。
【0006】
一方、連結部の長さをどんどん短くすると操作性が低下し、最終的にはキャップをポート部から取り外すことができなくなる。キャップの操作性を犠牲にして、連結部の長さをポート部から取り外しが可能な最短長としたとしても、連結部が大きく飛び出した状態を解消することは困難である。
【0007】
流体回路に限らず、コネクタを有している医療用装置においては同様の問題が発生する。また、医療用装置に限らず、コネクタを有している他の装置等においても同様の問題が発生する。
【0008】
本開示の課題は、ポート部に蓋をした状態において、連結部が大きく側方に飛び出さないキャップを実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のキャップの一態様は、取り付け対象のポート部に蓋をするスクリュー式のキャップ本体と、ポート部の胴部に着脱自在に且つ回転可能に取り付けることができるリング部と、キャップ本体とリング部とを連結する連結部とを備え、リング部をポート部の胴部に取り付け、キャップ本体によりポート部に蓋をして、キャップ本体の天面側から平面視した際に、連結部は、キャップ本体側に位置する第1の屈曲部と、リング部側に位置する第2の屈曲部と、第1の屈曲部と第2の屈曲部との間に位置し、ポート部の外周に沿って延びる中間部とを有する。
【0010】
このような構成とすることにより、連結部がポート部の外周に沿って延び、取り付け対象の外側に大きく飛び出さないようにすることができる。
【0011】
キャップの一態様において、キャップ本体と、第1の屈曲部との距離は、連結部の長さの1/3以下、1/10以上であり、リング部と、第2の屈曲部との距離は、連結部の長さの1/3以下、1/10以上とすることができる。このような構成とすることにより、キャップの操作性を確保しつつ、連結部の側方への飛び出しを非常に小さくすることができる。
【0012】
キャップの一態様において、連結部は、連結部の他の部分よりも肉薄となった肉薄部を有し、肉薄部は、リング部をポート部の胴部に取り付け、キャップ本体によりポート部に蓋をした際に、屈曲部となるようにできる。このようにすることにより、連結部の所定の位置に屈曲部を容易に設けることができる。
【0013】
キャップの一態様において、リング部をポート部の胴部に取り付け、キャップ本体によりポート部に蓋をした際に、連結部がキャップ本体に接続された位置とキャップ本体の中心とを結ぶ直線と、連結部がリング部に接続された位置とキャップ本体の中心とを結ぶ直線とがなす角は、30°以上、270°以下とすることができる。このような構成とすることにより、キャップの操作性を確保しつつ、連結部の側方への飛び出しを非常に小さくすることができる。
【0014】
本開示の医療用コネクタの一態様は、本開示のキャップと、リング部が取り付けられたコネクタ本体とを備えている。このような構成とすることにより、キャップの操作が容易で且つ連結部の側方への飛び出しが小さいコネクタを実現できる。
【0015】
医療用コネクタの一態様において、キャップは、連結部に捻れが無い状態において、キャップ本体の天面とポート部の開口とが同じ側となるように、コネクタ本体に取り付けることができる。このような構成とすることにより、キャップ本体を開放した際に、キャップ本体がポート部の側方に押し出されるため、キャップの操作が容易となる。また、連結部の捻れを小さくして、連結部が破断しにくくできる。
【発明の効果】
【0016】
本開示のキャップによれば、ポート部に蓋をした状態で、連結部が側方に大きく飛び出さないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るキャップを示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るキャップをコネクタに取り付け、ポート部を開放した状態を示す斜視図である。
【
図3】一実施形態に係るキャップをコネクタに取り付け、ポート部に蓋をした状態を示す斜視図である。
【
図4】一実施形態に係るキャップをコネクタに取り付け、ポート部に蓋をした状態を示す平面図である。
【
図6】一実施形態に係るキャップの天面を上にしてコネクタに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】従来のキャップ付コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜
図5に示すように、本実施形態のキャップ110は、コネクタ150のポート部151に取り付けて蓋をすることができるスクリュー式のキャップ本体111と、ポート部151の胴部に着脱自在に且つ回転可能に取り付けることができるリング部112と、キャップ本体111とリング部112とを連結する連結部113とを備えている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、リング部112をコネクタ150のポート部151の胴部に取り付け、キャップ本体111によりポート部151に蓋をした状態において、連結部113は、キャップ本体111の天面123側から平面視した際に、2つの屈曲部115を有する。
【0020】
取り付け対象であるコネクタ150は、特に限定されないが、医療用のメスルアコネクタとすることができる。コネクタ150は、オスコネクタを受け入れる筒状のポート部151を有しており、ポート部151の外周にはロック用のねじ山153が設けられている。
【0021】
本実施形態のキャップ本体111は、天面123を有する筒状であり、内面にポート部151のねじ山153と係合するねじ山121が設けられている。また、キャップ本体111の内部には軸方向に突出する突部125が設けられている。突部125は、オステーパとなっておりポート部151の開口に内嵌する。突部125の外周面とポート部151の開口の内周面とは、液密性を確保するため隙間無く密着するように構成することができる。なお、突部125は必要に応じて設ければよく、天面123の内面を平坦面とすることもできる。
【0022】
キャップ本体111は、指等で把持して回転させることにより、ねじ山121をポート部151のねじ山153に係合させて、ポート部151に取り付け、ポート部151の開口を閉止して蓋をすることができる。また、逆方向に回転させることにより、キャップ本体111をポート部151から取り外し、ポート部151を開放すことができる。通常の場合、キャップ本体111を1/3回転〜3回転程度させることにより、ポート部151にロックして蓋をすることができ、逆方向に1/3回転〜3回転程度させることにより、ポート部151から取り外して開放状態とすることができる。キャップ本体111の外周面には、把持を容易にするために、凹凸等を設けることができる。
【0023】
リング部112は、ポート部151の胴部の外径よりも僅かに大きい内径を有しており、ポート部151の胴部に取り付けた際に自由に回転させることができる。また、リング部112は、脱落を防止する観点から、ポート部151に設けられたねじ山153の外径よりも僅かに小さい内径を有していることが好ましい。通常のねじ山を有するメスルアコネクタの場合、自由に回転させるという観点から、リング部112の内径は、ねじ山153の外径の、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは92%以上である。また、脱落しにくくする観点から、リング部112の内径は、ねじ山153の外径の好ましくは99.9%以下、より好ましくは99%以下、さらに好ましくは98%以下である。
【0024】
リング部112は、全周が完全に繋がったリングとすることができるが、ポート部151の胴部への取り付けを容易にするために、切れ目が設けられた構成とすることもできる。また、切欠きを有するCリング状とすることもできる。
【0025】
連結部113は、キャップ本体111とリング部112とを連結する板状の部材である。
図1に示すように、連結部113には、キャップ本体111側に第1の屈曲形成部131が設けられ、リング部112側に第2の屈曲形成部132が設けられている。キャップ110を使用する際に、第1の屈曲形成部131は第1の屈曲部115となり、第2の屈曲形成部132は第2の屈曲部116となる。本実施形態において第1の屈曲形成部131及び第2の屈曲形成部132は、連結部113の他の部分よりも肉厚が薄い肉薄部である。
【0026】
図4及び
図5に示すように、本実施形態のキャップ110のリング部112をコネクタ150のポート部151の胴部に取り付け、キャップ本体111によりポート部151に蓋をして、ポート部151を閉止した状態とすると、第1の屈曲形成部131及び第2の屈曲形成部132において連結部113が屈曲して、キャップ本体111側の第1の屈曲部115と、リング部112側の第2の屈曲部116とが形成される。第1の屈曲部115と第2の屈曲部116とは、キャップ本体111の天面123側から平面視をした場合に互いに重ならない。また、連結部113がキャップ本体111に接続された位置と、連結部113がリング部112に接続された位置とは重ならない。これにより、連結部113の第1の屈曲部115と第2の屈曲部116との間の中間部分117は、キャップ本体111の外周ひいてはキャップ本体111が蓋をしているポート部151の外周に沿って延びるので、連結部113のコネクタ150からの突出長は、屈曲形成部131の位置によって決まる。従って、キャップ本体111の操作性を向上させるために、連結部113の長さを長くしても、連結部113がコネクタ150の外側に大きく飛び出すことはない。
【0027】
一方、
図7に示すような従来のキャップをコネクタ150に取り付けた場合、連結部513がキャップ本体511に接続された位置と、連結部513がリング部512に接続された位置とは、ほぼ重なり、連結部513がポート部151の外周に沿うことはない。このため、連結部513の長さを長くすると、連結部113の突出長がそれに比例して大きくなる。
【0028】
なお、本開示において、天面123側から平面視した場合に、第1の屈曲部115が延びる方向と中間部分117が延びる方向とがなす角(第1の屈曲部の屈曲角度)、及び第2の屈曲部116が延びる方向と中間部分117が延びる方向とがなす角(第2の屈曲部の屈曲角度)は、それぞれ好ましくは120°以下、より好ましくは90°以下である。このようにすることにより、中間部117がキャップ本体111の外周及びポート部151の外周に沿って延びるようにできる。また、第1の屈曲部115及び第2の屈曲部116が袋を傷つけないようにする観点から、第1の屈曲部の屈曲角度及び第2の屈曲部の屈曲角度は、それぞれ好ましくは20°以上、より好ましくは40°以上である。なお、第1の屈曲部の屈曲角度と第2の屈曲部の屈曲角度とは同じにすることができるが、異なっていてもよい。
【0029】
連結部113のキャップ本体111からの突出長をできるだけ小さくする観点から、キャップ本体111側の第1の屈曲形成部131は、できるだけキャップ本体111に近接させ、リング部112側の第2の屈曲形成部132は、できるだけリング部112に近接させて設けることが好ましい。具体的には、第1の屈曲形成部131とキャップ本体111及び第2の屈曲形成部132とリング部112との距離は、それぞれ連結部113の長さの、好ましくは1/3以下、より好ましくは1/4以下、さらに好ましくは1/5以下である。キャップ本体111の大きさ、連結部113の長さにもよるが、具体的な数値として、キャップ本体111の外径が10mm程度の場合、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。加工性及び強度の観点からは、第1の屈曲形成部131とキャップ本体111及び第2の屈曲形成部132とリング部112との距離は、それぞれ連結部113の長さの、好ましくは1/10以上、より好ましくは1/8以上である。キャップ本体111の大きさ、連結部113の長さにもよるが、例えばキャップ本体111の外径が10mm程度の場合には、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上である。
【0030】
第1の屈曲形成部131とキャップ本体111との間の距離と、第2の屈曲形成部132とリング部112との間の距離とは、同じにすることができるが、互いに異なっていてもよい。
【0031】
連結部113の長さは特に限定されないが、キャップ本体111の操作性の観点及び連結部113の捻れが大きくなり破断することを避ける観点からは、キャップ本体111の外周長の好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、さらに好ましくは1/3以上である。また、キャップ本体111をポート部151から取り外した際に邪魔にならないようにする観点からは、キャップ本体111の周長の好ましくは1倍以下、より好ましくは3/4以下、さらに好ましくは2/3以下である。
【0032】
連結部113の捻れを小さくする観点からは、ポート部151に蓋をした状態で、連結部113がキャップ本体111に接続された位置とキャップ本体111の中心とを結ぶ直線と、連結部113がリング部112に接続された位置とキャップ本体111の中心とを結ぶ直線とがなす角が好ましくは30°以上、より好ましくは45°以上、さらに好ましくは60°以上となるようにすればよい。また、キャップ本体111をポート部151から取り外した際に邪魔にならないようにするという観点から、ポート部151に蓋をした状態で、連結部113がキャップ本体111に接続された位置とキャップ本体111の中心とを結ぶ直線と、連結部113がリング部112に接続された位置とキャップ本体111の中心とを結ぶ直線とがなす角が好ましくは270°以下、より好ましくは180°以下、さらに好ましくは120°以下となるようにすればよい。
【0033】
第1の屈曲部115と第2の屈曲部116との間には屈曲部を設けず、天面123側から平面視した場合に、中間部117が直線的又は滑らかな曲線となるように延びている状態とすることができる。しかし、第1の屈曲部115と第2の屈曲部116との間に1つ以上の屈曲部が形成されるようにしてもよい。中間部117に屈曲部を設けることにより、各屈曲部の屈曲角度を大きくしても、中間部117がポート部151の外周に沿って延びるようにすることができる。
【0034】
また、
図1において、キャップ本体111の天面123と同じ側の面が削られて、肉薄部が設けられている例を示しているが、天面123と反対側の面が削られていたり、両面が削られていたりしてもよい。肉薄部の形状は、V字状、U字状又はコ字状等にすることができる。また、細い筋状の切れ込みとすることもできる。さらに、折り目形状を記憶しやすい材質で、熱加工等により使用状態において所定の位置に第1の屈曲部115及び第2の屈曲部116が形成できれば、肉薄部等の明確な屈曲形成部131を設けなくてもよい。
【0035】
図1に示すように、連結部113は、キャップ本体111の開口端付近に接続されていることが好ましい。このようにすることにより、キャップ本体111を把持する際に連結部113が邪魔になりにくい。また、他の位置に接続されている場合と比べて、連結部113の長さを短くすることができる。但し、連結部113はキャップ本体111の他の部分に接続されていてもよい。
【0036】
本実施形態のキャップ110は、連結部113に捻れが無い状態で、ポート部151の開口と、キャップ本体111の開口とが共に上側となるように、ポート部151に取り付けることができる。また、
図5に示すように、連結部113に捻れが無い状態で、ポート部151の開口と、キャップ本体111の天面123とが共に上側となるように、ポート部151に取り付けることもできる。このように、ポート部151の開口と、キャップ本体111の天面123とが同じ側となるように取り付けた場合には、ポート部151の開口とキャップ本体111の開口とが共に上側となるように取り付けた場合と比較して、キャップ本体111をより捻ってポート部151に嵌合させる必要があり、その結果、連結部113の弾性力がより大きくなる。従って、キャップ本体111をポート部151から取り外した際に、連結部113の弾性力によりキャップ本体111がポート部151から離れた位置に移動しやすくなる。このため、開放状態とした際に邪魔にならず、ポート部151に別のコネクタ等を取り付ける操作が容易となる。その結果、コネクタ150の操作がより容易となる。
【0037】
さらに、ポート部151の開口と、キャップ本体111の開口とを同じ側にした場合と比べて、連結部113の捻れが小さくなるため、連結部113が破断しにくくなるという利点も得られる。
【0038】
本実施形態のキャップ110は、連結部113の変形性を確保する観点から、ある程度軟質の材料を用いて形成することが好ましい。具体的には、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の比較的軟質な樹脂材料、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系及びポリウレタン系等のエラストマー材料、イソプレンゴム、ブチルゴム及びシリコーンゴム等のゴム材料により形成することができる。
【0039】
キャップ本体111、リング部112及び連結部113は、強度及び形成を容易にする観点から全体が一体に成形されていることが好ましい。但し、別々に成形した複数の部材を組み立てるようにすることもできる。
【0040】
本実施形態においてコネクタ150が、血液回路等に用いられているチューブ160の端部に取り付けられている例を示した。しかし、コネクタ150はこのようなコネクタに限らず、例えば、他のオスコネクタ又はメスコネクタに取り付けて使用するコネクタとすることも、ボトル、シリンジ、ポンプ及びダイアライザ等の医療用装置と一体となっているコネクタ等とすることもできる。また、医療用のコネクタに限らず、他の用途に用いるコネクタであってもよい。コネクタ150は、通常用いられる樹脂材料等により形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示のキャップは、ポート部に蓋をした状態において、連結部が大きく側方に飛び出すことがなく、医療用のコネクタ等に取り付けるキャップとして有用である。
【符号の説明】
【0042】
110 キャップ
111 キャップ本体
112 リング部
113 連結部
115 第1の屈曲部
116 第2の屈曲部
117 中間部
121 ねじ山
123 天面
125 突部
131 屈曲形成部
150 コネクタ
151 ポート部
153 ねじ山